○石川
委員 四回。そのうちの雪印、クローバー乳業なんというものは、
日本の生産分野からいうと相当の割合を占める。これは公聴会だけで
合併を認めておる。それから中央繊維と帝国製麻、あるいは三菱三重工というものは相当問題が多いわけでありますけれ
ども、これも公聴会だけで
合併を認めておるというようなことで、自民党からの御質問によりますと、
合併を阻止する前提でやっておるんじゃないかという批判的な御
意見が多かったわけでありますが、私
どもから言わせると、無条件的に
合併を認めて今日に至っておるというのが実態ではなかったか。しかし今度という今度は、非常に狭い
法律解釈に従ってワクにはめてみても、なおかつこの四
品目は抵触せざるを得ないんだというようなところの結論にきている。まだはっきり
合併を認めないという結論が出たわけではございませんけれ
ども、そうならざるを得なかったという衷情は私はよく理解できると思うのであります。大きいことがいいことだということをよく言われますけれ
ども、よく言われますように、一九〇一年にUSスチールが
合併してできましたときは七〇%のシェアが、現在では二四%に落ちてしまっておる、したがって大きく
合併することがはたしていいかどうかということは、
産業自体の立場からも考え直すべき時期にきておるのではないか。その証拠には稲山社長がこういうことを言っております。これは朝日新聞に出ておりますから間違いのないことだと思うのでありますけれ
ども、むだな
競争をやめて
利益を蓄積する
ためであって、
国際競争力を強める
ためだと言ったことはない、
国際競争力は十分にあるのだ、こういうことを言明しております。しかし
合併の申請書には歴然と
国際競争力を強める
ためであるということが出ておる。これはまことに矛盾をしておる。それからなおこういうことを言っております。カルテルによるコスト・プラス適正利潤の線で鉄鋼価格の安定をはかることは、需要業界の
ためである。国の
ためである。鉄は国なりということかもしれませんけれ
ども、こういうことも言っておる。これは完全に
競争的寡占ではなくて協調的寡占をねらった発言以外の何ものでもないんじゃないかとわれわれは理解せざるを得ない。そういう点で今度の
合併は、いままでありとあらゆる
合併を全部認めたけれ
ども、どうしてもこれは業界の
ためにもならぬし、
国民の立場に立っても好ましいことではないという
判断にわれわれは立たざるを得ない。しかも、今度の
合併で問題になったのは四
品目だけでありますけれ
ども、珪素鋼板だって当然問題です。あるいは
大型形鋼だって問題です。特に粗鋼は、
経済的には問題であるが、
法律的には問題にならぬということでありますけれ
ども、本質的には私は非常に大きな問題であろうと思っておるわけであります。これが全部
公正取引委員会の今度の対象からはずれてしまったということについてもわれわれは非常に不満を持っている。こういう点で、
公正取引委員会の方々がたいへん苦労に苦労を重ねられておることはよくわかるのでありますけれ
ども、残念ながら、その視野として、
法律的な見解に局限をされて、ほんとうに
独禁法の出た基本となる
経済面の
精神を生かすという努力がまだ十分ではないのではないかという
気持ちが私はしておるわけでありますけれ
ども、しかし、いろいろな事情があってここまでに努力をされたことに関しましては、心から敬意を表するのにやぶさかではございません。したがって、いろいろな雑音と言ってはたいへん語弊があるかもしれませんが、いろいろな
意見がいくでありましょうけれ
ども、やはり法の番人という立場で、
公正取引委員会の任務というものを十分に理解をして、き然として所信を貫いてもらいたい。ということは、もしこの
八幡、
富士鉄というような
世界的な会社、
国際競争力も十分に持った会社、これらの会社が無条件に
合併できるということになりますと、
公取の任務は一体何が残るだろう。たくさんあるでしょう。たくさんありますけれ
ども、私は任務は
一つある。レモン水と書いてある中にレモンが入っているかどうか、かん詰めで牛のかん詰めといったけれ
ども、中には牛ではなくて鯨が入っているじゃないか、そういう幼稚園的な任務は残るかもしれませんけれ
ども、この
富士鉄と
八幡の
合併などというような大規模な
合併、しかも業界の
競争力をうんと鈍らせる、そして
競争的寡占から協調的寡占に当然なる、管理価格を生む危険もある、
国民経済にも影響がある、こういうものが無条件で認められるということは断じてわれわれは認めるわけにはいかぬ。これは私は、別に社会党の立場とか自民党の立場というものをこえて、
国民的な立場で、それを痛感をするわけでございます。したがって、この点について
公正取引委員会は、今後とも十分良心を貫いていただきたい。このことを強くお願いを申し上げておきます。
では、次の質問に入ります。
実は情報
産業のことでございますけれ
ども、御承知のように、情報
産業といいましても、いわゆるコンピューター、ハードウエアとソフトウエアが混合した情報
産業であります。これは御承知のように、宇宙
開発という膨大な科学実験の結果、ますますこれが普及をし、アメリカにおいては
発展をいたしまして、
世界とはたいへんな差がついてしまったわけであります。その科学的な知識を持って
日本にもヨーロッパにも上陸をし、席巻をするというかまえになっております。それで、
日本におきましては、新聞に報ぜられるところによりますと、レアスコ・SRC、レアスコ・システムズ・アンド・リサーチ社といいますか、そこが調査会社の
日本リサーチセンターに合弁を申し入れてきておるという事実が
一つございます。それからCSC、これはアメリカ最大のソフトウエアの会社でありますけれ
ども、コンピューター・サイエンシス社という会社ですか、これが
日本のコンサルティング会社のビジネス・コンサルタソート、ここに合弁を申し込んできております。SRCのほうからいいますと、これは有名なコングロマリットのレアスコ・DPEの子会社になっております。CSCは
先ほど申し上げたように、アメリカ最大のソフトウエアの会社であります。それからなお
一つ伝えられるところによりますと、エンサイクロペディア・ブリタニカ、これは
世界五十四カ国に子会社を持ち、支店を持っている非常に大きな百科事典の会社でありますけれ
ども、その支店網を駆使して、これからソフトウエアに乗り出すということで、東京放送と凸版印刷に合弁を申し込んで、TBSブリタニカという会社ができようとしておる。なるほど情報
産業の中で、ハードウエアはともかくといたしまして、特にソフトウエアは非常に
日本は立ちおくれております。したがってアメリカの知識も入れざるを得ないし、入れたほうが早いということになるのでありますけれ
ども、一体この三つの合弁の申請が正式に出ておるかどうか、もし申請があればこれをお認めになるという意思があるのかどうか、これをまず
通産大臣に伺っておきたいと思うのです。