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1969-07-01 第61回国会 衆議院 商工委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月一日(火曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 大久保武雄君    理事 宇野 宗佑君 理事 浦野 幸男君   理事 小宮山重四郎君 理事 藤井 勝志君    理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君    理事 堀  昌雄君 理事 玉置 一徳君       内田 常雄君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    大橋 武夫君       海部 俊樹君    神田  博君       鴨田 宗一君    黒金 泰美君       小峯 柳多君    島村 一郎君       田中 榮一君    丹羽 久章君       橋口  隆君    福永 健司君       増岡 博之君    石川 次夫君       岡田 利春君    加藤 清二君       佐野  進君    中谷 鉄也君       古川 喜一君    武藤 山治君       塚本 三郎君    近江巳記夫君       岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  大平 正芳君  出席政府委員         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         大蔵省主計局次         長       海堀 洋平君         通商産業大臣官         房長      両角 良彦君         通商産業省重工         業局長     吉光  久君         通商産業省繊維         雑貨局長    高橋 淑郎君         特許庁長官   荒玉 義人君  委員外出席者         特許庁総務部総         務課長     星埜 一彦君         専  門  員 椎野 幸雄君     ————————————— 七月一日  委員栗林三郎辞任につき、その補欠として中  谷鉄也君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中谷鉄也辞任につき、その補欠として栗  林三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月二十五日  中小企業等協同組合法の一部改正に関する請願  (木部佳昭紹介)(第九四七九号)  電気工事業業務適正化に関する法律案反対  に関する請願外九件(折小野良一紹介)(第  九五一七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  特許法等の一部を改正する法律案内閣提出第  七四号)      ————◇—————
  2. 大久保武雄

    大久保委員長 これより会議を開きます。  特許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。武藤山治君。
  3. 武藤山治

    武藤(山)委員 特許法改正案をめぐって、参考人意見を聞いたり、公聴会を開いたり、その大方の発言を聞いていますと、全く好ましいという積極的な、これを支持するという意見は、私の判断では少数であります。そこで、こういう議論があり、しかも非常に見通しの明るくない法律案をどうしても制定しなければならないのかどうか、私は一国会議員としてたいへん疑問を持つのであります。  そこで、与党の諸君は、この法案をめぐって自由民主党は、どういうことがあっても、これはしゃにむに通過をさせなければならぬという考えなのか。それとも委員長の良識をもって、これは庁舎の問題、事務能率の上がるような体制人員確保予算編成をめぐる諸問題、これらの問題を適切に処理できるという体制が急務であって、それらに当面取り組んで、法改正はもっと慎重にすべきであるという、そういう見解にならないものかどうか。私は、参考人公聴会意見を終始熱心にお聞き取りいただいた自由民主党から選出されておる委員長に、この参考人意見公聴会意見を聞いた率直なあなたの見解をひとつ冒頭にお述べをいただきたいと思うのであります。
  4. 大久保武雄

    大久保委員長 ただいまの武藤委員からの御発言は、十分委員会において御審議を尽くされた上で終結に導きたい、結論を得たい、かように考えております。
  5. 武藤山治

    武藤(山)委員 結論に導きたいという道筋はわかるのでありますが、あなたたちは、女を男にし、男を女にする以外、ほとんどのことは多数決でできる力を持っているのです。その力を持っている与党議員が、この参考人公聴会意見をすなおに率直に聞いた感想は、このままこれをそう急いで、どうしてもこの国会で通さなければならぬとお感じになっておるのか。それとも、これはもっと慎重に、もっと実務家も入れ、あるいは弁理士会代表者意見も十分に入れ、さらに大蔵省行管をも含めた高度な立場で、これは諮問案を出して、答申を受け、しかる後に実施をすべきだという慎重な配慮をすべきではなかろうかと私は思うのでありますが、そういう配慮をすべきだという感じは、全く委員長お持ちにならぬのか。与党議員理事諸公と打ち合わせをして、野党の理事とも、それらを継続審査の方向でひとつ取り上げて検討していきたい、そういうような姿勢というものは全くお持ちにならないか。それとも幾らかそういう気持ちがあるのだが、なかなかむずかしいんだという感触なんですか、一体委員長どうですか。
  6. 大久保武雄

    大久保委員長 武藤君にお答えいたしますが、本委員会は、五月六日から、本国会に提出されておる重要法案にまさるとも劣らない慎重なる審議を重ねております。この審議の過程において、適正なる結論が生まれるものと期待しておる次第であります。
  7. 武藤山治

    武藤(山)委員 適切な結論が出るように、与党理事諸公に十分私は慎重な配慮期待をして、日本の発明家気持ち産業技術の発展という見地から、ひとつ大きな政治家としての立場から十分これを煮詰めて、取り扱いについても検討願いたいということを冒頭期待をいたしておきたいと思います。  これ以上委員長にお尋ねするのは、少々失礼かと思いますから、委員長への質問はこれで終わりますが、そこで特許庁長官、あなたは、たいへん長々といろいろな角度から答弁をされてまいりましたが、どうも私ども聞いておって説得力がない。この法案が出るに至った経緯と出た結果というものは、かく好ましいものだという、われわれがなるほどと感ずるものがない、あなたの答弁を聞いておりまして。  そこで私は、きょうは過去において何がそうさせたか、だれがそうさせたかといういままでの経過について少しく質問をいたし、そういう過去の問題を突き詰めて検討してみないと、適切な処方せんは出てこないと思いますので、少々過去を振り返る質問になりますが、それらの問題について答えていただきたいと思うのであります。  滞貨ができた、積み増しができたできたといいますが、なぜそんなに滞貨ができたかという原因、これはいろいろあると思いますが、特許庁長官、率直に言って、なぜこんなに審査がおくれるようになったか、あなたの認識を、具体的に一、二、三と順序を追って解明した結果を発表願いたいと思います。
  8. 荒玉義人

    荒玉政府委員 滞貨原因——滞貨ということばはなんですが、未処理案件累増原因は、一言にで言えば、出願件数処理能力アンバランスでございます。  それで過去十年間大体そういう傾向になっておりまして、御承知のように特許実用新案出願件数に対しまして、これは年度でやや違いますが、大体大数的に申しますと、六割六、七分、七割程度処理に終わっているわけでございます。なぜそうなったかといいますと、もちろん審査といいますのは、御承知のように将来に向かっては機械化が大いに進むものと私も信じておりますが、少なくとも過去なりここ当分の間は、やはり審査官審査するといういわば機械化以前の問題、これは仕事の性質がそうなっているからだと思いますが、そういたしますと、おくれる一つ原因は、まず第一に、所要人員確保が必ずしも十分でなかったという問題がございます。これは定員の問題と同時に、やはり実際に審査官にふさわしい資質の人間を必要なだけ充足できなかったという人間の面に一つの問題がございます。それから第二には、御承知のように出願量的増大、もちろん先ほど言いましたように、量的増大も、所要審査官がたっぷり充足できれば、あるいはその問題も解決するかと思いますが、やはり出願の量的な増大、これは御承知のように、大体過去十年でほぼ倍になっております。それから質的な問題がございます。御承知のように出願は、一年一年中身がむずかしくなっております。大体ページ数からいいましても、出願されたものを見ましても、約十年で倍くらいのページ数になっております。ページ数が多くなれば、それだけ内容の理解が困難、と同時に、それぞれの権利が錯綜してまいっております。そういう意味では、やはり一件当たり処理というものは下がってまいります。あるいは御承知のように審査といいますのは、中身を読みまして、過去に似たものがあるかどうかといういわゆるリサーチ業務がございます。これも公報だけで約十年間で倍近くになっております。したがって、そういった意味の一人当たり処理は逐年下がってまいります。そういった、詰めて言えば、量質含めた出願処理能力とのアンバランスでございますが、先ほど言いましたように、もちろん、所要人員確保すればいいわけでございますが、これはたびたび本委員会で申し上げましたように、単なる定員増加、これも一つの問題でございますが、やはり必要な質を確保するというのがますますむずかしくなったという採用上の原因もあろうかと思います。  かいつまんで申しますと、やはり人間的な面、出願中身、あるいは処理の一人当たりの低下する客観的な状況、こういうのが、私、本日の未処理案件累増をもたらした原因かと考えております。
  9. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういう原因を生んだその最大原因は一体どこにあるのか、その責任は一体だれにあるのかということが私は非常な問題だと思うのであります。長官承知のように、人員確保するときには、前の年にすでに予算要求をやる。その予算要求をやるときに、出願件数はどのくらい出てくるかということは、すでに出願数見通しを立てて予算編成をやっている。ところが、その予算要求の際の出願予定件数と実際の結果というのはどういうぐあいになっているか。これは、長官、ひとつ参考のために昭和三十五年、六年、七年、八年、この辺の数字をちょっとあなたごらんになってください。あなたたちの、来年はこのくらい出願件数があるでしょうという予想と実際にあった出願の差というものはたいへんな数字なんですよ。まずそれを最初に長官から明らかにしてください。
  10. 荒玉義人

    荒玉政府委員 これは、実数で申し上げますと、本委員会で配付した資料にあると思いますが、三十六年度は、予算要求が十万七千七百六十七件、あとは概数で申し上げますが、査定が十万六千件でございます。三十七年は要求が十万六千に対して査定が十万六千、三十八年は十二万一千に対して十二万一千、これは同じ。それから三十九年は十八万六千に対して十七万六千、四十年度は十九万八千に対して査定は十九万八千、四十一年度はこれは全く同じでございまして、二十万五千に対して二十万五千、四十二年度は二十二万三千に対して二十二万三千、四十三年度は二十三万二千に対して二十二万三千、四十四年度は二十一万五千に対しまして二十一万一千、そう大きな査定との誤差は過去にはなかったわけでございます。
  11. 武藤山治

    武藤(山)委員 総務課長、何をあなた長官に教えているんですか。私の質問に答えておらぬじゃないですか。それは補佐がいかぬですよ。  私が言っているのは、そういう予算要求のときの見通し出願件数と実際の出願のあった件数との差があまりにもあり過ぎるじゃないか、だから、皆さん出願件数予想の立て方は全くでたらめだということを言っているわけでしょう。ぼくが言いましょうか。あなたたちの出した資料によると、昭和三十六年の場合、大蔵省への予算要求のときに、出願件数は十七万七千と見たんでしょう。ところが、実際に出願は十一万五千あったんでしょう。三十七年の場合はもっとひどい。十万六千件だと予想したのが、十五万二千件になったでしょう。三十八年は十二万一千件と予想を立てて人員要求したら、出願件数は十七万四千件になっちゃったでしょう。こういう狂いが出てくる責任はだれにあるのかと私は言っているわけなんです。これは一体大蔵省にあるのか、出願人にあるのか、特許庁見通しの誤りにあるのか、責任の所在はどこにあるのかと聞いている。だれにあるのですか。
  12. 荒玉義人

    荒玉政府委員 先ほど査定件数出願件数、もちろん年度によりまして査定件数より差がある年度もございますが、先ほど大体年度ごとに言いました予想より出願件数は上回っておりますが、それはわれわれ一応過去の年率ベースにいたしまして、予算要求なりあるいは査定があるかと思います。そういった意味で、できるだけわれわれとしては、詳細な過去の数値を中心にいたすわけでございますが、それ以上に出願が多くなっておるのが最近の現状でございます。もちろん、その意味では、われわれできるだけ出願件数がどうなるかというふうな検討は進めておるわけでございますが、ほかにもいろいろ計数その他で的確なものは残念ながらいまのところございませんので、一応過去の年率基準にして要求し、その結果査定になってくるということではないかと思っています。
  13. 武藤山治

    武藤(山)委員 それでは、これはこまかいことだから総務課長でないと答えられぬかな。三十七年と三十八年はそれぞれ、見通しが一年間に五万件も違うんですね。これは何か法律改正が行なわれそうだとか、特許法についての取り扱いが変わるそうだとか、そういう条件がからんだために一挙に出願がふえたと考えているのか、一体これはどういう現象ですか。三十七年、三十八年が五万件も予想と現実が違ったのはどういうわけだと考えていますか。
  14. 星埜一彦

    星埜説明員 お答え申し上げます。確かに先生の御指摘のとおり、三十七年につきましては、予算要求出願件数におきまして十万六千件でございましたけれども、実績におきまして十五万二千件と、約四万六千件の差があるわけでございます。三十七年度の下期から出願件数が激増してまいったわけでございまして、それまでの過去の年度におきましては、おおむね二千件ないし三千件程度出願件数増加ぶりでございましたので、三十七年の予算要求の当初におきましては、その当時におきまして過去の実績基準にするという予算要求のスタイルから申しまして、まあ十万六千件という件数基礎として要求したわけでございますが、実績は五万件オーバーしたわけでございます。  まあこの原因でございますが、私どもその後いろいろ検討しておりますが、当時におきまして開始されてまいりましたところの輸入自由化というような問題も影響しておると思いますし、また、技術開発の進展というような原因もあるかと思います。また、そのほかに、特に中小企業中心といたしますところの権利意識の高揚と申しますか、つまり自分の開発いたしました技術につきまして権利をできるだけとりまして、これを擁護したいというような原因もあるかと思われます。まあ定量的にその原因を突きとめることはできませんが、一応定性的に申しますならば、理由といたしましてはそのようなものであると思います。
  15. 武藤山治

    武藤(山)委員 いまここで議論しておるところは非常に重要なんですよ。これからの特許庁姿勢についても関連を持つわけなんです。というのは、三十七年ですね、四万六千件、約五万件予想が狂っておるのに、特許庁は、定員は一人も増員要求をしていないのですよ。定員ゼロ、要求ゼロ、そうでしょう。間違いありますか。ゼロであったかどうか答えてください。
  16. 星埜一彦

    星埜説明員 お答え申し上げます。ただいま申し上げましたように、三十六年以前につきましては、出願件数がほぼ横ばい、ないし二千ないし三千件程度増加ぶりでございましたので、予算要求の面におきまして、人員増加につきましてはこの出願件数というものが基礎となりますので、人員要求につきましてはゼロとなった次第でございます。
  17. 武藤山治

    武藤(山)委員 ここがさらに滞貨に拍車をかけておるのですね、この二年間だけで十万件ふえちゃっているわけですから。しかるに人員のほうは三十六年要求ゼロ、三十七年要求ゼロ、三十八年にわずか要求が三十名。問題は、こういう姿勢一体滞貨をつくらずに処理ができると思うかどうかというところです。長官、これはあなたのときじゃない、あなたの前前前の長官だからおれに責任がないと言えばそれっきりですが、こういう態度で、こういう姿勢一体滞貨がたまらないのがふしぎだ。たまるのが当然だと私は思うのだが、長官どうですか。
  18. 荒玉義人

    荒玉政府委員 過去のことは、いろいろあると思いますが、最近は御承知のように大幅な人員増ということでわれわれは考えております。もちろん三十七年のとき、先ほど総務課長から話がありましたですが、初年度だということで実績要求ゼロということだと思いますが、その後はずっと人員要求を今日まで続けてまいったわけでございまして、われわれといたしましては、たびたび申し上げますように、今後制度改正だけで問題は解決しない、やはり人員増加を並行してやりたい、かように思っております。
  19. 武藤山治

    武藤(山)委員 特許庁長官なり総務課長というのが実務状況を全く知らないで、それで年々歳入と歳出の範囲内でつじつまを合わせようとしてきたために、こういうばかげた予算編成なり人員確保しかできなかったというところに最大責任があるとぼくは思うのですよ。原因もここにあると思うのですよ。じゃ、そういうものを直ちに埋め合わそうとする努力のあとが見えたかというと、見えない。三十八年には三十名の要求で二十七名しか査定にならなかったですね。三十九年になって九十名を要求して六十五名。ところが二年間に十万件もばっと予想より余分に出ちゃったんですから、焼け石に水だ。なかなか追いつけなくなってきた。仕事処理するほうも、二年間に十万件もばっと上積みされれば、作業する精神的な、よし急いで早く解決していこう、処理していこうという仕事に対する励みも、こういう状態が生まれるとかなり心理的にマイナス面当たり能率低下になる。それは何か非常な負担感審査官自身にもおおいかぶせる。そういうものを解決するためには、今度は積極的に実定員の問題をきちっと確保してやるという姿勢特許庁になければだめですよ。そういう点で私は、まず法律改正よりも何よりもこういう問題から先に特許庁はきちっとした姿勢を示さなければいかぬと思うのですよ。かりに改正法案を出すにしても、そういう前向きの中身の、これから触れますけれども、四点くらいの問題をきちっとこれでいくのですというものを出さないで、法律だけ改正したって、こんなことは効果ないですよ。  長官にひとつお尋ねしますが、長官が答えられないときは総務課長答えてください。あなたのほうは、四十二年十二月二十二日付で審議会向けに四十五年度から四十九年度定員増を年々何名と予定をした資料を出しましたか。これが一つ。その次、四十二年六月二日付の「パテント」という雑誌、これに四十五年から四十九年度定員増を年々幾らと見込んでおりますか。さらに四十三年十二月から四十四年一月の大蔵省予算要求における四十五年から四十八年度までの定員増要求はどうなっておるか。さらに庁内で、実行ベース効果試算表をことしの二月二十四日付で四十五年から四十七年度定員増を発表しておるようだが、この数字はどうなっておるか。これをひとつ明らかにしてください。
  20. 星埜一彦

    星埜説明員 ただいまの先生の御質問四つ資料があるわけでありますが、前の二つは私ただいま手元に持ち合わせておりません。第三番目の予算要求時の人員要求資料でございますが、特許実用新案審査官につきましては、四十四年度、四十五年度、四十六年度と七十名審査官増員するという資料を提出しております。
  21. 武藤山治

    武藤(山)委員 七十名ということは、どういう根拠で七十名に一応なっておるのですか。
  22. 星埜一彦

    星埜説明員 お答え申し上げます。七十名増員基礎でございますが、出願件数におきまして、四十三年度以降は前年度の五%増という件数基礎といたしまして、審査請求率は、これは本委員会におきましていろいろ御質問があった点でございますが、特許実用新案滞貨分につきましては九五%という審査請求率でございますし、新法分につきましては特許八〇%、実用新案七〇%という計数を基礎としたわけでございます。そこで、四十八年度におきましておおむね一年七カ月という要処理期間という目標に達成すべく七十名という増員要求を出したわけでございます。
  23. 武藤山治

    武藤(山)委員 四十八年度で一年七カ月の要処理期間ということを目途として、五%ずつ増をされるという出願見通しで七十名の要求を出した、こうおっしゃるのですね。ところが、皆さんのほうからわれわれの手元に出されたこれからの定員見通しは一体どうなっておるのですか。大蔵省には七十名の要求、また七十名の増員をしていかなければ一年七カ月の要処理期間で済まないというのに、皆さんが出した今回の法律改正に基づいての定員増は、四十四年三十一名、四十五年三十一名、四十六年三十一名、全部三十一名じゃありませんか。七十名なければこの法律のねらいのような処理ができないのに、なぜ三十一名に計画書をつくってわれわれの手元に出したのか。その真意は何ですか。七十と三十一の違いは……。そんなことで一体処理が済むと思うのか。
  24. 星埜一彦

    星埜説明員 お答え申し上げます。七十名と三十一名の食い違いでございますが、これはただいま申し上げました出願件数におきまして、過去の実績基礎としたものでございますけれども、査定の結果、この五%と申しますのが四%というふうに査定された点もございますし、その他いろいろあると思いますが、その点が影響しておるものと思います。
  25. 武藤山治

    武藤(山)委員 特許庁長官、いまの答弁であなた、なるほどという説得力ありますか。私はいまの問題をはっきりさせるために前段いろいろこまかく三十七年度や八年度数字を出して、特許庁見通しがいかにでたらめであるかをまず明らかにした。でたらめであるということを認めた、食い違いがあるということを。それに対応する人員増というのはどうなっているかといったら、大蔵省への要求では七十名をずっとこれから要求していくということになっていた。それが今度われわれに出したあなたのほうの正式のこの資料によると、四十八年まで年々三十一名でよろしいということなんだ。同じ年につくったものだ、これ。七十名というのはことしの二月につくったものだ。まだ一年もたっていないんだ。にもかかわらず、この委員会審議になったら、七十名の増員要求が三十一名に減ったということは、あまりにも私は姿勢としておかしいと思うのですよ。ほんとう滞貨処理し、審査官がオーバーワークにならずに気持ちよく能率をあげられ、そして権利者にも、スピードアップして早く権利をあれされるというためには、特許庁はもっと大蔵省に対してあるいは行管に対して、当初つくった自信のある七十名という案をひっさげて要求すべきじゃありませんか。それでがんばったけれども、結果的に壁が厚くてだめだった、通産大臣の力が弱くてとれなかったというならそれでもいいですよ。なぜ、せっかく二月につくって発表したこういう七十名要求案を三十一名に引っ込める必要があるのか。その姿勢が、そもそもほんとうに真剣にこの滞貨の問題に取り組んでいる姿勢とくみ取ることができない。長官はいまの総務課長答弁を、なるほどそうかといって説得力あると感じましたか。私さっぱりわからぬ。いまの答弁で、三十一名になったその経過の説明はわからぬ。ひとつ長官見解を聞きたい。
  26. 荒玉義人

