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1969-03-18 第61回国会 衆議院 社会労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月十八日(火曜日)    午前十時十二分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 澁谷 直藏君 理事 竹内 黎一君    理事 谷垣 專一君 理事 橋本龍太郎君    理事 渡辺  肇君 理事 河野  正君    理事 田畑 金光君       小川 半次君    海部 俊樹君       高橋清一郎君    中山 マサ君       藤本 孝雄君    増岡 博之君       箕輪  登君    枝村 要作君       加藤 万吉君    後藤 俊男君       島本 虎三君    平等 文成君       八木 一男君    山田 耻目君       山本 政弘君    本島百合子君       和田 耕作君    大橋 敏雄君       伏木 和雄君    谷口善太郎君       關谷 勝利君  出席国務大臣         労 働 大 臣 原 健三郎君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      保利  茂君  出席政府委員         経済企画政務次         官       登坂重次郎君         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         労働政務次官  小山 省二君         労働省労政局長 松永 正男君         労働省労働基準         局長      和田 勝美君         労働省婦人少年         局長      高橋 展子君         労働省職業安定         局長      村上 茂利君         労働省職業訓練         局長      石黒 拓爾君         建設省住宅局長 大津留 温君  委員外出席者         労働省労政局労         働法規課長   大塚 達一君         建設大臣官房人         事課長     石川 邦夫君         消防庁総務課長 宇土 條治君         会計検査院事務         総局第五局長  小熊 孝次君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     林  敬三君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     南部 哲也君         専  門  員 濱中雄太郎君     ――――――――――――― 三月七日  委員広川シズエ辞任につき、その補欠として  木部佳昭君が議長指名委員選任され  た。 同日  委員木部佳昭辞任につき、その補欠として広  川シズエ君が議長指名委員選任され  た。 同月十四日  委員世耕政隆君、広川シズエ君及び箕輪登君辞  任につき、その補欠として岡崎英城君、村上勇  君及び木野晴夫君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員岡崎英城君、木野晴夫君及び村上勇辞任  につき、その補欠として世耕政隆君、箕輪登君  及び広川シズエ君が議長指名委員選任さ  れた。 同月十七日  委員島本虎三辞任につき、その補欠として八  百板正君が議長指名委員選任された。 同日  委員八百板正辞任につき、その補欠として島  本虎三君が議長指名委員選任された。     ――――――――――――― 三月十日  児童手当法案鈴木一弘君外一名提出参法第  二号)(予)  出産手当法案藤原道子君外一名提出参法第  三号)(予) 同月十一日  社会保障基本法案多田省吾君外一名提出、参  法第四号)(予) 同月六日  療術新規開業制度に関する請願正力松太郎  君紹介)(第一六一四号)  同(大原亨紹介)(第一七五五号)  国民年金等改善に関する請願外二件(中川一  郎君紹介)(第一六一五号)  同外二件(田中正巳紹介)(第一七〇七号)  労働者災害補償保険給付基準引上げに関する請  願(受田新吉紹介)(第一六四八号)  同(内海清紹介)(第一六四九号)  同(岡沢完治紹介)(第一六五〇号)  同(山下榮二紹介)(第一六五一号)  医療保険制度改悪反対及び医療保障確立に関す  る請願河上民雄紹介)(第一七〇八号) 同月十一日  戦争犯罪裁判関係者見舞金支給に関する請願  (相川勝六紹介)(第一八〇七号)  同(小川半次紹介)(第一八〇八号)  同(橋本龍太郎紹介)(第一八〇九号)  引揚医師の免許及び試験の特例に関する請願  (八田貞義紹介)(第一八一〇号)  日本沿岸沈没艦船調査に関する請願小川半  次君紹介)(第一八一一号)  同(中曽根康弘紹介)(第一九二九号)  国民年金等改善に関する請願外一件(佐々木  秀世君紹介)(第一八一二号)  同外一件(本名武紹介)(第一八一三号)  同外一件(地崎宇三郎紹介)(第一八六九  号)  療術新規開業制度に関する請願外八件(坂本  三十次君紹介)(第一八一四号)  同外一件(福田篤泰紹介)(第一八一五号)  同外一件(増岡博之紹介)(第一八一六号)  同(三原朝雄紹介)(第一八一七号)  同外五件(山花秀雄紹介)(第一八一八号)  同(松野幸泰紹介)(第一八七〇号)  同(井岡大治紹介)(第一九二六号)  同(砂原格紹介)(第一九二七号)  同(中川俊思君紹介)(第一九二八号)  同外四件(永山忠則紹介)(第一九九五号)  医療保険制度改悪反対及び医療保障確立に関す  る請願田中武夫紹介)(第一八一九号)  同(谷口善太郎紹介)(第一八二〇号)  同(林百郎君紹介)(第一八二一号)  医療保険の拔本改悪反対に関する請願木原実  君紹介)(第一八二二号)  医療保険制度改悪反対に関する請願松本善明  君紹介)(第一八二三号)  医薬分業早期実現に関する請願橋本龍太郎君  紹介)(第一八二四号)  山村へき地における医療対策に関する請願(大  橋武夫紹介)(第一八六四号)  同(野原正勝紹介)(第一九三〇号)  労働者災害補償保険給付基準引上げに関する請  願(加藤六月紹介)(第一八六五号)  同(倉成正紹介)(第一八六六号)  同(砂原格紹介)(第一八六七号)  同外一件(増岡博之紹介)(第一八六八号)  同月十四日  国民年金等改善に関する請願小山長規君紹  介)(第二〇六二号)  同外二件(篠田弘作紹介)(第二二六二号)  戦争犯罪裁判関係者見舞金支給に関する請願  (羽田武嗣郎紹介)(第二〇六三号)  療術新規開業制度に関する請願足立篤郎君  紹介)(第二一五八号)  同(臼井莊一君紹介)(第二一五九号)  同(遠藤三郎紹介)(第二一六〇号)  同(大石八治君紹介)(第二一六一号)  同(神田博紹介)(第二一六二号)  同(木原実紹介)(第二一六三号)  同(斉藤正男紹介)(第二一六四号)  同(實川清之紹介)(第二一六五号)  同(高見三郎紹介)(第二一六六号)  同(竹本孫一紹介)(第二一六七号)  同(内藤隆紹介)(第二一六八号)  同(中野四郎紹介)(第二一六九号)  同(西村榮一紹介)(第二一七〇号)  同(浜田光人紹介)(第二一七一号)  同(平林剛紹介)(第二一七二号)  同(福岡義登紹介)(第二一七三号)  同(古川喜一紹介)(第二一七四号)  同(水野清紹介)(第二一七五号)  同(山村新治郎君紹介)(第二一七六号)  同(仮谷忠男紹介)(第二二五九号)  医療保険制度充実に関する請願辻寛一君紹  介)(第二一七七号)  全国全産業一律最低賃金法制定に関する請願外  一件(田代文久紹介)(第二二六〇号)  医療保険制度改悪反対及び医療保障確立に関す  る請願田中武夫紹介)(第二二六一号)  集団給食施設栄養士必置等に関する請願(古  川丈吉紹介)(第二二六三号)  は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月六日  国民年金法の一部改正に関する陳情書外百二十  四件  (第一一六号)  同(第二〇一号)  健康保険法等の一部改正に関する陳情書  (第一一八  号)  厚生年金保険法等の一部改正に関する陳情書外  二件(第  一一九号)  国民年金制度改善に関する陳情書外三件  (第一二〇号)  医療保険制度における分べんの医療給付適用に  関する陳情書外四件  (第一二一号)  保育所国庫補助率引下げ反対に関する陳情書  外四件(第  一二二号)  医療保障制度改善に関する陳情書外二件  (第一二三号)  同(第二〇四  号)  集団給食施設栄養士必置等に関する陳情書外  一件  (第一二四号)  児童手当制度早期実現に関する陳情書外二十  七件(  第一二五号)  同  (第二〇三号)  児童手当制度早期実現等に関する陳情書  (第一二六号)  失業保険法の一部改正反対に関する陳情書外六  件  (第一二七号)  同外一件  (第一九九号)  山村へき地医療対策に関する陳情書  (第一二八  号)  看護婦等学校増設等に関する陳情書  (第一二九号)  母子保健対策強化に関する陳情書  (第一三〇号)  児童福祉対策充実に関する陳情書  (第一三一号)  社会保障制度充実に関する陳情書  (第一三二号)  国民健康保険法の一部改正に関する陳情書  (第一  三三号)  社会保険制度改悪反対に関する陳情書  (第一三四号)  利尻、礼文国定公園国立公園昇格に関する陳  情書  (第一三五号)  保育行政改善に関する陳情書  (第一三六号)  スモン病患者の救済に関する陳情書  (第一三七号)  同和地区保育所設置費国庫補助率引上げに関  する陳情書(第一  三八号)  社会福祉費増額に関する陳情書  (第一三九号)  同  (第二〇七号)  がん専門医療施設設置に関する陳情書  (第一四〇号)  失業保険法の一部改正反対等に関する陳情書  (第  一四一号)  季節労働者生活保障等に関する陳情書  (  第一四二号)  日雇健康保険充実強化に関する陳情書  (第一四三号)  療術新規開業制度に関する陳情書  (第一九八号)  失業保険法の一部改正に関する陳情書外二件  (第二〇〇号)  国民健康保険制度改善に関する陳情書  (第二〇二号)  医療費引上げ等に関する陳情書  (第二〇  五号)  優生保護法改悪反対に関する陳情書  (第二〇六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  労働関係基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 森田重次郎

    森田委員長 これより会議を開きます。  労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  この際参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  日本住宅公団における労働問題調査のため、本日、日本住宅公団総裁林敬三君及び理事南部哲也君に参考人として御出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じます。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 森田重次郎

    森田委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。
  5. 河野正

    河野(正)委員 現在、労働大臣承知のように、春闘が展開をされておるわけですが、きょうは具体的な問題も取り上げるわけでございますけれども、まず第一に、労働者賃金のあり方について、ひとつ労働大臣見解を承っておきたいと思います。  御承知のように、今日、日本経済というものが大幅に成長をいたしてまいりました。もう生産高のごときはすでに自由世界で第二位、こういう状況に発展をしたわけですが、さればといって、国民平均所得というものは必ずしも上昇していない、世界で二十一番目だ。こういうふうなことが国連統計においても明らかにされておるところでございます。  したがって、今日、春闘における大幅賃上げということがいろいろいわれておるわけでございますが、私は、やはり労働者賃金というものは、その額面が問題であるのでなくて、日本高度成長経済のもとにおいて労働者賃金というものはどうあるべきか、こういう判断がなされなければならぬ、こういうふうに考えておるところでございます。  そこで、後ほど具体的な問題に入るわけでございますが、いま申し上げまするように、まず労働者賃金というものは、今日の日本成長経済のもとでどうあるべきか、こういう点について労働大臣の御見解を、まず承っておきたいと思います。
  6. 原健三郎

    原国務大臣 たいへん重要な問題で、また非常にむずかしい御質問でございますが、御承知のように、日本経済が非常に飛躍的に成長発展しておることは御承知のとおりでございます。その中にあって、労働者賃金上昇の一途をたどっております。経済生産上昇率も、非常に飛躍的でございますが、日本労働者賃金上昇率、率だけで申しますと飛躍的に、毎年毎年上がっております。ただし、欧米その他に比べますと、元来、もともとが非常に基礎が低いものですから、上昇率は非常に高いのですが、依然として欧米その他に比べれば、労働者賃金はそう高いとは思われません。それで、こういう中でございますから、労働者の諸君が生活ができるように、また事業のほうにおきましても、企業労働賃金とが相ともに上昇して、手を携えて協力的にいくように、また春闘におきましても労使双方が自主的によく話し合われて、そして平和的に解決されることを私は望んでおる次第でございます。
  7. 河野正

    河野(正)委員 きょうは国鉄のストライキということでございますが、労使間の問題がなかなかうまくはかどらない。結果的にはそれが国民にも非常に大きな被害を与える、こういう結果になっていると思います。そこで私は、労働行政最高責任者である労働大臣としては、きわめて積極的にこの問題に対する解決配慮をなされなければならぬというのが私どもの主張でございます。  きょうは時間の制約がございますから、原則論ばかり申し上げるわけにまいりませんので、そこでひとつお尋ねをしておきたいと思いますのは、政府関係特殊法人いわゆる政労協といわれておるものでございますが、この政労協におきまする賃金問題の解決というものが非常におくれつつある、こういう傾向でございます。したがって、今日まで早期解決ということを私ども政府に対して強く要望してまいりました。ところが、何か都合のいいときには公務員並みといわれながら、賃金決定にあたっては公務員並みでない、こういうところに問題があると思います。  そこで、私は今日までもしばしば政府に対して、この問題については強い要望をいたしてまいったわけでございますけれども、なおそれがさして成果をあげておらない。こういう問題がございますので、この点についてはどうお考えであるか、また、いままでもいろいろ私ども要求してきたわけでございますけれども、今後さらにどういう処置を講じていかれるのか、この点についてひとつ労働大臣見解を承っておきたいと思います。
  8. 原健三郎

    原国務大臣 いま御指摘の点は、長い間いろいろ懸案になっている点でございまして、公庫公団事業団等政府機関は、いわゆる三公社五現業と違って、労働組合法あるいは労働関係調整法等適用をされておるものであります。その点では普通の民間企業と同じようなことになっているのでございますが、ただ違う点は、これらの機関はその業務公共性特殊性にかんがみて、政府出資でなっております。それからまた業務運営については、政府交付金補助金等が置かれております。だから業務運営については主務大臣大蔵大臣承認等にかかっておる点がございます。  でありますから、お尋ねの職員の給与等決定に関しても、その面から使用者が事実上制約を受ける実情になっており、やむを得ないところがございます。私といたしましても、政府といたしましても、国家公務員に準じて、並みと言ってはちょっと言い過ぎかどうか、そういう趣旨において、公庫公団事業団等給与をきめる、そういう方針になっております。私といたしましては、労使当事者事業特殊性をよく認識されまして、そうして自主的かつ平和的に労使関係処理をすることを希望いたしておる次第でございます。
  9. 河野正

    河野(正)委員 政府関係機関賃金問題が、交付金補助金その他の関係制約を受けるのだ、しかし、その点について非常に問題がある。というのは、御案内のように政労協関係というのは、労働三法適用を受けておる。そこで、大臣もお触れになったように、民間企業並みである。民間企業並みという法的な保護を受けながら、一方においてはいろいろ制約を受けるというところに、この問題の複雑性があると思う。だから、私はやはり労働大臣というものは労働三法を守る立場にある大臣ですから、したがって、これが優先しなければならぬ。それが公共性特殊性というようなことで、飾り文句制約されるということについては、少なくとも労働大臣としては、先ほど申し上げまするように、労働三法を守っていくという立場にあるわけですから、そういう意味では、やはり労働大臣労働大臣として、独自な行政指導なり配慮というものが行なわれなければならぬ、こういうように思うわけです。それを機械的に、事務的に、特殊性があるんだ、公共性があるんだ、交付金があるし、補助金があるんだということで、制約されるのがあたりまえだという姿勢では困るんです。ですから、やはりいやしくも労働大臣としては、いま申し上げるような労働三法を守るんだというような立場から、当事者能力確立という問題について最大努力を払ってもらわなければならぬ。  そこで、この際、官房長官も御出席でございますので、官房長官にもひとつあわせて御見解を承っておきたいと思うわけですが、特にいま申し上げまするように、法的には労働三法適用を受けて、一般民間企業並みだ。ところが、一方では公共性特殊性という飾り文句によって制約をしていこう、しかも、この企業というものは、各省にまたがっておりますから、どうしても官房長官のほうでこの問題に対する対処をしてもらわなければならぬ、こういう結果になっておると思うのです。特に保利官房長官は、佐藤内閣においても副総理といわれておりますし、最大実力者ですから、やはりそういう実力者がこの問題について御努力願うということになれば、この問題の大幅な前進というものも私は可能だというふうに考えるわけです。そういう意味で、ひとつ官房長官からも、この政府関係特殊法人におきまする賃金の問題について、御見解を承っておきたいと思います。
  10. 保利茂

    保利国務大臣 複雑な労使関係をそういう意味で持っているということは、私も承知をいたしておりますが、大体、しかし、この公団公庫の職務に当たっておられる、もしくはそこに入ろうと思われる方は、おおむね各役所と関連があるわけですし、だから入れば、役所並みというか、公務員並みの、劣らない処遇を受けられるであろうという期待を持ってお入りになって、しかもその事業は、河野さんも言われるように、とにかく政府出資が伴っておるとか、その他のいろいろなそういった財政上の制約も受けておる。そういう中で、しかしながら従業員の方々の処遇については、とにかく大体期待しておられるように、公務員ベースアップがあれば、それに準じて処遇を受けていかれるということは、およそ慣行的にでき上がってきておるのじゃないか。ただ公務員ベースアップ、人事院の勧告等が行なわれ、それが最終的に処理がきまる。きまったあとで、今度は公団公庫のほうに移るというようなこと、多少時間的な違いはあるようでございますし、取り扱い上の違いはあるようでございます。その辺は大いに改善されていかなければならぬと思いますけれども、ここ数年のあとを見ますと、やはり公務員ベースアップの時期、アップ率、そういうものは、もうほとんど軌を合わせたように、同一時期から実施され、同一率をもってアップされておる。そうして公務員と全く同様の扱いをされておる。その扱い方につきましては、改善すべきところ、そういう時間的に改善を要する問題もあるようでございますから、十分気をつけて、関係の各大臣と御相談して、御期待に沿うように持っていきたい、こう思っております。
  11. 河野正

