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1969-02-27 第61回国会 衆議院 社会労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月二十七日(木曜日)委員会にお いて、次の通り小委員及び小委員長選任した。  障害者対策小委員       世耕 政隆君    橋本龍太郎君       広川シズエ君    渡辺  肇君       西風  勲君    山本 政弘君       本島百合子君    大橋 敏雄君  障害者対策小委員長      橋本龍太郎君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十四年二月二十七日(木曜日)     午前十時十三分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 澁谷 直藏君 理事 竹内 黎一君    理事 谷垣 專一君 理事 橋本龍太郎君    理事 渡辺  肇君 理事 河野  正君    理事 田邊  誠君 理事 田畑 金光君       海部 俊樹君    藏内 修治君       齋藤 邦吉君    高橋清一郎君       藤本 孝雄君    枝村 要作君       加藤 万吉君    西風  勲君       平等 文成君    八木 一男君       山田 耻目君    山本 政弘君       本島百合子君    大橋 敏雄君       關谷 勝利君  出席国務大臣         労 働 大 臣 原 健三郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君  出席政府委員         総理府人事局長 栗山 廉平君         経済企画政務次         官       登坂重次郎君         労働大臣官房長 岡部 實夫君         労働省労政局長 松永 正男君         労働省労働基準         局長      和田 勝美君  委員外出席者         経済企画庁総合         開発局参事官  塙阪 力郎君         経済企画庁総合         開発局東北開発         株式会社監理官 下山 修二君         外務省アメリカ         局外務参事官  大河原良雄君         労働省労働基準         局安全衛生部労         働衛生課長   伊集院兼和君         専  門  員 濱中雄太郎君     ――――――――――――― 二月五日  委員西村直己辞任につき、その補欠として船  田中君が議長指名委員選任された。 同月六日  委員船田中辞任につき、その補欠として倉石  忠雄君が議長指名委員選任された。 同月十日  委員八木一男君及び伏木和雄辞任につき、そ  の補欠として山中吾郎君及び矢野絢也君議長  の指名委員選任された。 同日  委員山中吾郎辞任につき、その補欠として八  木一男君が議長指名委員選任された。 同月十三日  委員矢野絢也君辞任につき、その補欠として伏  木和雄君が議長指名委員選任された。 同月十四日  委員箕輪登辞任につき、その補欠として西村  直己君が議長指名委員選任された。 同月十五日  委員広川シズエ君及び八木一男辞任につき、  その補欠として灘尾弘吉君及び山中吾郎君が議  長の指名委員選任された。 同日  委員灘尾弘吉君及び山中吾郎辞任につき、そ  の補欠として広川シズエ君及び八木一男君が議  長の指名委員選任された。 同月十七日  委員早川崇君及び広川シズエ辞任につき、そ  の補欠として海部俊樹君及び川崎秀二君が議長  の指名委員選任された。 同日  委員川崎秀二辞任につき、その補欠として  広川シズエ君が議長指名委員選任され  た。 同月二十日  委員広川シズエ辞任につき、その補欠として  小坂善太郎君が議長指名委員選任された。 同日  委員小坂善太郎辞任につき、その補欠として  広川シズエ君が議長指名委員選任され  た。 同月二十二日  委員伏木和雄辞任につき、その補欠として矢  野絢也君議長指名委員選任された。 同月二十五日  委員広川シズエ辞任につき、その補欠として  灘尾弘吉君が議長指名委員選任された。 同日  委員灘尾弘吉辞任につき、その補欠として広  川シズエ君が議長指名委員選任された。 同月二十六日  委員島本虎三君及び八木一男辞任につき、そ  の補欠として楢崎弥之助君及び阪上安太郎君が  議長指名委員選任された。 同日  委員阪上安太郎君及び楢崎弥之助辞任につ  き、その補欠として八木一男君及び島本虎三君  が議長指名委員選任された。 同月二十七日  委員八木一男辞任につき、その補欠として川  崎寛治君が議長指名委員選任された。 同日  委員川崎寛治辞任につき、その補欠として八  木一男君が議長指名委員選任された。 同日  理事田川誠一君同日理事辞任につき、その補欠  として橋本龍太郎君が理事に当選した。     ――――――――――――― 二月十九日  原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第一三号)  戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す  る法律案内閣提出第三五号) 同月五日  国民年金制度改善に関する請願福田篤泰君  外二名紹介)(第二四一号)  同(亀山孝一紹介)(第三三九号)  日本沿岸沈没艦船調査に関する請願田中正  巳君紹介)(第二四二号)  同(長谷川峻紹介)(第二四三号)  同(臼井莊一君紹介)(第三二四号)  同(亀山孝一紹介)(第三二五号)  同(橋本龍太郎紹介)(第三二六号)  同(金子岩三紹介)(第四三〇号)  同(倉石忠雄紹介)(第四三一号)  同(小坂善太郎紹介)(第四三二号)  同(佐々木義武紹介)(第四三三号)  同(西村英一紹介)(第四三四号)  同(福田篤泰紹介)(第四三五号)  同(八木徹雄紹介)(第四三六号)  血友病児童福祉に関する請願中垣國男君紹  介)(第二四四号)  終戦外地死没満蒙開拓者処遇に関する請願  外一件(中澤茂一紹介)(第二四五号)  同外二件(小川平二紹介)(第三三一号)  同外一件(小坂善太郎紹介)(第三三二号)  同外二件(増田甲子七君紹介)(第三三三号)  同(荒舩清十郎紹介)(第三八七号)  出産費健康保険適用に関する請願(西尾末廣  君紹介)(第二四六号)  同(池田禎治紹介)(第二四七号)  同(受田新吉紹介)(第二四八号)  同外三件(小沢貞孝紹介)(第二四九号)  同(玉置一徳紹介)(第二五〇号)  同(春日一幸紹介)(第二八〇号)  同(塚本三郎紹介)(第二八一号)  同(本島百合子紹介)(第二八二号)  同(吉田泰造紹介)(第二八三号)  医療保険制度改悪反対及び医療保障確立に関す  る請願(只松祐治紹介)(第二五一号)  医療保険制度改悪反対等に関する(願請大柴滋  夫君紹介)(第二五二号)  同(岡本隆一紹介)(第二五三号)  同(河上民雄紹介)(第二五四号)  同(成田知巳紹介)(第二五五号)  同(堀昌雄紹介)(第二五六号)  同(井手以誠君紹介)(第三二一号)  同(大出俊紹介)(第三二二号)  同(山崎始男紹介)(第三二三号)  日雇労働者健康保険制度改善等に関する請願  (加藤勘十君紹介)(第二五七号)  同(楯兼次郎君紹介)(第二五八号)  集団給食施設栄養士必置等に関する請願(内  海英男紹介)(第二七五号)  同(金丸徳重紹介)(第四二九号)  厚生年金保険及び国民年金制度改善に関する  請願小峯柳多君外二名紹介)(第二七六号)  同(草野一郎平紹介)(第二七七号)  国民年金等改善に関する請願外一件(小山長  規君紹介)(第二七八号)  同(徳安實藏紹介)(第二七九号)  同外百二十一件(橋本龍太郎紹介)(第三二  七号)  同(野田卯一紹介)(第三二八号)  慢性一酸化炭素中毒症患者労働災害補償等に  関する請願本島百合子紹介)(第二八四  号)  山村へき地医療対策に関する請願外十件(早  川崇紹介)(第三二九号)  同(毛利松平紹介)(第三三〇号)  同(坂本三十次君紹介)(第四二四号)  同(田中正巳紹介)(第四二五号)  同(野原正勝紹介)(第四二六号)  同(保利茂紹介)(第四二七号)  同(松野頼三君紹介)(第四二八号)  大山隠岐国立公園名称変更に関する請願(亀  山孝一紹介)(第三四〇号)  岡山県の毒ガ防除費助成に関する請願亀山孝  一君紹介)(第三四一号)  山村へき地公立病院に対する国庫補助に関する  請願相川勝六紹介)(第四二一号)  山村へき地における医療対策に関する請願(相  川勝六君紹介)(第四二二号)  同外二件(世耕政隆紹介)(第四二三号) 同月十二日  国民年金制度改善に関する請願大橋武夫君  紹介)(第四六五号)  日本沿岸沈没艦船調査に関する請願小泉純  也君紹介)(第四六六号)  同(田中夫君紹介)(第四六七号)  同(大久保武雄紹介)(第五七二号)  同(瀬戸山三男紹介)(第五七三号)  国民年金等改善に関する請願大村襄治君紹  介)(第四六八号)  同外一件(小山長規紹介)(第四六九号)  同外十件(竹内黎一君紹介)(第四七〇号)  同(早川崇紹介)(第四七一号)  同(坊秀男紹介)(第四七二号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第四七三号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第五七九号)  同(赤澤正道紹介)(第六四三号)  健康保険法改悪反対に関する請願田中武夫  君紹介)(第四七四号)  療術の新規開業制度に関する請願永山忠則君  紹介)(第四七五号)  山村へき地における医療対策に関する請願(坊  秀男紹介)(第四七六号)  山村へき地医療対策に関する請願外一件(坊  秀男紹介)(第四七七号)  同(佐々木秀世紹介)(第五六八号)  老人福祉の強化に関する請願西村英一君紹  介)(第四七八号)  社会保障制度充実に関する請願葉梨信行君  紹介)(第四八六号)  終戦外地死没満蒙開拓者処遇に関する請願  (池田正之輔君紹介)(第五六九号)  同(田畑金光紹介)(第五七〇号)  同外一件(羽田武嗣郎紹介)(第五七一号)  医療保険抜本改悪反対に関する請願後藤俊  男君紹介)(第五七四号)  同(本島百合子紹介)(第五七五号)  同(平等文成紹介)(第五七六号)  同(米田東吾紹介)(第六二一号)  老齢年金増額に関する請願受田新吉君外一名  紹介)(第五七七号)  医療保険制度改悪反対に関する請願神近市子  君外一名紹介)(第五七八号)  児童手当制度実現に関する請願矢野絢也君紹  介)(第五九五号)  同(浅井美幸紹介)(第五九六号)  同(石田幸四郎紹介)(第五九七号)  同(田中昭二紹介)(第五九八号)  同(伏木和雄紹介)(第五九九号)  同(正木良明紹介)(第六〇〇号)  同(渡部一郎紹介)(第六〇一号)  衛生検査技師法に関する請願田中榮一君紹  介)(第六一七号)  清掃事業地方自治体直営化による転廃業者の  補償救済に関する請願三原朝雄紹介)(第  六一八号)  調理師必置等に関する請願古川丈吉君外二  名紹介)(第六一九号)  厚生年金保険及び国民年金制度改善に関する  請願瀬戸山三男紹介)(第六二〇号)  集団給食施設栄養士必置等に関する請願(内  田常雄紹介)(第六二二号)  同(小川半次紹介)(第六二三号)  同(小坂善太郎紹介)(第六二四号)  同(田村良平紹介)(第六二五号)  同(西岡武夫君紹介)(第六二六号)  同(坊秀男紹介)(第六二七号)  同(三原朝雄紹介)(第六二八号)  同(渡辺美智雄紹介)(第六二九号)  同(赤澤正道紹介)(第六四四号)  同(折小野良一紹介)(第六四五号)  同(亀山孝一紹介)(第六四六号)  出産費健康保険適用に関する請願外五件(稻  富稜人君紹介)(第六四七号)  同(河村勝紹介)(第六四八号) 同月十八日  山村へき地における医療対策に関する請願(塚  田徹紹介)(第六七九号)  同外五件(早川崇紹介)(第六八〇号)  同(中谷鉄也君紹介)(第七二二号)  国民年金制度改善に関する請願池田清志君  紹介)(第六八一号)  出産費健康保険適用に関する請願外九件(稻  富稜人君紹介)(第六八二号)  国民年金等改善に関する請願外一件(奥野誠  亮君紹介)(第六八三号)  同(上林榮吉紹介)(第七二一号)  同(上林榮吉紹介)(第七五九号)  同(上林榮吉紹介)(第七八八号)  同(相川勝六紹介)(第八二〇号)  同外一件(遠藤三郎紹介)(第八二一号)  同(久野忠治紹介)(第八四八号)  医療保険抜本改悪反対に関する請願阿部助  哉君紹介)(第六八四号)  同(枝村要作紹介)(第六八五号)  同(中澤茂一紹介)(第六八六号)  同(中村重光紹介)(第六八七号)  原爆被災者援護に関する請願外三件(中村重光  君紹介)(第六八八号)  同(倉成正紹介)(第七六〇号)  日本沿岸沈没艦船調査に関する請願池田清  志君紹介)(第六八九号)  同(亀岡高夫君紹介)(第六九〇号)  同(齋藤邦吉紹介)(第六九一号)  同(田川誠一紹介)(第六九二号)  同(細田吉藏紹介)(第七九〇号)  同(上林榮吉紹介)(第八三四号)  同(永山忠則紹介)(第八三五号)  集団給食施設栄養士必置等に関する請願(田  村元君紹介)(第七二三号)  同(永江一夫紹介)(第八一八号)  同(山下榮二紹介)(第八一九号)  同(山下元利紹介)(第八四九号)  児童手当制度実現に関する請願(有島重武君紹  介)(第七三八号)  同(伊藤惣助丸君紹介)(第七三九号)  同(小川新一郎紹介)(第七四〇号)  同(大野潔紹介)(第七四一号)  同(近江巳記夫紹介)(第七四二号)  同(小濱新次紹介)(第七四三号)  同(斎藤実紹介)(第七四四号)  同(鈴切康雄紹介)(第七四五号)  同(中野明紹介)(第七四六号)  同(広沢直樹紹介)(第七四七号)  同(松本忠助紹介)(第七四八号)  医療保険制度改悪反対及び医療保障確立に関す  る請願外一件(畑和紹介)(第七五八号)  同外十四件(小林信一君紹介)(第七八九号)  山村へき地医療対策に関する請願小川平二  君外一名紹介)(第七六一号)  未帰還者調査及び留守家族援護に関する請  願(永江一夫紹介)(第八一七号)  保育予算増額に関する請願松本善明紹介)  (第八二二号)  同(谷口善太郎紹介)(第八二三号) 同月二十一日  医療保険制度充実に関する請願小沢貞孝君紹  介)(第九〇七号)  同(下平正一紹介)(第九〇八号)  同(中澤茂一紹介)(第九〇九号)  同(原茂紹介)(第九一〇号)  同(平等文成紹介)(第九一一号)  国民年金制度改善に関する請願小沢貞孝君  紹介)(第九一二号)  同(下平正一紹介)(第九一三号)  同(中澤茂一紹介)(第九一四号)  同(原茂紹介)(第九一五号)  同(平等文成紹介)(第九一六号)  医療保険抜本改悪反対に関する請願加藤万  吉君紹介)(第一〇九三号)  同外二件(河野正紹介)(第一〇九四号)  集団給食施設栄養士必置等に関する請願(金  丸信紹介)(第一〇九五号)  山村へき地における医療対策に関する請願外三  件(早川崇紹介)(第一〇九六号)  同(本名武紹介)(第一〇九七号)  同(山口喜久一郎紹介)(第一〇九八号)  山村へき地医療対策に関する請願山口喜久  一郎紹介)(第一〇九九号) は本委員会に付託された。     ―――――――――――――  児童手当制度早期実現に関する陳情書外二十  二件  (第三一号)  医療保険制度改善に関する陳情書外一件  (第三二号)  医療労働者の増員及び看護婦夜勤改善に関す  る陳情書(第三三  号)  国民健康保険制度改善に関する陳情書  (第三四号)  国民年金法の一部改正に関する陳情書  (第三五号)  心身障害児(者)扶養共済制度確立に関する陳  情書(第三六号)  重症、重度心身障害児(者)対策に関する陳情  書  (第三七号)  スモン病患者救済に関する陳情書  (第三八号)  医療保険制度における分べんの医療給付適用に  関する陳情書(  第四〇号)  失業保険法の一部改正等に関する陳情書外一件  (第四一号)  失業保険法の一部改正反対に関する陳情書外二  件(第四  二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任  の件  労働関係基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 森田重次郎

