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1969-04-11 第61回国会 衆議院 大蔵委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月十一日(金曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 田中 正巳君    理事 金子 一平君 理事 倉成  正君    理事 毛利 松平君 理事 山下 元利君    理事 渡辺美智雄君 理事 只松 祐治君    理事 村山 喜一君 理事 竹本 孫一君       伊藤宗一郎君    大村 襄治君       奧野 誠亮君    木野 晴夫君       正示啓次郎君    地崎宇三郎君       西岡 武夫君    坊  秀男君       本名  武君    山中 貞則君       阿部 助哉君    井手 以誠君       北山 愛郎君    中嶋 英夫君       広沢 賢一君    田中 昭二君  出席国務大臣         大蔵大臣臨時代         理         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      菅野和太郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  上村千一郎君         大蔵政務次官  沢田 一精君         大蔵省主計局長 鳩山威一郎君         自治政務次官  砂田 重民君         自治省財政局長 細郷 道一君         自治省税務局長 松島 五郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      秋吉 良雄君         自治大臣官房参         事官      岡田 純夫君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 四月十一日  委員広沢賢一辞任につき、その補欠として河  野密君が議長指名委員に選任された。 同日  委員河野密辞任につき、その補欠として広沢  賢一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月十日  入場税減免に関する請願枝村要作紹介)(  第三六一四号)  同(河上民雄紹介)(第三六一五号)  同外三十一件(佐々木更三君紹介)(第三六一  六号)  同(佐野進紹介)(第三六一七号)  同外一件(阪上安太郎紹介)(第三六一八  号)  同(田中武夫紹介)(第三六一九号)  同(田邊誠紹介)(第三六二〇号)  同(田原春次紹介)(第三六二一号)  同(多賀谷真稔紹介)(第三六二二号)  同(高田富之紹介)(第三六二三号)  同(中井徳次郎紹介)(第三六二四号)  同(中村庸一郎紹介)(第三六二五号)  同(楢崎弥之助紹介)(第三六二六号)  同(西風勲紹介)(第三六二七号)  同(細谷治嘉紹介)(第三六二八号)  同外二件(三木喜夫紹介)(第三六二九号)  音楽等入場税撤廃に関する請願勝間田清一  君紹介)(第三六三〇号)  同(木部佳昭紹介)(第三六三一号)  同(永江一夫紹介)(第三六三二号)  同(岡沢完治紹介)(第三六三三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第六一号)      ————◇—————
  2. 田中正巳

    田中委員長 これより会議を開きます。  交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案議題といたします。
  3. 田中正巳

    田中委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。沢田大蔵政務次官
  4. 沢田一精

    沢田政府委員 ただいま議題となりました交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及び概要を御説明申し上げます。  昭和四十四年度におきましては、地方交付税及び地方税が大幅に増加すると見込まれますので、政府は、国及び地方を通ずる財政運営円滑化に資するとともに、年度間の財源調整をはかることをも考慮し、昭和四十四年度における地方交付税総額についての特例措置を講ずることとし、別途、今国会地方交付税法の一部を改正する法律案提案いたしておりますが、この地方交付税にかかる特例措置に対応して、交付税及び譲与税配付金特別会計法について所要の改正を行なおうとするものであります。  改正の内容は、本特別会計法規定により、地方交付税相当する額として一般会計からこの会計繰り入れ金額を、昭和四十四年度においては、所定の額から六百九十億円を控除した額とし、他方、この控除した額に相当する金額は、昭和四十五年度において繰り入れ金額に加算することといたしますが、地方財政状況等によっては、別に法律で定めるところにより、その一部を同年度に加算しないで、昭和四十六年度または昭和四十七年度に繰り延べて加算することができることとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  5. 田中正巳

    田中委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  6. 田中正巳

    田中委員長 これより質疑に入ります。通告がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
  7. 村山喜一

    村山(喜)委員 きょうは自治省のほうから政務次官をはじめお出ましをいただいておるわけですが、まず大臣答弁を願わなければならない問題点等は、先ほど理事会で、次の適当な機会質問機会を与えるということでございますので、それは一応省きまして、ものの考え方について具体的な事例の問題から入ってまいりたいと思います。  そこで、自治省にお尋ねいたしますが、交付税概算交付を四月分についてはされたと思います。これはどういうようなやり方でおやりになったのか、説明を願います。
  8. 細郷道一

    細郷政府委員 当初予算から六百九十億円を減じた額について、その普通交付税相当分の四分の一を概算交付いたしました。
  9. 村山喜一

    村山(喜)委員 あれは特交分が六%でしたかね。普通交付税が九四%ですね。それの四分の一概算交付した。で、六百九十億を減じて概算交付をするのは、何に基づいておやりになったのですか、その根拠を。
  10. 細郷道一

    細郷政府委員 当初予算によりまする六百九十億円減の分が特別会計に入るわけでございますから、その分を基礎にいたしまして行なったものでございます。
  11. 村山喜一

    村山(喜)委員 六百九十億円の減額をするというのは、今回の交付税法改正並びに交付税及び譲与税配付金特別会計のこの改正案成立をしなければ、六百九十億円を減額をするということはできませんね。その点はいかがですか。
  12. 細郷道一

    細郷政府委員 法案は、ただいま交付税その他で御審議いただいておりますので、政府意図がそういうところにございます点にかんがみまして、省令特例を定めて交付をいたしました。
  13. 村山喜一

    村山(喜)委員 砂田政務次官にお尋ねいたします。  現在、法律はまだ審議に入った段階でございます。まだそんなに深く審議をしていない。特に特別会計のほうはきょうから審議に入った段階でございます。その段階の中で、すでに四月の概算交付については、六百九十億円を減額する法律が通ったものとみなして措置がされた。これは自治省としてはどういう権限に基づいてそのような措置をなさったのですか。その根拠規定についてお伺いします。
  14. 砂田重民

    砂田政府委員 根拠現行交付税法に基づいて配分をしております。
  15. 村山喜一

    村山(喜)委員 それは何条に基づいてやったのですか。
  16. 細郷道一

    細郷政府委員 交付税法第十六条第二項であります。
  17. 村山喜一

    村山(喜)委員 ちょっと読み上げてください。
  18. 細郷道一

    細郷政府委員 「当該年度の国の予算成立しないこと、国の予算追加又は修正により交付税総額変更があったこと、大規模災害があったこと等の事由により、前項の規定により難い場合における交付税交付時期及び交付時期ごとに交付すべき額については、国の暫定予算の額及びその成立状況交付税総額変更程度、前年度交付税の額、大規模災害による特別の財政需要額等を参しゃくして、自治省令で定めるところにより、特例を設けることができる。」
  19. 村山喜一

    村山(喜)委員 その省令いつお出しになりましたか。その省令の中身をお出しいただきたいと思うのですが、それはいまそこにございますか。なければ、あとで届けていただきたいと思いますが、いいですか。
  20. 細郷道一

    細郷政府委員 省令は四月四日に出しておりますが、省令の条文は後ほどお届けさしていただきます。
  21. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、省令を制定することができるという条項がございますね。いま十六条二項の根拠規定を言われました。そうすると、交付税及び譲与税特別会計法がまだ成立をしていないにもかかわらず、それが省令で実施ができる、そういうようなのは一体どういう条項に該当するわけですか、災害とみなすのですか。
  22. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど申し上げました事由の中で、「大規模災害があったこと等の事由により、」という「等」で読んでおります。
  23. 村山喜一

    村山(喜)委員 それは政治災害ですか、何ですか。災害等ということになると、何でも入れられるということになるのですか。そんなに柔軟性をもってあなた方解釈をしてやる立場にあるのですか。
  24. 細郷道一

    細郷政府委員 実は、これについては従来も例がございまして、たとえば公共事業の促進をはかりたいというようなときにも、こういった規定根拠を置きまして措置をいたしたものがございます。
  25. 村山喜一

    村山(喜)委員 その先例はいつですか。その場合の事例は軽微なものであるのかどうか。その事例もいろいろな事情等を参酌をしなくちゃなりませんから、その先例によったということであっても、それが正しい先例によることになるのかならないのかということは、われわれが解釈をしますから、それをお示しを願いたい。
  26. 細郷道一

    細郷政府委員 たしか昭和四十年に、そういう例がございます。この「等」の字の解釈につきましては、いま申し上げましたように、わりに幅広く実は読んでおるのでございまして、いまここに書いてございますように、「国の予算成立しないこと、国の予算追加又は修正により交付税総額変更があったこと、大規模災害があったこと等の事由」ということで、やはり国の予算成立との関連の調整をここに考慮をしておるもの、こういうふうに考えてこの解釈をいたしておる、こういうわけでございます。
  27. 村山喜一

    村山(喜)委員 自治省はそういうような考慮を払って、それを省令でつくってそれに基づいてやったとおっしゃるが、それは適切なやり方だとお考えなんですか。自治省政務次官、そういうようなやり方は適当なやり方だ、適切なやり方だ、こういうようなお考えなんですか。それとも万やむを得ない措置としておやりになったのですか、その点を明らかにしていただきたい。
  28. 砂田重民

    砂田政府委員 地方団体の四十四年度におきます財政見通し、あるいは地方団体自身またいろいろ予算も立てなければならない時期、そういうことも、ただいま財政局長がお答え申し上げたことにつけ加えて考慮をしたわけでございます。地方交付税の四十四年度におきますこの措置自体が特異の措置でございますから、したがいまして、村山先生質問の点もやはり特異の措置、こうお考えいただいてけっこうと思います。
  29. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、あまりにも行政当局が法の解釈の幅を広げ過ぎて措置をするということは一いまわれわれが論議をしようとしているものがすでに行政的に措置がなされている。行政的に措置がなされて概算交付がされているんでしょう。それを既定事実としながら、われわれが立法の府において法律案審議をするということになっておるわけですね、事実問題は。そういうような行政権の先走りといいますか、それは、私たち立法府権限を侵すことになるという解釈をあなた方お持ちにならないですか。
  30. 細郷道一

    細郷政府委員 いま御審議をいただいております法律案成立の暁には、四十三年度から繰り越してまいる予定の六百八十四億、これについても同様概算交付をすべきもの、こう考えておるわけでございます。私どもは、できますればそういった関係法案が一定の時期に通過をして、そうしてそのもとにおいて概算交付措置がとれることが望ましいことと考えておったわけでございますが、御承知のような事情でその成立がおくれておりますので、大事を踏みまして六百九十億減の状態概算交付をいたして、それぞれの自治体の財政事情なりあるいは資金繰りの事情等にこたえるようにすることが、地方交付税の性質から見ても必要ではなかろうか、かように考えていたしたものでございます。
  31. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、そのやり方が適当であるかどうかという判断を下すのに、どうもあまりにもあなた方のやり方は、立法府のいま論議しているものについて、これを既定事実の上にとらえて行政的に措置しておるような印象を与えておると思うのです。ですから、立法府権限を無視している行為を行政府がやっておるのじゃないか、こういうふうに非難をされてもそれに対する答弁ができないのじゃないですか。六百九十億は減額するものなりという、そういう既定事実の上に立ってやっておられる。とするならば、これから論議をしていくのにあたって、きわめて重要な影響を与えておるということになりませんか。この点は、そういうようなやり方をするのには、自治省だけでやったのではなくて大蔵省と合い議してやったのですか。自治省省令に基づいて自治省が責任をもってやったのですか。
  32. 細郷道一

    細郷政府委員 法令的根拠は、先ほど申し上げましたように、自治省令でいたしたのでございます。ただ、国庫から相当多額の資金が出るという点がございますので、大蔵省とも相談をいたしております。
  33. 村山喜一

    村山(喜)委員 大蔵省、これについて答弁したいような顔をしているから、答弁してください。
  34. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 自治省省令等につきましては、御連絡を受けて、私どもも事前に相談を受けてやっております。
  35. 村山喜一

    村山(喜)委員 四十三年度補正追加分ですか、七百三十六億から調整繰り入れ分を差し引いた残りの六百八十四億ですね。これについては補正をやらない場合には決算上は四十五年度の収入になる、それを繰り入れをすることによりましてそれに見合う六百九十億という一つの貸借関係が成り立つのですが、その分は繰り入れていないわけで、六百九十億は差し引いておるわけだから、地方公共団体のほうには非常に少なく財源配分をしてある、こういうふうに解釈していいですか。また、そうすることが正しいのだという解釈なのですか。
  36. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど申し上げましたように、本来なればこの関係法案を全部成立の上で、六百九十億は減額するが、前年度からの六百八十四億は繰り越しをして、その穴を復元させてそのもとに概算交付をすべきであったと思うのでありますが、先ほど来申し上げておりますような事情でおくれておりますために、それでは全額についてこれをおくらせて概算交付をすべきかということになってまいりますと、やはり交付税地方財源でございますし、三千幾つ地方団体はそれぞれ財政運営をいたしておるのでございます。したがいまして、予算が六百九十億減額ですでに成立しております現在におきましては、この法案にかかっております繰り越し金を除いた額、すなわち六百九十億減の分の相当の四分の一、三千三百億ほどでございますが、それについて概算交付をいたしたわけでございます。  先ほど申し上げましたように、国におきます財政その他の運営地方団体におきます財政運営との調整をはかる必要がこの交付税については特に必要ではなかろうかといったようなことから、こういった措置をとったものでございまして、そういう意味におきましては、こういう措置は毎年繰り返されていいというものではなくして、できるだけ正常な状態でいくべきものであろう、こう考えております。
  37. 村山喜一

    村山(喜)委員 どうも正常な措置の中でやらるべきものだと思うが、去年はどうだったのですか。
  38. 細郷道一

    細郷政府委員 昨年は御承知のように四月暫定予算でございましたので、暫定予算に計上した額に基づいて概算交付をいたしました。
  39. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、そこに地方財政というものも国の景気調整という目的に協力をすべきであるというような政策的な意図が働いてそういうような措置がなされたのではないかと思うのですが、その点はございませんか。
  40. 細郷道一

    細郷政府委員 景気調整考え方からそういうふうにしたのではなくして、御承知のように、予算なり関係法案政府意図しておりますところにできるだけ沿うような考え方、しかもこの関係法案の御審議をいただいております現在ですから、この法案にかかっております部分を除外して概算交付をいたしたわけであります。そういう意味合いから、ある意味では非常に事務的なことではなかろうか、私はかように考えております。
  41. 村山喜一

    村山(喜)委員 この点につきましては、同僚の阿部委員のほうでもあとで追及をすることでございましょうから、この程度にとどめておきますが、しかし、災害と同じような形の「等」の中に入れて、法律案審議する過程以前にあなた方がそういうような措置をされるということは、どうもあまりにも行政ベースで問題を処理しようとし過ぎるような印象を私は受けるのです。そういうような意味においても、望ましくないということをあなた方自身も認められておりますから、今後そういうようなことのないように私は警告を発しておきたいと思うのです。そういうようなことで「等」を幾つか例示的にあそこに出されておるものだと思うのですが、それを必要性に応じて無限に拡大をしてその「等」の中に入れて、省令をつくってこの交付をやる、そういう融通無碍のやり方は、私たち立法府立場からいって認めるべきでないと考えます。これらの問題については、いまの自治省の見解と私の考え方との間には意見が一致いたしません。私は、そのやり方についてはもう少し反省をしてもらいたい、そういうように考えておりますので、この点ははっきり申し上げておきたい。  次には、地方財政は赤字になっているのか、それとも、最近地方財政というものは非常に好転をしておる、こういうようなことがよくいわれるわけですが、どういう立場から今度の法律を、あるいは特別会計をつくってこられたのか、これについてお尋ねいたします。  というのは、昨年も四百五十億円国に貸しました。ことしも六百九十億円国に貸すということであります。その立場から見るならば、これは明らかに地方自治団体が裕福になったという具体的な証拠になります。それだけゆとりが出てきた、事実問題として、数字の上からは六百九十億円も国に貸すんですから、ゆとりが出てきた。いや、それはそうではないんだという説明ができるのか。まず、これについては金を貸した側である自治省のほうから御説明をいただきたい。
  42. 砂田重民

    砂田政府委員 地方財政豊か論と申しますか、好転論がございますが、実は私どもはそうは考えておりません。確かに最近、地方財政は若干の収支の改善を見ておりますことは事実でございます。その好転した、豊かだというのは、それぞれ比較をしての問題であろうと思うのです。したがって、前年度と比べて地方財政がどういうふうになったという比較論をするならば、あるいは数字だけで見れば、好転したということがある、そういうところから御議論が出ていることだと思いますが、社会経済の発展に即応して、町づくり地域づくりを計画的にやってまいらなければならぬ、そういう地域社会住民からの地方公共団体に対する行政要望、こういう角度から見ました場合、あるいは国道と地方道との整備状況比較してみました場合、また私どもが実感といたしまして、われわれ自身地域社会住民としての立場に置いて考えましたときのわれわれの生活環境整備状態自治団体がやらなければならないこと、こういうことを考えてみますと、地方財政というものはそういう意味からはまだ決して好転したとはいえない、豊かではない、そういう気持ちを私どもとしては持っております。  今回の措置にいたしましても、ただ四十三年度自然増収を引き当てにした措置でございます。特異な措置でございます。四十三年度に四十四年度を展望しましたときに、地方財政として予測をした財政運営ができる、その範囲でとった措置でございます。
  43. 村山喜一