    河野(正)委員 その御期待に沿うように御努力を願うことについては、私ども異議ないわけですが、ただ若干官房長官認識が浅いので、いまのような答弁になったと思うのですけれども政府はいままで、私どももしばしば要求してまいりましたが、そこで、早期解決について努力する、こういう言い方をされてきた。ところが、なかなか当事者能力確立されませんために、時期が非常におくれておるわけです。ですから、いま官房長官がおっしゃったように、率も大体公務員がアップされるから、その率で、時期もその時期でという、そういう考え方については、私どもは別段とやかく言うわけじゃないのです。ただ賃金決定が、政府はワクを示したけれども、非常におくれておる。いま時期についておっしゃったけれども、まだきまっていないところがあるわけですね。そういうように、時期が非常におくれておるから、そういう時期についても、この際、公務員並み――公務員並みとおっしゃるなら、やはりそれと同じ時期でやるべきじゃないか。これは政府が規制をするわけですから、だから一方では規制しながら、そういう時期の決定については野放しにするということでは不適当じゃないか。そこで、早期解決についてしばしば政府も約束されておるのですから、早期解決について努力するという、官房長官がおっしゃったことについて異議はない、ただ、若干認識が浅いから、そう言っておるのですね。政府努力というものがだんだん実ってきたのじゃないかという御見解のようですが、必ずしもそうではない。私は、後ほど住宅公団のことにも触れます、官房長官がお帰りになった後になると思いますが。まだ今日賃金決定が行なわれない、こういう事実があるわけです。だからいまのような認識じゃなくて、そういう現実を十分踏まえて、さらに努力をするということをおっしゃっていただかぬと、前進がないと思うのです。そういう点であらためて官房長官のお考えを伺いたい。
  12. 保利茂

    保利国務大臣 あの公団はうまくいって、この公団はうまくいかぬというようなことは、同じ政府関係機関として好ましい実情じゃないと思いますから、その点については、ひとつ私ども改善のために協力をいたしてまいりたいと思います。ただ、やっぱり公団公庫は、なるほど先ほど労働大臣が言われましたように、労働法適用は、民間と同じであるが、やる事柄、事業は、もう全く公共公益性の、いわば役所がやる仕事であるわけでございましょう。したがって、目的はそうだ、しかし労働法上の扱い民間並みだから、そっちはすべて民間並みでなにしろということも少しどうだろうかと感ずるわけです。その辺は非常に複雑な労使関係ということを申し上げるわけであります。しかし、あっちの公団がうまくいって、こっちの公団がうまくいかぬというようなことは、同じ政府関係機関として、決して好ましい姿でないと思いますから、できるだけ足並みが合うように、そぞそれ主管大臣においても心配されていると思いますから、私も協力してまいりたいと思います。
  13. 河野正

    河野(正)委員 いままでも、再三再四、私ども政府に申し入れをしてまいりました。善処するという御回答でございましたけれども、なお今日、さしたる成果があがっておりません。そこで、今度の官房長官は、特に内閣随一実力者ですから、私も九州出身の議員で官房長官に非常に期待しておるものですから、ぜひその期待にこたえるような配慮をひとつしてほしいということを強く要望いたしておきたいと思います。  そこで、重ねてになるわけですけれども、お伺いをしておきたいと思いまする点は、なるほど官房長官も、いま政労協関係政府関係特殊法人関係賃金問題については、アップについても、また時期の問題についても、ある公団事業団では解決したが、ある公団事業団では解決せぬということは好ましくないということですけれども、具体的には政府関係特殊法人関係の中でも、最も大きな職場といわれておりまする日本住宅公団では、その賃金問題がなお未解決のままでございます。こういうことは、いま官房長官の答えが出たわけでございますけれども、これはやはり政府がいままで私どもに約束されてきた方針には逆行しておると私は思うのです。悪い言い方をすれば、一つも成果があがっておらぬという例として、住宅公団をあげることができると思うのです。こういうような政府の方針と反しておる諸問題について、労働大臣として今後どういう心がまえで対処していただけるのか。この際、ひとつ労働大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  14. 原健三郎

    原国務大臣 実は日本住宅公団の件について調べてみたのですが、昨年組合側の賃上げ要求に対し、公団側は十月に現行の給与体系を若干是正した基本方針を示しました。十二月にこの方針に基づく給与表を回答したところが、組合側は、公団給与体系変更の方針は、現行の年功序列的賃金体系を職務給化しようとするものである、こういう趣旨で反対をし、そのために労使の主張が対立して今日に至っております。この問題については、現在まで何でも三十数回にわたって団体交渉が重ねられておると聞いております。そして、もう論点も次第に整理されていると聞いております。今後とも労使双方は、誠意を持って協議を尽くして、できるだけ河野さんの御希望のように、早期にかつ円満に事態が解決されることを私どもは望んでおります。労働大臣といたしましては、この問題についてその解決のために必要があれば、適宜に指導協力を惜しまずにやりたいと思っております。
  15. 河野正

    河野(正)委員 いま大臣がおっしゃったように、必要があればじゃなくて、もう必要が出てきておるから、ここでいろいろ提議をいたしておるわけです。  そこで、いま最後のくだりはいいわけですけれども、その前段の経過についての認識については、若干問題があると思うのです。どういうことかと申しますと、この賃金問題については、労働者のきわめて重要な労働条件ですから、労使間で話し合いの結果、自主的に解決することが望ましいことは、私ども十分に承知をいたしております。ただその際、自主解決でございますけれども、当局側、公団側の姿勢というものが私は問題になると思うのです。昨年の十月十七日、公団側が職能給の導入を提案をした。ところが十二月の二十七日には、公団の管理者が早朝出社をして、職員にいろいろ文書等をばらまいておる。そういう、人の来ぬ先に出てきてやるような、これは全くあき巣ねらいです。こういうこそく的なことでなくて、やはり労使が四つに組んで自主解決するという姿勢が望ましいと思うのです。労使間の話し合いがなかなか解決しない、いろんな理由がございましょう。いろんな理由があると思いますけれども労働行政について関心を持つわれわれ国会としては、いま指摘するような当局側の姿勢では困ると思うのです。人の来ておらぬ先に来て文書を配るような、全くあき巣ねらいです、失礼なことばですけれども。いやしくも大日本住宅公団がやるべきような処置ではないと思う。そういうことが労使間の解決を阻害する大きな原因になっておると私どもは判断をする。こういう当局側の姿勢というものがいいのか悪いのか、一体労働大臣はどうお考えですか。
  16. 原健三郎

    原国務大臣 十二月二十七日にそういうことがあったかなかったか、私のほうでまだ聞いておりませんが、御説のように、労使がお互いに信頼し合って、四つに組んでよく話し合いをし協議をする、それが正しい行き方である、こう思っております。
  17. 河野正

    河野(正)委員 いま労働大臣の御見解を承ると、私ども見解と同一ですね。その事実があるかないかわからぬというお話しでしたから何んですけれども、もしそういう事実があったとすれば、当然これは住宅公団の当局側に問題があるということになると思うのです。  そこで、そういう事実があったかなかったか、公団からひとつ承りたい。
  18. 南部哲也

    南部参考人 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。  十二月の十日に新体系に基づくベースアップの回答書を組合側に提示いたしましたが、不幸にしてこれを受領するという状態にならなかったわけでございます。ところが、ベースアップは各職員についても非常に重要な問題であります。これについて職員一般に、団体交渉のあり方ということ等についても知らせる必要があるということで、回答を受け取ることをたびたび組合側に要請したのでありますが、それが受諾されないということで、やむを得ず十二月二十七日に「本給関係公団側の考え方」というものを各職員に配付した事実がございます。
  19. 河野正

    河野(正)委員 結局、労働組合が拒否をしたから啓蒙するためといったって、団体交渉は継続中です。ですから、団体交渉は継続中であるとするならば、なおお互いに話し合う用意があるということですね。いろいろ労働組合の意見を聞いてみても、労働組合も必ずしもこの職務給の導入については反対ではない。ただ、なお話し合う用意があるから、ひとつこの際この問題はペンディング、継続審議にしたらどうだ、こういうことのようですね。そして賃金をきめようじゃないか、こういうことが出てきた。ですから、いよいよデッドロックに乗り上げて、どうにもこうにもならぬという事態ではないですね。それに先ばしってあなた方が、いま大臣も適当でないと言うことをおやりになるならば、お互いに不信感が出てくる。私は、日本住宅公団というものは、国民の預託に沿うて機能を発揮するためには、労使間の信頼関係というものが確立されなければならぬ。労使間の信頼関係というものが確立をされて、初めて住宅公団の機能というものが最大限に発揮できる、こういうふうに私どもは理解をするわけです。ところが、そういうように――これは失礼なことばかもわかりません。わかりませんけれども、全くあなたは、人が出てこぬ先に食い散らすというのは、あき巣ねらいじゃないですか。労働大臣もそういう事実があったとすれば適当でないとおっしゃっているが、適当でないようなことを管理者がみずからおやりになるということについては、私は問題にしなければならぬと思うのです。ですから、労働組合が拒否したから、それならば労働者側が不信感を抱くようなことをやってよろしいということにはならないのですね。  私どもが非常に重大な関心を持っているのは、なるほどこの問題は労使間の問題ですけれども、やはりわれわれ国民というものは、早く住宅を建設してもらいたい。国民の住宅に対する熱望というもの、悲願というものは、税金、物価に次いででしょう。税金、物価と同じように、国民というものは、何とかして住宅問題を解決してもらいたい、これがいま国民大衆の切なる願いですよ。これが労使間の問題によって、国民の希望というものが、期待というものが裏切られるということについては、私ども国民として許すことはできません。そういう意味で私どもはこの問題を強く取り上げているわけです。ですから、いまのようなことは適当でないことはもう明らかであって、大臣お聞きのように、そういうことをやっているわけですね。ですから、そういう事実は知らぬけれども、そういう事実があるとするならば適当でないと大臣はおっしゃっているわけでありますけれども、これはもうだれが見ても適当でない。しかも、そう公団側がこの問題を積極的にやらなければならぬことでもないでしょう。私どもがいろいろ調査したところによりますと、水資源公団でも、四十年、提案をいたしましたけれども、一年待った、話し合いの結果。ところが、あなた方のほうは、十月に提案して、十二月にはもう労働組合の不信感を抱くような、労働大臣すら適当でないというようなことを、なぜやらなければならぬかということですね。当局側の姿勢については、これは非常に問題があると思うのです。それではやはり、公団においては労働三権が適用されるわけですけれども、誠心誠意、団体交渉で労使が円満に解決していこうという誠意があるのかどうか、私は疑わざるを得ないと思うのです、そういうことでは。この点、総裁はどうですか。
  20. 林敬三

    ○林参考人 先ほど来河野さんからいろいろ御質問があり、また大臣方や南部理事からお答えを申し上げて、その間ちょっと重複いたしますが、住宅公団は、おっしゃるとおりに、国民の待望のものでございまして、また現下一番大切な一翼をになっている仕事と存じます。したがいまして、労使の間というものは、極力相互に信頼を持って、そして一丸となって、この大切な時期に大切な仕事をいたさなければならないということは、心からさように信じて、微力をいたしている次第でございます。  しかし、冒頭御質問がありましたように、これが特殊の法律による特殊の法人でございますから、たてまえは民間企業体と同じというたてまえになっておりますと同時に、先ほど労働大臣その他から申し上げましたように、法規的には、性格上公共事業を行ないます関係上、予算及び給与の基準というものについては、監督官庁の認可を要するという点がございます。また、当然のことでありますが、社会的全般に見ますと、やりますこと全部、家賃にはね返り、また土地の分譲価格にはね返るという、庶民大衆の利益ということを考えながらやっている。それに基づいて資金がまた運用されていく。こういう、そちらの制約もあり、大きく分ければ三つの制約から成り立ちながら、しかし民間企業体である特色を極力生かしてやっていこうというような立場のものでございまして、自主的に労使の間も、しっかり、よく話し合って解決をしてまいらなければならないと存じております。  私は、つくづく思うのでありますが、まあ当然のことでありますが、労使の労のほうの面というものを十分に考慮して、気持ちよく働ける状態というものを、いろいろな制約のある中でも最善を尽くしてやっていかなかったならば、企業としては一番大事なところを失うということになるというふうに信じておりまして、今後におきましても、労使間の折衝というものを、十分に、この点至らないところを補強いたしまして、改めまして、絶えず反省をいたしながら、この大切な問題を推進してまいりたいと存ずるのでございます。  しかし、当面のことになってまいりますが、このベースアップ並びに俸給表の改定というもの、ベースアップは当然なさねばならぬと存じます。それから、率直に申しますと、他公団よりも現在少し実態として給与の状態というものは悪くなっているような感じでございまして、何とかしてこれを一応少しでもよくしてもらいたい、そして気持ちよく働いてもらいたいという気持ちで一ぱいでございますが、それらと関連いたしまして、世間の一般企業体でも採用し、また関係の類似の公団でも続々採用いたしておりますような、職位に基づく能力的な給与体系を、年功序列だけでなくて若干加味したものにすることが合理的であり、かつ全体としての給与をよくするゆえんだと信じまして、提案をし、また納得をし、協力していただきたいと思って、いろいろお話し合いを進めておるところでございます。しかし、虚心たんかい組合側の意見というものも聞きまして、そしてそれを、私どもの心を心とすべきところはやりまして、今後も努力をしてまいりたいと思いますが、いま、それらで、いろいろなことで、公団としてはこれをやる時期はむしろおそきに失しているというふうに考えておるような状態でございまして、そして双方の話し合いがつくようにいま鋭意努力をいたしておるのでございます。  その間、相互に立場がわかってもらいたいという気持ちが一ぱいでございますものですから、いろいろと、わかってもらいたいための、いわゆる普及活動というようなものもいろいろありまして、いろいろなその状態においてのいきさつがあるのでございますが、基本としては河野さんの御指摘のように、誠意をもって今後も協議を尽くしまして、すみやかに最善の解決をいたしたいというふうに考えておる次第をございます。よろしく御了承願います。
  21. 河野正

    河野(正)委員 原則的には、その組合側、労のほうでも職務給導入について絶対反対ではないのだ、ただ中身について、さらに話し合いを煮詰めていきたい、こう言っているわけですから、何も当局側が問答無用というような態度に出られる必要性は、私はないと思うのです。そういう際に、いま総裁が、ずっと労使間の協調問題についてお話しになったが、やはり私は、できるだけお互いが誠意を尽くさなければならぬ、誠意を尽くさなければならぬのに、一方的に、不信感を抱くような、早朝、職員が来ないうちにPR誌を配ってみたり、こういうことが労使間の感情を阻害する、私どもはそう言っているのです。ですから、やはり先ほど申し上げましたように、水資源公団でも一年間論議に時間を費やしたという例も知っておりますし、ですから十月に提案をして十二月に職務給賃金表を組合員に配付をするということでは話にならぬのであって、いま総裁がおっしゃったようなことが額面どおり実行されておれば、この問題は円満に取り運んでいくことができると私どもは思うのです。  ところが、いまのような、ことばは過ぎますけれども、あき巣ねらい的に人が来る前にビラを配ってみたり、PR誌を配ってみたり、こういうことは当局側の姿勢として適当でないというふうに私どもとしては指摘せざるを得ないと思うのです。  それから、私ども長年政府関係機関の問題についてはいろいろと取り組んでまいりましたので、ある程度の実態というのは承知をいたしております。ただ非常に気になりますのは、この職務給を導入すると全体として給与がよくなる、こういうお話でした。そのことと、先ほど総裁がおっしゃった法のたてまえは民間並みであるけれども、庶民の利益を守るためには、家賃を安くしたり、土地の取得をよりよくする、そのためにはやはり給与改善をやらなければならぬ、このことはちょっと矛盾していると私は思うのですね。職員の全体的としての給与がよくなって家賃が安くなるはずがない。だから職員の給与がむしろ悪くなりはせぬか、それで家賃を上げないで済むのじゃないか、こういう判断も出てくるわけですね。庶民の期待にこたえて家賃は安くしていくのだ、それで給与をよくするのだ、こうおっしゃっておることに内部矛盾がありやしないでしょうか。ちょっとこれは矛盾すると思うのです。
  22. 林敬三

    ○林参考人 いまお述べになりました給与と家賃の関係でございますが、私の申し上げ方が不十分であったので、ちょっとつけ加えさしていただきます。  私も河野さんと同じ感じなんです。私が、総裁としての気持ちとしては、給与はできるだけよくして、そうして生き生きとして気持ちよく働いていただきたいと思うけれども公団というものは、やはり公共性があって、予算の制約もあるし、給与水準の制約もある。かたがた、もっと大きく、言いかえると、少しオーバーな言い方になりますが、われわれはじめ職員の給与全部というものは、家賃から回り回って入ってきている、庶民の零細なふところから出て家賃として入ってきておるのだと思うのです。そういう意味からいって、私どもとしてはそういうことも考えて、家賃を上げてはいけないから、給与の面ではそこのところに限度がある、控える面の制約がある、こういうことを申したわけでございまして、河野さんと同じことを申したのでございます。しかし、同時に、ただ、それならば職員の給与が安ければ家賃もどんどん安くなるじゃないかということでありますと、それはそんなことはないと思うのです。やはり生き生きと働いて、いい家をつくって、いい条件でつくったほうが、結局は割り安のいい条件のところに住んでいただけることになるという面もあり、それでプラスマイナスいろいろな関連もあって、その間で最善を尽くして給与体系と給与の配分というものをきめていきたい、こういうことで苦労をいたしておりますという意味を申したわけでございまして、御了承願います。
  23. 河野正

    河野(正)委員 職務給を導入するならば、生き生きと働いていい仕事ができる、こういうお話ですけれども、いま労働者がこの問題について疑問を持っておりますのは、やはり職能給によって賃金に差別ができはせぬか。そうすると職場では競争心が起こってくる。お互いに従業員同士が疑心暗鬼で仕事をするようになる、そのために、職場というものが明朗性を失って、非常に暗いものになっていく、組合にいわせれば、そのために組合の団結が乱れるということもありましょう。その点はさておいても、私ども国民立場から申し上げますと、やはり日本住宅公団というものは、職員同士りっぱなチームワークをとってもらって、そうしてこの機能というものが完全に発揮でき、そこに初めて生き生きとした仕事ができる。そのことが国民の住宅に対する熱願にこたえ得る要素になっていく、こういうふうに私どもは見るわけであります。ですから一体何が生き生きとして働いてもらえるかという議論になると思いますけれども、やはりいまその点について労働者側が疑問を持っておるとするならば、その疑問を解いて実行されるのがたてまえであって、それが問答無用的にこの春から実施しようというふうなことでは、結果的には職場が暗くなる、不明朗になる、そのためにチームワークが乱れる、そのために住宅公団としての至上使命というものが、完全に達成されない。そうすると、国民は何とか住宅を建ててもらいたいという悲願があるわけでありますけれども、その悲願を達成するわけにいかない、こういうことになります。そういう意味で、私は国民立場からこの問題はむしろ重大な関心を持っておるわけです。ですから、いま申し上げたように、十分この職員側の意見も聞きながら実施をしていく、この基本的な原則についてはここでぜひお約束願わぬと、私どもは納得して引き下がるわけにまいりません。その点について総裁いかがですか。
  24. 林敬三