    森田委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任及び補欠選任についておはかりいたします。  理事田川誠一君から理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次に、その補欠選任を行ないたいと存じますが、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認め、理事橋本龍太郎君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 森田重次郎

    森田委員長 次に、小委員会設置に関する件についておはかりいたします。  障害者対策樹立のため、小委員八名よりなる障害者対策小委員会設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長選任につきましては、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  では、障害者対策小委員に       世耕 政隆君    橋本龍太郎君       広川シズエ君    渡辺  肇君       西風  勲君    山本 政弘君       本島百合子君    大橋 敏雄君を指名し、小委員長には橋本龍太郎君を指名いたします。  なお、委員辞任に伴う小委員及び小委員長辞任の許可並びにその補欠選任につきましても、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  9. 森田重次郎

    森田委員長 次に、労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。西風勲君。
  10. 西風勲

    西風委員 二月の初旬に大阪で起こりました加鉛ガソリン問題に関する実情についてどういうようにつかんでおられるか、まず事情の説明をお願いしたいと思うのです。
  11. 和田勝美

    和田政府委員 昨年、大阪中村印刷におきまして、加鉛ガソリン洗浄使用したことによりまして、四アルキル鉛中毒を疑わせる症状患者が出まして、その会社は労働者数は二十名でございますが、業務としてはマッチのラベルのオフセット印刷をやっておりまして、大体一カ月に洗浄用使用したガソリン使用量は三百リットル程度でございます。そのうち中毒症状のありました者は四人、うち一名が死亡者でございまして、現在三人の方が入院をしていらっしゃる、こういう状況でございます。  なお、この事故以後、この印刷所におきましては加鉛ガソリン使用をやめまして、現在では無鉛ガソリンによって洗浄その他の行為をやっておる、こういうように承知をいたしております。
  12. 西風勲

    西風委員 事件にあらわれましたのは、全体からいいますと氷山の一角ではないかというように、印刷業界のみならず、加鉛ガソリン関係のある人々の間でいわれているわけです。こうした加鉛ガソリンによるいままでの被害の状況というようなものがわかっておれば、報告してもらいたいと思います。
  13. 和田勝美

    和田政府委員 先生いまお話しのように、この加鉛ガソリンは一般にガソリンスタンドで売っておりまして、これは相当程度印刷工場あるいは自動車修理工場等で使っておるような状態であろうと思いますが、私どものほうに事件としてはっきりいたしましたのは、瀬戸内海で四アルキル鉛そのものを使った中毒症状が報告されておる程度で、中村印刷のような状況については必ずしもはっきりいたしておりません。
  14. 西風勲

    西風委員 加鉛ガソリンあるいは四アルキル鉛というのは、主としてどういう仕事の間で使われておるか、御存じなら教えていただきたいと思います。
  15. 和田勝美

    和田政府委員 このアルキル鉛ガソリンオクタン価を上げるために添加されまして、四アルキル鉛ガソリンとして高オクタン価のもので、自動車の燃料として使われておるのが普通でございます。その場合にはガソリンとして使いますので危惧の念はほとんどございませんが、これが機械洗浄等に使われる、あるいは自動車修理工場修理の過程で、ガソリンを抜いたり何かするときに使われるということで、印刷工場あるいは自動車修理工場等で、洗浄その他に従来使われた例が相当多いようでございます。
  16. 西風勲

    西風委員 いま言われたような狭い範囲じゃないのですね。これが使われているのは、私どもの調べたところによれば、化学産業関係、それからいま問題になっております印刷鉛管関係仕事、弱電のハンダづけというような仕事、あるいは有機溶剤を使う仕事自動車修理工場、それから町工場機械洗いにはかなり広範囲に使われているというふうに言われております。あるいは造船所なんかでも。だから、加鉛ガソリンというのはごく一部分で使用されているのではなくて、かなり広範囲な産業と地域にわたって使われているというように私どもは理解しているわけですけれども、そういうふうに理解しておられますか。
  17. 和田勝美

    和田政府委員 先ほどもお答えしましたように、加鉛ガソリン機械払拭等のために、油がついたときに非常に簡単に落ちる可能性を持っておるわけであります。先生指摘のような場面におきましても、洗浄用として相当広範囲に使われておる、こういうふうに私ども考えておりますが、主として使われているのを先ほど申し上げたようなわけであります。
  18. 西風勲

    西風委員 主として使われているのは、あなたが言われたようなのじゃなくて、もっと広範囲に、深く使われているということを認識してもらわぬと、われわれが当面やってもらいたい点について、施策の重点が置かれないということになりますから。非常に広範囲に使われている。しかも、非常に危険な状況の中で使われているということも認めてもらわなければいかぬ、そういう理解をしてもらわなければいかぬ、そういうように理解しておられるかどうか、確認しておきたいと思います。
  19. 和田勝美

    和田政府委員 この四アルキル鉛ガソリンにつきましては、先生指摘のように、いわゆる機械を洗うということでは相当広範囲に使われておって、しかも、それが無知識のまま使われておるのじゃないか、こういうような状態にあると私ども考えております。
  20. 西風勲

    西風委員 四アルキル鉛はどの程度で人体にどういう影響を与えるか。致死量は幾ら、どの程度が重体かというようなことがわかっておれば、明らかにしていただきたいと思います。
  21. 和田勝美

    和田政府委員 四アルキル鉛ガソリンの場合には、一キロリットル当たり〇・四から〇・六ミリリットルの四アルキル鉛が含まれておると私ども考えておりますが、この場合においては、その蒸気を吸入したりあるいは皮膚から吸収するという場合には、中毒になるおそれがある、かように考えております。
  22. 西風勲

    西風委員 私どもの調べたところでは、あるいは不正確なのかもわかりませんけれども、一リットルの中に一・三六グラム、致死量は〇・七五というように承知しているわけですけれども、そうじゃないですか。
  23. 伊集院兼和

    ○伊集院説明員 現在四アルキル鉛ガソリンそのままをダイレクトに使います場合の致死量というのは、詳しくわかっておりませんけれども、いままでの経験で申し上げますと、数十PPMという薄い濃度の場合におきましても、いろいろな障害を受け、また長期にわたってこれを繰り返せば、死んだ例がございます。また、神経症状の非常に強いものを受けることになります。
  24. 西風勲

    西風委員 だから、ごくわずかでも、人体に、はなはだしい影響を及ぼすというように理解していいわけでしょう。
  25. 伊集院兼和

    ○伊集院説明員 御指摘のとおりに理解いたしております。
  26. 西風勲

    西風委員 そうした危険な加鉛ガソリンに対して、労働省としてどういうふうな行政指導をやっているかという点について……。
  27. 和田勝美

    和田政府委員 先生御心配のように、たいへんなものでございますので、労働省といたしましては、その例にかんがみまして一昨年の四月一日から、従来の四エチル鉛中毒予防規則を変えまして、四アルキル鉛危害予防規則というものに改めまして、これを恒常的に扱います業務を指定し、それに対しては規則によりまして、いろいろの防護措置を講ずるようになっております。そのほか洗浄等に使うような問題がございますので、労働者が四アルキル鉛入りのガソリンを使ってはならないという規定を設けますとともに、どうしても使わざるを得ないような状況がありますときには、必ず防護手袋を用いてやる、あるいは局所排気装置を使うということを使用者側に義務づけておる次第でございます。
  28. 西風勲

    西風委員 これが非常に危険な条件になっている一つの原因は、ガソリンスタンドで、きわめて不注意の間に売られているということにあるわけです。したがって、そういうものを売っているガソリンスタンドで、このガソリンを使う場合の注意事項といいますか扱い方について、だれの目にもわかるような表示が行なわれている、あるいはふだんこういうものを使っているところに対して、行政系列のこうした関係部門、あるいはガソリンを売っているそういう店が一緒になって、こういう問題に対する普及宣伝といいますか、危険防止といいますか、そういうことをやっているかどうかお尋ねしたいと思います。
  29. 和田勝美

    和田政府委員 四月に規則をつくりました以降におきまして、この中村印刷のような事件も具体的に出てまいりました。昨年の十月に、石油連盟及び石油小売販売連合会に対しまして、いま先生が御指摘になりましたように、加鉛ガソリンを売る際にはその品質を明らかにする、それから自動車に直ちに入れるような場合には問題ございませんが、容器を持って買いに来るような場合には、必ず、これはこういうもので非常にあぶないということを表示もし、またよく教えるようにということを頼みましたところ、連合会のほうでは、それぞれの系列を通じてスタンドのほうに連絡はしてある、こういう連絡を受けております。  またそれ以外に、使う側であります、印刷のような場合には印刷工業協同組合連合会を通じまして、それぞれの加盟業者に徹底するように、昨年の十月これも同じく警告を出してございます。
  30. 西風勲

    西風委員 ガソリンスタンドなんかに、実際にそういう買いに来た者が、だれでもわかるような表示が行なわれていますか、それを確認していますか。
  31. 伊集院兼和

    ○伊集院説明員 現在、御指摘のように容器については明示をすることになっておりまして、それは行なわれております。しかし、大きな容器にはございましても、実際に買いに来る人個々に徹底してわかるようにいたすために、いま局長から申し上げましたようなことを、石油連盟及び販売業者に依頼をいたしております。
  32. 西風勲

    西風委員 私、専門家じゃないですから詳しいことはわかりませんけれども、常識から考えて、かりに自動車にそのままガソリンを注入する場合といえども、たとえばガソリンがこぼれるというようなことは日常あるわけです。車が故障したら、その際ガソリンを抜くとかいうこともありますし、かりに入れたって、その中に通常的な危険というのは存在しているわけです。だからそういう点では、容器にそういうものを表示するといいましても、一般的な自動車に注入する場合には、そういうことに関する注意を受けるようなものは全然どこにもないわけです。だから、ガソリンスタンドその他こういうものを販売している場所に、そういうことをもっと大衆的に表示することが必要ではないかと思うのですけれども、そういう積極的な行政指導をする御意思があるかどうかということをお尋ねしたい。  大体、日本の行政は問題が起こったときには力を入れるけれども、ほとぼりがさめると次の事件が起こるまでやらない。あなた方はたいへん尊敬すべき行政をされておるかどうか知りませんけれども、そういうことが多いんです。だから、こういう問題が起こったときに、他の役所にも理解を求めて、相当積極的大胆な措置をとっておくということが必要ではないかと思うのです。だから、とりあえず手っとり早くやれる方法というものは、まず注意を喚起するということです。ガソリンスタンドで大量に売られておるわけですから、ガソリンスタンドにそういう大衆的普及の宣伝をやるというようなことを、まず第一の手始めとしてやるべきではないかというふうに思うのですけれども、そういうふうな積極的な行政指導をやる御意思があるかどうか、お尋ねしたい。
  33. 和田勝美

    和田政府委員 まことに、先生のおっしゃるとおり、非常に、たいへんな毒性を持ったものでございます。なお、製品それ自体は、普通加鉛ガソリンでない部分は無色でございます。これは色がついておりますので、色がついておるのはきわめて有害であるということを、販売その他の場合に徹底をし、販売員にも徹底をする措置、それから先ほど衛生課長からもお答えしましたように、容器それ自体には書いてございますが、買いに来た者の容器には別に書いてない——自分で持ってくるものですからないわけでありますが、そういう場合には、そういうことをくれぐれも注意をするということがぜひ必要であろうと思います。そういう意味で昨年十月にやりまして、最近一応確認しましたけれども、なおいまのお話、まことにごもっともでございますので、さらに私ども、石油連盟あるいは販売業者、あるいはよく使います印刷工業組合連合会、そういうところに趣旨の徹底するような措置をとりたいと思います。
  34. 西風勲

    西風委員 たとえば、たいへんこまかい話で恐縮ですけれどもガソリンスタンドへ行きまして、車のガソリンを入れるのを見ておりますと、手袋をはめてやっておるわけですね。ところが入れ終わりますとそれをぬいでポケットに入れて、また次に行ったときにその手袋をはめてまたやるわけです。そうすると、あれは絶対に手につくんですよ。つかぬ方法はない。必ずこぼれるということがあるわけですね。そうするとガソリンスタンドで働いている、そういう扱い作業員というものは、ほとんど慢性的な危機の中にあるわけです。だから、ああいうところは組織された場所ではありませんから、そういう事故が起こっても個人的に処理していくという点で、役所の統計とか何とかにあらわれないでしょうけれども、かなり大きな被害が出ていると見るのが常識ではないかと思う。だからこれは、そういう点はすみやかに措置されるということをまずお願いしておきたいと思います。  そこで問題は、そういうものを使うなといいましても、先ほどもお伺いしたのですけれども、このほうが手っとり早く手に入るし、安いものですから、零細企業はこういうものを慢性的に使うという状況が出てきているわけです。これは実際、行政がどんなに努力しましても、全部の零細企業に点検調査を行なえるわけはないわけですから、これを防ぐためには、こういう加鉛ガソリンに類するようなものを扱う仕事をしている労働者に、定期的な健康診断を強制的に行なうというようなことが、まず予防措置の第一歩ではないかというふうに思うわけですよ。だから、そういうふうな点について、いままで労働省は、厚生省とも深い関係があると思いますけれども、そういう労働者に対してどういうふうな扱いをされてきているかということをお伺いしたいと思います。
  35. 和田勝美

    和田政府委員 関係従業者に徹底をいたしますことにつきましては、先生の御指摘のように、未組織労働者も相当ございますので、使用者を通じてぜひやりたい。  それから定期健康診断でございますが、普通の場合は雇い入れの際、あるいは年一回でございまして、このものを扱うとして規則で指定をしてありますものが相当ございますが、これにつきましては三カ月に一回ずつ健康診断をするように、特殊なこの病気のわかるような健康診断をするように、こういうことが規則で定めてありますので、この徹底をはかっていきたい、かように考えております。
  36. 西風勲

