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1969-09-08 第61回国会 衆議院 商工委員会 第47号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年九月八日(月曜日)     午前十一時二十六分開議  出席委員    委員長 大久保武雄君    理事 宇野 宗佑君 理事 浦野 幸男君   理事 小宮山重四郎君 理事 藤井 勝志君    理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君    理事 堀  昌雄君 理事 玉置 一徳君       天野 公義君    小川 半次君       海部 俊樹君    神田  博君       小峯 柳多君    島村 一郎君       田中 榮一君    塚田  徹君       加藤 清二君    千葉 佳男君       中谷 鉄也君    古川 喜一君       武藤 山治君    近江巳記夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  大平 正芳君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      保利  茂君  委員外出席者         外務省経済局外         務参事官    鈴木 文彦君         厚生省環境衛生         局長      金光 克己君         通商産業省企業         局立地公害部長 矢島 嗣郎君         通商産業省重工         業局長     吉光  久君         通商産業省繊維         雑貨局長    高橋 淑郎君         中小企業庁長官 乙竹 虔三君         日本開発銀行総         裁       石原 周夫君         専  門  員 椎野 幸雄君     ————————————— 八月八日  委員福永健司辞任につき、その補欠として小  平久雄君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員丹羽久章辞任につき、その補欠として篠  田弘作君が議長指名委員に選任された。 同日  委員篠田弘作辞任につき、その補欠として丹  羽久章君が議長指名委員に選任された。 九月八日  委員小川平二君及び丹羽久章辞任につき、そ  の補欠として塚田徹君及び小川半次君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員小川半次君及び塚田徹辞任につき、その  補欠として丹羽久章君及び小川平二君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 八月五日  一、通商産業基本施策に関する件  二、経済総合計画に関する件  三、公益事業に関する件  四、鉱工業に関する件  五、商業に関する件  六、通商に関する件  七、中小企業に関する件  八、特許に関する件  九、私的独占の禁止及び公正取引に関する件  一〇、鉱業と一般公益との調整等に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件      ————◇—————
  2. 大久保武雄

    ○大久保委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件及び経済総合計画に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武藤嘉文君。
  3. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 この閉会中の委員会は、国会がこの間終わりますときに、特にアメリカとのいろいろの経済問題あるいは繊維問題あるいは自動車の自由化というような問題を中心として委員会を開こうじゃないか、こういう趣旨でございまして、私も七月八日の委員会においてちょうど繊維の問題につきましていろいろと御質問をいたしましたので、それ以後の問題につきましてこの機会に少し質問をさせていただきたいと思います。  七月八日の委員会におきまして、私は特に外務省経済局長に対しまして、沖繩の問題と日米経済問題とをアメリカ側はややもすればからめたいという気持ちを持っておるのではなかろうか、しかしながら、少なくとも日本側としては絶対にこの二つの問題をからめていくべきではない、こういう考え方のもとに真意をお尋ねしたのでございますけれども、そのときには、経済局長はあくまでわれわれ日本側としては沖繩問題経済問題はからめない、こういう考え方のもとに参りますという発言でございました。また、先日私ども自民党商工部会繊維特別委員会の会合におきまして、愛知外務大臣にお越しをいただいていろいろお話がございましたときにも、私は外務大臣に特にその点について、はっきりとした見解をお尋ねいたしましたところ、このときにも、これは全然別個の問題として取り扱ってまいります、こういう御発言でございました。この商工委員会においても決議がなされ、また、五月の九日には、衆議院の本会議において全会一致繊維輸入制限というものには反対だ、こういう決議も行なわれておるわけでございますが、そういういろいろの経過からいたしまして、私は現在のところでは依然としてそういう方針を堅持をしていただいておる、こう信じておるのでございますが、外務省見解をお聞きしたいと思います。
  4. 鈴木文彦

    鈴木説明員 お答えいたします。  ただいまございました御質問に対しまして、外務省を含め、日本政府全体の繊維問題に対します考え方は、日本政府全体としまして従来種々の機会に表明されましたものと一つも変わっておりません。
  5. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 沖繩の返還問題というのは、私どもほんとう日本国民一億の悲願でございますし、しかも、戦争によって占領されておるそういう土地というものが、とにかく平和なうちに返ってくるというのは、私はすばらしいできごとだと思うのです。そういう意味においては、ほんとうにこういうすばらしいことを私ども大いにこれからとも進めなければならないと思っておりますが、そういうすばらしいできごとを、万が一にもアメリカ繊維業界という一業界のいろいろの圧力によってそれが曲げられるというようなことは、私は絶対に避けるべきである。日本人として将来の歴史をつくるわけでございますけれども、将来、十年、二十年先の日本国民が、沖繩が返ってくるときに、しかしながら一方において日本繊維産業が犠牲になって沖繩が返ってきたんだ、もしこういうような歴史を見たならば、将来の日本国民が、今日の日本政治家を、あるいは日本政府に対してどういう考え方を持つでしょうか。私はそれを考えた場合には、たとえどんな困難が伴おうともぜひともこれは切り離して考えていただきたい、こう思っておるものでございます。  そこで、実はそういう御質問を申し上げましたのは、最近いろいろの新聞がこの繊維の規制問題を取り上げておりまして、九月二日の日本経済には、現在繊維問題は非常に重要な問題として、しかも政治的な問題として取り扱われてきておる、そして、ひょっとすれば、この問題が十一月に予定される佐藤首相ニクソン大統領との会談沖繩問題と一緒に重要議題として取り上げられ、また共同コミュニケに盛られることは必至だと外務省筋が言われておると書いてございます。あるいはまた、九月の六日、毎日新聞によりますと、「外務省筋が五日明らかにしたところによると、専門家会議の結果、日本からの輸出急増で大きな被害を受けている特定繊維産業があることが判明すれば、わが国はその品目に限定して自主規制に応ずるとのハラを固めた。」こういうように書いてございますし、また、いま一つ朝日新聞によれば、「政府部内には、沖繩返還交渉を有利に導くため繊維問題で譲歩する考えが強まっており、」こう書いてございます。  先ほど来いろいろお願いを申し上げまして、外務省鈴木参事官からは、従来と全く方針は変わらない、こうおっしゃっていただいたのでございますが、私はこの新聞記事を見ておりまして、非常にその点を危惧しておるものでございます。この新聞報道と先ほどのお答えとは少し本質的に違うのではないかと思うのですけれども、その点、もう一度こういう新聞報道に関連をいたしましてお答えを願いたいと思います。
  6. 鈴木文彦

    鈴木説明員 繊維問題に関します日本政府考え方は、従来とも変わりないということを先ほど申し上げましたが、新聞報道の件につきましていま触れられたわけでございます。たまたま外務省筋ということで報道がされておるわけでございますけれども、先ほど申しましたように、繊維問題につきまして政府考え方は、従来とも表明された点と一つも変わっておりません。したがいまして、このような新聞報道がありましたことについては残念に考えております。
  7. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 まあ外務省筋でございますから、もちろん経済局でない、あるいはアメリカ局か、私はそれはよくわかりませんが、一つ新聞だけがもし取り上げたとすれば、私もそんなに心配はしないのでございますけれども日刊紙のほとんどがこの問題を大体同じ方向報道されておるという点については、何か外務省のどこかの筋から私はお流しになったんではなかろうか、こうつい想像するわけでございます。やはり日刊紙というものは責任を持っておられると思いますし、また、いま申し上げたように、ほとんどの日刊紙が取り上げておるという点からいけば、私の想像するのもこれはまあ御理解がいただけるかと思います。きょうは不幸にして経済局長はカナダへ御出張でございますし、アメリカ局長もお留守のようでございます。参事官、そうはっきりお答えをいただきましたので、私はきょうのお答えを信じておりますので、ひとつそれが曲げられないように、少なくともこの問題については本会議ではっきりと決議がなされておるわけでございます。ということは、少なくとも国民の総意でそういう沖繩問題などに繊維問題をからめてもらいたくないという気持ちが私はあると思うのです。万が一にも繊維問題で妥協をしなければならないというような方向が今後においてもし出た場合、私は、われわれこの商工委員会の場におきましてでもけっこうでございますので、そういうことが起きた場合にはやはりわれわれにもお知らせが願いたい、こう私はお願いを申し上げておきます。  それから次に、通産大臣にひとついろいろとお聞きをしてみたいと思います。  私、日米貿易経済合同委員会共同コミュニケを見せていただきましても、あくまでも自由貿易原則として進むのだ、こういうことを両国において決議をしておられます。ところが、繊維の問題になりますと少の事情が違ってまいりまして、「米国代表団は、米国の毛および化合繊維製品米国への急速な輸入増大によって重大な問題が生じているとの見解を表明し、国際的な解決を見出すことの重要性を強調した。」とございます。それを受けて日本代表団は「国際的な解決必要性について納得しないところであるが、将来の行動の過程について如何なるコミットメントを行うことなく討議を継続する用意があることを述べた。」と、こう書いてございます。この実際の内容というものはこの文章だけでは私はわからないのでございますが、大臣はこういう共同コミュニケができる前にスタンズ長官とお会いになりまして、いろいろ意見交換をされたわけでございます。それに基づいてこういうものが出たと思うのでございますが、こういう文章の表現がなされたのは、全く従来と同じように突き放してしまってはあまりにも相手に失礼だ、そういう外交的な儀礼と申しますか、相手の顔もある程度立てなければいけないというような気持ちでいろいろとスタンズ長官と、たとえば専門家派遣を承諾され、それが今度の派遣ということにつながったぐらいのものであるのか、あるいはもう少し深いものであるのか、その辺につきまして、大臣真意と申しますか、ひとつ当時のほんとうのところをお聞かせいただきたいと思うのでございます。
  8. 大平正芳

    大平国務大臣 七月の末に東京で開かれました第七回の日米閣僚会議でございますが、これは従来なかった新しい背景の中で開かれたと私は思います。それは、一口に申しますと、アメリカ国際収支、とりわけ貿易収支の面で大きな赤字を記録しておるという事実でございます。したがって、アメリカといたしましては、日本をはじめグローパリーにみずからの市場を開拓していかなければならぬという立場に置かれておると思います。それとうらはらに日本国際収支貿易収支は去年大幅の黒字を記録したことは御案内のとおりでございます。この黒字基調は、これは日米間で見解が必ずしも一致しなかった点がございます。先方定着性を持ってきたという見方でございましたが、当方は必ずしも手放しでそういう楽観的な見解はとれないのだというニュアンスの相違がございましたけれども、去年はそのようにたいへん記録的な黒字の幅の増大を見た、そういう背景の中で開かれたわけでございます。したがって、アメリカ側は鼓を鳴らして日本自由化を迫ることになったのであります。ところが、この繊維問題というのは、いま武藤さんがはしなくも言われましたように、経済の問題でありますが、同時に政治の問題でもあるように思います。ニクソン政権が誕生の場合に、繊維業界のあらゆる面から支援を受けたという経緯にからんで一つ政治的な問題になっておると思いますが、同時に、アメリカ側認識は、アメリカ繊維問題は非常にエクスプロシブのイシューである、爆発的な問題であるという認識のしかたでございます。私どもアメリカ繊維産業の生産、雇用、出荷の状況を見ておりましても、これに特別の保護を必要とするということについて、なかなか理解に苦しむわけでございますが、先方は、これはもう爆発的な問題なのだ、年々増大する日本をはじめ、輸出国からの対米輸出のために今日アメリカでも困難を受けておるが、将来の繊維産業を考えた場合、心配でならないという見解でございます。つまり認識のたいへんな相違があるわけでございます。そういう背景で開かれた会談でございましたから、当然非常に円満に、問題なく合意が見られるという場面は初めから期待できなかったわけでございます。  あとからいろいろ御質問があると思いますが、総じて資本や輸入自由化の問題につきましては、われわれはわれわれのスケジュールを示しまして、日本の誠意のあるところを先方にできるだけ理解を求めたつもりでございますが、先方はそれで満足したとは言わなかったが、限られた時間の会議でございまして執拗な追及はなかったわけでございます。ただ、繊維問題につきましては、たいへん執拗に、アメリカ国際収支逆調を救うためにも、アメリカ繊維産業を守ってまいりますためにも、最大の輸出国である日本側に、何とか自主規制が望ましいということでわれわれに同調を求められたのでございますが、先ほど申しましたように、根本認識を異にいたしておりますので、私どもとしてもそういう御要請に応ずるわけにはまいらないという平行線を終始たどってまいりましたことは、お聞き及びのとおりでございます。  コミニュケをつづりまして、会議はともかくやめなければいかぬわけでありますが、その場合にどういうような始末にするかという判断に迫られまして、私といたしましては、先方が爆発的なイシューである、それから対米繊維輸出によりまして繊維産業が非常なインジュリーを受けておる、また受けるおそれが非常に大きいということにつきまして、そのようには考えないけれども、もしそういう事実がありとすれば、ファクトファインディングをやることについてやぶさかでないということで、先方希望もあり、専門家を九月の半ばに派遣するということを約したわけでございます。それだけのことでございまして、あなたの言われる深い何か事情があるということで決してないのであります。私どもといたしましては、あなたの言われる外交儀礼もありますけれども事柄自体から申しまして、事実は事実として究明してまいることがすべての問題の解決の基礎になるわけでございますから、そういう努力は鋭意やってまいる、怠らないということでございます。
  9. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 いろいろ承っておりまして、いまの専門家派遣というのはすでにもう五月ごろからも日米間でお互い実態——お互いといいますか、アメリカ実態をもっと日本も知ってほしい、それはけっこうだというのがあったようでございますので、それの延長である、いまのお話を聞いておると、われわれはそう考えていいのじゃないかと思うのでございますが、いまいろいろ御事情を御説明いただいた中で、私はいささかアメリカ側見解は間違っておる、こう思いますのは、確かにアメリカの現在の繊維国際収支は八億ドルくらいの赤字であったということでございます。しかし、それは何も、たとえば日本製品が非常に安売りをして、ダンピングをやって向こう業界を圧迫をした、それによって赤字ができたというのならば、私はこちらに責任があると思うのです。しかしながら、現在そういうことは全然なくて、いわゆる日本繊維産業努力努力を重ねて、そして向こう消費者消費に見合うものを開拓して、それを適当なプライスで向こう輸出をして、それが向こう消費者に喜ばれておる。残念ながらアメリカにおいては日本から輸出をされておる同種の品物というものはつくられていない。化学繊維製品にいたしましても、アメリカはどちらかというと、高いもの、そして日本はわりあい中くらいのもの、香港あるいは台湾、韓国あたりからいわゆる安いもの、こういう形で出されておると聞いておるわけでございます。そういうことからいけば、そういうものを開拓できなかった、そういうアメリカ市場希望をかなえられなかったアメリカ繊維産業責任があるのであって、そういう企業努力が足りなかったアメリカ繊維産業のために赤字が出た、それを、困るからほかの国で何とか考えろ、おまえのほうから少し入れるものを押えろというようなことは、一番最初に大臣にお尋ねいたしましたときの、いわゆる共同コミュニケにございました自由貿易の思想からは全く相反すると私は思うのです。それではこれからどこの国でも、自分の国のある産業製品、それが国内の需要を満たし切れなくてどんどん外国から入ってくる、それによってどんどん赤字ができる、それは困るから、そのつどその相手国に対してひとつ品物を入れるのをやめてくれ、こういうようなことを言ってきたら、私はいま進んでおる世界自由貿易という方向はこれによって全く阻害されてしまうと思うのでございます。その辺についての私の考え方が間違っておるのかどうかということ。  それからもう一つは、いま大臣もおっしゃいましたし、私も申し上げておりますが、こういう政治的な、いわゆるそういう経済ベースから考えると、確かにおまえの言うとおりだ、しかし、大統領選挙公約でとにかく約束したのだからやらなければならないのだということであるならば、これはもちろんわれわれも政治家でございますので、選挙のときの公約というものは非常に大事だということはわかるのでございますけれども、しかし、そういう筋の通らない公約をしておいて、それをしかも相手国に押しつけよう——自分の国の問題でなく、自分の国と関係ない外国にそういうものを押しつけようということは全く理不尽なやり方だ、私はこう思うわけでございます。ひとつその辺についての私の考え方について、間違っておるかどうか御批判をいただきたいと思います。  それからもう一つ、当時専門家派遣するということのきまりましたときに、二国間協定というものを検討することにやぶさかではない、こう大臣が言われたという新聞報道も実はございました。こういうことが具体的にありましたのかどうか、その点についてもあわせて承りたいと思います。
  10. 大平正芳

    大平国務大臣 前段の自由貿易原則でございますが、これは武藤委員のおっしゃるとおりだと思います。正確に申しますと、自由貿易というようなものは世界にないので、いわば現在の貿易をよりよく自由にしようという、そういう努力だと思うのです。ガットもそういう精神でできておるわけでございまして、しかもガットをつくり上げた父はほかならぬアメリカであったと思います。したがって、自由貿易、より自由な貿易を通じて世界貿易の拡大をはかっていこうということは、戦後アメリカがそのリーダーとして非常に建設的な努力をしてきたと思いますし、それはわれわれとしてもアメリカ努力を十分評価しなければならぬと考えております。それにひきかえまして、わが国が戦後の荒廃から復興の過程を経て、必ずしも自由貿易の波に乗り切れずに、幾多の制約を加えざるを得なかった立場におるわけでございまして、アメリカその他先進国からいわすと、日本自由化努力は十分ではないばかりか、われわれ理解できないというようなことを終始いわれてきているわけでございますが、日本国会におきまして、そういういま武藤さんが言われたようなより自由な貿易の推進ということについて唱道されまするし、また日本国内におきましても、より自由な貿易へということについての認識がだんだん高まってきておるし、政府もそれに相呼応いたしまして自由化へのスケジュールをともかくも編み出しまして、そのラインに沿っていま努力をしておるということでございます。その限りにおきまして、今度の繊維問題のアメリカ提案のしかたは非常に悲しいことでありまして、アメリカの名誉にかけて私はこれを惜しむのであります。仰せのようにアメリカ国内産業を保護する必要がございますれば、国内政策でカバーしていただいて、輸出国に迷惑をかけないようにやっていただくのが本筋だと思うのでありまして、その点は武藤さんの指摘されたとおり、アメリカ側繊維問題に対する提案はどうもすっきりしないという感じをいまなお強く持っております。  それから第二の点でございますが、この間の日米会談で紙切れに書いたアメリカ側提案というようなものは一切ありませんでした。ただ、日米間で問題をほぐしていくことについて、いま直ちに御返事をもらおうとは思わぬけれども、考えてみてくれないかという口頭での希望は表明されたのであります。  そういう場合に二つ態度があり得るわけで、そういうことはもう何ぼ言ってこられても検討する気持ちは毛頭ないという態度もあり得るし、いま御返事をちょうだいしようとも思わぬけれども、二国間の問題は二国間で解決の方寸を見出すべきだと自分たちは考えておるけれども、その感覚、考え方についてひとつ考えてみてくれないかという場合に、それは検討はいたしてみましょうということでございまして、私は気が弱いものですから後者のほうをとったわけでございまして、たいへん皆さんに御心配をかけておりますけれども事柄の筋道は、先ほど外務省側からも御説明がございましたように、もうすでに態度それ自体は、国会におきましても政府におきましても業界におきましても間然するところなく一致しておるわけでございまして、私がそういうことにかかわりなくするんだなんということでかってにふるまう余地はないわけでございます。出てきた問題をどのようにころがしてまいるかということにつきましては、直接の担当をやっておりますからいろいろ考えなければならないと思いますけれども根本態度それ自身は全然変えていないことは御承知のとおりでございます。
  11. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 私は気が小さいので、大平大臣は私より気が——当然、先輩でございますし、非常に心臓も強いと私は想像いたしておりましたのでございますが、いまのお話で、気が弱いから、どうも検討をする必要はないんだということばよりも、本心は変わらないけれども、まあ検討いたしましょう、こういうふうにおっしゃられた。これは日本人の美徳でございまして、相手を非常に着目せられたと私は解釈いたしておるわけでございますけれども、ただそういう場合に、日本人同士でございますと、私はある程度、お客さんが来られた場合に、あまりお客さんに失礼にあたらないように、せっかく向こうから二国間協定というものをひとつ検討してみたらどうかとおっしゃられてみると、ほんとう検討したい気持ちはなくとも、それじゃ検討しましょうということを言うのはよくわかるのでございますが、相手が何にしてもわれわれ日本人と比べれば非常に心臓の強いアメリカ人でございますので、私どもも多少アメリカ人とっき合ってみても、ほんとうにシビアーな点はほんとうにシビアーである、こういうことを感ずるのでございますけれども、そういうアメリカ人であったにもかかわらず、大臣が非常に日本人的な美徳を発揮されましたために、私は、案外この反響というものはアメリカでは大きいのではなかろうか、こういうふうに想像いたしております。いろいろの外電その他伝えてくることを聞いておりますと、案外それが向こうでは大きな反響を呼んでおると聞いておるわけでございます。  そこで、時間も私はきょうあまりございませんので、今度いよいよ先ほどの向こうとの約束に基づいて事実調査に参られるわけでございますけれども大臣とされましては、先ほど来お話を聞いておりますと、あくまでそれは事実調査である、こうおっしゃっておられますので、当然、交渉をする権限は調査に行かれる方々には全然お与えにならないと思うのでございますが、その点をまず一点と、それからもう一つは、大臣がまあ検討してみようとおっしゃいましたので、私は、当然二国間協定というものを具体的に向こうは掲示をしてくる、こう思うわけでございます。そういう場合に、あくまで第一点で交渉をする権限を持っていかないとすれば、二国間協定というものが具体的に専門家会議の議題になりましても、こちらとしてはそれに応ずるというわけにはいかないと思うのでございますけれども、その点についてはっきりしたところをお教えいただきたい。
  12. 大平正芳

