○石川委員 私は商工
委員会で何回か質問したのでありますが、
通産大臣の出席をいただいたのはきょうが初めてであります。
近代化促進法の質問の途中でそれ以外のことを質問するのはたいへん恐縮なんでありますが、この前の
委員会で
大臣がいらっしゃらなかったものですから、
大臣のほうから答弁をいただくということで質問を中断した問題が
一つございます。
いろいろお伺いしたいことはたくさんあるのでありますけれども、きわめて重要な案件でありますウラン鉱の
海外探鉱のことにつきまして御
意見を伺いたいのでありますけれども、要約して結論的に申し上げますと、御承知のように濃縮ウランは、ウランを制するものは
世界を制するという
ことばが一部に行なわれている、あるいは金にかわって
世界通貨を濃縮ウランにしたらどうかという
意見も一部に出始めているくらいですが、これは必ずしも荒唐無稽ではないという要素を持っておる、この濃縮ウランは御承知のように日本では全然できません。したがってアメリカとの間に原子力協定を結んで、三十年間はアメリカから濃縮ウランの供給を受けるということになっておるわけでありますけれども、アメリカ一国に将来のエネルギー源を全部牛耳られてしまうというようなことでは、自主独立の外交などということはとうていおぼつかない。これは言うまでもないのでありますけれども、実はそれ以外にも問題がございまして、三十年間保証をするといいましても、濃縮ウランは保証されたけれども、原鉱石を保証するとは一言も言っておらぬわけであります。一九六七年十一月のアメリカの原子力
委員会の発表によりますと、濃縮ウランの原鉱石はその依頼をした国でもって供給をするということがたてまえになっておる、アメリカはそこまで責任を持たないということを明確に言い切っておるわけであります。
ところで、そのウランの原鉱石はどういうふうになっておるかということをつぶさに申し上げる余裕はありませんけれども、日本は
昭和六十年までに大体十万トン、今世紀では大体三十六万トンくらい要るであろうという予想がされておりますが、
国内では資源が皆無であります。アメリカでは全体として三十万トンから四十万トンくらいは出してもよろしいということは言っておりますが、それに対して日本は今世紀で三十六万トン要る、こういうようなことでありますから、どうしても日本独自の力でもって原鉱石を開発しないと、将来とんでもないことになるのではなかろうか、こういう懸念をひしひしとわれわれは身にしみて感じておるわけであります。現在カーマギー社と打ち合わせ、協定をいたしまして、カナダのエリオット・レーク地区の開発をやっております。それからカナダのデニソンという会社と協定をして、アメリカのコロラド州とカナダのブリティッシュコロンビア州でありましたか、そこの開発をやっております。日本では御承知のように動・燃団の中の開発部隊が行ってやっておりますけれども、いま
一つ非常に有望な鉱区が発見されたということも——これは公表はできません、しかし鉱区を中で設定しておりますけれども、いかんせんこの予算がわずか一千万円であります。とてもとても開発どころではない。それをさらにほんとうに先駆的な役割りを果たして発見をするということすらもできないというような
状態であります。
ところで、御承知のようにウラン鉱というものは非常に重要であるというようなことで、インドとかラテンアメリカとかオーストラリアは
輸出禁止になっております。ところがオーストラリアのほうは、発見した国に対しては半分だけやろうというようなことで、いまはかつてのアメリカのゴールドラッシュのように、オーストラリアに各国が殺到しております。われがちにその開発を急いでおるという
状態であります。日本だけは、ほかの国と協定をして、ほかの国の
技術に全部おまかせというかっこうでありますけれども、こんなことでは将来一体どういうことになるのだろう、たいへんなことになるのじゃないか、こういう心配でたまらないわけであります。
そこで、結論的に申し上げますと、ウラン鉱をいまのうちに
確保しておかなかったら——いま非常に急いで原子力発電所をつくっておりますけれども、このつくり方自体にも問題はありますが、それはきょうは質問いたしません、あとで今度は
原料がないという
状態になることは容易に出てくる
事態なのであります。しかも
世界の限られた採算のとれるウラン鉱は八十万トンしかないわけであります。しかも日本の能力でいきますと、カナダとかアメリカとかニュージーランドとかいった可能性のあるところは、あと二十年もたちますと、大体三分の一ぐらい持ってこないと、
世界じゅうが争っておるときでありますから、とても不可能であります。そういうことで、いまのうちによほど真剣に取り組まなければならぬ問題ではなかろうか。いまのところは動・燃団でささやかにやっています。民間でもささやかにやっていますけれども、御承知のように金属鉱物探鉱促進
事業団というのもございますございますけれども、これは銅も鉛も
亜鉛も自給自足できないという
状態で、しかもそういうもので手一ぱいであります。とても海のものとも山のものともわからないウラン鉱にまで民間
企業が手を出してやることは不可能だという実態は
通産大臣よく御承知だろうと思うのです。そうなると、一体これはどうしたらいいのだということになりますと、民間に依存しただけではとうていこの危険負担をやるという
体制はできない。そうすると、ウラン鉱に対して、結論的にいって
政府は一体どう取り組んでいこうとするのかということが第一点です。
第二点は、その
体制をどういうふうにして整えるのか。ということは、動・燃団がやるといったって、これは先駆的な役割りは——
技術提供ということはできるかもしれませんけれども、科学
技術庁の配下の動・燃団ではそれ以上のことを望むことはむずかしいのではなかろうか。これは通産省がやらざるを得ないのではなかろうかということで、通産省が、電力会社あるいは民間の鉱山会社と
技術を持っている動・燃団とをどう結びつけてやるかという
体制の問題がある。
それから将来の
目標は、
一つの例として言いますと、ドイツでは四割はとにかく自分で開発をして、自分で
確保をしよう、とてもそこまではいかぬから、四割は長期安定
計画というもので供給を受けよう、あとの二割はそのつどそのつどスポット購入というようなかっこうでやっていこうということで、最低限四割は
海外探鉱でもって
確保をするということを
目標としておるようであります。日本でも最低そのぐらいの
目標は立てなければいかぬのじゃないか。したがって
体制、それからその基本的な取り組み姿勢、それからその
目標、この三つをどうするか、これはほんとうに早急にきめていかなければならぬ大問題ではないか。これは原子力協定があるものですから、何か安閑として、アメリカから黙っていてももらえるのだというような安易感があるようですけれども、実態は絶対そうなっておらぬということを考えた上で御答弁を願いたいと思うのです。