    西風委員 だから、その法規に書かれておりますように三カ月に一回完全な健康診断が行なわれる、定期健康診断が行なわれるということになりますと、相当積極的な予防措置を講じることができると思うのです。ところが、実際はあまりやってないようですね。私どもが知ります、特に未組織の場所、そういうところでは行なわれておりませんから、これはたいへん困難はあると思いますけれども、定期的に地域の行政当局に対しての報告義務というようなものを、いますぐ法律で直接規制することができないにしても、行政指導の方法として、三カ月に一回くらい健康診断した結果が関係役所に集まるような行政指導を、積極的にやってもらう必要があるのではないかというふうに思うのですけれども、その点どうですか。
  37. 和田勝美

    和田政府委員 先ほど申しました、この規則によりまして四アルキル鉛業務にかかわる者につきましては、八業種をあげまして、これは三カ月に一回ごとの定期健康診断をする、その指定されました者につきましては、それが監督署のほうに報告をされるようになっております。ただガソリンスタンドの場合は、必ずしも常時指定された業種と違いますので、これは規則上の制約がございませんが、石油販売業者等ともよく相談をしながら、行政指導によってできるだけのことをするような措置を講じたいと考えております。
  38. 西風勲

    西風委員 それからもう一つは、健康診断する場合に、相当なお金がかかるということがいわれているわけです。たとえば最初の診断を受けるのに、私どもの調べたところでは千五、六百円くらいかかる。それから少し症状が出て、二回目の精密検査その他を受けますと、最低八千円くらいお金がかかるというようにいわれているわけです。だから、こういう点については、各種の健康保険でこういうものを見るように、これは厚生省との関係もありますから、労働省だけの問題じゃないと思いますけれども、こんなにお金がかかったのではなかなか行かぬようになるわけですから、労働省が厚生省とも協議して、その辺に関する具体的な措置をする御意思があるかどうか、お伺いしたいと思う。
  39. 和田勝美

    和田政府委員 これは特殊な健康診断の方式でございますので、先生の御指摘のように、ある程度金がかかるわけであります。大企業におきましては別にそれにかかわらずやっておりますが、中小企業におきましては、御指摘のように経費的な問題がございますので、労災といたしましては、労災のほうで業務上につながりますので、健康診断のいろいろのグループをつくったり、私どものほうでそういうものについて援助業務もやっておりますから、そういうところを基準局あたりと御相談をいただきますとよくわかりますので、そこらと御相談していただければ、より一そう——実費的な問題もございますので、定期的に健康診断車が巡回するということもできると思います。健康保険の問題になりますと多少性質上問題がございますが、厚生省ともひとつ協議をさせていただきたいと思います。
  40. 西風勲

    西風委員 それから次の問題は、これも私詳しい知識がないのですけれども、私どもが聞いたところによれば、一台千七、八百万円ですか何かの機械があれば、きわめて簡単にこういう症状があるかどうかわかるということになっているそうであります。こうした機械が保健所ごとに常設されるというようなことになりますれば、この被害をもっと小さく食いとめることができるのではないかというようにいわれているのですけれども、こういう機械があるかどうか。あればそういう機械を保健所その他に常設するような積極的なかまえをとられる御意思があるかどうかお伺いしたいと思うのです。
  41. 伊集院兼和

    ○伊集院説明員 ただいまの機械につきましては、御指摘のものは空気中の四アルキル鉛の濃度を測定する装置のことかと思います。これにつきましては、空気中のガソリンの濃度を測定することから換算をして現在やっておりますので、空気中のガソリンの濃度を測定いたします機械は御指摘のようにございます。現在各監督署等に設置をいたしておりますので、基準行政のルートではそれらの監督署に御相談いただければいいかと思います。
  42. 西風勲

    西風委員 その検査機械は、何か台数がごくわずかで、たくさんある企業に、これが活用されるというようなところまではほとんどいっていないというように私どもは聞いているわけでけれども、いっていないのじゃないかということをまず第一に……。いっていないとしたら、できるだけ短かい時間の間に、こういうふうな機械設備ができるような努力をされる意思があるかどうか、お伺いしたいと思うのです。
  43. 伊集院兼和

    ○伊集院説明員 監督署に備えつけておりますものについて、今後とも極力増設をしてまいりたいと思っております。  なお、中小企業の安全衛生サービスセンター等の、直接事業場にサービスする機関を設けておりますので、それらのところの設備を一そうサービス用に設置いたしたいと考えております。
  44. 西風勲

    西風委員 だから、もっとふやしてもらいたいということです。ガソリンの需要というのはどんどん伸びていくわけですから。減っていくことはない、大きくなっていくのですから。そういう意味では、こういう検査機械その他について、もっと万全の体制を整えるように、労働省として、積極的な努力を払っていただきたいと思うのです。  それからもう一つの問題は、空気を清浄にする施設か何か、四アルキル鉛に関する法律にきめられた工場に設備をする必要があるわけですね。こうした設備について、どの程度この法律に準じた設備が行なわれているか、実態をつかんでおられますか。
  45. 和田勝美

    和田政府委員 この四アルキル鉛自体を製造しております工場は、完全にいまのところできておるというように考えております。なお、それを重点的に取り扱っているというところではできておるというように考えております。
  46. 西風勲

    西風委員 ところが印刷工場なんかは、私の見たところでは、ほとんど行なわれていないですね。だから、先ほどからたびたび言いますように、たくさんあるわけでから、なかなか行政が、一ぺんにシラミつぶしに短い時間で解決するということは困難でしょうけれども、そうした装置を法に基づいてつけるように強力な行政指導をやると同時に、零細企業では、この程度の設備をするのさえなかなか金融上の問題というものがあるわけです。だから、そういう点では、職場の危険状況に伴う設備については特定の融資の措置を講ずるとか、労働省がそういう点をあっせんするとか、地域の基準局がそういう点について、理解のある態度で、政府金融機関などと話し合うとかいうようなことと並行して設備の要求をしていかなければ、ただ一片の通達で、やれというだけでは、なかなかそういう設備が行き届かないのではないかというふうに思うのですけれども、そういうふうにしていただけますか。
  47. 和田勝美

    和田政府委員 まことにお説のとおりでございまして、印刷工場等におきましては、私どもとしては、実は、これはもう使わないほうがいい、加鉛ガソリンでなく、無鉛ガソリンを使ってもらいたいというのが第一の真意であります。ただそれが現実は、ガソリン販売網の関係からいうと、なかなか手に入りにくい、ほとんど加鉛ガソリンによっておりますから、入りにくいという状況も確かにございますが、まず第一義としては、この四アルキル鉛を製造したり、あるいは取り扱っている業務はもちろんでございますが、そうではなくて、払拭その他洗浄等に使う場合には——まず第一に、使わないようにしてもらうことを徹底したいと思っておりますが、どうしてもやむを得ず使う場合には、いま申しましたような、装置につきましては、中小企業金融公庫の特別ワクがありまして、安全衛生施設のためのワクが十五億ございます。そういうワクを活用して設備を使ってもらう。これにつきましては、実は必ずしも徹底をしてございませんので、基準局あるいは監督署等からそういう趣旨につきましてもよく関係業者に徹底するような努力をさせていただきたいと思います。
  48. 西風勲

    西風委員 いま言われたことでけっこうだと思うんです。加鉛ガソリンについては、一般的な事業場では絶対に使わないという点に関する、それこそ積極的な行政指導をしてもらえば、これは問題は解決するわけですから。私が前提条件として申し上げたのは、現在あるさまざまな条件の中で、それを徹底していく過程でやっていただきたい問題ということで出したわけですから、加鉛ガソリンについては、これを使用しないように積極的な行政指導をやってもらう。こういう事故が、再び起こさないという点について、労働大臣からひとつ決意を表明していただいて、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  49. 原健三郎

    ○原国務大臣 さいぜんから西風さんから、るるこの加鉛ガソリン使用による四アルキル鉛中毒についての実情をお聞きいたしまして、われわれも大いに決意を新たにし、考え直しているところでございます。この四アルキル鉛中毒が非常に危険であること、しかも、それがかなり広範にわたっておること、これをあまり知らずか知ってか使用しておるというようなことでございますから、さいぜんから政府委員が申し上げましたように、こういう危険なものを使用せぬように大いにPRし、注意を喚起いたしていきたい。またそういう意味における強力な行政指導もやっていきたい。そうしてこういう中毒にかからないように、産業衛生の面にも今後もっと労働省として積極的に注意をしていく決意でございますので、どうぞひとつよろしくお願いいたします。
  50. 森田重次郎

    森田委員長 山田耻目君。
  51. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 まず、労働大臣のほうにお伺いいたしたいと思います。  だいぶん、春闘もぼつぼつ組織的な動きが出始めてまいりまして、例年のとおりでありますが、昨年は賃上げ率も平均で一一・八、高いところで一三・四ぐらいの引き上げ率だったと思うんですが、ことしはいかがでございます。大体景気もいいようでありまして、各組合とも昨年の倍近い要求、おおむね一万円以上の要求が出そろっておるようでありますが、労働大臣は給与関係を相談なさるグループの大臣の一人でもありますので、ぼつぼつことしの経済界の動向、労働組合関係の要求、こういうものを御考察なさって、大体ことしの春闘についてのものさしといいますか、考え方というものがお気持ちの中にあろうかと思いますが、大体ことしはいかがでございます。春闘の相場についてお考えなど話していただきたいと思います。
  52. 原健三郎

    ○原国務大臣 いま山田さんの御説のように、経済界の景気も非常によろしい、また物価も上がってきた、生産性と所得の伸びも著しい、こういう状況にあることは事実でございます。  それで民間の賃金要求について、どの程度がいいかという御質問でございますが、この賃金の闘争に対しましては、従来から労働省としては不介入の態度をとってずっとやってきている。このたびもそういう所存でございますが、ただ賃金のあるべき姿がどうかというようなことになりますと、労働者の賃金は、国民経済の成長と調和を保ちながら実質的に私は改善さるべきものである。で、御説の趣旨がちょっとぴったりこないのですが、今年の春闘において賃金アップ率がどのくらいがいいかとか、昨年よりどの程度上げたらいいか、どこが妥当であるかということになりますと、ちょっと申しかねますので、私は、労使双方においてそういう諸般の経済的事情を勘案されまして、平和的に、話し合いにおいて適当な線に妥結をされることを望んでおります。もちろん諸般の情勢から、賃金はアップになることは当然であろうと思っております。
  53. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 労働大臣が中立であってほしいということは、まさにそのとおりでありまして、私もそう思いますが、去年一二%近く平均が上がったものですから、去年度の経済成長率、しかも、この四十三年度末は五十兆円の総生産と政府も言っておりますので、去年度と比べて格段の経済上昇、生産の上昇だと思いますね。去年一二%程度上がったのですから、ことしは去年の上昇率以下ということはございませんね。これは中立で考えても、当然去年の一二%よりはるかに上がってしかるべきである、やはりこういう、大臣のお気持ちとして、それくらい言えるでしょう、いかがですか。
  54. 原健三郎

    ○原国務大臣 去年上がった賃金は、仰せのように一二%くらい上がっておりますから、それ以上言いますと、どのくらいのことか、結論的に出ますので、いまの段階では、まだ早いときでございますので、どうぞ御了承のほど願いたいと思います。
  55. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 私は、何%上げるというのが妥当であるということを言えというのではございませんよ。それほど労働大臣をここで責めても、そういう答えが聞けるとも思いません。ただ、一般的な趨勢として、春闘を迎えた。その春闘を迎えたのだから、趨勢として、いまあなたの答弁を受ければ、去年よりも経済成長も高いし、物価も上がったから、だから、ことしはやはり妥当な賃金が出るだろう、労使の中でひとつうまいことやってほしいということなので、労働大臣としては、去年一二%程度上がったときの諸条件よりかことしのほうがいい条件だから、当然、一万円要求しておるが、一万円ずばりがいいとは言わぬけれども、とにかく去年のアップ率よりかことしのアップ率は高いものが出ると期待をするとか、あるいはそのことが当然分析の中から——いまお答えいただいた分析ですよ、お答えいただいた分析の中からは指向されるべきものであるとか、そのくらいのことは、労働大臣、言わなかったら、労働大臣をやめなければいけません。何を言ってあなたは仕事をするのですか。そういうことぐらいを言ってみなさいと言っているのですよ。
  56. 松永正男

    ○松永政府委員 ただいま大臣から申し上げましたように、労使間の事柄でございますので、政府としては不介入ということでございますが、確かにおっしゃいましたような経済情勢というものはございます。しかし、同時に、総評、同盟、中立労連あるいはJCといったような組合側からの賃金要求に対しまして、経営者団体の日経連等におきましては、たとえば今後の経済発展についても、いろいろな心配な面、いわゆるかげりが見えてきておる。その例といたしまして、たとえば企業の利潤率の低下とか、それからまた、岩戸景気と同じように、今期も七期連続黒字であるが、他人資本率がふえており、自己資本率が減っておる。企業内留保も減っておる。利潤率も岩戸景気に比べるというと低率である。それから国際通貨不安も予想されるといったようなことから、経営者の立場としましては、実質国民生産の伸び率の範囲内ということで、数字的に見れば八・五ぐらいが適当であるというような主張が経営者からなされておる。おっしゃるように、経済の状況と物価の状況、生活の実態ということを踏まえまして労働側は要求をし、経営者はこれに対しまして、いま言いましたようなそれに合わせて、各企業内の実情というものを具して、これから交渉が行なわれるわけでございますので、労働大臣並びに政府といたしまして、どの程度が妥当であろうかということをいまの段階で申し上げるというのは、かえって適当ではないのではないかというのが私どもの考え方でございます。
  57. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 労政局長、聞きもせぬことを先回りをして答えてはいかぬです。私はどのくらいの金額が妥当であろうかということを一つも聞いていないですよ。いま、あなたがおっしゃいましたように、いわゆる利益率が低下したと言っていることも、それは経営者の立場でしょう。ことしの一月二十一日の日経連の総会で、所得政策のあり方という中で、誘導指標というものを出しております。それは、国家権力で賃金を押えるということでなく、いわゆる日本の総生産の伸び率のワク内にとどめる、これがコストインフレを防ぐ道であるという新たな道を出したのです。いまあなたが御説明をなさった、そんなことを私は聞いておるのではないのです。だから、いま私がお聞きしているのは、国民総生産は五十兆円になって、去年度は約三十七兆円ぐらいでしょうね。それほど生産をたたき出した力というものは、もちろん資本の貢献度もあるでしょうけれども、労働力というものを無視してはいけますまい。五十兆円をたたき出した。それと、いま一つは、四十二年度の労働分配率を見ると三六%でしょう。三六%。この労働分配率が三六%ということは、昭和四十三年度において総生産が五十兆円になって、この中の労働分配率は前年度より上がらなかったら資本の利潤のほうがより強大になっていくということはだれにもわかるではありませんか。ただ、その中の資本の構成で、いわゆる企業それ自体に属しておる固定の資本と借り入れ資本との比率が、どう変化したかわかりませんよ。しかし、その分を追及していけば、政府にしても、あなた方にしても、借り入れ資本が増大をしておれば必ず企業というものが苦しいとはいえないのだ。高揚期における企業は借り入れ資本がふえておっていいのだと、いろいろな意見を述べられておるのでありますから、私は、そういう意味のあなたの意見をここで聞こうとは思いません。ただ、総生産が伸びた。労働分配率は伸びなければならないはずだ。去年の労働分配率の中で一二%賃金の上昇が見られた。ことしはそれ以上に、一二%以上の上昇率が見られるというのが、いまの段階の基礎的な話として伺えるかどうかと聞いているわけであります。伺えるかどうか。そこに経営者の苦しみを述べられておったのではちょっと私は困りますから、常識として去年のアップ率よりか上回っていくということがことしの経済の上昇の条件から言えるのではないかといって聞いたら、労働大臣は、そうだ、去年よりか経済も非常に調子がいい、貿易収支もいい、そうして物価も上がったというお話をなさっているわけですから、そのお話を聞けば、去年よりかアップ率は高くなっていくのが常識でありましょうが、いかがですかと私は聞いているのです。大臣、いかがですか。
  58. 原健三郎

