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佐野(進)
委員 先ほど来私が
質問申し上げておるのは、対内的な問題については、十分、
大臣、
中小企業庁長官、
繊維局長ともに、積極的な姿勢で取り組むということはいいことだと思うのですけれ
ども、対外的な問題になると、確かに
大臣がいま
答弁しておるように、こちらだけの考え方ではいかないし、いわゆる国内の業者間においても、大
企業がみずからの利益を守るために、小
企業を犠牲にしてでもかまわない、これが自由なる競争という名のもとに、むしろ国内産業を犠牲にして外国産業の利益をはかる。しかも低
開発国の追い上げという形の中で、国内産業が置かれておるきびしい条件を無視して、みずからの利益を守ろうということは、これは許し得ない行為ではないか。多少利益は少なくとも、やはりみずからの、国内の同業というか
関連業の条件を考えてやることが必要ではないかと思うのです。これについては、時間もなくなりましたので、一段と
大臣努力して、逆委託加工貿易
——保税加工貿易ともいえますけれ
ども、こういうものについては、積極的な取り組みをしてもらいたいと思うのです。
もう一点最後に聞いておかなければならないことがありますので、
質問してみたいと思うわけです。これはきのういろいろ議論した問題なのですが、今度の
メリヤス業、
染色業ともにそうですが、やはり
国際競争力を強化するという形の中でいろいろ
対策を立てておるわけですが、対内的には、そういう形の中における
対策を立てるということによって、結論的には、われわれ心配することは、片や大
企業ができていく、どうしても大
企業中心にした
系列化によらざる限り、
構造改善はしたけれ
ども企業の存立は成り立たなくなる、片やそれからはみ出たものは、極度に
零細化した家内工業的な形になってくるという極分化したというか、そういう形態にならざるを得ない
現実に追い込まれた形になっていくと思うのです。そういうことをどうやって防ぐかということが、非常にこの問題の中における大きなポイントだと思うので、これについての
大臣の御見解を聞きたいということと、それからもう
一つは、それと同時に、今度は対外的な問題として、きのうも御
質問申し上げたわけですが、アメリカの動きというものに日本の
繊維産業がどうしても左右されなければならない、左右されざるを得ない。これは日本の
繊維産業だけではなくて、日本の貿易全体がそうですが、これをどうやって脱却するか、どういう方途をこの
繊維産業において見出すかということについて、この際やはりもう一度議論をしておいたほうがいいのではないかと私は思うのです。
時間がありませんから続けて御
質問申し上げますが、通産省から出した
資料の、輸出先の状況を見ましても、その他いろいろ
資料を見ましても、今後、
繊維事業が非常に不況におちいっていくのではない、将来の展望は明るいとしても、その明るい条件に影をさすものは、アメリカの
繊維輸入制限問題が一番大きい影をさす条件に数えられざるを得ないと思うのです。そうしたとき、このアメリカがいまやろうとしておる
対策としては、アメリカへともかく
繊維品を入れては困るよという
対策を立てるわけですね、日本に対して。それからもう
一つは、逆な
意味で日本の品物がアメリカへ行ってもらっちゃ困るよというだけなら、まだある
程度納得がいくと思うのですが、もう
一つはOECD、UNCTADを通じて、いわゆる低
開発国に対する特恵関税を早く
実施しろ、こういうことについてきびしい締めつけが行なわれているわけですね、日本に対して。これはアメリカではなくてOECDだといえばOECDですけれ
ども、事実上の問題とすれば、OECDとはいいながら、アジアの地域においてはアメリカの影響力が一番大きいと思うのです、この低
開発国と日本との
関係の中においては。したがって、アジアの地域におけるところの、低
開発国に対する特恵関税を供与するということになれば、必然的に日本がその
対象になる、先進国というのは日本だけしかないのだから。したがって、アメリカはみずからの国にあっては
繊維については輸入制限をするというけれ
ども、韓国、台湾、香港に対しては、いままさに競合する形があるけれ
ども、それほどきびしい条件は与えないで、むしろそういう国々が日本に対して特恵関税を供与させて窓口を広くするということになりますと、日本の品物は入れちゃいけませんよ、日本に対してはこれらの国々の品物をどんどん入れなさいよ、こういう形の中でみずからの利益だけを守り、そうしてそれらの低
開発国のごきげんを取り結ぶ、こういう形になっているわけですね、
現実の問題として。これがますますこれから一年、二年、三年とこの
構造改善事業が進展するに従がって、そういう
対策が露骨になってくるであろうということが予測される情勢だと思うのです。これに対してどうするかということ、この
構造改善対策をやるとともに低
開発国優先の
対策と、先進国、特にアメリカに対する
対策とが、非常に大きい問題になってこざるを得ないと思うのです。だから私はこれについて、きのう
大臣とだいぶやり合ったのですが、もっと
対象を広げる、いわゆる
繊維の輸出先の
対象を広げる努力を積極的に行なう必要があるのではないかと思うのですね。たとえば中国ですよ。われわれが中国というと、すぐ、何だ、アメリカに対する中国かと思われるかもしれないが、そうではなくて、私も戦後何回か中国へ行きましたけれ
ども、中国における
繊維産業は綿が
中心であって、非常に
繊維状態というものが悪いというのが私
どもの得た点である。東南アジア地域でも同様に非常におくれておると思う。こういう立場に対してもっと取引も拡大する、もっと輸出販路を拡大するということに努力を当然払われていいのではないかと思います。
したがって、まず第一に
大臣に聞きたいことは、アメリカのいわゆる輸入制限
措置に対しては、きのうもお話がありましたが、積極的に取り組む。これに
関連して、特恵関税を供与しなければならない低
開発国に対して、アメリカのこれらに対する
対策について、日本政府としてはどういう
対策をとられるのかということが
一つ。
それからもう
一つは、東南アジア貿易については、この販路拡大について、いまだんだんと上がってきてはおりますけれ
ども、中国は全然上がっていませんね。これらについてどう考えるか、やむを得ないと思いますか。この二点をお聞きしたい。