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1969-04-25 第61回国会 衆議院 商工委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月二十五日(金曜日)     午後五時三十六分開議  出席委員    委員長 大久保武雄君    理事 宇野 宗佑君 理事 浦野 幸男君   理事 小宮山重四郎君 理事 藤井 勝志君    理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君    理事 堀  昌雄君 理事 玉置 一徳君       天野 公義君    内田 常雄君       遠藤 三郎君    小笠 公韶君       小川 平二君    海部 俊樹君       神田  博君    鴨田 宗一君       坂本三十次君    島村 一郎君       菅波  茂君    田中 榮一君       増岡 博之君    石川 次夫君       加藤 清二君    佐野  進君       千葉 佳男君    中谷 鉄也君       古川 喜一君    武藤 山治君       塚本 三郎君    吉田 泰造君       近江巳記夫君    岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  大平 正芳君  出席政府委員         中小企業庁長官 乙竹 虔三君  委員外出席者         専  門  員 椎野 幸雄君     ————————————— 四月二十四日  委員武藤山治辞任につき、その補欠として三  宅正一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員三宅正一辞任につき、その補欠として、  武藤山治君が議長指名委員に選任され  た。 同月二十五日  委員橋口隆君及び勝澤芳雄辞任につき、その  補欠として菅波茂君及び中谷鉄也君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員菅波茂君及び中谷鉄也辞任につき、その  補欠として橋口隆君及び勝澤芳雄君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 四月二十三日  中小企業等協同組合法の一部改正に関する請願  (田中龍夫紹介)(第五一六二号)  同(毛利松平紹介)(第五一六三号)  同(小山長規紹介)(第五二五八号)  特許法等の一部を改正する法律案反対に関する  請願猪俣浩三紹介)(第五二五七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三八号)      ————◇—————
  2. 大久保武雄

    ○大久保委員長 これより会議を開きます。  中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石川次夫君。
  3. 石川次夫

    石川委員 中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案でございますけれども、非常に不十分ではありましょうが、方向としてはあえて反対すべきものではないと思いますし、きょう本会議に上程をするという事情もあるようでありますし、それから附帯決議にかなり適切なものが盛られておるということもありまして、いろいろな関係できわめて簡単に要点だけを質問したいと思いますので、御答弁のほうも簡潔にお願いをしたいと思います。  まず最初に、中小企業の問題は、何といいましても大企業との格差、これをいかに是正をするかという問題に尽きると思うのでありますけれども、それにはいわゆる設備近代化の問題、共同化の問題、これについてもいろいろ質問したいことがありますが、これは一般質問にまた譲ることにいたしまして、ただ、ここで大臣の御意思をはっきり確かめておきたいと思いますのは、最近の労務者不足で、これは賃金の問題もいろいろありますけれども、何といいましても、きょうも火事で十一人も女工さんが焼けたというような記事が出ておりますように、福利施設といいますか、住宅環境といいますか、居住環境といいますか、そういうものが大企業中小企業ではきわめて格段の差がありまして、そういうことに毛ぎらいをしてなかなか中小企業に人が集まらないという非常に切実な問題もあるわけであります。ところが、中小企業自体は御承知のように設備近代化のために相当多くの力をさかなければならぬということで、なかなか居住環境にまで手が届かないということもありますけれども労務者不足中小企業を何とかカバーするという点では、この福利施設居住環境というものに相当思い切った措置をとらなければいけない、これはきわめて常識的な意見であります。この点について何か御意見があれば、ひとつ大臣所信を伺いたいと思います。
  4. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのとおり労働力不足に対応した措置といたしましては、構造改革近代化、いろいろ措置を講じなければなりませんが、せっかく確保された労働力定着性を増す意味におきまして、福祉施設充実は非常に大事なことだと思います。しかしながら、これを遂行するだけの経済力に恵まれてない中小企業でございますもので、私どもといたしましては、政府関係金融機関資金量充実をはかり、できるだけ中小企業のかかる要請に応じる方法をくふうしなければならないと思うのでございます。突然の御質問でございまして、十分なお答えになりませんけれども中小企業がそれに対応した施策を講ぜられるだけの経済力充実をはかるようにわれわれは助成してまいるということを考えたいと思います。
  5. 石川次夫

    石川委員 これも意見がありますけれども、時間がありませんから。ともかく居住環境は非常な差があって、これが労働力定着をもたらさない大きな原因になっている。結局は、国の施策として相当思い切った資金量ワクを広げなければならぬということに帰着するわけでありますけれども、そこで中小企業全体の貸し出し残が十九兆八千八百七十億円、これは白書に出ておる金額であります。そして全体でいえば昭和四十年で四二・九%の貸し出しであったものが、昭和四十三年になって四五・九%に上がった、あるいはまた昭和四十四年の中小企業金融機関が一兆七千七百五十億円で、中小企業向け貸し出しの九・一%の割合でありますけれども昭和四十四年のワクは八千九百二十三億と相当ふえている。これは実は本会議武藤議員質問に対しまして福田大蔵大臣は、このように中小企業に対する貸し出し残がふえておる、そして八千億をこえておるというようなことで、たいへん意気揚々と答弁をされたわけでありますけれども、御承知のように、企業数としては九九・五%、あるいはまた労務者数としては八〇%——この程度貸し出し残ではこの格差は依然として縮まりようがないというのが現在の見通しであります。そのためには中小企業零細企業とを分離するというような、いろいろなきめのこまかい施策をこれから進めていただかなければならぬと思いますけれども、この三機関がわずか九・一%というような貸し出しのパーセント、この程度のものでは——この三機関それぞれがあまり親切ではない、あるいは金利も決して安くないというような不満もありますけれども、それは一応別といたしまして、大蔵大臣が答えておるように十分だというように通産大臣はお考えになっておるのかどうか、そしてまた将来は一体どういう方向、どのくらいまで中小企業ワク拡大をしなければならぬ、こういう決意を持っておられるとすれば、その所信を伺いたいと思います。
  6. 大平正芳

    大平国務大臣 政府機関長期資金供給のシェアは九%程度でございまして、これで満足すべきものとは決して考えておりません。ことし一八%の資金ワクの増大をはかりましたけれども、なお一そうその拡大に努力せなければならないと思います。一方、市中金融機関からの供給を見てみますと、市中機関貸し出しの約四〇%ないし四五%、これは中小企業向けだというように見当がつけられるわけでございますが、これはせんだっても御審議いただきました中小企業に対する信用保険制度充実と相まちまして、市中資金力中小企業向けの動員ということに格段の努力を傾注いたしまして、あわせて資金需要に対応してまいるように努力していきたいと思います。
  7. 石川次夫

    石川委員 福田大蔵大臣が言ったのですけれども、これで十分だ、思い切ったことをやっているのだというふうな考え方では困るということを、あと一回念を押しておきたいと思います。  時間がありませんから、どんどん先へ進めますけれども、この附帯決議はまだきまっておりませんが、この内容はきわめて適切だと思いますが、この中で私一つ重要なことが欠けておるのじゃないかという感じがするのです。それはどういうことかというと、格差是正で一番問題になるのは、人手が足りない、金が足りないということもありますけれども、何といっても技術格差というものが埋め切れないという弱点を持っておる。その技術開発についてイギリスオランダあるいはドイツフランスそのほかの国の、いろいろな技術格差を埋めるために中小企業対象とした研究組合という設備が非常に発達しておるわけであります。御承知のように、日本でも研究組合は十あります。十ありますけれども、この中で光学工業技術研究組合アルミニウム建築用表面処理研究組合、この二つだけはどうやら生きておりますけれどもあとの八つはないも同然、解散寸前であります。こういうことで中小企業技術を何とか習得、向上してもらおうとすれば、技術指導は親企業指導を仰ぐというかっこうであるし、中小企業業者間で横の連絡をとって、そこでまとめたいわゆる研究組合という設備もほとんど日本では有名無実になっているという実態であります。現在中小企業に対する技術援助といいますか、これは一体どのくらいの予算になっておりますか。
  8. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 中小企業庁関係だけで計上しておりますのが、狭義の予算でありますけれども、本年八億五千三百万円であります。
  9. 石川次夫

    石川委員 八億五千万ですね。こんな零細な——これだけではないと言いますけれども工業技術院なんかもある程度はそういうこととつながりはあるでしょう。あるでしょうけれども中小企業関係の方々が——中小企業庁最近技術向上のために相当力を入れ始めておることは認めております。しかし、ここが工業技術院は違う。工業技術院は、御承知のように、基礎研究とかプロジェクトが非常に忙しい。したがって、中小企業が必要とするような技術に対応して適切な回答を与えるという形にはとうていなっておらないわけであります。こういうことで、たとえばイギリスのことを例にあげますと、これは申し上げるまでもないと思うのでありますけれども、おととしあたりの数字で言いますと、大体四十七くらいの研究組合があります。この研究組合の中からは御承知のようにノーベル賞も出ております。きわめて近代化された、しかも中小企業組合が全部金を出して——この制度ポンドシステムといっております。一ポンド中小企業が出せば、政府が一ポンド出すということで、ポンドシステムといっている。鉄鋼なんかはこの中で相当成果をあげている。これは御承知のように、大企業まで含めての横の連絡としての研究組合というものができておるわけでありますけれども、大体四十七でほとんど七〇%の業種を横に連絡をし、そこに対して政府が大体百二十億くらいの予算イギリス中小企業を主とした研究組合というものができております。これは日本には皆無といってもさしっかえない、そういうていたらくであります。それからオランダにTNOというものがあるし、それからフランスでもドイツでも、どこでも研究組合という制度中小企業を横に連絡をして、そして中小企業を主たる対象とする研究施設というものができておる。日本のように下請はもっぱら親工場指導を依頼するというような形になっておらない。大体下請制度というものは外国にはないわけでありますから、ちょっと比較にならないわけでありますけれども、御承知のように、最近の発表によりますと、現在できておる品物のうちで、二十年前にないものは四〇%ある、これから二十年たつと現在ない製品が六割になるだろう、こういうふうに技術革新というものは非常なスピードでいっているのでありますけれども中小企業はとてもこれについていけない。しかもそれに対する専門の研究機関もない。しかも科学技術のそういうふうな世界的な情報、あるいは日本の国における新しい発明、発見というようなものも、特許庁はとうていそういう能力は現在ないのでありますから、これは特許法改正でまた審議をしなければなりませんけれども、これは中小企業技術指導という面においてはゼロにひとしい。これは非常に努力しておることは認めますけれども、皆無にひとしいような実態ではないだろうか。この点をこれからどう打開をしていくか。外国でいわれておるような研究組合というふうなものをどんどん育成し、そこに最高の技術指導を受ける、科学情報をそこから流させるというようなことに対して、政府はもっと積極的な施策を講ずるという必要があるのではなかろうか、こう思うのでありますが、その点についてひとつ御意見を伺いたい。
  10. 大平正芳

    大平国務大臣 いま通産省の当面しておる緊急な課題は、仰せのとおり、技術政策最大の眼目の一つだと思います。そのほか資源の確保、資源政策でございますとか、あるいは流通の政策でございますとか、火急な問題がいろいろございますが、中でも、御指摘技術政策はわれわれが取り組まねばならない最大の問題だと考えております。日本の全体の技術投資研究投資というものを調べてみますと、英、独、仏の水準まで絶対額はようやく追いついたのでございますけれども、御承知のように、すべてにもう過去の技術の蓄積が乏しいわけでございますから、ずっとおくれたスタートでありますので、私どもといたしましては、仰せのとおり、もっと思い切った施策をやりまして、追い上げていく必要を感じております。またこれを分解いたしますと、大企業とかあるいは政府とかというものが多いのでございまして、中小企業面に対して非常に希薄であるということは仰せのとおりでございまして、この体制をどのように拡充してまいるか、そして得られた技術をどのように普及してまいるか、体制的な問題、仕組みの問題といたしましても、真剣に取り組まなければならない課題でございまして、来年度の概算要求を控えまして、ここに焦点の一つをしぼってせっかく施策をしてみたいと考えておりますので、この上とも御鞭撻をお願いしたいと思います。
  11. 石川次夫

    石川委員 いまの決意を聞いて希望が持てるわけでありますが、御承知のように、白書によりますと、理工系の大学の出身者が、小企業に対して二百社に一人、中企業に対しては二社に一人、大企業は一社に五人、超大企業になれば一年に二百人も三百人もとるということがあるわけでありますが、これだけの人材の格差がついては、中小企業は同じ金を注ぎ込んだところで、とうてい追いつかないというのが実態であります。したがって、中小企業の横の連絡をとって、業種別研究組合みたいなものをつくり——ドイツでもフランスでも、イタリアでもオランダでも、大体百億くらいの金を最低注ぎ込んでおるようです。八億五千万とはこれまた情けない、問題になりません。したがって、大企業に対する保護育成というものは、工業技術やその他でなかなか適切にとられているようでありますけれども中小企業対象とするこういう研究機関というものは、ひとつ真剣に取り上げてもらわなければならぬ課題ではないかと思うのです。この点、ひとつ念を押しておきます。  それから、これはちょっとこまかい話になりますけれども中小企業総合指導所というものは、そういった中小企業診断や何かをやる機関になっておるようであります。これは各府県に全部設けてあるということをこの白書の中には書いてありますが、どうも屋上屋を架するというような形で、結局、診断をするところと、あとそれをプロジェクトに移して実行に移す指導をするのは県庁である、そういうことで、どうもこれは二つに分かれたのでは非常にぐあいが悪いというので、行政上の都合で県の中に一緒に入れちゃっているところが多いようでありますが、その分類はどういうふうになっているのか。県の中に入っているところ、中小企業総合指導所というものが全然別個になっているところ、どういうふうになっておりますか。
  12. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 手元に正確な数字を持っておりませんけれども、分離しておるほうがはるかに多いと思います。これは、ねらいは、県の指導頂点にいたしまして、これに、特に技術指導は公立の試験研究機関、それから民間の経営指導等の人員、それから商工会、商工会議所指導員、こういう経営技術指導の結集を、県を頂点として指導所ではかろうということで企てられたわけでございますけれども、御指摘のように、必ずしもいままだ十分にいっているとわれわれは考えておりません。したがいまして、これは先生指摘のように、県の中において外郭的な組織がいいのか、あるいは別個に独立させたほうがいいのか、これは県そのもの、おのおのの特殊事情によって次第に根が生えて適切なる組織になっていく、これをわれわれは大いに指導し助長をしてまいりたいというふうに考えます。
  13. 石川次夫

    石川委員 これは考え方としてはたいへんいいのですけれども、大体、診断をしてアフターケアをやらないのですよ。できない。アフターケア県庁がやるということで、これが両方相互の関連がないという形になって運営をされている面が多いのじゃないかと思う。この点はよほど有機的な相互関係ができなければならぬ。そういう直ちに別個なものができればそれでいいんだということだけではなしに、これは効率的に運営されるような方法がなお検討の余地があるのじゃなかろうか、こう思ってひとつ取り上げてみたわけであります。  それから、実は私のほうは下請なんかたくさんありまして、下請のほうと親工場とは、下請代金支払い遅延防止法というものがあるし、それから交渉力団体の力を持つことになっているが、現実の問題として、とても面と向かっては一言もものを言えないというのが実態です。これは卸売り問屋に対しまする小売り業者立場も同じことが言えるわけであります。そこで、交渉能力を持たせる、ほんとうに対等な人格というものを持たして対等にものが言えるというような形にするための何か特別な方法、そういうものはございませんか。
  14. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 下請代金支払遅延等防止法というのは、交渉能力がない下請業者を保護するために最後の政府の手段としてあるわけでありますけれども、その前に団体交渉をするということで組合交渉権を持たしていることは先生承知のとおりであります。ただこの方法が、必ずしも組合の基盤が確立しておりませんために、十分活用されておらない。工業団地商業団地がいまどんどん結成されつつございますが、団地が結成されたものにつきましては、団体交渉的な交渉力が次第に芽ばえつつある、この方向を私たち助成をしてまいりたい。しかし何よりも一番大事なのは、交渉力のもとになっております下請中小企業体質の強化、設備近代化、いわゆる構造改善対策が一番根っことして必要であるというふうに考えて、それを推進してまいりたいと考えております。
  15. 石川次夫

    石川委員 ことばの上ではそういうことになるが、現実の問題としては、対等の交渉能力がないのですよ。私はこれは、いかに声を大にして力をつけさせるとか団地を育成するとか言っても、現実の問題としては、たとえば支払いをする場合に、景気のかげり現象があれば、現金支払いはぐんと減っちゃったというのですね。こういうふうなことでありますので、私は、これは党としてのまとまった意見ではないのでありますけれども労働基準監督署というものがありまして、労働基準監督署労務関係については相当成果をあげて今日に至っておると思います。くだらぬ話でありますけれども芸者制度の非常に封建的な制度なんというものを労働基準監督署相当撤廃しておるという効果が出ておるわけであります。ところが、中小企業あるいは下請業者、これと問屋あるいは親工場との関係のこういう封建的な体制というものはいまだに打破できない。これはいつまでたっても、なかなか打破できないだろう、こう思います。それで、私はこの前の質問で勢頭申し上げたように、どうも中小企業省というものは屋上屋だということを通産大臣が言っておられるようでありますが、この中小企業省というものをつくれば、こういうものに対する地方監督官庁というものはどういう名前になるかわかりませんけれども下請代金が適正になっておるか、支払いは一体どうなっておるか。この下請料は、現実の問題として、結局手形で払ってもらってもいいけれども、せめて工賃分だけは現金でもらいたい、こういう切実な気持ちがあるのです。工賃だけはどんどん現金で払わなければならぬ。それは全部手形だ、それでは困る。そういうことを言ったって、親工場はぽんと手形一本切ってくる、こういうのが実態です。この切実な声というものにこたえて——これはあまりにも当然過ぎるくらい当然の要求だろうと思う。それも声を大にして言えない。したがって、そういうふうな中小企業省ができなければ、私は現実なかなか不可能じゃないかと思うし、親工場から突き上げがあれば、親工場要求を聞かなければならない。現在の通産省体質では、それはなかなか不可能であろうと思うのでありますけれども、しかし地方ブロックごとにそういう監督官庁があって、絶えずそういう適正な価格でもって下請単価というものが発注されておるかどうか。下請というものは、親工場と同じ代価でもって注文をされれば、設備近代化されてないのだから、結局できないから、結局賃金に逃げるほかないということにならざるを得ない。そういうふうなことをいつまでも繰り返しておったのでは、この白書に書いているように、中小企業の健全な発達、大企業と並んで同じ発達をしなければ日本経済というものは健全な発達を遂げないのだということはまことにもっともなんですけれども現実にはなかなかそうなっておらない。したがって私は、そういうふうな監督官庁というものをつくり上げていく必要がどうしてもあるのじゃなかろうかということを痛感しておるわけです。その点について大臣何か所信ありましたら伺いたいと思います。
  16. 大平正芳

    大平国務大臣 下請企業交渉能力向上でございますが、これはいま仰せのとおり、たいへん弱い立場にあることは私も認めます。したがって、遅延防止法をたてといたしまして、私どものほうと公正取引委員会が協力いたしまして、実地調査に励んでおるわけでございます。現在通産局に百名強の検査官を擁しておりますし、公正取引委員会のほうも四十名内外の検査官を擁して、いま鋭意実地調査立ち入り検査をやりましてその改善にあたって、ある程度成果があがりつつあるわけでございまして、この体制をもっと持続し、かつ強化いたしまして、仰せのような方向行政を持っていくべきだと思います。労働基準監督署の手をわずらわすかどうか、これはにわかに私も判断できませんが、われわれの当然の責任でございますので、私どものほうなり公取なりのこれからの実績を十分検討した上で考えさせていただきたいと思います。
  17. 石川次夫

    石川委員 公取委は、この前も話がありましたけれども、富士、八幡の合併なんという大きな問題があれば、そのほうにかかりきりになるというふうな状態、公取に現在の陣容でこういうものの実態を調べさせると言っても、実際問題としてはなかなか目が届かないという、これは中小企業庁もお認めになっておるだろうと思うのであります。どうしてもそういうふうな団体交渉力を強めるのだと白書には書いてありますけれども、これは作文です。実際問題としてなかなか団体交渉力はつきません。これは実態です。やはり外のほうから不正というのはおかしいのでありますけれども、低い単価あるいはまた支払い方法というようなことについて監督指導的の機関がいま少し充実をしなければならない。交渉力を高めればそれでいいんだということでは、解決は現実の問題としてつかない、これが実態であるということをよく御記憶を願って、この点の拡充、そしてできれば——できればというのは、私としてほんとうに切望したいのでありますが、そういう監督官庁というものが一県に一つか、ブロックに一つかわかりませんが、専門にそれをやるという機関があって、それで初めてどうやら公平に近いものに近づいていくという程度にしかならないだろう、それでもその程度だろうと思います。その点はきわめて封建的な体制を打破するためには、強いそういう機関が必要だということをぜひひとつお考えおきを願いたい、こう思うのであります。  そこで、たいへん話が飛躍して恐縮なんでありますけれども日本経済が非常に高度成長を遂げて、異常な高度成長というものに対して外国では非常に関心を持っておるわけであります。その高度成長の原因というものがいろいろあげられておりますけれども通産大臣にこれを具体的に三つか四つあげてごらんになっていただきたいと思うのですが、どういうふうにお考えになりますか。
  18. 大平正芳

    大平国務大臣 何よりも最大の原動力は、質の高い労働力に恵まれたということが、最大の原動力であったと思います。質の高いという意味は、教育程度が高い、生産性の高い労働力が確保できた、それだけの余地があったということ、これに加うるに、日本人の技術力、組織力、そういったものが発揮できたゆえんではないかと思います。これに対しまして、金融のほうは相当無理をした成長金融にたよらざるを得なかったわけでございますけれども、ともかくも最低限度の需要にはこれに応じ得たということが大きな要因であったと私は思います。
  19. 石川次夫

    石川委員 どうも心細い答弁で、実はこの問題だけで議論をしても相当議論になると思いますけれども、きょうは時間の関係もありますから、省略しますが、外国、第三国で日本を評価した場合に、いま言ったような労働者の質が高いということ、きわめて勤勉であるということ、それから私は憲法のおかげであると思いますが、軍備がきわめて少ないことによるところの成長率が大体二、三%あるだろうということもいわれておるし、それから労働組合というものが、戦前ないものができて、与えられた賃金ではなくて、賃金というものを自分で要求して取ることができるということによって購買力が高まったということも一つの原因であります。  ここで一つ私非常に意外に思いましたのは、日本には下請制度がある、こういうことを言っております。それはどういうことかというと、大企業の安泰を保つために、どこの国にもない下請制度というものがあって、仕事が多ければそこに出す、少なくなれば引き上げて自分のほうの安泰をはかるというふうなことで、きわめて高度な技術水準のもとにおける大企業というものを絶えず保護しておったということを非常に高く評価しておるようです。しかしながら、その反面、その犠牲になった下請がきわめてみじめなことになったという証明ではないか。そういう点で、下請企業あるいは特に中小企業との関連でありますけれども、こういうものに対してほんとうに日本経済というものが正常に発展するための要素としては、中小企業というものは大企業並みにやはり生々発展をしていかなければならぬというのが至上命令であろうと思うのです。そういう点で、この恵まれない中小企業、特に下請企業というものに対する、これからどうするかということを、ひとつ真剣に考えていただかなければならぬと思うのです。  そのほか申し上げたいことはたくさんありますけれども、実は時間が大体二十分ぐらいというふうに予定をしておりましたので、転換に対する指導方法をどうするかという問題、あるいは安定命令によって過剰保護になっているのじゃないかというふうな問題、いろいろあるのでありますが、これはいずれ機会を改めて、特にこれは中小企業体質改善だけではなくて、労務者をいかに確保するか、技術をいかに高めるか、あるいは監督をどうするかというきわめてマクロの大ざっぱの問題だけを取り上げましたけれども、ひとつ今後真剣に御検討願いたい。
  20. 大久保武雄

