○佐野(進)
委員 私は時間がたいへん少ないので、いろいろきょうは国民の一番心配している事項ですから聞きたいと思って用意してきた事項がたいへんあるのですが、残念ながらその全体に触れるわけにはまいりませんから、重点的な項にのみ触れて
答弁をひとつ簡単にいただいて、私の
質問を終わりたいと思うわけであります。
まず第一に、私はいまの質疑応答を聞いておって
日本の国民が、東京都民が、たとえば東京瓦斯に対するいまのお考え、それがそのまま受け取られるということであってはたいへん困ると思うのです。瓦斯会社は自分の責任でない地下鉄工事に関連して事故が起きたのだから被害者だというがごとき認識を持ってもらったり、それはまことに御同情のあるお取り計らいですなんて社長喜ばれておったのでは困ると思うのです。公益事業というものはいわゆる公道上を自由に使うことができるのです。一般の人たちが公道を自由に掘さくする場合においてはそれ
相当の補償を出さなければならぬ。しかしそれに対する特別の
措置が認められるということは、東京瓦斯はガス事業法の中における公益性を付与されておるから、それができると思う。したがって、たとえばいかなる場所においても、いかなる条件下においても、そのガスを導管によって
供給する過程の中で、人間に対してあるいは善意なる第三者の所属する物件に対して被害を与えるということが、他のいかなる条件によって誘発されたとしても、東京瓦斯の責任は私は免れることができないと思うのです。しかるに、いままでこの事故発生以来とりきたった東京瓦斯当局の取り扱いの経過をながめるとき、何か責任をのがれよう、何か自分たちの
立場を有利にしよう、何か第三者的に見たときに東京瓦斯というものの公益性というものに対する優越性というものを認めさせよう、こういうような一連の取り扱いが私
どもひしひしと感ぜられるわけです。本来これに対しては公益事業局、
通産省がいま少しくきびしい
指導をしておればこういうことがないのですが、公益事業局長はじめ通産当局は、東京瓦斯がこわいのかどうかわかりませんけれ
ども、適切な
指導ができないで、事故が起きても、東京瓦斯さんのやられたことに対する擁護論的なことを言っておられるということから、商工
委員会、こういう場所で本来われわれが社長さんはじめ皆さん出てきていただいてお尋ねしなくてもいいのに、こういうことをしなければならない状態になっておる。またこのガス爆発事件については非常に多くの方々が心配しておる。二、三日前の新聞にも、中野のマンションにおいて、密閉された部屋の中で五人の方がやはりガス事故においてなくなられておる。こういうことがいろいろあるわけでありますから、私はこういう点について十分追及をしてみたいと思ったのですが、これは時間がありませんので、後ほどガス事業法の審議の経過の中で追及をしてみたいと思うわけです。
いずれにいたしましても、私は、東京瓦斯さんの今回の問題、いままで起きた事件の経過を振り返れば、数限りなくあるわけです。そのたびごとに前の社長さんをはじめ多くの方々が一々善処するということを言いながら、その
あとを断たない原因がどこにあるかというところまで突き詰めてお考えにならなければいかぬ。これはもちろん都市問題に終局的な結論に結びつかなければならぬわけですけれ
ども、しかし、だから私
どもはしようがないのだということでは東京瓦斯の責任は果たせないのだと思うのです。
私は東京瓦斯さんにお伺いしたいことは、まず第一点として、あなた方が公益性を付与された事業責任者として、このような事故が起きたとき、その根本的な問題について
政府なりあるいはわれわれ国会なりのほうでもいいけれ
ども、事故を今後発生させないための具体的な要望があるならば、そういうものを具体的に出すべきだと思うのです。そういう具体的な要望を出すとともに、現に起きた事故に対しては、衷心から反省をした形の中で、たとえ主張があったとしても反省しなければならないのです。反省した形の中において、単なる言いわけでなく、率直にこれに対するところの善後
措置を講ずる必要があると思うのです。たとえば補償の問題あるいは事故が起きた経過の問題くどくどさっきから御説明があります。われわれわかっているのです。われわれ
委員はこんな資料を見て、その経過については全部みな知っているのですよ。その経過じゃないのです。いかに誠意をもって今後事故を起こさないように東京瓦斯当局が取り組んでくれるかということを期待して私
ども答弁を求めているのです。そういう点におけるところの御
答弁を願いたいことが
一つであります。
それから鹿島建設さんと東京瓦斯さんの
関係になるのですが、一番この事故について世のひんしゅくを買い、われわれも腹が立ってたまらないのは、あなた方は、東京瓦斯は世界第一のガス会社だといわれているのです。鹿島建設は
