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1969-04-02 第61回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第6号
公式Web版
会議録情報
0
昭和四十四年四月二日(水曜日) 午前十時二十四分
開議
出席委員
委員長
赤路
友藏
君
理事
天野 公義君
理事
田村
良平
君
理事
橋本龍太郎
君
理事
藤波 孝生君
理事
河上 民雄君
理事
島本 虎三君
理事
本島百合子
君
塩川正十郎
君 葉梨 信行君
工藤
良平
君
山口
鶴男
君 米田
東吾
君
折小野良一
君 岡本
富夫
君
出席国務大臣
厚 生 大 臣
斎藤
昇君 国 務 大 臣 (
総理府総務長
官)
床次
徳二君
出席政府委員
内閣総理大臣官
房審議室長
橋口 收君
経済企画庁国民
生活局長
八塚 陽介君
厚生省環境衛生
局公害部長
武藤琦一郎
君
通商産業政務次
官 藤尾 正行君
通商産業省企業
局立地公害部長
矢島 嗣郎君
通商産業省鉱山
保安局長
橋本
徳男君
委員外
の
出席者
議 員
角屋堅次郎
君
参議院議員
内田
善利
君
経済企画庁国民
生活局参事官
宮内 宏君
文部省管理局教
育施設部長
菅野 誠君
農林省農地局参
事官
井元 光一君
通商産業省鉱山
保安局鉱山課長
下河辺 孝君
運輸省自動車局
整備部長
堀山 健君
日本国有鉄道運
転
局長
阪田 貞之君 ――
―――――――――――
三月二十日
委員山田太郎
君
辞任
につき、その
補欠
として岡 本
富夫
君が議長の
指名
で
委員
に選任された。 四月二日
委員中井徳次郎
君及び
浜田光人
君
辞任
につき、 その
補欠
として
工藤良平
君及び
山口鶴男
君が議 長の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員工藤良平
君及び
山口鶴男
君
辞任
につき、そ の
補欠
として
中井徳次郎
君及び
浜田光人
君が議 長の
指名
で
委員
に選任された。 ――
―――――――――――
三月十九日
公害
に係る健康上の
被害
の
救済
に関する
法律案
(
小平芳平
君外一名
提出
、
参法
第一号)(予) 同月二十二日
公害
に係る
紛争等
の
処理
に関する
法律案
(
小平
芳平
君外一名
提出
、
参法
第五号)(予) 同月二十五日
公害
に係る
被害
の
救済
に関する
特別措置法案
(
角屋堅次郎
君外十二名
提出
、
衆法
第一〇号)
公害紛争処理法案
(
角屋堅次郎
君外十二名
提出
、
衆法
第二〇号)
公害
に係る
健康被害
の
救済
に関する
特別措置法
案(
内閣提出
第六三号)
公害紛争処理法案
(
内閣提出
第六八号)
公害委員会
及び
都道府県公害審査会法案
(
小平
芳平
君外一名
提出
、
参法
第六号)(予) は本
委員会
に付託された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件
公害
に係る
健康被害
の
救済
に関する
特別措置法
案(
内閣提出
第六三号)
公害紛争処理法案
(
内閣提出
第六八号)
公害
に係る
被害
の
救済
に関する
特別措置法案
(
角屋堅次郎
君外十二名
提出
、
衆法
第一〇号)
公害紛争処理法案
(
角屋堅次郎
君外十二名提 出、
衆法
第二〇号)
公害
に係る健康上の
被害
の
救済
に関する
法律案
(
小平芳平
君外一名
提出
、
参法
第一号)(予)
公害
に係る
紛争等
の
処理
に関する
法律案
(
小平
芳平
君外一名
提出
、
参法
第五号)(予)
公害委員会
及び
都道府県公害審査会法案
(
小平
芳平
君外一名
提出
、
参法
第六号)(予)
産業公害対策
に関する件(
大気汚染
及び
水質
汚 濁
対策等
) ――――◇―――――
赤路友藏
1
○
赤路委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
の
公害紛争処理法案
を
議題
とし、
提案理由
の
説明
を聴取いたします。
床次総理府総務長官
。
床次徳二
2
○
床次国務大臣
ただいま
議題
となりました
公害紛争処理法案
について、その
提案
の
理由
を御
説明
申し上げます。
公害
問題は、申すまでもなく、現在緊急な
解決
を必要とする
国民的課題
でありますので、
政府
といたしましては、従来から、
公害対策基本法
の
精神
にのっとり、
各般
の
公害対策
を講じているところであります。
公害対策
におきましては、何よりも
公害
の
発生
を
未然
に防止する
措置
を講ずることが肝要でありますが、同時に、
公害
が
発生
した場合に備えて、
公害紛争処理制度
を整備することが必要であります。
公害
による
被害
は、単に財産的なものにとどまらず、人の
生命
、健康に及び、しかも、
当事者
が多数にわたり、かつ、
加害
と
被害
との
因果関係
の
究明
も困難である等、
公害特有
の問題があり、これらが
公害
にかかわる
紛争
の迅速、円滑な
解決
な困難ならしめているのが実情であります。 かかる
公害
にかかわる
紛争
を
処理
する
行政
上の
制度
として、現在、
水質
の
汚濁
、
大気
の
汚染等
につきまして
和解
の
仲介制度
がありますが、
調停
、
仲裁
を行ない得ない等不備な点が多く、また
現行
の
司法制度
をもってしては、必ずしも簡易迅速な
解決
をはかるのに十分でないうらみがあります。 このような
公害紛争処理制度
の
現状
にかんがみ、また
公害
にかかわる
紛争
について必要な
措置
を講ずべきことを定めた
公害対策基本法
第二十一条第一項の
精神
にのっとり、
公害
にかかわる
紛争
の迅速かつ適正な
解決
をはかるため、
公害紛争処理制度
を整備すること等を
目的
として、ここに
公害紛争処理法案
を
提案
することといたした次第であります。 次にこの
法律案
のおもな
内容
について、その
概要
を御
説明
申し上げます。 第一に、
公害
にかかわる
紛争
を
処理
するための専門的な
機構
を
中央
及び
地方
に置くこととしたことであります。
中央
に置かれる
中央公害審査委員会
においては、現に人の健康または
生活環境
に
公害
にかかわる著しい
被害
が生じ、かつ、
当該被害
が相当多数の者に及び、または及ぶおそれのある
紛争
、広域的な
見地
から
解決
する必要がある
公害
にかかわる
紛争
、
被害地
及び
加害地
が二以上の
都道府県
の
区域
にわたる
公害
にかかわる
紛争
について
調停
及び
仲裁
を行なうこととしております。また、
地方
に置かれる
都道府県公害審査会等
においては、これらの
紛争
以外の
紛争
について
和解
の
仲介
、
調停
及び
仲裁
を行なうこととしておりますが、さらに
被害地
及び
加害地
が二以上の
都道府県
の
区域
にわたる
公害
にかかわる
紛争
については、
関係都道府県
が
事件ごと
に共同して
連合審査会
を設け、これを
処理
することができることとしております。 第二に、これらの
機構
においては、人格が高潔で識見の高い者のうちから、
委員長
、
委員
または
審査委員候補者
が任命または委嘱され、これらの者のうちから、
事件ごと
に
指名
された
仲介委員
、
調停委員
または
仲裁委員
が、それぞれ
所定
の手続に従い、
和解
の
仲介
、
調停
または
仲裁
に当たることとしております。なお、
調停
の場合には、
当事者
に対し
出頭要求
を、また
一定
の場合に文書、物件の
提出要求
ないし
立ち入り検査
を行ない得ることとしております。
仲裁
の場合にも、同様の権限を与えております。 第三に、これらの
機構
については、具体的な
紛争
の
処理
を通じて得られた
公害防止
の
施策
の改善についての
意見
を、
中央
においては
内閣総理大臣等
に対し、
地方
の
公害審査会
においては
都道府県知事
に対して申し述べることができることとしております。 以上のほか、
公害
問題は、
地域住民
に密着した問題でありますので、
地方公共団体
は、
公害
に関する苦情について適切な
処理
につとめる旨の規定を設けた次第であります。 なお、いわゆる
基地公害
といわれる
防衛施設
にかかわる
障害
に関する事項については、この
法律案
において別に
法律
で定めるところによることとしておりますが、これは、その
原因
となる
自衛隊等
の行為の
特殊性
から見て、一般の
産業公害
と同じ扱いとすることは不適当であり、また、
政府
は、すでに
防衛施設周辺
の
整備等
に関する
法律等
により
障害防止工事
及び
民生安定施設
の助成、損失の
補償等
について手厚い
措置
を講じ、その
補償
について異議の
申し出等
の
制度
を設け、円滑な
解決
をはかってきておりますので、これらの
措置
によることとした次第であります。 以上が、この
法律案
の
提案理由
でありますが、何とぞ慎重に御
審議
の上、すみやかに御可決くだされるようお願い申し上げます。 ――――◇―――――
赤路友藏
3
○
赤路委員長
内閣提出
の
公害
に係る
健康被害
の
救済
に関する
特別措置法案
を
議題
とし、
提案理由
の
説明
を聴取いたします。
斎藤厚生大臣
。
斎藤昇
4
○
斎藤国務大臣
ただいま
議題
となりました
公害
に係る
健康被害
の
救済
に関する
特別措置法案
について、その
提案
の
理由
を御
説明
申し上げます。 今日、
産業経済
の急速な
発展
と
都市化
の
進展等
に伴って
発生
する
公害
問題が、緊急に
解決
を要する重大な社会問題となっていることは、すでに御
承知
のとおりでございます。 この問題に対処するため、
政府
といたしましては、
公害対策基本法
に定められた理念と方向に従い、従来から、
各般
にわたる
公害防止
のための
施策
の
拡充強化
につとめてまいったところであります。
公害
問題の
解決
のためには、
公害
の
発生
を
未然
に防止するための
対策
が重要であることは申すまでもありません。しかしながら、現に
発生
している
公害
による
被害
の
救済
をはかることもまた
対策
の一つとして欠くことのできないものであります。
公害
による
被害
については、
公害
の
発生原因者
の
民事責任
に基づく
損害賠償
の道が開かれておりますが、現段階においては、その
因果関係
の
立証
や
発生責任者
の
明確化等
の点で困難な問題が多く、このため、
被害救済
の円滑な実施をはかるための
制度
の
確立
が強く望まれているのであります。このような
見地
から、
公害対策基本法
の
精神
にのっとり、
公害
による
被害
のうち当面緊急に
救済
を要する
健康被害
について、迅速かつ適切な
救済
をはかることを
目的
として、ここに本
法律案
を
提案
することといたした次第であります。 以下、この
法律案
のおもな
内容
について、その
概要
を御
説明
申し上げます。 第一に、この
法律
による
救済
の
措置
は、相当範囲にわたる著しい
大気
の
汚染
または
水質
の
汚濁
が生じたため、その影響による
疾病
が多発している
地域
を
指定
し、これらの
指定地域
の
都道府県知事
または
政令
で定める市の長が
当該疾病
にかかっている旨の
認定
をした者に対して行なうことといたしております。 第二に、
救済
の
措置
としては、
医療費
のほか、
医療手当
及び
介護手当
を
支給
するものとしております。
医療費
は、
当該疾病
の
医療
に要した額から
社会保険等
による
医療
に関する
給付
の額を控除した額を
対象
として
支給
することといたしております。
医療手当
は、
病状
が
一定
の程度以上の者に
支給
し、
介護手当
は特に
介護
を要する者に
支給
することとしておりますが、本人、
配偶者等
の
所得税
の額が
一定額
以上の場合は
支給
の
制限
を行なうことといたしております。 第三に、
給付
に要する
費用
についてでありますが、
産業界
、国及び
地方公共団体
がそれぞれ
分担
するものとし、その割合は、
都道府県
が実施する場合は、
産業界
四分の二、国及び
都道府県
それぞれ四分の一とし、市が実施する場合は、
産業界
六分の三、国・
都道府県
及び市がそれぞれ六分の一といたしております。なお、
産業界
及び国の
分担
は、
公害防止事業団
を通じて行なうことといたしております。 第四に、
産業界
の
分担
は、本
制度
に協力することを
目的
とする民法による法人で、その
申し出
により
厚生大臣
及び
通商産業大臣
の
指定
を受けたものが、
公害防止事業団
と契約を締結し、毎年
事業団
に対して
所定
の額を
拠出
することによって行なうことといたしております。 以上のほか、
被害者
が
損害賠償等
を受けた場合における本
制度
による
給付
との調整の
措置
その他この
法律
を実施するため必要な
措置
について規定いたしております。 以上がこの
法律案
の
提案理由
でありますが、何とぞ慎重に御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手) ――――◇―――――
赤路友藏
5
○
赤路委員長
角屋堅次郎
君外十二名
提出
の
公害
に係る
被害
の
救済
に関する
特別措置法案
及び
公害紛争処理法案
、これを
議題
として、
提案理由
の
説明
を聴取いたします。
角屋堅次郎
君。
角屋堅次郎
6
○
角屋議員
私は、
提案者
を代表いたしまして、ただいま
議題
となりました
日本社会党提出
、
公害
に係る
被害
の
救済
に関する
特別措置法案
並びに
公害紛争処理法案
につき、
提案
の
理由
とその
内容
の
概要
を御
説明
申し上げます。 戦後
わが国
の
経済
は、敗戦の廃墟の中から再出発し、今日
世界
第三位の
生産力
を誇るまでに成長いたしましたが、庶民の
生活実感
からすれば、
生活
は決して楽になったとはいえず、むしろ物価の上昇、
公害
の
激増
、
交通事故
の
多発等
による
生活
と
生命
の
脅威
に絶えず不安を感じ、はなやかな見せかけの数字より、もっと中身のある
経済成長
を待ち望んでおります。特に
公害
の
激増
は、近年大きな社会問題であり、
政府
の相も変わらぬ
企業擁護
の
姿勢
に鋭い批判の眼が向けられ、また
企業
の
社会的責任
を無視した
経営方針
の転換を望む
国民的世論
も、日増しに高まりつつあります。しかし、依然として
政府
も、
企業
も、その態度に根本的な反省は見られず、
公害
は
経済発展
の
必要悪
の如き観念の存することは、まことに遺憾であります。 昨年十二月の
国連総会
において、スウェーデンの
提案
による、「
世界
は
核戦争
による
絶滅
は避け得ても、
公害
により同じような
脅威
を受けている。
政府
も
産業界
も必要な
責任
をとるべきだ」とする
決議案
が採択されましたが、これは
世界
のいずれの国よりも、まず、
日本
の
政府
と
産業界
に対する
警鐘
として謙虚に受け取るべきであります。 元来
公害対策
の万全を期するためには、
公害
の予防、
公害
の排除、
公害
にかかわる
被害
の
救済
について思い切った法制的、
財政的措置
を必要といたしますが、かかる観点から、
わが国
の
公害対策
の
現状
を見るとき、
両者とも
にきわめて不十分であり、特に法制的には、
現行
の
公害対策基本法
をはじめ、
大気汚染防止法
、
騒音規制法
、
水質
二
法等
の
抜本改正
が必要であり、ただいま
提案
されました
政府
の二
法案
も、原案のままでは、とうてい
公害
に呻吟する
患者
はもとより、
公害追放
を望む
国民
の期待にも沿い得ないと存ずるのであります。すなわち、
政府
の
救済法案
は、その
対象
を
大気
の
汚染
と
水質
の
汚濁
による健康にかかわる
被害
に限定するのみならず、
所得制限
をし、しかも
被害者
及びその
家族
の
生活費
についての配慮を全く欠いており、
被害者救済
としてはきわめて不十分であります。これではもし
紛争処理法案
が完全なものであったとしても、
被害者
としては当面の
医療
、
生活
の
費用
にもこと欠き、ついには
加害者
に有利な
条件
のもとにおいて妥協してでも、急いで
紛争解決
をせざるを得ない羽目に追い込まれると
判断
されるのであります。さらに、
政府
の
紛争処理法案
は、国に置かれる
中央公害審査委員会
が独立の
行政委員会
ではなく、
総理府
の
付属機関
とされていて、弱体であることは否定できず、その上、
仲裁制度
も、
当事者双方
の
合意
による
申し立て
が、
仲裁開始
の
条件
であり、したがってこれを利用するかいなかは、事実上
加害者
の選択にまかせられており、今日
企業者
の
倫理意識
と
責任感
では、ほとんどこの
制度
は画餅に帰すると申せましょう。さらに重大なことは、
騒音
、振動などの
基地公害
が現に多発しており、今後もその増加が十分予測されるのに、これを
適用除外
とし、
救済
の道を閉ざしていることは、
国民
の健康、
生命
よりも軍事を優先するという
政府
、自民党の
姿勢
を端的にあらわしたものであり、断じて許せないところであります。 今日、
公害紛争
がこじれて
補償
問題も
解決
しないまま苦難にあえぐ
公害病患者
の悲惨さは、わが党が
現地調査
を行なった
新潟
の水俣病、
富山
の
イタイイタイ病
、
四日市
の
公害病等
の
患者
の実態でも明らかにされ、骨身にこたえるほど
公害絶滅
に対する
政治
の
責任
を痛感したのであります。 また、新産
都市
その他の
都市
の
公害紛争
を見て、
企業
の強引さに憤激を覚え、正しい
公害紛争
の
解決
の道筋を示すことの必要も痛感しております。 わが党が、昨年来の
公害
総点検、
公害絶滅
の運動の実績の上に立ち、
政府
と
企業
の
姿勢
に
警鐘
を鳴らし、
国民
の健康と
生命
を守り、
被害者擁護
の立場から
公害
二
法案
を
提案
いたしましたのも、当面の重大な
政治的課題
に真剣にこたえんがためであります。 以下二
法案
の
内容
について、簡潔に申し上げます。 まず
公害
に係る
被害
の
救済
に関する
特別措置法案
について、その
概要
を御
説明
申し上げます。 第一に、
公害
にかかわる
被害
の
救済
は、第一条において明らかなとおり、健康または物についての
被害
について行なうことといたしております。 第二に、
公害病患者
の
認定
は、
政府案
の場合、
指定地域
の
区域
内に、相当
期間住所
を有することが必要とされていますが、わが
党案
では、相当時間
指定地域
内において過ごした
期間
が、
厚生大臣
の定める
基準
以上であればよいとして、
郵便集配人等
をも
対象
としたところに相違があります。また
政府案
では、
公害病認定患者
が
指定地域外
に
住所
を移したとき、または
住所
が
指定地域
でなくなったときには、
一定期間
で
給付
が打ち切られますが、わが
党案
では、
指定疾病
もしくは
障害
に該当しなくなったと認められるまで、打ち切られることはないのであります。 第三は、
医療費等
の
支給
について、
政府案
のような
所得制限等
の
制限
を設けていないことはもとよりでありますが、
医療費
について、
政府案
では
国民健康保険
の一部
負担金分
のみが
支給
されるのに対し、わが
党案
では
健康保険法
その他の
社会保険
各法及び
健康保険臨時特例法
による一部
負担金分
をも
支給
することを定め、また
介護手当
について、
政府案
は
介護
を受けても
介護
に要する
費用
を支出しない場合には
介護手当
の
支給
をしないとしておりますが、わが
党案
では、
介護
を必要とする状態にあり、かつ
介護
を受けている者に対しては、当然
支給
をすることとしております。 第四に、
生活援護手当
については、
生計基準額
と
収入
とを比較し、
収入
が
生計基準額
を下回ることとなったとき、その
差額
を
生活援護手当
として
支給
し、安んじて療養できるよう
措置
いたしております。 第五に、物にかかわる
被害
についての
救済
は、
生計基準額
と
収入
とを比較し、
収入
が
生計基準額未満
となったとき、
政令
で定める
期間
、その
差額
を
特別手当
として
支給
することにより、物にかかわる
被害
の打撃から立ち上がれるよう
措置
しております。 第六に、
費用
は、
政府案
では、国、県、
政令
で定める市、
事業者
の四
者負担方式
をとり、そのうち
事業者
は
拠出金
として
拠出
することになっております。その場合、
政府案
に基づく中途はんぱな
拠出
で
事業者
に
免罪符
を与えたことになる
危険性
があるのでありますが、わが
党案
では、これを排して国が
費用
を受け持ち、
反面国
は、
支給
した額の限度において、その
支給
を受けた者が
加害者
に対して有する
損害賠償
の
請求権
を取得することとして、
加害者
の
責任
を徹底的に追及することといたしております。 次に
紛争処理法案
について、その
概要
を御
説明
申し上げます。 第一に、
公害
の
紛争
については、
和解
の
仲介
及び
調停
の
制度
並びに
裁定制度
を設けて、
解決
をはかることといたしておりますが、
政府案
の
仲裁制度
に対し、
裁定制度
を設けたことが、わが
党案
の大きな特徴であります。 すなわち、
救済法
によって当面の
費用
は十分にめんどうを見てやり、いたずらに
加害者
に有利となるような妥協を排し、
加害者
の
責任
を徹底的に
究明
するため、
当事者
の一方のみの
申し立て
でも開始される準司法的な
裁定制度
を設けたのであります。 第二に、
組織
としては、
中央
に
国家行政組織法
による
三条機関
たる
公害審査委員会
を、
都道府県
に
公害紛争調停仲介委員会
を設けることといたしております。
中央
は
裁定
を、
地方
は
和解
の
仲介
及び
調停
を行なうのであります。 第三は、
中央
の
公害審査委員会
に
公害専門調査会
を設けたことであります。
公害紛争
の焦点は、
因果関係
の
究明
が困難な点にあるのでありますが、これを
究明
させるため権威ある
自然科学者
を
専門調査会
に動員いたしまして、これに
自然科学
上の
判断
を行なわせ、
法律的判断
たる
裁定
はその
意見
に基づいて
裁定委員会
が行なうこととし、
専門調査会
の
委員
及び
臨時委員
は、審理、
証拠調べ
に立ち会い、独自でも事実
調査
をすることを認め、これによって裁判上
救済
の困難な事案を
救済
するレールを敷いたわけであります。 第四は、
裁定
と
訴訟
との
関係
について、特に
大気
の
汚染
または
水質
の
汚濁
によって生じた人の
生命
または身体にかかわる
被害
についての
損害賠償
に関する
紛争
その他の
民事
上の
紛争
については、
裁定
を経た後でなければ、
訴訟
を提起することができないこととし、
裁定
の権威を高めるための
機構
、運営に万全を期することといたしております。
裁定委員会
の
証拠調べ
及び
証拠保全
、
職権探知
、
立ち入り検査等
も、
公害専門調査会
の
活動
と相まち、
裁定
の
科学性
、
合理性
、
客観性
を
立証
するための必要な
措置
と申すべきであります。 第五に、
裁定
の効力は、
裁定
について、
裁定書
の正本の送達を受けた日から三カ月以内に、訴えの提起がなかったとき、
裁定
の
内容
について
当事者
間に
合意
が成立したものとみなすことといたしております。 以上、
公害関係
二
法案
の
提案
の
理由
とその
概要
でありますが、何とぞ慎重に御
審議
の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げまして、二
法案
の
趣旨説明
を終わる次第であります。
赤路友藏
7
○
赤路委員長
次に、
予備審査
のため本
委員会
に付託されました
小平芳平
君外一名
提出
の、
公害
に係る健康上の
被害
の
救済
に関する
法律案
、
公害
に係る
紛争等
の
処理
に関する
法律案
、及び
公害委員会
及び
都道府県公害審査会法案
、以上三案を
議題
とし、
提案理由
の
説明
を聴取いたします。
内田善利
君。
内田善利
8
○
内田
(善)
参議院議員
ただいま
議題
になりました三
法案
につきまして、
公明党
を代表いたしまして、
提案理由
を御
説明
申し上げます。最初に、
公害
に係る健康上の
被害
の
救済
に関する
法律案
の
提案理由
を
説明
いたします。
公害対策
の要諦は
公害
の
発生
を
未然
に防止することにあります。
事前防止対策
を完全に講ずるならば
公害病
の
発生
もあり得ないのであります。しかし、
政府
が今までとってきた
公害対策
は、
経済発展
を優先してきたために、
事前防止策
が立ちおくれ、不幸にして多数の
公害病患者
を
発生
せしむるに至ったのであります。すなわち、熊本県水俣、
新潟
県阿賀野川における
有機水銀中毒病
、
富山
における
イタイイタイ病
など、
工場排水等
が
原因
と思われる悲惨な
公害犠牲者
を出してきたのであります。また、
四日市
における
石油コンビナート
の
大気汚染
による
ぜんそく患者
をはじめとして、
京浜工業地帯
、東京の環状七号線交差点の大原においても
ぜんそく病状
が
発生
していることは、御
承知
のとおりであります。 しかるに、これらの
公害病患者
に対する
行政救済
の
法制度
は存在せず、わずかに
予算運用
で
公害病患者
の一部に対する
医療給付
が行なわれているにすぎません。もちろん
司法的救済
の道もありますが、
訴訟
に
費用
と時間がかかることや、
救済
の
迅速性
に欠けること、
因果関係
の
立証
が困難なことなどの
障害
があって、
公害病救済
になじまないのであります。 このような
法制度
の不備という谷間に追いやられた
公害病患者
と
家族
の肉体的、
精神
的、
経済的苦しみ
は想像を絶するものがあるのでありまして、これら
公害病患者
の置かれている悲惨な境遇と、
救済制度確立
に対する切実な願いを思うとき、わが
公明党
は、これらの人々を一日も早く
救済
するために、独自の新しい
制度
を創設する
必要性
を痛感するのであります。
公害病
は、
現代産業社会