    荒玉政府委員 実は本委員会でたびたび問題になりました点の一番大事な点は、われわれ計画をつくる場合に、実際の審査官の実働の人間とそれからいわば予算であげられておる人間との誤差、これがいまの問題のポイントであろうと思います。といいますのは、三十一名というほうは、これは予算定員でございます。そして、最近委員会処理計画で議論をしておりますが、実際に審査の事務に従事しておる人間、したがいまして、おっしゃいましたようにそのどちらをとるかということで一つの実際のわれわれの考え方が、差があるわけでございます。何でそういう差があるかということでございますが、これは私からたびたび申し上げたと思いますが、表面上の人間と実際の人間誤差というものは百数十名ございますが、その処理件数を、その人間をどちらで見るかというところが一番大きな計画の差でございます。われわれといたしましては、実際の実員ということで、実際の計画中心に考えていきたい、かように考えます。
  27. 武藤山治

    武藤(山)委員 いまの長官答弁もさっぱり説得力がない。内容がわからない、何を言わんとしておるのか。あなたはいま実員と定員の違いがあるということを言わんとしておるんでしょう。それはこの次質問します、年度別にずっと実員どうなっておるかを。私がいま聞いておるのは、そうじゃないんだよ。あなたたちが五、六回にわたって審議会向けやあるいは庁内向けやあるいは「パテント」という雑誌に計画を出しておるわけだ、人員増の。それらに三十一名なんという定員増要求をするということは一つもないんだ。みんな五十名以上、七十名、五十名ですよ。それが今度は三十一名というがくんと半分以下に定員要求を減らすという計画だから、私はなぜ変わったのかと言っておる。なぜ七十名が三十一名に変わったか。その姿勢がおかしいじゃないか、これだけの滞貨をかかえて。滞貨がゼロになったんならいいんですよ。いままで七十名なければだめだったのが三十一名でいいというならわかる。滞貨が一ぱいあるんですよ。まだそれが処理できるまでの間は、もっと徹底的に大蔵省なり行管に対しては要求すべきなんだ。もし、要求するためには、実員がいま足りないのを何とかしない限り要求してもむだなんだというなら話はまた別だ。それはこの次だんだん質問する。私がいま言わんとしておるのは、七十名の計画が三十一名に減ったのはどういうわけだ。これについてなるほどと説得する力を持ってない。聞いていてわからない。これによると、五回も六回もこういう数字を発表しておきながら、最終的に三十一名になったでは特許庁なんか信用できない。長官の言っておる予算要求法案改正に付随した人員要求などは、全く場当たりの、見通しのない、科学性のない、合理性のない人員数字をわれわれに示して審議しろというにひとしい。こんな資料では審議できない。信憑性がない。何と考えるか。   〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕
  28. 荒玉義人

    荒玉政府委員 先ほど申し上げましたように、あるいは数字でそれぞれの両案を比較して御説明したほうがいいかと思いますが、一番大きな差は、先ほど言いましたように、予算の場合の定員ベースにいたしますと、どうしても一人当たり処理件数というものが、大体これは計画ベースをとるのか、あるいは実際の予算定員でございますと、あくまでこれは一人当たり処理件数ということが一つの目標ということになるかと思います。それで実際の人員をもってやりますと、これはあくまで実際の処理件数でございます。大体この前から御説明申し上げました処理件数は……(「三十一名に変わったのはどういうわけかと聞いておる」と呼ぶ者あり)両者の比較を数字でもって御説明させていただきたいと思います。
  29. 武藤山治

    武藤(山)委員 予算要求した資料はあるわけですから、すぐ取り寄せて、なぜ七十名でなければうまい処理ができないか、しかも大蔵省要求したときの資料では四十五年から四十六年までは七十名必要だと書いてあるわけですよね。その後四十七年から四十八年は六十名、四十九年になったら要求はいたしません、ゼロですと、こういう予算要求にくっつけた資料を出したわけでしょう。だから私はその根拠は何かということを聞いたわけです。そうしたら、さっき総務課長は、それは出願件数が五%ふえるので、公開をして審査件数が減るから、そういう見通し大蔵省要求したのですと、こう言うのだよ。ところが、今度法律改正審議する段階になったら、われわれの手元に出した計画では三十一名になっちゃったのです。だから、同じことしのできごとで、大蔵省要求したときには七十名は必要だとずっと言っておきながら、今度は三十一名になったのは一体どういうわけだ。そのときは法律改正をするということが前提になっているわけだ、法案を出すということは。同じ土台の上で数字が半分も違うのはおかしいじゃないかという質問をしているわけです。だから大蔵省要求したときの資料の内容をすぐにわれわれに配ってくださいよ。それを突き合わせしましょうよ、今度出したやつの根拠とを。そんな姿勢では滞貨処理できませんよ、法律を直したって。
  30. 浦野幸男

    ○浦野委員長代理 ちょっと武藤さんに申し上げますが、いま整理して調査しておりまするから、そのほかの質問をひとつお願いしたいと思います。
  31. 武藤山治

    武藤(山)委員 ほかといったって関連があるのだ、これが処理能力の基本になるのだから。   〔「委員長、休憩」と呼ぶ者あり〕   〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕
  32. 大久保武雄

    大久保委員長 このまま十五分休憩いたします。    午前十一時三十四分休憩      ————◇—————    午前十一時四十九分開議
  33. 大久保武雄

    大久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。荒玉長官
  34. 荒玉義人

    荒玉政府委員 御質問は、要求どき七十名が三十一名になったのはなぜかという理由でございますが、当初われわれが、新しい制度に伴って、長期的な展望のもとに要求いたしましたのは、今後三年間七十名ずつで、そのときは出願の予測が五%でございます。過去五カ年間の平均をとりまして五%の出願予測。それから大体四十八年度、一年七カ月処期理間、この算定基礎で、三年間七十名ずつ、それが三十一名ずつ五カ年間になっておるわけであります。七十名ずつ三年間に対しまして、査定は五カ年間三十一名ずつ。そうしてその理由は、一つは、これは、大蔵当局との協議の結果、査定出願の伸び率が三年間をとりまして四%、つまり出願の伸びが一%ダウン、これが第一。それから要求の一年七カ月という目標を一年十カ月、処理目標の三カ月の誤差、それと七十名三年、二百十名に対して、三十一名ずつ五カ年間にならして増員をする。したがいまして、そういった出願の伸び率、三年間を五カ年間にならす、あるいは処理目標の三カ月延長、それが違った原因と思います。
  35. 武藤山治

    武藤(山)委員 そんなに簡単に、出願の予測五%を四%に減らすことが可能であったり、それからいままで七回も去年までに発表した数字はみんな五十名以上ですね。五十名、七十名だ。それがそう簡単に、大蔵省査定の段階になったら、これからはもう三十一名なんだという形に特許庁は本気でイエスと言えるのですか。私は、これはあとからつけた説明の内容であって、結果はこういうことでなかったかと思うのですよ。大蔵省予算要求したところが、どうも七十名は通らない。そこでいろいろ折衝した結果、ことしの予算は三十一名増ということにきめられた。そこで、それを基礎にして、出願のほうの動きがどうなるであろうか、あるいは公開前に取り下げるのがどうであろうかなんという数字は説明用にあとからつけたものであって、やはり大蔵省査定の段階の三十一名を基礎にして、それ以後の年数をずっとならしてしまった、こういう安易な処理のしかたがこういう数字になってきたのじゃないかと私は思うのです。そうでなければ、特許庁だって、ことしの二月までは七回発表しておるのが全部七十名、五十名ですよ。三十名なんて一つもないのですよ。そうしなければ処理ができぬということを発表しておるのですから。それが急に三十一名になるということは、大蔵省ベース特許庁が屈服をした、こう思うのですね。大蔵省来ていますね。ひとつ主計局のほうでこの三十一名ということを決定するに至った当時のいきさつを大蔵省ベースで説明してください。
  36. 海堀洋平

    海堀政府委員 いま特許庁長官から御説明のあったとおりでございまして、要求のほうも四十八年度までの予想を立てまして、その時点におきます要処理期間といいますか、未処理件数をどの程度の期間で処理できる定員に持っていくかということで要求がございました。したがいまして、私のほうの査定も四十年度までを考えまして、そしてその時点におきます要処理件数をどの程度処理し得る人員にするかということで、やはり五カ年間を通して見たわけでございます。特許庁のまず前提は、四十八年度の末におきまして未処理で持っている件数を一年七カ月で処理できる点まで持っていきたいという点が一点でございます。その点は、これは四十三年度のときに四十八年度末の未処理件数をどの程度の期間で処理できるかという前提がございましたが、これは二年だったわけでございます。したがいまして、一年七カ月にまで持っていくのには、人員とかそういう点であまりに無理があるだろう。したがって二年というのは長いが、一年十カ月ぐらいを前提としていただきたいという点が一点でございます。  それから次に、今後の件数の毎年度の伸びの見込みでございますが、これは先ほど特許庁長官から御説明のありましたように、要求は過去五カ年の平均をとりまして五%ずつ伸びていくであろうという見込みで算定をいたしております。それに対しまして、最近の二カ年をとってみますと、最近やや出願件数の伸びが鈍化しておりまして、四%程度になっているのだから、最近の伸びで見ればいいではないかということで四%と見たわけでございます。  それから人員の増でございますが、これは採用等の関係もありまして、急速に三年間で七十名ふやすということは、要員の確保というふうな点でも無理があるのではなかろうか。したがって、五カ年間の計画だけが毎年度平均的にふやしていけばいいのではないかということで、三十一名ずつ五年間というふうにしたわけでございます。したがって、絶対数におきましては二百十名に対して百五十五名ということになったわけでございます。したがって、単に今年度だけただ人員査定したというのではなくて、四十八年度末を見通しましてどう持っていくかという観点から査定をいたしております。
  37. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると、特許庁長官長官のほうは七十名要求をしたが、大蔵省に説得をされて、採用上いろいろ困難があるだろう、七十名は一挙に採用できないだろう、あるいは庁舎が狭くて、そんなに七十名人員をふやしたって、事務能率を上げるような作業場がないじゃないか、あるいは歳入と歳出のバランスをとるためにも七十名一挙に採るのは困る、そういうような幾つかの条件を大蔵省側から提示されて、特許庁の七十名の要求というものを折れて三十一名、五年ベースに今度は引き延ばした、こういう経過ですか。
  38. 荒玉義人

    荒玉政府委員 御承知のように、人員は政府全体といたしまして非常に削減する方向でございまして、実は特許庁人員は、先般大臣からお話がございましたが、大臣みずから総ワクをきめていただいた次第でございます。百一名といいますのは、四十四年度審査官そのほか全部含めた数字が百一名でございます。そういう最高レベルできまった百一名の間で、特許庁状況から見て全体をどういうふうに配分していくかという問題がございまして、その場合に、少なくとも四十四年度につきましては、大体審査官定員は三十一名でございますが、採用ベースでいきますと大体七十四名採用しております。したがいまして、少なくとも四十四年度に関する限りは、そういった全体のワクのうちにどういうふうに配置するかという面と、それから三十一名の定員増で採用は七十数名採用できますので、このあたりが実行ベースとして特許庁としては妥当ではないかということで、一応四十四年度の三十一名でございます。ただ問題は、今後どういう形になりますかという問題は、いろいろ出願件数、先ほどたとえば四%といいますのは、四十三年度が非常にふえておりますから、そういった事情を勘案すれば、今後四%でとどまるかどうかという問題があるかと思いますが、それは長期の問題としては、新たなる趨勢に応じてわれわれとして考えていきたいと思いますが、少なくとも四十四年度に関する限りは先ほど申し上げた線で妥結したわけでございます。
  39. 武藤山治

    武藤(山)委員 全部で十点ばかり質問項目を考えているのに、まだ一点が終わらない。時間がたいへん経過をするので、特許庁側の資料というものがまことにずさんで、行き当たりばったりで、とにかく一年間に五、六回出している資料が全部定員増数字が違う。こういう資料を提出されたのでは、これに信憑性がないということで非常に不満であることを私はまず意思表明して、次の問題点に移りたいと思います。   〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕  次に、長官、現在の定員と実際の実員ですね。これの差は、どのくらい審査官の場合欠員になっていますか。特許実用新案審査官の場合でもけっこうですが、何名くらい欠員になっていますか。
  40. 荒玉義人

    荒玉政府委員 一番新しいので申し上げますと、四十四年度でございます。審査官全部の定員は七百九十名でございます。実際の実員は六百五十四名でございます。
  41. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると欠員の数は何名ですか。あなたの出した数字と少し違うですね。われわれが調べた数字では定員が七百九十七で実員が六百四十八、そこで、採用人員が七十四、不足が百四十九という数字が出ている。そうすると、不足は大体何名ですか。
  42. 荒玉義人

    荒玉政府委員 七百九十七といいますのは、五%カット分の数字でございます。したがいまして、七名は、御承知のように政府全体として三カ年でカットされる、その初年度分の七名でございます。そういう意味では、定員ベース数字は七百九十名でございます。
  43. 武藤山治

    武藤(山)委員 だから欠員は、不足は幾らになっているのか。
  44. 荒玉義人

    荒玉政府委員 六百五十四でございますから、百四十六名というのが審査官定員をほかの仕事をさしておる、こういうことでございます。
  45. 武藤山治

    武藤(山)委員 これがまたなかなか重大な問題なんです、大臣。審査官というのは大学の理工系を出て、四年間も見習いみたいな形で心得、そういう形で研さんにつとめ、それから正式な審査官になるわけですね。相当の知能の高い人たちだ。しかも実際の専門家だ。そういうものを採用しておいて、どうして別にその人間を持っていって使わなきゃならぬのか、これは問題ですね。定員貸しというのをなぜ——よその一般職のほうへかなり貸しておるわけですね。これからだんだんその数字を明らかにしますけれども、なぜこういうことが行なわれるのか私は理解できない。しかも大臣、それがずっと続いておるのですよ。四十四年はいま長官が言うように百四十六名、四十三年は百六十二名、四十二年は百五十八名、ずっと続いている。しかも以前に川出長官のときですか、定員貸しというのは一切解消します。解決します、そういうことはもうしないようにいたします、ということを国会ではっきり答弁している、議事録を見ても。その後ひとつも努力していない。これはどういうわけなんだろう、長官。努力してもそれは解消できない問題なのかどうなのか。
  46. 荒玉義人

    荒玉政府委員 従来定員増の場合におきまして、政府全体が苦しいという場合に、われわれの場合に審査官重点主義というふうな定員になっております。御承知のように、特許庁の事務は審査官だけでございませんので、書類を受けつけまして、審査官手元に行き、それからまた返ってくる、あるいはその他の登録事務、閲覧事務、公報発行事務、一般事務系の仕事はもちろんございます。そういった意味で、従来増員の場合に、われわれから言いますと、審査官と同時にそれにふさわしい事務職もあわせて増員をはかってまいるということが望ましいのでございますが、審査官が重点的に定員増になるといわばアンバランスがございますので、やむを得ず審査官定員を借りまして一般事務に回しておるというのでございます。われわれといたしましては、できればやはり事務系をふやしてそのバランスをとっていきたいというふうに考えておるわけでございますが、従来の定員のつくり方といいますものは、先ほど言いましたように審査官重点主義になっているというところに大きな原因があるというふうに考えております。
  47. 武藤山治

    武藤(山)委員 それはおかしい。審査官のほうに何か原因があるように思うのはおかしいですよ。滞貨が起こらぬようにするために審査官の増というのを認めているわけでしょう。その滞貨処理していくためには審査官だけふやしたってだめなのでしょう。公報の取り扱いもあれば、書類の手配り用足し、審査にはいろいろな複雑な作業が関連するわけですから、それが一緒にくっついていかなければ、汽車のレールの上を走る輪っかだけ行っちゃって、上に乗っかるやつは置いていっちゃうようなものだ、それは。(「競合脱線だ」と呼ぶ者あり)ほんとうだ。あるいは大八車、米三俵でしか動かぬ車に十俵積んで動けというようなものだ。これは動きがとれない。これはしろうとのわれわれが見てもそう思うんだから、長官が思わないのは少しどうかしていますよ、長官。なぜそれが解決できないんですか。その庁内における定員をよそへ貸してしまうのを、優秀な審査官を一般事務に貸さなければならぬなんということがなぜ解決できないんですか。
  48. 荒玉義人

    荒玉政府委員 ちょっと誤解ないかと思いますが、実際技術者を一般事務にやらしておるわけではございません。その点は……。それで、一番最初から言いましたように、定員全体がきまりまして、その配分の問題になると私は思う。もちろんわれわれとしては絶対ワクをふやすことが必要だと思いますが、その配分、つまり審査官とその他の配分の方法をできるだけ是正するようにわれわれつとめていく必要があるわけでございます。ただ、先ほど言いましたように、現在まではやはり審査官重点だという線がございますので、もちろんわれわれは打開すべく努力しておりますが、現在はさような状況が続いておる次第でございます。
  49. 武藤山治

    武藤(山)委員 そんな、答弁にならぬ。それは全然問題にならぬ。  それじゃ長官審査部の特許実用新案定員不足は、実員が百四十六で、審査部庶務のほうへ特許実用新案のほうから回している人数は現在一体何人ですか。総務課長そんなのはすぐわかる。私がこういうことを質問することはあなた知っているのだから。——それじゃ私のほうから聞こう。審査部庶務のほうの定員は何名になっておりますか。総務課長、それはわかるだろう。四十四年、ことしのことだからね。定員数が幾らで実員が何名かくらいわかちぬことには、総務課長つとまらぬぞ。
  50. 星埜一彦

    星埜説明員 お答え申し上げます。ただいま御質問審査部の事務職員でございますが、審査部の事務職員はすべて審査第二部の調整課の事務職員ということに定員上なっておりまして、その定員は七十八名でございます。
  51. 武藤山治

    武藤(山)委員 実員は、不足は……。一々聞かなくも答えろよ。何名定員を借りていて、どういう状況かということも答えなさいよ。一々聞かなければ答弁できないんではしようがないじゃないか。一を聞いて五くらいは悟れよ。それで滞貨処理をする法案を出したって、滞貨なんか処理できないよ。
  52. 星埜一彦

    星埜説明員 実際の、まあ実員でございますが、これは百一名でございます。
  53. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると、七十八名の定員で百一名だから二十三名ですが、それはどこから借りているんだ。どこからどういう名称で引っぱってくるの。そういうところへ辞令を出してどういうぐあいにやっているのか。定員はこっちなんだけれどもこっちへ来てくれ、そうなった場合に審査官のほうは、それは困る、おれのほうがいなくなれば審査が進まぬ、長官それは困るからそうせぬでくれという注文はないのですか。ああそうですかと言って、持っていかれても審査部のほうはみな黙っているのですか。
  54. 荒玉義人

    荒玉政府委員 もちろん審査部からそういう要求がございます。ただ、全体として与えられた定員を最も特許庁の現在の状況に合うように配置するのが私の責任でございますので、先ほど言いましたように、審査官だけでは実際の仕事に支障いたしますので、私が全部を見て実際の配置の人間をきめていくということを従来やっておる次第でございます。
  55. 武藤山治

    武藤(山)委員 しかし、長官、さっき私が質問したときに、審査部の一般事務員を減らせば審査の進捗に支障があるということは確かに言ったですな。支障があるなら、それを借りてほかへ持っていかずに、審査にちゃんと置いたらいいじゃないですか。そうしなければ滞貨解消促進にはならぬじゃないですか。あなたは大体特許のほうの、あるいは実用新案のほうのこっちの古い庁舎にあまり来ないでしょう、長官室へ閉じこもっちゃって、通産省の裏のほうについて。だから、審査官気持ち、実態がよくわからないんじゃないですか。私、答弁をずっと聞いていてそんな気がするね。それとも大蔵省が、審査官中心主義の増員、そういうものにはライトを当てるけれども、一般職員については考えてくれない、予算要求してももう初めからだめだ、だから一般職員のほうはふやせないから、審査の連中をこちらへ持ってくるんだ、そういうことなんでしょうか。それとも、あなたの判断でこれがベターだ、審査部の一般事務員をよそへ持っていくことが、いまの庁内全体のバランスを考えたときにベターだと考えているんですか。滞貨は減りませんよ。どう思っているんですか。
  56. 荒玉義人

