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1969-02-25 第61回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月二十五日(火曜日)     午後三時三十六分開議  出席委員    委員長 平岡忠次郎君    理事 神田  博君 理事 藏内 修治君    理事 菅波  茂君 理事 三原 朝雄君    理事 岡田 利春君 理事 八木  昇君    理事 田畑 金光君       佐々木秀世君    進藤 一馬君       三池  信君    多賀谷真稔君       中村 重光君    渡辺 惣蔵君       大橋 敏雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  大平 正芳君         労 働 大 臣 原 健三郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       藤尾 正行君         通商産業省鉱山         保安局長    橋本 徳男君  委員外出席者         通商産業省鉱山         石炭局石炭部長 長橋  尚君         労働省職業安定         局失業対策部長 上原誠之輔君     ――――――――――――― 二月二十五日  理事池田禎治君同日理事辞任につき、その補欠  として田畑金光君が理事に当選した。     ――――――――――――― 二月二十日  産炭地域における中小企業者についての中小企  業信用保険に関する特別措置等に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第四四号) 二月二十四日  炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二十日  石炭縮小政策反対に関する陳情書外八件  (第七九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四〇号)  産炭地域における中小企業者についての中小企  業信用保険に関する特別措置等に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第四四号)  石炭対策に関する件(石炭対策基本施策及び  赤平炭鉱ガス突出災害に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 平岡忠次郎

    平岡委員長 これより会議を開きます。  理事辞任についておはかりいたします。  池田禎治君から理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 平岡忠次郎

    平岡委員長 御異議なしと認めます。よって、許可することに決しました。  次に、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  池田禎治君の理事辞任に伴い理事が一名欠員となりましたので、その補欠選任を行ないたいと存じますが、先例によりまして、委員長が指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 平岡忠次郎

    平岡委員長 御異議なしと認めます。それでは、田畑金光君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  5. 平岡忠次郎

    平岡委員長 石炭対策に関する件について調査を進めます。  石炭対策基本施策について、原労働大臣から説明を聴取いたします。原労働大臣
  6. 原健三郎

    原国務大臣 石炭鉱業に関する当面の労働諸問題について一言所信を申し述べ、各位の御理解と御協力を得たいと存じます。  今後の石炭対策のあり方につきましては、昨年十二月に石炭鉱業審議会答申産炭地域振興審議会の建議を得て、さる一月十日に閣議決定を見たところであります。労働省といたしましては、今回の答申趣旨に沿って、石炭産業労働者労働条件と福祉の向上を促進し、雇用の安定をはかってまいります。再建の過程でやむを得ず発生する離職者に対しましては、従来の経験を十分に生かして、援護対策推進してまいりたいと思います。このため、今国会炭鉱離職者臨時措置法有効期間を延長する等の改正法案提出を予定いたしております。また、雇用失業情勢が著しく停滞的で、今後さらに悪化するおそれのある特定の産炭地域においては、新たに産炭地域開発就労事業実施して、積極的に雇用安定対策を講じてまいります。  石炭鉱山における労働災害防止については、労働省といたしましても、労働者保護の見地から重大な関心を寄せ、これまでも、通商産業省に対し、数次にわたって勧告を行なってまいりました。現在、石炭産業は、幾多の課題をかかえているのでありますが、労働者の安全の確保は、第一に措置すべき問題であります。今後とも、通商産業省との連携を強化して、石炭鉱山労働災害防止につとめてまい勢たいと思います。また、一酸化炭素中毒症に関しましては、被災労働者に対して、健康診断を確実に実施する等CO法の順守に遺憾なきを期しているところであります。  賃金退職金社内預金等賃金不払い防止についても、かねてから努力してまいったところであります。しかし、現在なおかなりの不払い額が残っております。今後は、さきの答申による再建交付金制度あるいは閉山交付金制度の新設ないし改善により、賃金等の支払いの確保が一そう充実されるようはかってまいりたいと考えております。  以上、石炭鉱業における当面の労働諸問題について所信一端を申し上げた次第であります。今後とも各位の御意見を十分拝聴して、行政推進に力を尽くしてまいります。何とぞよろしくお願い申し上げます。      ————◇—————
  7. 平岡忠次郎

    平岡委員長 次に、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  8. 平岡忠次郎

    平岡委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。原労働大臣
  9. 原健三郎

    原国務大臣 ただいま議題となりました炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  石炭鉱業合理化に伴い発生する炭鉱離職者の再就職促進及び生活の安定につきましては、炭鉱離職者臨時措置法に基づき、炭鉱離職者求職手帳制度をもとに特別の就職指導就職促進手当支給等各般施策推進することによりまして、その実効を期してまいってきているところであります。  政府は、過日石炭鉱業審議会からいただきました答申趣旨を尊重して石炭対策をより強力に推進することを決定したところであります。これに関連し、今後の事態に対処するため、炭鉱離職者求職手帳発給要件を緩和し、あわせて、現行離職者対策実施期間をさらに延長する必要があると考えて、この法律案を提案した次第でございます。  次に、その内容について概略御説明申し上げます。  この法案による改正の第一は、炭鉱離職者求職手帳発給要件を緩和することであります。  炭鉱離職者求職手帳は、現在、昭和三十七年三月三十一日または昭和四十一年八月三十一日に炭鉱労働者として在職していた者に限って発給することとしておりますが、その後新たに炭鉱労働者となった者で昭和四十三年十二月三十一日に在職しているものについても発給するようにいたしたのであります。  改正の第二は、炭鉱離職者臨時措置法有効期間を三年間延長することであります。  石炭鉱業審議会の今次の答申昭和四十八年度石炭鉱業を安定させるための目標年度としていることにかんがみ、この法律有効期間昭和四十九年三月三十一日まで延長して離職者対策につきましても万全を期そうとするものであります。  以上この法律案提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げた次第であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  10. 平岡忠次郎

    平岡委員長 これにて提案理由説明を終わりました。  本案件に対する質疑は後日に譲ることにいたします。      ————◇—————
  11. 平岡忠次郎

    平岡委員長 石炭対策に関する件について調査を進めます。  この際、石炭対策基本施策について、大平通商産業大臣から説明を聴取いたします。大平通商産業大臣
  12. 大平正芳