    大平国務大臣 日米関係は過去百年間いろいろな経過をたどってきておりまして、快晴の日もありましたが、雨の日もあり、戦争までしたのですが、これがこれから先また未来悠久の関係があるわけでありまして、決定的に勝負をいどむなんというような考えはぼくはないのです。絶えずいろいろな問題が生起して、しんぼう強くその解決をはかっていきながら日本の国益を守っていく、できればそれを拡大伸長していくということでなければならぬと思うております。したがって、一か八かここで繊維を中心にした通商戦争をいどむというような気力はぼくにないわけです。われわれはたいへん理解しにくい問題であるということでございますけれども、先ほど申しましたように、先方が非常にエクスプロシブなイシューである、こうおっしゃる認識の大きな格差があるわけでございますから、まずそれは一体どういうところにあるのか、いろいろなあらゆるデータを日本側日本側で収集し、分析し、解明してみるのだが、われわれとしてはどうも理解できないということはたびたび申し上げてあるわけでございますが、なおアメリカ側としての根本認識がどうもわれわれと距離があるようでございます。それならば、ひとつそういう事情は究明してみましょう、みましょうじゃありませんかという意味で派遣いたしますのが、今度の高橋君をヘッドにいたしましたミッションの任務でありまして、国会政府業界を通じまして打ち立てられた基本の方針があるわけでございまして、高橋団長に交渉の権限を与える権限が私にはないわけであります。したがって、そういう態度で高橋君には行っていただくことになると思います。しかし、先方に参りまして、十五日から始まって四、五日間の接触のテーブルがあるわけでございまして、先方がその場でどういうようなことを言われるのか、これは私はわかりません。しかし、いままでのところ公式に二国間協定について話するのだというようなことは聞いておりません。事実の究明以外に何かアメリカ側から御意見というようなものがございますならば、高橋団長としてはそれをお聞き取りの上、お帰り願うということになると思います。
  13. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 最後の、向こうから何か提案が具体的に——国間協定ということはわからない、何が出てくるかこれはわからないと思いますが、二国間協定というのは私が想像して申し上げたのでございまして、何が出てくるかわからないと思いますが、とにかく何か具体的に一応協定をしようじゃないか、お互いの約束事を取りかわそうじゃないかというものが出たとき、いまのお話では、それを聞いて帰ってくるというお話でございます。この聞いて帰ってくるという日本語でございますが、聞いて帰ってくるというのは、向こうで聞いて、そうしてさっと帰ってくるのか、それとも、一応それじゃ聞きました、それじゃこれを持ち帰って検討しましょうということで帰ってくるのか、聞いて帰ってくるにもいろいろあると思うのでございますが、聞いて帰ってくるというのは、せっかく向こうがおっしゃることだから、まあそれを聞いて、聞いただけで帰ってくるということなのか、聞いてそれを持ち帰ってくるというのか、これはちょっと事情がその辺違うと思うのですが、どちらでございましょうか。
  14. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど私申しましたように、先方は今度の専門家会議の議題としてそういう提案をするとかなんとかいうようなことは公式には何も来ていないわけですから、そういうやさき、いまこの席でそれについていろいろ議論するのは少しいかがかと思うわけです。それで、先ほど申しましたとおり、万一そういうことがございますならば、聞いて帰ってくるということに御承知願いたい。
  15. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 たいへんしつこいようで恐縮でございますが、私は、ヘッドで行かれる高橋局長にしても、やはりその聞いて帰ってくるというやつが、聞いてそのまま帰ってくるのか、聞いて持ち帰ってくるのか、それによってたいへん責任の度合いが——実態調査、事実調査は、これは責任をもっておやりいただかなければいかぬわけですが、確かに、いまおっしゃいましたように、具体的なものが出ていないから、いまそれをここでディスカスするのはどうか、いわゆる既定の事実じゃございませんので、あくまで想像のことをとらえてここで議論してもというようなお話、よくわかるのでございます。ただ、非常にその辺微妙だと私思いますのは、私もしろうとでございますのでよくわかりませんが、大臣外務大臣もおやりになったのであれでございますが、私は、一つの既成事実をある程度積み重ねていって、そうしてこうだこうだという、最後にこういう段階へきたじゃないかというふうに何かやってくるような気がするのでございます。そういう意味合いで、ひょっとして何か具体的なものが出たときに、ただ、今度のミッションは事実調査に来ただけだから、それは聞くことは承りますけれども、それについては一切私どもは何ら——事実調査に行ってこいということだけでございましたので、まあお聞きはいたしますけれどもと言って帰ってくるのと、何か提案があったら、それを、それじゃ帰ってから検討するように進言をいたしますとして帰ってくるのと、これはやはり私は違うんじゃないかと思うのです。その辺を少し私はお聞きしたがったのでございますが、いかがなものでございましょう。
  16. 大平正芳

    大平国務大臣 だんだん既成事実を積んでいってという御心配もあろうかと思いますが、同時に、まあだんだん時間も経過しているということでございまして、やはりいろんな問題を友好裏にいろいろ片づけてまいりますためには、双方とも相当しんぼうが要ると思うわけでございまして、かちんと割り切るというようなことも一つの方法かと思いますけれどもお互いに誠心誠意、まず事実の究明をやって、共通の認識にまずいかにかして立たなければほんとうの意味の解決になりませんから、そういう点に全力をあげてみたい、こう思っているわけでございまして、いまあなたが後段でお聞きになったような問題について、それを想定した上で、これはこうだというようなことを私がいま申し上げるのはいかがかと思いますので、万一そういうようなことがございますれば、まあ、承って帰ってくるという日本語でひとつ御了解をいただきたい。
  17. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 賢明な大臣のことでございますし、また、非常に優秀な高橋局長のことでございますから、私もそれじゃ、いまのそういう御答弁で信用させておいていただきますので、よろしくその点をお願い申し上げます。  それじゃ、最後に局長にひとつお尋ねをしたいと思うのでございますが、先ほど私が、いわゆる貿易は自由でなければいけないというほうにきているという観点から、アメリカ繊維産業にも努力が足りなかった点があるということを私は指摘を申し上げましたが、もう一つ、そういう点もよく見てきていただきたいと思うのでございます。日本のいわゆる出しておる製品、これがはたしていまアメリカでつくられ得るのかどうか、こういう点は、私は非常に疑問があるんじゃないか。いま日本から出ておる品物というものは、少なくとも現在のアメリカ繊維製品工業においてはつくられ得ないものである、私どもはこう判断いたしております。   〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕 その辺ひとつ十分見てきていただきたいと思います。  それから、確かにアメリカ日本あたりから繊維製品がたくさん入っておりますが、それはあくまでいま申し上げましたように、日本製品日本のつくっておるそういうレベルのものに対してアメリカ消費者が非常に望んでおる、こういうことも私はあるんじゃないかと思います。そういうところはぜひ見てきていただきたいと思います。そうして、もしそういうことが事実であれば、かえってアメリカ日本繊維産業というものは、お互いに足りないところを助け合う関係にあるんじゃないか、こういうことを私指摘できると思うのでございますが、とにかく見てきていただきたいと思いますし、それからもう一つ、この間うちいろいろと、ちょうどあの日米合同委員会が開かれておりますとき、アメリカの議会においてはこの繊維の問題について各アメリカの議員が発言をしておりまして、それが、私ども新聞やその他で読んでおりますと、どうも私が非常に残念だと思いますのは、その議員の発言の中に、必ずしも日本繊維産業の実情をまだ承知していない方がある。まあ昔のいわゆる女工哀史といわれたころのほどには想像しておられないと思いますけれども、たとえばある議員などによれば、全く厚生施設もできていないとか、まだ低賃金であるとか、それから労働基準法さえしっかり守られていないとか、あるいは時間外手当も出していないとか、いろいろそういう日本の実際の現在の繊維実態とはおよそ違った認識を持っておられる議員が相当あるように私、その発言を読みまして感じたわけでございます。どうか、向こう実態を見に行かれると同時に、ひとつこっちの繊維産業実態というものも、非常に現在は構造改善が進み、近代化が進んで、昔の繊維産業とは全くいま現実に日本繊維産業は違っておる、こういうことも私はもっとしっかりと向こう認識をしていただく必要があるんじゃなかろうか、こういう感じがしたのでございます。ひとつその点よろしくお願いを申し上げたいと思いますが、まあ、これは私のほうで要望でございますので、お願いだけいたしておきます。  とにかく、私はこの間も最後にお願いを申し上げまして、きょうももう一つ大臣にもお願いを申し上げておきたいと思いますが、アメリカの議会筋が、もし日本が、あるいはその他の国々がこの繊維自主規制に応じない場合には保護立法をつくるんだ、こういうことを何かというとすぐ発言をいたしておりますが、私は現在アメリカ新聞論調などを見ておりましても、そういうことは結局において最終的にできない、だから、あくまでこの自主規制を強く要求してきておる、こう私は感じております。ですから、ひとつその辺は十分に御認識をいただきまして、へたに、保護立法ができるから自主規制に応じたほうがいいんじゃないかというような気持ちだけは毛頭持っていただきたくないと思いますし、また、持つ必要は私はない、こう感じております。  それからもう一つは、先ほどの大臣の御答弁で、勇ましい繊維の戦争は私はそこまで強くできないというようなお話がございましたけれども、ぜひお願いを申し上げたいのは、やはり韓国なり台湾なり香港なり、そういう東南アジアの連中は、日本のこの繊維の交渉に対して非常に注目しており、非常に期待を持っておるわけでございます。どうかそういう意味合いにおいても、やはりアメリカとも親交を深めていかなければなりませんけれども、やはりわれわれはこのアジアの一員でございます。どうかアジアのそういう連中が信用しておる日本として、少なくともその期待を裏切らないように、彼らに失望を与えないように、今後ともぜひそういう方向で、決して日本だけの問題ではないのだ、この日本が挫折をすれば、それに続いて相手は、台湾、香港あるいは韓国あるいはフィリピンというように順次、こういう協定を日本と結んだからおまえのところも結べということを必ずやってくるに違いないと思うのです。そういうことでございますので、正義の戦争であるならば、こういう平和的なうちの戦争でございますから、私はどうか大いにがんばっていただきたいということを、時間がございませんので、特に最後に御要望をしておきまして私の質問を終わらせていただきます。
  18. 浦野幸男

    ○浦野委員長代理 加藤清二君。
  19. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私は、時間を拝借しまして、日米間の繊維問題について二、三の質問をいたしたいと存じまするが、私の要望いたしました答弁者はおそろいですか。
  20. 浦野幸男

    ○浦野委員長代理 十二時五十分に官房長官が来るそうです。それから……。
  21. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 繊維問題はニクソン政権通商政策の方向をきめるかぎを握っている重要な問題なんです。しかもアメリカ側は、業界、政界、官界が三位一体となって、何とか日本繊維を制限しようと、それこそ猛烈な勢いで襲いかかってきている。かかる重要な問題であればこそ、私は、通産大臣だけではなくて、当面の責任者であるところの外務大臣を要求した。しかし、外務大臣はおりあしく外遊中であるという。それならば、留守番の外務大臣、すなわち、佐藤総理が兼任と聞いておるから、佐藤さんに出てもらいたいと言った。佐藤さんが無理ならば、これにとってかわる官房長官に出てもらいたい。なぜかならば、本件は、アメリカでは国務長官が陣頭指揮でこの問題に当たっておる。外務大臣通産大臣に匹敵する人はもちろんのことなんです。大統領指揮のもとにやっておる。なぜ、本件をここで審議するにあたって、日本はそのような冷たい態度であるのか、それほど簡単なものだと心得ておるのか、まず、本件に関する認識から承りたい、通産大臣
  22. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのようになかなか重大な問題であるという認識は、加藤委員も御承知のとおり、政府部内におきましても一致した認識でございます。これに対処いたしますために非常に周到に配慮いたしておるわけでございまして、これを一つの手ごろな経済問題であるというような認識では決してないことは、重々御了解をいただきたいと思います。
  23. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ただ単なる経済問題ではない、その認識に立って本委員会はすでに決議を行なっている。同時に、衆議院の本会議において決議を行なっている。また、日米経済会議が行なわれた直後、実は予算委員会において本件を質問する予定になっていたところ、三日の予算委員会は参議院の議長の強行採決のおかげで流れた。その結果は、本委員会を四日、五日に行なうという予定であったにもかかわらず、それも流れた。一にかかって政府の失策のゆえに本件がいままで討議されずに済んできた。政府の怠慢といわざるを得ない。これに対して、日本業界のみならず、アメリカ輸出するところの関係諸外国が、この日本態度に対して非常な疑念を持ちつつ注目をしているということを認識しなければならない。そういうやさきにこの会議が行なわれたというのに、外務省は一体だれとだれが来ているのです。私は、外務大臣並びにアメリカ局長、当面の経済局長、これの出席方を、これはきのうきょうではないのです、すでに前に予算委員会で行なうというたときにも要請しておいた。にもかかわらず、来ない。逃げを打って済むと思っているのか。しかも、どういう態度に出ているかといったら、いま同僚委員武藤君がいみじくも述べたように、日本の重要な十大紙が一斉に筆をそろえて、二国間協定に応ずるか、品目規制に応ずる用意のあるやの印象を受けるような報告をしている。これは調査団がアメリカに向かうにあたって、その調査団の足を持って引っぱるという効果以外の何ものでもない。同時に、これは直ちに反応がありまして、EEC諸国や東洋の関係諸国がまた動き出しているという話である。一体外務省は何を考えているのか。もう戦後ではない、追随外交はやめる時期であると筆をそろえていうておる。にもかかわらず、この態度は一体何事であるか。まず外務省のきのうきょうにおける心境を承りたい。責任をもって答えてもらいたい。責任が負えなければ答弁する必要はありません。そのかわり、外務大臣の代理が来るまで待ちます。
  24. 鈴木文彦

    鈴木説明員 いま御質問のありました中で、事実関係だけちょっと申し上げておきたいと思いますのは、現在経済局長外国出張で、今晩おそく帰ってくる予定でございます。アメリカ局長は現在外国出張中で、東京におりません。したがいまして、経済局から私、アメリカ局から大河原参事官が参っております。
  25. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 経過で時間かせぎされちゃかなわぬ。そんなことは百も聞いて知っておる。きのうきょうの心境を聞きたいと言っておる。質問に答えてもらいたい。質問に合う答弁をしてもらいたい。
  26. 鈴木文彦

    鈴木説明員 繊維問題一般に関するいまのお話、心境を述べよということでございまするけれども繊維問題の重要性は、外務省を含め、政府全体としてこの認識において変わるところございません。この問題の取り扱いについてもやはり非常に慎重に扱っているということは、申し上げられると思います。
  27. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 認識において変わらないものが、発言においてなぜ変わったか。
  28. 鈴木文彦

    鈴木説明員 私の申し上げましたのは、この繊維問題の重要性について、政府が従来いろいろな機会に表明しました態度及びその置いている重要性について、一つも今日においても変わっておらないということを申し上げたかったのでございます。特に新聞報道に関連しましてのお話がございましたけれども、これは先ほど武藤先生の御質問に対してお答えしましたとおり、この点について何ら従来の態度と変わっていないということを、この際もう一度確認しておきたいと思います。
  29. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 認識態度は不変である、にもかかわらず、新聞記者発表をするときには発言が変わっている、こう解釈するのですか。
  30. 鈴木文彦

    鈴木説明員 先ほど触れました新聞報道は、新聞発表ではございません。
  31. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 しからば、新聞の発表の内容は誤謬とおっしゃるか。
  32. 鈴木文彦

    鈴木説明員 この点は、先ほど私から簡単にお答えしましたとおり、必ずしも事実を伝えているというものではないという意味で残念に思っております。
  33. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 残念に思ったら、そのあとどうするか。ほんとうに残念に思えば態度にあらわすでしょう。だれだってそうです。現にあなたもいま顔の色に出ている。ぼくも憤慨しているから色に出ている。残念に思ったら、どうします。思っただけで、具体的態度には出ないのですか。
  34. 鈴木文彦

    鈴木説明員 残念に思っているという意味で、この機会に、外務省の意見が変わったということではない、従来の態度一つも変えておらないということを申し上げたかったのであります。
  35. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 しからば、なぜ取り消しを要求しないのか。
  36. 鈴木文彦

    鈴木説明員 率直なところ、この新聞報道がどういうルートを通じて出たか、私自身承知いたしませんので、私自身は、この記事自体、事態と必ずしも合っておらないという意味では、非常に残念に思うということを申し上げたのでございます。これがどういう経路でどうなったのかという事実関係、これがあるいはわかれば、これまた別の問題であるかと思いますけれども、私自身は承知いたしておりません。
  37. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 だから、責任ある答弁のできる人に出てもらいたいと最初から要求しておるんだ。責任のある答弁のできない者が来て、私は知りません、私は知りません、そんなことでこれが通ると思っているのか。あなたは、残念に思ったと言ったら、残念に思ったことを、あなたの直属上官ないしは大臣に申し出て、態度にあらわすべきである。そのことが、あなたのほうの信念なり認識なり態度なりを表明する方法ではないか。なぜそれをやらぬ。やらぬということは、事実発表したとか漏らしたとかにきまっている。先ほども武藤委員がおっしゃったように、一社がスクープしたというならば、これまた別である。筆をそろえて書いている。しかも日本の指折りの大新聞が筆をそろえて書いている。それが事実と違っているというあなたの申し出がほんとうならば、当然これは取り消しを要求すべきである。なぜかならば、あなたたちはここを何と心得ておる。少なくとも立法府である。事外交問題は、事前にはそれは秘密でございます、秘密でございますと言うて、予算委員会においても、本委員会においても、ほとんど秘密秘密でほうかぶりして逃げておった。それが過去の外務省の伝統的態度であった。にもかかわらず、立法府に対しても言えないようなことをなぜ新聞に発表しなければならないのか。しかもその内容たるや、あなたの認識とは違っておる。院の決議、閣議の答弁、これは一致しているけれども、その精神、内容と、新聞への発表の態度はまるっきり違っておるではないか。何がゆえに今度専門家会議として派遣される人たちの足を持って引きずろうとするのか、なぜアメリカに対してそんな卑屈な態度をとらなければならないのか、はっきり承りたい。
  38. 鈴木文彦

    鈴木説明員 先ほど申し上げましたとおり、本件新聞報道は、外務省新聞発表というかっこうで話したところでは毛頭ございません。その辺のところの新聞報道の記事の性質について誤解のないようにお願いしたいと思います。
  39. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 誤解のないようにするための方法を私が申し上げておるのです。なぜ取り消しを要求せぬ、それが誤解を解く一番の最良の方法ではないか。それができないということは、一そう誤解を深めるゆえんになる。取り消しを要求しますか。
  40. 鈴木文彦

    鈴木説明員 その点につきましてどうするかということですが、私としましては、上司と十分相談した上、善処いたしたいと思っております。
  41. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それはいつまでに行なわれますか。
  42. 鈴木文彦

    鈴木説明員 なるべく早くいたしたいと思います。
  43. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そんなことでは間に合いませんよ。  では、通産大臣にお尋ねするが、使節が羽田を立つのはいつですか。
  44. 大平正芳

    大平国務大臣 九月十三日の夜を予定いたしております。
  45. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それに間に合わなければ、あなたがどんなことを言っても、それは死んだ子の年を数えるのと一緒だ。間に合うようにできますか。
  46. 鈴木文彦

    鈴木説明員 間に合うようにいたしたいと思います。
  47. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 次の問題に移ります。  本件に対する通産省の態度はどうなんですか。
  48. 大平正芳

