○長橋
政府委員 特別閉山交付金制度を、四十四年度、四十五年度の二カ年にわたる臨時
措置として、
合理化法の一部
改正案に織り込んで御
提案申し上げておるわけでございますが、これは今回の新しい
石炭対策におきまして、企業が今後、明らかにされた国の助成の限界というものを踏まえまして、どのように対応していくかということで、大きく分けまして三つの選択の道を開いたわけでございます。
一つは、
再建交付金を受けて、そして何とか労使一体の企業努力によりまして、再建軌道に乗せていこう、こういう選択でございます。第二は、
再建交付金という制度にはなじまない企業の経理実態になっております場合に、安定補給金の面で
再建交付金を受けるよりも大きな助成を受けて、今後の再建をはかっていく。それから第三には、この際、企業として経理状態も相当悪く、異常な累積債務をかかえ、長期債務も非常に多く持っているというふうな企業の場合に、ここで再建のための助成の限界ということを踏まえました場合に、やはりどうしてもやっていくめどがはっきりと立たない。そこでこの際、
産炭地、従業員その他に対する影響を最低限にとどめて、社会的な影響を緩和しながら、企業のあるいはまた
炭鉱の整理をはかろう、かような選択でございます。
特別閉山交付金は、
一般閉山交付金では従業員その他
関係債務者に対して非常に不十分な弁済しか行ない得ない、過去の
石炭政策のもとで鋭意
石炭再建の維持に努力してまいったわけでございますが、非常に企業の実態が悪くなり、どうにも再建のめどが立たないというものに対しましての、いわば命綱と申しますか、そういうふうな
意味合いで考えられたものでございまして、現在の
石炭企業の実情というふうなものを分析いたします場合に、ここでどうしても特別閉山交付金というふうなものによって、極力円滑な整理をはからざるを得ないというふうな企業があることは、
石炭鉱業審議会におきましても
指摘されたところでございます。そういった企業に対しての
特別措置ということで、二年間に限ってこれを認めることにいたしたわけでございまして、いわゆる入り口整理とか、そういうふうな
意味合いではございませんで、幾つかの行き方について、企業の選択というふうなことを前提にいたしまして用意した一つの
対策であるわけでございます。
今年度、来年度の閉山予定数量という点でございますが、これは先ほど来申し上げておりますように、あくまでも企業としてどのように態度を決するか、閉山するかどうかというのは企業の責任判断の問題でございますので、あらかじめ推定することは非常にむずかしい問題でございますが、四十四年度
予算の積算にあたりましては、いままで国会で御質問の際いろいろ出ておりますような、三百八十万トン
程度というものを想定いたしております。しかし、これは結果的にどのようになるか、わからぬ問題でございます。いまのところの私
どもの判断といたしましては、おおむねこの前後で止どまるのではなかろうかというふうに考えております。来年度につきましては、いよいよ想定のむずかしい問題でございまして、ここで数字的に申し上げることを差し控えさしていただきたい、かように存じますが、今年度の場合は、昨年度
石炭鉱業審議会で八カ月にわたります長い慎重な検討、
審議が行なわれ、その間新しい政策の出るのを待って、そしてそれによって自分の出処進退をきめていこうというふうな、いわゆる政策待ちの期間がございました
関係で、新政策が
実施されます際、ある
程度閉山申し込みというものが、昨年度あたりに比べますと多くなっているわけでございますが、来年度におきましては、閉山数量はむしろ減る可能性のほうが強いのではなかろうか、かようにこの段階として想定いたしているわけでございます。