    大平国務大臣 第六十一回通常国会における石炭対策特別委員会の御審議をいただくに先立ち、私の所信一端を申し述べたいと存じます。  申し上げるまでもなく、わが国石炭鉱業は、現在深刻な局面に立たされておりますが、石炭行政を担当いたしております私といたしましては、その責任の重大さを痛感しており、石炭鉱業再建のため最善の努力を払ってまいりたいと考えておる次第であります。  今後の石炭対策につきましては、昨年十二月の石炭鉱業審議会答申趣旨を尊重し、先般の閣議決定の線に沿って、再建のための助成策体制整備労働対策推進保安対策強化閉山対策改善鉱害処理推進及び産炭地域振興対策強化などの施策推進してまいる所存であります。  具体的には、第一に、石炭鉱業再建のための助成策として石炭企業に対し、総額一千億円程度再建交付金を交付するとともに、現行安定補給金制度拡充及び石炭鉱業合理化事業団による無利子貸し付け制度の拡大を行なう所存であります。  第二に、石炭鉱業体制整備につきましては、石炭企業があくまでその自己責任に徹し、経営の刷新・合理化につとめることはもとよりでありますが、石炭鉱業全体としての合理化をはかるため、鉱区の再編・調整、流通の合理化などを重視し、地域の実情に応じて、体制整備を進める必要があると考えます。  このため政府としても石炭鉱業審議会の中に合理化体制部会を設置し、鋭意具体策の策定を進めるとともに、必要に応じその実施を勧告し、その実効確保してまいる所存であります。  第三に、労働対策につきましては、今日の石炭鉱業をめぐる労働条件労働環境にかんがみ、住宅の改善離職者に対する退職手当充実等をはかるなど石炭鉱業雇用の安定には、特に配慮することといたした次第であります。  第四に、保安対策につきましては、石炭鉱業における保安重要性にかんがみ、中央鉱山保安協議会答申趣旨を尊重して経営者のこれに取り組む姿勢を確立するよう指導してまいる考えであります。同時にガス抜き密閉補助金制度創設等保安対策強化をはかってまいりたいと考えております。  第五に、閉山対策につきましては、今後ある程度炭鉱の閉鎖が起こることはやむを得ないという状況にかんがみ、その影響を軽減するため、閉山交付金制度改善等所要措置を講ずるとともに、鉱害対策推進産炭地域振興対策強化につとめてまいる所存であります。  これらの施策実施につきましては、予算面においては、石炭対策特別会計として約八百八十四億円を計上いたしますとともに、所要立法措置を講ずることとし、これらにつきまして本国会において御審議をいただくことといたしている次第であります。  本特別委員会は、従来から石炭対策につき熱心に御審議をいただき、また心強い御指導御鞭撻をいただいておりますが、何とぞ今後とも委員各位の深い御理解と御支援をお願いする次第であります。     —————————————
  13. 平岡忠次郎

    平岡委員長 引き続き昭和四十四年度通商産業省所管石炭関係予算概要について、政府から説明を聴取いたします。長橋石炭部長
  14. 長橋尚

    長橋説明員 お手元にございます「昭和四十四年度石炭対策特別会計予算総表」に即しまして、予算の御説明を申し上げます。  第一に、石炭鉱業生産体制改善対策費でございますが、四十三年度の六十四億円に対しまして、四十四年度は四十四億二百九十八万九千円を計上いたしております。その主たるものは坑道掘進費等補助金でございます。四十一億六千八百万円でございます。本年度の五十九億五百万円に対しましてこの面では減額になっておりますが、これは補助体系中心を次に申し上げます安定補給金に置きまして、その他の補助金をできるだけ簡素化いたした趣旨でございます。ここで「坑道掘進費等」となっておりますのは、四十三年度において別掲されておりました増加揚排水費に対する補助金を項目として一本化したためでございます。  第二に、石炭鉱業経理改善対策費でございます。これは四十三年度百四十六億円に対しまして、四十四年度は二百六十九億千九百三十二万四千円計上されております。そのうち、まず第一の元利補給金は、四十二年度初年度といたしまして実施されております、いわゆる肩がわり予算でございます。四十四年度は百十二億円にのぼっております。  それから、次の再建交付金が今回の新しい助成施策でございまして、四十四年度におきましては、初年度として半年分を計上いたしておりますが、三十六億六千八百十八万円という額でございます。これは別途法案の御審議をお願いいたしております。  それから、第三の安定補給金につきましては、四十三年度の二十三億円を四十四年度は百二十億四千九百九十万円、非常に大幅な増額をいたしております。この配分基準といたしましては、備考欄の表にございますように、大手中小の実態の違いに着目いたしまして、それぞれに再建交付金を受けるものと受けないものとの別をもちまして安定補給金額計上いたしますと同時に、原料炭一般炭との間に二百円の格差を設けることといたしたわけでございます。  二枚目に入りまして、第三に石炭鉱業合理化事業団出資でございます。これは四十三年度は五十億円弱でございましたが、四十四年度はこれを倍増いたしまして、百三億六千万円計上いたしております。これはいわゆる無利子金融のための原資として合理化事業団特別会計から出資をいたすものでございまして、四十四年度出資分に、従来の出資分がすでに融資をされ、それが返済されるという形で回転いたす分が四十五億円程度ございまして、四十四年度におきます融資規模といたしましては百五十億円近いものを確保できる見通しでございます。  第四に石炭需要確保対策費といたしまして、四十三年度百一億円の予算に対しまして、四十四年度は八十一億六千八百二十七万二千円を計上いたしております。この大宗をなしますものは増加引き取り交付金でございます。電力用並びに鉄鋼原料用として引き取られます石炭に対しまして交付するものでございまして、四十三年度に対しまして約二十億円の表面的な減少になっておりますが、これは四十三年度自体がむしろ十億円くらい余裕がある計上をいたした結果、数量の減少と相まちまして、四十四年度は二十億円程度減少と相なっておるわけでございます。  それから需要確保の第二の柱といたしまして、電源開発株式会社に対する出資金の二十億がございます。これは石炭火力建設のための出資でございまして、従来数年間引き続き行なわれておりますが、四十四年度をもちまして一応既定計画は全部完了する予定でございます。  第五番目は、保安対策でございます。四十三年度の三億四千万円程度予算に対しまして、四十四年度は十六億七千七十四万九千円ということで、大幅な増額と相なっております。そのうち新規のものが約十四億円、ガス抜き寄閉等中心といたします補助金でございます。それから第二に放置坑口閉塞対策費ということで、三年計画措置を講ずる前提で、初年度に三百四万円を計上いたしております。  六番目に、炭鉱整理促進費補助がございます。これは四十三年度約四十八億円の予算でございますが、四十四年度は百五億三千五百六十九万四千円を計上いたしております。これは今回の石炭対策基づまして閉山交付金単価を従来の平均トン当たり二千四百円から三千三百円程度に引き上げましたことと、それから今般新しくいわゆる企業ぐるみ閉山に対処いたしまして、石炭鉱山整理特別交付金という制度を新設いたしまして、超過債務一定限度補助して、企業ぐるみ閉山に伴う産炭地域社会に対する影響を緩和することを計画されておりますが、その関係補助金を合わせまして百五億円ということでございます。  七番目に、鉱害対策でございます。これは四十三年度の約七十八億円の予算に対しまして、四十四年度は百六億三千九百八十三万五千円を計上いたしております。このうち鉱害事業資金補助金といたしまして、四十三年度が約七十億円弱に対しまして、四十四年度は八十億八千四十八万一千円ということでございまして、この補助金によりまして、復旧事業規模といたしましては、四十三年度の約九十五億円に対しまして、四十四年度は百十億円程度確保し得る見通しでございます。  さらに鉱害事業団に対する出資といたしまして、四十三年度一億円に対し、四十四年度は十五億円を計上いたしております。これは従来鉱害賠償資金及び鉱害防止工事のための資金資金運用部から鉱害事業団が借り受けまして融資をいたしておったわけでございますが、今般その原資石炭対策特別会計から事業団への出資という形に組みかえます。そのために十四億円を増額いたしておるわけでございます。  第八に、最後のページでございます。産炭地域振興対策費といたしまして、四十三年度の約三十三億円に対しまして、四十四年度は五十六億九千八十九万六千円を計上いたしております。このうち産炭地域振興事業団出資金といたしましては、四十三年度の三十億に対しまして、四十四年度は四十一億円、十一億円の増額に相なっております。この出資金によりまして、産炭地域に対する進出企業への融資、あるいはまたその産業基盤確立のための土地造成事業を拡大してまいる計画でございます。  それから、さらに産炭地域振興対策の一環といたしまして、産炭地域振興臨時交付金を十億円新規計上いたしております。これは閉山によります市町村財政の疲弊、落ち込みの回復を支援いたしますための、地方財政援助のための交付金でございます。  事務費といたしましては四十三年度約九億円に対しまして、四十四年度は十一億八百九十九万七千円を計上いたしております。  それから炭鉱離職者援護対策費といたしましては、四十三年度の五十億九千万円に対しまして、四十四年度は七十六億三千六百五十七万円ということで、約二十六億円の増額になっております。これは産炭地域開発就労事業という新しい事業に約二十五億円の初年度予算をもちまして発足いたす計画に基づくものでございます。  最後に、予備費といたしまして、四十三年度の十二億四千三百万円に対しまして十三億二千十四万二千円を計上いたしております。そのうち予備費といたしましては十三億円でございまして、あと二千万円は借り入れ金に対する利子とかそういった雑費用でございます。合計いたしまして、四十三年度予算五百九十六億八千三百万円に対しまして、四十四年度予算案は八百八十四億五千三百四十六万八千円ということに相なっております。  簡単でございますが……。
  15. 平岡忠次郎