における人間の、社会的、
経済的活動
によってもたらされる災害であります。しかも、
わが国
における
公害病
の多くは、最近十数年の
高度経済成長政策
に基づく
企業
の
産業活動
によってもたらされたものであります。
経済発展
という名目のもと、
地域
の
住民
に対して塗炭の
苦しみ
を与えることは許せないことであります。また技術的に
解決
が困難という
理由
で放置することはできないのであります。 次の
法案
の要旨を
説明
いたします。 この
法案
による
救済
の
対象
は
公害
にかかわる健康上の
被害
でございまして、
救済
の種類は
医療費
、
医療手当
、
介護手当
及び弔慰金の
支給
及び更生、生計維持のための資金の貸し付けでありまして、他に健康診断も実施いたすことになっております。
救済
の仕組みでございますが、
公害病
が
発生
していると認められる
地域
と、
疾病
の種類を
公害委員会
が
指定
し、次に
都道府県知事
は
公害病患者
及び
公害病
による
障害
者を
認定
し、これらの人に対して知事が
救済
給付
を行なうことになります。
医療費
の
支給
については、
社会保険
、社会福祉各法による
医療給付
を控除した部分、つまり
患者
の自己負担分をカバーすることとします。
医療手当
は通院、入院によって
医療
を受けている者に対して行なわれるものであって、いわば
医療
に伴う日常必要とする雑費でございます。在宅治療
患者
で
介護
を要する重症
患者
に対しては
介護手当
を、また不幸にして
公害病
で死亡された方の遺族に対しては弔慰金を
支給
することといたします。
公害病
の
発生
している
地域
においては、常時
住民
の健康管理を実施することによって、
公害病
の予防と早期治療をはかる必要がありますので、健康診断を実施することといたします。 以上の
給付
は
都道府県知事
が行なうのでありまして、これに要する
費用
の負担については、国が八分の六、
都道府県
が八分の一、市町村が八分の一をそれぞれに負担することとし、国及び
地方公共団体
は
給付
に要した
費用
額を限度として、
公害病
の
原因
者に対して
損害賠償
を行なうことができる仕組みになっているのであります。 なお、
公害病患者
、
障害
者が置かれている特殊な状況を考えて、事業援助、技能習得、生計維持のための資金の貸し付けの
制度
を設けることによって、
経済
的側面からの援助をはかることといたします。 以上が本
法案
の
提案
の
理由
と要旨であります。何とぞ慎重
審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 次に、
公害
に係る
紛争等
の
処理
に関する
法律案
の
提案理由
を
説明
いたします。 御
承知
のとおり、最近における産業の急速な
発展
と
都市化
等によって、全国各地の工業地帯や
都市
において、深刻な
公害紛争
を惹起しているのであります。 多くの人々がいかに
公害
に悩まされているかを、具体的に数字で示しますと、昭和四十二年度において、
地方公共団体
が取り扱った
公害
にかかわる苦情、陳情件数は、
大気汚染
、
水質
汚濁
、
騒音
、悪臭、地盤沈下など、合計して二万七千五百八十八件に達しておるのであります。四十一年度の取り扱い件数二万五百二件に比較して、四十二年度は八千五百余件増加しているのであります。
公害対策
が画期的に前進しない限り、遺憾ながら、今後も苦情や
紛争
はなおも増加し続けるものと予想されるのであります。 現在、このような
公害
にかかわる苦情や
紛争
の
解決
の方法としては、司法的
解決
と
行政
的
解決
と二つの方法がありますが、司法的
解決
は、迅速な
解決
を要する
公害紛争
にはなじまないのでありまして、どうしても、
行政
的な
処理
制度
が必要となってくるのであります。 一方、
行政
的
解決
としては、ばい煙は
大気汚染防止法
、
水質
汚濁
は
水質
保全法、
騒音
は
騒音規制法
、鉱山の鉱害は鉱業法、水洗炭は水洗炭業法によって、
紛争
についての
和解
の
仲介
やあっせんの
制度
が設けられておるのであります。しかし、これらの
制度
は、
公害紛争
の
処理
制度
として、個別に取り上げてみても、また、全体として見ても、幾つかの欠陥があるのであります。 まず第一に、
和解
の
仲介
やあっせんの
制度
は、
紛争
当事者
に対して、
行政
が話し合いの場を提供し、
和解
への消極的な誘導をするだけで、積極的な関与ができない仕組みであります。
公害紛争
の特質から考えて、公正な機関が、権限を持って、積極的に関与していく
調停
、
仲裁
等の方法が必要になるのであります。場合によっては、
公害
発生
源への
立ち入り検査
などできるようにして、科学的で公正な事案の
解決
を期することが必要なのであります。この点から考えても、
現行
の
和解
の
仲介制度
は、はなはだ微温的なものと言えるのであります。 第二に、
現行
の
処理
制度
は、
公害
の一部分についてカバーするだけであって、悪臭や日照妨害等については何ら触れていないのであります。
公害
の苦情、陳情の実態を見ましても、今後なお、産業の
発展
、社会
生活
の変化に応じて、この種の
公害
は増加することが予想されますので、これらの
公害
にかかわる
紛争
の
処理
も取り込んで、
制度
を
確立
する必要があるのであります。 なお、
発生
源がどのようなものであれ、統一的な
紛争
処理
制度
のもとで、これを
処理
するのが望ましいのでありまして、
国民
の健康を保護し、
生活環境
を保全することを第一義と考えるならば、自衛隊や外国軍隊の基地から発する
公害
についても、他の
公害
と同一の取り扱いをすべきことは当然であります。 第三に、
現行
の
公害紛争
の
処理
が、
公害
原因
の種類ごとに別々の
法律
により、別々の
処理
機関によって行なわれており、
制度
が複雑になっていることであります。このことが、
紛争
処理
制度
の効率的運用を妨げ、ひいては
紛争
の迅速な
解決
に
障害
を及ぼすことになるのであります。 第四に、
公害
や、
生活
妨害にかかわる日常の苦情相談の窓口の設置が法制化されていないことであります。
地方公共団体
が、それぞれくふうをこらして窓口を設けているところがございますが、必ずしも十分の体制とは申せないのであります。 以上述べたような、
現行
の
公害紛争処理制度
の欠陥を是正し、一元的かつ体系的な
紛争
処理
制度
を
確立
し、もって
公害紛争
の迅速、公正な
解決
をはかろうとするのが、本
法律案
の
提案
の
理由
であります。 次に、
法案
の要旨を申し上げます。 第一に、
紛争
処理
の
対象
は、
公害対策基本法
に定められた相当範囲にわたる六種類の
原因
によって生ずる
被害
にかかわる
紛争
とし、苦情
処理
の
対象
は、日常の
生活
妨害をも取り扱うものであります。いわゆる、
紛争
処理
の
対象
を典型
公害
的な事案を取り扱うこととし、苦情
処理
の
対象
は相隣
関係
に基づく
生活
妨害的な事案を取り扱うことといたします。 第二に、苦情
処理
については、
都道府県
または
政令
市に設置する苦情相談員が取り扱うこととし、
住民
の日常の
公害
苦情の
解決
のため相談、助言、指導、
調査
に当たることとします。 第三に、
公害
原因
が相当範囲にわたる
公害
の
紛争
処理
については、
中央
に設けられる
公害委員会
と
都道府県
に設けられる
公害審査会
が取り扱うことといたします。 そして、
中央
の
公害委員会
は一つの
都道府県
における
公害
の
発生
源が他の
都道府県
に
被害
を及ぼす場合や、高度の知識、
判断
を要する場合等の
紛争
を取り扱い、
地方
の
公害審査会
はその他の
紛争
処理
を取り扱うこととなっておるのであります。 第四に、
紛争
処理
の
内容
でありますが、
和解
の
仲介
、
調停
及び
仲裁
の三つの方法をとれるようにいたします。
調停
については、
調停
案の受諾の勧告ができるようにし、場合によっては
調停
案を公表し、
調停
不調の場合でも、事件の要点及び経過を公表することができることになっております。
仲裁
にあたっては、
仲裁
人は
関係
文書、物件の
提出
を求め、
立ち入り検査
ができることとなっているのであります。 第五に、
公害
審査機関は、
公害紛争
処理
のために
関係
行政
機関に対して必要な協力を求めることができるとともに、
紛争
処理
に関連して
意見
を述べることができることといたしております。 以上が、本
法案
の
提案
の
理由
並びに要旨でございます。 何とぞ、慎重
審議
の上、すみやかに御可決くださいますよう、お願い申し上げます。 次に、ただいま
議題
となりました
公害委員会
及び
都道府県公害審査会法案
について、
提案
の
理由
を御
説明
いたします。
わが国
においては、従来、
公害
行政
を統一的につかさどる機関が欠除しており、各省庁が既成の
行政
分野の中で、それぞれ、部分的に
公害
行政
を分割担当しているのでありまして、
関係
するところは十数省庁に及んでいる実情であります。そのために、
公害防止
の
施策
に統一性を欠き、体系的な
対策
の
確立
がおくれているのであります。わが
公明党
は、かねてから、これらの欠陥を指摘するとともに、強力な権限を有する
行政委員会
の設置を主張してきたのであります。 一方、
公害
の事後
処理
のための
行政
機関についても同様のことが言えるのであります。
公害紛争
処理
については、
紛争
発生
の
原因
、種類によって、これを取り扱う
法律
、
解決
の方法、
処理
機関が異なっております。たとえば、鉱山の鉱害にかかわる
紛争
は、鉱業法によって通産
局長
があっせんを行ない、一般の工場、事業場のばい煙にかかわる
紛争
は、
大気汚染防止法
によって
都道府県知事
が
和解
の
仲介
を行なうなど、
紛争
当事者
、特に、
被害者
にとって利用しにくい複雑な仕組みになっているのであります。 また、
公害
による
被害
の
救済
については、これを
法律
上の明確な権限を持って
処理
する機関もなく、現在は、国が便宜的に予算上の
措置
で、一部の
地域
の
公害
にかかわる
疾病
について、
医療
の
給付
を行なっているにすぎません。 わが党が
提出
している
公害
に係る
紛争等
の
処理
に関する
法律案
と
公害
に係る健康上の
被害
の
救済
に関する
法律案
は、以上のような
障害
を解消するために、具体的な方法を規定しようとするものでありますが、その前提として、
公害
にかかわる
紛争
処理
と
被害
の
救済
の事務を一元的に取り扱う機関として、
中央
には
公害委員会
を、
都道府県
には、
公害
にかかわる
紛争
処理
の事務を取り扱う機関として
都道府県
公害審査会
の設置を明定する必要があるのであります。 御
承知
のとおり、
公害
は科学的にも
法律
的にも複雑な性格を持っているのでありまして、これを
処理
するためには専門的機関が必要となるのであります。特に、
中央
に設置する
公害委員会
は、
紛争
処理
については准司法的機能を、
被害
の
救済
については判定機能を有することとなるのでありすすが、
裁定
、判定の公正を期するためには、高度の識見にささえられ、しかも、他の
行政
機関から制約されずに、独自の権限を行使する機関でなければなりません。この意味において、
中央
の公電
委員会
は、
国家行政組織法
の第三条に基づいて設置する機関とする必要があります。これに伴って、
公害委員会
の
委員
については、
公害
問題について高い識見を有する者のうちから、国会の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとするとともに、
委員
の
活動
を補佐するための事務局を設置することといたすのであります。 また、
地方
の
機構
については、各
都道府県
に
公害審査会
を必置することによって、
紛争
処理
についての態勢を常時整えておく必要があるのであります。 次に、この
法律案
の要旨を申し上げます。
国家行政組織法
第三条に基づいて、
総理府
の外局として、
公害委員会
を設置し、
公害
にかかわる健康上の
被害
の
救済
に関して、健康診断並びに
認定
患者
及び
認定
障害
者の
認定
の事務並びに
公害
にかかわる
紛争
の
処理
等に関する事務に当たらせること。
公害委員会
の
委員
は六名とし、
公害
問題に関し高い識見を有する者のうちから、国会の同意を得て、内閣総理大臣が任命すること。なお、
委員会
の議事及び
委員会
の行なう
公害
にかかわる
紛争
の
処理
に参与させるため、特別
委員
を置くこと。
公害委員会
に事務局を置くこと。
都道府県
に
都道府県
公害審査会
を設置し、
公害
にかかわる
紛争
の
処理
に当たらせること。
都道府県
公害審査会
の
委員
は四人とし、
公害
問題に関し識見を有する者のうちから、
都道府県知事
が任命すること。なお、特別
委員
を置くことができるのは、
公害委員会
の場合と同様であります。 この
法律
は、昭和四十四年六月一日から施行すること。 以上が、
公害委員会
及び
都道府県公害審査会法案
の
提案理由
並びに要旨であります。 何とぞ、慎重
審議
の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。 以上でございます。
赤路友藏
9
○
赤路委員長
以上で
提案理由
の
説明
は終わりました。 各案についての質疑は後日に譲ることといたします。 ――――◇―――――
赤路友藏
10
○
赤路委員長
産業公害対策
に関する件について
調査
を進めます。 質疑の
申し出
がありますので、これを許します。河上民雄君。
河上民雄
11
○河上
委員
ただいま
公害
に係る
被害救済
法案
と
公害紛争処理法案
につきまして、各党よりあるいは内閣より、いろいろ
提案
がなされたわけでございますけれども、顧みますと、一昨年
公害対策基本法
が制定され、また昨年
大気汚染防止法
、
騒音規制法
などいわゆる実施法が制定されまして、本日当
委員会
におきまして
被害者救済
法案
と
公害紛争処理法案
との
趣旨説明
がそれぞれなされたわけでございます。 つきまして、われわれとして考えなければなりませんことは、こういう
法案
の
内容
につきましてはいろいろ
意見
はございますけれども、ともかく
法律
が整備されてまいりますにつれて、一体
法律
を運営していく
公害
行政
の体制が十分できているだろうかという反省でございます。もし
公害
行政
が十分に充実していなくては、
法律
の効果も期し得ないのではないか、こんなふうに考えるのであります。 そこでひとつお伺いしたいのでありますけれども、こうした
法案
に伴って、
公害
行政
の
機構
の整備拡充がなされておるわけでございましょうが、それを運営しております
公害
行政
官といいますか、
公害
担当官の質的な面はどうなっているのだろうか、こういう点でございます。実情を見てみますと、各府県などでも、いわばしろうとの人がいきなり
公害
課長などに任命されて、
公害
課長はお忙しいというような形で、汗をふきふき、問題が起こるたびに飛び回っているというのが実情ではないかと思うのでございますが、
政府
は一体こういう問題についてどう感じておられるか、認識しておられるか、この点をお伺いしたいのであります。 実は先般、毎日新聞を拝見しておりましたら、
厚生大臣
が次のようなことを言っておられて、たいへんわれわれ心強く思ったのでありますけれども、特にこの点につきまして、
厚生大臣
から伺いたいのであります。
厚生大臣
は「真に
国民
のための
公害対策
を
確立
するには、この時点でこれまでの公審
対策
の欠点をきびしく反省するとともに、今後の
公害対策
に対して、社会的良識と科学的
合理性
をもって対処する方式を打立てなければならない。」こう言われておるのでありますけれども、まず事務当局に先立ちまして、
厚生大臣
より、
公害
担当官の質的な問題についてどうお感じになっておられるか、伺いたいと思います。
斎藤昇
12
○
斎藤国務大臣
まことにごもっともな御質問でございますが、
公害
行政
は
関係
するところ非常に広うございます。われわれ厚生省といたしましては、この
公害
が人間に及ぼす影響という点を主に
究明
をいたし、そしてそれに対する
対策
を考えていかなければなりません。それにつきましても、一体
公害
と一口に申しましても、御
承知
のように
公害
源がずいぶんと多種多様になっているわけでありますから、それらの
公害
源の
発生
することについての科学的技術的な知識も、厚生省
関係
の仕事をやる職員はある程度持っていなければならないというわけでございまして、根本的には、やはり人間の健康というものを中心にして考えるわけでございますから、そういった心がまえというものがまず肝要でございますが、それにいたしましても、いま申しますような科学的なあるいは技術的な、それは
医療
の面の知識も必要であれば、また産業技術的な知識も必要ということになるわけでございますので、したがって、一人でこれを兼ね備えるということはなかなか困難なことでございます。したがってある程度の、何といいますか、チームワークのとれた
組織
というものが必要になってくるだろう、かように考えます。厚生省
関係
は、先ほど申しますように人的
被害
、人間の健康ということを中心にして、そして産業に対処をするわけでございますので、そういう意味を主にいたしまして、そういった専門的な知識技能等を習得してもらった人に従事してもらうということが望ましいわけでございますので、そういった、短期ではありますが、講習等を、公衆衛生院ですか、私のほうの研究機関で、ここ三、四年以前からやっておりまして、これをさらに積み重ねてまいりたい。そしてまた他の分野において働いておられる人、またそういった知識経験を持たれた人もこの
組織
の中に入っていただいて、働いていただけるように、そういう心がまえで、府県あるいは
関係
市の
組織
の強化にみずからまた協力をいたして、強化をいたしてまいっているというのが今日の
現状
でございます。
河上民雄
13
○河上
委員
それではいま
厚生大臣
から一つの
姿勢
について伺ったわけですけれども、一体
中央
、
地方
を通じて、いわば
公害
担当官というものは何人ぐらいおるのか、またその中で科学的知識といいますか、そういうものを備えた者と、単なる
行政
官でそちらのほうへたまたま回された者との大まかな比率といいますか、そんなようなことにつきまして、事務当局から報告していただきたいと思います。
武藤琦一郎
14
○武藤(琦)
政府
委員
厚生省におきましては
公害
部というのがございますが、そこで
公害
担当職員は、現在定員上は二十人でございまして、実際上はもう少しいろいろ内部のやりくりをしてふえておりますが、その中でいわゆる技術的な職員といいますのは七人でございます。それから
地方
でございますが、
大気汚染防止法
のいわゆる立ち入り権限を有します
地方
自治体の
公害
職員、私どもが調べたところでは四百八十一名でございます。この中には、あるいは先生おっしゃいます技術的ないわゆる専門職員のほかの者も入っておろうかと思いますが、全体では四百八十一名でございます。
河上民雄
15
○河上
委員
それでは通産省
関係
はおわかりになりませんでしょうか。
矢島嗣郎
16
○矢島
政府
委員
通産省におきましては、御
承知
のように、私のほうの立地
公害
部に
公害
第一課と
公害
第二課と二つ課がありますほかに、昨年の暮れから特に
公害
調査
官というものを設けておるわけであります。そのもとにおきまして
公害
に従事する職員は、定員上は十七名でございますが、実際上やりくりいたしまして、それに若干名の人間を追加してやっておるわけでございます。 その中で質的な問題という御質問でございますが、通産省におきまして、通産省の
公害
行政
はいろいろな面がございますが、何と申しましても
産業公害
が中心でございますから、その
発生
源となる各産業の実態をよく知っている技術
関係
の職員を充てることが大事でございまして、絶えず各原局から
公害
にふさわしい技術職員をこちらに連れてきまして、それをもって担当させておるわけでございます。そういう意味における技術担当の者は、この十七名のうちの約八名ぐらいだと思います。そのぐらいの者が、いわば純粋な意味における技術職員だと思います。 次に、通産省におきましては
地方
通産局というものがございまして、通産局の中に、八通産局を通じまして用水
公害
課というものがございます。それは
公害関係
を担当する課でございますが、それを通じまして全通産局で三十六名ございます。この三十六名の中で、質的な問題についてはちょっといま手元の資料がございませんので申し上げられませんが、いずれにいたしましても本省と同じように、
発生
源となる産業の実態に詳しい者をできるだけそこに持ってくるというような方針でやっておる次第でございます。
河上民雄
17
○河上
委員
わかりました。 厚生省の武藤部長さん、これで十分だとお考えになっておられるのですか。ことしの予算要求でもわずか七名の
公害
担当員の増員さえ認められなかったというようなことがあるわけですが、もっと充実せねばいかぬというふうにお考えじゃないかと思うのですけれども、いかがでしょう。
武藤琦一郎
18
○武藤(琦)
政府
委員
先生御指摘の特に専門職員等の増員について、私どもはその
必要性
を痛感するのでございますが、いろいろ内部の応援を得まして、ただいま申し上げました七名のほかに、きょうあたりからまた二人ほどの応援を求める予定でございますし、さらに今後とも、現在の省内でのいろいろのやりくりをいたしまして、実質上の増員を行なうように、省内で現在調整中でございます。
河上民雄
19
○河上
委員
大臣にお伺いしますけれども、これはもう少し人員の面でもまた
内容
的にも充実しなければいけないのではないか、こう思うのでありますが、
厚生大臣
、ひとつこれは単に
精神
的な
姿勢
だけではなく、
公害
担当官の充実という点について、もう一段と御努力願いたいと思うのでございます。 なお、ついでに大臣にちょっと御所見を伺いたいのでありますが、先ほど厚生省
付属機関
として公衆衛生院があって、そこで
公害
専門家を養成しているというようなお話でございましたけれども、これをさらに一歩進んで、いわば
公害
研修所みたいなものをつくって、少し専門的に強化してみるという、そういう必要があるのではないかというふうに考えるのでございますが、大臣の御所見を伺いたいと思うのです。これは必ずしも本格的な専門家――これももちろん必要なんでありますけれども、
地方
自治体の実態を見ますと、ほんとに何もわからず、ただ任命されたからやっているという人が少なくないのでございまして、最低限のケミカルな知識、それから産業上の知識、
法律
上の知識、衛生上の知識、そういうようなものを一通り、ある
一定期間
に集中的に
中央
の
公害
研修所でスタッフに教え込んで、それを順次
地方公共団体
に還元していくというような仕組みを考えてみるべき時期に来ているのではないか、こんなふうに感ずるのでございますが、たとえそれが半年コースであっても、
公害
行政
の質的な向上に非常に役立つのではないかと私は思うのでございますが、大臣のお考えを承りたいと思います。
斎藤昇
20
○
斎藤国務大臣
ごもっともに存じます。ただいま国立の公衆衛生院でやっております養成訓練は、専攻課程と特別課程がございまして、専攻課程は一カ年間という
期間
で、いままでは人数が非常に少なかったのでありますが、本年は三十名で一カ年間訓練をする予定をいたしております。特別課程は一カ月で、これは五十名であります。それで、いまおっしゃいます趣旨は、いういった研修機関をもう少し強化をしてという御趣旨であろうと思います。私も御趣旨はごもっともに思いまするし、いまの公衆衛生院における養成訓練をそのままに強化をしていくか、さらに別のものをつくるか、十分検討をいたしてまいりたいと思いますが、いずれにいたしましても、これだけで十分とは思っておりません。 それから、われわれ
公害
行政
を担当いたしますものは、先ほど御
意見
にもありましたし、私も同様に、その質というものを考えるわけでございますが、厚生省は特にいろいろな技術専門家の方々を必要に応じて委嘱をし、動員といっては悪いのでございますが、そういう人たちのお力をずいぶんと借りているわけでございます。しかしそれにいたしましても、そういった研究班あるいは研究
組織
というものの、中軸ということばは適当かどうかわかりませんが、そういう方々に中核をなして働いていただかなければならぬわけでありますから、したがってそれにふさわしいだけの教養も身につけていなければならぬというわけでありますので、ますます
必要性
を感じるのでありますが、全部がそういう職員ということでなしに、今後さらに、野におられるそういう専門家のお力を借りてやっていく必要があるであろう。これはルーアィンワークではございませんが、そういう方面にもさらに今後拡大をしてまいって、野におられる学者、学識経験者の御
意見
を絶えず吸収しながらやってまいりたい、かように思っております。
河上民雄
21
○河上
委員
これは必ず予算を伴うことでございますので、ひとつ
厚生大臣
には、予算獲得の面でも一そう御奮闘願わなければならぬと思うのでございますが、しかしその先決問題としては、ものの考え方だと思うのでありまして、そういう
公害
担当官といいますか、そういう専門家ないしはそれに準ずる専門家といいますか、担当官といいますか、そういうようなものの養成に、
法律
の制定とあわせて一そうの努力をしていただきたい、私はこのことを切に訴えたいと思うのであります。 先ほどちょっと引用申し上げましたが、
厚生大臣
が毎日新聞の「公開論争」の中に寄稿しておられますけれども、そのシリーズの一つに、有名なロンドン大学の名誉教授のロブソン氏が
公害
問題について、イギリスの経験に根ざして、
日本
に対する一つのサゼスチョンをしているわけであります。それによりますと、世論というものがきわめて重要である。世論が破局を救ったということを強調しておられると同時に、
公害
査察員というものを設けまして、これに非常に強力な権限を与えた。また身分保障の点でもこれを優遇した、これが霧のロンドンといわれたあのロンドンを一変せしめるほどの