    ○原国務大臣 私の気持ちは、さいぜんちょっと申し上げましたが、これ以上申し上げますと、何%アップ、幾らと、すぐ感じができますので……
  59. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 それは言わぬでいい。
  60. 原健三郎

    ○原国務大臣 われわれとしては、不介入の態度でおるのが労働大臣としての何でございますから、そういう諸般の経済情勢を勘案して、そうして労使両方において、ぜひ平和的に適当にひとつおきめをいただくことを期待いたしております。
  61. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 大臣、たいへんお苦しいような御答弁で、私もわからぬことはない。まだこれから先春闘は長いですから、おりに触れて聞かなければいけません。したがって、中立、中立といっても、相撲の行司でも勝った負けたと言うのですから、去年と比べてことしはどうあるべきであるというくらいのことを言わないような労働大臣では困りますよね。これからまだ四月、五月まであることでしょうから、それはまたひとつおりを見て聞きますから、よく検討していただきたいと思います。  それから、もう一つ、心配になるのがあるのですが、御存じのように、国鉄が三月一日に何かストライキをやりたい、かつてない大きな規模のようだということが伝えられております。これは直接賃上げということではありませんけれども、東京鉄道管理局を三つに分けるといっているわけですね。三つに分けますと、管理体制も異なりますし、労働条件も異なってまいります。当然これは公労法八条二号の団体交渉の対象になるわけですが、この団体交渉を全然やろうとしない。かってに一方的に押し切ってしまおうとする。ここにこの争議の実態があるわけでございます。労働大臣、こういうふうなことは団体交渉をしないといかぬですね。いかがでございますか。
  62. 松永正男

    ○松永政府委員 ただいま御指摘になりました東鉄の三分割をめぐる問題につきましては、公労委の地調委に対しましてあっせん申請がありまして、これに対しまして、東鉄三分割に関連するところの労働条件については、労使でよく話し合えというあっせん案が出まして、それに基づきまして、たとえば配転問題等がございますが、そういう労働条件の問題につきましては、団体交渉を地本対東鉄の間で現在継続中であるということを報告を受けております。それと合わせまして、三分割そのものにつきましても、労働条件に影響する面がございますので、本社・本部間で話し合いということも並行して行なっておる。そして三月一日に御承知のような事態がございますので、きょう、あす、精力的に煮詰めたいということを職員局長も申しておりますので、私どもといたしましては、そのようなことで平和裏に事が解決されるということを期待をいたしておるわけでございます。
  63. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 ぜひともその道を労働省としても強く進めていただきたいと思うのです。三月一日から実施ということで団体交渉をやっておるということもおかしいわけですよ。ものごとの実行、その前の団体交渉、労使対等の立場でという基本権が確立をされているのだったら、話し合いがまとまって実行に入るというのが今日の世の中の常識でしょうね。しかし、実施時期はきめておいてそこへ追い込んでいく、こういうやり方というのは、私は争いを激化するもとになると思うのですよ。ですから、この点はやはり労働省としても実施期日をいわゆる予備的に明示することはいいけれども、団体交渉がまとまってから実行するのだ、こういう労使間の正常な状態で団体交渉を積極的に進めるように、指示なり指導をしていただきたいと思います。よろしゅうございますか。
  64. 松永正男

    ○松永政府委員 実はけさも早く職員局長と会いまして、その問題につきして見通しを聞いたわけでございますが、おっしゃいましたようなものも含めまして、現在地本対東鉄で団体交渉をやっておるのと並行して、本社・本部間でもやっておるので、ぜひひとつ話し合いを煮詰めたい、こういっておりますので、それに期待をいたしておるわけでございます。
  65. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 よろしゅうございます。わかりました。ただ、期日を切ってやっておりますから、問答無用形式になるのですよ。これは国鉄の経営者も、政府なりその他に、国鉄の行政管理機構のあるべき方向というものを明示しながらやっているから自繩自縛になってきたのでしょうが、期日を明示してやっているから問答無用になる。これは紛争を激化をするばかりですから、期日の明示は、予告いわゆる準備の期間として、それは確定的なものでないという立場をまず明確にさせて、そうして八条二号に基づく労使間団体交渉というものを積極的に煮詰めて、その結論に基づいて実行するのだ、いわゆる三月一日実施というものはこれは固定化したものではない、団体交渉がまとまって実施をしていくのだ、そのほうを先に煮詰めていくように、きょうの委員会でそのようにあなたの承認をいただいたものとして私も受けますから、私も国鉄当局のほうによくそう申しますし、あなたのほうからも、監督官庁として、当局に対して、団体交渉を軽視をするようなことになると紛争は激化の一途をたどるのですから、団体交渉を重要視をして交渉するように、ひとつあなたのほうからの意向が国鉄当局に十分伝わるように御配慮いただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  66. 松永正男

    ○松永政府委員 国鉄の当局は、この問題につきまして良識をもって対応するというふうに期待をいたしております。おっしゃいましたような点も含めて、国鉄当局並びに労使間の良識ということで解決できるように私どもも推進したいと思っております。
  67. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 あなたは、実に回りくどいことばで言っておるのですが、良識とは何です。
  68. 松永正男

    ○松永政府委員 これはことばどおりでございます。たとえば具体的な、配転問題につきましても、実質的な配転におきまして、二百何十人かの配転があるようでございます。そういうものにつきまして、まだ具体的にはなかなか煮詰まっていないようですが、配転について一時金を払えというような要求もあるようでございます。それらの問題については、やはりほんとうに両方で、いわゆる良識的な煮詰めという問題がなければならないと私は考えておりまして、どちらにしても、三月一日に不幸な事態に入らないようにするために、両方とも譲るべきものは譲るし、話し合いをつけるということでありませんと、やはり解決にはならないというふうに考えられますので、具体的な配転をめぐる団体交渉、それからいわゆる三分割についての、厳密な意味で団交かどうかということはありますが、すでに話し合いに入っておりますので、その並行して行なわれる本社・本部間の話し合いというものも、両方とも三月一日にそういう事態にならぬようにという立場で、両方で良識的に話し合っていくことでございます。
  69. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 いろいろおっしゃいますけれども、結局良識とは、こういう労使間紛争の場合に、団体交渉でまとまって実施する、団体交渉でまとまらぬのをやるのは一方的実施ということになっておりますね、いままでは。一方的実施の場合には労使紛争が起こる。そしていろいろと問題が社会的にも影響を与えていく。だから、今日の常識というのは、一方的な実施で紛争を激化させるのが常識、良識じゃないでしょうから、団体交渉というものをやって、そこで妥結をして実施をしていきなさいよ。これを常識として私は受け取るわけです。あなたの常識もそうでしょう。労働省は、一方的にやれ、どんどん押しまくれ、こういうことが労働省の常識じゃないでしょう。私も良識をそう理解しておりますから、良識に基づいて労使間の団体交渉を煮詰めていただくように指導していただきたいと思います。  それでは、時間も過ぎてまいりますから……。  総務長官、公務員制度審議会はいまどのような状態になっておりますか。
  70. 床次徳二

    ○床次国務大臣 第一回の公務員制度審議会は、昨年の十月二十五日に再開されまして、今日まで七回会議が行なわれておりまして、第五回までの最初の五回は前の制度の在職専従の問題につきまして審議が行なわれました。六回目から本来の公務員の労働関係の基本についての審査に入ったわけであります。  なお、その進行は、審議会の意思の決定によりまして、今後精力的にやるという意味におきまして、月二回程度開催する、そうしてできるだけこの基本問題に真剣に取り組んでいきたいという考え方を持っておる次第であります。
  71. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 四十年の一月であったと思いますが、ILOの本部のほうからエリック・ドライヤーが日本に調査に見えましたね。調査に見えまして、結局日本の政府と日本の国家公務員とは、抜きがたい不信感が満ち満ちている。この抜きがたい不信感を除去するということの一つのあり方として、定期的会談を持ちなさい。それが公務員制度審議会に発展をしてきたわけです。いま一つは、ILO八十七号条約が批准をされました。このILO八十七号条約が批准をされましたときに、公務員制度審議会を設置をして、そこでILO八十七号批准に伴って抵触する国内法の部分、そうして、満たない、不十分な国内法の完備、こういうことが公務員制度審議会に付託をされたわけです。この点は、私は総理府長官も経緯をよく御存じだと思います。ただ、そこでありますけれども、この公務員制度審議会が、条約八十七号の関連する国内法の問題点を改めることと同時に、日本の法律の不備である、いわゆる労働三権、労働基本権というものを労働者に与えるべきである。それはきょうここにもいらっしゃって——どこかへ行かれましたか、齋藤さん、倉石さんあたりと私たちとは、このことについて何回か相談を深めました。西欧先進諸国の持つ労働基本権を参酌をしてやるんだ、こういうふうな約束事も幾つか出てきていたわけであります。これらをこれから、第六回からやっていかれるというのでありますから、私はいま私が申し上げたとおりに、労働基本権については、西欧先進諸国を基準としておやりになるという方針を持っておられるのかどうか、これを一点お伺いしたいと思います。  それからもう一つは、エリック・ドライヤーが最初に申し上げましたように、日本に来て調査をした、抜きがたい不信感がある、そうして政府なり公務員、労働者として、よく話し合いをして、その結果と経過を国会に報告をしなさい、こういう答えになっております。その勧告を佐藤総理もお受けになった、そうして、組合側も最終的にはこれを受諾をした、そういう経緯があるわけでございますね。エリック・ドライヤーが、なぜこうした労使間問題を国会に最終的に報告を義務づけたのか、その点をひとつあなたなりの理解を表明してほしいのです。ですから、いまエリック・ドライヤーの関連する問題としては、なぜ国会にあなたは報告をなさろうとしなかったのか、受諾していながら。勧告の中で、なぜ国会に報告しなければならぬ義務を負わされたのか。この本質的なもの、これをひとつ話していただきたい。
  72. 床次徳二

    ○床次国務大臣 公務員制度審議会におきまして、お話のごとく、前々回から基本的な公務員のいわゆる労働三権というものを中心として審議を始めた次第であります。非常に大事な問題であります。委員の方々も真剣にこれに取り組んでおりまして、今日まですでに二回でありまするが、いかに今後の審議会を運営すべきか、またどういうテーマから議論し始めるかということについての、一般的の意見の話し合いが始まっておるところであります。もちろんお話のありましたごとく、先進諸国の先例というものを十分に参考にする、当然のことでありまするが、同時に、わが国の公務員制度の特色と申しますか、従来のあり方につきましても、いろいろと伝統等がありますので、そういうことも参酌しなければならないと思うのであります。しかし、いずれにしても、現在の公務員制度がはたして現状のままでいいかどうかということに基本を置きまして、十分に慎重な審議を遂げていただいて、そしてわが国に適切な結論を出していただきたいと私は思う次第であります。  なお、今日まで二回意見がかわされましたが、もしも御必要があれば、政府委員から御説明申し上げます。  なお、ドライヤー委員会の勧告に対しましては、むしろ労働大臣からお答えしたほうがいいのではないかと思います。
  73. 栗山廉平

    ○栗山政府委員 では、公務員制度審議会の模様につきまして、簡単に、大臣の説明の補足を申し上げます。  先ほど総務長官からお話がございましたように、第六回の審議会から本格的な、いわゆる労働三権の審議に入ったわけでございます。その入る前に、どういう順序でやっていくかということについての運営小委員会の詳細なる打ち合わせがございました。まあこの三権は、先生よく御承知のごとく、いずれも切り離して単独にそれだけ審議するというのは、なかなかむずかしい問題があるわけでございます。お互いに有機的な関連を持っておりまして、むしろ一体になっておる面もあるわけでございますが、しかし、それにしましても、それをそのまま審議するのも、なかなか順序としては適当でなかろうということから、全体に関連は持ちながらも、団結権からまず入っていこうという話に大体落ちつきまして、大体そういうめどでひとつ始めようということで、第六回の冒頭から、団結権とはいいながら、総体的な議論がまず出たわけでございます。  最初に、労働側の委員のほう、昨年お調べになられた諸外国の、主として西欧諸国でございますが、三権関係のいろいろな調査の結果を詳細に説明がなされまして、そういうふうなものを重要なる参考として、むしろそういう方向を頭に描きながら審議をすべきではないかというようなお話があったわけでございます。  次いで、第七回に入りましてから、今度は使用者側のほうからお話がございまして、前にそういう西欧諸国を中心としてのお話がございましたけれども、わが国は、わが国のやはり特色のあることもこれは認めてもらわなければいけない、そういう点からしまして、まずわが国の現状認識ということからやはり出発するのが大事なのではなかろうかというような説明がるるあったわけでございます。これに対しまして、やはり諸外国、そういう西欧諸国と比べて、わが国はまだおくれている点もあるから、そういう点をよく見ながら審議すべきだというような反論もあったわけでございます。  さらに、国家公務員の点のみならず、地方公務員の団結権の問題に関連しまして、いろいろ具体例をあげての、こういう点をこうすべきだというようなお話がずいぶんいろいろ出たわけでございますが、なお、公益委員のほうからは、お互いの立場を固執するようなことばかりを言いだすと、なかなか時間がかかって、言い合いみたいなかっこうになりかねかねないので……(山田(耻)委員局長、もう簡単でいいです」と呼ぶ)公務員といいましても、御承知のごとく、国家公務員、地方公務員——国家公務員の中にも現業もございますし、地方公務員も同様の点がございます。それからさらに三公社もあるわけでございますので、そういう公共部門のおのおのの仕訳といいますか、おのおの特色が違いますから、そういう点をまず共通の場として議論をして、その上に立って、もっと具体的といいますか、地に足がついたといいますか、もっと身の入った議論ができるのではなかろうかというような会長の提案があったわけでございます。  これにつきましていろいろ意見がかわされました結果、おおむねこれは了承されまして、では次回からそういったものを中心に、まず前提条件の、そういう点の共通の認識を深めるべく討論をいたしたいということに、この間の会合におきまして最終的になったわけでございまして、次回からはそういう方向で審議の促進がまたはかられていくというふうにわれわれは思っておるわけでございます。
  74. 松永正男