    平岡委員長 次に、鉱山保安局関係予算概要について説明を聴取いたします。橋本鉱山保安局長
  16. 橋本徳男

    橋本政府委員 お配りいたしました鉱山保安関係予算要求表に基づきまして御説明を申し上げます。  第一番目に鉱山保安技術対策費でございますが、これは毎年テーマをきめまして、これに基づきましていろいろな研究委託をやっておるのでございますが、四十四年度は山はね防止、それからボタ山のり面流出防止、こういった点に主力を置いてやっていきたいと思います。そのために千七百六十六万九千円を計上いたしております。  それから二番目にボタ山災害防止対策費でございます。これは従来から計画的にボタ山災害防止いたしますために、その切り取り工事をやってきておるわけでございます。前年度ボタ山を四十四年度におきましては八ボタ山にし、保全工事といたしまして十五ボタ山をやっていくというために一億六千五百五十一万七千円を計上しております。これは国が三分の二を負担し、地元の県が三分の一を負担するというふうなこともやっております。  それから三番目といたしまして、炭鉱保安専用機器開発費でございます。これも毎年テーマを設けまして研究を続けておるわけでございまして、これは補助金でございます。それで四十四年度は山はね防止あるいはガス炭じん爆発防止坑内火災早期発見、こういったための機器開発に充てておるわけでございます。その額としまして千七百九十四万円を計上してございます。  それから放置坑口閉塞対策費でございます。これは新規でございまして、たくさんの鉱山が放置しておりまする坑口につきまして、子供らがそれに落ち込んで死ぬといったような事例が各所に発生いたしましたので、三年計画でこれを閉塞しようということで、初年度としまして三百四万八千円、これは国が三分の二を出し、地元の県が三分の一ということで計上しております。ついでに亜炭につきましても同じ問題が起きておりますので、亜炭につきましては一般会計でこういった予算計上いたしてございます。  それから次に、五番目は救護訓練教育費でございまして、これは昨年並びに一昨年の補助金によりまして鉱山保安センターができたわけでございます。それの運営費といたしまして本年度四千十四万九千円を計上しておるわけでございます。  それから次に、六番目の石炭鉱山保安確保費でございます。これは大部分が新規でございまして、備考にございますように、ガス爆発等防止のためにガス抜き促進するということで、新規に八億四千三百三万七千円を計上し、それから自然発火防止するというふうな意味におきまして、密閉促進ということで三億一千四十二万円というものを計上しております。それ以外に保安専用機器整備拡充ということで、これは従来もやってはおりましたが、対象機種を四機種から六機種増加し、補助率を二分の一から三分の二にふやし、それから従来は中小炭鉱だけでございましたのを大手炭鉱対象にするというふうなことで拡充いたしまして、十四億二千六百四十二万六千円を計上しておるわけでございます。  あと鉱山保安センター設置費は、ことしは設備費はもう完了いたしましたので、ゼロでございます。  それから八番目の炭鉱保安専用機器整備拡充費は、六番の保安確保費に移しかえをいたしましたので、それに載せてあるわけでございます。  簡単でございますが以上で……。
  17. 平岡忠次郎

