○渡辺(惣)委員 午前、午後にわたりまして
参考人の方々の御
意見を拝聴しておるわけですが、特に午後の自治体
関係の人々のお話には全く胸に迫る思いをするわけであります。きょうはこの皆さんのなまなましいお話を聞かしていただくにあたりまして特に皆さんに一番深い関連を持つ問題について、われわれだけではなしに
関係官庁の諸君も列席を願って
意見を承り、そしてこのあとの
委員会での皆さんの
意見を実現するための討議が
関係官庁の諸君の十分の
心がまえと
参考となりますことを期待しておったわけでございます。しかし、残念なことに、きょう列席しております役所側は、通産省、労働省、厚生省、経済企画庁であって、いま問題が集中しております肝心の自治省と文部省が
出席をいたしておりません。私はこのことを非常に残念に存ずるわけであります。たまさか内部のことを触れて恐縮なんですが、二、三日前に通産省の人事異動が行なわれて、鉱山
石炭局長、それから石炭部長、
計画課長が転任になったばかりであります。きょう新任の局長、部長さんが列席のはずでありますが、新任された局長、部長は、きょうの
参考人の方々のなまなましい生きた話を骨身に徹して聞いておいていただきたい、この問題については次の
委員会――きょうは時間がありませんから、ほんとうは
参考人のいらっしゃる前で直接ここで役所側にいろいろ御
意見に対する質疑で明らかにすることが一番いいと存じますけれ
ども、時間の
関係上できないことを残念に思います。次の
委員会等でひとつ
関係官庁の人々に特にこうした問題について
意見を伺うことを前提にいたして、
参考人に対して質疑いたします。
それで、たいへん恐縮なんですが、
全国で知事会を代表してたった一人、
北海道の副知事にわざわざおいで願いました。那須副知事は私は二十年来懇意な仲で、ここで私的なことを申して恐縮ですが、非常に御熱心に
石炭政策に取り組んでいられる。しかし、きょうお呼びしたのは
北海道知事なんです。
北海道知事をお呼びしたのであって、知事が見えなかったということは、あなたに対して非常に敬意を表しておるのですけれ
ども、知事が来なかったということについて、私は非常に遺憾の意を表明せざるを得ない。せっかく来てくださったのにたいへんよけいな苦情を申し上げて恐縮ですけれ
ども、あなたはその点をひとつ知事に申し伝え願いたいと思います。
石炭政策につきましては、九州の福岡の亀井知事さんにいたしましても、佐賀県の池田さんにいたしましても、きわめて熱心に県の重大問題としてみずから陣頭に立ってやっておられますし、あらゆる
努力を積み重ねてきたことはわれわれも認めております。しかし
北海道の知事は、
昭和三十五年に知事になられてからまだ一度もわれわれ国会の中ではお目にかかっていないのです。来られるのでしょうけれ
ども、われわれを訪問したり
意見を交換したことは一ぺんもないのです。これはふしぎきわまることなんです。でありますから、これは勘ぐるわけじゃないですけれ
ども、たとえば明治鉱業の九州と
北海道の
閉山問題でも、これは九州が勝ったのは、九州の知事が一生懸命やったからだ、
北海道の知事は何もやらぬじゃないか、こういううわさまで出るくらいわれわれもまことに
立場に困りますし、面はゆい思いをいたしておるわけでございますが、私はこの際、那須副知事には非常に御苦労かけて、私個人としてはまことに恐縮なんですけれ
ども、
北海道知事は一体どういう
姿勢でこの石炭問題に取り組もうとしておられるのか、道の基本的な
姿勢をひとつ明らかにしていただきたいと思うわけであります。あなたにはたいへんお気の毒ですけれ
ども、そういう
状況にあるのですから、道の基本
姿勢をどうしたらいいのか、どういうように取り組んでおられるのか、これからどうするのかという点について、ひとつ知事のきちっとした
姿勢を出してもらいたい。なぜと申しますには、いま九州の方々の御
意見を承りまして身にしみて思っておるのですが、若干の九州と