    荒玉政府委員 問題は全体の定員をふやすことが先決でございます。したがいまして、ことしで言いますと百一名というワクをまずふやすこと、これが御承知のように一番大事なことでございます。ワクが百一名がきまりますと、先ほど言いましたようにそれぞれの内訳の折衝をするわけでございます。そうした場合にわれわれとしては、百一名の範囲内で審査とその他の事務が円滑にいくようにという折衝をしてきたわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては与えられたワクの間でバランスをとっていくということを従来やってまいったわけでございますが、やはり従来の査定審査官のほうに比重がかかるというのが現状でございます。したがいまして、われわれといたしまして、いまの全体ワクをもう少しふやしていただきたいという強い要望、その結果はじめていまの問題も解決できるのではないか、かように思っております。
  57. 武藤山治

    武藤(山)委員 しかし全体ワクをふやすということは、さっきの審査官の例を見ても、あなたたちは非常にへっぴり腰で問題にならぬ、みずから削っちゃうんだから。ことしは三十一名になっても、来年は七十名にしても一般をふやしてもらわなければたいへんなんだという認識を、大蔵省にもあるいは行管にも、あなたたちのそういう説得力が足りないからできない。私がいま聞いているのは、その全部の問題よりも、たとえば、審査部の庶務は定員七十八だと総務課長は答えたんですね。それが百一名なんですね。そうしたら百一名というのはどうしてもなければならぬ、こういう借りをとらなければどうにもならない問題なのか、これがベターなのか、それともこういう方法でいくならば定数をもう変えなければいかぬのか、七十八を百一にですね。しかし諸般の情勢があってこの七十八を百一に直せないのだ。だからしようがない、審査官のほうの一般補助員をこっちへ持ってきちゃう。定員を百一名にいじったらいいじゃないですか。そうして今度審査のほうが足りないからといって、審査のほうをきちっと要求するとかなんとかしなければ、こういう食い違いを置きっぱなしにしておいて、私はこれがどうにも納得いかぬ。第一、欠員がこんなにいるのをどうして補充できないか。人がいないのですか。
  58. 荒玉義人

    荒玉政府委員 いま欠員は二十四名ございます。それで、現在初級試験をやっておりまして、そして二十四名全員採用したいと思っております。
  59. 武藤山治

    武藤(山)委員 しかし審査官は実際の定員よりも百四十六名足りないわけですね。これはどうしたらいいのかね。定数と実数を同じにするにはどうしたらできるのですか。その方法をひとつ聞かしてください。
  60. 荒玉義人

    荒玉政府委員 方法は、飛躍的に人員を、絶対数をふやしていただくということかと思います。
  61. 武藤山治

    武藤(山)委員 その絶対数というのは、具体的には、三十一名というやつをもっとふやしてもらうということですか。
  62. 荒玉義人

    荒玉政府委員 現在総定員法で千八百名でございます。千八百名を、これは私の希望ということでございますが、一挙というわけにいきませんが、毎年百三十名程度増員をしていただきたい。もちろんその場合に、やはり技術系というだけでなくて事務系を含めた形の増員をお願いしたい。これは私の希望でございます。
  63. 武藤山治

    武藤(山)委員 総務課長、ことしは大蔵省に、事務系を何名要求して何名査定され、技術系を何名要求され何名査定されたのですか。
  64. 星埜一彦

    星埜説明員 お答え申し上げます。総要求人員は事務系、技術系を含めまして二百三名でございましたが、査定は百一名でございます。その内訳でございますが、特・実の審査官につきましては七十名要求いたしまして三十一名、これは先ほど申し上げたとおりでございます。そのほか審判官は、三合議体九名要求いたしまして、査定は二合議体六名でございました。それから事務職員でございますが、これは審査、審判の補助をいたします事務職員を十名要求いたしまして、査定は五名でございます。それから一般事務の職員でございますが、これが二つに分かれまして、制度改正のための事務系要員、これは六一名要求いたしまして四十五名の査定を受けました。それから制度改正以外の一般事務の職員でございますが、これは四十一名要求いたしまして七名という査定でございます。
  65. 武藤山治

    武藤(山)委員 大蔵省、いま特許庁から発表になりましたように、事務系が今度法律改正になって制度改正に関連して六十一名要るのだ。それが四十五名に削られた。さらに一般事務員が四十一名要求したのに七名だ。これはちょっとひどいですね。これは大蔵省査定する場合に、どうしてこういう要求をこんなにひどく削ったのですか。その根拠をひとつ理解できるように説明してください。
  66. 海堀洋平

    海堀政府委員 いまここに査定の詳しい資料を持っておりませんのですが、事務系統の要するに事務量の判断というものは、要求する側は非常に実態に応じて要求があるわけですが、査定する側というものは、やはり他との均衡もございまして、ほんとうに事務量がそれだけ要るか要らぬかという問題は非常にむずかしいものですから、事務系統の職員の増加というものはなかなか一般的にいたしておりませんので、今度の特許庁定員の増にいたしましても、はっきりとわかります審査官等を中心にいたしまして、それに多少の補助者を見たということでございます。したがって、そういうことが毎年やはり事務量の判定というものがむずかしいために、ややはっきりと件数対比で出てまいります審査官、審判官にどうしても重点が行くという形で、事実上の事務量というものと予算査定というものが多少乖離してまいっているということをいまここでお伺いした次第でございます。ただ、事務系統はしたがって、じゃどういうふうにしていくかということにつきましては、今後さらに事務の内容等を十分に御意見を承りまして、実情に即してできるだけ配意してまいりたいというふうに考えます。
  67. 武藤山治

    武藤(山)委員 海堀さんは大蔵省でたいへん優秀な役人で、私も大蔵委員を八年ばかりやって、たいへん尊敬をしている役人の一人なんですが、あなた、特許庁の現状というものについてほんとうに認識なされているでしょうか。滞貨がたくさんあって、しかもドイツの特許庁のシステムと比較したら問題にならぬ劣悪な条件で、あのごみごみした特許庁の中で審査をしているという実情で、それについての今度は補助事務員まで要求をいれてくれないということでは、技術をどんどん発展させ、発明をさせ、創造力を生かしていくという国家の大目的から見ても、大蔵省特許庁に対する考え方というものがぼくは間違っているのじゃないかと思うのですね。他との均衡と言うけれども、特許庁と全く比較できるような他の官庁というのは何をさすのですか。特許庁というのは一般の官庁とはちょっと違うのですよ。他の官庁と均衡上ということは、査定の際にどこと一番比較するのですか。それを明らかにしてください。
  68. 海堀洋平

    海堀政府委員 特許事務が非常に重要であるということは認識しているつもりでございます。ただ、日本の特許等の出願というものがまた他の国々と非常に違いまして、玉石混淆といいますか件数が非常に多いということも事実だと存じます。それからもう一つは、やはり現在のやり方というものではなかなか単に人員をふやすだけでは処理ができないということで今回の新たな制度を御審議いただいている次第だと存じます。問題は、ただ新しい制度を開きましても、それをやっていく人々を充足していかなければいかぬということは認識しているつもりでございますが、とかく役人をふやすことにつきましては、政府全体としてやはり強く自制をしていくようにという趣旨で予算査定に臨むものでございますから、あるいは非常にきびし過ぎているかと存じますが、それでも通産省の事務の中では、特許行政については、人員面の配慮も不満足かと存じますが、重点を置いてしてきたつもりでございますし、今後も重点を置いてまいりたいと存じます。
  69. 武藤山治

    武藤(山)委員 しかし、海堀さん、お返しするようで恐縮ですが、今度は制度改正をやるのですよ。大蔵省にもしかられ、なかなか思いどおりいかなかったから、今度は法改正をやって、そして権利者権利を裸にしてしまって一年半で公開してしまおう。これは大問題なんですけれども、しかし、そこまで特許庁長官はふん切って、何とか滞貨処理しようというところまで決断したわけだ。その決断すら、今度の場合、制度改正による六十一名要求が四十五名、それに関連して今度は事務量もふえ、大いに作業能率をあげて滞貨を減らすために特許庁の一般事務員も関連してふやさなければならぬ、それが四十一名要求が七名。これじゃちょっと認識を十分しているとは言えない。  参考までに申し上げますが、この間ここへ参考人の方々に来てもらって、大学教授も二人参りました。ドイツの特許庁を見てきたという大学の先生の御意見も聞きました。ドイツでは、ちょっと電子計算機で連絡すれば、さあっとエアコンベアで必要な書類を送ってくる。そういうように作業能率が非常によくなっている。それにはおそらく七十億、百億の金がかかると思うのですよ。しかし七兆円近い予算ですからね。大蔵省がやってやろうということになれば、日本の産業開発のために、クリエーティブな創造力を大いに開発するために特許庁に思い切って金をかけようとすれば、百億もかけないでドイツのこのエアコンベア式のすばらしい作業能率のあがる特許庁ができるはずですね。いま特許庁の庁舎を建て直そうとしているわけで、ことし少しは予算もついているわけですね。どういう建てかえをして、それを使わして、私がいま期待するようなドイツの特許庁のようなすばらしい特許庁をつくってやろうとしているのか。これは大蔵省の考え方はどうですか。
  70. 海堀洋平

    海堀政府委員 まことに申しわけございませんのですが、官庁の庁舎の新営という関係は、実は私の担当ではございませんので、どういう企画でやっているということについては承知いたしません。ただ、特許庁から御要望のございます私の担当では、機械化と申しますか、事務の合理化と申しますか、そういう点の御要求はできるだけ満たしてきておる所存でございます。その点は人員の増加とは違いまして、特許庁機械化要求がある場合には、できるだけそれに応じた予算を計上してきてまいっておるつもりでございます。
  71. 武藤山治

    武藤(山)委員 海堀さんは、特許庁予算の関係を何年担当してきたかわかりませんけれども、特許庁予算を見ると、ずっと、この資料によると三十九年度から出ておるわけでありますが、全部歳入超過だ。発明、創造をするための権利を付与するために、歳入超過で、国民の創意を大いに開発してやろう、国はこれに援助し、サービスしてやろうという精神は、金銭的には一つもあらわれていない。全部歳入超過だ。特許庁はもうけておる。これは一体どこに原因があるのだろうか。特許庁を、もうけないで、もっと抜本的にほんとう発明家気持ちを満たしてやるような、滞貨をつくらない処理をするような、そういう特許庁にするためには、歳入超過のような予算ではだめなんです。これは幾ら大平さんががんばっても、歳入超過のような予算編成をしていては、特許庁の今日の滞貨処理するというようなことは簡単にできるものではないと私は思うのです。これは期せずして、ずっと四十四年度が歳入は三十一億、歳出予算二十八億、四十三年が歳入二十四億に対して二十二億、その前の四十二年が歳入二百十三億に対して二百六億、いずれも国家財政に寄与しておるのです。こういう予算編成というものが十年くらいずっと慣例になっていると思うのですよ。だから、海堀さんが一生懸命特許庁に理解ある姿勢を示そうとしても、そういう姿勢がずっと惰性で続いてきているから、これを突破できない。やはり歳入の範囲内で特許庁予算をつくろうという姿勢があるんではないかと思うのですが、その辺の御見解はいかがですか。
  72. 海堀洋平

    海堀政府委員 歳入のほうは手数料でございますので、大体実費主義というような考え方できめていると存じます。ただ、もし特許行政上こういうことが必要だということになりますと、これは別に特別会計でも特定収入でもございませんので、必要な経費は計上していくというのが本旨であると存じます。
  73. 武藤山治

    武藤(山)委員 本旨であるのが守られておらぬという実態がなぜ起こってきたのだろうか。歳出を一回でも一般会計から出したという例があるならまだわかるんですよ。ところがずっと歳入超過なんです。国は特許の手数料でもうけておる。こういう姿勢大蔵省があまりにもワクをきちっとするために——そのために先ほど具体的に人員要求をしたらどうなったかと私は尋ねてみたのです。大蔵省がおそらくその査定をぶっ切ったのは、この予算のワク、歳入、歳出のバランスということから、そういう定員増やあるいはきちっとした庁舎の建てかえやそういうものがなかなかできない、こういう実情にあるのではなかろうかと思うのです。そういうことは全くないと大蔵省はここで言い切れますか。
  74. 海堀洋平

    海堀政府委員 出願の手数料等は、御存じのとおり税金ではございませんで、やはり行政事務に対するある利益者の対価といいますか、そういう趣旨のものでございますので、大体実費をまかなう点を主眼にして手数料がきめられているということは否定し得ないところだと存じます。ただ、それは一応きめますと、あくまである程度の期間はその手数料なりで続けていくわけでございまして、特許行政上特別な必要がある場合に、その歳入を越えた経費を計上してはいけないということはないわけでございまして、特許行政上の必要がありますれば、歳入とはかかわりなく必要な経費を計上していくのが行政のあり方だろうというふうに存じます。したがいまして、予算査定をいたします場合にも、歳入が幾らであるからこれだけしか経費を計上してはいけないというふうな考え方に立っておるわけではございません。むしろ、これだけぐらいの経費がかかっておるから、手数料はこの程度にということできめられているというふうに考えております。
  75. 武藤山治

    武藤(山)委員 現実に六十万件も滞貨ができて、これがいまたいへんな問題になっているのに、金だけでこの問題を処理できないという壁にぶつかっている。金をつぎ込めばこれは解決できる問題なんですよ。そういう点かち、大蔵省のこれに対する考え方、姿勢というものは今後少し改める必要があると思うのであります。また、改めさせるように大平大臣も真剣に取り組まなければならぬと思うのであります。大臣、いまの大臣の専門的なことでなくてもわかると思いますが、今度制度改正をするために、新たにこれだけの人員が必要だということで、六十一名と四十一名を要求したでしょう。それが実現しないで制度改正だけ先に進んで、それにくっついている実際に仕事をする頭脳がついていかない。四十一名の要求が七名になってしまっておる。補助、一般で四十一名あれば、六十一名あれば、制度改正が生きていくんです。ところが、そういうものが一緒についていかない。審査官は三十一名にされてしまった。長官は、何ら不満のないような、五%の伸びを四%にしたから三十一名でけっこうですというような答弁をしている。補助と一般がこれだけ削られても何ら支障ないという答弁ができますか。大臣にひとつ見解を聞きたい。制度改正に関連した人員要求がばっさり切られてしまって、制度改正をやってそのまま予想どおり進みますか。大臣、どう思いますか。
  76. 大平正芳

    ○大平国務大臣 定員の配分問題の御指摘がありましたが、これは長官からも御説明申し上げましたように、審査官と、それを補助、補完していく事務を担当する方々とのバランスということが運営上必要であると判断して長官立場処理しているものと私は信頼をいたしております。  第二の点でございますが、特許庁予算は、歳入のワク、限界というようなものを頭に置かれて編成されているのではないかということでございますけれども、寡聞にして私は、特許庁の収入がこれだけであるから歳出はこれだけにしなければならないという意味の圧力を財政当局から受けたことはございません。   〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕 いま武藤さんは特許庁というものは黒字であるように申しましたが、私はすでに厳密な意味において赤字になっておると思います。一般会計でほかの部面でいろいろ負担しておるものを計算いたしますと、正確に申しますと、決してこれはもうけておるというようなものではないと思います。海堀次長も言われましたように、必要がございますならば一般会計におきまして特許庁の歳入を越えた、手数料収入を越えた歳出を組んでいただけるものと私は確信をいたします。  それから第三の問題は、いずれにいたしましても、制度を改正いたしましょうとどうしようと、定員をふやしてまいらなければならぬ。それとあなたが御指摘になりましたように、いろいろ事務の合理化、機械化、近代化というような点もあわせて進めてまいらなければいかぬわけでございますが、定員人員の充足という点につきましては、本委員会でこの前からいろいろ御審議をいただいて、御理解をいただいておると思いますけれども、定員をとるばかりが芸じゃありませんので、実際上それに相当した人材に来ていただかなければならぬわけでございます。しかし、いま技術者はたいへん不足をいたしておりまして、なかなか思うように採れない。採りたくても採れない制約のもとに置かれておりますことは武藤さんも御理解いただけると思うのでございます。しかし、それでもなお極力有為の人材を求めてまいるように努力をしてまいらなければならないことは当然でございますが、一方行政府全体といたしまして、いろいろ全体の要員を締めていくという大方針のもとにございますので、特許庁も決して例外ではないわけでございます。その範囲内におきまして今日まで、私は大蔵省当局も通産当局も力点を特許庁に置きまして、与えられた条件のもとでは最善を尽してきたと申し上げても決して過言でないと判断をいたしております。私どもは、予算編成する場合、最後に残って熱い折衝を重ねましたのは、ほかならぬ特許庁定員問題であるわけでございまして、それほど定員確保問題というのはいまむずかしい問題になっておりますことは御案内のとおりでございます。そういう点は大いに努力をしてまいるつもりでございますが、こういう技術者の不足の状況でございますから、思うようにまいらない。思うようにまいらないのが現実でございますから、それに対応いたしましていろいろなくふうをこらして、できるだけ仕事の渋滞のないようにつとめてまいるのがわれわれの任務だと思っておるのでございます。すべての条件が満足でございますならば、ここでもっといばった答弁ができるわけでございますけれども、そういういろいろな制約の条件のもとでわれわれは非常に苦心しておるのだという点には、きょういろいろ朝からおしかりをちょうだいいたしましたけれども、ひとつ御同情もいただきたいと思います。
  77. 武藤山治

    武藤(山)委員 どうもいままでやってきたことを見ると同情する価値がないのですよ。いままできちっとやっているなら、ぼくは大いに同情して、大平さんの顔を立てますよ。しかし、いままでのやり方を見ると全く同情に値しない。だからこういうこまかいことをいま私は質問している。大臣にも長官にも、大蔵省にも行管にも反省してもらいたい。いま大臣は私の質問に全く答えてないのですよ。私がいま聞いているのは、今度は制度を改正をするんだからという前提で大蔵省要求したわけですよ。それにはこれだけの補助事務員と一般事務員と審査官が入り用だというのに、審査官は七十名要求したが三十一名になった。これは長官としてそう不満はない、三年で解決するものを五年に先に延ばして、一年七カ月を一年十カ月に延ばしたからいいですよという答弁だから、まあいいでしょう。しかし審査官に付随した者をつけてもらわなければ計画どおり処理は進まないのですよ。完全に機械化していないんですから、仕事をやるのは人間なんですから、その人間がくっついていかないで机上の計画がそのとおりいくはずがないじゃないかというのが私のいま聞いておることなんです。大臣は、なに、そんなことは心配ない、審査官がいままでの二倍、三倍かせぐんだ、事務員や補助員がちょっとはいなくたって心配ないんだという考えなのか。制度は改正になるんだが人間がついていかないでこれは困ったことになるんだ、何とかしなければならぬという気持ちでいるのか。いまの人間を大臣みずから特許庁に乗り込んで激励して、皆の協力を得るという自信があるのか。弁理士会が八〇%反対しておる。審査官の半分以上は反対だといっておるのです。人間が自分で働くか働かないかは自分の心理状態、精神状態だ。労働しようという意欲を持たせるようなものがなければ人間という動物は真剣にはかせがないですよ、人間は感情の動物ですから。それが制度改正をしたらこうなんですよといって要求した四十一名が七名に削られちゃった。こういう現実を見て計画どおりに処理が進むだろうか。大臣、進むという確信がありますか。
  78. 大平正芳

    ○大平国務大臣 先ほどの御答弁で申し上げたのでございますが、審査官とその補助的な事務をされる方々との間の要員のバランスを確保していくことが現実の行政の運営にとって大事なことである、これは武藤さんのおっしゃるとおりでございますし、また長官が答えたとおりだと思います。あなたの言われるのは、制度改正の場合に、それにくっつけて不可欠の要員の定数を大蔵省要求いたしたが、大蔵省査定は志と反してまことに少なかったという御指摘でございますが、それは私が先ほど御同情願いたいという趣旨を申し上げたように、全体の行政府の職員の定数を押えていこう、そうしてこれを計画的に逓減をはかっていこうという政府の大方針があるわけでございまして、大蔵省はそういう制約の中で、おそらく審査官だけでもできるだけ確保して差し上げたいという意図があったと思うのでございます。したがいまして、あなたがいま御指摘のように、事務並びに補助職員の方が手薄であったということになっておると思います。それは御指摘のとおりだと思います。そういう査定があった。涙をのんでそれをのんだ以上は、やはり特許庁長官といたしましては、与えられた実員の中でいろんな配置をくふういたしまして、バランスのとれた仕事の運び方を考えていっておるところに苦心がございます。その苦心について御同情を願いたいということを私は申し上げたつもりでございます。定数にいたしましても、先ほど御説明がありましたように、出願件数がどういう傾向をたどるであろうかとか、処理期間を一年十カ月にするとか何カ月にするとか、いろいろな前提を置いて計算をしているわけでございます。それでいくかいかぬか、一回やってみなければわからないわけでございまして、そういう行き方がきまったから、何でもかんでもそこに押し込んで、労働強化をしいるとか無理をするとかいうようなつもりは私はございません。あなたがおっしゃるとおり、人間は感情の動物でございまするから、みんながほんとう気持ちよく働いてもらわなければいかぬわけでございますから、そんなに無理な規制がきくわけではない。そんな甘い判断はいたしておりません。前提が狂ってまいりますならば、われわれといたしましては財政当局に新しく要求すべき根拠も出てきましょうし、事務の処理において新たなくふうをもっと考えなければならぬ面も出てくると思いますけれども、それにつきましては最善を尽くしていくつもりでございます。
  79. 武藤山治

