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1969-06-11 第61回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月十一日(水曜日)     午前十時二十三分開議  出席委員    委員長 赤路 友藏君    理事 田村 良平君 理事 橋本龍太郎君    理事 藤波 孝生君 理事 古川 丈吉君    理事 河上 民雄君 理事 島本 虎三君    理事 本島百合子君       地崎宇三郎君    葉梨 信行君       工藤 良平君    浜田 光人君       岡本 富夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      菅野和太郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房審議室長   橋口  收君         防衛庁参事官  江藤 淳雄君         防衛施設庁長官 山上 信重君         防衛施設庁総務         部長      鐘江 士郎君         防衛施設庁施設         部長      鶴崎  敏君         経済企画政務次         官       登坂重次郎君         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         厚生政務次官  粟山  秀君         厚生省環境衛生         局公害部長   武藤き一郎君  委員外出席者         農林省農地局参         事官      井元 光一君         通商産業省鉱山         保安局鉱山課長 下河辺 孝君         建設省都市局公         園緑地課長   川名 俊次君     ――――――――――――― 六月十一日  委員中井徳次郎辞任につき、その補欠として  工藤良平君が議長指名委員に選任された。 同日  委員工藤良平辞任につき、その補欠として中  井徳次郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害に係る健康被害救済に関する特別措置法  案(内閣提出第六三号)  公害紛争処理法案内閣提出第六八号)  公害に係る被害救済に関する特別措置法案  (角屋堅次郎君外十二名提出衆法第一〇号)  公害紛争処理法案角屋堅次郎君外十二名提出、  衆法第二〇号)  公害に係る健康上の被害救済に関する法律案  (小平芳平君外一名提出参法第一号)(予)  公害に係る紛争等処理に関する法律案小平  芳平君外一名提出参法第五号)(予)  公害委員会及び都道府県公害審査会法案小平  芳平君外一名提出参法第六号)(予)  公共用水域水質保全に関する法律の一部を  改正する法律案内閣提出第九四号)      ――――◇―――――
  2. 赤路友藏

    赤路委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公害に係る健康被害救済に関する特別措置法案及び公害紛争処理法案角屋堅次郎君外十二名提出公害に係る被害救済に関する特別措置法案及び公害紛争処理法案予備審査のため本委員会に付託されました小平芳平君外一名提出公害に係る健康上の被害救済に関する法律案公害に係る紛争等処理に関する法律案及び公害委員会及び都道府県公害審査会法案、並びに内閣提出公共用水域水質保全に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。工藤良平君。
  3. 工藤良平

    工藤委員 私は、たいへん貴重な時間でございますので、簡単に御質問をいたしたいと思います。  先般から本委員会でも取り上げていただきました大分県の奥岳川の問題に関連をいたしまして、特に水質汚濁の問題について御質問をいたしたいと思います。  最初に、厚生省にお伺いをいたしたいわけでありますが、先般、奥岳川カドミウム汚染報告がなされておるわけでございますけれども、これにつきまして、特にその実態と、それから今後の対策について、これから具体的にお聞きいたしたいと思います。  最初に、この報告によりますと、分析資料が四十三年の十月-十一月に採取をいたしました工場廃液をはじめとして、水等調査が行なわれておるわけでございますけれども、他の地域との比較の表も出ておるわけでありますが、この相対的な点からいたしまして、十一月の八日の数字が、県と厚生省調査クロスチェックが行なわれておるわけでありますが、この数値は、いままでの調査からいたしますと、一番低いわけでありますけれども、その点について若干疑問がありますので、その点もう少し御説明をいただきたいと思います。
  4. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 それでは、まず厚生省が発表いたしました概要について、あと先生の御質問と多少ダブるかもしれませんが、一応概要だけを御説明さしていただきます。  厚生省では、ことしの五月二十八日、奥岳川に関します見解を一応発表したわけでございますが、これは大分県当局が発表いたしました調査結果と、それから厚生省研究を委託いたしました公衆衛生協会カドミウム研究班分析結果の両方に基づきまして、一応見解を発表したわけでございます。  それの概要をお話しいたしますと、上水道源水それから井戸水などの飲料水カドミウム濃度につきましては、さきカドミウム暫定基準として私どもがきめました〇・〇一PPM、これはWHOの国際用飲料水水質基準でもございますけれども、これ以下でございました。それから鉱山排水中のカドミウム濃度豊栄鉱業所関係が、これは四十三年七月の採水でございますが、最高四・四三PPMでございましたけれども、ことしの二月の採水分では〇・〇三に改善されております。それから、なお、尾平鉱業所排水では〇・一一でございました。それから川の水は、四十三年の七月-八月では、〇・〇一一ないしは〇・〇四PPMでございましたが、十月以降は最高が〇・〇〇五五PPM以下というふうに低くなっております。それから水田カドミウム濃度は一・九から二四・〇PPMまで、平均は約九・七PPMでございますが、これは群馬県の碓氷川流域に次ぐ濃度でございます。それから米のカドミウム濃度は、厚生省委託調査では〇・一から一・九一まで、平均〇・六四でございます。県が保有米を調べました結果は平均〇・三五でございましてさき厚生省が発表いたしました一応精密調査必要度の判断の尺度の〇・四を越えているかあるいはそれに近いものでございました。  以上のような概況でございまして、厚生省は他の三地域同様、本流域を要観察地域として必要な対策を行ないたいというようなことを考えております。
  5. 工藤良平

    工藤委員 いま概略御報告を聞いたわけでございますが、この十一月八日というのは、すでに豊栄鉱業所におきましては、石灰の自動添加施設が完成をした直後であろうというように私は推察をいたしておるわけでありますが、そういたしますと、この数字にあげております数値というのは、一応条件としては、比較的いい条件の中で行なわれたというように理解をするのが当然ではないかと思っているわけでありまして、したがって、それ以前の数値については、非常に高い数値であったということについては、厚生省もお認めになっておられると思いますけれども、その点ひとつ確認をしておきたいと思います。
  6. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 先生の御推察のとおりでございまして、処理施設が十月に完成しておりまして、それ以前は、たとえば七月でありますと、四PPM以上、八月でも〇・一というような数値が出ておりまして、その施設以前は、先生の御推察のように高かったわけでございます。
  7. 工藤良平

    工藤委員 それとこの川どろ、それから水田土壌関係でございますけれども、御承知かと思いますけれども奥岳川は非常に急流でございまして、おそらくこの川どろの調査というのは、標本一つしか取れなかったようでございますが、非常に急流でございますから、砂れきが多いわけでございまして、どろがたまらないわけであります。したがって、後ほどお話しいたしますけれども、それぞれ下流の農業用水路にずいぶん流入していって、水田に蓄積していったのではないだろうかということが、地形上からも推測できるわけでありまして、したがって水田土壌数値、それから米の数値につきましては、平均からいたしますと、他の地域比較いたしましても、そう極端に高いわけではないわけでありますが、地域によりましては、部落によって非常に高い地域があるし、保有米調査によりましても、一・九一というような高い標本もありますので、非常に重要ではないだろうか、こういうように私は理解をしておりますから、その点についての厚生省の御見解を伺っておきたいと思います。
  8. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 米の濃度につきましての他の地域との比較でございますが、やはり神通川流域あるいは対馬に次いで、その次が大分奥岳川流域、宮城や安中では大分よりも多少低いというような結果が出ております。
  9. 工藤良平

    工藤委員 それからもう一つ。この資料の中でお伺いしたいわけですけれども、問題はやっぱり何といいましても、イタイイタイ病発生しているか、あるいは今後発生するという予想が立つのかどうかというのが非常に重要でございまして、この点については県とそれから大分県の医師会が非常に協力的にいたしまして、相当数調査をいたしているわけで、その点の内容もここに書かれているわけでありますが、これによりますと、一部やはり富山のイタイイタイ病の中では、容疑者として疑わしいというような範囲に入っている程度のものが若干出ているのではないか、こういうように私は思うわけでありますが、この点は非常に重要でございますので、これは今後の対策の中でも指摘されておるようでございますけれども、この点に対する御見解をひとつ伺っておきたいと思います。
  10. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 厚生省が発表いたしました資料の中にも、いわゆるレントゲン所見二十五名のうち、一人だけの方が骨軟化症の疑いがあるという所見がございます。しかしこの方は、ほかに他の地域イタイイタイ病患者と疑われるような所見症状は何もございませんので、この点はやはり骨軟化症ではないかという診断がなされたわけでございますので、他の地域のように、イタイイタイ病患者がいるとか、あるいはそれではないかと疑われる方がはっきりといるというようなことは、奥岳川についてはございません。したがいまして、私どもは、ただいまのところの結果としては、一応安心しておるわけでございますが、なお資料によりますと、やはりいろいろのカドミウム汚染の徴候が、米その他のところに出ておりましたので、やはり県とその問題について十分今後調査をやる必要がある、かように考えております。
  11. 工藤良平

    工藤委員 そこで総合的な厚生省見解としては、当然これは他の地域と同じように、環境汚染地域として、要観察地域としての対策を講じていく、こういう結論がなされておるわけでございますので、したがって、次にこれからの対策といいますか、そういう面について若干お聞きしたいと思うのですが、現在水質汚濁によりまして、いろいろと問題が提起をされております。これはもちろん申し上げるまでもなく、水俣から阿賀野川、それからイタイイタイ病発生しておるわけでありますが、すでに本委員会におきましても、紛争処理あるいは救済法案が審議されておりますけれども、特に水質汚濁原因として生じた紛争というものが非常に長引き、しかも裁判というものによって解決しなければならないという状態が生まれております。この点については特に特徴としてどのようなことが指摘できるのか、ごく要点でもよろしゅうございますので、御指摘をいただきたいと思います。
  12. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 水の環境を通しての汚染でございますが、これもいろいろ原因物質によって状態が変わってくるのではなかろうが、かように考えられますが、いままでの問題としましては、やはり水銀のような問題につきましては、比較的そう長期でなくて、比較的短期の間の問題として、水俣の問題にしても阿賀野川の問題にしても、問題が起きておるようでございますので、カドミウムの問題は、先生承知のように、相当長年月にわたってのカドミウム汚染と、それにほかのいろいろな要素が加わって、長年の間に問題が起きてきたというようなことでございます。特に重金属によります慢性の問題につきましては、非常に症状慢性症状であると同時に、ほかの要因といろいろからんできておる。それからまた日本は火山国でございますし、いろいろの重金属というものは、あらゆるところに散在しておりまして、それがどの程度以上とったらいろいろなところに症状が出てくるかというようなことは、これはなかなか学者の間でもまだ定説、あるいはその他のことがわかっておりません。世界のいろいろの文献等を見ましても、まだわからないところがありまして、なかなかむずかしいことではないか、かように考えております。ただやはりこういう過去のいろいろの経験に照らしまして、問題を起こしましたものにつきましては、特に、たとえそれが現在何も症状が起きていなくても、予防的にいろいろの調査研究を進めていくという必要があろうかと私ども考えております。
  13. 工藤良平