    村山(喜)委員 大蔵省はどういうようにながめておるのですか。
  44. 沢田一精

    沢田政府委員 いま自治省からお答えがありましたが、地方公共団体としてしなければならない財政需要というものはいろいろと残されておるし、また、時代の進展に即応いたしまして、新たに増加していく需要というものも当然あろうとは思います。しかしながら、少なくとも一ころの地方財政状況から考えますと、最近におきましては相当好転してきた、これはまことにけっこうなことでございますが、そういうふうに見ております。  今回の措置をとりました最大の理由は、地方交付税年度間の財源調整と申しますか、やはり経済の好不況の影響を受けまして、地方交付税自体に非常に大きな幅が出てまいっておりますことも事実でございますので、その年度間の財源調整ということを主たるねらいといたしまして、将来にわたりまして安定的な姿で弾力的な運用がなされることが、地方公共団体にとりまして好ましいことではなかろうか、そういう見地に立ったわけでございます。もちろん国と地方とを通じます行政事務配分の問題、これに即応いたします国と地方との財政状況を勘案する必要があることはもとよりでございます。  お尋ねの、地方財政をどう見ておるかというお話になりますと、繰り返すようでございますが、まだいろいろとやらなければならぬことは地方にたくさんあるけれども、一ころよりは、少なくとも地方財政状況相当よくなってきたという認識をもとにいたしておるわけであります。
  45. 村山喜一

    村山(喜)委員 両政務次官の発言の中にも、若干のニュアンスの違いがあるように私たち受け取るわけです。  そこで、年度間の財源調整目的を持った処置をということですが、四十三年度のいわゆる四百五十億の分をきめるときに、水田、赤澤大臣が申し合わせをした事実がございますね。そのときには、四十三年度限りの措置とする、四十四年度以降はだめですよという覚え書きを結んでおるはずであります。そのときに、国会附帯決議も同時についている。だから、今度の六百九十億円は、四十三年度のいわゆる財源自然増収の中でやったその行為であるということで理屈をつけようということにしておられるわけですが、それは四十三年度財源がなければこういうようなことはできなかった、こういうふうに反面解釈ができるわけですが、そういうふうに解釈していいですか。
  46. 砂田重民

    砂田政府委員 四十三年度のあれだけの自然増収がなければこういう措置は当然とられなかった、また、私ども自治省といたしましても、あの自然増収がなければ、自治省自身もこういう措置をとれなかった、こういうふうに考えていただいてけっこうです。
  47. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、四十四年度地方税伸び率見込みですね、これは大体どれくらい見込んでいるのですか。それから地方交付税のもとになります三税の伸び率を四十四年度は幾らに見ているのですか。
  48. 細郷道一

    細郷政府委員 地方税の対前年度伸びは、改正後で二〇・三%でございます。それから地方交付税伸びは、この関係法案成立後の姿で二五%の伸びでございます。それから、四十四年度の国税三税は四兆三千二百五十六億五千三百万円でございまして、対前年度当初に比しまして八千三百億三千六百万円の増額となっております。
  49. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、四十三年度については、幸いにして自然増収が六百八十四億、四十四年度繰り入れをするだけの財源が出てきた。だから、それに見合う六百九十億円を節約をするということで、かろうじて四十三年度限りの措置という、それが生かされてきた。ところが、今度は四十四年度について税収の見積もりからいくと、三税の伸び率が二五%、地方税は二〇・三%だという見込み数字で、将来においてもやはりこの地方交付税基礎になります所得税法人税、それに酒税の主税の伸び率は、いわゆる弾性値からいいましても相当伸び率が、現在のままでいきますると大きいということが言えるわけであります。そうなると、やはり地方交付税は、税率を現在の形にしておく限りは、相当伸びていくという見込みは出てまいります。そうするならば、四十四年度については、六百九十億円を自治省のほうから大蔵省に貸す、地方公共団体から国に貸すという形がとられて、年度間の調整がとられたわけです。四十四年度以降においては、そういうようなことは絶対にありません、今度のような措置は絶対にいたしませんということが言えますか。その点を、自治省大蔵省のほうからお聞きをしたいと思います。
  50. 砂田重民

    砂田政府委員 このような措置は、やはりとるべきでないと考えております。したがって、こういった措置で解決するのではなくて、やはり年度調整、これは村山先生承知の、四十四年度予算編成のときに、大蔵、自治両大臣が、御承知のような覚え書きを取りかわしていることでもあります。この中にも触れていることでありますが、年度調整、そういう措置を確立をしていく、こういうことでやはり措置をしていくべきものである、このように考えております。  御承知のように、予算編成というものは時間の切れがございます。四十四年度予算編成のときまでに、両大臣間でどのような年度調整の方策を確立するかという詰めができておりません。これから検討しなければならない問題と考えておりますが、年度調整措置にゆだねるべきである、今回とりましたような措置はそう続けてやるべき問題ではない、このように考えております。
  51. 沢田一精

    沢田政府委員 いま自治省から御答弁がありましたように、大蔵省といたしましても、このような特例措置は、今後は避けるようにいたしたいと思っております。別途地方交付税年度調整措置をすみやかに検討いたしたい、そうしてこのような措置によることを今後は避けるようにいたしたい、かように考えております。
  52. 村山喜一

    村山(喜)委員 まあ両省とも、このような特例措置は今回限りにして、あと年度間の財源調整にゆだねるべきである。とするならば、その中身は一体何なんですか。
  53. 細郷道一

    細郷政府委員 どういう年度調整措置考えるかは、これからの検討問題であるわけです。御承知のように、過去におきまして配付税時代に、やはり年度調整考え方から、対前年の自然増収の大小をもって調整をいたした制度がございました。そういった方法も参考になると思います。  もう一つ、私どもがいま考えておりますのは、やはり地方財政につきましても、長期的な見通しに立った計画運営ということをすべき時期に到達しておると、こういう判断をいたしております。そういう意味合いから、できますれば、地方財政の長期的見通しというものを持った上で、それに必要なる財源の大小をもって年度調整を自主的にやっていくというようなことを考えていくべきではなかろうか、かような考え方に立ってただいま申し上げておるわけであります。
  54. 村山喜一

    村山(喜)委員 大蔵省の主計局長、あなたはどういうふうにお考えですか。盛んに大蔵省としては、アドバルーンでありましたか、地方交付税率の引き下げを予算編成の過程の中では要求をしてこられた。あるいはこれはあとでお尋ねしますが、補助金等の整理は、これは立ち消えになってしまった感じをずいぶん受けるわけです。そういうような問題等について、また地方債の繰り上げ償還の問題等も、これまた十分な措置がまだとられているとは思えません。ですから、これらの問題については、きわめて重要な中身を持っておると思うのですが、いまの自治省説明に対して、大蔵省年度調整考え方というものはどんなものがあるのか、ちょっと御説明を願いたい。
  55. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 年度調整の問題につきましては、これから急いで検討いたす段階であります。この問題のよって来るところを私ども立場から申し上げたいと思います。  一つは、国の税収に占めます三税の比重というものが、非常に伸びるのが三税である、ほかの税はやや伸びが鈍化をしておるという問題が一つ。それから、国全体の歳入構成として、四十一年度以来の足取りを見ますと、国債の減額をしてきたということ。これが両方重なりまして、国の歳入の伸び率に対しまして三税が非常に伸びてきておるということ、その結果、総歳出に占めます交付税の割合というものが国の全体の歳入よりも非常に数段多く伸びるという点に問題が常にあるわけでございます。  しかし、こういった制度的な問題は、これをどう直したらいいかということにつきましては、非常に大きな問題になりますので、まあ私どもは、所得税法人税というのは、非常に景気の弾力性が強いというところから、この景気動向に即応して、景気のダウンしたときに備えて——税率を直すということはたいへんできかねますので、そういった景気のダウンしたときに備えて、景気の非常に伸びるときは、その間資金を蓄積をするというような考え方年度調整をはかったらどうであろうかという、非常に常識的なことを考えておるのでございます。
  56. 村山喜一

    村山(喜)委員 年度調整をやる前に、私はまだ解決をしなければならない問題があるのじゃないかと思うのは、縦割り行政の弊害というものが、補助金行政、補助金政策を通じて行なわれておる。これは自治省あたりではそれをなくしようということで、いろいろアンケートをとったりしてやっておいでになるようでありますが、しかし、それに対して事業官庁の場合等は、なぜおまえたちは補助金を削るのに対して賛成をしたのかということで、地方自治団体に圧力をかけているような、そういうようなところもございます。そういうようなことで、補助金等の整理については、ごく小さなものを除いて立ち消えになったのじゃないかとわれわれは見ているのですが、こういうような問題であるとか、あるいは地方債の一般財源の中に占める比率を見てまいりますと約八〇%、これは国債比率の五倍くらいになっておると思います。そういうような立場から見ますと、地方債の償還という問題をどういうふうに進めていくのか、そういうような問題もありますし、また、いま標準税率以上の中で超過課税をやっている分がございます。それの分を一体どういうふうにするのか。それから、いわゆる国のほうからの補助金の単価以上に超過負担をすることを余儀なくされて、自主財源の持ち出しを強要されるというのですか、やむなくしている超過負担額の解消の問題をどの程度やるのか。あるいはまた、いま地方公営企業の累績赤字が相当のものにのぼっておりますが、そういうようなものに対する抜本的な対策をどういうふうにしてやるのか。そういうような問題の交通整理をまずやった後に、その年度間の財源調整等を、いま交付税配分率等をいらうことはなかなかむずかしいので、やはり資金の調整、余裕が出た場合の蓄積等の調整措置を進めるという考え方をとるべきではないか。だから、その前段におけるところの地ならしがまだ十分に行なわれていない中で、いわゆる財源年度調整をとるというのは間違いじゃないかと私は思うのですが、そういうようなものに対してどのような取り組みの姿勢をお持ちであるのか、この点を明らかにしていただきたいと思うのです。
  57. 細郷道一

    細郷政府委員 第一は、地方債のウエートの問題だと思いますが、私ども地方団体におきます地方債の機能という点から考えまして、単純に国の国債のウエートとの比較で論ずべきものではないのじゃないか。御承知のように、三千幾つの小さい財政規模の団体もございますので、そういうところでは地方債というのは欠くべからざるものでございます。したがいまして、全体の地方財政計画の地方債のウエートということだけでこれを論ずべきではなくして、むしろこれは当然毎年繰り返されてあるべきものだというふうに考えております。そういう意味で、今回の財政計画におきましても、先般お配りしてございます資料にありますように、財政計画の歳入構成において地方債のウエートは前年と同じように四%ということでございます。  それから、超過課税の問題につきましては、現に三千幾つの市町村のうちの三分の一くらいの市町村、千ないし千百程度の市町村におきまして超過課税が行なわれております。その超過課税額も二百億を多少上回る程度に残っております。これらにつきましては、私どもは超過課税の運用というものが、やはり住民との相談によって、施設の改善を求めるならば超過課税もやむを得ない、超過課税がいやならば、施設の改善も少し程度を下げよう、こういったようなことによって運用さるべきものであろうと考えておりますが、最近見てまいりますと、超過課税の中には多少、一回超過課税ができますと、そのまま、ややことばは悪いのでございますが、惰性的になっている面もないではなかろうということもあったりいたしましたので、今回は特に住民税の超過課税分につきましては、よくその財政運営の実態を見ながら、軽減をはかるように考えてはどうかというような指導を実はいたしております。  それから、超過負担の問題につきましては、実は一昨年来ずっと年々三百億程度ぐらいずつの超過負担の解消をはかってまいっております。明年度におきましても三百十二億円の超過負担の解消をはかっておるのでございます。したがいまして、この問題も年々こういった方向で漸次改善をする、その方向については政府部内も意見が実は一致をいたしておるのでございます。  さらに、補助金等につきましてどういうふうに対処していくべきかということにつきましては、特にそのうちの零細補助金については、これを整理あるいは統合をしていくべきではなかろうかという考え方のもとで、四十四年度においても、その方向で一部実現をいたしておるわけでございます。  こういったように、地方財政を取り巻く条件はいろいろ多岐にわたっております。御指摘のとおりであろうと思いますが、それらの一つ一つにつきましても、順次これを改善の方向に乗せながら持っていきたい、かように思っておるのでございます。  こうした状況のもとで年度調整がいいかどうかという問題でございますが、四十四年度の六百九十億問題については、先ほどございましたように、四十三年度自然増収を引き当てにしてこれは行なったものでございます。現行制度によりますと、地方交付税は、国税三税の三二%が地方財源であるということは、これははっきりいたしておりますが、現実に現なまのお金を地方交付するには予算措置というものが要るわけでございまして、その予算措置とその財源の確保との調整の方法として、いま精算払いというようなことを実は行なっております。そういう精算の制度がございますのが、四十三年度の場合には、たまたま年度の終わりに補正予算が組まれるといったような状況から、もし補正予算が組まれなければ四十五年度地方交付されるお金であったというような事情考慮いたしまして、四十五年度にその分が地方財源となるように四十四年度の当初予算から六百九十億を減額いたした、こういった行き方をとったわけでございます。  私どもは、いろいろ先ほど申し上げた地方財政を取り巻く諸条件を漸次片をつけていかなければならない、また、そういう方向で進んでおるわけでございますが、別途地方交付税のここ数年の実際われわれが経験したところを見てまいりますと、御承知のように、非常に景気の好不況に左右される、増収の伸び縮みがございますものですから、そういうものを地方財政の計画に合わせるという新しい立場を入れて年度調整を今後考えていくことが必要ではなかろうか、かように思っておるのでございます。
  58. 村山喜一

    村山(喜)委員 初め、財源がないというので、地方は豊かだ、だから地方のほうから金を借りて予算編成しなくてはいかぬというような宣伝が行なわれました。ところが、それはうそでした。結局六百九十億円という金を地方団体が貸すことによって国の全体的な予算伸びは一五・八%になった。これはやはり財政の拡大の規模からいえば相当大型の予算になっていることは言うまでもございません。その中で物価の上昇が五%ということですが、これは五%をこえる。それで結果的には、六百九十億というものは地方自治体の固有のものであるのを国に貸してやって、国がそれを使ったという形になっている。その立場から見るならば、それは地方交付税制度の固有の財源であるお金を国のほうに召しとられたような形、貸したとはいいながら、そういうようなことで供出をしておるわけですから、地方交付税制度の危機として私たちはとらえなくてはいかぬのじゃないか、こういうふうに考えるのです。ほんとうのねらいは地方財政計画を圧縮をするために使ったのではないだろうか、こういうふうにも受け取れるのです。  地方財政計画も相当大幅なやつができておる。この際、余裕があるならば、これは住民負担の軽減に回すというのがたてまえではないか。それをやらないで、今度住民税の所得割りの納入者の場合には、前は所得税の課税最低限度額との開きが三十万一千円でございました。今度は三十一万二千円ということで、一万一千円さらに所得税地方税比較をすると拡大をしておりますね。私はそういうものは望ましいことではないと思うのです。やはり地方税の場合は生計費にまで課税をするという原則が正しいんだとあなた方は考えているかどうか。六百九十億という金があるならば、それをやはり住民に還元をする、住民負担の軽減に回していくならば、大体最低課税限度額を七十四万円くらいまで標準世帯の場合に引き上げることができるのであります。財源計算からいたしますと、そういうことになる。それがわずかの引き上げで、国税との間にそういうような格差が拡大をしていくという方式をとられる。それは望ましいことではないと思うのですが、なぜ、そういうような余裕があったら、住民負担の軽減の方向にもっと努力をされなかったのか、その点をお伺いします。
  59. 細郷道一