公害
行政
の実績をあげる一つのキーポイントであったということを強調しておるのでございます。それによりますと、「査察員はまる三年間、ボイラーの熱管理、また建築工学からネズミの習性にいたるまで高度の専門教育を受けた後、王室公衆衛生院からその資格をあたえられる。身分は自治体の公務員で、サラリーは年俸二百万円から四百万円と恵まれた地位にある。」というようなことを言っておるのでありますけれども、そういう人がイギリスでは全国で数千人おる。このくらいのことをしないと、
公害
というものは、幾ら
法律
をつくっても、実績はあがらないということを教授は強調しておられるのでございます。そういうような意味において、はなはだささやかな
提案
かもしれませんけれども、いままで厚生省の
付属機関
として細々ながら設けられておった公衆衛生院というものをより強化して、一方では専門家をつくると同時に、当面
公害
行政
の末端における担当官の質的な向上のために役立てる。この機関を拡大強化して
公害
研修所というような形にしていただくことができるならば、こうした方向への
解決
の一歩になるのじゃないか、こんなふうに思いますので、私はその点を強調し、お願いしたようなわけであります。
厚生大臣
から重ねて一言こういうような問題についての御決意を承って、この問題についての私の質問を終わって、次に移りたいと思います。
斎藤昇
22
○
斎藤国務大臣
河上さんのおっしゃいます
公害
研修員というような考え方にも私は同感でございます。その方向に、今日の
現状
とにらみ合わせて、できるだけ充実した
公害
担当官のできてまいりますように努力をいたしてまいりたい、かように考えます。
河上民雄
23
○河上
委員
次に私が取り上げたいと考えておりますのは、最近ようやく世間の関心を引いておりますところの産業廃棄物の
処理
の問題でございます。実はわが党におきましては、この問題こそ次の
公害対策
の焦点になるという立場で、すでにこの問題の研究を進めているようなわけでございます。いわゆる第三の
公害
というふうに呼んで、党
組織
をあげて、この問題に対する関心を高めているようなわけでありますけれども、従来、
公害対策
というのはとかくいわば後手後手と回っておりましたのに対しまして、今後は、そうした
対策
も必要ではありますけれども、予防的な性格を一そう強く、濃くしていかなければならないと考えているわけでありますが、そのうちの一つの大きな問題が、この産業廃棄物である、このように私どもは考えているようなわけであります。御
承知
のとおり昭和三十年以降十数年間、
日本
の工業は非常な成長を遂げてまいりましたが、それに伴いまして、この旺盛な生産
活動
の一つの新陳代謝現象としまして、大量の廃棄物が産出されておることは御
承知
のとおりであります。これの
処理
もしくは処分ということについて、
政府
はどのような認識または
対策
を持っておられるか、まず大臣の御答弁をいただきたいと思います。
斎藤昇
24
○
斎藤国務大臣
産業廃棄物の
処理
の問題は、いまおっしゃいますように、今後の非常に重大な問題になってくると思っております。したがいまして、早期にこれに対処する方策を考えてまいらなければならないと私は思っておるのでございます。たまたま同様の
意見
で、御
承知
のことと存じますが、
日本
都市
センターの中で清掃事業近代化研究
委員会
というものを設けられまして、それの御報告を先日拝見いたしました。その報告の中には、いまおっしゃいましたとおりの事柄に触れまして、相当の示唆に富む、そしてこれからの研究体制等にも触れた御報告を私も拝見いたしておりまして、非常に心強く思っておるわけでございますが、これからの産業廃棄物は、量だけでなしに質も、その廃棄のしかたいかんによっては非常に
公害
を
発生
するというわけでもありまするし、焼却するにしてもまた
公害
を
発生
するという面もございます。量もどんどんふえてまいるわけでございます。そういう意味から、これは手おくれにならないように、検討を加えて善処してまいらなければならぬ、かように思っているわけでございます。
河上民雄
25
○河上
委員
それではちょっとお伺いいたしますが、いま大臣が言及されました報告書は、たしか大阪府のものだと思いますけれども、
都市
廃棄物
処理
対策
研究会でございましょうか。
斎藤昇
26
○
斎藤国務大臣
おっしゃいますように、大阪府でもそういった検討をやられておりますが、私がただいま申し上げましたのは、
日本
都市
センターの中にできております清掃事業近代化研究
委員会
というところの報告でございまして、相当専門家も集められて、そして各種の産業廃棄物に対するいろいろな検討も重ねておられる貴重な報告だと私は思います。
河上民雄
27
○河上
委員
それでは、いまこの種の研究
調査
といいますか、そういうのは、いま大臣が言われました清掃事業近代化研究会ですか、それと大阪府でやっております
調査
と、そのほかに何かございましょうか、事務当局のほうでおわかりでございましたら……。
武藤琦一郎
28
○武藤(琦)
政府
委員
大阪でやっております問題につきましては、先ほど大臣からお話がありました報告書の中に織り込まれて報告が行なわれておると私は聞いております。そのほかに、愛知県それから神奈川県等で、独自に県自体のいろいろの問題を現在
調査
中であるというように聞いております。
河上民雄
29
○河上
委員
それでは
政府
の、厚生省あるいは通産省における独自な
調査
というものは、まだなされていないというふうに理解してよろしいのでございましょうか。
矢島嗣郎
30
○矢島
政府
委員
必ずしも先生の御質問に対して直接のお答えになるかどうかわかりませんけれども、通産省におきましては、産業廃棄物の問題についてはかねてから非常に関心を持っておりまして、何らかの
対策
を講じなければならぬということで、通産省の工業技術院の傘下の試験所にいろいろな研究をやらせておるわけでございます。この産業廃棄物の問題は、産業廃棄物の
処理
をいたしますと同時に、資源活用の
見地
から、さらにそこから有用物を回収するという観点も入れまして、そのための技術開発の研究をやっておるわけであります。要するに、一般に産業
公害防止
施設というのは、生産の向上なり合理化には
関係
ないということなんですけれども、産業廃棄物の場合については、そこから有用物を回収して幾らかでもそれが役に立つというようなことも必要だ、そういう観点で、工業技術院の傘下の試験研究所でいろいろの研究をやらせておるわけでございますが、二、三の例をあげますと、試験技術研究所、これは川口その他にございまして、近いのですぐごらんに入れることができると思いますが、資源技術試験所では、産業排水に関するいろいろな種類の
処理
技術を研究しておるわけですが、それを組み合わせた総合
処理
技術をやりまして、その際に有用物を回収するという実験を行なっておるわけでありまして、たとえば窯業の原料がそこから回収されるのではないかというような研究をやっております。それが第一。それから北海道におきましてはでん粉廃液というのが非常に問題で、北海道の各河川につきましては、でん粉廃液による
汚染
というものが大問題になっておりまして、いろいろなことをやっておるわけですが、このでん粉廃液につきましても、冷凍濃縮法ということによりまして、そこからたん白質を回収し、これを飼料などに使うということが考えられるのではないかということで、北海道工業開発試験所でそういう研究をやっております。それから第三番目の例としては、東京の工業試験所ではパルプ廃液から何かの有用物が出るのではないか、たとえば香料の原料になるバニリンというものがそこから出るのではないかというような研究をやっております。以上が二、三の例であります。
武藤琦一郎
31
○武藤(琦)
政府
委員
都市
センターで出されました報告書の作成につきましては、いま申しました大阪、愛知、神奈川その他いろいろの各
地方公共団体
、それからいろいろな専門家、それから
関係
各省もそれぞれいろいろのデータなり専門家を出しまして、実はこの報告書ができ上がったわけでございまして、形式的には
都市
センターの報告になっておりますけれども、これは
関係
各省総力をあげてこの報告書については協議いたしたわけでございます。厚生省といたしましては、現在この報告書につきまして事務的に検討を行なっておりまして、来年度からこの報告書の基本的な考え方に沿いまして、この産業廃棄物を含めました清掃事業近代化につきまして、ぜも早急に新しい
対策
を考えてまいりたい、かように考えております。その途中におきまして、本年度なるべく早い時期に、この考え方等につきましても、
生活環境
審議
会に諮問いたしまして、いろいろ御
意見
も伺いたい、かように考えております。
河上民雄
32
○河上
委員
いまのお話でございますと、
都市
センターの
調査
には、
政府
としては協力はしておる、しかし
政府
が主体となった
調査
はまだ行なわれていない、こういうふうに理解できると思うのであります。と同時に、近いうちに何とかしたいというようなお話でございますが、これは非常に大きな問題でありますし、また昭和三十年から四十二年までの十二年間に石油消費量その他あらゆる面における消費量が飛躍的に増大しておる。それに伴って当然産業の廃棄物あるいはいわゆる第三次産業、レストランとか、そういうようなものの廃棄物も当然飛躍的に増大しておると思うのでありまして、これらについて、ひとつ
政府
の
責任
において一日も早く実態を把握せられるように、ここでお約束いただきたいと思うのであります。大臣いかがでございましょう。
斎藤昇
33
○
斎藤国務大臣
もちろんこういうことは
政府
の
責任
だと思います。したがいしまて、産業
関係
省ともよく相談をいたしまして、手おれにならない対処の方法を考えてまいりたいと思います。
河上民雄
34
○河上
委員
それはひとつ事務当局も全力をあげて、
現状
並びに五年後、十年後の推計まで立てて、今後の
対策
の資料となるようにしていただきたいと思うのであります。 なお、ここでいわゆる産業廃棄物と申しました中に、いろいろの種類があることは御
承知
のとおりでございますが、
公害対策
の推進に伴いまして、
公害
防除設備の設置が義務づけられてくる。それに伴って、たとえば集じん機が取りつけられると、そこに集められた、集じん機によって捕集された粉じんの
処理
の問題というような、いわゆる第二次
公害
といわれるようなものが、これまた大きな問題になってくるのではないかと思うのであります。この点につきまして、先日当
委員会
におきまして、島本
委員
より注意が喚起されて、御質問があったわけでありますけれども、この集じん機の問題に関する実態について、二、三ちょっとお伺いしたいと思うのであります。 通産省では、この集じん装置をしておる工場の数、そしてその集じん装置をしている工場では、それに伴って起こる収集された粉じんの
処理
をどういうふうにしているかというようなことについて、どの程度実態を把握しておられるか、伺いたいと思います。
矢島嗣郎
35
○矢島
政府
委員
最初に御質問の集じん機には、電気式のもありますし、機械式のものもありますが、全国で幾つあるか、そういう御質問でありますが、申しわけないのですが、手元に資料がございませんので、後ほど御報告したいと思いますが、一体こういう集じん機によって捕集された粉じんは、いろいろな方法で
処理
いたしておるわけでございますが、主として電力会社等――電力会社は石炭火力が従来から相当ありますが、そういうようなものについては、相当な粉じんが集じん機にかかってくるわけでございますが、電力に関しては、全部これをフライアッシュということで、セメントの混和剤に使っておりまして、その量は四十一年度において八十万トンに達しておるというような状況でございます。これが大体電気を中心とする大口の粉じんの
処理
でございます。それから製鉄所につきましては、その粉じんと申しましても、中身がいろいろ違うわけでございまして、製鉄所の焼結炉あるいは転炉から捕集された粉じんには、大体鉄が相当まだ入っておるわけです。製鉄所におきましては、ほぼ全量を製鉄原料として還元して、また高炉に入れる、こういう
処理
を行なっております。そういうように大きいところの電力とか鉄鋼に関しましては、全部
処理
いたしており、問題がないわけですが、問題は中以下のボイラー等における集じん機でございまして、そういうものは、一般的には埋め立て地あるいは廃止された坑道等に廃棄するというのが実情であるそうでございます。
河上民雄
36
○河上
委員
いま通産省では、集じん機をつけるように
法律
などで義務づけておりながら、またそれを監督する立場にあるわけですけれども、実際にどれだけつけたかわからぬというようなお話でございますが、私はここで、手元に持っております、これは非常に
地域
的な部分的な資料でございますが、ちょっと御紹介したいと思うのであります。そしてそれによって、これの実情の一端というものを、ともに考えてみなければならないと思っております。たとえば、旧ばい煙規制法に伴う
指定地域
であります神戸市、尼崎市、西宮市、伊丹市、姫路市、明石市、加古川市、高砂市及び播磨町における、同法の規制
対象
工場についての
調査
によれば、次のとおりになっておるのであります。総工場数が三百九十九、大工揚が――これは大というのはどういう意味かわからないのですが、大工揚が二百三十五、中小工場が百六十四であります。そのうち集じん装置を設置しております工場数が三十六、うち大工場が三十で、中小工場が六であります。集じん装置設置数、つまり集じん機の数でございますが、これが百八設置されておりまして、うち大工場は電気集じん装置が十七で、その他が八十、中小工場その他が十一となっております。したがってその比率を考えてみますと、集じん装置を設置しております工場数の総工場数に対する比率は、大中小込みにいたしましてでありますけれども、九%であります。また総集じん装置設置数で考えてみますと二七%、こういうようなことになりまして、その他については省略いたしますが、大体こういう数字であります。問題は、この集じん装置が設置されております工場において、収集された粉じんがどう
処理
されておるかということについては、必ずしも明らかでございません。なお調べてまいりますると、神戸の場合は、あそこは埋め立て事業が非常に盛んでございますので、埋め立てに使っているということが多いというふうに称しております。いわゆる神戸製鋼所が量的には神戸市の全体の七〇%を占めて、少なくとも神戸製鋼所では、粉じんをアスファルトにまでて
処理
するものと、それから埋め立てに使ってしまうものとに大体分けられるようであります。これは神戸製鋼所に直接当たったわけじゃございませんので、必ずしも正確ではないのでありますけれども、その他の、つまり残りの三〇%については全然掌握されておらない、こういうような実情でありまして、一体こういう集じん機に限って考えましても、それによって収集されました粉じんの
処理
という問題がかなり大きな問題であるということがわかると思うのであります。したがって、これは一日も早くこういう問題について通産省で実態を把握せられて、これに伴う指導をしていただかなければならないと思うのであります。御
承知
のとおり、神岡鉱業所のあの神通川の
イタイイタイ病
も、当時はほとんど無価値と考えられていたカドミウムを含む廃物をただ露天に捨ててあった、それが大きな雨があるたびに流れて、そしてあのような悲惨な事態を招いているわけであります。したがって、いいかげんに投棄せられるというような場合、それは将来非常に大きな新たな
公害病
を起こす可能性もあると思うのでありまして、一日も早くこの点をお願いしたいと思うのであります。つきましては、これはぜひ早急に何かの方法を講じていただきたい、こう思うのであります。 なお一つ例をあげますと、東京近辺の例でございますが、実はこういう粉じんを集めて、それを、先ほどお話のありましたように、再生して有用な物質を生産しております工場が千葉にありまして、そこが実際の業務をやっておるわけですが、そこでの統計によりますと、東京近辺の十数の工場から粉じんを安く買ってきまして、そしてそれを再生してまた売っているわけですけれども、大体平均して千四百トンぐらいの粉じんが回収されて、そしてそれを工場に持ってきて、それを新しい技術を開発することによって粗酸化亜鉛というものをつくっているわけなんであります。一工場が粒々辛苦して、ようやっと
企業
化しているわけでありますけれども、こういうようなことをやっているところもあるわけであります。その一
企業
が扱っているだけでも、東京近辺で千四百トンぐらい月間あるということを考えますと、相当これは大きな問題じゃないか、こんなふうに思うのです。ひとつ
政府
でもう一度、単にまだ調べていないというだけでなく、もう少し積極的なお答えをいただきたいと思うのであります。
矢島嗣郎
37
○矢島
政府
委員
先ほど私申し上げましたのは、電気集じん機の設置数が全国的にどれだけになるというのは、たまたま本日手元に資料を持っていなかったわけでございまして、おそらく役所に帰ればしかるべき資料があると思います。ただ、それから集じん機によってできた粉じんをどういうふうに
処理
しているかという点につきましては、先ほど私が御
説明
した電力等の大きいところと、それから鉄を特に回収することに興味を有する製鉄所につきましては実態がわかっているわけですが、それ以外のものにつきましては、埋め立て地に埋め立てるということと、それから廃止された坑道等に廃棄するという一般的なことしかわかっていないという点で、この点は先生御指摘のとおり、実態の
究明
が十分でないわけでございます。さらにそういうふうに埋め立て地に入れたものがいわゆる次の新たなる
公害
を起こす可能性があるかどうかという点の研究に至っては、これはまだやっていないので、この点は遺憾な点がありますので、今後そういう一般中小の工場の集じん機から出た粉じんが、埋め立て地等にどういうふうに
処理
されて、それがさらにどういうような悪い効果をもたらす可能性があるかという点につきましては、早急に実態を把握して、必要な
措置
が講ぜられるものは講ずるように指導してまいりたいと思っております。 それから、千葉県でそういう粉じんを回収して粗酸化亜鉛をつくっているという工場の問題につきましては、私どもも十分実態を
承知
しておりまして、それにつきましては、必要に応じてさらにお答えいたす用意がございます。
河上民雄
38
○河上
委員
それではひとつ、これはなかなか手数のかかる仕事だと思いますので、さっそく
調査
にかかっていただきたいと思うのであります。ひとつよろしくお願いいたします。 ここで私一つ疑問になりますのは、こういういろいろの廃物、産業廃棄物あるいは
都市
生活
に伴ういろいろな廃物、それから
都市
再開発が盛んに行なわれるに伴いまして、瓦れきなどがたくさん出る、そういうものの廃物、それから先ほど申しましたように、消費
生活
が高まるに伴って、第三次産業といわれるものから出てくる廃物の量がふえるわけでありますが、こういうものの
処理
というものは一体どういう
法律
によって行なわれるべきものであるのか。たとえば清掃法というのがありますが、これではたしてできるのかあるいはできないものなのか、それとも、やるべきものをやっていないのか、その点について伺いたいのであります。たとえば清掃法の第三条では「この
法律
で「汚物」とは、ごみ、燃えがら、汚でい、ふん尿及び犬、ねこ、ねずみ等の死体をいう。」こうなっております。「犬、ねこ、ねずみ等の死体」はけっこうですけれども、その前の「ごみ、燃えがら、汚でい」このあたりはかなり産業廃棄物とかその他いま問題になっております広い意味の産業廃棄物の範疇に入ってくるのではないかと思うのであります。一体これは従来どういうふうにしておったのか。特にこの第二条によりますと、こういう清掃というのは、やはり市町村、
都道府県
あるいは国の
責任
であるということはかなり明記されておりますし、御
承知
のとおり、憲法の中でも、清掃事業というものは国の
責任
ということになっておるわけなんです。一体この
法律
的な
関係
はいままでどうなっておったのか、それを明らかにしていただきたい。
武藤琦一郎
39
○武藤(琦)
政府
委員
御指摘の問題につきましては、清掃法の七条、八条で
処理
される仕組みになっております。七条によりますと、多量の汚物を出すものに対しては、市町村長は、市町村長の
指定
する場所に運搬し、または処分すべきことを命ずることができるという規定がございます。それから特殊の汚物の
処理
につきましては、第八条で、汚物を生ずるものの経営者等に対しまして、
指定
する場所に運搬または処分すべきことを命ずることができるということで、一応
法律
上の
制度
としては仕組みがあるわけでございますが、実態上は、この
法律
上の問題とは別のいろいろな問題を生じていることが実情でございます。
河上民雄
40
○河上
委員
それでは、確認のために申し上げますけれども、清掃法以外にこれをやる
法律
的な手がかりというものはないというように理解してよろしいわけですか。
武藤琦一郎
41
○武藤(琦)
政府
委員
処理
そのものにつきましてはやはり清掃法だけでございますが、そのほか、いろいろ埋め立てに関します
法律等
で、関連法規としては関与する問題がございます。
河上民雄
42
○河上
委員
それでは、私に与えられました時間がもう間もなく参りますので、簡単に私の申したいことを結論づけて、質問を終わりたいと思います。 私がこの際
政府
当局に強く申し上げたいことの第一は、産業廃棄物、これに関する全国的な
調査
を早急に行なっていただきたいということ。第二は、こうした
処理
というものは、実際に非常に技術的にむずかしい問題がたくさんあるわけで、
処理
技術の開発について、
政府
はもっと前向きの
姿勢
で臨んでほしいということ。先ほどちょっと申し上げましたように、民間で若い技術者が
処理
技術の開発に非常に努力をいたしておりまして、そういうことについて、
政府
として当然あとう限りの援助を与えるべきではないか。また、
日本
石油協会あたりではプラスチックの
公害
についての研究をしているというような話もありますし、そういうような各方面の研究、
調査
とも提携して、この問題について総合的に体制を組んでいただきたい。第三といたしましては、産業廃棄物といいますか、広い意味の産業廃棄物の
処理
体制の
確立
を急いでいただきたいということであります。聞くところによりますと、これはアメリカでも非常に頭を悩ましているようでございまして、これは全国的に行なわれているかどうかは存じませんけれども、アメリカの例で申しますと、
企業
が自治体の経営する
処理
場へ運びまして、そしてある程度の手数料を払って
処理
をしているというようなことも聞いておりますが、何か国と
地方
自治体とそして
企業
との三者の
関係
において、
処理
体制というものを
確立
していただきたい、こういうように考えるのであります。 以上簡単でございますけれども、この三つの点について、ひとつこれを出発点として、本格的に取り組んでいただきたいと思うのであります。大臣はじめ
政府
の御答弁をいただきたいと思います。
斎藤昇
43
○
斎藤国務大臣
全国的な
調査
、それから
処理
技術の開発、それからまた
処理
をするについての法体系、いずれも根幹の問題だと存じます。御
意見
を十分尊重いたしまして、そういう方向に進んでまいりたいと思っております。
処理
技術の開発につきましても、技術開発というような面からこれは格段に進めてまいらなければならないと思っておりますので、できるだけ御趣旨に沿うようにいたしてまいりたいと思っております。
藤尾正行
44
○藤尾
政府
委員
通産省といたしましても、仰せごもっともでございますので、仰せの御趣旨に沿いまして、できるだけの努力をいたしたいと思っております。
河上民雄
45
○河上
委員
それでは、私の質問をこれで終わります。
赤路友藏
46
○
赤路委員長
ちょっと気になったので、私のほうからひとつ参考に聞きますが、河上君がいま言っておった産業廃棄物の中に、毒物、劇物の取り締まり法の適用を受けるような廃棄物はありますか。
藤尾正行
47
○藤尾
政府
委員
私ども考えましても、たとえばこれから原子力発電というようなものがどんどんと採用されてまいる、こういうことになってまいりますと、原子燃料の廃棄物というものは完全に毒物であり、有害物である。こういったものに対しまして、どのようにこれをハンドリングしていくか、たいへんな問題だと思います。一朝一夕にできる問題じゃございません。こういった問題に対しましては、
世界
的な問題でありまするので、各国とも協調いたしまして、どのように
処理
をしていったらいいか、十二分に考えていかなければならないと思います。
武藤琦一郎
48
○武藤(琦)
政府
委員
毒物、劇物の扱いにつきましては、
法律
によりまして、厳重にその廃棄その他の
処理
について規制されているところでございますので、その
基準
に従いまして、これは
処理
さるべき問題だと思います。ただ一応廃棄物でございますので、
処理
体系としては、全体の産業廃棄物の
処理
体系の中で、そういう問題も含めて総合的にやる必要がある。
法律
的には、非常に危険な問題でございますので、この点は十分考えなくてはいけない、こういうことだと思います。
赤路友藏
49
○
赤路委員長
島本虎三君。
島本虎三
50
○島本
委員
おもにこれは
経済
企画庁にお伺いしますが、その前に、せっかくいい結論がいま出たわけでございまして、かねて今後の
公害
の問題等につきましては、いわゆる第二次の廃棄物に対していろいろな疑念がありましたが、いま河上
委員
によってその一端は開かれたわけであります。その中で、特に大臣と通産政務次官がそろっておりますから、ひとつ私からも強く要請しておきたいと思います。 それは、新国土総合開発計画の第四次案なるものができ、もうすでに討議されておりまして、通産省の強力な意向や厚生省の意向なんかをいれて、いわゆる重工業地帯と目される太平洋ベルト地帯並びに各
地域
開発の拠点、こういうようなところに
公害
の
対策
が盛り込まれるようになりました。しかし幾ら盛り込まれても、現在の太平洋ベルト地帯といわれる東京を中心にして名古屋、大阪、広島から九州の福岡まで、この間の今後のいわば開発の計画そのものによりますと、第二次の廃棄物の
対策
をまずやるのでなければ、四十年を
基準