    武藤(山)委員 新たに財政要求が起こるかもしらぬ。今後十分そういう点を、大平大臣の実力のほどを、私たちも十分見ていたいと思いますので、せっかくひとつ御努力を期待をいたします。いまの答弁の後段にはたいへん満足をいたしております。ひとつ十分御努力を期待いたします。  長官、商標登録は現在公開制度ですね。公開と全く同じですね、そうですね。それをちょっと……。
  80. 荒玉義人

    荒玉政府委員 先生実情を御承知かと思いますが、商標は秘密制ではございません。したがいまして、特定業界で最近は新しい製品が非常に次から次出ておりまして、出願人が採択する場合に、どういうものがあるかということが自分の採択の基準になるということで秘密性はございませんから、特定の業界に見せておる次第でございます。
  81. 武藤山治

    武藤(山)委員 商標登録は公開制であり、自由に閲覧ができる、こういう制度になっている。これから新たに特許と実用に適用しようという公開制と商標の現在やっていることがそう変わりのない制度になっている。そうすると、この商標登録の問題が、公開制でありながらなぜ滞貨がふえているのですか。さらに処理年数が、昭和三十八年には一年十一カ月だったのが四十二年には二年四カ月。去年はどうですか。四十三年は何年何カ月になりますか。
  82. 荒玉義人

    荒玉政府委員 一番最近で二年十カ月でございます。  前段の、公開制度をやったから出願が減るという意味でわれわれは公開制度を考えておるわけではございません。したがいまして、商標の場合、公開やるから出願が減るというものではございませんし、おそらく特許の場合も、公開やって、もちろん他人がやっておることは研究しないということでありますが、よりよきものを研究するという面もございます。商標の場合も、他人が出しておるものは自分は出さない。ただし新しい需要で出すという問題はあるかと思います。したがって、公開したら商標は出願が減る、こちらも減るという直接の関係はないのではないかと思います。
  83. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういう意味質問をしているのではない。商標は公開制で、できるだけ手間が省ける制度、システムになっておる。にもかかわらず滞貨、未処理がふえている、これは原因は何ですか。審査官不足ですか、一般補助員、事務員不足ですか。何に原因があると長官は考えていますか。
  84. 荒玉義人

    荒玉政府委員 商標の公開ということは審査とは何の関係もございません。それで商標出願は、最近四十三年度で、四十二年度対比が一五%、前が八%、一二%、七%というふうに、比較的特許よりよけいふえております。一方審査官の定数、これは最近でございますと、四十年度が四十二名、四十一年度が四十六名、四十二年度が五十三名、四十三年度五十七名。これも一般の傾向といたしましてはやはり特・実と同じ傾向で、出願処理能力アンバランスだ、かように考えております。
  85. 武藤山治

    武藤(山)委員 結局、処理能力とのアンバランスが解消できない限り、制度を少々いじってもだめなんですよ。私が言いたいのはそれなんです。だから今回の制度改正をやるためには、その前提のものがきちっと整備されるという前提がなければ、制度だけいじったって長官が考えているような滞貨促進にはならないのじゃないか、こう私は考えている。その一例としていまの商標の場合、公開制であっても、それに付随した人間がきちっとついていかないことには、出願件数がふえるのに比例して審査官も一般事務員も補助員もそれにくっついていかないことには、結局公開制であってもだめなんだ。そういう前提をきちっと踏まえた制度改正をやらぬことには意味がない。結論として、結局これは失敗する、私はそう見ている。しかし長官は、失敗するかしないか、やってみなければわからぬとおそらく反論するでしょう。しかし成功するか失敗するかやってみなければわからぬといって安易に片づけるのには、権利をはだかにすることが発明者にとってはあまりにも重大な問題なんです。また日本のそういう創造性を育てていくという見地から見て好ましくないのですよ。だから私は、人員の問題や予算の問題や庁舎の問題や、これからずっとそういう問題を掘り下げて質問をしていきたいと思っているわけなんだ。こういう事実を見ても、商標ですらこういう状況なんですから、公開制にしたからといって、そんな簡単に解決のできる問題でないから、予算のほうをやはりしっかりしなければいかぬ、こういうことを私は言いたい。  それで長官、今度の改正案の中で私、意味がよくわからないのは、六十五条の二の「特許庁長官は、特許出願の日から一年六月を経過したときは、出願公告をしたものを除き、」というこの意味がわからない。「出願公告をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならない。」という、この「出願公告をしたものを除き、」という意味は、一年六カ月以内に審査が終わるものもあるという意味なんですか。
  86. 荒玉義人

    荒玉政府委員 さようでございます。
  87. 武藤山治

    武藤(山)委員 一年六カ月以内に審査が終了するものというのは、どういう場合が想定できるのですか。
  88. 荒玉義人

    荒玉政府委員 大体一年半で公告決定して出願公告されるというのは少ないと思いますが、たとえばおもちゃのような場合には、あるいはわれわれとしても大体一年半ぐらいである程度処分しないと、御承知のように、おもちゃの寿命というのは短うございますので、できるだけそういったものは、やはり公開前に処分できるものはしたいというふうに考えております。先ほど言いましたように、きわめて限られた場合であるかと思いますが、むしろさっき言いましたようなものにつきましては、できるだけ早目に処分していきたい、私はかように考えています。
  89. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると、おもちゃの場合は、現在審査官が充実しておったり事務員が充実しておって、一年六カ月たたないで審査できておるのですか。おもちゃの審査定状況はどうなっているのですか。処理状況件数、全体をちょっと明らかにしてください。
  90. 荒玉義人

    荒玉政府委員 おもちゃの場合、現在の審査官——これは出願審査、あるいはどのくらい未処理があるかという数字は、後刻すぐ提出いたします。  この制度は、要するに一年半でやり得るものもあり得るわけですから、そういう場合には制度としては、やはりすでに公告決定して出願公告するものは公開の意味がございませんから、したがってはずしておる、単なるそういうことでございます。
  91. 武藤山治

    武藤(山)委員 長官、一年六カ月で審査ができるものがあるかないかと言ったら、あなたはあると答えた。じゃたとえば具体的に何だと言ったら、おもちゃの類だと言うのです。しからばおもちゃの類はどういう審査状況か明らかにしてくれということです。これを明らかにしなければ、この六十五条の二の条文についての質問ができませんよ。それとも、あなたの思うとおり順調に処理が進んで、五年先に一年十カ月になるわけですね。そうすると、六年か七年目後に一年六カ月にあるいはなるかもしらぬ、あなたの思うとおりにいけば。そのときのことを想定して「出願公告をしたものを除き、」という形に入れたのか。それとも、現実におもちゃの類があるから、現実にマッチさせる法律でなければいかぬから入れたのか。そこはどうなんですか。
  92. 荒玉義人

    荒玉政府委員 全体が一年六カ月になるという計画はいまのところきわめて困難だと思います。それはもちろん先ほどの人員その他出願状況を見まして、やはり特許処理期間というのは大体二年、場合によれば二年半、そのくらいの目標で、全体を一年六カ月以下という形になりますとなかなか困難だし、あるいは技術によりますと、やはり適正期間というものがあり、短ければ短いほどいいという問題でもございませんし、したがいまして、全体が一年六カ月以内だということはわれわれはいまのところ考えておりません。ただ、部門によりまして、先ほど言いましたように一年以内にあり得るという前提で制度を考えておるわけでございます。
  93. 武藤山治

    武藤(山)委員 そのあり得ることと過去の実績からあるということ——ゾルレンの問題じゃないんだ、ザインの問題だ。これをひとつ資料にしてきちっと出してくれよ。そうしなければ私はこれはもう審議できない。そんな先の話、あるいは現実にないような話を法文の中に入れるということはいろいろな疑いを持たせる。たとえば運用懇談会というのを今度はつくるのですね。運用懇談会というのは何をやるのですか。だれが任命して、どんな権限を持っておるのですか。
  94. 荒玉義人

    荒玉政府委員 運用懇談会といいますのは、主として弁理士会から要求がございました法定期間にかわる措置、具体的に言いますと、あの中にいろいろ要望がございましたが、特に急ぐ場合にはやはり早くやってもらいたいという要望もございます。それに対しまして、どういう場合にほかに優先してやっていくかという基準をそこできめていきたいということで発足したわけでございます。もちろん現在の場合は、これは事実上関係の深いところから推薦いただきまして、事実行為としてわれわれと共同作業しておりますのは、先ほど言いました運用上の一番急ぐ場合に、私、いわゆる緊急審査ということで御説明したと思いますが、どういう条件のもとにやり得るか、そういう基準審議していただいておる次第でございます。
  95. 武藤山治

    武藤(山)委員 これはたいへんなことだ。そういう緊急に審査をする別な運用懇談会をつくって、この事案は緊急審査の必要がある、一年六カ月以内にもう処理してしまおう、これから具体的にそういうものが出てくるわけだね。そうなると、それは長官が、この出願はひとつ早くやってやろうということになると、それだけが先に通り越していくのですよ。これは大問題だ。しかもそれを法律でなくてやろうというのだから、法律ではなくて運用懇談会で先願を認めていくわけですから、これは法律違反だ。もし普通の弱い出願者がこれを聞いたら憤慨しますよ。この運用懇談会の任命や何かも特許庁長官がやるのでしょう、法律じゃなくて。何でやるのですか。省令でやるのですか、政令でやるのですか、法律でやるのですか。
  96. 荒玉義人

    荒玉政府委員 ちょっと誤解があると思いますので、事実関係をはっきりいたしますと、運用懇談会は先ほどの一年半までの審査とは直接関係ございません。といいますは、本委員会でもたびたび問題になりましたように、公開されますと補償金請求権がございますが、まだ玉石混淆でございます。したがいまして、そういう侵害事実があった場合には、やはり早く判断しませんと、権利者の保護という面から適確を欠く、こういう意味でございます。したがいまして、出願から一年六カ月以内に処分することは全く関係ない事項でございます。具体的には、何も重要発明とかなんとかということをやっておるわけではございませんので、どういう場合に、たとえば侵害がある場合、それをどういう事実を疎明して、そして出願人自身にもある程度どういう調査義務を課していくか、こういうことの審議でございます。もしそれがはっきりいたしまして各界の賛同を得れば、最後は内部のそういう基準として、世の賛同を得て、そういう形で運用していきたいということでございまして、むしろ法律の運用の一環ではないか。したがって、法律違反とは考えられないわけでございます。
  97. 武藤山治

    武藤(山)委員 ドイツの場合に特許裁判というのをつくったのは——やはりこういうこそくな方法で先を越していったり争いがあるから、侵害されたからということを運用懇談会で審査するということ自体が誤りをおかすのですよ。これは利害がからまるのですよ。たとえば、われわれのところに陳情、請願が来ている。大会社二百九十一社から特許法を通してくれという陳情が来ていますよ。そしてこの会社の一覧表なんかを見ると、こういうところが、小さい出願者、弱い出願者あるいは弱い会社が実際にその出願と同じようなことをやっていた、仕事もすでに実用化していた、これはひとつ訴訟を起こしてやれということで、大会社なんだから、金はあるんだから、起こす気になれば訴訟なんかばたばた起こせる。その訴訟の写しをもって、運用懇談会で、私のところはこういう特許侵害を受けているんだという形でやられた場合には、力の強いものは運用懇談会をフルに利用して、力の弱いものは利用できない、そういう結果が出るおそれがある。だから私は、こういうものはやはり法律できめるとか、もうちょっときちっとしたたてまえにしなければいかぬと思うのです。  これは長官、だれを任命するのですか。そういう訴訟書類か何か出された場合に、それが意識的につくられて訴訟を起こしていくのと、自分が侵害されたらほんとうにどうにもならぬというせっぱ詰まって訴訟を起こす場合と、おとりでやるのと、同じ訴訟でもいろいろあるのですよ。そういうことを考えると、この制度は非常に危険ですね。ないほうがいいでしょう。裁判できまりをつけさせるほうがいいでしょう。どうですか。
  98. 荒玉義人

    荒玉政府委員 運用懇談会では、どういう場合に、たとえば侵害訴訟といってもどういう事実があったときやるかの基準をつくるだけでございます。したがいまして、われわれは個々のケースがそれに該当するかどうかを運用懇談会でやるつもりではございません。それはあくまで一般的な、こういう場合にはだれでも、大企業、中小企業だれでも該当すればやるということを、特許庁責任において特許庁が運用するわけでございまして、運用懇談会自身は基準づくりだけでございます。
  99. 武藤山治

    武藤(山)委員 基準をつくるだけであっても、実際は特許庁長官の行政処分に対する隠れみのなんです。これは責任のがれの機関に使われるだけなんです。法は何人も平等だと憲法でうたっていますよ、中企業も大企業も。しかし、片方は特許専門の研究員が三百人も四百人もおるでかい会社もあって、弁理士が五人も十人もおかかえでついているところと町の発明家が同列に法律的に争えるということは、常識で考えてもできない。そうなるとやはり力のあるものが優先するのですよ。だから、こういうものが危険な方向に進んでいくということを非常に心配している。かえって、そういう隠れみのの機関なんかつくらないで、もっと責任をもって政令なり省令なりであなたがきちっとつくってやればいいのですよ。特許庁でこういうものを新たにつくるということはほんとうに危険だ。あなたは特に急ぐもの、早くやってくれという申し出のあったもの、これには緊急特許を与えると言われるけれども、私はこういうものはもっときちっとした法制をつくってやるべきだ、こういう見解です。  それから、先ほどの「出願公告をしたものを除き、」というのはわかりましたか。時間がだいぶ過ぎましたが、おもちゃですが、どういうことになっているか。
  100. 荒玉義人

    荒玉政府委員 現在、百二十類という類がございます。その中の玩具でございますが、四十四年四月一日現在で四十三年一月のものを着手しております。着手でございます。したがいまして、実際に中身を見てサーチするわけでございます。それで公告決定ということになれば、一年三カ月で公告決定になる予定でございます。したがって、御質問はおそらくこの件は出願から一年何カ月やった、その件数を具体的に出せということでございますが、それはいまのところございませんので、後刻できるだけ早い機会に過去の出願別のものを提出したいと思います。
  101. 武藤山治

    武藤(山)委員 長官、過去のものというのは、私の質問はきょうの本会議終了後になりますが、その終了後には出ますね。それでないと、またあした質問をさせてもらうことになりますが、理事がなかなか文句を言うようですから、確認をしておきたいと思います。
  102. 荒玉義人

    荒玉政府委員 すべてでなければ、そういうエクザンプルという意味でしたら、本会議終了後までに間に合わせます。
  103. 武藤山治

    武藤(山)委員 それともう一つ、私、この条文をざっと見ただけで、本職じゃありませんからよくわかりませんが、附則第十二条、これもどういう意味なのか。「この法律の施行前にした特許出願についての新特許法第六十五条の二第一項の規定の適用については、同項中「特許出願の日から一年六月を経過したときは」とあるのは、「特許出願の日から一年六月を経過した後相当の期間内に」とする。」この、出願してから一年六カ月を経過してその後さらに相当の期間内とする、これはどういうことなんですか。
  104. 荒玉義人

    荒玉政府委員 たとえば五年たったのがあるといたしますと、普通の出願の場合ですと、特許出願から一年六カ月ということで事務的に運ぶわけでございます。ところが、五年たちますと、もうすでに一年六カ月は経過しておるわけでございます。それで、五年の場合、過去のものにつきましては一年六カ月を経過しておるわけで、相当の期間というのは、できるだけ早くやりたい。すぐにはできませんが、五年たっておればもう一年六カ月を経過しておりますから、われわれといたしましては、大体出願の順序で逐次公開していきたい、こう思っておりますから、相当の期間といいますのは、それぞれの出願年度によると思いますが、われわれとしては、過去のものは法律施行になってから一年半の間で公開準備をやっておるわけでございますから、できるだけ早くこちらの計画を順調にしたという意味が相当な範囲だと私は考えております。
  105. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると長官、こういうことかね。六十万件の滞貨がある。ごく最近出願をした案件は一年六カ月以内にはなかなか公告の手続がとれない。事務的に公開するまでのいろいろな手続が人員の都合や作業の都合でできない。そういうものは一年六カ月たっても公開にはなりません。もっと先になるかもしれない。たとえば二年後、三年後になる場合もある。こういう意味なんですか。
  106. 荒玉義人

    荒玉政府委員 もっと端的に計画を御説明したほうがわかりいいかと思いますが、現在のペンディングなものは、法律施行つまり来年の一月一日から一年半の間で公開いたします。そうしますと、出願日から言いますと相当の期間は経過しているわけでございます。新しい場合には、前の継続分が公開されておりますから、四十五年の一月一日以降に出願したものは一年六カ月後に公開の段取りになる、そういう実態を踏まえた規定でございます。
  107. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると、もうすでに一年六カ月以上過ぎて三年も前に出したものがある、四年も前に出したものがある、そういうものは一年六カ月で公開しますといったって、もうすでに過ぎてしまった年だから、したがって出願の日という基準、区切りでは律しられないから「相当の期間」という表現で、それを一応この法律が施行されたら一年六カ月たったら全部とにかくそれ以内に公開する。ただし、その場合長い間、出願から一年六カ月という基準じゃなくて、三年たっているものもあるし四年たっているものもありますから、「期間内」という表現を使った、こういう意味ですか。——そうすると、いま残っている六十万件というものを、これから法律が通ったら一年半で完全に公報に掲載し、印刷をし、全部作業が済むと長官は判断しているわけですね。
  108. 荒玉義人

    荒玉政府委員 さようでございます。といいますのは、実はこの公開準備手続に相当時間かかりまして、もちろん本法案の成立いかんにかかっておりますが、われわれといたしましては、できるだけ早く準備いたしまして、そういう計画で進みたいと思っております。まだ時間の余裕がございますが、そういう点で考えております。
  109. 武藤山治

    武藤(山)委員 これはなかなか至難なことだと私は思う。とにかくあれだけの件数を一年半で完全に公報に載せ、しかもそれを流せるなんという、そんな簡単なわけにはいかぬだろう。それはいまの陣容や作業能率のよほどのあがり——庁舎はいまのように第一庁舎と第二庁舎に分かれていて、そして出願するのは通産省の裏のほうに行って、その書類を今度はこっちの審査官のほうに持ってきて、何かといえば今度はそれを小さいバス、国会議員が毎朝宿舎から通うようなマイクロバスで書類を運搬して、これはたいへんなロスが出る。こういうような体制の中でとても一年六カ月でいま残っているものの公開手続が全部済むなんということは、ぼくはたいへんなことだと思うのです。そこらは長官全く心配ないという確信を持っておるのですか。
  110. 荒玉義人

    荒玉政府委員 制度改正分で四十五名の定員確保しております。必要によればアルバイトを足しまして、順調な公開手続を実施いたすつもりでございます。  庁舎云々でありますが、庁舎の場合ですと、特別でございますから、古い時期のは古い庁舎を使うわけでございます。そういった形で計画どおり推進していく確信のもとにやっておる次第でございます。
  111. 武藤山治

    武藤(山)委員 長官がこれから何年間長官のいすにとどまって、生涯をかけてこの法改正を実りあるものに実施をするという腹がまえがあるかどうか。とにかくもう五年間くらいは長官として踏みとどまりたい、そのくらいの積極的姿勢をお持ちなんですか。
  112. 荒玉義人

    荒玉政府委員 私自身の問題を答弁するのはいかがかと思いますが、私はそのつもりでやっておる次第でございます。
  113. 武藤山治

    武藤(山)委員 まだちょうど五分あるのですが、問題が一区切り済みまして、これから庁舎の問題、予算の問題、給与、待遇の問題、こういう問題を質問いたしたいと思っておりますので、通告もそうしてありますので、ひとつ本会議終了後に庁舎の問題、待遇改善の問題に触れたいと思いますので、一応ここで質問を留保して、休憩に入っていただきたいと思います。
  114. 大久保武雄

    大久保委員長 本会議散会後再開することとし、この際、休憩いたします。    午後一時二十五分休憩      ————◇—————    午後二時四十二分開議
  115. 大久保武雄