    平岡委員長 次に、昭和四十四年度労働省所管石炭関係予算概要について説明を聴取いたします。上原失業対策部長
  18. 上原誠之輔

    上原説明員 それでは昭和四十四年度石炭対策特別会計予算案のうち、労働省所管分につきまして御説明を申し上げます。  別途一枚刷りの資料を配付いたしておりますので、これをごらんいただきたいと思います。  総額は先ほど通産省御当局からお話がございましたように、七十六億三千六百五十七万円でございます。昭和四十三年度に比し二十五億四千六百六万八千円の増加となっております。  まず初めに、炭鉱離職者援護対策費でございますが、このおもなものについて申し上げますと、まず、炭鉱離職者緊急就労対策事業費補助金でございます。三十億五千二百万円計上いたしております。事業費単価は本年度の二千三百円に対しまして二千五百円と、二百円の増額をいたしております。吸収人員につきましては対象者常用就労等のこともありまして、本年度五千百人に対しまして四千七百人と、四百人の減と相なっております。  次に、昭和四十四年度に見込まれます合理化解雇になります炭鉱離職者でございます。これは本年度からの繰り越し分も含めまして大体一万六千名程度というふうに見込んでおるわけでございますが、これに対しましての援護対策を充実することといたしておりまして、まず炭鉱離職者に対して支給せられます就職促進手当につきましては、一日当たり単価を本年度の六百円から六百六十円ということで増額をいたしております。最高日額につきましては、六百五十円を七百二十円にいたしております。これによりまして、促進手当関係で八億二千五百六十六万円の予算計上することにしております。  なお雇用促進事業団が行ないます炭鉱離職者援護事業費補助金でございますが、この関係では、再就職奨励金単価あるいは雇用奨励金単価をそれぞれ増額いたしますとともに、炭鉱離職者のうち再建炭鉱就職する者に対して支給されます移住資金につきましては増額をいたしたいと考えておりまして、この関係では九億六千三百万円の予算計上いたしております。  第二に、産炭地域開発雇用対策費でございますが、これは昭和四十四年度から新たに実施をしようとするものでありまして、二十五億二千三百九十万円を計上しております。ここに書いておりますように、事業費単価は三千六百円、吸収人員は三千二百人といたしております。この事業につきましては、産炭地域のうち、特に失業者が多数停滞しておる地域、また今後におきましても多数の失業者が発生すると見込まれる地域におきまして、一般の公共事業とあわせまして、産炭地域開発の効果を持ち、さらにまた雇用安定の効果を持つ事業実施しようとするものでございます。  以上、簡単でありますが、労働省所管分予算説明を終わります。      ————◇—————
  19. 平岡忠次郎

    平岡委員長 次に、去る十四日発生いたしました北海道赤平炭鉱災害について、政府より報告を聴取いたします。橋本鉱山保安局長
  20. 橋本徳男

    橋本政府委員 お配りいたしました「赤平炭鉱ガス突出災害について」というのに基づまして御報告さしていただきます。  まことに遺憾なことではございますが、十三日の十二時四十分ごろ、北海道の赤平炭鉱におきまして、採炭作業現場をつくるための岩石坑道の掘進作業中でございますが、ガス突出が発生いたしまして、作業中の鉱山労働者三名が炭に埋没し、罹災いたしました。  その災害が起きまして、直ちに炭鉱におきましては全力をあげて救出をはかったわけでございますが、その災害現場におきましてはガスが充満し、かつまた突出炭がのり面から二十メートルといったような程度の、非常に大量の炭が突出いたしまして救出が難航し、当日二十一時に罹災者三名が遺体となって発見されたわけでございます。札幌の鉱山保安監督局におきましては、この発生の報告と同時に、鉱務監督官とそれから技官が現地に参りまして、当初は救出の指導に当たっておりましたが、その後この原因の究明に当たっております。十五日に災害後の取り明けが完了したわけでございますが、その状況は右側の冠部に幅二メートル、奥行き約四メートルの突出のあとがございます。  山におきまする保安の対策といたしましての問題でございますが、この炭鉱は従来からガス突出の非常に危険な地域であり、かつまた、この地域は特に警戒区域であるということを指定いたしまして、ガス突出の予防対策をやっておったわけでございます。その措置といたしましては、ガス抜きのボーリングを今月の三日から八日にかけまして八本実施し、かつまた、ガス自動警報装置を二本設置するとか、あるいは引き立てから四十メートル手前のところのボーリング場の救急バルブを設けるとか、あるいは引き立てから二十メートル手前のところに酸素呼吸器を四個置くとか、あるいは二十メートル付近のところに遮断幕を設けるといったようなことをやって、一応の対策は講じており、かつまた、作業の実態といたしましても、作業現場には下請関係保安の係員のほかに会社の保安係員両名を配置いたしまして、いわゆるダブルチェック方式をとっておったわけでございますが、不幸にしてそういう結果になったわけでございます。この罹災した三人はいずれも組夫でございます。  その係員二人は、たまたまその突出したときには次のワク組みの打ち合わせをするためにその場を少し離れておったというふうなことでございまして、そのために難をのがれたといいますか、そういうやり方に問題があるといいますか、いずれにいたしましても係員二人は助かったわけでございます。  しかし、こういういろいろなやり方をやっておりましても、不幸にしてこういう災害が起きましたが、現在調査はまだ進行中ではございますが、察しまするのに、結局ボーリングのやり方に問題があったのではなかろうかというようなことでございまして、こういった点につきましては、刑事的な問題はもちろんのこと、行政面からもしかるべき措置をやるべきであろうというふうな観点に立って今日調査をなお進めておるような状況でございます。  以上でございます。
  21. 平岡忠次郎

    平岡委員長 これにて報告は終わりました。      ————◇—————
  22. 平岡忠次郎

    平岡委員長 産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  23. 平岡忠次郎

    平岡委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。大平通商産業大臣
  24. 大平正芳

    大平国務大臣 ただいま議題になりました産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  御承知のとおり石炭鉱業合理化の進展に伴い、産炭地域においては事業活動を縮小あるいは休廃止する石炭鉱山が少なからずあらわれ、その結果として、地域経済活動の停滞その他産炭地域経済に対する影響が生ずることとなり、このため政府といたしましても、数次にわたり対策の強化を行ない、産炭地域の振興をはかってまいりました。  産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律は、石炭鉱山の休廃止により移転、転業し、あるいは経営不安定におちいった中小企業者に対して、その信用力を補完し、経営の安定や企業の再建に必要な資金確保することを目的として、昭和三十八年八月に制定されたものであります。同法は、  中小企業信用保険に関する特別措置として、付保限度額につきまして通常ワクと同額の別ワクを設定すること、普通保険につきまして、てん補率を引き上げること及び保険料率を引き下げることを定めており、これらの措置は、制定当時の石炭対策合理化計画目標年度である昭和四十三年度まで実施すべきものとして制定されているのであります。  しかしながら、石炭鉱業は、なお深刻な不況の中にあって今後とも強力な国の施策を必要としており、今般、昭和四十八年度を目標とする石炭対策の基本的な方向を確立し、産炭地域振興対策もなお一そうの拡充強化をはかることとした次第であります。  産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別指置等に関する法律産炭地域振興対策の一環として、新たな対策の目標年度である昭和四十八年度まで延長する必要があります。  本法律案は、このような考えのもとに本法律の廃止期限を昭和四十四年三月三十一日から昭和四十九年三月三十一日まで五年間延長しようとするものであります。  以上が、本法律案提案理由及び概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  25. 平岡忠次郎