年度として六十年を達成年度として行なわれるこの工業の開発に追いついていけない、こういうようなことになってしまうわけであります。せっかく河上
委員
がいま指摘されましたが、千葉県にたった一つしか――ばいじんの集じん機によるところの粗酸化亜鉛、この第二次の加工をするための工場が一つしかない。ばい焼を集めて集じん機にかける、そのばい煙を集めて再びこれを優秀なる資源にし、資料にして、これをたたき上げていこう、こういうような計画ですが、これは通産省で大いに奨励してやらなければなりませんし、これが
公害
防除の一端になるとするならば、当然厚生省あたりではもろ手をあげてこれに賛成をしていかなければならないし、一カ所くらいでどうなります。おそらく東京に何カ所か必要でしょう、そういうような施設は。大
企業
に対してこれは義務づけてもいいし、また
公害防止事業団
あたりに積極的にこの問題と取り組ましてもいいじゃありませんか。大阪、神戸まだこれは
四日市
方面にはない。これではいけません。まして今後広島、北九州、この方面にもやるとしたならば、いかなる方法でこういうような
企業
を導入するか、こういうようなことも考えてやって、資金的な援助――これは大
企業
であるならば直接やれるでしょう。中小
企業
である場合には、これをいかなる方法によってやるか指導してもいいじゃありませんか。まあ残された問題は多いと思います。そういうような問題を含めて、
公害
事前防止の問題を含めて、今後これはひとつ取り組んでもらいたい、こういうふうに思うわけなんです。あらためて大臣、次官の決意のほどを承って、次に移りたいと思います。いまのような構想はいかがでしよう。
斎藤昇
51
○
斎藤国務大臣
構想としましては、まことにごもっともな構想だと存じます。そういうことも十分考慮に入れまして、善処をしていきたいと思います。
藤尾正行
52
○藤尾
政府
委員
まことに島本先生の仰せのとおりでございまして、ただ御案内のとおり、この
公害
問題といいますものが、不幸でございまするけれども、取り上げられましてこれに対処いたしまする
政府
の
措置
も、着手いたしましたことはごく最近のことでございます。まことに残念なことでございますけれども、事実は事実として認めていかなければならぬと思います。したがいまして、今後ともこういった一つの、一歩を踏み出したということを意義づけますために、先生仰せのとおり、各拠点におきまして、もっともっと充実をいたしました
対策
をとっていかなければならぬ、かように考えております。
島本虎三
53
○島本
委員
心からこれを期待します。ことに藤尾政務次官は、自動車の排気ガスの問題に対してはなかなか優秀なる発言をなさいまして、それが一つの今後の明るい見通しを立てた原動力にもなったことを、ここにもう一回思い起こしまして、ひとつ次官、いま言ったような重大な問題に対して、今後また取り組んでもらいたいと申し添えて、次に移らしていただきます。 次は
水質
の問題に入りますが、そのものずばりとまいります。本年の三月十八日に、北海道の網走川の
水質
基準
、これに関する答申ができ上がった、こういうふうに聞いておりますが、その後の経過はどうなっておりますか。
八塚陽介
54
○八塚
政府
委員
いまお話がございましたように、網走川の
水質
基準
につきましては一応三月十八日に
水質
審議
会の御答申をいただいたわけでございます。それまで三回にわたりまして約半年の間に、部会をやり、あるいは現地部会等も開催をしてまいりましたのが、結果におきまして、三月十八日そういうふうにまとまったわけでございます。ただ
水質
基準
の段取りといたしまして、当然に、それから地元
都道府県知事
の
意見
を伺わなければならないことになっておりますことは御
承知
のとおりでございますが、その
水質
審議
会の前日ないし当日におきまして、道庁のほうから、何がしかあらかじめの
意見
というようなことがございまして、ただいまは道庁のほうの
意見
の調整を待っておるという段階でございます。
島本虎三
55
○島本
委員
特に
厚生大臣
にもこの質問は関連ありますから、よく聞いておいてもらいたい、このことをお願いしておきます。 この
調査
に当たったのはどういう機関ですか。
八塚陽介
56
○八塚
政府
委員
調査
に当たりましたのは、当然に私どものほうの係も参っております。それから、道に委託をいたしまして
調査
をいたしたわけでございます。なお、部会はまた特別に
水質
審議
会で任命をいたしまして、それを
判断
していただいたということになっております。
島本虎三
57
○島本
委員
これはどういう機関に委任いたしましたか。
八塚陽介
58
○八塚
政府
委員
私どものほうは、道に当然
公害
の担当課がございますから、そこを通じて、道におきましては衛生研究所に委託されたように聞いております。
島本虎三
59
○島本
委員
その以前には、網走の水産試験場に委託し、いろいろと
調査
を進めてきたという経過はございませんか。
八塚陽介
60
○八塚
政府
委員
企画庁からは、網走川につきまして、水産試験場に委託をしたというふうなことはなかったというふうに存じております。
島本虎三
61
○島本
委員
今度出た
水質
基準
によると、地元では重大な関心を持って、こういう
基準
ならつくらないでほしいという運動がいま起こっている。このことを御存じですか。
八塚陽介
62
○八塚
政府
委員
私どものほうに対しましても、地元の漁業
関係
者のほうから、水産試験場のほうのデータをもとにして、そういうお話があることを存じております。一方、先ほどちょっと申し上げましたが、道の
意見
もまだ形式的に正式に聞いていないのですが、いろいろ調整をいたしておりますということを申し上げましたが、いわゆる工場側においては逆の意味で、
水質
審議
会において当方が得ました答申ではきつ過ぎるというような
意見
も、一方ではあるわけでございます。
島本虎三
63
○島本
委員
あなたのほうでは、工場側の
意見
やそういうようなものによって左右されるような、そういうようなデータを出すべきじゃないということは御存じだと思います。いま工場側のほうから、きつ過ぎると言ってきている。これは通産省だって前に何回も、
大気
の
基準
をきめる場合でも、または
水質
の問題なんかでも、そういうような問題が起きている。そういうようなものがいまの
公害
発生
源になって、いろいろな問題を惹起していることは御存じのとおりなんです。同じ水産物に関する問題でも、網走の水産試験場の
調査
と道立の衛生研究所にかかった
調査
と、両方とも北海道の機関なんです。北海道の機関が別々な結論を出している。これもそれぞれの優秀なるデータなんです。従来、一〇〇PPM、この
水質
基準
で答申して、今度の場合は平均一四〇PPM、最大一七〇PPM、本年の二月の
調査
で一六三PPM、答申は平均が二六〇PPMでよろしいし、最高が三一〇PPM以下であればよろしい、こういうようなデータのようです。これはあくまでもサケ・マス、この養殖場です。三PPM以下になるのが望ましい、こういうことなんですが、それが排水口のほうでもうすでにいままで一〇〇PPM、以下の数値でもすでに最低三一・六PPMを示している。これも水産試験場のデータではっきりしているのに、今度は何ですか。一四〇から一七〇にしたら、結局あとはどうなると思います。おそらく四五・五PPMくらいになってしまう。こういうようなことになってしまった場合には、とんでもないことになってしまうではありませんか。サケ・マスのいろいろな
基準
も、いままでは生物化学的酸素要求量、こういうようなことからしても、浮遊物の物質の量からしても、これは三PPM以下が望ましい、浮遊物の場合は一〇PPM以下が望ましい、こういうようにはっきりもうデータが示されておる。しかしながら、今度の網走川の
水質
に関する
基準
として示されたものによると、みんなこれを上回る結果になってしまう。それもまた衛生研究所から出されたというのです、
厚生大臣
。水産試験場から出されたものは数値が若干これより上回っても、大体間違いのないような数値。今度の衛生研究所から出された数値によると、全然サケ・マスの養殖の役に立たない。こういうようなものを
基準
として出す。これも業者側からの強い要望がある、とんでもないじゃありませんか。私はこれは理解できないが、これを出したという根拠と、この衛生研究所並びに網走の水産試験場のそれぞれのデータが出ていると思いますが、これを対比し、どちらのほうが正しいと思いますか。
八塚陽介
64
○八塚
政府
委員
先ほど私、少し舌足らずの点がございましたが、従来道において、いま当方が非公式に
意見
を聞いております過程で、そういう問題があるということを申し上げただけでございまして、もちろん私どもが
水質
基準
をかけます場合には、そもそも重要な
目的
であります水産とその他の産業との調和、サケ・マスの非常にりっぱなふ化の場所でございますから、その
目的
を無視した
水質
基準
をかけるということは、私どものほうで当初から意図していないわけでございます。ただ、いまお話しになりました水産試験場のデータ、これにつきましては、実は私ども最近に知ったわけでございます。そのデータからずっと推論をしてまいりますと、確かに先生のおっしゃるようなサケ・マスのふ化の場所としての
水質
基準
については、問題があるわけでございますが、ただそのデータ自体については、当方から委託をいたしました衛生研究所のデータ等とかなり食い違っておりますので、現在そのデータの食い違いの技術的な
理由
について
究明
をいたしております。結論的に申しますと、私どもは、いま申し上げましたように、あの川を
水質
基準
をかけるということは、そもそも鮭鱒のふ化のために、ある程度の
水質
基準
を与えなければなりませんから、その
目的
に合うように技術的にやるべき当然の義務がございます。そういう意味において、私どもは十分その食い違いについては技術的に
究明
をいたして、さらにその
目的
に合うような
水質
基準
をつくり上げたいというふうに考えております。
島本虎三
65
○島本
委員
それならばよろしゅうございますが、そうすると、できてもこれはすぐ告示してはならない、もっと道のほうへよく確かめた上でないとこれはだめだということになりますが、いまこれをやったらとんでもないことになると思いますが、この点いかがですか。
八塚陽介
66
○八塚
政府
委員
通常の場合でございますと、
水質
審議
会にかけます前に、もちろん
関係
各省の御了解を得、かつ地元
都道府県知事
の大体の感触を伺った上で、ほぼ固まったところで答申を得るわけでございますが、先ほど申し上げましたように、この件につきましては、ただいまのような地元の要望もございますし、道のほうにおいても、同じ道の
関係
の機関が別の数字を出しておるというようなこともございますから、当然十分に道のほうとよく調整をいたしました上で、他の場合のように、いわば答申を得たらすぐ地元の知事の承認を得てすぐかけるということではなしに、十分に道と調整をいたしてからやりたいというふうに考えております。
島本虎三
67
○島本
委員
生物の酸素の必要量、これはBODですか、いわゆる数値が高いほどきたないことになる、こういうふうにわれわれ理解しておりますけれども、四十一年一月三十一日に、この工場の排水出口の
調査
によって、これはもうこの程度だと示されたBOD、この数値がまた全然違っておる。水産試験場では一八一PPMというのに、衛生研究所では三五三PPM、二倍じゃありませんか。四十二年十二月十三日、水産試験場では九七・五PPM、こう出したその出口が衛生研究所では二六〇PPM、これまた数字がけた違いじゃありませんか。四十三年一月十七日、水産試験場では一五八PPM、こう出したのを衛生研究所では三四四PPM、こういうふうにはっきり出しておるようです。私どもこういうふうにして見ますと、今後の一つの
対策
として十分考えておいてもらわなければならないのは、これはもうそれぞれのいままでの答弁でわかりましたけれども、両者の食い違いのままでこれは告示しないということはわかりましたから、十分調べていただいて、網走川に関してはサケ・マスのふ化の
関係
もあり、日ソ漁業条約の義務を履行しなければならない
日本
の立場もある、こういうようなことからして、三PPM以下になるようにこれは指導するのが正しいと思います。この点だけは十分お考えおき願わなければなりません。 それと、いろいろ他に
理由
もあるでしょう。でん粉並びにパルプその他のいろいろな工場、この排水をどうしても流さなければならないというようなこともあるようですが、その方面に対しては、農林省なり厚生省なり通産省なり、もっと指導してもいいと思うのです。流さなければならないからということで許しておいて、サケ・マスの場合なんか、こういう住めないような、全部死ぬような状態にさしておくことは、これはもう国際的にも
日本
の恥だ、こういうふうにいわざるを得ないと思うのです。これはビート、でん粉、パルプ、それからガス工場もある場所ですから、十分それを考えて、いわゆる
公害
物質の排出については、今後通産省も農林省も厚生省も大いに考えてやらないといけない、こういうように私ども思うわけなんです。そうして、ことにBOD三PPM以下が望ましい。五になるとこれは危険である。一〇になるともう問題でない。サケが上がる秋口、水の量が多くとも、これは五PPM以上には絶対してはならない、こういうような状態なんです。いまのこの
調査
によると、全然この
基準
を上回ります。この数値によるデータを見ましても、これはとうてい納得できない、今後の水産資源培養という立場からしても。この問題は、
水質
基準
の決定が現在だいぶ混乱を起こしておりますから、ひとつ十分考えて対処してもらいたい、こういうように思います。
八塚陽介
68
○八塚
政府
委員
私どもは
一定
のルールに基づきました
調査
をやはり基本に考えたいと思いますけれども、現実に違う数字が出まして、そしてそれが問題になるとすれば、これは先ほど来申し上げましたように、当然技術的に十分
究明
した上でやらなければならないというふうに考えております。 なお、その地点につきましては、網走市内と申しますか、網走の河口に比較的近いところのいろいろな家庭下水その他のものは、川へ放流しないで――それは道庁の指導でございますが、もう少し遠くの海のほうへ出すというような
行政
指導をやる。同時に、今回問題になっておりますのは、
日本
甜菜糖あるいはクレードル食品あるいは雪印乳業等、偶然と申しますかあるいは立地
条件
のしからしめるところでありますか、これはいずれも農林省所管物資でございます。農林省におきましても、やはりてん菜糖等に対しては、この
基準
がいま問題になってはおるわけでございますが、私どもの考えました
基準
をかけるにいたしましても、相当程度の
企業
の設備をやらせるというふうなたてまえになっております。 なお、だんだん御指摘がございましたので、できるだけ、今後ともその点については各省の御協力を得まして、
水質
基準
の保持につとめたいと思います。
島本虎三
69
○島本
委員
そうして冬の
期間
を設定して、冬の間はわりあいに手を抜いて、まあきたない水を流してもよろしいという指導をしておるようです。なぜかというと、網走川からまっすぐ海へ流れるからだというような指導をしておられますが、全然違います。網走湖に入って、あの中に滞留するのです。この中でもいろいろな漁業を営んでいるのです。全然違う考えです。こういう考えではいけません。まっすぐなんて出ません。その悪い水、いわゆるきたない水は、そのまま網走湖にたまって、その中にいる魚介類を全部死滅さしてしまいますから、この考え方はどうも甘いようです。これではだめです。これはそういうことだということを知っておいてもらえば答弁要りません。――では答弁を承りましょう。
八塚陽介
70
○八塚
政府
委員
私は、正直に申しまして技術のほうには暗いわけでございますが、ただ、いま御指摘になりました網走湖におけるいわば停滞という問題は、やはり当然問題になります。したがいまして、冬季間、一、二月の間、比較的工場等は操業をやめますし、それからサケ・マス等についてはやや遡上の時期でない時期も、やはり他の場所よりも網走湖の特性を考えて、
水質
基準
の設定をしたいというふうに考えておるわけでございます。あるいは十分であるかないか、いろいろ御批判はあるかと思いますが、御指摘の網走湖の停滞という問題については、私どもも十分留意しなければならないというふうに考えております。
島本虎三
71
○島本
委員
網走湖の場合には、そういうふうにして同じ北海道の機関が二つそれぞれ別なデータを出したので問題になりましたが、同じサケ・マスの遡上する川に常呂川があるのです。この常呂川の場合には、もうはっきり一つのデータによってやっております。昭和三十九年七月一日に告示しております。そうして製糖工場のBODは、これはもう日間平均二二〇以下、最大一五〇、それからでん粉工場は一〇〇以下、最大一二〇、パルプ工場は三〇〇以下、最大三五〇PPM、こういうふうにしてはっきり示しておるのですが、それの示されたあと、
水質
基準
がきまったら、きまる以前よりももっと水が悪くなった、こういうような事態が
発生
しているのです。
調査
機関は一つです。データも一つです。これは一体どういうことですか。これは現在、きまる前のほうがよかった。きまったあとでは、それまではいいんだということで、じゃんじゃん水を流して、いまはもうきまる以前よりも悪くなった、こういうようなことで、漁民は恐慌を来たしております。これは、きわめて悪くなったというんでは話にならぬじゃないですか、常呂川は。
八塚陽介
72
○八塚
政府
委員
常呂川は、昭和三十九年に
水質
基準
を設定いたしまして、先ほど先生がお述べになりました
基準
になっておるわけであります。四十年の七月から適用をいたしております。私どものほうでも、その他の
指定
水域についても同様でございますが、やはりその後のアフターケアということをやらなければならないということで、常呂川につきましても、特にサケ・マスの遡上期の時期に着目いたしまして、四十年、四十一年、四十二年というふうに、北海道庁に委託をして
調査
をしてまいりました。
基準
地点で三PPMというのが守られておるかどうかということでございますが、四十年は四・三PPM、四十一年は三・六PPMというようなことで、必ずしも著しくその川が
基準
よりよごれておるということは見受けられませんけれども、いずれも若干は上回っているような状況でございます。ただ、その
原因
は何かということでございますが、私どものほうでは、そのかけました工場自体は排出
基準
を守っておるわけでございますけれども、なおその他の、あの地帯のいわば人口の急増あるいは若干工場もふえたかと存じますが、そういうことで、全体としてよごれてきた。特定の排出
基準
をかけました工場が
基準
以上によごしておるということは、あまり見受けられないのでございますが、やはり北見市を中心にしたいわば
都市化
の
関係
で、こういうことになったのではないかというふうに考えております。したがいまして、私どもといたしましては、もう一ぺん
基準
の改定をしてみる必要があるのではないかということも考えております。おそらく、いまちょっと触れましたが、一つの
原因
と考えられます
都市
下水というようなものをどうするか。そうすると、それについては、やはり地元のほうで、
都市
下水に対するいろいろな
対策等
とのにらみ合わせで
意見
を言ってくると思います。私どもといたしましては、ただいまのような状況でございますから、
基準
の改定について今後検討をしてみたらどうかというふうにも考えます。
島本虎三
73
○島本
委員
では、そういうふうにしてもらいたいと思います。やはり十一月ころは、一番
水質
的にも危険な時期だとされております。そのころこの
水質
基準
が設定されて、そしてBOD三・二から三・三PPMとなるような指導であったようです。しかし実際は、四十年の十月三十日には六・二PPM、四十年十二月二十五日には七・五PPM、四十一年二月一日には一五・五PPM、四十一年八月三十一日には三・一PPM、四十一年十月二十九日には六・三PPM、四十一年十一月八日に四・七PPM、四十一年の十二月十七日に八・五PPM、それから四十三年に入って八月四日に五・二PPM、同じ四十三年九月一日に八・〇PPM、四十三年九月二十六日に六・四PPM、だんだん、危険な十一月を境にして、その前後はこういうような数字です。ですから、三・二PPMまたは三・三PPM、こういうようなことを幾ら
基準
にして指導しようと思っておっても、これは各工場の排水の
水質
は大半が示された
基準
内だという。それでこういうような数値になる。これはもう
基準
自身をもう一回改めなければならない、こういうようなはっきりした意味です。そのほかに
原因
があるのならば、それを摘出しなければなりません。農林省であるなら農林省、並びに通産省であるなら通産省、これは
公害関係
の
行政
の窓口は厚生省ですから、せっかく
厚生大臣
もおることですから、この点等については、ひとつ
水質
基準
をつくらなければならない。この意味と立場を十分理解して、何の遠慮も要りませんから、ひとつ堂々とこれを主張し、りっぱにこの実をあげてもらいたいと思うのです。
厚生大臣
もいままでずっと聞いております。この点を、
厚生大臣
大いに協力して、やってほしいと思います。いろいろ遠慮があるようですが、これは重大な国際的な問題ですから、最後にひとつ
厚生大臣
とあなたの答弁を伺って、私はこれで満足したならばやめたいと思う。
斎藤昇
74
○
斎藤国務大臣
水質
汚濁
の問題は非常にむずかしい問題だと思います。産業と産業の間の問題でもあり、人体に影響するということになれば、われわれのほうもさらに積極的に介入しなければならぬ問題だと思いますが、
公害
全体に
関係
いたします省といたしましても、できるだけ御協力を申し上げまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと存じます。
八塚陽介
75
○八塚
政府
委員
私どものほうで道へ委託をいたしましてアフターケアをいたしております数字は、先ほど私が申し上げたように、確かに三PPMを若干上回っておりますが、平均いたしますと、それほど実は上回った数字では決してないのでございます。ただ、先生の御指摘のような数字をあとでお見せをいただきまして、私どもでも参考にいたしたいと思います。そういう意味で、何ぶん数字の問題は測定の方法、時期、地点、いろいろございますので、技術的に十分いわば目をならすと申しますか、平均値がうまくとれるようなことを考えてやらなければならないというふうなこともございます。どうか、ただいまお話しになりました数字につきまして、また後刻いろいろ御指示を得たいと思います。 なお
水質
保全につきましては、先ほど来もお話がありましたが、特にあの地帯は、対外的に日ソ漁業交渉等をする場合に、
日本
の川が十分にその資源保存の任務を果たしてないということは、いろいろな意味で困るという
意見
は、
水質
審議
会等におきましてもあったわけでございます。私どもも当然それは考えております。そういうこともございまして、今後とも、
水質
保全につきましては、
基準
の設定、あるいはその後の変化に対応するアフターケア、あるいは
基準
の改定について、十分努力をしてまいりたいと考えております。
島本虎三
76
○島本
委員
終わります。
赤路友藏
77
○
赤路委員長
経済
企画庁のほうに、いまの島本君の質問に関連して、知っておいていただきたいことがありますので、一つだけ注文をつけておきます。 御
承知
のとおり、今度の決定については、それぞれ専門の技術の人や経験者等がお寄りになって御決定になるのですから、私は間違いがあるとは思いません。ただ知っていただきたいことは、北海道のサケの遡上する川というものが限定されてきておる。もう、一番過去において上がった石狩川はだめなんです。
日本
海岸のほうはもはやあきらめざるを得ない。残されたのはオホーツク海岸、この方面の河川だけが唯一のものになっておる。内地のほうも非常に上がりが悪くなっておる。そういうような資源の諸
条件
をぜひ考えていただきたい。本来なれば、人工ふ化でなしに自然のままで川へ上げて、そして産卵ふ化さすというのが一番いいのですけれども、それは不可能なんです。ただ、いまのところオホーツク海の河川が唯一のものであるということをひとつお考えおき願って、十分慎重にやっていただきたい、こういうように思います。 それでは、午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十分より再開することとし、暫時休憩をいたします。 午後零時四十四分休憩 ――――◇――――― 午後一時五十五分
開議
赤路友藏
78
○
赤路委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 質疑を続行いたします。岡本
富夫
君。
岡本富夫
79
○岡本(富)
委員
私は、持ち時間の間にきょうは三点について質問いたしますけれども、最初に、この
公害対策基本法
の中に、悪臭がやはり
公害
の中に入っておりますけれども、この悪臭については、四十八国会からずっと換算しまして、わずか八回しか
審議
されておらない。現在この悪臭問題が、苦情が非常に多くて、人の健康を保持する上から非常に重大な問題になっております。したがって、まず最初に悪臭問題を取り上げまして御質問をします。 そこで、先月の十三日午前一時三十五分、千葉県の市原市における出光興産の千葉製油所で起こった事件でありますけれども、高オクタン価ガソリンを精製する装置につきまして、硫化水素ガスが噴出して、三人死亡、三人重軽症、こういうような問題が起こりまして、すでに新聞報道されておりますけれども、これについてとった処置、これをひとつまず通産省からお聞きしたいのです。
矢島嗣郎
80
○矢島
政府
委員
まことに申しわけないわけでございますけれども、いまの出光興産の市原工場の硫化水素の爆発につきましては、鉱山石炭局のほうでやっておるものでございますから、私大ざつばなことは存じておりますけれども、正確を期するために、至急鉱山局を呼びますから、それまで御返事を待たせていただきたいと思います。
岡本富夫
81
○岡本(富)
委員
では呼んでください。 そこで、この問題はあとで鉱山局が来たら聞くことにいたしますけれども、その状態の報道を見ますと、ドレンバルブに通ずる直径五インチのパイプに当時二・五気圧のガスが残っていた。このガスのふき出す音で、近くで点検した同僚がバルブを締めたために、