    ○林参考人 いま御心配いただきましたように、賃金について差別をつけ過ぎはしないか、また、それがためにかえって職場の明朗性を失いはしないか、これは経営者として十分注意していかなければならないところと思います。一人の人が喜んで元気を出すために、九人の人がくさるというようなことは、これは厳に慎んでいかなければいけないことと存じます。これはいかような給与体系をとりましても、今後金科玉条としてそれを十分考えながらやっていきたい、いくべきだと思っております。ただ、河野先生よく御承知だとおっしゃっていますが、現在の給与体系が、あまりにもこれが一本化といいますか、ずん胴型でございまして、極端にいいますと、全部年功序列だけでいっておるような形になるわけであります。これはやはり妥当でないのではないか。能力に応じて、また困難、あるいは複雑、あるいは責任というようなものに応じて、その間に若干の変化はあっていいのではないか。しかしながら、私はやはり年功序列的な考え方というものは大事なことだと思います。そのなごやかさと、明朗性と、落ちついた気持ちと、経験を尊重するという面からは、このいわゆる年功序列――ことばも少し妥当でありませんが、年功序列ということも大切だとます。  そこで、そういう経験年数とか、いろいろな年功序列的な要素をやはり給与の基本にいたしまして、ほとんどそれにのっとったものでありますが、それだけでは給与の俸給表としては妥当でないし、ことに現代においては、民間企業はほとんどこういうものをとっておるところはございません。それから、こういう類似の公共的な機関においてももう非常に数が残り少なくなっているという現状でございまして、そんな激しいものではないのですが、年功序列型を基本にしながら、能力に応じた色彩を若干入れるということでひとつお互いに納得をしてやっていきたい。いわゆるこの俸給表のほうが、はるかに客観的妥当性がある、また必要性があるということを信ずるもので、いろいろと納得をしていただくようにお話しをしているわけでございます。しかし、今後も引き続きまして労使間においては十分意を尽くして、最後においてこれを実行するときにいい結果があがるようにということを期待して、最善の努力をいたします。
  25. 河野正

    河野(正)委員 妥当性、必要性を当局側が主張されるのは、当局側が実施されようとするわけですからそれは当然のことだと思うのです。しかし、それについて、労働者側のほうにいろいろ疑問があるとすれば、やはりその疑問も解いてもらわなければならぬ、こういうことになると思うのです。  そこで組合側も、基本的には必ずしも全面的な反対ではないのだということも私ども承っておるわけですから、やはり十分労使が煮詰めて、納得のいく形で最終的結論を得られるように努力してもらいたい。したがって、少なくとも国会でお約束になっている以上は、一方的にこの問題を強行することのないように、この点ぜひ約束をしてもらいたいと思うのです。そうしませんと、ここで何べんやってみても同じことですから、私どももやはりこの委員会運営について考えなければならぬ。そういう意味で、この労使間の話し合いによって誠心誠意な解決方策を見つけるのだ、そういう方針をあらためてひとつこの席上においてはっきりしてもらいたい、こういうふうに思うのです。
  26. 林敬三

    ○林参考人 お話のように、組合側の疑問とするところ、いわゆる職員一般の疑問とするところ、これは十分に聞きまして、十分にこの問題について相互の思想を煮詰めて、相互の納得のいく形で解決するように、極力努力してそういう形に持っていきたい、かように考えておる次第でございます。  ただ年度末が非常に迫ってきました。予算の制約で翌年度にそれが使えないとかいろいろ苦しい、いわゆるどん詰まりのところにきているわけでありまして、引き続きまして最善の努力をしまして、極力御趣旨に沿うように当事者としてもがんばります。
  27. 河野正

    河野(正)委員 そこで、建設省おいでですね。お伺いをしたいと思いますのは、四十一年においてこの職務給の導入が道路公団でなされた。そこで、次は首都高速、阪神高速、こういう順序でやっていきたいという方針を示しておられるとわれわれは仄聞をいたしております。この事実があるかないか。
  28. 石川邦夫

    ○石川説明員 お尋ねの点でございますが……。
  29. 河野正

    河野(正)委員 これは人事課長じゃないですよ。局長を呼んだでしょう。私は住宅局長に住宅政策として聞きたいのだ。
  30. 大津留温

    ○大津留政府委員 住宅局長でございます。  ただいまのお尋ねは道路公団、首都公団、阪神公団等の給与の体系の変更の問題のようでございましたので、住宅局長といたしましては、そういう他の公団につきましては、実は内容はよくわかりません。したがって、官房の人事課長が全般を通じて監督しておりますので、人事課長からお答えいただくのが適当かと思いましたけれども、たってのお話でございますから私から申し上げます。  申すまでもなく、給与の問題は、労使間の自主的な話し合いによってきめられるべきものでございますから、建設省があらかじめこの公団はどうせい、次はこの公団はどうせいというようなことを指示、指導するような関係にはございません。
  31. 河野正

    河野(正)委員 それはまた、そのとおりだと思うのです。もし、その事実があれば、これはもうたいへんなことであって、事実がないとおっしゃるのが、そのとおりだと思います。しかし、これは私どもはあるということを聞いておりますので、いずれもしそういう事実があったときには、あらためて当委員会で指摘したいと思います。  そこで、私がなぜあえて局長お尋ねをしたかと申しますると、いま国民は――先ほど住宅公団総裁にもいろいろお伺いをしましたように、国民として住宅政策について非常に重大な関心を持っております。そこで、建設省として、当然この住宅の建設について、強い行政指導というものが行なわれていかなければならぬ。それを人事管理、労務管理の面から、そういう住宅建設の政策というものを押えられるということがあってはならぬという意味でこの問題をあえて取り上げたわけです。  そこで、与えられた時間もございませんから申し上げますが、今日住宅公団では、実力行使が行なわれておる。そうしますと、この年度内に大阪で約三千七百戸、東京で六千戸、約一万戸の住宅建設の計画がございます。あるいはいま国民は、何とかして早く住宅問題を解決してほしい。物価と、税金と、住宅の問題というのは、国民の強い悲願でございます。ところが、そういう労使間の紛争というものが、結果的には大阪で三千七百戸東京で六千戸、約一万戸の住宅建設が挫折されるというようなことになりますと、これは国民にとりましては非常に重大な問題だと思うのです。ですから、私があえて住宅局長、住宅局長ということでお尋ねをしたのは、こういう人事管理、労務管理の問題で、結果的に国の住宅建設計画にひびがいってはならぬ。そういう意味で、建設省も十分配慮はしてもらわなければならぬ、指導してもらわなければならぬ、そういう意味で実は取り上げてまいったわけです。こういう事態が起こっては、国民の側からもうたいへんなことだと思うのです。こういうことがあってはならぬと思うけれども、この点について局長からひとつ御見解を承りたい。
  32. 大津留温

    ○大津留政府委員 この年度末を控えまして、設計、契約等の事務が多忙をきわめております時期にストライキが行なわれますと、それだけ業務が遅延を来たすということで、お話のように住宅建設計画を遂行してまいります上に、これは必ずしも好ましいことではございません。しかしながら、住宅公団が受け持っておりますその大事な使命を果たすためには、労使がよく話し合って、円満な解決のもとに仕事を遂行するのでなければ、この困難な業務は十分には達成できないんじゃないかということを憂えるものでございます。したがいまして、先生も御指摘のように、年功序列というような給与体系から早く近代的な職能給に移りまして、それで職員が能率よく業務に精進できるようにということを、労使間の円満な話し合いで結論を早く出していただくということを、心から期待しておるものでございます。もう年度末も近ずいてきておりますので、極力労使が、誠意を持って話し合いまして、できるだけ早く妥結を来たして、業務に支障なからしめることを心から期待しておるわけでございます。
  33. 河野正

    河野(正)委員 ちょっといまの答弁には引っかかるのですが、私が言っているのは、少なくとも建設省は、労務管理、人事管理よりも、住宅建設計画が優先しなければならぬ、私はそう言っているのです。それを、いまあなたは、何か職務給を導入する形で早く解決することが望ましいというような御見解であったかのように私は受け取ったわけです。それでは困るのであって、その職務給導入が許されるか許されぬかということは労使間できめることであって、あなたのほうは人事管理、労務管理より、まずやらなければならぬことは、住宅を建てることだ、こういう指導が必要だと私は言っているわけです。ですから、もしあなたのことばが足りなかったらこの際訂正してもらいたいのです。住宅建設計画よりも人事管理、労務管理政策が優先するような姿勢では建設省は困る、私はこう言っておるのです。ことばが足りなかったならば、ここであらためて補足してもらいたい、私はそういうふうに受け取ったから。これはどうですか。
  34. 大津留温

    ○大津留政府委員 住宅建設を計画どおりに早く進めるということは、国民のたいへんな要望でございますので、これをいやしくもおくらせるというようなことは、きわめて遺憾なことでございます。しかしながら、と申しまして、これの実施を担当する住宅公団におきまして、そういう労使間にわだかまりが残ったままこの仕事の促進を進めるということは、私はこれは必ずしも適当なことではないと思いますので、早く円満な話し合いがついて、仕事にも支障を来たさないということを期待するのでございます。
  35. 河野正

    河野(正)委員 そこで、建設省側の今後の方針について明らかにされましたし、先ほど日本住宅公団でも総裁から円満に話し合いをする。国会で論議されたことが、完全に尊重されるようにお約束を願ったわけですから、労働大臣もこの論議の経過を十分お聞きになったわけですから、いま申し上げまするような点について、十二分な行政指導なり配慮をしてもらって、この問題が円満に進行し、そして国民の住宅建設に対する悲願というものが十二分に達成されるように、そういう意味で、ひとつ最後に労働大臣配慮に対しまする御見解を承って終わりたいと思います。
  36. 原健三郎

    原国務大臣 いま、河野さんからもるる御説を聞きましたし、住宅公団総裁のほうも、非常に誠意を披瀝して善処いたしたい、こういう双方の意見が非常にかみ合いまして、こういう委員会としても、いい結果がもたらされるであろうと私は期待いたしております。  それで、私ども労働省といたしましても、今日一番大事なことは住宅の建設で、衣食住を国民は足りているとは申しましても、住宅のほうはまだ足りませんので、ことに勤労者の住宅をすみやかにひとつ建設していただきたい、これは切なる国民の要望でございます。そのために、いままでのように、いろいろございますが、この委員会を通して、不信感も若干払拭されたろうと思いますので、お互いに信頼し合って、河野さんのことばによるならば、堂々と四つに組んで、団体交渉も早くやっていただいて、昭和四十三年度も余日幾ばくもございませんが、できれば四十三年度の年度内に妥結して、住宅建設に、この国民の要望に労使とも協力して進んでいただくよう切に要望する次第であります。
  37. 森田重次郎

    森田委員長 林、南部参考人には、御多用中御出席願い、まことにありがとうございました。お礼申し上げます。  質疑を続けます。島本虎三君。
  38. 島本虎三

    島本委員 大臣に、ちょっと最近の労働情勢についてお伺いしておきたいと思います。  きょうは、失対労務者の問題に重点を置いて、いわゆる石炭手当というか、冬季加給の問題を含めて、二点にしぼって質問いたしますから、決して重大な発言ではございませんので、ひとつ心から誠意を持って遠慮なしに答弁願いたいと思います。  まず第一に、最近、昭和三十八年以降、大臣も御存じのように、いわゆる失対関係二法の改正がありました。それ以後、三十一万から二十三万、二十三万から二十万、それから今度は十五万六千人、本年に至っては十四万七千名、特ワク三千名、大体こういうような予算のワクになってきているようです。当初から見ますとぐっと減っております。二分の一以下になっているような状態であります。失対就労の減少ということは、これは喜ぶべきことであるのか、悲しむべきことであるのか。全部満足してこういうように減少したものであるのか。この内容等について、私も一応知っておかなければならないことでありますので、三十八年以降失対就労者のいわゆる予算のワクというようなのが二分の一以下にぐっと減っておりますが、その内訳についてお知らせ願いたい、こういうふうに思うわけであります。
  39. 村上茂利

    村上政府委員 予算関係のことですから、私から御答弁申し上げます。  ただいま先生御指摘のように、予算上の一般失業対策事業のワクが減少いたしております。昭和四十四年度の予算では、御指摘のように十四万七千という吸収人員のワクを設けておりますが、これは御承知のように、現在の雇用情勢から見まして、いわゆる人手不足の状態にございます。したがって、民間雇用も非常に増大しておりますので、失業対策事業のワクが減少するというのは、これは自然の成り行きと私ども考えております。
  40. 島本虎三

    島本委員 すると、失業情勢が改善されたために、これはこういうような推移になってきたのである、こういうように一応は理解されるわけですが、そのとおりですか。
  41. 村上茂利

    村上政府委員 基本的にはおっしゃるとおりでございます。
  42. 島本虎三

    島本委員 これはそうすると、中高年齢層を中心にして、安定した雇用につくことができないという人が、なお依然多数いるというこの現状の中では、失対就労者の減少ということは、とりもなおさず中高年齢層の増大ということになってきているのじゃなかろうか、こういうふうに思うのですが、この辺はどういうような状態になっておりましょうか。
  43. 村上茂利

    村上政府委員 中高年齢者も含めまして、全体の求人、求職の状況を見ますと、最近は求人倍率がかなり高くなってきておりまして、むしろ求職者の数よりも求人数が相当上回っているというのが現状でございます。人手不足と一般にいわれておりますそのような情勢が、労働市場の状況にもあらわれてきておるわけでございます。したがいまして、最近の情勢から見ますと、もちろん地域的に差がございますけれども、東京その他大都市を中心に考えますと、中高年齢者の就職につきましても、かなり楽になってきておるということが言えると思います。
  44. 島本虎三

    島本委員 求人数が上回ってきて人手不足の現状である、こういうような状態である。いわば高度成長政策に即応したひとつの求人数の上回り現象、こういうようなことで、これは大いにけっこうだ、こういうふうに私はいわざるを得ません。しかし依然として、求人数がよけいだという東京でも、中高年齢層以上の人が、職安に行っても仕事がないという現状は一体どういうことなんでしょうか。これは私も飯田橋へ行って直接見てまいりましたが、求人数が上回っている、人手不足だ、こういうような情勢だというのですが、依然としてこの中高年齢層以上の人が、固定した就職につけなくてみな困っている状態が、現に飯田橋の職安にもあるわけです。飯田橋といいますと、これは東京でも一番いいところでしょう。そうしてあそこへ行ったならば、まず態度といい、その内容といい、いままでどの職安よりもあそこはいいということになっているわけです。私もそう思います。ところが、あそこへ行っても、依然としてこの高年齢層の人の就職ができない。何回行ってもだめだ、何カ月でもだめだ、一年くらいも通ってもまだないという人があるんじゃありませんか。そのままにしておいて、これはやはり求人数が上回っているからいい現象だということにならないのです。こういうようなひずみは十分考えていかないといけないんじゃないか、こういうように考えますが、この点等については大臣にちょっとこの見解を聞いておきましょうか。
  45. 村上茂利

    村上政府委員 安定所における業務取り扱いですから、私から御説明させていただきます。  安定所の窓口で、通常の場合でございますと、かなり年齢の高い方でも就職あっせんには成功しているわけでございます。ところが、七十歳だとか、はなはだしい方は八十九歳だとか、こういう方が付き添いで参られまして、本人の労働能力とか、経験とか、労働市場の状況等と離れましたいろいろな希望を出されますときに、その希望とかみ合わないということによって、なかなか紹介できないという例はございます。しかし一般的には、職業安定所におきましても、現在の人手不足でございますから、できるだけ努力しておるわけであります。しかし、特定の方につきましては、就職をあっせんしましても、会社に行きまして全然しゃべらないといったようなことで戻ってくるとか、特殊の傾向を持った方がございますけれども、私どもといたしましては、現在の人手不足の状況にかんがみまして、かなりの年齢の方でも何とか就職できるような状況にありますので、今後も努力をいたしていきたいと思います。
  46. 島本虎三

    島本委員 その特定の一、二の人のことは例外であります。少なくとも、大部分の人がそうであるということになると、特定のことばかり言っても局長、それはちょっと通じません。求人数が上回っているというような現状は私も認めます。そして職につけない理由は、あまりにも安過ぎるところに回そうとするからつけないのじゃありませんか。そういうような理由が全然ないかどうか。私はこの点等についても、もっともっと職安としても指導すべき点があるのだ、こういうように思っていまの点を聞いているわけなんです。また、それだけじゃないのです。老人の場合はいたわってやらぬといけないです、働く能力があるし、意思があるのですから。その場合に、あっせんされて行きますと、たとえばいまの冬のさなかに地下、それも水をいじらなければならない。または階段を何階か上がっていっての掃除、その掃除も重い物の運搬を伴う。こういうようなことになりますと、やはりこれは、老人としては向きませんと言うのはあたりまえじゃないでしょうか。私はやはりそういうような点も、普通並みにやって、拒否するからおまえはまじめじゃないのだ、こういうようなことはやはりすべきじゃないのじゃないかというように思うのです。いま私が言ったようなことは、現に行って、私が確かめてきた、それも飯田橋であります。知っておると思うのです。こういうような人も、やはり特定の中に入れて考えなければならないものでしょうか。あまりにもこれはかわいそうじゃありませんか。
  47. 村上茂利

