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1969-02-26 第61回国会 衆議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月二十六日(水曜日)     午後一時四十四分開議  出席委員    委員長 田中 正巳君    理事 金子 一平君 理事 倉成  正君    理事 毛利 松平君 理事 只松 祐治君    理事 村山 喜一君       大村 襄治君    奧野 誠亮君       木野 晴夫君    河野 洋平君       笹山茂太郎君    正示啓次郎君       田村  元君    地崎宇三郎君       西岡 武夫君    本名  武君       村上信二郎君    山中 貞則君       阿部 助哉君    井手 以誠君       久保田鶴松君    多賀谷真稔君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       田中 昭二君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  上村千一郎君         大蔵省国際金融         局長      村井 七郎君  委員外出席者         大蔵省国際金融         局次長     奥村 輝之君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 二月二十五日  委員広瀬秀吉辞任につき、その補欠として阪  上安太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員阪上安太郎辞任につき、その補欠として  広瀬秀吉君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十五日  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  九号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第五三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に  伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第三号)  国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第四号)      ————◇—————
  2. 田中正巳

    田中委員長 これより会議を開きます。  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案、及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。阿部哉君
  3. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いままでのお話で、国際流動性が云々、貿易の量がふえる、したがって国際通貨もよけい要る、こういうようなお話でありますが、それほど貿易の量の増大通貨量増大というものは相関関係があるのですか。
  4. 福田赳夫

    福田国務大臣 それはあるのですね。国内でも、経済規模が大きくなれば、それだけ通貨が必要になる。それから国際社会でも、取引が大きくなれば、やはりそれだけ金の量がよけいになる、こういう相関関係は長い間あるわけでございます。
  5. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それはあるといえばあるのだが、輸出、輸入のあれが均衡しておれば、それほどその問題は関係ないわけでしょう。必ずしもそれは関係がないと私は思うのですが、きょうは時間がないから議論はやめて、問題が多いのでお伺いするだけにしたいと思います。  日本外貨保有状況とその運用の状況をちょっとお伺いをしたいのです。どうも発表されないのは、一つは金の所在、外国銀行への預金のあり方等であります。特に金は三億五千万ドル前後と、こういわれております。これは発表しております。しかし、これはどこに保管をしておるのですか。
  6. 村井七郎

    村井政府委員 これは実は国際的に金の保管場所は公表しないということになっておりますので、せっかくの御質問ではございますが、ひとつこの際は御容赦をお願いしたいと思います。
  7. 阿部助哉

    阿部(助)委員 まあ秘密であるというならばあえてお伺いしませんけれども、どうもいままでいろんな問題を見ておりますと、国民のほうに向かっては秘密だということで発表されない。しかし、アメリカのほうに向かってはみんなしり抜けになっておる。いろんな新聞等でも、日本の金がアリメカにあるのだとか、いろいろなことをいわれて、貿易関係でも私はそういう感じがするのでありますが、日本国民にはさっぱりわからないときに、スクランブルが行なわれておったり、いろいろなことが行なわれておる。向こうのほうに向けてはみんな筒抜けでわかっておるけれども、国内のほうにはわからない、国民に対しては伏せておくというようなことが多いのではないかという感じがするので、お伺いしたわけであります。あえて無理に私、聞こうとは思わぬけれども、しかし、これは国民財産でありますから、国民にないしょで外国のほうへはあけっぱなしだというようなことは、私は何か承知ができないのです。
  8. 村井七郎

    村井政府委員 御趣旨はよく拝聴いたしました。私たちも、国民に公表しないで外国にだけ言うという、そういうやり方は厳に慎んでまいりたいと思っております。
  9. 阿部助哉

    阿部(助)委員 日銀総裁IMF総会で金の買い入れ希望を述べた、こう新聞で報道せられておりましたね、私、スクラップがありますが。また大臣も、昨年の年末の最後の記者会見で、金をもう少し保有したい、こういうようなことをおっしゃっておられた。しかし、これはどのようにしてふやそうとしておられるのか、お伺いしたいと思うのです。
  10. 福田赳夫

    福田国務大臣 現実の問題といたしますと、金の保有をただいまふやすということは非常にむずかしいわけなんです。つまり、二重価格という措置がとられて以来、そうなってきているわけなんであります。私は、原則論抽象論といたしましては、やはり日本の国の外貨保有高が三十億ドルをこえんとする状況になってきた、そうすると、やはり金の保有の額というものをふやす余地が出てきた、こういうふうに見ておるわけです。ただいま二重価格制下においては、なかなか困難でございまするけれども、何か機会を見まして、時至らばこの保有の額というものをふやしていきたいという気持ちを持っております。ただいまは非常に困難であります。
  11. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大臣は、ふやしたい、しかし、いろいろないまの情勢の中ではむずかしい、こうおっしゃるわけですが、実はこの前の宮澤長官は、予算委員会等でお述べになったのは、金は利子がつかない、そして外貨ドルですか、こういうものは利子がつくんだ、こういうふうなお考えで金を非常に軽視しておると思われる発言をしておるんですが、そうすると、大臣宮澤さんとはだいぶ違うお考えになっておられるわけですね。
  12. 福田赳夫

    福田国務大臣 私もこの委員会でしばしば申し上げておるんですが、二十億ドル外貨を持っておる、その中で三億ドルの金とは何だ、こういう皆さんからのお話に対しまして、私は、日本のように外貨の手持ちが少ない、そういう状態下において、その外貨内容をどうするかということを考えるときに、まあ流動性の少ない金、これをそう多額に持つということは得策ではない。また同時に、この金にはいまお話しのように利息がつかない。わが日本外貨をいま非常に必要とする国柄であります。つまり、いま成長途上でありますから、そのための外資を必要とする国であります。そういう特殊な立場にあるわが国といたしまして、どうしてもこれは有利な立場外貨保有内容のきめ方というものをしなければならない。それには金にそうこだわってはいけない時期だ、こういうことをしばしば申し上げてきたんで、宮澤長官考え方においてはちっとも変わりはないと思う。  しかし、今日は少し違ってきたんです。それは外貨保有高が多くなってきた。でありまするから、その内容をどうするかという際においても、証券形式にそうこだわらない、金の保有というものをもう少し伸ばす、これが変わり行く国際情勢に対して有利かつ確実な行き方じゃあるまいか、こういうふうに考えるに至っておるわけでございます。
  13. 阿部助哉

    阿部(助)委員 実際問題として、アリメカでは——申し上げても皆さん方からおしかりを受けるだけのようでありますが、なかなかロンドン市場から買うわけにはいかないし、南アから買うのも制約があるというようなことで、実際はふやしたいけれどもふやせないというのが実情だと思うのですが、それよりも今日の段階では、ドルは金を生むとか、あるいは流動性の問題はありましょうけれども、利子を生むという問題以上にドルは減価をしておるんじゃないか、金はある意味ではドルに比べれば価値を持ってくるんじゃないか。これから、まあ皆さんはないとおっしゃるかもしらぬけれども、もしドル切り下げというような事態になれば、これは国民財産を管理する責任者としては、問題が出るんじゃないかという点で、もう少し努力しておくべきだったんじゃないか。まあヨーロッパ国々、どこの国を見ましても、スペインであっても、外貨保有の中に占める金の量、また絶対量からいっての金の量、こういうものははるかに大きい。ましてやフランスにおいても、ドイツにおいても、相当のものを持っておる。あれだけポンド危機だといわれておるイギリスですら、金の保有量日本とはけた違いであります。  そういう点からいって、いままでの政府考え方には、やはり金に対する考え方が間違っておったのじゃないだろうかという感じがするのですが、どうですか。
  14. 福田赳夫

    福田国務大臣 私はそう思いません。やはり日本成長する国なんでありまして、したがって、外国の物資をどんどんと輸入いたしまして、そうしてこれを成長のかてにしなければならぬ、そういう国柄でありますると、どうしても外貨を取得するというためにはきめのこまかい努力をしなければならない。利息を生まない金を多額に保有しておるというこの形は、成長途上のわが日本としてはとるべからざる考え方であって、過去において二十億ドル外貨保有時代を通じまして三億の金、そういうバランスでやってきたということは、私は、今日顧みて何ら間違ったところはない、むしろ妥当なやり方をやってきた、こういうふうに見ております。
  15. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうすると、大臣は、一番最初おっしゃったように、できれば金をふやしたいというお考えを否定されたようないまの御答弁ですが、おかしくないですか。
  16. 福田赳夫

    福田国務大臣 しかし、事情が変わってきたということを申し上げております。いまや三十億ドル外貨を持つに至っておる。そうしますと、やっぱり証券形態外貨、これがかなりふえておるわけであります。まあ国際情勢の変転というようなことを考え、また、金に対する一種の信頼感というようなものを考え、この際に多少金の保有をふやしていく、つまり、証券形態金形態バランスをとっておくという考え方をとる。これは私は、もうそういう時期に来ておる、さように考えます。
  17. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私、いろいろ意見がありますけれども、大臣の出席されている大臣質問の時間は非常に短いので、いろいろな問題をお伺いだけします。  きのうも質疑がありましたけれども、SDRに関しては、これは通貨であるかあるいは信用であるかということは、明確ではないわけですね。
  18. 福田赳夫

    福田国務大臣 どうも通貨であるか信用であるかと尋ねられますと、答弁に実は困るのです。これは現金なのか、あるいは信用通貨なのか、こういう意味でお問いかと解釈をいたしますと、これは、私は、両方の面があると思うのです。つまり、現金通貨でもある。しかし、この現金通貨は、われわれが日常接しておる通貨のように、転々と商社の間を、あるいは国々の間を、あるいは個人の間を回転して回るものではないのです。IMFの中のブッキングの問題である。これはそういう形態から見ますと、どうも通貨ともいえない。まあしかし通貨で、現金通貨であろうが、あるいは信用通貨でありましょうが、要するに非常に似通った面を持っておる。それは要するにこの社会における、また国際通貨につきましては国際社会における約束ごと、その約束ごとに対する信頼、その上に立っておるわけですから、そういう意味においてはなかなか差別がむずかしいのですが、一面においては現金通貨のような機能は持っておる。しかし、われわれが通俗的に理解するような現金ではない、信用通貨である、まあ両面を持っておる、こう思うのであります。
  19. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いま国際的に為替変動制をとろうかとかいろいろな動きがあります。また発言もありますね。たとえばアメリカボルカー発言に見られるように、変動制も検討しなければいかぬというような段階に来ておる。もしこの為替変動制がとられた場合に、SDRはそのときにどういうふうなぐあいに、非常にむずかしい問題になるだろうと思うのですが、いかがですか。
  20. 福田赳夫

    福田国務大臣 これはSDRに限らず、いま金かドルSDRか、三つの通貨というか、決済手段国際間に採用されておるということになるわけでありますから、為替変動があった場合に、SDRがどういう地位に立つかということですね。これは私はそうむずかしく解釈する必要はないと思います。これは御承知のように、もう金価値にリンクしておる、その金価値と他の通貨との関係がどうなるかということが変わってくるだけの話でありまして、別にむずかしい問題はない。問題は、それよりは、それより先に為替変動制というものをどういうふうに見ているかというような非常にむずかしい問題があると思うのですが、私はそれに対しましては固定為替制、これが一番いい、これが最も国際社会に安心を与える、信頼感を持たせる制度であるという考え方を持っておるのであります。
  21. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大臣、いま金価値にリンクしておる、こうおっしゃるけれども、なるほど〇・八八八ですかにリンクしておるようだが、兌換性というものは何もないじゃないですか。金の価値に表示はされておるけれども、これは金との交換性はないのでしょう。
  22. 福田赳夫