    細郷政府委員 四十四年度におきましては、すでに御審議をいただきました地方税改正案によって、住民税負担の軽減その他を入れまして八百億余りの減税をいたしたわけであります。いまお話しの六百九十億を減らさないでいったらどうかということでございますが、それは六百九十億を一回当初予算減額しましても、四十三年度からの繰り越しによってそれが復元するということは、四十四年度についての地方財政の当初立てた見通しのとおりに財政運営ができる。その中では減税もする、地方財政の中では仕事もしなければならない、過疎や過密の問題もある、行政水準の問題もある。さらに、先ほど申し上げました超過課税の問題もあるし、税外負担の解消にも今回かれこれ百億くらいの金を投入いたしております。そういったいろいろな面での要請を満たしながら四十四年度財政計画を組んであるわけでございまして、私どもはこれだけで全部未来永劫によろしいというような考え方を毛頭持っておりませんけれども、諸情勢を見ながら順次これらの解決に当たるべきじゃないか。しかしその際に、私ども地方の行政水準というものは低いということが基本にございますので、その点に充てるべき歳出にかなり重点を置いてやっておる、こういうことでございます。
  60. 村山喜一

    村山(喜)委員 それは、行政を進める立場からいえばあなたの理論は成り立つでしょう。しかしながら、国税を納める人間も地方税を納める人間も同一人物です。所得税関係は平年度ベース九十三万五千円ですか、課税最低限度がそこまで引き上げられた。ところが、地方税のほうは六十二万三千円までしか引き上がっていない。東京都における標準世帯の生活保護世帯は五十四万円です。だから、六十二万三千円の世帯の場合は生活保護のほうに近いわけです。そういうようなところまで所得割りの住民税を納めて、金を取り立てておきながら、国のほうには豊かになったからということで六百九十億円も金を貸す、これはいただけませんというのが住民の私は気持ちだと思うのです。しかも課税最低限度額の開きは、昨年の三十万からことしは三十一万に拡大をしておる。これはまさに大衆課税化が進んだと言われてもしかたがないでしょう。そういうような方向をあなた方は認めておいでになったのでしょう。それに対して、やはりそういうような方向で進まれるつもりですか、お答え願います。
  61. 砂田重民

    砂田政府委員 村山先生ももう十分御承知のとおりに、所得税と住民税というものは基本的な性格が異なっております。住民税は、地方公共団体が行ないます地域社会住民に対します公共サービスと申しますか、そういう費用支弁を地域住民が広く負担をする、所得税が持っておりますところの重要な一つの目的と申しますか、所得再配分的な性格は住民税にはないとは申しませんけれども、これはきわめて薄うございます。そういう意味合いから、所得税の課税最低限と住民税の課税最低限をそういう角度からバランスをとって考えるのは、私は実はいかがなものかと考えます。所得税、住民税の課税最低限というものを考えますときには、それをたてまえと今後もしていかなければならぬということは私ども考えておるところであります。ただ、村山先生おっしゃるように、税金を払う側にいたしますと、これは納税者としての感情からいきますと、さいふは同じさいふでございますから、そういう角度から考慮を払わなくていいというものでないということもまた承知しておるところでございます。したがいまして、今年度は七百億をこす住民税減税、できるだけのことをいたしたわけでございますが、所得税の最低限との比較ということも、所得税、住民税の性格そのもののたてまえは置きながら、所得税の課税最低限に近づける努力を当然私どももやっていかなければならない、こういうようにわれわれは考えております。
  62. 村山喜一

    村山(喜)委員 近づけていかなければならないにもかかわらず、それが遠ざかっていっている、ことしのように、地方税法の改正で。私はこれは間違いだと思うのです。これは主計局長あたりが予算編成をされる場合に——まあこれは主計局というよりも主税局になるのでしょうが、もっと近づいていくのが遠ざかっていくような結果になるようでは、これはわれわれも意図するところではないとおっしゃる、その意図せざるところになってきたのはだれの責任かといえば、これは行政の責任ということになったのではまたまずいと思う。大体そういうような政策を持たずして官僚まかせになっているからこういうことになったのじゃないですか。だからそういうような意味において、これは大蔵省がやはり主として、そういうことにならないように配慮してもらうことが必要だろうと思うのだが、沢田さんはその点はどうですか。
  63. 沢田一精

    沢田政府委員 所得税あるいは住民税の課税最低限度の考え方につきましては、いま自治政務次官から言われたとおりだと私も思うわけでございます。まあ相反する、と申したら言い過ぎでございますけれども、いろいろな考え方の要素が入り込むわけでございますが、今回のこの交付税に関しまする措置につきましては、当初申し上げましたように、私どもといたしましては、やはり景気の好不況に左右されずに、できるだけ地方財政が安定した姿で健全に伸びていくということをたてまえといたしまして、年度間の財源調整を弾力的に考えていこうというのがおもな目的であるわけでございます。私が申し上げるまでもございませんけれども昭和四十年度でございましたか、国税三税の補正減によりまする地方交付税の減の補てんという問題が現実に起こってまいったわけでございます。そういったことになりますと、せっかく立ち直りかけております地方財政というものが、将来日本経済の好不況の影響を受けまして大きくゆらぐという可能性もなきにしもあらず、そういうことを何としてでも避けなければならないという考え方を主としてとっておるわけでございます。地方財政自体の問題、それと関連いたしまする住民税の課税最低限の問題は、これは非常に言い過ぎで、先生からおしかりを受けるかもしれませんけれども、それはそれとして、別個の問題として、将来できるだけ近づけるような措置がとられることが私は望ましいという考え方でございます。
  64. 村山喜一

    村山(喜)委員 今度の改正のいまの問題については、これはきわめて重要な問題ですから、大蔵大臣が出席なさった段階の中で私もお尋ねをしてみたいと思っております。  その次に問題になりますのは、今度地方税法の改正で、六月から宅地開発税が実施をされることになりました。これの財源収入は幾ら見込んでいますか。初年度と平年度で……。
  65. 松島五郎

    ○松島政府委員 初年度は一億四千九百万円でございます。それから平年度は二億三千万円でございます。
  66. 村山喜一

    村山(喜)委員 まあ、規模としては非常に小さいのですが、今度例の中規模都市以上について土地基金制度を設けることになっておりますね。これはどういう構想なんですか。
  67. 細郷道一

    細郷政府委員 いろいろな公共施設を整えていく上に土地が必要であるということは、御承知のとおりであります。それの調達についてどういう仕組みがよいのか、いろいろいまも各地方団体でくふうをいたしております。しかしながら、だんだんに将来の町づくり地域づくりというようなことを具体化しようとする場合には、どうしても先行投資的な土地の取得が必要ではないか。そういう意味から基金制度を活用したほうがいいのではなかろうか。御承知のように、地方自治法で地方団体は基金を設けることができるようになっておりますが、その一般的な規定に基づいて基金制度を設けることがいいのではなかろうかという一般的な指導を私どもはしてまいりたい、こう思っておるわけであります。  なお、それにあたりまして、基金につぐ財源、この際財政計画上全体で六百億ほどを予定をいたしております。それを交付税措置によって配分をする、こういうことを考えておるわけでございます。
  68. 村山喜一

    村山(喜)委員 これは、土地基金六百億の資金は交付税のほうから回る、起債はその限りにおいて指定をする、こういうことですか。そうすると、たしかこれは都道府県とそれから人口十万以上の都市の自治団体ですね、特定のところに回す、こういうことになりますね。そういたしますと残りは、三千幾つある自治体の中で特殊な自治団体にはその土地基金というものが生まれてくる、こういうことになると思うんだが、その点はどうですか。
  69. 細郷道一

    細郷政府委員 交付税需要額に本年度措置として加えて交付税計算をしたい、その需要額として六百億を充て込んでいこう、こういう考えでございます。どれくらいを充てたらいいのかということについても、いろいろむずかしい問題がございます。将来の公共用地をどれくらいに見ていったらいいのかというような点で、関係の建設省等ともいろいろ相談をしてみましたが、なかなか具体的な数字をつかめません。いずれも膨大な数字ばかりでございます。そこで、現実的に私どもとしては、府県にそういう基金を設けるならば、少なくとも平均して四、五億程度のものが必要であろう、都市でいうならば十万ぐらいの都市で一億程度はせめて必要であろうというようなところを基礎にいたしまして、六百億ということを考えたものでございます。  なお、先行取得につきましては、別途地方債計画において先行取得債として二百億を用意いたしておりますし、また、義務教育の用地あるいは公営住宅の用地等につきましても、それぞれの起債ワクの中でこれが運用をするようにと考えております。
  70. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、この需要額を交付税の基準財政需要額の中で積算をするという立場に立ちますと、それは本年度限りのものではなくて、将来も含めて制度として単位費用などを設定をするということになりますと、将来も継続してこの基金のほうに積み立てるべき財源交付税需要額の中で測定をして、はじき出して、そこに蓄積をするという方式をとるのですか。これの長期的な展望、ことしは六百億、何年間の計画でこういうのをやろうとしているのですか。それと十万以上の都市以外の小さな自治団体の場合はどうなりますか。
  71. 細郷道一

    細郷政府委員 今回御提案しております交付税法改正案では、土地基金の需要は本年度、四十四年度限りの臨時措置といたしております。しかし、これだけで土地基金の積み立て金が十分だとは実は私ども思っておりません。じゃ、どれくらい積んだらいいのかということもあろうかと思います。またその年の財政事情等もございます。したがって、実は臨時の措置にいたしたわけでございます。本年度の実行の経過等も参酌して、私は財政事情が許しますならば二、三年は続けてやっていきたい、こういう気持ちを持っております。  なお、おおむね十万以下のところについてどうするかということでございますが、これらにつきましては必要なものはさしあたって起債の措置等でカバーをしていきたい。将来十万以下についてどうしていくかということにつきましては、本年度の実行状況を見た上で検討をしてまいりたい、かように考えております。
  72. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、そこに合理的な理由があるならば、十万という区切りでやっていいと思うのです。しかし、十万はオーケーで八万くらいのところはだめだ、あるいは五、六万の小規模都市についてはそういうようなのは認めない、しかも交付税需要額の中でそれを見込むということでしょう。それはいま聞いてみると、十万というのがきちっとしていなければ、あなた方のさじかげんで、まあここは特殊な事情があるから認めましょう、残りは起債程度でお茶を濁しましょうということになった場合には、まさにそこに一体何かのねらいを込めてあなたたちが土地基金制度というものを別個に用意しているのではないかと疑われるのですが、そんなことはありませんか。たとえば十万の都市を一つの最小の自治体規模にしようとか、そういうような方向のものを打ち出そうというねらいを持っているのじゃないですか。
  73. 細郷道一

    細郷政府委員 別にそういった将来の団体規模考えておるわけではございません。現実に先行取得が非常に緊急性を帯びておるところはどういうところであろうかというのを見てまいりますと、やはり人口にしてみれば十万程度以上のところに非常に集中をいたしております。ただ、私どもは十万と申しましても、じゃ十万以下は全然見ないというわけではございません。たとえば大都市の周辺、東京の周辺のような、東京と一体的な動きをしておるようなところにつきましては、十万以下であってもその市町村に需要伸び得るようにしてまいりたい、こういう考え方に立っております。
  74. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、いまこれの直接の論議をするのは、この委員会ではなくて地方行政委員会であろうと思いますが、どうもあなた方のさじかげんで行政が動かされるような気がしてならないのですよ。だから、そういうような恣意的な要素というものはできるだけ排除していくというたてまえでないと、行政の公平というものは保たれないと私は思うのです。片一方においては、交付税の基準財政需要額の中でそれだけの積み立て金の基金制度を認めながら、片一方では借金という起債を認めている。これはちょっと行政の傾斜配分というか、財源の傾斜配分自治省自体がやり始めたような気がしてならない。私は、そういうような点から見まして、この考え方は改めるべきではないかと思うのですが、これについては政務次官はどういうお考えですか。
  75. 砂田重民

    砂田政府委員 私どもは別に他意がないのでございまして、それぞれ過疎と呼ばれるような地方公共団体、また過密と見られるような公共団体、そういうところをいろいろと調査をいたしまして、こういった土地開発基金のような手当てをしなければならないという行政需要が非常に強い団体を検討いたしました結果、ただいま財政局長が御答弁したような、十万以上の都市あるいは大都市周辺の十万以下の都市、こういうところにやはり重点を置いて手当てをしていかなければならない、そういうところについて行政需要はきわめて高い。また、これから先の経済社会発展に伴っての地域社会住民生活環境の変化も予想をされるところでございますので、村山先生の御心配のような、何かほかに考えていることがあるのではないかというふうなことではなくて、私どもといたしましては私どもなりにすなおな気持ちで実は措置をしたい、こう考えた次第でございます。
  76. 村山喜一

    村山(喜)委員 三月十八日に本会議提案をされました地方交付税法の一部を改正する法律案の要綱によりますと、「投資的経費については動態的な財政需要の算定を強化する等、基準財政需要額の算定の合理化をはかる」こういうような表現で出されておりますが、いままでは、まあ特別交付税ではさじかげんもございましたけれども交付税配分についてはわりあい客観性があり、基礎がしっかりしておったと思うのです。しかし今度は、交付税そのものが、どうも行政に対する投資的経費を動態的に捕捉するというような形で処理をされてまいりますると、ますますあなた方官僚のさじかげんで、あいつは言うことを聞くからひとつやろうとかなんとかいうようなことになる可能性のほうがわれわれは大きいと思う。それよりも、行政の公平を保つことができないようなことになるのじゃないかと思っておるのですが、先ほどの局長の御説明をお聞きしておりましてもこの点については納得ができません。まあ、これらはまた土地制度の問題をめぐりましてまだほかの委員からも追及がございますので、これはその程度にとどめたいと思います。  次に、過密対策、過疎対策というものが進められておりますが、建設省あたりが道路整備計画の中で特別ワクをつくりまして、そして過疎対策を進めるというのであります。しかし、建設省の公共事業に投資されました実績を調べてみますと、やはり行政投資の総額においても、都市部になればなるほど投資効率がいいということもありましょうが、投資額の伸び率がいい。それに比べて平均以下の地域についてはなかなか伸び率が悪い。そこで特に国道、府県道、市町村道の舗装率、改良率等を比べてみますと、生活道路ともいうべき町村道路はまさに放置されている。ところが、片一方においては、国道が非常にりっぱになっていくものですから、住民は国道だけよくなって、なぜ自分たちのまわりの道路はよくならないのだろう、うちの市町村長はぼさっとして仕事もしないで、何にもしないから黒字だけを残すようになっているんじゃないか。もう少し自治体というのは、われわれの自治体なのだから仕事をしてくれ、仕事ができない市町村長はやめてもらいたいというようなことになる。そこで市町村長は金がありませんから、建設省のほうから金をもらおうと思っても金がない。そういうような補助金はないということになってきますから、しかたがないので市町村道路を農道に格下げをする。農道に格下げをして、そして農林中金あたりから金を借りてきます。これは市町村が借りるのじゃございません。農協が金を借りる。そしてそれに対して市町村が債務保証をする。そうして簡易舗装をやります。いままでのでこぼこ道もきれいに舗装をされます。そして今度は、それをまた市町村道に昇格をする、こういうような措置をしなければ一向によくならない。それをやらない限り市町村長はアウトになります。こういうような形の中で無理算段というのですか、合法か非合法かは、監査の立場から見たら、会計検査院のほうでは不適当な行為というふうに指摘をするでしょう。しかし、そういうようなことでもやらない限りよくならないということで、それだけ行政に対する住民の要求というのは非常に強くなってきている。  そのときに、この過密対策、過疎対策で交付税の中であなた方が新しい測定単位をつくられて、そしてやろうとしておいでになるわけでございますが、一体この程度で住民の期待に沿えるような措置ができるのかどうか。特に私は、さいぜんから言っておりますように、黒字が出た黒字が出たというのは、自治省の指導が赤字を出しちゃいかぬぞ、赤字を出しちゃいかぬぞということで指導をして、金を使わせない指導をしたがゆえに、黒字の決算としてあらわれてきたんじゃなかろうか、こういうふうに思うのですが、その点はいかがなんですか。
  77. 細郷道一

    細郷政府委員 財政運営をどういうふうにやるかということについては、私どもはやはり健全な財政運営をするという基本の考えに立って指導をいたしております。したがって、赤字が出るよりは黒字が出るほうがよろしい、あるいは年度間の財政、長期の運営を見ながら運営を行なうべきであるというふうな考え方でやっております。地方団体が最近非常に財政運営については慎重になってまいりましたことは、私、事実だと思っております。それは単に私どもの指導だけでなく、過去において非常につらい赤字の経験をいたしております。それを脱却したばかりのところでございます。そういう意味合いにおいて地方団体自身も慎重に取り組んでおる、その結果が一部黒字にあらわれておるというのが実態であろうと思います。  特に昭和四十二年度の決算を見ますと、黒字が相当出ておりますが、これは昭和四十二年度という年は、御承知のように、年度当初の景気の見通しの非常に暗い年でありました。したがいまして、年度当初の財源見通しのもとで仕事の分量について調整をしてきた年であろう。そういう意味合いから昭和四十二年度の決算を見ますと、投資的事業がそれほど他の年度ほど伸びていないで、黒字がでているという状態でございます。これはまさに、先ほど申し上げましたように、地方団体財源の見通しを得て仕事をするという基本態度にかかっているのではないだろうか、こういうふうに見ております。
  78. 村山喜一