北海道の地域差がある。それは九州は平場に
炭鉱が全部ありますから、しかも長い歴史を持っておりますので、九州のほうでは山が
閉山になったりいたしますと、相当の人口が滞留して、人口が加速度的に減らないかわりに、人口があべこべに地方財政の負担になって、非常にあとの
対策に苦慮されたということがあると思うのです。ところが
北海道の
炭鉱は、これは全部山奥の遠隔の地で、石炭があればこそ開かれた地帯で石炭の
生産が行なわれておりますから、その山が
閉山になりますと、もう地域ぐるみ全部だめになってしまう。学校のかけらも残らなくなってしまうという
状況になるわけであります。それだけに、ごく最近の例でも、沼田町の明治
昭和及び大刀別が
閉山になりますと、たちどころに中学校と小学校は一学期で全部閉鎖、家は
一つもなくなってしまって、残ったのは鉄筋のアパートだけが残る。それも野ネズミの巣や山賊の巣になっては困りますから、国有地であるから明け渡さなければいかぬ、爆薬をしかけて全部撤去しなければいかぬという
状況に置かれるほど、
北海道における
炭鉱閉山というものはまた九州等と異なった姿があると思うのです。しかし、
状況のいずれにかかわらず、地方財政の負担にかかってくることは避けがたい著しいものがあると思います。
先ほど坂田さんがおっしゃっておりましたような、三十五年度では
全国の平均も産炭地の平均も弾性値の数はいずれも六二%であるという
状況ですが、これが四十一年の数字でいきますと、今度は
全国が七〇に、高度経済成長で地方財政は
全国平均が伸びておるのに、産炭地は四一・九%にがた落ちをしている、こういう
状況にあるわけです。ことにそれが市町村税の場合になりますと、歳入総額に占める市町村税の比率は、これもまた三十五年は
全国平均が四二・八%で、産炭地は三七・六%であったものが、四十一年になりますと、
全国は四九・五%、五〇%の伸び率を示しておるのに、産炭地は二七・八%という全く
全国から見ると半減の
状況にあるというのが数字で示されておるのであります。でありますから、地方財政を担当していらっしゃいます
現場の皆さまがどんなに帯労しておられるかということをしみじみと感じさせられるわけであります。
私は、問題を区切りまして、特に
教育の問題――前提に申し上げましたように、文部省が来ておりませんので非常に残念ですが、この
教育の問題について指摘をしたいのです。
地方財政の中の市町村財政のうちにおける行政全体に対して
教育費の占めておる比率が、建築費を含んで
全国の平均が二一・九%だといわれておりますのに、私の地元の
北海道では、夕張市で一四%、
美唄市で一二・七%、三笠で一一・三%、今度北星
炭鉱が
閉山になった栗沢町で一二%というような
状況になっておって、非常に地方財政が痛めつけられておると想像するのであります。
そこで岡山さんにお尋ねいたしたいのですが、夕張市の人口、いま私の
手元にある記録では四十二年度までしかないのですが、三十五年度には十万七千九百七十二名、十万八千の人口があったのが、四十三年に八万一千四百五十三人に減っておる。実に三万人近い落ち方です。その中で生活保護を受けている人が、三十五年には千二百三十六人、全体の二・四%だったのが、いま二千六百人になっておる。総人口の三一・八%を占めておる。これが四十二年ですが、いまの進行
状況は一体どうなっておるのか。それから、これら生活保護者に対して市費の持ち出しが三十五年には九百万円であったのが、四十二年では七千四百万円の市費の持ち出しになっておるという数字がここにあるのですが、これが最近どういう
状況にあるのかということをお伺いをいたしたいと思います。
それから、いま佐賀県の大町の町長さんが触れられておりましたが、
教育上、青少年の不良化がどんなふうな
状況になってきておるのかという点について、ここには一応今年七月に学校の
先生方が発表した夕張の資料があるのですが、これに対する