    福田国務大臣 それがつまり、SDR国際社会における管理通貨である、こういうふうにいわれるゆえんでありまして、別に金に対して兌換性がないから、それらの通貨に与えられた価値がないのだというような仕組みにはなってないのです。これは、わが国国内の円についても同じような関係があるわけでありまして、金には結びついておりません。しかし、これはドル対外決済能力、これにつきましては一定能力を持っておる。これと少しも違わない状態であります。
  23. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それならば、大蔵省はいろいろな角度から当然検討をされておると思うのです。そうすれば、もっと極端なことを私はお伺いしますが、もしドル切り下げが行なわれた場合に、大体このSDRがなおかつ発動するようになるだろうかという点はどうです。
  24. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは、いまSDR発動の要件というか、前提条件といたしまして、一定の国が、八五%投票数において承認がなければ効力発動を見ないのであります。こういうことになっておるわけです。その前に、その承認各国が与えるにあたりまして、外国の、また特に主要国国際収支、こういうものを見きわめてから承認をするというたてまえになっておるわけでありまするから、これは承認を与えるまでの間に、そういう与えるべきかどうかという判定上の問題点は、それはありましょう。しかし、与えてしまえば、これが発動されることになり、その後においてどういう、どこの国にどういう変動がございましょうというようなことになりましても、私は、SDR価値影響をするところはなかろう、こういうふうに思います。しかし、そんなドルに響きがくるというような事態を防ぐための効力もまたSDRというものは持っておるわけでございまするから、お話しのような事態は、SDR発動した以後におきましては、ますます可能性ということが考えられない、そういう事態に相なることであろう、こういうふうに思います。
  25. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そこで、それではおも立った各国通貨当局のこれに対する態度を簡単に教えていただきたいのであります。アメリカはよろしゅうございます。イギリスもよろしゅうございますから、特にヨーロッパフランスドイツイタリアという程度の国はいまどのような考えを持っておるか。
  26. 村井七郎

    村井政府委員 これは従来十カ国蔵相会議という場でもって慎重に検討いたしました結果でもございますので、まずドイツは、すでに国会は通りまして、いまやIMFに通告するという直前の段階でございます。イタリアは、いま国会審議を盛んに進めておりまして、大体三月中には通過するだろうという見込みでございます。ただフランスは、いままでのいきさつもございまして、このSDRそのものを否定するわけではございませんが、その発動必要性とか時期ととかいうようなものについて、かなり従来は考えを持っておりまして、その議論をずっと積み重ねておりました関係で、いまのところまだ国会にも提出しておりません。しかしながら、昨年の十一月、御承知のようにフランの変動がございまして、あれ以降、あのとき外貨準備がもうまたたく間に激減をしたということもございますので、考えはだいぶ変わってきているんではなかろうかというのが、一般の推測でございます。
  27. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いろいろいまの段階でのお話でありますが、これは昨年の十月ごろの新聞報道等を見ますと、いろいろとこれ対にして、西ドイツは、インフレになる危険を持っておるんじゃないかというような見方をしておる。イタリアは、低開発国に対してあまり恩恵がないじゃないかというような考えを持っており、あるいはまたフランスは、アメリカイギリス自体がもう少し引き締め政策をとらないでこんなことをやったってしようがないじゃないかというような見方で、いろいろと批判しておった。しかし、何といってもアメリカの大きな経済支配力というものは必ずしもまだなくなっていないという段階で、しぶしぶとでもやるかもわからぬですが、これに対していろいろな批判を持ったことは事実であります。  そうしますと、日本態度は一体どうだったんだろう。IMF総会その他国際会議でこれに対する態度は、全くアメリカ一辺倒でいままで来たように、あまり発言もされないで一辺倒で来たような感じを受けるわけですが、どうなんです。
  28. 村井七郎

    村井政府委員 これは従来の経緯でございますので、私から答弁させていただきますが、これはもうすでに五年間の審議を経ておるわけでございますが、日本の従来の立場といたしますと、これはアメリカとかほかの国がどうということよりも、非常に高度の、できる範囲内での成長政策というものをとることが日本の国益であるという基本観念がございますので、アメリカが非常にインフレをおそれて低成長をするというような場合でも、日本は可能な限り、国力の範囲内で成長を高く維持するという考えがございますので、このSDRにつきましては非常に積極的に推進をしてまいったわけでございます。現に、十カ国蔵相会議の場におきましても、蔵相代理会議の場におきましても、大臣あるいは事務当局からもその主張の繰り返しをいたしております。またIMF総会、これは一昨年リオで総会がございましたが、そこできまったときも、日本といたしましては従来の主張を積極的に繰り返して賛成をした経緯がございます。  かつまた、たとえばIMFを通ずる国際的な集団体制というものの推進は、むしろ当初から日本側主張しておった非常に重要なポイントでございまして、それが議論を進めますに従いまして、やはり十カ国あるいは主要国だけでやるんじゃなくて、IMFを主軸にしてやろう、こういう考えはかなり私たちの従来の主張に合致してきたというふうに考えている次第でございます。   〔委員長退席毛利委員長代理着席
  29. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大臣は、きのうの委員会でも、わが国国際的地位向上というようなおことばをおっしゃっておられるわけでありますが、国際的地位向上というのは一体何をさしておるのか、ちょっと抽象的なんですが、お伺いしたい。
  30. 福田赳夫

    福田国務大臣 これはいろいろな見方があり、いろいろな角度があると思いますが、一口でいえば、国際社会における影響力増大、こういうふうに考えます。
  31. 阿部助哉

    阿部(助)委員 その影響力の場合に、どうもいままで、きのう広沢委員質問に対しても、柏木さんが向こうに行かれた、何か密接に連絡をして状況をよく聞いて、協力すべきものなら協力するんだみたいな話で、きのう聞いておりましても、あの段階日本はどう対処するのかという方針というものがさっぱりわれわれには見出し得ないわけでして、何か出かけて顔だけ出したというような感じなんです。私は、国際的地位向上というのには、やはりそれの一番決定的な要因というものは自主独立だ、こう思うのですが、何か私たちがいろいろな報道関係を見ておっても、日本自主独立の様相というものがさっぱり受け取れないのですがね。  そういう点で、はたしてこの影響力を与え得るのだろうかと思うのですが、その辺に何か遠慮があるのか。国内では経済がこう伸びて日本一流国になったのだ、こうおっしゃるのだが、国際的な場における影響力というものがどうも私たちには感じられない。どうもその点で自主性欠除じゃないか、こう案ずるのですが、大臣どうです。
  32. 福田赳夫

    福田国務大臣 国際社会における一国の運命というものは、一国だけで存在するわけじゃないので、これは国際連帯社会というものでございます。ですから、どんな国でも完全な意味自主独往なんというようなそんな形はとっていないと私は思う。経済ばかりではありませんが、軍事的に見ましても、ソビエトロシアだって衛星国あるいは友好国、それぞれの国とみんな同盟の網を張りめぐらしておるわけです。あるいは大アメリカにいたしましても、アメリカだけの考えで動くというわけにいかぬ。友邦実力国とは特に意見交換をしながらいかなければならぬ。ですから、ニクソン大統領大統領に就任すれば、すぐヨーロッパへ行くじゃありませんか。また、日本に対しましても、いろいろな話しかけをしておるわけであります。  そういう状態で、どうも阿部さんのお話を伺っておると、何か仙人かロビンソンクルーソーにでもなるようなことをおっしゃいますが、そんなことじゃこの近くなった世界を渡れるはずがないのであります。やはり自分というものを失っちゃいかぬ。しかしながら、他人と協力して意見交換しながら、また相助け合いながらやっていくというかまえも忘れてはならない、そういうものです。
  33. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうも大臣は片寄った見方をしておるようで、私が片寄っておると言うが、大臣のほうが片寄っておるような気がするんですがね。立場が違うということでありましょうが、それならば、きのうも質問が出たのですが、大臣は、日本も大国になったのでいろいろ東南アジア等援助をしていくのだ、こうおっしゃった。しかし、その援助のしかたを見ましても、また、力を入れて援助しておる国を見ましても、その国はどうもアメリカ経済的に軍事的に隷属をしておった国、またアメリカ隷属をさせようという国、そういう国に日本援助をふやしていく。やはりアメリカ肩がわりという見方を、現実にはリアルに見た場合にはせざるを得ないのじゃないですか。私どうもそう思うのですがね。そこが社会党のひがみだ、こう大臣は言いたいところなんでしょうが、現実はそうじゃないですか。
  34. 福田赳夫

    福田国務大臣 私の言いたいことを言っていただきましたのでその点には触れませんが、いわゆる共産国自由主義国との間に国交を開かれていない国、それは格別でありますが、それ以外の国々がこの戦後をどうやって国の発展復興を遂げてきたか、こういうことを考えてみますと、多かれ少なかれアメリカ援助、協力、これにほとんどが依存をしてきたわけであります。きのうから問題になっておりまするが、アメリカは戦後三百億ドルの金を保有しておった。世界の大半を持っておった。その金がだんだんと失われて、今日百億ドルを割ろうとしておる。それは何だというと、その金を喪失するという形においてそれらの国々に資産というか、外貨を供給してきたんです。それが、これらの国々が戦後発展をする大きな力になっているわけなんです。その事実を否定するわけにはいかぬと私は思う。これは、日本がおつき合いをする国、日本と国交を開いている国々なんです。その国々というものは、これはみんなアメリカにお世話になった国々であるということは、そういうことなんです。お世話にならないのは共産国家だけなんです。その共産国家とはなかなかおつき合いができないんだということも御了解願えるのではあるまいか、かように思います。
  35. 阿部助哉

    阿部(助)委員 国交が回復してないと言うけれども、回復する努力をされていないんじゃないですか。私はむしろ、国交が回復してない国にどうのこうのとおっしゃるが、回復しようという努力をしておられないのじゃないか、こう思うのであります。  まあそれはさておきまして、大臣は一九三〇年ごろたしかロンドンで財務官をしておられたと思うのです。当時あの三〇年恐慌といいますか、当時の深刻な事態をつぶさにごらんになったと思うのですが、当時と今日とはこれはやはり相当に違うのか、また、共通点はどんな点が共通点なのか、それを感じながらいまこれから経済、財政を運営していかれるのだと思うのですが、それをちょっとお伺いしたいと思います。
  36. 福田赳夫

