○村山(喜)
委員 附帯決議の
趣旨説明に入ります前に、われわれの基本的な
考え方をこの際申し上げておきたいと思います。
それは、この
関税定率法等の一部改正の
法律案については、
日本の国民の生活にきわめて重大な
影響がある。特に農民なり中小企
業者にとって、非常に重大な生活上の権利、権限の問題がかかっておりますので、われわれとしては、ほかの
委員会が正常化されていない中において、この問題について質疑を省略しながら今日採決をいたしたわけであります。この国民的な利益に関する問題について、そのような立場からわれわれ野党が取り組んでおるということを、先に明らかにいたしておきたいと思います。
ただいま議題となりました
関税定率法等の一部を改正する
法律案に対する
附帯決議(案)について、提出者を代表して、その
趣旨を御説明いたします。
案文はお手元に配付してありますので、朗読を省略いたします。
まず第一に、加工再
輸入品の
関税軽減
措置についてでありますが、現在
関税軽減の特別
措置がないにもかかわらず、しぼりの委託加工の例に見られるように、
韓国、台湾の低廉、豊富な労働力を利用して大量の委託加工が行なわれ、
国内のしぼり加工
業者が圧迫をされております。今回新設をされましたこの制度は、電子工業製品
関係十一
品目に制限してはいるものの、付加価値だけ
関税の対象となることは、現在の段階においてはさしたる
影響はないとはいえ、低賃金を利用する制度だけに、
国内の下請中小企業並びに
関係労働者の賃金に大きな
影響が今後において出てくるであろうということは事実であります。
外交問題であるとはいえ、本制度は慎重に運用されるべきであるのでありまして、
政府が対象
品目を選定をして
国会に提案をするにあたりましては、それらの点に十分な配慮をすることを要請をいたしておきます。
第三に、開発途上国に対する特恵
関税供与については、七〇年度から開始される予定でありますが、南北問題の解決のためにはやはりやむを得ないものでありますけれ
ども、
国内の中小企業、特に繊維、雑貨等については及ぼす
影響がきわめて甚大でありますので、
政府においては、
関係の中小企業の体質改善強化等について、十分配慮するように要望するものであります。
第三に、今回四百三十六の
品目にわたって
関税の引き下げが行なわれることとなっておりますが、いま問題になりました中華人民共和国の絹糸の例に見られますように、
関税が
韓国並みになることについて
国内の
関係者が反対をしている向きもあります。しかしながら、
国内の
生産者を保護するという立場から考えるならば、すでに決定をいたしました
ケネディラウンドの線で
生糸の
関税等が引き下げられる
措置がとられているのでありますから、もし
国内の養蚕
業者が立ち行かないような状態が出てくるならば、緊急
関税の発動によって対処すべきだと私は思うのであります。そういうような点等もございますので、
——ただここで、
中共産と
韓国産との間にそのような
差別をつけるというようなやり方は、これはやはり
貿易の姿勢としてはとるべきでないと私たちは考えております。しかし、これらの問題を考えてまいりますと、今後においてはこの特恵
関税の実施の問題等も農産物の問題が含まれてまいります。したがいまして、
国内の農業の部門につきましては、
関税のもたらす
影響というものはきわめて重要なものが出てまいります。そういうような立場において、
国内の農業に重大な不利益を及ぼすことがないように適宜適切な
措置を、そのときに応じ情勢に応じて講じていくことは、やはり
国内の農民の生活を守るという立場においても考えていかなくてはならない点でございますので、
関税の引き下げにより
国内の農業に急激な重大な不利益を及ぼすことがないような適切な
措置が
政府においてとられるように要請をする次第であります。
以上申し上げまして、
附帯決議の提案理由の説明にかえます。(拍手)
—————————————
関税定率法等の一部を改正する
法律案に対する
附帯決議(案)
一、加工再
輸入品の
関税軽減
措置により、
国内関連中小企業及び勤労者に不当な圧迫が生じることとならないよう、
政府は今後とも対象
品目の選定にあたり十分配慮すべきである。
二、開発途上国に対する特恵
関税供与については、これが
国内中小企業に及ぼす
影響の甚大なるにかんがみ、
関係中小企業の体質の改善強化等について、十分配慮すべきである。
三、
関税の引下げにより、
国内農業に重大な不利益を及ぼすことのないよう適切な
措置をすべきである。
—————————————