○谷口
委員 ちょうど時間でありますが、大事なところなんで、私は長く言いませんが、そこのところなんですね。そこを私はお聞きしたかったのです。たとえば今国会はああいう状況になりましたから不成立に終わったようでありますが、恩給法の改正をことしやろうといたしまして、内閣
委員会で若干論議がなされておったようでございますが、この恩給法の改正の中で、ことしやりましたのでは、
——これは特にきょう抜き書きをしてまいりましたが、恩給法の別表の中へ若干の条項を入れることによりまして、今度は別表一号表ノ二の第三項症の一になりまして、「心身障害ノ為家庭内ニ於ケル日常生活活動が著シク妨ゲラルルモノ」というような条項を入れることによって、特にこれはハンセン氏を対象にして、その他脊損
患者が若干おるようでありますが、こういうものを入れようとして改正して、お金を
——この場合は三項症になるのでありますが、現在は五項症であります。そうなりますと、現在十五万四千円が年間の加給金でありますが、それが二十六万四千円になるというような改正をやろうとされて、これは流れました。流れた結果、今度は特別の取り扱いで、あの別表の欄外に規定しております「右ニ掲ゲル各症ニ該当セザル傷疾疾病ノ症項ハ右ニ掲グル各症ニ準ジ之ヲ査定ス」というような規定があるのですが、これに準じて、ことしの十月から実施まるということをいっていますね。そういうことも一方では恩給法のもとではなされているということであります。
それから国民年金の問題としましても、拠出年金という問題と、拠出を伴わない福祉年金という二つの違った
考え方に立つ問題が一緒にされた法律でありますから、そういう点からも、必ずしもこれを改正することはむずかしくないというようなことも
考えられる。あるいはこれはまた別なことでありますけれ
ども、原爆被害者に対しましては、特に国は特別な法律をつくってこれを援護するということもやっているわけなんですね。ですから、
制度としてこういういわば
——ハンセン氏は非常に科学的に発達しておりますから、もはや現在は、年をとって非常に苦しい障害者になっているようなああいうことは起こらないほどいまでは早期になおる。そういたしますと、現在残っておる一万人ばかりのあの
人たちというものは、いわば科学の未発達時代と、それからまたハンセン氏に対する国の
対策として、いろいろ矛盾が過去にはたくさんあったというふうな材料を持ってきておりますが、時間がないですから申しませんけれ
ども、こういう国の政策の犠牲になって、現在年をとり、しかも世間からきらわれて、完全になおっても、外へ出て社会生活は実際上はできないというような状況で、ああいう療養所の中で一生飼い殺しの状況におる。人数はわずかに一万人だ。たとえばわずかに五千円上げましても、一万円上げましても、大体五、六億、年間あれば済むわけですね。
こういう人々に対して国が特別にやはり対処するということは、それこそ
社会福祉の上で絶対に必要なことではなかろうか。そういう点で、
大臣はそこらを解消するために、新しく何かの形で積極的にこれを解決する、あるいは法制的な
措置をとられる、何か
考えられるということになれば、これはたいへんけっこうなことでありまして、まだそれが具体化しておらなければ、いまここで御答弁いただくことはできませんけれ
ども、そういう方向でこの問題は解決すべきではないかというようにわれわれは
考えているわけです。こういう問題を申し上げましても、これは、わずか一万人が対象でありますし、実際は世間からは隔離されている方々でありますから、だれもよく取り上げません。しかし、この問題を解決するということは、事は小さいけれ
ども、やはり現在の政治のあり方について、非常に大きな確信と、また前途の明るさを国民に与えることになると私
どもは思うのです。だから、ハンセン氏のこの問題は、ハンセン氏の
患者諸君だけの問題ではなくて、政治のあり方の問題として非常に重要だ、こういうように思いますので、積極的にその点を勇気を持って、新しい
制度をつくってでもいいから、これに救済の手を伸べていただきたい、こういうように思います。
終わります。