    村上政府委員 一般論で先生がおっしゃったような状態ですと、お気の毒だということは言えると思います。しかしながら、本心は失対事業に就労したい、こういうのが先に立ちまして、幾ら民間の普通の雇用に紹介いたしましても、そっちのほうには行かない。失対に入りたいのだ。しかも、それがいわゆる失対流入闘争と申しますか、掘り起こし闘争といったような形で、そういった方々が安定所の窓口においで願いましていろいろするものですから、その扱いにつきまして問題が起きるわけでございまして、確かに一般論としては、先生が御指摘のようなケースだとお気の毒だと言わざるを得ないのですが、それがいろいろな戦術その他と関連して扱われますと、職業安定所のほうでもその扱いについては別途の観点から考えつつ取り扱わざるを得ない、こういうことになるだろうと思うのでございます。そこらは、第一線の職員も非常に苦労してやっておるわけでございますので、あくまでも失対に入りたいのだ、その前段階としていろんな手続をとっているにすぎないといったような意図がはっきりいたしますと、安定所の窓口における取り扱いも、せっかく民間紹介いたしましても徒労に帰するということになりまして、いろいろ問題があるわけでございます。もちろん一般論としては、先生御指摘のような気の毒な方には、これはあたたかい気持ちで処理しなければならないというふうに存じます。
  48. 島本虎三

    島本委員 一般論としては私の言うのは理解できる、特殊な組合運動の一環として、いわゆる流入闘争としてこれを見るからだめなんだ、大体こういうような考えのようです。ところが、これをもし指導する人があるとするならば、それは組合の幹部じゃありませんか。おそらく大部分の人たちは、関係ない人たちじゃありませんか。その場合には、やはり個々の人々の立場に立って職安もそういうようなあっせんをしてやる、手当てをしてやる、こういうようなのがやはり正しいやり方ですよ。私の手元にもいろいろ、会った人もおり、また私のところに直接手紙をくれた人もおります。会えなかったからこれを申し上げますと、これはずっと出てこいというから行っているのですから、やはりあっせんは受けます。あっせんを受けるけれども、食堂に行けというから行きました。ところが、冬の間に水洗いばかりやっているのです。私のからだでは、どうしても冬はだめです。だから一日だけやって、ここはつとまらないといって帰ってまいりました。するとおまえは不熱心だ、こう言われるそうです。老人に対して、冬の水洗い、これはやはり思想が、また信条がどうであっても、考えてやらぬといけないではありませんか。流入闘争だからおまえはそっちをやるのだと言うならば、これは流入闘争の名において憲法違反を指導しておることになるのですよ。そんなのはいけませんよ。そういうような幹部がもしおったにしても、大部分の人たちは、これに関係ない人たちが多いじゃありませんか。やはりここは考えてやっていい。年を見ますと、七十一歳の女の人や、六十一歳、六十六歳、五十四歳、五十七歳、六十歳、ほとんど五十歳以上の人が多いのです。こういうような人も適職につけない。またつけないだけじゃなく、そのまま。ほんとうにこういうような人たちのための失対二法の改正じゃなかったのですか。ちゃんと措置してやったらいいじゃないですか。この措置をできないという理由について、大臣少し考えないといけません。
  49. 村上茂利

    村上政府委員 先生御指摘のように、法の考えといたしましては、誠実かつ熱心な求職活動ということが前提になって、たとえば就職促進の措置であるとか、あるいはやむを得ないときには失業対策事業に就労していただくとか、そういう形になっておるわけであります。ところが、高年齢の七十をこえたような方々の就職というような問題につきましては、社会通念から見ましてもそう容易ではない。そういう方々の職場というのはおのずから限定される。それを、いろいろ苦心惨たんをいたしまして安定所のほうでは御紹介申し上げる。ところが、それはいま御指摘のような例もございましょうが、求職の条件が年齢とか能力とか、水洗いも無理だといった場合に、労働能力はかなり低いわけです。そうしますと賃金もかなり低くならざるを得ない。七十何歳の方ですから、かなりそこに無理がある。そこでいろいろ職業指導という形で、いまの東京ではこういうのが相場でございますとか、いろいろお話を申し上げておるはずであります。そうして話し合いの上で職場に行ってみる。ところが賃金が低いとか、作業条件がきついだとか、いろいろ出てくるわけであります。そういう方につきましても、さらにあらたしめて職を御紹介申し上げるという努力をいたしておるのでありますけれども、通常期待されるような誠実かつ熱心な就職活動をしておるかどうかという問題になりますと、どうも失対に入りたいのが本心なので、いろいろ何回も御紹介申し上げますけれども、そのつど、きついだとか、条件が悪いとか言ってお断わりになる、こういう繰り返しが見られるようであります。そういった点、何とか摩擦なく処理できるようにいたしたいと思うのでありますが、求職される中高年齢の方々につきましても、現在における労働市場のいろいろな条件というものをある程度御理解いただきまして、御判断を願いたいと思っておるわけであります。
  50. 島本虎三

    島本委員 労働市場の条件を認識してということばは幅広いのです。がまんしてでもここに働いていなさいということですか。七十一歳にもなる人を、この冬の中に水洗い、こういうような就職をあっせんしてやって、それでもがまんしてやったほうがいいということで指導するという意味ですか。私はそれでは愛情がないと思う。また三十八年の失対二法の改正のときの趣旨に反する。これははっきり指摘せざるを得ないのです。私はきょうはあまり大きな声を出さないで、対話をするつもりでやっているのですが……。しかし、特定にイデオロギーを持った女、そういう者であっても、何年かの間に変わってきているというのはあなたもおわかりでしょう。それと同時に、そういうような人が一人や二人おりましても、大部分の人たちはいわゆる関係のない人たちだ。そういうような人たちまで同じ目で見てやるというのはいけませんよ。だからがまんせいという意味じゃないでしょう。いまのことばはちょっと私にぴんときたのですが……。
  51. 村上茂利

    村上政府委員 がまんせよという、そういう無理なことを申し上げたり、そういう無理なところに紹介申し上げようという気持ちはさらさらないのでありますが、たまたまそういうケースがあることもございましょう。しかしながら、そういう場合には再度またごあっせん申し上げる、しかし、またお断わりになる。そのうちに、どうも自分は、働くのはほんとうは無理じゃないかと思うというようなお話まで出てまいりますと、安定所のほうで処理をいたしますにつきましても、非常に困惑するという状態もあり得るわけでございます。  先ほどもお答え申し上げましたように、老人の方々が就職されるという場合には、その年齢、能力も考えて御紹介申し上げるというようにいたしておりますので、その点私どもは、基本的な観念としてはできるだけあたたかい気持ちで、しかも労働条件が折り合うようにという形で、無理にどうこうさすというようなことは避けるということで処理いたしておるような次第でございます。
  52. 島本虎三

    島本委員 あまりこの問題で停滞はいたしませんが、年齢的に見ても相当の人たちで、あと余命幾ばくもない人たちですよ。こう言ったら失礼なんですけれども、実際そう思われる人々、それでも働く能力もあり、からだも健康だ。よしんばそういうようなときには、失対の職場へ行きたいのなら、そういう人たちをやったってどれだけ国家的な損害になります。あの失対二法ができたときに、やはり高齢者等の就労需要というのは訓練抜きで就職促進措置をしてあげて、その後失対事業のほうへ入れてもよろしい、こういった説明をこの場所でなすったじゃありませんか。けれども、いまのようなことになると、結局それが五年間たった現在、完全にもう履行されておらない。こういうようなことになっては困るのです。こういうような人たちに対しては、特に労働省はあたたかくめんどうを見るべきだと私は思います。現にこの方法だって、図解までして、われわれは三十八年のころ失対二法によるとこれだけいいのであるということを、その場所から当時の大橋労働大臣は説明なすったのです。しかしながら、いまこうしてみますと、やはり特定のイデオロギーを持つ者であるとか、またはそれによって流入闘争に指導されている者であるとか、こういうような名において六十五歳、七十歳の人さえもそういうふうに見て、当然行けるコースをそのとおり指導しておらない。もしそれを入れたからといって、日本全国で何人になります。ほんの知れたものじゃありませんか。もし入れたとしても、何年就労事業に携わる年齢ですか。そこを考えた場合には、私はこの点はかたくなに考えないで、もっとやわらかくやってもいいのじゃないか、こういうふうに思うのです。  私は一人一人とは申しませんが、十人ほどの人に会って聞きました。あなたは失対に入りたいのかと言ったら、やはり入りたいと言ってました。じゃあ、言うところはみんな断わるのかと言うと、それよりいいところがあったらまた行きたいのですと言うのです。年をとっているから、それはあたりまえじゃありませんか。いいところだったら行きたいのです。どこも悪いから、いまのところでは失対のほうへ入れてもらいたいのです。これを言っているわけですよ。ですから、そういうような点は十分めんどう見なさいと言うんだよ。私の言うのは間違いないでしょう。(発言する者あり)局長、もうこの辺で大臣に変わられたらどうですか。
  53. 村上茂利

    村上政府委員 先生御承知のように、失業対策事業に就労さすまでには法律的に基準があるわけでございまして、まず一般の就職あっせんをいたしまして、それでなかなかむずかしいという中高年齢者に対しましては就職促進の措置を施しまして、それでもだめだという場合に失対事業に吸収する、こういう三段がまえで処理されておるわけであります。  そこで、先生御指摘のケースは、大体第一段階の通常の就職あっせんをしておる段階での問題でございますので、そこで見切りをつけちゃって、すぐ失対事業に吸収しろという問題になりますと、実はその七十何歳とか、中には八十九歳という方もおられたそうでありますが、そういう方々につきまして労働能力を考えますと、失対事業、ああいう屋外労働をしていただくことにつきましても問題がございまして、まさに労働政策と社会政策との接点にあります問題を失対事業でことごとく処理するということにつきましては、基本論としてはいろいろ問題があろうかと思います。そういう点につきまして、私ども現実にどのように処理するかということで、いろいろ心を砕いておるわけでございまして、法律上の手順を踏みながら、かつできるだけ円満に処理をいたしたい、こういう気持ちでございますので、御了承をいただきたいと思います。
  54. 島本虎三

    島本委員 前のほうから激励の声が出ると、とたんに元気になるじゃありませんか。きょうは私はあまり元気を出さないで、対話をしたいんだということを言っているのです。あんまり曲げないで……。私知らないと思ってあなた言ったってだめですよ。そのころから、あなたはそっちでやっていたというけれども、私もやっていた。いまのようなこういう就職促進措置云々という、それくらいだってちゃんと私は知っているじゃないですか。しかし、やはりこれをやりたくて求職の申し込みに行ったって、これを受理してくれぬそうじゃないですか。中高年者の認定を、長期に延ばしているというのが現状だそうじゃありませんか。幾らことばを飾って、きれいにしていても――やはりこういうものをやっている人は若干ひねくれなければおかしいですよ。やはり、あまり多くない数ですから、この点等はよく考えてやったほうがいいじゃないか、私はこういうふうに思うのです。  それで、この第三種事業の一部として、やはり学校や病院、または図書館、警察の雑用、こういうようなところにいろいろ出されている向きもあるんだそうです。しかしながら、一たん行ってみると、やはり一般失対労務者、こういうようなことになって、強制的にいろいろな仕事もさせられる。老人でありながら、身にこたえる、こういうようなことをこぼす人もおります。少なくともこの重労働を、三種の現場の老人たちに――これはもう入っている人ですが、課してもいいということにはなっていなかったと私は思います。老人をいたわってやろう、そうして仕事の能率は関係しない、賃金は決してダウンさせない、こういうようなことで、あの現場をつくってやったはずですが、実際の運用の面はいまのように行なわれている。こういうことであったならば、やはりこれは何か安い賃金で強制労働させるというようなことになってしまうというような気がしてならぬです。三十八年のこの失対二法の改正、そのころの情勢とは、現在はだいぶゆがんでいる、間違っている、違ったように運営されている、こういうふうに言わざるを得ないわけです。やはりこの点等については――、いま私が言ったのは、現実会って聞いたことなんです。その人たちも、一部流入闘争をしている人じゃありませんよ。もう入っているんだ。こういうようなことさえも現に行なわれているのです。この人たちのことは、もっとめんどうを見てやるべきではなかろうか、実際、こういうようなのが現状ですから。これはどうですか。
  55. 原健三郎

    原国務大臣 島本委員のおっしゃるように、御承知のように第一点は、非常に経済が伸び、景気もよく、求人者が多くて失業者がないという、非常に恵まれた世の中になって、ありがたく思っております。それで、この中にあってもなおかつ仕事につけない人、わけてもそういう中高年者が仕事につけない、こういうごく少数の人でございますが、私どもも、決して少数者だからないがしろにする、これはよくございませんので、御指摘のように職業安定所におきましても、きめこまかく、愛情を持って、高年齢者につきましても就職その他十分配慮をして、愛情のある労働行政を推進いたしたい、御期待に沿うようにいたしたいと思います。特別の人は別として、そういう高年齢者であったら、それに適するような楽な仕事を紹介する等々、万般の配慮をしていきたい、こう思っております。
  56. 島本虎三

    島本委員 局長、大体大臣もそのように言っておりますから、今度はそれに沿うよう職安行政を今後実施させるように、私からも強くこの点は希望しておきたい、こういうふうに思うわけです。現に労働力払底基調の中で、東京では、失対流入につながる可能性のある措置制度は使わないで就職をさせるべきだ、こういうようなことで申請書は出さなかったが、しかし当時の情勢とはいまは違う状態に現にある。したがって、これは毎日新聞に出ておることなんですが、こういうような状態を認めざるを得ない。こういうように、名前はあげませんが、あなたの代行をしているような職安の窓口の責任者が言っているのです。ですから、やはり、それにこだわらなくてもいいような段階に来ておる。これはもうすでに衆人認めるところです。かたいのは労働省の中の職安部門だけであるということにならないように、強くこの点は希望して、今後ひとつ、いま大臣がおっしゃった、そのことをそのまま行政の中にあらわしてもらいたい、こういうように思います。この問題は、大臣の答弁がほんとうにきれいで、私の肝に銘じましたことばでございますので、この問題はこれで終わって次に進みたいと思うのですが、あらためて職安局長に、大臣のことばの裏書きを表明願いたい。
  57. 村上茂利

    村上政府委員 大臣からの御答弁でございますので、裏書きとかそういうことを申すまでもなく、私どもその趣旨に沿いましてそのようにいたしたいと思います。
  58. 島本虎三

    島本委員 次に私は、いつも言っては笑われまするけれども、いわゆる石炭手当という冬季加給金の増額についてのお伺いをひとつ申し上げたいと思うわけです。  それは、人事院勧告によって公務員の寒冷地手当の計算方法が改められて、額も引き上げられたということは、もうすでに大臣も知っておられるとおりです。これは、失対労務者は一体何なんだ、こういうようなことがいつも問題になります。私の場合は、委員長を含めて国会議員は、非常勤の特別職の国家公務員である、こういうようなことです。そうすると失対労務者は何だ。これは非常勤の特別職の地方公務員だ。そうすると、われわれは国会議員である、片や失対労務者である。それをいろいろ職制に見れば、向こうも非常勤である。その点は同じだ。大臣は違うけれども、われわれは同じ。そういうふうになってみると、失対労務者といえども、これは格づけすると地方公務員の範疇に入るわけです。  そうなりますと、ここで公務員の寒冷地手当の計算方法が改められて、人事院勧告によって額も引き上げられた、こういうようなことにはっきりなってきておる。生活保護世帯においての石炭代、これも増額されているのです。これは一級地では四千四百七十円、二級地では四千七十円、三級地では三千六百六十五円、四級地では三千二百六十五円、こういうようなことになっておるほかに、今度は生活の必需物資、暖房具であるとか、防寒衣具であるとか、またその他の燃料であるとか、こういうようなものの補給を認めておる。これがいわば生活保護における冬季の一つの加算分になっている。そのほかに、石炭そのものに対しては運搬代というものがかかることは御承知のとおりなんです。北海道とは申しません、日本海側並びに東北北海道では、寒冷地であり、これはもう特別な状態に冬を過ごさなければならないということは御存じのとおりです。ことにまた積雪寒冷地帯である場合には、冬の黒い石炭と、毎日の白い御飯とだけは欠くことのできない一つの必需物資なんです。この失対の場合だけは、これはいままで制度化の声がずいぶんあったわけですけれども、昭和三十五年以来、この石炭手当、寒冷地給の制度化をしてくれ。考える、考える、考えるといって、三十八年に失対二法の改正になり、その後いろいろな手当はなくする、本給に繰り入れる、こういうような方法になったけれども、必要なこの冬季加算だけは、これは別にして認めるということになってきておるのが、いままでのあり方です。そうなりますと、総体のワクの中から冬季加算として取るよりも、制度化してそういうようなもののためにはっきりあげてやるのが、これが行政体制としても当然じゃなかろうか。まして非常勤の特別職の地方公務員であるという人であるならば、そのぐらいは考えるのが至当じゃなかろうか、こういうふうに思うわけです。その点については、賢明なる大臣はいかにお考えでありましょうか、お伺い申し上げます。     〔発言する者あり〕
  59. 村上茂利

    村上政府委員 もう先生御承知でございますので、いかがかと思いますが、失対の賃金は御承知のように、「同一地域における類似の作業に従事する労働者に支払われる賃金を考慮して、地域別に、作業の内容に応じて定める」という原則が法律で定められております。したがいまして、特別職云々というお話がございましたが、その賃金につきましては、この失対法の十条の二の原則で定めるわけでございます。  そこで、民間の日雇い労働者につきまして、石炭手当とか冬季加算とか、そういうものがあるかどうかという問題になるわけでございます。そこで悪いほうを見るとかどうとかじゃなくて、実質的に、冬季の賃金に上積みしてみようということで現在やっておるわけでございます。実質的には考慮をいたしておる。それをなぜわざわざ別に冬季加算手当、石炭手当というふうにセパレートして制度化しなくてはいかぬだろうか、こういう問題になりますから、そうすると法律のたてまえとぶつかってくる、こういうことになるわけでございます。私どもはできるだけ実情に沿いますように賃金決定いたします際に考えるということで、処理いたしてきておるわけでございますから、今後におきましても、そういう従来の基本線を踏襲いたしまして、適当な段階において考慮すべきものというふうに存じておる次第でございます。
  60. 島本虎三