    大久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。武藤山治君。
  116. 武藤山治

    武藤(山)委員 今度の改正案が通りますと、出願の早期公開をするために公開公報を発行する。たいへんお金がかかるようでありますが、公開公報発行についての予算は大体どういう計画で、これからの見通しとして年々どういう予算を必要とするのか、またその公報発行のために必要な新たなる人員増というのは一体どういう計画になっておるのか、これをちょっと明らかにしてください。
  117. 荒玉義人

    荒玉政府委員 大体こちらの計画の金額で申し上げます。  四十四年度、これは三カ月でございまして、一億八千六百万、四十五年度、これは大体ピークになりまして七億八千万、四十六年度五億、四十七年度四億二千万、四十八年度四億四千万。所要人員は三十名を予定しております。いまのは大体制度改正分の中で、公開公報というのは新たなる事務でございますから、三十名を予定しております。
  118. 武藤山治

    武藤(山)委員 特許庁予算の中ではたいへん多い金額ですね。ことしの予算要求を見ても、新規増員の人件費が五千四百万円、ところが公開公報だけでも三カ月で一億八千六百万、来年は七億八千万、たいへんな経費がかかるわけですね。この問題について、公聴会のときに専門家の方から、こういう公開公報を発行する手間を省いて、実質的には公開をしたのと同じ効果があがる方法があるではないか、したがって、いまの公開公報発行による公開制度というものはやめたほうがいいじゃないか、こういう陳述がございましたね。長官、これは聞いておったと思うのです。そういう考え方で、一年六カ月たったら自由閲覧ができるようにしたら、公報の発行などをしなくてもいいではないか、こういう意見だと思うのですが、この意見に対して、長官はどういう反論を考えているのですか。またこういう方法はとれないんだという何か根拠があるのですか。
  119. 荒玉義人

    荒玉政府委員 いろいろ方法、これはわれわれも事前に、審議会段階でもいろんな意見がございまして、最初は公述人の話がリスト公開、ですから一応出願人なり発明の名称をリストで出します。必要に応じまして、申し込みがあって閲覧する、いわゆるリスト公開、そういうふうに当初考えて、先生おっしゃるように、確かに経費も少なくて済む。ただ、そういう案をいろいろ各界で意見を聴取いたしまして、その結果、特許の場合は全文公開、実用新案の場合は図面公開、要部公開、そういうことになったわけでありますが、その理由は、まず外の需要でございます。これは部門別によってそれぞれの需要があると思いますが、総じて先端技術、化学、電気部門になりますと、一々見に来る手数はたいへんでございます。それと同時に、実用新案のように請求範囲だけという案も考えたわけですが、やはり全文を読まないと技術の内容はわからないという強い要望がございます。それが第一点。それで、そのためにはどうしても外部からリストだけ出して一々必要なものを全部コピーをとっていくということになりますと、業界の負担もまずたいへんでございます。それともう一つ特許庁も一応リスト公開しておりますが、それぞれ審査資料としてやはりコピーが要るわけです、ハードコピーが。そうしますと、われわれのほうの経費と、それから民間が一々コピーすると、費用はたいへんでございますので、そういう意味では、やはり全文を公開してもらわないとどうしても不便だという、業界なり、われわれの内部の強い要望もございまして、それで、見た目は、さっき言いましたように七億八千万でございますが、あと公開公報を使っていく民間、われわれのハードコピー代、その他を含めますと、これはもちろん民間のほうは厳密に計算したわけではございませんが、やはり全文公開をしないと不便だという判断に基づきまして、いわゆる原案のようになった次第でございます。
  120. 武藤山治

    武藤(山)委員 この間の公述人は、公開公報の発行をやめて自由閲覧制度がいい、もう一つは、索引に便利なように出願内容を分類に分けて、出願番号と発明の名称と発明者、出願人を記載した索引を印刷して配布すればいいではないか、こういう提案だったわけですね。こういう方法によって経費を削減し、あるいは労務の手間を減らすというようなことも十分検討してしかるべきではないかと私は思うのであります。そういう検討も十分なされずに今回のような改正をするということは、少し急過ぎるのではないか、こういう感じがするのであります。しかしこれは、あなたの見解とは平行線になるでしょうね。  そこで、これから六十万件余に及ぶ滞貨の分を三十名の人たちでこの公報を発行する、印刷をやるわけですね。印刷のほうへ回して発送したりいろいろやるわけですね。大体一年半でそういうことが可能なためには、一人で一日どのくらいの仕事量をしなければならないのか。三十名の人数で、一年半でこの公開公報を滞貨の分を出すということは可能なのかどうか。一人当たり処理件数というのはどういう積算をしておるのですか。
  121. 荒玉義人

    荒玉政府委員 それの積算はあとで申しますが、誤解のないようにちょっと申し上げますと、印刷は全部外でやります。したがいまして、印刷事務は特許庁でやりません。それから発送事務も現場から直送をするという体制でやります。したがいまして、事務といたしましては、内部の公開の計画をつくって印刷をしていく、もちろん編さんもできるだけ外部の協力を得てやっていくという意味でございます。したがいまして、発送それ自身、印刷それ自身を全部外部でやるという方針でおります。あと算定方式を申し上げます。
  122. 星埜一彦

    星埜説明員 お答え申し上げます。公開公報の発行のためにこの事務を外注に出したり、そういう事務を担当いたします職員は、特許庁の公報課に配置されておるわけでございますが、これは四十四年度におきまして七名でございます。  それからこれの積算の基礎でございますが、公開公報の発行というものは新しく始まる作業でございますので、その積算の基礎をいろいろ検討したわけでございますが、現在特許庁が公告公報を発行しておりまして、この公告公報の発行につきましても外注しておりますので、公告公報の発行と同じ事務量で計算しておるわけでございます。
  123. 武藤山治

    武藤(山)委員 公告公報についての処理状況はどうなっておるかを言わないと答えにならぬ。課長、それをひとつ明らかにすること。もう一つは、その公告公報はいま一部幾らで売っておるのですか。そうして公告公報をいま幾らで売っておって、これからの新しい公開公報というのは幾らで売って、この予算額の来年度七億八千万円をその売却によって生み出すという計算になっておるのか、それはどうなっておるのですか。
  124. 星埜一彦

    星埜説明員 公開公報の発行量につきましては、これは四十五年の一月一日から始まるわけでございますが、月間三万四千件、これを百件単位にして発行いたすわけでございます。
  125. 武藤山治

    武藤(山)委員 全然課長は質問に答えておらぬじゃないですか。それは故意にそういう答弁をしておるのか、それとも頭の回転が鈍いのでそういう答弁をしておるのか、おかしいですよ。公告公報はいま出しているから、これについて一人どのくらい事務量があるのだということは答えられるわけです。それを一つ質問したわけだ。もう一つは、これは一体一部幾らで売るのですかという金額のことを聞いたわけで、そうして七億八千万円という年間の公開公報発行費用というものを売却費でまかなうつもりなのかどうか。三つ聞いているのです。一つも答えてない。
  126. 星埜一彦

    星埜説明員 どうも失礼いたしました。ただいまの第二、第三の質問点につきましては、ただいま資料を調査しておりますので、若干御猶予いただきたいと思います。
  127. 武藤山治

    武藤(山)委員 あなたは先ほど公開公報はまだ出してないからわからぬと言われた。それはいいんですよ。ところが、いま公告公報は出しておるでしょう。当然特許法が専門に議論されるこの委員会には、ちゃんとそういう資料を持ってきているでしょう。だから、そういうものからいって、これだけの金をかけて、そうして人員がふやせないふやせない、総定員のワクがあってだめだだめだと言っているときに、こういう新しい制度をつくって動きがとれるだろうかということを心配しておったので私は質問しておるわけであります。  もう一つは、予算の面から、これが全部発明者に転換され、企業側に転換をされて料金をちゃんと取るのかどうかということなんですが、公報を売るのかどうか、その場合の金額は幾らで、公告公報と比較してこういう値段になります、そういうことぐらいは答えられるのではないですか。公報発行費というのは、ことしの予算要求の中で一番大きいんですよ。
  128. 荒玉義人

    荒玉政府委員 あとの二点について、まずとりあえずお答え申し上げます。   〔発言する者あり〕
  129. 大久保武雄

    大久保委員長 不規則発言をお慎みください。
  130. 荒玉義人

    荒玉政府委員 公開公報の単価は最終的にきめておりませんが、大ワクだけでごかんべん願いたいと思いますが、特許は一冊八百円、実用新案が七百円の予定でございます。現在は、大体コストが特許が八百円、実用新案が七百円ぐらいのところであります。ただ売価をどうするか、これは今後の問題でございます。現在は公告公報のほうは部数が多うございますので、大体八百円に見合うのが三百円というぐらいに考えていただけばいいかと思います。といいますのは、部数に差がございます。もちろん最終的にこれはどれだけ売るかということによってきまることでございますが、大体そういうことでございます。  それから全体の収支の問題でございますが、御承知のように公報というのは一部無償で提供いたすものもございます。全国的にも相当ございます。一部は民間が有料で買うという二本立てでございまして、全部民間の買うものから原価を償うという形ではありません。民間のほうは、先ほど言いましたような大体コストに見合う価格で払い下げていきたい、いわゆる実費で民間で買っていただく、あと公衆閲覧用は国の金で支弁していきたい、そういうことで考えております。
  131. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると、七億八千万円かかって収入はどのくらいになりますか。先ほどの話では三万部発行する、そうして八百円と七百円だということですが、どっちが三万部でどっちが何万部かはわからぬが、三万部と計算してみても、とても七億八千万円の予算には届かない。半額にもなるかならぬかだが、大体大ざっぱな見当では、どのくらいをいただくのですか。
  132. 荒玉義人

    荒玉政府委員 これは各本による希望もございますが、大ざっぱな数字で支出の半分物品払い下げ代金で入ってくるとお考えいただきたい。大体予算額の半分くらいが民間から払い下げ代金で入ってくると考えております。
  133. 武藤山治

    武藤(山)委員 それでは、これからの予算編成が従来とはたいへん変わらなければそういうことができなくなりますね。いままでは歳入と歳出が大体バランスがとれる予算編成をしてきた。だから今度はその半額くらいしか民間から取れないとなると、やはり三億かそこらは従来よりもどこかを削らぬと歳入、歳出の均衡予算はとれない。大臣は先ほど予算確保に、新しい条件が生まれた場合には一生懸命努力すると言ったから、そういう点もひとつ十分頭に入れて、公開公報だけでもとにかくもう従来より三億円から三億五千万、ちょっと四億ですね、七億八千万の半分しか収入が入らぬのですから。その分庁内だけでも、従来の予算編成からいくと、ほかへしわ寄せがくるわけですから、そういう点も十分大臣頭に入れてひとつがんばってもらわぬといかぬと思うのです。
  134. 堀昌雄

    ○堀委員 関連。いまのあなたのほうの答弁で一部コストが八百円、それで三億九千万円、それでまかないたいといったら、一体何部売れることになるのですか。
  135. 荒玉義人

    荒玉政府委員 先ほど言いましたように、大ざっぱな数字で恐縮ですが、大体五百部くらい、それぞれの部門について一応五百部が外で売れるという前提でございます。
  136. 堀昌雄

    ○堀委員 五百部で八百円ですか。それぞれの部門というのは百二十の部門全部が一律五百部ずつ売れるということですか。
  137. 荒玉義人

    荒玉政府委員 大体部門は一応十四部門で発行する予定でございます。大体部門は十四でございますから、ある部門は年間何冊出てくるかということをもう一つかけなければいかぬと思います。
  138. 堀昌雄

    ○堀委員 一部門であなたは五百部と言ったじゃないですか。
  139. 荒玉義人

    荒玉政府委員 たとえば一部門の一冊のコストでございます。それが大体五百部で、かける十四部門、それの十四部門のそれぞれ年間部数がそういう計算になると思います。
  140. 堀昌雄

    ○堀委員 私はいま単純にちょっと計算してみますと、長官が言う三億九千万円の収入を得るために、一部八百円と見るというと、年間に四十九万部売れなければいけないのです。それで、いまあなたの言うように十四部門で五百冊程度で四十九万どうやって売るのか、それを明らかに立証してからでなければ審議は前へ進められない。答弁でたらめ過ぎる。
  141. 武藤山治

    武藤(山)委員 第一、ことしも予算要求しているのだから、積算の基礎がわからないはずがないんだよ。予算要求するときに内容がわからぬで大蔵省がつけるはずがない。
  142. 荒玉義人

    荒玉政府委員 月間が大体三千四百でございます。かける十二かける五百、五百は先ほど言いましたように部数の五百でございます、かけるそれの単価。ですから先ほど言いましたような概数で、その正確な数字は後ほど申し上げさせていただきたいと思います。
  143. 堀昌雄

    ○堀委員 三千四百というのは一体何ですか。
  144. 荒玉義人

    荒玉政府委員 失礼しました。三万四千件の公開公報をいたすわけでございます。それで百件を一冊にいたしますと、三千四百でございません、三百四十でございます。つまり月間の公開公報のトータルの件数が三万四千、それで……。
  145. 堀昌雄

    ○堀委員 三万四千は部数に関係ない。
  146. 荒玉義人

    荒玉政府委員 ですから最終の部数を申せばいいのでございますが、発行計画は三万四千件を毎月公開公報で出していく。出願件数でございます。それを一冊百件ずつ本に出していく。だから本の形でいいますと三百四十冊、一カ月三百四十冊といいますか、種類が三百四十で、十二カ月やりましてそれが大体一冊当たり五百部ずつ売れるであろうということでございます。正確な資料はすぐ追って申し上げます。
  147. 武藤山治

    武藤(山)委員 これは資料を出してもらわないとわからぬから、早急にひとつ資料を出してください。どうも五百部の八百円、五・八・四十の四十万円、とても四億なんかにならぬ。さっきも予算額の半分ぐらいは企業側でいただくのですと答えたから、どうして半分が企業側の売価で収入になるのか、その根拠を——事務局、意味はわかりますな。それを早急に出してください。  それから、さっきのおもちゃはあとにして、しゃべりついでだからひとつ庁舎の問題から入っていきたいと思います。この間、大臣はあいにくいなかったのですけれども、ここへ参考人をお呼びしたときに静岡薬科大学の学長伊藤先生、日本大学の杉林教授が特許のことについていろいろここで提言をしてくれたわけであります。その中でやはりぼくらが感じますのは、制度改正すれば事足りるような考え方は誤りだということをしみじみ感じたわけです。特にドイツの例を伊藤学長がお話ししたのでありますが、ドイツではもうりっぱな施設をつくって、エアコンベヤーで書類がさあっと送られてきて、作業能率がまことによくあがるように、しかも審査官の個室がまことによくできておって能率が非常にあがるようになっている。作業環境が非常にいい。給料のこともちょっと聞いたら、別荘を持っている審査官もおる、なかなかそれは裕福です、日本の審査官の待遇はまことにおくれているというお話をここでしてくれたわけですね。そういうことを考え合わせて日本の特許庁を見ると、どうもいまの特許庁は二つに分かれていて、こちら溜池のところにある特許庁はたいへん古い建物です。ここの中に入って実用や特許審査をしている審査官の部屋を、大臣、就任されてからごらんになったことはございますか。
  148. 大平正芳

    ○大平国務大臣 まだその機会を持っておりません。
  149. 武藤山治

    武藤(山)委員 その機会を持っていないのでは、審査官がどういう環境のもとで、どういう不備な条件の中で、書類を取り出したり作業をするだけでも全くたいへんなロスがあるなあということは感じていませんね、見てないのじゃ。話をちょっと聞いていたぐらいですね。しかも、いま第一庁舎と第二庁舎があって、出願は通産省のほうの事務所で受け付けるのです。それを今度はマイクロバスでこっちへ持ってきたり、また必要なことがあれば打ち合わせやなんかも向こうへ行かなければならぬし、たいへんなロスだとは大臣お考えになりませんか。
  150. 大平正芳

    ○大平国務大臣 漸次新庁舎のほうにまとめるべく計画をいたしております。
  151. 武藤山治

    武藤(山)委員 その新庁舎に統合するという計画の概要は大体どういうことになっておりますか。官房長お見えになったようですから、具体的にひとつ説明願いたい。
  152. 両角良彦

    ○両角政府委員 新庁舎は現在半分完成をいたしておりまして、残りの完成は、本年度中に着工をいたしまして三カ年計画で完成をいたす、すなわち昭和四十七年度末までに新しく継ぎ足す分を完成いたしたいと考えております。
  153. 武藤山治

    武藤(山)委員 官房長、それは通産省のどういう部局が入居することに予定されていますか。全部特許庁ですか。
  154. 両角良彦

    ○両角政府委員 新しくつくられます部分につきましては、特許庁関係を優先的に収容いたす予定でございます。
  155. 武藤山治

    武藤(山)委員 優先的に入居させるということは、ほかの局も入るということですね。最初の計画などでは特許庁だけの建物になるように建設省のほうの書類ではなっておったようですね。それが翌年度計画では、今度は通産省の本省のほうから入居する、特許庁も入る。どのくらいなスペースを取り合うかわかりませんが、特許庁専門の建物をつくるんだということが最初の計画にあった。それがいつの間にか今度は本省のほうの部局が入ることに変わってきたようですが、その経過はどういうことなんですか。
  156. 両角良彦

    ○両角政府委員 通産省の新館をつくります最大の理由は、ただいま御指摘をいただきましたように、特許庁関係の部局を最も近代的な設備の中に統一的に収容いたすということにあったわけでございまして、その目的のために新館の建設を始めたわけでございますし、またその目的は今後の増設計画におきましても一貫して維持されるわけでございます。
  157. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、いまの、審査事務を行なっている、古い特許庁庁舎の中で働いている環境より、個々の審査官のスペースなどはずっと広くなりますか。そういう点はどういう計画になっておるか。  それから予算額はことし八千万円ついているようでありますが、これは三カ年間でどのくらいな予算額を計上して、そうして特許庁関係は機械化あるいはエアコンベヤー、こういうドイツのようなものまでひとつ取り入れよう、そういう大構想なんですか。それとも、ただ人間だけごちゃごちゃ入れられればいいという、入れものをつくるという感覚で計画をしておるのか。この内容はどうなんですか。
  158. 両角良彦

    ○両角政府委員 お答えいたします。新館のスペースにつきましては、現在新館に収容しております特許庁関係は大体一人当たり十三平方米くらいの平均になっておりまして、これは旧来のスペースよりも優遇されておると思っております。また将来とも増設工事が完成いたしました場合には、この点の改善について私どもも努力をいたす心算でございます。また予算につきましては、四十四年度予算だけがただいまきまっておりまして、これは御指摘のとおり八千万円でございますが、次年度以降につきましては今後の予算折衝においてきめられると思いますが、大ざっぱに申しまして二十億前後の予算ではなかろうかと思います。  それから御指摘の設備の点でございますが、これはせっかく新しい庁舎をつくりまして特許事務の能率の増進をはかりたいという趣旨から申しますと、私どもは全力をあげまして新鋭の設備をこれに備えるように努力をいたしたいと考えております。
  159. 武藤山治

    武藤(山)委員 それでは、設計書自体が特許庁向きに設計をされておると私はいまの答弁で認識をいたします。大体特許事務が処理しやすいような設計で建てるときからやらなければだめですからね。エアコンベヤーなんかは入れてもいいという計画などはあるのですか、全くありませんか。
  160. 両角良彦

    ○両角政府委員 御指摘のとおり、特許庁を収容いたす以上、最も事務処理がしやすいような設計を考えたいというわけでございますが、具体的な設備の内容につきましては、なお詳細に意見を聞きましてきめてまいりたいと考えます。
  161. 武藤山治

    武藤(山)委員 長官、この間の参考人の伊藤さんの話を聞いて、特許庁長官としてこれからどういう施策を打ち出さなければならぬ、あるいはこういう点をひとつ機械化しなければならぬ、庁舎ができる時期を契機にひとつ抜本的な特許行政の能率化をはかろうというような考え方になりましたか。ドイツの場合、どういうシステムで、どういう近代的なものになって、いま日本でつくるとした場合にそれにどの程度の金がかかるか、そういうような大ざっぱな目安くらいのものは、この問の参考人の話を聞いて調べたのじゃなかろうかと思うのですが、それはいかがですか。
  162. 荒玉義人