    ○松永政府委員 第二の点でございますが、ドライヤーの提案の中に、いわゆる政府と労働組合との定期会合につきまして、その意見交換の結果もたらされる進歩について、国会は随時通報を受けるべきであるというのがございます。それで、これにつきまして別にどのような趣旨ということはございませんので、ドライヤ委員会がどういう趣旨であるということにつきましては、私の解釈になるわけでございますが、このような八十七号をめぐりまして、公務員の労使関係というものの正常化ということが第一のねらいでございますので、国会という国権の最高機関が当然重大問題として関心を持っておられるであろうということから、そのような会合によってこのような進歩がもたらされるということについては、国会も知るべきである、こういう趣旨かと思うのでありますが、同時に法制的根拠をおきめになるのは国会でございますので、そういう意味を含めて国権の最高機関たる国会が、そのような状況を随時承知しておるほうがよろしいという趣旨ではないかというふうに考えます。
  75. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 時間がありませんからこれで終わりますが、まあ前段の、西欧先進諸国の問題を参考として、一つの基準として、これから小委員会は審議をしていくということをおきめになられたようでけっこうだと思います。一日も早く諸外国と比べてみて見劣りのしない、きわめて水準の低いそういう労働組合の権利の保障ということが指摘をされないように、早く西欧先進諸国の水準に近づくように結論を出していただくように、皆さんたちの指導なり、委員会の中における発言を強くしていただくようにお願いをしたいと思います。  それからいまのエリック・ドライヤーが、経過と結果を随時国会に報告しなさいという勧告を出したことに対する受け取り方が述べられておりますが、私はこれはきわめて重要だと思うのですよ。いわゆる労使間の問題を、国会に随時通報しなくちゃならぬというふうなことがどこにありましたか。過去一つもないでしよう。きわめて重要な問題であるから国会が知らなくちゃならぬというふうなことはたくさんありますよ。何もエリック・ドライヤーが日本に来てこの問題を扱って、この問題は、その結果と経過を随時国会に報告をしなさいと言った本旨というものは別ですよ。しかも、本旨は別としても、一度もまだ国会に、私が聞かぬ限りはあなた方は言っちゃくれぬじゃないですか。一体これは勧告を受諾した政府としてどうなんですか。委員長、私は来委員会から、国会に結果と経過を資料として出してほしい、これはひとつお願いしておきますよ。ドライヤーの言った本旨というものは、さっきの労働大臣じゃないけれども、労使間に関しては政府は中立であるということを言っているんですよ、政府は中立である。なぜ、その中立の政府が国会に対して随時通報しなくちゃならぬか。この問題のたどりつくところ、立法府である国会が法律改正を行なわなくちゃならぬという立場に至るとドライヤーは見抜いているのです。内政干渉になるからそこまでは言わない、法律改正をしなさいとは言わないけれども、この労使間紛争がずっと制度審議会などでやっていかれたら、必ず法律改正に到達をいたします。だから、労使間の何と言っても抜きがたい不信感を除去する道は、法律改正、その法律改正の指さしているものは何か、三権の保障ですよ。そこに到達していくから、随時立法府である国会に——労働大臣の言う中立性を持っている政府が、国会にこの労使間問題を通報する義務を負わせた、というのは、私がドライヤーをめぐるあとの質問の中で明らかにしましたようにそうなっているんですよ。しかし、それは独立した公務員制度審議会ができているのだから、そこで、そういう趣旨を体得されておやりいただきたい。しかし、その結果と経過は、勧告を受諾なさったんですから国会に御報告をいただきたい。主管委員会であるこの社会労働委員会に、次からその会ごとに結果と経過を文書で資料として提出をいただきたい、そういうことをお願いして私の質問を終わりたいと思います。  これは委員長、いまの最後のやつは、よろしゅうございますね。(「もう答弁は要らないだろう」と呼ぶ者あり)いや、出してもらうということだけ言ってもらえばいいんです。——いまの資料を出してもらえますかと聞いているんだから出すと言えばそれで終わりですよ。
  76. 森田重次郎

    森田委員長 それに対して何か発言がありますか。
  77. 栗山廉平

    ○栗山政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたことは、公務員制度審議会の審議の毎回の報告をそのつど出すようにというお話でございますか。
  78. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 そのつど出してもらえば一番いいでしょう。しかしあなた方も仕事があるから二回に一ぺんくらい、まとめて出してください。要約して出してください。それくらいなら可能でしょう。
  79. 栗山廉平

    ○栗山政府委員 審議会の模様にもよりますのでございますが、長官とよく相談いたしまして……
  80. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 相談じゃない、その結果と経過を国会に報告する義務を負わされているじゃないか。
  81. 栗山廉平

    ○栗山政府委員 まとめ方の問題でございますので、相談いたしまして善処をいたしたいと思います。
  82. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 善処してくださいよ。  以上で終わります。
  83. 森田重次郎

  84. 山本政弘

    山本(政)委員 一月の二十二日に福島工場の民間移譲のことについて、初めて労使間で問題になったそうでございますけれども、その辺の経過について、簡単でけっこうでございますから御説明をいただきたいと思います。
  85. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 東北開発株式会社の福島工場と福島製鋼との譲渡の話し合いが、昨年の十一月からございまして、両者間におきまして内々準備が進められておるのでありますが、その福島工場の今日までの状況については先生御承知のとおりでございますが……
  86. 森田重次郎

    森田委員長 もう少し大きい声で言ってください。
  87. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 そういうわけで、その譲渡の件あるいは再建の件につきまして、種々協議が行なわれておりまして このたび福島製鋼という会社との話が進んでおりまして、その間につきましては、もちろん条件といたしまして、両者間の話し合いにおきまして、この福島工場の従業員の納得のいくように、また現在の待遇改善等についても十分考慮するように、これは両者間で、ただいま内交渉でございますが、もしそういうことが正式に両者間の妥協がつくならば、いずれ所管監督庁でありますところの当経済企画庁に相談があると思いますので、そのときは十分これらの福島工場の従業員、福島工場の将来について不安のないような指導をとりたいというのが企画庁の意見でございます。
  88. 山本政弘

    山本(政)委員 中間が抜けているのですよ。なぜ福島工場を民間に移行しなければならないのかということを私はお伺いしたいのです。その説明をしていただきたい、簡単でけっこうですから。
  89. 塙阪力郎

    ○塙坂説明員 東北開発株式会社におきましては、福島工場では御承知のとおりカーバイド、アセチレン、石灰窒素、こういったものを生産しておりましたが、最近の技術革新の結果、石油化学系を中心とした同系の製品が供給できるようになりましたので、こういう石灰石から出るカーバイドの製品につきましては、非常に斜陽産業化いたしまして、どうも採算がとれぬということで、同工場の操業にあたりまして、業種の転換を会社におきましてもずいぶん研究もしましたし、またこの工場自体の身のふり方についてはずいぶん検討もされましたが、いままでのところなかなかしかるべき名案も出ませんし、また相手のあることでもありましたので、なかなかうまくいかなかったのでございますけれども、たまたま地元の福島市におきまして、福島製鋼と申しまして、御承知のとおりこれは日野自動車系の有望会社ということでありまして、ちょうどこの東北開発福島工場におきましての電気炉を、そのまま使いながら鋳鋼製品をつくれるというふうな立場の会社でありますし、発展性もあるということでございますので、いわば営業譲渡のことで一応交渉を始めて、ある程度話が進みつつあるということでございますけれども、これはやはり福島工場の従業員の方方の納得も得なければなりませんので、目下労使の交渉におきまして納得を得つつあるという段階でございます。
  90. 山本政弘

    山本(政)委員 東北開発株式会社の会社法の第一条に「東北開発株式会社ハ東北地方ノ開発ヲ促進シ国民経済ノ発展ニ寄与スル為同地方ニ於ケル殖産興業ニ必要ナル事業ヲ営ムコトヲ目的トスル株式会社トス」、こうある。そしてこれについては、監督の事項については十七条、二十条、二十一条等について総理大臣が所掌に当たる。そして同時に、二十四条には監理官の制度も設置されておりますね。これは私は東北における東北開発という一つの国策といいますか、そういうものに沿ってやられたものだと思うのですよ。  ここでお伺いしたいのは、助成会社というのがありますね。たしか東北開発株式会社が、融資または投資をしている会社がある。十二、三あると思うのですよ。全部で幾つありますか。
  91. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 助成会社は十一社でございます。
  92. 山本政弘

    山本(政)委員 私の手元にあるのは十一じゃなくて十二社になっていますが、これはどうなっているのです。十二社になっております、あなたは十一社とおっしゃるけれども
  93. 塙阪力郎

    ○塙坂説明員 お答えいたします。  一社の数の食い違いがございましたようですが、東興石灰という会社がございまして、これは現在整理中ということでございますので、それを入れるか入れないかによりまして一社の食い違いができた、こういうふうに聞いております。
  94. 山本政弘

    山本(政)委員 小さいことを申すようですけれども、「会社の概要」の中に十二社になっておって、これは東北開発株式会社が出したのですが、十二社になっておって、あとのほうには十一社しかないのです。「助成会社一覧表」として資本金から投資から全部これは出ているのですよ。私が申し上げたいのは、あなた方は簡単にカーバイドが技術革新云々といわれて、だから民間に移譲するのだと言われるけれども、東北開発株式会社自体のやり方といいますか、これだけ見てもどれだけずさんだということがはっきりするじゃありませんか。  もう一つお伺いいたします。私は四十二年度の決算報告でお伺いしたいのは、セメント事業で四億二千三百九万余円の利益があるわけですね。化工事業で四千九百二十四万余円、ハードボード事業で二千二百二十五万余円の損失なんですよ。そこでお伺いしたいのですけれども、本社部門というのは何をやるところですか。
  95. 塙阪力郎

    ○塙坂説明員 お答えいたします。  本社部門におきましてはセメント、ハードボード、あるいはいま申しましたカーバイドというような直系工場と、それからいま先生がおっしゃいました子会社の助成投融資をやっておりますから、そういった管理をやる、こういうことでございます。
  96. 山本政弘

    山本(政)委員 ここには機構図があるのですよ。セメント事業部、化工事業部、ハードボード事業部、そうして総裁室、総務部、財務部、下北開発本部等々があるわけだ。そこで本社部門で二億九千二百五十七万円の損失というものが出ているのですよ。これはどういう損失なのですか。中身を説明してください。  つまり、私が申し上げたいのは、化工事業で四千九百二十四万円の損失になっている。しかしながら本社では二億九千二百五十七万円の損失になっているのですね。事業部門の損失というものはたいしたことはないですよ。しかも、セメントにおいてはかなりな利益があがっている。一番赤字になっているのは本社部門ですよ。二億九千二百五十七万円、これだけ赤字なっているということ、これは一体どういうことですか。内容をちょっと説明してほしいと思うのです。
  97. 塙阪力郎

    ○塙坂説明員 お答えいたします。  本社部門におきましてそういう巨額の損失を計上してあるというのは、一見大きく見えるわけですけれども、これは昭和三十九年以来五カ年間にわたりまして再建事業を行なっております。その再建勘定といいまして過去における不良資産等を計算いたしましたものを別途本社勘定として計上してある、こういうふうに聞いております。
  98. 山本政弘

    山本(政)委員 それでいいですか。
  99. 塙阪力郎

    ○塙坂説明員 私は、そう聞いております。
  100. 山本政弘

    山本(政)委員 それでは、「同会社は再建五箇年計画実施後はじめて利益を計上しているが、四十二営業年度末の累積欠損金が七十七億七千五十四万余円で、前記再建計画における第四年度末の予想累積欠損金に比べて九億四千六百四十四万余円上回っている」、こうなっているわけですよ。九億四千六百四十四万円上回っているのだったならば、あなたのおっしゃるように二億九千二百五十七万円とずいぶん開きがあるじゃございませんか。この辺はどうなのです。それをはっきりしてください。
  101. 下山修二

    ○下山説明員 先生のお持ちの資料は私のところにございませんものですから、ちょっと数字は食い違うかと思いますけれども、後段のほうの数字につきましては、主として再建五カ年計画の間に起きましたたぶんいろいろの特別損失、たとえて申しますとむつ製鉄の中止の問題等ございましたから、それらの数字からそういう計数が出たのではないかと思います。  前者との関連につきましては、したがって、私の理解では、先生のおっしゃったのはたぶん単年度における本社の損失であり、後者についてはそういう数年度にわたる再建計画との相違の数字かと思うのですが、先ほど申し上げたように手元に資料がございませんので……(「あなたのほうで把握してないというのはどういうわけだ、そんなでたらめな話があるか」と呼ぶ者あり)私は、把握してないと申しますのは、こまかな数字の……     〔「二億というのはこまかいかね。だめだ、そんなことじゃ。」と呼ぶ者あり〕
  102. 森田重次郎

    森田委員長 もう少しわかるような人はいないのかね。
  103. 下山修二

    ○下山説明員 たいへん恐縮ですけれども、もう一回御質問していただけますでしょうか。
  104. 山本政弘

    山本(政)委員 これは会計検査院の四十二年度決算報告ですが、本社部門では二億九千二百五十七万余円の損失となっているのですよ。ところが、あなたのおっしゃるような言い方をすれば——第四年度末の予想累積欠損金に比べて九億四千六百四十四万円上回っておる。私はその辺の差の説明をしてほしいと言っているのです。なぜそれだけの差というものが出てきているのか。あなたはそれが単年度である、それから累積というものとの違いだというふうに言っているけれども、私にはちょっと理解がつかないので、その辺納得のいくような説明をしていただきたいと言っておるのです。あなたの言うように、累積ということになれば、化工事業部門で四千九百二十四万円、ハードボード事業部門で二千二百二十五万円、本社部門で二億九千二百五十七万円、これらを全部一緒にしなければなりませんね。その辺、私、理解ができないからはっきりしていただきたい。
  105. 下山修二