    福田国務大臣 経済、財政の根本的な原理、原則というか、経済が財政を動かす力関係ですね、そういうものは私は戦前も戦後も変わりはない、こんな感じがいたします。  戦前の非常に大きなできごとは、何といっても英帝国が衰退をしてアメリカがこれにかわった、これが戦争直前の非常に大きなできごとだろうと思うのですが、それが御指摘の一九三〇年、三一年の英国の危機、こういうことなんです。では、なぜああいうことになったか。やっぱり働かないイギリス人ということですね。これだと思うのです。わが日本国は、あの有史以来のいくさに負けて、しかも二十四年間で今日まで来た。これは、日本人が働く日本人だ、つまり、人間として経済的に生産性を上げる、そこに経済日本を興す力があったと思うわけであります。戦前のイギリスというものはそれと反対であった、それがイギリスをあそこへ追い込んだ。そういう意味において私は、経済は、昔も今も東も西も、そう動きの根源においては変わっていないと思う。  ただ国際的に見ますと、非常に変わっておりますのは、これは国際協力体制というものが戦前に比べると比較にならないぐらいに強化されているということであります。戦前は国際決済銀行というものがあった。しかし、これはほんとうの純粋の金融機関であった。ほんとうは金融も政治と離れるわけにはまいりませんけれども、政治的な関係というようなことが全然ない、ほんとの決済機関であったのですが、戦後は十カ国蔵相会議というものが持たれるようになってきまして、何か世界の一角に経済上で問題があるというときには直ちに十カ国蔵相会議が持たれる。そして危機の打開に当たる。また平常時あるいは非常のときを通じまして、IMF、この機構が非常に大きな働きをしておる。こういうようなことで大きな破綻が世界の一角でまずまず起こらないような仕組みになっておる。そこが非常に違ってきておるんじゃあるまいか、そういうふうに思うのです。  わが日本も、そういう環境の中で、すくすくとした経済発展を遂げておるわけでございますから、この世界の違った体制には非常に恩恵を受けておると思う。ですから、国際社会に臨むわが国の体制としては、この国際協力体制、これにはほんとうに誠心誠意協力をしていかなければならない、こういうふうに考えるわけであります。SDRというような法律案を急いでお願いしているというゆえんのものもそこにある、かように御理解願います。
  37. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大臣のおっしゃる、確かに国際協力という問題、そのためにいろいろな会議あるいは協定があることも存じています。バーゼルの協定であるとかIMFの一般取りきめであるとか、あるいはまたスワップ協定だとか、あるいはまたこの前立ち消えになってしまったけれども、金プールだとかいうのもある。それでもなおかつ、何とか食いとめたとおっしゃるかもわからぬが、あのような困難というか、ポンドの場合、またフランの場合のあれが起きるわけです。私は、国際協調というものと対立抗争というものとがやはり何か同時に進行しておるのじゃないか、また、そのために国際協力というものも必要であるということも認めます。しかしまた、現実に今日、NATOに象徴されておるような亀裂というか、そういうものも出てきておる。どちらが原因であるか結果であるかは、お互いに相関関係を持ちながら、そういうみぞというのもできておるという現実は、やはりこれは直視せざるを得ないのではないか、私はこう思う。  何かいままでのお話を聞いておりましても、この提案や何かのときには、政府のほうに都合のいい面だけが国民にクローズアップされますが、私はもっと正直に、こういういい面もある、しかしこういう欠陥もある、だからいろいろ直しつつこういういい面を伸ばしていきたいんだというようなものを、いままで実は私、不勉強かしらぬが拝見したことがない。何かいい面、一方的な面だけが前面に打ち出されるんじゃないかという点で、いささか不満があるわけであります。EECの諸国は、いままでもたびたびアメリカに向かって、節度ある経済政策をやるべきだ、それでなければドル信用はますます落ちるではないか、世界通貨体制は困るんじゃないか、混乱するんじゃないかということで、きびしく要求をしてきたことが報道されておる。日本政府は、一体アメリカにそんな要請をしたことがあるんですかね。どうもそういう報道、私、寡聞にして拝見したことがないんですが、日本は一体アメリカにもの申したことが一ぺんでもあるんだろうか、こういう感じがするんですが、大臣どうです。
  38. 福田赳夫

    福田国務大臣 それもたいへん私は片寄った見方であり、どうもそっちのほう、片一方のほうはあまりごらんにならない感じがいたすのですが、私は前にも大蔵大臣をして、IMF会議にも行っております。また、いろいろな人にもお目にかかっております。また、私はかりじゃない、歴代の大蔵大臣IMF会議に臨み、また、蔵相会議には代理として大蔵省の役人も行っております。常に主張しているのは、ただいまあなたがおっしゃっているキー・カントリーズ、この英米の国際収支経済節度の堅持、こういうことなんです。私自身が、IMFでもう百何カ国の代表を前に、そういう演説をしておるわけなんであります。これは決して、アメリカに対して何も言わぬ態度はいかぬというようなおしかりですが、さようなことでは断然ない。アメリカに対しては言うべきことはことごとく言っておる、言い過ぎるほど言っておる、かようにお考え願います。
  39. 阿部助哉

    阿部(助)委員 アメリカに言っておるというが、ヨーロッパは今日のアメリカやり方に対してはなお不満を述べておるじゃないですか。やはりある意味では、今日の通貨危機のもとは、いろいろな原因もあろうけれども、一つはドル減価だ、ドル価値が落ちておるというところに一番の問題があるのじゃないか。なおかつ、アメリカはベトナム戦争を続けておる。そうして対外投資は自分でやっておる。そうしながら、片方で中期債を買ってくれだのあるいは何を買ってくれだのというようなことを言っておるけれども、やはりこれは、アメリカ資本主義としては、対外投資というか援助というか、そういうものはやめるわけにいかないのかもわかりません。だけれども、それをやっておれば、アメリカ国際収支はよくならないのじゃないか。よくならないのを承知の上でアメリカはやっておって、その上でSDRを創設したい。大臣が先ほどお話しになったように、これをやることによってドル切り下げ等を防ぐのだといみじくも言われたけれども、やはりそういうむしろアメリカの強い要求というもの、これを大きく内蔵しておるのじゃないか。阿部君は一方的な見方だ、こうおっしゃるかもわからぬけれども、大臣のきのう来の話を聞いておっても、どうもSDRそのものもあいまいである。また外貨運営に関しても、金問題とからめて、どうも一国の通貨当局としては今日までわれわれの考えとはだいぶ違う、ある意味では間違ったやり方ではなかったろうかというような問題、あるいはまた、自主性という点で大臣は強調されるけれども、われわれ国民にはどうもそういうところが感ぜられないというような点で私たちは不満があるわけであります。特にこのSDRは、今日の人類の英知だとかなんとかおっしゃるけれども、私はどうもそう思えない。  最後に、大臣の見通しみたいなもので恐縮ですけれども、もしSDR発動する段階になったら、どこの国が一番最初にこれを活用するとお思いですか。これはアメリカじゃないですか。
  40. 福田赳夫

    福田国務大臣 さあ、私は必ずしもアメリカとも思いません。ヨーロッパのほうになるのじゃないかと思いますが、しかし、これはどこの国がこの手段を使うか、これをここで私が申し上げる、これは国際信義に反することかと思いますので、控えさせていただきます。
  41. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私はどうも、いま申し上げたように、やはりこれが発動されたときに一番最初にこれを活用するのはアメリカであるだろう、こう想像しております。そうして結局は、そういうことを考えてまいりますと、アメリカドル価値維持のためにこれが使われていくのではないか。そうしながらアメリカは、先ほど申し上げたように、片一方ではベトナム戦争を遂行していくとか、あるいはまた経済援助、あるいは資本投資という形でこれをやっていくというようなことで、どうもこのSDR政府のおっしゃるような額面どおりに受け取れないという感じを強く持つわけであります。  大臣への私の質問時間が来ましたのでやめますけれども、なお、この委員会でもう少しこれをいろいろお伺いしたのをまとめながら議論を詰めてまいりたいと思います。これで終わります。
  42. 毛利松平

    毛利委員長代理 広瀬秀吉君。
  43. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 最初に、若干IMF体制についてのごく簡単な数字からお聞きしたいのです。  これは大臣でなくてもけっこうです。IMF加盟国はいま何カ国でしょうか。
  44. 村井七郎

    村井政府委員 目下のところ百十一カ国であります。
  45. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いわゆるソ連圏と申しますか、共産圏といいますか、そういうものに属すと思われる国で入っておるところはありますか。
  46. 村井七郎

    村井政府委員 はっきりはいたしませんが、ユーゴが加盟国でございます。それ以外は加盟しておりません。   〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
  47. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 SDRが創設されるというにはいろいろ背景があったと思いますが、その中でやはり一番大きい問題は、いわゆる国際流動性不足という問題だろうと思います。これについては流動性ジレンマというようなことばもあったわけでありますが、いわゆるドル、ポンドのキーカレンシーの諸国が国際収支が均衡すると国際流動性が不足する、赤字をそういう国が続けていれば何とか間に合うという、そういうジレンマと理解されておるわけでありますが、そういう事態を、世界経済貿易発展させるためには流動性を補っていかなければならない、そういうところからこのSDRは、人類の英知とか人知の結晶だとかいろいろいわれておりますが、できたもの、そういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  48. 福田赳夫

    福田国務大臣 金の産出、これが国際経済成長に及ばない、そこに一つの問題が根本的にあると思うのです。どうしても世界経済成長するに伴いまして通貨の基軸になる金がふえることが必要であるが、これがはるかに不足しておる状態だ。それが根本的な問題でありますが、さらにそういう状態下において一体世界経済がどうして動いてきたのかというと、やはり根本はアメリカだと思うのであります。アメリカの金喪失、アメリカ国際収支の赤字の犠牲において国際経済が動いてきた、こういうふうに見られるわけでございますが、さてそのアメリカの金保有高ももう百億ドルを割らんとしておる。もうこれは、アメリカドルをささえる基盤としての限界に来ておる、こういうことなんですね。そういうようなことから、ドルというものにそうたよる度合いは少なくなる。そうすると、どうしても新しい情勢に見合うところの通貨体制というものをつくらなければならぬ。そうしないと、経済もまたふん詰まりになってくる。ここいらが、この問題を深刻に考え出された根源である、私はそう見ておるわけであります。
  49. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 もちろん世界経済貿易発展させる基礎になるのは金、さらにこの国際通貨流動性であろうと思うわけでありますが、そこで、大体ドル世界に四百億ドルぐらい流通しておるというようなことがよくいわれるわけでありますが、これについて、正確にどのくらいドルが流通しておるのか。それからもう一方のポンド、最近非常に、ポンド切り下げ以来信認が薄くなりましたけれども、これがどのくらい流通しておるのか。そして、おおよそ、EECとかあるいはアジア方面とかアメリカ圏というふうな地域に分けて、どういうようにこのドルが偏在をし、散布状態にあるのか。このことをちょっと聞いておきたいと思います。
  50. 村井七郎

    村井政府委員 数字でございますのでお答えいたします。  現在、ドルは、流通しておりますのは、たしか三百三、四十億ドルというふうに推定するわけでございます。いまの外貨準備関係について申し上げますと、中央銀行当局あるいは政府といういわゆる通貨当局によって外貨準備として保有されておりますのは、外貨が二百八十億ドルでございますが、そのうちドルは百六十二億ドル、それからポンドが七十九億ドル相当ポンドでございます。あとはその他が三十九億ドルでございます。マルクその他の通貨でございます。
  51. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 ポンド切り下げ以降イギリス国際収支状況、どういう推移をたどってきて、現在どういう状況にあるのか。それから、アメリカ国際収支の動向、ことしは七億ドルばかり黒が出たとか最近報道されたわけでありますが、この二つのキーカレンシー国の国際収支状況、これを明らかにしていただきたいと思います。
  52. 村井七郎