被害
が少なくて済んだ。それでも三人、ガス中毒で死んでいるわけです。こういうようなことは、こうした有毒ガスに対するところの
国民
の認識というものが非常に少ないのじゃないか。その認識不足によって起こったものである。したがいまして、有毒ガス装置の操作指導の不徹底、こういうところからも
発生
しておりますけれども、大メーカーですらこういう重大な過失が起こっておる。いわんや中小メーカーにおいては野放し状態であると推定せざるを得ないのであります。 そこで、こうした状態をよく見ますと、各会社の装置を見て回りますと、人間が鼻で感ずる、それくらいしか測定法がない。ああこれはガスが出ている、というような状態ですので、これについて一日も早く、こうした臭気に対する環境
基準
あるいはまた測定法、こういうものを
確立
しなければならぬというように思うのですが、厚生省のほうでは、それについてどういうような処置をいまとっておるか、これをお聞きしたいのです。
武藤琦一郎
82
○武藤(琦)
政府
委員
悪臭の問題は、先生御指摘のように、いわゆる測定が非常にむずかしいわけでございまして、現在のところ、数値で悪臭を測定するということは、まだ各国とも
確立
しておりません。外国等におきましては、いわゆるパネル式、いわゆる鼻さき
制度
といいますか、人を使ってその悪臭の程度をきめるということが行なわれている状況でございます。厚生省といたしましては、この悪臭問題につきましては、やはりこの排出規制を改善するというようなことよりも、むしろ生産設備の施設をきちっとやる。たとえばいろんな排水の問題につきましてはオープンで流さないとか、あるいはガス等が漏れないようにする、そういう施設の整備が大切ではないか、かように考えておる次第でございます。 それからこの測定につきましても、いろいろ専門家が研究をいたしておりまして、私ども環境衛生センターという一つの法人を監督をしておりますが、ここにいま委託をしておりまして、最近の報告を聞きますと、悪臭につきまして、たとえばガス等につきましてどういう成分が含まれているかといった場合に、その成分比とその悪臭の程度との
関係
を数値であらわせるような、いわゆる器械で測定できるような目安がついたというような報告も聞いておりますので、こういうようなものを早く実用化できるようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。
岡本富夫
83
○岡本(富)
委員
いまこの悪臭につきましては、大
都市
、たとえば大阪あるいは神戸、尼崎市内、こういうところにおきましても、相当悪臭問題で苦情が出ております。一つの例をとりますと、これは
四日市
の
石油コンビナート
のあるところの苦情が出ておりますのは、悪臭で三百五十七、刺激性ガスが三十、ばいじんあるいは粉じんが四十二、振動が五十三、汚水二十一、その他二十、こういうようになっておりまして、苦情の一番大きな問題が悪臭になっておる。それに対する防止手段といいますか、これが非常に立ちおくれておる。いま
説明
がありましたけれども、これはやはり悪臭問題に対する、厚生省の健康を守るというところの基本態度が非常に手ぬるいのじゃないか。国会でも取り上げ方が少なかったのが一つでありますけれども、もっと強力に精力的な悪臭問題に対する防止をやらなければ、非常に不快である。同時にまた人体に影響をずいぶん来たしております。それで、これは私のほうで
調査
した一つの例でありますけれども、製紙工場、パルプ会社、こういうところからすごい悪臭が出ておりますけれども、これは特に意識
調査
をしますと、くさくて鼻が曲がりそうだ、あるいは特に夜間がひどい、またその工場範囲から十五キロないし二十キロ、この悪臭の主成分はメルカプタン、こういうようになっておりますけれども、この問題についても、厚生省のほうでどういうような取り組み方をしておるか、ひとつお聞きしたい。
武藤琦一郎
84
○武藤(琦)
政府
委員
ただいま例にあげられましたメルカプタンの問題につきましては、これはこの前にも参議院予算
委員会
でも御質問がございましたけれども、メルカプタンの悪臭を感じます濃度といたしましては、いろいろ個人差はあるわけでありますが、一PPMのさらに一万分の幾つくらいでもにおってくるということでございます。ただ、この程度でありますと、人体への影響はないというふうに私どもは聞いております。ただ、工場等の事故などで濃度が高い場合には、いろいろ刺激性の問題が出てくる。たとえば気管支炎等を起こすということが専門家の一致した
意見
でございます。このメルカプタンにつきましては、通産省と私どものほうとで、
大気汚染防止法
の特定有害物質に
指定
すべく、現在
調査
中でございまして、おそらく来年度におきましては
指定
できるのではなかろうか、かように考えております。 悪臭問題は、先ほどから御
説明
のありましたように、なかなかむずかしい問題でございますが、厚生省のみならず、たとえば科学技術庁におきまして、特別研究費等を使いまして、たとえば、通産省では脱臭の研究、私どもとしては人体に対する影響あるいは
生活環境
に対する影響、あるいは労働省では生理的な問題等を、いろいろ検討を行なっておるわけでございます。やはり先ほど数字をあげて御
説明
されましたように、悪臭の問題は
住民
の方々にすぐわかるわけでございます。したがいまして、ある工場地帯等では、そういう
地域
の
住民
の方々をモニターとして活用しておられる。においが出た場合には、すぐ工場に連絡する。その場合に、工場ではすぐ点検をして、ガス漏れがないか、あるいはその他の問題がないかということを行なっておるわけでございまして、そういう方法も一つの方法ではなかろうかと、私ども考えております。
岡本富夫
85
○岡本(富)
委員
そこで、すでに名大医学部あるいは徳島大学、こういうところでは、メルカプタンは非常に人体に影響あり、こういうふうに発表しておりますけれども、いまあなたのほうで聞きますと、
住民
を悪臭のモニターに使っておる。人をモルモットに使っておるのじゃ、ちょっと問題だと思う。厚生省のほうでそうした監視員、技術員をもっと養成して、そして悪臭の防止につとめなければならぬ、こういうように思うのですけれども、現在、厚生省のほうでこの方面を担当しておる人数といいますか、あるいはまた
都道府県
に対してはどういうふうに指導しておるのか、これをひとつお聞きしたいのですが、どうですか。
武藤琦一郎
86
○武藤(琦)
政府
委員
悪臭だけを専門で担当しておるという係官はおりませんけれども、御案内のように、悪臭問題は
大気汚染
とも
関係
しますし、それから水の問題とも
関係
しますので、それぞれ水の専門家なり
大気
の専門家が、この問題については現在検討を行なっております。 それから、
住民
をモルモットにして役人はサボっておるのではないかというような御
意見
でございますが、この点は、やはり二十四時間測定するということが、役所だけでは非常にできにくい問題がありますので、そういう点ではやはり
地域住民
の方の御協力を得るのも一つではないかということで、例示にあげたわけでございます。ただ御指摘のように、悪臭問題が起きました場合に、直ちに、たとえば保健所その他
公害
課等の第一線が参りまして、行ってみたらもうにおいがなかったとか、そういういろいろな問題もあるようでございますが、やはり四六時中起きる問題につきましては、それぞれの第一線の機関で悪臭につきましての監視をするということは当然だと思います。
岡本富夫
87
○岡本(富)
委員
パルプ、製紙、こういう工場で、全国でどのくらい悪臭を出しておるメーカーがあるのか、そういう事業場がどのくらいあるのか、これは全部把握済みだと思いますが、私のほうでも
調査
があるけれども、幾らぐらいを
対象
にし、あるいはまたどのくらいのところを
調査
しておるのか、これをひとつお聞きしたいのです。
武藤琦一郎
88
○武藤(琦)
政府
委員
先ほどお話しのメルカプタンを出します。パルプ工場等につきましては、約五十程度があるように聞いております。
岡本富夫
89
○岡本(富)
委員
案外この
調査
は不十分じゃないでしょうか。私のほうで
調査
したものによりますと、パルプ製造あるいは製紙会社の
現状
を見ますと、十條製紙あるいは王子製紙というようなメーカーが十四、それから悪臭を特に放っているのはその中で十三カ所ぐらい、パルプ製造から製紙を行なうメーカーが十一社、それから悪臭が心配されると思われる事業場がその十一社のうち九カ所、製造加工などが主体のメーカーが十七社、その他はもっとこれも検討しなければいけませんが、
公害
の点検をやりますと、どんどんどんどん悪臭問題が出てくる。いまあなたのほうの答弁を聞いておりますと、まず悪臭を出しておるところのパルプ会社あるいは製紙会社の全部の把握ができていないんじゃないかと思うのですが、どうですか。まだできてないならできてないと、はっきりしていただきたいと思います。
武藤琦一郎
90
○武藤(琦)
政府
委員
私がいま約五十と申し上げましたのは、メルカプタンの問題だけでございまして、そのほか石油化学工場等には、悪臭を出す工場がまだほかに多数あると私どもは考えております。
岡本富夫
91
○岡本(富)
委員
結局、私がいま言ったのは、全部の
調査
ができていないのでしょうと聞いているのです。できてなければできてないと……。
武藤琦一郎
92
○武藤(琦)
政府
委員
厚生省といたしまして、どの工場からどういう悪臭が出るのだという統計
調査
をとったことはございませんけれども、各府県等においてわかっておると思いますし、通産省のほうでも、それぞれの専門の部局で、そういう問題は御検討なさっていると思います。
岡本富夫
93
○岡本(富)
委員
通産省、あなたのほうではわからぬでしょうね。
矢島嗣郎
94
○矢島
政府
委員
正直に申し上げますと、実は先般参議院の予算
委員会
で御質問がありまして、特にメルカプタンについて、これが紙パルプ、少なくともパルプの
関係
であるものですから、その質問があった際に、実は早急に調べてみたのですが、先生の御質問のように、何工場あって、その工場の悪臭程度がどうかという具体的なものにつきましては調べがついておりません。現在におきましても、先生御質問のように正確に、何工場、どうかということにつきましては
調査
ができていません。
岡本富夫
95
○岡本(富)
委員
この悪臭問題の中で、メルカプタン類の生物、生体に及ぼす影響、これは徳島大学の西山という先生が発表しているわけですけれども、一〇PPM程度で呼吸器機能の刺激作用がある、一〇〇〇PPMになると数秒間で命がなくなるんだ、致死量だ、こういうような発表をしているわけです。だから、悪臭はただ食欲を減退させるだけだとか、いま厚生省は簡単に考えておりますけれども、いま言いましたように、この硫化水素が一〇〇〇PPMなら数秒間でもう命がなくなる、こういうようなことから見ますと、悪臭問題についての積極的な
政府
の力の入れようが足らないのじゃないか。過日参議院の予算
委員会
で、
公明党
の三木さんからいろいろ質問をしておりますけれども、満足な答えが得られない。その後どういうようになっているのか、あるいは野放しなのか。外国ではこの悪臭問題はあまり取り上げられていないから、
日本
でも取り上げる必要はないのだ、こういうような考え方は大きな誤りではないかと私は思うのです。そこで、悪臭問題につきましてもやはり環境
基準
というものをきめなければいけない。これについてどういう考えを持っておるのか、ひとつ
厚生大臣
からお聞きしたい。
斎藤昇
96
○
斎藤国務大臣
悪臭の問題は、いまおっしゃいましただけでも非常に複雑な問題で、悪臭を出すガスによってそれぞれ違うわけであります。そこで悪臭のあるガスは大体多かれ少なかれ有毒であろう、これは私どもも常識的にこういうように思うわけでありますが、ことにいまおっしゃいましたメルカプタン、これは悪臭として処置するか有毒ガスとして処置するかという問題じゃないだろうかと思うのでありますが、アメリカの工場では、二〇PPMがその工場における悪臭の最高
基準
とされているという点も、そういうところにあるのじゃないかと思うのですが、魚の
処理
場から出てくるにおい、あるいは鶏や豚を飼っているところから出てくる悪臭、これらも一種のガスとなってそれが臭気になるわけでありましょうが、それがはたしてどこまで有毒であるかどうかという
調査
は、実際いままだ有権的に行なわれたものがないと思っております。悪臭に対する科学的な人体に及ぼす影響
調査
というものは非常に少ないと思います。 そこで、先ほどおあげになりました
四日市
の悪臭も、実は私もそれを感じて、非常によく存じておるのであります。そこで、
四日市
の悪臭は、亜硫酸ガスと一体どういう
関係
があるのか、亜硫酸ガスとは全然別の悪臭であるのか。これもまだ科学的には
調査
をされておりません。少なくとも早急にこれを
調査
するように、本年は科学的に
調査
するようにいたしておるわけでありますが、そういうようなぐあいで、非常に手おくれでございます。それで、私が当時
四日市
に参りましたときでも、まるで吐き気を催すような場合もあるので、これは人体に
精神
を通じて影響がないことはないわけだと思うのであります。そのにおいをかいですぐに倒れるような、そういう有毒物であるかどうかはわからぬにいたしましても、広い意味の衛生的
見地
からいって、非常に悪いに違いないのであります。まずここからでも科学的に
調査
のメスでも入れようということをいまいたしておるわけであります。とにかく悪臭はその
地域
的な問題であって、その
地域
地域
の悪臭の
発生
源によって違うわけでもありますので、私としましては、各
地域
にそういった
公害対策
委員会
というようなものが置かれてありますが、これを強化していただいて、そうしてこれには県、市町村等の
関係
機関も入り、
住民
の方も入って、そこらから非常にやかましく突き上げてもらうということが一つの推進の方法だろうと思っております。そういう推進がなければ動かぬのかというおしかりもあろうかと思いますが、しかし、そういうことによって
調査
も進み行くものじゃないだろうか。よくいわれております製紙会社、パルプ工場等から出る悪臭というものは、これは前からの古い問題であるにもかかわらず、まだその悪臭を除去する方法が見つからないということは、今日の科学技術の進歩した世の中においてまだそうだということは、非常に遺憾なことだと思います。そういった科学技術の進歩を促進し、そうしてそれをなくするということを考えていくのが肝要であろうと考えております。 先ほどおっしゃいましたメルカプタン等に対する環境
基準
等に対しましても、特定のものについては、考えられればできるだけ考えたい、そうしてつくりたい、かように考えておりますが、御
承知
の
公害対策基本法
の中にも、悪臭の環境
基準
というものには触れておりませんのは、はたしてそれが可能であるかどうかということがまだ十分検討されていなかったからであろうと思いますが、そこにあるとないにかかわらず、できるだけ検討してまいって、そうしてそういった毒性の強いであろうと思われるメルカプタンのようなものについては、一日も早くつくれるように努力をいたしたい、かように思う次第でございます。
岡本富夫
97
○岡本(富)
委員
大臣、実は先ほど
公害
部長から話がありましたように、
日本
環境衛生センターですか、そこの発表によりますと、たとえば硫化水素を例にとりますと、一五PPMでもう頭痛がする、それから五〇から一〇〇になりますと、とてもしんぼうができない。五〇〇PPM以上になりますと、急性の中毒を起こす。それから一〇〇〇PPMになると、数秒間で死ぬ。このくらい大事な悪臭問題なんです。いままで御認識がなかったのかもわかりませんけれども、また、いままで悪臭についてはあまりこちらも取り上げなかったのも一つのあれですけれども、悪臭については、いま話があったように、化学工業系と動物性、この二つに分かれますけれども、いずれにしてもちょっと気になることは、付近の
住民
の方が騒がなければ
公害
にならない、騒げば
公害
というようにここで感じたのですけれども、そうでなくして、やはり
国民
の健康を管理し守っていくのは厚生省である、したがって技術開発ももっともっと推進して、この悪臭問題については強力に、厚生省は――何か厚生省の態度を見ていますと、大
企業
に対して遠慮しているような――変な話をして悪いですけれども、前の園田
厚生大臣
のときには、
イタイイタイ病
なんかを強力にやってもらいまして、十何年問もほうってあったあの水俣病の
解決
も前向きに進んできた。したがって、
斎藤厚生大臣
になりましたら、今度はひとつ悪臭問題を十分取り上げて、環境
基準
をきめていく、また技術開発もしっかりやっていく、こういうふうに私は要求したいのですが、いまのお話を聞きますと、若干消極的な、付近の
住民
の方が騒いだらというような意味合いのお話がありましたが、これは私はもう一つ納得いかない。
国民
の皆さんもおそらくこれでは納得いかないと思うのですが、どういうような
姿勢
で、どういうようなやり方で前向きに取り組んでいくか、これをひとつ
国民
に明らかにしていただきたい、こう思うのですが、どうでしょうか。
斎藤昇
98
○
斎藤国務大臣
先ほど私が申し上げましたことを誤解をしていただいてはたいへんなことだと思うわけで、騒がなければやらぬというわけではございませんが、こういう悪臭のような問題は、
地方
の方が非常に敏感に感じられるわけでありますから、ここにはこういう悪臭がある、これじゃ困るということを取り上げてもらって、やかましく言うていただくことは、われわれを鞭撻してもらうわけでありますから、そういうことも望ましいということを申し上げたのであります。われわれのほうで、どこに悪臭があるかさがして歩くということは、なかなかむずかしいわけであります。しかし、おっしゃいましたように、すでに製紙工場のあるところ、パルプ工場のあるところはわかっておるわけでありますから、そういうものについては、いまおっしゃいますような科学技術の開発によって、これを防除していくということを、一日も早く進めてまいりたいと思います。私が先ほど申し上げましたのは、動物性の悪臭というようなものは全国に非常に広いわけでありますから、私もそれには関心を持っております。特に私は、党におりまして、
公害
問題を数年前から推進をしておった一人でございますが、その発端はといえば悪臭であります。やはり
四日市
の悪臭であります。嘔吐を催すような悪臭。これではほうっておけないじゃないかということから、だんだんとあれしてきておるわけでありまして、私の時代にというわけではありませんが、この悪臭に対する
措置
を一日も早く打ち出すということは、私が
公害
問題に取り組んだ最初のあれでございますから、ぜひ一歩でもここでは前進をさしていきたい、かように思います。
岡本富夫
99
○岡本(富)
委員
この悪臭の脱臭の方法ですね、それから技術開発、これの改良がたいへんおくれておりますが、私どもの
調査
によりますと、防脱臭装置の建設費が、一つの方法では四百万円から八百万円かかる。しかし、この二つの方法を総合しなければうまくいかない、こういうようなところがありますが、
現行
の
公害防止
設備改善資金あるいは設備近代化資金などの
公害
融資
制度
、これを利用しようと思ったら、現在のところきわめてむずかしい、こういう
現状
を見てまいりましたけれども、こういう問題につきましても、大臣は新年度はどういうような計画をし、またどういうような予算をつけて、どういうようにやっていこうと考えておるのか、ひとつ抜本的な考えを聞かしてもらいたい。
斎藤昇
100
○
斎藤国務大臣
工場からの悪臭あるいは
公害
源の
発生
するのを防止あるいは軽減をさせるための施設、設備等をやりたいという場合の融資の問題は、厚生省の担当いたしておりますのは、御
承知
の
公害防止事業団
でありますが、私は、
公害防止事業団
としましては、四十四年度で各
地方
からこういう
公害防止
のための仕事をやりたいという、その事業計画のほとんど大部分は消化できるだけの融資
措置
をとったつもりでございます。大
企業
等になりますと、これは通産省でやっていただいておるわけでありますから、通産省
関係
で、
関係
会社等のそういった希望がどの程度満たされることになったか、私は
承知
しておりませんが、私のほうの
関係
におきましては、四十四年度でやりたいという中小
企業
あるいは集団的な工場の改善というような意味合いの事業は、前年度に比べて約倍になっておる。やりたい事業のほとんど大部分はこれで本年度は消化ができますという報告を、
事業団
から受けておるわけであります。
岡本富夫
101
○岡本(富)
委員
厚生省の悪臭問題に対するいままでの取り組み方が非常に消極的でありますがゆえに、私のほうから質問いたしましても、それに対するはっきりした答えが得られない。これはまことに残念なことでありまして、すでに
日本
環境衛生センターあるいは各データを見ますと、悪臭問題は全国で第二位の苦情を出しておるわけです。これに対する
政府
のいままでの取り組み方というものは非常に弱い。私はきょうは特にこれを強調して、そうして今後前向きの
姿勢
を持ってもらいたい。非常にお答えも抽象的で、この問題はこうするんだというようなあれがない、こういうように私は思うのです。 そこで、通産省、来ましたか。――きょうは政務次官に出てもらって、もう一つこれを念を押しておこうと思ったんですけれども、通産省といたしまして、全国的な悪臭、すなわち硫化水素あるいメルカプタンですか、この防除装置の
現状
あるいは実施状況、あるいは新設工場に対してどういうプランを立てておられるか、これをはっきりと聞きたいと思ったのですけれども、これについて、通産省として
現状
ではどういう考えを持っておるか、またどういうようにするか、これは
公害
部長では答えられないでしょうか、どうですか。
矢島嗣郎
102
○矢島
政府
委員
先ほどお答ええいたしましたように、残念ながらメルカプタンをはじめとする主要なる悪臭の要因につきましては、全国的な
調査
というものはやっておらない。この点至急にやらなければならないと思っております。本来そういうものの実態
調査
を踏んまえた上で具体策を講ずべきだと思いますが、とりあえずの問題と申しますか、悪臭問題全般のとらえ方として、悪臭防止技術の開発というものが、やはり基本的な問題ではないかと思います。これは何も悪臭に限らず、
公害防止
に関する全般に通ずる問題でございまして、通産省としては特にそういうものを
公害対策
の第一番にとらえておるわけであります。そういう意味で、悪臭防止技術というものを研究することが大切じゃないかと思いまして、すでにある程度やっておるわけでございますが、今後さらに工業技術院傘下の試験研究所で、この悪臭防止技術の研究開発というものを進めたいと思っております。 それから次に、悪臭問題というのは、やはり土地利用計画その他、あるいは工場の配置に
関係
するわけでございまして、新規の工場地帯については、土地利用計画とのからみも考えまして、工場の適正配置ということを考えておるわけですが、そういう際に、やはり住宅との
関係
その他を考えて、工場の適正配置の一環として工場立地を考えていく、そういう方向でいかなければならないと思っております。 それから、やはりこれは
騒音
なんかとも若干似ておるわけですが、悪臭を出すような産業はある程度まとめるというようなことで、たとえば魚腸骨の
関係
で、すでに塩釜などで工場アパートをやっておりますが、こういうふうにしてまとめて、そうしてその際悪臭防止の施設を共同でもってやらせる。こういうような方法も考えなければならないと思います。 まことにまとまった
対策
ではございませんけれども、とりあえずの私どもの考えておる
対策
としては、以上のようなものがあるわけであります。
岡本富夫
103
○岡本(富)
委員
大体、においというものは、分子の小さいほどにおいが大きい、こういうようなデータが出ておりますけれども、そこで、こればかり取り組んでおりますと時間がありませんが、何としてもやはり悪臭の環境
基準
、これをきめてもらわなかったら、いつまでたっても問題は
解決
しない。このきめ方として、周囲の環境等に照らして、工場または事業場の周囲の人が著しく不快を感ずる、そういうものを程度として環境
基準
をきめていかなければならない、こういうふうに私は思うのです。 それからいま話がありましたように、工場配置の適正ですね、この工場配置の適正化法が検討されておると思いますが、これはいつごろ出されるのか、あるいはまた、こういった悪臭を出すおそれのある工場に対してはそれを適用するのか、これをひとつ最後にお聞きしたいと思いますが、どうですか。これは通産省から……。
矢島嗣郎
104
○矢島
政府
委員
最初の御質問の工業立地適正化法の
提案
の見通しでございますが、それに関しましては、現在鋭意
関係
各省と折衝いたしておりまして、今月中には
提案
の運びにいたしたいと思います。 それから第二の御質問の悪臭問題は、工業立地適正化法の運用に際して考慮すべき要因かというお話でありますが、やはり工業立地適正化法は、過密の防止と
公害
の防止というようなことを一番大きな使命といたしておるわけでございますので、悪臭問題も、その運用に当たっては無視することはできないものと思うのです。なお現在工業立地適正化法はまだ
提案
の運びに至っておりませんけれども、工場立地
調査
法というのがあるわけでございます。これは全国の工場の
一定
規模以上のものについては届け出て、通産省がその届け出を見た結果、いろいろ勧告をいたすことになっておるわけですが、これの運用でも、悪臭の問題が著しい場合においては、その防止
措置
というものが考えられないことはないと思います。
岡本富夫
105
○岡本(富)
委員
最後に、悪臭問題につきまして、環境
基準
をきめる用意があるのか、あるいはこのまま野放しにするのか、この一点を厚生省にお聞きしたいのです。
武藤琦一郎
106
○武藤(琦)
政府
委員
悪臭についての環境
基準
の問題でございますが、これは率直に申しまして、
公害対策基本法
の第九条では、水と
騒音
と
大気
について環境
基準
をつくるようになっておりまして、悪臭あるいは地盤沈下その他の
公害
につきましては、環境
基準
はきめるようになっていないわけでございます。この点は、いわゆる環境
基準
というものが、個々の排出
基準
を順守しても、なお
汚染
の集積によりまして環境
汚染
の問題が出る点に着目しまして、この環境
基準
