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石川委員 いまの次官の
答弁も、それから原子
力局次長の
答弁も、それからいろいろ問題が出てくるわけです。あまりこまかいことは言いたくはないのですけれども、原子力協定の中でそういうことは書いてありますけれども、AECの原料部長フォークナーの言明は御承知だろうと思いますけれども、あくまでも賃濃縮が原則なんです。それで、その原料の天然ウランは需要者が調達するのが原則である、たてまえである、こういうことをはっきり言っておりますね。それから放出可能な量はアメリカ政府の裁量にかかっておるけれども、天然ウランとして四万トンから五万トンの間である、こういうことをはっきり明言しているわけですよ。それからおのずから出てくる答えというのは、全面的に依存することは不可能だという答えが当然そこから引き出される。それじゃそのときに相談しましょうといって相談しても、責任をもって可能な限りというだけであって、全面的に責任をもって支給をいたしますということは、向こうは言明をしていないわけです。この放出可能は全部で四万トンから五万トンということになれば、
日本だけで半分以上もほしいということになりかねない。これは、ちょっとこういうことを考えても不可能であります。そういう点を考えないで、何か原子力協定があればだいじょうぶだというふうに安心をしきっているような状態だと、これは将来とんでもないことになるのではないかということを私は逆に懸念をするわけです。何協定があるからだいじょうぶなんだという安心感がいまの
お答えの中からも出てくるのですよ。ですから、絶対にそうではないんだ、もっときびしい状態にあるということを十分考えてもらいたいと思うのです。
それから、十ドル以内でなければ採算が合わないわけですね。現在でも、アメリカの
原子力発電所は非常に安いといわれておるけれども、いろんな事故があったり運転休止があったりするような状態で、実際はアメリカで公表するように安くないのです。
日本の石油発電よりも若干高い程度、決して安くなっていない。それをいたずらに導入するということは、私は逆に、別に問題ではありますけれども、それはここで言うことではないですから省略いたします。そういう点で、いま次官のほうでは、政府でもって十分対処する、こういう
お話でありましたけれども、探鉱
会社は先ほど申し上げましたように銅、鉛というようなことで、それだけで手一ぱいなんです。それで、将来採算がとれるかどうかわからぬ。まして
日本では濃縮ウランの濃縮技術というものについてはまだ全然見通しがついていないという状態では、鉱山
会社がほんとうに危険負担を覚悟して乗り込んでいくというような余裕は私は毛頭ないと思うのです。若干はやっております。それから、世界の石油
会社で、有名なガルフとかエッソが、いまウラン鉱の探鉱に積極的になっております。御承知のように、インドとかラテンアメリカ、オーストラリアは、原則として輸出は
禁止している。そうすると、可能性のあるのは、いまはとにかくカナダと南アフリカだけだ。オーストラリアのほうは、自分で発見すれば、そのうち半分は持っていってもよろしいということになっておるようでありますけれども、原則としてこれは輸出
禁止。しかも、その半分持っていってよろしいといわれておるオーストラリアのほうに、世界の大探鉱
会社がどっさり乗り込んでいるわけですね。それで、われ勝ちに、いまのうちに原鉱石を確保しなければたいへんだというようなことで、必死の勢いでいま海外探鉱をどこでもやっておるわけです。のんびりしているのは
日本だけです。こういう体制では、将来
原子力発電所ばかりつくったってどうするつもりなんだ、原料なしに形ばかり、容器ばかりつくってもどうするつもりなんだ、こういう
心配をすることは、私は決して根拠のないことではないだろうと思うのです。これは当然皆さま方もお考えいただけるだろうと思うのです。いまのような体制だったら、とんでもないことだ。いまのような体制でいけば、政府の重大な責任問題になりかねない。
そこで、先ほど申し上げましたように、探鉱
会社が自分の危険負担でもってやれるようなそういう仕事ではないというようなことで、政務次官のおっしゃったように、政府みずからが乗り出さなければならぬという性格を持っておる仕事ではないんだろうかということを痛感をするわけです。その場合に、いまはどこがやっておるかというと、御承知のように動力炉・核燃料開発
事業団がやっておるわけでありますけれども、ここはやはり研究
会社的な色彩が強い。科学技術庁の配下といいますか管轄下にありまして、そう積極的にやれる体制ではないのです。しかし、幾ぶんか効果は出ておりまして、あまり発表することはどうかと私は考えておるのでございますけれども、実は先駆的な
調査というのは、これは当然動燃
事業団でよろしい。しかし、それを実際に着手をして、そうしてほんとうに、掘っていくという体制は、これは科学技術ではちょっと不可能ではないか。やはり
通産省が乗り出していってやらなければ、とうてい本格的な取り組みはできないんじゃないかということを痛感をしておるわけです。たとえばカナダのブリティッシュコロンビア州において非常にいいものが発見されておるようです。これはちょっと公表できないようでありますから、あまり言いたくありませんけれども、しかし動燃団のほうの予算はわずかに一千万円、こんなものでは何にもできやしません。そうなると、そういうものが発見をされたというときに、それに取り組んでやるという体制をつくるのは一体どこかというと、私はやはり
通産省だと思うのです。
これは
一つの例でありますけれども、そういうふうな海外探鉱の本格的な体制を一体どういうふうにつくり上げていくつもりなのか。いまの動燃団がやるとしても、やっと、総理大臣の
許可を得てやれるというような細々とした体制で、しかも研究開発、先駆的な技術——技術として
日本の核燃料の開発の技術、選鉱の技術というものは、これはりっぱなものだと思うのです。これはいま申し上げると時間がかかりますから、省略をいたしますけれども、選鉱分級だとか、水力採鉱法だとか、一貫製錬法、これは世界にないものです。
日本だけのものです。これは非常に貧弱な
日本の人形峠を対象としてやったために、世界でないような製錬法を確立したという功績は認めなければならぬと思うのです。そういうものはあるのですけれども、その腕のふるい場所が全然ない。そういうことで、
通産省のほうは、将来のエネルギー源としての原子力をアメリカ一国に握られてしまうということは避けなければならぬ。しかし、アメリカが握るというより以前の問題として、アメリカだけでは足りない。そういうことになると、一体どう対処するのだということをいまのうちから相当真剣に取り組まなければとんでもないことになります。そういう点で、政府が取り組むというのですが、政府は一体どういう体制で取り組むか。私の意見としては、
通産省が中心になって、もちろんこの海外探鉱を盛んに動燃団にやらせなければなりませんけれども、それは民間資本を導入する、そして積極的にやらせるという体制は、政府全体の問題ではあるけれども、その中の中核としてはむしろ
通産省が当たるべきではなかろうか、こう思っておりますが、その点の御意見を伺いたいと思う。