    平岡委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  26. 平岡忠次郎

    平岡委員長 石炭対策に関する件について調査を進めます。  石炭対策基本施策について質疑の通告がありますので、これを許します。岡田利春君。
  27. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 本日は委員会の開会もおそい時間でありますので、短い時間で当面見解を承っておかなければならない問題点、また特に問題点として政府が検討しなければならぬ事項について質問いたしたいと存じます。  その第一点は、過般明治鉱業の安川社長が大平通産大臣を訪れて、明治鉱業としては企業ぐるみ新しい政策のもとで閉山をいたしたい、こういう安川社長の見解が通産大臣に披瀝されたと伝えられておるわけであります。これを受けた大平通産大臣は、この明治鉱業の場合には九州三山、北海道二山、合計五山があるので、地域経済の影響等も考え、現行の政策の中で弾力的にこれを消化できるように検討を事務局に命じた、このように私は伺っておるわけですが、この点について、私のそのような受けとめ方が間違いがないかどうか。それと同時に、通産大臣が、現行政策の中で弾力的にこの問題を処理するようにという意味で検討を命じたという真意は、一体どういう真意なのか、この点について見解を承っておきたいと思います。
  28. 大平正芳

    大平国務大臣 御指摘のように、明治鉱業の安川社長が私のところへ参りましたことは事実でございます。ただ山ぐるみ全部閉山したいというお申し出ではなかったのであります。明治鉱業としてもたいへんむずかしい事態に逢着しておるということ、それからいまから会社がこれに対処する方針いかんが、従業員の方々や地域経済に及ぼす影響がたいへん甚大であると思いますので、石炭対策としていま私どもが考えておることにつきまして若干御質問を申し上げたいという趣旨で参ったのでございます。それで、私といたしましては、石炭対策というものは、いま閣議で決定に相なり、国会で御審議をいただく段階になっておりますが、そのいまわれわれが考えておる政策のフレームの中で、明治鉱業さんが持たれておる問題が一体解決が可能なのかどうなのかという点につきましては、よく事務当局で検討させましょうということを約したのでございます。弾力的という表現が、やや政治的な響きを持たれたんじゃないかと思いますけれども、そういう特に政治的に処理するという意味ではなくて、ワク内において、われわれが石炭行政の処理の中で問題点の解決ができるのであればそれはけっこうじゃないか、ひとつよく具体に当たって検討してみて、会社の疑問とするところに答えて差し上げたらいいじゃないか、まあそういう趣旨でございます。
  29. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 明治鉱業の会社は、きょう、あすにかけて労使の経営協議会を持っているわけです。このきょう、あす持たれている経営協議会で正式に企業ぐるみ閉山を組合側に提案をする、こういうことに実はなっているわけです。いわば公式的に労働者に対して、四月一日以降五山を企業ぐるみで閉山をする、こういう提案をいたすわけです。したがって、事態は、いま通産大臣の答弁もございましたけれども、企業としての公式な意思表示というものがまず経協を通じて労働組合になされる、こういう事態に至っておるわけです。  そこで私は、この問題で特に通産大臣に見解といいますか、認識の問題で若干申し上げておきたいと思うのですが、明治五山は、御承知のように、佐賀二山、福岡一山、北海道二山という配置であるわけです。九州三山の場合には、いわばこれは山の性格からいえばあがり山の山であります。北海道二山の場合には、これは相当の地域における炭量を持つ炭鉱であるわけです。いわば地域別に見ると、北海道と九州の炭鉱の持つ性格というものは違うことは御承知のとおりであります。そこで企業ぐるみ閉山という、こういう新しい制度答申以来、私どもはこの問題を中心にして多少議論をいたしてまいりましたが、企業ぐるみ閉山ということは、結局企業ぐるみごとに、答申趣旨に基づけば労働債務は七五%、金融債務は五〇%、一般債務及び鉱害債務は三〇%で、とにかく会社を整理をするというのが今回の案であるわけです。いわば企業ぐるみにすると、その単位炭鉱というものは完全にスクラップ化される。そこにある一部し機械等は多少転用はできますけれども、総じて価値がなくなる。山ぐるみ価値がゼロにひとしい状態になるというのが実情であるわけです。しかし、従来まで石炭政策を進め、国民経済の立場から見れば、明治が五山をかかえて、企業としてはやり得ないけれども、単位炭鉱を分析する場合には、ある一定期間やり得るもの、その展望を持つもの、そういう性格の単位炭鉱がこの五山の中にやはりあるわけです。ですから、深部に入っておるところは後退的に相当な炭量を持っておるわけですから、これを掘っていく。非常に容易なことである。投資も伴わないという面がある。一方においては、従来は成績が悪かったけれども、これは技術的な欠陥があり、破局的な段階にいきましたけれども、これをやりようによっては十分採算をとり得るという、こういう山もあるわけです。しかも近年まで、去年あたりまで投資が続けられ、山の態勢というものは、非常に新しい炭住を持ち、新しい完備した福利厚生施設を持ち、町は舗装され、十分整備されておる山もあるわけです。私はそういう意味で、企業ぐるみ閉山という形で企業を整備するその方向というものは避けられない面が出てくるかと思いますけれども、しかしそういう単位炭鉱を分析をした場合には、やり得る可能性のあるものは、やはり国民経済の立場から、価値をゼロにするのではなくて、これを十分かかえるという面で検討もしなければならぬのではなかろうか、こういう判断をするわけです。しかも答申趣旨にもありますように、企業を乗り越えて共同するという思想が答申の中には明確に出されております。一つの炭鉱、一つの会社がこれを引き受けるということになりますと、非常に問題があろうかと思いますけれども、たとえば北海道の山であれば、北海道の大手各社がこれを新しい体制で受けとめるということになれば、そういう希望というものは切り開かれていくのではなかろうか、価値をゼロにするのではなくて、そういう面を考えたらどうか。ただ政府側からいえば、企業ぐるみ閉山で金を払う、さらに将来この炭鉱が残れば、閉山に伴ってさらに買い上げるとすれば、二重払いになるという欠陥は確かにあります。ですから、それを企業ぐるみ閉山をするような場合は、しかもそれを残していくという場合には、あとの二次買い上げはしないということになれば、二重払いにはならないわけです。そういう制度でささえられ得るとするならば、私はそういう意味で五山を一ぺんに、価値のあるものもないものも全部つぶすのではなくて、そういう点については、やはり個々の単位炭鉱を分析、検討し、弾力的にものごとを対処するという方式がとられてしかるべきではないか、実は私はこういう見解を持っているわけです。したがって、これは報道でありますけれども、通産大臣が弾力的にひとつ地域経済バランス等考えて対処するようできるかどうか事務当局に検討を命じたという報道は、私がいま指摘したような意味を含めて検討を命じたというぐあいに私は受けとめ、理解をいたしたのでありますが、この点についてはいかがでございますか。
  30. 大平正芳