    工藤委員 いま一部御指摘がありましたように、特に重金属による水質汚濁というものは、非常に高度の専門的な技術的な知識を必要としますし、非常に複雑な要素がからんでおりますので、この解決というものが長引き、最終的には和解とか一般民事の取り扱いよりももっとむずかしい問題があるのではないか、こういうように理解ができるわけでありまして、したがってこの問題を解決するために、一体どのような措置が必要なのかということも、私ども考えてみなければならぬと思っているわけであります。  そこで、これはちょっと古い資料でありますけれども立法考査局から出ております資料によりましても、紛争発生解決状況というものを見てみますと、発生件数比較して紛争の起こりましたのが八六%、解決したのが二八%、こういうことでございますが、その解決した二八%の中で、補償金が五一%、それから処理施設が三七%、両方併用したのが九%、こういうことになっているわけでありまして、事件発生の直接の補償というものが主として解決の大半をもちろん占めておるわけであります。しかし問題は、やはり企業が非常に零細であるとか、鉱山のようにすでに廃鉱になっている、こういうような事態発生をいたしておりますと、企業側に、直接補償することがきわめて困難な状態が生まれてくるわけでありまして、そういう場合に、恒久的な対策とか、あるいはそういうものを講ずることによって被害発生することを防いでいくということが、こういう場合には特に必要ではないだろうかということを、私は、奥岳川の事実を見まして感ずるわけでございます。そういうようなことを考えてみますと、これはやはり当然国の施策なりあるいは県の施策の中で問題解決をはからなければならぬ部面が相当出てくるのではないか、こういうように思っているわけでありまして、そのために一体どうするか、こういうことで、この点についてはちょっと範囲が広くなりますけれども厚生省、それから通産省あるいは経済企画庁農林省、それぞれの関係各省連絡をとって、問題の処理に当たるということになっているわけでありますが、特に水質汚濁関係から、経済企画庁として、当面どういう対策を講じていかれるのか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  14. 八塚陽介

    八塚政府委員 いまお話しになりましたように、水質汚濁関連いたしまして、その原因を除去するというためには、もちろん原因がきわめて多方面にわたっておりますので、医学的あるいは農業上の問題、あるいは動物を摂取するというような経路で問題が起こるとすれば、魚の生態の問題、いろいろの範囲にわたっておりますから、これはやはり関係各方面でいろいろそういうメカニズムを明らかにしてもらうという研究を今後とも一そう進めていただくことが、紛争処理にまず第一に必要なことであろうと思います。  それから、その原因の除去の第二としましては、やはりそういう原因発生するところが、ただいま御指摘になりましたように、施設が不十分である、あるいは十分な償いができるほどのいわば経済的な能力がない、そういう問題がしばしばあるわけでございます。そういう場合には、やはり国といたしましては、長期あるいは低利の資金を融通して、そういう施設をつくらせていく。そういう場合には、公害防止事業団融資とか、そういうことをやっていく必要があろうかと思います。それからまた、そういうすぐ経済効果でどれだけもうかるという施設でない、むしろその企業としては一応負担になるというような施設をつくらせる場合には、税の特別な優遇措置を講じてやっていくというようなことがやはり必要であろうと思います。そういう意味におきまして、水質保全上、税の減免あるいは融資措置、従来とも通産省なり大蔵省でそれぞれおやりいただいておりますが、ますます問題が進展してまいりますので、今後ともそういう点について努力をいたしてまいりたい。なお、そういう比較的山間にあります、あるいは僻地にあります工場の場合はとにかくといたしまして、非常にたくさん都市周辺に集まっておって、一つ一つ工場では処理することが能率的でないというような場合は、むしろ下水道の整備というふうなことで対処すべきことも必要であろう。もっとも、下水道といいましても、何でもかでも流せば、下水道でやってもらうということではなくて、やはりそれなりのいわゆる前処理ということが必要になろうかと思いますが、当然融資であるとかそういうことは併用してまいるということが必要であろうと思います。
  15. 工藤良平

    工藤委員 もう一点お聞きしたいと思いますが、今後、水質汚濁関連をいたしまして、指定水域の決定それからさらに水域指定地域拡大をしていくとか、あるいは水質基準をどのように定めていくとか、特に重金属に対する問題については非常に重要であろうと思いますから、その点に対する考え方をちょっと明らかにしておいていただきたいと思います。
  16. 八塚陽介

    八塚政府委員 一般的にいいまして、今後ともますます水質汚濁現象経済拡大とともに出てまいると思います。それに対応して、私どもといたしましても、水域指定あるいは水質基準設定ということに、従来に増して努力しなければいけないと思っております。従来私どもといたしましても、かなりな程度努力はいたしてまいりましたけれども、またそれなりの蓄積あるいは成果はまあまあやってまいったつもりでございますが、しかし今後とも非常に努力する必要があるというふうに考えておりますので、できるだけ積極的に指定水域設定あるいは水質基準設定をやってまいりたいと思います。特に重金属によります人の健康に対する被害、これはいろいろ経済的な問題その他がございますけれども、最も悪質でございますから、これにつきましてはできるだけ早く、迅速にそういう問題が起こらないようにやってまいるという考え方でございます。ただ先ほど厚生省からも御説明がありましたように、いわゆる因果関係あるいは現象があらわれることが、なかなか人の目につきにくいうちに進行するというような技術上のむずかしさがございますから、それだけに私どもとしましても、そういう点について、厚生省あるいは通産省と十分な連絡をとって、おそくならないように、あるいは前もって予防的にやっていくという一般的な考え方で対処すべきであろうというふうに考えております。
  17. 工藤良平

    工藤委員 先ほども申し上げましたように、直接的な補償という面については、比較的はっきりと目標化いたしますから取り組みやすいわけでありますけれども、たとえば水の問題等につきましては、なかなかそこまで具体的にいかないという実態が確かにあろうと思いますので、この点についてはぜひ、経済企画庁としても、汚染地域については全般的に優先的にそれらの措置を講ずる、しかも高率の国の対策というものを講じていただくように、よろしくお願いしたい、こういうように思っております。  そこで、次に農林省にお伺いをいたしたいわけでありますが、すでに地元大分県では、この奥岳川恒久対策として、いわゆる農業用水を含んだ水系変更等相当計画として進めているようでありまして、この点については特に国の高率補助を必要とするだろうと思います。地元負担本人負担ということはなかなかこれは困難であろうと思いますから、どうしてもやはり公共事業で行なうということが一番いいんじゃないだろうか、こういうことで県のほうとしても鋭意努力しているようでございますが、この地帯が、いま三本の農業用水路があるわけでありますけれども、それを含めて、土地改良事業と同時に、この鉱山関係の水の改善をはかろう、こういう計画が進められておりますので、そういう場合に農林省としてどのような措置を講じられるか、大かたの方針でもよろしゅうございますので、明らかにしていただきたいと思います。
  18. 井元光一

    井元説明員 大分県の農業川水改良事業鉱毒対策を兼ねての意味の御質問かと思います。ただいま私のほうで調べた内容を申し上げますと、先生よく御存じのとおり、土木事業調査期間というのは非常に長いわけでございます。このために受益者にも非常に御迷惑をかけることが多いわけでございますが、現在の段階ではそんなにまだ計画が進んでいないわけでございます。先ほども発表がございましたように、鉱毒内容等の公表がありまして、幾ぶん緩和されて、その結果をどういうふうに見るか、あるいは圃場圃場調査の密度というものも相当まだまばらな調査が多いわけでございます。一度施設をやるとなかなか変えられないものですから、非常に慎重に調査をしないと、あとでなかなか取り返しがつかない。したがって、事業をやることに対しては、私のほうは協力には決してやぶさかではございませんけれども、なるべく慎重を期して御協力申し上げたいわけでございます。したがって、現在の段階では、県側からは非常にいろいろ連絡はございますけれども、現在の鉱毒対策事業のワクにどういうふうに当てはめたらいいか、地元負掛はどうすれば軽減されるか、こういうような道を検討して、県側とタイアップして調べているわけでございます。したがって、必ずこうしたらば一番いいんだということを発表する段階にはまだ至っていないのは非常に残念でございます。
  19. 工藤良平

    工藤委員 御承知のように、これは全国各地鉱山ともそうだと思いますけれども奥岳川のように、十一月八日の厚生省調査の結果では、施設後でありましたから非常に数値が少なかった。しかし過去の累積というものは非常に大きいわけでありまして、これは特に戦争中の鉱山というものは、国策として非常に乱掘をやってきた。しかも未処理という形でどんどんこの廃液等が流されてきたということが、このような結果というものを生んできているのではないだろうか、こういうように私は判断いたしておりまして、そういう点からいいましても、この問題を、一つの小さな企業あるいは閉鉱になった企業に対して要請をするということは、きわめて困難になってくるわけであります。そういう意味から、私は、国あるいは県が、この際は十分なる措置を講じて被害を未然に防いでいくということが、この対策としては当然のことではないだろうか、こういうように思っているわけであります。その点については、経済企画庁それから農林省、特に水の関係については最大の努力をしていただきたい。特に土地改良事業等になりますと、まだまだ、さっきお話がありましたように、それぞれの圃場によりまして、あるいは部落によりまして、水系によりまして、非常に差があるわけであります。ただ、全体にまず、いい水、よごれていない水を供給してやるということが緊急の事態じゃないだろうか、こういうように考えますので、この点については、農林省としても最善の努力を、経済企画庁、大蔵省とも相談をしていただきまして、やっていただきたい、こういうことでもう一ぺんひとつお願いいたしたい、こういうふうに思います。
  20. 井元光一

    井元説明員 ただいま先生の御指摘のとおりに私どもも思っております。何と申しましても、まだ調査の初めでございまして、地元負担等は、いまの公共事業のあり方では相当かかるわけでございます。したがって、現在のルールでやると非常に御迷惑がかかる。何とかしていい方法はないかと、あれやこれやといろいろ調査中でございまして、気持ちとしては、全く同じような立場に立っているわけでございます。
  21. 工藤良平

    工藤委員 ぜひひとつ、地元負担がかからないような形で対策を講じていただくように、お願いをいたしたいと思います。  次に、鉱山保安局のほうにお伺いしたいわけでありますが、幸いにしていまこの施設ができまして数値が落ちているわけでありますが、これは油断をいたしますと、またいっそういうことが発生するかわかりませんので、それに対する十分な監視を行ないますと同時に、ちょっとここで明らかにしていただきたいことは、一番奥にあります三菱尾平鉱業所の廃鉱になっておる鉱山のほうでございますが、これにつきまして、今度施設をいたしたわけでありますが、一部には、再度これを再開発するのではないかという意見が実は出ているわけであります。そういたしますと、水の問題を扱うにいたしましても、再開発をする場合と現行のままでやる場合とはずいぶんかっこうも変わってくると思いますので、その点把握できておれば、いま廃鉱になっております地帯の鉱山というのは将来一体どうなるのか、その点をひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  22. 下河辺孝