    大平国務大臣 本件と申しますのは、何の……。
  49. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 すなわち、今度日米間で会議が行なわれるであろうところの日米間の繊維問題、これに対して態度はいかがですかとお聞きしておるのです。
  50. 大平正芳

    大平国務大臣 これはたびたび本院でも申し上げておりますように、従来の態度一つも変わっておりません。
  51. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 従来とは何ですか。
  52. 大平正芳

    大平国務大臣 国会におきましても御決議をいただき、政府におきましても認識の帰一を見ております方針に変わりはないということでございます。
  53. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 すなわち、本委員会並びに本会議決議の内容、同時に、二国間の経済会議が行なわれた直後、社会党の繊維対策特別委員会田中名義をもって衆議院議長質問状を発し、閣議で決定されて総理大臣名をもって衆議院議長に答弁されたその内容と変わりない、こういうことでございますか。
  54. 大平正芳

    大平国務大臣 さようでございます。
  55. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私はなぜこんなことを聞かなければならないか。伝え聞くところによりますると、先般行なわれました二国間の経済会議において、二国間協定に応ずるがごとき言辞は、相手方ではなくして、通産大臣のほうから申し出があったやに漏れ承っておる。これは誤伝ですか。
  56. 大平正芳

    大平国務大臣 誤りでございます。
  57. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 どう誤りですか。
  58. 大平正芳

    大平国務大臣 私のほうからそういうことを申し出たことは全然ございません。
  59. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 では、引き続いてお尋ねいたします。まだそれを私は納得をいたしておりません。スタンズが、繊維は緊急問題で、早く措置しないと爆発する段階にあるという前触れから会議が進められたと聞いている。それかあらぬか、先ほどの武藤君の質問に対して、あなたは、先方がそれらしいことを言うた、爆発的であると言われたと、こうなんですが、それは事実ですか。
  60. 大平正芳

    大平国務大臣 事実であります。
  61. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 爆発の内容は何ですか。
  62. 大平正芳

    大平国務大臣 それは先方が言われたことで、爆発的ということばを使っておりました。その内容は先方の頭にあったと思います。
  63. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 爆発の内容が発表できなければ、私はスタンズのその続きを申し上げます。  爆発的段階にある、ミルズ議員など、議会方面でも強い意見が高まっている、ことし中に相手国と話をつけないと、国会輸入制限の一方的措置をとって、それが他に波及する心配がある、立法府の圧力を避けるため、日本側の建設的提案を期待する、こういう意味の発言があったやに漏れ承っているが、それは事実ですか。
  64. 大平正芳

    大平国務大臣 アメリカ政府希望しておりまする自主規制措置ができない場合におきまして、コングレスの側において保護立法が行なわれないという保証はないということは伺いました。ただ、それを回避するために日本側から提案を期待するというような話はございません。
  65. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 爆発するの、わがほうの言い分を聞かなければ立法措置を一方的にするのなどと言うことは、明らかにこれは戦い勝った戦勝国が戦敗国に対する城下の誓いである、脅迫的言辞であるとだれしも受け取っている。これはしかし明らかに誤謬がある。どう誤謬があるか。ミスター・スタンズの発言は、時処位によって異なっておる。その証拠を見せます。私は、ここにアメリカ側で行なわれました一九六九年八月八日、ワシントンDCのアメリカ合衆国商務省、商務省ビル第五千八百五十五号室での記者会見で——このときは、モーリス・H・スタンズ商務長官、ロバート・M・スモーレー商務省広報関係特別補佐官、スタンレー・ニーマー、これは専門家です。ニーマー氏、あなた御存じのとおり、商務次官補代理というけれども、これはエキスパートなんです。これと今後やり合わなければならない。したがって、この方々が、アメリカの有力紙、報道機関、これの参集を求めて、一問一答が行なわれている。その内容の一つに、記者の質問にいわく、「議会に立法化を勧告するという結論に達するとすればそれはどの時点においてですか、ダークセンは、先日それを示しましたが、どうなんですか。」という質問に対して、スタンズ長官答えていわく、「私はいかなるときにも立法的な措置を勧告するつもりはない、一国の問題はたぶん他国の問題でもあると考えている。貿易相手国の間で、自主的でまた協力的なベースに立って、こうした問題は解決さるべきである、立法措置は」——ここからたいへんです。重大です。「立法措置は報復をもたらすと私は思う。」——私もそう思います。外務省のように、残念に思っても意思表示もしないような態度では、ここらあたりでやられてしまう。「立法措置は最後の手段であると私は思っている。私は、現在、そのことを考えたり、あるいはそれを大統領に勧告したりすることを望んでいない。」アメリカの有力紙がメモして私の手元に送ってきております。このことは、日本のためにたいへん努力をしておってくれまするかの地の弁護団、法律事務所、そこらあたりも、みんな先刻御承知のことでございます。外務省は、会議に臨むにあたって、このことを知っていたのかいないのか、通産大臣はこのことを知っておられたか、おられなかったか。外務省は、情報収集のためにたくさんの予算をとり、設置法においては毎年予算をふやしている。しからば、われわれごとき貧弱な議員でさえも入手できるような材料を、まさか外務省が入手できなかった、お忘れになっていたとはいただけない。御答弁を願いたい。
  66. 大平正芳

    大平国務大臣 今度の新しい政権ばかりじゃなく、ジョンソン政権の時代からもそうでございますけれどもアメリカ政府は、終始保護立法に反対の態度に終始いたしております。新政権になりましてもその態度に変わりはないと承知いたしております。いま御指摘のスタンズ長官といたしましても、そういうアメリカ政府考え方に沿って、その場合——そのあなたの御指摘になった場合ばかりでなく、あらゆるところで、議会における保護立法に対しては賛成いたしかねるということは、たびたび言われておるわけでございまして、私ども十分承知いたしております。
  67. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 次に、その趣旨をもっと明確にした答弁がございます。その趣旨とは、立法は好ましからざる方法であるというスタンズ長官態度。記者の質問です。「もし議会が独自に法案の成立を推し進めたならば、」——ついこの間、日本のどこやらにもこんなことがありましたね。「もし議会が独自に立法の成立を推し進めたならば、アメリカ政府はそれに反対しませんか。」との質問に対して、スタンズ長官は、「今日現在では、私の勧告は、われわれは立法化に反対するということである。もしどうしても立法化が必要ならば、それは米国の国際関係に最も害の少ないものであることを私は希望する。」こう述べられております。むべなるかなと思います。そういう方が日本へ来た場合に、あなたに対して、爆発的である、ゆえに、もしかしたら立法措置を一方的につくって規制せんければならぬ、こう述べておる。明らかにいずれかが間違いですね。あなたはこれをどう受け取っておられたのです。
  68. 大平正芳

    大平国務大臣 アメリカ国会における立法を支持するというようなことは一口も言われておりません。終始これに反対の態度でおられたと思います。会議の席上、コングレスにそういう動きがあるということ、これは事実で、事実たくさんの法案が出ておるわけでありますから、その事実を述べられたものでございまして、特別にショッキングな発言であると私は受け取っておりません。
  69. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 引き続いて、今度はあなたとの会談において、スタンズ氏は、米国内では関係省がいろいろ手段を検討したが、協定にかわるよい方法はない。二国間協定はどうだろうか。もちろん他の国も行なうが、この場で返事は要らないが、よく検討していただきたい、こう述べたと聞いておりまするが、それは事実ですか。
  70. 大平正芳

    大平国務大臣 大体事実です。
  71. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 引き続いて、LTAの改定も検討してもよいと述べておる。そうですか。
  72. 大平正芳

    大平国務大臣 LTAの改定問題に触れられたという記憶はありません。
  73. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 繊維局長、あなたと通商局長は同席であったと聞いている。あなたはどうでした。
  74. 高橋淑郎

    ○高橋説明員 補足さしていただきます。大臣のおっしゃったのは、加藤先生が御質問になったような直接的な触れ方をされなかったということで、綿の問題を持ち出しまして、そういう広い意味でLTAとの関連のあることばはありましたけれども、直接的なお話ではございませんでした。
  75. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 当然のことなんです。LTAの問題は、相手国から誘い水を出されぬでも、わがほうから出すべきなんだ。なぜかならば、LTAは、コットンに対して日本に課せられた手かせ足かせである。しかもこれは明らかにガットの違反行為なんです。そのことを相手方も認識をしている。ゆえに、どうなんだ。LTAはガットの諸規定に違反するものであり、ガット違反を避けるための脱法行為と思う。これは日本の関係者の一致した意見であり、当時これを結んだ相手国の代表が、いみじくも、郷里へ帰り、ほど経て時効にかかってから、新聞雑誌に述懐して反省の記録として、あのような協定は絶対結ぶべきでなかった、悪かった、その結果アメリカとしても決して得をしていない旨の報告がなされている。このように、綿のLTAは全くの例外措置である。しかもLTAは、第一条において、綿製品に限ってこれを適用する——よくないからなんです。他には及ぼさない。これの適用はウール、化合繊に及ぼさないと明記している。にもかかわらず、アメリカ側が二国間協定であるの何のということを申し出たとすれば、わがほうはこの伝家の宝刀を抜いて、ここに押し及ぼさないとかたい約束をしているではないか、これをつくったあなたのほうの代表も反省録に悪かったと述べているではないか、その結果、綿製品輸出関係国からたいへんな不信を買っておる、これを押し及ぼすべきではないと、あなたはなぜ言わぬのですか。向こうからコットンの二国間協定から発したLTA、列国間協定が出ている。大臣、なぜ受けて立たなかったのですか。
  76. 大平正芳

    大平国務大臣 LTA問題は、もう前々からその非合理性についてたびたび申し上げてあるわけでございまして、これは来年の秋エクスパイヤーすることになっているわけでございますが、取り立てて今度の会議にそれを議題として取り上げなかったわけでございます。取り上げなかったことは、無関心であるということでは決してないのでありまして、あなたがおっしゃるようなことは前々からアメリカ側にもう耳にたこが出るほど言うてあるわけでございます。
  77. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 だから私は先ほどスタンズ氏の記者会見のあれを読んだわけなんですが、「国際関係に最も害の少ないものであることを私は希望する」——これは、過去のLTAが国際関係にたいへん悪影響を及ぼしているということをスタンズ氏がよく認識しているから、それを踏まえての記者会見だと、だれしも受け取っている。にもかかわらず、あなたはそれを認識し、何度も相手方に言うてあるというならば、なぜ二国間などということばに応ずるがごと態度をなさったのですか。
  78. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほども申し上げましたように、日米二国間にはいろいろな問題が生起してまいる、それを片づけていかなければいかぬわけでございまして、この繊維問題もその一つの問題でございます。つまり、二国間で認識の帰一をはかっていって解決の目安を立てていくということで日米関係は切り盛りしてきているわけでございますから、この繊維問題もその例外ではないという意味でございます。つまり、あなたの言う二国間協定解決したいというのが向こう希望でございます。その希望を承りましたけれども、こちらから二国間協定でこれをやろうじゃないかなんということは、舌が切れても言うた覚えはないわけでございまして、二国間の問題は二国間で十分事実を究明して相談しようじゃないかということは外交の基本原則でございまして、それだけの話でございまして、二国間協定ということでどうだというようなことは、こちらからは言えた筋のものでもないし、気持ちが全然ないのでございますから、言いようもないわけでございます。
  79. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 では、スタンズとの会談において、大平通産大臣は、二国間協定の話は新しい話で、検討するのはやぶさかではないが、時間をかしてほしいとおっしゃられたと漏れ承っているが、そういうことはなかったのですか。
  80. 大平正芳

    大平国務大臣 そのとおりでございまして、そういう二国間で問題を片づけるというようなことで、自分たちもそれを希望しておる、しかし、この問題は即座にお返事をちょうだいできるという性質のものではない、こちらもそういうことを考えるにつきましては時間をかしてもらわなければいかぬというようなことであったことは事実です。
  81. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 引き続いて、スタンズさんは、日本政府を拘束することなしに、政府を拘束することなしに、この問題を調査するために専門家をワシントンに派遣していただけないか、期日は九月中旬ごろはどうかとの旨の発言があったやに聞きますが、これはいかがですか。
  82. 大平正芳

    大平国務大臣 そのとおりです。
  83. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 大平さんはそれに何とお答えになりましたか。
  84. 大平正芳

    大平国務大臣 イエスと答えたのです。
  85. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ただわけもなくイエスですか。
  86. 大平正芳

    大平国務大臣 専門家派遣を考慮しましょうということを答えたわけです。
  87. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 事実を明らかにする目的と、目的を規制なさった上で、日本繊維規制を前提にしないならイエスである、さすがここらあたりはベテランの通産大臣だなと私は感じ入っていたわけなんです。そうお答えになっていらっしゃいますか。
  88. 大平正芳

    大平国務大臣 そのとおりです。
  89. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それではこのことがほんとうに明らかになっていたら国論は沸騰しなかったはずです。しかし、国論は沸騰して、私の手元、すなわち門外漢のところまで、業界、労働界、貿易界から次々と、二国間協定に踏み切るやに聞くが、真相いかんということで質問が殺到いたしました。ゆえに、これは容易ならざることである。国内の受け取り方でさえもこれほど沸騰するということになれば、関係諸外国がそれまたコットンの二の舞いではないかと日本態度を疑ってくる。しかも日本には交換条件がある、安保といい、沖繩といい……。しかし、関係輸出国にはそのような重大な為替はない。だから、日本は為替を組んで、これで損してほかで得とるではないか。しかし、その結果は、コットンと同じようにまたLTAとなってわがほうの貿易の制限を受けることになる、それは困ったことであると諸外国業界、政界が受け取ったとしたならば、せっかくの大平さんのりっぱな外交も、ついに、アメリカからは信頼を受けても、諸外国からは不信を買わなければならない。これではたいへんだというので、私はそのとき直ちに繊維局長通商局長に言うて、真相を発表すべきである、同時に、在外公館に対して本件に関する日本政府の統一的態度認識さしておくべきである、在外公館には次から次へと現地において質問が発せられるであろう、それに対して詳細説明をするために、参事官を一堂に集めて、日本の統一的見解のよって来たるゆえんを詳細説明しておくべきであると私はサゼスチョンをしたことを覚えております。すなわち、その後新聞情報によれば、在外公館の大使、公使等々に対して日本のこの件に関する態度を表明なさったことが報じられておりました。その後のいきさつは、一方交通で聞いておりません。どのようになさったのですか。
  90. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのように、関係在外公館に会談の真相を伝えて、日本側態度に変わりはないということを伝えておきました。その後関係国からそれについての問い合わせがあったということは、私は承知しておりません。
  91. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 次にお尋ねいたしまするが、十三日夜出発と聞きましたが、その出発される使節団の名称は何というのですか。
  92. 大平正芳

    大平国務大臣 日本政府繊維専門家派遣するということです。
  93. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 で、その使命と申しましょうか、会議の内容は何ですか。
  94. 大平正芳

    大平国務大臣 これはこの前の日米会談で打ち合わせいたしましたとおり、わが国としては事実を調査するために派遣するということでございまして、言うところの新しい協定を交渉するというようなものでは決してございません。
  95. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 事実調査とは、アメリカ繊維に関係する問題の事実を調査する、こういうことですか。
  96. 大平正芳

    大平国務大臣 さようでございます。
  97. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 では承ります。二国間協定は任務外ですね。
  98. 大平正芳

    大平国務大臣 二国間協定についてそこで討議しようという申し入れをいままで受けておりません。私どもとしてはあくまでも事実調査ということで派遣するわけでございます。
  99. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 品目規制に応じられますか。もし話が出たら、どうされますか。
  100. 大平正芳

    大平国務大臣 そういうことは考えていないのでございまして、事実調査の会議の席上、万一向こうから何らかの申し出があったとすれば、それを聞いて帰るというだけでございます。
  101. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 聞いてお帰りで、荷物をしょわされるようなことはないですね。
  102. 大平正芳

    大平国務大臣 今度の専門家派遣は事実調査の目的でございますから、その調査を終えて帰ってまいって報告を聞くという立場に私はおるわけでございまして、これが重荷になるかならぬか、そんなことは全然考えておりません。
  103. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 日本で行なわれた日米経済会議でさえも、日本国内の関係者が疑心暗鬼で、国論がまちまちとなり、沸騰寸前に至りました。及び腰でアメリカにおいてこれが行なわれたならば、とりこにされるではないか、ウシュクダラ行きとなるではないかという疑心暗鬼が関係者の間に、ひそやかではなくて、大声で話し合われております。その事実を私は知っております。したがって、帰られましたならば、そのメモの実体を一日も早く国民に伝えることは、さきの経済会議の報告と同じだと思います。これはおやりになる用意はありますか。
  104. 大平正芳

    大平国務大臣 加藤さんは繊維問題について国論がたいへんおだやかでないというようなお話ですが、私はそう考えていないので、政府国会業界も一致した歩調でいまやっておるわけでございますから、こういった問題につきましては私どもに信頼を寄せていただきまして、いろいろ憶測をまじえた疑心暗鬼というようものは——あなた、さっき、門外漢と言われましたけれども、あなたほどの専門家はないわけでございますから、その点はあなたからもいろいろPRをしていただいて、混雑しないようにお願いしたいものだと思います。  それから、高橋ミッションが帰られて、その調査の結果をどうするかということにつきましては、帰ってまいりました時点で政府側でよく協議いたしまして処置いたしたいと思いますけれども、そういう疑心暗鬼が生ずるというようなことのないように十分配慮したいと思います。
  105. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 疑心暗鬼であるということは、高橋ミッションに対してではない。大平大臣に対してでもない。外務省新聞発表に対してである。すなわち、二国間協定に応ずるやのごときニュアンス、品目別規制に相呼応するがごと——その程度は譲るべきである、そのことが沖繩の交渉を有利に導く手助けになる、   〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕 このような印象を受ける記事が新聞に出るものですから、それで疑心暗鬼となる。何も疑心暗鬼となるほうが悪いのではない。鋭敏だからです。ないしは外務省が不注意だからです。考慮を払っていないからです。  そこで、官房長官が来られましたので——私は官房長官としてお尋ねするのではございません。外務大臣としてお答えを願うわけでございます。なぜかならば、私は愛知さんの出席を要求したが、おりあしく外遊中でございます。代理はと尋ねたら、総理大臣だという話、じゃ佐藤臨時外務大臣に御出席願おうとしたら、これまた、おりあしく都合がお悪いということです。佐藤総理事故ある場合——事故といっては失礼ですが、出席かなわざる場合は官房長官これを代行するということでございますので、したがって、官房長官に御出席を相わずらわしたわけでございます。  先般新聞に、今度の日米経済ミッション、ことに繊維のミッションが行くにあたって、これは世間では、エキスパートの会議である、それは調査が目的であるというかっての政府の報告であったにもかかわりませず、つい先日外務省筋からの情報によればというて、全国有力紙が一斉に筆をそろえて、二国間協定、品目別規制に応ずるやの記事があるいは三段抜きあるいは六段抜きで出ております。朝日、毎日、読売、日経、中日、全部出ております。一体外務省はこのことについてどのような認識態度をもってみえるかを、先ほどそこにお控えの方々に承ったわけですが、どうも煮え切らない。責任ある御答弁をお願いしたい。なぜかならば、これはいまアメリカに行かれるミッションの足を持って引っぱることになるからである。同時に、本会議決議、先刻行なわれました閣議決定に基づくところのわが党に対する答弁書、これの内容と相反するものであるからである。
  106. 大平正芳