    大平国務大臣 石炭産業は明治さんばかりでなく、全体としてたいへん危機にありますことは御案内のとおりでございまして、国が強力な支援をしない限り企業ぐるみで締めていくという傾向は押え切れないと思いますが、非常にわが国に固有の珍しい大事なエネルギー資源でもございますし、巨大な国費を費やしまして、石炭政策、これはいろいろ御批判がありますけれども、これをやろうといたしておりますゆえんは、いま岡田さんがおっしゃったとおり、できるだけ多く、政府の支援を軸として、更生、再建の道をたどってもらいたいという趣旨にほかならないわけでございます。したがって、私は明治さんばかりでなく、ほかの企業、ほかの山々に対しましても、できるだけ決意を新たにしていただいて、困難であるけれども、再建の計策の道を歩んでもらいたいということを心から希望いたしておるのでございます。したがって、明治の場合もできるだけ多く残してもらいたいという念願を持っておるわけでございます。  先ほど、ちょっと私申しおくれましたけれども、安川さんがいらしたときに、何でも明治鉱業という企業は締めて、別な企業、分離いたしまして、そしてやるということにした場合に、先ほど申しましたわれわれが考えておる石炭政策の仕組みの中で救われるかどうかという点が疑問の焦点だったように思うんでございまして、そういうことも、先ほど申しました精神で可能な限り考えられるものなら考えるべきではないかと思うんだが、ひとつ愛情を持って検討したらどうだというのが私の言った趣旨でございます。
  31. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 これは事務ベースでものごとを考えますと、いわゆる企業分離ですね。この山を一応あるときはやらせようというときには、分離ということも考えるわけです。そういうことは、実際問題として時間がかかり、不可能なことなんですね。たとえば持っている資産を簿価でもって分離をする。それから労働者労働債務ですね、退職金なんかどうするか。これは全部持たしてやるんなら、これは一山どうにもならぬわけです。だから、問題は、企業として成り立たないとすると、企業ぐるみをする。買い上げて、また買い上げたとすると、二重買い上げになるわけですね。そのかわり、残ったものは再開をしないということであれば、企業ぐるみきれいになって、これは診断をして、これならやれる、そのかわりその出炭をさらに努力をして越えれば——越えない分は別ですが、越えた場合には三千百三円の山を買い上げる。買い上げる恩典には浴しないんだということにすれば二重買い上げにならないわけです。非常に単純に、しかも簡単に整理できるわけです。こういう点がどうしても考えられるんですが、事務ベースの場合には簿価だとか資産の持ち出しだとか、あるいはまた労働者労働債務、こういうことになりますと債権者の関係が出てきますし、そう簡単にいくものではないわけです。この点がどうも事務ベースのいま進めている方向と私のいま主張する方向では相当な開きがあるわけです。私は、通産大臣におそらく安川社長が言われたのは、そういういま言った前段の分離ということを前提にして考えると、非常にむずかしい、政策に乗るかどうか、こういう問題もある。こういう点で悩んで通産大臣に言われたと思うのです。この点を直截に解決するような方向でその場合に検討してみる必要があるんではないか、こう思うわけです。二重買い上げさえしなければいいではないか。しかも、そういう形でやれるかどうかということは診断すればわかるわけなんです。またやれない山はだれもやるとは言わないわけですね。明治は会社を閉じるわけですから、明治がやるわけではないわけでから、そういう一つの、もう少し次元の高い意味で、これは相当時間の余裕もあるわけですから、十分ひとつ検討すべきではないか、こう思うわけです。  特に北海道の場合には、御承知のように昭和炭鉱というのは留萠鉄道があって、隣に太刀別炭鉱があるわけです。昭和閉山をするということになれば太刀別も閉山をおっつけ申請をするでしょう。残された留萌鉄道は一体どうなるか、こういう問題が地域的にはございます。それから本岐炭鉱の場合は、これは山の入り口まで完全舗装して、最も設備的には新しい、昨年まで住宅を建てたという地点で、完全な福利厚生施設は整っておるわけです。しかもこの山が閉山されるということは、単に山が閉山されるだけでなくて、実績として、釧路炭田三百五十万トン、サルファの少ない、特に東京電力あたりの都市向けの炭を出炭している山でありますから、これが閉山されるということは、せっかく先行投資をし、地方自治体が一億も土地を寄付して、すでに決定している火力発電所も建設が不可能な状態に発展していくわけです。非常に地域的に与える影響は重大なわけです。こういう地域的なやはり側面を持っているわけですから、私はそういう意味において、この問題についてはいますぐにどうのこうのということにはならぬでしょうけれども、慎重にひとつ検討をしていただきたい。私どももその過程を通じて、私どもは私どもの調査の範囲で、そういう検討された結果に対して、意見を述べ、議論をしてまいりたい、こう考えておりますので、ひとつ慎重に検討していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  32. 大平正芳

