○
吉國(二)
政府委員 遺産相続が行なわれて、その場合に
財産が
双方の国にあるという事態は必ずしもまれではないと思いますが、現在までその点で問題が生じるということはあまりないわけでございますけれども、
アメリカとの
租税条約に関しましては、最初の
条約でございますので、相続税についても一緒にやろうということでやったわけではございますけれども、先ほど来申し上げましたように、相続税の体制というものが
各国非常に違っておりまして、調整がつけがたい点が多々ございます。そういう点から相続税
条約がおくれていることは事実です。しかし、今後、人的、物的な交流が非常に急速に拡大するということになれば、何らかの意味で
各国とも相続税の二重
課税の
防止をはかっていくということは必要になってくると思いますが、ただ、何と申しましても、
所得税等と違いまして、相続
課税という問題は、その国の伝統その他が違っておりますので、
国内法が漸次統一されていく
方向にあるとも言えない点から、なかなかむずかしい問題であると思います。
今回、
所得に関する二重
課税の
防止条約について統一の
国内法をつくりまするに際しまして、
アメリカの相続税に関する
部分だけを別
法律に附則で残しましたが、今後相続税
条約が締結されます場合に、
所得に対する統一法と同じような統一法がつくれるかどうか、その点も、
条約内容がかなり違ってまいると思いますので、直ちに統一
国内法をつくり得るとは
考えておりません。したがいまして、今後相続税に関する二重
課税防止条約ができたといたしましても、これについては当面単独法で進むよりしかたがないのではないか、かように
考えております。