    大平国務大臣 保利大臣の御答弁の前に、ちょっと私、先ほどのやりとりを拝聴しておりまして、ひとつ加藤さんにお願いしたいのでございますが、よく新聞に、政府筋によるととか、〇〇省筋によるととかいう記事が出ます。これはそのニュースソースは、先ほど外務省側からも釈明がありましたように、判然としないということが多いわけでございます。私は先ほど、繊維問題に関して、政府国会と、それから業界も含めて、日本の国論は帰一しておるんだ——それで、繊維の担当大臣である私がこの基本の方針をとやかくできないわけでございますから、そのワク内で私は行動しておる、私でさえも行動しておるわけでございます。政府部内でいろいろな意見が散発的にあろうかもしれませんが、まずあなたにお願いしたいのは、そのように政府の基本の方針はきまっておるのであるという点に御信頼を置いていただかないと、あなたのような御専門家までが、〇〇省筋のというようなことにアクセントを置かれて御心配願いますと、これはますます騒々しくなりますから、問題は、政府の基本の方針はきまっておるのでございますから、それに信頼を置いていただければ、何も御心配はないんじゃないかという点を、私ははたで聞いておりまして感じましたので、念のためにひとつ御考慮を願いたいと思います。
  107. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 はだでお感じになることはあなたの自由でございます。しかし、疑心暗鬼、統一されていた国論がとたんに疑心暗鬼となり、あれこれ会合の席上でこれが取りざたされている事実は否定するわけにはまいりません。したがって、私はこの席においてその事実を究明して一そう国論の統一をはかるべきであると思えばこそ、いま質問をしておるのでございます。本件は、国会においては与野党一致しております。ことに、波打ちぎわから向こうの問題はぜひ与党も野党も一致して当たってもらいたいとの外交基本方針は賛成であると同時に、これはあなたの先生である吉田茂総理大臣の一貫した社会党に対する要望でもあったわけなんです。私はその線に沿って質問をしているわけなんです。私は、事繊維の問題について日本政府を突き上げることをもって是とし、それでもってこと足れりとしというような実例が過去にあったでしょうか。私は、日本アメリカとの繊維貿易史は、制限の歴史であると思うております。制限制限の歴史なんです。しかし、それをいままで発展させてきたのは、これは官と民と立法府とが三位一体となって、党利党略を越え、国益に帰一して協力したからなんです。特に商工委員会においては委員の皆さまが一致していた。本日もまたそうなんです。だから私は聞いておる。にもかかわりませず、外務省のきのうきょうのあの発表、態度、まことに解せない。閣議不統一だけの問題ではない。院議を無視し、行政官としての逸脱行為である。もっていかんとなされるか。——外務大臣代理。
  108. 保利茂

    ○保利国務大臣 どうももったいつけられては困るのですけれども、私が承知いたしております限りで、閣議段階と申しますか、閣僚レベルにおきましては、通産大臣が非常に心配されまして、総理大臣とも外務大臣とも全然同じ、同一意見で、今度高橋ミッションを派遣されるについても、通産大臣はかなり慎重な配慮をされて、そしてとにかく実情はよく日本としても理解をしておく必要があるであろうというようなことで派遣されたことだと私は了解いたしております、総理もそう了解されております。にもかかわらず、何かそうじゃないような動きがあるようなお話でございますけれども、私は先ほど、定例のことでございますが、外務次官を呼んで話をしておりましたその話題にもこれが上がりましたけれども、何ら、外務次官の話も、たいへん御心配になっておるような筋は少しも感じられない。通産大臣が堅持しておられるその方針政府全体の態度として貫かれておるということをよく御理解をいただきますように……。そうかと申しまして、新聞等でいろいろのことが伝えられておる、それが疑心暗鬼を生んでおるじゃないか——どうかひとつ、通産大臣を中心とする政府態度を御信頼くださるようにお願い申し上げておきます。
  109. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 外務大臣代理に申し上げる。新聞を読んでみましょう。「米側に打撃品目あれば繊維自主規制も」やむなし。やむなしということばだけが抜けておる。「外務省方針」。日本一の朝日、毎日、読売等々の新聞がでかでかと書いておる。引き続いて翌日の新聞には「業界外務省方針に猛反発」「繊維自主規制、代表団を米に派遣」「交渉軟化へブレーキ」をかけるであろう。お読みでしょう。これは院の決議に違反することである。閣議決定で社会党に御答弁なさった内容と違反することである。外務省のどなたがどういう権限で何法の何条によってこのことをおやりになったか知らぬけれども、明らかにこれは逸脱行為である。院の決議を無視することである。もしそれ、これが許されるとするならば、大学法を文部省が提案した、院を通過させた、そこで文部省はこれを実行に移そうとしておるやさきに、建設省や他の省がそれに水を差して、そんなことはこっちは知っちゃいない、それは反対だと言うと同じことじゃありませんか。それでいいですか。
  110. 保利茂

    ○保利国務大臣 私は外務大臣代理でも何でもありませんで、一官房長官でございます。その点はひとつお含みいただきたい。  どの新聞、どういう新聞がどういう報道をしておりましょうとも、政府態度は、先ほどから通産大臣がるる申し上げられておりますとおり、今度の高橋ミッションにしましても、交渉のためにアメリカに行っているわけじゃない。したがって、交渉する権利はないはずです。アメリカの実情、事実を調査するために出かけておる。したがって、事実の調査といえば、見てくるだけでなしに、いろいろ話も聞くんでしょう。そういうことが何か誤り伝えられておるんじゃないか。いまお示しの新聞の、どの新聞がどうなっておりますか、それは政府の意思を伝えておるものと私は理解できません。
  111. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは、先ほどもお尋ねしたんですが、この新聞に対して誤謬の訂正なり取り消しなり要求なさいますか。
  112. 保利茂

    ○保利国務大臣 まあこれは加藤さん百も御承知で、一つ一つ新聞に、少し違うからこれも取り消せ、あれも取り消せと言いおっては、どうでございましょうか。その辺も十分考えさしていただきたいと思います。
  113. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは国民の疑心暗鬼を解消することはできませんですね。あなたは官房長官です。総理大臣の女房役です。日本一の実権を持っていらっしゃる。しかし、それでもなお新聞に対して取り消しを要求することができないとするならば、この際あらためて外務省方針並びに日本政府方針を天下に表明すべきであると思います。それがやがて疑心暗鬼を解消させる二義的な方法であると思います。おやりになりますか。
  114. 保利茂

    ○保利国務大臣 どの新聞がどういう報道をいたしておりますか、いずれにいたしましても、この委員会は厳粛な国会の常任委員会でございますし、この常任委員会の席上に担当の責任大臣が申し上げられており、また私も一官房長官として閣議の空気をお伝えいたしておる、このことが十分国民理解せられることを私は望む、そうすることによって御懸念のことは消えるのじゃないかと思うております。
  115. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 わかりました。今夜の夕刊を楽しみに拝見したいと思います。  さて、以上のような状況でございまするので、高橋ミッションの覚悟のほどを聞きたい。疑心暗鬼をかなぐり捨ててまっしぐらに自分の任務を遂行してもらいたいと思います。すなわち、あなたの任務は調査が目的、その主たる任務であって、決して品目規制とか二国間協定に踏み込んだり迷い込んだりすることは越権行為である。あなたの所見を承りたい。覚悟のほどを……。
  116. 高橋淑郎

    ○高橋説明員 大臣の御趣旨のとおり行動いたします。
  117. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 名答弁でございます。  これで結論をいたしましょう。国論がなぜこの問題に対して、これほど、神経質と思われるほど反応を示すかというその認識を、特に外務省の諸公に認識していただきたい。すなわち、いま行なわれておりまするところのLTAの問題は、そもそもの出発は品目規制から出発したのです。いわくワンダラーブラウスがラッシュする、レーバー・ダンピング、テープ・レーバーだ、ワンダラーブラウス、次はワイシャツ、向こうではスポーツシャツと申しますけれども、この二品目でいいという話だった。そのときに時の大臣さんは徹底的に抗戦なさった。時の大使も抗戦なさった。りっぱな人ですから、申し上げておきましょう。朝海大使、あなたたちの先輩だ。ところが、外務大臣の代がかわり、通産大臣の代がかわると、ネコなで声で交渉されたり、先ほど行なわれたような脅迫的言辞でやられますと、ついついその気になってしまう。そこで、最初の二国間協定には第一条に何と書かれているかというと、両国間の貿易を拡大するためにこの協定を結ぶのであるとなっておる。そんなことは日米友好通商航海条約にちゃんとうたわれているから、別に取り出す必要はない。にもかかわらず、そういう名目でついに規制されたのです。このことを通産大臣御記憶ですか。
  118. 大平正芳

    大平国務大臣 記憶しております。
  119. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そこで、この二国間協定を結んだときに、関係輸出国、特に欧州です。イギリスです。EEC諸国です。ここは日本が別な為替を組んだ。あなたとスタンズの話し合いにもちゃんと出ておる。こういうことをしてあげるからこうしてくれと、こうくる。別な為替を組まれて得したけれども、欧州としては組むものがない。しかも関係輸出国が結束して、これはけりましょうと言っておったのに、日本だけがなぜ抜けがけの功名をしていい子になららければならないのかというて非常な不信を買った。結果はどうなったか。EEC諸国はガット三十五条第二項の援用をもってこれの報復手段に出た。アメリカに対する報復じゃない、日本に対する報復なんです。その結果はどうです。通産大臣、いまEEC諸国のガット三十五条第二項の援用による日本商品の制限は解消しておりますか。——おりませんですね。
  120. 大平正芳

    大平国務大臣 いま鋭意交渉して、逐次改善の糸口ができておりますけれども、なおわれわれの期待するようなぐあいに進んでおりません。
  121. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そのとおりでございます。官房長官、あなたも佐藤内閣の大黒柱でいらっしゃる。これはよく認識していただきたい。片や関係諸国からは不信を買い、報復手段に出られている。片やアメリカ貿易はどうなったか。その当時高碕先生の時代は、アメリカの総輸入に占める日本のコットンの占拠率は二六%から二八%になんなんとしていた。ただそれをラッシュ、ラッシュと言われた。それは品目別によれば、一ときはゼロから出発するのですから、伸び率は大きいにきまっているのです。ゼロから出発する貿易は、タケノコ論だ。一ときがっがっと伸びるにきまっているんです。それをラッシュだの幾何級数的に伸びるのと言われて、なるほどといって受け取った結果はどうなったか。第一条は、二国間の貿易を拡大するんだというふうになっているにもかかわらず、日本の占拠率はいまどうなっているか。繊維局長、コットンの占拠率。——時間をかせいじゃいかぬから私が答えます。占拠率は見る見る減っていったんです。どうなったか。二四%から二八%前後をいっていたものが、いまではアメリカ輸入に占める日本の占拠率は一〇%以下である。しかも二品目が四品目となり、四品目はいまや六十四品目となっておる。その六十四品目が、縦割り、横割りなんだ。縦には六十四にちょちょ切られているから、スイッチがきかない。グローバルでも何でもない。しかも横へ季節割りでころきている。オーダーメードがこれでできますか。したがってどうなる。年間輸出許容量は三億スクェア前後になっているにもかかわらず、それに満ちたことがない。それを逆手にとって、日本努力が足りないと、こう言われている。冗談じゃないですよ。考えてごらんなさい。これはキツネにごちそうするにあたって、つぼに入れて、さあごちそうを食いなさいと言うのと一緒だ。ツルにごちそうするにあたって、さらに盛って、食いなさいと言うのと一緒だ。まるっきりこれはイソップ物語なんです。これがコットンの実態なんです。その間にそれではどうなったか。日本がラッシュするの、日本がレーバー・ダンピング、テープ・レーバーだと言われている中において、日本よりもなおテープで、なおテープ・レーバーで、なおレーバー・ダンピングであるところの朝鮮、香港、ポルトゲス、このものがぐんぐん伸びて、香港ものはどうなったか。その当初、二国間協定が結ばれるその当時わずか四%か五%であったものが、いまや日本にとってかわっておるではないか。その結果どうなっている。アメリカ国民によく聞いてもらいたい。日本からストレートで行けばアメリカ国民に安く手に入るものを、日本にそのワクがなきがゆえに、香港ものと称して、メード・イン・ジャパンがメード・イン・ホンコンと称せられてアメリカへ回っておる。そのことは日本の業者も損をすることである。わずか輸出口銭は四%しかないものを香港にとられるではないか。こういう踏んだりけったりの行為、これがLTAなんです。だから、LTAに対しては関係諸国は一斉に総反撃に出ている。あの当時高碕先生がもう少し御存命であったならばこうならなかったはずなんです。社会党がもう少しバックアップしさえすればこうならなかったはずなんです。いまから考えてみてもまことに無念、残念しごくなんです。そのことは、アメリカのパストール上院議員、フルブライト外交委員長もよく御存じなんです。ハーター・オフィスもよく御存じなんです。そのおかげでマイク・マサオカ氏やステーツオフィス、ダニエル氏らまでがたいへんな苦労のしかたなんです。政治家の一挙手一投足のあやまちは、かくのごとき関係になる。これはやがて日米友好通商の友好精神を阻害する結果と相なっておる。同時に、日本政府に対する欧州諸国の不信を買うことになっておる。そういう環境において、今度はウールと合繊にこれが押し及ぼうとしておるわけです。外務省の方々もみんな賢明な方々ばかりなんだ。東大出のりっぱな人なんだ。これまで言われなくてもよくおわかりのはずなんだ。なぜ沖繩と交換しなければならないか。先ほど自民党の武藤さんがいみじくもおっしゃられた。なぜ沖繩と交換するような、安保と交換するようなことを言われなければならないのか。ますます不信を買って、EEC諸国は、ガット三十五条第二項の援用、すなわち、日本に対する報復貿易を絶対に回避しようとはしないであろう。外務大臣の代理として御出席の官房長官に、この件に関してお尋ねをする。
  122. 保利茂

    ○保利国務大臣 沖繩問題とただいまお話しの問題、経済上の問題と取引で……(加藤(清)委員「ではないかと疑われている」と呼ぶ)さような考えは全然ございません。
  123. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 では、本日はこの程度にいたしますが、経済局長アメリカ局長、これがあすならばいいというお話でございますので、残余の問題は明日に留保いたしまして、本日はこの程度で——どうも御苦労さんでごさいました。
  124. 大久保武雄

    ○大久保委員長 午後二時半から再開することとし、この際休憩いたします。    午後一時四十二分休憩      ————◇—————    午後二時四十五分開議
  125. 大久保武雄

    ○大久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。近江巳記夫君。
  126. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは限られた時間でもございますので、いろいろとお尋ねをしたかったわけでございますが、特にきょうは中小企業の団地等の問題につきましてお伺いしたいと思います。  皆さんも御承知のように、先般、大阪鉄工金属団地の汚職事件が発覚をいたしました。いま警察でその後の取り調べを続行しておるわけでございますが、非常に残念に思います。この中小企業団地のことにつきましては、私も去る四十四年の三月の十九日の本委員会におきまして福井県鯖江の染色工業団地、さらに四十四年の五月九日に、同じく本委員会におきまして、大阪鉄工金属団地、この一括契約等の問題に非常に不明朗な点があることを指摘してまいりました。その後こうした汚職事件が発覚をした。非常に残念に思っておるわけでございますが、御承知のように中小企業の団地につきましては、特に予算面から見ましても、今年度の中小企業対策費の総額が約四百三十億八千四百万円。通産省からの中小企業対策費は三百十一億四千二百万円、そのうち実に振興事業団が二百六億四千六百万円、全中小企業対策費の四七・九%、ざっと五割に近い、それだけの対策費になっております。政府の意向としても、お聞きするところによりますと、さらに中小企業の団地化、協業化という問題については力を入れていきたい。そうなってまいりますと、この団地化、協業化という問題、これは中小企業対策の背骨になってくる問題であります。したがって、われわれとしても、こうした対策というものをほんとに充実したものにしてもらいたい。ところが、いままで指摘してまいりましたように、非常にずさんな点もあった、こういうことでいままで数例を通じていろいろと要望もし、指摘もしてまいったわけでございます。  そこで、この種の事件というものはいろいろな原因があろうかと思います。根本的にはそれは一人一人のモラルの問題になってくるわけでありますが、しかし機構の問題等、やはりそういう発生しやすいいろいろな背景というものがあったのではないか、このようにも思うわけであります。そこで、こうした汚職事件は今後も決してあってはならないと思います。まず最初にお伺いしたいのは、公害防止事業団の所管をされておったわけでありますし、第一線の厚生省、それから通産省の第一線の方々、その次に中小企業庁長官、それから通産大臣、今回の汚職事件の発生につきましての所感、それからお感じになるそうした背景があれば述べていただきたい。まずこの点を一番最初にお伺いしたいと思います。
  127. 金光克己

    ○金光説明員 ただいま御指摘のありました事件につきましては、厚生省といたしましてもまことに遺憾に存じておる次第でございます。公害防止事業団は公害防除という仕事をいたしておるわけでございまして、そういった立場におきます職責の者がかような汚職事件を起としたということにつきましては、内容につきましては現在取り調べ中でございますが、重ねて遺憾の意を述べる次第でございます。厚生省といたしましても、監督官庁といたしまして、従来その面につきましてはいろいろと努力してまいっておったのでございますけれども、かような事件が起きたような次第でございます。今後の問題として特に考えなければならぬという問題でございますが、従来行なってまいりましたことと合わせて申し上げますと、業務監督につきましては、いろいろの業務の実施につきましては、その実施計画の作成あるいは認可等の際にいろいろとチェックしておるということでございます。それから本年の六月に業務監査をいたしておる次第でございます。これは通産省と一緒に業務監査をいたしております。  それで、問題は、業務が非常にふえてまいりまして、一人の者に仕事がいろいろと重なってくるというような問題もございまして、この四月に機構改革等もいたしまして、そういった面の問題を解決しようという努力もしてまいっておるような次第でございます。さようなことでございまして、今後、何と申しましても、第一には、職員に対します心がまえと申しますか、そういった教育が大事でございまして、それを一そう強化してまいる問題と、また仕事の仕組みにおきまして一人の人で仕事が行なわれるということでなしに、複数でチェック方式が行なわれるというような仕事の仕組みにおきまして十分配慮して、今後二度とかような事件が起こらないようにしたいと思っておる次第でございます。以上でございます。
  128. 矢島嗣郎

    ○矢島説明員 申すまでもないことでございますが、公害防止事業団のような特殊法人の職員は、当然のこととして常に業者との関係については身を清く保ち、いやしくも国民の疑惑を招くようなことはないようにしなければならぬわけでございますが、特にこの公害防止事業団につきましては、国民の健康保護といったために産業公害の防止について特段の職務を持っておるわけでございまして、今後ますます公害対策のためにいろいろなことをやっていかなければならぬという国民の非常な期待があるわけでございますが、そういうような国民の期待を持っておる公害防止事業団の職員におきまして今回のような不正事件があったことは、まことに遺憾にたえないわけでございまして、通産省は、厚生省ともに昭和四十年この事業団が設立以来、監督の任に当たっているわけでございますが、そういう点で非常に今回の事件については申しわけないと思っている次第でございます。従来からも、この公害防止事業団法に基づきましていろいろな指導、監督というものは行なっているわけでございまして、たとえば事業団の事業計画、収支予算について監督すると同時に、個別の案件につきましても事業実施の計画の認可を与えているわけでございまして、こういうものを通じて業務の適正なる確保に努力はしてきているわけでございますが、このような事件が起こったということは、いまだ十分でないという点もあるわけでございまして、今回の事件を契機といたしまして、一そう事業団に対する指導、監督を強化いたしまして、同時に綱紀の粛正をさらにはかってまいりたいと思っているわけでございます。  具体的に申し上げますと、先ほど申し上げました事業団法二十一条に基づく事業実施計画の作成変更の認可に際して一そう審査を厳重にいたすということでございます。それから第二番目に、同じく事業団法に基づいて業務監査をやっているわけでございますが、さらにこの業務監査を厳重に行なってまいりたいということ。三番目には、事業団の組織と申しますか所掌事務についてさらに検討を加える必要があるのではなかろうか。すでに本年四月におきましても、業務部の機構に改善を加えまして、業務の組織を分化いたしまして、特定の人間に権限が集中するというようなことは避けたわけでございますが、こういう点についてさらに検討を加えてまいりたい。それから職員の任命は理事長の権限となっておりますけれども、一般的な問題といたしまして、事業団に対しまして、人事管理を徹底し綱紀粛正をさらに厳重に行なうというようなことを指示してまいりたいと思っているわけでございます。
  129. 乙竹虔三

    乙竹説明員 目下非常に重大な時期を迎えております中小企業に対します施策として、先生御指摘のように工業団地はその施策の大宗をなすものであります。この工業団地制度が順調に運用できるかどうかということは、国民全部が非常に注視をしておるわけであります。したがいまして、この運用の衝に出たります団地の幹部はじめ職員は、十分その負託にこたえる必要があると思いますし、また団地事業全部に対しまして監督の責任を持っております私及び具体的に事業を実施しております中小企業振興事業団といたしましても、十分この国民の負託にこたえなければならぬと思うのでございます。今回の事件はまことに遺憾なことであると思うのでございますが、もって他山の石といたしまして、私たち監督の衝にある者といたしましては、団地に対しまして、ないしは中小企業振興事業団に対しまして十分なる監督、指導を強化してまいりたいと思う次第であります。
  130. 大平正芳