    ○大久保委員長 武藤山治君。
  21. 武藤山治

    武藤(山)委員 与野党の話がついて、緊急上程をするということで急遽短時間の質問でありますから、大臣にもひとつ簡潔に答弁を願いたいと思うのであります。  大臣の今回の促進法一部改正に関する提案理由の中で、外的な要因と内的要因二つをあげて、特に国際競争力の点を第一に強化する、こういう立場から今回の改正をやるというのでありますが、貿易自由化、資本自由化品目との関連はどうとらえて特定業種を選ぼうとしておるのか。たとえばいま自動車の部品の下請工場、自動車関係ですね、これは近代化促進法の指定にも入っていないのですよ。ところが自動車はまだ資本自由化ができない、まだ先だということでやっているのに、体質を強化するという立場からいうならば当然指定業種にも入ってよかろうし、あるいは構造改善、特定業種の中に入れてもしかるべきだと感ずるのです。ところがそれが全然入っていないのです。どういう角度から今回の四業種のピックアップをしたのか。そこらをひとつ大臣に……。
  22. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 機種の話でございますので、私から……。  先生指摘のように、自動車部品として近促法には指定になっておりませんけれども、御承知のように、機械の部品関係は機械工業振興臨時措置法で広範に指定されておりまして、機械部品から鍛造関係、鋳造関係、大体おもなものは機振法の指定に実はなっておるわけでございますので、自動車部品のおもなものはそこでおおむね拾われておるわけでございます。
  23. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると、大体重化学工業関係は機振法に譲る、こういう考え方でピックアップしているのですか。
  24. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 ちょっといま御答弁が足らなくて失礼でございますが、近促法でも、ネジでございますとか歯車でございますとか、機械部品として主要なものは拾っておりまして、機振法で自動車の部品工業の中の規模の比較的大きなものをまず拾いまして、それで拾えない下のほうのものを近促法で拾っておる、こういうことでございます。
  25. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、国際競争力を強化するという観点からということが提案理由になっているわけですね。その場合に自由化品目とどういう関連を持つのかというのがまず私の尋ねておる点です。私は、たとえばマッチとか、今回指定されるみがき棒鋼、それから洋がさ骨、マッチ製造業、これはどうなんですか。やはり国際競争力という観点にウエートが置いてあるのか、それとも従来基本計画なり実施計画なりをかなり忠実にやっている業界だから、ひとつ特段のメリットを与えてやろうというような選び方をしているのか。これは国際競争力とどういう関係になるのですか。
  26. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 マッチ、みがき棒鋼等、初年度の候補業種にのぼっておりますものは、まず第一に国際競争力という観点からは、数次にわたりまして御説明申し上げましたように、この国際競争力の解釈は非常に広く解釈いたしまして、おおむね体質改善というのとほとんど同義にわれわれは考えておるわけでございますが、そういう意味で、体質改善を緊急に必要とする業種であるし、また体質改善をしないと外国品との競争関係においてやはりあぶない場合になり得るものというふうに考えるわけであります。  第二に、これらの業種につきましては、近促法のやり方をまじめにやって、相当程度効果があがってきておりますけれども、さらに業界の自主的な連帯意識が強まり、また構造改善計画もいいものをつくり上げようといういわゆる自助努力、意欲が高まっておりまして、われわれといたしましても、おそらくこの業種政府が特段の強化された支援措置を加えて有効にそれが働くであろうというふうに考えておる業種でございます。
  27. 武藤山治

    武藤(山)委員 時間が二、三十分ですから論争できませんが、どうもこの趣旨説明もつけ足しの説明であって、実際に近促法の運用というものを見ると、通産省のやっていることは非常に画一的で、しかも抽象的なきらいがあるんではないか。たとえばグルーピングをやるといっても、構造改善をやるといっても、何か業界全体あるいは県単位の全体、そういうようなことでは非常に抽象的であって、なかなかこれは具体化できないと思うのですよ。しかしきょうは長官とやっている時間がないものだからやめますけれども中小企業政策審議会においても昨年七月十九日に五点ばかり指摘しているわけですね。そういうものの指摘の上に立った反省というものがどうなされているのか。ほんとうに私たちは、どうも今回の指定を見ても、そういう反省の上に立っているとは思えない、そういう節がたいへん感ぜられるのであります。しかし、時間の都合で先へ進みますが、これから基本計画をつくる際に、自由化品目、自由化業種、こういうものがたくさんあるわけですから、第一類あるいは第二類、そういうものを全部この際当たってみて、洗ってみて、これはひとつ指定業種にしたほうがいい、これはひとつ特定業種にしたほうがいい、そう思われるものについては、貿易自由化、資本自由化に関連した角度からのピックアップというものを早急に私はすべきであると思うのですが、その点について大臣いかがですか。そういう方法を新たに考えなければいかぬと思う。
  28. 大平正芳

    大平国務大臣 御指摘のことは当然のわれわれの責任であると思います。
  29. 武藤山治

    武藤(山)委員 これからこの一年間どういう誠意を示すかを見守りたいと思いますので、ひとつ自由化関係との観点で見た場合には、業界が貧弱であっても、組織ができていなくても、この業種は必要なんだというものをやはり通産省がある程度サゼストする、そういう姿勢がなければ、資本自由化に対抗する、競争力を強化するなんといってもお題目に終わると思うのであります。いまの大臣答弁をひとつ忠実に企業庁のほうでもやってもらいたい。  それから大臣、ひとつこれは提案でありますが、私ども社会党はたいへん前から中小企業省をつくれということを主張してきたわけです。設置法の提案も何回かやってきたわけです。しかしいまの行管の問題や、あるいは予算の問題や、屋上屋をつくることになりはせぬかということで、中小企業省はつくれない、こういう政府の見解ですね。過般大臣も、本会議でも、つくれないという答弁をしているわけですね。そこで、いまそれがすぐつくれないとするならば、せめて中小企業問題にウエートを置く、もっと強い発言権を認めていくという立場から、中小企業庁長官だけは各省次官会議に出席できるようにして、そして中小企業問題というのがもっと全体の各省庁のバランスの中で主張できるような場を与えるくらいなことは考慮していいのじゃないかと思うのですが、大臣、見解はいかがでしょうか。
  30. 大平正芳

    大平国務大臣 いまの仕組みから申しますと、通商産業次官が出てそういう役割りを果たしておるわけでございますが、特に中小企業庁長官を出したらどうかという御提案については、とくと検討さしていただきます。
  31. 武藤山治

    武藤(山)委員 大臣の御承知のように、通産省から次官が出ておりましても、通産行政というのは大企業の問題も、それぞれの業種別にいろんな問題をかかえているわけですね。中小企業はその中のほんの一角なんです。だからどうしても次官のほうの頭に強く入るのは、幾つもある各局長の数の多い、しかもウエートの高い、しかも国際競争力なら国際競争力の前面に立っているそういう大企業のことがやはり頭の中では優先するのですね。だから中小企業でどうしても没却されるきらいがある。だから私は、どうしても次官会議に長官は出席できるくらいの特別な取り計らいをしてしかるべきではないか、こういう感じがするわけであります。十分ひとつ検討してみたいということでありますから、大臣にせっかくひとつ検討願いたいと思います。  それから第三点は、大臣の趣旨説明の中に労働対策の問題、労働力の需給の逼迫が今日の中小企業のやはり大きな問題点だ、こうおっしゃっております。そのとおりであります。まさか急に子供をうんとつくって人口をふやせと言ったって間に合いません。夫婦でもって四人子供をつくったら、三人目の子供から児童手当をたくさんくれよう、四人目はもっとくれよう、そういうような生めよふやせよの奨励をしてみても、すぐには間に合わない。当面、中小企業労働力を確保するために、あの手この手をみな考えているわけであります。  私の町の一例を申し上げますと、こういう場合には通産省として、また文部省との打ち合わせなり労働省等と打ち合わせて、どうしたらいいかということをひとつ大臣の見解を承りたいのは、私どもの町でことし昼間の定時制の高等学校をつくったわけであります。そして、繊維の町でありますから、東北地方から来る女の子も昼間の高等学校に行けるという条件で就労してくる。そうすると、その繊維工場はバスでもって三交代制にして、昼間の高等学校へ一組ずつ行くというようになっておる。ところが教育の機会均等という問題から、だれでも受験ができるはずだという議論が一つ出てきた。そうすると、特定の繊維工場の十社なら十社が入れようと思った生徒と、今度は一般の定時制に行こうという農家の子供が、そこでは成績のいい順から採用しなければならぬという議論になってくる。すると、せっかく百名なら百名の定員をつくったが、三交代で連れて行こうと思ったところの女の子が落とされて、一般の農家の子供なり商店の子供が入ってしまう、こういう問題が出てきたわけです。そこで、これは何らか文部省と、労働力確保という面では労働省、通産省中小企業対策という面から、こういう問題をどう話し合っていくか、労働力確保という観点からの昼間定時制の問題はどうしたらいいか、こういう問題なんであります。現実にもうことしから始まったのであります。大臣、こういう場合に何か閣議の中で相談をして、そういうものが特別に労働力確保として保障できる方法というものがあるかないか、そこらはいかが思いますか。
  32. 大平正芳

    大平国務大臣 これは本委員会において塚本委員から、労働力確保、定着化のために学生アルバイトの活用の方法とか、あるいは税制の問題とか、いろいろ宿題をちょうだいいたしておるわけでございますが、いま武藤委員から昼間定時制の問題の御提示がございました。せっかくの御提案でございますので、関係各省と十分検討さしていただきます。
  33. 武藤山治

    武藤(山)委員 その場合、大臣どうでしょうか、文教関係大臣でないからなかなかそういう点はわからぬと思うのでありますが、そういう定時制昼間高等学校をつくった場合、教育の機会均等ということで、どうしても一般の志願者も受け付けざるを得ないということになるのでしょうか。どうでしょう。その特定の業者だけがバスで送り迎えして、学費まで出してやって労働者を確保している、こういう場合には、何かうまい方法は考えられましょうか。それは文部省でないとわからないと思いますが、あなたはいま閣僚ですから、いろんな意見が出て、いろんなことを知っていると思うから尋ねるのでありますが、どうでしょう。
  34. 大平正芳

    大平国務大臣 文部省所管の学校とそれから各種学校という制度がありまして、その間の横の連絡がどうなりますのか。それから各企業によりましては、工場の中にみずからの教育施設を持っておる例もあるようでございまして、それがどういう資格を学校制度の上で現に得ておるのか、またそれがどれだけの魅力を持っておるのか、私にはにわかに判断ができないわけでございますが、せっかくの御提案でございますので、しかも大事な問題でございますので、とくと検討さしていただきます。
  35. 武藤山治

    武藤(山)委員 検討してもらうために——具体的にいま私のほうで起こっている学校は県立の高等学校であります。しかも九千万円の金をかけて雇用促進のためにつくったわけですね。そして、わが足利の繊維工場につとめればこういう勉強ができますよ、バスで送り迎えしてあげますよ、学費も会社が持ちます、こういうことで東北地方から若い女の子たちを誘ってきたわけです。それで、これがいよいよことし始まったから、ことしは全部各工場が女の子で一ぱいになったわけですね。とこが、これが今度一般に知れ渡ってきたから、来年は農家の子供でも商人の子供でも受験をすれば成績順で採用するという問題が出てくる。県の教育委員会は、いまの教育の法律からいけばそれはやむを得ない、だれでも受験できるという。そうすると今度は成績のいい順に採るという問題が発生してくる。せっかく東北から来て学校に行けると思っていたところが、成績順だということになると地元のそういう昼間定時制志願者が入ってしまう、そういう問題であります。そこで何か特別の受験資格というものを法律で制限できるかどうかという問題。それから、学校は県立であっても、何か特別な高等学校制度、産業高等学校あるいは労教高等学校、労働と教育を一体でやるような高等学校、何かそういうものの特別法というものは考えられないのか。資格は同じだがそのシステムが違うというものを何か検討してやることが中小企業の雇用対策として私はいま非常に重要な問題の一つだと思うのであります。大臣、そういう点各省と十分連絡をとって、ひとつ前向きに検討していただきたいと思いますが、いかがですか。
  36. 大平正芳

    大平国務大臣 検討さしていただきます。
  37. 武藤山治

    武藤(山)委員 もう七時ごろにはという本会議の時間もありますから、やりたいことは一ぱいあるのでありますが、あとは連休明けの一般質問の際に十分発言をさしていただきたいと思います。大臣も約束をしたいまの三点はひとつ十分検討して、あとでお答えをいただきたいと思います。
  38. 大久保武雄

    ○大久保委員長 これにて本案の質疑は終局いたしました。     —————————————
  39. 大久保武雄

    ○大久保委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。  中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  40. 大久保武雄

    ○大久保委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  41. 大久保武雄

    ○大久保委員長 次に、ただいま可決いたしました本法律案に対して、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、趣旨の説明を求めます。佐野進君。
  42. 佐野進

    ○佐野(進)委員 ただいま議決されました中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)につきまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表して、提案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。  一、中小企業の構造改善の円滑化等を促進するため、中小企業対策費の増額を行ない、政府関係金融機関中小企業振興事業団等について資金量の増大、貸付限度額の引上げ、金利の引下げ、信用保険条件の緩和及び保証付融資の金利引下げ等に関する措置を考慮すること。  二、中小企業の構造改善を図ることの必要性にかんがみ「国際競争力を強化するため」の解釈と運用を弾力的に行なうとともに、特定業種の指定のため積極的な指導に努めること。  三、小規模事業者について、所得税の軽減、事業税の事業主控除の引上げと家族専従者の完全給与制の実施及び同族会社の留保金課税の軽減等税負担の軽減に努めること。  四、小規模企業の構造改善に対する指導、助成に特段の措置を講ずるとともに、構造改善を効果あらしめるため、施策アフターケア組織の強化を図り、中小企業団体組織に関する法律に基づく規制命令等の運用に遺憾な   きを期すること。  五、中小企業労働力の確保、定着に資するため、従業員の福利厚生施設の拡充、職業訓練の充実、学校教育施設の整備及び退職金制度に対する国庫補助の増額等を図るとともに社会保険の完全実施を推進すること。 以上であります。  以下簡単に補足説明いたします。  第一に、内外のきびしい経済環境の変化に対処するため、中小企業の構造改善中小企業施策の大きな柱となっておりますが、構造改善を円滑ならしめるためには、何といっても金融財政上の裏づけが必要であります。したがって、中小企業対策予算を増額し、政府関係金融機関中小企業振興事業団等に大幅な財政資金を投入するとともに、金融措置として振興事業団融資、中小公庫の近代化融資、特定業種に対する構造改善融資についての金利の引き下げ、設備近代化資金の貸し付け限度額の引き上げ、信用補完制度のてん補率の引き上げ、保証料率の引き下げ及び保証つき融資の金利の引き下げ等をはかるよう政府に強く要請する次第であります。  第二に、特定業種は、中小企業近代化促進法の指定業種のうちから、「構造改善を図ることが国際競争力を強化するため緊急に必要であると認められる」業種を政令で指定することとなっておりますが、「国際競争力を強化するため」の解釈のいかんによっては特定業種の指定が非常に狭い範囲になるおそれもありますので、「国際競争力を強化するため」の解釈と運用を弾力的に行なうとともに、特定業種指定のための指導を積極的に行なうことが必要であります。  第三に、小規模事業者に対する税制は毎年若干の緩和がはかられてはおりますが、大企業に比較してまだまだ不利であり、税負担の過重にあえいでいるのが実情であります。したがって、小規模企業の経営の改善発達につとめるとともに、その従事者が他の企業の従事者と均衡する生活を営むことを期することができるように、所得税の軽減、事業税の事業主控除の引き上げと白色申告者の家族専従者の完全給与制の実施及び同族会社の留保金課税の軽減等、税負担の軽減につとめるよう政府に強く要請いたします。  第四に、構造改善政策の推進により、小規模企業が落ちこぼれたり、放置されたりすることがないよう、特に小規模企業の構造改善に対する指導、助成に特段の措置を講ずるとともに、構造改善を効果あらしめるために遺憾なきを期することが必要であります。  第五に、中小企業にとって、労働力の確保をいかにするかということが最大の問題であることは申すまでもありません。  したがって、中小企業労働力の確保、定着に資するため、労働者住宅、給食施設、保健施設及び文化施設に対する融資制度の拡充、公共職業訓練及び事業内職業訓練の充実、働きながら学べる学校教育施設の整備、中小企業退職金共済事業団に対する国庫補助の増額と退職金の引き上げをはかるとともに、五人未満は任意加入制となっている労災保険、失業保険、健康保険及び厚生年金保険の完全実施を推進することが必要であります。  以上が附帯決議案の趣旨でございます。委員各位の御賛同をお願いいたし、説明を終わります。(拍手)
  43. 大久保武雄

    ○大久保委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  44. 大久保武雄

    ○大久保委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際附帯決議について通商産業大臣から発言を求められております。これを許します。大平通商産業大臣
  45. 大平正芳

    大平国務大臣 ただいま御決議をいただきました事項につきましては、御趣旨を尊重いたしまして、その実現につとめ、中小企業施策充実と前進に努力してまいる所存であります。     —————————————
  46. 大久保武雄

    ○大久保委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 大久保武雄

    ○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  48. 大久保武雄

    ○大久保委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十二分散会      ————◇—————   〔参照〕 昭和四十四年四月二十五日(金曜日)  商工委員打合会    午前十一時一分開会
  49. 大久保武雄

    ○大久保委員長 これより商工委員打合会を開会いたします。  本日は、板橋区のガス爆発事故について、東京瓦斯株式会社社長安西浩君、同供給部長田村永一君、鹿島建設株式会社社長渥美健夫君、同専務取締役前田忠次君、同土木部長水谷諭吉君及び東京都交通局高速電車建設本部長逸見正則君、以上六名の方に御出席を願っております。  この際、各位に一言ごあいさつを申し上げます。各位には、御多用の中を本委員会打合会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  本日は、板橋区のガス爆発事故について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を承りたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。  なお、御意見の開陳は一人十分以内におおさめいただくようお願い申し上げます。  御意見の開陳のあと、各委員から質疑がありますので、御了承を願います。  それでは、まず安西君にお願いいたします。
  50. 安西浩

    ○安西浩君 東京瓦斯の社長の安西浩でございます。  去る三月二十日、板橋区仲宿で起きました事故によりまして、家屋を焼失し、とうとい人命をそこなうことになりまして、諸先生方をはじめといたしまして、皆さま方に多大の御迷惑をかけましたことはまことに申しわけない次第でありまして、つつしんでおわびを申し上げる次第でございます。また、御不幸にもなくなられた方々には、衷心から哀悼の意を表し、御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。  事故の原因につきましては、当局におかれまして目下調査中でございますが、社内におきましても仲宿導管事故対策会議を設置いたしますとともに、学識経験者にお願いいたしまして、徹底的に調査検討を加えております。当社といたしましては、再びこのような事故が起きないよう、次に申し述べますような諸対策を講じておる次第でございます。  まず第一に、地下鉄工事に関連のある個所の対策でございますが、事故現場は当該ガス管の使用は停止いたしまして、この地区に対しましては別の方面からガスの供給をいたしております。事故現場の前後約千三百メートルにわたりまして九個所の点掘りを行ないました結果、防護の状態がよろしくないことがわかりましたので、千三百メートル全線、これを移設することにいたしました。また、板橋の現場と同じような工法の地下鉄工事あとのガス路線につきましては、漏洩検査を実施いたしますとともに、受け防護等について取り調べを行ないましたが、現在のところ異常はございませんでした。  次に、ガス導管の防護につきましては、通産省内にこのたび設置せられましたガス導管防護対策会議におきまして検討されておりますが、当社におきましても種々検討いたしております。当社といたしましては、現在の防護方法で十分と考えておりますが、さらに安全率を高めるために一段の補強を行なうとともに、立ち会いにつきましても、その方法、運営等、より一そうの強化をはかってまいりました。  これらにつきましては施工者側におきましては慎重過ぎるのではないかとの御批判もございましたが、東京都交通局、帝都高速度交通営団及び横浜市交通局にも申し入れをいたしまして、それぞれ御了承をいただいておる次第でございます。  さらに、このたびの事故にかんがみまして、当社の保安体制の再検討を行ないまして、次のような処置を講じます。  まず緊急時の出動をより迅速にいたしまして、被害を未然に防ぐため、連絡体制、出動体制について改善をはかりまして、営業所におきましては、工作車二十七台、当直者三十名、供給所におきましては、工作車昼間二台、夜間四台、緊急要員昼間四名、夜間九名の増強を行なった次第でございます。  さらに引き続きまして、無線工作車の増加、緊急時の呼び出し装置の採用等、機動性を増強することといたしております。  次に、ガス管を共同溝に収容する問題につきましては、このたびの事故に際しましていろいろの御批判がございましたので、この際御説明申し上げたいと思います。  当社は、かねてから東京都供給管共同溝調査委員会というものに参加して検討を行なってまいりましたが、比較的問題の少ない輸送導管、太い導管ですが、輸送導管などはケース・バイ・ケースで検討を加えまして、すでに東京都内におきましては、これはお手元にお届けいたしましたように、七路線、四千百メートルが共同溝に収容されておるのでございます。しかしながら分岐管、本管からブランチをつくりますところの分岐管を伴いますガス管につきましては、その部分で地盤が不等沈下などをいたしまして、分岐管に事故の発生いたします危険が大きく、また万一のガス漏洩等に対する処置につきましても問題が多うございますので、なお技術的に検討を必要といたす問題であると思います。  今回の事故を起こしました中圧ガス管は、沿線のガス普及のために埋設されたものでございますので、この中圧管から分岐管を増設する計画になっておりました。この道路の共同溝は非常に深い位置に設置されておりますので、これにガス管を収容いたしました場合の分岐管の取り出し、管理の困難等の問題がありましたので、この共同溝へは参加しなかったのでございます。  御参考までに、皆さま、諸先生方のお手元に資料をお配りいたしましたが、これは今回の事故後におきまして、私が、三菱商事を通じまして、世界各国の共同溝はどうなっておるかということを至急調査をいたした次第でございますが、アメリカの官庁、ガス、電気会社等十社及びイタリアのミラノ市の調査をいたしたものでございます。これは事例が少ないので、確定的なことは言えませんが、現在までの報告によりますと、ガス施設はアメリカ、イタリアにおきましては共同溝に収容されておりません。なお、フランスドイツ等につきましても同時に調査を依頼してございます。いまだ結果が届いておりませんが、やがて私の手元にこれが届くものと思います。これらの調査対象といたしました会社が何ゆえに共同溝に参加しなかったかという理由として、そこにプリントを差し上げましたような理由でございますが、要点を申し上げますと、共同溝に収容される物件、各会社それぞれ希望する深さが一致しない、これが第一点でございます。第二点といたしましては、事故が発生した際の責任の所在が不明確であること、第三番目には、ガス及び電気事業が営業上競合関係にありまして、共同利用の足並みがそろわないということでございます。四番目といたしましては、現在使用しているところの施設を廃棄して新たに共同溝に収容する場合の経済性が問題になっておる、こういうことでございます。  以上はアメリカとイタリアの事例でございますが、共同溝の問題につきましては、通産省のガス導管防護対策会議でもこれを取り上げられておりますし、当社におきましては、諸外国の例がどうでありましても、共同溝には積極的に参加すべく、より一そう前向きの姿勢で問題点の解決に当たる所存でございます。  なお、さらに欧米における共同溝の実態をより詳細に調査するため、来たる五月三日、二名の調査員を派遣することにいたしました。五月下旬までに私の手元に報告があるはずでございます。  次に、補償問題につきまして申し上げたいと存じます。東京都、鹿島建設、当社の三者におきましては、それぞれの担当者が相ともに協力いたしまして、被災者の方々と鋭意折衝中でございます。  私といたしましては、従来から事故によって不幸被害を受けられました方々の補償につきましては、被災者の方を御慰謝申し上げることが何よりも大切なことであると考えまして、法律上の責任のいかんにかかわらず、あるいはまた事故原因のいかんにかかわらず、被害をお受けになられました方々と誠意をもって十分お話し合いを重ねまして、御納得をいただきました上ですべて円満解決をはかってまいりました。これまで、被災者の方々の御納得いただけないままに法律上の問題として争ったというようなことは一度もございませんでした。今回の事故につきましても、以上申し上げました補償に対する考え方はいささかも変わっていないのでございます。  事故直後におきまして、東京都交通局、鹿島建設及び当社が一致協力いたしまして被害を受けられた方々の補償に当たることを申し合わせ、当社が窓口となりまして、誠心誠意お話し合いを進めております。被災者の方々にはとりあえずお見舞い金をお贈りし、なくなられた石井悠司様御一家の御葬儀の御手配、あるいは被災者の方々の旅館宿泊の御手配、あるいは御迷惑をかけました近隣の方々へのごあいさつ及びお見舞い等、できる限りのことをさせていただきました。その後、石井悠司様御一家につきましては、一応当方の金額の査定もできましたので、御遺族の代表の方々と具体的な補償に関するお話し合いを進めております。  また、家屋を焼失されました七世帯の方々とは、代表の方を通じてお話し合いをいたしました結果、一日も早く御商売を再開していただくために、お店の建築あるいは補修を急いでおりましたが、現在は、家屋はほぼ落成し、本件に関しましては鹿島建設の御協力でございますが、五月初めには営業を開始していただけるものと考えております。  営業再開に要します資金につきましても、御相談に応じて御便宜をおはかりいたしておるような実情でございます。  いずれにいたしましても、一日も早く被災者の御納得をいただきまして、円満解決いたしますよう努力いたす所存でございます。  終わりに、今回の事故につきましては、重ねて衷心からおわび申し上げますとともに、今後の事故防止につきましても万全の対策をもって当たる決意でございます。  ありがとうございました。
  51. 大久保武雄