    ○下山説明員 先ほど参事官のほうから御説明ありましたが、まず四十二年度の二億九千万円の本社の赤字につきましては、これは再建計画におきまして勘定を二つに分離しまして、企業の収益そのものをあらわす再建勘定と、いろいろの不良資産等を除却するための特別整理勘定というぐあいに二つに分けまして、そのために、過大の利子負担等は特別整理勘定のほうで整理してやるというような事情がございまして、その項目が本社のほうに計上している、セメントとかハードボードとか化工部門のほうは、適正金利で一応損益を出しておるという形で、あの二億九千万円が出てきたものだと思います。
  106. 山本政弘

    山本(政)委員 そうするとその九億四千六百四十四万円の中には、あなたのおっしゃる特別整理というもので特別利益あるいは特別損失というものも入っているわけですか。
  107. 下山修二

    ○下山説明員 入っております。
  108. 山本政弘

    山本(政)委員 そういう差し引き勘定の中でこれだけのものが赤字だとおっしゃるのですか。間違いありませんね。
  109. 下山修二

    ○下山説明員 はい。
  110. 山本政弘

    山本(政)委員 それでは助成部門については、損失と利益はどうなっているのですか。あなた方は助成会社に投融資をしているというのですが、その助成会社に対する損失とか利益というものがあるでしょう。ないのですか。これは出しっぱなしですか。
  111. 下山修二

    ○下山説明員 助成会社の損失あるいは利益というものは御説明するまでもないと思いますが、貸し付け金に対する利子が収入になりまして、その金は、政府保証債を発行して借り入れ金があるわけでございますので、この借り入れ金に対する利子の支払い、その差額が利益になってくるというのが大半でございます。したがいまして、東北開発株式会社の助成会社に対する損益については、利益あるいは大きな損失というものは出ないようになっております。金利のほうで申し上げますと、貸し付けにつきましては、八分四厘で利子を徴収して貸し付けをしております。それから借り入れにつきましては、平均で見ますと約七分五厘の金利を払っております。そこの差額は若干出ますが、それは事務費、管理費等で消化しますので、ほとんど利益が出ないというのが毎年の状況でございます。
  112. 山本政弘

    山本(政)委員 損失も出ないわけですね。
  113. 下山修二

    ○下山説明員 損失も出ないわけであります。
  114. 山本政弘

    山本(政)委員 それじゃ、助成会社の、あなたのそういうおっしゃり方をそのまま受け取ると、ここへマイナスが出ているということは、セメント事業部と化工事業部とハードボード事業部、これらの損失というものが大体二億九千二百五十七万円と理解していいのですか。
  115. 下山修二

    ○下山説明員 そのように理解してけっこうだと思います。
  116. 山本政弘

    山本(政)委員 そうしたらおかしいじゃありませんか。そんなことを言ったら、損失は二億九千二百五十七万円よりかもっと大きくなるはずですよ。これに従えば、化工事業で四千九百二十四万円、ハードボード事業部で二千二百二十五万円、本社部門で二億九千二百五十七万余円の損失となっているというわけでしょう。だから損失は二億九千二百五十七万円プラスの四千九百二十四万円と二千二百二十五万円になるはずじゃありませんか。損失はもっと多くなるはずでしょう。だから私は確認したんですよ、本社部門の中にそういうものが入っているのかと。あなたの説明が何かあいまいだから、もう一ぺん確認したんですよ。
  117. 下山修二

    ○下山説明員 いまの差額につきましては、先ほどちょっと説明しましたように、その他に特別整理損というものがたぶん入っておるわけでございます。これはいろいろの資産の除却あるいは不良化しました債権というような内容のものでございます。
  118. 山本政弘

    山本(政)委員 あなたは混同されているんですよ。あなたは九億四千六百四十四万円というのは累積の赤字だ、こうおっしゃっているのです。そうおっしゃったんですよ。そうして本社部門の二億九千二百五十七万円というのは単年度の赤字だ、こうおっしゃった。だから私がお伺いしたのは、セメント事業部と化工事業部とハードボード事業部の合計が二億九千二百五十七万円ですかと言ったら、そうだとおっしゃったわけです。だから私は重ねて、それでは化工事業で四千九百二十四万円、ハードボード事業で二千二百二十五万円という損失があるんじゃないですか、そうすると、あなたのおっしゃる本社部門二億九千二百五十七万円というものはもっと多くなるはずじゃないですか、こういう質問をしているんですよ。質問の意味を取り違えないで答弁してもらいたいと思うのです。あなたの説明はどうも私は納得がいかないんですよ。
  119. 下山修二

    ○下山説明員 私のほうでいま整理しております計数を申し上げて恐縮でございますが、いまの点につきましては、まず営業の損益というぐあいに東北開発株式会社の経理を分けて申し上げますと、セメントにつきましては約四億三千三百万円の利益を計上しております。それから問題の化工事業でございますね。これにつきましては五千万の損失を計上しております。それからハードボード事業につきましては、二千六百万の利益を計上しております。それから本社部門につきましては、先ほど、多大の利子負担は、本社部門で抱えるというふうなかっこうをとっておるのが、大きな原因ですが、合計しまして、二億五千九百万の損失をしょっておる形でございます。以上を合計しますと、ちょっと下の数字は変わると思いますが、約一億五百万の利益を計上しておるというようなことが、私の手元の資料からは見られるわけでございます。
  120. 山本政弘

    山本(政)委員 それはおかしいと思うのですね。それじゃ会計検査院が、うその報告をしているわけですか。あなた方の計算と、それから会計検査院の報告とが違うというのだったら、どこに問題があるのです。それをまずはっきりしてください。それでないと、質問に入れませんんよ。そうでしょう。委員長、お認めになりますね。会計検査院の報告書とあなた方の決算報告書とが違うという、そんなばかなことはないでしょう。そういうずさんな経理をやっているから、私は、国の金をつぎ込んでも経営というのがうまくいかない。お役所の運営ということにしかならぬのではありませんか。はっきりして下さい。はっきりしなければ、これは進められませんよ。何で違うのですか。会計検査院の報告とあなたの決算の報告と違うというばかなことはありませんよ。
  121. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 まことに先生の御質問に対して、私のほうの説明が非常に不行き届きで申しわけございませんが、ただいま資料をあまり詳しく持ってまいらぬようですから、後ほどそのそごの点を、資料をそろえて先生に御説明申し上げます。
  122. 森田重次郎

    森田委員長 山本さん、いまの点はそれでよろしゅうございますね。
  123. 山本政弘

    山本(政)委員 いやもう一ぺん質問があるのですよ。  ここには、二十四条「東北開発株式会社監理官ハ何時ニテモ会社ノの金庫、帳簿及諸般ノ文書物件ヲ検査スルコトヲ得」と書いてあるではありませんか。あなたが、少なくともそれだけの権限をお持ちになっている。そしてその上で、決算の報告も全部出てるはずですよ。それが会計検査院の報告と違うということがもし真実であるならば、これは一体どうなるのです。それであとで資料を出すからということになりますか。
  124. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 会計検査院の報告書をうちのほうでまだ精査をいたしておりませんので、それが東北開発株式会社の正式な決算と対照して、どこに指摘事項について問題があるか、それを検討させていただきたい、こうお願いしているわけであります。
  125. 森田重次郎

    森田委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  126. 森田重次郎

    森田委員長 速記を始めて。  数字的な問題ですから、精査の点は後ほど正式に資料を調べてからということにしていただいて、ただいまはこの程度にしておきたいと思いますが、御了承を願います。
  127. 山本政弘

    山本(政)委員 四十一年度の事業計画で福島の工場の新規事業費、これは新事業予備費として十六億をとって、その中に化工事業部合理化資金として十一億予算を計上されておりますね。また、四十二年度の事業計画では、新事業予備費として十億八千万円を計上しておる。その中に化工事業部合理化資金として六億計上をされておる。四十一年度のこの十一億というものは、四十一年度変更計画で打ち切りになっておるわけですよ。そしてさらに四十二年度に六億計上をされたものも、四十二年度変更計画で打ち切りになっている。何でこれを二年にわたって予算を計上しながら打ち切りになっているのか、この辺の事情を説明していただきたい。
  128. 下山修二

    ○下山説明員 先生の御指摘の打ち切りの金額につきましては、先ほど参事官のほうから若干説明がありましたように、両方とも化工事業部の合理化のための設備投資資金であったわけであります。しかし、この方向としまして、酢酸ビニール、あるいは塩化ビニールに対する新規事業計画が、いずれも原料の入手、それから販売先の問題等がありまして、実現を得なかったために打ち切りといたしました。
  129. 山本政弘

    山本(政)委員 十一億という金は、合理化計画としたら、かなりな金だと思うのですよ。そうしてそれによってほんとうに合理化をおやりになろうと思えば、私はその十一億円というものは、やはり投入すべきだと思う。なぜならば会社法の第一条に書いてあるように、東北の開発に資するためだというならば、必要な金は投入することを惜しむ必要は私はないと思うのです。しかし、四十一年度に十一億円を計上しながら、なぜ同じように四十二年度に六億円もの多額の金を計上されておるのか、その辺は一体どうなるのですか。二年計上しながら打ち切りにしたということは、私にはわからないのですよ。すでにカーバイド部門は、あなた方のおっしゃるように、技術革新に追いついていけないんだということならば、ここに加藤さんもおいでになっていますが、私はカーバイドについてよく知りませんけれども、カーバイドというものは三十四、五年ごろから考えなければならぬということがあったという話も私はちょっと聞いている。それなら抜本的に——十一億円計上し、そうして翌年に六億円も計上するのだったら、あなた方に何か計画がおありになったはずでしょう。何で計画をおやめになったのか、いやしくも特別に総理大臣が監督する会社ですよ。そしてそのために、あなた方のように監理官の置かれているようなところでしょう。もっと厳密に私はやるべきだと思うのです、計画をやるならば。簡単に十一億円計上して、その年はできません。だから翌年に簡単に六億計上して、それもでませんでした。打ち切りとします。そんなばかなことができますか。そういうずさんな計画だから、私は福島工場での民間移譲ということが出てくると思うのです。私は、あなた方のやり方に対して、非常に安易なものを感ずるのですよ。私はこの前に、北海道地下資源のことについて質問を申し上げたことがあります。そのときの行政管理庁長官は赤字の会社は国でめんどうみますと、はっきり明言されていますよ。速記録をお調べください。しかし、逆にあなた方は簡単に赤字だからといって手放す、こうおっしゃっているんでしょう、結果的には。何で四十一年に十一億を計上し、それで打ち切りになったのか。そして、四十二年に六億計上して打ち切りにしたのか、それは単にカーバイド事業が斜陽であるということだけではないはずなんですよ。そんなことは、とっくにわかっているはずなんです。だから、一体どうしようかということで、あなた方は予算を計上されたはずでしょう。ここに会計検査院の報告の中にも、「同会社の合理化についてはなお一層努力の要がある」と書いておる。それに従ってあなた方はやるおつもりになったと思うのですよ。その辺の説明、はっきりしてください。
  130. 塙阪力郎

    ○塙坂説明員 両年度にわたりまして、相当巨額の資金を計上いたしましたのは、当初カーバイドの見通しが悪いために、酢酸ビニールの事業をやったらどうだということでやりましたが、酢酸ビニール、それから塩化ビニールというふうな事業につきましてもいろいろ検討したようでございますけれども、御承知のように酢酸ビニール、塩化ビニールも、業界におきまして若干、カーバイドほどではございませんが、見通しもよくないといったふうなことになりまして、したがいまして、この事業計画は一応撤回したこういうことのようでございます。
  131. 山本政弘

    山本(政)委員 時間がないそうですからあれしますが、ひとつ質問を保留さしていただきたい。ひとつ御了解を願って東北開発株式会社の今後のあり方について、お考えをお伺いしたいと思います。
  132. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 先生御承知のとおり、東北振興のために、産業の振興地域、地下資源の活用、あるいは地方労働力の活用等をはかりながら、東北の振興をはかりたいというのが当社の設立の趣旨と考えております。また、その線に沿ってできるだけ政府としても諸般の措置を講じておるわけでございまするが、ただいま先生指摘のような、東北会社の福島工場については、所期の目的が達せられなかったので、会社としても、担任者といたしましても、相当苦慮しておると思われるので、政府といたしましてもできるだけこれが再建を目ざして、援助してまいったのでありまするが、なかなかその所期の目的に沿わないというようなことで、こういうような問題が起きつつあると思うのでありますがいずれにいたしましても、地方の自主性、地方民の要望に沿ったそういう方向で政府は今後ともつとめていく方針には変わりはないのでございます。本日の先生のいろいろの御質問、ただ福島工場という単なる一工場のみに限らず、今後東北開発株式会社の全般の問題につきまして、何が適切であるか、どういうものが地域の発展のために大事であるかということを真剣に検討して、慎重に考慮したい、こう思っておる次第でございます。
  133. 山本政弘

    山本(政)委員 政務次官のほうで冒頭に、譲渡する場合においても、労働条件その他のことについて最大限の努力をするというお約束をなさいました。私この質問を保留さしていただきますけれども、同時に労働大臣に、労政上の問題もあると思うので伺っておきたいと思います。簡単に赤字になったからといってこれを民間に移譲するというようなこともおかしいし、それから現実には、予定計画よりもこれを見ますと生産はあがっているんですよ。少なくとも昭和四十三年度には生産はあがっているのです。そういうものに対して、これは赤字だから、よけいな子供だからといってよそにやるようなことはおかしいと思うし、それからもう一つ申し上げたいことは、この会社の責任者である総裁は、何回あの工場に行ったかということです。私のところに陳情に来た組合の人たちは、身売りをするときだけ総裁がお見えになっていいものだろうか、それが私らには納得いかない、こう言っていますよ。ある場合には、やむを得ないからわれわれも覚悟いたします。しかし、会社の総裁である人が、単に赤字の工場を民間に移譲するときだけお見えになるということでいいものだろうか、私どもにはそれが納得できませんと、こう言っているのです。そういうことについて、私は労政上の問題もあると思うので、最後に労働大臣のこういう問題についてのお考えをお伺いして、私の質問を終わらしていただきたいと存じます。
  134. 原健三郎

    ○原国務大臣 さいぜんからいろいろ御説を拝聴いたしまして、なかなか複雑な事情もあるようでございますが、御意見のほどはわかりましたので、善処いたしたいと思います。
  135. 森田重次郎

  136. 田畑金光

    田畑委員 私は、最初に労働大臣にお尋ねをしたいと思いますが、いわゆる総合労働布令の問題です。御承知のようにことしの一月十一日に総合労働布令が発表されて、一月二十五日に施行予定、こういわれていたのが、現地における強い反対、また日本政府からの申し入れなどがあって施行が延期された、こういう事情です。総合労働布令が出たのは現行の百十六号布令が軍労働者の組合活動の自由であるとか、人権の保障に非常な制約、圧迫を加えておる。そこで百十六号布令の撤廃運動というのが長く続いてきて、それにかわる措置として総合労働布令に至ったものだと歴史的に考えてみると、沿革的にはそのようになっておると私は理解しておるが、この点についてまず大臣の所見を承りたいと思います。
  137. 原健三郎