    大平国務大臣 御指摘の事件が発覚いたしまして面後、理事長から陳謝の意向が表明されたのでありますが、私どもといたしましても、事件が調査にかかっておりますけれども、公団の幹部を招致いたしまして、先ほど厚生省側からもまた通産省側からもお話がありましたように、事業の運営の方法、組織のあり方、そういった点について検討をいたし、改善すべきものは改善しておるわけでございます。しかし何をおいても綱紀の維持が第一でございますので、この点につきましては厚生省と協力いたしまして特段の配意を加えてまいるつもりでございます。
  131. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま御答弁いただいたわけでありますが、前にこの大阪金属団地で私がお聞きしましたそのときに、大平大臣は、要するにこうした中小企業振興事業団あるいは公害防止事業団、あるいはまた政府系の金融機関といろいろとふくそうしておる点について取りまとめといいますか、そうした辺の中心は、中小企業庁が一切の責任を持ってやっている。そこのところを読んでみますと、大平大臣は「中小企業庁は、各省にまたがりまして、中小企業政策の総合調整の元締めの責任を持っておるわけでございますので、行政の問題につきましては、いろいろな機関が入り乱れて混雑いたしておるようでございます。中小企業庁が総合調整の責任をとりまして、適正かつ適切な指導をやってまいるつもりでございます。」このようにおっしゃっておるわけでございます。先ほど中小企業庁長官が他山の石であるとおっしゃった、その辺のニュアンスでございますが、やはりこれはもう直接中小企業庁が——確かに公害防止事業団は主として厚生省か知りませんが、ここで大臣もおっしゃっておられるように、やはり一切の責任は持っていかなければならない。その辺のところ、これは通産が特に管轄しておる事業団ではない、厚生省がほとんどじゃないか、そういうような考えがあるならば、またこういう第二、第三のケースが出てくると思うのです。その辺の責任という点において大臣がおっしゃっておられるのと差があるのかないのか。中小企業庁長官にお伺いしたいと思います。
  132. 乙竹虔三

    乙竹説明員 お答え申し上げます。大臣がこの前の委員会におきまして、先生の御質問に対しまして、ただいま先生から御指摘がございましたように、中小企業庁が総合調整の責任をとるということを申しております。私先ほど御答弁申し上げましたのはそういう趣旨でございまして、工業団地、中小企業の高度化事業、これはいま日本の最も大事な施策である。したがって国民の負託にこたえるべく中小企業庁長官としては十分その責任を果たさなければならない、こういうことを申し上げたわけでございます。
  133. 近江巳記夫

    ○近江委員 厚生省の方にお伺いしたいと思いますが、今後の問題については、一つは職員の腹がまえ、もう一点については、その仕組みにおいて一人に仕事の権限というかそういうものを集中しない、こうしたおもな点を言われたわけでありますが、今回のこうした事件の発生において各省庁いろいろと対策を練ってこられたと思うのです。ですからいまお聞きしたこの点は確かにポイントであるけれども、もっと具体的に今後の運営等について厚生省としてもいろいろと練っていらっしゃると思うのです。ただこの二点だけですか。その辺のところ具体策があれば、ここではっきりと今後の対策として表明をしていただきたいと思います。
  134. 金光克己

    ○金光説明員 先ほどこの事件に対します今後の対策といたしまして、綱紀粛正の一般教育の問題と、それから運営の仕組みの問題につきまして御説明申し上げたわけでございますが、何と申しましてもこの二つ根本的には一番大切なことだと考えております。それで、この四月に一部そういった面の機構の改革をいたしましたけれども、次年度におきましては、さらにそういった面につきましては配慮してまいりたいと考えます。  なお、この事件につきましては、六月に通産省と一緒に業務監査を行なったわけでございますが、さらにこの業務監査をいたしまして、こういった事件の発生の原因につきまして十分検討いたしまして、今後の対策に反映してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  135. 近江巳記夫

    ○近江委員 その業務監査という問題についてはわかるのですが、現在の組織でそれをやっていくわけですか。さらに新たな機構等、監査制度とか、そうしたことはお考えになっているのですか。
  136. 金光克己

    ○金光説明員 業務監査は先ほど申し上げましたように六月に行なったわけでございますが、さらに精細なと申しますか念を入れまして業務監査を行ないまして、その結果に基づきまして改善をはかってまいりたい、かように考えているわけでございます。
  137. 近江巳記夫

    ○近江委員 通産省にお伺いしたいのですが、今回の汚職事件に関して振興事業団が出てこなかった、そういうことでほっと胸をなでおろしておられるような気持ちも多分にあるのではないか、このように意地悪く思えば思えるわけであります。この前三月十九日に福井染色団地の指摘を私がしたときに、私が、団地の総点検をやってこれからの団地の運営等について考えなければならない、この点を申し上げたときに、大臣も長官もその点は確約をされたわけであります。その後の経過あるいはまたそこからあがってきた問題点等について、現在までつかまれた状態というものをここで発表していただきたい、このように思います。
  138. 乙竹虔三

    乙竹説明員 ここで申し上げました線に沿いまして、直ちに既設の工業団地六十四につきまして総めくりと申しますか、それをいたしました。その結果をまとめて御報告申し上げますと、六十四の中で過半は現在順調に団地建設の効果をあげておるというふうに申し上げていいと思います。でございまするけれども、残りの約二十団地程度のものにつきましては、一応効果をあげておるけれども、さらに一段と運用改善をはかっていくべきではないだろうか、せっかく団地ができておるのだから、さらに共同事業を強化するなりあるいは協業化を進めるなりして、団地結成の効果をあげるべきでないだろうか、こういうふうなグループ、あるいはまた団地結成後不況があり、あるいはまた連鎖倒産の影響を受け、一時相当手痛い打撃を受けておる団地もございます。この団地の大部分につきましては、すでに立ち直っておりますけれども、なおしかしその傷あとの治癒がまだ十分でないという意味ではウオッチをしておく必要があるのではなかろうか。いま申し上げました二十団地につきましては、そういう意味におきまして特にきめこまかくあたたかく指導なり監察なりを続けていく必要があるのではなかろうかというふうに考えます。  なお十二、三の団地につきましては、もう少し運営診断を強化していく必要がある、団地本来の効果が必ずしも十分あがっておらぬというのがどうも十二、三あるようでございます。これは組合員の共同意識が低い、どうも独立独歩であって集団化、共同化が不十分であるというものもございまするし、さらにあるいは自動車部品の団地等につきまして、新しく自由化の波も迫っておるのであるが、この新しい事態に対する適応策が必ずしも十分でないというものもあり、あるいはこれはごく少ない例でございまするけれども、団地運営は何といいましてもリーダーと事務局、人的構成に期待するところが非常に大きいのでございますが、十分なる事務局をも欠く、こういう団地もある。このような十二、三の団地につきましては、さらに運営指導を積極的に強化をする必要があるというふうに、われわれは総点検の結果考えた次第でございます。  残りの三十数団地につきましては、順調に団地の効果があがっておりまして、共同事業、共同施設、共同開発あるいは市場動向も共同で把握をし、または共同宣伝などにも入っておるのがございますし、また当初団地の計画になかった事業でございまするけれども、一緒になってみますると、ここにコンピューターを導入して工程管理を進めていくというふうな動きが芽ばえておるものもございまするし、あるいは特に団地を結成いたしましたために労務者の福祉施設が完備し、あるいは共同募集ができるということで、労務の確保が非常に容易になった。あるいはまた金融機関からの信用が十分ついてきた。このような最初期待した以上の効果をあげている団地もございます。  いずれにいたしましても、以上三つのように分類をしたのでございますが、私たちこれを通観して痛感いたしましたのは、何といいましても共同意識、団結の意識、これがまず何よりも大事であるということと、優秀なリーダー、事務局、これは事務的に優秀であるのみならず、道徳的にももちろん責任感旺盛であるということが特に重大であるということと、第三といたしましては、団地をつくります場合に事前に冷静なるプランメーキング、経済計算、これが必要である。安易に、比較的安く、低い金利で土地が手に入るというふうなことは絶対にいけないというふうに、以上三点は特に痛感をしたのでございますが、さらに県の当局の指導が非常に十分なところはなおうまくいっておるというふうなことも感じたわけでございます。  以上、総点検をいたしました結果、私たちといたしましては、この膨大な工業団地群、現在建設中のものも入れますと百をこえます工業団地群、これに対しましては、通産局を通じます運営診断をさらに強化していくということの必要性、さらに監査を強化するという必要性、来年度実は特に監査旅費も要求したいと思っておるのでございますが、この監査の強化、さらにまた事業団の監査、指導機構の強化、これは人員の充実も必要であるかと思うのでございますけれども、このような施策を来年度はとってまいりたいということが、以上の総点検の一応の現在の対策でございます。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 この中小企業の団地化、これが先ほどからも何回も表明があったわけですが、中小企業対策の主軸をなしておる。したがって私たちとしては、中小企業の育成にこうした施策がほんとうに有効に働いていただきたい、このように思うわけです。ところが残念ながらこうした汚職事件あるいは運営の面に関してアフターケア等、非常にまずい点があって脱落をしていく。福井の染色団地等の例において指摘したごとく、大企業にどんどんと併合されていく。これであっては何のための団地か、協業であるかわからないわけです。いま幾つかのそうした対策を述べられたわけでありますが、もう少し具体的に私は聞いておきたいと思うのです。監査制度とかあるいは運営診断とか、その辺の作業を進めるについて、具体的にたとえば何名ぐらいを増員して、地方通産局あたりはどのような役目を果たすのか、あるいは予算等においていまどのくらい要求を考えておるのか。それがもしも私たちが思っておる線以下であれば、さらに今後われわれとしても当局に対して要求しなければならないし、その辺のところをもう少し詳しく説明を願いたいと思うのです。
  140. 乙竹虔三

    乙竹説明員 まず事業団の監査指導要員といたしまして、これは人間の増員は極力最小限度に抑えなければなりませんので、四名程度の予算要求をいたしております。それから通産局が第一線で各工業団地の指導、監査をいたすわけでございまして、実は本年すでに臨時的にこの指導、監査をやっておるのでございますが、来年度からはこれは定期的に指導、監査を行ないたい。この旅費として三百万円弱を計上いたしております。人員は、現在の人員を極力有効活用をしてまいりたいというふうに考えております。
  141. 近江巳記夫

    ○近江委員 そのくらいの予算の伴わないそうした対策、あるいは実質旅費の要るそういうような点とか、いろいろあろうかと思うのですが、いまおっしゃったくらいの対策で万全は期せますか。どうですか、自信あるのですか、この点。
  142. 乙竹虔三

    乙竹説明員 ただいま申し上げましたのは、来年度いわば上積みと申しますか、上積みにしかも予算面なり人員面なりに頭を出した数字でございまするので、非常に小さいような印象があるかと思うのでございますけれども、実は先生から御指摘のとおりに、また私たち繰り返し御答弁申し上げておりますとおり、この事業団の事業でございます工業団地、商業団地等の高度化事業、これは現在の中小企業政策の最も大黒柱、根本でございます。したがいまして、現在までも総力をあげてこれに傾斜をしてきたわけでございますけれども、今後も総力をあげて中小企業庁なり、中小企業振興事業団なりあるいはもちろん府県当局なり、さらに通産局なりの機能を傾斜してこれに当たらせますことを私たちは十分考えておるわけでございます。何といいましても人間のやることでございますので、万遺憾なきを期しておるつもりでも、ときにはいろいろ非常に至らない点が出るのでございますけれども、至らない点が出ますならば、直ちにそれは矯正をし、さらに前向きにその欠点を除去するという方向で全力をあげてまいりたいと考える次第であります。
  143. 近江巳記夫

    ○近江委員 この公害防止事業団のことでありますが、厚生省から今後の腹がまえ、対策等について数点話があったわけですが、私たち聞くところによると、いままで業務監督において非常にチェックをしておらなかった。これが非常に漏れておった。あわてて六日くらいに先ほどお話があったようにあなたチェックされておるようですが、その辺のところですね。それから通産あるいは厚生省から部課長級の人が俗にいう天下りですか、そういうことで入ってきておる。いずれはまた本省に帰るのだというようなことで、非常に腰かけ的にやっておるのじゃないか。そういうようなこともいろいろいわれておるわけです。あるいはまた通産省とのそうしたセクトで、話し合い、その辺のところが完全なチェックができてなかった。いろいろなことがいわれておるわけですが、その辺のところは十分踏まえた上でそうした対策というものをお考えになっていらっしゃるのですか。先ほど私は、その辺の背景についていろいろ感じるところがあったら言ってもらいたい。そういう点は全然触れてないわけですよ。現状はどうであって、その辺のところをよく把握した上でこうしたことを言っておるかどうか。この辺のところをもう少しつかんでおるところがあればここで表明してもらいたいと思う。
  144. 金光克己

    ○金光説明員 公害防止事業団におきますいろいろのこういった事件に対処する問題でございますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、厚生、通産両省相協力しまして、公害防止事業団に対しましても十分遺憾のないように指導はいたしてまいっておった次第でございますし、また公害防止事業団自体におきましても非常に努力はしてまいっておったのでございます。しかしながら必ずしも十分でなかったという点につきましては、率直に申し上げざるを得ないと思うのでございますが、そういうことでございまして、この四月にもこの公害防除施設あるいは工場アパート、あるいは工場団地等の事業につきまして、機構の面におきまして、また人員の面におきまして、若干事業がふえてまいりますにつきまして非常に比重が大きくなってきたというようなことで、実は指導部におきまして事業第一課と事業第二課と二つの課があったわけでございますが、それにさらに業務室を二つ加えまして事務を分割して、一つの課に比重が非常にかかるということをなくするようにいたしたわけでございます。しかしながらこの公害防止事業団の仕事は年々ふえてまいっておるような次第でございまして、人員の面におきましてもやはり増員ということも考えてまいらなければならぬ、かように考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、先ほども申し上げましたように、業務の内容につきまして十分検討もし、また機構の面あるいは人員の面につきましても十分検討してまいりたい、こういうことで現在検討しつつあるというような状態でございます。
  145. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間がないから終わりますが、いずれにしても公社、公団等が、天下り等を含めて、そうした運営等において非常に大きな問題になっている。特に通産省は大きな振興事業団等もかかえていらっしゃる。さらに公害防止事業団もこのように見ていかなければならない。非常にふくそうしておるわけでありますが、そうしたふくそうしておるところに隘路がある。そうした点は前にも指摘したとおりでありますが、今後このような忌まわしい汚職事件は二度と起こしてもらいたくない。この点を私も特にきょうは要望しておきたいと思います。  最後に、大臣として今後の運営等に関して決意なり感想なりございましたら、お聞きして終わりたいと思います。
  146. 大平正芳

    大平国務大臣 綱紀問題をきょうお取り上げいただいてたいへん恐縮に存じます。これはひとり公団の運営ばかりじゃなく、政府全体の大問題でございまして、せんだってもアジアの某国の要人が参りまして、日本経済の復興が目ざましい陰にはやはりモラルのしっかりした公務員がおるということ、これが宝でございますというようなことを言っていただいて、私も実はたいへんうれしく存じたのでございます。われわれは政治並びに行政の運営におきまして、一番大事なことは仰せの綱紀問題であると思います。これは国の興廃にかかる重大な問題でございますので、公団の運営ばかりでなく、政府全体の運営につきまして、御趣旨に沿いまして最善を尽くつもりでございます。と同時に、公団の制度、できましてまだ日が浅いわけでございますが、これの運営のやり方、組織機構のあり方、そういったことにつきましても十分勉強いたしまして、内部の牽制がよくとれるようなぐあいに改善を鋭意積んでまいるつもりでございます。
  147. 近江巳記夫

    ○近江委員 では終わります。
  148. 大久保武雄

    ○大久保委員長 中村重光君。
  149. 中村重光

    ○中村(重)委員 きょうは日米貿易経済合同委員会の問題で簡単に質問をしたいのですが、いま近江君から大阪の公害防止事業団の汚職のことについて質疑が行なわれたのですが、通産省は最近汚職がないということでわれわれもほっとしたというか、汚職防止のための対策を十分講じているのであろう、こう期待をしておったのであります。もちろんこの公害防止事業団は通産省の専管ではなくて、厚生省と通産省の共管、どちらかといったらむしろ厚生省寄りの事業団であるということになるわけですが、これが公害防止事業団の汚職であっただけに特に、ショックを与えたということになろうと思うわけです。大臣から決意のほどが表明されましたので、きょう私は続いて別に追及をしようと思っておりませんが、やはり許認可行政を持っていると、どうしてもそうした汚職というのが起こりがちなのであります。私は、前に通産省で起こりました汚職に対しましても、この汚職防止のための具体的な対策を講ずる必要があるということで指摘をしてまいったのでありますが、その際、当時何大臣でございましたか、櫻内さんでなくて他の大臣であったと思うのですが、はっきりした何かそうした汚職の起こらないような措置を講ずるということを言明をされたのであります。ところがその後、それでは汚職防止のためのどのような対策を講じられておるのか、つまびらかではないわけです。ただ私がともかく汚職に陥りやすいというように感じておることがたくさんあるわけですが、その中の一つを申し上げますと、これは具体的なことで申し上げなければなりませんから申し上げますが、私の長崎県で起こった一つの例なんですが、ここで都市ガス業者が都市ガスの申請をしよう、これにLPG業者が反対をするという問題が起こってきたのです。そこで実態調査をしなければならぬということになって、実態調査に通産局が乗り出したわけです。ところが、調査をするのだけれども、その調査がLPG業者が自主調査をしているのと通産局が調査をするのとは全く違う。それで、違うから正確な調査をしなければいけないじゃないか、そうしなければこれを認可をするしないという方針が最終的にきまらないわけなんだから、こういうことでやりましたが、都市ガス業者、都市ガスを認可申請をしているほうから資料はとる、一方からはとらないんですね。そうなってくると、勢いLPG業者のほうは、どうも都市ガスをやろうとしている業者が強いから、そのほうに情実的に動いているのだというような感じ方をするわけですね。そこらあたり通産大臣としては、この行政のあり方ということについて、規律の問題その他遺憾なくおやりにならなければ、やはり非常に不明朗だという感じを持たれるであろうと私は思うんです。だからそういったような場合に、具体的にどうしなければならぬというような一つの具体的な指針をお示しにならなければいけないのではなかろうかと思うんです。汚職が起こらないようにしなさいとか、あるいは間違いがないように、いろいろな批判が起こらないようにしなさいというような、そういうことだけではだめなので、やはり規律の面できちっとしたものを打ち立てていく必要があるのではないかと私は思うのですが、そこらで通産大臣考え方をひとつお聞かせ願っておきたいと思うのです。
  150. 大平正芳