    大平国務大臣 そういう気持ちで検討してみます。
  33. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 それじゃ次に、きのうきょうと、北海道の産炭地鉄道四社がストライキを行なっているわけです。これは北海道の特殊な事情なんです。九州には、別に産炭地鉄道というのはないわけです。九州は、御存じのとおり、開発が優先している。国鉄が大体石炭輸送を担当する。北海道の開発というのは、水産資源と石炭から始まったわけですから、北海道の鉄道の発祥地は炭鉱であるわけです。いわゆる幌内鉄道が、北海道で一番早い鉄道である。その後国鉄が敷かれた、こういう状態でありますから、炭鉱開発するためにはどうしても鉄道をみずから持たなければならないということで、今日まで推移をしてまいりました。今日、北海道では九カ所の産炭地鉄道があります。そのうち炭鉱と直接経営形態を同じくしている鉄道は、羽幌炭鉱鉄道、尺別鉄道、三菱大夕張鉄道であります。それから美唄鉄道というのがあるのでありますが、これは三菱美唄から美唄炭鉱第二社会、分離をして、炭鉱と一緒だったのですが、鉄道は親会社の三菱鉱業の鉄道だ、こういう関係が三菱美唄鉄道。それから炭鉱から分離をして、その資本をほぼ一〇〇%近く持っておる私鉄では、雄別炭鉱鉄道会社、三井芦別炭鉱鉄道会社、釧路臨港鉄道というのがあるわけです。それから北炭系の夕張鉄道。留萠鉄道というのは純然たる、炭鉱が持っていない鉄道であります。この九つの私鉄があるわけです。先般予算委員会でも、私は、石炭産業というのは運搬産業である。切り羽で炭を起こしたら、あとは運搬するだけなんです。これが石炭産業の実態なんです。いままでのものは、海上輸送については専用船をつくって、これは船賃を安くして、流通合理化をはかってきたという面があるわけです。たとえば荷役設備を共同化して、荷役料をとにかく安くしようということで若松の荷役設備ができた。そういう会社をつくったのです。あるいは留萠に、留萠の荷役設備の近代化資金でそういう会社をつくった。ところが鉄道だけは、国鉄に至る炭鉱の鉄道、あるいは埠頭に至る炭鉱の鉄道というものは、炭鉱と鉄道は同じようなものでありますから、政策的には、いままで陥没地帯に実はなっていたわけです。荷役設備、船まで流通合理化してやってまいったのでありますから、産炭地の鉄道についても当然考えなければならぬ時期に来ているのではなかろうか。たとえば石炭を運送する石炭専用貨車でありますか、石炭だけしか運送できない貨車ですから、ほかに転用のしようがないわけです。これを引っぱる機関車というものがあるわけです。旅客はいま大体ディーゼルカーでやっていますから、全然客体が別である。こういう面でありますから、純然たる石炭ということがわかるわけですね。こういう面については、私は、ある程度近代化資金対象になってしかるべきではなかろうか、こういう面について検討をすべきではないかという意見を持っておるわけです。また産炭地鉄道は産炭地のみにあるわけです。ですから、結局産炭地域の振興という面からやれば、産炭地域振興事業団関係についても、産炭地鉄道が、多少貨物が減っても石炭の輸送が減っても、ある程度安定できるような、そういう側面を吸い上げるべきではなかろうか。さらにまた炭鉱が、企業ぐるみ閉山になってしまう、そのために鉄道というものは廃止しなければならない、こういう事態になりますと、いままでは炭鉱労働者であったわけですから、坑口から選炭機に石炭を輸送するのは、坑外運搬員とこういうわけです。選炭機から国鉄あるいは埠頭まで石炭を輸送するものは、結局鉄道でありますけれども、坑外運搬員でもあるわけです。そういう面を考えますと、いまの政策で、山がつぶれて、鉄道がやめなければならない。資産があるところは退職金を払うし、それほど問題もないわけです。しかしながら、どうにもこうにもならない、退職金すら払えないということになりますと、この面については、何らかの措置をしなければならない。歴史性から見ても、現実からいっても、そういう側面を持っておるのではなかろうか、私は、こういう見解を持っておるわけです。これもすでに産炭地鉄道がストライキに入っておるという事態に対処して、いますぐにここで結論をいただくということは困難かと思いますけれども、こういう面について、ひとつ現行制度もあるでしょうし、またこの中でやれるものもあるでしょうし、また何らかの処置をしなければやれないものもあるかもしれませんが、これは当然検討に値するものであり、何らかの対策を立てなければならない問題ではないか、かように思うのでありますが、この点についての見解を承っておきたい。
  34. 長橋尚

    長橋説明員 お答え申し上げます。  産炭地施設につきまして、石炭鉱業合理化事業団から、たとえば石炭貨車当たりについて近代化資金融資できないか、あるいはまた所定の産炭地施設の需要に対処して、産炭地域振興事業団融資対象になり得ないか、そういったことを検討すべきではないかという御意見につきましては、まず近代化資金に関します限りいろいろな要件もございますが、同時に量的に非常に限られた面もございますので、一挙にそういった方向で考えるということも事実上むずかしい面もあろうかと思いますけれども、よくこういった貨車の代替需要その他の実態も調査いたしまして、今後の問題として検討してまいりたいと考えます。  それから、産炭地域振興事業団融資につきましても、所定の要件を満たすものでございますれば、従来も若干の実績もございますし、今後の問題として十分検討に値すると考えております。  最後の私鉄でございますが、万一炭鉱閉山に伴って、石炭輸送を中心事業とした産炭地鉄道に、石炭鉱業に対する閉山対策に準じたような対策を研究すべきではないかという御指摘につきましては、もともと私鉄対策に関します限り基本的には運輸行政の一環として検討されるべき筋合いかと存じておりますが、そういった主務省でございます運輸省のほうとも連絡をとりながら検討すべきは当然だと考えておりますが、石炭鉱業自体に対する対策をそのまま産炭地域鉄道に移すというふうな点につきましては、従来のいろいろな経緯その他に照らしまして、非常にむずかしい問題も含まれておるのではなかろうか、かように考えられる次第でございます。
  35. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 近く運輸、労働、通産でも、こういう問題については一応意見の交換をされるように聞いておりますので、十分ひとつ検討願いたいと思うわけです。特に山が閉山する場合に、羽幌とか尺別、三菱大夕張のような場合がつぶれれば、同じ鉄道でありながら、炭鉱の概念の中に含まれて処理されるわけですね。客体がたまたま違うというだけであって、七〇%、九〇%石炭だけ輸送しておる鉄道会社は別にして、これは資本金を一〇〇%炭鉱が持っておる。なるがゆえに、全然取り扱い方が違うということは、やはり実態論として問題があるのではないか。そういう意味で、私はこの点は問題提起の形でありますけれども、これらの点について十分検討願いたい、こう強く希望しておきますし、また今後の審議の過程で見解を承ってまいりたいと思います。  さらにもう一つの問題点は、経過金融の問題ですが、経過金融は、三月三十一日までは経過金融措置をとり、今度の肩がわりの場合は優先的に弁済をする、こういう形で三月一ぱいまでの経過金融措置をとっておるわけです。金融問題は今日炭鉱にとってはきわめて重大な問題です。しかし、四月一日以降、三月、四月の状態というものはそのままにしておけば状態は変わらないわけですし、三月で経過金融措置を打ち切るということになりますと、四月はどうなるのか。たまたま予算が通れば、別に法律に基づかないで石炭特会から、たとえば先ほど説明のあった安定補給金とか坑道掘進補助金を内払いをするとか、そういう方法は予算が通過すればとれるのだと思うのです。それを考えておるのか、それともそういうことも考えないで、とにかく三月一ぱいで経過金融措置は終わる、こういった立場に通産省は立っておるのか、この点の見解を承っておきたいと思います。
  36. 長橋尚