    ○原国務大臣 大体、そういう意向で民政府のほうでやったのであろうと存じております。
  138. 松永正男

    ○松永政府委員 ただいまの御質問の御趣旨は、布令百十六号がずっと存続してきて、それの改正という意味で最近になってこの問題が起こったというふうに見ているかという御質問でございますが、お説のとおり、布令百十六号が制定されましたのは一九五三年でございます。したがいまして、昭和二十八年でございますか、だいぶ昔のことでございますが、その後ずっとこの百十六号が労使関係、労働基準等を規律する法的根拠として行なわれてきておる。ただし、その間に、先生も御承知のように、何回か改正がございました。特に昨年の四月に行なわれました改正におきましては、団体交渉の問題を相当はっきりときめました。全軍労と全軍合同労働委員会との間で団交を行なっていくことになりました。体系といたしましては、百十六号がいままでずっと、二十八年以来労使関係並びに労働基準に関する根拠法とされてきたということでございます。
  139. 田畑金光

    田畑委員 いま、労政局長からお答えがありましたように、布令百十六号は一九五三年の八月、すなわち講和条約の発効したあくる年に、公布、実施に移された布令であります。お話しのように、その間、十四回改正されておる、こういういきさつがございますが、しかし、占領政策の延長として、あるいは占領政策下における労働運動のあり方、軍労働者のあり方をきめた布令ということで、近代的な労使関係のあり方、近代的な労働法という概念からほど遠いものである、こういうふうに私は理解しているわけでありまするが、この理解について、大臣はどのようにお考えになりましょうか。
  140. 松永正男

    ○松永政府委員 布令の見方でございますが、私ども見ておりますところは、日本の国内法の労働法体系に比べますと、相当に異なっております。その異なり方が、考え方としましてはタフト・ハートレー法の体系というものを引き継いでおるという点において、まず異なっておるということであります。タフト・ハートレー法が、近代的な労働法であるかどうかという評価はそれぞれあろうかと思いますが、そういう意味におきましては、われわれの国内法と比べてみますと、何か異質な感じがいたします。これが第一点でございます。  したがいまして、個々の規定におきましても、労使関係あるいは労働運動等の面から、われわれのなじまないような規定というものが中に盛り込まれておる点が見られます。  それから、団体交渉等の問題、並びに不当労働行為の救済というような問題につきましても、今度の総合労働布令では、三者構成の委員会というのを新しく規定をしようということでありますが、従来はそのような三者構成でなくして、軍の代表と琉球政府の代表というようないわば二者構成の委員会、そしてまた、そういう制度は、そのような異なった制度でありますが、現実には動いていなかったというような点がございます。  それからまた、第一種被用者あるいは重要産業につきましての労働三権の制約というような問題これにつきまして、現地の、特に直接適用を受けます全軍労等において、いろいろ意見がある。  それから、そのようなストライキ規制というもの、三権制約に対しまして、代償措置というものが布令百十六号では明確に規定されていないというような点等が、布令百十六号とわが本土と比べてみますと、法体系が異なることからする問題点、それから、いま申し上げましたような個々の点についての問題点、そういうものがあるように私どもは見ております。     〔委員長退席、谷垣委員長代理着席〕
  141. 田畑金光

    田畑委員 いま局長から御答弁がありましたように、布令百十六号が現在では実施されておるわけですが、第一種被用者についてはお話しのように全く争議権が認められていないわけです。そしてようやく昨年四月の改正で団体交渉権と労働協約締結権が認められた、こういう経緯となっているわけです。第二種の被用者については、百十六号のもとでは争議権があるようなないような、明確を欠いておるわけでありますが、実際の運用面においてはストライキ権は禁止されておるというのが今日までの経緯であるわけです。  お話しのように、布令百十六号は米国のタフト・ハートレー法に学んででき上がっておる布令であるわけです。これは、合衆国連邦政府の職員は、ストライキ権が禁止されておる。だから、軍雇用労働者も同様な取り扱いをしているんだという概念じゃないか、こう見ておるわけでありますが、しかし、合衆国連邦政府の職員については、給与の問題等については人事委員会制度がある。あるいはまたそれに不服な場合は、連邦政府の職員は議会に対して陳情請願の権利も認められておる。同じような取り扱いを沖繩において軍労働者が受けておるというこの実情、アメリカ合衆国の市民でもない、単なる合衆国軍隊の雇用者にすぎないこの人方について、法体系の上においては連邦政府職員と同じような処遇をしておるが、一番大事な労働条件その他の福祉の面、待遇の面においては全く別の体系のもとに扱われておる。ここに百十六号布令に対する強い反対運動というか、この布令をなくしてやはり軍労働者も民労働法で、あるいは日本本土における駐留軍労働者が労働三法を適用されておると同じように、民労働法の適用に切りかえてもらいたい、こういう運動が長い問続いていたわけであります。その長い主張の結果がようやく実を結んで、布令百十六号にかわって今度は総合労働布令、こういう形に発展したものと理解するわけであります。私は、大臣も私がいま申し上げた点については同感であるとお認めになるものだと思いますが、あまり長い答弁は必要でありませんけれども、大臣、ひとつ私のいま申し上げた点について御所見を承りたいと思います。
  142. 原健三郎

    ○原国務大臣 お説のとおり、そういうことであると思っております。
  143. 田畑金光

    田畑委員 先ほど労政局長は、布令百十六号と今度の総合労働布令について、幾つかの点をあげて比較検討あるいは説明をなされたわけでありますが、百十六号に対して今度の総合労働布令というものは、労働基本権の面においてほんとうに前進なのか、あるいは同じなのか、あるいは後退なのか、これはどう評価しておられるか。最低賃金の保障の問題であるとか、あるいはボーナスを支給するとか、あるいはお話しのように三者構成の労働委員会を設けるとか、こういう点においてはなるほど従来にない一つの進歩であり前進であるとは思いますが、労働基本権、この布令百十六号の適用を受けておる軍労働者が、一番強く期待しておりました労働基本権という観点から見る場合に、はたして総合労働布令というものが、百十六号よりも進歩しているのか、前進しているのか、この問題については議論があると考えておりますが、この点についてどのように労働省としては評価しておられるか、見解を承りたい。
  144. 松永正男

    ○松永政府委員 たいへんむずかしい御質問だと思います。総合的に全体的に比べてどうかという御質問でございますが、私どもといたしましては、百十六号に比べまして、総合労働布令においてはいい面も相当入っておるという評価をまずいたしております。それは、田畑先生もいま御引用になりましたような労働条件の面におきまして、たとえば最低賃金の引き上げというような、相当大幅な引き上げをうたっておりますし、退職金制度を確立する、あるいはボーナス制度を確立するというような面、それからまた先ほどちょっと申し上げましたが、仲裁委員会というものを新しく設置をして、そうしてそれは労働代表も入れて三者構成というような面におきましては、私はそれは改善であるというふうに評価をいたすのでありますが、一面におきまして、たとえば十条のように、軍活動あるいは重要産業を妨げる行為についての禁止規定でございますが、これが総合労働布令と銘打ちながら、一般の沖繩人を縛るというような、労働法の範囲を逸脱したような面が見られる。これにつきましては、御承知のように、政府から意見を述べておるわけでございますが、アメリカも検討しようということでございますが、そういうような面につきましては、これは百十六号に比べますと、どうも範囲が非常に広くなって、一般人全体を縛るというような面では悪くなっておる面だというふうに考えております。  その他、今度は労働法の中身につきましてでありますが、これにつきましては、字句の表現等におきまして非常に明確でない面が相当ございます。アメリカ民政府と私どものほうとの疑義についてのやりとりを通じますと、従来と変わりがないのだという解釈でございますけれども、字句上は何か制限的な表現が入っているような面もなきにしもあらずであります。  それからまた、たとえば刑事免責の規定がございます。争議行為をやりました際にもこのような条件なら刑事訴追は受けない。ところが、その条件がきわめてあいまいになっておる。たとえば十六条、十七条等の規定について必ずしも明確でないというような点がございますので、それらの点につきましては、これは労働法の中としてこれは問題があるのではないかというふうに考えております。全体としてということになりますと、これ、なかなかむずかしいと思いますが、よくなった点、それから問題があるような点をあげますと、そんなことでございます。
  145. 田畑金光

    田畑委員 いま労政局長が御答弁なされたように、いい面も確かに出ておるわけです。それはいま幾つかの点をお述べになりましたが、その点は確かに私も率直にこれは前進だと評価するわけです。だがしかし、一番大事な労働基本権の問題人権の問題、組合活動の自由の問題、こういう点においては、私は総合労働布令になってかえって制約が加わっておる、こういう感じを受けるわけです。それはいま十条をおあげになりましたが、確かに十条は一般の人を含めて、ピケット、集会、示威行動などを、軍または重要産業の活動を阻害することを目的として、またはそのような効果を伴うようなことをやってはならぬ、こういうわけで、単に軍労働者だけでなく、一般住民もその中に制約を受けるようになっておるわけです。すなわち、これは労働法のワク内の問題ではなくして、治安立法ではないかという批判が出ておるのは十条であるわけです。  しかし、単に十条だけでなくして、十一条などを見ますと政治献金の制限ですが、民主社会における基本的な権利としての政治活動の自由ということは、これはもういずこの国の憲法においても当然認められておる基本的な権利の一つだと考えるわけでありますが、十一条を見ても問題があるわけです。  さらに第九条を見ますならば、争議の際の義務という条項でどういうことがうたわれておるかというと、第九条のB項の集団行動の中では、軍の行動や重要産業を阻害するようなストライキが発生した場合には軍事基地の運営を継続し、阻害されないように適当な機関によって必要と認められる措置がとられる。一体これは何を意味するのか。さらにそのあとには、軍事施設運営と安全維持のために一時的または恒久的に代替されるということも書いているわけで。これは何を意味するのか。  このように見ていきますと、確かにあなたのお話のように、元来がむずしくてどう理解してどう解釈すべきか、それ自体が非常に混乱する内容でありますが、一番大事な、基本的な労働基本権に影響する問題を取り上げてみますと、第九条であっても十条であっても十一条であっても、問題点が多々あるわけです。  さらにさかのぼって、労働者の権利をうたった第三条の内容を見ましても、一体どこまで労働者の権利を認めようとするのか。あるいはまたその冒頭に、「A種の被用者は彼らに関する本布令や規則、指令で適用を除外される場合を除き」、この適用除外される場合というのが、常に百十六号布令運用の場合においてもいろいろな問題をかもし出しておるわけでございますが、この第三条の労働者の権利の項目を見ましても、非常に問題が出てくることを憂えるわけです。  そこで、私がお尋ねしたいのは、日本政府は単に十条の規定が軍労働者だけでなく、一般民間人に適用される憂いがあるからこれは削除してくれ、こういうような意見の申し入れをアメリカ大使館を通じアメリカに要請されておるということを聞いておりますが、第十条だけが問題であるという受けとめ方をなさっておるのか。私がいま言ったような、諸般にわたって問題なのか。こういうような問題等についても申し入れをされておるのかどうか。これは閣議の中等において当然議論されてまいっておる問題でありますが、労働省、外務省あるいは総理府、この三者の中で、これらの問題については十分御協議なさってきておるわけでありますが、この点について政府としてはどのような姿勢で臨んでおられるのか。この点労働大臣から、いままでの経過を聞かしていただければありがたいと思います。
  146. 原健三郎

    ○原国務大臣 御指摘のように、政府は外務省、総理府及び労働省で、事務当局で協議の上で、非合法活動に対する規制をした第十条については、いま事務当局からお話がありましたように、これについて削除等について外務省を通じて申し入れをいたしております。なお、それをやります前におきましては、解釈上の疑問等について質疑を出して検討いたしてまいりました。十条について申し入れをした点以外の点についても、検討を要する点が少なからずありますので、早急にこれらの点について疑義を明らかにするとともに、現地における各方面の意見を見た上で、慎重に検討する必要があるということをいま閣議できめております。それで結局、いまそういう検討をいたしておりますが、それから、三月一日までに労働団体あるいは琉球政府等からいろいろな意見を民政府のほうへ出すことになって、近く出されることと思っております。そういう出された意見等も政府においては直ちに連絡をとって、政府三省間でよく検討いたしたい。その上でそのけんとうの結果についてアメリカ側といろいろ話し合いを進めていきたい。こういうところまでいまきておるところでございます。
  147. 田畑金光

    田畑委員 この点については特に外務省において、アメリカの大使館といろいろ接触をなされ、日本政府の意見なども申し入れられておるとしばしば新聞は報道しておりますが、外務省の大河原参事官、あなたの名前はこれで非常に有名になりまして、知らぬ人はいないほどこの問題で外務省の大河原参事官というのは天下に令名をはせておるわけですが、大河原参事官、どのような接触、どのような内容について話し合いをされておるのか、いままでの経過と現状と今後の見通しについてお聞かせいただきたいと思います。ことにいま大臣からもお話がありましたように、日本政府としては外務省、労働省、それから総理府の間で、いろいろ検討を加えられておるわけであります。さらにまたアメリカ民政府としては三月一日までにひとつ意見があれば意見を申し出なさい、こういうような形になっておるわけでありますが、意見を申し出たならば、そのあと総合労働布令についてはその意見に基づいてこれは改めましょう、そういう改正に応ずる用意が当然あっての意見を出しなさいということだと考えておりまするが、そのあたりはやはり窓口として接触されておる外務省がよく感得されておる、感知されておる、こう見ておりますので、その辺の事情をひとつ御説明をいただきたい。
  148. 大河原良雄

    ○大河原説明員 従来の折衝経過につきましては、先ほど来労働大臣並びに労政局長からるるお話がありましたとおりでございますが、私ども外務省といたしましては、労働省並びに総理府と密接な連絡をとりつつ、この布令が公布されまして以来、その各条につきまして、一体どういうふうに読むべきであるか、どういうふうにこれが適用されると考えるべきであるかというふうなことにつきまして、いろいろ検討いたしてまいったわけでございますけれども、この検討の過程におきまして、先ほど労政局長からも御答弁のありましたように、字句の上であるいは適用上いろいろ疑問点がございますので、そこらの疑問点に対する解明という形で種々米側に説明を求めてきたわけでございます。  その米側からの説明によりまして、ある程度はっきりした部面もございますけれども、他方また必ずしもはっきりしない部面も依然として残っておるということでございますが、とりあえず最も問題となると思われる第十条につきまして、先般日本政府としての考え方を米側に伝えまして、米側も日本側の考え方について十分協議、検討いたしたい、こういう約束をいたしたわけでございます。  米側といたしましては、一月二十三日にカーペンター民政官が声明を出しました際に、三月一日までに現地関係者から、文書をもって建設的な意見なり提言を求めたい、その建設的な提言、意見が出された上は、これを十分検討の上誠実かつ十分に考慮いたします、こういうことを表明いたしているわけでございます。  日本政府といたしましても、先般見解を米側に伝えました際に、琉球側から、現地から出てまいります建設的な意見なり提言に対して、米側がきわめて真剣にこれを考慮することを要望するという趣旨のことを米側に伝えておりまして、米側はその点を了承いたしております。したがいまして、現地から出てまいります意見並びに日本政府から米側に伝えました見解というものに対して米側は真剣にこれを考慮するであろうということを申し上げられると思います。
  149. 田畑金光

