○
八木(一)
委員 聞いてなければいいです。ぼくが言います。そういうこともやはり
年金局長調べておかれたほうがいいですよ、いろいろな背景を。
昭和三十六年でしたかに
年金反対運動が非常に強くありましたね。三十六年の
改正案に、幾ぶんそれに受けて立ちました。たとえば
国庫負担の点、それから免除の拡大の点、そういうことを
——大部分反対運動か終息して、
年金というものはいいものだ、これに入っていこうという空気ができかけた時代に、全般のそういう反対車軸、批判運動が終息した時代に、熱心にやりかけたのはどこか。農民階層。三十六年には長野県の農民団体が猛烈に反対しました。三十七年には新潟県の農民団体が猛烈に反対した。三十八年には山形県の農民団体が猛烈に反対した。そういうことです。ですから農業の実態は変わってきても、しかし農民の方々の素朴な気持ちということを、今後よく考えていかなければならない。農民の方々はただの
福祉年金はよろしい。拠出
年金というような、
保険料を取られて、貨幣価値がどうなるかわからないような、二十五年とか四十年先のような
年金で
保険料を払うことは、非常におもしろくないという
意味で、そういう運動が、ほかの運動が終息しておるのに非常に熱心に展開をされたわけであります。このこと自体には論点があります。私は
国民年金はいいものだと思っておりますから、いろいろな団体に非常にすすめました。
政府の、ひん曲がった不十分な点があるけれども、全体としてはこれは大切な問題だということを説明しましたけれども、私がそれは主観的に言っておるだけで、ほんとうに田を耕して、毎日の
生活をして苦闘をしておられる方々については、そういうことが実感として入ってこなかった、そういう状態がある。
保険料を出すのは、あとで貨幣価値がどうなるかわからない、何十年先のための
保険料はごめんだ。
福祉年金はいいけれども、将来の
年金などはごめんだという底流があった。それから時代は移っております。
だから、農民階層の中で裕福な方々の中には、そういう
保険料をたくさん出してもたくさんの
年金を確保したいという気持ちを持っていられる方も、熱心な運動をしておられる方もございます。しかし、そういう運動面に出てこられる方だけが全部の農民の方々ではないと思う。また、そういう運動をしておられても、全部の農民の方々がその内容なり、将来どうなるかということを予測しておられないのではないか。
たとえば六十五歳開始を六十歳にしたい、あるいは五十五歳にしたいという要望もありますね。そういう要望もある。
国庫負担は
保険料の倍というような
要求もあります。倍ですよ。いまの
国民年金の四倍の率ですよ。そういうような要望もある。五十五歳開始と六十五歳開始とどんなに原資が違うかということをたいていの方は御存じない。六十五歳と五十五歳と、これは猛烈に違いますよ。そういうふうな、農業をしておられる方が
年金を熱望されることは大事だし、農家の方々の
年金をふやさなければならないと思います。しかし、そういうふうな非常にむずかしいことが、簡単にできるような間違った説明、不十分な状態のもとにこういうことに取りかかることは、非常に
国民を誤るものであると思う。たとえばそれだけのりっぱな給付内容をしたとすれば、これに猛烈な
国庫負担をつぎ込むとなれば、ほかの階層の人はどうする。われわれのことはほっておくのかということに当然なろう。そういうことは不可能だ。そうしたら
国庫負担をつぎ込めないか、あるいはこれについては問題がありますけれども、ごくわずかつぎ込めば、いまの農家の方々は、運動家の方々からぱっと聞かれて、あんまり
保険料を払わないで十分の
年金がもらえるのだという幻想が、ほんとうのときになったら全然うそだということになろうと思う。そういうことになってしまう。
そういうようなことではなしに、さっきの三十六年、七年、八年の運動にあったように、家の方々に一番大事なことは、いまの
年寄り、いまの農民の方々のお
年寄りに、すぐ渡せる
年金をどうして早くふやすかということのほうがほんとうに親切なことです。
老齢年金をよくする、金額をふやす、開始年齢を引き下げる、そうして
所得制限をなくする、そういうことをやるのが、ほんとうの素朴な農民の気持ちにこたえる。それを、いろいろな団体が
自分の団体の利益で、非常に困難なことを簡単にできるような宣伝をする。そういうような空気の中でかっこうをつけなければならないということで、いろんなことが
論議をされるようなふまじめな、ほんとうに
国民に対処しないやり方はない。各団体の要望のようなことが、
年金制度を
——これは
大蔵省のことをいわれるが、
大蔵省がしゃちほこ立ちしない限りそんなものはなかなかできるものじゃない。そういう中をやろうとすればうんと
保険料を取らなければできません。あのような小さな、あのときの百円、百五十円の
保険料すら払うのは困ると言った方々が多かった。農民階層に十年たったからといって、そんな大きな変化はないと思う。ですから、そういうことでなしに、ほんとうに真剣に対処をしなければならないと思う。農業を担当して、国のためにほんとうにりっぱな基盤をつくられた農民の方々に、ほんとうに
年金制度その他でりっぱに対処することは政治の本道だと思う。しなければならないけれども、こんなに宣伝をしたり、おくれるのをすぐできるように宣伝をしたり、そういうことをして一時的に満足をさせても、それが裏切られたならば
政府は信用できない、政治は信用できないということになろう。ですからよく解明してものごとをやっていかなければならないと思う。
それを
厚生省のお考え方は、
——ぼくは内容は少しわかります。
保険料システムでやっていかれようと考え、二段階制の上に農業団体をそこに据える、任意に入られて、そこで給付をふやすようにされると思います。しかし、まさかそこに猛烈な
国庫負担率で
国庫負担を投入するという考え方はないと思う。それをやったならば、中小企業者はどうする、ほかの階層はどうする、また
年金についてちょっとしか
国庫負担がない労働者階級はどうするという問題になってまいります。そういうことについて、ほんとうに慎重に考えていかれなければならないと思う。この点について
斎藤厚生大臣の御
答弁を伺いたい。