対策というものがどういうように行なわれてきておるのか、膨大な非行化が出てきておる、そういうことに対する
措置等にどういうように取り組まれておられるのか、この点について。それから、そういう
状況について
関係上部機関、道及び政府
関係等はどう
措置をしようとしておられる
状況にあるのか、その点についてお話をお願いいたしたいと思います。
それから次に、中小
企業の問題について、これは副知事になると思いますが、私は、最近の加速度な
閉山の中で地域ぐるみ――これも先ほどの九州の
状況と異なった
状況で、奥地にありますから山がつぶれたら全部なくなる。ですから、たとえば先ほ
ども触れました沼田町の場合のような
昭和の市街はもちろん、浅野
地区の市街、もとの雨竜
炭鉱の地帯も壊滅的な状態になる。鉄道も全部はずれてしまう、住まいもできないという
状況にありますが、この中で引き続いて千四百名の
鉱員がいた赤平の茂尻市街でも同様の現象が起こっておりますね。倒産や閉店が相次ぐ。ところが最もひどい現象が出てきておりますのは今度の北星
炭鉱の
状況です。北昂
炭鉱の場合は、栗沢町の美流渡市街が、山を中心にしてそれ以外に全く経済性のないところで、そのために町が開けてきておった。たしか百七十何戸の商店があるはずです。これの
閉山に伴う売り掛け代金が三億四、五千万円であったわけですね。ところが、ここで問題になりましたのは、あなたにも御苦労かけたわけですけれ
ども、問題は、その債権者側か――これは債権者は、山が
閉山になりますと、特別
閉山交付金の場合は、一般債として債権の五〇%しか渡らない。そこでこの場合、百数十名の中小
企業の人々のうちの特殊な何人かの人々が会社の鉱業権を差し押えてしまったという事態が起こったわけですね。その結果、いろいろ苦労して解決されたのは、親会社の北炭が乗り出して、そして結局のところ一般債権としての五〇%は当然特別
閉山交付金が出れば払う。それ以外に一五%を会社側が上のせをして、そしてするということを約束したことによって、いわゆる差し押えの抵当権の解除を行なったわけでしょう。そういたしますと、問題になってきますのは、
閉山という事態がこれっきりなければいいのですが、これからまた
閉山が
発生するという場合を想定いたしますと、純然たる中小、百人か五十人しか使っていないような山でしたらあぶないですから、初めから地元でも売り掛け債権を残さないでするでしょう。貸すということをしないようになっていくと思うのです。それがまた早く
企業を転落させ、
閉山金融、融資の道を閉ざされて純粋の中小
企業はおぼれていくということになるが、問題は、いわゆる北炭とか三菱とか住友とかいうような大手系列の会社の場合になりますと、今度の北炭系列であった北星
炭鉱の
閉山は尾を引いてくると思うのです。これはみんなの知恵を出して異例の抵当権の設定であったわけですが、特別
閉山交付金をもらう手続の時限が切れる直前まで粘られたためにやむを得ないで五〇%に一五%を上積みすることを約束して、いわゆる抵当権を解除したということになりますから、やむを得ずやったことですし、しかし
一つの前例ができましたから、自今中小
企業の債権者はこの手を打っていくと思うのです。そう思われるかどうか。この次から万が一、こういう大手系列にある、山自身は赤字だとしても、大手系列だから本社の
能力、経済力があり得ると判断した場合は、そうしてどうせつぶれ山ですから、義理立ててもしょうがない、五〇%なんかもらったってたまるかという、こういう感じになりますから、こういうことが
一つの前例となって、これから次々と債権者が抵当権を設定して差し押えをしていくという
状況が進むのではないか。また債権者から見ても当然だと思うのです。たとえば北星の場合な
ども、全く急転面下九月九日に提案をして、そして二十日後になったら
閉山を決定してしまったというような、こういう
状況については寝耳に水ですから、これはもう打開のしょうがないから、そういう非常手段をとる、こういう現象がこれから次々と類型的なものが