    ○下河辺説明員 お答えいたします。  まず奥岳川関係公害問題に関しまする監督でございますが、昨年来約六回にわたりまして、監督あるいは調査を実施してまいったわけでございますが、ことしの三月それに四月、五月と水の採取を行ないまして、三月、四月の分析結果によりますと、豊栄鉱山におきましては、その出口におきましてカドミウム濃度が〇・〇二ないし〇・〇四PPMというような数値になっております。またこの排水が入りまして奥岳川に合流する直前の九折川の水質を見てみますと、私のほうで監督基準としております〇・〇一PPMというものを下回っておるという結果が出ております。また三菱尾平鉱山につきましては、本年四月に石灰中和施設が完成いたしまして、その結果によりますと、排出口での濃度がすでにその基準を下回っておるというような結果が出ております。なお蔵内尾平鉱山につきましては、従来から排水量も少なく、また汚染程度も低いのでございますが、最近の調査では、同じく出口で基準以下というような結果をわれわれは得ているわけでございますが、今後とも、なおこのような水準を常に維持するように、厳重に監督をしてまいりたいというふうに思っております。  また、先ほどお話のございました点の第二点でございますが、三菱尾平鉱山につきましては、昭和二十九年に閉山して操業を中止したわけでありますが、ことしの四月、二十九年操業当時に使っておりました排水処理施設、シックナー等を補修いたしまして、操業当時の姿を再現したような形になったものですから、あるいは地元の方は、これではまた操業を再開するのではないかというような不安も持たれておられるのではないかと思いますが、私のほうでいろいろ調査しました範囲では、三菱としましては、あの鉱山の操業を再開する計画はないというように伺っております。
  23. 工藤良平

    工藤委員 それでは、約束の時間が参りますから、最後に厚生省にお伺いをしたいと思いますが、特に大分県の場合には幸いにまだ病人が出ておりません。これは不幸中のきわめて幸いだと私は思っておるわけでありますが、これから出さないためにも、ぜひ保健対策について十分なる措置を講じていただきたいと思うのですが、特にこれは県とそれから大分県の医師会が非常に積極的でありまして、協力をしていただいているわけでありますが、ここの第二項にもありますように「カドミウムによる環境汚染の人体影響の有無を解明するための健康診断並びに必要に応じて鑑別診断の実施」を行なう、こういうようになっておるわけでありますが、これは特にイタイイタイ病の権威であります富山県の各諸先生方等もできれば派遣をしていただいて、十分なる調査をやっていただくように、私は特にお願いをいたしたいと思いますが、その点に対する御見解伺いまして、質問を終わりたいと思います。
  24. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 公害問題は、結局はやはり人体に対する影響がどうかということが一番大切な問題でございますので、最終的には、そういう問題の予防あるいは調査ということが一番大切なことでございます。カドミウムの問題は、富山の例を引くまでもなく、非常に慢性的な問題として起きてきたわけでございます。したがいまして、やはり健康診断を定期的に実施して、長く観察をするということが必要でございますので、そういう点はよく県を指導いたしまして、健康診断の実施については十分注意をしていきたい、かように考えます。  それから問題は、この初期のときにおきましては、いろいろの老人性の疾患との診断の区別という問題が非常に問題になっております。先般、五月の終わりにも、全国のカドミウムについてのいろいろの研究結果あるいはそれについての専門家の研究会を東京で行なったわけでございますが、現在でも学者の方の間に、いろいろ意見の違い、というと言い過ぎかもしれませんけれども、ニュアンスの差がある。こういう点はさらに学界並びに専門家の検討にまたなければいけないわけでございますが、やはり大分県の例を見ましても、地元の健康管理の責任者が十分これに注意をいたしまして診断をやる、その結果については、当該地域以外の方の専門家の参加を求めて、それの評価なり判断を加えていくということが必要じゃないか、かように考えます。したがいまして、地域の健康診断その他のデータが集まった場合には、やはり他の地域におられるそれぞれの専門家の意見を聞くという方向で、今後は予防の万全並びに診断の実施についての万全を期してまいりたい、かように考えております。
  25. 工藤良平

    工藤委員 これで終わりますが、ぜひこの問題については専門の先生方も派遣をしていただきまして、もちろん大分県の医師が専門じゃないということではございませんけれども、そういうことで万全を期していただくように特にお願いをいたしまして、時間も参りましたから、これで終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  26. 赤路友藏

    赤路委員長 河上君。
  27. 河上民雄

    ○河上委員 ただいま工藤委員から、水質関連いたしまして御質問があったわけでありますが、それに関連して、私は、先般当委員会において要求いたしておりました資料について、この機会に政府から御答弁をいただきたいと思います。  先般私がお尋ねいたしましたのは、工場水等の規制に関する法律の中で規制の対象とされております施設、いわゆる特定施設が、実際の全事業所の中で大体どのくらいを占めているか、またさらにその中で、水質規制、水質保全法による指定を受けて実際に規制の対象になっておるものはどのくらいか。つまり特定施設と同じ種類ではあるけれども水域指定を受けていないところに存在するがゆえに規制の対象になっていないものもあると思うのですが、そういうような比較というか割合というものについてお尋ねしたわけでございます。  今回の水質保全法の改正にあたりまして、今回の改正後の法の効果というものをわれわれは一応頭に入れておきたいと思いましてお尋ねいたしたわけでございますので、お願いいたしたいと思います。
  28. 八塚陽介

    八塚政府委員 この前御質問がございまして、その際私どもの答え方は、ただ特定施設が非常に多いというだけのことを申し上げて、たいへん失礼をいたしたわけでございます。  御承知のように、事業場の数あるいは特定施設の数もきわめて多いものでございますから、いわゆる悉皆調査的に積み上げたものではございませんけれども、その後私どものほうで検討いたしましたところ、いわゆる工場排水法の対象は一応製造業が多いわけであります。製造業関係の総事業数が約五十六万というふうに推定をいたしております。統計の関係でやや古いわけでございますが、ほぼそれでまあ大勢は察し得る数字であろうというふうに考えております。そのうち工排法によります政令の指定によりまして特定施設になっておりますものが約十一万、二〇%であろうというふうに考えられます。さらに、その特定施設が、ただいまお話しがありましたように、指定水域でないという関係で全部が全部なっておるわけではございませんので、その特定施設を持っております工場のうち二七%程度水質基準の対象になっておるというふうに考えておるのでございます。今後とも、現在指定されております特定施設以外にも、いろいろ水質汚濁の源になるということが将来ともあると思いますので、その場合はなるべく早く追加指定をしていくということも必要であろうかと思っております。  それから、指定水域を今後ともふやしていくということは当然でございますので、それに伴いまして、ただいま申し上げました約三万の規制対象を、今後とも増加させていくということに当然やってまいりたいというふうに考えております。
  29. 河上民雄

    ○河上委員 きょうは関連でございまして、ただ前回の資料の要求に対するお答えをいただきたいと思いましたので、私の質問はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  30. 赤路友藏

    赤路委員長 島本君。
  31. 島本虎三

    ○島本委員 公害紛争処理法案、この中から軍事基地、いわゆる特損法、周辺整備法、この適用を受ける基地周辺を除いた、このことは憲法十四条に違反するおそれがあるのではないか、こういうような点で質疑がいままで展開されてまいりました。その質疑の過程で、三つの大きい点が答弁されておったわけです。  一般産業公害比較して相当進んだ手だてを積極的に講じておる。特損法、周辺整備法、こういうような法律によって救済するから心配はない、現在のところ相当運用の妙を発揮しているので、何ら心配とすべき点がない。第三番目には、他の法律よりはるかに手厚い措置を講ぜられるようになっておる。――まことに私どもとしては待望してやまないような答弁があったわけであります。しかし実際ははたしてどうなのか。この件について、いままで数度質問を展開してまいりました。  防衛施設庁が出ておりますので、私はここで特にこの問題等について伺っておきたいわけですが、江藤参事官から四月四日に、自民党の古川委員質問に対しても丁寧にこの点を答弁されておるのです。この答弁で、現在でも一貫しておるものである、間違いないものである、こういうように確認されておるわけですか。私が言ったことは大体間違いありませんね。
  32. 山上信重

    ○山上政府委員 大体そのとおりだと思います。
  33. 島本虎三

    ○島本委員 昭和四十四年二月二十五日に予算委員会の第二分科会がありまして、その際に、千歳というといわば自衛隊の基地、米軍の基地にもなっているところです。そこの飛行場並びにいろいろ演習地なんかもあるわけであります。その中で防空ごうが戦後そのままの状態に放置されてあった。ちょうど飛行機の進入口に当たるところであって、これはなかなかいいかっこうではない。パイロットに聞いても、ああいうものがあるために不吉な予感さえする、こういうようなことばを聞いておったわけであります。その海軍の、いわば二階建て、地下一階の防空ごう兼何ですか、建物、こういうようなものの撤去と、それからそのあとの用地は、市のほうでもこれは十分活用したいから、不用地として譲ってほしい。日米合同委員会にかけて、当時の園田厚生大臣が閣議にまで持ち出して承認を得たはずであります。この件について、その後適確な措置がなされておりましょうかどうか。それを伺っておきたいのです。
  34. 山上信重

    ○山上政府委員 滑走路のちょうど延長途上にあります提供施設の中に、防空ごうといいますか、いま先生のおっしゃったような建物がございまして、これがいろいろ問題を起こしておるということは、先生から伺ったことも覚えております。これにつきましては、昨年すでに合同委員会に提案いたしまして、これを撤去するということについて合意を見、これを実施いたしておる次第でございます。ただそのあと地につきましては、これはいま先生もおっしゃいましたように、飛行場の滑走路に入ってくる進入経路に当たるわけでございまして、直ちに他に回すというような性質のものでも、必ずしもございません。したがいまして、むしろ飛行場の安全のためには、あの地域が必要じゃないかというふうにも考えられております。したがって、これについては、いずれ返還という問題は起きてくると思いまするが、要するに建物の撤去ということで、この処理をいたしておる次第でございます。
  35. 島本虎三

    ○島本委員 おそらくそこは市のほうに譲渡してもらいたいのである。千歳市としては、適当な使用のため、これはその用に供したいものである、こういうようなことなんです。必ずしも建物を建てるかどうかはわかった問題じゃないと思いますが、それさえできないということならば、当時合同委員会にまでかけて、その議についていろいろ協議されて、いいということになっておったんじゃなかろうか、こういうように思いますが、これはもうだめなんですか。あれは全然未使用地でありますけれども……。
  36. 山上信重

    ○山上政府委員 当時の合同委員会におきましては、撤去ということを合意いたしたのでございます。その後千歳補助施設につきましては、御承知のようにいわゆる調整計画――昨年十二月に合意されました調整計画というのがございまして、これらにつきましては、一部通信施設等を除きまして、米側においても返還の意思のあることが明らかとなっておりまするので、現在これについて調整中でございます。したがって、具体的にどの地域が返還という詳細なことは、まだはっきりいたしておりませんが、千歳補助施設の相当の地域、特にいま申したような地域は、全体として自衛隊が共同使用で使っておる地域でございますが、いまの地域を含めた地域の将来の返還ということは考えられると思います。ただ、いま申しましたとおり、その返還後の処置につきましてはまだ決定はいたしておりませんが、いずれにいたしましても、飛行場の安全地域というような観点から、これを直ちに他に移すということは、なかなかむずかしい問題ではないかというふうに考えておる次第であります。
  37. 島本虎三