    村井政府委員 イギリスでございますが、おととしの十一月十八日に一四・三%切り下げをいたしましたあとは、輸出の伸び、輸入の抑制ということが期待されたわけでございますが、なかなかその切り下げ効果というものが出てまいりませんで、現在までのところ推移いたしております。これは率直な感じでございますが、問題はやはり国内物価、ことに賃金の関係でございますので、それがいわゆる所得政策をとっておりますが、なかなか十分な効果を発揮しない。そのうらはらの関係国際収支もややもたつき気味というのが実情かと存じます。  その一番の指標は貿易収支でございますが、昨年の第一・四半期が六億ドルの赤字、第二・四半期が五億ドルちょっとの赤字、第三・四半期もやはり相変らず五億ドルちょっとの赤字ということでございます。それからことしの一月には貿易収支が一千万ポンド相当の赤字ということで、これはかなり好転しておるのではないかという見方も一部にはございますが、いまだ賃金、物価の抑制という見通しが十分に立っておりませんので、的確なあるいは楽観的な見通しをその一月の数字からするのはまだ早いという感じでございまして、むしろ今後は政治、経済のあり方いかん、その強さいかんということが問題ではなかろうか、これが国際収支の問題だというふうにいわれておるわけでございます。  次にアメリカでございますが、アメリカは、御承知のように、一昨年流動性ベースで三十六億ドルの赤字を出したわけであります。昨年は正月早々から国際収支対策というものをとったわけでございまして、そのうち三十億ドルを改善するのだということで施策をとったわけでございますが、前半は主として、どういたしましても対外的な措置、つまり国際面におきまして、国内国際の接触点においてのいろいろの措置、たとえば国境調整税を取ろうとするとか、あるいは海外渡航を制限しようとするとか、あるいは投資を制限しようとするとか、そういう水ぎわでの措置がおも立ったものでございますので、なかなかうまくいかなかったのでございますが、御承知のように、六月になりまして増税措置をとったのが一つの転機になりまして、国際収支にもいい影響を持つように予想されたわけでございますが、その影響は確かにあることはあるわけでございますが、影響のあらわれが非常におくれておる。当初の予想よりもおくれて出てきておるというのが実情ではなかろうかと思います。現に昨年の貿易収支は、従来の三、四十億ドルの黒字というものから見まして、わずか九千万ドルというアメリカといたしましては未曽有の小さな黒字幅ということでございまして、あとは海外からの資本流入ということで、これは四十億ドルが外債とかアメリカの社債とか株とかを外国人が取得するというようなかっこうで入ってきたわけでございます。しかし、先ほどもお話にございました中期債というようなものも二十億ドルばかりございますし、そういったものを合計いたしましてやっと一億八千万ドルという黒字を出したということでございますが、いまだにそういうことで実体面、ことに経常収支中の貿易収支というものが完全によくなっていない。  これが今後どういうふうな推移になってくるかということは、私たちといたしましても重大な関心事ではございますが、SDRのほうの関係から申しましても、これが十分改善の徴候が出るということでないと、先ほどからの御議論にもございましたように、発動の要件が満たされないということでございますが、最近の、きわめて最近のいろいろの連絡によりますと、在庫あるいは自動車の生産高、あるいは住宅の新規需要、あるいは個人消費、あるいは貯蓄率というような面におきまして、どうも経済の過熱の鎮静化が見られるのではないかというふうにいわれておりますので、今後さらにこの推移を見ました上で、国際収支が改善するという可能性は十分あるわけでございますし、現にニクソン政権自体は、政策の最重点にこのインフレ抑制、国際収支改善というものを織り込んでいるというふうに承知いたしているわけでございます。
  53. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 大臣、いまるる説明があったように、国際基軸通貨といわれ、国際通貨といわれるドルもポンドも国際収支面においてきわめて楽観を許さない、むしろ深刻な情勢にある。こういうようなことから金の価格が四十六ドルで買われたり、一オンス三十五ドルが四十六ドルになったり四十七ドルになったりというような、そういうことがいまでもときどき思い出したように続いている。ゴールドラッシュとまではいかなくとも、ときどきそういう事態が出てくる。こういうようなことがあり、そしてフランスも、相当外貨準備等もたっぷり持っておったのが、これは主として政治的要因とはいわれておりまするけれども、西ドイツにフランがものすごい勢いで流入をするというようなことで、フランもやや不安定なものが出てきた。  こういうようなことで、特に基軸通貨、キーカレンシーのドル、ポンドというようなものの不安あるいは危機、こういうようなものについて、大臣としてはどういうようにお考えでしょうか。
  54. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は、危機の様相からいうと、なかなか容易ならざるものがある、一昨年の暮れ、ポンドから始まった通貨不安は、昨年も根本的な処置がなされないで、またことしに持ち越されておる、こういうふうに思うのです。思いますが、先ほど申し上げましたように、今日国際協力というものが非常に進んでおる。この国際協力体制をもってすれば、私は、混乱というものを起こさないで、何とかこの通貨不安を乗り切り得るのではあるまいか、そういうふうに期待をいたしておるわけなんです。  そういう危機回避というような面から見ましても、このSDR、新しい第三の国際手段、これが早く動き出すということは大きな力を持つことになるであろう、こういうふうに思います。なかなか病根は深いが、しかし、手術の技術なりそういう方面は非常に進んでおる、こういう診断をしておるわけであります。
  55. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 大臣立場としては、通貨危機がまだまだ存在しているのだということを断定をし、具体的にたとえばドル切り下げというようなものがあり得るのではないかというようなことはなかなか言えないわけでありますが、しかし、ドルと金が一オンス三十五ドルでリンクされて、これが価値の基準みたいになっておるわけでありますが、現実にそれが五割も六割も高いようなところで、すなわち、ドルがそれだけ金に対して価値がなくなったというような取引がなされる。いまのような事態で、アメリカも増税をやって国際収支を改善しようとしてもなかなか効果があらわれないというようなことで、いろいろな手を打っているけれども、今日なかなかはかばかしい解決が見られない。イギリスも同様だというようなことを考えまして、国際通貨の危機というものは相当まだまだ深刻なものがある。そういうようなところから、流動力不足という問題と同時に、そういう通貨危機、通貨不安、こういうようなものを何とか避けたいというような気持ちから、むしろそのほうがこの制度を生んだ現実的な要因になっているのではないか、こういうように思うのですが、そこらあたりの判断はいかがですか。
  56. 福田赳夫

    福田国務大臣 根本的には、私は、いまの国際通貨体制というものは世界経済成長発展に対して対応し得る状態でない、こういうふうに見るわけです。つまり、戦後科学技術の発展に刺激されまして、経済発展の速度、成長の速度が非常に高まり、早まっておるわけなんです。それに金の生産というものが追いつかない。昔と非常に状態がいま違っておるわけです。そこに根本的な問題があるわけでありまして、その問題にメスを入れる、これがSDRの第一義的なねらいである、こういうふうに考えますが、たまたまいま広瀬さんのおっしゃるように、当面国際通貨不安というものが出てきておる。この通貨不安に対しまして、もしSDR発動するということになれば、これは大きな鎮静剤になるだろう、こういうふうに見ておるわけであります。
  57. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 大臣は先ほど、産金が追いつかないという問題と同時に、むしろそれにかわる金の価値を維持していこうというようなことが国際協力という姿の中で、それにとってかわると言っては表現がまずいですけれども、そういう要素も出てきたのだということを言われたわけであります。しかし、この問題についても、国際協力というのが本物の国際協力なのか、あるいは国際通貨体制が破綻するというようなことに対するいわゆる恐怖の——これは学者等でもそういうことを言っておる人もおるわけでありますが、恐怖の協力だというようなことでは、やはりこれはほんとうの意味の協力というものではないような気もいたすわけであります。  質問を進めたいと思いますが、国際流動性というものが不足だということですから、一体適正な国際流動性というものはどのくらいあったら、今日の前進発展する国際経済世界貿易にとって適正であると思われるのか。そして、現在その流動性が不足しているのはどういう国なのか、こういうことについても、ひとつ数字をあげて説明してもらいたい。
  58. 村井七郎

    村井政府委員 実はたいへんむずかしい御質問で、何と申し上げていいか、ちょっと考えるわけでございますが、たとえば一国の外貨準備がどの程度あれば適正であるかということの、一つは積み重ねのような関係にもございます。その各国の準備量自体が非常にむずかしい。これは先生もよく御承知とは思いますが、そのときそのときの輸出入のあり方、それから国際収支の傾向、つまり赤字に向かっておるとか、黒字に向かっておるとか、極端なことを申しますと、黒字に向かっておるときはほとんど外貨準備というのは要らない。しかし、赤字に向かっているときは、道義的な要素も働きますから、非常に多額の、実際必要と思われる以上の多額の外貨準備を持っていないとそれが阻止できないというような、心理的な影響の原因もございます。そういったものを一応むずかしいとは申しながら捨象して、非常に大局的に考えてみますと、現在、先ほどからも話がございますように、世界の総準備というのが金、外貨IMFポジションというものを合計いたしまして七百五十億ドルあるわけでございます。ところが、世界貿易は二千億ドル以上の貿易量を持っております。その両者の伸び方というものを、一応非常に物理的に考えてみますと、総準備というものは、ここのところ数年間で、年間二・四%とか二・五%ぐらいの伸び方をしておるわけです。片一方の貿易量といいますのは、結局八%ぐらいの伸び方をしております。これは八%貿易が伸びるから八%必要かというと、決してそういう算術方式にはまいらないので、先ほどからもお話がございましたように、結局決済じりでございますから、輸出と輸入のしりを決済するというのが流動性でございますから、それほどの伸びというものを準備量で供給しなければいかぬということにはならないわけでございますが、そこのところをひとつ、このSDRが批准されて成立いたしましたときに、一ぺんまたみんなで集まって、一体国際流動性というものは幾ら追加供給すれば世界貿易量の伸びに対して支障なくやっていけるかということを、そのときの状況を土台といたしまして、みんなで議論してみようじゃないかというのが実情でございますので、いまのところ現在幾らのSDRを投入すれば適正であるかという計算は、そのときの与件といいますものが非常に多数であり、かつ変動いたしますので、いまもってちょっと数字的にこれこれということを申し上げることは、はなはだ至難のわざのような気がいたすわけでございます。
  59. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 私の見解によれば、これからの世界経済世界貿易発展の余地というのは、むしろ後進国を経済発展に導きながら、そういうところを貿易発展の余地のあるところと見るべきだろうと思うのですね。  ところが、SDRが発行される段階を迎えても、これが各国の出資比率によって配分を受ける、こういうことになりますと、このSDRによって追加信用が出される、流動性不足が補われるということが、いわば先進国にだけ片寄ってしまうというようなことで、本来的に、これは南北問題とも関連しましょうが、後進国の流動性不足というものを解決するにはほとんど役立たない、こういうように見られるわけであります。アメリカ等では、百億ドルくらい、とりあえず五カ年に、一年当たり二十億ドルですか、このくらいのSDRを出したいという気持ちを持っておるようでありますが、この程度のものを出しても、しかもそれが全部ほとんど、IMFに出資をしている額の多い、いわゆる先進資本主義国というものに片寄ってしまって、これからの将来の伸びを展望する際に無視することのできない後進諸国というようなものに対しては、何らの価値というものが見出せないのじゃないか。そういう点については、大臣いかがお考えでございましょうか。
  60. 福田赳夫