    村山(喜)委員 四十二年度の都道府県の決算で三百八十五億の黒字、市町村で四百九十六億の黒字が出た。だから地方財政は豊かになったのじゃないかという大蔵省の主張を裏づけることになった。結果的には私はそう思う。しかし道路、下水道など生活環境のそういったような施設面を見てみますと、たしか市町村道は五・二%くらいしか舗装されていないと思うのですが、これを一%上げるのにはどれくらいな金が要るのですか。
  79. 細郷道一

    細郷政府委員 約一千億でございます。
  80. 村山喜一

    村山(喜)委員 まさにそういうような状態でありますから、先ほど私が申し上げたような形で、住民の要求にこたえるために非常に苦しいやりくりをやっているということなんです。ですから、それを責めるのではなしに、地方財政が受け持たなければならない、それらの生活の領域における住民へのサービスという問題を考えるべきではないか、それが六百九十億削り取られて、そうしてこれは国が三年間で返す。来年返すということになりますが、三年間で返してもいいことになるのですから、二百三十億ずつ返しさえすればいい、こういうような形になると思うのであります。   〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕 ですから、これらの点から見まして、どうも今度のやり方というのは納得ができない、こういうふうに考えます。  そこで、時間もだんだんに迫ってまいりますので、そういつまでも質問をするわけにもまいりませんが、今度の地方財政計画の中で、単独事業の比重はどの程度高まったわけですか。といいますのは、国の公共事業等を中心とする整備計画というものに充てられる地方財政が非常に大きくて、住民自体が要求する単独事業等に対する要望に沿いがたい状態が、最近の地方自治体の姿だと思うのです。それはどの程度よくなっているのか、それを説明願います。  それから、地域の特性に応じて財政需要というものが出てまいるわけですが、それをはじき出す方式が過密地帯については都市計画事業費を測定単位の一つとし、それから後進地域については農業行政費を一つのやり方としていこうとしておりますが、一体その中間地帯はどういうようなやり方をとろうとしておられるのか。こういうような方法以外に、下水道費とか、あるいは清掃費等にも措置されるように聞いてございますけれども、それらのいわゆる行政水準の維持向上をはかっていくための方法の問題について、実態とかけ離れた財政需要額の算定方法が依然として続けられているのではないかと思われるものがあるのですが、そういうようなのはどういうふうに今後処理していこうと考えておられるか。特に地方財政計画と実際の予算、決算との関係を見てまいりますと、たいへんなズレが出ている。毎年一兆円以上もズレが出るような状態というのは、まさに地方財政計画というのはペーパープランにすぎないということになってしまうことになりますが、そういうようなのが依然として同じようなベースで毎年毎年繰り返されておって、それが一向に改まらないというのは、これはどこに原因があるのか、私どもふしぎでならない。七ふしぎの一つになっているのですが、それについて釈明を願います。
  81. 細郷道一

    細郷政府委員 単独事業がどれぐらいになっているかということでございますが、今度の財政計画でまいりますと、特に投資的事業の公共事業費につきましては、昨年に比べて千五百億、一三・四%の伸びということでございます。それに対しまして、単独事業につきましては、一つは一般事業費、普通事業費として千億の増で二五・九%、さらに特別事業費、いわゆる長期計画もの、過密過疎対策等を含めまして、そういうものについては千八百二十一億、五一・六%、こういうような昨年に比しての伸び率で単独事業に対する措置をとっておるわけでございます。  それから、過疎過密についての措置のしかたでございますが、費目は御承知のように人口の増加あるいは人口の減少というようなものを反映する費目についてとっておるわけでございますから、人口急増につきましては、都市計画事業費でありますとか、清掃費でありますとか、あるいは下水費でありますとか、反面過疎の問題については、農業関係経費あるいは道路あるいは学校教育費といったようなものについて、それぞれとっておるのでございます。特に今回、私ども俗称都市圏補正と呼んでおりますが、東京とかそのほか六大都市等を中心とする周辺の市町村は、東京その他中心都市への社会経済的な従属性が強いということにかんがみまして、そういう範囲の市町村には都市圏補正として上乗せを実はいたしておるのでございます。その核となるのを、昨年は六大都市でございましたが、今回は全国県庁所在地並びにこれに準ずるようなところに核となる都市を広げまして、それぞれその周辺との需要のバランスをとるようにいたしております。  それから、財政計画と決算の相違の問題でございますが、これは私ども研究問題だと実は思っております。思っておりますが、財政計画がいま果たしております役割りから申しますと、必ずしも決算に合わせることが必要かどうか、多少そこに役割りの相違があるのではなかろうかというふうに考えます。   〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕 と申しますことは、各地方団体はそれぞれ同時に普通会計のほかに特別会計等を持ち、あるいは公営企業会計等を持って運用いたしておりますので、その間の出し入れも非常に額がふえてきております。重複計算分がふえている。それから御承知のように、歳入歳出素通りの予算もございます。たとえば中小企業への金融措置というものは、年度当初に貸し出しをして年度末に返してもらうというので、歳入歳出素通りの予算を組むといったような素通り部分もございます。それから雑収入等につきまして、私どもは年々雑収入については国民経済伸び程度にふえるものという観点で計画を組んでおりますが、個々の団体にとってみますと、ある年に雑収入を多くあげておるといったような問題もございまして、雑収入の額もかなり計画と相違をいたしております。そのほか、税収では御承知の超過課税の問題でございますとか、あるいは起債ではワク外債の問題といったようなものもございますので、そういった運営面で行なわれておりますものを全部当初に含めることも、私は一つの考えだと思って研究問題にはいたしておりますが、必ずしも一致させることがいいのかどうか、なおよく研究をいたしてみたいと思います。
  82. 村山喜一

    村山(喜)委員 あまりにも食い違いが大き過ぎて、何のために地方財政計画というものをつくるのだろう、まあ一兆円以上も食い違うものをつくった、それで机上プランというのですかペーパープランを示して、ひとっこんなのをつくって出したからこれでよくやってくれるだろうということを期待もしない。何のためにやっているのかわけがわからないような仕事になってしまっているようにわれわれは思う。だから、研究課題だということでのんきにかまえておいでになるけれども、もう少しその存在価値があるような形にすべきじゃないかと思うのだ。私は、そういうような意味においてどうもいまの答弁については納得ができません。  それからもう一つ、この際お尋ねしておきたいのは、先ほど基金制度というものをつくるのだ、こういうような考え方で土地基金制度というものを創設をするという構想が示されておりますが、いま各府県で一番困っているのは、今日農業の振興にあたりまして、いつまでも米とか麦とかいうものをつくる段階にはない。これからはやはり換金作物というのですか、とにかく企業農業というものを推進していかなくちゃいかぬ。それには伸びる部門である畜産であるとか果樹であるとか蔬菜であるとか、そういうものをやりなさいということで指導をしている。ところが、ミカンの価格が暴落をしてたいへんな痛手を受けた。あるいはいまはわりあいに安定を保っておりますが、鶏卵の価格等もそうでございます。最近においては、もう生糸の値段、繭の値段からお茶に至るまで、とにかく国が買いささえをするというのですか、最低基準価格として農安法に基づく価格保証というものをやるもの以外は、きわめて大暴落をしている例が多いわけであります。そこで、これについては都道府県あたりでもいろいろ知恵を働かせていかない限り繭の値段がいいからといって桑を植えつけさせてみた、ところがもう繭は国際的に生糸の価格では勝負ができないから、奨励金を出して桑をひっこ抜いて、そしてまたこのごろになると養蚕を振興する。養蚕を振興しておったら、また今度は価格が暴落をした。こういうように絶えずすすめてみたり、ひっこ抜くのに補助金を出してみたり、まことに自由自在に——役人は転勤の自由がありますから、最終的には責任を負わなくてもよろしいわけですから、危険負担は農民の責任のもとにやらされて、そしてそのあおりを受けるのはそれらの農民。そこで何とかしてもらいたいというので、損失補てん準備金というようなのも用意をいたしました。そしてお茶ならお茶で十億くらいの金を集め、その準備金の中の利子所得を一つの源泉にいたしまして、その分で売り渡し価格の十分の八に満たないようなものについては損失補てんをする、こういうようなためにお茶ならお茶の価格安定基金というようなものをつくる。こういうように国のほうで価格安定をはかる以外のものについて、都道府県なりが補完的にそれらの地域の農民の安定的な生産を確保するというような形の中でつくるようなことをやり始める。そういう基金制度というものをあなた方としてはどういうふうにお考えになっておるのか、これは望ましい方向だとお考えになっておるのですか。国の三税の伸び率が他の収入費目に比べて非常にいいわけですが、税率を変えないでそういうような蓄積のメカニズムというものを考えてみるという方向がさっき年度調整の中で示されました。その中にはそういうものも含んで考えておいでになるのか、その点をお尋ねいたします。
  83. 細郷道一

    細郷政府委員 基金制度についていまお話しのような、私はその実際を承知いたしておりませんけれども、自治法の基金制度をそういう意味で活用することは、私ども別に反対するものでもございません。今回の土地基金は、御承知のように、先ほど申し上げたような意味で全地方団体と申しますか、公共施設を行ないます地方団体にとっての必要な前提となる土地取得という意味での措置として私どもが一般に指導してまいりたい、こういう考え方に立っておるものでございます。
  84. 村山喜一

    村山(喜)委員 大蔵省はどんな考えですか。
  85. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 土地基金につきましては、昨年の都市計画法の改正の際に土地基金というものがつくられましたが、その場合の土地の取得というものは、一定の土地所有者に対しまして先々の都市計画法上必要な場合にいろいろな制限を課するというようなこともあって、そういうような住民の立場からいっても、この土地の買い取りということをしなければならぬというふうなことがありまして、そういったものができたと思うのでありますが、そういった制度ができましたので、また全般的に土地の先行取得というようなものをやらなければならないという時代の要請に即してこれをやるべきであるということにしたので、現状においてはやむを得ないのではなかろうかというふうな考え方をしております。
  86. 村山喜一

    村山(喜)委員 どうもあまりはっきりしませんけれども、もぐもぐやっていらっしゃる。次にまた質問をする人もおりますから、これから検討願ってその点はおいておきます。  そこで私は、「町村週報」に自治省が超過負担の解消に四十四年度四百十七億円を計上したという記事が出ておるのを見ました。さっきあなたは三百十二億の解消をしたのだとおっしゃった。四百十七億のほうが正しいのか、三百十二億というのは一体何なのか。数字の問題ですからちょっと説明をお願いしたいのです。  これを見ながら私が感じましたのは、こうして調査をしてみると、超過負担の相当なものが項目的に出ております。これを全部拾い上げながら、前回調査の分、今回調査の分等々を調べてまいりますると、まさに財政需要の実態面と算定方法の基礎との間には、どうも実態から離れたものがまだ数多く残っておるのじゃなかろうかという気がしてならないわけであります。そうなってまいりますと、それをもとにして基準財政需要額というものが積算をされますから、まさに交付税が収入額と需要額との不足分を支払う形になっている以上は、交付税財源調整機能が低下するようなことになったのではつまらないわけですから、それを絶えず適正なものに保持していくための措置が努力されなければならないと思うのです。そういうような点をこれを見ながら感じましたが、それについてどのような努力を毎年やっていらっしゃるかお伺いをいたしまして、終わりたいと思うわけです。その点をお答えいただきます。
  87. 細郷道一

    細郷政府委員 超過負担につきましては、先ほど三百十二億と申し上げましたが、それに公営住宅の用地費が今回融資制度に変わりましたものが別途にございます。それを加えますと四百十七億でございます。したがって、従来いわれておりました超過負担のベースで見れば四百十七億というのが当たるのかもしれませんが、多少制度が変わったという点がございましたので、先ほどは前のほうの数字を申し上げました。  交付税財源調整機能をどういうふうに持っていくかというお尋ねだと存じますが、私ども交付税配分にあたりましては、地方団体に国の施策で必要な財源、あるいは国が要請をする行政施設の水準を確保できるだけの需要がまかなえるように計算をして、そして税収との差を交付税によって配分をする。その結果、税収の少ないところは当然に交付税がよけい参りますので、結果において財源調整ということになろうかと思います。そういった考え方を進めておるのでございまして、今回も、先ほどお話の出ておりました市町村道については、従来よりも五割増しの財源交付税需要に算入することによってその財源を保証していこうというようなことで前進をいたしていっているものと考えております。
  88. 村山喜一

    村山(喜)委員 これは主計局長に先ほどお答えいただかなかったかと思いますけれども、茶などの価格安定基金のようなものは、やはりそういうような財源を備蓄をするという方式の中に入る概念として受け取ってよろしいかどうかということをお尋ねしておきたいのです。
  89. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 突然のお話で、ただいまちょっとお答え申し上げる自信がないのでありますが、県あるいは地方団体が独自にやることにつきまして、それが公益上いいことであれば、私どもあえてこれに反対をするべきことでもないと思います。
  90. 田中正巳

    田中委員長 暫時休憩いたします。    午後零時四十一分休憩      ————◇—————    午後三時九分開議
  91. 毛利松平

    ○毛利委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため、指名により私が委員長の職務を行ないます。  質疑を続行いたします。阿部委員
  92. 阿部助哉

    阿部(助)委員 自治省にお伺いしますが、皆さんと大蔵省でいろいろと折衝されたやに新聞は報道しておるのですが、それは第十三次地方制度調査会の中間答申等にも出ておるのですが、地方交付税、これは地方の固有の財源だというふうに、これにも載っており、皆さんもそうおっしゃっているようです。その点では私もそう思うわけですが、自治省のほうではどうお考えですか。
  93. 砂田重民

    砂田政府委員 自治省では固有の財源であると考えております。
  94. 阿部助哉

    阿部(助)委員 固有の財源だということになりますと、これはかってに貸すとかくれるとかいうことができるわけですか。
  95. 細郷道一

    細郷政府委員 三二%相当分は地方の固有財源であるという考え方であります。その固有財源は、御承知のように、予算の計上時期等によって左右されるわけでございます。現行の制度でございますと、当年度の当初見込みに対する自然増減収は翌々年度で精算増減するという仕組みになっておるわけでございます。今回の場合は四十三年度自然増収分を引き当てにして六百九十億の減額繰り延べを行なったわけでございます。そういう意味からいいますと、現行交付税制度の総額規定についての特例になるわけでございますので、その点を交付税法改正によって御審議を賜わっておるということでございます。
  96. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いま法律を出した問題は、先ほど村山委員から質疑がありましたが、私はその前にまず、固有の財源だ、こうおっしゃると、これは皆さんのほうで、次官のほうで、あるいは大臣のほうでこれをかってに動かすということは、これはどの法律に基づいてやられたわけですか。
  97. 細郷道一

    細郷政府委員 国税三税の三二%が地方交付税であることは、地方交付税法できまっておるわけでございます。したがいまして、特例としての地方交付税法改正法案で御審議を賜わっておる、こういうことでございます。
  98. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから、そこがわからぬのですよ。私は納得しないわけです。それならば、やはり先ほど村山委員から質疑がありましたように、この法律を通した上で予算を通す、予算の前にやはりこの法律を通しておかなければいかぬじゃないですか。それをかってにもう既成事実のようにしてやるということは、どういう権限で、どういう条文で皆さんはおやりになるのですか。順序が逆じゃないですか。地方自治というものを皆さんが尊重しようということなのかどうなのか、その辺が私はわからない。そこを聞いているのです。
  99. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほども概算交付のことでお尋ねがございましてお答え申し上げたとおりでございます。地方財源でありますものを国の都合によってその概算交付の時期がおくれるということは、私はやはり地方財源という立場から見て適当でないだろう、こう考えるわけでございます。したがいまして、四月の概算交付をするわけでございますが、するにあたって、どの額を基礎に置いてやるかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、本年度当初予算に六百九十億の減額措置をいたしておりますので、それに基礎を置いて概算交付をいたしたわけでございます。
  100. 阿部助哉

    阿部(助)委員 あなた私の質問に答えていないのですよ。もしかりに、きょうあす解散になって、この法律が通らなかったということになったら一体どうするのです。
  101. 細郷道一