    大平国務大臣 モラル確立、綱紀粛正の問題で一番大事なことは、行政的な事項ばかりではなく、国内におけるあらゆるできごとについて新聞が取材の自由を持ち、報道の自由を持つということ、それから国会はじめ各関係機関におきまして、この問題がしょっちゅう取り上げられて、いつも風通しのいい国のあり方であるということが、非常に私は大事だと思うのであります。それから第二に大事なことは、起こった事件について峻厳な厳正な措置がすみやかにとられるということが第二に大事だと思うのでございまして、仰せのように、綱紀の粛正を云々し、再びこういう事件が起こらないように注意いたしますと言うだけではいけないわけでございまして、こういう問題を国会はじめ各機関において論議していただいて、どこに病源が伏在しておるのかということを摘発していただいて、それに対して仰せのように事実にわたって究明をして、これに照応した処断が加えられるという慣行が確立しておるということが大事だと思うのでございます。  通産省でこの前に起きました事件につきましては、起訴と同時に懲戒処分に付したのでございます。同時に、先ほどからも公団の汚職事件について言及されましたように、内部の業務のあり方——弱い人間でありまするから、特定の人に権限が集中するというようなことで知らず知らずのうちに汚染の事実が出てまいるということのないように、仕事の配分、責任の所在、最後の決断を下すまでのプロセスをどのように組み立てるかということにつきまして、いろいろ検討いたしまして、そういったことの起こりにくいようなインターナルなチェックを確保する仕組みを考えて、いま実行いたしておるところでございます。申すまでもなく政治、行政の根本はモラルでございますから、寝てもさめても私どもが第一に優先度をおいて関心を持っていなければならぬことはモラルの問題でございまして、私なども通産省の諸君と毎日接触を持っておりますけれども、まずその顔色を見ておるわけでございまして、公明な空気の中で明るく仕事ができるような雰囲気であるかどうかというようなことが第一の関心事で、乏しいながら努力をいたしておるつもりでありますが、今後も一そうつとめてまいる所存でございます。
  151. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは合同委員会の問題についてお尋ねいたします。  御承知のとおり日米貿易経済合同委員会は七回目を迎えたわけでございます。従来この合同会議というのは、私どもが感じ取ってきましたのは、何かサロン会議のような、友好親善というようなところにウエートが置かれたというような感じがする。ところが、日米経済関係が変化をしたというような関係等から、今度の七回目の会議に感じておることは、何かこう競争的なものあるいは沖繩問題との関連ということから——先ほど来別に沖繩の問題と経済問題とは取引をしてない、こうおっしゃるわけですから、私どもの感じ方は感じ方といたしまして、別にそのことについて私はいまここで追及したり議論をしたりしようとは考えておりません。しかし日本側としてはどうしても沖繩問題に必死になっており、アメリカ側としては経済問題に必死になっておったという感じを私どもは受けている。また私は事実そうであったのだろうと思うのです。そういった取引といったような問題は別といたしまして、この経済問題ということは、日本は従来アメリカに対して貿易その他の面において要請する側であった。アメリカ繊維あるいは自動車その他いろいろな問題において日本に対して要請あるいは要求する側であった。ところが、どうしても日本アメリカのそうした要求を受け入れられないという立場の中にある。したがっていま非常に経済的に競争状態というものが生まれてきている。そういったことを背景として今度の第七回日米貿易経済合同委員会が持たれたというように感じているのですが、直接会議に出席された大平通産大臣としては、従来の会議と今回の第七回の会議と性格的に違ったものが出てきたというふうにお感じになっていらっしゃらないかどうか、まず伺ってみたいと思うのです。
  152. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのとおりたいへん変わってきたと私は感じ取った次第でございます。それはアメリカ側に困難の度が増したということ、それから反面日本の力が強くなったということ、これが同時に非常に鮮明に出てきたという感じでございます。すなわちアメリカ側は、世界のいろいろな事件について、これは軍事的にも政治的にも経済的にも、いままで戦後の世界アメリカ責任をみずから感じておるかのようにふるまってこられたわけでございます。ところが、そのことは端的に、世論的には世界の反発を食っておりますし、経済的には恒常的な国際収支赤字という姿で返ってきておるわけでございまして、アメリカ自身が今後の世界政策の進路を変えなければならぬというような局面に際会しておるように思います。  ところが、戦後荒廃の中から復興してまいりました日本は、世界の問題に関心を持つどころではなくて、日本の国がいかにして復興を遂げるかということに関心が集中しておったのでございますが、ここ数年非常な経済の躍進を遂げて、国際経済において日本の占めるシェアというのが非常に高まってまいりまして、他国の事情日本に影響があることばかり払いのけることに一生懸命でありましたけれども、いまちょうど日本は、日本の持っている力が国際経済にどのような影響を加えておるかということを主体的に考えなければならぬ、そういうような日本になってきたわけでございます。過去七回日米会議がありまして、私は第一回、第二回と出たわけでございますが、今度久しぶりに出てまいりまして、そういう客観情勢の変化というものがもう端的に会議を支配しておるということを感じたのでございまして、仰せのように非常にエポックを画した会議であったという率直な印象を持っております。
  153. 中村重光

    ○中村(重)委員 この会議は、御承知のとおり、改定された日米安保条約の第二条、経済協力ということを会議の基盤というか、これによってこの会議が持たれるようになってきた。したがって第七回会議を支配する雰囲気も、いわゆる日米安保条約の第二条に基づいて経済協力というものが明らかにされているのだから、そういった定保体制下における経済協力ということが相当会議を支配したのかどうか。そうではなくて、一般的な日本アメリカとの関係ということ、あるいは日本が、いま大臣お答えになりましたように、アジアにおける——まあ主としてこれはアジアということになりますが、世界的あるいは主としてアジアにおけるところの日本経済力がいろんな面において影響していく、またアメリカ側立場世界に大きな影響力を与えておる、そういったようなそれぞれの立場の上に立って今回の会議が持たれたということになるのか。端的に申し上げると、安保条約第二条に基づいていわゆる経済協力ということが一つの義務になっているのだから、そういう義務的な立場に立って話し合いをする、こういうことになったのかどうか、その点どうなんですか。
  154. 大平正芳

    大平国務大臣 過去の会議は、アメリカに一方的に注文するようなことが多かったし、アメリカもまた日本の復興過程において、その注文を相当聞いたわけでございます。だから、あなたのいわれる経済協力関係、両国の経済関係のあり方というのは一方交通的であった。したがって、非常に熱のこもった議論が展開されるというようなことが乏しかったのでございます。だが、今度の場合は、それが非常に双務的になったと言えると思います。ここまで成長した日本として、対米関係ばかりでなく、国際的なマナーといたしましても、いまのようなあり方でいいか悪いか、そういった点について鋭くついてくるということは、いわば当然の道行きであったわけでございますが、日本は、GNPも伸び輸出も伸びてきましたけれども、まだアメリカの期待にこたえるような速度においてそのことが実行できる状況でもない。そこに非常なもどかしさが先方にはあったのではないかと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、相互主義というか、お互いお互い責任を果たすというような関係において日米経済関係を樹立していこうじゃないかというような、そういう機運が強まってまいって、これは私は当然の道行きであったと思います。
  155. 中村重光

    ○中村(重)委員 大体いまのお答えでわかったわけですが、アメリカが国際的に占める経済的な地位、また日本世界第二位に資本主義国家では発展をしておるそういった国際的、なかんずくアジアにおけるところの地位、そのことから日米経済関係の話し合いが国際的な関係ということにつながってまいりますから、したがって、これは結果的には同じような形になるであろう、日米間の話し合いが国際的な関係ということに大きな影響を持つという意味においてはですね。しかし、安保条約第二条に基づいて、いわゆる経済協力という観点に立って、お互いに双務的な義務を果たしていかなければならないというようなことで向こうが話を詰めてくるという場合においては、会議の持ち方というものに相当な影響、いわゆる違いというものが出てくるのではないか。したがって、今回の第七回の会議というむのが従来と性格的に非常に違ってきたものがある。その中でいわゆる日米安保体制というものが相当この会議の運営を支配することであったのかどうかということでお尋ねをしたわけですが、それは具体的な内容二、三をお尋ねをしますので、それによってひとつお答えを願いたいと思うのです。  先ほど繊維の問題については加藤委員からいろいろお尋ねをしておったわけです。加藤委員も指摘いたしましたように、今回アメリカは、繊維にむしろウエートを置いたということよりも、それにしぼってきたということが新聞等において報道されている。したがって、大平通産大臣が立て役者的な役割りを果たしたのではないか。その通産大臣が、非常に外務省の官僚すらも驚くような譲歩をしたのだ、こういうことであった。しかしそれは先ほど否定をされた。私どもは、ニクソンが大統領選挙において、南部諸州における、これはまあ自主規制ということばを使ったのか輸入制限ということばを使ったのか知りませんが、いずれにいたしましても、繊維輸入制限をやるということは公約である。だからして、自由貿易主義には反するけれどもアメリカ日本に対して繊維自主規制を迫ってくるという結果になったのである。ところが、私どもは、御承知のとおり、委員会決議あるいは本会議決議を行なって、それに対する佐藤総理大臣あるいは通産大臣態度表明というものがなされた。   〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕 したがって、その態度表明に基づいて、国会決議を尊重するという態度で終始するであろうという期待を持っておった。ところが、伝えられるところによると、そうではなくて、大きく譲歩した。その具体的なあらわれで高橋ミッションが今度アメリカに行くのだということで、先ほど来の加藤委員の追及的な質問という形になったわけです。私も同じようなことで質問したかったわけですけれども、これははっきりした答弁がなされたわけです。私は、先ほど大臣が御答弁になったということは、従来の態度表明と変わらない、したがってそれに終始するであろうという期待を持ちます。そこで、この問題に対しましては、大きく触れない、これ以上申し上げようとは思いません。最後まで態度を変えないように、いわゆる国会決議を尊重するという態度で終始していただきたいということを強く要望するにとどめておきたいと思います。  そこで、伝えられるように、繊維にしぼってきた。そのことが、交渉が非常に巧妙であったというようなことも伝えられておる。一方、日本の側としては、大国意識というものが強過ぎたのではないか。世界第二の経済力を誇るようになった、経済大国日本であるというこの意識、それと沖繩問題との取引をしようというような考え方というようなものが影響をして、今回の会議というものは日本側は非常に不利であったというように伝えられておるわけですが、通産大臣としては、それらの評価に対してどのようにお考えになっておられるのか。
  156. 大平正芳

    大平国務大臣 最初に申し上げましたように、日本の実力の向上、これは日本が否定いたしましても否定し切れない厳然たる事実でございまするし、アメリカの逢着しておる困難というのも、これまた隠しても隠し切れないものがあるわけでございまして、そういうものの交錯の中で持たれた会議でございますから、特にわれわれが大国意識を持ってやったとか、またアメリカ繊維問題だけに戦略的にしぼって日本側の譲歩を求めたとかいうのは、いずれも見方といたしましては正確でないのでありまして、御承知のように、議題は、NTBの問題、資本の自由化の問題、物の自由化の問題、繊維問題と、私の取り扱っただけでもそれだけの問題がありまして、それ相当の時間をさいて、やたっわけでございます。だから、いま御指摘のようなとり方は、私はやや過酷でないかというような感じがいたします。
  157. 中村重光

    ○中村(重)委員 これは私で言っているのではなくて、伝えられていることを申し上げた。ところが、私は、いま大臣お答えの中から感じることは、アメリカはベトナム戦争の失敗、非常な巨大な費用をあれに投入をした、そのことのためにドル危機という形に追い込まれてきた、非常な危機的な立場に立っている、そのような評価をいま大臣はなさったわけですね。一方、同時に、日本経済力の面においては、受け取り方によっては非常にゆとりがあるというような評価をしていらっしゃるように感じるのです。私はその評価は正しくないと思うのです。なるほどGNPにおいて日本アメリカに次いで西ドイツを追い抜いていま二位になっている、これは事実です。しかし、国民の一人当たりの所得というものは、二十一位といわれておったのが、いま二十位に上がっているにすぎない。このことは社会投資というものが非常に少ないということを意味する。あるいは社会保障、私どもがいつも申し上げるような生産性の低い農業とか中小企業に対する政府の保護政策が非常に弱いということ、それらのことを考えてみると、GNPの伸びだけでもって日本経済力というものを評価することにはならないのではないか。高成長の裏に非常な犠牲が要求されているというこの事実をお考えになるならば、日本経済力というものはゆとりがあるのだという考え方、そういうこと自体が、大国意識というものを大臣自身がお認めになったということになるのじゃないか。そういったような認識をもって会議に臨まれる、あるいはその後の折衝をおやりになるということになってくると、私は、日本にとっては必ずしも有利ではないという感じがいたします。その点は、どう大臣はお考えになりますか。
  158. 大平正芳

    大平国務大臣 御指摘のとおりでございまして、私は、無条件に日本経済的大国になったなどとは毛頭考えていないわけでございます。アメリカ側の代表に対して多くの時間をさいたのは、あなた方は、日本のGNP、輸出その他の経済指標をごらんになって日本を評価されておるが、これは過大評価である、何となれば、日本にはこういう重大な弱点がたくさんあるのである、で、この会議の目的は、そういった事実について十分の理解を高めてまいるのがこの目的であるということで、終始その点についてこちらは解明を試みたわけでございますが、遺憾ながら、それはあなたのおっしゃるとおりである、あなたの説明に満足しましたとは言わなかった。で、彼らは依然として日本は強くなったという意識を持っていることは間違いないようでございます。  一方、アメリカ側は、みずからの力を過小評価していると思うのです、経済的に見ると。それは技術において、資本において、マーケッティングパワーにおいて、経営力において、それはとても格段の格差があるわけでございまして、これをそのままにしておいて、当面の国際収支の不調という点だけを取り上げて自分の困難を訴えるというようなことがどうもはんぱである。その点につきましても、仰せられるまでもなく、私どものほうから十分アメリカ側に注意を喚起しておいたことでございます。  でございますから、私が無条件に経済大国意識に酔うておるというようなことは毛頭ないのでございまして、中村委員と同じように深い憂いをもちまして当たっておるわけでございます。  ただ、あなたが言われた、GNPは第二位であるけれども、パーキャピタのインカムは二十位じゃないか、これはいろいろな犠牲を国民にしいておる結果こうなっておるのだという考え方は、私はとらないのであります。これは、そのまま分析すればおわかり願えると思いますが、人口の違いがあるわけでございまして、一人当たりの生産力がヨーロッパに比べて二分の一強、アメリカと比較いたしまして四分の一強ぐらいのところへまで日本経済がきておるということでございまして、そんなことを議論を突き詰めてまいりますと、ソ連とか中共の経済というようなものの数字がはっきりつかめませんから、はっきりとしたことは申し上げられませんけれども、それだから社会保障がプアーであるとかなんとかという結論にはなかなかならぬのじゃないか。せっかくの御引例でございますが、その引例は私は多少抵抗を感じるのであります。申すまでもなく、私は経済大国意識なんというようなものを持つほど人間がゆうちょうにできていないのでありまして、そういう点は十分気をつけてやっておるつもりです。今後もそういう態度で終始していきたいと思います。
  159. 中村重光

    ○中村(重)委員 二位の中における二十位ということについては議論をしたいのですが、きょうは時間の関係もありますから、あらためてそのことについては議論をしてみたいと思います。なるほど御意見のような点は一面はある。私の申し上げたことも、これはやはり二位の中の二十位という形になっておることもまた否定できない、こう思うのです。  そこで、具体的な問題についてお尋ねをいたしますが、繊維と並んで、資本の自由化で自動車の問題が取り上げられて相当議論をされたようであります。この中で、この秋に自由化をするということを明言されたようでございますが、秋というのはいつごろなのか、まずその点をひとつお聞かせ願いたい。
  160. 大平正芳

    大平国務大臣 いま始まっておるわけでございますが、鋭意問題を詰めておる段階でございまして、それができ上がりました段階で決断をしなければならぬと考えております。何月何日ごろというようなことは、いままだ私の頭の中にないわけでございますが、少なくともこの秋じゆうにはということでございますから、九月から十一月の間の適当な時期というように御判断いただきたいと思います。
  161. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、その会議の場でもいまお答えになったようなことであったわけですか。十月であるとか九月じゅうとか、あるいは十一月であるとか、そういう具体的な話が出たのではありませんか。
  162. 大平正芳

    大平国務大臣 秋とだけ言ってあります。
  163. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、政府部内でも——業界は、これは反対をいたしておりますから、それはいろいろな影響がありまして、早期に自由化をするということについての賛否両論があるようであります。メリット、デメリット、それらの点について、政府部内の意向としては早期自由化、いわゆる秋じゆうには自由化をするということについては意見が一致しているわけですか。
  164. 大平正芳

    大平国務大臣 秋じゆうに自由化をするという意見でなくて、秋じゆうに自由化の時期をきめるということにおいて政府部内は一致した意見を持っております。
  165. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、秋に明示するということですが、自由化を明示するということだけではアメリカは承知しなかったんじゃないかと思います。これは大体いつごろその自由化をするということでなければ話にならなかったんではないかと思いますが、その点はどうなんですか。
  166. 大平正芳

    大平国務大臣 これは中村委員も御承知のように、ただいままで日本政府がとってまいりました態度はたいへんかたくなでございまして、一九七二年度から、正確にいうと一九七二年の四月一日から——三月三十一日までは物の自由化、つまり部品等の自由化をやりまして、資本の自由化については一九七二年の四月一日以降考えたいということでずっと応酬してきたことは、あなたも御案内のとおりでございます。  そこで、私どもが今度の会議を通じて明らかにいたしましたことは二つございます。一つは、いまあなたが御指摘の自由化時期をいつきめるかということです。この秋には自由化時期をきめますぞということが第一点でございます。しかし自由化する時期はいつにするとはまだ言うてないわけです。第二の点につきまして申し上げてあることは、いままで一九七二年三月三十一日、ちょうど第四次の自由化にきまりをつける時期でございますが、従来は、それまでは物の自由化をやっておいて、その翌年度から資本の自由化を考えるんだということを繰り上げまして、一九七二年三月末までに固まるであろうネガリストには自動車は入れませんということを言うたわけです。つまり、自由化の時期はこの秋に明示いたします、一九七二年三月末までに、第四次の資本自由化の総決算の場合にネガリストというものにどうしても自由化できない品目が載るわけでございますが、その品目の中には自動車を入れませんということを申し上げただけでございまして、そのワクの中でわれわれはいまいろいろ準備を急いでおるということでございます。
  167. 中村重光

    ○中村(重)委員 大体わかったのですが、七二年ということになってくると四十七年ということになりますね。そうすると、それ以前に完全自由化ということはあり得るわけですか。
  168. 大平正芳

    大平国務大臣 それは、この秋の明示する時期——自由化時期を明示せなければいかぬわけですが、そのときに申し上げるわけでございまして、いまから申し上げるわけにはまいりませんで、いろいろな準備を検討いたしておりますので、遠からず申し上げることになろうと思います。(「秋というのはいつまでだ」と呼ぶ者あり)
  169. 中村重光

    ○中村(重)委員 だから、秋の問題については、これは不規則発言のとおり、秋というのは、私どもの観念では大体十月ということがあるのですが、あなた方今度の会議の中で秋に明示をするという、秋じゅうとこう言われたのについては、十月だとか十一月だとかいうようなことで議論をしたんだ、こう思うのです。しかしそれは大きな問題ではありません。いずれにしても十月でなければ十一月、こういうことになるでありましょうから、まあその点についてはお答えできるならば明らかにしていただきたい。  私は、七二年以前にあり得ないかどうかということについては、自動車工業というものが国際競争力がついていると見ているのか見ていないのか、この点についても政府部内で必ずしも意見が一致しているようには思わない。その国際競争力というものはもうついているという見方と、まだついてないんだという考え方があるのですが、大平通産大臣としてはどのようにお考えになっていらっしゃるのですか。いまの秋の問題も、いつまでが秋とお考えになっているか、その点にもお答えが願えればなおけっこうです。
  170. 大平正芳

    大平国務大臣 秋とは九月、十月、十一月、この三カ月の長さにおいて考えております。  それから競争力の問題でございますが、これは相対的な関係でございまして、日本の自動車産業自体を見てみますと、それは確かにすばらしい成長を見ましたし、相当の収益力も持っておるし、販売力も持っておるわけでございますけれども、何さま競争すべき相手が非常なマンモス企業である、日本政府の予算以上の販売力を持っておるようなでかい、ジャイアンツなんです。そういうものとの比較においていうと、非常に弱いわけです。ですから競争力が対米関係において十分かというと、十分でないと私は思います。さればこそ自由化時期をきめるにあたりまして、慎重な配慮が要るばかりでなく、これに対応したいろいろな準備体制を踏み締めてまいらなければならぬわけでございます。そういう意味でいませっかく努力しておるところです。
  171. 中村重光

    ○中村(重)委員 財界でも、自動車は国際競争力がついておるのだという見方をとって、堂々と早く自由化すべきだという意見を発表している人もいるわけです。同時に、先般来の欠陥車の問題、自動車工業に対しては、あまり政府が保護し過ぎるんだ、あまり自動車工業を温床に置き過ぎておる、そこらからこの欠陥車の問題なんというものも起こってきておるのだというような批判もあるわけです。それらの点については大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるか。
  172. 大平正芳

    大平国務大臣 財界の意見というものはどういう筋の御意見かよく存じませんけれども、少なくとも政府の意見という以上は、自動車工業界全体を見ますと、比較的強いのもあるし、そんなに強くないのもあるし、船足の早いのもあるし、おそいのもあるし、いろいろ見まして、慎重にきめなければならぬわけでございまして、そのときの思いつきでやるわけには私はまいらぬと思うのでございます。財界人の御意見というのも、私どもときどき伺いますけれども政府はそういう御意見も伺いながらやはり全体を見て、せっかく民族資本としてここまで雇用力を示してまいりました自動車産業でございますから、何とか未来への生存権を世界に向かって確立するだけのものであってほしい、それにはメーカーばかりでなく部品の業界、販売業界、そういった方面にわたって体制を整えて、あらしにたえるようにしながら自由化時期を踏み切りたいということでいま検討を急いでおるところでございます。
  173. 中村重光

    ○中村(重)委員 私は、自動車工業に対して過保護であるというような財界人その他の意見があるということについては、それなりの理由があるように思います。私ども産業政策的が立場からいろんな産業人ともお会いして話を聞いているのですね。ところが、この自動車業界は生産費の中に占める労働賃金、いわゆる人件費の比率というものが幾らかということを明らかにされない。通産省はそれじゃ知っているのか、通産省自身が御存じないですよ。通産省にすら、あれだけの保護を受けながら、そうした内容について明らかにしようとしないということですね。ここらにも、自動車に対してはあまり甘やかし過ぎているというような意見が出てくる要因があるのではないか。また、競争力がついているとかついていないというようなことも、そうしたコストの中に占めるところの人件費あるいは資材、いろんなものを明らかにつかんでいなければならないのではないか。ただ、売価がどうだ、生産費が幾らということを言っているのだから、そういうことだけでは国際競争力というものがついているとかついていないとかという評価はできないと私は思うのです。その点に対しては大臣はどうお考えになりますか。
  174. 大平正芳

