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橋本政府委員 確かに現在の制度といたしまして、
ハッパをかける場合におきましては、そのつど
ガスの
測定をしなければならないというふうなことで、きつく規則でも制約し、かつまたそれを毎回、毎年度のいろいろな
監督指導の面におきましてもそういうことを徹底さしておりますし、また
監督官の巡回
指導におきましても注意はしてございますが、しかし今度の
事故で非常に
考えさせられる問題は、単なる一回の試験だけでは防ぎ得ない何ものかがあるのではないかということは、確かに先生のおっしゃるとおりでございます。これはやはりそういった
一つの制度の上に組み立てられたようないろいろな
作業の過程において、やはりその
作業をやる者が人間でございますので、やはり人間の錯覚といいますか、人間の気持ちのゆるみといいますか、そういった問題があるのではないか。しかし現在のこういったものについての
保安の体系は、要するに
保安の技術者というものは、国家試験を通り、一定の経験を経た上でそういう行為を
責任をもってやる、そのかわりに不十分な場合におきましては検察庁へ送り、司法上の
処置も受けなければならぬというふうな仕組みになっておりますが、それ以上に、やはり社会的に、いろいろな人間でございますので、環境の問題あるいは家庭の問題、そういったことからくるいろいろな正常の
作業を阻害するような要因がその中に介在しておるのではないかということが深く感ぜられるわけでございます。したがいまして、そういった人間のいわゆる落ち度といいますか、そういったものを何とかこれでなくすために近く
保安協議会を開きまして、たとえていいますれば、働く人たち相互間におけるチェックといったような形においてもちろん
責任の問題はやはり国家試験を通り、一定の経験を持った人にとらさざるを得ないと思いますが、その間に
労働者相互におけるいろいろな相互のチェック
関係を設けて一人の不注意あるいは一人のこういった錯覚といったようなことからくる大きな
事故のないようにする
調査をしたいと思っております。
次に空知の問題でございますが、この空知の問題の場合は、まだいまのところ二百三メートルに及びますいわゆる空洞の中にヘドロがたまっておりまして、これを全部取り分けてしまわないとほんとうの内容はわかりません。目下
監督局がこの
原因調査に当たっておりますが、かなり内容は違うのではないか。これはこの場合は、むしろそういう
ハッパをかける前にいかなる
作業環境にあり、それがいかなるその地図
関係にあるか、また
ハッパをかけた結果、その地層がどういうふうに変化するかといったいわゆる事前
調査といいますか、そういった事前
調査自体が必ずしも十分ではなかったんではないかと思うのです。しかし、ただいろいろ
検討してみますと、事前
調査というものはボーリングとか、あるいは過去におけるいろんな地図とか、こういったもので
検討していくわけでございますが、
監督局から受けておりまするいろんな
報告書によりますれば、地図にも載っていないような姿がどうも出てきそうでございます。したがいまして、そうなりますれば、防止というものは非常にむずかしいかと思うのでございます。地図にも載ってないというのは、途中の
段階で坑木がちょろちょろ出てくるということで、これは昔だれかがそこらで
石炭拙りをしておったというふうな事実がありはしないか。しかしそういったものは、現在の
段階でどの地図にも載っていない、記録がないというふうなことも現
段階において推測されるのでございます。しかしいずれにしましても、つまるところは
一つの
作業をやった場合に、周辺の
状況が、地層がどう変化するかというところの徹底した
調査というもの、そういった点に私は問題があったんではないかというようなことで、その点を中心にして現在
監督局のほうで鋭意調べておる次第でございます。
それから先ほどの点で、政務次官からいろいろ答弁していただきまして、実態はそのとおりでございますが、こういった
原因の
究明というものは、予想されるあらゆる諸要素というものを一応全部並べ立てます。そしてその並べ立てた諸要素を
監督官が全部その実地検証にあたりまして
一つ一つ消していく。そして消していって最後に残ったものと、それから現場とを検証するというふうな仕組みをとっておるわけでございます。
今回の場合、政務次官が御
説明いたしましたように、搬出が非常に迅速に行なわれ、若干落盤その他の問題はあるにしましても、一応とにかくすべての
坑道に検査に入れたというふうなことで、そういった諸要素を抹殺していくのにかなり短時間に行なわれたということが、どちらかといいますれば、比較的これではなかろうかという
原因が最後に残ったというふうなことでございますので、われわれは
原因の
究明を決しておろそかにしたというものではございません。