    ○大久保委員長 次に、渥美君にお願いいたします。
  52. 渥美健夫

    ○渥美健夫君 鹿島建設の社長の渥美健夫でございます。  このたび東京板橋におきましてガス爆発により重大事故が発生いたしましたことは、まことに痛嘆のきわみでありまして、不幸にしてなくなられました方々に対し心からお悔やみ申し上げますとともに、被災者の方々に対し衷心より御同情申し上げる次第でございます。また、事故発生以来、世間をお騒がせし、諸先生方にも非常に御心配をおかけいたしまして、本日も貴重な時間をおさきいただき、御配慮をわずらわしましたことを、まことに申しわけなく存じております。  御承知のように、今回ガス漏れの発生いたしましたガス管は、板橋区仲宿、国道十七号線の車道の下に埋設されていたものでございます。この場所は当社が施工を担当いたしました都営地下鉄六号線板橋工区の現場の中にございますが、この工事は昭和四十一年八月十五日に着工し、一昨年九月二十五日にこの区域の地下鉄の構築を完了いたしまして、その後共同溝埋め戻し及びガス管その他の地下埋設物の復旧工事を行ないまして、事故現場付近の路面の仮舗装を済ませて、お引き渡しをしたのは、今年の一月八日でございまして、自来事故発生まで約二カ月半にわたり一般交通の用に供されておりました。その間、今年の二月初めごろから、何度か付近の住民の方から(ガス漏れがある)という連絡が瓦斯会社にあり、そのつど瓦斯会社におかれましても会社の方が現場においでになって、お調べになったり、処置されたりしておったのでございます。爆発事故の起こりましたのは、三月二十日未明のことであり、当社は当日夜間作業に実施しておりませんでしたが、保安管理のために社員による現場内のパトロールは平常どおり実施しておりました。同日午前二時過ぎ工事現場の夜間巡視をしておりました当社の社員が異常なガスのにおいに気づき、直ちに電話をもって東京瓦斯北部供給所に緊急連絡するとともに、当社の社員、作業員を非常呼集いたしまして、現場の警戒態勢をとり、バリケードをつくって道路の交通規制をするなどの応急措置をいたしました。そのうちに、東京瓦斯から日成建設の係員二名が現場に到着しましたので、その係員と直ちに相談し、付近の民家の方々を退避させるべくたたき起こして回りましたが、午前三時十分ごろ石井テント店の中で、何らかの原因で引火したものか、突然爆発が起こり、続いて同店前の道路でも爆発が起こりまして、一面火の海となり、あのような惨事となったのでございます。  この事故の原因は何か、またこのような事故をどうして未然に防止できなかったのかにつきましては、当社におきましても、後ほど申し述べますとおり真剣に検討しておりますが、また一方目下警察御当局において調査中であり、まだその結果が判明いたしておりません。しかしながら、法律上の責任の問題は別といたしまして、私ども三者、東京瓦斯、東京都並びに鹿島建設は、直ちに、お気の毒な被災者に対する補償を早急に進めることといたしまして、東京瓦斯を窓口に、三者緊密に協力して、とりあえずそれぞれ資金を出し合い万全の措置を講じております。  補償の一般状況につきましては、先ほど安西社長から詳細に御報告がございましたので、重複するところは省略させていただきまして、被災家屋の再建復旧の状況について若干補足して御報告申し上げます。  家屋の被害は全焼五軒、半焼三軒でございましたが、半焼の武田様は修理が完了し、近く薬局を再開されることになっております。また歯科医院の松木様も補修によって復旧が可能でしたので、これもほとんど修理が完了いたしております。また西沢様は当社の手を借りずに御自分で復旧されるとのことでございまして、残りの全焼された蛭子様、中村様、久保田様、岡崎様、石井様の五軒につきましては、皆様もとの間取りで再建したいという御希望があって、そのお打ち合わせや、建築申請の手続で若干手間どりましたが、四月十二日に地鎮祭を済ませ、目下プレハブ式建築で突貫作業中でございまして五月十日までには皆さまにお住まいいただける手はずになっており、皆さまの御希望どおりに進んでおります。私どもは被災者に対する補償は何よりも大切であると考えまして、今後とも三者協力して、被災者の方々の御納得のいくよう誠意を尽くしてお話し合いをし、円満に解決するよう努力していきたいと存じております。  今回の事故発生以来、当社におきましてもさっそく委員会を設け、技術研究所、社内外の学識経験者をはじめ技術陣の総力をあげて現場の施工状況を詳細に検討し、かつ土木工学的に事故原因の解明につとめておりますが、この現場は、平生から工事の安全には特段の注意を払い、確実な施工につとめ、優良な安全成績をあげていた現場でありましただけに、このたびの事故は全く意外のことであり、まことに残念のきわみでございます。  いま申し述べましたように、この地下鉄建設工事に伴うガス管防護工事は、御指示の図面に従い、御監督お立ち合いのもとに、慎重に施工した工事でございますが、事故発生後に、現場を掘り返してみますと、ガス管の支持やぐらにきわめて異常な変位や被損が起こっておりましたので、私どももまことに驚いた次第でございます。施工の順序、工程から考えましても、また工事の検査の過程から見ましても、このように異常な変位や被損が施工中に起こったとは、どうしても考えられず、この点について工事の監督の方々のお話を伺い、当社の社員、作業員などにつき、いろいろ調査いたしましたが、施工中だれ一人それに気づいたものがなく、そのような形跡は全くないのでございます。おそらく工事完成後に、何か従来の設計常識をこえるきわめて異常な外力が加わって、埋設ガス管の支持やぐらの変位やガス管の破損が発生したのではなかろうかと推察される次第でございます。その真因の究明につきましては、当社としても専心努力を払っておりますが、一方警察御当局においてもお取り調べ中であり、また専門学者の御検討に待たねばならぬと存じております。いずれにいたしましても、このたびの事故はきわめて重大なことであり、都市再開発のための土木工事が次々と計画され、実施されている今日、今後かかる悲惨事が再び発生しないよう最善の努力を尽くさねばならないと存じております。私ども関係者は今回のなまなましい経験にかんがみ、一致協力して共同研究会を設け研究を進めておりますが、最近の都市過密化に伴ない急増している交通量、これに対処する地下構築物のあり方、その他刻々変化しつつある諸情勢のもとにおいていまだ十分に解明されていない諸現象について、その解明につとめ、万全の対策を見出していきたいと存じている次第でございます。  そしてこのことこそ、なくなられました方々の霊を慰める唯一の道であり、かつまた被災者をはじめ、世間の御要請にこたえる私どもの責務であると考えている次第でございます。何とぞ御海容を賜わりますとともに、今後よろしく御指導賜わりますようお願い申し上げます。ありがとうございました。
  53. 大久保武雄

    ○大久保委員長 次に逸見君にお願いいたします。
  54. 逸見正則

    ○逸見正則君 私は、東京都交通局の高速電車建設本部長でございますが、先ほど東京瓦斯、鹿島建設、それぞれの社長さんからかなり詳細にお話がございましたので、重複いたします点はできるだけ省略といいますか、かいつまんで御報告を申し上げたいと思います。  三月二十日未明のこの板橋地区のガス爆発事故につきましては、まことに重大な事故を惹起いたしましたことにつきまして、われわれ起業者といたしましてたいへん残念、遺憾に思っておる次第でございます。なくなられました方々に対しましては深甚のおくやみを申し上げたいと思いますが、負傷されました方または家屋を焼失された方々に対しても心からおわびをいたしたいと思っているわけでございます。今後このような事故を再び起こさないために諸般万般の手配をもちろんわれわれ努力いたすべきでございますが、あらかじめこのような事故の発生を推測できなかった、そしてこのような重大な事故を起こしたということについては、施主といたしまして責任を痛感しておる次第でございます。また、本席の諸先生方にも格別の御心配をおかけ申し上げ、われわれの至らなかった点についていろいろ御指導をいただかなければならないこういう事態の発生したことについて、今後も深く反省をしてまいりたいと思うわけでございます。  原因の探求につきましては、私どもも私ども組織の中に調査委員会を設けまして、外部の学織経験者、主として土木関係の経験者でございますが、そういう方々も含めまして、鋭意調査を進めております。先ほどのお話にもありましたように、ただいままだ捜査当局においても究明の途上でございますので、特に私ども地方公務員といたしまして、いろいろな判断、推測はいたしておりますけれども、そういう立場において軽々しく見解を表明するというふうなことは慎むべきことと思いますので、この点についてはどうぞ御容赦をいただきたいとお願いする次第でございます。  それからもう一つ、私どもはこの事故に対する対策の委員会をつくっておりまして、先ほど両社長からのお話にもありましたように、まず第一に被災者に対するいろいろな手配でございますが、それと同時に、われわれのところといたしましては、ただいまも地下鉄の工事を目下進めつつございますので、こういうような事故をきょうにでもあすにでも繰り返すということがあってはなりません。そのような見地から、三月二十日以降、われわれといたしましては特に事故を防止するというための手配をいろいろと講じてまいったつもりでございます。三月二十日には、まず私どもの建設関係の現場職員をはじめといたしまして、当本部の職員も含めまして、それぞれの業務に対していろいろな場面から検討を加えまして、職務の徹底、強化ということをはかるべく、私の名前で通達をいたしたわけでございます。また同日に、われわれのほうの関係のありますすべての建設請負事業者に対しましても、私名前によりましてパトロール体制の強化あるいはまた緊急事態の起こりそうなそういう場面も含めまして、通報の迅速化、緊密な連携を迅速にとるというふうなことについて、多少具体的な事例も含めましてお願いを申し上げた次第でございます。なお、三月二十五日には当方の工事部長から同じく建設事業者に対しまして、そのような問題をなお具体的な項目を掲げまして、こまかいお願いを申し上げる指示をいたしたつもりでございます。三月二十二日には建設省方面からの御注意の通達もございましたので、直ちに二十六日には、特に路面の保全埋設管理者との緊密な連携、事故の予防というふうなことを含めた、さらにそういう方面の要請をお願いいたしております。また二十八日には、私どものほうの建設事務所長あてに、同じく工事部長名によりまして、監督の強化なり、特に埋設物防護、復旧工事の再点検、あるいは仮復旧道路の取りつけ部の再点検、道路不陸部分による調査、手直し、あるいはそれらの探求、あるいは埋め戻し工事に対する指導監督の強化、その他の面につきまして、具体的に訓令をいたしたつもりでございます。  四月一日には、通産省の公益事業局長からのお達しもございましたので、さらにこの面についても、関係者に十分な注意手配を講じたつもりでございます。  また、四月二十一日には、東京瓦斯さんの供給部長さんの名前で局長あてに、ただいま瓦斯さんのほうからお話がございましたガス管防護の暫定的な、とりあえずの強化対策、見回り、立ち会い、その他の強化、その他緊密な連携を保つというための御了解、連絡の文書をいただいておりますが、これは、実は私どもといたしましては、三月の二十五日に、東京瓦斯社長さんあてに、われわれのほうとしても今後事故を二度と繰り返しては相ならぬというふうな意味で、今後の対策について特に見回り、立会等についての緊密な御連絡、または今後の問題に対する調査その他につきましての双方協議によって、十分な調査を進めたい、そういった点について、御依頼を申し上げたことに対する御回答の由とわれわれはそういうふうに承知をいたしたのでございます。そのようなことで、われわれも自分で考えられる範囲におきましては、今後の問題についても、いろいろと手配を講じておるつもりでございます。  また、被災者に対するお見舞い、その他補償につきましては、先ほどお二方の社長からお話がございましたとおりでございますので、繰り返し詳細に申し上げることは省略いたしますが、特に石井様をはじめといたしまして、おなくなりになった御家族あるいはその他家屋を焼失されたというふうな方に対する補償のお話し合いにつきましては、われわれとしては誠意を込めて懇切にお話し合いを進めておるわけでございまして、特に石井様に対しましては、近く第三回目のお話し合いに入る予定でございますが、その模様は、先ほどのお話のように、円満な中にお話しが進められておるという次第でございます。家屋の復旧等につきましても、諸先生方におかれて、新聞等で御案内のことかと思いますが、都市計画による道路拡幅というふうな問題とのからみがあったわけでございますが、何はともあれ、被災者の御要望にできるだけ応じた方法によって、救済、補償を申し上げるというのがわれわれがとりあえずのなすべき第一義的なつとめかと存じまして、特に瓦斯さん、鹿島さんからのお手配と関連いたしまして、私どもはただいま申し上げたような問題点につきましては、特に私どものほうの知事の指導もございまして、便宜的な措置によって被災者の御要望に応ずる、こういうふうな手段で仕事を進めることにいたしたわけでございます。近く家屋の建築も完成いたしまして、五月ごろにはお使いいただけるのではないか、こういう模様になっておるわけでございます。  以上、たいへん失礼でございますが、私どもの所見も交えまして御報告を申し上げる次第でございますが、当委員会の諸先生方から、さらにまた御懇切な御指導を賜りたいことをお願い申し上げまして、とりあえずのお話にかえたいと思う次第でございます。     —————————————
  55. 大久保武雄

    ○大久保委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤井勝志君。
  56. 藤井勝志

    ○藤井委員 本日は、先般の板橋の不幸なガス爆発事故に関係する方々を参考人として、ただいま三者のほうから一応の事情のその後の経緯、並びに今後の対策について、また心がまえについてお話がございました。災害を受けられた罹災者はもちろんでございますけれども、きょうおいでの三者ともに、広い意味において罹災者といいますか、たいへんお気の毒なお立場だと私は思うのでございます。  先般私は、実は商工委員会の一行とともに現地に行き、現場を見せてもらいました一人として、先ほど御陳述がございました問題点を含めまして、この前現地で見ました私の印象、こういったことを中心として、各お三方の参考人の方々に質問をいたしたいと思います。  まず順序として、東京瓦斯さんのほうにお尋ねをいたしますが、たいへん東京瓦斯さんも御迷惑千万で、地下鉄工事がなかりせば、こういったことはなかったわけで、よそさまの下をもぐる工事、こういうことからこの問題が起こったわけでございますが、そのとき初めてやぐらでガス管をささえておる、この状態を見て専門家のお話を聞くと、いわゆるやぐら工法ということばでございますが、あのような工法というもので、はたしてガス管をささえていく力というものがあるのか。あるいはまた荷物が上からもかかる。土の荷物と同時に、国道でありますから、上を相当ひんぱんに車が運行しておる。大型重量のダンプあたりも通っておるわけでありますが、こういったやぐら工法にはたして信頼性があるかどうか、この点が第一点でございます。  それから第二点は、ガス管を守る工事、これには聞くところによりますと、東京瓦斯と東京都との間で協定書ができておる。その協定書というものは詳しく知りませんけれども、何か別に定める標準工法なるものが一応示されておって、今度の工事がその協定書の標準工法によってりっぱに行なわれておったかどうか。これは東京瓦斯さんとしては下を掘り起こされて御迷惑な話でございますけれども、そこら辺がぴしっとできておらないと、たいへんな、こういうことにもなる一つの原因ではございましょうから、そういう点についてどういうふうな御認識を持っておられるか。  それから第三点は、これは事柄はちょっと変わりますが、先ほど鹿島建設さんのほうの御陳述の中にもいろいろございましたが、爆発前、相当事前に住民からも漏れがあることの予報があった。同時にまた爆発直前ガス漏れの通報があってから現地に緊急出動するこの態勢というものが一体十分であったかどうか。これは済んだことで、取り返しのつかぬことでありますけれども、もともとこれがぴしっとうまくいっておれば災害を未然に防げたということにもなる。そういう点について、この東京都内にも地球を半分回るぐらいガス管が埋めてあるということでありますから、市民生活の安全という面からいって、これはよほどそういう態勢は万全の注意を払うべきである、このように思うわけでございまして、この点について一体どういうふうな考えを持っておられるか、この事故を通じてどういうふうな教訓を得られたか、この点ですね。  それから第四番目は、共同溝について積極的なかまえをお示しになっております。同時にまた、このメリットと同時に、私自身しろうとでわかりませんが、ここに四点ばかり先ほど指摘されましたが、これはまさに私は常識的に考えても当然のことであって、特にガス管は家庭に使う場合には分岐して次々細い管に持っていく。それに持っていって、たとえば電線、ここら辺が一緒に埋まると、ちょっとのことでどういうことでショートするかわからぬ。そうすると、一緒にしておったばかりにとんだ大きな災害になるということにも相なる。だからそこら辺はやはり私は、共同溝に対して積極的に参加すべき、大いにやるというこの御熱意に対してはもちろん敬意を表し、大いに推進をしてもらわなければならぬと同時に、ケース・バイ・ケース、冷静に対処されるべき必要があるのではないか。私は、デメリットも十分考えながら冷静にこの問題の処理に当たるべきではないか、こういった感じがいたしますので、そういう点をひとつなにしていただきたいと思います。以上東京瓦斯さんですね。  それから鹿島建設さんのほうに一つお尋ねをいたしますが、現地に行ってみまして、土砂の埋め戻し作業が丁寧でなかったといいますか、乱雑というか、こういったことのためにやぐらが傾いたり折れたり曲がったりしたのではないか、こういう見方がございますが、あとから見てそういう一つの印象。それからどのような作業基準、そういう一つの方式ですね、やり方に基づいてやってこられたか。特に現地でお話があったとき、われわれ一行としてちょっといささかおやおやと思ったお話がございましたのは、やぐらが折れたり傾いた理由として爆発によることを指摘されたのが非常に強く印象的に聞くほうでは受けたわけでございまして、爆発のあのとき、墓所がすぐそばにありましたが、これは一つも倒れておらない、こういったこともさることながら、その後爆発の影響のない他の個所の試掘調査においてもやぐらが破損しておる、こういう事実が出ておる。こういう点はいかがお考えになって、施工者としての立場として、その後どのような教訓を得ておられるか、この点でございます。  それから工事後の試掘によって、石ころやコンクリートの破片とか、現場を見て、こっちのほうの別のところがありましたが、ここら辺がこう散乱しておった。埋め戻しの土は良質の土砂を用いるということになっておるというふうに私は聞き及んでおるわけでございまして、東京都の土木工事標準仕方書ですか、これにもはっきり明示されておる。しかるに明示されておるのが十分行なわれておらなかったのではないかという、こういった疑問を持つわけでございまして、この点をひとつ御解明いただきたい。  申し添えておきますが、御三者方、われわれはあくまでも——刑事責任とかそういったことはそれぞれの担当の機関において追跡調査されておりますので、われわれ商工委員立場においては、もう一刻の猶予も許しませんから、いかにして安全を確保するかという、こういう保安確保に対して前向きで、罹災者の救済とかそういったことはもちろん大切でありますけれども、再びこういう災害を起こさない、こういう面からいって、いわゆる保安確保という面でお尋ねをするわけでございますから、ひとつどうかそのようなかまえで御答弁をいただきたい。以上が鹿島さんにお尋ねする要点であります。  最後に東京都のほうにお尋ねをいたしますが、これは交通がとまらないでこういう作業をやるわけですから、おおむね夜間の作業が大半だと思うのです。徹夜作業ですね。この工事はもちろん鹿島建設が施工されましたけれども、監督は東京都の交通局高速電車建設本部が監督の任に当たられておるわけですが、夜間だから、これは私の思い過ごしかもしれませんが、はたしてりっぱな監督が行き届いておったかどうか。特に埋め戻し作業においてそういった手配が十分なされておったものであろうか。その後の工事もあちこちできておりますが、そういった点についてこの事件によってどのような反省と対策を講じられておるか、この点。  それに関連をいたしますが、先ほどもいろいろお話が出ておりましたが、これは鹿島建設さんのほうもちょっと述べられておりました。おそらく鹿島建設さんの共同委員会というのは、事業会社内部のそういった対策共同委員会ではないかと思うのですが、私は今度の教訓を通じて、共同溝という、こういった一つ方向に前進するためには、このような関連企業、東京瓦斯さん、電気、もちろん通産省も一枚加わる、東京都ももちろん加わる、建設省も加わる、こういう総合的な共同対策委員会と申しますか、名前はどれでもいいですが、そういったことが必要ではないか。その中心になるのは、東京都がそういった方向に向かって積極的に配慮すべきではないか。保安確保をはかる体制の整備の急務を感ずるものでございまして、これに対して先ほど、一応時間の制約がございましたがきわめて抽象的なお答えでございましたが、ひとつ総再点検、こういったことと同時に総合的な共同対策委員会、こういったもの、これは東京都としては今後どのように、取り組もうとされておるか、具体的にひとつ都のほうからお答えをいただきたい。  それに、埋め戻し工事その他にいろいろ注意を与えたと言われておりますが、その具体的な注意を与えた内容について要点をひとつお示しを願いたい。私がこのようなお尋ねをしながらもう一つ東京都のほうにお尋ねをすることは、防護協定書を東京瓦斯と東京都が契約されている。これは都が直接の施工の監督のお役所でございますが、したがって、この協定書並びに法令に適合しておった工事が行なわれておるかどうかということをまず役所側として確認すべき責任は東京都にあると思うのでございます。東京瓦斯さんももちろんとんだ危険物を取り扱っておられるわけでございますから、隣近所に迷惑をかけないように工事が終わったかどうかということを見届けられるたとは当然でありますけれども、やはり私は、東京都が工事が的確に行なわれておるかどうかを確認すべきだと思うが、ひとつそういう点を御答弁願いたい。  ほかにもございましたけれども、時間の関係もございますので、以上簡単に要点を指摘して、お答えを願いたい、こう思います。
  57. 安西浩

    ○安西浩君 ただいまの藤井先生の御質問に対しましてお答えいたしたいと思います。  第一点のやぐら工法の信頼性、第二点の東京都との協定書の内容、第三点の爆発前にガス漏れがあったことに対する処置、並びにこのたびの中圧管亀裂によりましてガスが漏洩いたしましたことに対する緊急出動に関する、この三点につきましては、本日参考人として出席しております当社の供給部長から答弁いたさせます。  次の共同溝の問題につきましては、先ほどるる申し上げましたが、先生は、積極的にやるのはたいへんけっこうだが、ケース・バイ・ケースに冷静に対処すべきではないかという御意見のように承りましたが、まことに御同感でございまして、そのように処置してまいりたいと思います。ありがとうございました。
  58. 大久保武雄

    ○大久保委員長 田村君。なるべく簡明に、要点を尽くして発言してください。
  59. 田村永一

    ○田村永一君 御返答申し上げる前に、私ガス導管の管理をやっておる責任者の田村でございますが、この席をおかりしまして、この惨事によっての死傷者の方々に対しては心から御冥福をお祈りさせていただきたいと思います。なお、諸先生方並びに一般の方々に対してもいろいろと御迷惑をかけましたことをおわび申し上げます。  ただいま御質問のやぐら工法についての信頼性でございますが、現在のやぐら工法は、私どもとしましては、垂直荷重すなわち土の重さとかあるいはまた自動車の荷重、これらに対しまして十分安全につくられておるものというふうに信じておるものでございます。  このたびの事故管である二百ミリ口径の恒久鋳鉄管の場合を例としまして御説明いたします。  やぐらの間隔は一・三メートルで、土かむりが一・五メートルでございます。この場合に、一応われわれとしましては、土の密度、重さ、これは最も大きいいわゆる二トン・パー立方メートル、それから自動車の荷重にいたしましては、二十トンの重車両、こういうものが通ったとき、またその自動車の衝撃係数を五〇%増しの一・五倍として百三十五ミリの角材の受け台に働く力というものは、この曲げが四十八・五キログラム・パーセンチメートル平方、勇断に対しましては八・二キログラム・パーセンチメートル平方となっております。したがってこの値は日本建築学会の土木構造設計基準によるところの破壊強度は、曲げ、いわゆる六百五十キログラム・パーセンチメートル平方、勇断が七十キログラム・パーセンチメートル平方に対しまして、曲げでは約十三倍、剪断では約九倍の強度を持っておるものでございます。また設計上の許容応力度は、前述の基準によれば、木材許容応力度は曲げが九十キログラム・パーセンチメートル平方、勇断が十・五となっておりますので、受け台の発生応力は曲げ、勇断ともこの値より小さいため、設計には問題がないものと考えておる次第でございます。  ただし、今回のやぐらが動いておったあの事例から見まして、私どもとしましては、先ほど来話が出ております安全率をさらに高めまして、そして今後実施していくという考え方でございますけれども、このやぐらの構造その他につきましては、現在通産省において、ガス導管防護対策会議においても検討されておりますので、今後それに従いたい、こう考えておる次第でございます。  それから、東京都交通局と締結しておる防護協定の内容についてでございますが、東京都交通局と当東京瓦斯との間には、ガス施設の事故防止のためを目的としまして、施設の防護工事に関して昭和三十六年の十月一日に協定が締結されました。その後協議をいろいろと進めてまいりまして、昭和三十九年三月の二十六日に改定をいたしまして現在に至っておるわけでございます。これは先ほど申し上げましたように、ガス施設の事故を相互に協力の上に防止するということを目的といたしておりまして、内容は照会あるいはガス施設の防護の方法、仕様、施工の分担、事故発生時の措置、あるいはまた費用の負担等についてきめたものでございます。防護の方法につきましては、別に定めたところの標準工法というものがございますが、この標準工法によりまして使用の材料、寸法規格あるいは形状について取りきめてあるのでございます。なお、特殊な防護方法についてはそのつどお互いに協議して決定するということにいたしております。  次は爆発の件でございますが、ガスの爆発と申しますのは、当社のガスに空気が相当に入って、割合から申しますと五ないし三五%、このぐらいの空気がガスに混入し、しかもうまくミックスされておるというふうな状態のときに引火の火元があったときにそれが爆発という現象を生ずるのでございます。土中においてガスが漏れた場合には……。(藤井委員「緊急出動の場合。簡単に要点だけひとつ」と呼ぶ)
  60. 大久保武雄

    ○大久保委員長 説明員に申し上げますが、時間の制約がありますから、結論のところをきわめて簡単に要点をお答え願いたい。
  61. 田村永一

    ○田村永一君 爆発前にガスの漏洩があったのに対する状況とその措置でございますが、実は爆発以前に四カ所ばかり確かに——前といいましても一カ月も前のことでございますが、あったわけでございます。これは爆発個所から三十数メートル離れたところにおいて継ぎ手の個所における漏れでございます。継ぎ手と申しますのは、この間は麻はだを入れまして、それから鉛をつぎ込みましてゴムで押えてボルトで締めるという形式になっております。これがゆるんだために生じたもの、この原因は車両の振動等によるものというふうに私どもは原因を見ております。今回の折損した個所はそういう振動でなくして、何らかの上からの力、そういうふうなもので、あるところに支点があって折損したものでありますので、いまの漏洩とは関係がない別個のものでございます。  なお、この事故の出動体制でございますが、当社の出動体制について申し上げますと、緊急時に備えましてわれわれは供給——あの事故現場を対象にいたしますと、供給所というものがございます。そこに日夜待機をいたしております。あの事故は夜間でございましたが、三台の緊急車があったわけでございます。そのほか夜間勤務用として四台出ております。そのほか管轄区域内の営業所、七営業所がございますが、待機する宿直待機員が七十二名と、無線車、工作車十八台、計二十五台で応援体制ができるようになっておるわけでございます。ガス漏れの通知を受けた場合には、大小にかかわらず現場に急行して、そして確認の上応急措置をとるということにいたしておるのでございますが、今回出動いたしました事故のときには、たまたまこの三台が他の漏洩受付によって出動しておりましたので、さしあたり、最も近いところに、あの地下鉄工事をやっております日成建設という会社の事務所がございますので、そこから二名を派遣したわけでございます。と同時に、出動している無線車にこの現場に来るように無線連絡をいたしまして、サイレンを使って急行させた、こういうわけでございます。
  62. 大久保武雄

