○矢島
政府委員 水に対する
規制といたしましては、現在
水質基準法と、それからそれを実施監督する
工場排水法その他の法律があるわけでございまして、
木曽川につきましては、御存じのとおり
昭和三十八年におきまして三項目、すなわちアルカリと酸の関係の
基準、それから浮遊物質、それからCOD、この三項目につきまして
水質基準が
設定されまして、それを受けまして、たとえば
工場排水法に基づきまして、既設はもちろんですけれども、そういうものにつきましては新増設に際しまして届け出、それをチェックいたしまして、必要があれば改善命令を出す、そういうことによりまして、その
水質基準が守られるように、まず施設の段階でもってチェックするわけでございます。それから、それに基づきまして、
工場が操業を開始いたしますれば、はたしてその
水質基準が守られておるかどうかということを、水を抜き取り検査その他いたしまして、監視する、こういうような態勢になっておるわけでございます。
木曽川上流につきましては、実際問題といたしまして、監督監視といたしましては、現在
岐阜県及び
愛知県が直接の監督官庁になっておりますが、それが年三、三回、各項につきまして抜き取り検査をやって監視する。それから別途関係の
工場は、水質の測定義務がありまして、測定のレポートを保持しておる、こういうような態勢になっておるわけでございます。以上が現在における
木曽川上流における水質に関する
規制の態勢でございます。
今回、六月十四、五日に起こった問題に関しましては、先ほど政務次官から
お話がございましたように、すでに東海
地方につきましては、東海
地方公害対策会議というものが、関係府県、関係出先機関を中心としてあったわけでございます。これが緊急に招集されまして、それ以後諸般の
調査、指導その他を精力的にやっているわけでございまして、詳細は省略いたしますけれども、まず
被害サイド、すなわち魚自身の内臓の検査、それから魚が食べると思われるモの検査、それから上水道の関係の取水地点における水質検査、こういう
被害サイド、
被害と思われるサイドにつきまして、まずもって精密な検査をやる、こういうようなことでございまして、たとえば水道につきましては、先ほど
厚生省の
お話があったと思いますけれども、現在の水道の
基準には十分合格している、問題ないというような結論も出ているわけでございます。と同時に、
工場排水が問題であるということで、原因サイドにつきましても、
愛知県、
岐阜県にわたって、総点検をいたしたわけでございます。総点検をいたしました結果、やはり全部、一〇〇%
基準どおりというわけにはまいらなかったわけでございまして、たとえばニチボー犬山
工場につきましては、PH、すなわち酸、アルカリの度につきまして、アルカリサイドにおきましてオーバーしておる、こういうような事実が発見されて、直ちにこれに対して改善
措置を命じまして、もうすでに、現在七月上旬ですが、七月上旬におきましては、その
措置が完了いたしまして、現在においては全く問題がないと思います。
それから、これは現在の、さっき言った三項目の
規制基準に関しましては、ニチボー犬山
工場につきましていまPHだけがオーバーしていたというわけでございますが、その三項目以外につきましても、問題となるものは軒下あるわけでございます。シアンに関しましては、あるメッキ
工場につきまして、毒物及び劇物取締法の関係をオーバーしておるという事実が
一つあるわけでございます。これもまた改善
措置を命じておるということでございます。それからまた、これは問題があるかどうかはまだ疑問なんでございますけれども、
亜鉛につきまして、活性炭をつくっておる
工場につきまして、最高三百、平均二百数十台の数字が出ている。これも問題であるので、直ちに改善
措置を命じまして、百以下にするということにしております。大体、総点検の結果、問題となるものは以上三つということが現在までの
調査結果でございます。
そこで、今後の問題でございますが、現在の
水質基準は、さっき言った三項目だけについて行なわれているわけでございまして、これでは不十分だというような考え、批判もあろうかと思いますが、今後、今回の
アユの大量斃死
事件の原因究明をさらに進めまして、その原因がその他の項目にあるということになりますれば、必要に応じまして、
経済企画庁が主管でございますから、
経済企画庁が中心になりまして、
水質基準の項目の追加というようなものも考えてまいりたいと思っておるわけでございます。