    福田国務大臣 そうはならないのです。たとえばわが日本は、もうここまで経済成長してまいりましたから、日本自身のことばかり考えておるという立場じゃございません。後進国に対してもできる限りの援助をしなければならぬ立場にある。しかし、援助するには、われわれが財政的に、また国際収支の面から、それだけそれにたえ得る力を持たなければならぬということであります。  そういうような角度から考えますと、わが国はかりに三・四%の配分を受けるというわけでありまするが、その配分によりまして決済力がそれだけふえてくるわけです。つまり、外貨の天井がそれだけ高くなるということです。わが国の対外援助力というものがそれだけ強化される、こういうことになるのです。ひとりわが国ばかりじゃないのです。先進諸国みんなそういう立場になるわけであります。一方において、先進諸国は申し合わせをいたしまして、開発途上国を援助するということになっておる。それと見合いまして考えまするときに、後進国開発にこのSDRは非常にあずかって力がある制度である、こういう見方をしておるわけであります。
  61. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 わかったようなわからないような答弁なんですが、このSDRの効果というものは回り回っておこぼれ的に後進国にも——たとえば日本の例をとっても、外貨準備の問題が常に日本成長を抑制する要因になっておりますが、SDRによって日本がいま何ぼか黒が出るというところですけれども、赤字という事態になってもなおかつ後進国援助ということがやり得る幅が出るから、こういう御説明でありますが、そういう意味ではきわめて間接的な効果はあるかもしれないけれども、SDRそのものの発行ということが直接後進国にSDRを使用するというような、SDRを後進国が引き出せるというような事態はあまり例が見られないのではないか、こういうように思うのですが、これは局長でもけっこうですから……。
  62. 村井七郎

    村井政府委員 大臣がいま申されましたのは非常に含蓄があるわけでございまして、SDRというものは、配分を受けますときは、なるほどいわゆる割り当て額、クォータが多い先進国に多く割り当てられるわけであります。しかしながら、それを使いますときは国際収支の赤字国でないと使えないわけでございます。主要国国際収支が赤字をどんどん続けるというようなところは、これは現にブレーキをかけてある。つまり、発動のときの要件といたしまして、主要国は少なくとも国際収支の節度というものを守ってからでないと発動しないということになっておるわけであります。  そういたしますと、大体どういう国がこのSDRを使うかということは、どっちかといいますと、国際収支的に弱い国、赤字の国が使うわけでございますから、実際問題といたしましては後進国が使う場合が多いということになろうかと思います。もちろんこのSDRの制度自体は、これは開発援助というものを目的とした制度ではございません。援助自体は別の、先進国がその国その国の財政その他から拠出いたしました金でもって援助するわけでございますが、このSDRは第一義的には援助ではございませんが、実際問題といたしますと、そういう赤字国、国際収支的に弱い国がSDRを使うという場面が多いことは事実ということになってくると存じます。しかし、これもあまり使い過ぎて焦げつきになるというようなことになると、SDR全体の制度を根底からくずすことにもなりますので、やはり三〇%は保有しておかなければいかぬという復元の問題があるわけでございますし、要するに、全体のSDRの使用というものをなるべく弱いところに使わせるという制度ではございますが、そうかといって信用を根底からそこなわないように、各国がその節度、節度を守りながらうまく使っていこうというのが全体の仕組みであろうかと思います。
  63. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 SDRの配分率は各国の出資比率に応じてなされるわけであって、大体四分の一の出資はアメリカだ。そのほか大部分が先進国だと思うのです。この出発の基礎になった十カ国蔵相会議ですか、あの十カ国の国際収支の赤字を持っている国をひとつあげてみてください。
  64. 村井七郎

    村井政府委員 年によりまして必ずしも的確ではございませんが、おしなべて申し上げますと、米国、これもことし以降はわかりません、去年もある意味では一億八千万ドル黒字だったわけでございますが、どっちかというとアメリカ、それからイギリス、それからときどき赤字になったりする国といたしましてベルギー、それからフランスは、きわめて臨時的ではございますけれども、国際収支が赤字になっております。あとは、おしなべて申しますと黒字国であるというふうにお考えいただいていいのではないかと思います。
  65. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 先ほど阿部委員からも質問があったわけでありますが、今日そういう状況を見てみましても、しかもアメリカが非常にSDRの創設を早く発動ができるようにということで急いでおられるというようなことを考えましても、やはりこの八五%条項で、これがそういう状態で批准ができますならば、まっ先にSDRを利用されるのはアメリカではないかということは、これはほぼ常識の線になっている。  大蔵大臣、先ほどちょっと国際信義というようなことから、そのことをそうだとも、そう思われるとも返事がなかったのでありますが、そういうように予測されるということくらいははっきりしませんか。
  66. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は、そうは予測しておりませんです。
  67. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そのお考えの根拠をひとつ示していただきたい。
  68. 福田赳夫

    福田国務大臣 いまアメリカは、とにかくだいぶ国際収支の赤字が続きまして、金も減ってきております。まあ百億ドル割ろうかというところまで来ておりますが、さりとて借金までして身上回しをしなければならぬ国柄かというとそうじゃない。そういう国は、しかしほかにはあるのです。非常に困っておる国があるのです。御承知のとおりです。ですから、アメリカがまず第一にこのSDRを利用する国である、そういう見方は私はしていないのです。
  69. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 それでは、これは秋になるか、あるいは来年になるか、加盟国の批准の度合いによって時期はわかりませんけれども、かりにことしの秋ごろとした場合に、国際的に見てこのSDR発行の条件として流動性不足を緩和する、あるいは国際収支が赤字だ、そういうような赤字でなければならない、しかもかなりの程度に出資もしておってある程度配分も受けられる、そういうような条件を備えて、いまのまま秋あたりまで推移して、そこで発動状態に立ち至ったという場合に、どういう国がまっ先にこれを使う状態になるだろうか。日本はその場合に、一体直接この利益を受ける状態になるのかどうか、こういう点について見通しをひとつ……。
  70. 福田赳夫

    福田国務大臣 まあどこの国がというのは、広瀬さんもう国際社会をよくごらんになっておるので御想像つくだろうと思うのですが、私からこの場で申し上げることは適切ではないと思います。お許しを願いたいと思いますが、日本がこのSDRによってどういう事態になるか、これは日本がかりに国際収支が非常に逆調になっているという際に、この発動を要請する、こういうことがあると思います。つまり、日本としては国際収支の天井がそれだけ高くなる、それだけまた経済の運営のかじとりが容易になる、こういう御利益があるわけですが、同時に、もう一つ見のがしてならぬことは、この間接的利益だと思います。  この発動によりまして、先ほどお話もありましたが、後進国あたりにもかなりこれは好影響があるわけであります。世界貿易の伸びにはかなりいい潤滑油になる。そういうようなことを推定すると、資源の乏しい日本貿易日本を貫かなければならぬわが日本です。だといたしますと、他の国よりもさらにこの恩恵を受ける立場に立つのではあるまいか、そういうふうに考えております。
  71. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 若干仮定の論議になるかもしれませんが、日本が来年度末あたりまでに国際収支が総合で一億ドルくらい赤になるだろう、こういうような見込みが歴然とする、あるいはそれを上回る赤字が見込まれる、こういった場合に、九月段階あたりでこの制度が発動されるという事態を迎えた場合に、日本は早速これを配分を受け、そしてドルを取得するか、あるいはマルクを取得するかわかりませんけれども、すぐにこの制度を利用する、そういう段階に入りますか。
  72. 福田赳夫

    福田国務大臣 日本国際収支の浮き沈みは今後あると思います。あると思いますが、現実の問題としまして、本年国際収支が赤字になるというようなふうには見ておりませんけれども、かりに多少の赤字があるというような状態になりましても、いまや三十億ドル外貨保有しておるわけでございますから、貿易に何らの支障がない。しかし、どうしても貿易にも支障が生ずるというような状態に相なりますれば、SDR発動を要請する、こういうことになろうかと思います。これはもうかりにという話、仮定の話でございます。
  73. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 こまかい問題を少し聞きたいと思うのですが、これは〇・八八八六七一グラムという一ドル当たりの金価値と同じ保証を受ける、いわゆる金価値の保証があるということがいわれているわけであります。かりにこの金価格が一オンス三十五ドルからたとえば四十ドルになったという場合に、この金価値保証というものはどういう変動を受けるわけですか、理論的に。
  74. 福田赳夫

    福田国務大臣 SDR価値がですか。
  75. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そうです。
  76. 福田赳夫

    福田国務大臣 それは何らの変化がないのであります。
  77. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 このSDRはこういう金価値保証ということなんですけれども、ドルの場合には現実に一オンス三十五ドルで、これは政府間の決済をする場合には完全に金と交換されるという最後の保証があるわけです。ところが、このSDRを担保するものは一応理論的に一ドル当たりの金の〇・八八八六七一グラムという数字と合わしておるわけですけれども、しかし、一体その価値を保証するものはどこなんですか。IMFなんですか、それともSDRを利用する国が保証するのですか。一体その価値の保証というのはどういうことになりますか。
  78. 福田赳夫

    福田国務大臣 これはこの協定に参加した国全体の連帯責任であります。
  79. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これは連帯の保証ということですか。その国のSDRである国の通貨を買う、そういう場合に、その国の通貨というようなもの、それが保証のもとになるのだ、こういうことですか——。連帯ということなんてすね。間違いないですね。
  80. 福田赳夫

    福田国務大臣 百カ国が参加すれば百カ国全体の連帯責任だ、こういうことであります。
  81. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 SDRの使用の場合のことですが、配分されたSDRを使用して外貨を取得する。通貨の提供国は、IMF国際収支状態が良好で外貨準備が十分ある国の中から選択して指定する、こういうたてまえになっておりますが、一体国際収支状態が良好——まあ、これは悪いにしても外貨準備が十分であるという判定というものはどういう基準でされると思いますか。これはもちろんIMF総会なり理事会、そういうものでやられると思うのですが、その基準についてはどういうようにお考えでしょうか。
  82. 福田赳夫

    福田国務大臣 お話しのとおり、これから理事会等が構成されるわけでありますが、それらの機関においてこれから基準をきめる、こういうことになります。こまかい運営細目をきめていく、こういうことになります。
  83. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 日本政府としては、この外貨準備が十分ある国ということをどういう基準で、日本政府態度といいますか、こういう方向で判定はしていくべきだ、そういう考えというものは現在お持ちじゃございませんか。
  84. 村井七郎

    村井政府委員 私たちは、やはりそのときの状況によりまして、基準というものはこれはやはり弾力性を持たなければならない、一貫した未来永劫の基準ということであってはならないというように考えております。  非常に大ざっぱにいえることといたしましては、非常に恒常的に黒字を累積して外貨準備が非常にふえておる。逆にいいますと、基礎的にその国の経済に不均衡が生じておらないこと、非常に累積的な外貨準備の積み増しというようなことが行なわれているような国、たとえばそういった国は外貨準備がいい国ということがいえるんだろうと考えております。その他いろいろな基準があろうかと思いますが、それはそのときそのときの状況によりまして、弾力的な基準というものを設定するということではないかというふうに存じております。
  85. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 まだ明確なものがないようでございますが、いずれまたあとで、それらの問題を詰めてお聞きしたいと思います。  さらに、これは最後になると思いますが、時間があまりございません。SDR発動されるという段階を迎えたといたしまして、最初の配分が行なわれるという段階では、アメリカ国際収支が改善される見込みのあることが一つの条件になるだろう。アメリカ国際収支に改善の徴候が見えない場合には、SDRの早期発動というものは相当むずかしい、こういうことが考えられるわけであります。そういった事態というものを考えて、かりに秋あたりに、批准が規定に定めるとおり進んで発動の条件はそろったとしても、第一回の配分をやるという段階というものは二年なり三年なり相当先に延びるというような事態もあり得るんじゃないか。そういうことになりますれば、先ほどの国金局長の説明から考えましても、ニクソン政権を迎えて、一挙にアメリカ国際収支が黒字になるというようなことはなかなか考えられない事態じゃないかと思うのです。そういうように批准が進んで、発動条件は整っても、アメリカ国際収支というものは、非常に強力な配分をする、これがいわゆる実効をあげる段階を迎えるためには、相当年月を要するのではないか、そのように思いますが、その点の見通しをお聞きいたしたい。
  86. 村井七郎