発生すると判断しておかなければならないと考えますが、そういう
状況が将来出てくるということになりますと、事前にひとつ行政指導の及ぶところは行政指導をしていき、そういうような中小
企業の人々が不安定、動揺の中で現存する
企業に対しても協力を警戒する
状況になっていった場合、つぶさぬでもいい山をその
状況の中でつぶしていく。これは金融機関も同じことになりますね、ああいう例が出てきますと。そうしますと、加速度に
企業取りつぶしの契機としてそういう
状況が出てくると考えるので、私は、実は北星
炭鉱の
一つのこの新しいケースは、これは
北海道だけではないと思うのです。各地において出てくる。大きな現在の石炭機構の中においては、最も盲点をつかれた形であり、中小
企業としては自存自衛のためにやむを得ない
措置であった。そこまで中小
企業もせっぱ詰まって、義理人情抜きでやはり
自分も生き抜かなければならない。長い歴史
関係は歴史
関係だ、こういうせっぱ詰まったところに追い込められてきておる中小
企業に対してどう対処し、どう臨まれ、どういうように行政指導をなされようとするのか。こういう点について、今後の展望の上に立って、行政指導の方法について御
意見を承りたい。
それから
教育問題を触れました中で、もう
一つお尋ねしておきたいと思いますが、これも九州に、坂田さん等の場合にこういう
状況があるかないか存じ上げないのですが、
北海道のことから推して九州のことを申しては恐縮ですけれ
ども、それは
閉山になりました奥地の地帯、これはどこでも出てくると思うのですが、小学校、中学はものごとつぶれてしまいますね。けれ
ども、そこにいました高等学校の生徒の
措置に市町村も府県もみんな困っておるわけなんです。なぜなら、ことに高校の三年生というのは、卒業期を控えていますから移動できないのですね。それから親の移転先で高校生を受け入れてくれないという
状況です。公立学校は特に受け入れない。東京、神奈川、千葉等に来た場合、もちろん同様です。広い地帯にばらばらに来るのですから、よけい突如として来るのですから収容力を持たない。まずここで困る。そこで困りますので、親たちは高校を卒業するまで
現地の学校に子供だけを単身に残していくという
状況が出てきておるわけです。こういう状、況の中で、
一つの資料では、たとえば
北海道の白糠の町では、町があっせんし、またお金を出して、宿舎を改造し、二十五名の収容の
施設をつくった。
管理人の手当、食費等については再
検討することになっておるが、当初の申し込みが二十四名、全員という
状況、それから建物、電気、水道、
管理人の維持費等は、これは町が負担しておる。沼田町の例でいきますと、これは
閉山後労働組合が会社と団交しまして、会社の建物を移築したか、町へ持ってきまして、そこで新しい寄宿舎をつくって、三年生、二年生、一年生、親がそこへ置いておきたい、そこで
教育さしたい、連れていっても入学する場所がないという
状況にありますので、こういう白糠やあるいは沼田町等の、特に高等学校の卒業期の生徒の問題が次々と出てきておるわけです。九州の事情はわかりませんけれ
ども、こういうような問題は、私は親たちにとっても本人にとりましても地域経済にも、非常に重要な問題であると思いますけれ
ども、関連をいたしましてこういう問題、これは文部省が来てないので非常に残念ですが、皆さん地元でどういうようにお考えになっておるか。こういうことについてどう当の府県は――そういう町村の苦悩しておる
対策について、町村にまかせてしょわせておるのか、そういうことについてどういうような指導や協力の体制をしいて、そして高校
教育の面についての道を切り開いてきておられるのか。その点についてお話を伺いたいと思います。いろいろ山ほどありますけれ
ども、持ち時間がまいりましたから、これで終わらしていただきます。ありがとうございました。