をきめる
制度
を考えたわけでございますが、この点、悪臭
公害
の場合は比較的集積という問題がございませんし、いわゆる排出規制、もしくは
発生
源そのものの
対策
ということが一番根本であるということに照らして、こういうふうになったことと思います。ただ、先生が御指摘の、環境
基準
はどうかということは、この悪臭問題について一つの何らかの程度をきめて、それに応じて排出規制を十分やるべきではないかということの御
提案
だろうと思います。この点につきましては、各府県で悪臭条例等をやっておりますところを見ましても、いわゆる不快度をある程度の目安として、運用として取り締まりが行なわれておるようでございまして、この点につきましては、先ほどから御指摘の環境衛生センター等でも、悪臭の程度を数値に示せるような一つの実験データ等も出ておりますので、こういう点の実用化ができますれば、私どもとしては、いわゆる排出悪臭の一つの取り締まり
基準
的なものができるのではないか、かように考えておるわけでございます。
岡本富夫
107
○岡本(富)
委員
悪臭問題につきましては、その程度でおきますが、これは何と申しましても大きな問題になってきております。したがって、後手にならないように、基本法のほうでそうなっていなかったならば、
対策
基本法を改正していくとかして、前向きにひとつやっていただきたい。 次に、
大気汚染防止法
の施行がされておりますが、これは工業立地適正化法が発令されませんと、たとえば車でいえば片方の車が走っておるだけ、これでははっきりした
大気汚染
防止にならない、これは周知の事実であります。そこで、これからは工場の届け出制、こういうことでこの前は終わっておったのですが、今度はこれができませんと、やはり許可制にしなければならないと、この前もぼくは強調しておいたのですが、許可制にするのかしないのか、この問題についてお聞きしたいのです。
武藤琦一郎
108
○武藤(琦)
政府
委員
昨年
大気汚染防止法
を御
提案
申し上げましたときに、この問題があわせて検討されたわけでございますが、現在厚生省といたしましても、この問題につきましては許可制の問題を検討中でございます。ただ、この問題は、先ほど通産省のほうに御質問がありました工業立地適正化法におきますいろいろの規制の問題、具体的に言いますと、許可制をも含めた問題ともからむ問題でございますので、現在、両省で、この問題につきましては調整中でございます。
岡本富夫
109
○岡本(富)
委員
現在の
大気汚染
の、東京あるいは川崎あるいは兵庫県の尼崎、こういうところの例をとりますと、
大気汚染
によって非常に病気が多発しております。一つの例をとりますと、この間私、三田市の養護学校に行ってきた。小学校一年生から中学三年までの方が百八人入院しておりますけれども、そのうち尼崎市出身が三十八人。ほかの市は十人とかあるいは五人とか、こういうふうになって、全部兵庫県ですけれども、そのうちの三十八人、三八%が尼崎市出身であったということは、
大気汚染
の非常にきびしいところには、そういう結核の子供がたくさんいる、こういうことをあらわしていると思うのです。それで、
大気汚染
を防止するについては、非常に精力的な厚生省の
措置
がなければ、
国民
の健康を守るわけにいかない、こういうように思うわけでありますが、その
大気汚染
の中で、大原の交差点を例にとりますと、これはこまかいことを一々言っているひまはありませんが、車の排気ガスで非常に困っている。これを立体交差にすればよくなるのじゃないかという考えだったらしいのですが、それでも少しも減っていない、あるいはかえってふえている、こういうことで、きょうは運輸省に来ていただいておりますけれども、現在自動車の排気ガスの取り締まりについて、新車あるいは中古車はどういうようにやっているか、これをひとつはっきりしていただきたいと思います。
堀山健
110
○堀山
説明
員 お答えします。 自動車には新車と古い車がございますが、新しい車につきましては、生産の過程におきまして、現在濃度を規制しております。これにつきましては、現在いろいろなはかり方がございますが、
日本
における船研方式という方式ではかりまして、三%ということで押えております。しかし、これにつきましては、この秋から規制を強化いたしまして、二・五%に下げるという準備をしております。それから、これは量産する車の規制でございますが、大量に生産されない車につきましては、実は規制されておりませんので、これにつきましては、今年度になりましたけれども、横浜に試験場をつくりまして、そこで全部検査をする、こういう用意をしております。それから使用過程の車、つまりいわば中古車と申しますか、これにつきましては、昨年十二月一日、
大気汚染防止法
施行のときにきめたのですが、使用過程の車につきましては、定期点検をやりますとガスの
条件
がよくなるということが、いろいろな十六項目の試験の結果わかりましたので、その点検を励行するようにということで、点検
基準
をきめました。それから、なお点検に対する
行政
指導でございますけれども、これを確実に担保するためには、やはり検査場で何かチェックをすべきではなかろうかということでございますので、今年度、つまり四十四年度予算につきましては、東京、大阪、名古屋地区の検査場におきまして、検査に来る車をチェックするように手配をしております。なお、四十五年度につきましては、全国的に強制検査をするという準備を考えております。その前段階としては、四十四年度に東京、大阪、名古屋地区に、一種の試験といいますか、トライアルという形でチェックをするという用意をしております。これはことしの予算で認めていただきましたので、実行いたす所存でございます。以上でございます。
岡本富夫
111
○岡本(富)
委員
それで、輸出車は新車では何%ですか。それから中古車をチェックするだけでなくして、何%までに押えられるようにするか。この点もひとつはっきりお答え願いたいと思います。
堀山健
112
○堀山
説明
員 輸出の車につきましては、私ども直接所掌しておりませんので、実ははかったことはございません。それから、古い車につきましては何%にするかということでございますが、現在一酸化炭素を規制しておる国は、
日本
とアメリカと西ドイツでございます。
日本
とアメリカはほぼ同じようなはかり方をしております。それから西ドイツのほうは、いわゆるアイドル規制といいますか、車が低速の回転をしているときにはかるというはかり方をしておりますので、実は規制している数字が違うわけでございます。それで、私ども今後検査場でチェックをするということになりますと、できるだけ実用型の簡単なやり方でありませんと、車を大量に検査をするわけにまいりませんので、どういう方法で何%にするかということは今後きめたいと思います。
岡本富夫
113
○岡本(富)
委員
運輸省は、この
公害防止
に対して非常にはっきりした態度をとっていないように思う。なぜかといいますと、聞くところによると、輸出車は大体この一酸化炭素を取る装置をつけないと売れない。
日本
ではそれをつけない。そうたいしたものじゃないんですからね。いま車を発売しているところの広告を見ましても、快適にスピードは何ぼ出るとか、そういうことは出ますけれども、排気ガスを取る装置をつけます、こういうような宣伝がないところを見ますと、
日本
の国の
公害
に対するモラルが非常に低いんじゃないか。これは
国民
全体の一つのあらわれでありますけれども、やはりこれは問題がある。あるいはまた人に迷惑をかけない、国から
公害
を除去していこう、そういうようなモラルを高めていくためには、そうたいした金額ではないと私は伺っておる。一万五千円か二万円ぐらいのものだ。それを受益者負担ということは、これはあまり考えてはいけないと思いますけれども、メーカーのほうでそれぐらいサービスできるような指導を
政府
のほうでしないといけないと私は思うのです。御
承知
のように、もうすでにこうして大原交差点あるいは各所において、非常に
公害
問題で困っておる。これも一々私はこまかいことを時間がないから申し上げませんけれども、あなたもよく知っておられるはずです。ですから、もっと強力に、車には全部
公害防止
の機械はつけるんだというような強い
姿勢
でひとつ
行政
指導をしないと、
日本
の
公害
はなくならない。いかに産業が発達したり、あるいはいかに車がたくさんできても、こんなにたくさんの病人が出ては、これはもう何にもならない、こういうように思うのです。そこで、中古車についてはまだチェックをしていなかった、これから何%にするかきめるのだ、こういうような全く弱い
姿勢
では、
公害
行政
は進まないと思う。今度の
大気汚染防止法
というのは、あなたのほうも車の規制については入っているわけですからね。それについての腹案がないというようなことでは、
大気汚染防止法
というのはもうざる法に近い、こう言わざるを得ないと思うのです。いまあなたのほうでは全然腹案がないのか、中古車は調べてから、チェックしてからやろうというのか、この点もう一ぺんはっきりしてください。
堀山健
114
○堀山
説明
員 少しことばが足りなかったと思いますが、中古車に対する規制の方法は、先ほど申し上げましたように、新しい車と古い車のはかり方をどうしても変えざるを得ないと思います。と申しますのは、古い車につきましては、現場的に処置しなければならない。新しい車はいろいろの走行サイクルを想定いたしましてやりますので、非常に時間と手数がかかる。しかし、そういうことを検査場の現場で一々長い時間をかけてやるわけにはまいりませんので、できるだけ実用型の機械で、しかもガスも一種類のガスだけはかれる、こういうようなものをいま開発しておるところでございまして、それを使って、できるだけ簡単にはかれるようにしたいということでございます。そういう方法によってやるということと、もう一つ、何%に押えたらいいかということでございますが、これはできる限り新車で出るときに近い値ということを考えております。例としてはドイツの五・五%という線がございますけれども、そういうことも参考にいたしまして、できるだけ低い値できめたいというふうに考えております。
岡本富夫
115
○岡本(富)
委員
輸出車については
公害防止
の浄化装置をつけるけれども、国内で販売するものに対してはそんなものはいいんだというような考えでなくして、これはもう全車にこれをつけるのだ、そうしてこの狭い
日本
の国でこんなに大量の車が出ておるわけですから、もう一度前向きに検討してもらいたい。どこから圧力があるかしらないけれども、そんなものは排してやらないと、
日本
の国の
大気汚染
はなくならない。きょうはこのことを御指摘申し上げておきます。時間がないので答弁はよろしい。 あと五分でしまいですので、通産省の鉱山石炭局ですか、これは私、商工
委員会
でこの問題はがっちりやりますから、きょうはやめておきます。 最後に、先回の当
委員会
におきまして、同僚の山田
委員
からスモン病について質問がありましたが結論がはっきり出ておりませんので、きょうは幸い
厚生大臣
がお見えになっておりますので、スモン病の結論、要するに今
患者
が千三百二十九名、うち死亡者が七十九名、これは三十九年の
調査
でありますが、それがその後、岡山県では十倍近いところの人数が出ておる、こういう病気が出ておる。なお四十一年から四十二年について、厚生省は
調査
団をつくったけれども、その間にもう解散してしまった、こういうような状態で、このスモン病という病気に対する
調査
が行なわれてなく、
患者
は野放しである、こういうことがこの前に山田
委員
から発言されて、そのままになっておりますが、
厚生大臣
、このスモン病についてどういうように取り組むか、これをひとつお聞きしたいと思います。
斎藤昇
116
○
斎藤国務大臣
昨年は国立病院を中心に臨床研究を進めていたのでありますが、いまおっしゃいますように、スモン病は一日も捨てておけない、
住民
の方々の中にも非常に不安が起こっている、集団的に起こっているところもある、また散発的に起こっているところもあるというので、これがはたして伝染するものであるのか、ビールスからくるものであるのか、それすらもわからないという状況で、ことに集団的に
発生
している岡山
地方
におきましては、
住民
の方としては非常に不安に思っておられるわけでありますので、したがって、本年は、
原因
の
究明
と、それから全国の
発生
状況の把握というものを中心にいたしまして、厚生省の
医療
研究助成費で、ひとつ徹底的にやりたい、こう考えております。
医療
の研究費はスモン病に対して三百万円しかございませんので、私はこれではまだ不足をするだろうと思って、科学技術庁の特別研究費を回してもらってやるべく、いま研究を加えております。早々に研究班をつくり発足をいたしたい、こう考えております。
岡本富夫
117
○岡本(富)
委員
では、いま大臣の言われました、早急に研究班をつくる、これが一つ、それから研究費をもっとふやす、こういうふうに解してよろしゅうございますね。 では、きょうはこれで終わりまして、次の機会に……。
赤路友藏
118
○
赤路委員長
米田
東吾
君。
米田東吾
119
○米田
委員
私は、時間が限られておりますから、ごく要点について、二つの問題点をお尋ねしたいと思うのであります。 最初に、簡単なほうから先に質問いたしまして、国鉄当局にお聞きしたいのであります。おいでをいただいておりますので、ひとつお願いいたします。 私は
新潟
第一区の出身でございまして、
新潟
市でございます。御
承知
のように、
新潟
では、
新潟
駅の構内に国鉄の
新潟
運転所がありますし、それから、名称はよくわかりませんけれども、客車の洗車をする施設も併用されてある。 そこでお聞きしたいのでありますが、客貨車区というのですか、そういうところは全国にあるわけでありますし、この洗車というのは相当国鉄当局としても一これには確かに油を、軽油か何かわかりませんけれども、そういうものを使っての洗車もあろうかと思うのであります。いわゆる油の
処理
、そういうものについての
公害
をなくするということについて相当御配慮がなされておるんじゃないかと思うのであります。全般的な問題で恐縮でありますが、この洗車というようなものについて、特に油の
処理
、そういうものを中心にした
公害対策
といいますか、そういうことについては、何か方針なり、あなたのほうで何か当局としての一つの作業要領といいますか、そういうようなものがあると思うのですが、それをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
阪田貞之
120
○阪田
説明
員 国鉄の運転
局長
でございます。 ただいまお話しの車の洗浄につきまして一番油が問題になりますのはディーゼル
関係
の車でございます。これが三十二、三年ごろより急激にふえてまいりまして、ただいまお話しの油がいろいろな面で、川に流れ込んだり、いろいろいたすようなことが事実出まして、これではいかぬということで、三十六、七年にかけまして、部外の専門の先生方にお寄りいただきまして、この廃油の中の油を抜き取る
調査
をいたしました。その結果、昭和三十八年の三月にその研究結果をいただきました。それにはいろいろ項目がございますが、たとえば廃油の
処理
につきましては、薬剤投入とか、そういうものよりも重力式の分離装置がよろしい、またその排水量は、車の洗浄の両数によって、それぞれその排水の量をきめなさい、またそれに伴う排水路も、一般の構内の排水路じゃなくて、そのための排水路を設ける、また分離装置にいたしましてもただ一つではなくて、二つ脱油装置をつける、おもにこういうような研究結果をいただきました。その後、現在この線に沿いまして、ほとんど主要な客貨車区、洗浄するところは全部この装置をつけております。ただいまお話しの
新潟
運転所も、この線に沿って別な排水溝、それから貯水槽も二つ設けまして、ディーゼルがどんどんふえてくることに対して、世間さまに御迷惑をかけないような手を極力打っておるつもりでございます。
米田東吾
121
○米田
委員
新潟
に関する限りは、いまの答弁のようになっておらないように、実は私感ずるのでありますが、それはあとでお聞きするといたしまして、現在
新潟
では一日どれくらいの客車――いまのお話ではそれが主体だというのですが、どれくらいの客車を洗浄しておられますか。そうしてそのために、油はどれくらい使用なさっておられますか。
阪田貞之
122
○阪田
説明
員 油は一がいにはわからない。大体配置両数が二百両ございます。一日に検査、洗浄いたしますのが大体二十両。それで一回に使います一両当たり大体、その情勢によっていろいろ変わりますが、一立米余りの廃水が出まして、その中に油が、これもまた状況によってずいぶん変わりますが、数リットルの範囲で出るかと思います。
米田東吾
123
○米田
委員
相当な量だと思うのでありますが、実はその
処理
が、
新潟
ではどうもいまあなたが御答弁なさったように、たとえば排水溝は別につくるとか、それから分離装置をつくるとか、そういう点についての
処理
が完全になされていなかったように思うのであります。というのは、三月二十九日に、
新潟
地元のほうでは
公害
火災だという見方をしておりますが、そのあなたのほうで洗浄された油を含む汚水の
処理
が不完全なために、
都市
計画にある一般排水溝に全部流出されておって、そしてその排水溝が、表面約二センチぐらいの層で油が一ばい浮いている。たまたまそこに火がついてしまって、そして、資料によりますと、約二メートルぐらいの火が排水溝一ぱい走ってしまって、そのことが
原因
で手がつけられなくて、その排水溝を中心にして両方に住んでおられた市民の方のうちが合わせて五軒、二戸は全焼、三戸は半焼、そういう
被害
を受けて、これは国鉄の怠慢による
公害
火災だ、こういう見方をしておるわけであります。この事件については、皆さんのほうへ報告しておられると思いますが、真相は御理解なさっておられますか。
阪田貞之
124
○阪田
説明
員 ただいま先生の御指摘の件につきましては、警察から、その火の引火状況、並びに国鉄側から、油が漏れた状況、ただいま
調査
中でございますが、その新聞報道のように、国鉄の廃油によりましてこういう火災を起こすようなことに相なりますれば、まことに私どもとして申しわけなく存ずる次第であります。それで、ただいま先生からのお話の、
新潟
の排水溝は、さっき私が申し上げたようになっていないということでございますが、実は
調査
いたしましたが、やはりさっきお話したような、ちゃんと第一槽、第二槽と貯水槽を設けて、それがまた市の下水の排水溝のほうに流すようになっているのでございますので、それがどうしてこういう結果になったのか、
新潟
支社のほうとしても――
新潟
地震のと一時問題がございました。あるいはその後の処置が悪かったのか、また現在排水溝はあるけれども、その保守のしかたが非常に悪いのか、いま
新潟
で
調査
しております。また警察のほうといたしましても、その点明確に、おまえのほうはこういう点が不届きだという御
意見
もいただけるかと存じますが、何せ廃油自体がありますことは、おっしゃるとおり間違いのないことでございます。これは火災になろうがなるまいが、こういう事態があったということに対しましては、私どもとして精密に
調査
いたしまして、そういうことのないように処したいと考えております。
米田東吾
125
○米田
委員
これから精密に
調査
されたっておそいのです。焼けたうちはもとへ戻らない。あなたのいまの御答弁だと、三十八年以降国鉄当局もこういう問題については手をつけられて、専門的に学問的にも検討されている。そしてその答えに基づいて、たとえば専門の排水溝をつくるとか、あるいは分離装置を二つ以上つけさせるとか、そういう
措置
をなさっておられる。それが当然なされておれば、私はこういう事態はなかったと思う。その
原因
をこれから
調査
なさるのはけっこうでありますけれども、こういういいかげんな状態で放置されておるとすれば、私は、全国にある運転所なりあるいは客貨車の洗車の施設というものは、
公害
の
関係
では再
調査
しなければならぬ問題ではないか、こういうふうに思うのでありますが、そんないいかげんなんですか、あなたのほうの仕事というのは。私はそんなことでは困ると思うのです。
阪田貞之
126
○阪田
説明
員 ほかにまだ全国数十カ所ございますが、現在のところこういう問題が出ていないところに
新潟
のこのことが起こりましたので――排水溝も全然別の排水溝をやっておってそういう結果になったので、一つ考えられるのは、結局日常の保守が悪い。それから、あるいは雨水の
関係
もございますし、それからいろいろそのときによります。車両の洗浄の洗浄
内容
が非常によごれていて、平生よりも非常に使う、あるいは計画よりも使うというような面があったのではないかと思います。そういう点のまずさというもの、それが今回そういう御迷惑をかけたことについて反省して、もちろんただいま先生からおっしゃいましたように、これを契機にいたしまして、ほかの、全国に同じような設備を施しておりますので、それらにそういう欠点がないかどうかということは、これはもう直ちに私どもとしても
調査
して、こういうことのないようにしなければならぬ、ただいま即刻手を打ちたいと考えております。
米田東吾
127
○米田
委員
即刻手を打ってもらいますが、あなたのほうの
新潟
の運転所長さんの談話によりますと、洗浄に使った軽油に砂利やさびなどが含まれているので脱油が完全でなかった、こういう談話を出しております。さびなんというのは、もともと洗浄すればさびが出てくるが、砂利というのはどういうことで入ったかわかりませんが、おそらく排水溝に至るところまでの装置で砂利がまざったのかわかりませんが、いずれにしても野外でやる洗浄でありますから、あり得ることであります、これは常態としてどこでも。その常態としてあり得ることが
原因
で脱油がうまくいかなかったというのは、脱油装置自体がこれはインチキではないか。そういうようなことがいま採用されておることについても、これを検討しなければならぬと思うのでありますけれども、私は専門的にはわかりませんが、脱油装置というのは、これはどうなんでしょうか、ものになるのでしょうか。この所長の話だけでは、われわれしろうとでも全然初めから問題にならないものをつけて、そして浄化装置をつけたのだというふうに自己満足なさるのか、あるいは大衆欺瞞をなさるのか、そういうことに結果的になるのではないかという気がするわけであります。これはいかがですか。
阪田貞之
128
○阪田
説明
員 これは一番初めに申し上げましたように、埼玉大学の専門の先生とかあるいは専門の会社の技師、そういうもの全部集まっていただいて、また国鉄側からは技術研究所の専門家が出て討議して、それでこれが一番いいという結果でこの装置を考えたわけでございますが、ただいま御指摘のとおり、砂利とかさびとかいうものが――どうせどこかにろ過器があるはずであります。そのろ過器のところで、そういうろ過器の洗浄清掃があるいはまずかったのではないか、あるいはこういう浮遊物その他に対する除去
措置
がまずかったのではないかということが、先ほど申し上げました、装置そのものよりも、日常の保守面が何か手抜かりがあったのではないかということを、いま
新潟
支社のほうによく調べろと申しつけておるわけであります。
米田東吾
129
○米田
委員
昭和三十九年に
新潟
大地震がございました。御
承知
のとおりでございます。このときもこういう事故がございまして、やはりいまと同じ火事の
原因
になったその排水溝に油が流れておった、そのときには火事にはならなかったけれども、悪臭がするとか、いろいろ環境衛生上困るというので、
住民
が国鉄当局に談じ込んで、そしてその
被害
についての
補償
をさせておる。記録によりますと、千円から千五百円、三十九年当時でありますけれども、
被害
についての
補償
をなさっておるわけであります。そういう一つのできごともあるわけでありますから、普通の管理をやっておるならば、こういうようなことは私はあり得ないと思うのでありますけれども、どうもそこらあたりは、ちょっとあなたのほうでずさんか怠慢か、納得できないのですけれども、いかがですか。
阪田貞之
130
○阪田
説明
員
新潟
地震のときの災害は、地震による亀裂もございましたし、装置そのものが地震によってまずくなりまして、それで廃油が多量に流れて非常に御迷惑をおかけいたしました。ただいま先生からお話しのような
補償
と、それからその後の手といたしまして、そういう排水路を直すとともに、脱油装置をもう一回直しかえまして、それで今日まで至ったわけでございます。
米田東吾
131
○米田
委員
いずれにいたしましても、これはあなたのほうもいま
調査
されているそうでありますが、こういうことでたれ流しにされておったのでは、国鉄周辺の
住民
は助からないわけであります。これこそ国鉄
公害
と言っても差しつかえないと思います。こういう点については、あなたのほうもとかくルーズじゃないかと私は思うのです。汽車に乗せてやっているんだから多少のことはがまんしてもらおう、あるいは、鉄道や駅は請願や誘致によって来たんだから、少しのわがままは認めてもらわなければならぬ、そういうようなことで、
公害
に対する観念というものは、他の一般の
企業
やあるいはそういう機関とは違った観念があるのではないかという気が私はするわけであります。最近はありませんけれども、たとえば国鉄の機関車が吹く石炭のばい煙によって、線路の近くのうちが燃えたなんというのも間々あったわけであります。そういうようなことを繰り返しておりますので、
公害
に対する観念というものについても、どうも私は弱いように思うのであります。十分この問題についてはひとつ
調査
をしっかりやって、こういう
公害
のたれ流しのような――これは軽微で限られているからいいようなものだけれども、そうかといって、これを許しておくというわけにはいかない問題だと私は思います。ひとつ善処してもらいたいと思います。 それから、とりあえずあなたもいま答弁なさっておられますように、
被害者
に対する
対策
というようなものはどんなふうにいま進めておられますか。何か、警察の調べが終わってから考えるというようなお話のようでありますけれども、これはとんでもない官僚的ではないかと私は思うのであります。
原因
というものははっきりしている。かりに
補償
その他の
関係
は残るとしても、十分誠意を尽くしてお見舞いするなり、それから再起についてのめんどうを見るなり、当然私はやってもらわなければならぬ問題じゃないかと思うのです。