    村井政府委員 先ほど来御議論がございましたように、改善の見通しというものが立って初めて発動の決議が成立する。しかもそれは八五%であるという事態から考えまして、その発動成立という場合には、やはりかなりのきざしがなければ成立し得ない。これは従来の経緯から考えましても明瞭であろうかと思います。現に、たとえばアメリカの実質成長率というものは、国際的にいろいろアメリカ経済を検討いたしましても、かなりやはりことしの下期には鎮静化していくということでもございますし、先ほど来先生も御指摘になりましたように、ニクソン新政権も非常に重要な重点をここへ、インフレ抑圧ということに置いてもおりますので、その徴候というものがあらわれ出しますとわりあい早くあらわれるということが考えられるわけでございます。したがいまして、アメリカ国際収支が改善するという見通しが思ったより非常に早いということになりますと、一年、二年待つという必要性はないわけでございますし、逆にそのきざしが非常におくれるというようなことがかりにございますと、その発動もおくれるということでございますので、その発動条件が成立いたしまして、また一呼吸置いて一年、二年模様を見るということは私はほとんど起こり得ないことではないかというふうに考えております。  したがって、結論的に申しますと、私は、わりあい早く発動され得る可能性がかなりあると存じますので、その前提としてのこの協定あるいは法律の成立というものを早くお願いしたいと思うわけでございます。
  87. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 最後に、大臣にお伺いをしたいのでありますが、国際通貨における各国の非常に広範な、百十カ国にわたる協力体制というようなものが、第三の通貨というか第三の信用というかは別といたしまして、いずれにいたしましても、新しい世界経済発展に必要な通貨ないし信用と思われるSDRというものを生み出した。これをたとえばIMFというものが全世界をカバーするような、一つの世界における中央銀行だ、こういうようなことでやがて位置づけられていく。そうしてSDR世界共通の通貨であるというような事態まで育てていくんだ、あるいはまた、さらにそれを越えて共産圏も一緒に、国連と同じような舞台の中で、国連というさらにワクを広げて——IMF体制の中にはいまのところユーゴくらいしか入っていないということでありますが、いわゆるソ連圏、共産圏というようなものも含めて、少なくとも国連規模というようなものの中で将来の国際通貨体制というものを考えていき、そしてまた、このSDR世界共通の通貨にまでなることが望ましいんだ、非常にスケールの大きい問題でありますが、そういう方向でこのSDRというものを育成していくというか、協力を日本もしていくという気持ちがあるのか、そういう方向でこの問題に対処したいという気持ちがあるのか。非常に短期的な、あるいはまたいまのIMF体制の中での流動性不足を解決する、あるいは国際通貨危機というようなものの回避というような、いわばそういう問題に限定したものでこのSDRの問題を考えていくのか、そのどちらでございますか。そういう大きな構想というものもおありでございますか。
  88. 福田赳夫

    福田国務大臣 SDRは当面の通貨不安対策として編み出されたものじゃないのです。やはり長い目で見た世界経済の或長のために必要な措置、こういうことで考えられたわけであります。当面これはIMFのワク内の問題でありますが、しかし、お話しの趣旨は、世界政治の問題と非常に関係の深い問題であります。世界政治が大きく前進して、そのうらはらとしてのこの経済体制も全世界を包含するようなものになるということにつきましては、われわれ大いにこれを期待いたしたい、さように考えております。
  89. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 以上で終わります。
  90. 田中正巳

    田中委員長 この際、広沢賢一君より関連質問の申し出があります。これを許します。広沢君。
  91. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 重要な点を簡単にお聞きしたいと思います。  大蔵大臣は、きょうの御答弁で、SDR国際的な管理通貨であるということを言われました。これは、私が初め御質問したときの答弁とちょっとニュアンスが違うのです。  そこで、SDRというのは、いろいろな学者の意見もありますが、第一番目に、参加国は一定限度までしか受け取り義務がない、第二十五条四項。それから、引き出し通貨の種類や方向についてIMFが指定する、同条五項。それから、原則として国際収支上の必要にしか使用できない。全部普通の通貨のように使用できない。それから、部分的に復元、返済の義務がある等の制約条件から見て、通貨よりも信用である、こういう意見が非常に強うございます。  それから、この協定の案を見ますと、全体を通じていえることは、いろいろな学者の意見もありますが、たとえば今回のIMF改正は二つの面を持っている、一般的にはSDRが金の廃位を進めたもの、表面的なものと解しているけれども、それは違うんだというのですね。逆に旧規定の修正のほうではむしろ金の復位がはかられ、金と信用の区別、ゴールドトランシュの無条件性とクレジットトランシュの条件性、一時性の明確化が厳密になっている。これは非常にいい方向だと思うのですが、これは結局アメリカのしり抜けに対して、  EECが拒否権をもってびしっと規定した。アメリカドル救済のためにSDRを早く発動するために、何とかこれをのんだ。これが実際の実情だというのですね。私もそう思います。  それで、たとえばシュバイツァーIMF専務理事の有名なことばで、金を非常に高く評価していますね。いろいろ苦労して通貨安定のことを考えた場合に、結局のところそこだと思うのです。そうしますと、たとえば下村さんという有名なインフレーショニストですか、ずいぶん粗雑な経済理論をやっておる方、あの下村さんの意見は、大体これはりっぱなペーパーゴールドで、これがずっと国際通貨発展するのだというようなことを言っているのです。だからインフレーショニストなんです。そういう国際通貨というものについてのいろいろ厳密な判断、それを私が質問したときに、大蔵大臣はびしっと、大体そういうような気持ちだという基本的観念をお示しになったのですよ。私が矛盾みたいなものですねと言ったら、国際的な矛盾だ、大体そう思いますという御返事だった。ですからこの際、国の管理通貨である、国際的な管理通貨であるというような観念を持たないで、シュバイツァー専務理事が言っているような方向をきちっと確認して、その上で現実通貨体制の問題に取り組むということ、これが一つ。  もう一つは、トリフィンという人のあれがありますね。これもやはり金に結びついた、金価格を引き上げて、それでIMFに使用権を委託する。多くの学者は大体この案ならばこれは国際通貨成長するだろう、こういう意見なんですね。ですからSDRをトリフィンのような本格的なものとは区別して考えないといけないと思いますが、以上二点、どうでしょう。
  92. 福田赳夫

    福田国務大臣 私がきのうあなたに申し上げたのは、SDRというものは現金通貨という面も持っております。同時に信用通貨、つまり管理通貨ですね、そういう面も持っておる、こういうことを申し上げたことを私は記憶いたしております。きょうもそれと同じことを申し上げたのです。それからさらに、きょうはそれにつけ加えて、さて通貨ならどういう通貨だ、こういう場合において、これは管理通貨だというふうに考えるということを申し上げたので、まあ私も学者じゃありませんから、非常にこまかいことは存じませんけれども、私どもが大体常識的に理解する範囲においてはそういうことかと思います。
  93. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 確かにこれはシマウマみたいなもので、黄色と黒とありますけれども、概して信用のワクだという御意見が多いようです。私が強く申し上げていたのはIMFの方向です。いろいろな各国議論があって、それで大体先ほどのシュバイツァーのいろいろなあれとか、それからこの案全体がそういうしり抜けのところを引き締めてきている。そういう動向をよくごらんになって、それでいろいろと堅実な方向をとらなければならないという点が一つ。  それから、トリフィンについては、国際金融局長のほうから、大体これはSDRと違ってその方向だということをお聞きしたいと思います。
  94. 村井七郎

    村井政府委員 トリフィンが申しますことは実は二つございまして、一つは、ねらいは金価格の引き上げということが彼の持論でもございます。いま先生が御指摘になりましたのは、その二つを一つにいたしまして、金価格を引き上げながら、しかもその金を一カ所にプールして、そこから信用を創出するということをやれば、金は、彼の理論によると、現在の三十五ドルから引き上げられるわけでございますから、非常に多額の見返りの信用創出ができる。これで国際流動性の不足に対処できるんじゃないかというのが彼の主張でございますが、これにつきましては、そういう引き上げをいたすということ自体にかなりの問題がございます。先ほど来から問題になっている問題がございますし、かりにそういたしましても、その見返りといたしまして創造します新通貨、これが一体どういうもので、かつどれだけの量を創出するかということは、かなり問題になってくるわけでございます。  したがいまして、その創造された通貨と申しますのは、SDRと一体どこが違うのかといいますと、それは各国が拠出いたしました金を担保にしておるか、あるいはSDRのように、各国がその国の責任において、つまりその国の国力、経済力を担保といたしまして拠出するということと、どちらがどうであろうかという問題になってくるかと思いますが、私たち感じでは、これからの方向ということを考えまして、なるほど現実では金はかなり重要なウエートを持っておりますけれども、これからの管理通貨体制の方向という長い目で見ますと、これは何と申しましても、各国経済力を担保として総合的な力の担保のほうがより大きい力ではないか。たとえば日本はわずかしか金を持っておりませんが、そういうものを担保にするよりも、日本経済力というものを担保にしたほうがよほど担保価値があるというようなこともございまして、私は、長い目で考えてみますと、そういう金に非常にリンクした、固着した、それの見返りでなければ流動性の不足を補えないというような狭い範囲のものよりも、こういうSDR各国の共同責任において創出する、経済力全体を担保とするという制度のほうが、どちらかというと一歩進んでおるのではないかという感じがいたします。  これはもちろん私見でございますので、御容赦願いたいと思います。
  95. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 もうやめますが、この問題は重要な問題ですから……。  国際的な管理通貨といったって強制力がない。通貨の一番基本的条件である強制力がないんですよ。それから、いろいろ通貨量がどうのこうのといったって、いままでの御答弁では、どこまでが適正かということはわからない。しかも各国は激しい競争をしている。そういう国際通貨という問題とそれから日本の円の管理通貨という問題、だから担保といっても、ちゃんと各銀行は日銀にいろいろ出す、社債でも株でも何でも出すが、そういうものと違うんですね。ただばく然とした経済力を担保するなんていったって、それをどのくらいに見積もるかということは答えられないでしょう。そういうことを考えた場合に、もう少し学者を動員しまして、下村さんみたいなああいうインフレーショニストの話ではなくて、きちっとこれから詰められることが重要ではないかと思います。  以上です。
  96. 田中正巳

    田中委員長 田中昭二君。
  97. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま提案になっております二法案は、私で終わるわけでございますが、さきに他の委員の方からいろいろの御質問がありまして、重複する面もあろうかと思いますが、ひとつ丁寧にお答え願えますれば早く終わるかと思います。  まず、最近の国際通貨は、ドルもポンドもフランもマルクも、それぞれ問題をかかえて、戦後二十余年続いたわけでございますが、IMF体制は、いまや崩壊の危機に瀕している、そういう状況であります。IMF体制は、一九三〇年代の無秩序な国際経済に対する反省から、国際協力を基本とする国際通貨体制をつくり出したものでありますが、いまやアメリカの指導力、すなわち、ドルが衰退したために、世界は多極化して、相互協力の精神が薄れてきた、このように思います。  今回、第三の通貨ともいわれるSDRが創設せられたわけでありますが、この制度は、特に各国が相互信頼と協力の精神がなければ、その運営はなかなかうまくいかないではないか、このように思いますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。
  98. 福田赳夫

