○大平国務大臣
石炭の位置づけ、エネルギー資源としての位置づけをどうとらえるかということが根本にあると思います。いろいろなそういう
企業意識の弛緩あるいは動揺というようなものが起こる危険性も、やはり
石炭産業というものの位置づけに無関係であるとはいえないと思うのでございます。いま正直に申しまして、固有のエネルギー資源としての
石炭が、どういう位取りをとるべきかということにつきましては、たいへんむずかしい問題であると思います。将来の展望を考えてみても、ますますわが国が
手当てをしなければならぬ資源が多く
期待されなければいかぬのでございますけれ
ども、それだけできるかできないかがまず問題であろうと思いますし、鉱害がこのようなやっかいな段階になってまいりました場合に、新しい評価を
石炭にしなければならぬような
事態がくるかもしれませんし、また技術の革新は、この分野でどのように起こってまいりますか。そういったことも、いまにわかに的確な
判断を持つことができないのでございます。
そこでその問題につきましては、各党ともいろいろお
話し合いをいただきましたラインに沿いまして、ここしばらくの間、鉱業
審議会に討議の場を設けまして、この
石炭産業の位置づけ、そしてそれにからむ本格的な体制の問題の、掘り下げた
検討をいたさなければならぬと思うのでございます。そういうことを一方において鋭意やりつつ、多賀谷
委員がいま御
指摘のような問題は、しかしそれまで待つことができないわけでございまして、いつ分離の意思が表明されるかもしれぬという問題でございます。私
どもとしては、そういう
経過期間におきましては、その
実態をよく究明いたしまして、
石炭政策の本旨に沿うように、可能な限りの行政
措置を考えなければならぬと思います。非常に手ぎわよく分離して逃げ切るというようなことが、一応考えられますけれ
ども、分離には当然既存の資産の移動、それに伴う既存の株主に
期待された権利の侵食を伴うことになるわけでございますから、法律的な問題といたしましてはいろいろな問題があると思いますけれ
ども、行政的な問題といたしましては
実態を克明に究明いたしまして、
石炭政策の本旨に合致したような強力な指導をいたす。そういうことを受けとめて経営者が十分確立したモラルの上に立って——
石炭政策の遂行のにない手として当たっていくというモラルの確立を極力促し、それに応じないような場合につきましては私
どもといたしましてもきびしい態度でこれに対処してまいるようにいたしたいと思うのでございます。問題は具体的な場合の具体的な処置の問題でございますけれ
ども、私がいま頭にある方針といたしましては、いま申し上げますような
気持ちできびしく対処しつつ、その間に本格的な体制問題は
石炭の位置づけの究明とあわせて討議を進めてまいらなければならぬし、そしてそれは必ずわれわれの
努力と英知を傾けてまいりますならばできないことはないのではないかと考えております。