    ○大久保委員長 説明員にちょっと申し上げますが、時間の制約がありますから、質問者の質問しておる要点をそれだけをお答え願えれば、あと計画とかなんとかということはよろしいわけです。質問者が問うておることに対する結果だけをお答えを願いたい。
  63. 田村永一

    ○田村永一君 緊急出動体制は以上のようでございます。
  64. 渥美健夫

    ○渥美健夫君 先ほどの御質問に対する御答弁を申し上げます。  その前に、都のほうに対しまして共同委員会ということを私が申し上げましたものでございますから、これは私どもの鹿島建設の中につくっているものであるかという御質問がございました。もちろん私どもの会社の中にその対策委員会というものは設けておりますが、承りますところによりますと、通産省においてガス導管防護対策会議というものをおつくりなっていらっしゃるそうでございます。ところが私どもはそれに加わっておりませんのでございますが、ただこのたびのいかにもなまなましい経験というものを契機にいたしまして、私どもも今後土木工学的に問題点がどういうところにあるか、あるいはこれをどういうふうに解明しつつあるかというようなことを何とか御参考に資したい、こういうようなつもりで東京瓦斯さん、東京都さんにお話しし合いまして、いまもうすでにその三者でもって共同研究会を設けているのでございます。  それから現地の埋め戻し状況が非常に粗雑ではなかったかという御質問であります。現地をごらんいただきまして、そのような御印象をお受けになったのはまことにごもっともではないかと思います。実は私どもも現地を事故後見まして、そのあまりのひどさに実はびっくりしたわけなんでございます。それで、いろいろなやぐらの状況あるいは折損、破壊の状況をいろいろ土木工学的に検討いたしてみますと、どうもこれは非常に納得に苦しむ点が多いものでございますから、いまどういう現象であろうか、どういう力が加わるとこういうことになるのだろうかということを、いろいろ実験をしたり計算をしたりして検討しているところでございます。  なお石やコンクリートの破片というお話もございましたが、これらの点につきましては、当社の土木を担当しております前田参考人から、お許しを得まして御説明を申し上げたいと思います。
  65. 大久保武雄

    ○大久保委員長 持ち時間が切れておるのです。ですから、要点だけ簡単に……。
  66. 前田忠次

    ○前田忠次君 ただいま藤井先生の御質問の一番と二番とに関するものは、大体渥美社長からの答弁で御了承いただいたと思います。  第三番の、工事後に石塊あるいはコンクリートの破片が入っておったということにつきましては、これは工事中に上部の路面のほうは覆工板を使いまして、トラックその他自動車等を通しておりますが、いよいよ仕上げの段階になりまして、これを取り除く際に、あるいは土どめ用のくいを引き抜く際に、据えつけの部分に打ってありましたアスファルトが砂の中に混入しまして、目につくものは取り除いたのでございますけれども、砂の中に入ってしまって、目につかないものがまじっておったということはあった次第でございます。そういうわけでございまして、施工上やむを得ないようなことという感じでございます。ちょっと取り除きにくいということでございます。
  67. 逸見正則

    ○逸見正則君 最初に監督についての御質問でございますが、私どもは、ある特定の条件にかなった請負建設業者に総価方式による請負工事の発注をしております。そのような意味で実は全般的な監督、指示、成果の確認、そういうふうな業務はわれわれのほうの監督として執行しておりますが、個々の一工種ごとについての具体的な、継続的な立ち会い監督という点は、請負業者に負わせております。ただ、ごく特殊な工法の場合におきましては、いろいろの問題がございますので、こういうふうな場合には日ごろわれわれのほうの現場係員においても監督、指示の執行をするという点で現場に当たっておるわけでございます。  お尋ねの夜間作業による埋め戻し等の監督でございますが、これは御案内のように、交通規制の関係もございまして、ほとんど夜間行なわれております。私どものほうは夜間の作業におきましても、先ほど申し上げましたような、全般的な監督というふうな意味で、一工区当たり出づら一人あるいは二人を常に配置いたしまして、徹夜勤務をして監督に当たらしております。その内容は当日当夜の作業の規模の把握、請負業者側に対する特別の指示あるいは各管理者から受けている指示の徹底、また逆に一方請負業者側から指示の要請をされたような場合に対する応答、あるいは万一異常が起こったときの受け入れ体制、そういったような意味の内容で監督をしておるわけでございます。  それから総合的な対策委員会の意思があるかということにつきましては、そのような方向で具体的に動いておるわけでございます。  それから三番目の協定書、法令に基づく工事の確認ということにつきましても、当然日々の業務の中でそのような工事が営まれているということを確認しております。ガス事業法等の法令につきましては、われわれが理解できて取り扱える範囲のものにおきましての作業は当然われわれの監督によって処理されておりますが、特に専門的な事項につきましては、それぞれの管理者と協議打ち合わせをいたしまして、必要なものについては専門の管理者の作業を依頼しておるというような方法で工事の確認をいたしておる次第でございます。
  68. 藤井勝志

    ○藤井委員 共同対策委員会については。
  69. 逸見正則

    ○逸見正則君 その点については第二番目に申し上げましたように、ただいま鹿島さんからもお話がありましたように、われわれはその方向現実に活動したいということでございまして、ただ、ただいままであまりいろいろの点で事実の把握といったようなことにだいぶ時間を食っておりますので、これから本腰を入れて進ませていきたい。  それから先ほど冒頭に御説明申し上げましたように、瓦斯さんとの双方の協力によって総点検について強力に実行してまいる、この点についてもそのような方向で今後進めてまいりたい、以上に考えております。
  70. 大久保武雄

    ○大久保委員長 佐野進君。
  71. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私は時間がたいへん少ないので、いろいろきょうは国民の一番心配している事項ですから聞きたいと思って用意してきた事項がたいへんあるのですが、残念ながらその全体に触れるわけにはまいりませんから、重点的な項にのみ触れて答弁をひとつ簡単にいただいて、私の質問を終わりたいと思うわけであります。  まず第一に、私はいまの質疑応答を聞いておって日本の国民が、東京都民が、たとえば東京瓦斯に対するいまのお考え、それがそのまま受け取られるということであってはたいへん困ると思うのです。瓦斯会社は自分の責任でない地下鉄工事に関連して事故が起きたのだから被害者だというがごとき認識を持ってもらったり、それはまことに御同情のあるお取り計らいですなんて社長喜ばれておったのでは困ると思うのです。公益事業というものはいわゆる公道上を自由に使うことができるのです。一般の人たちが公道を自由に掘さくする場合においてはそれ相当の補償を出さなければならぬ。しかしそれに対する特別の措置が認められるということは、東京瓦斯はガス事業法の中における公益性を付与されておるから、それができると思う。したがって、たとえばいかなる場所においても、いかなる条件下においても、そのガスを導管によって供給する過程の中で、人間に対してあるいは善意なる第三者の所属する物件に対して被害を与えるということが、他のいかなる条件によって誘発されたとしても、東京瓦斯の責任は私は免れることができないと思うのです。しかるに、いままでこの事故発生以来とりきたった東京瓦斯当局の取り扱いの経過をながめるとき、何か責任をのがれよう、何か自分たちの立場を有利にしよう、何か第三者的に見たときに東京瓦斯というものの公益性というものに対する優越性というものを認めさせよう、こういうような一連の取り扱いが私どもひしひしと感ぜられるわけです。本来これに対しては公益事業局、通産省がいま少しくきびしい指導をしておればこういうことがないのですが、公益事業局長はじめ通産当局は、東京瓦斯がこわいのかどうかわかりませんけれども、適切な指導ができないで、事故が起きても、東京瓦斯さんのやられたことに対する擁護論的なことを言っておられるということから、商工委員会、こういう場所で本来われわれが社長さんはじめ皆さん出てきていただいてお尋ねしなくてもいいのに、こういうことをしなければならない状態になっておる。またこのガス爆発事件については非常に多くの方々が心配しておる。二、三日前の新聞にも、中野のマンションにおいて、密閉された部屋の中で五人の方がやはりガス事故においてなくなられておる。こういうことがいろいろあるわけでありますから、私はこういう点について十分追及をしてみたいと思ったのですが、これは時間がありませんので、後ほどガス事業法の審議の経過の中で追及をしてみたいと思うわけです。  いずれにいたしましても、私は、東京瓦斯さんの今回の問題、いままで起きた事件の経過を振り返れば、数限りなくあるわけです。そのたびごとに前の社長さんをはじめ多くの方々が一々善処するということを言いながら、そのあとを断たない原因がどこにあるかというところまで突き詰めてお考えにならなければいかぬ。これはもちろん都市問題に終局的な結論に結びつかなければならぬわけですけれども、しかし、だから私どもはしようがないのだということでは東京瓦斯の責任は果たせないのだと思うのです。  私は東京瓦斯さんにお伺いしたいことは、まず第一点として、あなた方が公益性を付与された事業責任者として、このような事故が起きたとき、その根本的な問題について政府なりあるいはわれわれ国会なりのほうでもいいけれども、事故を今後発生させないための具体的な要望があるならば、そういうものを具体的に出すべきだと思うのです。そういう具体的な要望を出すとともに、現に起きた事故に対しては、衷心から反省をした形の中で、たとえ主張があったとしても反省しなければならないのです。反省した形の中において、単なる言いわけでなく、率直にこれに対するところの善後措置を講ずる必要があると思うのです。たとえば補償の問題あるいは事故が起きた経過の問題くどくどさっきから御説明があります。われわれわかっているのです。われわれ委員はこんな資料を見て、その経過については全部みな知っているのですよ。その経過じゃないのです。いかに誠意をもって今後事故を起こさないように東京瓦斯当局が取り組んでくれるかということを期待して私ども答弁を求めているのです。そういう点におけるところの御答弁を願いたいことが一つであります。  それから鹿島建設さんと東京瓦斯さんの関係になるのですが、一番この事故について世のひんしゅくを買い、われわれも腹が立ってたまらないのは、あなた方は、東京瓦斯は世界第一のガス会社だといわれているのです。鹿島建設は日本第一の土木会社だといわれているのです。五人の人を含めたいろいろ事故対象地域における人たちは、いわゆる庶民なのです。その日の生活を、その日の売り上げないしその日の労働によってあがなわなければならぬ人たちなのです。こういうような庶民が、事のいかんにかかわらず、あなた方の仕事の上に起こったその過失によって犠牲になっておるのだから、即刻——お互いに私は正しのだ、正しくないのだということは、第三者がいつか検討するでしょう。しかし、少なくとも東京瓦斯のほうで補償金についてはわれわれがこれだけ出しましょうとなぜぱっと出さないのか。鹿島建設のほうでわれわれはじゃこうしましょうということでなぜさっとそれに対する救済の措置をとらないか。お互いに言うことは、最初のころは、いや鹿島建設が悪いのだ、いや東京瓦斯が悪いのだ——企業というものはいま日本の政治経済の中に非常に大きな責任を持っておるわけだから、持っているだけに庶民から見れば反感も多いわけです。したがって、何だ大企業は、このざまは、というような感をだれしも受けることだと思うのです。したがって、そういう意味において、鹿島建設さんは何かここに聞くというと、建物を建てられてそれぞれ積極的な措置を講じられた、こういうようなことだから、その後において誠意は示されたのだなと思うけれども、しかし私どもはあの工事現場に行って見た経過の中においては、鹿島建設さんがおやりになった工事、土地の埋め戻しの一部を掘り返したあのあとの姿を見たときに、ああこれでいいのだということはだれも思わないと思う。やはり十分反省しなければならぬところがあると思うのです。したがって刑事的責任だとか、どっちに責任があるかとか、あなた方が言わなくても、世論に訴えるような形をとらなくても、究極的にそれは警察当局が判断するのかあるいは通産当局がそれぞれの調査機関を委託してやるのかどうかわかりませんけれども、望むことは、どうかひとつ、これからもあることだと思うのです、事故というものは何もだれもつくろうと思ってやることじゃないのですから、これは起きてきた事故に対して、率直に被害者の身になって救済措置を講ずるという態度、こういう姿勢をとっていただくことは、鹿島建設さんの立場からすれば、おれのほうは責任ないといわれることは、直接ガス爆発によって起きた事故であるから、それはわかりますけれども、しかし、そういうことについては、むしろ東京瓦斯さんがエゴイズムに基づいた行動をとられるときは、謙虚に、その反論を出すことなく、率直な姿勢をもって取り組まれたほうがよかったのではないか、こう思うわけですが、いろいろ言いわけばかりやるので、私たちは、鹿島建設も大建設会社だから、これは庶民より身がかわいいんだな、こういうような気がしたわけです。そういう点についてはひとつ十分今後注意してもらいたい。見解を聞かせていただきたいと思います。  交通局に対してですが、交通局は直接責任があるないということはともかくとして、いわゆる地下鉄を掘る事業は、東京においては交通局だけでなく、営団もやっておるわけです。したがって、東京都という形の中で、東京都の全体的な責任の中で地下鉄を掘られておるということだから、都民はむしろ安心感を持って、この工事については間違いなく処理してもらえるのだと思ったところが、東京都営交通のやっておる工事として出た、こういうことでありますから、営団と比較すると、何か交通局のほうの仕事がやはりずさんではないかというような印象を一般は受けざるを得ないと思うのです。われわれは、そういうようなことはないと思うのだけれども、そうなった責任は、やはり本部長、重大な責任として感じてもらわなければならぬと思う。そこで、事のいかんにかかわらず、地下鉄を掘ったことによってガスが爆発し、爆発したことによって死んだんだから、起こした工事会社の責任は免れないと思う。したがって、こういう場合においては、これからも東京においてはどんどん地下鉄を掘らなければならぬ責任があるわけですから、起こした建設会社の責任に対して、どのような責任を追及するかということは重大な問題だと思うのです。放置して、鹿島さんの掘った埋め戻しが悪くてガスが爆発した。さっきのあれじゃないけれども、これは天災だということで、お気の毒でございますと言っておったのでは、浮かばれないのは、なくなられた方々をはじめ事故にあわれた人、あるいはそういう関連の中でいまなお非常に心配しておられる多くの都民の方々が浮かばれないと思う。したがってこういうような事故が起きたときに、信賞必罰について、——信賞必罰ということはないでしょうけれども、いいことはいい、悪いことは悪いのですから、厳重なる措置をとられる必要があると思うのですが、この点をひとつお聞きしてみたいと思うのです。
  72. 安西浩

    ○安西浩君 ただいま先生から御指摘を受けましたが、まことにそのとおりでございまして、原因のいかんにかかわらず、事業の公益性を考えまして、ただいま十分反省いたしておる次第でございます。  補償問題につきましては、世間ではいろいろ言われましたが、即日、そのときから三者一体となって善処いたしておる次第でございます。
  73. 渥美健夫

    ○渥美健夫君 私も、ただいま先生からいろいろ御指摘をいただきましたこと、非常に心にしみて感じております。多少誤り伝えられたような点もありましたようで、たとえば補償の問題なんか、いま安西社長の言われたとおりで、即日その日にわれわれ共同して、お見舞いその他をやっておるのでございます。私ども建設会社として、以前と違いまして、だんだん大きな近代企業となってまいりました今日におきまして、社会あるいは国家というものに対する広い意味の責任というものは今後とも十分に気をつけて慎重を期し、おっしゃいましたような、十分に謙虚な態度で臨んでいきたいと覚悟しておる次第でございます。
  74. 逸見正則

    ○逸見正則君 ただいま御質問の第三点につきましては、われわれといたしましても十分内容にささり込んで究明をいたしておるわけでありますが、もちろん鹿島建設を請負業者としてわれわれの工事を施工させておるわけでございますので、その点の責任の究明といった点につきましても、今後の調査の内容とからみまして、厳とした態度で臨みたいと思います。
  75. 佐野進

    ○佐野(進)委員 時間がもうあと三分しかございませんので、私の意見だけを申し述べて終わりたいと思います。  いま安西社長のほうから反論があるかと思ったら、非常に謙虚なおことばがありましたので、私はこれ以上追及というか、どうかということを申し上げるつもりはございません、時間がございませんし。ただしかし東京瓦斯の経営のあり方その他については、あるいはその内容等については、いろいろまだ議論のあるところであります。特にガスというものは、爆発による危険、中毒というものによる危険、二つの大きな側面をもって都民から愛用されながら心配されておる。おそれられておる。したがってこれらの面については、そのいずれをも除去するということについては非常に大切な仕事だと思うのです。しかるにこれに対しては、東京瓦斯が発足以来今日すでに百年近い日時を経過する中で、歴史的ないろいろな問題等もあるわけでありますから、一朝にしてそれらを全部解決しろというようなことを申し上げてもそれはなかなか行なわれることじゃないわけであります。特にこういうような問題が起きたあとについて一番心配しておられるのは、東京瓦斯に働く多くの労働者の人たちが、自分たちの責任であるかのように肩身を狭くして世の中の人たちに対して対処していかなければならぬというようなことは、私は東京瓦斯に働いておる多くの人たちをよく知っておるがゆえに、そういう面について彼らに対して非常に同情の念を禁じ得ないものがある。彼らといえども、ガス爆発というような形の中における事故によって多くの善良なる都民に犠牲を負わせるということのないように、いま少しく会社当局が、これらの事故防止に関して、さらにはまたその他の具体的な対策について、いま持つ会社の力を十分発揮してもらいたい、こういうことについては非常に熱心な姿勢を示しておると思うのです。したがって私は、特に会社上層部の考え方——そういうような一般職場に働く人たちが朝早くから夜おそくまで働きながら、事故が防止でき得ないで問題が起きれば、すべてその現場におった人たちの責任であるという形の中にすりかえられ、当然として刑事的な責任を追及される場合に、社長であるとかそういうようなえらい人たちについては、その責任については、単なるこういう場所において追及される程度で、刑事罰を受けるのは現場におけるところの人たちである、こういう不合理があるわけです。しからばガス事故というものは防ぎ得ないのかということになれば、防ぎ得ないことはないということは、世界のいろいろな国におけるところの取り組みその他あなたがさつき言われたような問題でもあるわけでありますから、これは時間がない中で長くお話しすることはでき得ませんけれども、ひとつ全会社あげて一致して、この事件を契機に、再び東京においてガスによる事故の発生のないよう、まことに言いにくいことではあるけれども、社長さん以下誠心誠意、単なる言いわけ、一時を糊塗して言いのがれをするということでなくて、まっ正面からぶつかってこれが解決に当たっていただきたいということを要望したいと思います。さらに鹿島建設につきましては、先ほど申し上げたとおり大会社なんですから、大会社としての矜持に基づいて、これらの事故が、これだけじゃない、いろいろな場所にあると思うわけですが、それらの点についてはひとつまっ先に、言いわけでなく具体的な解決について努力してもらいたいということを申し上げまして、時間が来ましたので、私の質疑を終わりたいと思います。
  76. 大久保武雄

    ○大久保委員長 中谷鉄也君。
  77. 中谷鉄也

    中谷委員 私は安西参考人と田村参考人にお尋ねをいたしたいと思います。  先ほど両参考人は、本件事故はきわめて遺憾であって、特になくなった方に対しては深甚なる哀悼の意を表するというふうに言われました。当然のことであろうと思います。そういうふうに責任をお認めになっておられるわけでありますけれども、一体そのお認めになっておられる責任というのは何なのか、このことを私は両参考人からお聞きいたしたい。人間的な責任、いわゆる道義的責任、こういうふうなものをお認めになって先ほどのような御発言があったのか。さらにまた、政治家であれば政治的責任ということばがあります。皆さん方の場合は企業主としての責任、いわゆる経営者としての責任の立場において先ほどのような御発言があったのか、それとも法律的な責任をお認めになった上での先ほどの御発言なのか。問題は、単にお悔やみを申しますということが道義的な責任をとるのだということだけであるならば、企業者としての責任をとるということだけであるならば、私は率直に申しまして、死んだ人はものは言いません、死んだ人は帰ってきませんけれども、浮かばれないと思う。そういう点で法律的な責任というのは一体何か、それはいわゆる民事的な責任と、そして刑事的な責任があると思う。与党の委員は刑事的な責任について追及するものではないというふうにおっしゃったけれども、私はあえてお尋ねいたしたい。足かけ三カ月たった今日の段階において、少なくとも一体だれが本件事故についての法律的な責任を負うというふうに安西参考人はお考えになっておるのか。そして、あなたの会社の場合においては、予想される法律的な責任というものは、あるとすればどういう点なのか。鹿島建設のほうにおいて法律的に責任が現在あるとお考えになっておるか。予想される法律的な責任というのは、民刑いずれのどのような責任があるというようにお考えになっておるか。ここまで話を詰めなければ、単なる補償に努力をしておりますというようなことをおっしゃるけれども、そういうようなことは、あとで私はいま一点質問をいたしまするけれども、私は非常におかしなことだと思うのです。この点について私は最初にお尋ねをいたしたい。
  78. 安西浩

    ○安西浩君 中谷先生の御質問にお答えいたします。  経営者としての立場で非常に責任を痛感いたしております。妙なことを申し上げますが、私は過去五年間常に九十キロを維持しておりましたが、この事件によりまして現在体重が五キロ減っておる。非常に心痛いたしておる次第でございます。  法律的責任の問題でございますが、ただいまいろいろな角度で捜査当局が調査中でございますので、それに従っていくつもりでございます。  以上でございます。
  79. 中谷鉄也

    中谷委員 ちょっと委員長、鹿島さんに御答弁いただく前に質問いたしたいのでありますが、よろしいですか。
  80. 大久保武雄

    ○大久保委員長 どうぞ。
  81. 中谷鉄也

    中谷委員 私は、法律的な責任というのは刑事的な責任のほかに民事的な責任もありますよということを言っておるのです。民事的な責任概念と刑事的な責任概念は違いますね。そして捜査当局は、刑事的な責任はきわめて狭い責任を追及するのですよ。いわゆる無過失責任論さえもガスの問題には出てきておりますよ。そういう民事的責任を法律的にお認めになるかどうか、この点はどうなんですか。
  82. 安西浩

    ○安西浩君 無過失責任論というような法律的な専門的なことはよくわかりませんが、原因のいかんにかかわらず、私どもは民事的な責任を負うつもりでございます。
  83. 渥美健夫

    ○渥美健夫君 いまの問題につきまして、私ども非常に企業責任と申しますか、社会全般に対します責任のほどを痛感いたしております。ただ、いまの法的責任の問題、刑事責任につきましては、御当局のお調べ中であるので、現在云々すべき立場でないと存じております。また、民事責任の問題につきましては、現在東京瓦斯さん、東京都さんと三者常に緊密に連絡をとりつつ検討に当たっておりますので、ひとつ御了承をいただきたいと思います。
  84. 中谷鉄也

    中谷委員 私は、先ほどの東京都交通局の御陳述はきわめて不満だったのです。法律的な責任についての予測はあるけれども、この席では申し上げないなどということを言われた。徹底的に迅速にこの問題を掘り下げていくということが私は保安の確保につながると思う。にもかかわらず、企業責任を認めます、企業者としての責任をとります、原因のいかんにかかわらず、という安西さんのことばが私は納得ができない。なぜ納得ができないかということを申し上げます。原因のいかんにかかわらずということは、言いかえてみると、私のところに責任がなかったとしても、銭だけは補償します、死んだ人に銭だけは払いますというふうな言い方にも通ずるというふうに私は考える。要するに、死んだ人が恩恵的にお情けとしてお金をもらうのと、あなた方のほうに責任があるからお金をもらうのとは、えらい違いですぞ。ですから、関西のほうのことばでは札束で人のつらを張るということばがありますけれども、そういうふうな補償がただ銭さえ払えばいいわというふうな考え方であったとするならば、きわめて遺憾だということを私は申し上げたい。  なぜ私がこういうことを申し上げるかというと、私が当国会に登院をして最初に、東京瓦斯の湯島のガス爆発事故について私は質問させていただいた。当時の社長さんが出てこられた。私は、大企業というものは一体こういうものかということを初めて国会の委員会における発言の中において感じた。それ以来私は、ある意味においては大企業の非常な冷酷さというものを感じた。どういうふうな答弁をしておられるか。補償について私が質問したことに対して、次のように当時の社長さんは言っておられます。弔慰金が円満に解決したかどうかということについて私が質問をした。そうすると、こういうように言っておられる。弔慰金については幾らたくさん差し上げてもこれで足りるということは絶対ないわけです。ここまではよろしいですね。「しかし、御遺族の方とお話し合いをしまして、これでよろしい、場合によりましては、こんなにたくさんいただいてはという方も中にはあったようなわけでございます。」なんというようなことをこの委員会で発言をしておられるのですよ。要するに、原因のいかんにかかわらずお金を払う、それで世論は鎮静するだろうという考え方は、私はきわめて遺憾です。  法律的な民事責任があるのかないのか、それを謙虚に、こういうふうな予想される法律的な責任があるかもしれない——鹿島さんも同様ですぞ。こういうふうな法律的な責任があるかもしれないと、積極的に自分のほうから予想される法律的責任を述べたっていいじゃないですか。そういうことが実際あるかないかわからないけれども、述べたっていいじゃないですか。私ははっきり申し上げたい。岡山大学で若い警察官が死亡した。三派というあなた方が一番きらいな暴力学生が、私が投げた石がとにかく当たってなくなったかもしれませんと言って自首して出たじゃないですか。そうしたら、裁判所は、どうも君ではなさそうだといって勾留請求を却下したじゃないですか。いまのような御答弁企業責任というようなこと、原因のいかんにかかわらずというようなお話を聞いておりますと、私は率直に申し上げまして、三派の暴力学生よりも責任のとり方について劣るというふうにあえていわざるを得ない。足かけ三カ月たっていまなお、こういうふうな法律的責任が私のほうにあるかもしれませんということがこの席上で言えないということについては、遺憾きわまりないということを申し上げたい。  時間がないようですから、この点について、予想される法律的責任についてはこんな責任があるかもしれませんということが御答弁いただけないのかどうか。刑事責任はそれじゃけっこうです。民事責任について御両所から御答弁をいただいて、私の質問を終わりたい。
  85. 安西浩