    島本委員 だいぶ激励が入ってそこでやられると、とたんに労働省は元気になるんだ。あんた、いない間は静かで、ここは波を打ったようであった。ところがあんた来てから、その辺は勇み足でもって、なかなか激励隊たちが……。  そこで行政的なことは、法によって争えというのは、これは別の機会にやりましょう。私は、ここで政治的な配慮ということでやっているわけですから、あまり行政的に法何条でこうなっている、こうなっている、そんなことは私は実際聞きたくはありません。しかし、やはり失対労務者といえども、いまのような状態にあるということ、それから生活保護者の石炭代も増額されておる。同じような状態にあっても、生活保護適用を受けない者も、働いているという人であるならば、そこは何らかの方法によって考えてやるべきである。失対労務者である、こういうようなことで、たとえば現行どおり九十円として、二十二日働いて千九百八十円の冬季加給になる。しかし、生活保護の場合には、一級地四千四百七十円、二級地は四千七十円、三級地は三千六百六十五円、四級地でも三千二百六十五円でしょう。それがこちらは千九百八十円、こういうように金額だけを見ましても、生活保護適用者にも劣るのが、これが身をもって働いておる失対労務者の冬季加給である。それも一番いい程度のやつとするならば、やはりこの点には政治的配慮をもっとあたたかく加えなければならない、こういうようなことに当然なるわけでございます。まして人事院勧告による公務員の寒冷地手当の計算方法が改められて、額もこうして引き上げられた現在ですから、この点は特に今後の問題として、やはり考えておかなければならない問題である、こういうように思うわけです。これは大臣いいでしょう。
  61. 村上茂利

    村上政府委員 先生の御趣旨は、私どもも理解しておるつもりでございますが、手続的に、いずれにしても賃金を改めるということになるわけです。御承知のように、失対賃金につきましては、失業対策事業賃金審議会に諮問してきめなければならぬ、こういう法律上のたてまえになっております。そこで、先生の御質問の御趣旨もございますし、この審議会でいま来年度の賃金決定を検討いたしております。この場におきまして、御指摘の問題につきましても、何とか考慮できないかということで、いろいろ御検討をいただいておるような次第でございまして、いずれ遠からずこの考え方がまとまるものと考えます。
  62. 島本虎三

    島本委員 じゃ、この問題は、前は大臣、今度は局長の善意を信頼して、これでこの問題を打ち切ります。ただし、期待に沿わない場合にはどうなるかということで、この問題については少し私自身、十分考えて、これを見つめておるという、このことをひとつ大臣も含んでおいていただきたい。これは善処されるようにしてもらいたい。  それでちょっと聞きますが、生活相談員という構想が労働省の中にありましたか。
  63. 村上茂利

    村上政府委員 予算折衝にあたって、そういう制度を考えたいと思っていろいろやったのでございますけれども、予算的には認められないという結果になっております。
  64. 島本虎三

    島本委員 これは地方自治体にやらせておるということを聞いておりますが、大蔵省に予算を削られ、それを地方自治体にやらせる、地方自治体が持ち出しになっておるということになると、ゆゆしい問題になると思いますが、そういう事実はありませんか。
  65. 村上茂利

    村上政府委員 御承知のように、失対事業費は補助でございます。地方公共団体でその実情に沿ったような、いろいろな制度を考えるという場合には、ある程度おまかせをいたす、こういうことになっておるわけであります。御指摘のように、そういう名称は別にいたしまして、失対労務者につきまして、いろいろ生活的な面の御相談をするということで、置いておる地方公共団体もあるわけであります。そういう実績の上に立ちまして、制度化したいというふうに考えたわけでありますが、予算的には困難であるということになったわけであります。しかし、もうすでにやっておるところがあるわけでありますので、そういった点につきましては、地方公共団体で適切に運用していただきますように、期待申し上げておるような次第でございます。
  66. 島本虎三

    島本委員 失対労務者であろうとも、これは人間であります。憲法の保障があるわけです。その中から地方議員も出ております。聞くところによりますと、地方議員を四月から排除する動きをいま意図しておる、こういうようなことを聞いておりますけれども、これは重大な問題じゃないかと思いますが、こういうようなことがあっていいはずのものじゃございません。そういうことはありますか。
  67. 村上茂利

    村上政府委員 地方議会の議員になられた失対労務者につきまして排除するとか、そういった点につきまして、そういう意味ではなくして、一般的に失対就労の条件として、所得というものを考えざるを得ない。そういう場合に、相当高額な所得がございます方々につきまして、その取り扱いをどうするかという問題があるわけでございます。したがいまして、結果的に地方議会の議員になられて、所得が相当多い方につきましては、あえて失対事業に就労するまでもないんじゃないかといったような考え方が出てくるわけであります。しかしこれは、そういった条件を検討するという程度でございまして、まだ結論を出しておるわけではございません。
  68. 島本虎三

    島本委員 この問題は、もし実現するようになったら大きい問題にもなろうかと思いますが、地方議会の場合には、これはわりあいに費用弁償的な支出の傾向が多いのであります。報酬ということで全面的にこれを保障するというのは、裕福な地方自治体であります。たとえば北海道では、札幌あたりはそのほうに該当するでしょう。それ以外の土地は、ほとんど費用弁償的なものであって、名前は報酬といっても、出たものに対する当然の支払いであるということになっておるわけです。そういうようなものまでも、おまえは高額所得があるんだからやめろといったら一体どうなるのですか。都道府県議会議員、これ以上だったらいいのですが、普通の市町村では費用弁償的なんです。それを報酬とみなして、これはおまえやめさせるということになれば、それをたてにして、失対労務者に弾圧を加えんとする政府の悪質な意図である、こういうようなことを警告して、そういうようなことのないように要請して、これで終わりたいわけですが、大臣の最後の答弁を伺いたいと思います。
  69. 原健三郎

    原国務大臣 島本さんの御趣旨、よく拝聴いたしました。
  70. 森田重次郎

    森田委員長 山本政弘君。
  71. 山本政弘

    ○山本(政)委員 前回保留さしていただきましたので、きょうあらためて質問さしていただきたいと思います。  これは東北開発株式会社の「会社事業の基本的考え方」という会社の資料でございますけれども、ここに「福島工場従業員の職場の安定のため、将来性ある企業を対象として、現在の労働条件を下回らないことを条件として、各方面と接衝の結果、県下の有力企業である福島製鋼(株)に譲渡する方針を決意したものである。」こう書いてあるのですが、この点については、後ほど退職金とかいろいろな問題もあると思うのです。  その前にちょっとお伺いしたいことがあるので、お伺いしてみたいと思うのです。これもせんだって質問したのですけれども、これは東北株式会社の「会社概要」で、会社が出したものですが、これの一番最後のところに土地造成事業というのがある。そして万石浦というのがあって、これが土地造成をやっているように書かれております。この資料は四十三年の八月一日でございますけれども、これはいまどういうふうになっておるのか、お伺いしたいと思います。
  72. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 万石浦の土地造成の問題につきましては、これを工業用地あるいは何か適当な用地として利用しようという考え方がございますけれども、現在水面であるものを取得をいたしておるわけでございますが、その後の使用計画が確定しなかったということもございまして、権利を取得しただけの状況で、現在持っておる使用計画等については宮城県当局などといろいろ協議をしておる、こういうふうに聞いております。
  73. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ちょっと確認いたしたい。水面とおっしゃったのですね。この万石浦については、私はすでに前歴があると思うのです。それは、東北開発株式会社で石油コンビナートをつくろうとして土地をお買いになった。しかし結果的にはそれができなくて、それをもう一ぺん売り渡したということで町が非常に損をした、こういういきさつがあったと思います。そのときに、経済企画庁のほうの意見としてだと思いますけれども、「発足後十年。いままでの運営方式では、国策会社として行き詰まりだ。直営事業は借金を整理し、いずれ民間に移行する。東北開発株式会社としては、いまからの地域開発構想の中で新しい活路を求めるしかない。」こういうふうに言っておられるのです。私は、ここに言われたことと、この前の質問のときと比べてみまして、どうも企画庁の考え方に相違があるような気がいたします。と申しますのは、あらためて確認いたしますけれども、岩手のセメントと会津のハードボード会社というのは、これはあなた方はきちんと今後も保証されていっていただけるのかどうかということ。ということは、従業員がありますので、赤字であるからといって民間に移譲する――しかし黒字の場合にも、これによれば移行することになるのですよ。ここに働いておる人たちにとっては非常に重要な問題になるので、再確認したいと思うのです。前回はあなた方、いま民間に移譲する福島工場以外のものについてはきちんと開発会社としてやっていきたい、こう言われるのですから、その点についての考え方をお聞きしたい。
  74. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御指摘の直営事業のセメント、ハードボード関係等につきまして、いま東北開発会社の基幹的事業となっているわけであります。この再建を三十九年度以来やってまいりまして、最近ではいずれも採算が可能になったことは御承知のとおりでございます。したがいまして、当分これが会社の基幹的な事業として残っていくことになると思いますけれども、ただいまも御指摘のように、四十二年に行政監理委員会でこの会社の存廃が問題になりました際に、東北開発の新しい方向に沿って会社の将来の使命をきめる、こういうようなことになっておりまして、そういう趣旨が確認条項になっております。そういうこともございまして、四十四年度で再建段階が終了いたします。これから先、新しい方向をどういうふうにするかということを今年夏ごろまでに決定いたしたい。その過程におきまして、直営事業というものをどういう形でこれから先やっていくかというようなことも、あわせきめるようにいたしたいと思っております。
  75. 山本政弘

    ○山本(政)委員 赤字だから将来民間に移行することのほうが、福島工場にとっても、従業員にとってもいいことだというふうな考え方で、それで民間に移行するということをせんだっての委員会で御答弁なさったと思うのですよ。今度は黒字ですよ。黒字のものは四十四年度であらためて考え直すのですか。あなたのおっしゃっていることは私には理解できないのだけれども、黒字の場合でもお手放しになるのですか。なぜ私がお尋ねするかというと、生活の問題がかかってきます。労働条件の問題もかかってきます。そういうことですから、私は確認しているのです。永久にとは申しません。しかし基本的に、岩手のセメント、それから会津のハードボードについては、現状のままで東北開発のほうでやっていきたいというお考えなのか、そこを私は聞きたいのです。基本的な問題ですからね。
  76. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 先ほども申し上げましたように、会社の基幹的な事業になっていま会社をささえておるわけでございますから、新しい方向といいましても、すぐその仕事で非常に大きくやっていくということは、実際問題としていろいろむずかしいこともあろうかと思います。したがいまして、そういった新しい方向に切りかえていくという過程がどのくらいかかるかわかりませんけれども、そういった期間においては、少なくとも現在のセメント、ハードボードというものがささえていかなければならぬ、これは当然だと思います。その後の方向につきましてはいま検討しておりますので、全体として方向がまとまった際に、そういったスケジュール的なことも考えていかねばならぬと思っております。
  77. 山本政弘

    ○山本(政)委員 私は、考え方としては、基幹産業であるがゆえに当面――これは永遠とは申しません。当面は、いまの基幹産業というものは、あなたのおっしゃるように黒字ですから、この点については、一応方向として、当面は東北開発株式会社の基幹産業として扱っていくというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  78. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 お説のとおりでございます。
  79. 山本政弘

    ○山本(政)委員 どうもありがとうございました。  それでは、いまの話が戻りますけれども、万石浦水面を埋め立てするのですか。土地造成ですから、おそらく埋め立てになると思うのですけれども、一体その主要目的は何ですか。水面でない陸上の土地をお買いになって石油コンビナートにしようとして、それが失敗に終わって町にも非常な迷惑をかけたということが新聞に出ておる。そういう土地を今度は埋め立てをして何にお使いになるのか、どういう目的のためにお使いになるのか、このことをちょっとお伺いしたいと思います。
  80. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御指摘のように、当初の計画はかなり大きな、そういった新しい工業を持ってきてはどうかというような構想であったようでございますが、立地条件その他の問題から、その計画は立ち消えになっておるということでございます。したがいまして、何かもう少し地域的に役立つようなことで、それほど投資額も必要でないような使い方はないかということで、せっかくいまいろいろ検討をいたしておるところでございまして、宮城県当局でも一、二の考えもお持ちのようでございます。会社のほうといろいろ相談をしておる、できるだけ早く方向をきめて地元にも役立つような利用のしかたを考えていきたい、こういうことでございます。
  81. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうすると、一応目的なしに土地造成をやって、それから考えるというのですか。
  82. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御説明いたしましたように、実はその権利の取得をしただけで、土地造成工事はやってないわけでございます。したがいまして、計画がきまりましてこれを土地として使うということになれば、それに必要な造成をいたします。また、水面に一部残して水産関係などに使ってはどうかという意見もあるようでございますので、その辺は、具体的計画がきまり次第、それに応じてきめていきたいと思っております。
  83. 山本政弘

    ○山本(政)委員 これはあとでまた御説明いただきたいと思いますけれども、私はせんだって予算の問題で御質問申し上げました。そのときにも申し上げたつもりでございますけれども、水面の権利を取ったということで、あとはそのときになって考えてみたい。そしてここには土地造成事業と出ているのですよ。権利を取得した段階で、あとは何に使うか、水面を何に使うか知りませんけれども、水面にして使うか、あるいは土地造成して使うかということはさまってないというところに持ってきて、ここには土地造成というもので出ているのですよ。     〔委員長退席、澁谷委員長代理席着〕 そして金額までちゃんとここに入っている。私が指摘したいのは、企画庁を含めて東北開発株式会社というのが計画的に非常にずさんだ、もし赤字が出るにしても、もっときちんとやっておけば、そういう赤字に悩まされないで済むのじゃないかということを実は指摘したいのです。その点はどうお考えになっていますか。
  84. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御指摘のように、非常に大きな赤字を出して、五年間の再建をやるという事態になったわけでございまして、この間におきまして、会社の経営あるいは監督官庁である企画庁、それぞれ責任はあると思っております。再建過程に入りまして以来、私どもその点は非常に注意して努力をしてきたつもりでございますし、会社の首脳部も一生懸命努力をしていただきまして、やっとこれが終わったという段階にきたわけでございます。今後は少し積極的なことも考え、東北のために役立つようにやっていきたい、こういう気持ちでございます。
  85. 山本政弘

    ○山本(政)委員 私は、東北開発株式会社というものの存在意義を否定するものではありません。そして東北開発について、東北開発株式会社というのが非常に重要な地位を持っているということも承知しているつもりです。ですからその点、四十三年八月以降のことは、私はこれ以上質問をいたしませんけれども、「東北開発株式会社の計算証明に関する指定について」というのが昭和三十一年の三月二十八日に出ております。そこでお伺いしたいのは、総合合計残高試算表というのがいつまで出ておるかどうか。
  86. 小熊孝次

    ○小熊会計検査院説明員 お答えいたします。  会計検査院の指定によりまして、東北開発株式会社は、その毎月の総合合計残高試算表を翌々月の末日までに会計検査院に到達するように提出する、こういうことになっております。
  87. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ですから、それが出ておりますか。
  88. 小熊孝次

    ○小熊会計検査院説明員 提出状況でございますが、これは翌々月末日に、若干おくれるような傾向がございますが、出ておるには出ております。
  89. 山本政弘

    ○山本(政)委員 四十三年十二月の総合合計残高試算表はそちらに出ておりますか。
  90. 小熊孝次

    ○小熊会計検査院説明員 私のほうの提出状況の調査によりますと、四十三年の十二月分は本日われわれのほうに到着いたしております。
  91. 山本政弘

    ○山本(政)委員 だから私が申し上げるのは、本日出たということは、本日私のほうで、このことについて出ておりますかという話をしたから、おそらく出ているのだと思うのです。当然ここに書いているでしょう。「東北開発株式会社総裁は、計算書として毎月の総合合計残高試算表を次の書類を添えて、翌々月末日までに会計検査院に到達するように提出しなければならない。」というのです。これがきちんといけば、二月の末に出されているはずなんですよ。それがきょう出されたということに私は問題があるというのです。そうじゃございませんか。本来ならば、きちんと二月末日までにあなたのお手元に届いているはずです。しかし、それが届いてないというところに、東北開発の問題があるだろうし、ずさんさがあるだろうし、そして、あるいは言い過ぎかもわかりませんけれども、企画庁の監督についても問題があるということを私は指摘したいのです。その点、次官のお考えはどうなんです。
  92. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 ただいま御指摘をいただいたとおりで、当然法規に基づいた決算書は出すべきものと思われます。今日までそういう御指摘の事実があるかどうか、あったとすれば、今後厳重に監督官をしてその衝に当たらしめて、今後そういうことのないように注意させます。
  93. 山本政弘

    ○山本(政)委員 片一方において、そういう手続においてきちんとすべきことをしないで、計画においては水面の権利を取った、そしてその水面の権利というものをどのように使うのかをまだきめておらない、そういうちぐはぐなところに私は非常に問題があるような気がするのです。もし国策会社として東北開発株式会社というものがあるのだったならば、もっときちんとして――少なくとも国民の税金でもってやっているのです。しかも同時に東北開発という大きな意義を持っておるものに対して、そういうずさんさというものが許されるかどうか、そういうことなんでございます。  そこでお伺いしたいのは、せんだって私がお伺いしたときに非常な金額の違いがございました。その金額の違いについて、あらためて、きわめて簡単でようございますから、御説明をお伺いしたいと思います。
  94. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 前回の際に計数的な御説明が十分でなかったようで、たいへん恐縮に存じます。  御指摘を受けた会計検査院報告書による計数と、企画庁が御説明をいたしました計数との差異が三千万円程度ございましたが、これは特別損益加算額というものを含めて会計検査院の数字が出されておるわけでございます。私どものほうの数字は、それを除いたところの数字を出したということで、誤った説明を申し上げたようでございます。当然会社の本社勘定の損益については、特別損益加算額を加えたもので見ることが適当でございまして、四十二年度の計数は、御指摘のように、会計検査院の計数のとおりに御了解を願いたいと思います。
  95. 山本政弘

    ○山本(政)委員 会計検査院の方にお伺いいたします。実はきょう聞いておって、かりに数字が何万円余といった場合に、余というのは、これは端数があるということですかね。そうですが。
  96. 小熊孝次