    長橋説明員 御指摘のように、経過金融措置につきましては、非常に特別な措置でございますので、これを長く続けますことは、非常に国の負担あるいは筋合いの面から考えても問題があるというところでございます。一応三月一ぱいをめどにいたしまして経過金融措置を講ずることといたしましたのも、新年度予算の成立、そうして新しい石炭対策実施に移されるという時点まで、こういうふうな筋合いで考えた次第でございます。それで別途国会の御審議をお願いすることにしております石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正案及び石炭鉱業再建整備法の一部改正法律案、その二法を予算関係法案として政府として国会審議をお願いする、かような考え方と表裏した結果、経過金融措置を講じた次第でございます。
  37. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 この点も明確な答弁をきょうもらえるとは私思っておりませんので、ただ問題を指摘しておきたいと思うのですが、ただいま一つの法律案が通産省から提案になった。労働省からも法案提出になりました。さっそくこれから委員会で審査を進めてまいらなければならないわけです。加えて経理規制法がこれは委員会に直接付託になります。いま部長が言われた二つの法律案は本会議提案、これは与野党ともに重要法案として出しておりますから、本会議提案をする。その見通しとしては、順調にいって三月の十二、三日ごろの本会議提案になるのではなかろうか。すでに三本の法律案がこの委員会に付託されておるわけですし、新規法案もございますから、審議を急いで、上げるものは上げるようにわれわれも処置しなければならぬと思うのです。しかし、この重要な、特にいま経過金融とも関連がある、企業ぐるみ閉山とも関連がある法律案というのは、これは答申を大体年末に出してきて、ばたばたと閣議決定して予算をきめてきておるわけですし、時間的にいうときわめて短い時間に作業を進めておるわけですから、これは衆議院で審議をして——社会党は御承知のように国有公社法も出しておりますし、並行審議を進めたいと思っておりますから、これはとても簡単に二、三回くらいのあれでもってぽんと上げる、審議が終わるなんてものでないことは、常識的に考えて、時間単位から考えて、不可能なことなんです。おそらく今国会中に成立できるかどうかわからないというぐあいに常識的にいって判断せざるを得ないわけです。そうなってまいりますと、結局予算は四月の初旬には通るでしょう。その面からある程度の、いま言った安定補給金なり抗道掘進補助金なりを内払いする措置はとれるけれども、それだけではたしてどうなのかという問題が必ず出てくるわけです。必ず出てくるのですから、いまから十分考えておいていただきたい。そのときになってどうにもならぬということでは困るわけです。特にこの点は私は強く指摘しておきたいと思いますし、非常にこれは、いまの新政策に切りかわるまでどういう形になるか、新政策に切りかわるまで一番大事なポイントですから、この点は十分ひとついまから検討しておいてください。きょうは問題提起にとどめたわけですが、いずれ委員会でまた詳しい質問なり議論をいたしたいと思いますので、この点を強く問題提起をしながら、その重大な検討を要請いたしておきたいと思います。  私の質問を終わりますけれども、八木委員が関連質問がございますので、八木委員に譲って私の質問を終わりたいと思います。
  38. 八木昇

    ○八木(昇)委員 関連して。一問だけでございます。  ただいま石炭鉱山に関連をしております私鉄の問題を岡田委員が要望したのでございますが、実は従来、炭鉱は製作所を持っていた。その製作所は鉱山機械の修理、維持、保全、それから簡単な機械製作というようなことをやっていた。ところがもう非常に不況だものですから、どうしても徹底的に企業を合理化しなければいかぬというようなことで、製作所部門を分離をして独立企業とする。そして従来どおり炭鉱の仕事をやると同時に、簡単な機械の製作を始めまして一般の注文をとる。たとえば建築材料の鉄骨をつくるとかいうようなことで今日まで維持している。その従業員は全部もとは炭鉱の従業員である、こういうのがあるわけであります。ところがその元山が今度閉山ということになりますと、今日でも炭鉱自体の仕事を三分の二近くやっておるというような場合には、その企業は炭鉱と運命をともにしてつぶれるか、あるいは何とか細々にでもやっていこうとすれば、従業員の三分の二くらいを首切って小さな企業として生き残るか、こういう形になるわけであります。これは常識的に考えますと、今度の石炭政策の対象の範囲外になるのであろう、そういふうに思われますが、ここで離職をする労働者の人たちは非常に気の毒なことに実はなるわけであります。こういう問題があるということ。  それからいまの私鉄と同じように小さな機帆船、これはもうもっぱら石炭輸送専業の船であったのが、非常に縮小をしまして、船の数も全盛期から比べればもうその三割か四割くらいに減少しておりますけれども、何とかそれで食ってきたというようなところが炭鉱と運命をともにするわけであります。これはみんな小さな船主たちがやっておる。そういうようなものについても政策の対象としてもらえないものであるかどうか。これは石炭局だけの御判断ではできない、大臣の政治的な判断というようなこともなされなければ結論は出ない問題だとは思うのですが、こういう問題があるということを認識していただきたいと同時に、何らかのことを考えてもらえないかということについてお答えをいただきたいのであります。
  39. 長橋尚

    長橋説明員 ただいま八木委員御指摘の問題につきましては、非常にむずかしい問題と考えるわけでございまして、石炭対策のワク内で考えるという点につきましては、私鉄の問題と同様大きな問題点があると考えております。本日、本委員会に付託されました産炭地域における中小企業に対する信用保険の特別措置等に関する法律におきましては、中小企業者がそういった炭鉱閉山に伴いまして移住とか転業を余儀なくされる場合についての特別措置を講じているわけでございます。同時に、国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫におきましても、そういった中小企業者の移住、転業等の資金需要に対しましては、一定金額のワク内におきまして特利、六・五%という金利をもちまして特別な融資制度を設けているわけでございますが、御指摘のような企業がそういう事態に該当するに至りました場合、そういった諸制度が十分有効に活用されて、廃業ということにつながらないように持っていける可能性が非常に大きいのではなかろうか、かように考える次第でございます。  以上一般論としてのお答えで非常に恐縮でございますが……。
  40. 八木昇

    ○八木(昇)委員 一応きょうはこの程度にいたしておきます。
  41. 平岡忠次郎

    平岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることにし、本日は、これにて散会をいたします。     午後四時五十五分散会