    荒玉政府委員 まずドイツは御承知のように審査官は個室でございます。それから書類は自動搬送装置でございます。そういうので一体どのくらい金がかかるか。これは単価は向こうの単価でございません、われわれの推定単価でございますが、大ざっぱに言いまして、現在千八百人の総定員でございます。一応そこをベースにして試算いたしますと、約百一億ほどでございます。総面積は八万八千六百平米。そういう意味ですと、これは現在われわれから見ますと、いわば非常に理想的な建物でございます。ところが、いま官房長から話でございましたように、現在一期の中に入っておりまして、二期それぞれ合わせて六万平米でございます。したがいまして、現在の場所それ自身では不可能でございます。六万といいますのは建築基準その他をやりますと、どう全部建てましても八万八千、約九千にはなりません。そういった意味でわれわれとしてはドイツの建物はうらやましいと思いますが、とりあえずとしては、いま官房長の話のとおり二期を早くしていただきまして、そこにいち早く勢ぞろいをしたい。ドイツの問題はそういった意味で、われわれとしては非常にうらやましいと思いますが、いまのところは二期を早くして、その中に収容するというような方針で現在おります。
  163. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると、審査官は個室ではないが、二人一部屋くらいのスペースになるのですか。それから自動搬送機を入れようという確固とした方針は定まったのですか。それとも自動搬送機を入れるのは無理だ、将来七万平米もある広い土地が見つかったときに、十年先になるか二十年先になるかわからぬが、そういう土地が見つからない限り自動搬送機を入れないという考えなのか、そこらどうなんですか、特許庁としては。
  164. 荒玉義人

    荒玉政府委員 自動搬送機の問題でございますが、大体七億少々かかると思います。そういったスペース的、あるいはいまの設計その他でこれはもう少し検討しますけれども、いまの建物、今度は一期の建物自身全部変えていかなければならぬ、そういったことが設計上可能なのか、どうかという点については、スペースその他から見て、いまの建物の二期で最初からやるということはどうも専門家の意見で困難のようでございますが、もちろんエアシューターは、これは二期が完成すれば、書類は直ちにエアシューターで現場へ行くということは当然考えられますが、将来搬送というところまでいけるかどうか、少し設計段階で協議しますが、どうも専門家の意見は非常にむずかしいという感触のようでございます。
  165. 武藤山治

    武藤(山)委員 官房長、いまドイツの特許庁の例を長官から伺ったら、概算大ざっぱに百億かかるだろう、ドイツのように自動搬送機を入れ、エアコンベヤーを入れ、完全に能率化される、近代化されるためには百億はかかるだろう、二十億程度ではこれは何ともドイツのスペースにそっくりなものでないにしても、とにかく六十万件も滞貨があるということは、官房長もよく知っているでしょう、特許の状態が麻痺状態にあるということもよく知っていますね。したがって、ここで新庁舎をつくるというチャンスですから、このチャンスにできるだけ特許庁のいまの状況というものを打開する、こういうひとつかたい決意で大臣とも十分話し合って、今度の新庁舎は特許庁に最重点的に力を入れて、しかも近代化できるそういう設備にしてやろう、しよう、そういう決意になれますか、どうですか。それから大臣、二十億というのはちょっと少な過ぎる、そういうことを考えてみると。これはまだあと三年あるのですから、いまから大臣がいろいろ大蔵省と折衝し、十分事務当局を督励して、りっぱな案をつくらせることはまだ可能だと思うのですよ。ここでひとつ特許庁のあり方を近代化していくということで、思い切った予算要求をして、改善をしようという決意になられますかどうか、ひとつ大臣の御所見を伺っておきたいと思います。官房長はそのあとで答えてください。
  166. 大平正芳

    ○大平国務大臣 ことしの予算がきまっただけでございまして、明年度以降は新たな折衝の問題になると思います。したがいまして、特許庁事務能率の向上、設備の近代化、執務環境の改善というようなことを頭に置きまして、十分私自身も吟味いたしまして、自信のあるところを要求してみたいと思います。
  167. 両角良彦

    ○両角政府委員 ただいま大臣の御答弁にございました方針にのっとりまして、私どもも日本の国力にふさわしいりっぱな特許庁の施設を完成したいと思っております。
  168. 武藤山治

    武藤(山)委員 官房長、先ほどちょっと触れたのですが、建設省の各省各庁営繕計画に関する意見書というのがありますね。これを見ると、四十四年度の入居官庁はどこかというと、通産本省一本になっちゃっているのです。その前はずっと、通産本省、特許庁あるいはは工業技術院、中小企業庁、これが四十三年の工事。四十三年の一期の中に、通産本省、特許庁、工業技術院、中小企業庁、四つも入るわけだ。二期工事のほうを見ると、四十三年度には特許庁、工業技術院、通産本省、中小企業庁になっている。四十四年度になったら特許庁が消えちゃって、通産本省だけになっている。だから不安があるのですよ。これを見る限りでは不安がある。新しくできるこの建物は特許庁が入れなくなるのだなという感じを持つのです。そういうことは絶対ないかどうか。
  169. 両角良彦

    ○両角政府委員 建設省の文書の項目いかんにかかわらず、私どもとしては方針並びに実体に変更はございません。
  170. 武藤山治

    武藤(山)委員 それではこの問題については、きょうここで御答弁された、特許庁を最優先に、しかも特許事務がスムーズにできるような施設、建物、審査官が十分能率があげられるような、そういう配慮をした建築を進めるということで答弁を受け取りますから、十分ひとつ御努力を願いたいと思います。官房長一応けっこうです。  次に給与の問題について、人事院参りましたか——。審査官、審判官また補助事務員。特許行政というのが他の官庁と比較して特殊な性格を持っており、いまの滞貨問題をどうするかということの名案がなかなか出てこない。私は一つは、結論的に言えば、これだけ出願がふえてくればそれに対応した人間をふやさなければだめだと思います。  第二には、それらの人たち気持ちよく真剣に働ける労働に対する刺激、そういうものを与えなければ、やはり感情を持った人間なんですから、そういうものをうっちゃらかしておいたのではなかなか能率はあがらぬと思うのが第二点。その労働に対する刺激策が何かないかということが第二点ですね。  第三には、いまの制度そのものに不合理があるならば、その不合理も是正していくという、こういう三位一体にやはり考えていかないと、一つだけが欠けてもだめだし、これは全体として発展をさしていかないことには、なかなか処理の所期の目的を果たすことができないのじゃないかと考えているわけなんです。  そういう考え方の中の一環として、給与問題が私どもとしてはかなり重要な問題だと思うのであります。人事院はかつて昭和三十五年ですか、特許庁審査官、審判官に対して八%の調整費をつけ、さらに補助事務員は四%ですか、これをつけた根拠は一体何なのか。そうして昭和三十五年にこの調整費をつけて、今日までもう十年になんなんとするが、これを全然いじらないのは一体どういうわけなのか。この二点をまず御答弁願いたいと思います。
  171. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 特許庁審査につきましては、その仕事の独立審査的な性格、それから資格要件といたしましての専門的な技術性、そういう関係を考慮いたしまして調整額を三十五年につけたわけでございます。これは、ほかの審査官、たとえば社会保険審査官、あるいは入管等の審査官、あるいは人事院にあります審理官等がございますけれども、そういう職については特段の配慮はしておりませんが、特許庁につきましては、ただいま申しましたような八%の調整額をつけておるということでございます。ほかとの関係から申しますと、私の気持ちとしては、ややいいという感じでおりますけれども、いま先生がお話しのような状態でもございますし、やはり当面としてはそういうことで優遇していくということで対処する必要があるのじゃないかということでございます。八%でございます。パーセンテージでございますので、年々俸給のベースアップに伴いまして、その額が上がっていくような状況になっておるわけでございます。
  172. 武藤山治

    武藤(山)委員 何か聞くところによると、特許庁の職員のほうが本省の他の職員よりも昇格がおそい。たとえば四等級に昇格するのに、本省職員の場合より、おそい人は一年もおそい。これは定数が押えられているために、なかなか役付きになれないために、そういう四等級になるのに本省よりも一年もおくれてしまうという結果が出るのか、そこらの原因は一体何だと人事院は見ておりますか。
  173. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 審査官の俸給制度につきましては、現在いわゆる行政職俸給表を使っておるわけでございます。この点は審査官につきましては、審査官補、審査官といったような職務段階からいいまして若干問題があることは確かでございますけれども、人数も八百名程度でございますし、特別な俸給表をつくるのもどうかという問題もございますので、行政職一表を適用するような形で運用しているわけでございます。そこで、審査官の採用人員がその年の必要に応じまして従来かなり変動をしてまいったわけでございます。ある年は五、六名でございますのに、次の年は四十名採るといったような形で採用されてきておりますので、そういう昇給状況につきましては、対照のしかたがむずかしいところが若干ございます。しかしながら、先ほど申しましたような職務段階の、ある意味での同一性ということもございますので、私どもとしましては、そういう関係を考慮しまして、毎年等級別定数の改正と申しますか、格上げということで対処をしてまいっております。ただいまお話しになりましたような昇格状況につきまして、ほかの上級職の昇格状況といったようなものも十分考慮をいたしまして、毎年改正をしておりますし、本年度の場合にもそういう意味改正をしてまいっておるという状況でございます。
  174. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、本省の職員と比較した場合に、三等級になる、あるいは四等級になるのに、何といいますか係長とかそういうポストがないとそういう等級にいかないわけでしょう。何か特別の給料表で給料を上げていくのだけれども、ランクが二十何階か何かで、それ以上いけなくなってしまってどん詰まってしまうとか、そういう問題があるのだと思うのですね。だから特許庁審査官、審判官だけはやはり行政職一表でなくて、実情に合った特別の給与表にして、かなり刺激を与えてやらなければいかぬのではないでしょうか。そこらは何がネックでできないのだろう。人数が少ないからだろうか、それともそういう調査をしなかったために今日まだ行政職一表を使っているのだろうか、原因はどこら辺にあるのです。
  175. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 行政職の場合は、いわゆるポストに応じまして等級別定数が定められるわけでございます。したがいまして、たとえば通産本省のような場合には、ポストがあきました場合はそれに対する昇格ということが行なわれます。したがって、そういう新陳代謝の度合いによりまして、年度によりましてかなり早かったりおそかったりという関係が生じ得るわけであります。特許庁の場合は、ただいまお話しになりましたように、審査官審査官補、審査長といったような職務段階の関係から申しますと、現在の行一俸給表をそのまま適用するということにつきましては、ただいま申しましたように問題が若干ございます。つまり俸給表と申しますものは、一つの職務の種類、職務段階、それからそれぞれの段階におきます耐用年数、そういったものを総合的に考慮いたしまして作成する必要がございます。そういう点から言いますと、特許庁審査・審判官につきましては、それなりの俸給表というものを構成したほうが、理論的には適当であろうという感じになろうと思います。しかし人数の関係もございますし、そういう意味の職務段階の違い等を同じように考えますと、現在ほかの行一俸給表で二十何万おりますけれども、その中で俸給表が非常にたくさんできるという関係もございまして、運用上、給与行政上非常に複雑になるという点がございますので、現在行一俸給表を使っておるわけでございます。しかしながら、そういう職務段階、そういう特殊性も十分考慮しまして、昇格つまり等級別定数の運用につきましては、適合するような運用をいたしたいということで、毎年定数の改正をいたしているところでございます。
  176. 武藤山治

    武藤(山)委員 人事院の考え方は、実情にそぐわない面があることを率直に認めておられます。ただし全体の公務員の中に占める数が少な過ぎるために、あるいは給料表が幾つもできて複雑になるために、この二つのネックがあるために別の表ができない、こういう答弁でございますね。   〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕 その程度のことのネックなら、ほんとうにやろう、実情に合わせよう、また審査官が一そう真剣に働けるように、昇格も年数が来ればスムーズにできるという給料表に直してやろうということを、政府自身が真剣に取り組めば、できないほどの障害じゃないと思うのです。だからいまの答弁状況では、通産大臣特許庁長官が、審査官の実態、勤務状況、またいまの昇格の状況、こういうものを十分調査検討して人事院に十分協議をするならば、可能性ありと感じたのでありますが、その辺人事院の感じはいかがですか。
  177. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 ただいま申しましたように、俸給表の理論的な構成要件からいたしますれば、特別な俸給表ができてもおかしくないというふうに考えます。考えますが、現在の俸給表は十数種類すでにございますし、数百名につきましての俸給表を一々つくってまいりますと、俸給表の数が非常に膨大になりまして、その運用につきまして非常にいろいろな事務上の複雑な問題が生じますので、私どもとしては、できるだけ現行の行政職俸給表を使って実情に合うような運用をしたほうが、いろいろな意味で全体として総合してよろしいんではないか、そういう気持ちでございます。
  178. 武藤山治

    武藤(山)委員 ちょっとおかしいね。実情からいって別な表をつくるのはより実態に合うわけでしょう。やはり行政というものは実態に合うようにするのが本来のあるべき姿なんであって、数が十四が十五になるからといって、一つよけいに給料表ができるからといって——現実に十四の表があるということは、それぞれ違うものを持っておるからできておるのであって、やはり審査官の作業状況仕事の内容、実態がいまの行政職一表ではそぐわないということであるならば、一つくらい表がふえたって別に支障はないと私は思うのです。そのほうがより能率があがり、より発明者やそういう創造性を持った国民の権利確保してやるのに行政がスムーズに進むとなれば、私は大いにそういう方向で前向きに検討してしかるべきだと思うのですが、通産大臣はどうお考えになりますか。私はその問題をこの辺で前向きにじっくり検討すべきだと思うのでありますが、どうでしょうか。
  179. 大平正芳

    ○大平国務大臣 どういう俸給表をつくり上げるか、そういう分類をどうやるかということは私の守備範囲をこえた問題でございます。ただ、われわれの任務は、御指摘のように、業務の実態に応じた処遇が確保されるようにできるだけの努力をすることが任務であると思います。したがいまして、人事院当局におきましてもいろいろ御理解をいただいておると思いますけれども、今後一そう審査官等の職務の重要性、実態というものにつきまして、もし認識の足らないところが人事院にございますならば、それを啓蒙してまいる努力を重ねることによって、職務の実態に合った処遇が保障されるようにこの上とも努力をいたしたいと思います。
  180. 武藤山治

    武藤(山)委員 私そろそろ出かけなければならぬ用事があって少し急がなければならぬので一、二点だけでやめますが、いま、退職をして弁理士をやる人たちは、大体採用されて何年くらい勤務した人が弁理士となるためにやめるか、大体勤務年数何年ごろの方が一番多いように考えますか。
  181. 荒玉義人

    荒玉政府委員 大体でお答えいたしますれば、十年前後かと思います。
  182. 武藤山治

    武藤(山)委員 私も聞きましたところ、やはり十年、十一年が一番多い。それはなぜだろうか。結局私は待遇の問題だと思うのです。これは、ここへつとめていても、どうせもうポストはない、三等級にも行けない、四等級になるにも、ポストがきまっているからなかなか番は来ない、失望ですね。それだったら金の取れる弁理士になったほうがいい、こういうことになるから、ちょうど審査が一番できる、能力も熟練も、もうほんとう能率があげられる人たちが、十年勤務し十一年勤務してやめてしまう。一年に二十人もやめていけば、結局新しい人は四年間は審査官として完全にやれないわけですから、埋め合わせが新規ではつかない。やめた人は新しい人四人分ぐらいを一人でやっているわけですからね。十年もたてば、おそらく補助の人たちから見れば四人分くらいやるでしょうね。そういう優秀なのが毎年どんどん落ちていってしまう。それを一生懸命補充しようとするが、長官は人が集まらないんだ、そんなに人が来ないんだ、集めたくもどうしようもないんだ、こう言うんですね。だからこれはやはり両方にライトを当てて措置しないと、なかなか優秀な審査官というものはとどまらぬと思うのであります。私がきょうここで給料表のことを持ち出したのも、そのことがあるから取り出してみたわけなんです。だからそういう点で、やはりこういう一人で決断をし一人で処理をするという審査官、審判官、こういうものに対する待遇というものは、他の職種と違うということを十分勘案して、特許庁長官としても、人事院に対して十分本腰を入れて協議をすべきだと私は思うのですが、長官、この退職年齢と関連して、いまの給料表の問題についてもうちっとあなた真剣に前向きに人事院と折衝する必要があると思いますが、あなたの考えはどうですか。
  183. 荒玉義人

    荒玉政府委員 特別給与表につきましては、長年われわれとして人事院に要望してまいったわけであります。ただ具体的になぜやらぬかという問題、実はわれわれ人事院と協議しながら一つの問題があります。御承知のように特別給与表といいますのは、研究職なりあるいは教員の場合大体特別給与表でございますが、その性格は、初任給は高くて高年齢層になりますと必ずしも有利でないのが現在までの他の特別給与制度でございます。いわば一般の俸給表で途中で上位に上がっていくといったほうが、従来の他の給与表から見た場合、そちらのほうが途中で上位に上がれるわけですから、俗なことばで有利でございます。そのあたり、われわれの職務からいえば、先ほど給与局長からございましたように、われわれも、給与表でやらないと普通の行政組織における級別定数というワクになかなか入ってこないという問題がございまして、ぜひやりたいと思っておりますが、先ほども申しましたが、やはりやる以上は有利な特別給与表ということの実現のために具体的に人事院と強力に交渉を進めてまいりたい、かように考えております。
  184. 武藤山治

    武藤(山)委員 時間の都合で他の質問を省略をして、最後の質問として、先ほど「出願公告をしたものを除き」という六十五条の二、おもちゃの場合が一年六カ月以内に想定される、事実あったのかないのか、これの質問についてはどうですか。
  185. 荒玉義人

    荒玉政府委員 先ほどお許しを得ましてサンプルの調査をいたしました。ここに表がございますが、詳細ですからあと資料でお配りいたしますが、大体これでおもちゃ三件で一年三カ月、一年三カ月、一年三カ月、これが出願から出願公告になっておるもの、それから開閉機の部門で、ここで大体六件表が出てまいりますが、一年半以内に公告になった表がございますが、それはあと資料で提出させていただきます。
  186. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると、おもちゃ類の出願というのは非常に出願件数が少ない、そういうために一年六カ月で審査ができるのか、それとも出願のわりに審査官や補助事務員が充実しているのか、どこに原因があるのですか。
  187. 荒玉義人

    荒玉政府委員 大体おもちゃの場合は、この例で申しますと、ほとんどが実用新案でございます。特におもちゃの場合は非常に生命が短うございまして、あるいは輸出その他という事情がございまして、できるだけわれわれといたしましては、特にそういった特殊事情がございますので、もちろんベテランの審査官もそこにおりまして、そういった形で長年、おもちゃのほうは早くしないと価値がないという点がございまして、そういった体制整備を重点的にいたしまして、そうして目標は、大体一年半くらいにはやっていきたいという前からの方針に基づいて処理してまいった次第でございます。
  188. 武藤山治

    武藤(山)委員 これでやめますが、大臣、この法律をめぐって参考人やあるいは公聴会でのいろいろな意見を聞いたわけです。どうも私らが聞いて、この法律に積極的に賛成をし、どうしてもこれをやらなきゃいかぬのだという積極的な意見は二人くらいしかない。大半の人が、この制度改正をやっても効果はありませんよ、それよりかは先ほど申した人員の問題、作業能率があがる作業場、環境の問題、そういう問題が両々相またない限り、これは制度改正をやったって結果的には滞貨処理にならぬ、こういう意見を吐いた人が大部分であります。十二、三人公聴会においでいただいて聞きました。大臣も聞けば、大臣は迅速果敢な決断力と見通しのある偉大な政治家ですから、これは継続審査にすべきだという結論がおそらく出たと思う。残念ながら大臣がおらなかったために、長官はメンツにこだわって、この法律を一たん提案したからには、しゃにむに通さなければという意地になっている。これは危険です。一国の将来の科学技術の進歩を危うくするものですから、あとで議事録をじっくり大臣が読んでからこの法案の採決に入るべきだというのが私の意見なんです。私は、大臣が読んだら、これはいかぬなと感ずると思うのです。そこでどうですか、与党理事委員長と相談なさって、これは一年くらいじっくりもう一回再検討して、そうしてさらに幾つかの満たされる条件を次のように改善をしようという根本策をきちっとつくって出直しをする、そのことのほうが将来の百年の大計を誤らぬ道であると私は思うのですが、最後に大臣の所見を伺って質問を終わりたいと思います。
  189. 大平正芳