    ○小熊会計検査院説明員 ただいま先生のおっしゃいましたように、何万円余というのは、端数があるということでございます。
  97. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それではお伺いいたします。会計検査院の報告では、セメント事業が四億二千三百九万余円ですね。それで企画庁のほうも数字は合っていると思うのです。つまり端数が余円ですから。これは千円単位というのは、私はそのまま余円ということであれしていいと思うのですけれども、セメントの事業部が四億二千三百九万九千円になっている。     〔澁谷委員長代理退席、竹内委員長代理着席〕 化工事業部が四千九百二十四万三千円のマイナスですね。会計検査院は四千九百二十四万余円となっている。ハードボードが二千二百二十五万一千円のマイナス。それで会計検査院は二千二百二十五万余円となっている。だからこれはいいと思うのですけれども、本社事業の中で会計検査院の報告は二億九千二百五十七万余円になっています。ところが、経済企画庁の私の手元にいただいたものには、二億九千二百五十八万円ちょうどになっているのですよ。もしも会計検査院のほうで余円というのが端数であるとするならば、ゼロと端数の間の差異というのは、これは一体どうなっているのですか。ひとつその点の説明をしていただきたいと思うのです。
  98. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御承知のように、決算は円単位でやりますので、五十七万何千何百何十何円というところを、私どものほうの資料は、切り上げて御説明をいたしておるのだと思います。この五十八万円の万円台の数字は七である、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  99. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それでは、ハードボード事業部のマイナスの二千二百二十五万一千円というのは、これはどうなんですか。あなたのおっしゃるようにするならば、これは切り捨ててゼロになるはずでしょう。そうじゃありませんか。全部端数のあるものについては余円としておって、最後のところだけ、端数があるにもかかわらずゼロとなっているのは、一体これはどういう意味ですか。
  100. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 これは、ちょっと私ただいま誤ったようでございますので、訂正をいたします。  会計検査院の資料は万円のところで切って万円単位で整理される、こういうことになっておるのでございます。私のほうは千円単位までやって四捨五入をやっておりますので、そういった点の違いはある、こういうふうに考えております。
  101. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうすると、四捨五入をやらないのだったら、万円単位ではなくて千円単位じゃないのですか。あらためて、二億九千二百五十八万、かりに一千円あるのだったら、一千円を記入しなければならぬはずです。あなた方、万円単位だというのだったならば、前のやつは全部四捨五入しないで切り捨てなければならないはずでしょう。そうじゃありませんか。
  102. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 会計検査院のほうの計数は、有効数字は万単位のところの数字で、あとは余円というふうに書いております。私のほうは千円単位でございまして、千円の下のところで四捨五入をする、こういうことでございます。
  103. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それは間違いありませんか。あなたはさっきは万単位でとおっしゃった。私がいま千円単位じゃないかと言ったので千円単位になさったのだったら、これはたいへんですよ。その点どうなんです。
  104. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 ただいま御答弁申し上げたとおりでございます。
  105. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それでは、同上累積額というのが最後にありますね。九億四千六百四十四万余円というのが会計検査院の決算報告です。そして、経済企画庁からいただいた資料は九億四千六百四十五万円で切ってあるけれども、これはおたくのほうでは端数は幾らになっているのですか。
  106. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 ただいま手元に正式の決算書を持っておりませんので、その下の数字が幾らになっておるかわかりませんが、先ほど申しましたように、千円単位で計算して四捨五入してある、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  107. 山本政弘

    ○山本(政)委員 これはあなた方、ただ数字の出し入れをして、数字の字づらだけを合わすのでは困るのですよ。百円でも十円でも会計検査院の報告と違えば、これは問題が出てくるのですよ。それで間違いございませんか。下山さんにしたって、塙坂さんにしたって、あなた方が持ってきたのはそういうふうな説明ではなかったはずですね。
  108. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 私が先ほどから申し上げておりますように、千円単位でその下で四捨五入する、こういうことでこの資料は調製いたしております。
  109. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ここに三十期の営業報告書があるのですよ。四十一年四月一日から四十二年三月三十一日までですが、これが千単位でなくて、百単位であるというのだったら、私のほうで提示しましょうか。間違いありませんね。これはせんだっておたくのほうからいただいた資料ですよ。それをはっきりしてください。
  110. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 事業の決算報告書というのはあくまで千単位まで当然記載すべきものでありますけれども、当資料は、その最後の千単位以下を切ったということにおいて、御説明のそごを来たす点があると思うのでありまするが、なおその点、御趣旨に沿うようにまた端数をそろえて申し上げたいと思います。
  111. 山本政弘

    ○山本(政)委員 私は、前回大きな数字の違いがあったから、それで次官のほうでもう一ぺん調べさせてほしいということでお待ちをしたわけです。二週間お待ちをして、そして説明をいただいたわけです。ただこれも、私もそういう意味ではあれですけれども、よく調べてみて突き合わしたことがないものですから、突き合わしてみたのです。突き合わしてみたらそういう問題が出てきておるのですよ。そういう問題が出てきておって、ここには千単位といっても円まで出ているわけですね。私の申し上げたいのは、これを加減乗除した場合に、あなた方がおっしゃるように、百円単位で四捨五入してゼロになるような数字になるという自信がおありになりますかと言っているのですよ。
  112. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 私もその資料をいま手元に持っておりませんし、そういう考え方でやっておるというふうに話を聞いて、そういうふうに了解をしておったわけでございますが、もしいまお手持ちの資料とそれが間違っておるということであれば、いずれにしましても、この申し上げておる資料は内部の資料でございまして、決算書そのものが正確なものであることは申すまでもないわけでございます。あるいは整理上誤りがあったかもしれません。その点は私もいまちょっと確認をいたすことができませんので、もしその点が非常に問題であれば、さっそくその点を確認いたしまして、資料なり何なりを提出したいと思います。
  113. 山本政弘

    ○山本(政)委員 だから、自信がなければそういうふうにはっきりと言っていただけばいいのですよ。しかしそれは、あなたのほうで、あくまでも百円単位で四捨五入した数字だとおっしゃるなら問題がある、こう私は申し上げておるのです。数字ですからね、会計検査院の決算報告と違うというのだったら問題があるのですよ。それについて、同時に、百円単位を四捨五入したということで千円というものは捨てていいのだということになったら、なお一そう問題があると私は思うから申し上げているのです。  それでは伺いますけれども経済企画庁の組織令の中に東北開発室の監督事項がいろいろあります。その監督事項の中の二項に「東北開発株式会社を監督すること。」とあって、同時に三項の中には「政策及び計画を企画立案すること。」となっていますね。そこで、もとへ戻りますけれども、土地の造成にしたって何だって、会社のこの資料を一つ見ても、どうもあまり監督をなされていないような気がするのですけれども、これは次官でもあるいは局長でもけっこうですけれども、一体その点どうお考えになっておるのか。
  114. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御指摘のとおり、組織令にそういう規定がございまして、私どものほうは、東北開発会社の監督はもちろんのこと、基本的な政策なり計画についての企画立案ということを使命としてやっておるわけでございます。具体的案件として、ただいま御指摘の万石浦の問題等については、見通しに誤りがあったということは認めざるを得ないと思います。
  115. 山本政弘

    ○山本(政)委員 福島工場を三月三十一日までやって、それから四月一日から民間に移行する予定だ、こういうようなお話なんですけれども、その点について、具体的に話がどのように進んでおるのか、ひとつ御説明をいただきたいと存じます。
  116. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御案内のとおり、福島製鋼に対しまして東北開発株式会社の福島工場を営業譲渡するということで、昨年年央以来からいろいろ話が進んでまいりまして、大体基本的な問題について合意に達しましたので、ただいまこの問題につきまして、従業員の組合のほうと、営業譲渡についての職員の身分の問題その他の点について話し合いをいたしているという状況でございます。スケジュールについては、一応三月三十一日をもってやりたいということで会社の首脳部は考えておるわけでございます。
  117. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうすると、これは私よくわかりませんけれども、タイムリミットというのは三月三十一日ですね。そうですね。  これも私よくわかりませんからお伺いしたいのですけれども、東北開発株式会社についての法律というものはあるのですか。
  118. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御指摘のとおり、東北開発株式会社法、昭和十一年にできた法律がございます。三十二年に全面改正をいたしたものがございます。
  119. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうすると、労使の間の話し合いがうまくいかなかった場合には、四月に入るという可能性もありますね。  私、ちょっとよくわからないのですけれども、東北開発株式会社法との関連はどうなっているのですか。法の改正というものは当然あると思うのですけれども、同時にそれは予算とのかかわりもあると思いますから、お伺いしたいと思うのです。
  120. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 法律上の問題といたしましては、ただいまの期限の問題が、直ちに法律改正とか、そういう問題になることはございません。ただ相手のある話でございまして、福島製鋼のほうの設備増設計画との関係で、三月三十一日に譲渡をしようという話し合いがまとまってやっておるわけでございます。この期限で私どもも話がまとまることを希望いたしておるわけでございます。
  121. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうすると、四月一日に渡す。民間に移譲した場合に、福島工場というのはそのまま事業をストップするわけではないわけですね。当面おそらく仕事を続けながら、そして漸次的にか、あるいは一定の期日に切りかえをするということになるのだと思いますけれども、その辺についてのお考えというのは、どういうふうになっているのでしょうか。
  122. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御承知のように、カーバイド事業でございますが、福島製鋼に移った後におきましても、この事業を続けるわけでございます。その間に不連続的なことはない、こういうふうに考えております。ただ計画として、現在持っております電気炉の一部を、福島製鋼のほうで設備を買いたいという計画があるようでございますので、そういった計画との時間的な問題も出てくると思います。したがって、非常におくれるということになりますと、せっかくその整っていた話がこわれるということも心配されるわけでございます。
  123. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それじゃ、たとえばこれは、あなた方のほうでということは言い過ぎかもわかりませんけれども従業員について、つまり会社がといいますか、そして監督庁である企画庁のほうで譲渡をなさるという御決定があったのだから、かりにそこに行きたくないということで――全員喜んで行けば別ですけれども、条件的に行かれないような人が出てくるような可能性もあり得るのじゃないだろうかと私は思うのですけれども、かりに家庭の状況などで行かれないような人が出た場合には、これはあなた方のほうで一方的に民間移譲を御決定になったのだから、そのことについての仕事の世話というものはおやりになるのが当然だと思うのでありますけれども、同時にこれは、北海道地下資源開発株式会社の場合にも、全部行政官庁のほうで非常な努力をして世話をした実例を私自身経験しておるのです。その点について、あなた方は一体どういうふうにお考えになっているか。
  124. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 今回の営業譲渡の条件及び職員の身分につきましては、現在の身分、待遇というものが確保されるということで方針を原則的にきめております。したがいまして、仕事の性格もかなり似たものでございますし、大体の方は、それがきまれば新しい会社のほうに行っていただけるものと考えておりますけれども、もし特殊の事情があってどうしてもそちらには行かないということになります場合には、会社のほうとしては当然就職のあっせん等のことを考える、こういうふうになるものと私は考えております。
  125. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうすると、就職のあっせんというのはひとつ責任を持ってやっていただける。万一そういう事態が出た場合には、次官、これは御確認をしていただけますね。
  126. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 お話しのとおり、合併によって就職あるいは生活の確保ができないということは、われわれ監督官庁としてまことに遺憾なことでございますから、本人の納得のいくような線に向かってあくまで努力し、責任を持つのは当然のことと考えております。
  127. 山本政弘

    ○山本(政)委員 もう一つ次官にお伺いしたいと思うのですけれども、会社のほうで、会社の意思でもって民間に移行するのですから、従業員に対するたとえば解雇――解雇というと言い方が妥当かどうかは別として、予告手当とか、あるいは退職金の問題とか、こういうことについて格段の配慮というものをひとつしていただきたいと思うのですけれども、時間もあまりないようですから、この点についてひとつ次官のほうから御答弁いただきたいと思います。
  128. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 東北会社につきましては、そういうことも、以前の前例と、それから法規内容等もありますし、また、このたびの財源の措置、予算措置等もありますし、その範囲内で可能な限り努力したいと申し上げたいと思います。
  129. 山本政弘

    ○山本(政)委員 労政局長、ちょっとお伺いしたいのですけれども、前にこういうようなケースの場合には、一体とういうふうに――つまり労働条件ですね。労働条件ということばは妥当でないかもわかりませんけれども、退職する場合に行政官庁でできるだけのめんどうを見るということについては私は当然だと思うので、あなたはそういう意味では担当の局長だと思うのですけれども、ひとつぜひお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  130. 松永正男

    ○松永政府委員 このような問題につきまして、労使が協議をいたしまして、従業員の方々が十分納得した上で処置をとるということは当然だと思います。私どもも、この問題につきましては、東北開発の会社の方からもいろいろ事情を聴取いたしておりますが、労使の間の協議もだいぶ煮詰まってきておるというふうに承知をいたしております。たとえば、ただいま企画庁のほうから御答弁になりました福島製鋼のほうに行きたくない人、たとえば退職するような方については、会社も責任を持って就職あっせんをするというような話もできておるようでございますし、それから労働条件あるいは退職条件等につきまして、いま双方で話し合いを進めつつあるというふうなことでございますので、できるだけそういう面では会社が誠意を尽くして話し合いができ、そうして円満に事が解決するようにするということは当然のことかと思います。
  131. 山本政弘

    ○山本(政)委員 最後ですけれども、たとえば福島工場の一部としてある高萩のアセチレン充填所なんというのは、私が聞いた範囲では、これは民間に移行した場合には、いままでの需要先というものは拒否をするというような条件も生まれつつあるというような話も聞いておるわけです。そういうことになると、福島工場自体が、たいへんそういう意味では予算の面でも窮屈になってくるんではないか。三カ月というのが三カ月で計画どおりにいけばいいけれども、あるいは場合によっては一年ぐらいかかるかもわからぬというような条件も生まれてくるかもわかりません。そういう場合に、労使だけでこの問題あるいは民間移行といったほうがいいですか、そういった問題が私は必ずしも片がつかないんではないかと思うのです。  そこでお願いしたいのは監督官庁というのは、私はそういう意味でもひとつ開発会社を指導しなければならぬと思うのです。これは私は前の行政管理庁長官のことを申し上げるわけではないけれども、非常な誠意を持ってあれだけの人の労働条件、退職条件、そして就職をやった。これは二百何十名という人を個別にですからね。この場合はほとんど私は一括だと思うので、やることからいえば非常に楽だ。楽ということばは言い過ぎかもしれませんけれども、非常にやりいい条件というものがあるんじゃないか。企画庁としても責任を持って、いま申し上げた退職条件、労働条件その他のことについてもぜひ御配慮いただきたい、こう思うのですけれども、最後に次官のお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  132. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 お説のとおり、可能な限り努力いたします。
  133. 竹内黎一

    ○竹内委員長代理 次に本島百合子君。
  134. 本島百合子

    ○本島委員 まだ着席がないようですから、先に労働大臣にお伺いいたします。  先ほど社会党の島本委員から、高年層の労働問題についてお尋ねがあったんですが、中高年齢層の婦人の雇用問題についてはすでに予算化されているわけですが、婦人の場合に、高年齢層と中年齢層というのは、どういう年齢で分けてあるのかということ。と同時に、こうした年齢者の婦人たちに対する雇用に対しては、どういうような進め方をされてきておるのかということをお尋ねしたいのです。ということは、現在若年労働者が要求されておる、こういう場合における婦人の中年過ぎてからの雇用というものが増大してまいっておるわけでありますから、こういう意味で、婦人の労働というのは、現代においては非常に重要なポイントになっていると思うのですが、高年と中年とでは職種その他でいろいろ御配慮が違うはずであるから、そういう意味お尋ねするわけでございます。
  135. 原健三郎

    原国務大臣 中年は何歳から何歳、高年は何歳――高年のほうは一番上は七十歳で高年ですが、これは法律的その他でははっきりいたしておりませんで、大体の見当としてわれわれ見ておるところでは、三十歳以上が中高年者であり、その中に婦人もおられる。で、婦人の場合だけ申し上げますと、職場進出は著しく、三十歳以上の者の占める割合は大体四五%ぐらい、半ばに達しております。中年者にはどうするか、高年者にはどうするかという労働省の対策も、これをおしなべて一緒にやっておりますので、その点でひとつ御了承願いたい。  配隅者別にこれをまた見てみますと、既婚婦人がだんだん増加してまいり、雇用者の約半数が既婚婦人になっております。三十歳以上をとりましても、半数が既婚婦人者で、労働省におきまして、中高年婦人の雇用の円滑化、またその能力を有効に利用するためにいろいろなことをやっておりますが、第一は、職場環境の整備、就業分野の拡大、職業相談、あっせんの強化、職業講習、職業訓練等々やっておりまして、また、婦人は家庭と職場と両方持つことになりますので、それらが円滑にいくように、託児施設設置のための雇用促進融資をやっておる、あるいは「働く婦人の家」というのに託児施設を増設しておる等々をやっております。そういうような施設をして、だんだん年々増加してくる中高年婦人の方々に、ことに労働力不足のおりでございますから、職場へ進出して労働力の増強に寄与していただきたい、そういうことでまずきめこまかくいまやりつつあるところでございます。
  136. 本島百合子

    ○本島委員 労働大臣こまかく御説明くだすって、私の質問がだいぶ減ったようなわけでございますが、ただいま、七十歳以上を高齢として中年は三十歳以上というと、現在婦人の年齢としては、寿命が伸びておりまして、平均寿命七十五歳となっていますから、そういう意味では、まだ三十歳を中年――中年には違いないけれども、もうちょっと引き上げていただけないかということ。ということは、いま新聞などで私どもいつも憤慨するのですが、四十歳で老婆と書いてあるのですね。全体の平均寿命がずっと短いときの熟語だろうと思うのですが、婦人関係ではいたくこの点憤慨をいたしまして、これは訂正してもらおうなんというような話も出ているくらいでございますので、三十、四十台というこの年齢層は、若年とはいきませんけれども、高年にはならないので、中年にしてもまだ若いほうで、ほんとうに労働力の補充と申しますか、そういう意味での年齢層であろうと思うのです。そういう意味で、こうした点についての御配慮を特にこれからは願わなければならぬと思いますが、その点に対して、たとえばいままで働いておった婦人たちが結婚しても、子供ができるまでは働いておると思いますが、子供が二人になってくるとなかなか働けないという現状、そういう意味から職業を中断いたします。そういうときに、将来もこの職場で働きたいという希望があった場合、アメリカその他の国でやっているように、先任権の制度、こういうような制度の実現だとか、あるいは育児休職制度というようなこと。これはいま日本の工場等でも、育児のための休職制度というようなことが行なわれておるところもまれにできてきた。これがもうちょっと一般化してくるということによって、婦人の労働がある程度定着してくるのではないか、また計画性ができてくるのじゃないか、このように考えておりますが、この点労働大臣はどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。     〔竹内委員長代理退席、渡辺(肇)委員長代理   着席〕
  137. 原健三郎