    福田国務大臣 大体お説のとおりだと思います。結論は、全くお話しのとおりでありまして、この制度は、各国信頼の上にのみ立っている。これは各国連帯協力体制そのものである、こういうふうに思います。  これがどうして考えられたかと申しますると、戦後、科学技術の異常な発達があり、これを受けて経済成長というものが、戦前に比べると飛躍的な高さで伸びていく、こういうことであります。それに対して金の供給、国際通貨の供給、これが相伴わぬ。それがまた今度は、逆に国際的な経済成長を阻止する要因にもなるし、また、特に国際収支に弱い立場にある国々に大きく響いていく、こういうことです。そういうようなことを考えまするときに、どうしてもここで経済成長に見合うところの国際通貨、これが必要である、こういう考え方が出てくるわけでありまして、これはもう数年の長い間、IMFを中心に何か新しい流動性、つまり、決済手段がないものかということが検討されておったわけでありまするが、昭和四十年になりまして、大体ただいまのような考え方がクローズアップされてまいりました。これが、いろいろ国際金融社会において論議された。  ただ、その間において、特にフランスがこの考え方に対しまして大きな疑問を投げかけておったわけであります。つまりフランスは、金というものが依然として金融の世界決済手段の基本でなければならない、こういうような考え方、これが、またおそらくフランスの国益——当時フランスは金を多額に保有しておった。それがフランスの国益にも合致するゆえんではないかと思いますが、ともかくフランスは、この国際社会の中でただ一人というくらい孤立的立場ではありましたけれども、この考え方に対しまして大きく疑問を投げかけた。したがって、この新しい通貨流動性の構想の具体化というものがおくれておったわけでございますけれども、年とともにやっとこれが具体化する段階となり、協定が結ばれるというところまで来たわけであります。  そういうことで、たまたまヨーロッパ通貨不安というようなものも出てきている、そういうようなことを考えますると、長い目で見ての世界経済のために創案されたこの新しい流動性ではございますけれども、当面の通貨不安にさしあたって非常に大きな役割りをなしていくことになるのであるまいか、そういう見方をいたしているわけであります。
  99. 田中昭二

    田中(昭)委員 戦後の世界は、戦争で荒れ果てたヨーロッパやアジア等に対して圧倒的な経済力を持っているアメリカが、いわゆるドルを放出してその復興をしたのでありますが、この場合も、大多数の国においては常にドル不足に苦しんだ。ドルは一部の国に集中して偏在しました。今回、SDRが創設せられることになりましても、やはり同じ現象が起こってきて、SDRドルにかわって偏在するおそれはないでしょうか。  また、アジア、アフリカの低開発国発展途上国では、これによって恩恵を受けることは少ないのではないか。恩恵を受けるのは、むしろIMFの割り当て額の多い先進諸国であるともわれておりますが、この点はどうでございましょうか。
  100. 福田赳夫

    福田国務大臣 これによって恩恵を受ける国というのは、私は、むしろ弱小国というか発展途上の国々ではないか、こういうふうな感じがいたします。つまり、いま世界の大勢は、これはもう東西問題というよりも、むしろ南北問題、低開発国をどうやって開発し、世界の繁栄に参加せしめるか、こういう課題になってきている。これは国際経済社会においては、もうほんとうに大きな流れとなって動き出しているわけであります。そういうときでありますから、この低開発国といえども、IMF機構、この協定に参加しているという限りにおきましては、この決済手段SDRの恩恵というか利益は受けるわけでございますが、同時に、経済の進んだ国々が、さらにその経済発展させる、そして経済発展させた国々の役割りは何かといえば、ただいま申し上げましたように、後進国の援助、これはもう世界の大きな流れです。その世界の流れに対して、先進国というか、発展をなし遂げた国々が大きくさおさすことができるか、こういう状態なんで、私は、そういうことを考えますと、開発途上国、これの受ける利益のほうがむしろ大きいのじゃあるまいか、そんな感じがいたします。
  101. 田中昭二

    田中(昭)委員 まあ、大臣の確信ある御答弁ですから、大体そのように——なかなかその形のとおりいかない、経済自体が生きておりますから、なかなかいかないと思いますが、その場合にも、わが国の国益が損せられないような経済体制に持っていかなければならない、このように思うわけです。  次に、先ほどのフランスの問題ですが、フランスがばく大な金を保有して、フランは当分は安泰である、そのように見られておりましたが、昨年の五月危機を転機として、一朝にしてその弱点を暴露してしまいました。また、ドイツも、国際収支の黒字を続けておりますが、外貨準備は累積する一方でありましたが、それがかえって世界の非難を受け、マルクの切り上げを強要されることとなったのであります。  今日の日本の円の地位は、このドイツのマルクの地位に近づきつつあると思います。フランスドイツの例を、わが国通貨政策を行なう場合、いかなる教訓として受けとめていいものかどうか、大臣の御所見を承りたい。
  102. 福田赳夫

    福田国務大臣 フランスが、昨年の五月、非常な経済危機に見舞われたわけでございますが、これは実は、金融の方面からじゃないんですね。これは問題は、金融じゃなくて、経済自体にあったと私は見ております。金融の方面から見れば、六十億ドルの金を保有する、世界でもアメリカに次ぐ金の保有国である。金の水素爆弾を持っておるとまで豪語したドゴールだったわけです。ところが、五月の学生の問題がゼネストに発展した。ゼネストというものは、これはもうおそるべきものだと思うのですね。あのゼネストによって失われたフランスの生産、これはまあいろいろの見方がありますが、多く見る人は、五十億ドルを失った、こう言うのです。ですから、これは金の保有にすぐ響いてくる。輸出の減退、輸入の増加ということを伴いまして、金の保有に響いてくる。現に、金はずっと減ってまいりまして、いま四十億ドルぐらいになっておる。半年もの間に二十億ドルも減る。これはもう、生産の減退が端的にそこにはね返ってきた。  そこで問題は、どういうことに発展したかというと、そのおそるべきゼネストを回避するために、ドゴール大統領が労働組合との間に約束をしておる。賃上げです。フランス経済成長率が非常に少ないです。まあ三%、四%の成長の国です。その成長ですから、賃金の上がりというものは大体そんな程度で上がってきたわけです。そのフランスにおいてドゴール大統領が、ゼネストを収拾するために、一三%ないし一五%賃金の引き上げをしよう、こういう協定をした。これが非常な大きな問題になり、消費者物価の暴騰となり、そうして、これはフランの前途はどうなるかわからない、さあフランは逃げろ逃げろというので、ドイツドイツへと逃げた。これが金の喪失になってあらわれてきておるわけです。そこに問題があるわけなんでありまして、やはり経済発展させようと思いますると、どうしても政治の安定、これがもう最大の課題である、こういうふうに考えるわけであります。  いま、いろいろな社会問題、わが日本にもありまするけれども、これがゼネストに発展するというような事態でも万一ありますれば、日本の国はもう、外貨三十億ドルなんていいますが、槿花一朝の夢だ、こういうふうに思います。政治の動き、まあ社会は改革し、そして改革していかなければならぬけれども、しかし、これを転覆するような急激な試み、これじゃ国を非常に苦しいところへ持っていってしまうというふうに思います。私は、ドゴール大統領のあの五月の問題を顧みまして、日本も戒心して政治に臨まなければならぬ、かように思います。  また、ドイツにつきましては、私はむしろ考え方は逆です。とにかく、あれだけ破れたドイツがよくもここまでやってきたと、もう敬意を表するばかりであります。しかも、マルクの切り上げを諸国から要請されるというようなところまで来ておる。これはもう、ドイツ経済がそこまで強大になってきておるからです。それは何かというと、ドイツ人がほんとうに勤勉努力、それ一筋にやってきたという点であった、こういうふうに思うわけです。  ただ、金を多く持ち過ぎるというようなことが一体どういう利益があるだろうか。私は、先ほど申し上げましたが、外貨、つまり国際決済力のその保有のしかた、これは金を幾ら持っておっても、これは利息を生まないんだ。やはり利息を生む形のもの、これを保有というそのメリットも十分考えて、国際決済手段保有方法というものを選択しなければならぬというふうに思います。あまり持ち過ぎる必要もない。持ち過ぎて、そうしてこれが政治的にその国、ドイツの国の立場を悪くするようなことがありますれば、これもまたマイナスの要因になると思います。その辺は、ほどほどにやったらどうかと思いますが、基本的には、ドイツ経済のあり方については敬意を表しております。
  103. 田中昭二

    田中(昭)委員 ポンドの凋落は、イギリス経済そのものが衰退したためであると思います。また、そのポンド決済をしていた英国の各連邦諸国が、イングランド銀行への預金を一度に引き揚げた、そういうのが一そう大きな撹乱要因となったといわれておりますが、最近、円の地位が上がって、アジアにおける指導的通貨となり、円によって決済しようとする機運があるようであります。その場合、日本国内経済が、イギリスの例のように、他国の都合によって撹乱されるおそれがあると思いますが、この点はどうでございましょうか。
  104. 福田赳夫

    福田国務大臣 まあヨーロッパ経済をずっと見ておりますると、その撹乱の要因ですね、いろいろありますが、たとえば戦前の英国の危機、また一昨年の英国の危機、それから去年のフランの危機です。フランスの五月危機ですね。ああいう大きな危機状態を見ておりますると、これは短期資金の移動というものが根源にあるわけなんですね。さらに、その根源をさかのぼれば、政治不安、社会不安なんですが、さあさあこの国の先々はあぶないぞと言うと、置かれておるところの短期資金、これがロンドン市場を引き揚げて、ドイツへ行くとかパリに移るとか、そういうようなことになる。今度フランスがあぶないぞ、これはゼネストだ、これはドゴール政権がひっくり返る、その先はどうなるかというような心配をするような事態がありますると、フランスに滞留するところの短期資金というものが、今度はドイツへ逃げる、アメリカへ逃げる、さらに日本に逃げてくる、こういうようなことになる。この短期資金の流動というものに非常に神経過敏であるのがヨーロッパの諸国であります。  わが国は幸いにして、ドルで表示されあるいはポンドで表示されるところの短期資金、これらの流通する国々と遠いものですから、そういうおそれというものは全然感じないで今日に至ったわけでございまするけれども、さらに日本国際的地位がだんだんと高まってくる、また、世界の自由交流というものが進んでくると、短期資金移動の波紋というものがわが日本にもくる傾向があると思います。現に昨年あたりから、日本の証券を買うという勢いが非常に盛んになってきておることは、御承知のとおりであります。また、証券じゃありません、ユーロダラーが日本に入ってくる、こういうようなこともある。十九億ドル外貨が一年間に三十億ドルになる、これは何だというと、貿易の面の黒字も幾らか貢献をしておるのですが、その大かたは資金関係、しかもその中にはかなりの短期資金の動き、証券買い、それが響いておるということなんです。そういうようなことを考えますと、私は昨日も申し上げたのですが、どうも日本外貨がふえたということ自体は、あの数字ほどの楽観をしちゃならぬ。喜ばしい、いいことには違いないけれども、数字ほどの楽観をしてはいかぬ。同時に、日本に入ってきておる短期資金というものは、日本社会情勢がどういう変化を示すか、その情勢いかんによりましては、これがすぐまた逃げて帰る。また、証券も売り払うという動きに転じないとも限らぬ。そういうようなことをなにすると、この短期資金はよほど気をつけていかなければならぬし、同時に、そういうことのないような政治の安定というものに努力をしていかなければならぬ、かように考えておるわけであります。
  105. 田中昭二