    ○安西浩君 原因のいかんにかかわらずと申し上げた私の気持ちを先生は御理解願えなかったかもしれませんが、これだけの事故が起こりますからには、当社におきましてもいろいろな責任が予想されると思います。直接管が打ち破れたということに対しては、いろいろな原因がございましょう。たまたま当夜緊急工作車が三台とも出払っておった。もしあれが一台でもおれば爆発はなかっただろうということが予想されます。したがいまして、先ほど冒頭に申し上げましたように、今日では車も増強いたしました、人員もふやしました。こういうことに対する責任を十分感じておる次第でございますが、そういう意味で申し上げた次第でございます。
  86. 渥美健夫

    ○渥美健夫君 確かに御指摘のように、私どもいま三者協力して必ず御納得のいくような補償の措置をとってまいりたい。確かに金額ということも大切でございましょうが、同時に、それにこもる私どもの誠意ということがより重要なことであろうということをいま確信しております。
  87. 中谷鉄也

    中谷委員 終わります。
  88. 大久保武雄

    ○大久保委員長 加藤清二君。
  89. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 お許しを得まして質問をいたします。  日本一の東京都です。日本一のガス会社です。日本一の建設会社です。大山鳴動してネズミ一匹も出てこない。しかし原因は確かにあるはずでございます。私は非常にふかしぎに思います。先般の会合、本日の会合、共通して言えることは、三者がともに丁重ではありまする、共通しております。もう一つ共通していることは、原因は私ではありませんということなんです。これもふかしぎなことなんです。どこかに真実は一つあるはずなんです。  そこで承る。東京都に、あなたのところに私は工事日報を要求いたしました。示方書も要求いたしました。いまだに十分なものが出ておらない。これはどういうわけです。出したらうそがばれるからですか、東京都。
  90. 逸見正則

    ○逸見正則君 示方書につきましては御提出申し上げたわけでございますが、工事日報については捜査当局の手に入っておりまして、まだ戻っておりませんので……。
  91. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 冗談じゃない、写しがあるよ。そんなばかなものじゃない。国会をなめちゃいかぬよ。
  92. 逸見正則

    ○逸見正則君 至急そういう点につきましては手配をいたしまして、先生のほうに御連絡申し上げたいと思います。
  93. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 一体、調査が済んでから調書を出してもらったって、それが調査の資料になりますか。そんなことで美濃部都政の協力ができますか。あなたは本部長ですぞ。
  94. 逸見正則

    ○逸見正則君 工事日報につきましては、本人のものが一通ございます。それを捜査当局に提出いたしておりますので、控えはございません。
  95. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 なければ鹿島にあるはずです。そのくらいの努力がどうしてできない。それは頭隠してしり隠さずだ。工事日報がなければ、別の方法で入手する手をぼくは知っておる。だからわしはここに持っておる。そんなことで恭順の意を表したの何のといったって、それはいまここにいらっしゃるときの態度だけなんです。それでほおかぶりして逃げたらいいというお考えかもしれませんけれども、それではもう一つ承る。  あなたのところは工事の監督を厳重にしたとおっしゃった。夜の工事である。現場に何人検査員を派遣しておられましたか。
  96. 逸見正則

    ○逸見正則君 一工区に対しまして一人ないし出づらで二人という程度であります。
  97. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 一工区とは距離にして何メートルくらいあります。
  98. 逸見正則

    ○逸見正則君 場所によってまちまちでございますが、おおよそ八百メートル程度から一キロ程度の範囲でございます。
  99. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 探照灯を照らしておりましたか。
  100. 逸見正則

    ○逸見正則君 そういう手配はいたしておりません。
  101. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 夜間ほとんどの電気は消えます。中仙道でございまする、国道でございまするから、ある程度の電気はあるでしょう。しかし八百メートルの向こう側、見通しがききますか。しかも埋め戻しが行なわれますころに、トラックは一体何台くらい動きましたか。あなたは工事を監督しておったというならおわかりでしょう。
  102. 逸見正則

    ○逸見正則君 ただいま八百メートルないし一キロと申し上げておりますのは、担当の工区全体の長さでございまして、たとえば埋め戻しという作業の場合におきましては、その一つの埋め戻しの範囲というのが、当夜営まれますのがおおよそ三十メートル程度のものでございまして、その間におきましては請負業者のほうで完全にその辺の事情がよくわかるような、完全な照明をさせていただくようにしております。
  103. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ここで言いのがれしたってだめですよ、司直の手に渡っているんだから。私の質問に答えてください。埋め戻しの場合トラックが何台くらい動いてたかと聞いているのです。
  104. 逸見正則

    ○逸見正則君 全体としては二百台程度と思いますが、その場所場所によりまして五十台あるいは四十台という程度のトラックが入れかわりまして入っておるという状況でございます。
  105. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それは延べですか。
  106. 逸見正則

    ○逸見正則君 当日の作業としての延べということでございます。
  107. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 実質は何台くらいです。
  108. 逸見正則

    ○逸見正則君 実質といたしましては、その場所で十台程度……。
  109. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 その場所とは。一日の埋め戻しの実質を聞いておる。
  110. 逸見正則

    ○逸見正則君 埋め戻しをする土砂を入れる場所としては十台程度のものが次々に入ってきたというふうに思います。
  111. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それはうそである。なぜうそであるか。工事日報は五十台前後になっておる、毎日の通算が。どっちがほんとうですか。
  112. 逸見正則

    ○逸見正則君 一つの場所で、ただいま三十メートルというような場所で申し上げましたが、その場所に土砂を流し込む場所といたしましては、ただの一カ所ではございませんで、二カ所、場合によると広範囲の場合三カ所の分がございますが、普通二カ所程度というふうなことで先生指摘のように五十台くらいになるわけでございます。
  113. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 冗談言っちゃいかぬよ。あなたは、あとからあとからぼくの言ったことに追随してくる。自分の言ったことに信念を持ちなさいよ。じゃ次に承る。砂の材質はどうであったか。
  114. 逸見正則

    ○逸見正則君 埋め戻しの砂につきましては、標準示方書におきましては、一般土砂というふうなことを標準にして、昭和四十一年契約時において取りかわした土木標準示方書の百二十条に掲げてある、そういう示方になっておるわけでございますが、その後道路管理者等の指示その他の問題もありまして、良質の山砂をもって埋め戻しをするということで……。
  115. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 はい、そこまで。時間がないから。それではここへ施工業者から工事監督庁に検査願いが出ておるはずですね、その検査願いの内容を発表してもらいたい。
  116. 逸見正則

    ○逸見正則君 ただいまその点手元にございませんので、ちょっとお答え申し上げかねます。
  117. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 重要な案件を審査するにあたって、一番ポイントとなる書類がないとは一体どういうことです。
  118. 逸見正則

    ○逸見正則君 ただいま持ってございませんので、まことに申しわけにくいわけでございますが……。
  119. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 きょうは持って見えると思っておった。この前もあなたの部下の部長が私のところに見えて、あれこれ説明があった。そういう書類は出せないような口ぶりであった。しからば調査権を発動するがどうかと言ったら、それなら出しますと、こういうことだったが、いまだに出ていない。それじゃ強権を発動して捜査したら出す気があるのか。そこまでやらぬと東京都というものは、わかり切った法律上に規定された書類まで国会で審議するときに提出ができないのか。答弁
  120. 逸見正則

    ○逸見正則君 まことに申しわけございませんです。
  121. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 砂は、私は現物を見ました。ここへたくさんの写真を写して持ってきております。あれが良質と言えますか。何をもってあなたは良質と言います。あれが良質ですか。粒子は非常に荒いですよ。荒いということは、埋め戻しの場合に空間が多いということである。空間が多いということは、やがて圧力が加わり、あるいはほかの物理的作用が加わった場合に、移動するということなんです。失礼ながら、関西や名古屋のガス埋め戻し工事のガス管の周囲の砂は、あんないいかげんなものじゃないです。粘度質の全然ないものでなければならぬはずなんです。泥っけのない締まりのよいものでなければならぬ。こんなことはさまったことなんです。ところがあなたは、山でよき土がめっかりました、よき砂がめっかりました。何を言っているの。出てきたものは非常に粒子の荒い砂利に近いような砂なんです。しかも手で握って、あなた、こうやってみたですか。部長、こっち向いて。こうやって手でやってみたですか。つぶれるじゃないの、あれは。あれが良質ですか。そういう頭でおるものだから問題になる。  次にお尋ねする。あそこに使用されているところの材質、あれはどうなんです。あれでけっこうなんですか。
  122. 逸見正則

    ○逸見正則君 材質と申しますと、土のほうの場合でございますか。受け棒の……。
  123. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 今度は木材の材質。砂は済んだ。
  124. 逸見正則

    ○逸見正則君 受け棒部に使っております木材でございますが、これは松材を使っております。
  125. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでけっこう。松でなかったらどうします。
  126. 逸見正則

    ○逸見正則君 松または同等以上のもので使われるということになっておりますが……。
  127. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 はい、そこでけっこう。同等以上とは何ですか。
  128. 逸見正則

    ○逸見正則君 木目とか強度とか、そういう面について同等以上……。
  129. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 銘柄は何ですか。
  130. 逸見正則

    ○逸見正則君 一般的には松科の中の材質によって……。
  131. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 銘柄は何です。
  132. 逸見正則

    ○逸見正則君 銘柄につきましては、たとえばこの種類でよろしいというのは……。
  133. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 よろしいという、具体的に何です。
  134. 逸見正則

    ○逸見正則君 その材料によって判断をするということになっております。
  135. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 はい、わかりました。これはエゾマツ、トドマツでなくて、まことにお粗末です。全く、その場で検査して、ケース・バイ・ケースできめると、こうおっしゃる。とんでもない話なんです。それだったら仕様書は要らぬじゃありませんか。この間私が尋ねたら、松の隣は杉だとおっしゃった。お粗末以上なんです、これだったら。過ぎたるは及ばざるがごとし。とんでもない話なんだ。これは噴飯ものなんですよ。それでもってよろしいなんという、そういう許可基準がどこの国にあります。牛肉の看板を掲げて豚肉を買わされても文句を言う。いわんや鯨の肉だったらどういうことになる。  もう一つお尋ねする。仕様書は、材質の新旧、いずれを選んでいるか。
  136. 逸見正則

    ○逸見正則君 もちろん仕事に充当する材料でございますので、特別の場合を除いては新材を充当する……。
  137. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 古材があったらどうする。
  138. 逸見正則

    ○逸見正則君 そういう場合には新しいものと取りかえさせるということで使用いたしております。
  139. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 現にあったらどうする。腹切るか、首を出すか。
  140. 逸見正則

    ○逸見正則君 新しいものと取りかえるということで発注いたしております。
  141. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 鹿島建設施工者に聞く。仕様書どおりになっていたかいないか。
  142. 渥美健夫

    ○渥美健夫君 私どもは仕様書のとおりに施工したつもりでございます。
  143. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 親心子知らずとはこのことである。あなたが工事をやりなさったんではない。専務さんがおやりになったんではない。だれにやらせなすった。
  144. 渥美健夫

    ○渥美健夫君 私どものほうでは、あそこに出張所を設けまして、技術社員二十八名、それに事務社員をさらに加えまして、相当大きな規模の出張所でやっております。
  145. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 直轄ですか。それとも下請、孫請ですか。
  146. 渥美健夫

    ○渥美健夫君 下請と申しますか、私どものほうでは協力会社ということばを使っておるのでございますが、そういう各職種によりまして、たとえばこの土工事の場合には……。
  147. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 本件。
  148. 渥美健夫

    ○渥美健夫君 本件では佐々木工務店、長野工業という二つの協力会社を使っております。
  149. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ことばのいかんにかかわらず下請ですね。親心子知らず。
  150. 渥美健夫

    ○渥美健夫君 下請と申しましても、私どものほうのその二つの会社は、ずっと私のほうの工事専属でございます。そしてそこに働いております労務者たちも、多くの者はいろいろな国家試験の検定を受けております。
  151. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 よろしい。要点だけで進みましょう、時間がないですからね。  それじゃ承ります。ガス会社に承る。いまも無過失責任論が出ております。それほど公益事業、公共企業体の事業は重大な問題でございます。人の生命にかかわるからでございます。あなたのほうは、あの事件以来調査をなさったかなさらないか。すなわち仕様書に盛られた規格どおりのものが使われているかいないか、これについて。
  152. 安西浩

    ○安西浩君 ただいま加藤先生の御質問に対しましては、田村参考人からお答えいたさせます。
  153. 田村永一

    ○田村永一君 規格どおりの材料であったかどうか、一部規格どおりでなかったと見ております。
  154. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 一部とは何だ、具体的に……。
  155. 田村永一

    ○田村永一君 まくら木の寸法、かすがいの打ち方等でございます。
  156. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 こういう席だからえらい遠慮してみえるのか、さっき長過ぎると言われたから、短かくあとは切り捨てになったか、おかしいですよ。私が見たところでは、古材が使われている。新旧いずれかと尋ねたら、東京都も新材であると言った。間違いであれば取りかえると言った。古材が使われておる。それこそ小細工が行なわれた。古材をもって新材にかえるとは、一体これは何ということなんです。小細工どころか大細工でしょう。これはネズミ一匹どころじゃありませんぜ。それを現地を調査したわれわれメンバーはみんな見て知っておる。東京瓦斯さん、あなたのほうは新旧をどう見ておるか。全部新材だったと言えますか。
  157. 田村永一

    ○田村永一君 全部新材だとは思いません。
  158. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 お認めになりました、古材が使われておることを。  持ち時間が来たようでございまするので何ですが、今度は埋め戻しの工法についてお尋ねする。これは工事日報から積算してかからないと確定的な推論を下すことは無理だと思います。したがってこれは後日に譲りまするが、私どもの推定からいけば、何がゆえにあの鳥居やぐらが動いたか。先般は爆風であるとのお答えであった。しかし、爆風であるならば、乱ぐい歯になるはずがない。しかも爆心地に最も近いところのほうが逆に爆心地のほうへ寝ている。爆心地に遠ざかるに従って寝方が逆のほうへいっている。これは一体どういうことなんだ。私はこの答弁を求めようとはいたしません。これはあまたの材料、資料から推論、したがって私は決定的な論ではございません。これは埋め戻しのときに上から下まで八メートルの余ある、そこへ古材やら、こんな大きなセメントのかけらやら、アスファルトのかけらやらをどんどん押し流せば、工事が行なわれて間もない時期のセメントの基礎固めなら動くはずなんです。いよいよとなれば、これは実験をしてみなければならぬと思います。それで私は工事日報がほしかった。一日二百台とおっしゃった。あなた、いいことをおっしゃったですよ。三十メートルか四十メートルのところへもってきて、二百台動いたとおっしゃった。五十台動いたとおっしゃった。基礎が何台だと言ったら十台だとおっしゃった。基礎は十台前後で、、一日三回、四回やれば、これはあなた、すぐに出てくるでしょう。トラック一台でどれだけ埋めたのです。さすれば、この埋め戻しの場合の基礎はやわらかかったといわざるを得ない。ほんとうは水を入れ、締めて締めて順番に工事をあげていかなければならぬはずなんです。大阪でも名古屋でもちゃんとそういうふうになっておる。埋め戻しの工事方法について遺憾があったかないか、東京都。
  159. 逸見正則

    ○逸見正則君 現在調べておる範囲内においては、本質的に欠陥があったとは思っておりません。
  160. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それじゃどうなんです。本質でないところはどうなる。
  161. 逸見正則

    ○逸見正則君 私、いま本質的と申し上げましたのは、ああいう場所において、たとえば構築の中間ぐいとかあるいは歩車道境界の入り込んだところにくいが打ってあるというふうなことで、特殊な場所については入念に施工いたしておりますが、一般的にということで申し上げたわけでございます。
  162. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 時間が参りましたので私はこれでやめます。しかし、私の疑問が解けたわけでもない。私は、本件はほんとうにもっと掘り下げて、原因が那辺にあったかをよく調査して、今後再びかかる事件をなからしめるとおっしゃっていらっしゃる三者の御希望に沿うために、真因を明らかにし、これを除去し、もって都民が安心して夜眠れるようにしてあげるべきであると思います。  終わります。
  163. 大久保武雄

    ○大久保委員長 千葉佳男君。
  164. 千葉佳男

    ○千葉(佳)委員 いま加藤委員も言いましたように、まだ警視庁の結論が出ておらぬようでありまして、もし出たら、それをもとに法務委員会なり地方行政委員会なりであらためていろいろな点を論議することになると思いますし、それから他工事による防護方法、それについてはいずれガス法案が上程されることになりますので、一般論としてそこで論議することになると思います。この間仲宿の現場を見せていただきまして、たった一つふに落ちない点がありますので、これを御説明していただきたいと思います。  主として鹿島建設によると思いますが、三月三十一日付、それから四月二日付、それからきょうと、それぞれ爆発事故についてなり事故に対する見解というものを出しておられますが、一貫して主張されておるのは、工事方法に誤りはなかったのだ、それで何らかの外力が加わって、見るとおりの状態になった、こういうふうに言われておりますが、具体的にあそこの仲宿のあの切れ目が起きた近辺、一メートル三十づつの間隔であるそうでありますが、これはA、B、C、D、E、Fという柱、鳥居になっておりますが、これを上から見ると、このとおり、われわれがこれを見たわけですが、非常に乱ぐい歯のようなかっこうになっておった。それを断面から見れば、Bをてこにしまして、割れたところをはさんでCのまくら木がこういうふうに折れていた。このAのまくら木がはずれておった。こういうふうに朝日の解説にも書いてありましたけれども、私がお尋ねしたいのは、このEとFであります。EとFのこのやぐらでありますが、これは東京ガスの三月二十七日付の資料を見ますと、こういうふうになっております。一本支柱が立っておって、それにもう一つの支柱があって、そこに添え木を置いて十番鉄線で結んでありますね。これがEとFというように並んでおるわけであります。本来であれば二本で立てなければならぬのを、一本で立てて、こういうふうにしているわけですから、当然EとFに同じ重力が加わるとしても、EとFは九十七ミリですか、下がっておりますが、当然私はごく簡単な初歩的な知識でも、これはこのEとFは重さに耐え切れなかったのじゃないか。したがってそこのところが落ちた。それで耐え切れなくなって、Cのほうはまくら木が折れてしまった。こういうふうな結果に私は見てきたのですが、それに対してどのような見解を持っておられるか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  165. 渥美健夫

    ○渥美健夫君 ただいまの点につきまして、お許しを得まして前田参考人のほうから御説明を申し上げたいと思います。
  166. 前田忠次

    ○前田忠次君 ただいまの千葉先生の御質問にお答えいたします。ガス管を受ける木製のやぐら、これは、さっきから申し上げる、鳥居立てと申しておりますが、二本の鳥居柱、これは松丸太でございますが、この柱を四本の横木と二本の筋かいを用いてボルトで締めつけて、その上にガス管受けの笠木が乗せてある構造でございます。なお、前後の鳥居立て同士は一メートル三十センチの間隔でございますが、左右それぞれ三段にわたってつなげておるのでございます。鳥居立ての検査は、根固めのコンクリート終了後、約五十メートル区間を単位として行なわれておりますが、この検査に合格してから初めて第一層の埋め立てを始めるわけであります。この埋め戻しが鳥居立ての高さの半分以上になった場合に、鳥居立てが大体安定いたします時点でございますが、埋め戻しを中断していよいよ笠木を取りつけるわけでございます。  御承知のように地下鉄工事においては、このような組み立て作業をしておりますと、いろいろの障害物がございまして、また空間の制約がたいへん多うございます。しかも六メートル以上に及ぶ松丸太でございます。すなわち二十尺余の松丸太でございまして、素材には多少のくせもございますし、ガス管と鳥居立ての中心がほんとうにぴったりと合うのが理想でございますけれども、多少ずれる場合も出てまいります。そのずれが少し多い場合には、東京ガスさんの係員のほうに御相談をいたしまして、この特に御指摘のありました個所につきましては、四十三年の十一月一日に、当社の社員が作業員とよく見ました上で、東京瓦斯さんの係の方に相談しましたところが、まあ大体だいじょうぶだと思うけれども、添え木をしてささえたほうが一そうよいだろう、こういうようなお話がございまして、管のくさびの安定を主として目的としたものでつけたわけでございます。
  167. 千葉佳男

    ○千葉(佳)委員 おたくから、おそらく検査のときに写したと思われる、これはいただいておるわけであります。これを見ますと、一本で立っているところもありますし、二本で立っておるところもありますが、これはこのとおり正確になされたものというふうに、この段階までは思います。ですが、この以降、さっきいろいろ問題になった埋め戻しの間にやはり相当——おたくのほうからいただいたやつを見ますと、埋め戻しの中間において、何というかあたかもエアコンプレッサーでやるようなぐあいの資料をいただいております。こういうふうにして慎重な工事をやったならば、こういう最初検査を受けたときのがっちりしたやぐらというのは、当然そのままになっているじゃないかと私は思う。ところが、おそらくこういうふうにしてコンプレッサーで砂をまくようなぐあいではないんではないか。先ほど加藤委員からも言われたような、相当乱雑な埋め戻し方法が行なわれたんじゃないか。そういうふうな結果、そのセンターラインがずれた。ずれたところのE、Fを十番鉄線で結びながら添え木を抱かせた。これが今回の事件の場合の、A、B、C、D、E、Fをとってみますと、このE、Fのところが非常に問題だというふうに感じとってきたわけであります。でありますから、鹿島建設そのものも最初はこういうふうにして厳重な検査を受けられたでありましょうが、十番鉄線を巻きながら添え木を添えなければならなかったということは、最初に手抜かりはないにしても、結果としてみれば手が抜けておったというふうに見ざるを得ない。この辺についてどうですか。
  168. 前田忠次

    ○前田忠次君 ただいまのお尋ねねにお答えしますが、先ほど申し上げましたように、約六メートルの鳥居立ての半ば以上を埋めた地点におきまして、そして笠木を取りつけるときにいまの添え木が必要かどうかという話があったのであります。笠木をつけたあとで埋め戻したわけでございます。  なお、いまのコンプレッサーと申されましたのは、これは仕様に従いまして水しめをしたわけです、土の安定をはかるために。それで、その間の確認検査を受けましたあとのガス管までの期間というものは、早いところで大体十日間、おそいところは大体二十日かかって逐次埋め立てておりまして、急激にはやっておらないのでございます。私のほうといたしましてはたんねんにやったつもりでございます。
  169. 千葉佳男

    ○千葉(佳)委員 たんねんにやったつもりでしょうけれども、この件に関する限り、しろうと目にも、A、B、C、D、E、Fの並びを見ますと、この最大の原因はE、Fにある。E、Fはいま言ったような添え木を使って十番鉄線を巻いたような添え木で、二本の支柱を立てながら一本の支柱は遊んでいるわけですから、そこに力が加われば当然その辺は下がる。それでBが幸か不幸かがっちりしていたわけですが、このBがてこになってBとCの間が折れるような結果になったというふうに私は見るのです。これはいずれ刑事責任という点からは、先ほども言いましたように、警視庁で正確な判断を下すでありましょうけれども、今後の事故を未然に防止するという当商工委員会の目的からすれば、この私の感想といいますか感じは、工法その他いろいろあっても、これははなはだ初歩的なものです。はなはだ初歩的な工事をたんねんにやってさえすれば、今回の事故、このE、Fのような事態というものは起きなかったんじゃないか。ですから、工法だとか共同溝だとかいろいろな派生的な問題が起きてきますけれども、この件に関する限りは、この原因というものは私ははなはだ単純明快なように受け取っておるわけなんですが、その点はいかがですか。
  170. 前田忠次

    ○前田忠次君 いま千葉先生のおっしゃられたような見方も、現場を見ました際、それからその図面でごらんいただき、また現場を見たとおりでございまして、曲がり方も非常に複雑な曲がり方をしております。それでこの点につきましては、当社といたしましても、土木技術者等をしていろいろ研究さしておりますが、なお学識経験者にもいろいろ調査を依頼いたしておりますが、現在研究中でございまして、御注意のような点もよく参考にいたしながら検討いたしたいと思います。
  171. 千葉佳男