日本第一の土木会社だといわれているのです。五人の人を含めたいろいろ事故
対象地域における人たちは、いわゆる庶民なのです。その日の生活を、その日の売り上げないしその日の労働によってあがなわなければならぬ人たちなのです。こういうような庶民が、事のいかんにかかわらず、あなた方の仕事の上に起こったその過失によって犠牲になっておるのだから、即刻
——お互いに私は正しのだ、正しくないのだということは、第三者がいつか検討するでしょう。しかし、少なくとも東京瓦斯のほうで補償金についてはわれわれがこれだけ出しましょうとなぜぱっと出さないのか。鹿島建設のほうでわれわれはじゃこうしましょうということでなぜさっとそれに対する救済の
措置をとらないか。お互いに言うことは、最初のころは、いや鹿島建設が悪いのだ、いや東京瓦斯が悪いのだ
——大
企業というものはいま
日本の政治
経済の中に非常に大きな責任を持っておるわけだから、持っているだけに庶民から見れば反感も多いわけです。したがって、何だ大
企業は、このざまは、というような感をだれしも受けることだと思うのです。したがって、そういう意味において、鹿島建設さんは何かここに聞くというと、建物を建てられてそれぞれ積極的な
措置を講じられた、こういうようなことだから、その後において誠意は示されたのだなと思うけれ
ども、しかし私
どもはあの工事現場に行って見た経過の中においては、鹿島建設さんがおやりになった工事、土地の埋め戻しの一部を掘り返したあの
あとの姿を見たときに、ああこれでいいのだということはだれも思わないと思う。やはり十分反省しなければならぬところがあると思うのです。したがって刑事的責任だとか、どっちに責任があるかとか、あなた方が言わなくても、世論に訴えるような形をとらなくても、究極的にそれは警察当局が判断するのかあるいは通産当局がそれぞれの
調査機関を委託してやるのかどうかわかりませんけれ
ども、望むことは、どうかひとつ、これからもあることだと思うのです、事故というものは何もだれもつくろうと思ってやることじゃないのですから、これは起きてきた事故に対して、率直に被害者の身になって救済
措置を講ずるという態度、こういう姿勢をとっていただくことは、鹿島建設さんの
立場からすれば、おれのほうは責任ないといわれることは、直接ガス爆発によって起きた事故であるから、それはわかりますけれ
ども、しかし、そういうことについては、むしろ東京瓦斯さんがエゴイズムに基づいた行動をとられるときは、謙虚に、その反論を出すことなく、率直な姿勢をもって取り組まれたほうがよかったのではないか、こう思うわけですが、いろいろ言いわけばかりやるので、私たちは、鹿島建設も大建設会社だから、これは庶民より身がかわいいんだな、こういうような気がしたわけです。そういう点についてはひとつ十分今後注意してもらいたい。見解を聞かせていただきたいと思います。
交通局に対してですが、交通局は直接責任があるないということはともかくとして、いわゆる地下鉄を掘る事業は、東京においては交通局だけでなく、営団もやっておるわけです。したがって、東京都という形の中で、東京都の全体的な責任の中で地下鉄を掘られておるということだから、都民はむしろ安心感を持って、この工事については間違いなく処理してもらえるのだと思ったところが、東京都営交通のやっておる工事として出た、こういうことでありますから、営団と比較すると、何か交通局のほうの仕事がやはりずさんではないかというような印象を一般は受けざるを得ないと思うのです。われわれは、そういうようなことはないと思うのだけれ
ども、そうなった責任は、やはり本部長、重大な責任として感じてもらわなければならぬと思う。そこで、事のいかんにかかわらず、地下鉄を掘ったことによってガスが爆発し、爆発したことによって死んだんだから、起こした工事会社の責任は免れないと思う。したがって、こういう場合においては、これからも東京においてはどんどん地下鉄を掘らなければならぬ責任があるわけですから、起こした建設会社の責任に対して、どのような責任を追及するかということは重大な問題だと思うのです。放置して、鹿島さんの掘った埋め戻しが悪くてガスが爆発した。さっきのあれじゃないけれ
ども、これは天災だということで、お気の毒でございますと言っておったのでは、浮かばれないのは、なくなられた方々をはじめ事故にあわれた人、あるいはそういう関連の中でいまなお非常に心配しておられる多くの都民の方々が浮かばれないと思う。したがってこういうような事故が起きたときに、信賞必罰について、
——信賞必罰ということはないでしょうけれ
ども、いいことはいい、悪いことは悪いのですから、厳重なる
措置をとられる必要があると思うのですが、この点をひとつお聞きしてみたいと思うのです。