    田畑委員 あとの質問もありますので私も結論を急ぎますが、いま大河原参事官のお話にもございましたように、また先ほど労働大臣の御答弁にもありましたように、日本政府は十条だけを特に取り上げて米側に再検討を要請されておるようでありまするが、十条だけではないと私は考えるわけです。  先ほど幾つかの条文を私は取り上げましたが、その他読んでいくといろいろの疑問が出てくるわけです。この際、私は、一九五三年から十数年にわたり、現地の軍労働者が非常な圧迫を受けてまいりました布令第百十六号を、労働基本権の面においても、あるいは労働条件の面においても前進させるという機会が、今度の総合労働布令の内容いかんだ、このように判断するわけです。そういう点においては、私はもっと日本政府としては、単に十条の問題だけでなく全般的な諸点を検討されて、強い姿勢で要請すべきは要請する、是正させるべきは是正を求める、こういう態度で臨むべきだと考えるわけですが、そのような御意向があるかどうか。  さらに私は、最近の琉球政府の動きを見ますならば、琉球政府の、これは労働局が一応まとめた見解と伝えられておりまするが、その見解によれば、今度の総合労働布令は大統領行政命令のみならず、日本国憲法、世界人権宣言にもとるもので、とうてい認めることはできない。したがって、同布令は撤回し、軍関係労務者を間接雇用に切りかえ、民立法を適用し、労働基本権の確保をはかるべきであるという強い姿勢が結論として出そうだ、あるいは出た、こういうことも聞いております。しかし、そのような基本的な姿勢に立ちながら、なおかついま大河原参事官のほうからもお話ございましたように、建設的な意見については、また二十項目か、二十数項目か知らぬが、建設的な意見をまとめて民政府に提案する、そういういま直前にきておると私は聞いております。そういうようなこと等をかれこれ考えてみたときに、当然アメリカ民政府、あるいはアメリカ本国においても、大河原参事官のいまの御答弁のように、十分日本政府並びに琉球政府の意見を聞いて、総合労働布令については内容を大幅に再検討するものであると期待しております。それができ上がるまでは当然総合布令の公布あるいは実施というものはあり得ないのだ、このように私は理解しておりまするが、そのように理解してよろしいのか、この点、あとの点は大河原参事官から承ります。前の点は労働大臣。
  150. 原健三郎

    ○原国務大臣 いまいろいろ御意見ございましたが、この総合労働布令の適用を受ける現地の労働組合、またそれに関係の深い琉球政府等々が、三月一日までに意見を申し入れることになっておりますが、申し入れましたらまた直ちに日本政府に連絡があることになっております。それがまいりました時点で、それを勘案して、いまでも検討いたしておりますが、それらとにらみ合わせて、私どもは全体にわたって、十条以外にわたっても検討も進めておりますが、それと両方あわせて大いに検討を進めていきます。そして適当な結論が出ましたときにおいて、その場においてアメリカ政府にあらためて外務省を通して交渉する。その場合においては、アメリカ政府は日本政府の意向もよく参酌するということになっておるのでございます。
  151. 大河原良雄

    ○大河原説明員 施行期日の問題でございますけれども、先ほど私ちょっと触れました一月二十三日にカーペンター民政官が出しました声明文によりますと、建設的な意見や提案は、すべて沖繩並びにワシントンにおいて誠実かつ十分に考慮されることになる。新しい布令は、この検討が完了してからでなければ実施されないということをうたっておりますので、私どもも、米側が真剣にこの検討を行なうでありましょうし、その検討が完了しなければ施行はされない、こういうふうに承知いたしております。
  152. 谷垣專一

    ○谷垣委員長代理 大橋敏雄君。
  153. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 国鉄の方、来ておりますか。——それでは、時間がありませんので、大臣でけっこうですから……。  いま国鉄のほうでは、特に東京鉄道管理局管内で、三分割案が打ち出されたことから、国労との争議が起こっていることを聞いております。それに関連いたしまして二、三お尋ねしてみたいと思うのです。  最近、列車または国電が、非常にのろのろ運転をやっているわけですね。したがいまして、先を急ぐお客さんなど、特に通勤客などは、気がいらいらしまして、そのいらいらも相当のところまで来ておるようであります。実は二十五日の夜、国電の中央線武蔵小金井駅で起こった事件でありますが、これは、立川駅に向かって行った電車が、小金井駅で急に運行を中止した、こういう指令が出たわけですね。それは順法闘争ののろのろ運転のあおりから来た措置であった、こういうことなでんす。私はこれを知ったわけでございますが、その内容は、乗客の強い反対を受けまして、夜のことであったそうですが、非常に寒い日で、ここで下車をしてくださいといっても、だれが下車されるか、ほとんどの乗客が座席にがんばった。十両編成の車がほとんど満員だったそうでありますが、その中から集団交渉が起こったわけですね。その結果、中止になった運行が再びもとの立川駅まで運行されたという事件が起こっているわけであります。もしこの指示どおり乗客がおりていたならば、寒風の吹き荒れる中に、いつ来るかわからない電車を待って相当困った方が出たんではないか。いろいろと考え合わせたとき、これは、大いにこの問題を重視して、今後手を打たなければならない、こう思う立場からお尋ねするわけであります。  このような事柄に追い詰めていった、この順法闘争そのものにもある意味の批判はありますけれども、それはそれとして、ここまで追い詰めた環境に追いやった責任は、政府にあるんじゃないか、こういうふうに思うわけです。こうした労働争議等を特に担当なさる労働大臣の、これに対する所感と、今後の措置といいますか対処なさることを聞いてみたいと思うのです。
  154. 原健三郎

    ○原国務大臣 いまお話を承りまして、東京鉄道管理局三局分割が非常に問題になっておりまして、国電がのろのろ運転などをやりまして、多くの乗客が迷惑しておるという、まことに残念であります。それで政府の責任と言われますが、端的にずばり申し、私のほうからどういう原因かと申し上げるのは、非常にこれは複雑になっておりまして、国鉄の財政再建その他賃金値上げとか、そういうようなことは政府が干渉したり国会が関係しておりますが、こういう労使の紛争については、両者において円満に、話し合いで、団体交渉において解決してもらいたいというのが私どもの方針でございます。  実はこれの担当の労政局長がおりまして、現地で日夜、けさも、その折衝に当たっております。それから詳しく説明させます。
  155. 松永正男

    ○松永政府委員 問題が非常にからみ合っておりまして、対国民との関係という視点からの御質問でございますが、国鉄が国有鉄道であり、そしてまた国民の足であるということからいいまして、このような事業における労使関係というものが、直ちに国民の日常生活に影響を与えるという本質を持っておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、いま大臣が申されましたように、労使間の問題がそういう第三者に迷惑を与えないような形で話し合いを尽くして、合理的に解決できるというのが基本線である。これは間違いのないことだと思うのでありますが、国鉄労使におかれましても、その辺は常日ごろ考えておられる。労働組合といえども、やはりこういう問題の処理については、利用者である国民に対する影響ということは常に念頭にあると思うのであります。しかし、不幸にいたしまして話し合いがつかず、紛争が生じて迷惑をかけるというようなことは、まことに私どもも残念でありますし、国鉄労使のそれぞれにとっても本意ではないと思うわけでございます。そういう意味におきまして、今後、特に三公社五現業の中で、国鉄が一番財政的な苦境に立っておるということからいたしまして、一方におきまして適切な合理化措置というものも講じられるでありましょうし、労働側からいたしますと、労働条件に対して響く問題につきましては、やはり相当真剣な取り組みをしなければならないという事態が出てまいると思うのでありますが、願わくは、その利用者であります国民に迷惑をかけないという形で今後の処理がなされる、この強い念願の一語に尽きると思うわけでございます。
  156. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 今度の順法闘争の中において、このように列車のダイヤが混乱している大きな労組の闘争方針の中に、ATS、すなわち自動停車装置というのですか、これが闘争を強めているためだとも聞いておりますが、こういうやり方がいいとか悪いとかいうことではなくて、このような方向に追いやっていく国鉄ないしは政府の姿勢に問題がある、こう私は申し上げているわけです。というのは、国労が最初にこの闘争に入ったのは、六日から十日の間を第一次闘争としたらしいのですが、十日の日に、ストに入る前に、国鉄当局のほうから、三分割については労使が引き続いて協議をするのでということで話し合いがついて、当局があらかじめ予定しておりました三月一日実施を一応たな上げにした、こういうことで、われわれはある意味で喜んでいたわけでございます。  ところが、その後、これは二十二日でしたか、当局のほうから、東鉄局の三分割を三月一日から行なうので、辞令の内示をすると組合側に通告があったわけですね。それも現場を除いて、事務関係職員約二千七百人にその辞令の事前通知が渡された、こういうことを聞いているわけです。私は、これはほんとうに労働者を無視した、特に労働組合を無視した行為ではないか、こういうように考えるわけです。その十日の日に協議された内容について説明していただきたい。
  157. 松永正男

    ○松永政府委員 具体的な事態でございますので、後刻国鉄が参りましたときに御説明があるかと思うのでありますが、私ども承知いたしておりますのは、いま先生がおっしゃいましたような経過があった。ただし、これは二月十日に実はストをかまえまして、それで二月十日のストの回避についての事情が、そういうような事情であったというふうに私ども聞いております。そして、その後団交につきましてややごたごたいたしました。というのは、組合側のほうの交渉委員の差しかえというような問題をめぐりまして、ややごたついたようでありますけれども、いまおっしゃいましたような三分割と申しますか、三分割についての間仕切り工事が、当面、問題でございまして、団交ができるまで間仕切りの工事も中止するというのが、組合側のほうの強い意向であったわけですが、それを当局側の関係で、間仕切り工事を進めたというようなことがございまして、そうして公労委の東京地方調停委員会が間に入りましてあっせんをやったわけでございまして、それによってさらに団交を再開して、事態を収拾されたいということがございまして、そしてけさほど、先ほどの御質問でも申し上げたのでありますが、私、職員局長に会いまして事情を聴取いたしましたところでは、東京地本と、それから東京鉄道局との地方交渉、これは主として配転等に伴う労働条件の団体交渉、それから東鉄三分割の問題につきましては、本社と国労本部ということで、並行して話し合いを進めたいということで現在やっており、きょう、あす、できるだけ話を煮詰めて、三月一日の事態に至らないようにしたい、こういうことを言っておりますので、私どもといたしましては、このような並行的な交渉や話し合いでございますが、それができるだけ早く煮詰まって、不幸な事態が回避されるということを望んでおる次第でございます。     〔谷垣委員長代理退席、委員長着席〕
  158. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 時間がございませんので次に移りたいのですが、配置転換の場合、これはいままでの慣例からいっても、労使が事前協議をしていったと思うのですが、今度の場合は、そういう事前協議もなく一方的にその措置がとられた、こういう感じを強くするのですけれども、これに対して大臣はどう感じられていますか。
  159. 松永正男

    ○松永政府委員 御承知のように、国鉄には事前協議協定がございます。そうしてそこで取り扱うべき事項を労使で取りきめておるわけでございますが、具体的に配転について事前協議の対象になっておるかどうか、ちょっと私、いま資料を持っておりませんのでつまびらかにしないのでございますが、基本的な考え方といたしましては、これは大臣から申されても同じでございますが、そういうのはできるだけ話し合いをして了解を得て、そうして円満に運ぶというのが何と申しましても基本方針でございます。ただ、具体的にいまの問題が事前協議協定という、きちっとしたそういうものの対象になっておるかどうかというのは、ちょっと私自信がございませんので……。
  160. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いま国労が非常に強硬にATS闘争を進めておる大きな原因は、こうした労働者側を完全に無視した、その官僚の姿勢にあるであろうと私は思うのです。この点、もっと深く内容を調査されまして、そしてしかるべき手を打って、早く解決をしてもらいたい。これに対して大臣の所見を承ります。
  161. 原健三郎

    ○原国務大臣 御説のように、もう日がきょうとあすの二日より残っておりませんので、三月一日の、そういう方向へ事態が悪化しないように、事務当局をして折衝させ善処いたしたい。まだ二日ありますから、全力をあげてやりたいと思っております。
  162. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 ある評論家の話したことが某新聞に載っておりましたが、その中にこうあるのです。「順法闘争がその正当性だけでは大衆を納得させられないところに来たことを示していよう。ただ、乗客としても、こうしたゴテ得的なやり方がいつもできると思ったら、とんでもないことになるし、大衆の質を低下させることにもなろう。」こういうお話が載っているわけですが、私も今度の小金井駅の事件を見まして、そして確かにこれはへたすると大きな事故に発展していくのではないかと心配するわけです。この評論家の「とんでもないことになるし、」ということが載っているのですが、これにはいろいろな意味が含まっておると思うのですけれども、大臣としてこれはどういうふうに受けとめられますか。
  163. 原健三郎

    ○原国務大臣 お尋ねの要旨はわかるのですが、どういうふうに答弁していいのかなかなか大問題で、ちょっと考えてからでないといたしかねます。
  164. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 もし小金井駅で、国鉄のほうが指示どおりにやったとすれば、おそらく暴動みたいな事件が起こったのではないか。それこそ駅は、屋根が半分しかないというような粗末な駅らしいですが、そこに十両編成の満員の乗客が真夜中におろされてしまったということになれば、これは黙っておさまるものではないと思うのです。そのときに適当な措置がとられたのでおさまっているわけですけれども、そういうことを見た場合、こういう前例が残りましたので、これをもとに今後いろいろな姿に発展していくのではないかということから聞いているわけです。
  165. 原健三郎

    ○原国務大臣 御説のとおり、まことに重大なことでございますので、もうあす一日より残っておりませんが、このまま放置して三月一日に悪化いたしますと不測の事態が起こるし、私は非常に心配いたします。これは国鉄が悪いとか、労働組合が悪いとか、政府が悪いとかいうことよりも、われわれはすみやかに三者が話し合って、そして平和的に解決するように全力を尽くします。
  166. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 もう時間がございませんので——国鉄の方、いらっしゃいましたか。(「まだ来てない」「のろのろ運転だ」と呼ぶ者あり)ほんとうにのろのろ運転、どうもしょうがないですね。  それではきょうはこれで終わりたいと思います。
  167. 森田重次郎

    森田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十九分散会