    ○千葉(佳)委員 三十六階をお建てになった科学技術の粋を誇る鹿島建設でありますから、繰り返すようですが、そういう点では、最初の写真で見られるような厳重な検査を通ったものと私は思うのですが、その通ってからあとのことが原因になってこういうふうな添え木を——このいずれを見ましても、ずっと見えますが、最初から添え木を添えるようなこういうE、Fのような形はいずれもあらわれていないわけですね。ですから、この検査を受けた段階と結果としてこういうふうな添え木を添えたというこの中に非常な問題がある。問題があるというか、要するに埋め戻しの間に、一口で言えば乱雑な工事、埋め戻しがあったのじゃないか。ですから、結果としてみればやはり手が抜けておったという非難を受けても——はなはだ気の毒ではありますけれども、結果としてみれば手が抜けておったわけでありますから、そういう点は、何といいますか、結果の責任だけはやはり負わなければならぬと思います。これは私の感想でありますが、これをもって質問を終わります。
  172. 大久保武雄

    ○大久保委員長 吉田泰造君。
  173. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 先ほど来各委員質問で、いろいろな意味で原因の問題とか、各お三方の参考人の方にお伺いしたのですが、私それを朝から聞いておりまして感じた率直な意見をまずお聞き取り願いたいと思います。  いずれにしても、事故が起こったという背景ですね、理由、言いわけのいかんにかかわらず、これはお三方ともどこかやはりゆるんでおるのじゃないか。正式な刑事責任の問題は、これは司直の手にゆだねるといたしましても、事故の起こった背景というものは、いまいろいろ聞いておりまして、非常にみんながゆるんでおるということが言えると思います。非常にずさんであった。原因はおそらくそういうところに尽きるだろうと思う、一口で言うならば。ただ私がいま皆さん方の御答弁をお伺いいたしまして一番感じたことは、この事件が起こって一番困ったのは、また庶民が泣いたという結果でございます。  まず安西さんにお伺いいたします。  私、国会へ初めて出てまいったのですが、東京瓦斯が参考人として前の本田さんか、これで二度目なんです。いつも東京瓦斯が事故を起こしておるのです。同じようなことを言っているのです。あとで鹿島建設の社長さんにもお伺いしますけれども、こういうような、いわゆるいままでの御説明のような内容では、私はまた事故が起こると思うのですね。ということは皆さん方の発言が、いまいろいろな意味で司直の手で調査中である段階でいろいろ問題を起こすであろうということはよくわかります。私は、皆さん方に御答弁していただく前に、もし皆さん方の御家族が五人そろって一度になくなったらということをちょっと想定してもらいたいのです。それから話を始めてもらいたいのです。安西さんなり渥美さんが御自分の御家族を全滅なさったというような気持ちで御答弁を賜わりたい。そうしなければまた事故が起こりますよ。いかにして責任をのがれようか、不用意なことは言うまい。もう少し人間味あふれる答弁がほしいと思うのです。事故が終わって残ったものは、また庶民の貧乏人が非常な苦しい思いをしたじゃないか。  これは安西さんにお伺いいたしますけれども、先ほど中谷委員からも話がありましたが、私もそのときに質問申し上げたのです。補償問題でわれわれ円満に解決していますという一番当初の陳述がございました。私はそれが非常に不満なんです。円満とは何かということです。庶民と東京瓦斯との力関係が前提にあるのです。そのことを御存じですか。事故を起こしちゃいけないということが至上命令だと思うのです。あとでそういう意味での御答弁を賜わりたいのです。  それから渥美さんにお伺いいたします。この文を読んで何にも自責の念がございませんか、この文を読んで。もう少し私が通して申し上げましたような人間的な文章を書きなさい。もしおたくの部下がやられたらどこか訂正するぐらいの勇気はございませんか。たとえて申しますと、ここで言わんとすることは、もう何もない、責任ないです、お悔やみ申し上げる、お気の毒だ。結論的には一番最後のページの「おそらく工事完成後に何か従来の設計常識を越えるきわめて異常な外力が伝わって……」これだけなんです、原因は。あとは何もないです、死者のことに対しては冥福を祈る。一番最後の結びなんか私は実にけしからぬと思う。今後事故を起こさないことがなくなった人に報いる唯一の道だ。これはふざけていますよ。一体死んだ人はどうなるのですか。だから私が冒頭に申し上げたように、あなた方の家族が全滅したというふうに考えて、私は少し実のある回答がほしかったと思う。安西社長なり渥美社長、あの人は実のある人とはわれわれは思いませんね。それだけりっぱな事業を経営なさっている方だから、なるほど人間味あふれる——何もこれ非の打ちどころないじゃないですか。私はもう一回事故を繰り返す、いま御両所のような御説明ではやっぱり繰り返すだろう。そのつどそのつど泣くのは庶民である。しかも円満に解決が行なわれるという。円満とは力関係が前提だということをほんとうに認識されておるかどうか。こんなことなら二年前に東京瓦斯の痛ましい事故が起こったときと一つも変わりがないと思うのです。もしいま、朝から皆さん方が陳述をなさっているようなほんとうのお気持ちであれば、私が言いたいのは、事件発生後とかく巷に流れたような責任をなすりつけ合った言動はなかったであろうと私は思うのですね。いまなるほど冷静になって、社会的な責任をいろいろ追求される段に及んで非常に素直になっておられる、これは当然のことだ。しかし過去の新聞紙上で拝見する鹿島さんの御意見でも非常に私は気に食わぬ。そういう問題について、ほんとうに死者の冥福を祈るために事故を起こさないんだというようなこと、なるほど、けっこうですが、死んだ人はどうなるんだというのです。鹿島のこの中にも、いま被災を受けた人の状況を書いてあります。もう死んだ人のことは何も書いてない。もう少し誠意あふれる、人間味あふれる、そういう解決が、そういう御答弁がなかったならば、私は、いずれにしても事故が起こったのだから、だれかの犠牲においてまた繰り返すだろう。現に二年前、繰り返さないといって東京瓦斯は繰り返したじゃないですか。よその土地に起こらぬものが東京瓦斯だけ、安西さん、なぜこう起こるのですか。(「地下鉄工事は東京だけがやっているのじゃないんだから」と呼ぶ者あり)どこもかしこもやっていますね。そのことについて安西さんと鹿島建設の社長に御答弁を賜わりたいと思います。
  174. 安西浩

    ○安西浩君 ただいま先生からいろいろおしかりを受けました。今度の事故に対しましては、何とおわび申していいかわからないのでございます。表現はいろいろまずかったかもしれませんが、自分の家族が一度になくなったら、と比較しろというおことばがございましたが、私は三月二十日以来ほんとうに何とおわびしていいかわからない気持ちでおります。再びこういう事故の起こらないようにといつも言うじゃないかと申されておりますが、真剣に事故を防止していきたいと思っております。
  175. 渥美健夫

    ○渥美健夫君 私といたしましても、ただいま安西さんからお話しになりましたと同じ気持ちで、ほんとうに心からなくなられた方々に哀悼の日々を続けております。また、そのほかの被災者の方に対する御補償につきましても最大の誠意を傾けていきたいと考えております。文章のほうにいろいろ舌足らず、あるいはお気に召さない点がありましたことは、あしからずどうぞお許しください。
  176. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 総括的なことでお二方からまずお答えをいただきましたけれども、引き続いて具体的なことでひとつ安西さんにお伺いいたします。  ことしの経過を見ると、いろいろな原因とかそういうむずかしい話は抜きまして、ただ二月の初めからガスの漏洩があるという報告を受けながら、しかも三月、この時点で事故を起こした。しかも先ほど御答弁のように三台の緊急車が全部出払っていたということで、事故が起こって手を打とうということでございますが、ガスの漏洩ということはすでに一月前から漏洩しているのですね。おたくのほうとしては絶えず地域住民から報告があるわけです。そういうことは、保安上責任を持たなければいけない公益事業が、出払っておったということで済まされるかどうか。保安の責任を持たなくてそれでよかったのかどうか。これは安西さん、どうお考えでしょうか。いま急に発生したことじゃないのです。二月前から、住民から絶えず苦情が出ておるわけです。どうでしょうか。
  177. 安西浩

    ○安西浩君 お答えいたします。地下鉄工事が行なわれますと、小さなガスの漏洩事故は頻発するのでございまして、そのつど——その前にも漏洩事故がございました。それと今回のは、先生も御承知のように、原因が違うのでございまして、ただ私が先ほど申し上げましたのは、たまたま中圧管が亀裂いたしましたときには応急修理車がほかへいっていた点をおわび申し上げたいと申し上げました。   〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕 地下鉄工事が行なわれますと、非常に小さい漏洩は頻発いたしておるわけでございまして、そういうことに対する近所からの苦情でございました。
  178. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 そのことについては、いま結果論をとらえて緊急車が出払っておったからだめだとか、結果論を云々しようというのではございません。いま、いみじくも社長が御答弁のように、地下鉄工事をやるときにはたいへんな、いわゆるガス漏洩がときどきあるんだというような時点をとらえて、それなればよけいに保安の対策といいますか、それを具体的に持って、もう少し打ってほしかった。これは結果論でございますので、非常にでき上がった事故に対しての批判でございますので、はなはだ抽象的になりますけれども、ほんとうはもう少し保安ということが——まず保安の責任を果たして後に公益事業というものはできると私は思うのです。一番大事なことを欠かれているような気がいたします。その点、東京都のガスについては、非常にとかくの非難がございます、正直申し上げますと。一般都民には、よそに起こらないものがなぜ起こるのかというような非難もございます。その点、特に御注意をいただきたいと思います。  それから再度鹿島建設さんにお伺いいたしますが、私は、鹿島さんの過去の事故に対するいわゆる言動というものは非常に思わしくないと思います。結局、先ほど中谷委員からも質問もありましたけれども、やはり責任をとる姿というか、そういう言明をしたところで、司直の手でそれが白となったら非常にけっこうなことで、鹿島さんの風格は私は上がったと思うのですよ。何とだらしない会社だ、と私は事実思いました。ということは、ずさんな工事計画が、協力会社か下請か知りませんけれども、やはりあったことは、私はいなめないように思います。そういう点、きょう本日の答弁と過去のことがだいぶん違う。そのことにつきましては、やはり業界第一の信用を誇っておる御社のことだから、もう少し堂々たる発言があり、庶民が安心をして——日本の建築業界の代表企業なんだから、なるほどといわせるような言動が私はほしかった。おそらく責任追及とかあるいは司直の手が——社長の発言というものがたいへんであろうということはわかりますが、もう少しいわゆる、冒頭でも申し上げましたような、ほんとうに自分の肉親の苦しみというように置きかえて、経営責任もけっこうでございますが、まず人間的な御答弁というか、その後の処置ということが願わしかった。これは私は何度言っても言い足りないのです。朝から何回も私が聞いておりまして、先ほど冒頭で申し上げました、ほんとうに事故の起こった気持ちなんか深くわかっておるんだろうか。いつも企業の経営責任、経営責任と言っていますが、おそらくや庶民の苦しさというものはわからぬだろう。金銭を払ったら済むじゃないか、お気の毒だ、ということでは、私は、事故対策について経営上たいへんな金をかける、そういうことを削減すると思います、経営者の考え方をいえば。だから、そのことあっての事業なんだというようないわゆる対策を、心からお願いしたいと思います。これは皆さんいろいろな角度で御質問なさいましたので、私何度申し上げても一緒なんですが、もう二度とこういう委員会でこういうことがないように——われわれが幾らやってもできないのです。皆さん方が努力することによってしかできないのです。それだけに、特に願望を込めて御要望を申し上げまして、簡単ですが、私の質問を終わります。   〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕
  179. 大久保武雄

    ○大久保委員長 近江巳記夫君。
  180. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほどから各委員からいろいろな質疑がございました。一貫して感じますことは、非常にまだ責任のなすり合いというような空気が強いということなんです。たとえば東京瓦斯は工事に非常に手抜かりがあったんじゃなかろうか、あるいはまた鹿島さんは設計にミスがあるんじゃなかろうか、あるいはあのときに緊急の電話もしておるのに来てくれるのがおそかった、あのときにもう少しバルブでも早く締めてくれれば事故が起こらなかったのに、お互いがそういうような気持ちが片隅にでもある間は、今後事故を起こさないという、そういう積極的な前向きの姿勢はとれないと思う。その点、三者の責任は先ほどからありましたが、そのような気持ちはありませんか。もう一度確認をとりたいと思うのです。明確に答えてください。
  181. 安西浩

    ○安西浩君 ただいま先生からの御指摘の点は、私どもといたしましては責任のなすり合いという気持ちは全然なかったのでございますが、三百四十七万軒の需要家に対しても、また従業員を含む六万人の社員に対しましても、私は一応はこう考えると言っただけでありまして、責任のなすり合いをして補償からのがれようという考えは毛頭ございませんでした。
  182. 渥美健夫

    ○渥美健夫君 いま安西さんのおっしゃいましたとおり、私どもも責任のなすり合いというふうにいろいろ言われますことを何よりも遺憾に存じております。あくまでこれは私ども関係三者緊密に協力して、そして今後のために最もいい道を開いていかなければならない、この気持ちは日を追うにつれていよいよ濃いものがございます。
  183. 逸見正則

    ○逸見正則君 私どもといたしましても施主でございますので、その意味の責任は当然受け持つべきというふうに考えておりますが、お互いが原因とか責任のなすり合い、そういうふうな意味においては、少なくとも私どももそういうことをいままでもあまり言っておりませんし、そういう点については謙虚な態度で事件の究明に進みたいというふうに考えております。
  184. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま三者の方から意見を聞いたんですが、それから通産省もきょうは来ておるわけでしょう。あなた方は、要するにこの三者がまずかったからこういう事故があったのだ、そういうような気持ちが露骨にあらわれておる。この事故の説明に来たときでも、だれかということを私は言いませんが、あなた方の最高責任者の口から、申しわけないというようなほんとうの心からの発言はありましたか。最高責任は通産省じゃないか。それについて一言。
  185. 本田早苗

    ○本田政府委員 おっしゃるとおりでございまして、公益事業の保安の確保につきましては、その監督指導の責任は通商産業大臣が持っておりまして、当省としてはその意味で最終的な責任があるというふうに考えておる次第でございまして、前回においてどう言ったか存じませんが、私としては監督責任について痛切に自覚しておる次第でございます。
  186. 近江巳記夫

    ○近江委員 最終的な責任も初めからの責任も、これは一貫して全部あるのですよ。その点を、通産省としてさらに今後二度とこういう事故を起こさないようにやっていただきたい。これは先に申し上げておきます。  それから、このとうとい命が失われたわけです。これは国民の一人として非常に御同情にたえません。そこで人命尊重ということでこれをほんとうにどこまであなた方が認識をしておるか、こういうことなんです。たとえばこの国道十七号線には共同溝があったことはみんな知っておる。どうして東京瓦斯はそのときに共同溝に参加しなかったのか。企業性ということも、それは先ほどの説明からも何回も出ておった。そういう点で工事等においても先ほど他の委員からも巨細の話も出ておった。実際にいろいろなそういうまずいことがあったならば、ガスに引火すればどうなるかということは、いままで前例に事故が起きておる。人命尊重という立場からすれば、設計をした東京都にしても万全の設計をしなければならないし、あるいは監督もしなければならぬ。すべて一貫して言えることは、人命尊重ということが軽率に考えられておったのではないか。これからいろいろな工事が行なわれる。科学技術の発展と相まって、ますます複雑多岐になってくる。そういうときに人命尊重、安全性ということを第一に置いてもらわなければ、もっと大きな事故が起きますよ。その辺の把握は、あなた方は企業性とどちらが大事なんです。その辺をどう考えておりますか。
  187. 安西浩

    ○安西浩君 共同溝に加入するかどうかの問題につきましては、冒頭に詳しく申し上げました。先生はあるいはそのときこの席にいらっしゃらなかったかもしれませんが、共同溝につきましては、四千百メートルにわたってすでに参加いたしております。この現場は中圧管と申しましてブランチをつくらなければならない。ブランチをつくりますと、共同溝との間に不等沈下が起こりまして、危険を将来にはらみますので、この共同溝には参加しなかった次第でございまして、共同溝に参加という問題については今後前向きにやってまいりたいと思う次第でございます。
  188. 渥美健夫

    ○渥美健夫君 人命尊重ということにつきまして、私どものほうもほんとに第一の重要事だと考えております。したがいまして、安全対策というものは、とかく建設工事現場では、いろいろな災害が労務者あるいは社員にも起こりがちでございますが、その点につきましては、それこそ非常な努力を現在払っているつもりでございまして、おかげさまで、その安全成績というものも全社的に毎年毎年非常に向上しつつある状況でございます。私どもは、今後ともより一そう人命尊重、安全第一ということを社是として進んでまいりたいと思っております。
  189. 逸見正則

    ○逸見正則君 私どもは施主として工事を営むわけでございますが、経費、工事費というものに優先させて人命尊重に重点を置いて仕事を進めたいと思います。
  190. 近江巳記夫

    ○近江委員 地下鉄の工事にしても相当な長さで工事が行なわれておる。これは東京都だけではなくして、大阪はじめ大都市では行なわれておる。そこでこういうような事故がまだまだ起こる可能性がある。したがって、私はこの事故を教訓として総点検をすべきである。総点検をして、あぶないところは全部配管もかえる。あらゆる総合的な体制をもって総点検をすべきである、私はこう考えておるが、その点、公益事業局長。
  191. 本田早苗

    ○本田政府委員 今回の事故にかんがみまして、さっそく地下鉄工事をやっております大阪、名古屋、東京の三社にガス漏れの総点検の検査と、それから地下鉄工事と直接関連するものを重点に置きまして導管の埋設実情調査を実施さしております。
  192. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから少しこまかい点へ入りますが、このガスの導管はこの現場では地中一・五メートルに埋めてあった。法規では一・二メートルになっておる。ところが、御承知のようにこれだけの交通量がふえてきておるし、重量車が通ってくる。したがって、相当今後事故の発生が考えられる。この点、法規の上において私は再点検しなければならぬときがきたんじゃないか、このように思うのですが、局長。
  193. 本田早苗

    ○本田政府委員 今回、ガス導管防護対策会議には建設省、特に建設省の土木研究所長と、それから学識経験者並びに土木工事協会、さらに東京都、それから電力会社、電電公社、ガス事業者等を入れまして、それらの点も含めて検討いたすことにいたしております。
  194. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから監督体制等、たとえば建設省あるいは東京都、東京瓦斯、いろいろあるわけですよこれは。東京瓦斯は監督されるほうだけれども……。そういう監督等の体制について行政官庁がばらばらなんですね。この辺のところの連絡を今後どうしていくか。いうなら一元化ですよ。その辺のところをいまのようなこういう形でほうっておいていいのかという問題です。その点話し合いましたか、局長。
  195. 本田早苗

    ○本田政府委員 そういう意味で今回建設省と一緒に対策会議を設けることにいたしたのであります。
  196. 近江巳記夫

    ○近江委員 だいぶ日にちがたっておる。大体どの程度まで話が煮詰まりましたか。大体ここで発表できるようなことがあったら発表してください。
  197. 本田早苗

    ○本田政府委員 実は四月十六日に第一回を開きましたが、いろいろ技術問題がございますので、十月末までに結論を得るということで、第二回は五月の初旬に開いて、逐次問題を究明するつもりでおります。
  198. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは問題究明だけではなくして、私が言ったような方向にしていくのですか。もう一度……。
  199. 本田早苗

    ○本田政府委員 もちろん問題の究明に伴って、結論を得ましたものを実施に移して今後の対策の効果をあげたいということにいたしております。
  200. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういういろいろ今後対策をとってもらうわけでありますが、まあ不幸にしてもしもどういうような事故があるかわからない。そういう点について、一番そういう消火体制あるいはそうした事故を未然に防いでいくそういう緊急体制、防災体制、それはやはり直接的には東京瓦斯にあるわけですよ。こういう点、たとえば連絡があってからバルブを締めるまで相当な時間がかかっている。私はここではこまかいことは言わない。言いませんが、それは二年前に事故で、要するに爆発が起きてから締めるまでの時間がおくれたことについては私はそのとききびしく言った。そのときには、完ぺきな防災体制をとります——それから直後にまた、ガスタンクがもう少しで爆発するような事故があったわけですが、そのときは防災体制は早く手を打って大事に至らなくて済んだ。しかしまた今回のこういう事故なんです。のど元過ぎれば熱さを忘れるというか、ちょっと時間がたつとすぐそういうようにゆるんでくる。これであっては、東京都民だけではなく、日本国じゅうガスは通っているのだから、だれだって安心して眠れません。こういう点で、非常に連絡をしながらも、たとえば三台のパトカーがおりながらみなどこかに行ってしまった。それじゃ何も緊急体制なんて言えないじゃないですか。電話かけてもおらぬなんて何が緊急体制ですか。特にあなたは直接的に都民の安全を守る第一線なんです。そういう点で、いまのような状態でいいと思っておりますか。また、悪いと思えば今後どういうような計画をしておるか、それを言ってください。
  201. 安西浩

    ○安西浩君 この点につきましては冒頭に詳しく申し上げたのでございますが、応急修理車が三台で足らないだろうということでございますので、常に一台は待機させるように増強いたしました。保安体制の人員も強化いたしました。真剣にやっておるつもりでございます。
  202. 近江巳記夫

    ○近江委員 それならこれは局長に聞きますが、各ガス会社等に全国的にその点については徹底しているのですか。
  203. 本田早苗

    ○本田政府委員 東京瓦斯に通達を出すと同時に、全国のガス会社に出しております。
  204. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんので終わりますが、いずれにしても、こういうような事故は二度と起こさないように、これから末端に至るまで、きょういろいろと御答弁された皆さん方の御精神がぴりぴりと行き渡るように、どうか今後二度と事故を起こさないように万全の体制をとっていただきたい。また監督官庁である通産省も、いまのようなずさんなことを何回も起こさないように、どうかあらゆる予測できるそうした措置等を十分にとって、今後事故を未然に防いでいただきたい。このことを特に要望いたしまして、質問を終わります。
  205. 大久保武雄

    ○大久保委員長 中村重光君。
  206. 中村重光

    ○中村(重)委員 安西参考人に一問だけお尋ねをいたしますが、現場に参りますと、先ほど他の委員からも指摘がございましたように、古材であるとか、コンクリートあるいはアスファルト等をこわしたかたまりというものが、おそらく現場から掘り出されたものだろうと思うのですけれども、そういうものが山積みされておったという事実、それらの点から見てみまして、埋め戻しの際にトラックに一緒に積み込んできたものがそのまま埋められておったのではないか。それが故意であったかどうか、鹿島社長がそれを知っておったかどうかわかりませんが、いずれにしてもそういうことが考えられる。それらの点等から考えてみまして、やぐら工法にも問題があるということを私どもは感じ取っているわけですが、やぐら工法の設計あるいは施工、それからガスの導管を地下鉄工事の際に移動させるというか、そういうことをやるわけですから、そういう際に埋め戻しをやらなければなりません。埋め戻しに伴っての設計、施工、監督というものが当然なされなければなりませんが、そういう際に東京瓦斯はどういう関係というか立場にあるのか。これは非常に重要な問題点として、当日私どもが感じ取りましたので、この際お聞かせを願いたいと思います。
  207. 安西浩

    ○安西浩君 私どもは、危険なガスという商品を販売いたしておりますので、ガス管の防護につきましては、今度の事件にかんがみまして、さらに一段と注意してまいりたいと思う次第でございます。
  208. 中村重光

    ○中村(重)委員 逸見参考人にお尋ねしますが、いま安西参考人からのお答えがございましたが、私の御質問に対する的確なお答えにならなかったわけです。地下鉄工事をやる、それに伴って結局ガス導管というものをやぐらでもって受けるわけですね。そうするとやぐら工法に対して、あるいはその埋め戻し工事に伴っての関係というものは、東京都と鹿島建設だけでその設計、施工の関係というものが組み立てられてはならないですね。やはりガス漏れ等に対する一切の責任、保安責任というのは東京瓦斯にあるわけですから、当然東京瓦斯が設計、施工に対し、あるいは監督に対して重大な責任を持つ立場になければならない。そういう意味においての東京瓦斯の責任体制というのは当然確立されておらなければならぬと思うのです。そういう点から東京都は鹿島建設に対してそうした工事を請負をさせておられるわけですが、そういう場合東京瓦斯との関係をどうするかということも同時にこれからは十分検討して遺憾なきようにやってもらわなければならぬ。またこれは通産省にはいずれ適当な機会にお尋ねをいたしますが、当然あなたのほうで今度保安体制を確立するという立場からいろいろ検討されておろうと思います。そういう点に対しては遺憾ないように今度は対処してもらわなければならぬと思いますから、要望というのか、一応逸見さんからお答えだけを願っておきましょう、この後どういう方法でやろうとお考えになっておられるか。
  209. 逸見正則

