○石川
委員 それで、この株の随意契約の問題なんですけれ
ども、この中で一般の社員、役員に分けたという点は、一応考え方としては非常にいいし、いままでの御苦労に報いる、これだけ功労をした者に報いるという意味では、あるいは安定
株主工作としては非常にいい方法だというので、
先ほどこれも
加藤さんが
質問されましたから私は触れませんけれ
ども、中小企業の中で、自己資金が非常に少ない、借り入れ金ばかりで自己資金が非常に少ないという場合に、増資をする場合には、ぼくはいつの場合でも従業員に全部分けるということを私個人は主張しています。大きな
会社では従業員が全部受け持つということは困難でありますけれ
ども、
株主の安定あるいは愛社精神を鼓吹するという面では、やはり極力従業員に分けてやるということが一番いい
株主の安定方法だということは否定できないと思う。ところが今度の場合、ほんのちょっぴりしかやっていないのですね。従業員にはほんの一部、おこぼれとしてやっているだけで、能力からいったって十分やる能力はまだまだあると思うのです。やはり従業員が株を持てば、自分の
会社に対する関心度というものはどうしても強くなるし、愛社精神というものも強くなることは否定できない。そういう点では、この株の分け方は随意契約それ自体にも問題があるし、また国の
財産を
処分する方法として、国会の了解を得ないでこういう方法をとったということは、この間から問題にしておるように大きな問題が残るわけでありますけれ
ども、それを一応別にしておいても、安定方法として利害関係の
会社にだけやったという点と、あるいは従業員に対してもっと多くの株を配分すべきではなかったかという点で非常に手落ちがあったのじゃないかと私は思っております。
そういう点で
株主の構成を見ますと、国が四〇%持っていたものを放出をしたということになるわけでありますけれ
ども、ブリヂストンタイヤが一社で一八・四、協和醗酵が一七%というふうに、だいぶ大
株主が出てきた。こういう利害関係の
会社が相当な
発言権を持ち、見方によっては
会社を左右する力を持つというかっこうになりましょう。その中で非常に特徴的なのは、
先ほど第一回に応札をした三菱化成が急にのし上げて第五位、五・一%の株を持って、三菱油化が五・六%というふうに、株の配分のあり方もだいぶ変わってきておる。非常に大口の
会社、
資本力の強い
会社がどんどんこれに新たに、新たにといいますか大
株主として参加をして、利害関係はありますから、なかなか協力的な面もありましょうけれ
ども、まかり間違うと振り回されるという危険性も持っているという内容がある、私はこの
株主の配分状態から見てそう思わざるを得ない。そういう点で国策
会社というものを
処分するについては、合成ゴムというのは
一つの非常に大きな経験として今後に生かしてもらわなければならぬ、こう思うわけでありますけれ
ども、最後に申し上げておきたいのは、
国有財産であるということをあくまでも考えて、それから国の非常な厚い保護のもとに、これだけ粒々辛苦伸びてきた
会社であるだけに、今後ともその精神を十分に生かしてもらいたい。国としてもことまできたものを、もう民間に移譲したから突っ放すということでなくて、やはり保護育成していく
責任がここに残されているのではないか、こういう気持ちがするわけです。
日本合成ゴム会社が今後ともますます発展することを祈念するわけでありますけれ
ども、その前提条件となるいろいろな基本の問題あるいは今後の運営方針について、まだまだ当
委員会としては十分な関心を持っていかなければならぬという
責任を持っておりますので、その点を十分お考えいただきたい、そう思うわけであります。
それから、やはり気がかりになるのは、上場されたときの株は二千八百円などではおさまらないであろうということを私ははっきりと予言をしておきます。そういう場合に、こういう価格が妥当であったかどうか。これは
先ほど申し上げたように、静態的な
会社の資産の状態だとか、あるいは利益がどうだということではなくて、今後の将来性、ずっといままでの上昇カーブというものの上に乗っかって、非常に海外的な競争が熾烈に行なわれる中ではありましょうけれ
ども、そういう中での将来性を見ての、動態的な形における株の値段の把握のしかたというものは、ひとつなければいかぬと思うのです。これは非常に静態的な形における株価の算出のしかたであり、かつ加えて倍額増資ということになっているわけですから、これは上場したら株価は飛躍的にはね上がると思うのです。そういう点での株の評価のしかたというものには非常に疑問が多いということだけを申し上げて、私の
質問を終わります。