    原国務大臣 ただいまの、一度職場を離れて、子供が大きくなってきたらまたもとの職場へ帰るという、いわゆる先任権制度、これを確立するか、あるいはどういうふうにするか、そういうことは好ましいことだと思いますので、目下、検討して善処いたしたい、こう思っております。  それから、子供さんができた場合に一番御婦人がお困りになる託児所の問題。これを保育所なんと言いますと、厚生省が何とかかんとかいって話がどうもうまくいきませんので、こちらのほうでは託児施設をやる。そして、今度できました「働く婦人の家」にも、託児の部屋とかいうようなものを設置することになっております。これもまた、保育所なんという名前をつけると、厚生省のほうでやかましいので、その点、とにかく働く婦人の子供のめんどうを見る部屋などとかいうのを、「働く婦人の家」に併置してやるように善処いたしております。
  138. 本島百合子

    ○本島委員 たいへん思いやりのある労働大臣の御答弁で、まあ、ある程度の愁眉を開くということになるのでしょうが、現実の問題としては、なかなか保育所や託児所の設置ということも十分に行なわれていない。全国で見まして、当然保育所に入れなければならない子供たちが五十万人未収容のままでいるという、こういう統計から見ましても、労働大臣として、いまの御発言をもっと大幅に拡大して、至急に政策の樹立をはかっていただきたい。特に、中小企業というけれども、零細企業の密集している地域、そういう地域での託児所なり保育所というものが非常に要望されておるわけでありますので、この点特に配慮されたいと思うわけであります。  そこで中年、高年労働の問題について、引き続いて、いま婦人の労働問題として問題になっているのはパートタイマーの問題であろうかと思います。先ほどもちょっと申されたようでありますが、いま婦人の労働力が三十歳代以上で非常にふえてきておる。これは一度結婚して育児等にも従事した婦人たちが、多少手がかからなくなったということと、一つは物価値上がりということで、夫だけの収入ではやっていけないというようなことから、こうしたパートタイマーというものが流行してきたのだろうと思うのですが、この人たちの雇用状態というものは、ほんとうに低賃金であるし、また労働が重労働の場合が非常に多いわけなんです。ということは、婦人の労働について、若年労働者は別として、中年以上の労働については適材適所、適職というものがあまりない、こういうことになるわけなんです。  そういう意味から、何でもいい、一時間百十円から二百二、三十円あるいは多くて二百五十円程度、こういう中での労働が進められておるわけであります。同時に、労働条件としても、労働者としてきちんと認められていない。労働時間も七時間、八時間というような形で働いていても、臨時雇いという名前ではなくて、むしろパートタイムとしての取り扱いというようなものが非常に多いわけであります。したがって、この人たちには失業保険はもちろんないし、それから定時の昇給もない。そしてまた不必要な場合にはいつでも解雇される、こういうようなことになっておるわけですが、最近のパートタイマーというものはかなり長期で働いておる。これは契約ということではなくて、口約束の中での働き方にそういう傾向が見えてまいっておるわけでありますが、こういう点について労働省としては、どのような指導をされ、またこういう労働者に対して、今後真の労働者としての位置づけをしてやろうとしていられるのか、こういう点を承りたいと思うわけであります。
  139. 原健三郎

    原国務大臣 本島先生の御質問、二つあると思います。  まず最初は、パートタイムがいま日本で非常に重要視されてきておる、その現状はどうであるか。それから、それに対して労働省はどんなことをやろうとしているか、やっているかということでございますが、女子のパートタイマーは現在約六十五万人ほどおります。年々それが増加の傾向をたどっておりまして、昭和四十二年に労働省の行なった調査の結果によると次のとおりでございます。女子のパートタイマーを雇用しておる事業所は、全事業所の約二割を占めておる。第二は、パートタイマーの一日の労働時間は、二時間未満のものからフルタイムに近いものまで種々雑多でございまして、六時間以上七時間未満のものが中でも過半数を占めております。それから賃金ですが、これも地域、産業、職種などによって一がいには言えないのですが、全般的に一般の賃金上昇に伴ってパートタイマーの賃金上昇の傾向にありますが、安いことは安いのでございます。大都市ではおおむね一時間当たりが百二十円程度という報告になっております。非常に安いほうでございます。次に、パートタイマーの雇用契約は、その内容が不明確な場合が多く、また、パートタイマーは臨時日雇い的取り扱いを受けておる者が多いなど、その雇用が不安定になるおそれがございます。  それで、そういうようなところを踏まえまして、労働省としては、今後だんだんふえてくる家庭の主婦のパートタイマーに対してどういうことをやろうとしておるか、現にやっているかということを申し上げたいのであります。特にパートタイマーについては、主要な公共職業安定所で、専門コーナー、いわゆる婦人のパートタイマーコーナーを設けて、適切な求人先を確保し、雇用条件の明確化に留意して、パートタイマーとして就職される方の保護をいたしております。なお、その安定所におきまして職場の適応指導をやってあげる、あるいは啓蒙資料の作成などをやっておるところでございます。  それから、この重要性にかんがみまして、昭和四十二年の十二月、女子パートタイム雇用に関する専門家会議というのを設置いたしまして、パートタイム雇用の諸条件整備のため、いろいろな方策について専門委員の方々の審議を願っておりました。その報告書をことしの二月十三日にいただきました。今後はこの専門家会議の報告に基づいていろいろ施策を進めていきたい、こう思っております。  その専門家会議の答申の第一は、パートタイマーの保護と労働条件の向上をはかるべきものである、こういう一項目。第二項目は、パートタイム雇用制度の整備をはかり、もって近代的パートタイム雇用を確立することというような目標を示されております。     〔渡辺(肇)委員長代理退席、委員長着席〕 この目標に向かって事業主等に対する行政指導を労働省としてやっていって、労働指導を充実強化してパートタイマーの婦人の方の保護等に当たりたい、こう思っております。
  140. 本島百合子

    ○本島委員 ただいま労働大臣に詳しく御説明いただきましたが、「女子パートタイム雇用の現状と当面の諸対策について」という本をちょうだいいたしておりまして、私もこれを見たわけでありますが、これに指摘されておることについては、労働大臣特段の配慮をもって、こうしたパートタイマーに対する措置というものをお考えいただきたいと思うわけなんです。  一つは婦人少年局長お尋ねいたしますが、婦人少年局として、こうした婦人と子供の労働の問題については非常に配慮をされておるし、また資料その他調査等については、私ども非常に敬意を表しているわけなんです。こうした中から、現在いわれておりますパートタイマーに対する労働条件というものが千差万別であろうとも、長時間にわたる労働、そしてまた長期にわたる契約、こういうものについては、健康保険なり、あるいは失業保険なり、そういうような点のめんどうもやはりある程度見てあげなければならぬ層もかなりあると思うのです。いままで、この本の中にも少しもそれが出ておりませんで、私は非常に残念だと思うのです。労働者として条件が非常に違うからということであろうと思うけれども、やはり働いておる、しかもその中で生活のためにどうしても働かなければならぬという人が半数近くいらっしゃるわけですから、こういう場合における措置というものをこの際考えてやらなければならぬのじゃないだろうか、こういうふうに思うわけなんです。この点はどうでございましょうか。特に婦人の立場から研究していらっしゃる婦人少年局長お尋ねいたします。
  141. 高橋展子

    高橋(展)政府委員 お尋ねのパートタイマーに対する社会保険の適用につきましては、先生も御指摘のように、現在では確かに、パートタイマーとして働いている御婦人で社会保険に加入しておられます率というものは、低いように見受けられるのでございます。これに対しまして、先般御報告をちょうだいいたしました専門家会議の御意見といたしましては、パートタイマーに対しましても、原則として各社会保険制度適用されるべきだ、しかし適用にあたってはパートタイマーの特性ということも配慮して慎重に検討すべきだ、このような御意見のようでございまして、パートタイマーの中には、いろいろな社会保険の要件に合わないもの、あるいは社会保険制度になじまないものもないことはないと思われます。たいへんにむずかしい問題でございますので、関係機関とよく御相談して、パートタイマーの保護、その労働条件の向上という観点から、前向きで進めるように取り計らってまいりたいと思っております。
  142. 本島百合子

    ○本島委員 その千差万別の労働の中での婦人たちですから、なおさらこういう面の対策というものは、これからの時世では最も必要なことであるし、また最も緊急を要するものではないか。そしてできるだけ通常雇用の形にパートタイマーの長時間労働者に対しては引き上げていく。あるいはまた、定時の労働者としての引き上げといいますか、導入といいますか、そういう点をくふうしていただいたらどんなものだろうか。私ども常に思うことは、たとえば一日に四時間なら四時間、五時間なら五時間、しかも何時から何時まで働けるというように、パートタイマーを使っている工場では把握しているわけなんです。ですから、これが職安等で把握されておるならば、正規労働者としての労働提供ということにもなり得るのではないか。それが、職安等ではそういうことが把握されていないので、野放しになっておるというような気がするわけなんです。こういう点について今後どういう手を打とうとされておるか。  もう一つは、四十二年の十二月二十日の新聞に出ておりました、パートタイマーを解雇いたしましたところ、裁判ではこれは不当であるということで、その賃金を払えというような判決も下っておるわけなんです。しかし、その判決の理由を読んでみますと、雇用が、初めからの約束がパートタイマーであったからということで、一カ月か、そこらあたりの賃金を払えということになっておりますが、しかしこれを見たときにも、やはり雇用関係が長期にわたっておるとか、あるいは時間的に相当長い時間――このときの人は時間が三時間くらいであったけれども長期ではあった、こういうことですが、こういうふうな判決も出ておるくらいですから、パートタイマーとして雇う場合においては、これこれだという一つの基準というか、基本と申しますか、そういうようなものをできるだけ示していかれることが必要じゃないだろうか、こう思うわけなんですが、この点いかがでしょうか。
  143. 高橋展子

    高橋(展)政府委員 パートタイム雇用につきましては、私どもは、専門家会議の先生方の御意見と同様に、パートタイマーというものは働く時間は短い、しかし労働者としての権利義務と申しますか、それは全く普通の労働者と同じものというような姿になるのが望ましいことではないか、このような基本的な考えに立っているわけでございます。そのような姿に近づけるためには、現在の状態はかなり懸隔がございますので、いろいろな施策を総合的に進めていかなくてはならないと思っているわけでございますが、まだパートタイム雇用の実態の面でも不明確な点等もございますので、なお総合的に調査、検討を進めていきたいと思います。
  144. 本島百合子

    ○本島委員 全国で数十万人のパートタイマーを把握されておる労働省としては、特にこの点力を注いでいっていただきたいと思うわけであります。  このパートタイマーよりもっと労働条件の悪い範疇に属する中に家内労働というものがあると思うわけであります。この家内労働については近く法律案も出されると聞いておりますけれども、また予算の中でもこうした従業者のための措置というものが出されておりますが、しかし、この家内労働者という人たちの賃金というものは一定していないし、それからまた労働が非常に劣悪な中にいるわけなんです。これがいままで少しも改善されずに企業家のきめる賃金で内職をしてきておった、こういうわけですが、こういう点については、これから先どういう方法を立てるならば、こういう家内労働者の労働を普通の労働者に近い線へ持っていけるかどうか。また持っていかなければならない。これがやはりパートタイマーと同じように、ある程度労働者として日の目をみる、こういう形に労働省は指導されていかなければならぬと思いますが、この点はどういうふうに考えておられますか。
  145. 原健三郎

    原国務大臣 御説ごもっともで、パートタイマーについても、また家内労働者についても、ともに正規の労働者と同様なところまでこれを引き上げていきたい、こういう趣旨でございます。昭和四十一年の十月に、家内労働対策について家内労働審議会というのに諮問いたしましたところ、昨年十二月の二十二日にその答申をいただきました。その内容は、さしあたりは家内労働に関し最も基本的な事項でかつ緊急と認められるものについて立法措置をやるべきものであるという答申でございました。緊急にして基本的なもの、これをひとつ今度法律案にいたしまして御審議を願うことにいたしております。私といたしましては、この答申に基づいて家内労働法案というものを作成いたしまして、ここ数日のうちに国会に提出する方針でございますので、そのときにはひとつよろしく御審議のほどをお願い申し上げたいと思います。  その具体的な内容は、第一、家内労働手帳というのを交付いたしまして、委託条件その他をこの家内労働手帳に明確に書いてもらう。第二は就業時間の適正化。深夜就業したりせぬように就業時間の適正化をはかっていく。第三は工賃を全額通貨による一定期日払い制にする。もういつ払うかわからぬというようなことのないように一定期日に払うようにしてもらう。第四は最低工賃制度による最低工賃の保障をいたします。それでないと、大体たたかれて安くなっておりますので。第五には安全及び衛生の確保に関する措置を考えたい。いま申したおもな点をこの法律の中に織り込んで、家内労働、内職をやっておる方々を保護していきたい、こう思っております。法律の出ましたときには、なお詳しく御審議を願いたいと思っております。
  146. 本島百合子

    ○本島委員 私どももう数年以前から、この家内労働については何とか保護立法をつくらなければということで要綱なども出したことがあるわけですが、近く出るということで心から喜んでおります。ただし、この家内労働に従事する職種と、どのくらいの人々が従事しているのか、それから、現在の物価高にあって、その人々が大体どの程度の賃金をもらっておったかということ、こういうことはある程度把握されていると思うのですが、そういう点は現状どうなっておるか。そしてなおかつ、発注する企業家というか、内職を出す人、そういう人々に対しての、賃金が不払いになったとか、あるいは非常に劣悪な条件であったとかいう場合における何らかの措置というものは、どういうふうに考えていられるか。
  147. 原健三郎

    原国務大臣 大体労働省で調べたところによりますと、家内労働をやっておる、内職をやっておられる方が大体百万人見当。賃金がパートタイマーよりもっと安いというので、大体一時間当たりにすると七十円とか八十円にしかならないとか、非常に安いのでございます。もっとこまかいことは局長から答弁させます。
  148. 和田勝美

    和田政府委員 私から事務的なことを申し上げます。  ただいま先生がお話しになりました、委託者に対してどういう手を尽くすかということでございますが、家内労働につきましては、中身が非常に複雑多岐でございます。職種も実にたくさんございまして、一律的な規制が非常に困難でありますが、その中でも共通的な問題としては、委託者から委託をする場合における条件を何らかの方法ではっきりさせるということが、保護のまず第一の手続だと思います。そういうことからいたしまして、委託者から家内労働者に対してものを委託する場合には、家内労働手帳というものを交付しまして、そこにいろいろの条件を書き込ませる。そういうようなことで、まず家内労働者のほうも、委託者のほうも条件をはっきりさせる。そういうことを、私ども行政官庁としてはいろいろの指導をいたしまして、漸次向上させる。その際には、家内労働は、いま申しましたように非常に複雑でございますので、関係の委託者とか関係家内労働者の方々の意見を十分に伺いながらやっていく必要があると思いますが、それにつきましては、特別の審議会を設けまして、この席でいま申したようなことについては意見を反映します。無理な姿ではやれるものではないと思いますので、漸進的なことでやっていきたい、かように考えております。
  149. 本島百合子

    ○本島委員 最後に要望いたしますが、ほんとうに中高年齢の婦人の労働なんです。職場を長く離れていて、また家庭の事情から働こうとする人々が、内職とかパートタイマーをやる。そしてその職種がいままで、生命保険の外交員だとか、掃除婦だとか、さら洗いだとか、大体こういうふうな仕事に限られておるような状況であります。しかし婦人はかなり職業的には訓練されてきた年代もある。その個人にとってはそうなんですが、そういうふうな人の再開発といいますか、そうした劣悪な仕事だけではなくて、もっと高度な仕事の面でもこの婦人たちがどんどん働くことができ得るような措置、ひとつこういうことをきめていっていただきたいと思うのです。ということは、ほんとうに労働に従事する婦人、家庭にあってなおかつ労働に従事する婦人がますますふえてまいった今日の状況の中では、これはもう労働省としては一番に取り上げてもらわなければならぬと思います。外国に参りましたときには、婦人たちが年老いても働いておる。あなたは生活のために働くのですかと言ったら、いいえ健康のために働いているのです、私どもは年金が日本円にして五万円から七万円ありますから働かなくてもいい、けれども労働力が不足しておる今日では、一つは自分の健康、一つは社会のために働いているのだという、その誇らしげな、そうして、ほんとうにおばあちゃまでありながらもこんな若さがあるかと思うぐらいに、はつらつとした婦人たちを見てきた私どもにすれば、日本の産業構造というものがそういうふうにいっていない。だからこれがいまの労働力不足の一番の大きな原因をなしているのではないかとも思うわけですから、この点、特段の研究と、そして計画性のある労働雇用というような面に、今後も一そうの力を注がれることを要望いたすわけであります。  これをもって私の質問を終わらしていただきます。
  150. 森田重次郎

    森田委員長 大橋敏雄君。
  151. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 私はこれから、法律の盲点といいますか、その矛盾の谷間に置かれて、暗い職務を遂行している職員、それは消防職員のことでありますが、その実態を二、三取り上げまして、その改善を要望するための質問をいたします。  わが国の消防署設置は、大正八年七月十六日、特設消防署規程が公布されまして、その規程のもとに内務省令で全国的に統一かつ平等な官設消防として運営されてきたわけでありますが、昭和二十三年三月七日、米国の指示に従いまして、消防組織法で官設消防から全国的に自治体消防に移管されたわけであります。それ以来、労働三権の制限を受けるなどもあわせまして、消防行政というのは治外法権的な処遇にあると思えるのであります。  そこで、消防庁の総務課長さん、あるいは労働基準局長、また大臣お尋ねしたいのでありますが、一般の市の職員と消防職員は、同じ地方公務員という身分にありながら、一方では、当局と交渉が持てる、諸条件を有利にし、その向上発展をはかることができるというのに比べまして、消防職員は労働三権が制限されている。いわゆる人事委員会への申告のみができるようになっております。しかしながら、この人事委員会というのは市当局機関であります。いわゆる理事者側の立場でありまして、この諸条件が不問に付されるという事実が多いのであります。したがいまして、労働基準法百四条の「監督機関に対する申告」、これは消防職員に当てますと、死文にひとしい、死文になっている、私はこう思うのでありますが、この点について改善する意思はないか、お尋ねいたします。
  152. 宇土條治