    ○大平国務大臣 たびたび本委員会でも私の見解は申し上げたのでございますが、権利を保護しなければならないし、またその権利は日本のために生かして使わなければいかぬわけでございます。そういう観点から申しますと、今日のように滞貨が累積しておるというような状態はまことになげかわしい事態でございます。したがって、正統的な解決方法は、十分の要員と予算を用意いたしまして、迅速に処理がつくようにやってまいることが、仰せられるまでもなく正統な解決法だと思うのでございますが、今日、わが国の状況から申しますと、そういった条件を満たすことがなかなか困難である、したがって、制度の改正というようなこともあわせて考えながら、この渋滞した事態の克服を考えなければならぬということを考えて、今度改正案を提案いたしたわけでございます。したがって、これに反対される御意見も十分傾聴に値しますし、私どももよく理解できるのでございますけれども、今日のような状況に追い込まれたものとして、具体的に可能な改善案というものを模索いたしまして、一歩でもそれを具現してまいるのが私どもの責任であると存じまして改正案を提案いたしたわけでございまして、私どもは、皆さんの御理解を得まして、本改正案の成立をこいねがっておることにいまなお変わりはないのでございます。
  190. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういう認識が変更されるという——公聴会あるいは参考人意見を十分大平さんが聞いておれば、これはあかんなという判断になったと思うのですが、残念ながらあなたはわれわれのへたな追及と質問しか聞いてないものだから、まだ特許庁長官の言うことを一〇〇%信頼をして、そういう結論だろうと思いますが、これはどうも将来にたいへん禍根を残すと私は思います。まあ、見解の相違でありますから、これ以上大臣と意見を交換しても平行線でありましょうから、質問はこれでやめますが、将来たいへんなことになって取り返しのつかぬことにならぬように、十分私は警告を申し上げて質問を終わりたいと思います。
  191. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員長代理 次に、加藤清二君。
  192. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 本日はもうすでに四時でございます。しかも本委員会に提案されておりまする法案はまだあまた重要案件が山積しておるようでございます。しかるに、ただいま私が質問をしようといたしておりまするこの特許法に関する限り、すでに相当長い時間論議が戦わされておるようでございまするが、一向に解決のめどがつかないようでございます。さて、そうなりまするというと、本委員会にかかっておりまするあと法案がどういうことになるやらと思って心配しながらいるのは野党の私だけではないと思います。大臣は一そう御心配だと存じます。そこで、私は、きょうは理論や理屈を抜きにいたしまして、簡単に要点をかいつまんでぽんぽんと、こうお尋ねいたします。それは急げ急げという方々に協力する意味でございます。したがって、御答弁のほうも簡単にして要を得て、簡単にお願いしたい。  そこで、第一番、大臣にお尋ねいたします。  頸腕症候群て、何でございますか。
  193. 大平正芳

    ○大平国務大臣 電子計算機の。パンチャーが往々にして罹病いたします首と腕の病気だと承知します。
  194. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 その病気にかかっている方が通産省の中に何人いらっしゃいますか。
  195. 荒玉義人

    荒玉政府委員 特許庁関係者六名でございます。ただ、本省全体幾らありますか、ちょっと私存じません。
  196. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私は大臣に、通産省傘下にそういう病気並びに疑わしき人が何人いらっしゃるか、お尋ねしておるのです。
  197. 大平正芳

    ○大平国務大臣 まだ私よく正確に存じませんので、調べましてお答えします。
  198. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 これはひとつ至急お調べの上お答えが願いたい。私の質問の終わるまでには十分できると思います、本日はうしろにたくさんの局長が来ていらっしゃいますから。  そこでお尋ねしたいのは、特許庁におけるキーパンチャーの定員と今日の充足されている員数はどうなっておりますか。
  199. 荒玉義人

    荒玉政府委員 定員は三十四名でございます。現在員は二十九名でございます。
  200. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 もう一度お尋ねいたします。定員は……。
  201. 荒玉義人

    荒玉政府委員 三十四名でございます。
  202. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それで充足されている人は……。
  203. 荒玉義人

    荒玉政府委員 二十九名でございます。
  204. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ほんとうですか。それをちょっと調べてください。うそを言ったらだめですよ、私は調べているのですから。
  205. 荒玉義人

    荒玉政府委員 先ほどのは四月一日実員でございます。七月一日実員は係長を含めて二十七名でございます。七月一日最近の一番新しい実員でございます。
  206. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 係長が二人見えることは存じ上げています。ただいま充足されている員数は何名ですか。二十九名じゃないでしょう。
  207. 荒玉義人

    荒玉政府委員 四月一日が二十九名と申し上げましたが、そのうち配転しておりますから、一番新しいのは先ほど言いましたように係長二名含めて二十七名が現在員でございます。
  208. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 間違いありませんですね。だんだん聞いていったあとでまた減るとたいへんですよ。そうすると、あなた、特許庁答弁は不信を買いますよ。よう調べてください。一人前の男が特許庁から消えてなくなっておってはたいへんです。幽霊がおってもたいへんです、これは。
  209. 荒玉義人

    荒玉政府委員 恐縮でございます。一名減りまして二十四名でございます。先ほどの係長二名、係員二十五名が、係長二名、係員二十四名でございます。
  210. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 大臣、これは長官に求めたり長官の責めに帰するということは無理かと存じます。六百名もいるんですから、無理はないと思うのですが、少なくともここは国会です。座談会の席じゃないのです。国会において、現在自分の部下が、どこでだれが何人働いているかくらいのことは、係長や課長級は掌握しておってもらいたい。  先ほどから黙って聞いておれば、総務部長ですか、だれかかれかは知らぬけれども、ちゃらんぽらんですよ。そんなばかな話がどこにあります。これが予算委員会だったら、どういうことになります。何も私は長官がうその答弁をするなどとはつゆさら考えておりません。長官がうその答弁をしなければならぬような、その仕組みがなっていないのだ。こんなことでどうして審議ができます。  次にお尋ねいたします。  そのキーパンチャーのうちで、なぜ三十四名の定員が充足されていないのですか。
  211. 荒玉義人

    荒玉政府委員 御承知のようにパンチャーというのは専門職で、適当な人をたびたび採用いたすわけでございます。で、採用いたしますけれども、採用困難だという場合に、やむを得ず一般事務職に、いわばこの定員は先ほど言いましたように、余裕があるわけでございますが、募集をいたしますそのたび試験をいたしますが、全部充足できませんので、その実際の差額は一般事務に使っておるという現状でございます。
  212. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 充足されないという理由ですね、それはどこにありますか。
  213. 荒玉義人

    荒玉政府委員 御承知のように、キーパンチャーというのは民間のほうでも相当需要がございます。したがって、われわれ試験をいたしますけれども、そういった向こうの希望者というものとわれわれの要求する人というものがなかなか合いませんので、実情、実際困難であるということにあるかと思います。
  214. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 給与の問題とは関係ございませんか。たとえば、私企業の会社に雇いますキーパンチャーが三十四分の二十四、五だのという、三割の余も欠けているというようなことは、聞いたためしがない。これは何も荒玉長官が募集をしなかったとか、募集を怠けておったということには私は解釈していない。特許庁へつとめるよりは三井さんのほうがよろしい、三菱さんのほうがよろしい、こういう人は大ぜいいるはずでしょう、そちらでは選抜試験までやっているのですから。いかがです。ただ一般的に足りないのじゃないのでしょう。特許庁に足りない、特許庁に希望者が少ない、こういうことでしょう。
  215. 荒玉義人

    荒玉政府委員 その原因は、私は給与の差だと思います。
  216. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 いみじくもおっしゃった。そのとおりです。そういうようにばっさりばっさりとパンチをぱちんぱちんときかしていただくと、話が早く進みます。  ところで、特許庁内におけるキーパンチャーの仕事の内容でございまするが、一人の人が何時間くらいたたいておりますか。
  217. 荒玉義人

    荒玉政府委員 約二百三十分稼働でございます。
  218. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それは一般私企業の会社と比べて多いですか、少ないですか。
  219. 荒玉義人

    荒玉政府委員 少ないと思います。
  220. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 少ない。どこと比べて少ないのですか。
  221. 荒玉義人

    荒玉政府委員 一般的な民間と比べて少ないと思います。
  222. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 その民間はどこですか。
  223. 荒玉義人

    荒玉政府委員 ですからどこの民間——総括的に申しまして少ないということでございます。
  224. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それではここの庁内と比べてみましょうか。ここの庁内のエレベーターガールは何時間勤務しておりますか。
  225. 荒玉義人

    荒玉政府委員 残念ながら存じません。
  226. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 これは拘束八時間ですが、実質四時間以下でございますよ。これは事務局でそういうふうに規定されておるのです。  では、もう一度お尋ねします。特許庁のキーパンチャーの拘束時間と実務時間をもう一度。
  227. 荒玉義人

    荒玉政府委員 先ほど言いました二百三十分というのが拘束時間、拘束といいますか、実際に働いておる実働時間でございます。
  228. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 拘束時間は。拘束時間も聞きましたよ。
  229. 荒玉義人

    荒玉政府委員 それは一般公務員並みでございますから、八時間でございます。
  230. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 あなたは、エレベーターガールとキーパンチャーの労務内容について、いすれが精神と肉体とエネルギーを消耗するところの度合いが多いとお考えでございますか。
  231. 荒玉義人

    荒玉政府委員 キーパンチャーだと思います。
  232. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そのとおりです。私もそう思います。しかるがゆえに、これはもう労働基準法にかかわる問題でございまするので、多いの少ないのとわれわれがここで論議する問題とは性質が違うと思います。しかし、その結果今日三十四名が三割余も充足されていない。その原因の中に、病気、その他故障が発生して勤務できない状態になっている人が何人ありますか。
  233. 荒玉義人

    荒玉政府委員 現在、先ほど言いました二十四名が勤務しておりますので、その点は支障ございません。
  234. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私は、病気その他になっている人が何名おられますかと聞いておる。
  235. 荒玉義人

    荒玉政府委員 先生のおっしゃるのは過去病気が……。
  236. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 いつの時点でもけっこうですから、お答えください。
  237. 荒玉義人

    荒玉政府委員 先ほど言いましたように、六名でございます。現在もちろんそれはほかのほうに配転しております。
  238. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そうですね。いつの現在でもけっこうですが、大体二割から二割五分病気になっていますね。この病気は公務災害が適用になっておりますかおりませんか。
  239. 荒玉義人

    荒玉政府委員 現在一名公務災害の認定の申請をいたしております。
  240. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 大臣、この病気はすでに先例がたくさんございまして、自民党政府の中におきましても、労働者災害に対してたいへんな注意を払い、それを一日も早くなおしてやろう、こういう温情のある人がいらっしゃるのです。特にまた、反対党をほめては私はしかられるかもしれぬけれども、原労働大臣のごときは非常に熱心です。私は、党派が違うても、いい人はいい人だ、りっぱな人はりっぱな人だと申し上げます。  そこで、すでにこの病気につきまして、いわゆる公務災害の適用を受けている省が幾つかあるのです。特許庁は人数からいきますと、電算機を仕入れてからこの方、キーパンチャーの数は本省の定員と比較して率は多いほうでございます。人数も多いほうでございます。病気になった人も多いのです。なぜ公務災害を適用しておやりにならぬのですか。
  241. 大平正芳

    ○大平国務大臣 本来、仰せのように、労働保護措置は周到でなければならないと思います。私どものほうでも目下申請をしておるケースもあるようでございます。より一そう調べまして、申請の要があるものにつきましては早急に手配をいたします。
  242. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 大臣御案内のとおり、これが私の原因で発生した病気である場合と、公務災害である場合とでは手当がすっかり違いますね。あれこれ待遇も変わってきます。自費でなおすのと公費でなおすのと、通院する場合の費用から、その間、自分で休まなけれならない場合と、公務として通院の時間も計算してもらえるのとではだいぶ変わってきますね。私はこういうこまかいことを聞いていますけれども、このことがやがて職場を明るくし、上司に対する信頼度を左右する問題になると思います。先ほど大臣は、人間は感情の動物である、だから喜んで働かせなければいけないとおっしゃいました。私もこの意見には賛成でございます。しかし、末端において職業病でありと、すでに他の地区で認定されておりながら私だけはなぜそれが認定されないのだろうかということになりますと、ついついだれしも自分のことよりは相手の世話のほうに恨みを持っていきがちのものでございます。  引き続いてお尋ねいたしまするが、いまの特許庁の分室の状態において、このキーパンチャー病であるところの頸腕症候群、これはだんだん削減される傾向にありまするか、それともそれがだんだんと増加する傾向にありとお考えでございましょうか。
  243. 荒玉義人

    荒玉政府委員 傾向としては減少傾向にあるかと思います。
  244. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ではお尋ねいたしまするが、キーパンチャーがキーをたたいておる部屋の騒音の度合いは何ホンございます。
  245. 荒玉義人

    荒玉政府委員 先般外部の機関に委託いたしまして新しい庁舎で調べてもらいましたが、大体一番多いので七十二ホンでございます。ただし八十二ホンの個所が二カ所ございました。それで御承知のように人事院の基準というのは大体七十五ホン以下が望ましいという状況でございます。
  246. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 長官は万々御承知の上でやって見えますね。人事院の基準は七十五ホンである。地下鉄の中にいた場合は大体八十五ホン程度である。おたくではキーパンチャーの部屋が地下鉄以上の音がしているということは、これは一歩離れたら違うのですからね。耳元へ行って聞いてみなければわからないのですから。耳元ではかられたことがありますか。
  247. 荒玉義人

    荒玉政府委員 先般専門家の調査でございますので、耳元で調査した結果でございます。
  248. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 主計局から来て見えまするのでお尋ねいたします。  航空災害というのがございます。基地周辺の小学校、中学校はこれみな騒音防止のために防衛庁予算をもって防音装置が行なわれることになっております。基準は何ホンですか。   〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕
  249. 海堀洋平

    海堀政府委員 私そこまで詳細に承知いたしておりませんので、後刻調べましてお答え申し上げたいと存じますが、ある高さ以上を甲あるいは乙というふうに二つの区分でやっておりまして、まずその高いほうから措置をとっているわけでございます。どの程度のところを基準にいたしておるかは承知いたしませんので、後刻調べましてお答え申し上げたいと存じます。
  250. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでけっこうでございます。私はなぜこんなことを大蔵省にお尋ねしたかといえば、精神的な作業をする場所、すなわち学校の教室、電算機に入れる前のいろいろなデータをつくるためにたたくところ、ともにこれ精神作業の場だからでございます。ところで学校の場合、これは防音装置を国費でもって全額まかないますね。普通小中学校の場合は……(発言する者あり)だんだん話すからあわてなさんな。それじゃ詳しくやりましょうか。それじゃ義務教育小学校の建築費は——詳しくやりますよ、憲法では無償とするといっているけれども三分の一だ。中学校は二分の一だ。単価が低過ぎる。十二万円も十三万円もかかるのに七万五千円とか九万円とかいうように単価を下げて——何でこんなことを言わなければならぬかというと、何かごてごてと言うからです。言えば、こっちが知らずにおったとか間違えたことを言っておるとかというように解釈されてはかなわぬから、知り過ぎておるけれども、急げ急げとおっしゃるからしようがないので簡潔にものを言う。この場合小牧基地周辺、板付基地周辺、あれこれありまするけれども、これは大体防音装置によって三十ホン以下にする、これが大体の基準なんです。それに合わなかったらこの建築は取りこわしになる。したがって、特許庁の部屋の中もこれにしなければ、病人をだんだん減らす傾向にあるとおっしゃったけれども、それは口で言われるだけであって行なえないと思うのです。このための予算特許庁大蔵省要求なさったことがあるですかないですか。
  251. 荒玉義人

    荒玉政府委員 大体新しい機械に入れかえる予算措置は終わっております。二十一台の機械が九月中に新しく入れかわるということでいまの音の問題ももっと低くなっていく。したがいまして、予算措置はもうすでに終わっております。
  252. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 その新しい機械によって音はどの程度下がります。
  253. 荒玉義人

    荒玉政府委員 機械を入れまして、大体先ほどの八十二ホンというものはなくなりまして、全体が大体七十二ホンということになる予定でございます。
  254. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 七十ホン台というのはきめられている最高限ですね。これはもっと下がるはずでございます。それはあなたが他の私企業のかかる仕事をしている部屋を調査して歩きなさるとよくわかると思います。それ以上その問題についてはつきません。  勤務時間はそのままですね。あなたは病人の発生を下げてみせるとおっしゃいましたね。下げてみせるところのファクターは、新しい機械を入れて八十ホン以上のものが七十二、三になる。もう一つは勤務時間を短縮する。それはいかがです。
  255. 荒玉義人

    荒玉政府委員 新しい庁舎は、御承知のように環境は、休憩時間その他の施設は前よりかいいわけでございます。同時に、やはりときどき体操をやるというようなことでございまして、先ほど二百三十分と申しましたのは、その前二百四十五分。十五分間体操時間を繰り入れることによりまして、予防的な措置を講じたいと思っております。
  256. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 大臣、承れば長官としては本件についてはたいへんな注意を払い、努力をしていらっしゃるやに承ります。当然のことだと思います。そこで、これをそれだけ努力しても全部発生が終わるとは限らない。現にまたいま発病している人もいらっしゃる。この原因を除去すると同時に、すでに発生してしまった者についての対策でございまするが、これは至急公務災害として取り扱えるよう大臣が裁量をすべきだと思いますが、大臣は、この問題についていままでお聞きになったことはございませんか。それで最初に病名を承ったわけなんです。あるいはお聞きになっても、あまりにも仕事が多いから、それは失念なさったのかもしれませんけれども、いま現に起きている問題をどうするか、将来起きないようにするために原因をどのように除去するか、この問題について大臣から承りたい。
  257. 大平正芳

    ○大平国務大臣 先ほど御質問がございましたので、いま確かめてみましたら、一名は公務災害の認定済みだそうでございます。なお自余の者につきまして、なおよく検討させまして、所要の救済を要する者がございますならば、急いでやらなければならぬと考えております。  それから環境の改善の問題でございますが、これは加藤さんからいろいろいいアドバイスをちょうだいしましたので、私もいままでそういった点について下僚から報告を受けて判断を求められたことはなかったわけでございますけれども、こちらのほうから相談を持ちかけて検討をしてみたいと思います。
  258. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 佐藤さんは人間尊重と言われたり、国民とともに歩む政治と言われたりしたが、私は、その具体的な問題は、こういう職場の末端に働いている人の苦情をくみ取ってそれを一日も早く解消してあげることが、国民とともに歩む政治の具体策ではないかと思います。幸いに大平大臣はヒューマニストでいらっしゃるから、ひとつぜひこのことはあたたかい温情をもって対処していただきたいと思います。そういうことがやがて本法案に対する反対の度合いを薄める結果になるのではないかと思います。私が非常にに残念に思いまするのは、どんなに機械が新しくなりましても、設備がよくなりましても、その設備や機械がその能力を発揮せずしては仕事能率はあがらないという、その原理が特許庁に適用されているということでございますが、この電算機を入れてから一体どれだけ能率があがりましたか。
  259. 荒玉義人

    荒玉政府委員 電算機部門を使っておりますのは大別して二つございます。いわゆる出願業務関係と機械検索でありますが、現在のところはむしろ出願関係が多うございます。将来はむしろ機械検索が逐次拡大していくという方向かと思いますが、電子計算機の効果はいろいろな角度から評価されるかと思います。  少しこまかい数字になって恐縮でございますが、導入されましたのは三十九年度からでございます。それで、当時電子計算機でやっております人間が三十六名ございました。三十六名でやっておりましたが、電子計算機関係が五十八名プラスになっております。そういう意味では五十八名だけ新しく加わったわけでございます。ただ、その当時三十六名といいますのは、非常に出願事務が急増いたしまして三十六人ではとても消化し切れない。具体的に言いますと、まず最初に受け付けまして、出願番号通知が大体二カ月以上かかっております。現在大体二週間くらいでございますが、発送も非常におくれているという状況でございます。そういった状況でございますので、三十六人というのは、当時としてはむしろ普通にするためにはもう少し人員がよけい要ったということでございます。当時は、出願件数出願課員一人当たり大体三千六百四十件くらいの処分をしておったわけでございまして、そうして先ほどのような長期間窓口事務がかかっておったわけでございます。先ほど技術系、事務系といういろいろなお話がございましたが、出願課の人数を中心に見ますと、一人当たり大体千八百件ないし千九百件くらいが普通のノルマの仕事だと思います。そうしますと、電子計算機を導入した三十九年ごろには、そのくらいの負担で考えますと約百四十人くらいは必要になったのではないか。そうして四十三年度になりますと、ますます出願増でございます。そうすると、約百八十人くらいの人間所要であるということが一応推測されます。そうすると、いま電子計算機の所要人員を含めまして百二十四名ありますので、差し引き六十名——本来ならば、百八十四名くらい要ったであろうというのが電子計算機所要分を含めまして約百二十四名くらいですから、差し引き六十名くらいの人員の面からみればプラスになったのではないか。もちろんこの点につきましては、いろいろ閲覧が電子計算機のために現在の能力が手一ぱいでございますので、あるいは閲覧の場合に前よりかもっと時間がかかったという面がございますが、人員の面から申し上げれば大体六十名程度人間の節約になったというふうにわれわれは考えております。
  260. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私の党の政策審議会の調査したところによると、必ずしも長官のお答えどおりではございません。しかし私は、きょうここで長官のいまの御答弁に反論を加えようとは思いません。なぜかならば、長官が一番よく御存じのはずだからでございます。  そこで、百歩譲ってそうなったとしても、犠牲の上に立てられた効果というものは、恨みこそ重なれ、決して前進するものではございません。決して能率をあげる材料にはならないのです。そこでお尋ねせなければならぬことは、機械化の前に人が要るということなんです。たくさんの滞貨がある。それを機械で処理する。しかしその前に人が要るということです。その人が特許庁へはなかなかに充足されない。先ほど大臣もお認めでございます。充足するためにたいへん努力している、だから御同情願いたいとおっしゃった。その努力に対する同情は私は惜しみません。えらいものだ、お気の毒だと思います。しかし、そういう員数で仕事を与えられて、ノルマを課せられているその下に働く従業員のほうがなおお気の毒だと思います。そっちのほうに私はより多くの同情を惜しみません。この立場に立って次に御質問いたします。なぜ充足されないのでしょうか。
  261. 大平正芳