    細郷政府委員 ちょっと私どもが軽々に予測をできるような事態でございませんので、その時期において適当な判断をすべきものと考えております。
  102. 阿部助哉

    阿部(助)委員 次官、どうです。これは局長の答弁じゃないです。
  103. 砂田重民

    砂田政府委員 財政局長がお答えいたしましたとおり、この法律がもし通過をしなければ、その時点で考え直さなければならない。そういう意味合いで、概算配分につきましても、先ほど御説明をしたような、支障のない概算配分をしたわけであります。
  104. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そんな、その時点で考えるなんということは許されないでしょう。もっと言えば、これは固有財産だということを認めれば、まず地方自治体、都道府県あるいは三千何ぼの市町村長から大臣が委任を受けて、承諾を受けてやるというならまた話は違いますよ。そういう委任を受けてやっておるのですか。そうじゃないでしょう。そんなことできないでしょう。とにかく中央の自治大臣は、地方自治体の代表みたいな顔をして皆さんはものを言うけれども、皆さんは中央政府の一閣僚じゃないですか。大臣といえども、大蔵大臣も同じような中央政府の閣僚でしょう。中央政府の中だけでかってに人のふところの固有財源をあっちへやったりこっちへやったりするというのは、これはどろぼうみたいなものじゃないですか。だから、それのはっきりした法的根拠を示しなさい、こういうことなんです。
  105. 砂田重民

    砂田政府委員 おっしゃるとおりでございますから、法律改正案提案をいたしまして国会で御審議をお願いをしているわけでございます。
  106. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そんなことは、これはもう先ほどから言っておることであって、そのときに解散でもあって、この法律が通らなかったとか、あるいはこの国会で否決をされたらどうするのです。皆さんこれは行なえないわけでしょう。順序が逆でしょう。これを否決をされたらどうなるのです。
  107. 細郷道一

    細郷政府委員 地方の固有の財源でございますが、その根拠地方交付税法にあるわけでございます。あたかも地方の自主財源であります地方税地方税法にこの根拠を置いていると同様でございます。したがいまして、地方交付税法特例を今回特例措置として、総額特例措置として法律案の御審議をいただいておるわけであります。  この法案が通らなければどうか。私どもはぜひ御理解を賜わって成立をさせていただきたい、こう思っているわけでございますが、万一通らなかった場合でございましても、先般の概算交付自体は別にそれが無効になるものでも何でもない、有効にそのまま存在するものと考えております。
  108. 阿部助哉

    阿部(助)委員 皆さんは国会というものを何と考えておるのですか。それは長い一年間にやりくりはつけるでしょうし、そんなものはつかないとは私は言いませんよ。だけれども国会を尊重する、国会審議を尊重するという立場からいけば、それは越権行為じゃないですか。それをどうするかという私は基本的なことを聞いておるんであって、あなたの答弁じゃだれも納得しないですよ。通らなかったら減らせばいいじゃないか、そんなことを言っていれば切りがない。
  109. 細郷道一

    細郷政府委員 この法案は御審議をいただいておる過程でございまして、私ども概算交付をするにあたって、大事を踏んで六百九十億を減額した範囲で実は概算交付をいたしておるわけでございます。したがいまして、この法案が万一成立をしないということになりますと、先般成立をいたしました国の予算案との関連においてそこに調整措置が必要であろう、こういうふうに考えます。
  110. 阿部助哉

    阿部(助)委員 もう局長、答弁はいいですよ。あなたの答弁を何べん聞いても同じことを言っておる。私は、国会立場、またこれが固有財源としてのあれであれば、この法律案が通った上で予算を上程し、予算が可決されるというならわかるのですよ。それがほんとうでしょう。どうです。
  111. 細郷道一

    細郷政府委員 予算とその実体をなします法律が一致することが私ども望ましいと思っております。
  112. 阿部助哉

    阿部(助)委員 望ましいんじゃなしに、同時可決でもようございますけれども、少なくとも法律のほうがおくれてはならぬのでしょう。どうです。
  113. 細郷道一

    細郷政府委員 私は、法律予算が同時に通ることが望ましいと思っております。そういう意味合いにおきまして、私どもも、この改正法案法案のでき次第実は国会に御提案申し上げておるわけでございます。
  114. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これが中央政府の中の予算の問題であればこうしつこく言わないのですよ。だけれども、皆さんが考えられ私も考えるように、これは地方の固有財源なんです。その地方自治体や何かの意見も聞かずに、中央政府でかってにそれを取り上げたり何かする。そんなことは、きちんとした法律をまずつくって、その上でおやりになるということでなければ、行政府でもう何でもできるということになりはせぬですか。国会無視じゃないか。地方自治体の承諾を受けているのですか。
  115. 砂田重民

    砂田政府委員 やはり国民の総意を代表しておる国の最高機関、そういう意味合いで国会の御審議をいただいておきめをいただくべき事柄だと思います。したがって、阿部先生のおっしゃる点私にはわかるのでありますが、予算とこの法律とが同時にきまれば、いま先生がおっしゃったような、けしからぬ行為だというふうな御指摘を受けないで済むと思うのです。ところが、たまたま他の法律でもよくありますように、また、これが通例のように考えられておりますように、どうしても予算が先に成立をいたしまして、そのあと予算関係法案というものが上がってまいる。期日的にはそういうことになってまいると思いますから、そこのところを私どもも、予算が通ったからといってこの法律を御審議をいただかなければ、概算の交付をいたしますにも間違いがあってはならない、そう考えまして、実は概算交付については内輪内輪の交付税の現行法に許されている範囲のもので交付をしたわけでございます。決して国会軽視とかそういうことではございません。  いま私が申し上げましたように、予算案とこの交付税法改正案とが同時に成立をしていれば、先生のような御心配、御異議はなかったのではないか、国会審議のスケジュールでこういうことになっておりますこと、そういうふうにひとつ御理解をいただきたいと思います。
  116. 只松祐治

    ○只松委員 ちょっと関連。  いまの次官の説明ですと大体まあまあですよね。だから、そういうふうに答えられないかという。いま阿部さんに対してそっちで答弁しているのは、木で鼻をくくったような答弁ばかりしておる。次官の答弁みたいな、まともな答弁を君はしてないだろう。だから、阿部君がしつこく聞くのはあたりまえだ。そのことが一つ。だから、純理論的に、純法理論的にいうならば、先にこの法案を通して、そして予算を通すのが、これが本来です。しかし、一国会、一会期中の問題だから、いまの次官みたいな答弁でそれはいいことになる。  いま一つは、これは阿部君も言いましたように、中央政府の問題だけならそれでいい。しかし、たとえば東京都なら東京都の美濃部さんが、これは東京都の固有の財産だということで、その六百何十億を認めない、それを東京都に交付してくれ、赤字団体だから、そういう要求をされた場合には、これは問題が出てくるでしょう。そこまではまだ話を詰めてないけれども地方固有の財産であるならば、もっとやはり地方の意見を先に聞くべきではないか、こういうこともあわせて言っているわけなんですね。だから、当然にそのことも本来は聞くべきでしょうね。ところが実際上、こういう法案審議の過程ですから、まあ多少の意見は聞かれたかしれませんけれども、中央の政府の施策が先行をしている、こういう形だと思うのです。それはそれなりのやはり説明をしないことには、木で鼻をくくったようなさっきからの答弁では、それは納得をするわけにはいかない、こういうことだ。ひとつ答弁をしてください。
  117. 砂田重民

    砂田政府委員 御承知のように、自治大臣地方公共団体の意思を国政に反映するまさに責務を持っております。また、そういう立場とそういう決意をもって自治大臣が、自治大臣の責任で、自治大臣の決意できめてまいるべき筋合いのもの、こういうふうに考えております。  なお、こういうふうな四十四年度にとりました特例的な措置についても、地方自治団体の意見を徴すと申しますか、たとえば知事会等ではかったようなことはございませんけれども、いろいろな意見はやはり自治大臣としては吸い上げまして、自治大臣の責任において行なったことでございます。
  118. 只松祐治

    ○只松委員 ぼくも深くは論議しませんが、たとえば埼玉のように、人口が急増して、学校なんかどんどん建てたい。こういうところは金が幾らあっても足りないわけですね。しかし、中央に金があるなら、只松さん大蔵委員やっているんだから、もうちょっとこっちにおろすように、おろさなければ起債でも少し大幅に認めるように言ってくださいよ。こういうことは、保守、革新を問わず、一ぱい私たちに言ってくるわけです。そういうことを現実に考えたら、あなたたち、必ずしも地方の市町村長や現地の意見に沿ったようなことをやっているとはぼくら思わないのです。ぼくはそこまでの論議をしようとは思いませんけれども、そういうことを踏んまえて阿部君の質問というものは行なわれているものだと思うのです。だから、中央のワク内だけではなくて、もう少しそういう地方の実態なんかも考えた上でひとつ答弁をしてくださいよ。
  119. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうも私は、この前の内閣委員会での質問を聞いておってもそれを感じますし、最近のいろいろな事例で感ずるのですが、政令が法律に先行してみたり、こういう形で予算がこの法律に先行していってみたりということで、そういうことを認めてまいりますと、それでなくともどこでも強力になってくる、執行部だけが強大になって、国会というものはもぬけのからになるのではないかという感じがするわけです。そこが一番の問題じゃないか。個々の小さな問題はときに間違いもあるかもわからぬし、われわれも間違いをおかすかもわからない。しかし、私はそんなものを言っておるのじゃない。一番基本的な問題だけはきっちりしてもらわないと、国会は何のためにあるかわからなくなるじゃないか。国会でまずこの法案を通して、その法律に従って役人は行動すればいいのであって、役人の行動が先に立ってそれで法律あとでついていく、ついていかざるを得ないという仕組みにすることに対して、私は不満があるのです。そこをきっちりしてもらいたいということで、私、大物次官だからやむなくがまんしたのだけれども大臣にぎっちりそこは答弁を願いたいということなんで、次官からぜひもう一ぺんそこを御答弁を願いたい。それでないと何べんでもこれは繰り返さざるを得ない。
  120. 砂田重民

    砂田政府委員 私どもといたしましては、阿部先生先ほどおっしゃいましたような、国会を軽視とか、あるいは国会でおきめをいただく、御審議をいただく前に役人が突っ走るなんということは、大臣政務次官国会人でございます、断じてそんなことはさせはいたしません。そこのところはひとつ御理解をいただきたい点でございます。  なお、先ほども只松先生にお答えをいたしましたように、今回のこの措置予算案の編成、さらに地方交付税改正案、これの段取りにつきましては、只松先生に先ほどお答えをいたしましたようなことで御了解をいただきたい点でございます。
  121. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いまの答弁では私は納得をいたしません。というのは、最近のいろいろな事例はあなたのお話とは逆なんですね。たとえば対外援助——これから日本は、われわれのことばでいえば、帝国主義的な進出をするのではないかという疑惑を持っておる対外援助、こういう問題も民間借款という形の中で国会を通さずにどんどん出ていく。政府自体が、大臣が総理大臣以下議会人だなんて言ってみたところで、政府はかってに国会を無視してこういう重大問題を遂行していっておる。また、この前の、先ほどあげた内閣委員会法律よりも政令が先行するという問題、同じようにここにもこういう形で既成事実をつくって、固有財源だと言うけれども、一つも皆さんの頭では固有財源じゃないじゃないですか。地方自治体の固有財源なら、地方自治体の意向も一ぺんぐらいは聞いたんですか。そういうことなしに、中央政府の閣僚の間でかってに取り上げるだとか貸すだとか、これは法律に基づかないでそんなことをすることは間違いじゃないか。それを間違いでないと言って抗弁を、皆さんは言いのがれをしようとするところに、私はむしろ一番大きな問題があると思うのです。そこをはっきりしてもらいたいのですが、あなたの答弁は何か言いわけをしておるのであって、これは都道府県知事や市町村長を集めて聞いてごらんなさい。これでは納得しないでしょう。そこをはっきりとして、まあこれからはそういうことをしないということならば、私も今回はがまんしますけれども、いまのような答弁で、議会を尊重しますなんというから約束では、実態はそうなっていない。そこをはっきりしてもらいたい。それでなければ、国会論議したって何にもならぬじゃないかということで私はただしておるわけです。
  122. 砂田重民

    砂田政府委員 国会軽視なんということは毛頭考えておりませんという私の決意を率直に申し上げました。そうでないと言っておしかりを受けましても、これはどうもちょっとお答えに困るわけですが、いま申されましたような事例の他省のことにつきましては、政務次官としてはお答えがしにくうございますが、事自治省に関しましては、先ほど申し上げましたように、大臣政務次官の決意はいささかも変わりはございません。実は概算交付にいたしましても、地方公共団体立場に立って考えれば、六百八十四億円を入れたもので概算交付をして差し上げたい、そういう気持ちはやまやまでございますけれども交付税改正案を御審議いただいておる段階でございますので、もうしばらくのしんぼうと心得まして、内輪の概算交付をしたわけでございます。交付税法並びに御審議いただいておりますこの特会法が通過、成立をさせていただきましたならば直ちに追加をしたい、このように考えております。私もすなおに御答弁をいたしております。そういう気持ちには変わりはございません。
  123. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これは何べんやっても水かけ論で、あなたを信用しろ、こうおっしゃるのですが、やはりあなたが大臣になってもらわぬとなかなか信用するわけにいかぬのです。だから、いまのあなたの気持ちだけではだめなんです。国民の前にはっきりと、こういうことは今後いたしませんならいたしませんということを言わなければ、ただ私の気持ちを信用してくれなどということは何べんも聞きあきておるのでして、私があなたを信用したからといって国民は信用しない。これでは国会がもぬけのからになってしまう。やはりそうでなしに、こういうものは法律を通してその上で措置する。中央政府財源ではないのです。中央政府の閣僚同士でやれる問題ではない。これは法律を通した上でなら別ですけれども、それでなければやはり地方固有の財源なんだから、地方自治体の了解を得てこれをやるべきだという私の考えは間違いですか。
  124. 砂田重民

    砂田政府委員 こういう特異な措置が好ましい措置だと私ども考えておりませんことは、先ほど村山先生に御答弁申し上げたとおりでございます。繰り返すべき事態とは毛頭考えておりません。四十四年度だけにとった特異の措置でございます。ですから、今後こういうことは避けるということも、これまたおまえが決意してみたってだめだとおっしゃればそれまでのことでございますけれども、私どもがそういう決意を持つことがまず大事なことであろうと私は考えます。  今後やらないかというお話でございましたが、私どもは今後やらない、そういう決意をいたしております。これだけはきょう明確に申し上げておきたいと思います。
  125. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大蔵省にお伺いしますが、ことしの予算編成のときに、交付税が大き過ぎるとか、景気調整の問題であるとか、いろいろな理屈をつけて、交付税を減らそうという折衝があったやに、幾たびか新聞では報道をされております。そういう話があったことは事実なんでしょうね。
  126. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 事務的でございますから答弁させていただきます。  御案内のように、国の財政は……。
  127. 阿部助哉

    阿部(助)委員 簡単でよろしいです、私が聞いたことだけを。
  128. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 事実といたしましては、大筋といたしましては御指摘のとおりでございます。
  129. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そういうことになっていきますと、先ほど村山委員からいろいろ質問がありましたように、地方財政は、地方住民の要求はまだ非常に多くある、さっぱり満たされていない、税外負担もある、あるいは課税最低限の問題もある、国保税はさらに重いという形で数限りなくある。そういう中で、いま自治次官のお話にありましたように、こういうことをしないとおっしゃる。その中身は、交付税を減らさないというように私は解釈をするわけですが、大蔵当局はやはりこれを固有の財源と見、これをできるだけ減らさないでいこう、少なくともいまよりも減らさないという方針であろうかと思いますが、いかがでしょうか。
  130. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 地方交付税が今度の国税三税によって非常に増加したということで、国と地方との財政調和の意味で国が借りるということにしたと思うのであります。しかし、これは特別の措置でありますからして、今後はこういうことのないように大蔵省としては考えていくべきではないか、こう考えております。
  131. 阿部助哉

    阿部(助)委員 先ほど村山委員質問で、これをやったのは十六条の二項とおっしゃったですね。この規定は皆さん、どうなんです。「国の予算追加又は修正により交付税総額変更があったこと、大規模災害があったこと等の事由により、」こういう文章なんですが、この文章の精神からいけば、これはむしろ地方財政需要が増大したとか国の予算追加をされて大きくなったときに地方にもよけい分けてやろうというのが、すなおに読んだらこの条文の精神だろう、こう思う。それを逆に「等」ということば一つをとらえて、何でもできる、減らすこともできるというふうに解釈するのは、これは自治省の越権ではないですか。
  132. 細郷道一