    ○逸見正則君 ただいまのお尋ねでございますが、たとえば請け負うほうの設計、施工、そういう面につきましては、もちろん当事者として私どもと鹿島建設の甲乙関係の請責工事で営むわけでございますが、もちろんわれわれも土木技術者として判断し、監督その他の面において入念に処置してまいらねばなりませんが、一方、ガス施設の保全そのものに関連のある専門的な判断及び保全の方法、処理ということが関連いたしますので、それらとの関連におきましては、現場間におきましても、それぞれの三者の関係員が常に立会あるいは打ち合わせをして、そごのないように処置しておるわけでございますが、今後こういった事故にかんがみまして、お互いにその辺については事前に十二分な連携を保ちまして、それぞれの分野に応じてオーバーラップするというような形において管理面の充実をはかってまいりたい、かように考えております。
  210. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまあなたのお答えを伺ってみても、今回の事故が当然起こるべくして起こったような感じがしてならないのです。私は、ガス導管の埋め戻しであるとか、それからいまのやぐらですか、そういうものは東京都が当然十分納得の上で行なわれなければならぬと思うのです。どういう形であったにしても、その事故の責任というものは東京瓦斯が追及されてくる。また原因のいかんにかかわらずその責任を負わなければならぬのだという参考人の答弁の中からもはっきりしてくるわけですね。ですから、そういうような東京瓦斯の導管に関係する工事に関する限りは、その責任体制というものが制度化しておらなければならぬというのです。していないとするならば、そのことを重大な問題点として、これから十分そのとおりにやってもらわなければならぬと思う。私はこれは法的にも問題があろうと思っておりますから、その点はいずれ適当な機会がございましょうから、そういう際に詳細にひとつお尋ねをしてまいりたいと考えております。
  211. 逸見正則

    ○逸見正則君 ただいまの点につきましては、実はその工事の始まるかなり以前から三者で関係者において十分協議打ち合わせもして、内容を把握した上で工事に取り組んでおるわけでございますが、さらに今後この点については、先ほど申し上げましたように、入念にお互いの関係者がよく判断なり関連事項について協調し合うような方向で工事を施工してまいりたいと思います。
  212. 堀昌雄

    ○堀委員 本日朝以来質疑を伺っておりまして、時間の制約もありましたために、参考人各位も必ずしも十分な意見の開陳をされにくかった点もあろうかと思います。私どものほうも十分な質問ができないといううらみもありましたので、委員長におかれては、この問題はきわめて重要でありまして、二度と繰り返してはならないことでもありますし、当該所管委員会である私どもといたしましては、もう少しこの審査を進めて、十分国民の前に納得のできるような状態を明らかにしてまいりたい、こう考えておりますので、これらの参考人については、引き続き適当な機会に再度御出席をいただいて、このような機会を設けられることを要望いたします。
  213. 大久保武雄

    ○大久保委員長 ガス爆発事故に関する今後の調査は、追って理事会においてさらに協議することといたします。  各位には、御多用中長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、ありがとう存じました。厚くお礼申し上げます。どうぞお引き取りください。  直ちに理事懇談会を開会いたします。  暫時休憩いたします。    午後一時五十七分休憩      ————◇—————    午後三時十六分開議
  214. 大久保武雄

    ○大久保委員長 これより商工委員打ち合わせ会を再開いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。堀昌雄君。
  215. 堀昌雄

    ○堀委員 先般来八幡、富士問題について、公正取引委員会においては公聴会をお開きになったように新聞は報道いたしておりますが、この公聴会の経過のあらましと、賛成とか反対とかあったであろうと思いますので、それらについて、公正取引委員会のほうから簡単な御報告をいただきたいと思います。
  216. 山田精一

    ○山田政府委員 公聴会につきましては、去る三月二十七日に官報に告示いたしました。開催をいたしましたのは——その前に、公述人の申し込みの受け付けを締め切りましたのが四月の四日でございます。締め切り日までに公述の申し込みは総数で九十七名、非常に多数ございました。その中から公述人三十七名を選定いたしまして、公聴会は四月の十日、十一日と連続いたしまして二日間開催をいたしたわけであります。  いろいろな御意見がございましたが、これを大まかに分類をいたしますと、三十七名の中で、賛成という方が十八名、条件つき賛成という方が十名、反対が九名でございました。  以上のような経過でございます。
  217. 堀昌雄

    ○堀委員 私どもも、新聞でさように承知をしたわけでございますが、この賛成と反対に分かれておりますところは非常にはっきりいたしておりますが、条件つき賛成とおっしゃっておる中には、はたしてその条件が具体的に満たされるものであるのかどうかによっては、実はこれは表現としては条件つき賛成、しかしその条件が満たされなければ反対、そのお出しになっておる条件がそれでは常識的に見て直ちに行ない得るものと、どうも常識的に見て必ずしも直ちに行ない得ない条件というものもあったのではないのか、われわれどうも簡単な新聞の記事でございますので、そこらをちょっとつまびらかにいたしておりませんが、そういう意味ではこの条件つき賛成十名の中に、やや賛成に近い者と、やや反対に近い者との色分けが、そういう私が申し上げましたような前提に立てば色分けがあったのではないだろうか、こういう感じがいたしておるわけでございますが、これは個々の条件を判断なさる立場によって、その分け方はおのずから変わってくるであろうかと思いますけれども、おおよその見当としてはどのような感じであったのでございましょうか。
  218. 山田精一

    ○山田政府委員 条件つき賛成十名おられたわけでございますが、ただいまその十名さんの発言の内容について的確に記憶はいたしておりませんが、大体において大きく分けますと、条件と申しますのは、非常にばく然としたものと、それからやや具体的なものといたしましては、価格が公正に決定されぬようになると困るから、その辺を十分監視——監視ということばを使われた方もございますし、注意をしてほしいという御意見、それからまた下請をいたしております中小企業なりあるいは需要者に対して、合併によって非常に力が強くなって不当な取引条件を押しつけるようなことがあると困るから十分注意をしてほしいというような御意見、まあ大ざっぱに分けますればそういうようなことであったかと存じます。
  219. 堀昌雄

    ○堀委員 この公聴会の結果というものは、これはこの問題に関心を持つ方たちの範囲に限られておりますから、おまけに官報に公示をされて、希望者が届け出る、こうなっておりますから、必ずしも私はこの人数の多寡が問題の性格をあらわしておるとは思っていないわけでございます。ただちょっと新聞だけで拝見をいたしますと、何かどうも反対意見のほうが少なくて賛成意見のほうが多いというような形だけが、事情をつまびらかにしておられない一般の国民にとっては、それが何か一つのものさしであるかのような印象を与えたような感じが実はいたしておりましたので、あわせていまの条件つき賛成の中身について感触を伺ったわけでございますが、それを数で分けることにはいささか問題があろうと思いますから、この点はその程度にとどめておくわけであります。  もう一つ、実は昨日来の新聞に出ておりますが、公正取引委員会委員の方が何か関係会社に内示をなすったということが報道されていて、報道のあり方では、山田委員長の内意を受けてという表現もありますし、またある新聞によっては、公取委員長は直接関与はしていない、その人たちの意思によるものであろうという報道もありますから、私どもちょっとそこらのところがはっきりいたしませんので、委員長のほうからひとつ正確なこの点についてのお答えをいただきたいと思います。
  220. 山田精一

    ○山田政府委員 新聞に出ておりましたところは、当委員会の梅田委員、亀岡委員の両名が八幡富士両社の代理人でございますところの入江弁護士に会って話をいたしたという記事でございます。両委員が入江弁護士に会いましたことは事実でございます。ただそれは、現在審査をいたしております事案の内容についてどうこう、あるいはこういう事実があったかなかったか、そういうようなことについて話をいたしたのではございませんで、ただ八幡、富士両社が、新聞紙の伝えるところ等から判断をいたしますと、やや楽観的に過ぎておるのではないか、こういうことの注意を与えた、これが事実でございます。
  221. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと新聞を読みました中では、合併が六月一日に予定をされておるけれども、それを延ばしたらどうかというような内意が伝えられておるというような記事もあったわけでございますが、その点は、そうすると、ただ楽観に過ぎるという範囲で、六月一日の合併の問題に触れたわけではない、こういうことでございましょうか。
  222. 山田精一

    ○山田政府委員 そのような、六月一日云々とか、具体的な内容については一切触れておりませんでございます。ただ、あまり楽観的に過ぎるではないかと注意をいたした、これが事実でございます。
  223. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの問題はそういうことでけっこうでございます。これから皆さんが最終的な御判断をお下しになることでありますから、どういうふうになるのかよくわかりませんけれども、ここでちょっと法的な解釈を伺っておきたいと思います。  私的独占禁止法の第六十七条に、「裁判所は、緊急の必要があると認めるときは、公正取引委員会の申立により、第三条」以下ずっと法文が書いてございまして、「規定に違反する疑のある行為をしているものに対し、当該行為、議決権の行使若しくは会社の役員の業務の執行を一時停止すべきことを命じ、又はその命令を取り消し、若しくは変更することができる。」こういうふうに書かれておるわけでございます。ここには「裁判所は、緊急の必要があると認めるときは、」と先に書いてございまして、その次に「公正取引委員会の申立により、」となっておりまして、順序は裁判所が先で公正取引委員会あとになっておりますが、この法律解釈は、うしろに書かれております、疑いがあるときには当然公正取引委員会がそういう判断をして裁判所にこういう措置をすべきではないかということを受けて、裁判所がもし必要があればそうする、こういう論理構成ではないかと思うのでございますが、ちょっとこの点についての法律的な解釈を伺いたいと思います。
  224. 山田精一

    ○山田政府委員 ただいまおっしゃいましたとおり、公正取引委員会において、これこれの規定に違反する疑いのある行為をしている場合に、裁判所に対して一応その行為ないし各種の事案を停止するように申し立てを出すわけでございます。裁判所はこれを審査されまして、緊急の必要性がある、しかも規定に違反する疑いがあるという心証を得ましたときにこの命令を出してくださる、かようなことになろうかと思います。
  225. 堀昌雄

    ○堀委員 それでは、こういう疑いがあるときに緊急停止命令を出すというのは、なぜそういうことが行なわれるのか。公正取引委員会がこういう疑いがあると認められることは、これは当然いろいろな過程であるわけですが、それによって申し立てられたら、裁判所が緊急に必要があるという判断をした場合あるいはそういう当該事実があると認定をした場合に停止命令を出すというのは、これは何を目的として行なわれるということなのでございましょうか。
  226. 山田精一

    ○山田政府委員 過去において三回ほど実例があるのでございますが、その大部分は、もしもかりに当該行為をさせますと回復しがたい競争の制限が実現してしまう。一つの例を申し上げますと、ある地方で某新聞社が自分の新聞の拡販をはかりますために、新しく読者となった者に対して抽せん券を配付いたしました。これでたしか一等がテレビが当たるか何か忘れましたけれども、多額の景品を出すという広告をいたしまして抽せん券を配付いたしたのでございますが、これを続けて実行させまして、しかも抽せんを行なって景品を渡すというようなことになってしまいますと、すでに競争は制限をされて、その当該新聞の販路が非常に拡大してしまいまして、他の新聞はそれを回復することが非常に困難である。そのときに緊急停止命令を出しまして、抽せん券の配付及び抽せんの実行を停止いたした、こういう例がございます。
  227. 堀昌雄

    ○堀委員 いまのお話でございますと、競争制限の問題が具体的になる場合、こういうこともあると思うのですが、たとえば、これはもう事実問題を離れて、理論的な話としてお伺いをいたしますけれども、ある企業同士が合併をする、   〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕 そうしていろいろとそこで合併に伴う手続や、いろいろな処理がずっと進行していく、そうしますと、先へ行ってそれは適当でないということになったときに、やはりある程度両会社は損害を受けることになる、そういう場合に、やはり事前にそういう審判なら審判ということを行なうことによって、まだその方針がきまらない場合には、とりあえずそういう事態の進行を停止しておいて、予想せられるデメリットを避けるということも私は常識的に考えてあり得ることではないのか、こういうような感じをいたしておるわけでありますが、そういう場合はこの問題には当たらないのでございましょうか、どうでございましょうか。
  228. 山田精一

    ○山田政府委員 その辺は具体的の判断によるところと考えますけれども、要するに、違反の疑いの程度、それから緊急性ということであろうと存じます。究極のところは裁判所がどういうふうに判断なさるかというところにかかるかと存じます。
  229. 堀昌雄

    ○堀委員 もちろんここに書いてあります法律の趣旨は、あげて裁判所の判断にまかせられておりますが、その前段のほうに、公正取引委員会が申し立てるという段階がございますね。そうすると、これはやはり公正取引委員会の判断ということにまたなろうかと思いますが、ものごとをやってまいります場合に、私今度ずっとこの問題の経緯の中からこの法律をいろいろと調べて感じたことでございますけれども、この法律は必ずしもあまり完備していない。法律的にある一つの規定がある、ところがその一つの規定を運用していく場合に、あとずっとそれが非常にスムーズにいくように書かれているかというと、どうもなぜか読み返してみますと必ずしもそうなっていないところがあったり、第一条で書いた考えと——途中で修正をしたりいろいろ起きておりますから、何かこの法意の流れといいますか、そういうものの中に、必ずしもすらっといかないような感じのするところがあるわけでありますけれども、しかしそれはそうとしておいて、やはり第一条のものを法意とみなして考えてみますと、やや不十分な点が残ってきておるという感じが私いたすわけでありますが、特にいまの六十七条の問題については、やはり公正取引委員会の行なわれる業務が最も瑕疵なく適切に行ない得るということのために設けられておるのではないだろうかという感じがしておるわけであります。これをどう取り扱うかということがまたなかなか問題がありますが、しかし全体をながめた感じでは、できるだけ公正取引委員会の行なわれたことがその目的に従って適切に処理がされるようにするための一つの補完的な手段というふうに私は六十七条を見ておるわけでございますが、その点についての委員長の御見解はいかがでございましょうか。
  230. 山田精一

    ○山田政府委員 お説のとおり、この法律の条文はかなり抽象的なところが多うございまして、また具体的な判例も少ないものでございますから、なかなか解釈にむずかしい点があることは御指摘のとおりだと思います。ただ、ただいま御指摘の六十七条につきましては、これは十分研究を要することでございますけれども、ただいま私個人といたしまして考えておりますところは、第一条等と読み合わせまして、取り返しがたい競争の制限の既成事実ができてしまうというおそれのあるとき、そのときに適用さるべきものである、かように考えております。
  231. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの御答弁で、私、六十七条についての公正取引委員会の御見解がよくわかりましたから、それをもとにして今後十分ひとつ瑕疵ない処置をしていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  232. 浦野幸男

    ○浦野委員長代理 中村重光君。
  233. 中村重光

    ○中村(重)委員 委員長にあらゆる角度からお尋ねしたいことがあるのですが、いま重要な審査の段階でございますので、その点私どもも配慮いたしまして、新聞で報道されておるような点で疑問に感じる点にしぼってお尋ねをしてみたいと思うのです。  いま堀委員からお尋ねをいたしましたことと関連をいたしますが、昨日の朝日新聞に報道されております「公取委は去る二十一日、八幡・富士両製鉄に対し「現状のままでは、合併を認めるわけにはいかない」旨非公式に通告、このままだと勧告または審判となる公算が大きいことを伝えた。」という点ですが、この点は事実と違いましょうか。
  234. 山田精一

    ○山田政府委員 ただいま堀委員にお答え申し上げましたとおり、両社は、新聞紙の伝えるところによれば、楽観的に過ぎるのではないかという注意を与えた、これが事実でございまして、それ以上は何も申しておらないわけであります。
  235. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうなりますと、この中で、「今後考えられる措置としては」第一に「審判を開始し正式の審決を出す」、第二点としては「緊急停止命令を申し立てず審判をする。」それから三番として「審判開始をきめたあと、両社側が具体的な新対応策を出す」、四つとしては「独禁法違反について適当な措置をとれ、との公取委勧告を両社側が認めたときは、審判手続を経ないで審決をする」、この四つがある——これはもちろん公取が正式に言っているわけじゃありませんが、こうしたことが考えられる。これらの点に対して公取としてはもちろんいまこれらのことを検討しているという段階でしょうか。
  236. 山田精一

    ○山田政府委員 現在まだ検討をいたしておるわけでございまして、ただいまお読み上げになりましたようなどの方法によるとかいうことは、まだ話をいたしておらないわけであります。
  237. 中村重光

    ○中村(重)委員 いま委員長がお答えになりました、堀委員に対してはっきり名前をあげて菊池、梅田両委員が両社の入江弁護士に会って、両社が楽観に過ぎるのではないかということを伝えた。このことに対して、委員長としては適当な措置であったとお考えになっていらっしゃいましょうか。いろいろ本委員会におきましても——あまり芳しくないうわさが世上伝えられる両社側に会うということについては慎重でなければならぬ。ましてやいま重要な段階、私どものこの委員会における質疑ですらもできるだけ配慮して質問しているという慎重な態度をとっておる。ましてや合併に対する態度を決定しなければならない公取委員として、楽観に過ぎようが過ぎまいが、いまの段階で顧問弁護士と会ったということは、これは両社にとって重大な利害関係を持つ重要な立場にある人だといえると私は思うのです。そういった人と会って話をするということについては、私は誤解を招くような感じがいたします。これは、いま堀委員質問に対して、私ははっきり聞き取れなかったのですけれども委員長の意思によってやったのかどうか。でないといたしましても、委員のとった行動としては適当であったというふうに委員長はお考えになっていらっしゃいますか。
  238. 山田精一

    ○山田政府委員 ただいま委員の名前をお読み上げになりましたが、菊池、梅田とおっしゃいましたけれども、これは梅田、亀岡両委員でございます。  それで話しました内容が、先ほど堀委員にもお答え申し上げましたごとく、現在審査中の事案の事実の有無とか法律の適用とか、こういうことには全然触れておりませんで、あまり楽観的に過ぎるではないかという注意を与えた、こういうことでございますから、特に不穏当なこととは私は考えておらないわけでございます。  それから委員会または私委員長の旨を受けてというような趣旨のことが書いてございましたが、さようなことはございません。ただ事実といたしましては、去る水曜日でございましたか、十六日でございましたか、委員会の審議の途中の中休みの時間に、どうも両社は楽観的に過ぎるのではないかという雑談が委員の間で出た、こういう事実はございました。
  239. 中村重光

    ○中村(重)委員 委員長とされては、そうした委員の二人が楽観的に過ぎるのではないかというようなことで伝え、合併の内容についていろいろ話したことはない。かりにそうだといたしましても、私はこの三十八条の委員長委員の職権の意見公表の禁止の条項からいたしましても、あるいはまた現段階における委員のとった態度といたしましては、道義的な面からいたしましても問題があるように感じられるのです。だから委員長としては、そういう内容に触れたのではないのだから差しつかえないじゃないかというようにお考えでしょうが、この重大な段階で、世上にいろいろな誤解を与えるというようなことはやはり避けるべきではなかったのですか。また会っても具体的なことは話してはいないと言いながら、私はこの新聞を読みまして、やはり会った結果、公取でいまいろいろ検討されているその中身についてもある程度話をしたことが、両社に対して大きな刺激となり、何かあたかも裏切られたような感じを持って両社が受け取っている。そういうことでなければ私はこういった記事という形になってあらわれないと思うのですよ。私の判断が的はずれでしょうか。お互いに常識的に考えてみてどうでしょう。
  240. 山田精一

    ○山田政府委員 両委員から楽観的に過ぎるではないかというような話に対しまして、先方がどう受け取られましたか、これは私の憶測する限りでないのでございますが、両委員といたしましては楽観的に過ぎるではないかという注意を与えた、これだけが事実でございます。
  241. 中村重光

    ○中村(重)委員 そういうことだからこれは差しつかえないのだというように委員長はお考えになっていらっしゃるのでしょうか。公正取引委員会としては五人の委員をもって構成する、その中で独立した権限を持って発言もし意思を決定をするわけですね。そして最終的には公取の意思の決定ということになってあらわれてくるわけですね。だけれども、自分の判断だけで委員がどのような行動をとってもよろしいということにはならぬと私は思う。やはりお互いに大きな誤解を世間に与えるようなことは避けるようにしようではないかというようなことの申し合わせはあってしかるべきだし、またやっていらっしゃるんだろうと私は思うのですよ。ならば、少なくともいまの段階に両社側の弁護士と会った態度というものは、私は適当でないと思う。これだけ三回も繰り返してあなたの見解を求めておるのですけれども、お答えの中からは、別に両社の合併についての内容に立ち入って話をしておるのではないのだから差しつかえないのだというようにしか受け取れないのですね。楽観に過ぎるのではないかということを、わざわざ二人の委員が両社の弁護士に会って話をしなければならぬというような必要があるのでしょうか。別の方法があるんじゃないでしょうか。
  242. 山田精一

    ○山田政府委員 委員会において、現在事案につきまして審議をいたしておる最中でございますけれども、ただいまの段階におきましては、どういう処置をとるかというようなことはまだ全然話に上っておらないわけでございます。審査部の審査をいたしました結果の事実について報告を聞いておる段階でございますから、かりにそういうような空気とかあるいはそういうような事実とかを漏らそうにも漏らすまいにも、種がないのでございますから、結局楽観的に過ぎるではないかという注意をいたしたにとどまるものである、かように考えておるわけでございます。したがいまして、何ら事案の事実の有無とかあるいは法令の適用につきまして申したことではないのでございまして、その程度のことは特に不穏当なこととは私といたしまして考えておりませんわけでございます。
  243. 中村重光

    ○中村(重)委員 お互い個人としてどこかで会って話をするというのは一向差しつかえないと思いますよ。しかし、まだいずれとも決定をしてないのだ、またそのことを伝える種がないんだ、だから差しつかえないのだ。種があるかないかということは公取委員会の皆さんだけしかわからないのですよ。八幡、富士の合併について関心を持っておられる多くの国民は、公取委員会委員の一挙手一投足、一言一句、いままでの段階では事務局が審査に当たっていましたから、そうした人たちの言動というものに関心を持っている、非常に心配をしているのですよ。そういう際に公取委員会委員が二人、相手方の弁護士と会っていろいろと話をしておるということについては、やはり何かの裏取引をやっているというような誤解を与える。そういう無用な誤解を与えるようなことは私は避けるべきだと思うですよ。種がないんだから差しつかえはないじゃないかというようなことにはならないんじゃないかと私は思う。なぜにもっと慎重な態度をおとりにならないのだろう。少なくとも山田委員長、あなたはそういうことはなさらないでしょう。またあなたの意思によって会ったのでもない。私はきわめて軽率だったと思うです。そういうことはお互い委員同士、再びそのようなことをやらないように、無用な誤解を生むような行動をとらないように話をされる必要があるのではないかというように思うのでありますが、そのようにお考えになりませんか。
  244. 山田精一

    ○山田政府委員 さような誤解を与える可能性があるといたしましたらば、はなはだ遺憾でございますが、事実は、ただいま申し上げましたごとく、楽観的に過ぎるではないかという注意を与えた、これにとどまっておるわけでございます。今後の問題といたしましては、今日当委員会において御指摘のございましたことを、同僚委員諸君にも十分に伝えるつもりでおります。
  245. 中村重光

    ○中村(重)委員 委員長はかつてこの委員会において条件つき認可はない、また両社から対応策が出ました際に、今後事前相談には一切応じない、正式申請を待って審査をするという態度を決定されたのですし、また委員長の談話もそういう形で出された。したがってこの合併についてはイエスかノーかそのいずれしかない、とこのように考えておりますが、委員長としてはいまもその考え方に変わりはございませんでしょうか。
  246. 山田精一

    ○山田政府委員 これは法律のたてまえがさようになっておりますので、現在においてもさように考えております。
  247. 中村重光

    ○中村(重)委員 柿沼事務局長にお尋ねという形のほうがいいか、私の感じたことを率直に申し上げたいと思うのですが、あなたが最近記者会見でお話しをしていらっしゃる。そのことを私は印象として受けておりますのは、何かこの合併のおぜん立てをあなたが進めておるような、そういう感じがしてならないのですよ。具体的なことでその新聞で書いておりましたのを私はここにメモしているのですが、八幡、富士の合併については今後の方針は三本立て審査となる。一つは審査部による正式審査、二つとして公聴会を開催して一般の意見を聞く、三つとして両社から出された対応策は不十分であるので、その補完を待って審査をする、こういうことを言っておられるようですね。いまの委員長の御答弁によりますと、もう対応策を再度求めない、事前相談には応じない、正式申請があったならばこれに対してイエスかノーか、法律のたてまえもそうなんだ、いまも考え方に変わりはないとはっきりお答えになった。それならば、第三番目の、両社から出された対応策は不十分であるので、その補完を待って審査をするということは、これはいまの委員長の答えとあなたの考え方とは変わってくるのじゃないかと思いますが、何か合併の根回しをする、そういうような役割りを意識的か無意識か知りませんけれども、私はそういう感じを持って新聞を読んだ。まだあるのですよ。時間の関係がございますから他の事例は私は申し上げません。あなたはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。これは事実無根ですか。
  248. 山田精一

    ○山田政府委員 その前にちょっと申し上げさしていただきとう存じますが、私が先ほど申し上げましたのは、正式の審査に入った以上対応策についてネゴシエーションのようなことはいたしませんということを申し上げたのでありまして、当事者が届け出書に付随して出しましたものを先方の考えでさらに追加をいたしてまいる、これは一向差しつかえないのでございますから、念のために申し上げます。
  249. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 新聞の報道につきまして私がここで批判がましいことを申し上げることは適当かどうかと思うわけでございますけれども、私、現在、本合併問題につきましての委員会のスポークスマンというような立場にあるわけでございますけれども、ただその場合に、委員会の審議の内容についてはほとんど話ができない場合が多いわけでございます。ただ、それに対しまして記者会見をいたしました場合に、いろいろな形で記者諸君の御質問があるわけでございまして、非常に曇りガラスを通してものを見るような形でもって私断片的な話をする機会が多いわけでございますけれども、その中からある考え方をまとめまして、それがごく短いかっこうの新聞記事になるということがときどきあるわけでございます。  ただいま御指摘をいただきました問題の中で会社側の対応策について申し上げましたことは、一つそういう事実があるわけでございます。これは今般の対応策が正規の届け出と一緒に出ましたときに、そのうちレールについての問題は追加して会社側としては提出したという申し出がございましたのを、私はそういうふうに記者諸君に伝えたわけでございます。で、それがそういう記事の構成要素になっておるというふうに考えております。
  250. 中村重光