    ○島本委員 現にそこは全然使っていない土地ですから、建物を建てて悪いならば、建てないような措置をして払い下げてやったほうが、住民感情としてもいい。特損法をこれは直接には適用する問題ではありませんが、せっかくその問題で日米合同委員会まで開いたのだから、錦上花を添える意味でも、その辺までやってやってしかるべきです。少しやり方がとろい、だめです。しかし、これは言ったってしょうがありません。ただ、そのためにもう一回努力してやってほしい。現地と話し合いをされたらいいのではないか、この点は勧告しておきたい、こういうふうに思います。  それとあわせて、その時点で、当時の海軍の何か施設が方々に現存しているわけです。そしてその当時、園田厚生大臣も、その場所の海軍関係の建物はすぐ除去する――現在除去されてきれいになっておるのです。それと同時に、青葉公園という、昭和三十一年に都市計画法で公園に設定された場所があるのですが、その下のほうに縦横無尽に防空ごうがあるわけです。この防空ごうもあわせて処理する、こういうようなことであったはずであります。しかしながら、その分だけは現在何ら手を触れておらない、こういうようなことでありますけれども、これは防衛施設庁としても、その方面、管轄の問題とは別にして、少しおざなりではありませんか。この点は知らないとは言わせませんよ。その辺で何かごちゃごちゃやっておるようですけれども、付随してやった防空ごうの処理は、その後どうなっておりますか。
  38. 山上信重

    ○山上政府委員 提供施設内の防空ごうにつきましては、私、先ほど申し上げたとおりでございますが、ただいま先生のおっしゃっております厚生大臣がお答えになっておるというのは、これは提供施設ではないと思いますので、私のほうの所掌でございませんので、お答えいたしかねる次第であります。
  39. 島本虎三

    ○島本委員 あなた、そんなことを言ってはいけません。昭和四十四年二月二十五日、予算委員会の第二分科会で、あなたと並んでいた有田防衛庁長官が、その防空ごうで危険を伴うものについては、早く整理をして善処しなければなりません。所管は別として、国務大臣として、関係各省に言いまして、早くなくするように善処いたします。これを読みなさいよ、そのためにとってありますから……。あなたと並んで、有田長官が言ったのですよ。そこで、あなたは聞いていたじゃないですか。そんなうそを言ったってだめだ。ちゃんと知っていますよ。議事録にも載っていますよ。その前にあなたも答弁している。知らないという御答弁、もう一回言えますか。忘れたと言うなら、軍隊用語として認められますけれども、そういうことではだめですよ。これはしかるんじゃありませんよ。こっちに証拠があるのですから、まともにこの問題で取っ組みましょうという意味です。そう深刻な顔をせぬで、もう少し進めますから聞いてください。  その防空ごう、これについてはやはり陸、海軍省があったころの所管だったものが、大蔵省のほうへ移った。またこれが今度解体したことになっているので、厚生省のほうの所管に移ったとか、それが二十九年の三月に農林省ですか、営林局の用地売却によって、これは千歳市のほうに所管がえになったとか、いろいろ経緯があるようです。厚生省のほうもこの問題については関係があるようですが、厚生省のほうも、かつては園田厚生大臣がこの問題を取り扱って、青少年の不良化防止という命題で取り扱った問題なんです。どうも所管になりますと、いまだにあいまいなんです。このために大きい事故が発生しているのです。これから言わなければなりません。私のもとへ投書が来たのです。新聞の大きい切り抜きまで入っている。こういうふうにして、二月から善処すると有田防衛庁長官が、あなたの横で答弁しておったのを、あなたは知らないと言っている。防衛施設庁はそういうような施設をつくるのと同時に、破壊することもあなたの仕事の一つでしょう。破壊はつくることに通ずるのです。この場合はケバ棒と違って……。それで、この防空ごうの扱い――浜田さんもそこにおられますけれども、この問題は大きい問題になって、善処の約束だけはずっと取りつけてあるのですが、依然として善処されておらない。これは一体どういうふうなことなのですか。所管はどっちになるのですか。有田防衛庁長官の言からも、所管のいかんを問わず、国務大臣として関係各省に言いまして、早く直すように善処したい。これは二月二十五日。そうしたことは、早くやってしまわないとだめなのですが、依然としてそのままに放置されておるということは、遺憾きわまりない。これはどうしたことですか。
  40. 粟山秀

    ○粟山政府委員 これは国立公園の区域外で、建設省所管の都市公園に基づいて、千歳市が設置管理しておる都市公園であるということで、建設省所管。建設省の方がおいでだと思いますので、そちらから御答弁いただきたいと思います。
  41. 島本虎三

    ○島本委員 進んで、建設省のほうから、その後の措置をどうしているのか、これをひとつつまびらかにしてもらいたい。
  42. 川名俊次

    ○川名説明員 先ほど来問題になっておりますところの青葉公園でございますけれども、これはお話のございましたように、二十九年の三月の十二日でございますが、千歳市が林野庁から当該土地を買い受けまして、千歳市が青葉公園として、都市公園として設置管理をいたしておりますところの公園でございます。御案内のように、都市公園は、都市公園法に基づきまして、地方公共団体が設置し、管理することになっております。この設置行為は、土地に対する権限、それから公園の施設を設ける、それから一般の公用に供するといったことでございまして、条例をもちまして管理をいたしておるわけでございます。地方公共団体の管理でございます。しかし建設省といたしましては、最近この公園の地下に防空ごうと申しますか、あと地があるということを知りまして、やはり公園は利用者に安全に利用されなければならないというようなことで、さっそくそれを統轄しておりますところの北海道庁に連絡をとりまして、公園管理者としての保全を行なうように、市に調査を命じております。もし御指摘のようなことで危険がありますとなると、これはたいへんなことになるわけでございますので、早急にこれを解決をしてまいりたいと思います。
  43. 島本虎三

    ○島本委員 これからの問題じゃございません。大きい事件がもうここを舞台にして繰り広げられておる。というのは、北海道の岩内町で殺人事件が起きたのです。老婆ですけれども、運転手がそのままその老婆の死体を千歳まで車で運んで、青葉公園のこの穴の中に捨てておるのです。そこを捜索して、結局はその死体を発見したわけです。ところがその青葉公園そのものは、通行禁止区域が随所にあって、またもう立ち入り禁止区域が随所にあって、都市公園の体をなしていないわけです。そして穴がぽかんぽかんあいておって、昭和三十二年から三名の死体がその辺に捨てられてあるというような、まことに公園ではないような場所になってしまっておるのです。そして四人目の変死体、これが今回の大事件になって、大切ないこいの場所に死体が放置され、隠すのにかっこうな防空ごうあとがそのままになっておる。改修要請も馬耳東風である、こういうようなずさんな管理には批判の声が高くなっておる。そしてそれが市のほうでは、防空ごうまで一緒にそれを引き受けたものじゃない、それはあとから防空ごうがあるのがわかったし、その辺まで延びてきているのがわかったし、当時軍の秘密で、一切そういうような文書もなかった。そして上のほうにはいろいろな施設ができておるわけです。施設としては、今度は市営のプール、陸上競技場だとか野球場だとか、こういうような施設もできておる。おそらくその下を通っておるのか通っていないのかもわからない。そういうずさんのままの状態で、かつては弾薬庫に使ったと思われる。それと同時に、食糧の確保のためにも使ったと思われる。そしていまでは子供たちの遊び場となるどころか、非行の巣になっておる。穴だけでも、三メートルもぽっこりあいておるような穴が随所にあるというのです。死体を投げるのに好適な場所であるだけではない。そんな危険な状態にしておく都市公園というものがあるのですか。こういうようなこともやらないで、ただ市のほうに公園としてお使いなさい、これはそのままやったって、あとからわかった瞬間には、これは迷惑千万じゃございませんか。こういうような大きい事件が起きておるのですけれども、これは今後一体管理をどういうようにするつもりですか。このままにしておくのですか。これは重大な問題です。ひとつこれに対するはっきりした答弁をいただかないと、二月二十五日以来、皆さんによって私はたぶらかされておるのですから、この問題で一緒にやった浜田委員も、実際に憤慨しておるのです。聞くにたえかねて、いま関連質問にさえ立とうとしてきておる。これは、きょうはただでは済ませません。ひとつ十分この問題の答弁を承りたいと思います。念のために見ておいてください。あなたも、あなたも。
  44. 川名俊次

    ○川名説明員 おっしゃいましたように、管理のずさんさが目立っておるということにつきましては、監督官庁といたしましてまことに申しわけないことだと思っております。ただいま申し上げましたように、都市公園は設置者が地方公共団体で、この場合は千歳市であります。公園法のたてまえからいたしまして、この公共公物の管理権はすべて市にあるわけでございまして、国にその権限はございません。しかし一応監督条項がございます。したがいまして、御説のようなことが実際に起きているわけでございまして、われわれといたしましてもはなはだ遺憾でございますので、さっそく係官を現地に向けまして、その処置につきまして十分検討を進めてまいりたいと思っております。
  45. 島本虎三

    ○島本委員 そうしたら施設庁長官、有田長官もこのようにはっきり言っているわけでして、これは防衛庁だけじゃなく、所管のいかんを問わず、国務大臣として各省に言って、これははっきり善処させる、こういうようなことを確認してあるのです。ですから、もうこの問題は防衛庁の長官ですから、あなた同じ外局の施設庁長官としても共同の責任があるわけだ。ですからこの問題は督励して、早く調査にやらぬといけませんよ。それと同時に、厚生省だって、非行少年のたまりになっておるのを黙って見ていていいわけではない。まして女性である唯一の政務次官じゃありませんか。きょうは、この問題でいままでの政務次官の答弁じゃ、私は納得しませんから、ひとつあなたの所信も承っておきたい。それから施設庁の長官も、この問題でははっきりした態度をとってください。建設省だけにやっておいたらだめだ。せめて建設省から係官の一人ぐらいやって、厳重に調べて、いかなる処置をしたか、これは委員長を通じて本委員会報告してください。
  46. 山上信重

    ○山上政府委員 先ほどお話のありました有田長官のお答えは、国務大臣としての責任において連絡すると申されたのであったと思います。したがいまして、大臣が関係省にお話しになったと、私も考えております。外局の長でございますから、私も大臣の意を体して、関係各省にも、御趣旨の点については十分連絡をとって、実現するように処理いたしたい、かように考えております。
  47. 島本虎三

    ○島本委員 厚生省はどうかな。
  48. 粟山秀

    ○粟山政府委員 仰せのとおり、厚生省といたしましても、こういうような防空ごうあとがそのまま放置されているということは、われわれの省にも関係がある面からいたしましても、たいへん遺憾でございます。直接の管理の場所ではございませんけれども、市のほうにも、厚生省関係のほうを通じまして、早くそういうものの処置をしていただくようにしたい、そのように思います。
  49. 島本虎三

