○石川
委員 これはもう見通しの問題ですから、そちらは専門なんで、ある
程度自信をもって
答弁されておるのだろうと思うのですけれ
ども、私
たちの常識的な
判断としては、オランダと同じような外国
特許の申請率にはなり得ないであろう。オランダに対してはそれほど資本の自由化を迫り、そして上陸をしようというかまえはないわけなんで、日本の場合にはもうウの目タカの目でとにかく上陸をしたがっているわけです。そういう
関係から言いまして、私は
特許の申請率はオランダ並みに低くなるとは考えられない。どうしてもこの
請求率は相当高いものだ、こう私は推測をしておるのです。これが高いということになれば、この八五%の
請求率なんてがらっと変わってきちゃうわけですね。そういう点での見通しに誤りがなかったかどうかという点についてわれわれはまだ非常に釈然と納得ができない。こういう点をまず申し上げておきたいと思うのです。
それから、いろいろ話せばたくさんあるのでありますけれ
ども、
一つだけ聞いておきたいのでありますけれ
ども、この新しい
制度になって「
制度改正に伴う
審査負担について」ということで
特許庁のほうから出ております。これは全文について申し上げるとたいへん時間がかかりますので申し上げませんけれ
ども、しかし最初の分を見ただけで、こういう数字は一体どこから出たのだろうかという疑問が残らないわけにはまいらない。
一つ申し上げます。この「先後願の
審査(1)旧法分」というものが
一つありますが、これは全体として結局一・八%の増である、こういうことになっております。全体を八%にして、その八%におさめなければどうしてもつじつまが合わなくなるというようなことで逆算をしたのかもしれませんけれ
ども、ここに一・八%という数字が出てくる。ところが、そのほかに、この中にはサーチ分しか出てないですね。サーチ分しか出てないのですよ。そのほかに
公開公報というのが毎月三万以上も配付をされる。それを読まなければならぬ。読んで理解をする。理解をするということになると、これは全体の四割もかかるのです。明細書の
内容理解というものに四〇%かかる。しかし、四〇%でなくて、一応目を通して理解をするだけでありますから、いままでのような
内容理解とは若干形が変ってくることはわかります。そこで、この
公開公報を読んで、ある
程度理解をする、それから
公開公報を整理する、そのための資料整備の負担というものもこれにはほとんど入っておらない。これはどういうかっこうか、この計算をしてみますというと、一人当たりのノルマを二百五十件にした場合に、一人で大体月五十七件。五十七件が四時間かかると見るとあるいは見過ぎになるので、半分の二時間と見る。二時間と見ただけで大体現在の負担の五割に相当するという数字が出てくる。五〇%です。非常に単純な計算で、全部正しいとは私申し上げませんよ。しかしながら一・八%とは何とかけ離れた数字であるかということだけは指摘したいのです。それから別な方法でやってまいりますというと、
公開公報を読むためには、二〇%と仮定をして一月でもって大体五十七件でありますから、その二割、そうすると二時間と仮定した場合一年間百四十四件という数字になる。一年間百四十四件ということになれば、一年間に扱うのは大体三百件くらいでありますから、大ざっぱにいっても、ここからも五〇%という数字が出てくる。そのほかに資料整備に要する負担というものも、われわれのほうで計算すると二〇%から二五%という数字が出てくる。そういうことで、
早期公開制度では資料を出し、それを読ませ整理させる、そういうことの負担がわずか一・八%とは一体どういうことなのか。これはまことにつくられた数字である。八%ということで押えなければ、
早期公開制度をやり、そうして
早期公開制度によって負担が八%ふえても、
審査請求率——それ
自体問題ですよ。さっきいろいろ私が申し上げましたように、外国の
特許の
審査請求率の見方なんというのはあなたと私のほうではたいへん見解の相違がある。それをさておいても、八五%であると一応仮定しても、そこまでしなければ八%の差で
滞貨分が埋まってこないわけですから、そういう数字を八%と押えて逆算をすると、この先後願の
審査、旧法分というのは大体一・八%という数字が出るけれ
ども、われわれのほうでいうと、将来にわたってずっとそうだとは言いませんけれ
ども、当面少なくとも五割くらいの負担にはなる。非常な負担になる。これは一・八%と計算をし、八%の中にそれをずっと埋め合わせをして逆算をして出した数字のとおりにこの
改正法を実施した場合になるかというと、絶対にならない。これはたいへんな負担と混乱が起こる。私は当初申し上げたように、労働組合が労働強化になるから
反対をするということで
反対をするのではなくて、
特許の
滞貨をいかに
処理するかということでこれをやった場合に、逆効果と混乱があるだけではないか。こういう点で私はこの
特許法の
改正法というものにはどうしても納得しにくいのです。決してわれわれは、
反対をせんがために
反対しようという気持ちは毛頭ないことは御理解願えると思うのでありますが、そういう点で計算のしかたがだいぶ違うようであります。一・八%というのは、これは
大臣ちょっとお考えになって、こんな
程度で済むとお考えになりますか。
早期公開によって、資料を読んで、とにかく一応理解をしなければならない。前のを一々整理する必要はない、そのまま出していくようなかっこうにはなるでしょうけれ
ども、こういうことをどんどん、月に何件になりますか知りませんが、一人当たり五十七件も与えていって、それがわずか一・八%とか——あるいは
審査前置の問題についても私言いたいことがたくさんあるのです。あるのですけれ
ども、そういったことで、この数字に出てくるような八%から逆算をして一・八%とか、あるいは
審査前置が幾らになりますか、一・八%ですか、それもそういったふうなことで、新しい
制度になってもほんのちょっぴりふえるのだという計算になっているのです。ところが、ほんのちょっぴりどころか、常識的に考えても五、六万からの
滞貨処理をしなければ、めくらめっぽうに出すわけにいかない、分類をする、一応
内容を理解する、こういう作業がどうしても必要なんです。ただ機械的にずっと流すわけではないわけです。それで、こういうふうなものを一ぺんに預けて、そうして
内容を一応読ませて、分類をさせて——分類の誤りも四割五分くらいいままであったそうですけれ
ども、いつも
審査担当官が間違いを切りかえていくというふうなことをやっておったようでありますけれ
ども、そういった混乱、それを含めて八%から逆算をした数字のとおりに行くとはどうしても考えられない。そういう点でたいへんな混乱があると
大臣お考えになりませんか。