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北山委員 もう時間がだいぶ経過しましたので、まことに残念ですけれ
ども先を急ぎますが、
大臣や大蔵省の
人たちが言うことばと実際やっている政策は、違うのですよ。なぜ一体
法人持ち株がふえるかというと、
法人が持っている株式に対する受け取り配当は益金不算入ですから、
法人の受け取る配当金には
税金はかからないということから、お互いにこれは
会社同士持ち合いをしますよ。ですから、特に金融機関とか
法人の持ち株がふえていくのはあたりまえじゃないですか。
あるいは、いまの利子配当の
分離課税についても、あるいは配当
控除にしても、だれが一体これを利用しているかといえば、やはり
資産階級ですよ。大衆はそんなものは無縁ですよ。結局そういう政策をやればやるほど、
資産家優遇大
企業優遇の政策なんです。口では大衆といいますけれ
ども、しかし、実際にやっていることは、ことに佐藤
内閣になってからひどいのですよ。池田
内閣ももちろん同じコースでありますが、佐藤
内閣、四十年ころから、
法人の
課税を安くしてみたり、その他の特別償却、もう至れり尽くせりのことをやっているのですよ。いまお話しのようなこともやったわけです。
そういうふうにして、金持ち優遇であり、大
企業優遇の
税制であり、先ほど申したように、生命保険だけ一つとっても、いわゆる蓄積資本を大衆から集めて、それをかってに大
企業は使うといったような仕組みであり、そういう仕組みの中で経済成長は、要するに大
企業、金持ち階級の肥え太る経済成長になった、こういうことだと思うのです。
ですから、この点については、もう見解の相違かもしれませんから
お答えはいただきませんけれ
ども、これは現実だと思うのです。これは非常にひどくなってきている。ひどくなってきているから、経済成長の中で、ますます
個人の消費支出が減っていく、あるいは雇用者
所得の割合が伸びない。労働者の数は、佐藤
内閣になってから三百七十五万もふえているにかかわらず、雇用
所得というのは、割合が全体の
所得の中でふえてない。むしろ減っているのです。実に奇怪な現象なんですがね。そういうふうにして、大衆収奪と、物価高と、重税でやってきているから、だんだん
個人消費支出が減ってくる、農村もだんだん
所得が下がって伸びない。こういうことだから、景気にかげりが出てくるのもあるいは無理がないかもしれない。私は、その点について注意を喚起しておきたいと思うのです。
時間がないから、この点の議論はしませんが、最後に一つだけお尋ねしたいことは、これは予算
委員会で、只松氏でしたかの質問に対して、今度の
土地税制について、いわゆる
長期保有している
個人の
土地は売りやすくして、
分離課税にして
税金を安くして、しかし、その
個人が新たに買うのには
買いにくくする、いわゆる
個人の
投機思惑を規制する、
税金を高くする。ただ
法人は野放しではないか。いま
法人がそういう
土地投資なりあるいは
土地投機なりをしないかというと、これが金をふんだんに持って、あらゆる大
会社というのは、子
会社の不動産
会社を持って、じゃんじゃん
土地を
買いあさっている。ですから、一方において
個人のあるいは農民のそういう
土地を売りやすくして、どんどん
供給しても、そういう
会社がどんどん買ってしまう。言うならば、株も
会社法人へ、
土地も
会社法人へ、簡単にいえばこういうのが今度の
土地税制ではないだろうか。なぜ一体、
税制あるいはその他の政策において、
法人の
投機、思惑、そういうふうな行動を規制できないのか。大蔵
大臣、これは税法じゃなくてほかの方法でやるんですよと言った。ほかの方法って一体何ですか。建設省が来ているかと思うのですが、ほかの方法はないじゃないですか。そうでなかったら、
税制以外の方法でやらなかったら、
税制というのは、今後の
土地税制は片手落ちですよ。いま申し上げましたような結果になりますよ。
個人は
税金が安いから売りやすくなる。しかし、新しく
個人が買うのは、将来売るときに四〇%以上の税がかかるから、
個人の
投機は制限される。しかし、
法人は野放しなんです。
土地はだんだん
法人に流れるじゃないですか。
会社へ流れるじゃないですか。いまそういう不動産
会社が、あるいは私鉄とか観光
会社というのが、
地方へ行って山まで買っている。じゃんじゃん買っているのです。そういうものを規制しないで
土地対策が立ちますか。なぜ一体そういう対策を
考えないのですか。
税制の上でできない、技術的にできないとするならば、なぜほかの方法をとらないのですか、政府全体として。ほかでやるでしょう、こういうことじゃ済まないと思うのですよ。それをやらない限りは、今後の
土地税制は片手落ちであって、いま申し上げたような結果になって、
法人は安い
土地をじゃんじゃん買えるようにいい条件ができるという結果になる。そういう点を私は心配しているのですが、その点は大蔵
大臣、どういうふうにお
考えになりますか。