    ○宇土説明員 ただいまの御質問の点につきましては、地方公務員法によりまして、警察職員と消防職員につきましては、労働三権が認められないという体制になっております。これはいろいろむずかしい問題があるのでありますが、私どもといたしましては、警察職員と消防職員は勤務の体系が似ておるというところから、目下のところは、いまのままの法律の体制で進みたいと、かように思っております。
  153. 和田勝美

    和田政府委員 労働省といたしましては、いま消防庁のほうから御説明がございましたが、地方公務員である消防職員につきましては、監督権が全部人事委員会に地方公務員法五十八条によって移されております。ただ、全体的な労働条件の確保ということからいたしますと、私どもとしても十分関心を持っておることは申すまでもございませんので、自治省とも今後とも十分に連絡をとりながら、地方公務員の方の労働条件が基準法に定められておる条項の適用がございますので、それが確保されるようなことをお願いしていきたい、かように考えております。
  154. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いまの説明のとおり、人事委員会にのみ申告が許される、しかも労働三権が制限を受けているという、非常に矛盾したといいますか、かわいそうな立場にいるわけです。  事実、私、北九州の一例をあげますと、たとえば、四十一年五月十七日に消防職員のほうから人事委員会に、「北九州市消防職員の給与格差の是正について」という要求事項を提出したわけです。ところが、それが一年八カ月ぐらいおくれて、四十三年一月八日に人事委員会からの判定文が返ってきております。いろいろ書いてありますが、最終的結論は、「したがって、要求者の要求は現在のところ認めることはできない」。あるいは四十二年二月二十四日には、「特殊勤務手当支給の実施について」、あるいは「超過勤務手当支給内容の適正化について」、その他「祝日及び休日に対する勤務の取り扱いについて」等、八項目にわたって要求事項を提出しております。それに対して人事委員会は、四十三年二月十三日に「要求者の要求はいずれも認めることはできない」。また四十二年九月十八日、これも休日取り扱いの格差是正についての要求が出されておりますけれども、四十三年二月十三日に「要求者の要求はいずれも認めることはできない」。また、四十一年八月十五日、同月十九日に八項目にわたっていろいろな要求事項が行っておりますが、これまた四十二年九月十八日に「その他の要求者の主張は認めることができない」。あるいはまた四十一年五月十七日、これも隔日勤務に従事する職員の勤務時間の確立と是正について要求があっておりますが、四十二年九月十八日、「要求者の要求は認めることができない」。とにかく全く要望が満たされないわけですね。あってなきようなものなんです。確かに地方公務員法の第五十二条には職員団体の組織の項がありまして、この中に、消防職員と警察官は職員団体の結成、加入ができない、こうありますけれども、私は、この「消防職員」の文字を抹消すべきではないか、こう思うのです。これに対して労働大臣はどうお考えになりますか。
  155. 大塚達一

    ○大塚説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。  実は地方公務員法につきましては、労働省の所管ではなく自治省の所管でございますが、全般的な労使関係という問題からお答え申し上げますと、まず、先生のおっしゃいますように、人事委員会が十分にその職責を果たしていない、そのことのために、本来守られるべき消防職員の労働条件というものが十分に守られていないという御趣旨のようでございます。この問題につきましては、やはり法律が予定しておりますのは、人事委員会は県ないしは市町村当局とは独立の立場に立って、第三者としての判定を下し意見を下すというところに本来の法の精神があるわけでございまして、法自体は決してそういう事態を予定しているものとは私ども考えておりません。したがいまして、法律どおりの執行が期待されるような運営を、実は運営の面で改善する余地があるのではないかというのが、最も現行法の制度の中で実現をし得ることではないかと思います。  ただ、その問題につきましても、いろいろ具体的には問題があろうかと思います。同時に、先生のおっしゃるような、団体交渉を通じて労働条件の確保をはかっていくというような方法もあるではないかという御意見に対しましては、そういうのも一つの解決ではあろうかと存じます。ただ、これは現在御承知のように、また先生いまお話しのように、団結権自体が禁止されておるような状態では、それを期待することはおそらく――まず団結権の問題にいくわけでございます。これは基本的な労使関係の、いわば公務員の基本的な問題でございます。このような労使関係の基本的な問題について、いまここでとやかく申し上げるよりは、むしろ現実の問題といたしましては、それらの問題を現在公務員制度審議会で政府の諮問に応じて検討中でございます。で、そのような公制審の答申をまってこれらは処理さるべきものと思いますが、その間にあってなお、いま申し上げましたように、現在の制度の中でも逐次改善すべきいわば余地があるのではないか、直ちにそちらに問題がいかなくても解決できるのではないかというような感じを持っておりますので、現行の制度の中での解決を何とかはかっていけないだろうかというのが、一つの私ども考え方でございます。
  156. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 大臣お尋ねしますが、スト権はこれは無理だということはわかります。少なくとも団体交渉権ですね、これは与えるべきだと思うんですが、大臣はどう思われますか。
  157. 原健三郎

    原国務大臣 これは非常に重大なことでございまして、いま私のほうの管轄ではございませんけれども、幸いに公務員制度審議会の答申待っておるそうでございますから、その答申が出た段階においては、自治省の考えもあるし、労働省も考えを申し上げて御期待に沿うようにいたしたい、こう思っております。
  158. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 時間がございませんので次に移りますが、矛盾の実態を二、三あげますけれども、消防職員の勤務時間、それから勤務条件に関することでございます。  現在、消防職員は日勤職員と隔日勤務職員に分かれておるわけです。日勤職員は、いわゆる司令補、係長でしたかね、それ以上の幹部で、すべての条件は一般市職員と同じ。ところが、隔日勤務員は、士長以下、いわゆる下級職員ですね。警備隊員として平常は日勤職員と同じような業務に服している。災害発生時は第一出動隊として第一線で活躍するわけであります。そこで、隔日勤務職員は官設消防時代より、いわゆる隔日二十四時間制、これが行なわれてきているわけです。現在もそのとおりであると思いますが、この点について変わりはありませんか。
  159. 宇土條治

    ○宇土説明員 現在、警防、予防という大きな分け方をしておりますが、警防関係……。
  160. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 要点だけでいいですから……。
  161. 宇土條治

    ○宇土説明員 現在も、一部では三交代ですが、隔日勤務をやっております。
  162. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 北九州の例をとりますと、一週間の拘束七十二時間、実働四十二時間、休憩三十時間。一当務は九時から翌日の九時までで、拘束時間が二十四時間であります。実働が十四時間。この十四時間は賃金の対象になっている。休憩十時間、これは無給だ。実際は、消防行政の使命、その運営上から見ますと、その性格から見ますと、二十時間は当然拘束時間であらねばならない。したがいまして、実働十四時間として、その十四時間のみ賃金を支給している、あとの十時間は全く手当も支給されないというのは矛盾ではないか、このような考えを持つわけであります。労働省といたしまして、このような賃金の支給のあり方というものに対してどう考えられるか。  もう一つつけ加えますと、その十四時間の実働時間ですが、その内容も、何時から何時までは何をした、何時から何時までは何を行なったという明細な報告書を出さなければならぬそうです。十四時間に少しでも切れると賃金カットをされるわけですね。ところが日勤職員は、市職員と同じように、こういう明細報告もなければ、そういう処遇にはあわない。私はこれ自体も差別待遇であるように感ずるのですが、この点についてお二人からお答え願いたいと思います。
  163. 宇土條治

    ○宇土説明員 実働十四時間に対してのみ賃金を払うことにつきましては、これはその分がいわゆる時間外手当的なものでありますので、そうして休憩時間が仮眠その他で休んでおりますので、やむを得ないのではないかと思います。ただし十四時間をこえて災害出動をするような場合には、当然にその分は払うべきだと思っております。それから内容の明細報告など、きびしいようでございますが、これは私ども実態をよくつかんでおりませんのですが、給与関係の支払いなので、その間を厳正に申告させたいという趣旨かと思います。ただしかし、御質問のように、差別待遇をするというような、そういった気持ちがあるとするならば、これはいけないことでありますので、給与支払い上の厳正な措置であるかどうか、それであればやむを得ないと思います。
  164. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それならば日勤者にも実施すべきではないですか。隔日勤務者のみにそういうふうな措置を講じておるというのはどういうわけですか。
  165. 宇土條治

    ○宇土説明員 日勤者についても、たてまえとしては私は厳密にやるべきだと思います。たとえば超過勤務手当のような場合には、やはり超過勤務の実態がはっきりと申告される、それに対して支払うというのがたてまえである、かように思います。
  166. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 消防職員の隔日勤務者は二十四時間が拘束待機時間でございますので、むしろそういうのは要らないのではないかというくらいの気持ちを私は受けるわけです。これは大いに検討してもらって、善処してもらいたいと思います。  同時に、先ほどおっしゃいましたように、十四時間の実働時間には賃金が支給されるけれどもあとの十時間の休憩時間は無給だ。これは当然だろうというような言い方をされますけれども、仮眠時間の取り扱いについても、労働基準法の施行に伴って、県知事通達、県消防課長通達をもって、消防隔日勤務職員は拘束待機を受けているので、睡眠時間も単なる休憩時間とせず、労働時間の一部とみなして手当を従来支給していたというのです。ところが北九州市の場合も、三十二年三月までは支給しておって、四月以降これが廃止になっておるのです。ところが、隔日勤務者の業務内容というのは、従来とちっとも変わっていないのですから、まことに不可解でなりません。これはどういうわけですか。
  167. 宇土條治

    ○宇土説明員 御指摘の事実、実は私ども把握しておりませんので、よく調査をいたしまして、是正すべき点がありましたら、適当な指導をいたしたいと思います。
  168. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 労働省の立場から、いまのような実態があった場合、これはどう思われますか。従来は手当が支給されておった。その内容は何も変わらないのに、三十二年四月以降それが廃止になった。これについてはどうお考えになっておるか。
  169. 和田勝美

    和田政府委員 いま消防庁のほうからお答えをいたしましたように、私どもも実態を全く把握いたしておりませんので、正確なお答えを申し上げるべき段階ではございませんが、先生のいまのお話のとおりであるとすれば、何らかの理由がなければ、そういうことをするのはおかしいじゃないかという印象を持っております。
  170. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いまのお答えどおり、おかしいのですよ。徹底的に追及して是正してもらいたいと思います。  それから、たとえば十四時間を職務に専念する義務時間と規定するならば、十四時間以後は勤務交代要員を補充するとか、あるいは十四時間を超過した場合は時間外勤務として処理をすべきである、私はそう思うのですが、先ほどあなたは、何だか十四時間以外に働いた分は特別手当が支給されておるというような答弁をなさいましたけれども、現実は十四時間の中で四時間は相殺されておりますよ。かりに夜中に二時間、三時間出動しますね。それは当然十四時間の中で、働いておる時間の中で相殺されておるのですよ。実際、仮眠で居残りしておった職員のほうが、危険なことにもあわないで、働かないで優遇されておる結果になる。出動した者はあぶない目にあい、しかもそれだけ働いたにもかかわらず書類上で相殺されておるわけです。これは矛盾だと思うが、どうですか。
  171. 宇土條治

    ○宇土説明員 実態をよく調査をいたしまして、適切な指導をいたしたいと思います。基本的には、私ども、ただいま御質問のありました労働三権がないという実態を踏まえまして、あったならばこうしてもらいたいと思っておるであろうことを、先手を打って処遇改善をいたしたいという基本態度でおりますので、適切な指導をいたしたいと思います。
  172. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 時間がございませんから次に移りますが、勤務時間の比較の問題ですけれども、日勤者と隔日勤務者、これは年間を通じますと、隔日勤務者のほうが二カ月よけい働いておりますよ。読み上げてもいいのですが、時間がありませんから申し上げませんが、年間約二カ月、実働時間においては約一週間、休憩もなく賃金の対象にならない、無報酬で余分に働いているという矛盾がございます。むしろ隔日勤務者は、当一務二十四時間中常に災害出動体制下にあらねばならない状態でありますし、心身の緊張、身体の疲労は特筆すべき条件下にあると私は思います。したがいまして、拘束待機手当というものは、これは当然何らかの姿で与えられるべきだ、こう思うのですが、大臣、この点についての所見をお願いします。
  173. 原健三郎

    原国務大臣 御趣旨のほうはよくわかっておるのですが、実際にどうなっているかという現場のことを把握しておりませんので、さいぜんから答弁いたしておりますように、御趣旨の点はよくわかりますが、実態をよく調査しまして、もしいろいろな手違い、いろいろな不公平等々ありましたときには、自治省とも連携して善処いたしたいと思います。
  174. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 次にいきますが、労働基準法三十五条には休日の項がございますが、市職員、日勤職員は法令どおり適用されております。ところが隔日職員は、いま言いました職務の性質上、全員休業というわけにはまいりませんけれども、しかしそうかといって、この休日を、一部の職員は勤務を要しない日、いわゆる日曜日扱い処理されておりますので、これも私は矛盾ではないかと思うのです。つまり祝日の日に労休に充当したりしているわけです。これは労働省としてどう思いますか。
  175. 和田勝美

    和田政府委員 先生御指摘のように、基準法の三十五条には休日の規定がございまして、一週間に一日の休日または四週間を通じて四日の休日ということになっております。いま御指摘の、北九州の場合の休日の規程がどうなっておるのか承知をいたしておりませんが、もしいま申しました法律の規定に違反をしているようであれば、是正をしなければならないと思いますが、この法律の規定に違反をせず、それ以上の問題につきましては、労使で話し合いをしたり、あるいは――この場合は労使という観念が成立いたしませんので、人事委員会処理におまかせをしたい。いま先生の御指摘の点につきましては、体系をちょっと承知いたしかねますので、何ともお答えいたしかねます。
  176. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 大事な労働者の味方である労働省の皆さんがこのような実態を知らないというのは、先ほど言いました地方公務員法の内容の中の、「警察職員及び消防職員は」という「消防職員」を削ればいいのですよ。そうすればこの実態が明らかになってくる、私はそのように思います。これは先ほど大臣がおっしゃったように、本気になって検討してもらいたいですね。  それから、隔日職員は一斉の休日がとれない、これはわかります。だけれども、全員に代休を与えるとか、あるいは休日勤務として休日勤務手当を支給してそれを処理していく、これが私は平等であろうと思います。消防庁の総務課長さん、その点はそう思いませんか。
  177. 宇土條治

    ○宇土説明員 一般の職員との差をなくすということが理想だと思いますが、勤務の実態ということがありますので、そこをどのように運営していくかということであります。現実のことを私ちょっと承知いたしておりませんが、自治省としましては、できるだけ職員をふやしていくということの中で、もっと一般との差をなくすることができるのではないかというような角度もありまして、たとえば地方交付税で人をふやすというようなことを考慮いたしております。
  178. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 労働基準法は二十二年四月ですね。ところが国民の祝日に関する法律は、約一年後の二十三年七月二十日にできているわけですよ。ここら辺にいまのような矛盾が出てくるのではないかと思うのです。この点もあわせて本気になって検討をし是正してもらいたいと思いますが、大臣どうですか。
  179. 原健三郎

    原国務大臣 御趣旨の点よくわかりましたので、北九州の実態をよく調査して、誠意をもって善処いたしたいと思っております。
  180. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いまの問題は、北九州だけでなくして、消防職員全体に関係する問題でありますので、その趣旨で検討を進めてもらいたいと思います。  次に移りますが、労働基準法の三十七条に時間外、休日及び深夜の割増賃金の項がございます。また労働基準法施行規則第十九条に割増賃金の項がありますが、その公式を見ますと、分母に五十二かける一週間の実働時間、分子に本俸プラス調整手当かける十二、これで一時間の時間外単価が出されるようになっております。私が非常に不可解に思うのは、分母のほうに一間週の実働時間が置かれているわけですよ。これはよけいに働けば働くほど損な立場になる。つまりこの公式では、分母の実働時間が長い者は単価が低くなり、短い者は単価が高くなるという不合理があると思うのです。そう思われませんか。分母のほうに五十二かける一週間の実働時間になっていますよ。
  181. 和田勝美

    和田政府委員 割増賃金につきましては、法律の規定もございますし、施行規則にもございますように、所定の労働時間を越えた分につきましては一時間当たり二割五分、休日と重なりますと五割の割増賃金を出すということになっておりますが、実働時間が所定の時間との関連でふえれば手当はふえるようなことになっているはずでございます。
  182. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それがならぬのですよ。
  183. 和田勝美

    和田政府委員 計算方式をいまちょっと調べてみますから、お待ち願いたい。
  184. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 時間がありませんから次の問題にいきます。  消防隔日職員の実働時間の先ほどの相殺の問題。もう一回言いますが、一当務二十四時間ですね。実働十四時間、休憩が十時間。災害出動で十四時間を超過した場合は、はっきり言いますと、十八時から二十時までの二時間と、それから翌朝の六時から八時までの二時間、計四時間、これを休憩待機という名目で命令するのです。つまり、夜中に三時間なら三時間出動したら、いまの時間内で休め、休憩待機という名目で寝ろというわけです。そして相殺するわけですね。機械じゃあるまいし、災害から帰ってきたら、さあ寝ろといってばっと寝られるもんですか。こういうばかばかしいことが現実に行なわれているのですよ。その四時間をこえたときには、正規の勤務時間外勤務として時間外勤務カードが起こされて処理をされている。さてこの算定方式を見ましても、たとえば、夜中に災害出動した職員が、仮眠中の職員に比べて余分に働いた上相殺されるという、先ほど言った矛盾があるわけですね。この問題について課長さんどう考えられますか。
  185. 宇土條治

    ○宇土説明員 勤務関係の基本的な定めを取り寄せてみました上で、適正な指導をさしていただきたいと思います。
  186. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 もう時間がございませんので、それは詳しくまたの機会で報告してもらいたいと思います。いいですね。
  187. 森田重次郎

    森田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時五十一分散会