    ○中村(重)委員 また、たとえば公聴会の状況が新聞等で報道されております。これに対する発表というものがあったわけですが、この場合だって私は慎重でなければならぬと思いますよ。委員長はまた条件つき認可はあり得ない、こう言っているのですね。だから賛成、反対——条件つき賛成なんというものがあろうはずはありませんよ。そうでしょう。私はそう思いますが、だから堀委員もこの点は触れておりましたけれども、自分の考え方が満たされなければ当然反対に回るべき人だろう、こう思うのです。そういう場合はやはり賛成だということで大きくクローズアップするような形の発表というものがあってはならないと思いますね。そこらあたりは少なくとも非常に慎重であるべきだと思います。しかしそれは、いまのあなたのお答えの点であなたの考え方はわかったわけですが、そこらはきょうは私これ以上突っ込んであなたにお尋ねすることは避けたい。こう思います。  なお、委員長にもう一点お考え方をお尋ねしてみたいと思うのですが、これも日本経済新聞の記事ですが、「事前審査の経緯にこだわるべきではないとの意見がある半面、公取委の権威、両社への信義からみてこれに反対の考え方もあり、両社の対応策追加という要素もあって微妙な情勢である。」これも先ほどの委員長のお答えの中から、まだこのようなことを議論しておるわけじゃない、こうおっしゃったのだから、まあ単に取材をされた方の主観ということなのか、あるいはやはりこういったような議論がどこかでなされて、それが委員長は知らない間に伝えられておるのか、それはいずれかであろうと思うのですが、私はこの記事を読みまして、公取委の権威とは何ぞやということ、それから両社への信義とは何か、もしこのとおりだとするならば……。少なくともこのようなことは委員長のとらざるところだろう。やはり合併というものは法律にのっとり、また第一条の目的、第十五条の合併の基準ですね、そういうことにのっとって厳正に、公正にこれは行なわれなければならぬ。あくまで国民に対する公取委の存在というものがあり得るわけです。だからあらゆる角度から検討して審査を進めて、その結果やはり合併が適当でないとするならば、何らちゅうちょすることなく、この合併を阻止するための裁判所に対する緊急停止命令の申請をやるとか、あらゆる措置をおとりにならなければならない。私はそれが正しい公取のとるべき態度であろう、こう思う。また公取の権威ということになってくると何をさすのか。いままで三・五品目ということを言った。これがいわゆる独禁法違反になる品目がふえる。従来言うてきたことと変わるのだから、そういうことを言ったならば権威にかかわるではないか、そういう議論がもし公取委の中であったとするならば、私は問題があると思う。私は山田委員長のお答えを信頼をしておるところでございますが、私の質問に対しまして、三・五品目にこだわらない、全部の品目というものを対象にして公取委は審査をやるんだ、公聴会にいたしましても、賛成が多かろうとも反対が多かろうとも、ともかく公聴会を開くということは、その意見を聞くということは、これは参考にはするけれども、合併を認めるとか認めぬとかということをこの公聴会の数によって決定さるべきものではない、これによっては支配されないということをお答えになったことがある。私はそのとおりだと思っておるのでありますが、いま一度、このような記事も出ておることでございますし、委員長考え方をひとつ伺ってみたいと思います。
  251. 山田精一

    ○山田政府委員 私どもといたしましては、再三くどく申し上げておりますとおり、独禁法の規定を忠実に厳正に適用をしてまいる、これに尽きておるのでございます。また今日までの委員会の審議の過程において、ただいまお読み上げになりましたような単語、公取の権威とか両社に対する信義でございましたか、さような単語は一度も出たことはございませんことをはっきりと申し上げておきたいと思います。
  252. 中谷鉄也

    中谷委員 関連して、お訴しをいただきまして一、二点お尋ねしておきたいと思います。  六十七条の停止処分に対する委員長の御見解を承りたいと思うのですが、要するに、公正取引委員会が申し立てをされるのは、緊急の必要性を公取自身がお認めになった場合、そうして疑いのある行為をしているという事実を御認定になった場合、その場合は公取としては申し立てすることを義務づけられている。要するにそれは、申し立てをしようがしようまいが、この六十七条にぴったり合うような場合、合っても申し立てをするのもしないのも公取の自由だということになるのか、それとも、そういう場合には当然申し立てしなければならないのか、この点はいかがでございましょうか。
  253. 山田精一

    ○山田政府委員 先ほども委員のお尋ねに対しましてお答えを申し上げたのでございますが、過去の例等から、またこの法律の趣旨から考えまして、競争制限が、取り返しがたい競争制限の既成事実ができてしまうという蓋然性がある場合、これに申し立てをいたす、こういうことであろうと存じます。したがいまして、そういうふうに判断されるかされないか、こういうことに尽きるのではないかと存じます。
  254. 中谷鉄也

    中谷委員 そういうふうな御判断があれば当然申し立てをすることになる。そういうふうな判断はあったけれども、申し立てをしないという場合はあり得ないというふうにお伺いをしていいのではないかと思うのですが、その点が一点と、申し立てをする場合は、疑いのある行為をしている人、そうして緊急の必要性ということに相なっておりますね。その場合の疑いの程度でございますね。それが、完全にその申し立ての時点においてはっきりと違反をしていることが明白であるという場合と、それから、いわゆる疑いがある場合と、疑うことにも相当な合理性、委員長よくお使いになる合理性があるという場合と、いろんな場合があると思うのです。そのことと、緊急の必要性との間に、私はやはり関連があると思います。疑いの程度が高ければ高いほど緊急の必要性は高まってくるということになるでしょうか。それとも疑いの程度はそれほどでなくても緊急性はある、だから逆に言いますと、疑いとしては、現在の時点においては、白と黒との場合に、むしろ、白かもしれないけれども、あるいは黒かもしれない場合がある、そういう場合でも、かりに黒だとあったとすれば、償うことのできない競争制限という状況が生ずるということで緊急性というものを御判断になるのか、このあたりをひとつ。したがいまして、構成要件の疑いのある行為というものと緊急の必要というものとの間の関連はどのように理解すべきか、この点をひとつ御答弁いただきたいと思います。
  255. 山田精一

    ○山田政府委員 先ほどもお答え申し上げましたごとく、この法律の条文はかなり抽象的でございます。また、過去における判例も少ないものでございますから、なかなかこの解釈はむずかしいところであるかと存じます。私としての考え方といたしましては、ただいま御指摘のような、違反する疑いの濃さ、黒白の濃度と緊急性とは、これは関係がないのではないかと私は考えます。むしろ、緊急性と申しますのは、先ほど来申し上げておりますように、取り返しがたい競争制限の状態が現出してしまう切迫性があるのかないのか、こういうことではないかと考えておる次第でございます。
  256. 中谷鉄也

    中谷委員 これで終わりますが、一点だけ、もう一度いまのところだけ念を押しておきますけれども、疑いという点についての、現時点における疑いというものが、合理的に見て非常にもうはっきりしているということでなかったとしても、要するに、だから、申し立ては、緊急の必要性、そこに力点が置かれる。こういうふうに、御答弁になったとおりを私オウム返しに繰り返したのですけれども、そういうふうにお伺いすればいいわけでございますね。
  257. 山田精一

    ○山田政府委員 緊急性の判断は、ただいま御指摘のように、取り返しがたい競争制限の状態が切迫しているかどうかということであると存じますけれども、ただ、違反の疑いがもうきわめてわずかしかないというような場合に、これを行使いたしますのが、申し立てをするのが適当かどうか、こういう問題は別にあろうかと思います。それはどこまでも疑いが非常に少ない場合ということだと思います。
  258. 中村重光

    ○中村(重)委員 同じく朝日新聞に山田委員長の話として出ているのですが、「公取委としては、まだ最終態度を決めたわけではない。五人の委員の中には、いろいろな意見の人がいるが、結局は多数決となろう。審判について、両社側が深刻に受取っているようだが、審判は公取委が当事者の意見を正式に聴取する、ということなので、それほどこだわらなくてもいいのではないか。」これはお認めになるかどうかということですね。このとおりにお話しになったのかということと、それから、審判はもう態度をおきめになっていらっしゃる、ここでいう最終態度というのは、合併を認めるという方向の、あるいは認めないという方向の最終態度かということ。最後で「審判は公取委が当事者の意見を正式に聴取する、」これを見ますと、審判をする態度はおきめになったというようにも受け取れるわけでございますが、そこら辺はどうでございますか。  これで終わります。
  259. 山田精一

    ○山田政府委員 それは、新聞記事が簡潔に詰められたものでありますから、事実と違う点がございます。最終的な判断をいたしておらない、これは審査の途中でございまして、まだそれをどうするとかこうするとか、またどういう方法でどうするということは、まだ全然話し合われておらないわけでございますから、そのことを話しました次第であります。  また、後段の審判云々のところは、私は特に念を押しまして、これは現在特定の問題についての話ではありませんよ、これはどこまでも抽象論ですよという前提で、雑談的に、私の持論といたしまして、独禁法の中に審判という日本語が使ってあるのは、私は元来、適当なことばでないんじゃないか、これは独禁法の英訳を見ますと、英訳にはフォーマルヒヤリング、こう書いてあるのでございまして、何も審判とか裁判とか、それに近いことばは使っておらないわけでございます。ですから、今度の案件についてどうこうということでなく、従来各種の審判にかかっておる件についても、どうも当事者は本人が出てこられないで弁護士をよこされるとか、こういうのは、私としてははなはだ心外である、こういう持論を申したわけでございます。それはしかし、どこまでも当面の問題とは無関係の抽象論であるという断わりをつけて申しましたわけでございます。
  260. 浦野幸男

    ○浦野委員長代理 塚本三郎君。
  261. 塚本三郎

    ○塚本委員 同僚委員から御質問がありました件につきまして、重ねて私からもお聞きしてみたいと思います。  これは「山田委員長の意向を受けたとして、非公式に「これから両社が出すと予想される最終対応策では、合併をそのまま認めるわけにはいかない」と説明」した、こういうふうな新聞記事になっておりますが、これは事実ですか。
  262. 山田精一

    ○山田政府委員 先ほどお答え申し上げたのでございますが、両委員が先方の入江弁護士に伝えました内容は、両社の考え方は楽観的に過ぎはしないか、こういう注意をいたした、これだけが事実でございます。  それから、委員長または委員会の意を受けてでございましたか、何とかという文句が書いてあるかと思いますけれども、それは、先ほども申し上げましたわけでございますが、十六日の委員会の審議の中途の休憩の時間に、雑談として、どうも両社は楽観的に過ぎているのじゃないかなあという話が委員の中で出たことは事実でございます。しかし、だから先方にどうしようこうしようということは、話は出ておらないのが事実でございます。
  263. 塚本三郎

    ○塚本委員 これは、委員長も注意を与えたという軽い程度のものだと思いますが、しかし、普通ならいいのですけれども、前回、これ以上対応策については、もうあとは一発回答なんだというふうな受け取り方が世間ではなされておるわけでございます。だから、それが正式に向こうの代表に向かって、そういうふうな意向の連絡があったということになると、その当否は別にして、私は何らかその間に一つの契機があったのではないかというふうな感じがいたすわけです。特に対応策を出す直前にいわゆるそういうような発言があったということに、ここで見ますと、新聞記事では、会社側が善意に受け取らずに、対応策を出す前にやったということで、かえって委員長の意思を——まあ委員長がどういう御意思かは別にしまして、悪く会社側は受け取っておられるようでございますね、新聞記事に見ます限りは。これは、対応策を出す前に委員長がそういう意向を漏らしたことを相手方に通告をしたというのは、そこに一つの何かのそういう事態があったのではないかというふうに私は判断するのですが、何かそれを伝えなければならぬようなそういう事態があったのでございますか。
  264. 山田精一

    ○山田政府委員 伝えなければならない事態とおっしゃいますのはどういうことでございますか、よくわかりませんが、ただいまの御指摘で、何かやみ取引をやっているのではないかというような御指摘がございましたが、かりにこの対応策が出てからあとでそういうことがございましたらば、むしろその対応策について相談をいたしたという疑いを受ける可能性があるかと存じますが、その前でございますから、その点から考えましても、単に楽観的に過ぎはしないかという注意をしたというだけのことにとどまるわけでございます。そういうような疑いを受けるおそれはない、こういうふうに考えております。
  265. 塚本三郎

    ○塚本委員 その場合に、山田委員長は、委員長のそういう意向を相手方に伝えるべく、そういうふうに両委員に向かって指示をなさったわけですか。
  266. 山田精一

    ○山田政府委員 さような事実は全然ございません。ただいま申し上げましたごとく、委員会の審議の休憩の時間において、だれからでございましたか忘れましたけれども委員の間に、両社は楽観的に過ぎはしないか、こういう雑談があったという事実はございます。
  267. 塚本三郎

    ○塚本委員 そうすると、委員長の意向として、梅田、亀岡の両委員が伝えたというのは、会社側に対して両委員が、委員長の意向を受けて、好意的に、審判とかそういうことに差しつかえのない範囲において、相手方にサービスのような気持ちで伝えたと、こんなふうに受け取っていいのですか。
  268. 山田精一

    ○山田政府委員 意を受けてというお話がございましたが、それをどういうふうに理解いたしますかは存じませんが、私から頼んだとか、こういうふうにしてくださいとか申したという事実は全然ございません。
  269. 塚本三郎

    ○塚本委員 簡単に委員長や両委員がなさったことが、あまりにも——前回の発言では、もうあとは一発回答だというふうな報道がなされておるときにこういう新聞記事が出ますと、いかにもその中に作為があったような受け取り方を私も持つのです。しかし、私は悪意に解さずに、何かその間一つのアクションでもあったのではないかというふうに見て、これは明らかにしておく必要がある、かように感じたのでお聞きしたわけです。  そういたしますと、最終的な対応策が出ましたね。これから追加して、対応策は出る可能性があるか、もうこれで最後なのか、あるいはさらに、もし必要とするならば、これは対応策を裏づけるべき資料の提出を要求するという形になるのか、これで一切終わりというのか、その点はどうなんですか。
  270. 山田精一

    ○山田政府委員 私は、先ごろ来申し上げておりますのは、対応策を見て、これはこの点がどうだとかこうだとか、ネゴシエーションめいたことはいたしませんということを申し上げておるのでございます。当事者が従来出しております対応策では不十分だと考えまして、それをさらに補充するものを追加的に出してまいることは、一向これは差しつかえないことであると思います。その内容の一々について、こちらはそのつど返事をしたり何かすることは適当でないと存じますが、先方が追加をいたしてまいるのは、これは私どもが最後の決断をいたすまでの間ならば先方の自由であろうと存じます。
  271. 塚本三郎

    ○塚本委員 そういたしますと、いま最終だけれども、どうも雲行きが悪い、もう少しこれを出そう、これを出そう、こうして、会社側がさらにおたくのほうの信用を得るための資料を次から次にとこれからも追加して出してくるということは、これはおたくのほうの信念を固める意味からいいまして、会社が出してきたときにはそれを参考になさるということで、これからもそういう追加の資料の提出あるいは対応策の補強、こういうことはあり得ると受け取っていいわけですか。
  272. 山田精一

    ○山田政府委員 あり得るかどうかは、これはもう先方の考えでございますから、私にはあり得るともあり得ないとも申し上げようがないわけでございます。
  273. 塚本三郎

    ○塚本委員 これは私ども見ておりまして、なかなかむずかしい、委員長のほうでもずいぶんそれは御苦労だろうと思うわけです。といいますのは、おそらく対応策が出た、しかし、これらはすべて将来に向かってなんですね。だから、いまの段階でそんなことが実際可能であるかどうかという心配も出てくるでしょう。しかし、可能であろうとなかろうと、するという以上は、いわゆる社会的責任を持ってこれを裏づけるのだ、こういうように実施するのだと会社側は言うでしょう。この点の判断というものですね。先ほど中谷委員のほうから、いわゆる法律的な解釈の点で積極的な意思なのか、あるいは消極的な意思なのかということ、すべてかかって委員会委員さんの判断においてやっていかなければ——あとから解散命令を出すということならば、これはいいと思うのです。しかし、そういうことはなさらぬということが言明されておりますから、きわめてこれはむずかしい問題だと私は思うのでございます。ただ、富士と八幡がそういう気持ちで対応策を現に行ない得たといたしましても、たとえば鉄道用レールのごときは、第三者であります日本鋼管にこれをしてなさしめるというような案が出ておるようでございますね。この問題に対してまで富士と八幡が責任を持たなければならぬかというふうな問題、こちらは一応切り離して向こうへ移すのだというのだけれども、向こうがそういうふうにやってくれなかった場合に、結果としてそれができないというような形もあり得ると思うのです。そういうことに対する判断はどうでしょうか。
  274. 山田精一

    ○山田政府委員 それがこれから判断をいたす問題のポイントでございます。
  275. 塚本三郎

    ○塚本委員 そうでしょうね。それから私は、ここでもう一つ、その私的独占で最も重要な問題は、やはり市場価格の安定ということが問題になってくると思うのです。しかし、すでに委員長お感じになっておいでになると思いまするが、この合併がいわゆる具体化をされるに従って、市場価格が相当上がってきておりますね。私は、たいへんこのことを残念に思っておるわけです。私どもの党の立場から、基本的にはこれは合併には反対いたしておりませんことは委員長も御承知だと思います。にもかかわらず、こういういわゆる市場価格が上がっていくということは、これはわれわれにとってはきわめて心外なことです。しかし、私は、これを製鉄会社のほうを調べてみますると、会社自身は上げるつもりはない。上げていないのです。ところが関係のない商社たちがこれを投機的に見て、独占になるのだからということで出し惜しみしておるような感じがなくもない。あるいは、幸か不幸か、いわゆる鉄板に対する輸出が、特にヨーロッパなどが好調だというような、いわゆるこれとは違った要素というものも加わっておるようでございます。そうすると、やはり法律のたてまえの私的独占というか、結果的にはそういう結果をもたらしたとしても、要因は両社の私的独占の問題ではなくて、商社にそういうふうな、一、二のそういうものがいる。あるいは外的事情というのはあるのです。だから、そういう意味では、その法律の精神を生かそうといたしますると、ほんとうに委員さんたちがあらゆる資料をうんとやっていただかなければならぬという立場から考えてみますると、これは早急に結論を出すこともなかなかむずかしいのじゃないかという感じがいたして、あわてて結論を出さずに、もっと事情を見てみるというのも一つ方法ではないか。ということは、両社だけの問題じゃなくて、違った要素も加わってきて、これだからだめだとか、これだからいいという結論を出すこと自身も実は危険なような感じが私はいたすのですが、どうでしょうか。
  276. 山田精一

    ○山田政府委員 ただいま鋼材関係の価格の騰貴のお話がございましたが、これはお話の中にもございましたように、意外にもヨーロッパヘの輸出の増加とか、あるいは問屋が、ことばは悪いかもしれませんけれども、思惑的に在庫をふやすとか、そういうような事情もあるかと存じます。合併とは関係のない問題ではないかと思います。そういう場合には、独占禁止政策としてはこれは別問題でございまして、産業政策として処置をしていただくということになるのではないかと存じます。  それから、決着を延ばしたらいいではないかという御意見でございますが、これは御意見といたしましてありがたく拝聴いたします。
  277. 塚本三郎

    ○塚本委員 もう一つだけ。この新聞報道の中にも、もう一つは、これは外だけの要因ではなくて、やはりうちの中でも永野社長が発言しておられるようでありますし、公聴会でも中山公述人が自己監視機関をつくるべきだ、たとえば労働組合の代表等を重役に入れて、そうして価格に対するいわゆる独占をさせないようなことをうちからさすべきだという発言が載っております。これは大衆に対する、いわゆる納得をさせる一つ方法だというふうに思うわけです。このことは、資料の中では、これに類するようなことは、今度の対応策の中で意向として出されたことがあるかないか、これだけお聞きしておきたい。
  278. 山田精一

    ○山田政府委員 せんだって公聴会の席で中山公述人からそういう御意見がございました。これは貴重な御意見であろうと私どももありがたく拝聴いたしたわけでございましたが、これは直接独占禁止政策とは関係がないことのように私は拝聴いたしました次第でございます。
  279. 塚本三郎

    ○塚本委員 それでは、これは、ないといいましても、やはり独占をさせないようにという、自己の監視機関として、ほんとうを言いまするならば、通産省自身もこの点では相当に責任を果たしていかなければならぬと私は思っております。   〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕 ただ単に公取が審判するだけではなくて、公取の精神を実施させるためにも、通産省がそれに対して指導するということの必要性とともに、やはり企業責任として会社自身もそのような対応策をとるということは、指示すべきではないと私は思うが、会社が言い出すならばけっこうだということで、会社からそのような対応策としてそういう意向が出されたことがあるかないかということをお聞きしたい。  これだけお聞きして質問をやめたいと思います。
  280. 山田精一

    ○山田政府委員 ただいま審査中の事件につきまして、当事者からどういうことを言ってきたかという内容につきましては、この際御遠慮させていただきたいと存じます。
  281. 大久保武雄

    ○大久保委員長 近江君。
  282. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんので簡単に聞きたいと思いますが、答弁のほうも明確にお願いいたします。  非常に微妙な段階にきております。それだけに、公取の皆さんは厳正公平に行動をお願いしたい、このように思います。皆さんのほうも、非常に種々な問題検討でたいへんなことはよくわかっております。  そこで委員長にお聞きいたしたいのですが、公取委員や事務局の人たちが三十八条違反の行為があった場合に、きびしく責任を追及されることが当然であると思いますが、この点については、見解はいかがでございますか。
  283. 山田精一

    ○山田政府委員 事務局員が三十八条に違反する行為がもしございますれば、それは当然のことであると存じます。
  284. 近江巳記夫

    ○近江委員 この前にも質問したのですが、「エコノミスト」の中に、三月十一号でございますが、四四ページに「某委員は、一月三一日、鋼矢板の検討がされた直後「事実関係をみた限りでは、救いがたいほどクロである。しかし、真実は別にあるのかも知れない。結論的には反対のことを考えています」」こういうようなことが出ておる。さらに、これは私が前の委員会質問したのですが、正田彬教授も、このことについては非常に問題であるという答弁をされました。それから「またある委員は「これだけ長い時間をかけて、いまさらクロといったのでは世論が承知しないでしょう」とも語っている。」そういうような問題ですね。あるいはまた某委員関係官庁に白昼足を運んでいる。これは本ではありませんけれども、非常にそういう誤解を招くような行為というものがある。こういう点については非常に慎まなければならない問題ではないかと思うのですね。この辺のところについて、どういうふうにお思いでございますか。
  285. 山田精一

    ○山田政府委員 そういうような新聞記事がどこまで真実であるのか、私存じませんけれども、少なくとも事案の内容につきまして、事実の有無でございますとか、あるいは法令の適用について意見を述べた、公表した、こういうような事実はないものと確信をいたしております。
  286. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは平行線になると思いますので、おきます。  それから事務局長、あなたは各社が公取委員に提出した合併に関する処置要求に関して、あれは審理済みのことで、いまさら事新しく取り上げるまでもない、そうした発言をなさったということを聞いておるのですが、そういう事実があったのですか。いかがですか。
  287. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 そういう発言をした記憶はございません。
  288. 近江巳記夫

    ○近江委員 それからまた事務局長は、日紡、日レの合併発表について、全体として直ちに独禁法上の問題となるとは考えていない、シェアは警戒ラインとされる三〇%よりいずれも低いと聞いている、競争制限になるおそれはないと思う、このようにおっしゃったということが伝わっておるのですが、そういう事実はあるのですか。これはもしもあるとすれば問題だと思うのですね。それに対しては、どうですか。
  289. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 本件の合併が発表になりました日にほかの問題で私は記者会見をしておったのであります。そのときに通産省詰めの記者から、きょうこういう合併がございました、それで、それについては各品目とも三〇%をこえておらないようですというような話が情報として私に入りました。私といたしましては、もし三〇%になっていないということなら問題にならないと思うけれども、これは企業からの正式な届け出を待って検討する問題だからというふうに答えておりましたのが、翌日そういう記事になったわけでございます。
  290. 近江巳記夫

    ○近江委員 実際そういう点について、これはあくまで委員の方のそうした御意見ということもあるわけだし、そういう点、いま非常に微妙な段階に来ているわけですから、こういう点の言動については十分に慎んでいただきたい、このように特に要望いたしておきます。  それから審判が開始されるかどうか、これはまたいよいよ微妙な段階に来たわけでありますけれども、審判を開始する、これは仮定です、まだわからないですから。そういう場合、両者の合併に緊急停止処分をかけるかどうか、その点についてはどうですか。
  291. 山田精一

    ○山田政府委員 まだ現在の段階ではさような議論あるいは意見の交換は委員会において行なわれておりませんので、何らお答え申し上げる内容がございません。
  292. 近江巳記夫

    ○近江委員 だいぶ時間が過ぎましたので、これで一応終わりたいと思いますが、いずれにしても非常に微妙な段階でありますし、事実がないとあなたはおっしゃったから、そのまま受け取っておきますが、この点につきましては、私たちもあなた方の厳正な立場ということを信頼しておりますし、そういう点誤解のないように、どうかそういう公平な行き方をしていただきたい、この点を再度要望しておきます。  これで終わります。
  293. 大久保武雄

    ○大久保委員長 これにて商工委員打ち合わせ会を閉じます。    午後四時三十三分散会