    細郷政府委員 交付税法十六条は交付税交付の時期について規定をされておるわけでございまして、その第一項におきまして、四月及び六月は、前年度普通交付税の額に、本年度交付税の額の伸び割合を乗じた額の四分の一を概算交付する、こういう規定でございます。第二項におきまして、その時期、第一項に定められた時期に、定められた額について概算交付ができないような場合には特例をつくることができるという規定になっておりまして、そういった特例をつくる事由としましては、「国の予算成立しないこと、国の予算追加又は修正により交付税総額変更のあったこと、大規模災害があったこと等の事由により、」という場合に、この特例規定が動くようになっておるのでございます。したがいまして、必ずしも増額の場合だけではなく、少ない場合もこの規定によって処置ができるものと解しております。
  133. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうですけれども、あなたのお考えはやはり間違っておるのじゃないかと思うのだな。国の予算成立しないために交付税が支給できない、地方は困るだろう、こういうことである。次に予算追加したときにはやはり国の予算の増加に伴って地方予算もふやさなければいかぬ事態ができる、だからやる。あるいは大災害が起きて地方がお困りになっておる、だからこれに対して手当てをしてやろう、そこへ「等」がついておるのですよ。それをかってに——地方財政のめんどうを見るという規定だとこれは解釈するのがすなおな解釈じゃないですか。じゃ「等」というのをつければ何でもできるということですか。
  134. 細郷道一

    細郷政府委員 この第二項の一番上に、「当該年度の国の予算成立しないこと、」という理由がございます。今回は予算成立をいたしておりますが、その予算と一体をなす関係法案がまだ成立をしていないわけでございまして、私どもはそういったところからこの「等」の字による事由の一つとこれを考えておるわけでございます。
  135. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうも局長の答弁はピントがはずれておりまして、私の質問から故意に焦点をはずしておるようで、まあこれから次官にお伺いします。  次官、どうです。私はこれはそう解釈できないのですがね。国の予算成立しないから、しないと交付税交付できないじゃないか、そのときめんどうを見てやろうということ、あるいは国の予算追加を組んだということで、地方へも追加予算を与えてやる、あるいは災害地方はたいへん困っておる、それだからあれをやろう、こういうことでこの規定がなされておる。それを「等」ということがついておるだけに、ただそれを減らすほうへ悪用しようというのは、地方自治の本旨にもとるものじゃないかと私は考えるのですが、どうです。
  136. 砂田重民

    砂田政府委員 第十六条二項の法律解釈は、財政局長が御答弁をしたとおりに自治省としては考えておりまして、たとえば具体的に申し上げますならば、今年度予算は、予算案が成立いたしましたあと自治省といたしましてとりました概算交付の今回の措置があるわけでございます。その法解釈財政局長が御答弁申し上げたとおりでございます。   〔毛利委員長代理退席、山下(元)委員長代理   着席〕
  137. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それなら次官にひとつ基本的な点をお伺いしますが、いろいろなところにあるのですが、「地方自治の本旨」に基づくというのですが、「地方自治の本旨」というのは何ですか。
  138. 砂田重民

    砂田政府委員 住民の、住民のための、住民による行政ということであります。
  139. 阿部助哉

    阿部(助)委員 まあ明治憲法の時代にはほんとうの意味の自治はなかったと私は思う。しかし、今度の戦後の民主憲法の中においては、私は地方自治というのはある意味で日本の民主主義の土台じゃないかという感じがするわけです。それにもかかわらず、中央政府の意向だけで問題を処理していこう。先ほど村山委員の指摘どおり、住民のための地方道は、住民の要求にかかわらず、舗装率は皆さんが発表しておるとおりまだ五%以下だ、こういうようなことがある。あるいはまた、し尿処理だとかいろいろ住民の要求はあった。しかも学校といえばすぐ税外負担はかかってくる。こういうときに、なぜこういうふうに自治体の金まで減らさなければいかぬのか。自治省はほんとうは住民の地方自治の育成というものを放棄されたのじゃないかという感じすら受ける。だから私は、先ほどからくどいようだけれども、この法律国会で通して、その上で初めて予算化というものを進めるべきだということを言うのは、この地方自治が日本の民主主義の土台だから、何としても私はこの権限の拡張、政策の拡張をしてもらいたいという念願を込めて質問をしておるわけなんです。それがどうも政府の一方的な、あるいはいまの局長の答弁みたいなことでまかせでおったんでは、私は、日本の地方自治はくずれる、日本の民主主義はくずれるという感じがしてならぬのであります。  そういう点で私は自治省に——自治省というよりも政府自体がもう少し本腰を入れてこの民主主義を守る意意があるかどうかという点まで疑問を持たざるを得ないわけです。そういう点でこの法律に対しては私は不満でならぬわけでありますが、時間もたって催促しておるようでありますから、不承不承でありまして、私、決して答弁には納得はいたしません。自治省にお願いなのは、今後こういうことはやらない、交付税減額はしないということだけ明確にしてもらって次に移りたいと思いますが、次官いかがですか。
  140. 砂田重民

    砂田政府委員 地方自治が民主主義の一番の基盤であるということ、全く私も同感でございます。  地方財政の実情につきましても、阿部先生のおっしゃったような実情にあることを私ども十分承知をいたしております一そういう環境の中で地方財政というものは現に進行を常にしているものでございますから、地方財源でありますだけに国との調整もまた必要なことであったわけでございます。一部に三二%の地方交付税の率を引き下げたらどうか、そういう見方、そういう御意見もございました。私どもは断じて承服のできない地方財政の実情であるということを承知をいたしておりましたので、地方交付税の税率は三二%を下がらない、そういうふうなことも実は財政当局と意思の一致を見ました上でとりました本年限りの特別措置でございますが、私自身、先ほどから申し上げておりますように、好ましくない措置、はっきりそう申し上げることが私としてはできますので、今後こういう措置をとらないということだけははっきりと申し上げておけると思います。
  141. 阿部助哉

    阿部(助)委員 先般、この委員会で特別措置のことでお伺いをいたしました。中央政府が行なった特別措置がストレートで地方税に波及していく、それは地方としては財政上困るんではないかという質問をいたしました。そうしたところが、自治省の岡田説明員は、それはやはり困るとおっしゃっておるのですね。極力避けなければならぬということを言っておるわけであります。それで福田大蔵大臣にこれをお伺いしたところが、福田大蔵大臣はいろいろなことをごちゃごちゃ言っておるんですが、結局、国と地方とが一体になってやらなければいかぬこともあるし、いろいろあるが、まああまりストレートでいくのも問題があるので、ケース・バイ・ケースでそれは考えるべきものだ、こう答弁をしておるわけであります。どうですか次官、私はやはりケース・バイ・ケースというのは、まず中央のそういう特別措置等がこないという、一応そこで線を引いて、なおかつそこで必要だというのはケース・バイ・ケースで考えるのがほんとうであって、初めからストレートでいっておって、それを影響を受けておって、ケース・バイ・ケースで一つ一つ、あるものは影響をしないようにというふうにするのは、これは考え方がさか立ちしておるんではないか。中央と地方とはそれならば全くストレートであって、一本になってしまう。なぜ地方自治というものを拡張しなければいかぬか、いまおっしゃったように、地方自治を育てなければいかぬかということになると、地方自治というのは必ずしも国の政策と同じことをやらなければいかぬということではない。地方自治体の自主性によって、ときには国の政策に従い、ときには国の政策にむしろ従わないということが自主的に判断されてこそ、自治体というものの存在意義があると私は思うのでありますが、そういう点で自治省のほうではどのようにそれを考えておるのか。どうもこの前の福田さんのお話では私は納得しないのですが、どうでしょう。
  142. 砂田重民

    砂田政府委員 租税特別措置地方税に波及してまいりますのは、地方自治体としては困った現象でございます。これは一つの原則であります。私はあえて迷惑だと申し上げておいていいと思います。ただ租税特別措置の内容は、先生御承知のように、ずいぶんたくさんございまして、国の政策として行なわなければならない、その国の政策を地方公共団体も同じようなことでともに受け持つ必要のないものもたくさんございます。中には、国の政策としてやられますことを地方自治体としてもこれに協力をしていっていいものもございます。不満、迷惑だということを原則のたてまえとしながらも、やはり私は、大蔵大臣の言われたケース・バイ・ケースというのはそういうことではなかろうか。大蔵大臣の御答弁を直接承っておりませんから、いま内容はよくわかりませんが、阿部先生のお話を承っておりまして、そういうことをケース・バイ・ケースと申されたのではないかと思います。  それから、地方税といたしましては、租税特別措置の中で、きめられております国の政策としては当を得たものと考えられましても、地方公共団体が一緒にやらなくてもいいようなものについては、できる限りのはずし方をしております。ただその中にも、税の執行上と申しますか、実務上はずせないものもまた出てきております。こういうこともケース・バイ・ケースの一つかと思うのでございますが、地方税としては租税特別措置影響をするところのないような、できるだけの手だてはとってまいりますし、これからもそういう方針を変えずに持ってまいりたい。  さらに一つつけ加えますならば、総理、大蔵大臣答弁をしておられるような、租税特別措置というものの四十五年度における洗い直しという御答弁を伺いまして、自治省としても、地方自治団体としても、この御答弁に期待をいたしておりますことを付言いたしておきます。
  143. 阿部助哉

    阿部(助)委員 菅野さん、この点どうですか。やはりいまお話しのように、地方自治の尊重という点からいって、中央の特別措置というものがストレートでいくのは困る、私もそう思う。そこで、まずこの特別措置が原則的には波及しないのだという線を引いておいて、そこでどうしてもこれは地方税にも影響させざるを得ないというものは、これはケース・バイ・ケースでお考えになるというたてまえでいくべきだと私は考えるのですが、大蔵省としてはいかがですか。
  144. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 大蔵大臣が御答弁したことを私、つぶさに承知しておりませんが、大蔵省といたしましては、現在種々の特別措置による非課税措置が、地方税影響するような仕組みが多々ございます。この問題につきましては、地方自治、特に地方税の自主性の尊重という点からいたしますと、確かに御指摘のような問題があろうかと思います。しかしながら、一面、現在の地方税は国の国税に対しまして約半分くらいの規模を占める額になっております。そういった面からいたしますと、国だけが、国税だけが輸出振興とかそういった政策目的に即応するような税制だけでいいかという点、やはり地方税においてもそういった国の政策目的にマッチするような面を考えなくちゃならないのではないかという問題一つあろうかと思います。それから、これは多少実務的な問題かもしれませんが、納税者にとりまして、別計算をしてやらないと、なかなかめんどうな税額計算ということもございます。そういったいろいろ問題がございます。  したがいまして、なかなか一がいに割り切れない問題がある。最近におきましては、極力租税特別措置影響遮断ということにつきましてはくふうをしており、税額控除等の措置も講じておるわけでございますが、これらの問題についてはやはりケース・バイ・ケースで検討していきたいということが、この前大蔵大臣が申したことじゃないかと憶測しておるわけでございます。
  145. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いや、だからそこの基本を私は聞いておるのでして、個々の問題は別にしまして、まず遮断をするというのが原則でなきゃいかぬので、ケース・バイ・ケースといまあなたおっしゃったし、この前福田さんも、ケース・バイ・ケースとおっしゃっておるのですが、ケース・バイ・ケースという場合に、まず影響するようにしておいて、そうしてケース・バイ・ケースで考えるのか、遮断をしておいてケース・バイ・ケースでこの影響をさせるのか、これはたいへん重大な問題なんでして、私はそこを聞いておるわけです。そこはどうなんです。
  146. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 先ほど申し上げましたように、地方税についての考え方があろうかと思います。御指摘のように、地方税の自主性の尊重という面からすると、なるべく影響遮断をしたほうがいいという面があろうかと思います。しかしながら、また一方、地方税も国税に近い大きな税額になっておるのであります。そういった面からいたしますと、国税だけが政策目的に合致する、地方税は別だということもまたいかがと思います。二つ大きな問題があって、その調整の問題はやはりケース・バイ・ケースで考えるということじゃないかと思います。
  147. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だからそこの考え方を——そうなれば、中央の政府考え方を貫いていく。力を持っておるのは皆さん方のほう、中央の政府のほうだから、どうしてもそれを貫いていくということになる。あなたのはどっちにもとれるようなあれですが、原則はどっちに置くのだということを私は簡単に聞いておるので、そこは簡単でいいのです。簡単にそこを答弁してください。
  148. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 二本の柱があって、その調和をどこに求めるかというのはいろいろケース・バイ・ケースで判断するということでございます。
  149. 阿部助哉

    阿部(助)委員 もう一ぺん言ってください。さっぱりわからない。
  150. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 二本の柱がございまして、この二本の柱をどのように具体的に適合するかという問題につきましては、具体的にケース・バイ・ケースで十分検討さしていただきたいということでございます。
  151. 阿部助哉

    阿部(助)委員 二本の柱というのは一体どういうことなんです。原則というのはそんなに一ぱいあるのですか。これは地方自治体を皆さん尊重するというたてまえでおるのかおらないのか、そこの問題だけでしょう。そうすれば、一応これは実際行なってみたら、全部ケース・バイ・ケースでやってみたら、やはり全部地方へも影響するようになるかもわからない。かもわからない、それは皆さんの考えが。だけれども、たてまえからいえば、地方財政と中央の財政とは、また中央の政策と地方の施策はそれなりに自主性を持っておるだろう。持たせなければ、これは地方自治なんということは言えないじゃないですか。そうすれば、これは中央のものが、特別措置なんという特別なものがストレートで地方影響を及ぼすということをまず遮断するというのがたてまえじゃないですか。そこを聞いておるのですよ。二本の柱ということは、結局、うまい表現かもしれぬけれども、逃げ口上で、結局ストレートでいく、こういうことになってくる。そういうことにならぬのですか。それはごまかしじゃないですか。
  152. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 御指摘のような誤解を招いたかもしれませんが、地方財政法の第二条という規定がございまして、地方財政運営の基本の原則が掲げられております。これは二つの柱がございまして、一つの柱は、「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこなってはならない。」という規定が一つございます。それからもう一つの規定といたしまして、「地方公共団体は、いやしくも国の政策に反し、又は国の財政若しくは他の地方公共団体財政に累を及ぼすような施策を行ってはならない。」という二本の柱みたいな規定があるわけでございまして、これをどのように具体化するかということについて、十分地方財政の自主的な面を尊重すると同時に、また国、地方を通じまして、国民全体の財政寄与あるいは経済寄与ということも考えていかなくちゃならぬというふうに考えておるわけでございます。
  153. 阿部助哉

    阿部(助)委員 この規定はあるのですよ。だが、それはわかりますけれども、やはり地方の自主性、また地方自治の本旨というようなものは、より高い憲法でも規定されていることなんです。そうすれば、実際問題として国の要請あるいはまた国の方針で地方の税制に影響するということを全面的に私は否定していないのです。否定はしていないけれども、ウエートは二本の柱なのだということになれば、やはり大蔵省の意向のほうが強くなるのは当然なんでして、それはやはり原則は中央の財政は中央財政地方財政地方財政、その中でケース・バイ・ケースで調整していくということが大事であって、初めから通しておいて、そしてケース・バイ・ケースで調整しようというのは、私は地方自治を無視するものだという考え方に立たざるを得ないのです。そこはやはり同じことですか。
  154. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 地方自治の趣旨を十分尊重しつつ、先ほど申し上げました国の政策ということもまた一方勘案しつつ、できるだけ租税特別措置地方税への影響については回避するようにいろいろの面で検討していくということではないかと思います。
  155. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうすると、いま地方自治を尊重しておるのですか、いまのやり方は。
  156. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 租税特別措置地方税影響しておるということは、これはやはり国の財政目的に寄与しておるわけでございますが、それだからといって直接的に地方自治をそこなっておるというふうには私ども解釈いたしません。   〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
  157. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そういう考えでいけば、いまのように地方自治体の固有の財源なんだということを片一方で言っておきながら、かってに大蔵省の要求に応じて六百九十億も貸したりくれたりしなければいかぬというところにはまってくるのですよ。みんな根は一つなんです。結局中央の方針一つでこれが影響してくるということになるのでして、あなたの答弁に私は納得をいたしません。  時間の制約がありますので、先に移りますけれども、そうじゃなしに、大臣の言うことにも問題があると私は思うのです。やはり私が申し上げるように、原則としてまず一応遮断しておいて、その上でケース・バイ・ケースで波及させていくということが、国と地方とがそれぞれの自主性を重んずるということであって、そうでなければ、地方財政というものは中央財政に盲従する、従属するということに私はなると思う。同じことが今度の景気調整の場合にも言えるのじゃないですか。景気調整が必要だという。しかし、実際中央の景気調整というのは、引き締めだなんだというのは、えてしてこれは大きな資本家に対する対策、ところがこの景気の波も必ずしも中央、地方で同時に起きるというふうには限らない。えてして地方の場合には、中央の景気、不景気はある期間をもって波及してくる。特に地方の中小企業等に対してはある程度の時間が要る。そのときに中央政府は大企業中心の景気調整をやられる。それに対して地方までがそれに即応する、盲従するということになれば、これは地方の自主性というものはなくなる。むしろ中央が大手に対していろいろな施策をやるとき、自治体は地方の中小企業に対して独自の対策を立てておかないといかぬのじゃないか。それだから、景気調整だといって中小企業は倒産する、ちょっと引き締めだといって倒産しておるというのは、この一、二年の間見れば明瞭じゃないですか。そういう景気調整の問題を、この十三次地方制度調査会の中間答申でもそれを指摘しておるわけでありますが、いまのようなお考えからいけば、これもまた地方は自主性なしに中央に盲従することになるじゃないですか。次官どうですか。
  158. 砂田重民