    ○島本委員 総理府長官がいらっしゃいました。よく考えてみたら、あなたのほうの所管にも類するような事項です。というのは、二月の二十五日の予算第二分科会で、いわゆる旧軍の防空ごうをはじめとして、いろいろな施設が放置されておる。この問題について有田防衛庁長官は、自分の所管じゃないけれども、国務大臣として、各省の大臣にこれは十分連絡しようと言いまして、これは善処するようにいたします、こういうようなことになっていた。ところがその後聞いてみたら、何も善処されていない。一体この所管はどこなんだ、こうやっている間に、今度重大な事件が発生したわけです。老婆殺しが北海道の岩内という漁村に発生しました。それを、運転手がわざわざ三時間もかけて青葉公園まで持っていって、死体を遺棄してあった。それが防空ごうがそのままにしてあるものだから、ぼんぼん三メートルの深さの穴があいて、それを遺棄するのに好適な場所である。こういうような場所に遺棄されている。昭和三十二年ごろからもうすでに三回もそういうふうな事件があった。これで四人目であるというわけです。それが都市公園なのですが、都市公園の体をなしておらないわけです。それは旧軍の施設がそのままであるからなのです。一体これは所管はどこなのだと言っても、いままでは責任の帰趨がはっきりしなかった。大蔵省といい、また農林省といい、あるいは厚生省といい、いまになってみたら建設省になって、ようやくわかった。しかし旧軍の施設ということになると、建設省もまた手を引くようなかまえがいま見えたわけです、引かないそうですけれども。そうなりますと、こういうものはそのままにしておいたらとんでもないことになるのです。で、もう早くこの戦後を終わらせなければならない。そのためにも旧軍のこういうような施設は完全に撤去するか、またはそうでなければ、それを完全に埋没させるかあるいはそれを充てんするか、はっきりやらなければならないような状態にあるわけであります。  かつてこれも同じ北海道で、弾薬がその辺にあって、それを知らないでたき火をしておって、修学旅行に来ていた子供が、それによってだいぶけがをした事件が釧路海岸で起きた。しかしそれは現在の防衛庁ではない、ではどこなんだ、どこの省でもないということで、結局見舞金程度で済ませざるを得なかったという事件がかつて起きました。これは総理府でやったはずです。そうなりますと、こういうような事件をそのままにしておくということは、これは総理府長官の怠慢だということになってしまうのではないか。長官、いいところへ来てくださいました。しかしこの問題についても、早く戦後を終わらせるためにも、この処置を急がなければならぬ、こういうように思うわけです。有田長官は急ぐと言って、そのままいまだにやっておらない。これをすぐはっきりやってもらわなければいけません。長官の決意を承ります。
  50. 床次徳二

    ○床次国務大臣 ただいまお話を承りまして、確かに戦後の各種の、たとえば防空ごうあるいはその他のものが残っておりまして、それが場合によったら犯罪の材料になり、またその他のいろいろ害毒の源泉になっておるというものが残されておることは聞いておるわけであります。しかしそれぞれ管理者がございますので、十分その管理者を督励いたしまして、かかる不都合がないようにいたしたいと思うのであります。この点は、私のほうからも関係各省連絡いたしまして、処置すべきものはすみやかに処置して、将来のそういう種にならないように十分注意させたいと思います。
  51. 赤路友藏

    赤路委員長 関連を許します。浜田光人君。
  52. 浜田光人

    ○浜田委員 ただいまの防空ごう並びに基地公害に関して、関連できわめて率直に質問しますから、ずばりお答え願いたいと思います。  いまの防空ごうの分は、もう戦後しばしば非行少年があそこに集まって、いろいろなことを相談し合って、窃盗をやったりする、こういうことで、少なくとも入り口だけでもふたをしなければそういうことは防止できぬということで、やられたこともある。特に軍港地等はたくさんあるものですから、そういうことをやる。しかもそれには若干補助金も出した。ところが一昨年の災害のときでも指摘したが、何百メートルもコの字型に掘ったりしているのですから、とんでもないところが陥没するわけです。入り口も厚いコンクリートでふたをしているので、防空ごうにふたをしたなと思っているけれども、長い間に花こう岩地帯なんか特に地面がずっとゆるんできて、ああいうときにはぽかっと落ちるのです。ある学校では、校庭のまん中に五メートル四方の穴がぽかっとあいたりする。そういうように防空ごうというものは災害の大きな原因になっているのだというので、一昨年も、直ちに手をつけますといっても、ただいま島本委員が言われたようなことで、たいして手はつけておらない。そして山上長官が言ったように、おそらく閣僚会議ででもやらなければいかぬということで、有田長官は答弁されたんだろうと思うけれども、どう実ってきておるか。ただその場しのぎの答弁で、こうしましょう。ああしましょうじゃいかぬ。粟山次官はこれこれと言われたのですが、それをひとつ具体的に防止する予算の裏づけなんかどんなになっているのか、どうしようと思うのか、こうならないと、非行少年のそういう集会場所になっておる、あるいは犯罪を隠匿するため死体をそこにほうり捨てる、そういうことは防止できないじゃありませんか。災害なり非行なり、それを具体的にどう防止していくのか、こういうことを、今日もう二十何年たっても、いまだにやらない。確かに、非行問題、厚生省あり、災害問題、建設省あり、いろいろ担当があると思う。だから閣僚会議等できちんとして、具体的な予算の裏づけを持って、それらを防ぐ措置を講じなければならぬ。ただ委員会や本会議や予算委員会等のその場のがれじゃいかぬ。そういう意味で、確かにさっきも言った――昨年でしたよ。北海道のあの児童の災害についても、あるいは議員立法が内閣委員会に付託になって、それの審議の過程で見舞い金ということが出て、法案の撤回、こういうことになったのですから、これまた総務長官、非常に関係があるわけです。そういう点で、ただその場のがれでなくして、この防空ごうの問題をどうする、どうしなければならぬか、こういう所信を聞かしていただきたい。
  53. 床次徳二

    ○床次国務大臣 防空ごうの残っておりますものは非常に各地にあると思うのでありまして、私は、それぞれ管理者が、その立場、事情に応じまして、適切な処置を講ずることが必要ではないかと思うのです。たとえば公園でありまするならば、これは建設省が所管いたすものと思います。これが学校でありまするならば、市町村が管理しているものもあると思う。やはりその事態事態に応じまして、防空ごうあるいはその他の施設の災害、あるいはまたこれが社会悪に利用されないようにする、対策が違うのじゃないか。これは管理責任者がそれぞれ立案いたしまして、そうして必要な予算をとり、これを実行する、私どもといたしましても、必要なものに対しましてはできるだけ協力をいたしたいと思いますが、その注意を喚起するということ、これはまことに必要だと思います。その趣旨につきましては、私どものほうもひとつ適切な手段を講じたいと思います。
  54. 浜田光人

    ○浜田委員 管理者がやるといいましても、おのおのがやるのですよ。さっき言ったように、その現象というものは起きてみなければわからぬけれども、想定はできるわけですからね。ところが一つの防空ごうを手入れしようとしても、補助金二十万くらいしかつかないのです。できっこない。負担するのでも、自治体が持ち出さなければならぬ。やったのは、さっきしばしば言ったように、かつての陸海、それらがみんな防空ごうをやった。私なんかのところでしたら、海軍工廠、十一空廠というものが、みんなそこに避難ごうとしてやらしてきた。私の持っている山なんかも、十一空廠が旋盤をずっと入れるので、防空ごうを掘ってしまった。一番いいまき山だったけれども、今日ではずらずらずらずら山の価値がなくなってしまっている。まき確保の山を家のそばに確保しても、みんな防空ごうを掘っちゃって、いまのところは上の道路がだめになるから、コンクリで徐々にやっちゃって、全然まきがとれぬようになってしまった。こんなことはやさしいことだけれども、そういうように、自治体がやろうと思っても、できないのですよ。だから政府が、そういう軍のために戦争のためにやらしたのだから、それらについてはすみやかに立法措置をして、ちゃんと手当てをして、あらかじめそういうことを防止さしていく手当てをする、こういうことをやらぬから、いつまでたっても――自治体が必要ならやる、学校管理者がやる、だれがやる、こう言っておったのでは、できないのです、金がないから。だから、責任の明確化とそれに対する対策、裏づけの予算、こういうものをやっていかぬと、いつまでたってもだめです。これは二十何年繰り返してきておるんだから。それは自治体あたりというものは一番身をもって感じておるのだから、非行少年が集まっては、そしていまからどこそこへ窃盗に行くぞというようなことを、そういうところでしばしばやっているのだ。警察も弱っているのだよ。だからきちっとそういう措置を講じてもらわなければいかぬので、これは所管所管でやるといったら、所管は、そんなもの、予算を流すものがありますか、長官。ないからそういうことをやっているのですよ。自治省がやっとわずかのお茶を濁しただけで、ほんとうに自治体管理者は弱っているのだ。それで災害が起きたときには、防空ごうがと、こう言って、また日にちがたったら忘れてしまって、これを繰り返しておるのですから、やはり戦争をやり、そういうことをやらした、これの終戦処理といいますか、そういうものはきちっとやらなければだめです。これはひとつ強くやってもらいたい。これはぼくはやはり軍関係のことで、幾ら国を守りあるいは自主防衛どうだと言ったって、こういうことをやらぬと、かつての国民が何をそういうことに耳を傾けますか。もっと具体的な例が、防空ごうや土を掘り出して自分の屋敷や何かをわやにされておる人が軍港地にはたくさんある。だから幾ら声を大にして自主防衛力どうだと言っても、それはだめですよ。ほんとうに国を愛するような、愛し得る価値のある国づくりをしなければいかぬのだから、そこでこれは強く要求しておきます、長官。またおざなりのことでなくて、何でも措置せぬではできないのだから、してもらうといったって、自治体はできっこないのだ。私も長いこと自治体におったから知っておるけれども、できないのだ。  それから基地周辺の問題、やはりさっきの島本委員関連ですが、前回も私はちょっと質疑みたいな、討論みたいなことをやったのですが、その基地公害というものが、基地周辺整備法並びに特撮法によって、より公害紛争処理できるのだ、こう言われるが、先日もお話し申し上げた、私はまた現地に帰ってみて、そういうことにしばしばでくわすのです。海面制限を米軍がやる、その外に非常にいい漁労の場所がある。だから自治体、市も県もその水質から何から見ていいと思うところが、海面制限をされておる。そこにその米軍が出入りするに支障になると思うと、その海面制限のうんと外ですが、区域漁業権の設定は容易にオーケーを与えることはできない、こういうことになるのです。こういうときにはどこで救済するのですか。
  55. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 ただいま先生のお話は、米軍の提供施設の隣接の水域が一定の範囲にわたって漁業の操業が制限されておるという場合に、その制限区域内ではないけれども、その隣接のところで、そういう制限区域があることによって間接的にいろいろな問題が起こっておるというような場合について、一体どういうふうに対処するのかというお話かと思いますが、この区域内につきましては、もうこれは従来も補償してきております。ただ区域外で隣接するところに何らかの影響があった場合どうするかという問題につきましては、これはその実態に応じまして、確かに被害がある、しかもそれがこの制限水域があることと相当に因果関係があるというような場合には、なるべくそれを救済するという方向で努力をしておるつもりでございますが、先生のおっしゃる具体的な内容等調べまして、確かに因果関係があって被害があるということであれば善処したい、こう思います。
  56. 浜田光人