原因
をすっかり警察が調べ終わってわかってからなんといっては、
被害者
は今日ただいま困っているわけでありますから、手をつけなければならぬ問題だと思います。 それから、あとの
処理
については、この脱油装置の点検や検査だけでは困ると思うのです。問題の排水溝等についても、やはりあなたのほうで二度と繰り返さないための、いま答弁なさったように、ほんとうに
都市
計画による排水溝なんかに流さないような、専用の排水溝をつくるとか、完全な
処理
をやるとか、そういう処置をこの際早急にやらなければならぬと思うのでありますけれども、その点はいかがですか。
阪田貞之
132
○阪田
説明
員
補償
の問題につきましては、私、実はただいま飛んでまいりまして、また担当でもないので、詳しいことはわかりませんが、従来の例からまいりますれば、まずお見舞い金を考えると思います。それからただいま警察の調べを待ってからということをおっしゃいましたけれども、そんなにひどく、十日も二十日もということはないと思います。その点につきましては、現地の
新潟
支社のほうで、十分
被害者
の方々とお話を申し上げて、御納得のいく線で善処させていただきたいと思います。 それから排水溝の処置につきましては、いま一つは、先ほど重力式装置と申し上げました。化学
処理
よりもそちらのほうがいいというような専門的な話で、上のほうは除去いたしましたが、かりに数%油が残る、そういうことがあってはなりませんので、これに対する化学
処理
をいたしまして、国鉄から最終的に出ていく排水の中に燃焼性のものを含まないように、それの化学処置の方法、ちょっとこれは専門的になりますのでむずかしいと思いますが、即刻やる。それから新聞にもちゃんと書いてございますが、ふたをしっかりつけて、大雨のときに雨水や何かがあふれて、それがまた近所の方に御迷惑をかけるということのないようにする。それからろ過器のみならず、全部に、側壁にきたない油が付着いたしまして、それが重なり重なって流水が悪くなったり、計算的にはある流水があるはずなのが、保守が悪いために流水量が減ってあふれるということがありますので、そういう保守面の整備をしっかりやらすようにいたしたい。これは念のために申し上げますが、単に
新潟
のみでなく、全国にありますものを、これを教訓にいたしまして、全国的に処置いたしたいと考えております。
米田東吾
133
○米田
委員
ぜひひとつそういう誠意のある処置を、しかも迅速にやっていただかないと、またあとで
補償
の問題や何かでよけいなトラブルや対立が
被害者
と起きても困りますから、今後こういうことを再び繰り返さないためにも、いま御答弁なさったような趣旨で、親身になって早急にひとつ処置をしていただきますように、なおこの処置にあたっては
新潟
市等との
関係
も出てくると思いますけれども、ひとつ国鉄当局は能動的に処置をされるように、御要請申し上げたいと思います。国鉄当局はこれでよろしゅうございます。 次に私、厚生省並びに通産省、それから後半におきましては文部省の
関係
も出てくると思うのでありますが、お聞きしたいのであります。 実は
新潟
市の一般的に山ノ下
地域
といわれる工場
地域
の
大気汚染
、いわゆる
公害
の問題についてでございます。私は社会党の
公害
の点検
調査
団として、実はこの間現地に行ってまいりまして、この
地域
がいかに
被害
の甚大な
公害
地域
であるかということを見てまいったわけであります。そういう立場で、これから御質問を申し上げたいと思うのであります。
新潟
県は産業の面でおくれておる後進県といわれておりまして、とかく
公害
の
関係
は関心が薄かったのでありますけれども、その中でも、この
新潟
市の山ノ下
地域
というのは工場が集中しておる
地域
でございまして、実はここでは前から
公害
の問題はございました。一番最初に出てきたのは地盤沈下の
公害
でございます。その後
大気汚染
等の問題が大きな
公害
の問題になりましてから問題になりましたのは、ばいじん、亜硫酸ガス、あるいは悪臭、それから震動、さらにここに飛行場がございまして、飛行場
騒音
、最近では、
公害
源のあらゆるものがここに集中しておるような
公害
地帯でございます。ただ、いろいろ県等でも測定をやっておるようでありますけれども、
基準
を越える強い
被害地
域ということにはなかなかならない。総体的に
公害
の
被害
は大きいけれども、
大気汚染
の
原因
になっておる亜硫酸ガスにしても、あるいはばいじんにしても、個々の測定ではなかなか
対策
を必要とするような重症
地域
にはならない、こういうようなことで、一般的に
対策
がおくれておったところでございます。したがって、ほとんど
公害対策
というようなものは、県や市が最近ようやく少し
調査
活動
をやって動いておる程度でありまして、
対策
としての
対策
はないのでありますが、しかしこの
地域
がいわゆる
公害
地域
である、しかも
大気汚染
のひどい
地域
だということについては、厚生省当局もあるいは通産省等におきましても、リストに載っておるところではないかと私は思うのです。そこで、専門的にこの山ノ下
地域
を
承知
なさっておられる厚生省や通産省の当局から、この山ノ下
地域
というのは一体どういう状態のところであるか、皆さんのほうで持っておられる資料によるところの診断を、ひとつ最初に聞かしていただきたいと思うのです。
武藤琦一郎
134
○武藤(琦)
政府
委員
いま先生のお話の
地域
でございますが、この
地域
は厚生、通産両省で四十一年の十一月に、いわゆる
指定地域
、旧ばい煙規制法、現在の
大気汚染防止法
でございますが、それの
指定地域
として
指定
をしております。したがいまして、おそらく
指定
される前から
公害
問題が起きていたことは推察のできる問題でございます。最近
新潟
県のほうでこの
地域
の詳しい
調査
が行なわれて、報告が来ておりまして、それによりますと、いわゆる降下ばいじんが月に、地区平均としまして約十六トンでございます。この十六トンと申しますのは、大体
日本
におきます最
汚染
地域
といわれております川崎市等よりはもちろん低うございますけれども、大体東京地帯の平均だとわれわれは思っております。したがいまして、降下ばいじんにつきましては、かなり高いのではないか、かように考えます。それから亜硫酸ガスでございますが、これは最高が〇・〇三でございまして、月平均〇・〇一でございまして、亜硫酸ガスにつきましては、これは先般、いわゆる最低限の環境
基準
としてきめました〇・〇五よりも下回っておりまして、この点は一応安心できるのではないか、かように考えております。そのほか、おっしゃいましたように、臭気等も、パルプ工場があるようでございまして、いろいろ
住民
の不満があるようでございます。
米田東吾
135
○米田
委員
いま示された月平均というのは、具体的には何年の何月の平均でございますか。
武藤琦一郎
136
○武藤(琦)
政府
委員
四十年の十一月から四十二年の七月までの平均が〇・〇一で、最高値としまして、〇・〇三が出ましたのは、四十年、四十一年のそれぞれ十二月の月でございます。
米田東吾
137
○米田
委員
ばいじんの十六トンはそうたいして違いがないのですけれども、亜硫酸ガスの平均〇・〇一PPMですか、いまのお話では。
武藤琦一郎
138
○武藤(琦)
政府
委員
失礼いたしました。平均〇・〇二でございます。
米田東吾
139
○米田
委員
〇・〇二ということで修正されましても、私も手元にありますが、
新潟
県の企画部の
公害
課で出した測定資料からいきますと、ちょっと低いように思うのでありますけれども、あなたのほうの
調査
の根拠になっているのは、私が持っているのと同じじゃないかと思うのでありますが、間違いありませんか。
武藤琦一郎
140
○武藤(琦)
政府
委員
私どもが最近手に入れました、企画部で編さんしております、山ノ下
公害対策
報告書、四十三年三月の、このものでございます。
米田東吾
141
○米田
委員
わかりました。この測定の結果は、いずれあとで照合してもよろしゅうございますから。ただ私は、問題なのは、こういうふうにばいじんにいたしましても十六トン、それから亜硫酸ガスにしても平均が〇・〇三ないし〇・〇二、こういうところでありまして、厚生省が持っておられる今回出されましたこの亜硫酸ガスの
基準
、あるいは降下ばいじんなんかに対しましての
基準
なんかとにらみ比べますと、直ちに
対策
を必要とするというところにはならないかと思いますけれども、総体的にここは実は
公害
が集中しているのです。こういう総合的に、よそにはあまり例がない、こういう
地域
についてもっと
政治
的に何か、厚生省なりあるいは――これはやはり厚生省にならざるを得ないと思うのでありますが、
行政
的な指導ができないのか。それから通産省等におかれましても、個々の
企業
に対してもっと強い指導ができないのか。私はこの
地域
に住んでおるのでありますけれども、特にここは特定重要港に
指定
された商業港、
新潟
西港にずっと付帯をしております。したがって
公害
源は、船が入るたびに亜硫酸ガスをまいたり、あるいはいま石炭の船だって入ってきますから、ばいじんもやはりまき散らしておる。それから県の
調査
なんかになかなかデータとして載っておりませんが、ここにはたとえば東北特有の練炭の製造工場がある。冬季使う練炭ですね。これがまたものすごいばいじんを振りまく。そういうようなものが総合いたしまして、とにかくここは有名なくらいの
大気汚染
の
地域
なんです。私ども何かこれはひとつ方法がないものかと思っておるのでございますけれども、専門的に皆さんのほうで、この山ノ下
地域
について、こうしたらいいんじゃないか、何かそういうものを持っておられませんか、お聞きをしたいと思います。
武藤琦一郎
142
○武藤(琦)
政府
委員
私が先ほど数字をあげて御
説明
いたしましたように、降下ばいじんは、決してこれは安心できる数字、安心といいますか、いわゆる少ない数字であるということは、先ほども申しておらないのでございますが、この点につきましては、県当局も、
関係
企業
のほうには集じん機をつけるように指導しておりまして、現在その設備が進行中のはずでございます。先ほどお示しいたしました先生が御所有の資料にも、その点は明記してありますので、この点は、やはり降下ばいじんにつきましては集じん装置を早く取りつける、それからその推移をよく見守るということが必要かと思います。ちなみに十六トンと申しますと、東京で言いますと、神田あるいは渋谷等、都心に近いところでございまして、決してきれいなところではございません。それから亜硫酸ガスも、環境
基準
の〇・〇五よりももちろん下回っておりますが、この報告書にありますように、三十九年から見ますと、わずかずつながらこれは高くなっておりまして、この点もやはりある程度よく推移を見守る必要があるということでございます。
米田東吾
143
○米田
委員
集じん機の取りつけということについての御答弁をいただきましたが、この間行きましたときも、県はそういうことを言っておられました。指導しておられる。ただそれは、比較的そういうことが可能な
企業
は、県のそういう
行政
的な要請にこたえてやっておられるけれども、中小
企業
やあるいは
公害
をまき散らしておる小
企業
等についてはなかなかこれはできない。何とかそういう点について、ひとつ国あたりからでも、助成の面やあるいは何らかの方法で考えてもらうことができないのかというようなことも訴えておられる。たとえば
日本
鋼管あるいは電気工業、あるいは旭カーボンというようなところについては、それぞれ
企業
努力で、たとえば開放炉を密閉炉にするとか、あるいは集じん機をつけるとかいろいろ方法を講じておられるようであります。しかし、ばい煙の
発生
源、一番多いと思われるような練炭工場あるいは中小のいろいろな
企業
なんかについては、なかなかそれができない。データの面では、いま読まれましたような数字になって出ておると思いますが、この
地域
は特に風向きの
関係
、それから
新潟
というのは北陸特有の、からっとした天気の時期はあまりない、いつでも曇っておる、雨が多い。そういうものと、
大気汚染
源になっているばいじん、亜硫酸ガスというものは決していいようには
関係
しない、そういうようなことから、
基準
だけではなかなか処置できないような面がたくさん実はここではあるわけです。もう少しきめのこまかい指導というものがなされていいんじゃなかろうかと実は思うのでありますけれども、どうも抽象的な質問でありますけれども、どうでございましょうか。
武藤琦一郎
144
○武藤(琦)
政府
委員
おっしゃいますように、大
企業
はそれぞれいろいろな資力その他において、中小
企業
と比べてやりやすいわけでございますが、中小
企業
等におきましては、これは単にいまの地区のみならず、各地でいろいろ問題になっているわけでございます。御
審議
いただきました本年度の予算につきましても、中小
企業
につきましては、
現行
よりもさらに利率を引き下げて四月から実施する予定でございますので、こういう点もよく県と相談いたしまして、あるいは通産省ともよく御相談いたしまして、指導をいたしたい、かように考えております。
米田東吾
145
○米田
委員
それからいま一つ、ここで、臭気の
関係
でやはりお聞きしておきたいのでありますが、先ほど岡本
委員
から臭気についての相当突っ込んだ御質問が展開されました。ここに北越製紙という臭気の
発生
源になっている
企業
があるわけであります。それからもう一つは、
新潟
港はシベリアからの材木の輸入港であって、集積地も、
新潟
港周辺にたくさん貯木場ができておる。この山ノ下
地域
にもそういう貯木場があるわけでありますが、その貯木に、私はよくわからぬのだけれども、防腐剤というものを使って、そうしてそれがまた一つの臭気の
発生
源にもなっている。製紙のパルプから出てくる臭気ですね。あともう一つ、これは特異なのでありますけれども、こういう
地域
にまた
新潟
市のし尿
処理
場がある。これはまた別にあれしますけれども、化学的なカーボンあるいは貯木の防腐剤、そういうようなものについての臭気を測定したり、あるいはこれを脱臭するあるいは防臭する、そういう
措置
については、聞くところによれば、なかなかこれはおくれておるし、臭気の
発生
源すらまだ十分科学的につかんでおらない段階だというようなことも聞いておりますけれども、現在どういう取り組みがなされておるのか、この点についてもお聞きしておきたいと思います。
武藤琦一郎
146
○武藤(琦)
政府
委員
悪臭の問題につきましては、県当局で本年度実態
調査
をやるように聞いておりますので、厚生省としても、何らか予算的な援助ができるのではないかと思って、現在検討しております。
米田東吾
147
○米田
委員
それから、この
地域
に東北電力の
新潟
火力発電所があるわけであります。現在は五十万キロワットアワーの発電能力を持って運転しております。これが
新潟
市の亜硫酸ガスの
公害
の八〇%の
発生
源だといわれておるわけです。これがことしの九月になりますと、新しい二十五万キロワットの第四号炉が稼働する、運転するという事態になっておるわけであります。現在は五十万キロワット、炉は三つであります。今度一つでありますけれども、二十五万キロワット、これが九月以降通帳を開始するわけでありますが、そうなりますと、亜硫酸ガスの量というものはさらに私は拡大するだろうと実は思うのであります。この間この東北電力の発電所にも行ってまいりましたけれども、やはり
企業
としても、ガスの量を下げるということについての努力はしておるようでありますが、通産当局としても、この
新潟
火力発電の四号機の完成、稼働にあたって、
公害
上何か指導なり
措置
なりがなされておりますか、その点ひとつお聞きしておきたいと思います。
矢島嗣郎
148
○矢島
政府
委員
一般的に申し上げまして、火力発電所を増設するにあたりましては、電源開発調整
審議
会の
審議
を経まして、さらに具体的には、電気事業法に基づいて許可するわけでございますが、その際におきましては、火力発電所が完成した暁において、当該地区の
大気汚染
に対してどういう影響があるであろうか、非常に悪影響があるかあるいは環境
基準
をオーバーするおそれがあるかという点については、十分慎重に検討した上で許可することに相なっておるわけでございます。 御質問の東北電力の
新潟
火力第四号機、二十五万キロワット、本年九月稼働開始につきましては、その電源開発調整
審議
会の
審議
なりあるいは電気事業法に基づく認可に際して、十分検討しておりまして、使用重油は二・二%をたくということで、完成時において
新潟
地区の環境
汚染
について非常な悪影響はない、具体的にいえば、環境
基準
をオーバーするようなことはないということでもって、これを認可したわけでございます。 それで、
現状
は先ほど厚生省のほうからお話がありましたように、一番高いところで年間平均値〇・〇二PPMということになっております。これが
新潟
火力第四号機完成の暁にどれだけになるか、正確なことはわかりませんけれども、われわれとしては、環境
基準
の〇・〇五PPMをオーバーすることは絶対ないと確信しておるわけでございます。しかしながら、完成時におきまして、その他の中小煙源による複合
汚染
ということも考えられるわけでございますから、そのときの環境
汚染
を再度十分チェックいたしまして、もし万一この
新潟
火力四号機が
原因
となって、重大なる亜硫酸ガスの
汚染
を生じておるという事態がわかりました際におきましては、使用燃料の低下その他の
措置
を講ずる考えでございます。
米田東吾
149
○米田
委員
わかりましたが、おそらく東北電力自体も、この環境
基準
が示されておりますから、これをこえるようなことは
企業
みずからやらないだろうと思います。また山ノ下
地域
には、県の
公害
課の測定機能が二カ所か三カ所あるように聞いておりますから、相当県自体も
調査
をされて測定をされておると思います。ただ私、問題なのは、環境
基準
はこれは
基準
でありますけれども、要するにこれは最低
基準
というか、厚生省としては一つの最低
基準
として出されたと思いますけれども、〇・〇五PPMにならなければよろしいということで、こえたら処置をするということでは、実は特に山ノ下のような総体的に
大気
が
汚染
されているような
地域
については、これは何かこの
基準
の盲点だと思いますけれども、方法を考えて、やはりこの硫黄の量を下げてもらうような、そういう
行政
指導というものはなされてもいいんじゃないか、こういうふうに実は思うのであります。いまたいている重油の硫黄の含有量は、私が聞いたところでは二・六%だ、これは二・二%程度に下げる用意があるんだということを言っておられました、
企業
自身が。しかしこの大井における東京電力の低硫黄というようなああいう
企業
努力によって、ああいう努力もなされて、ガスの少ないこの努力をなさっておられるわけなんでありますから、山ノ下というような気象
条件
がまず悪い。それから総体的にばいじんや何かで
大気
が
汚染
されている。そこにもう
基準
すれすれの亜硫酸ガスの
汚染
がなされる。こういうことになりますれば、私は、そのときになったら
対策
するといっても、もう手おくれじゃないかという気がするわけであります。したがって、四号機の稼動にあたっては、もう少し思い切った当局としての、もっと硫黄の量の少ない低硫黄の重油をたけとか、あるいは、あの
新潟
の火力というのは、いまの
新潟
で出ておりますガス――もともと燃料は重油ということよりも、ガスを燃料にする設計で出発をしたんだというようなことを言っているわけであります。そういうものについて転換をさせるとか、そういうようなことは
行政
指導としてはできないものかどうか、その点あたりはいかがでございましょうか。
矢島嗣郎
150
○矢島
政府
委員
先生の最後の御質問からお答えいたしますが、先生のおっしゃるとおりに、
新潟
火力というのは、そもそも
新潟
地区において豊富に出ている天然ガスを使う、大部分天然ガスを使うということで出発したわけでございまして、現在におきましても、天然ガスを火力発電所で使うということができれば、本来の
目的
にかなうわけだし、
新潟
地区の産業の振興という観点からも、最も望ましいことは言うまでもないわけでございます。われわれとしても、基本的にそういう線を捨てているわけではないのでございますが、先生また別な意味で御
承知
のとおりに、天然ガスにつきましては、予想された供給力が必ずしも期待どおりに出なかった。反面、
新潟
地区においては、この天然ガスを使う化学工業の急速なる
発展
等ございまして、東北電力が当初の設計上予定しておりました天然ガスの供給が、実際問題として期待できなくなった。むしろ火力発電所は重油を使っても動かせる。しかし他方、天然ガスを
目的
としたいろいろな化学工業は天然ガスを使わなければやっていけない。やっていけないということは、
新潟
の地元産業の
発展
にならないというような
関係
で、やむを得ず、東北電力の火力発電所は重油専焼に近いような形でやっているわけでございまして、その点まことに残念でございますが、そういう事情もあるので、できれば天然ガスを使いたいけれども、
現状
においては重油を中心としてやっていかざるを得ない、こういうのが実情でございます。
米田東吾
151
○米田
委員
時間もありませんから、またあとで十分私も勉強して、よくお聞きしたいと思いますが、いずれにいたしましても、山ノ下のこの
大気汚染
地域
につきましては、特別な関心を、ひとつ厚生当局も通産当局も持っていただきたい。 次に、文部省から来ていただいておりますので、もう時間がありませんが、かいつまんでお聞きしたいのでありますけれども、いま私が御質問いたしましたことをお聞きいただいておって、
新潟
の山ノ下地帯というものはどういう
公害
地帯であるか、大体おわかりいただいたと思うのでありますが、しかし
公害
の、しかも亜硫酸ガスあるいは
大気汚染
の測定によりまして、等量線では一番強い値が出ているところに、東山ノ下小学校という、約千四百名近い小学校があるわけです。これは地元でも、学校の子供でも、カラスの学校、カラスの学校と呼んでいるわけです。ばい煙で校舎が全部まっ黒になっている。そしてもう一つ悪いことには、その学校のすぐ隣が市のし尿
処理
場になっている。これはじんあいとふん尿の
処理
をやっているわけです。臭気がたいへんなんであります。加えて東北電力から出るところの亜硫酸ガスが、大体その上空をいつでも、あれはどういう
関係
でしょうか、そこだけエアポケットみたいになって、空気があまり動かないのですね。そういうようにところにあるわけでありまして、亜硫酸ガスの測定においても、そこは一番高いというところなんです。そういうところに小学校があるわけなんです。そこの校長が、
公害
の中に戦っておる子供の――これは教師から父兄から子供から、
公害
と戦いながら勉強しているわけですが、その記録を出版して、これはおそらく全国の
公害関係
者には届いている資料じゃないかと思うのでありますが、そういう最も悪い環境の中に東山ノ下小学校があるわけです。私、時間があったらもう少し詳しく実は御質問をするつもりでおったのでありますけれども、この間その学校にも行ってまいりまして、校長から直接いろいろ話も聞いてきました。そしてまたこの資料ももらってきたのでありますが、この東山ノ下小学校の
公害
状況というものを、何かあなたのほうでも二回くらい
調査
に来ておられるそうでありますから知っておられると思いますが、いかがでございましょう、どんなふうに把握しておられますか。
菅野誠
152
○菅野
説明
員 文部省の施設部長でございます。 ただいまのお話の、
新潟
市東山ノ下小学校の
公害
につきまして、報告を受けております。三十七学級の児童数約千五百六十六名、建物面積が七千三百二十四平米というような、かなり大規模な小学校でございます。この子供たちが
公害
で非常に苦しんでいるという話も聞きました。また現実にも、いまお話しのようにいろいろな複合した
公害
を受けておるということで、この学校は御存じのような
新潟
市立の学校でございますから、直接的には、
新潟
市がいろいろまたその学校と相談いたしまして、
公害対策
を講ずるわけでありますが、四十二年度において、さしあたり一年生の教室六教室に、空気浄化装置とクーラーを取りつけて、
公害防止
工事を実施しております。それから四十三年度において――この年から公立文教施設整備の中に
公害対策
の予算を組んでいただいた
関係
もあるわけでございますが、四十三年度におきまして、二年生、三年生の教室十二教室と特別教室の二教室、合わせまして十四教室に、国庫補助の事業といたしまして、防止工事を実施いたしました。しかしこれが全部でございませんで、なお残りがあるわけでございます。残りについては、昭和四十四年度に実施する計画のように聞いておりますが、これは御存じのように、まあきのうからといいましょうか、予算が今年度の予算になりますので、補助の申請は五月末日までに文部省に参ることになっておりますので、市のほうから県の教育
委員会
を通じまして、五月末日までにその補助申請が出てまいりますれば、できるだけ、ただいまのような
公害
の
地域
でございますので、精査いたしまして善処いたしたい、かように考えております。
米田東吾
153
○米田
委員
お聞きいたしましたけれども、実は学校へ行ってみたり、校長の話を聞いたり、教師と話をする段階で私どもわかったのでありますけれども、もともとこれは学校を置く場所でないというんですね。学校ができたのは昭和二十五年、その後
大気汚染
の――あるいは
新潟
のし尿
処理
場なんかもその後であります。工場がその周辺にどんどん寄ってきた。前からあったのもありますけれども、特にひどくなったのは学校ができたあとなんです。したがって、こういう経過にかんがみまして――
企業
がどこかへ行けば一番いいんだけれども、いまそんなことを言ったって、なかなかできっこない相談です。したがって、思い切って、これは
新潟
市立であろうと、文部省のほうで力をかして、学校を移転させるということが手っとり早く最良の方法ではないか。しかもこの
地域
には、通学の校区をあまりずらさぬでも、適地があるわけであります。私は具体的には申しませんけれども、皆さんがその気になって、市と文部省が力を合わせれば、手近なところにもっと環境のよい場所がある。あそこは海岸でありますから、砂丘地帯もあるわけでありまして、おそらくいまある学校の位置から半径五百メートル以内のところに適地を求めることは可能だと私は思います。そういうような
