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岡田(利)
委員 いずれまたこの問題は質問できると思うのですが、いわば産炭地域というのはいろいろ特性があるわけですね。たとえば北海道ですと、北九州のような地帯ではないわけですから、企業を誘致するといっても非常にむずかしいわけです。閉山が行なわれる。特に産炭地振興事業団で
美唄団地をつくっても企業が来ない。夕張地区でも団地があるけれども来ない。そうすると、そういうところほど高年齢層といいますか、そういう
炭鉱労働者に対してはこういう事業のほうが非常に的確なんですよ。むしろ北九州は、部分的にはもう理解してますが、ある
程度企業が進出もしている。もちろんそれでも足りませんよ。ですから、むしろ積極的な産炭地振興のほうでこの
対策をやる、やはりこういう理解のしかたがないとおかしいのではないか、こう思いますので、この点も含めて検討していただきたいと思います。
ただ私は、特にこの機会に申し上げておきますが、
労働省のいままでの雇用政策ですね、労働力の流動化、こういう政策は
石炭政策の中における労働
対策からすべて出発をして発展をしているわけです、歴史的に見ますと。いままでの
労働省全体の予算からしても、雇用政策に限って労働力の流動化の問題、この
対策は
石炭でやった経験を発展さしているわけですよ。源は
石炭政策の中にあるのだという理解を私はしておりますし、間違いがないと思うんですね。そういう点でこれらの問題も
石炭特会で生まれたけれども、やはり将来の発展する可能性すら持っている、こう思うわけです。
石炭特会のほうは当面そういう産炭地にとりましたけれども、こういう問題というものはいまの失対事業との関連から見ても当然発展的に将来は解消されていくんだと思うんですね。そういう意味を踏んまえてこの問題についてはひとつ十分対処してもらいたい、こう思います。
一時間までの時間で予定時間にきてしまったのですが、この機会に、きょうこれは問題提起をしておきますが、懇談会でも出ておるわけですが、黒い手帳の期限の問題です。
たとえば、今度新たに閉山する
炭鉱があります。ところが前の
炭鉱が閉山してその雇用
対策として
一つの会社をつくった。その原料は
石炭であった。ところが今度
炭鉱がつぶれると、原料供給が値段として合いませんからその企業がつぶれる。しかしそれは雇用政策上やりましたから、
炭鉱からまっすぐ企業に入ったわけですね。そして一年以上経過いたしておりますから、一度もその権利を行使しないで、その企業に来て、今度は
炭鉱の関連企業でつぶれる。しかしこれは
炭鉱企業でつぶれる。しかしこれは
炭鉱労働者ではありませんから、黒い手帳の恩恵に浴さないという問題が
一つあるわけです。しかし
石炭と直接関連を持っている企業でもある、こういう点については一体どう考えられているか。
炭鉱労働者でないから、機械的に法律上切ってしまう、こう考えられておるのかどうか。それと同時に、
炭鉱から閉山になって黒い手帳を受給を受けた。受給を受けたけれども、新たな職場があったのでそこに就職をした。一年経過して労働条件その他が違うので、再度また
炭鉱に入ったという場合にも、これは今度黒い手帳の対象にはならないわけです。それから
炭鉱から直接新しい会社に行って一年経過した、一度も権利は行使していないわけです。そして
炭鉱に入った、これも安定職場を通じたからというので、その場合に新たに
炭鉱閉山でやめても対象にはならないわけです。あるいは黒い手帳を当時就職が困難で適用を受けておった。そこで次に約三年近くなってどうにもならない。黒い手帳も切れた。しかし、
炭鉱は労働力が不足になってきたという事態の変化に対処して
炭鉱に就職したという者も、今度閉山になっても黒い手帳の対象にはならないわけです。
それ以外のケースも
労働省で私どもに説明したケースがいろいろあるわけですが、とにかくこういうケースがいろいろ出てまいるわけです。この点についてやはりこの
炭鉱離職者臨時措置法の適用について当然考えるべきではないか、くふうすべきではないか、適用すべきではないのか、こういう
見解を私どもは持っておるわけです。そういたしますと、これはいまの臨時措置法の改正だけでは処置できませんから、当然この臨時措置法の改正に伴って一部法律を変えなければならないという問題になるわけです。この点特に十分