    大平国務大臣 自動車産業に対して政府は過保護、保護に過ぎるじゃないかという御批判があることは承知いたしておりますが、これもどういう状況のもとで保護するのが妥当でないかという、その状況を前提にしないと間違うと思うのでございます。ちょうど為替レートができる前の複数為替レート時代に、自動車産業というのは日本でわずかございましたけれども、たしかあれは五百何十円であったと思うのです。当時もう金融界におきましても、GHQ当局も、日本に自動車産業なんというのはむだな話だというような議論があったのです。もし当時通産省が断念して、これは保護しない、国際競争にさらすのだということでございましたならば、今日百二十万の雇用を擁した基幹産業はなかったと思うし、九千七百億円の税金をこれから調達しているわけでございますが、そういうこともなかったと思うのです。だから私は、いままで自動車産業政府が保護してまいって今日ここまで成長を見たということは、まずまず成功であったと評価していただきたいと思うのでございますが、しかし、ここまで成長したものをいつまでも過保護のままで布子を着せて、春が来たのに過保護を加えていこうなんという、そういう態度もまた間違いでないかと思うのでありまして、ようやくこれの自由化について考えなければならぬ時期が来た。それに対して、対応策としてどういうことをまず用意しておかなければならぬか、そういうことを用意するにはどれだけのタイミングが要るかというような具体的な検討にいま入っておるわけでございまして、状況のいかんにかかわらず過保護で行こうなんというかたくなな精神は毛頭持っておりません。
  175. 中村重光

    ○中村(重)委員 私が言っているのは、アメリカが自動車の自由化というのを相当強く要求をしている、そこで秋にその時期を明示するのだ、そして七二年四月以降である、こう大臣はお考えになっている。ところが、アメリカがもっと早くやれというような要求をしてくることは、これはおそらく間違いないだろう。そういう場合に、説得力というものがなければいけないと思うのですよ。いわゆる過保護であるとかというような、財界の中でも意見が二分、三分しているようなことではやはりだめなんだ。ともかく繊維のように、立法機関も、それから行政機関である政府も、民間も一体となってぶつかっていくというところに、その説得力というものだって出てくるであろうと私は思う。自動車の場合においては、財界の中にも意見がいろいろ分かれてきている。ましてや政府が、その生産費の中に占めるところのコストが、大体人件費も幾らだというようなことがわからない状態では、過保護であるということに対してのいろいろな財界人のそうした意見というものをアメリカはちゃんとキャッチしておりますから、そういうことで強く迫られた場合に、これに抵抗できなくなってくるではないか。   〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕 だから、過保護であるとかなんとかいうようないろいろな意見が起こらないように、また財界も自動車工業界としてももっとフェアでなければならない、政府に対しては明らかにするところは明らかにしていく、こういう態度でなければならないではないか、こう言っているわけです。そこらがともかく何というか、自動車工業が言うことに対して、政府が害わなければならないことを言わないでおることも、そこらに問題があるのだという点から申し上げておるわけなんです。私は単に抽象論として言っておるのではありません。私どもも、先ほども申し上げましたように、いろいろな業界産業界の人たちとも話をいたしますが、その場合に、一番内容を明らかにされないのは自動車工業界である。私どもだけかと思って聞いてみると、通産省も知らないという。こういうことだから、それではだめなんだ、こう言っている。だから、大臣としてはいままでのような態度でお臨みになるのか。外に向かって説得力を持つ強い態度で臨もうとするならば、まず内に対してきちっとしたあなたの影響力、通産省の影響力というものを十分持っていくということ、そうした指導性というものがなければどうにもならぬではないか、そういう意味で前向きで申し上げておるのですから、ひとつそういうことでお答えが願いたいのです。
  176. 大平正芳

    大平国務大臣 財界も自動車業界も、ただいま申しましたように、自由化時期をこの秋明示する、それから七二年三月末、ネガチブリストに自動車を入れませんぞ、言いかえればその時期になったら自由化しておりますよという政府考え方の幅というものはよく承知しておりまして、その間で政府が決断することに信頼をおいていただいておるものと私は承知いたしておるのであります。自動車業界自由化に非常に頑強なまでに抵抗を示しておるとか、あるいは通産省がいろいろ無理をして保護を温存しようとか、そういうような懸念がもしございましたならば、一掃していただきたいと思うのでございます。仰せのように、内外に対して説得力を持たなければ政策のメリットはないわけでございまして、それには自動車業界といたしましても、自分の人件費の実態政府に知らさぬという、そんなばかなことは私は考えられないと思うのでございまして、政府業界も一体となりまして、内外に十分の名分の立った、説得力を持った踏み切り方をいたしたいということで、いま検討を鋭意続けておる状況でございます。
  177. 中村重光

    ○中村(重)委員 三菱とクライスラーの提携の問題ですが、これはいまどのように動いているわけですか。
  178. 大平正芳

    大平国務大臣 これに対しましては、三菱側から、クライスラーとこういう縁談があったというインフォーメーションを受けました。しかしながら、正式の申請が出ておるわけではございません。私どもはこの問題の処理について、国会におきましても、またプレスのほうからもいろいろ御質問を受けるわけでございますが、自動車の資本自由化全体の問題の一環として処理したいということだけを申し上げておるわけでございまして、言いかえれば、この案件だけは申請を待って自動車自由化の問題と別個に個別審査をしてきめる、そういうことはいたしません。全体の自由化問題の処理の一環として処理いたすつもりでございますということを天下内外に申し上げておるわけでございます。三菱側もよく御了承いただいておるものと承知しております。
  179. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、いまこの両社の提携の合弁会社に対して、組み立ての認可というものは自由化前にはあり得ないというお答えになりますね。
  180. 大平正芳

    大平国務大臣 秋に自由化時期を明示いたしますと、もう業界といたしましては、それの道標を踏まえた上でそれぞれのみずからの進路をおきめになるだろうと思います。それで、いよいよ本日から自由化というその日までにはいろいろな準備が整って混雑がないようにいたしたいし、またそのように事が運ぶものと承知いたしております。三菱、クライスラーの問題は、その過程におきましてそういう一連の自由化の中の一環として私どもが吟味いたしまして処理いたすつもりでございますから、いよいよ自由化されるということ、これだけが先に自由化されて認められて、あとの問題が明示した時期以後になるんだというような取り運び方にはいたさないつもりでございます。
  181. 中村重光

    ○中村(重)委員 その時期を明示されるとおっしゃったのですから、明示は秋になされるわけですね。ところが、この三菱、クライスラーは合弁会社としての組み立ての申請をしてくることは間違いないわけですね。それを明示した自由化前にこの組み立てを認可することがあり得るのかあり得ないのか、そこをひとつお答え願えばけっこうです。
  182. 大平正芳

    大平国務大臣 明示された自由化時期で一斉にスタートするようにいたしたい、三菱も含めましてそのように考えております。
  183. 中村重光

    ○中村(重)委員 三菱もクライスラーもこれは有力な兵器生産のメーカーなんですが、この両社が提携をするということは、日本も第三次防衛力整備計画に続いて第四次防衛整備計画というもの、あるいは第五次という形になって、再軍備体制が非常に強化されてくる。いわゆる沖繩との関連の問題でも出ておりますいわゆる自主防衛ということですね、そういう方向にずっと進もうとしているわけです。この三菱とクライスラーの提携というものは産軍体制というものが強化されてくるというように私は考えているわけですが、その点はどうなのか、またこの両社の提携というものが日米関係にどのようにはね返ってくるのか、そこいら辺についてどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  184. 大平正芳

    大平国務大臣 防衛産業の問題は、たびたび本委員会でも申し上げましたように、われわれのいまの政府考え方は、自衛隊の装備というもののうち国産化が可能なものの国産化を追求していこうということでございまして、そのワクを越えて防衛産業の振興をはかり、産軍協調体制を不動のものにしていこうなんという大それた考えはないわけでございます。したがって三菱、クライスラーの提携問題についてそこまで御心配をいただく筋合いのものでないと私は考えております。
  185. 中村重光

    ○中村(重)委員 私は具体的な問題でその点なおお尋ねをしたいのですが、きょうは時間の関係がありますから、いずれ適当な機会にこの三菱、クライスラーの提携の及ぼすいわゆる産軍体制強化というようなことを具体的な問題点としてお尋ねをしてみたい、こう思っております。  最後に、先ほどちょっと触れました自動車のいわゆる欠陥車問題について通産省はどのような取り組みをされたか、それからこの欠陥車が日本の自動車輸出にどのような影響というものが起こっておるのかという点、時間の関係がありますからメモしていただいて、それぞれお答えを願いたいのですが、この欠陥車問題というのは、単に自動車問題だけではないんだ、私は家電に相当な欠陥が、何ということばを使うのですか、テレビであろうとも、あるいはラジオであろうとも、冷蔵庫であろうとも、ともかくあまりにもこれが型だけがずっと変わってくるのではなくて、もうどうかすると三年くらいで、あるいは三年もたたないうちにテレビなんかは完全に映らないというようなこと、音も立たなくなるということがあるのです。何か冷蔵庫、テレビ等、そうした家電がもう二、三年あるいは三、四年したらばこれを買いかえなければならぬというような、そういったようなことで計画的に製作されているような感じがしてならない。これは欠陥ということよりも計画的にやっているんなら別ですが、もしそうでないとするならば、私はこれは一つの生産、製作上の欠陥であるというように思っているのです。それらの点に対してどのような調査をなさったのか。この欠陥車の問題が出てまいりましてから当然関心を持っていろいろな調査をなさっただろうと思うのですが、それらの点に対してはいかがでございましょう。
  186. 大平正芳

    大平国務大臣 自動車の安全行政の問題は、御承知のように運輸省の所管になっておるわけでございまして、この問題が日本で提起されましてから、私どもといたしましても、製造行政の責任を持っておりまする関係上、交通安全に寄与する立場から、本来のメーカーばかりでなく部品業界も含めまして、材質の問題、構造の問題等、安全性の確保に万全を期するように関係会社の注意を喚起したばかりでなく、部品業界も含めまして厳重な通達を発出いたしまして注意の喚起をいたしたわけでございます。  また、自動車の重要な保安部品に関するJISの整備問題でございますが、すでにブレーキパイプ、それから走行ハンドル軸等をJISの品目に追加するよう検討を進めておるほか、自動車の耐久試験方法のJIS化についても目下検討中でございます。で、自動車安全公害研究センターにおきまして、長期的な研究テーマといたしまして、安全性、耐久性等に関する内容をなお一そう充実いたしますとともに、欠陥の分析、それからJIS化への試験基準の作成等、行政上の要請による短期的なテーマを取り入れるような研究運営を行なうことといたしております。また、業界におきましては、六月に自動車関係六団体によって安全対策協議会というものができ上がりまして、業界における欠陥車対策が恒久的に業界に定着をしまして、欠陥車問題の将来に万全を期するような仕組みを推進いたしておるところでございます。  ところが、欠陥車のリコール問題というのは、たまたま日本で最近になりまして問題になったことでございますけれどもアメリカ等ではこういうことがいわば定着をしておりまして、あるいは新聞の広告を通じて、あるいはバイヤー等からユーザーにいろいろ通知をいたしまして欠陥車の回収を行なっておるわけでございまして、いわば普通慣行として定着したことになっておるのでございますが、日本の場合は突然こういう問題が問題になったものでございますから、官民ともびっくりしたわけでございます。もともと欠陥車の回収問題は、その会社、メーカーの責任におきましていろいろ手段、方法を講じまして、急いで回収して完全なものにするということは、その販売政策の上から申しましても当然やらなければならぬということで、現にやってきておったわけでございますけれども、こういう事件が起こりまして、なお一段の御奮発をしてもらいたいということで、最近、御承知のように、八月末現在で欠陥車の回収は国産車で九六%、輸入車で九七・七%まで高めることができたのでございますが、なお若干未回収のものがあります。これはいろいろ聞いてみますと、ユーザーのほうで、もうわかっておるからいいということでなかなか応じないそうでございまして、ほとんどいまのいうところの欠陥車対策と、またその欠陥車の回収というものは順調にいっておるものと承知いたしております。  それから、こういう問題が起こって輸出にどういう影響があったかという御質問でございますが、ことしもたいへん順調な輸出の伸びでございます。四十三年の上半期の対米向けの自動車の輸出実績は、乗用車で七万七千七百三十六台、トラックで一万五千七百九台、合計九万三千四百四十五台でございましたが、ことしの上半期は乗用車で十二万百二十台、トラックで三万二千百六台、合計十五万二千二百二十六台でございまして、さしたる影響はなかったと思います。
  187. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまのは国内の回収だけですね。そうすると、輸出した車の回収というものは行なわれたのですか。行なわれたとするならば、その実績はどうなっているか。
  188. 吉光久

    ○吉光説明員 主として輸出先はアメリカが一番多いわけでございますけれどもアメリカにおきます回収率でございますが、私どもいま手元に持っております数字によりますと、日産系統で約六六%、トヨタ系統で四〇数%現在回収が進んでおる、こういう報告を受けております。
  189. 中村重光

    ○中村(重)委員 家電のことについてはいかがですか。
  190. 吉光久

    ○吉光説明員 なお、家電の欠陥、事故等につきまして御指摘がございましたので、この際つけ加えてお答えさしていただきたいと思います。  家電製品につきまして、電気的な事故、特に小さなものにつきましては、前々から電気用品取締法の指定対象に入れておったわけでございますけれども、最近、いわゆる家電製品と称せられますものにつきましてもある程度事故が起こってまいるというふうな事態が起こってまいりまして、したがいまして、先般、これは公益事業局のほうの所管でございますけれども、家電製品につきまして、特にテレビ等の事故等を未然に予防するという意味から、電気用品取締法の指定対象物件といたしましてこれを追加いたしたわけでございます。  最近、そういう大きな家電の問題を離れまして、ある社でつくりました電気かみそり——カドニカ電池を使ったものでございますけれども、電気かみそりあるいは懐中電灯というふうな、そういう器としては小さいものでございますけれども、それにつきまして、一部蓄電池に故障があるということが発見されました。これはメーカーに指示いたしまして、さっそく新聞に公表させますと同時に、その品物の回収につとめさしておるところでございます。最近聞きましたところでは、特に電気かみそりにつきましては、回収が相当程度、約八割程度まで進んでおるようでございますけれども、懐中電灯のほうの関係につきまして回収率が大体半々程度というふうなことでございまして、関係会社といたしましても、さらにその回収に努力する旨を私のほうに申し入れておるところでございます。
  191. 中村重光

    ○中村(重)委員 私は、たとえばテレビの問題なんかを頭に置きながらお尋ねをしたのですが、三年くらいたちますとブラウン管が悪くなる。そこで、これは五年あるいは七年も、もうそういうことがないものがあるだろうし、あるいは二年くらいでそのブラウン管の故障が起こるというものもあるだろう。そうなってまいりますと、これはほかもちょっと故障があるのだということで、一万五千円から三万円くらい、そうすると、これはもうブラウン管を取りかえるのはやめて新品を購入されたほうがいい、頭金はその程度でいいのだという形で、精力的なセールスマンの売り込みというものが行なわれてきている。だから、家電についても、いまそれぞれお答えがあったわけですけれども、やはり従来と違った関心を持ってこの調査をひとつする、それから厳重に監督指導もしていくということをなさる必要がある。そのことを要望しておきたいと思うのです。  最後に通産大臣お答えを願いたいと思うのですが、私はIPUに出席するために国会から派遣されて、あさって約一カ月間の予定で行くわけですが、そこで海外経済協力の問題を勉強してみたいと思っております。いつもこれは政府ベースのものとコマーシャルベース、これはいま輸銀と基金がそれぞれ担当しているのだけれども、これはどうも適当ではないのではないか。コマーシャルベースのものだけを輸銀扱いをする。だから、政府ベースというそれは基金が担当するということにすべきだ。そうして援助にいたしましても、もっと計画性がある、日本自体一つの主体性を持った援助でなければ、相手国からも喜ばれないし、成果もあがらないということは私の持論で、予算委員会あるいは当委員会等においてもそれを申し上げてきておる。通産大臣としては、いま私が申し上げますように、この援助資金は基金が担当する、輸銀はコマーシャルベースでいくということが適当なのだというような構想を持って検討しているやに伝えられているのですが、その点、ひとつこの際考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  192. 大平正芳

    大平国務大臣 私といたしましては、いま中村委員が御指摘のとおり、輸出入銀行は本来貿易金融機関として十分に機能していっていただかなければいかぬと思うので、海外経済協力等で輸出入銀行の資金が食われるということで本来の貿易金融機関としての機能に欠くるところがあってはいけないと思いますが、従来、どうもその間の事務の分野、分界が明瞭でなくて入り組んでおるようでございまして、仰せのような方向に今度分野をはっきりさせていくようにいま政府部内で努力中でございます。
  193. 中村重光

    ○中村(重)委員 直接借款のほうも基金にまとめるということについて、政府部内で異論がありますか。
  194. 大平正芳

    大平国務大臣 これは従来輸銀で相当のスタッフがおってこういう仕事もやっており、ある場合には基金も一緒にして輸銀に統合したらどうかというような議論もあったようでございまして、先ほど申しましたように、業務分野の分界がどうもはっきりしないということでございますが、本来これははっきりさすべきだということに対しまして、それはたいへんいけないことであるというような声は私はまだ聞いたことがないのでございます。行きがかりがいろいろあるようでございますから、あなたのおっしゃるような方向に漸次持っていかなければいかぬのじゃないかと思います。
  195. 中村重光

    ○中村(重)委員 これで終わりますが、いずれにいたしましても、通産大臣、この輸銀というのは本来コマーシャルベースですよ。基金ができる前はその援助資金をここで扱ったということもやむを得ないと思うのです。もう基金ができた以上は、名実ともに輸銀は援助資金を扱わない、コマーシャルベース一本でいく、こういうことにならなければいけないと思うのです。だから、この間ちょっと触れたと思いますけれども、中国に対するプラント輸出に対して輸銀資金を使うことについて、援助資金をここで扱っているから台湾からもいろいろ異論が出る。これは純然たる民間ベースだけをやるのだ、援助とはかかわり合いはないのだ、こういうことになってくると、そうした台湾側の反対なんというものが起こってくる余地はなくなってくる。そういう対外的な関係から考えてみましても、当然援助資金は基金で扱う、そうしてこの輸銀の果たす役割りも非常に大きくなってまいりましたから、これに対しましてももっと政府資金を投入していって、金利も下げられるだけは下げていくというようなこと、それなりにそれぞれに十二分に機能を発揮していくというやり方が必要であろうと私は思います。その点を強く要望いたしておきます。私も勉強しましてまたお尋ねをしたい、こう思います。  きょうはこれで終わります。
  196. 大久保武雄

    ○大久保委員長 堀昌雄君。
  197. 堀昌雄

    ○堀委員 だいぶ時間が迫っておりますから、少し簡単にやりたいと思います。開銀総裁、入っておりますか。——きょうは情報産業の問題だけにしぼってひとつお伺いをいたしたいと思います。  実は私もまだ少し勉強を始めたところでありますから、必ずしもすべてについて精細な分析を行なっているわけではありませんけれども、これから通産省のほうでは各種の予算要求をなさるでありましょうし、情報産業に対する予算要求の問題点について、私は非常に問題のむずかしい点が二、三気になっておりますので、ちょっと伺いたいと思います。  最初の問題は、通産省としては日本電子計算機株式会社、JECCに対して来年はどのくらいの開銀融資を期待しておられるのか、ちょっと最初にお考えをお答えいただきたいと思います。
  198. 吉光久

    ○吉光説明員 お答え申し上げます。JECCに対します来年度の開銀資金の要請でございますけれども、二百億を財投上の要求として計上いたしております。なお、その他ソフトウエア開発の問題と関連いたしまして、これは開発銀行ではございませんけれども、別に資金源といたしまして七十億円を要求いたしておるところでございます。
  199. 堀昌雄