    ○浜田委員 その実態があるときは文句がないわけですね。しかしいま言った長い海岸線百メーターというのを制限いたしますね。そうすると、長い海岸線の百メーター外にはたくさんいい漁場があるわけですよ。そこに新しく区画漁業権を設定しようとするとき、それの許可権は県知事が持っている。県知事は、海面制限の区域設定をされておる、それがために、船の出入りに航路設定するなら――、たとえば千メーターの海岸線を制限しておる。そうするとそれの外千メーターというのは全部航路にしなければならぬのですから、どこか一カ所百メーターだけ航路を設定して、百メーターの中に入ったときにはじめて制限区域内で自由にやる、こうすればいいと思う。それはむろん百メーター全部あったほうがいいことは間違いない。それをおもんぱかって区画漁業権の設定をやらないときにどうしますか、こう言っているのです。もしそういう場合にそれをやるとするならば、百メーターからずらっとすべて補償対象になるのか。こういう問題も起きている。どうしますか。
  57. 山上信重

    ○山上政府委員 ちょっと事が重要でございますので、私からお答えいたします。  漁業の制限をいたしまする区域につきましては適切な補償をするのは当然でございますから、われわれといたしましても、その補償基準等については今後とも適正を期してまいりたい。その外に新たにそういった区画漁業権を設定するというような問題は、これは、そういう前提のもとに新たな権利を付与するという問題でございますから、現在の漁業が制限されているということと性質が違うのではないかというふうに考えます。ただそういうことは、いわば地方の県知事の権限なり何なりになっておるわけですが、そういった実情を考慮して、必要ならば許可をするような形になるだろうと思います。またこれが適切でないと認めれば、許可をしないということもあり得ると思いますけれども、これは新たな権限を付与するという形でございますので、この問題は今後研究いたしたいと思います。そういうことで御了承いただきたいと思います。
  58. 浜田光人

    ○浜田委員 研究といっても、区画漁業というのは、もう調整委員会等においても設定する時期なんだよ。いままでもしばしばそういう配慮がされて基地公害を受けてきておる。これがほんとうの基地公害だ。皆さんは、制限のされておるところはこれは補償している、一〇〇%補償しているのだから、これらに対して代替の漁場の造成は無理に考えぬでもいいのだ、こういうことを言われる。一ぺん一〇〇%補償すれば事足れりと思うかもしれないけれども、こういうように実際制限しておるがために――当然そこはりっぱなところだから、その制限さえなかったら、あるいは基地がなかったら、文句なしに県知事はその恩典を与えておる。それを考えるがゆえに――まあ自治体というものも、国の方針に従って基地の提供をしなければならぬから提供した。その提供に基づいて海面制限をされた。そうすると、いい漁場であるけれども、漁民に区画漁業権設定をしてやったんでは航路に支障を来たしていかぬと思って、だめにしてしまう。こんな明確な基地公害はないでしょう。基地さえなければこういうことはないんだから。さらに基地があり、海面制限をしなければ、こういうことは起きない。まあオーケーするのは知事だから、知事が判断してやるのだろう。知事が判断すれば、知事は、漁業権の設定ははたしてそれが将来漁場として、区画漁業――このごろはどんどん、ことに瀬戸内海のごときは、とるよりはつくる漁業に転換しておる。政府もそういう指導をしておるのですからね。そうすると、区画漁業というようなことしかないですよ、どんどんそういう方向に転換しておるのだから。いい漁場だ、水質もいいといったら、ほんとうは許可しなければならぬのだよ。ほんとうは権限があるはずなんです、海面制限より外だから。ところが実際問題として、そこに区画漁業権を設定してしまったら入れぬようになることは事実だ。だから、現実にいま制限区域内ではないけれども、こういう理由で完全にこれは基地の公害なんですよ。それが整備法や特損法で救えるのなら、研究しなくても、これこれで救済いたします、こうならなければならない。その法律救済できないとするならば、いま問題になっている今度の公害法律案の中でどうするのか、こういう問題が発生してくる。そこを聞いている。どうでしょう。
  59. 山上信重

    ○山上政府委員 先ほども一部お答えを申し上げましたように、現在ありまする漁業権、あるいは実際に漁業をいたしておるそういうようなものが、基地によって制限される、あるいは制限水域によって制限される、あるいはその制限水域設定したことによって、現在あるところの漁業権なりあるいは漁業の実態が阻害を受けておるというようなことがございますれば、これは先ほども申し上げたとおり、当然補償を検討するということでございます。ただ今後新たにそういう特権を付与する問題につきましては、いささか性格を異にするのではないかと思いますので、これについては、今後それぞれの実態に応じてよく検討してまいりたい、このように考えるわけでございます。
  60. 浜田光人

    ○浜田委員 これでやめます。  前段にあなたが説明されることは、しなくてもわかっている、いまの法律できちっとできているのだから。ところがいま私が説明したように、図に書いてみればわかるけれども、しろうとでもわかるはずなんですよ。この海面制限されておるところへ船が入るのだよ。その外に区画漁業権を、非常にいいところだから許可はしたいけれども、その航行に支障を来たしてはいかぬから許可をせぬということになる。事実具体的な問題があちこちに起きておる。私のところでもしばしば、水質から見てこれこれはいいけれども、海面制限の先だからその点が問題がありますと、こういうように副申を添えているのだ。したがってこれがいまの基地周辺整備法なり特損法で、そういう場合が具体的にあれば救済ができるのかどうか、こういう質問だ。できぬのならできぬ、できるのならできる、こういう答弁をしてもらいたい、どっちでも対処するから。
  61. 山上信重

    ○山上政府委員 その区画漁業権を設定せんとする事情に応じて検討いたしたい、かように考える次第でございます。
  62. 浜田光人

    ○浜田委員 それはおかしい。今度総理を呼ぶから、大きい問題でほかにあるから、要望しておきます。
  63. 赤路友藏

    赤路委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  64. 赤路友藏

    赤路委員長 速記を始めて。  島本君。
  65. 島本虎三

    ○島本委員 公害紛争処理法案を審議するにあたって、いろいろな基地、これを除外することのよしあしについての具体的な問題が、こういうふうにして起きている。こういうようなことについていままでいろいろ質問しているわけなんです。そういうような点を十分考えておいていただきたい、こういうように思うのです。私も聞いていて、答弁必ずしも的を得て的確じゃない、こういうように思います。  それで、もう時間は知っていますから、決しておくれないように言います。それで、いままで青葉公園の問題で大きい問題になっているこの問題は、皆さんおわかりのとおりですが、関連質問にからんでいろいろ発言があったのも、措置がおざなりであるからだめだ。前に答弁したとおりならばしたとおりやりなさい。総理府長官もせっかくおられるのですから、これはもう予算面等においても十分対処して、今後の措置の完ぺきを期しなさい、こういういわば激励的な意味も含まれた質問ですから、そういうような意味で、答弁としてはわれわれ納得し、せっかくここで引き下がらん、こういうふうにするところなんですけれども、やはりこれは答弁はおざなりであっちゃいけないわけです。これだけははっきりしておきたい。前に、長官も御存じのように、二月の時点で、はっきり対策を約束されたにもかかわらず、そのまま放置されておった。その結果がこういうような、老婆殺しの犯人をさがしておる間に、その死体遺棄の場所が、こともあろうに防空ごうで、出入禁止されておった都市公園の青葉公園の防空ごうの中であった。こういうような不祥事は、とりもなおさず青少年の非行上の問題にも関係してくるから、これは十分厚生省でも対処しなければならないのだ。かつては、この問題で閣議にかけた厚生大臣園田直さんもおったはずです。こういうような問題で、各省いずれの省にわたるのかわからなければ、これはやはり閣議にでもかけて、この措置をしなければならない、こう思います。  大臣は来ておられないで、政務次官である粟山秀さんがせっかくおられます。これは次官会議等もあることであって、その中で、あなたが非行青少年の問題を涙を流して訴えたら、皆ほろっといたしますから、この問題等については、絶対次官会議にかけて、政府を督励し、善処させますと、約束してください。このくらい、あなたでないとできないことです。せっかく政務次官として来た以上、これは最高のチャンスです。そういうような決意をして、おざなりな答弁に終わらしてもらいたくない。  それから、総理府長官、これは前から言ってはなはだ失礼ですけれども、この問題はせっかくここで再提起されました問題で、浜田委員も口をすっぱくして要請している問題ですから、予算措置、並びにその善後措置、これだけは適確にするように、ひとつこれを閣議でもはかって、どうもまた所管の問題が問題になりそうですから、これは適切に善処しておいてもらいたい、こういうように思うわけなんです。  それと、防衛施設庁。防衛施設庁のほうでは、前に言ったように、特損法並びに周辺整備法、これによって、他の法よりもはるかに手厚い処置ができるのだと、いままで豪語しておったのですから、それをもう実証さるべきだ、周辺にそういうようなのがある。それも防衛施設庁の用地ですよ。調べてごらんなさい。一部かかっていますよ。そういうような個所である真町とか蘭越です。そこにもそういうような個所があるのですから、それは十分調べて、善処しておいてもらいたい。  それと同時に、冬季オリンピックが、あと千日足らずで、札幌で世界の関心を集めながら行なわれる。そうして、その通路、道路、国道が、今度、空港までの間の国道の、都市計画の変更がいま策定中である。それはどうしても基地内を通る。中を通るのではないが、触れる。しかし、基地は自衛隊の基地ですよ。使っておらないのだけれども、どうもそれも強引に反対して、通さないような傾向があるわけです。これは現に市の要請でもあり、また、北海道の要請でもあり、これはオリンピックというこの問題を控えて、千歳の空港へ行くための、これは都市計画ですから、これは大いに手厚い措置をしてやらないといけないのじゃないか、こういうふうに思うわけです。そういうような点なども、国家的な行事ですから、自衛隊もあまりがんばらないで、その点は適当に協力してやらないといけない、こういうふうに思うわけなんです。私はそれで防衛施設庁のほうは終わりにしたいと思うのですが、この返事によっては、また何時間かかるかわかりませんが、しかし、これに対するはっきりした答弁をそれぞれ伺って、防衛施設庁のほうは終わりにしたい、こういうふうに思うわけなんです。
  66. 山上信重