    砂田政府委員 ただいま企業のお話、景気調整のお話がございましたが、私ども地方財政考えます場合に、大企業がどうとかそういう角度でものを見ておりません。やはり地域社会住民立場に立って、あるいは地方公共団体立場に立ってものを考えてまいるわけでございます。ただ、地方にも自主性があり、国にもまた自主性があるところでございます。国と地方とは全く別個のものではございません。相互に自主性をそこなわないで協力をして、住民福祉の向上につとめていかなければならない。  そういうことでございますので、私は、ただいま先生の御議論が、租税特別措置地方団体へのはね返りと申しますか、そういうことに端を発しての御議論かと思いますが、いま先生がおっしゃいましたように、自治省といたしましては、ただいまの特別措置地方自治体への影響というものをできるだけ防いでいく、それを前提にして地方税のことをいままでも考えてまいりましたし、これからもその方針を貫いてまいる、さように御理解をいただきたいと思います。
  159. 阿部助哉

    阿部(助)委員 この答申書にもありますが、「景気調整に藉口して地方財政年度調整交付税制度を通じて」行なうべきでないというふうにいっておる。いま申し上げたように、私たち実際地方を見ておりますと、中央政府景気調整がいろんな形で地方へ波及してくる。それだから、ある意味地方自治体では、零細企業というか中小企業の手当てをしようとしても、それが実際できないわけです。ですから最近のように、佐藤さんがいばられるように中央では連続の好況を来たしておる。だけれども倒産がある。またちょっとこれを引き締め等をやれば、そのしわはどうしたところで中小企業にこれは強く響いてくるわけです。そのときに地方の自治体としては地元の企業の倒産を防ごうとしても、中央に盲従したのではこれはできなくなる。やはり景気調整もある程度地方に自主性を与えなければいかぬのであって、むしろ地方は大企業でなしに中小企業、そういうものに対するてこ入れをしなければいかぬのじゃないかという感じを持っておる。そういうものを抜きにして中央のやり方だけ、方針だけでいくということに、やはりこの答申書が強くこれを指摘しておるのだが、この答申は自治省だけが尊重して、大蔵省はこれはわれ関せずということになるのですか。
  160. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 できるだけ尊重する考え方に変わりはございません。
  161. 阿部助哉

    阿部(助)委員 できるだけということではわれわれは気に食わないのです。尊重するけれども、われわれが望んだり民主主義だとか地方自治の拡充だとかというのは、これはできるだけということでいくわけですか。
  162. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 ただ先ほどの例示をされましたフィスカルポリシーと地方財政との関係で、年度調整の点の地方制度調査会の答申につきましては、大蔵省といたしましては不本意ながら御同意申しかねるという考え方を実は持っておるわけでございまして、地方制度調査会の答申の内容につきましては、それぞれ個々具体的に当たりましてできるだけ尊重するという意味でございます。念のため申し上げさせていただきます。
  163. 阿部助哉

    阿部(助)委員 地方へ行ってまいりますと、いま国保税の問題で各自治体は非常に困っておるのですね。大体今年度で、市町村で国保税の値上げをはかっておるところはどれくらいありますか。
  164. 砂田重民

    砂田政府委員 数字のことでありますから、事務当局から御説明いたさせます。
  165. 岡田純夫

    ○岡田説明員 いまのところわかっておりますのは四十二年度まででございます。四十二年度でまいりますと、世帯当たり約一万円、しかしその後の国民健康保険にかかる受診者の増加等もございますので、やはり若干上げなければならないというふうな空気はあるようでございます。四十二年度で一世帯当たり一万円でございます。
  166. 阿部助哉

    阿部(助)委員 住民にとりましては、これは最近一番大きな負担になってきておるわけです。それで所得税の最低限を引き上げるとか、あるいは地方税の課税最低限を引き上げるという反面、国保税のほうはますます重くなっておるのですね。そこでこの問題を何とか軽減をする道はないのか。  特に私、新潟ですが、私のいなかを見ておりますと、元気で働いておるとき、都会でいろいろな職場の保険に入っておる。大体からだをこわしたり年をとったりすると、いなかへ帰ってくる。ですから、いなかではどうしてもお医者さんに行く率が非常に高くなるわけです。だから、貧乏な村ではますます国保税を上げないとやっていけないということを市町村長から、私は何人からもそれを聞くわけです。元気の間、あまり病気にならないうちは外におって、大体弱ってくると帰ってくるということなんですから、どうしても割合からいって医者にかかる率が高いわけですから、そういうことでなおさら国保税の赤字、また値上げ問題というものが出てくるわけなんです。そういう面も考え、いま自治省はどのようにそれに対処しようとしておるのか、それをお伺いしたいと思います。
  167. 岡田純夫

    ○岡田説明員 低所得者につきましては国民健康保険税はやはり相当の負担になっております。従来から基礎控除額、すなわち四十三年度でまいりますと十一万円でございますが、この十一万円に被保険者一人当たり四万五千円というものをかけました額を加えた金額以下の、比較的低所得者につきましては、均等割り額と平等割り額とを軽減いたしております。非常に低い人につきましては六割軽減いたしております。それからその他のいまの範囲内の人につきましては四割軽減いたしております。その十一万円の基礎控除並みの額というのを今回十二万円に上げます。それから被保険者一人当たり四万五千円でございますのを五万円に上げますというようなことで、国民健康保険税を払わなければならない方々のうち、従来でまいりますと二五%ぐらいでございますが、それが今回二六%、まあ一%というとなんでございますけれども、軽減される方々の範囲が広がってまいります。  それから額につきましては七十億ばかりの減税になっております。それにつきましては、財政的には調整交付金によりまして補てんするというようなことで、地方自治体の財政状況考えながら、かたがた低所得者についても配慮をするということで、もちろん厚生省と十分連絡をとりまして措置することにいたしたわけでございます。
  168. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いま参事官のお話だと、国民健康保険税は値下がりしておるということなんですか。
  169. 岡田純夫

    ○岡田説明員 値下がりではございませんで、低所得者に対する配慮をしたということでございます。したがいまして、確かに平均で申しますと、先ほど申し上げましたとおり、一世帯当たり一万円というものが全体として若干伸びてまいるだろうと思います。しかしながら、統計的にはまだ四十二年度までの状況しかわかっておりません。
  170. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いや農村等へ行きますと、各町村では大体みんな赤字になって値上げをしておるのですね。そういうところの実態というものは、四十二年度くらいしか把握をしていないのですか。大体値上げをしようというのは皆さんのほうへ連絡するでしょう。四十四年度でどうなるかくらいのことを自治省で把握してないで、これで今年度六百九十億ですか、これを貸すとか貸さぬとかいうのはとんでもない話じゃないですか。そんなことすら把握もしてない。地方自治体の実情を把握してないわけですか。
  171. 岡田純夫

    ○岡田説明員 従来から決算ベースで押えておりますので、それから何と申しましても国民健康保険の世帯は一千万世帯からございます。そういうものの実情というものを間違いなく把握いたしてまいります。しかもその決算ベースで統計で固めてまいるということでもって、現在では四十二年度ということになるわけでございます。ただ個々の情勢につきましては、財政診断その他いたしておりますから、先生おっしゃいますように、そういうふうな、たとえば住民税、特に市町村民税あたりと比べまして、国民健康保険税はかなり問題になってまいっておるということはわかっておりますけれども数字としてはいま申し上げたようなことでございます。そういうふうに御了解願います。
  172. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これで終わりますけれども、きょうは非常に不満足な答弁ばかりでたいへん気に食わぬのですけれども、次官、どうです。  ことし、地方財政もこうなったとか豊になったとかいうことで、地方財政から国へ金を貸すとか言っておるが、いま自治体ではいろいろな施策もやりたいけれどもやれない。国民健康保険税はさらに重くなる。それでことしどれだけの市町村で国保税を値上げしょうとしておるのかというような実態も把握をしないで、地方財源が余りましたとか楽になりましたなんということを、一体何によって判断をされておるか、私、その判断の根拠を疑わざるを得ないわけです。それでとにかく国のほうへ金を貸します、しかもそれが固有財源で皆さんの財源ではない。地方自治体のものを人のふところから取ってくるような形で国のほうへ貸しますなんというのは、私はとんでもない話だと思う。それぐらいのものはちゃんと把握をして、実際自治体の行政がどうなっておるかぐらいのことはきっちり把握した上で、法案を出したり予算を編成すべきだと私は思う。それすらもやっていないじゃないですか。そんなお粗末のことで、地方財政がこうなりましたなんていうことが言えるのですか。
  173. 砂田重民

    砂田政府委員 阿部先生におことばを返すようでまことに恐縮でございますが、私ども地方財政が豊かになったというふうなことを申した覚えは一度もございません。そういう認識に立っておりません。地方財政がこれだけ豊かになったのだから国に貸したのだというふうな、そういう理解で今回の措置をとったのではございません。先ほどから地方財政の側に立つと申しますか、地方公共団体の側に立った阿部先生の御意見を非常にうれしい気持ちで伺っておるのでございますけれども、ただいまも申し上げましたように、地方財政依然としてまことに窮屈でございます。特に地方自治体の行政水準を考えますときに、また、われわれ自身地域社会住民の一人としての立場に置いてみて考えましたときに、とてもこんなことで地方財政が豊かだなんてことは申せるべき筋合いのことじゃございません。ただ、そういう御意見も一部にあったわけでございます。自治省といたしましては、そういう御意見はお間違いですよ、そういう説得をしながらの予算編成をいたしまして、四十四年度におきましては四十三年度自然増収分が出ましたので、それを引き当てに苦しい中からとった特異の措置でございます。私どもは今後も地方財政の自主的な確保と申しますか、また自主的な運営と申しますか、そういう基本的な立場を貫いてまいる決意をいたしております。
  174. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうすると、ちょっと矛盾するんじゃないですか。豊かでないんだ、それでまだせにゃいかぬのだ、いろいろなものがあるんだという中で、これだけのものを固有財源から国の財政に貸すということは、あなたのお話と現実おやりになっておることとは矛盾をしませんか。
  175. 砂田重民

    砂田政府委員 ただいまも申し上げましたとおり、当初四十四年の地方行政水準をここまで持っていきたい、そのように昨年以来考えておりましたところまでは、四十三年度自然増収というものを考えましたときに確保できる。そういうことから地方自治体、地方公共団体の行政水準を考えますと、苦しいことではありますけれども、苦しい中からも当初四十四年度の行政水準に予定したところまでは、自然増収分を考えれば確保ができる。そういう考え方からとった措置でございまして、私が先ほど申しましたことは、私は矛盾はしていない、このように考えております。
  176. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうも私にはあなたのお話が理解できない。戦後の自治体は新憲法のもとで発足した、その中から、この前申し上げましたが、私は国会が一番最初の乱闘になったのはたしか警察法のときだと記憶しておるわけです。あれだけの騒ぎを起こして自治体から警察権を取り上げられた。教育委員会も住民から取り上げてしまった。地方自治はいろいろな意味で後退した。その一番大きなものは、財源がないということが地方自治体の一番の弱みで、金縛りになってきたわけでしょう。そういう余裕があるならばむしろ地方自治の本旨に立って、いままで奪ってきた権限の復活というか、これをおやりになるぐらいの気持ちでなければ自治省としては資格がないんじゃないか。ことばは少し過ぎるかもわかりませんけれども、ほんとうに日本の地方自治を発展させようと思えば、取り上げた権限を復活してやるというぐらいの気がまえでなければならぬと私は思う。いまの程度で、しかも金が豊かでないといいながら国の財政にこれをさらに移していこうなんていうのは、自治省の担当者としては少しおかしいんではないか。それがあるならば、むしろ警察権をまた地方自治体警察に復帰するというぐらいの気がまえを持つのが当然だと私は思う。  そういう点で、今回のこの措置に対しては、その手続上から見ても、また実態から見ても不満であり、私、答弁の中で幾つか不満がありますが、時間が来たので、私の質問を終わります。
  177. 田中正巳

    田中委員長 田中昭二君。
  178. 田中昭二

    田中(昭)委員 いままでの先輩議員のいろいろなお話を聞いておりまして、私も確かに、この改正法律案の前に予算措置がなされるということについては、ほんとうにけしからぬ、こういうように思います。その議論につきましてはいま相当なされましたから、別な面から少しお尋ねしたい。  まず、大蔵省のほうですが、大蔵省財政収支の面から地方財政好転した、そういうことを理由にして、また財政硬直化の一つの理由になっておりました地方交付税を取り上げております。この交付税の税率の引き下げを大蔵省のほうで考えておったというようなことですが、これはその時点と現在はどうでございますか。
  179. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 現行地方交付税の税率は昭和四十一年度において三二%でございます。その前までは二九・五%、四十一年度に二・五%の引き上げになった。その際の理由といたしましてはいろいろございますが、何は申せ、大幅減税、それから七千三百億にのぼる公債発行、そういったいろいろな点を勘案いたしまして、地方財源の不足は当初二千五百億の不足が見込まれておりました。そういったことからいたしまして二・五%の税率の引き上げをやったわけでございますが、今日、そのときの情勢とは地方財政は非常に異なった様相を示しておるわけでございます。したがいまして、地方交付税の税率についてはこれを見直す必要があるのじゃないかという判断をした事実はございます。しかしながら、いろいろ自治省当局と折衝いたしました結果、現在のような法律案になって御審議をいただいておるわけでございます。
  180. 田中昭二

    田中(昭)委員 言うまでもありませんが、現行の地方交付税制度は、国から地方交付される財政調整財源交付額の多い少ないということをめぐって毎年繰り返されてきたわけですが、これはいつも国と地方団体との争いになっております。その争いに終止符を打つようなことから、昭和二十五年ですか、この制度が発足しまして、地方財政平衡交付金制度の一部改正を行なって二十九年に成立した、このように聞いておりますが、国から恩恵的に交付される補助金的なものではなくて、国の三税につき、国が六八%・地方が二二%、これは四十一年度からですが、そのような一定比率によって分けてあるわけです。これは地方自治体の自主財源である、いわゆる地方の固有の財源であると思いますが、この点はどうでございましょうか。大蔵省自治省両方から……。
  181. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 固有の財源という考え方でございますが、固有の財源を全く地方税という意味の固有の財源という意味でございますと、従来からも大蔵省といたしましてはそういう考え方は実はとってないわけでございます。やはり地方交付税の本質は地方交付税交付金でございまして、それはやはり地方財政調整のための国が地方交付する交付金であるというのが本質であるというふうに、大蔵省といたしましては従来からそういう考え方をとっておるわけでございます。  しかしながら、御指摘のように、この地方交付税の使途につきましては、地方自治の本旨にかんがみまして何ら制限を設けてない、そういう意味の自主一般財源という御指摘については、私どもそのように解釈いたしております。
  182. 砂田重民

    砂田政府委員 自治省といたしましては、地方公共団体固有の財源、そういう理解をしております。
  183. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと、いま大蔵省のほうと自治省のほうは違うようでございますね。明らかに一定比率をきめて、大蔵省のほうはそれだけ国の仕事を地方にさせておるわけですから、そういう既成事実をただことばの上だけで、地方を何か里子に出したような考え方ではいけないのではないかと私は思いますが、いかがですか。
  184. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 もちろん私ども地方交付税交付金をいわゆるひもつきの補助金、個々具体的な補助金と同じような、くれてやるというような大それた考え方を持っておるわけではないのでございまして、地方交付税交付金は、やはり本質は昭和十五年に地方配付税創設以来、国が地方財政調整のために地方交付する交付金でございまして、本質は地方配付税以来ずっと貫いておる考え方だと思っております。しかしながら、この地方交付税交付金は、地方の自主一般財源といたしまして非常に重要なお金でございまして、その面からいたしまして、地方交付税法において三税に対する税率ということが明定されておるわけでございまして、地方交付税のいろいろな面の改正につきましては、国会の御審議をいただいてその上で実行するということに相なっておるわけでございます。
  185. 田中昭二