    ○堀委員 最初にちょっとJECCにだけ限って議論をしておきたいのでありますが、実は最近JECCは資金ショートしておるといいますか、収入支出のバランスがくずれまして、昭和四十三年で大体二百八十九億ですか、資金不足になっておるようですが、この資金不足の問題というのは、構造的に考えてみますと、大体四十五カ月のレンタルになっておる。そうすると、最初の一年間では十二カ月分しか入りませんから、大体三分の一くらいが最初の年に入って、あとは後年度に約二年くらいに分割をされることになる。ところが、そのもとになるほうのレンタルというのは急激に今後増加をしていく、そうすると、増加分といまの残ってくる分というものの相乗積が当然資金ショートの形で出てくるのではないか。  そこで、最初にちょっと開銀総裁にお伺いをしたいのですが、これは確かに日本のコンピューター産業という問題は今後の重要な戦略産業一つであると思います。ですから当然皆さんもこれから大いに協力をされることだろうと思うのですが、長期的に少し予測を聞いてみると、一九七二年には総資金量四千三百九十億円くらいが必要だというふうに試算をされておるものもあるわけですね。いまが六九年ですから、ことし大体資金需要として要望されておるのが千百三十億円ですから、三年後には約四倍くらいになるのではないかと思うのです。そういうような急激に増加するものに対して、いまのような形ではこれは非常に問題があると思います。レンタルのシステムそのものの中に問題があると思うのですが、こういう形で出てくる資金需要に開銀はこたえ得るのかどうか、ちょっと最初に開銀総裁からお答えいただきたい。
  200. 石原周夫

    ○石原説明員 お答えを申し上げます。堀委員がお示しになりましたように、日本電子計算機株式会社に対しまする資金需要は最近急速に伸びておることはおっしゃるとおりであります。ただ、この伸び方を見ておりますると、四十一年、四十二年、あるいは四十三年を越しまして本年度に入りまして、最近までのところは前年度の比較で大体三割内外のようであります。ただ四十三年が八割をこす伸び率でございまして、このためにいま非常に大きな資金需要を生じておるわけでございます。今後どういうような資金需要の増加があるかということはなかなか判断をいたしにくいファクターが多いと思うのでございまするが、四十三年のような非常に高い率が続くということはもう可能性が少ないといたしますれば、今後において、これから先をどう見るかということに相なりまするが、三割というような一つの見当で考えますると、私どものほうの開発銀行融資というような形では問題はまかない切れないのではないかというふうに簡単に結論が出ますかどうか、そこら辺はもう少し今後の資金需要の見方も考えてまいりたいと思っております。
  201. 堀昌雄

    ○堀委員 私が伺っておるのは、仕組みとの関係を見ておいていただかなければならないわけですね。私がいまここに持っております試算で見ますと、大体ことしは九百億から九百二十億くらいの機械購入費になるだろう、来年、四十五年は千三百五十億くらい、ですから、これに対して約五〇%くらいの増と見ておるようです。その次の昭和四十六年が千九百億くらい、そうすると、この間が五百五十億くらいですか。ですからここは少しまた低くなっておりますが、その次に二千五百億、六百億くらいですから、伸び率としては率はそんなに大きくないですね。ただ、ここで問題になるのは、そのショートをした資金が次々と重なってくるということですね。ですから、それが毎年きちんと支払われていきさえすればこんなに急激な資金需要にはならないと思うのですが、結局問題は、これからそこを十分にまかない切れるのかどうかという問題が一つあると思うのです。  これは通産大臣にお伺いしたいのですが、このレンタルといういまやっておるのは、IBMがレンタルをやっておるからいたしかたなく日本もレンタルをやっておるんですね。大体そういうことだと思います。ところがIBMがレンタルをやっておる仕組みと日本のレンタルとでは私は非常に問題の性格が違うんじゃないかと思うのです。IBMは自己資金でもってレンタルをやって——レンタルというのは、ある期間を過ぎれば純益になるわけですね。四十五カ月過ぎちゃえば純益がどんどん立ってくる。純益が立つ、あるいはそれがバックしてきたものは、また世界じゅうの広い市場に持っていってそこでやるということですから、非常にロスの少ないレンタルということが行なわれているのだろうと思うのです。これは企業が大きければ大きいほどこのレンタルというのは非常に効率があがってくるけれども日本のような場合にはまことにどうも資金需要のほうが非常に急激になって、企業側としては私はたいへん好都合なものだ、こう思うのですが、これから重要な戦略産業でもあるしするから育てていかなければならないけれども、このいまの形だけで、要するに開銀の融資をもとにした協調融資だけでこの問題が解決するのかどうかという点を、少し将来を見通して検討しておく必要はないかというのがいまの私の心配なんです。通産大臣、どうでしょうか、この点についてはあなたのお考えをひとつ聞きたいのですが。
  202. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのように、問題は金融力にかかるわけでありまして、ひとり電子計算機ばかりでなく、これから資本の自由化に関連して仰せのような巨大な自己金融力を持ったものとの販売競争場裏にさらされるわけで、私どもとしては、全体の問題として一つの公正な取引秩序というふうなものをつくり上げて、外資もそれに従うマナーでおつき合いをいただかなければならぬというように考えておりますが、いま御指摘のIBMの問題は、これは戦前からある機関でございまして、たいへん取り扱いにくい課題で、場当たり式にいま開銀を主力にしてお願いしておるわけでございますが、仰せのようにだんだんとこれがかさばってまいりますと、全体の資金の配分から申しましても、そんなに無理なことも言えない段階が来るのではないかということを憂慮いたしております。とっさにどうすればいいかという知恵もわかないわけでございますけれども、何らかの対案をくふうしなければならない時期が来ておるという感じが率直にいたします。
  203. 堀昌雄

    ○堀委員 これは早急に今後の日本電子計算機株式会社に対する運営上の問題を考えていただかなければ、これは先へいって、非常に広がってからどうにもならないというと、ちょうどフランスのブルGEのように、結果として非常にまずいことが起きるので、せっかくいま努力しても困ると思いますので、その点、ひとつ今後十分検討を進めてもらっておきたいと思うのです。  その中で私ちょっと気がつきますのは、今度皆さんのほうでは情報処理振興事業団というのを新たにつくられて、ここに補助もつける、出資もする、融資もする、たいへん努力されるようであります。この前ちょっと話を伺ったところでは、ここではソフトウエアの汎用プログラムをつくりたい、こういうことのようでありますが、私はずっと諸外国の状態を見ておりまして、諸外国といえばイギリス、フランス、ドイツでありますけれども、フランスはいまお話を申し上げましたようにブルがやられて、残っておるのはCIIですね。フランスはCIIだけが残っておる、それから西ドイツはジーメンスだけが残っておる、それからイギリスはICLだけが残っておる。あと小さいのがありますけれども、これは非常にネグリジブルなものが残っておる程度で、主力は一社ずつになっております。IBMなりその他が来るときに、これは非常に強大ですから、ソフトウエアの問題についてはシンプルに来る。日本の場合はいま六社あるわけですが、六社がソフトウエアを開発していこうとすれば、六倍のエネルギーをどうしてもロスをしなければならないのではないか。イギリスの場合には、いろいろな合併をやってICLが一つになっておる。フランスはCII一つ、ドイツもジーメンス一つ。こうなってきますと、これはほかの産業と違ってハードウエアとソフトウエアというものがある程度密着しなければならないという性格からくると、一つと六つの競争というのは、これまで私がここでよく競争原理ということで、富士、八幡合併問題のように大きければいいということにならないぞという論理と、ちょっとこれは問題の性格上違いがあるのではないか。ですから、これからソフトウエアを開発する日本情報処理振興事業団を出して、汎用プログラムはいいかもしれませんが、汎用プログラムが使える範囲と、そうではなくて個別でなければならないプログラムの関係との間に相当私は経済効率のロスが起きるのではないかという感じがするわけですけれども、これはいますぐどうしろというのではありませんよ。長期的な方向として、どこかでいまのコンピューターの問題も自由化をしなければならぬときが来ると思いますね。その自由化をすることを目標に置いてやはりいまからこれは少し考えていかないと、自動車の問題と同じように、これは将来的に非常に重要な問題が起こってくるのではないか、こういう気がするものですから、ちょっとこの点を最初にお聞きしておきたいと思うのです。
  204. 吉光久

    ○吉光説明員 仰せのごとく、日本にはハードウエアのメーカーが六社あるわけでございまして、この点、ヨーロッパ諸国の現況とはいささか違っておる状況を呈しておるわけでございます。ただ、電子工業から得ました技術の利用分野というものが非常に広うございますので、したがいまして、いま直ちにハードウエア会社を何らかの形で集約化するというふうな、そういうふうなことをやるのがいいのか、あるいは、やはりいましばらく競争原理で競争してもらって、ハードウエアにおきますところの得意の分野をそれぞれ確立していただく、こういう方向がいいのかというふうな問題につきまして、私ども業界をまじえまして、常時議論いたしておるところでございます。  いまお答え申し上げましたのは、実はハードウエアの段階の問題でございますけれども、ソフトウエアの問題になりますと、実はいまのハードウエアメーカー六社のほうは、日本ソフトウエアという会社がありまして、ここでソフトウエアの共同開発を現に実施いたしておるわけでございます。さらにソフトウエア開発だけを専門でやっている会社もございますけれども、電算機メーカーのソフトウエアの開発をいま軸になってやって、おりますのは日本ソフトウェア会社でございます。もちろん各社それぞれで開発しているものもあるわけでございますけれども、将来のソフトウエアの軸になるべきものは、日本ソフトウエア会社で一括して開発しておるというのが現状でありまして、さらに、この日本ソフトウエア会社、これは実は国でやっております大型プロジェクトを中心としたソフトウエア、将来の電算機に関連するようなソフトウエアの共同開発ということが主力になっておるわけでございますけれども、その他の面におきましても、現在相提携しながらそういう開発をいたしておる状況でございまして、この姿勢は依然として続けてまいる必要があるのではないだろうかと考えておるわけでございます。
  205. 堀昌雄

    ○堀委員 だいぶ先のことですから、きょうはこの問題提起だけにとどめておきます。  それでは開銀の総裁、あまりなんですからこの問題だけでお帰りいただこうと思うのですが、開銀はいま通産省から来年度二百億要求をされておるわけですが、実は来年二百億で、一体いまの資金ショートの来年度の関係を処理できるのかどうかという点に実はちょっと疑問があるわけです。  大体、いま来年度を見通しての話では、メーカーの引き渡しが大体千三百五十億くらいになるのではないか、ことしの資金ショートが二百八十九億になっておるわけですから、その二百八十九億と、それから来年度にJECCに入ってくる収入が大体八百七十億くらいでありますかね、その差額が九百九十億と、こうありまして、そういう関係から、来年度は実際は九百九十億金があれば、JECCとしては繰り越しの赤字が出てこない、こういうことになるのだと思うのですが、いまの二百億がかりに融資をされたとして、協調融資であとの七百九十億ものものが四十五年度に融資できるでしょうか。開銀のあなたのほうからのいまのJECCに対する融資の見通しでありますが、ちょっとそれをひとつ、二百億はおたくで可能なのかどうなのか。同時に、これは財政資金の関係でありますから、開銀だけでは返事をするわけにいかない点もあるかと思いますが、あわせて、それが二百億出たとしたときに、協調融資で出てくるのは一体どれくらいなのか、ちょっとそこらの感触を承っておきたいと思います。
  206. 石原周夫

    ○石原説明員 私からお答えいたしますのが適当かどうか存じませんが、また通産省からのお答えがあるかと思いますが、二百億という数字は、先ほど通産省からお話がございましたように、ほかに七十億というソフトウエアの関係のものを見ておられるわけであります。したがいまして、それを含めてどういうことになるかという金額でお考えをいただきたいと思うのでありますが、来年度の金額がどの程度になるかということはなかなか判断のむずかしい問題であると思います。ただ、いま堀先生のおっしゃいました数字よりはもう少し内輪な数字になるのではないかという感じを持っておりますが、これはもう少し本年度の進行を見ないと通産省でも御判断がつかないかと思います。私どもでもまだ判断がつきかねております。  私どものほうの融資と市中金融機関、いわゆる協調融資との関係でございますが、大体従来の実績から見ますと、私どもが一に対しまして協調融資が二という割合に相なっておるようであります。したがいまして、金額がふえるわけでありますが、もしその割合をかりに踏襲をいたしますと、堀先生の御指摘の数字とはちょっと違いますけれども、まあ大体合うというような数字に相なるかというふうに考えるわけであります。
  207. 堀昌雄

    ○堀委員 これは大臣、だんだんこうずらしていくと、先へいくほど雪だるまみたいになるわけですね。私は、どこかである程度JECCのいまの繰り越し赤字の整理をできるだけして少なくしていかないと、先へいくほどだんだん雪だるまみたいになってきたのではたいへんだと思うのですね。ただ、考えようによっては、JECCの赤字は六社が持つのだから、てめえのところの機械を売ったのだから少しは延べ払いをしたらいいじゃないかという話にはなるかもしれませんけれども、これがあまりふえてくると、今度は六社側が非常に大きな負担になって、需要家の負担をほとんどメーカーが負うというのも、これもまた筋道としておかしな話なんで、大体私はこれをずっとすなおに見ておりながらも、何か需要者が一番都合がよくて、あとはどうも金融機関と、それからメーカーとが全部かぶるんだという形も、何か筋道としてはちょっとふに落ちない感じがするのですが、ここらに何か少し検討の余地もあるのではないか。少しユーザーも考えたらいいのではないか。非常におもしろい計算が出てきたのですけれども政府関係のところも実はレンタルで借りているらしい。これは政府が全部買い取ってくれたらことしの分は七十億くらい実際に入るのだけれども、これがやはりレンタルになっているというような話で、開銀から九十億もらっても、実際に国が使っているのが七十億くらいあるので、差し引きあまり融資をしてもらっていることになっていないのではないかというような話も実はあることから見ても、メーカーのほうはなかなかそろばんがこまかいなあと思うのですけれども、そろばんの問題は別としても、何か考え方としては、さっき私が申し上げたように、仕組みの上でくふうをしておかないと、これはどうも先へいって収拾がつかなくなるという感じがします。さっきの開銀のお話しのように七十億、これは情報処理振興事業団に対する財投の分ですか、そうじゃなしに、まだ七十億あるのですか、ちょっとそれも局長のほうから……。
  208. 吉光久

    ○吉光説明員 七十億と申しますのは、情報処理振興事業団がソフトウエアの開発分としてJECCで扱います電子計算機——JECCがレンタルとして貸与いたします電算機の分のソフトウエア分と申しますか、それに対する融資源として七十億準備をいたす、こういうようなつもりでいるわけでございます。
  209. 堀昌雄

    ○堀委員 それはやはり開銀からということに当然なるわけですね。
  210. 吉光久

    ○吉光説明員 これは事業団をいま希望いたしておるわけでございますけれども、事業団のほうに例の融資を得まして、事業団からJECCのほうに融資をする、こういうルートでございます。
  211. 堀昌雄

    ○堀委員 わかりました。この問題はおきまして、もう一つだけ。  実は、今度システム技術開発センターというのを皆さんのほうではおつくりになるということになっているようでございます。そこで、これを私どもずっと見でいてそう思うのでありますが、日本のシステム技術の開発の問題には非常にむずかしい点があると思う。それはアメリカの場合には、たとえばNASAのためのシステム技術を開発する、あるいは国防省の国防的な諸作業のためのシステム技術を開発する。目的が非常にはっきりしてシステム技術が開発される。これが筋道としては私は非常にいいと思うのですが、日本の場合には、何となくシステム技術を開発するといっても、一体何に使うのかという目的がないと、プロジェクトなしに、研究用というか、学問用か何かにやったのでは本物として使えるものになりにくいのではないか。やはりこういうものを考えるときには、そういう必要があって、初めてそこにそういう需要というとおかしいですけれども、開発の必要が出てくる、こういうことになるのが私は筋道じゃないかという感じがするのですが、ずっと一連のいまの通産省がおやりになっていることを見ながら感じるのは、ややどうも少し役所仕事のような感じがしてならないんですね。もう少しこれが生きた効用を持つように何とかやはり根本的に考えてみる必要があるのじゃないだろうか。あわせて、いま超大型の例の三六〇シリーズ八五号モデルくらいのものを開発をされつつあるということですけれども、片や電電公社もそういう開発をやっておる。両方どういうふうなことになるのかわかりませんけれども、やはりそういう大型のものを開発するということになるならば、それをただ研究用とか学問用では困るわけですから、実用が主たるものにならなければならないのじゃないかというふうに考えますと、そこらに、役所仕事というのはとかく効率が低いと私は思うのですが、何とかひとつ効率を高めてもらって、片方の電電公社がやるものも通産省の開発するものも、形式が違ったためにまたソフトウエアをおのおのが別なものをつくらなければならぬということになったのでは何にもならないと思うんですね。非常な巨額な国費を投じてやることになるのですから、そこに常に統一的な規格といいますか、やはりソフトウエアとの関係が常にあるわけですから、ただハードウエアをどんどん開発したらいいんだということにはならないと私は思うのです、この場合には。そこらのところについて、そういう統一的な配慮はされておるのかどうか。これは各省いろいろこういうことが行なわれていて、どうも聞いておるところによると、各省、国であってすらハードウエアがまちまちなものが入ってきておるということらしいけれども、やはりここらはある程度統一をして処理ができるような効率化をはかる必要があるのじゃないか。これからの問題ですから、きょうは時間がありませんから少し問題提起だけしておきたいと思うのですが、こういう問題について、もう技術的な答弁はけっこうですけれども通産大臣方向として政治的にどういうふうにお考えになるか、あとはまた時間を追ってこまかい議論をさしていただきますが、きょうは時間がありませんから、通産大臣としての政治的判断といいますか、そういう問題だけをちょっと伺って、きょうのところはこれで終わりたいと思います。
  212. 大平正芳

    大平国務大臣 情報産業の問題は、実は極端に言って全部がしろうとと言っていいと思うのです。そこで、いろいろ政府が、民間を含めてどのような取り組み方をするかということについてあらかじめ一つのフレームを持っていきたいという意欲がないではないわけですが、私の感覚というお尋ねでございますならば、みんながしろうとで、そういう大きな構想を抜き差しならぬものにするのはまだ早過ぎるのじゃないか。あなたが御心配になるように、いろいろなところでいろいろ不都合が起こってくる面もなきにしもあらずと思いますけれども、いましばらくみんなでいろいろなことをやってみて、その過程でもっとワイズな判断をしてみるのがいいのじゃないかということが一点でございます。  それからシステムの問題、私自身もシステムということはなかなか理解できないのでございますけれども、これは国内におきまして、このシステム開発の問題についていろいろ御意見がいま開陳されましたが、同時に、国際的にもこの問題はようやく問題になりかけて、システムアナリシスについて国際的ないろいろな話し合いが始まろうという機運にもなってきておるようでありまして、内外いろいろ見渡しながら漸次賢明な道を模索していくようにしなければならぬのじゃないかと考えております。  それから、いま電電公社と私どものやっておる大型プロジェクトの関係でございますけれども、これは御承知のように段階が少し違いますので、私どものほうでやっておるのは超高性能の電子計算機のプロトタイプを試作するということ、その成果を実用化するためには、メーカーなどとさらに商品化のための努力が必要でございます。電電公社の計画は、このような実用化の段階において、その一環として大型のプロジェクトの成果を利用して、オンライン用の電子計算機の製作を進めるものでございますから、必ずしも重複はしていないというように承知いたしております。
  213. 堀昌雄

    ○堀委員 考え方としてはいますぐフレームをつくることがいいかどうか別でありますけれども、少なくとも政府関係内部だけは何らかの統一的な処理をすることは私は必要じゃないかと思うのです。科学技術庁はこっちでやる、通産省はこっちでやる、電電公社はこっちでやる。いろいろやることはいいのですけれども、やった成果が集中的に利用ができて、ソフトウエア一つとりましても、要するにそれがどれでもが使えるようにしていかないと、各会社別でいろいろハードウエアが変わってくれば、またソフトウエアを変えなければならぬという問題が出てくるわけでありますから、私は、特にこれからの問題であるだけに、いまのうちならまだいろいろと調整ができる、先へいけばいくほどにっちもさっちもいかなくて、政府部内でいろいろロスの大きな仕事になってくるというのでは、私は、限られた今後のソフトウエアに対する人材を効率よく使うわけにいかないのじゃないか、結局それは競争に負けることになるのではないかと思います。役所はとかく効率よりも予算をとればあとは何とかなるというような考え方が多いわけですけれども、そうではなくて、やはり役所自身が民間に負けないような効率的な使用をするというかまえで今後の方向をきめてもらうということでないと、ただ電々公社に向かって通信回線の開放開放ということを言っておるだけでは本質的なものを見失うのではないか、こういう感じがしておりますので、通産省として、もう一ぺんそういう面を含めてすみやかに検討を進めてもらいたい。きょうは主として問題提起だけにとどめて、今後ひとつ時間をかしてもらってゆっくりやることにして、これで終わります。
  214. 大久保武雄

    ○大久保委員長 次回は、明九日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十八分散会