    ○山上政府委員 防空ごうの問題につきましては、提供施設の中にあります分につきましては、先ほど申し上げたとおり、すでに処置済みでございまして、いまおっしゃいましたように、自衛隊施設の中にさようなものがありますれば、直ちに調査して、こういうものがないように善処したいと思います。  なお、そのほかの地域における防空ごうの問題につきましては、先ほど来総務長官あるいは厚生政務次官もおっしゃいましたとおりでございまして、私どもといたしましてもできるだけの協力をいたしたい、かように考える次第であります。  それから、いまの冬季オリンピックの関連で、道路ができる場合の自衛隊基地との関連でございますが、これは、こういうオリンピックに協力するのは自衛隊としても当然の精神でございます。ただ、道路の問題となりますると、具体的にどういうところがどういうふうになるかということがございますので、十分調整をいたしてまいりたい、かように考える次第であります。
  67. 赤路友藏

    赤路委員長 それじゃ、防衛施設庁山上長官は退席していいですね。
  68. 島本虎三

    ○島本委員 よろしゅうございます。  同じく、公共用水域水質保全に関する法律の一部を改正する法律案について、長官にひとつ伺いたいことがございます。  いよいよこの問題が大詰めにきておるわけです。依然としてその大詰めで解明できない点は、第一条の目的にあるわけであります。この公共用水域水質保全に関する法律の一部を改正する法律案の第一条なんです。この第一条の、いわゆる「産業の相互協和」をまっ先に入れてきたということで、どうもこれが突き当たって、上がるべき法案がいまだに足踏みをしている。これはまことに遺憾なんで、早くこれを上げたいので、やむにやまれぬ気持ちで聞くわけですが、これは前に何回も言ったとおり、「産業の相互協和」をまっ先に持ってくる、これについては、産業の協和をはかるがために、水質その他が完全にいかないおそれがあるから、基本法の定むるその程度のところまで考えて、万遺憾なきを期しておいてもらいたい。それがとりもなおさず、紛争処理のためにもまことに適切なことになるのじゃないか、こういうふうに何回も言ってきたわけです。事務当局のほうでもこの点は十分調べてあると思うのです。せめて「産業の相互協和」を取り除いて、補足すべき点は補足したならば、これはまさに画竜点睛をりっぱに施したことになる、こういうふうに思いますけれども、大臣、この「産業の相互協和」は取って、基本法どおりにやる、そのほか心配の点の字句だけはちゃんと入れて万遺憾なきを期する、こういうふうなことにしていいのじゃございませんか。この点についてひとつ伺っておきたいのですが……。
  69. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 この問題については、この前もお尋ねがあって、私の答弁が不十分で、十分御理解を得られなかったかと思うのでございます。やはり公害対策基本法の根本は、健康ということと生活環境ということであることはもちろんです。しかし大気汚染や騒音とは、水質汚濁の点は多少性質を異にしておるものがあるのでありまして、大気汚染とか騒音というのは、加害者と被害者とが直接の関係にありますが、この水質汚濁の点になりますと、産業間においての争いがあるというところから、この一項はやはり置いておく必要があると思うのです。それが、経済企画庁としては、その産業間の争点を解決する上においては、この一項があったほうが非常にやりやすいということで、この前御説明申し上げたつもりであります。でありますから、基本法の根本観念をこれは決してそこなうものでなくて、もちろん健康と生活環境をよくするということ、そのことが最後の目的でありますから、その目的を達成する一つの階段として、この産業間の調和ということが必要だというように考えておりますから、この一項をやはり取り除いてもらうと、われわれの仕事としてはやりにくいということで、島本委員のお話は、産業公害で論ぜられておる健康であるとか生活環境をより有効に達成したいという御希望だと思うのでありますので、その御希望を達成する手段として、この産業間の紛争というものを解決するという役割りを、やはりこの法律案の中に入れておいてもらったほうが好都合だ、こう考えておる次第でございます。決して公害対策基本法の根本精神をそこなうものではない、こう考える次第であります。
  70. 島本虎三

    ○島本委員 これを取り除いた場合には、どういうふうな危惧がありますか、事務当局から……。
  71. 八塚陽介

    八塚政府委員 先ほど来島本先生がお話しになりましたように、これを取り除いた場合には、多少の字句をつけ加えることが要るだろうというお話があったわけでございます。おそらくいわゆる生活環境というものをさらに拡大的にしまして、いわば経済的なものを含ませ得るようにということであろうかと存じますが、ただ現実に、いま大臣が申し上げましたように、水の利用というのは、生活ももちろんでございますが、産業としてきわめて複雑なあるいは入り組んだ利用のしかたをしておるわけであります。最も端的なものは、水の中に生育いたします動物、魚介類、あるいは水によって生育いたします海藻等に依存する水産業もございますし、それから日本農業の特質としての水稲におきましては、もちろん水がまた必要であります。一方工業におきましても、水質関連いたしまして、工業用水というものは当然一定の水質が必要でございます。あるいはまた水を利用して排出物を流すという関係もございます。当然飲料水としても、上水道あるいは井戸等によって水を利用するということで、水の利用につきましては、もちろん健康あるいは生活の部分も当然これは必要なものでございますが、産業そのものが複雑に依存をしておる。したがいまして、実際に私どもが過去の経験におきまして、水の紛争解決いたします場合には、六、七割は産業間の問題点の解明、あるいはその調和ということであったわけでございます。そういう意味におきまして、ただいま大臣が申し上げましたように、実際の仕事を進めていく場合には、やはり産業間に科学的な客観的な基準をつくっていくという仕事が相当多いということでございますので、これがいわば表面から退きまして間接的になりますと、そういう現実にたくさんある問題の処理の際の、いわばめどと申しますか、水質保全法の一つの目的がいわばぼけてくるということになるのではないかというふうに私ども考えるわけであります。そういう意味におきまして、こう言うとあれですが、著しく私どもも仕事の取り進めが意気阻喪するという感じでございます。
  72. 島本虎三

    ○島本委員 いま言ったそのことをそのままもし入れるとすると、結局は、産業の相互協和、これではなしに、生活環境、これは水産動植物を含むの保全、それから国民の健康及び産業間の相互協和、こういうようなことになるわけでありませんか、いま言ったことをそのまま並べてみると。また産業間の協和ということは、いまいろいろあなたがおっしゃいましたけれども、第一次産業の間では、やはりこれでいい、これでは困る、双方の間にこれは紛争が絶えないのです。また紛争処理法案がもうでき上がってしまったら、そのために今度は忙しくならざるを得ないと思うのです、おそらく今後。それほどまでに、たとえば農業それから漁業、この間の紛争はもう絶えない。もしそうだとすると、この生活環境、水産動植物を含む、この保全をまず第一義にして考えて、そうして国民の健康の保護、こう入れたならば、この場合は最適でありませんか。科学的なデータによってやれることになるじゃありませんか。そういうことになるのですよ。この点は、あなたありましたら……。もしなんでしたら、大臣にいまこれを聞いておいてもらったでしょうから。そういうようなことを考えたならば、この水質保全のためには一番いいということになる、こういうように思う。
  73. 八塚陽介

    八塚政府委員 私の考え方をもう一度申し上げたいと思いますが、たとえばいま例をおあげになりました水産業の場合に、特定の河川あるいは特定の水域に依存いたしますいわゆる漁業者の生活、それの基礎になるその水域に生息する動植物がいろいろな形でいろいろな程度被害を受けるという場合には、当然それに依存をしておる漁業者は生活が守られないという意味においては、当然公害対策基本法においてそういう捕捉のしかたをしておるわけでございます。ただ水産の場合を例にとりましても、その特定の水域の水産資源は、単にその水域関係のある漁業者だけの問題ではなくて、もっと広い日本全体あるいは国際的な資源、いわば国際的に見た水産業の問題ということもあるわけでございますので、やはり公害対策基本法におけるような定義では、非常にその観点からは狭いのではないかということが第一点でございます。それから産業間の相互協和という場合には、これは科学的、客観的な基準がうまく入らないので、いつまでも紛争の種になるであろうという御指摘でございますが、むしろ産業間の場合に、私どもその協和をはかるために、従来ともできる限りその時点での科学的な技術的なあるいは経済的な基準をつくって、そうして客観的に水質基準設定するという努力をしてまいりました。お互いに産業間の問題でございますから、やはり、いわば数字であらわせる客観的な基準というものはつくり得るわけでございます。また今後ともつくっていかなければいけないわけでございまして、産業間の相互協和ということは、いわば適当にお互いにいつまでも話させてうやむやにするというようなことではむしろないというふうに申し上げておきたいと思います。つまり、水に関連いたしまして相互にかかわり合っております場合に、生活環境でありましても、産業間の協和でありましても、いずれも客観的な基準でやっていく、その客観的な基準を求める努力をするということが必要であるわけでございまして、その点では、私ども決してうやむやにしてしまうというふうに、この文章からは従来ともとってこなかったつもりでございます。
  74. 島本虎三

    ○島本委員 問題の水質基準、これを設定するその態度なんかでも、これは厳密にやらぬとだめなはずなんですが、どうもこの点なんかでもやはり手ぬるい。おそらく水質のパトロールなんか、ほとんどしていないんじゃないか。こういうことに対して実行機関を持っていない。全部都道府県にまかせっ切りだ。こんなことで、口でいいこと言ったって、できないですよ。そんなこと全部こっちは調査してわかっているのです。現にそれをやっているのに、これは何ですか。きょうあたりの新聞を見ると、水質基準厚生省経済企画庁で本家争いをやっている。(「両方一生懸命やっている」と呼ぶ者あり)両方一生懸命やるならば大いにけっこうだ。ほんとうに基準を出すのに一生懸命やって、両方一生懸命だということになる。その前の役所のなわ張り争いで一生懸命やっている。一生懸命やることはいいのです。一生懸命やることはいいけれども、これは内容的にすぐれたものをやって、いいといえる。こんなように六方を踏むようなことばかりやっていて、いいなんということを言ったってだめです。これはもう笑いものになってしまう。一体これはどういうことなんですか。大臣と政務次官、それぞれ来ておりますけれども水質基準で本家争い、同じような人をダブってそれぞれの委員に任命している。これではちょっと新聞に笑われますよ。ひとつその所信を承っておきたいのですが、これはあまり深追いしません。
  75. 八塚陽介

