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矢島政府委員 石油の問題と自動車の問題でございますが、若干の数字をまず申し上げまして、それから
対策を申し上げたいと思います。
石油の
関係は重油が問題になっておるわけでございますが、重油の数字で申し上げますと、いまの四十四年度の数字が八千四百万キロリットルということになっております。これが五年後の四十八年度には一億二千万、それから十年後の五十三年度には一億七千五百万、こういうような大ざっぱな数字が
考えられております。
比率にいたしますと、この十年間に二一三%の増加、それから五年後には一五〇%の増加ということになるわけでございます。で、
ウ・タント事務総長の
報告にありますように、世界的に見ましても、石油の消費量というものは非常にふえるという傾向にあるわけですが。
わが国におきましても、そういうように五年後には五割増し、十年後には倍以上というようなことになるわけです。でき得れば硫黄分を含んでいないものでもってやるということで、原子力発電の開発ということをできるだけ早くやらなければならぬわけでありますが、そういう現在見通される原子力発電の開発の進行
状況を織り込みましても、こういうような数字に相なるわけでございます。
それから次に自動車の
関係でございますが、これも先に数字だけ申し上げまして、
対策はあとで申し上げます。四輪車の合計で申し上げますと、四十四年度の新車の需要が三百八十八万台という数字でございます。これが
昭和五十年の数字をいいますと五百七万台、こういうような数字に相なります。傾向といたしましては、四十二、四十三、四十四、四十五と、この最近の数年間においては非常に高い伸び率を示しておりまして、たとえば四十三年度であれば対前年比一六%アップ、本年度の四十四年度であれば対前年比一四%、来年は一〇%アップ、こういうような非常に高い増加率を示しておりますが、増加率は逐次鈍化いたしまして、五十年度五百七万台と申し上げましたが、これは前年の四十九年の五百三万に比べてほぼ横ばいでありまして、四十九、五十くらいの年度になりますとほぼ横ばいということで、自動車に関しましてはほとんどさしたる増加を来たさない、そういうのが現在の
見通しでございます。
以上が数字でございますが、そこで
対策といたしましては、先ほど申し上げましたように、重油の消費量自身は十年後には二倍以上にふえるわけでありますけれ
ども、低硫黄化
対策を強力に推進するということによりまして対処したい。しからば低硫黄化
対策というのはどういうことかと申し上げますと、まず原油の輸入構造を相当
程度変えまして、現在の中東のようなサルファの高いものはなるたけ減らして、その他の地域から東南アジアあるいはアフリカその他から硫黄分の少ない原油を大いに輸入するという、原油の輸入構造を変えるようにしていく、これが第一でございます。それから第二は、やはりそう申しましても、大幅な輸入構造の変化ということもできないので、ハイサルファのものが入りましても、それを国内におきまして脱硫するということで、
先生も御
承知のとおり二つの方法があるので、石油会社が重油を脱硫するということを大いに推進する。それから電力その他大口の需要者の段階におきまして、煙の中からとる排煙脱硫というものを大いに促進する、こういうことが
考えられます。それから第三番目に、主として火力発電その他でございますが、硫黄分のない天然ガスというものを開発し、輸入して使うということによりまして対処したい、こういうようなことが低硫黄化
対策の内容でございます。
それから次に自動車につきましては、まずやはり自動車の排気ガスの問題につきましては、排気ガスの
防止技術というものを早急に開発するということが第一番の重要なことではなかろうかと思います。そのために
通産省としましては、かねてから工業技術院の中に自動車安全
公害センターというのがありますが、そういうものを二、三年前からつくりまして、
公害防止技術の開発につとめ、同時にその成果に基づいて、自動車業界に必要な
行政指導を行なっておるわけでございます。これが自動車排気ガスに対する一番大きな
対策ではなかろうかと思います。先ほど
先生は、自動車の生産を制限するようなことも
考えたらどうかというようなことにも触れられましたけれ
ども、自動車の生産制限というのはなかなかたいへんなことでございまして、かりに国内の自動車の生産制限をやったとしても、それは輸入車にかわるというだけでございまして、先ほど申し上げました需要は、そうべらぼうにふえるわけじゃない。四十九年、五十年にはむしろ横ばいになるということですけれ
ども、いずれにしてもある
程度増加する、そういう需要増加を、国産の制限ということによってだけではだめなんで、結局それは輸入に取りかわるというだけでございまして、そういう需要面の抑制というものにはやはり限界があるということでございます。したがいまして、先ほど申し上げました
公害防止技術の研究開発、これの一そうの強化ということが第一だと思います。
防止技術の研究開発の促進のうらはらといたしまして、この進展に応じて排出ガスの規制——ことしの九月から二・五%になるわけですが、そういう線でもって排出ガスの規制を漸進的に強化するということが、またうらはらの
対策として重要な問題じゃないかと
考えます。そういう
基本的な
対策を検討するとともに、必要に応じまして、局地的な交通規制の強化ということもこれは大事でございますので、そういうようなことによって対処いたしたいと思っております。