    ○大平国務大臣 技術者は引く手あまたでありまして、技術者不足と申しますか、総体的にそういう事情がありますことと、それから特許庁という職場の評価でございましょうが、どれだけの魅力を感ずるか。非常に機械的な反復と索漠たる仕事でございますから、本来非常に魅力的であるとは言えないこと等が原因ではなかろうかと判断しております。
  262. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私も賛成です。しからば、職場に魅力を持たせるにはいかなる手だてがございましょうか。どのような努力をなさったでございましょうか。
  263. 大平正芳

    ○大平国務大臣 先ほど、人間はパンだけで生きるものにあらず——給与だけがわれわれの行動の基盤であるとは思いませんで、やはり公の仕事を通じて国に奉仕するという誇り、そういったものも私は日本の国民にはあると思うのでございます。もし処遇という点、魅力というような点だけから申しますならば、いまどき官庁勤務を志す方は非常に乏しいのじゃないかと思いますけれども、そうばかりでもないところは、やはり別な尺度があって、公務に対する魅力を感じられておる若人が相当あると思うのでございます。したがって、今日なお不十分ながら公務員の充足がきいておるということは、そういう一面があると思います。同時に、国といたしまして在職中の給与、退職後の給与といった点についてできるだけの配慮を、隔靴掻痒の感があるとはいえ、いたしておる、そのことに対する信頼感も確かに一つのファクターであろうと思います。しかし具体的な職場におきましては、先ほど加藤さんが御指摘のとおり、明るい職場をつくらなければなりません。私も就任にあたって通産省の職員にお願いしたのは、まず明るい職場環境をお互いの努力でつくってもらいたい、通産省に来てたいへん愉快になったというわけにいかぬかもしれませんけれども、不愉快になったということは少なくともないようにしようじゃないか、その明るさを持ってもらうように管理職の諸君にお願いをいたしておるところでございます。執務環境の整備につきましても、いままでもいろいろくふうをしてきたようでございますけれども、今後も引き続きくふうをこらしまして、明るい能率的な魅力のある職場の形成に努力してまいるつもりでございます。
  264. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 給与の問題、名誉の問題、それから職場の環境の問題、三つお答えになりました。私もこれはたいへん重要な要素だと思います。ところで、もう一つの問題は、通産大臣が職場に一度も行ったことがないとおっしゃる、これは問題だと思います。おひまを見つけてキーパンチャーの部屋をぜひのぞいてみてください。それがキーパンチャーの心に通うきずなになると思います。当然のことだと思います。それは何か悪いあらがあるのではないかというような見方ではなくて、ほんとうに愛情のこもった気持ちで職場をおたずねになれば、能率をあげる一つのりっぱなよすがになると思います。  そこでお尋ねしますが、本省には人が集めにくいということがございますか。集めようと思っても集まらない、とりたくてもとれない、もう一つ私が追加すると、特許庁ではとっても逃げてしまうということが追加される。そういうことが同じ通産省管下で、いわゆる本省の方にはありますかありませんか。
  265. 大平正芳

    ○大平国務大臣 特に目立って職場を離れたいというような動きを看取いたしておりませんけれども、なおよく注意して見てみたいと思います。私のいままでの感じでは、そういうことはないように思います。
  266. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 本省と特許庁の間にだいぶ格差があるようですね。空気の上からいっても、給与の面からいっても、待遇の面からいっても、次々とポストを栄進していく上においても、これが長年にわたって歴史的に是認されておるようでございます。一言にしてこれを言えば、長官などの職はうば捨て山だとかつて言われていた。だから見てごらんなさい。長官長官の任期は戦後平均何年でございますか。岡田君以降でよろしい。
  267. 荒玉義人

    荒玉政府委員 むしろ最初からいったほうが私、すぐお答えができます。大体事務次官の事務取り扱いを除きますと、私が四十二代でございます。八十四年でございますから、平均二年とお考えになっていただけばいいと思います。ただ最近の場合は一年少々ということでございます。
  268. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そうなんだ。全体の平均が二年で、戦後は一年ということに相なりますると、昔は長くいまは短くと、こういうことなんだ。そういうことになりますね。大臣、このような複雑怪奇な問題を処理するに、一年で効果があげられますか。大臣、端的にいってどうです。
  269. 大平正芳

    ○大平国務大臣 よほど天才的な人でございますならば、十分こなすのでございましょうけれども、でき得ればもう少し長い期間がほしいと思います。
  270. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 本省の局長の平均年限は何ぼですか。
  271. 大平正芳

    ○大平国務大臣 調べましてまたお答えします。
  272. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 特許庁長官はうば捨て山である、こういうことばが流行しておりましたね。ただし、長官の場合はこの限りにあらず。次官になる準備期間である。次官になった場合のエネルギーを蓄積するために、あそこでほっと一息入れましょうと、こういうこと。こういう空気が特許庁の庁内に延蔓して、人をばかにしているということで、精神的に打撃を与えた力は大きいと思います。しかし、幸いにこのたび荒玉君が選ばれた場合には三段飛びといわれた。なぜ三段飛びにするかといって尋ねたら、これは特許庁に一番通暁している、だから腰かけにはしない、今度は長い間そこに置いて、そうしてしっかりと特許庁行政を立て直すんだ、こういう答弁が返ってきたことを覚えておる。これはけっこうな案だと思います。したがって私も賛成いたしました。それはいいアイデアだ。ところが荒玉君が行かれてから、どうも庁内の部下の賛成と申しましょうか、理解を取りつけるということに——もっとも時間が短いからそこまでいけなかったかもしれないけれども、ベテランの中のベテランがおやりになるにしては、どうもジグザグジグザグで鈍行列車のような気がしてならない。原因は、荒玉君一人の力をもってしてはどうにもならないところにあるようでございます。そこで原因一つを探求してみましょう。  第一番、同じ東大出の方が通産省へお入りになりまして、本省へ入られたときの給与、五年後の給与、十年後の給与、二十年後の給与と、本省と比較して給与表を提出願いたい。
  273. 荒玉義人

    荒玉政府委員 後日提出いたします。
  274. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは、それは後日ということにいたしましょうが、長官、あなたは今日の通産省の中で特許庁に通暁する最高のベテランでいらっしゃるはずですから、見て知ってみえるでしょう。長官立場からお考えになって、本省と比べて特許庁のほうが上ですか下ですか、それだけ聞きましょう。
  275. 荒玉義人

    荒玉政府委員 本省と比べる場合に、審査官とそれから本省採用の同じ経歴を持った技術系職員、こういうことだと思いますが、かつては一年くらいのおくれがございました。現在逐次縮小いたしまして、たとえば三十二年に卒業したというクラスは、本省と大体同じになる見込みでございます。逐次縮小はしておりますが、過去においてはそういう事実はございました。
  276. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 あなた、本省の局長が大ぜい見えるものだから、遠慮して見えるのと違いますか。私は数字を聞いておる。本省と特許庁の手柄を聞いおるのではない。あなたは六百有余人の部下を掌握する立場として、その方々がほんとうに明るい職場で喜んで働いていただくためには、給与のアンバランスがあっては、しかも遠くにあるならいざ知らず、すぐお隣にあっては、コンプレックスが生ずるくらいのことはよく御存じのはずなんです。なぜここで遠慮せなければならぬか。それなら私のほうにデータがあるから読み上げましょうか。いかに格差があるかということはそれではっきりする。それは何も今日の通産省の局長や官房長のせいでもなければ、大臣のせいでも何でもない。これは事務官を尊重して技官を軽べつする官僚の組織がそうさせておる。企業会社にもこういう例は前にありました。しかしこれは戦後だんだんと解消されてきておる。いまや事務官よりか技官のほうが待遇は優遇されているという時代に向かいつつあるわけなんです。諸外国みなしかりだ。ドイツのように、十五年つとめたら特許庁の技官が別荘を持っておりますなんて、そんなところまで私は要望はしてない。が、格差が目の前にあって、向こうの水が甘くてこっちの水が苦かったら、だれが苦いところにおりますか。いずれあなたのほうの出されたデータで承りますが、本日集約すると、まとまった感懐からするとどうですか。途中に格差があることも知っております。初めよいよい、だんだん悪いということもわかっております。採用のスタートのときだけ同じように出た、あとだんだん悪くなる、高原状態が続いてしまう、それで希望が持てるとお思いですか。長官にこれ以上言わせると差しさわりがあるといかぬ。それでは大臣にお尋ねしましょう。同じ自分の省内に、あるところは給与も名誉のほうもさあっとスムーズに上昇していく。あるところはある程度までいったらずっと高原状態が続いて、なかなかに動きが鈍い。こういう場合に大臣としてはどうなさろうというおつもりか。ほっておくつもりですか。これはほっておいていいですか。ほんとう数字で責めたいけれども、ストップばかりするから抽象論でいきます。
  277. 大平正芳

    ○大平国務大臣 明治政府からずっと、御承知のとおり日本の官僚制度は、事務官といいますか、法科出身というか、そういった階層が昇進も早かったし高い地位を占めておったということは加藤さん御指摘のとおりでございます。現在それがそれじゃ完全にデモクラティックになっておるかというと、私はなっていないと思います。ただ、戦後、ようやくだんだん民主化いたしまして、逐次格差が縮小の方向に行っておることはけっこうでございまするし、この傾向はますます促進してまいらなければならないと思います。とりわけ、あなたがいま御指摘の技術者の問題でございますが、これは、従来事務系統から申しますと大きな格差があったと思いますが、それも漸次縮小の過程にあると思います。特に、この前にも私が申し上げましたとおり、技術国家と申しますか、技術行政がいま非常に重大な局面を迎えてきておりますので、技術者というタイトルを持たなくても、技術行政にたけた方、技術の実態について十分御存じの技術者はもとよりでございますが、そういった意味技術を重視するという方向で、人事行政、給与行政というようなものもそういう点にアクセントを置いた行政でなければならぬ、そういう方向に漸次行っておりますけれども、なおこの傾向を促進していかなければならぬと思います。
  278. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私が先ほどお尋ねいたしましたことの裏づけが具体的にあらわれております。  そこでお尋ねいたします。初めよいよいだんだん悪い。この審査官にも、なりたての方と審査官になって相当ベテランになられた方とがいらっしゃいますですね。その審査官の途中退職、いわゆる引っこ抜き、これは上級の方に多いですか、初級の方に多いですか。
  279. 荒玉義人

    荒玉政府委員 先ほど言いましたように、十年前後でございまして、もちろん上級でございます。
  280. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そうでしょう。上級審査官のほうに非常に希望退職者が多いでしょう。これは首にしたのじゃないのですね。自主的な退職希望ですね。これは依願退職です。あとこの人は遊ぶのですか。別荘ができたので、もうそれで遊ぶのですか、ドイツみたいに。そうじゃないでしょう。よそにつとめるのですね。つとめる先は、自分の技術を生かせるところですね。よそに行って自分の技術を生かしたら、給与は何倍ぐらいにはね上がりますか。
  281. 荒玉義人

    荒玉政府委員 何倍というのは実は調査しておりません。といいますのは、大体行く先は、みずから弁理士の仕事をやる場合、あるいは民間企業に行く場合、あるいはもちろん自分で仕事をする場合、いろいろございます。何倍かは私承知しておりませんが、大体現在よりは上がるということは事実でございます。
  282. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 長官はわかり切っておることを遠慮してよう言わぬね。ちらっとわが党の政調会で調べたことを言うてあげましょうか。最低二・五倍くらい。もっとも私企業で弁理士業を開けば、それは初年度くらいはゼロかもしれませんよ。そこまでは私の財産でございますから踏み込み調査はできません。が、会社に行かれた方の給与はよくわかっておる。五倍というのもあります。六倍というのがある。もちろんこれは別な手当がつくからでございます。ボーナスその他を加算いたしますと七倍というのもあります。首振っておったってあかんわ。証拠出そうか。それなら数字でやりましょうか。そうするとあなたのほう、ストップ、ストップでしょう。ですからこっちはわざとあれしておるのです。どんなに首振ったって事実だからしようがない。ということはどういうことだ。大臣、それだけ世間は審査官の価値を認めているということです。その価値ある人が特許庁に拘束された場合には、貧乏と戦うだけでなくして、本庁の人と比べて不名誉と、同時に事務所の中では騒音とまで戦わなければならぬ。毎日追い立てられ追い立てられたという強迫感で過ごさなければならぬ。これじゃ明るくないですね。したがって、この給与改善について、幸いに主計局次長もいらっしゃることだから、抜本的とは言いませんけれども、さしあたって法律改正された場合に、審査官の給与という問題について検討をするいいチャンスだと思いますが、大臣、いかがです。ただ、採りたくても採れない、採っても逃げる、御同情御同情をと言うておったって、これはどうにもしようがないですね。どうです。
  283. 大平正芳

    ○大平国務大臣 先ほども申し上げましたように、人間、給料ばかりで職業を選択するわけでもないと思います。やはり加藤さんが言われたように、名誉というか誇りというか、そういう要素があるわけでございまして、特許庁をやめられて転職された場合に何倍かの給料になるケースもあると思いますけれども、なお自分の選んだ職場、私は、学校を出て第一発に選んだ職場が一番大事だと思います、人間にとりまして。そこで十分自分の修業を積み、信用を重ねて初めて人生の基礎ができるように思いますので、罪薄な待遇の中で清福な生涯を送られておる多くの職員があとを絶たないと私は思うので、皆さんが利を追うて走るというような方々ばかりでないと思います。ただ、御指摘のように、非常に複雑な、困難な、重要な仕事でございますから、こいねがわくば特別な給与体系のもとで御処遇が願えれば一番いいわけでございまして、けさほども別な俸給表が考えられないかというようなことが論議されたことは御案内のとおりでございます。われわれ自身といたしましては、何百名かの小集団ではございますけれども、できたら別の俸給表をかまえてもらいたいというのは、かねがね人事院に対するわれわれの要求でございます。しかし人事院といたしましては、いま十幾つかある俸給表を無限に大きくしてまいる、複雑にしてまいるということに抵抗を感じることもあるのでございましょう。調整手当というようなところで今日まで処遇をしてまいって、等級別の員数の割り当てで行政的な具体的な調整を加えながら今日までやってき、今後も改善を加えていきたいという答弁がありましたことも御案内のとおりでございます。私どもといたしましては、しかしながら仰せのように、特別な勤務については特別な処遇をという意味で、別立て俸給表につきまして今後とも努力をしてまいるつもりでございます。公務員の給与体系の許される範囲内で、可能な限り高い水準を享受できるような条件の整備につとめなければならぬと考えております。
  284. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 俸給体系の改善ということになりますると、これはなかなか容易ではないと思います。したがって、暫定的なものとしてすぐにでも行なえるものに調整手当というのがございまするから、ひとつこれをフルに活用していただきたいと存じます。これは当然だと思います。  そこで、この特別調整手当を活用すると同時に、もう一つ追加して、これは私案でございまするが、大臣に検討していただきたいことがある。それは弁護士、司法関係にあって特許庁にないことです。御案内のとおり検事、判事は弁護士から採用される道が開けております。給与だけを考えますると、弁護士をやっていたほうがはるかに収入の多い人が検事、判事に採用されることがございます。また好んでなられる方もございます。また検事、判事をやっていらした人が、都合が悪ければ弁護士にかわることもできる仕組みになっております。  弁理士さんが大ぜい見えるのですから、しかもその弁理士さんの中にもベテランがいらっしゃるのですから、これに特別調整手当をつけて、弁理士から審査官を採用するという道を開くべきだと思います。この道は、何も私の私案だけじゃない、諸外国の特許関係にはこういうことが間々ある。いかがです。
  285. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いまの審査官制度は、一定期間特許庁に勤務して資格を得るような仕組みになっておりますから、直ちに弁理士を登用する、制度的にはいまそういう仕組みになっていないわけでございます。そういう制度の是非、これはやはり検討に値する課題だと思いますので、検討させていただきたい。  ただ、裁判官の場合でも相当問題でございますけれども、実際に登用の道がかりに開かれたとしても、官庁の給与に甘んじていただけるかどうか、そこらあたり実際問題として非常に問題があるんじゃないかと思いますが、制度の問題として、そういうことを予定した制度でございませんから、そういう仰せの案も一つの考え方だと思いますから、検討させていただきたいと思います。
  286. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ぜひこれは前向きの姿勢で——社会党は何も破壊ばかり言っているんじゃないのです。特許庁を破壊しようなどとは考えていないのですから、内容をより充実するための一つの方途として、人的要素をここに求めなさいということを言うているのですから、ぜひひとつ前向きに検討していただきたいと思います。  いよいよ本論に入ります。  わが国が外国から買っておりまするパテントの量、それに対して支払っておりまするパテントの料金、これはいかほどでございますか。
  287. 荒玉義人

    荒玉政府委員 これは全部突っ込みでございます。四十二年度、一番新しいのでございますと、支払いが二億三千百万ドルでございます。それから受け取りが二千四百万ドル。各年度、差はございますが、受け取りが支払いの約一割前後と考えていただけば大体傾向はわかると思います。
  288. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 これは金額ですね。パテントの数をお落としになりましたね。
  289. 荒玉義人

    荒玉政府委員 この統計は日銀の統計でございまして、特許権がそのうち幾らかという調査はしておりません。
  290. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 やむを得ません。あとで調べておいてください。その中で特にお尋ねしたいのは、産業機械と繊維関係の内訳をお願いします。
  291. 荒玉義人

    荒玉政府委員 特許庁といたしましては、内訳の調査をしておりません。
  292. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 大蔵省が見えましたね。大蔵省もわからぬかな。——それじゃ通産省の通商局でもけっこうですよ。それとも、産業機械ですから重工業局でもけっこうですよ。繊維のほうは繊維局長が見えておる。
  293. 吉光久

    ○吉光政府委員 ただいま手元資料を持ち合わせておりませんが、年間の技術導入件数技術輸出のほうで判断してまいりますと、大体最近の繊維機械に限定いたしまして、技術導入件数が年間約十件程度でございます。年によりましてこれが八件あるいは十二件というふうなこともございますが、十件前後というのが最近の年間の技術導入件数でございまして、これに対しまして、過去三年くらいの間の技術輸出件数は年間一件程度でございます。したがいまして、先ほど全体の比較がございましたが、繊維機械につきましても、件数で見ますと大体一割程度のものしか輸出されていない、こういう状況でございます。
  294. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 繊維のほうの答えがありませんね。
  295. 高橋淑郎

    ○高橋(淑)政府委員 手元資料がございませんので、お答はできませんけれども、調べましてお答を後刻さしていただきます。
  296. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 大蔵省技術導入、合併、海外投資あるいは外資との合併の会社、これをいたしまするときに、外資審議会に加わっておりますね。したがって、私いまお尋ねしているところの技術に関する輸出と輸入の量、金額、これなどは大体把握して見えると思いますが、セクションが違えばけっこうです。おわかりになっていたらひとつ答弁を願いたい。主計局のほうではちょっとセクションが違いますから……。
  297. 海堀洋平

    海堀政府委員 まことに申しわけございませんが、所管が国際金融局でございまして、もし必要でございましたら、後刻国際金融局のほうに連絡いたしまして、お答え申し上げたいと存じます。
  298. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私がなぜこのようなことを承るか。特に日本の繊維機械、繊維はその技術の面において特許の面において世界に冠たるものでございました。大臣、にもかかわりませず、今日では技術の輸入が増加の一途をたどっているのでございます。なぜそのようなことになったかについて、データを示し合わせ、突き合わせて検討していくと、答えが必然的に出てくる問題がございます。そのことをお尋ねしたかったのでございますが、皆さんが御用意がないようでございます。しかし今日はこれはやむを得ません。が、事重大でございまするので、私は皆さんを立ち往生させるのが目的でものを言うておるのではございません。よく話し合って結論をはっきりして対策をお互いに一緒になって立てたい、そうして日本経済の振興に寄与したい、ここに目標がございますから、本日は御準備不足のゆえをもって私の質問はこの程度にとどめ、御準備ができ次第いつでも御質問に移ります。こういうことにいたします。どうもありがとうございました。
  299. 大久保武雄

    大久保委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。  次回は明二日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十二分散会