○吉光
政府委員 ただいまの繊維局長の説明に関連いたしまして、繊維機械製造業の
現状と問題点につきまして簡単に御説明を申し上げたいと思います。
もう申し上げるまでもないわけでございますけれ
ども、繊維機械は紡機、織機、準備機等から始まりまして染色整理仕上げ機あるいは編み組み機、部・用品等、いろいろな分野に分かれておるわけでございまして、
昭和四十年に行なわれました工業センサスによりますと、これらの各種繊維機械製造業、この企業の数は二千二百十三企業でございまして、そのうち資本金五千万円以上という企業はわずかに三十五企業でございます。中小企業が非常に強いウエートを持っておる部門でございます。
それから生産のほうでございますけれ
ども、逐次生産実績はあがっておるわけでございますが、これを金額で申し上げますと、四十一年に八百三十億、四十二年に千九十三億、四十三年に千三百六十四億というふうに逐次生産はあがっておりますけれ
ども、他の一般機械の生産の上昇に比べますれば、やや
成長性は低い部類に入っておるのではないかと考えます。
それから
輸出の
状況でございますけれ
ども、大体先ほどの四十一年からの数字に見合う数字で申し上げますと、四十一年が約三百四十四億、四十二年が三百五十十八億、四十三年が三百九十億というふうな
状況でございまして、
輸出比率なべて考えますれば、大体三割
程度が
輸出されておるというのが
現状でございます。
他方、
輸入のほうでございますけれ
ども、これも四十一年から御説明申し上げますと、四十一年に百二億、四十二年に百三十九億、四十三年に急増いたしまして二百二億というふうになっております。一般的には、三十七年にこれは自由化されたわけでございますけれ
ども、三十七年の自由化後しばらく趨勢的には減少を続けておりましたけれ
ども、この四十二年を境にいたしまして
輸入が増勢に転じておるわけでございます。
それから製造技術の技術水準の問題でございますが、一部の機種では技術
輸出が行なわれておるものもございますけれ
ども、総じて考えますと、やはり技術導入によって欧米先進国の技術レベルへ現在キャッチアップしておるというふうな
状況でございます。総じて言えば、そういうふうに、技術水準といたしましては、
現状におきましては欧米の水準のほうが進んでおるのでございまして、したがいまして、むしろそれを導入することによってキャッチアップの
努力を続けておるというのが
現状でございます。
それから、いままでとっておりました
振興措置でございますけれ
ども、
一つは機械工業
振興臨時措置法の特定業種の対象にいたしておるという点が一点でございますと同時に、中小企業
関係の分野も非常に多うございますので、中小企業近代化促進法のほうでも一部
振興策について負担をしてもらっておるという
状況でございまして、機振法のほうの適用対象といたしましては、準備機のうち糸巻き機とメリヤス機械、染色整理仕上げ機械、それから部品といたしましははスピン
ドル、リング、あるいは筋ローラー、トップローラー、紡績針というようなものにつきまして四十五年度を目標といたしました基本計画を作成いたしまして、できるだけ欧米諸国の同種の製造業の事情を勘案いたしまして適正生産規模を策定いたしまして、これへの達成につとめておるわけでございます。また織機やあるいはメリヤス機械の消耗部品のうろで特に重要と見られております金おさ、ワイヤーヘルド、シャットル、メリヤス針、これは例外なしにメーカーが中小企業でございますので、近代化促進法の指定業種といたしまして、四十七年度を目標年度とする基本計画を策定いたしまして、近代化、合理化を進めておる段階でございます。
ただいま申し上げました中から問題点を拾ってまいりますと、何と申しましても、技術開発ということの点におきましてまだまだウィークであるという点であろうかと思うわけでございまして、先ほど御説明ありました繊維工業におきます省力化の要請というものは、ますます強くなっておるわけでございまして、したがって、こういう省力化の要請にこたえ得るような革新的な機械の開発というものに現在各メーカーとも
努力はいたしておりますけれ
ども、必ずしも十分でない、もっともっとやるべき点がたくさんあるというふうに考えられるわけであります。
この技術開発の問題に関連いたしまして、試みに
外国のトップ企業と
日本のトップ企業の研究開発費が売り上げ高に占める比率を比較してみますと、
外国のトップ企業でございますと、大体二ないし四%
程度が研究開発費に充てられておりますけれ
ども、
日本の場合には〇・五ないし一%というふうな割合でございまして、遺憾ながら低位の段階にあるわけでございます。
それから
輸出の問題でございますけれ
ども、先ほど
輸出比率の問題として約三割というふうに申し上げたわけでございまして、わりあい比率としては高いほうでございますけれ
ども、
輸出先が主として東南アジア等を中心にしたものでございます。早く先進国の技術レベルにキャッチアップいたしまして、むしろそういう国々にも繊維機械を
輸出される体制を生産の中にビルドインする必要があるのではないかというふうに考えるわけでございます。特にこの技術開発問題につきましては、先般の法案の御審議の際におきましても附帯決議があったわけでございますけれ
ども、こういう技術開発をどう助成してまいるかというふうなことにつきまして、私
ども現在あれこれ
関係業界の方々とも御相談申し上げながら、いい方法を見つけようということで
努力いたしておりますけれ
ども、なかなかきめ手になるような
手段が現在ではないというふうな
状況でございまして、当
委員会の御
意見をいただきながら積極的にさらに進めてまいりたいと考えております。