議論されて、そして詰まらないとなかなか法律案の審議も進まないのではないか、こう私は、この法律の審議にあたって
一つの大きな問題があると思っているわけです。
それから第二の問題は、
炭鉱労働者であったという期限は本年の十二月三十一日において
炭鉱労働者であった者とこの法律に規定しておるわけです。そうすると、この
炭鉱がつぶれるかどうかわからないで一月に入った。そこで
炭鉱は
災害もありますし、
炭鉱は閉山せざるを得なかったという場合には、本人の意思に
関係なく山が閉山になってほうり出されるという場合に、
炭鉱労働者として認められない、この法律の適用を受けられないという問題があるわけです。この点についてはどうもこの立法の精神とたてまえからいって私どもは納得ができないわけです。
さらに離職者
対策というものは、どうも法律の出し方が機械的ではないか。これも期限は今度の新政策の
昭和四十九年三月三十一日ですか、附則ですね。こういう形で大体合わして出しておるわけですね。三年延長という形で出しているわけです。しかしその政策が終わっても、離職者の場合は黒い手帳を受けておる者があれば三年間法律の適用を受けなければならぬわけですよ。また、一年、半年休んでまた三年であれば、その期間もこの法律の適用を受けるか受けられないかわからないという形で改正案を出すというのは、ほかの合理化法と違って、この法案の性質からいっても納得ができないわけです。
この三点は、この法案の審議にあたってどうしてもこの点については修正をしてもらわなければならないという
意見を実は持っておるわけでありまして、この点おそらくこの質問だけでは、論議のやりとりだけではなかなか解明できないのじゃないかというような気がするのですが、一応問題提起と同時に、何かあればこの際答弁を承っておきたいと思いますし、十分その点の
問題点もこの法案審議にあたってポイントになるということを特に検討してもらわなければならぬと思います。
それから付随的な問題として申し上げますと、企業ぐるみ閉山として新しい
制度が合理化臨時措置法で生まれたのにかかわらず、それに対応する法律改正というものが出されていないわけです。いままでは企業ぐるみ閉山というのはないわけなんで、五山あっても
一つずつ山がつぶれていく。今度は五山あると五山が一ぺんにつぶれる企業ぐるみという方式をとりました。本社から何から一切会社がやめてしまうわけですから、こういう
制度が新しい政策で出たのにこれに対応する
労働省としての受け方、この法律の受け方というものが考えられていないという点でまた
一つ問題です。たとえば、いままでここの山が閉山になる場合には他の山に行くということがあるわけです。
炭鉱は特に技術屋として三十年間も——三十年がオーバーであれば十年でも十五年でもけっこうですが、
炭鉱技術屋として働いておった。ところが一時本店の設計、最近特に届け出がありますから、技術屋が移動するわけなんですね。そのとき企業ぐるみ閉山になれば、十年も二十年も
炭鉱に働いておった社員であっても本社にいるがゆえにこの法律の適用を受けないわけですね。その点は、企業ぐるみ閉山の場合は同時に山も本社もつぶれるわけですから、これに対応する受け方というものが必要ではないのか、こういう問題が
一つあります。
さらにもう
一つの問題は、産炭地の私鉄、いわば
炭鉱合理化以前は
炭鉱の中であったわけですよ。ところが
炭鉱合理化に伴ってこれを切り離した、あるいはまた特に工作部門というのを切り離した、こういうのがあるわけです。大きな問題は私鉄の問題でありますけれども、この問題といえば、結局そういう歴史的に見て同じだったけれども、地域開発の
状況で切り離したということで、いまこの私鉄の
労働者、いわゆる坑口から選炭機まで運搬する
労働者と、選炭機からいわば国鉄ないし港頭まで輸送する
労働者とは変わりがないのではないか。三池
炭鉱でいえば、従来三池
炭鉱の
労働者であったけれども、今度は港まで輸送する部門は切り離した。全く同じであったわけですね。そして企業ぐるみ閉山という形で山がつぶれるとその鉄道もろともにつぶれてしまう。いわば新しい政策に基づいて、
労働省としてこれに新しく対応するという観点が全然ない。付随して、関連していえばこの二点が問題なんです。
以上、五点私は述べたわけですけれども、この点の感触
程度について聞いておいて、この点はひとつ十分詰めていただきたいと思うのですが、
見解だけをきょうは承っておきたいと思います。