    田中(昭)委員 金の価格が一オンス三十五ドルときまったのは、もう三十年以上も前にきまったことだと思いますが、その間、物価はどんどん上がりまして、数倍に上がっておるわけでございますが、この点から見ると、金の価格を数十年くぎづけにしておったということは不自然ではないか、こう思うのです。いずれ、これを引き上げざるを得ないのではないかと思いますが、大臣のお考えを聞いておきたいと思います。並びに、金の価格の引き上げに備えて、政府は十分なる対策をとっておられるかどうか。  次に、ロンドンの金の自由市場では、最高一オンス四十二ドル五十セントにまで高騰しました。このような金の二重価格制度について、今後どのような見通しを持っておられるか、お伺いしたいと思います。
  106. 福田赳夫

    福田国務大臣 お話しのように、諸物価は高騰しておるが、金の価値は据え置かれておる。これが一見するとアンバランスを生じておるような形でありますが、しかし、金は国際決済の手段として使われておるわけでありますから、国際決済のものさしとしての任務を持っておる金の価値をしばしば変えるということになりますと、これは国際貿易に非常な影響があるというようなことで、ほんとうは直したほうがいいんでしょう。いいんでしょうが、直す機会を見失いつつ今日に至っておるというのが現状だと思います。私は、いずれはこの金の価値の改定という時期が来ると思うが、しかし、いま国際通貨不安といわれているこの時期、これは適当であるとは考えません。おそらく国際経済社会国際金融社会というものは、いま不安状態を残しておる今日この時点において、金の価値の改定を試みるということをいたすようなことは断じてあるまいと考えるのであります。変則な形でありますが、二重価格制というものが採用されておる。この形で当面の一期間は切り抜けていくのではあるまいか。  その先一体どうなるかということでございますが、私は、ベトナム戦争がどうなるかということが世界通貨状態に非常に大きな影響を持つと思うのです。ベトナム戦争が終わるということになる、アメリカのあそこに用いる戦費もなくなるということになりますれば、アメリカ国際収支というものはほんとうにぴんとしてしまいます。ぴんとすれば、アメリカドル価値というものが上がってくる。そこで、アメリカドルと金との関係というものははなはだしく変わり、改善された形になる。そういうようなことになると思うのです。ですから、ベトナム戦争の推移なんかよく見ないと、金とドルとの関係はどんなふうになるだろうか、的確なことを申し上げられませんけれども、とにかく危機の間において——危機というか通貨不安がある間において、金の関係というか、金価値を動かすというようなことは万々あるまいと私は見ております。
  107. 田中昭二

    田中(昭)委員 それはそれとしまして、わが国の金のそういう問題に対して、ドル価値が上がるにしろ現在のままが続くにしろ、どっちにしろわが国としては金の価格については何も考えていない、こういうことでしょうか。
  108. 福田赳夫

    福田国務大臣 いまわが国は金保有が三億六千万ドルくらいです。これは二十億ドル外貨のころの三億六千万ドルなんですね。でありますが、いま三十億ドル外貨になり、貿易量ももう百五十億ドルになろうとしておるわけなんです。そういうようなことを考えますときに、いままでの二十億ドル、百億ドル輸出というときの状態で金を保有するということは考え直す必要があるのではないか。しかし、金を買おうといたしましても、なかなかいま買えない状態なんです。二重価格制下ではなかなかこれはむずかしい。むずかしいのですが、基本的な考え方といたしましては、金の保有をもう少しふやしていったほうがいい、機会があったならばふやしたい、さように考えております。
  109. 田中昭二

    田中(昭)委員 わが国の金の準備高は三億二、三千万ドル程度と思いますが、国内の金の生産高、また工業用並びに装飾用等の需要高を教えていただきたいと思います。また、政府は産金のためのいかなる政策をとっているか、補助金等の交付を行なっているか等について教えていただきたいと思います。
  110. 奥村輝之

    ○奥村説明員 現在、国内における産金量は十六トンくらいだったと思います。私ども、この二、三年でございますが、どうしても国内産金では国内増大する需要をまかなえないので、輸入を増加してまいりました。本年度は、最初は十トンでございましたが、去年の秋に改定をいたしまして二十トンの輸入をするということで、国内の需給関係については万遺憾なきを期しておるという体制で臨んでおるわけでございます。  なお、金山の補助については、これは金の何トン当たりの補助金という制度は認められませんで、探鉱調査というような名目でもって補助金を出しておるわけでございます。
  111. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまのわが国の金の生産高でございますが、いわゆる需要関係、工業用、装飾用にはどのくらいになっておりますか。
  112. 奥村輝之

    ○奥村説明員 詳しく数字を申し上げますと、四十三年度の国内の供給のほうは三十八トンでございます。国内鉱出が七・七トン、海外鉱出が八・三トン、小計十六・六トン、政府売却二十トン。需要のほうはいろいろございますが、詳しく申し上げますと、歯医者など七トン、電気通信機器、機械部品が四・九トン、メッキ用七・一トン、装身具類十一トン、勲章徽章二・二トン、陶磁器、万年筆合わせまして三トン、金張り〇・六トン、時計〇・八トン、その他一・六トン、こういうふうなことになっております。
  113. 田中昭二

    田中(昭)委員 最後にIDAの活動でございますが、この活動が、発足以来、逐次発展途上国の借り入れ申し込みも多くなっているようでございますが、そのたびに増資を重ねております。そのような増資がわが国の金融界並びに経済界に対する影響はどういうものでしょうか。
  114. 福田赳夫

    福田国務大臣 わが日本世界の第三の経済国になった、こういいますると、小さい日本である間はだれかの世話になっておりましてもいいのですが、そこまできた日本としますと、日本がこれから生きていく、また伸びていくためには、やはり日本ひとりではできない、国際社会とともにでなければできないので、やはり開発途上の国々日本なりに援助しまして、また、それらの国々と一緒になって日本も伸びていくという考え方に大きく転換しなければならない、そういうふうに思うわけです。  そういうようなことを考えますと、IDAというような制度がある。これは後進国援助ということで国際的に設けられたものでありますけれども、わが日本もこれに参加しておる。参加しておりますが、さらに増資が行なわれるという機会に日本も増資に参加をする。そうして後進国、つまり開発途上国の援助を大いに進める、そういう形によってわが日本地位も増加するというのが適切なことであろう、かように考えております。
  115. 田中昭二

    田中(昭)委員 以上で終わります。
  116. 田中正巳

    田中委員長 村山喜一君。
  117. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 関連して。いま福田大蔵大臣答弁を承っている中で、一言だけ気にかかることがありますからお尋ねしたい。  それは、いまのように国際通貨不安の状態の中にあっては、ドルとそれから金のリンクの措置を変更するということはあり得ないだろう、こういうことをおっしゃっておる。今度のニクソン新大統領のブレーンになりましたケネディが閣僚に就任しました。その前には、金の価格の変更については何ら触れてなかった。ところが、財務長官に就任をすると同時に、金価格の変更というものについてはあり得ないのだということを言った。そういうようなこともありますが、しかし、いずれはやはり、今日ドルがこういうような状態にある限りは、大蔵大臣おっしゃるように、金とドルとの価値の上から、これを均衡をさせていかなければならない事態がくる、こういうふうに私考えるのです。大蔵大臣もそのことをおっしゃった。  そのときに、一体それだけ考えたらいいのかということになると、もう一つ問題があるのは、三十年間、一オンス三十五ドルという価格でずっと来ている。それに基づいてこの固定為替相場というものが今日まで維持をされてまいりました。それは、日本の場合には一ドル三百六十円という為替相場ができましてから、もうずいぶんになります。世界各国の場合も、二十年このかたずっとそのまま固定的な為替制度というものが維持されてきた。ところが、その間において、日本の場合は西ドイツと同じように非常に生産力に力が出てきた。それに比べてイギリスのポンドなど、イギリスの生産力は下降状態に入っている。その中でポンドは平価の切り下げがあったわけですが、そういうような状態の中で、二十年の歴史の中では諸国の平価の不均衡発展という問題が出てきていると私は思うのです。その不均衡発展があればこそ、それがいわゆる是正をされていないからこそ、御承知のように投機的な資金が移動をしていくというかっこうの中で、国際通貨の不安が生まれてきた。だから、諸国間の平価の不均衡発展が是正をされたら、そういうような投機性の資金の流れというものは少なくともチェックはできる、だから、それだけ国際通貨というものは安定性が期待ができる。  ですから、やはりこの際、金の価格ドル価格との調整の時期の問題にも関連をしてくると思うのですが、諸国の今日の平価の不均衡発展を是正をする時期というものも当然同時に考えられなければならないんじゃないか、私はそう思うのですが、その見通しについて、大臣、どのようにお考えになっておるか、お答えいただきたいと思います。
  118. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は、先ほども申し上げたように、金とドルとの問題ですね、これは理論的に言うと、どうも直さなければならぬ関係にあると思うのです。しかし国際通貨不安、この間にそういうことを試みることはあるまい。また、その間にベトナム戦争というものが片づくかもしらぬ。そうなると、またドルが強化されて、そういう問題を考える時期がなくなるかもしれない、こんなような見通しを持っておるのです。ですからこれを、さあドル、金の関係はどうだ、こういうふうに開き直って聞かれると、まあまあちょっと何とも言えない。しかし、当面は二重価格制度というものが堅持されていくであろう、これはケネディ財務長官と同じようなことを言うことになります。  それで、いまの話は、さらに国際社会において国々の平価関係をどうするかという問題が起こってくるんじゃないかというお話でございますが、私は、そういうこともあり得ると思うのです。ただ、これもいま問題になっておるヨーロッパ国々、これなんかにおきましても、国際協力体制というものがかなり進んできておりますので、平価の改定をしないで行けるところまでは行ってみようじゃないかという協力の努力がなされる、こういうふうに思うのです。まして、今度新しいSDRというような第三の通貨も出てくるというようなことになりますれば、また危機を救う一つの手段というものが加えられた、こういうことになりますので、危機だ危機だと言われながらも、息長く平価改定までいかない状態が続くんじゃあるまいか、そういうふうに思うわけですが、どうもしかし、国際経済社会のことをあんまりはっきり言うと、見通しの違うことが多いですから、この辺でやめさせていただきます。
  119. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 これでやめますが、私は、やはり投機的な資金の移動が国際的になされるところに問題があると思うのです。それはやはり諸国の平価の不均衡発展があるからだという状態をこれは認識しなければいかぬ。日本の場合は、われわれがドルを持っていると処罰をされますね。だけれども、ヨーロッパの国においては、自国の通貨を持とうがドルを持とうがポンドを持とうが、これは自由でしょう。だから、そういうような力の強い、マルクのほうが強いと思ったらマルクを買い、そして自分のところのフランが弱いと思ったらそれを捨てて資本が移動する。そこに、投機性の資本の移動が行なわれるところに国際通貨の不安が生まれているわけです。ということは、やはり私たち外貨関係の上においても、今日もっと考えなければならない点があるのではないか。それらの点を指摘をして、やはりこの問題はドルと金との問題に関連をして考えるべきものだという意見をつけ加えておきたいと思います。
  120. 田中正巳

    田中委員長 次回は、来たる二十八日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十一分散会