    八塚政府委員 新聞を先ほど私見たのですが、たいへん対立をして、本家を争っておるというふうな取り上げ方でございます。これは島本先生も御承知のように、確かに、役人でございますので、自分たちの仕事をやっていく過程では、当然関係各省といろいろ折衝もありますし、その間相当激しいものの言い方を相互にするということも、しばしば経験をいたしておるわけでございますが、しかしいま、幸いに、御指摘になりましたように、これはそれぞれ責任をある程度果たそうという一つのあらわれでもございます。少なくとも、環境基準の設定水質につきましては、今後とも関係各省といろいろ私ども折衝いたします過程では、相互に信念をぶつけ合いまして、かなり対立等があり得ると思いますけれども、いずれも水をいかにしてきれいにしていくかという立場でやっていけば、そういうことも結局は悪い結果にはならないというふうに考えております。具体的に還境基準の問題につきましては、それは当然厚生省のほうで、人の立場あるいは生活環境という立場から、技術的にも蓄積がございますし、やっていただく必要があるわけでございます。一方私どもは、水産あるいは農業その他あらゆる面のそれぞれの技術的な御意見を伺って、そうして環境基準をつくっていくという立場でございますから、当然厚生省環境基準についての考え方というものをいわば十分に反映させる必要があるわけでございます。私ども若干委員の方を重複さしたのは、そのほうが相互の対立ということのそしりを受けない、むしろ意思の疎通にいいというふうに考えたわけでございます。不幸にしてそれを逆におとりいただいておる向きもあるようで、これはまた、私ども十分御説明を申し上げて御了解を得たいというふうに考えております。
  76. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 きょうの読売の記事に関連しての質問でございますが、実は環境基準について両方で争っているというような印象を与えたことにつきましては、私ども説明なりあるいはやり方について、十分でなかった点があったのではないかというふうに心配するわけでございますが、環境基準の問題について、厚生省が現在、水道と遊泳場と海中公園につきまして、水の問題を検討しているわけでございますが、これは先生承知のように、水の問題は健康の場合と違いまして、全国一律にやるというものではなくて、その水の使用目的によっていろいろの条件が違ってくるわけでございます。厚生省としては、厚生省が所管しております環境についての一つの尺度といいますか、条件といいますか、そうものを持ちまして、それによって経済企画庁が、具体的に川なら川、海なら海について、これからいろいろ環境基準をつくっていかれる場合の厚生省としての主張をしたい、こういう意味で実は検討を進めているわけでございます。そのことが多少この記事では正確に伝わっていなくて、いわゆる役所間の問題を多少おもしろく取り上げておられるようでございます。こういう点につきましては、やはり両省が相互協和をはかっていきたい、かように考えます。
  77. 島本虎三

    ○島本委員 ほんとうに本家を争うほど熱心であるということであればけっこうなのです。ところが会合も一回も開かれておらない。それも厚生省のほうでは、いろいろな他との関係がありますから、水質だけではなしに、大気の汚染関係もあったり、いろいろな関係があるから、それをやった。そうなりますとストップかける。これは熱心のあらわれだとはだれも思いませんよ。やはりこれは熱心のあらわれであるならばあらわれであるように、その点はもう少し熱心の度合いを示すような答弁をしないといけないと思います。これに書いてあるのを私はほんとうだと思っているのです。というのは、とろいからです。皆さんのほうがもっと積極的にやったら、厚生省は逆に協力するはずです。ところがとろいから、これは自分でまずやってみようか、応援してください、こういうような意味でしょう。むしろこれは他山の石として、一生懸命に、水質基準をつくるのに、その意見をもらって早くやるべきじゃありませんか。やり方が、下部機関を持たない、調査機関も持たない、したがってこれも一元的な処理をしなければならないとわれわれは主張しているところなのですけれども、やはり経済企画庁の場合にはそういうような弊害があるのだ。これは公害行政全般の一つのサンプルですよ。ですから、こういうようなことはあってはならないことであります。したがってこれは何人ダブってもけっこうです。生活環境をよくすることですから、大いにけっこうなのです。そのためには基準をやるのだから、何を差しおいても、自分の権限だったら何回もやって、厚生省が一回やっているところを三回くらいやったっていいのじゃないですか。そのときに、本家はおれだって言えるのです。一回も開かないでおいて本家はおれだでは、少し虫がよ過ぎる。こういうのが総合官庁の一つの悲哀だというように思います。もう少しこの点は熱心にやって、そういうような一つの困難な点は克服しなければ、現在の情勢ではだめですから、これを少し心してやってほしい。  大臣、こういうようなのはあまり望ましくないのですですけれども、今後どうするのだ、これを聞いて、こういうような問題は終わりにしておきたい、こう思うのですが……。
  78. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 ただいま厚生省のほうからも、この新聞記事については多少批判されておったのでありますが、私もこの新聞記事を見て、この南部博士自身も誤解されておるのじゃないかと思う。やはり同じ人を双方の委員にすることが、先ほど局長が言ったとおり、お互いを理解せしめる上において必要なことであって、それを両方がやっておるのじゃなしに、大体経済企画庁としては、各官庁のほうに関係資料を求めることになっておりますからして、その資料厚生省のほうでつくってもらって、それによって経済企画庁が総合的な判断をするということになっておるのでありますから、厚生省のほうにおいても環境基準というものをつくっていただいてけっこうなんです。それを私のほうに参考資料として提供していただいて、そしてほかの各省からのまた参考資料を提供していただいて、そして総合的な解決をしたい、こういうつもりでありますからして、本家争いというようなこと自体は、ことばが少し行き過ぎじゃないかと思うのであります。お互いがみなそれぞれ研究してやっておる。これは法律の第十条にはっきり「必要な資料提出及び説明を求めることができる。」ということが規定してあるのでありまして、私のほうでは、やはり厚生省のほうでできる環境基準は、できるだけひとつ厚生省のほうで調べてもらって、それで一つの案をつくってもらって、それを私のほうに提供してもらってやるということでありますからして、決して本家争いではない。お互い協力してやっておるという意味でありますから、その点はひとつ誤解のないようにしてもらいたいと思います。しかし、お話しのとおり、役所のことでありますから、自分のところがおもにやっておるのだという気持ちを持たれること自体、私は決してとがむべきことではない。それだけ熱心に、この仕事はおれのほうでやっておる、それを経済企画庁のほうで適当にひとつ取り上げてもらいたいのだという考えで一生懸命やっておられることでありますからして、その点はわれわれのほうもその熱意は買うて解決すべきだ、こう考えております。
  79. 島本虎三

    ○島本委員 早く終わると言ったのに、もう十二時半になりましたから、これは責任を持って早く終わるようにいたします。  国のほうで水質の基準を設定しても、さっぱり汚濁がよくならない、これは一体どこに原因があるのか。これはあなたが何回もおっしゃっているように、国際的な問題になるのです。水質基準は一応現段階できまった、それでもさっぱり水がよくならない、それは一体どちらのほうが悪いのだろうか。企画庁なのか、それとも都道府県だろうか、それとも総理大臣だろうか。たとえば具体的に言うと、最近のように閉山、廃山、こういうような状態でそのままにしておくと、その水がみんな川に行くのです。これは通産省かもしれない。通産省だって、廃山にして一定の費用を出してやってしまえば、それでもって私のほうは手を切れました、こうなってしまって、依然として水は直らない。したがって、金属鉱山、また炭鉱も含みますけれども、廃山したあと、それが直接の水質汚濁を招いている、こういうのに対してはやはり考えておかなければいけないと思うのです。  それともう一つは、水質基準設定した石狩川や常呂川、これは国際的にもサケ・マスの養殖の問題を含めて、重大な川になっております。十勝川、それから網走川、こういうようなところもあります。さっぱりよくならないで、だんだん悪くなってきておる、これが指摘されております。これはやはり水質基準の甘さ、それとその後のパトロール、それから政治そのものが直接この公害の問題と取り組んでいない証拠じゃないか。山を廃山にしてもそのままにしておく。みんな川はよごれますよ。そういうようなものを含めて、このパトロール体制というものは、どうしてもこれとうらはらの問題になるのじゃないかと思うのです。これは具体的な問題として起きておる問題ですけれども、砂利の採取の監督の問題を含めて、これは現在法まで設定されておるのですが、効果があがらないのは一体どういうわけなのか。私はこの点に一つ重大な関心を持っておりますけれども、これは大臣よりも事務当局のほうにちょっと伺っておきたいのです。
  80. 八塚陽介

    八塚政府委員 まず、水質基準設定しても一向によくならないではないかという問題を、一つ指摘になったわけでございます。一般的に、必ずしも水質基準設定したあと一向によくならないということではございませんで、やはり水質基準設定したことによって、よごれがある程度きれいになってきた、あるいはそれ以上はもう進行しないという状態のところはかなりあるわけでございます。かなりあるわけであるということは、むしろはなはだ悲しむべきことで、それがあたりまえであってしかるべきであるわけでございますが、まあかなりあるわけでございます。ただ残念ながら、水質基準設定いたしましても、そのあとその当時考えられた工場はそれ以上よごしていなくても、その後の都市化であるとか、あるいはそのときに捕捉あるいは対象になっていなかった水質汚濁源が出てくるということによって、水質基準設定以後ももちろん悪くなる、あるいは場合によりますと、その工場が著しく事業を拡張したことによって、質としては守っておっても、全体としてよごすというような事例がございます。これにつきましては、やはりそういう事態が起こることは好ましくございませんので、都道府県等に現在委託いたしております基準のアフターケアを待ちまして、さっそくにも新しい水質基準をつくり、さらに新しく義務を課し、施設をつくらせるという方向で対処してまいらなければならないというふうに考えております。  それから、非常にたくさんの汚濁源が、その後も経済の発展とともに出てまいりまして、それが今回改正の最も大きな動機になったわけでございますが、その汚濁源が、もちろん所有者はあっても、その対策を講ずる資力がなくなったとかあるいは放棄したということで、その一つの例として、鉱山の閉山等についておあげになったわけでございます。これにつきましては、確かに処理の問題としてはむずかしいと存じますが、しかしすでに施設がない場合には、その他の災害と申しますか、原状保全あるいは原状復旧ということについて、ちょっと私いま具体的にどの法律でどうというふうには申し上げられませんが、それぞれ関係各省にお願いして、放置して結果において水をよごすことのないようにつとめてまいる必要があるということは、私ども努力してまいりたいと思います。いずれにいたしましても、正直に申しまして、やはりよごすほうの力というのは今後とも加わってまいると思いますので、それに対応して一そうの力を入れなければならぬ。しかもその原因がきわめて複雑多岐であろうと思いますので、対策もそれに応じていろいろな観点からやっていく必要があるというふうに考えております。
  81. 島本虎三

    ○島本委員 これで終わります。  最後に、厚生省を通じて要請しておきます。それは、いまのような水質の問題でも、汚濁源の一つ一つをやってみると、これは中小企業公害施設と思われる点が何ら改善できないでほったらかされておるというような点が多いわけであります。ただしそれに対しては、公害防止事業団またはそのほかの中小企業関係の金融機関があるはずなんです。ところが十分その方面のPRが徹底しておらないようなんです。これは通産省と一緒に、中小企業公害施設の資金貸し付け制度というようなものを十分PRしないといけない。そして、これは厚生省並びに通産省の共同所管でありますから、公害防止事業団、こういうようなものをもっと使えるように、十分利用できるように、活用できるように、この方面もあわせて十分検討しておかないといけない、こういうように思います。やりたくても道が閉ざされている、こういうような場合が多いのです。あるじゃないかといわれて初めてわかる。まして公害防止事業団は、支所なんて、大阪に一カ所出張所しかない、他のほうに行き渡っておらない、こういうような状況ですから、これは十分PRをしないと、活用の機会を失する、こういうように思います。したがって、この問題については強力にPRするようにしておいてもらいたいし、その内容等においては、まだぎこちない点もないわけじゃありませんから、十分これは改善するように留意しておいてもらいたい、こういうように思います。この決意を伺って、私は終わります。
  82. 粟山秀

    ○粟山政府委員 事業団の活用について、十分に考え、それを実行に移すようにつとめたいと存じます。
  83. 赤路友藏

    赤路委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十一分散会