    田中(昭)委員 くどいようですけれども自治政務次官のほうははっきり固有財源、こうおっしゃった。ただ大蔵省のほうが金を握っておるからそういう言い方をするのでなかろうか、こう思うのです。その辺、いまのを端的に菅野大蔵兼務大臣、どうでございますか。
  186. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 これは国から見れば交付税交付金ですから、交付という意味はやはり渡すという意味を持っております。ところが、地方自治体のほうで見ると、当然自分らの権利と考えておるのですから固有の財源だ、こういうふうに考えておるわけであります。ただ、国と地方とは立場が違うからことばが違うと思いますけれども、実質は同じものだ、私はこう考えております。
  187. 田中昭二

    田中(昭)委員 ですから、先ほどから何べんも話がありましたように、地方自治というものを育てていかなければならない、こういう点も考えて、どちらの立場から見ようとも実質は国税の三税の一定比率による交付金、いわゆるもらうほうは固有の財源だ、こう言っておる事実をよく考えていかなければならないのではないか、こういうふうに思うわけです。この議論はこれでとどめます。  次に、交付税譲与税特別会計にまっすぐに入れるべきではないか、それを一応一般会計に入れてあらためて歳出として支出する形をとっておるのですが、こういうことをしますから財政硬直化の原因をなすというふうに見られたり考えられたりするのではないか。したがって、地方交付税の独立性を確立するために特別会計に直接入れるべきではないか、こう思いますが、いかがでしょう。
  188. 砂田重民

    砂田政府委員 自治省としてはそういう見解をとりまして、四十四年度予算編成のときに財政当局にも自治省としての考えを話しかけたわけでございますが、両省の間で意見の一致を見ないまま、何さま日切れのある予算の編成でございますから、ただいまの現行のような措置になったわけでございますが、自治省考え方といたしましては、先ほどから私が御答弁申し上げましたように、地方公共団体の独自の自主財源であるというような考え方からいたしますならば、特別会計に直接入れるのが妥当ではないか、この考えをまだ自治省としては捨ててはおりません。これから財政当局とまだ議論をしていかなければならない大事な問題である、このように自治省では考えております。
  189. 田中昭二

    田中(昭)委員 これからお尋ねすることは、少し前のお答えと重複する点があると思いますけれども、私もまだ初めてでございますから、答えていただきたいと思います。  端的にいいまして、四十三年度補正予算が組まれまして、地方交付税の六百八十四億ですかあるわけですが、これはどうして四十三年度配分としてなされなかったのか。そして、どうして四十四年度に繰り越さなければならないのか。当然四十三年度分の交付税ではないのか、こう私は思いますが、いかがでしょうか。
  190. 細郷道一

    細郷政府委員 四十三年度補正交付税が七百三十六億計上されました。そのうち五十二億円は、普通交付税の算定の際の総額のズレの穴埋めに使いました。私ども調整戻しと称しておりますが、それを使いまして残りを繰り越そうとしておるわけでございます。何ぶんにも補正予算成立いたしましたのが、ちょうど年度の末近くでございましたので、これを各地方団体配分するということになりますと、事務的にも実際問題としてほとんど不可能に近い状態でもございました。かたがた、それをかりに交付いたしたといたしましても、それぞれの団体においては、年度末のことでございますから、それは結局翌年度に繰り越すことになるであろう、こういうような考え方から、今回繰り越すようにしたいという法案をお願いしておるわけでございます。
  191. 田中昭二

    田中(昭)委員 何か技術的にそういうふうにできないから、そういうふうにしたのだというような次第でございますが、地方でいろいろ聞きますと、やはり結局そういうことは予想して地方自治体のほうも仕事をやっておるわけですね。そういうことになりますと、ただそういう技術的なことだけでは納得されないのじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  192. 細郷道一

    細郷政府委員 技術的と申し上げたわけですが、実際問題として、これだけの額を配分いたしますのには、需要額を是正し、その単位費用を直して、また国会で御審議をいただいてやっていくというようなことになるわけでございますので、そういった時間的な余裕が実際はなかったと私どもは判断をしたわけでございます。かたがた先ほど申し上げましたように、年度末のことでもございますので、各地方団体としては、かりに交付を受けましても四十四年度繰り越して使用することに実際になるだろうというようなこともあわせ考えまして、全体としてこういう繰り越し措置をお願いしよう、こういうように考えたわけでございます。
  193. 田中昭二

    田中(昭)委員 次にいきますが、今回の地方交付税相当する額として一般会計から特別会計繰り入れます金額を、四十四年度において六百九十億円を控除した額とするという特別措置を講ずることとしておりますが、このしました理由といいますか、積極的な理由は何ですか。
  194. 細郷道一

    細郷政府委員 いろいろ経緯がございましたが、それは別といたしまして、私どもは、やはり三二%の交付税額というのは、地方団体財源として保証すべきものと考えておりますので、これを軽々に削るべきでないという基本の考え方を持っております。ただ、国の財政事情もございましたし、かたがた先ほど申し上げました四十三年度補正予算、いわゆる四十三年度におきます地方交付税自然増収といったようなこともございましたものですから、それらを手続的に続けることによって、四十四年度について当初私ども考えておりました地方財政計画が実際に支障なく組めるというような判断に立ってこういう措置をとったわけでございます。  もちろん冒頭に申し上げましたように、これが本来的な方法ではございませんものですから、そういう意味では異例の措置として、こうやって法案で御審議をいただいている、かようなことでございます。
  195. 田中昭二

    田中(昭)委員 また、この六百九十億の算出根拠がどこにあるのか。四十三年度補正予算追加された七百三十六億ですか、このうち四十四年度に繰り越すこととなっております六百八十四億円とただ見合う、そういう見合いとしたものであるかどうか。それはどうですか。
  196. 細郷道一

    細郷政府委員 実は四十三年度におきます国税の自然増収が二千四百億くらいあるであろうということは、去年の末ごろから大体見通しができたわけでございます。そこで二千四百億全部がかりに三税であったといたしますれば、その三二%で七百七十六億でございましたか、それくらいになるわけでございますが、全部が主税ということも、従来の例からはちょっと考えられませんので、それのかりに九掛け程度、それくらいは国税三税の三二%分として確保できるであろうというようなことから、九掛け、ちょうど六百九十億程度はだいじょうであろう、こういうようなことで自然増収分引き当ての額をきめたわけでございます。
  197. 田中昭二

    田中(昭)委員 また前に戻ったような質問になりますが、補正予算追加されました交付税を翌年度繰り越しました前例があると思いますが、その前例と事情について簡単に御説明願いたい。
  198. 細郷道一

    細郷政府委員 最近数回ございます。三十五年、六年、七年、ちょっと全部を覚えておりませんが、数回ございます。いずれの場合にも、最終補正予算が組まれたとき、その補正予算の額の中から、その地方にとっての追加需要財源として必要なもの、たとえば給与改定費、そういうものを考慮したものについて繰り越しをいたしました。
  199. 田中昭二

    田中(昭)委員 そういうふうに繰り越しまして、今年度特に国に六百九十億貸したというような形になっておりますが、そういうような余裕があるとすれば、地方自治体のほうはいろいろな仕事が——市町村道、上下水道、清掃施設、住宅の問題、こういう施設の向上に力を注ぐべきであると思います。  また、住民の負担の現状からも、住民税の減税措置にもっと努力すべきではないか。また、住民税の超過課税の解消を三カ年計画で行なうと伝えられておりますが、その具体策について御説明をお願いしたい。
  200. 細郷道一

    細郷政府委員 たびたびお答え申し上げておりますように、私ども地方財政が豊かになったから貸しているという考えではございません。四十三年度補正予算交付税が七百何十億出てまいりましたが、もしこの補正予算が組まれないとしますと、この自然増収分は四十五年度交付税として地方交付すべきものということになるのが現行法のたてまえでございます。年度の末に、本年度は御承知のように、補正予算についてなかなか政府の決断が最後までできなくて、非常におくれてできたわけでございます。もし補正予算がなければ四十五年度だという状態に置いてもいいのではないかということから、今回のような措置がとられたわけでございます。したがいまして、手続的には当初予算で六百九十億減額になっておりますが、四十三年度からの補正によります増の繰り越しが六百八十四億、ほぼ相当額が繰り越され、そうして六百九十億の国から地方への返還は四十五年度に原則としてこれを行なう、こういう法案にいたしたわけでございます。
  201. 田中昭二

    田中(昭)委員 次に移りますが、今回の改正で、公共用地の先行取得のための土地開発基金として六百億を充当する措置を講ずることにしてありますが、その具体的設置の要領、今後の運用方針等を説明をお願いしたいと思います。  なお、その運用のしかたいかんでは、他の民間不動産業者等々と競合して、みずから地価をつり上げるような悪影響が心配されますが、これに対してはどのような措置をお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
  202. 細郷道一

    細郷政府委員 地方自治法によりまして、地方団体は必要なときには基金を設けることができるようになっておりまして、定額の金を積み上げて、それを特定の目的のために運用する、条例によって設置することができるようになっております。現にそれをやっておる地方団体もございます。  そこで、今回、土地の取得につきましての基金をつくるように、地方団体に一般的な自治法に基づく指導をいたしたいと考えております。それにつきまして、その積み立てに要する財源地方交付税によって措置をしていく。総額六百億の土地開発基金の需要額を交付税算入に入れることによって措置をしてまいりたい。具体的には、都道府県、指定市、それにおおむね人口十万程度以上の市、もちろん大都市周辺のような急増地帯では先行取得の必要性が高うございますので、そういう市町村も含めてまいりたいと思っておりますが、そういうところについて本年度措置してまいりたい、かように考えております。  そこで、この土地開発基金を設けました場合のその運用については、確かにいま御指摘のように、それが他の土地ブローカーと競争関係に立つことによって地価をつり上げるというようなことのないように、これは十分運用についての注意を喚起してまいりたいと思っております。ただ、基本として、この土地開発基金を設けましたゆえんのものは、いままではどうも時間に迫られて土地を買うというようなことから、無理やりに土地を高くして買うというような事例も多かったわけでございますが、むしろ、もっと長い目で見て、先行取得を最も有利な時期においてするというような運用のしかたをするように指導してまいりたいと思っております。
  203. 田中昭二

    田中(昭)委員 でありますから、そういうための基金が、まあ六百億といいますと相当金額ですが、ただ、そういう具体的な運用の方法といいますか、そういうものを先ほどから部分的には聞いておりますけれども、もう少しはっきりしてやらなければいけないんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  204. 細郷道一

    細郷政府委員 大体標準の府県で四、五億程度、人口十万くらいの市で一億程度、こういうことをめどにいたしております。その運用にあたっては、私どもも、地方の者を会議等に集めまして、十分注意をしてまいりたいと思っております。先ほどもちょっと触れて申し上げましたように、この土地基金に積み立てたものを四十四年度に全部使ってしまえというような指導は毛頭考えておりません。最も有利な時期に必要な土地を買うようにということでございますので、四十四年度に全部使えなくても、四十五年度でも、四十六年度でもよろしい、そういうような意味において、土地を争って競争的に買うというような事態は避けられるもの、こう思っております。
  205. 田中昭二

    田中(昭)委員 政務次官、いまの土地の問題ですけれども、これはいろいろ国が土地を利用する——利用するというのはどうかと思いますが、使うとか、そういうような問題もいろいろあっておるわけですが、また土地対策としまして、こういう方法が関連して今後問題が起こらないという自信がおありでしょうか。土地対策の一環として、こういうことと競合するような面はないのでしょうか、いかがでしょうか。
  206. 砂田重民

    砂田政府委員 先生の御心配は、民間の土地業者との競合による地価のつり上げというふうな御心配でございましたならば、ただいま財政局長が御答弁申し上げましたとおりに、地方公共団体が公共用地を先行取得する、その先行取得のしかたも、いままでやらなければならない町づくり、市づくりのための事業、それを差し迫って、せっぱ詰まって高いものを買わざるを得ない、そういう事態が避けられることでございまして、民間の土地業者との競合による土地の値段のつり上げというふうなおそれは私どもは持っておりません。
  207. 田中昭二

    田中(昭)委員 次は、地方財政のその中の問題になりますが、このたび警察官の五千人の増員にもかかわらず、地方財政計画上約八千六百人の一般の職員の縮減をはかるようにしておりますが、その具体的構想を説明していただきたい。  これと関連しまして、機構の合理化、簡素化の方針を明らかにしなければいけない、こう思うのですが、さらに、地方公務員について定年制を設けることとする地方公務員法の一部改正案とはどのような関係にあるのか、説明をお願いしたいと思います。
  208. 砂田重民

    砂田政府委員 ただいまの御意見の八千数百名の減員につきましては、これが直接首切りにつながるというような御心配は御無用にしていただきたいと思うのです。欠員不補充ということでほとんどこれはカバーできる数字でございます。閣議決定に基づきまして、義務教育関係の職員あるいは警察官等、そういったものを除きましたあとの部分について、一年に大体一・三%を目途にして減員をしてまいる、その方針の中の一環でございます。  具体的なこまかい数字は事務当局から申し上げます。
  209. 細郷道一

    細郷政府委員 定員合理化によります財政計画上の縮減数は、八千六百三十五人でございます。
  210. 田中昭二

    田中(昭)委員 それから、それに関連しまして、機構の合理化とかそういうことが考えられているわけでしょう。そういうことと定年制の問題ですね、これはどうですか。
  211. 砂田重民

    砂田政府委員 この八千六百名の減員と定年制とは直接の関係は全くございません。定年制という制度を置ける道を開こうというのが今回の地方公務員法の改正、これの御審議をお願いする段取りでございますが、これはそういう道を法律上開いておいて、実際にそういう定年制をしく地方公共団体は、地域社会住民の意見を反映いたします議会で条例をつくってやってまいるわけでございます。今回の八千六百人の減員とは直接の関係はございません。定年制もまた首切りではございません。八千六百人とは直接の関係はございません。
  212. 田中昭二

    田中(昭)委員 地方財政の問題ですから、これはあまり御質問申し上げないで、もう一問だけお願いしたいのですが、四十四年度地方財政計画の策定方針において、地方公務員の給与改定、このような年度途中における事情の変化に対処するために、あらかじめ財源を留保するとありますが、その具体的措置はどのようになっておりますか。
  213. 砂田重民

    砂田政府委員 こまかい数字のことでございますから、事務当局からお答えいたさせます。
  214. 細郷道一

    細郷政府委員 給与関係経費の中に五百九十七億円を一応計上してございます。これは国の予算の給与費の計上のしかたと同様でございます。しかし、一般行政経費の中で、年度追加需要に対処するものとして五百億を別途計上しております。その両方でまかなえれば、それで処置をしたい、かように考えます。
  215. 田中昭二

    田中(昭)委員 最後になりますが、大蔵省のほうに。国税三税を基礎にして交付税が算定されるわけですが、この国税三税はいつの時点でやるのですか。いつの時点といいますのは、どの数字をつかまえてやるのですか。
  216. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 当該年度において、三税が国税としてあがるだろうという当該年度ベースを基礎にしてはじいております。
  217. 田中昭二

    田中(昭)委員 もう少し具体的に……。
  218. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 まだ御説明が足らなかったと思いますが、具体的に申し上げますと、当初予算を組む場合に、当初予算において一般会計の三税の歳入を見積もります。その主税に対しまして三二%で算出いたしました地方交付税交付金を一般会計に歳出していくということでございまして、したがいまして、一般会計予算において歳入として見積もりました国税三税が基礎になっております。
  219. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま説明のありましたように、当初予算の国税三税の見積もり額によって計算されると思うのです。これが実際の決算額はずっとふえるわけですね。こういうような点について自治省は、そういう差額が大きく出る場合、ただ当初の見積もりだけでいいと思われますか、どうですか。
  220. 細郷道一

    細郷政府委員 これは精算主義をとっておりまして、当該年度予算計上額よりも自然増収が多い場合には、通常は翌々年度の当初の交付税額を計算するときに加える。逆に自然増収がなくて当初予算見込みを割る場合には減額するという行き方をとっておりますので、その措置によってカバーされるものと考えております。
  221. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま、翌々年度の計算においてそういうことをするというのですが、大蔵省はそれでいいですか。
  222. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 地方交付税法に法定されておりまして、本年度におきましては、四十二年度の三税のいわゆる自然増収額に見合いまして、三十億の精算交付をいたしております。
  223. 田中昭二

    田中(昭)委員 その四十二年度の決算額はいつですか。
  224. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 四十二年度の決算でございますから、四十三年の七月において決算確定をしておる。その数字基礎にいたしまして、四十四年度予算におきまして三二%分の三十億を追加交付するという精算払いをしておるわけであります。
  225. 田中昭二

    田中(昭)委員 終わります。
  226. 田中正巳

    田中委員長 次回は、来たる十五日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時六分散会