条件
もありますので、多くのことは申し上げませんが、これはもうもともと学校を置く場所でありません。昼間における照明施設をつくったり、あるいは浄化装置をつけたり、私も聞いてきましたけれども、こんなことでは全然問題にならないわけです。私はあの学校を見まして、ほんとうに
公害対策
というものについての
政治
がないということを、実はしみじみ感じてまいりました。できれば思い切って
解決
するために、学校ぐるみ、どこか適当なところに移転をさせる、こういうことでひとつ検討をいただけないかどうか。これはまあ唐突な質問でありますけれども、ひとつお答えをいただいて、前向きで取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
菅野誠
154
○菅野
説明
員 ただいま学校移転の可能性及びその検討の余地等について御質問がございましたが、もちろんこの
関係
は、設置者が
新潟
市でございますから、市のほうと十分打ち合わせる必要はあると思いますが、その可能性はないことはございません。現に
公害
のために学校を移転する場合に補助金を出した例もございますから、市がそのような方向において前向きの
姿勢
で申請してまいれば、相談の余地はあります。こちらとしても、ただいまの御
意見
を伺いまして、市のほうと十分
意見
の調整をして話し合ってみたい、かように考えております。
米田東吾
155
○米田
委員
ぜひひとつ、いまの御答弁を私そのままお聞きをして、私も帰りまして、市のほうとも十分話をしたいと思いますが、前向きで検討をいただきたいと思います。 なおまた、あとの質問はあとの
委員会
でさしていただきたいと思います。これで終わります。
赤路友藏
156
○
赤路委員長
工藤良平
君。
工藤良平
157
○
工藤
委員
私は、カドミウムの問題につきまして、後ほど
山口
委員
のほうから御質問がありますから、関連のほうが先になるわけでありますけれども、先般からの問題を取り上げまして、その後の中間的な問題の取り上げ方になりますけれども、一応お伺いをいたしたいと思っております。 実は、厚生省からカドミウムによる環境
汚染
に関する見解と今後の
対策
というのが出まして、実は
地方
紙には大分県の奥岳川の問題が出ておりませんでしたので、何かそでにされたような、たいへんこの
地域
では心配しておりまして、来週知事が直接厚生省のほうに上ってくるそうでありますから、あらかじめ厚生省のほうでも、その点については、県側に対して十分その考え方を明らかにしておいていただきたいと思うのです。 昨年の九月の
委員会
で取り上げまして、その後、県それから厚生省、農林省、通産省、それぞれこの問題に真剣に取り組んでいただいたわけでございますが、その後の経緯について、これはいつごろまでにこの
調査
がまとまるのか。その点について、厚生省のほうからまずお伺いをいたしたいと思います。
武藤琦一郎
158
○武藤(琦)
政府
委員
先般、私どものほうで三
地域
についての発表を行なったわけでございますが、大分の問題につきましては、同時にやる予定ではございましたが、
調査
の結果の分析について若干おくれておりました
関係
で、発表ができなかったわけでございまして、いずれ五月上旬には、三
地域
同様、発表ができると考えております。
工藤良平
159
○
工藤
委員
厚生省自身として
調査
をやらせたのか、あるいは県に依頼をして
調査
をやったのか、その点お伺いをしたいと思います。
武藤琦一郎
160
○武藤(琦)
政府
委員
大分県の問題につきましては、実は先ほど申しましたように、若干三
地域
よりもおくれて実は
調査
を始めた
関係
で、今回間に合わなかったわけでありますが、厚生省は公衆衛生協会に委託をして、公衆衛生協会のほうで、学者が三
地域
と同じように
調査
をやったわけでございます。
工藤良平
161
○
工藤
委員
この報告書の末尾にあります付記の中の、大分県奥岳川についてはクロスチェックが完了していないので、今回の発表から除外している。そのチェックが終わりますと発表できる、その時期は五月の上旬くらいになるだろう、こういうようにお話のようですが、そういたしますと、その厚生省の
調査
と、それから県からも報告が来ておると思いますが、一体どのようなものをチェックしていくのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
武藤琦一郎
162
○武藤(琦)
政府
委員
県自体としましては、十月から十一月にかけて、川の水とそれから水産物の一部につきまして
調査
を実施したようでございまして、この点につきましては、先ごろ厚生省にも結果が参っております。
工藤良平
163
○
工藤
委員
私、先般党の
調査
団で、この中間的なデータを県からいただいたわけでありますが、県のほうでは、これは四十三年の七月二十二日に
公害
パトロールで採取をいたしました三つのサンプルの中から多量のカドミウムが検出されたということを、実はこの
委員会
で私が取り上げまして後に発表いたしまして、たいへん大きな問題になったわけでございますが、その後十月の三日とそれから十一月の八日のこの
内容
というものは、私いただいているわけであります。通産省もたしか十一月に福岡の鉱山保安監督局が
調査
をいたしたと思いますけれども、その点確認をしておきたいと思うのです。
下河辺孝
164
○下河辺
説明
員 通産省としましては、福岡の鉱山保安監督局が主体になりまして、十一月四日から十日の間、豊栄鉱山及び奥岳川本流の
水質
の
調査
を実施いたしております。
工藤良平
165
○
工藤
委員
これはいま県のほうに
調査
をやらしておりますけれども、たしか私が現地に入っておりますときに、通産局のほうから見えておったようでございますけれども、この十一月八日の
調査
結果というものが、工場そのものも、施設をたしかこの前後にやっておると思いますが、坑内水の中に含まれておるカドミウムの量を見ましても、非常に急激に少ないわけであります。これは
原因
がどういうことかと、私もこの数字をもらいましていろいろ検討してみているのですけれども、当時私が参りましたときは、ちょうど台風の直後に参りました。まだ水量の非常に多い日であったわけであります。鉱山のほうでは採鉱その他作業を中止しておりまして、沈でん池の改修等をやっておった事実を私は確認をしているわけでありますが、もし台風直後のまだ水量の多いときの結果というものがこのデータの中に入ってくるというと、数字そのものが非常にゆがんだものになるのではないだろうか、私はこういうふうに考えるわけですが、その点、いつ幾日に採取をしたということが、もしわかっておれば明らかにしていただきたいと思います。
下河辺孝
166
○下河辺
説明
員 監督局といたしましては、問題になりました時点以降でございますね、八月それから十月、それからまた十二月におきまして、数項目にわたりまして、鉱山側に改善の指示を行なっております。 その
内容
をちょっと申し上げますと、主としまして水素イオン濃度をもっと高めて徹底した中和
処理
をする。それから水素イオン濃度の自動測定装置をつくらせる。あるいは自動警報装置を設けさせる。またさらに、坑内水が多うございますから、その水を減らせるように、坑内のセメント注入をやらせる。あるいはまた堆積場に入ります水を少なくするために、山腹水路、非常水路というようなものを設けさせる。またさらに第三堆積場というものを使っておりましたが、それをやめまして、第二堆積場を新しい堆積場に、沈でん物の堆積をさせるというような
措置
をやらせたわけでございます。したがいまして、先生いまおっしゃいましたように、十一月の
調査
当日、採水をしたときに、はたしてどこの選鉱場あるいは鉱山が作業を休止しておったのか、私ただいまはっきり申し上げることはできないわけでございますけれども、鉱山に対しましてもこのような
措置
をとっておりますし、鉱山側もかなり積極的に
対策
を講じておるという結果からも、かなり
水質
が改善されているのではないかというように考える次第であります。
工藤良平
167
○
工藤
委員
確かに御指摘のように、何回か勧告をしていただきまして、鉱山側もたしか十一月の初めに施設を実施されたと思いますから、私は十一月八日の、この中に含まれておるカドミウムをはじめとして重金属類の率が非常に低いということは、理解できるわけであります。たださっき申し上げましたように、私も台風直後であったという記憶がありますので、ちょうど通産局がいま来ているという時点に、私も一緒になりました。そのことは、もしもこれがチェックをする過程の中で参考になるとするならば、非常に大きな問題になりますので、その事実をひとつ確認していただきたいと思う。私のほうも県を通じまして、その雨量その他の問題については、また資料として提示をいたしまして、参考にしていただきたいというふうに考えているわけであります。 厚生省に実はお伺いをしたいわけですが、地元の町村が大分大学の志賀研究室に依頼をいたしまして、これは四十三年の六月からずっと何回かにわけまして、ある定点をきめまして、
調査
をいたしているわけでございますが、この
調査
によりますと、たとえば宇田枝井路あるいは昭和宮三井路の取り入れ口における
水質
のカドミウムの量というものは、
水質
基準
よりも相当高いものが出ているようであります。したがって、このような資料をあわせて参考にされるのかどうか、その点をひとつ聞いておきたいと思うのです。
武藤琦一郎
168
○武藤(琦)
政府
委員
昨年の六月に取水をされたデータについて、いわゆる
基準
よりも高い数字が出ているけれども、こういう点をいろいろ総合
判断
上参考にされるか、そういう御
意見
でございますが、厚生省が、三
地域
と同じようなことで、昨年の秋に取水をいたしました時期と時期は違いますけれども、厚生省が行ないました結果を総合的に
判断
する場合の一つの参考のデータとして考えたい、かように考えております。
工藤良平
169
○
工藤
委員
この点については、問題として取り上げます以前に、非常に高い関心を示しておりましたが、その結果というものは後ほど出たわけですけれども、工業試験所の七月二十二日の
調査
と、この大分大学の志賀研究室の
調査
結果というものは非常に貴重なものになるのではないだろうか、私はこういうように思いますので、ぜひこの点については、厚生省の見解をまとめる場合に参考にしていただきたい、こういうように思っているわけであります。 それから次に、これは農林省の方にお伺いをいたしたいわけでありますが、これは他の
地域
と私比較をして見ているわけでありますが、奥岳川の場合に、水稲の
被害
が非常に大きいし、また麦の
被害
が大きいわけでありますが、この中で県の
調査
結果の報告を、中間報告ですけれども、見ますと、亜鉛の濃度が非常に高い。こういうことから、それが水稲の
被害
の主たる
原因
ではないかということがいわれておるわけでありますが、これについての農林省の見解をひとつ伺っておきたいと思うのです。
井元光一
170
○井元
説明
員 御指摘のように、また先生よく御存じのように、四十年に農地局が行なった
調査
によりますと、
被害
面積が二百町歩前後でございます。その前に、また先生がよく御存じの、農地局による鉱毒
対策
事業というもの、これは科学的に全部
調査
したわけじゃございませんけれども、こういう事業をやればおそらくある程度はとまるだろうということを推測をいたしまして、二十七年から三十年の四カ年にわたりまして、六千八百万円で鉱毒
対策
事業をいたしました。これはいまでは非常に
被害
が出てまいりまして、これも効果が十分ではないわけです。現在、県で中間報告がありました。この県の報告
内容
から推察いたしますと、水稲の
被害
の
発生
が水口において非常に顕著である。それから収量と収量構成要素との
関係
から見ますと、穂長の短小化、一穂もみ数の減少、登熟歩合の低下、玄米の千粒重の低下等によって収量の低下が生じたと考えられる。それから、そのほか、水稲
被害
の主因は、長谷緒井路
関係
は砒素、宇田枝及び宮三井路は亜鉛ということが推定される。 農林省といたしましては、こうした分析はまだいたしておりませんけれども、これらの中間報告から見て、大体そういうふうに推定しております。 現況は以上でございます。
工藤良平
171
○
工藤
委員
農林省として、土壌中の最大許容濃度といいますか、これは
一定
の
基準
というものがあるだろうと思うのですが、亜鉛、硫酸亜鉛あるいは硫酸銅で、
基準
があればひとつお聞かせをいただきたいと思います。
井元光一
172
○井元
説明
員 砒素は一〇PPM、それから亜鉛は五〇、銅が四〇でございます。
工藤良平
173
○
工藤
委員
そこで、これは県の報告で、農林省にすでに入っているかどうかわかりませんけれども、たとえば長谷緒井路では亜鉛が三四〇PPM、宇田枝井路のかかりでは一番高いところで二四二〇PPM、こういうように非常に高いわけであります。もちろん、他の硫酸銅等につきましても同じように非常に高い濃度を示しておるわけで、これについては、私ども
調査
の結果を見まして非常に驚いているわけであります。もちろん、これが人体に及ぼす影響というものはまだ想像もつきませんけれども、しかし、これだけのたいへんな濃度のものが土壌の中に、しかも二十七年から四年間の間に、天地返しをやって土壌改良事業をやった後も、またそういうものが新たに積み重ねられてきている。農民の健康にとってもたいへんな問題でございます。また農業経営にとっても非常に深刻な問題でございますので、この点について、異常な濃度でございますから、農林省として、本格的に
調査
をされる意思があるかどうか、もしあるとすれば、どういうような計画でやられるか、その点も、できれば明らかにしておいていただきたい。
井元光一
174
○井元
説明
員 ただいま先生御指摘のように、これは県からの報告でございますけれども、非常に収量の悪いところ十カ所あたりの収量の抽出でございますから、これがすべてとは申せませんけれども、あるところは三分の一くらいの収量でふる。非常に影響のあるところも確かにあるわけでございますが、私どもは、昨年九月、先生が
委員会
で御指摘になった以後・まだ科学的な
調査
も何もいたしておりません。県の御報告というものもありますけれども、それを待たずに、何とか
調査
費をとってその
対策
を講じようと努力してまいりましたが、四十四年度といたしましては、
調査
期間
一年を目途といたしまして、約五十万円を予算に計上したわけであります。これは一般
調査
でございまして、またこのほかに、全国的の
調査
といたしまして、二カ年にわたって耕地
関係
を
対象
にいたしまして、施設をどういうふうにすればいいか、こういうような
調査
も同時に予算を計上してまいったわけでございます。また、科学的の
調査
に対処するために、いままで東海、近畿、関東と、三カ所しか、われわれの出先には
水質
専門官というものがありませんでしたけれども、今度九州にも出先に
水質
専門官を置く
措置
を予算的に講じたわけでございます。 以上でございます。
工藤良平
175
○
工藤
委員
この問題については、深刻な問題でありますので、ぜひひとつ慎重な、しかも綿密な、あまり時間をかけないように、なるべく早く
調査
が完了しますようにお願いをいたしたい、こういうように思います。 それから、次に
経済
企画庁にお伺いいたしますが、
汚染
されておる水の問題でございます。特に鉱山
関係
というのは奥地のほうにありますので、水の開発のしかたによりましては、鉱害を
未然
に十分に防止でき得る
措置
がとられるのではないだろうかというふうに私は考えるわけであります。たとえば、ここの場合も、大野川上流の
地域
開発も一緒に含めて検討する、こういうことが、特にこういうカドミウム等の危険な重金属を含む鉱山等の廃水問題については必要ではないだろうかというふうに思って、いま各省それぞれ、私も打診をしてみているわけでありますけれども、特に
汚染
をされておる河川の問題として、
経済
企画庁として取り上げて、そういう
措置
を早急に検討していく必要があるんではないかと思うのですが、その点に対する御見解を伺いたいと思います。
宮内宏
176
○宮内
説明
員 まず一般論として申し上げますと、非常に
汚濁
が進んでまいっております
都市
の河川などは、川から希釈用水を入れまして、そして、なかなか理想的にはきれいになりませんけれども、そういう方法ですでに実施しておるところがある。たとえば隅田川あるいは大阪の寝屋川あるいは神崎川等で始めております。 それから、本件につきましては建設省の所管でございますので、ちょっと水の開発について聞いてみたのでございますけれども、現在大野川と奥岳川の合流点に近いところで、開発の
調査
を始めたように聞いております。しかしながら、一般論といたしまして、いわゆる自然の
汚濁
と
原因
者がはっきりしている
汚濁
とに分けなければいけないと思います。それで、天然のものはやはり公共事業的色彩が入った処置の方法が考えられる、
企業者
責任
のものは
企業者
にできるだけのことはやっていただく、そういうことに相なるんじゃないかというふうに思います。
工藤良平
177
○
工藤
委員
この場合、ごく局地的な問題になりますけれども、私は一般的な問題とも関連があると思いますからお伺いをするわけでありますが、たとえば、いま豊栄鉱業所は仕事をしているわけですけれども、その奥にあります三菱の尾平鉱山はいま廃鉱になっているわけであります。もちろんその所有権は三菱にあるわけでありますから、施設は当然しなければならぬことになっておりますが、廃鉱になっておる。しかも、それからなお坑内水がどんどん出ているわけでありますから、そういうことができれば、
地域
の開発とあわせて、その水が五十年、百年という大計の上に、鉱害も防止でき、さらにそれが
地域
開発に役立つとするならば、やはり水資源の開発ということについては
経済
企画庁の所管でありますから、農林省なり通産省あるいは建設省、こういったところで総合的に検討してみて、可能であるとするならば、五十年、百年の大計を立ててそういう
措置
を講ずる、そうしなければ、局部的に施設をやらせた、しかも簡単な沈でん池はつくった、それでも三年、五年たつうちにはまた埋もってしまうという形で、集中豪雨でもあれば再び
被害
を起こすという結果になりますから、そういう意味では、やはり大きな意味の鉱害を含めた水の開発というものを当然検討してしかるべきではないか、私はこういうように思っているわけであります。この点については、きょうそうおそくまで詰める必要はないと思いますけれども、ぜひひとつ大きな意味で御検討いただいて――両方できるとするなら一石二鳥であります。私は、そういう面についての御検討を
経済
企画庁としてもお願いしたい、こういうように思っております。もう一ぺんこの点についての考え方を明らかにしておいていただきたいと思います。
宮内宏
178
○宮内
説明
員 先生の御発想、非常にいいと思うのでございますが、たとえば多
目的
ダムで水をつくるような場合に、たとえば農業用水でありますとか、発電とか、それから治水、飲み水というふうに、いろいろ水の種類がございまして、それでそれぞれダムなり、それを引っぱってくる施設、いわゆるアロケーションといいまして、それぞれ
分担
関係
が出てくるわけですね。その中に
公害
をどういうウエートで、あるいはだれが持つのかというふうな非常にむずかしいといいますか、もう少し研究しなければ御即答申し上げられないような
内容
があるわけでございます。しかし、今後の
公害
問題の中では一つの考え方だと思いますので、勉強してまいりたいというふうに考えております。
工藤良平
179
○
工藤
委員
これで終わりたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、三カ所の
調査
結果が出ることによって、私のほうでは、むしろ奥岳川問題がそのままにされるのではないだろうかという
地域
の不安が非常に大きいわけでございまして、この点については、厚生省としてもなるべく早く結論を出していただきまして、
地域住民
が安心でき、しかも次の
対策
が万全にとられるように――幸いにしてまだ
患者
が出ていないわけでありますから、そういう
措置
が早急にとられることが必要ではないか、私はこういうように思いますので、ぜひひとつよろしくお願い申し上げまして、大体この程度で終わりたいと思います。
赤路友藏
180
○
赤路委員長
山口鶴男
君。
山口鶴男
181
○
山口
(鶴)
委員
大臣もおられますが、厚生省におきましては、三月二十七日にカドミウムによる環境
汚染
に関する厚生省の見解と今後の
対策
を発表せられまして、二十八日に大臣のほうから閣議にも御報告になったそうでございます。わが党といたしましても、この厚生省見解を直ちに政策
審議
会におきまして検討いたしまして、二十八日に、私厚生省の記者クラブにも参りまして、党としての厚生省見解に対する考え方を発表いたした次第であります。そういう立場から、今回厚生省が発表されました厚生省見解の問題点につきましてお尋ねをいたしたいと思う次第であります。 まず第一にお尋ねをいたしたい点は、この報告の最後の総合的評価におきまして、宮城県の鶯沢におきましては、カドミウムの一日当たりの摂取量が約〇・三ミリグラムパーデー、群馬県の安中
地域
におきましては約〇・四ミリグラムパーデー、それから長崎県の対馬におきましては約〇・四九ミリグラム。パーデーであるというふうに推定をされておられます。そうして
富山
県の神通川流域における摂取量の推定が約〇・六ミリグラム。パーデーである。そうして、
イタイイタイ病
が
発生
をいたしました当時におきまして摂取されましたカドミウムの量は、約一・〇ないし一・四ミリグラム。パーデーであるというふうに推定をされまして、結局
イタイイタイ病
が
発生
する危険があるとは考えられないが、安全を見込んで、今後これらの
地域
を要観察
地域
として、継続的な
対策
を行なうことが必要である、というふうにありまして、以下鶯沢、安中、対馬の各
地域
における具体的な
対策
を出しておられるわけであります。しかし問題は、この資料をいただいておりましても、鶯沢、安中、そして対馬のカドミウムの一日当たりの摂取量というものは、結局は推定の積み重ねでしかない。特に問題は、対馬の場合におきましては、米、サツマイモ、白菜等のカドミウム量を
調査
されまして、さらに水等につきましても
調査
をなされているわけでありますが、問題は鶯沢並びに安中につきましては、米だけしかカドミウムの量の
調査
はされておられない、もちろん水はやっておられますけれども。そういう中ですべて推定によるところの摂取量を積み重ねられまして、しかも神通川流域の摂取量につきましても、これは推定であります。そういった推定と推定の量を比較されまして、直ちにこのような結論をお出しになろことは早計であり、非科学的ではないかと思うのであります。この点に対する厚生省の御見解はいかがでしょうか。
武藤琦一郎
182
○武藤(琦)
政府
委員
ただいまの御質問に対して率直にお答えいたします。 第一は、私どもこの三
地域
につきましてのデータがまとまる段階で、まだ健康診断等のすべての総合的な研究結果までいかない段階で、いろいろ見解を発表することについては問題があることは十分
承知
でございました。しかしながら
公害
問題のいろいろの
調査
結果が出ましたときには、これはいち早くガラス張りでこれをする、そうしてその段階において考えられる範囲内で、早く
対策
なり検討なり着手を始めたい、こういうことがやはり必要ではないか、こういうことで、実はこの問題に取り組んだわけでございます。いままでいろいろ厚生省が、あるいは
政府
等が
調査
をやっても、なかなか発表がおくれる、結果その他が出たときにはもうすでに手おくれで、手を打つのがおくれているという批判もありましたので、私どもとしては、できるだけなるべく早く
対策
なりデータを発表するのがいいのではないか。もちろん先生が御指摘のように、非科学的な結論しか出せない段階でそういうことをあえてすることは、これはもちろんいけませんけれども、ある程度の結論が出せる段階では、これは率直にやったほうがいいのではないかという気持ちがあるので、この点については踏み切ったわけでございます。 具体的な問題に移りまして、この三
地域
につきまして、どろ、川の水、飲料水、米その他、ある
地域
におきましては、そのほかの食物も
調査
をいたしました。それでこの
調査
の
対象
を米に一応水準的にしぼりましたのは、米が主としてわれわれ
日本
人の中心的な食物でありますし、各
地域
を通じて共通的な性質のものであるということから、
関係
単者のほうでも、とりあえずそれを
基準
にデータをとったらどうかというような御
意見
もございましたので、米を出したわけでございまして、そのほかの野菜等について、あるいは御指摘のように全部網羅すればよかったのかもしれませんけれども、その点につきましては、たとえば野菜等の採取の時期、あるいは種類等によってなかなか比較ができない点も、あるいはあったのではないかと私ども考えておるわけでございます。 それから第二の、いろいろ全部推定ではないかということにつきましては、これは神通川におきましても、あるいはその他の
地域
につきましても、その
住民
そのものがどの程度の食事を実際とったかということは、これは先生の御推察のように、なかなか実証的には、これはデータ等の整理ができないわけでございまして、この点はやはりある程度の推察によらざるを得ないのではないか、こういうことで、ごらんに入れましたような推定をやったわけでございます。この点につきまして、もちろん推定ではございますけれども、私どもとしては、大体こういう考え方でこの三
地域
について考え、またカドミウムの事件で不幸な事件が起きました
富山
についても、水あるいは米等についての推定を考えまして、現段階では直ちにいわゆる
イタイイタイ病
が
発生
するというようなことは考えられない。また現実に長崎あるいは宮城等におきましては、県当局自体としては健康診断の結果を発表しておりまして、群馬につきましては、これはまだ全然発表はしておりませんけれども、非公式には、ある程度の情報が私どもの耳には入ってきておりまして、その段階で直ちに
イタイイタイ病
が発病するというようなことは考えられないと述べたわけでございます。しかしながら、ここに結論がありますように、私どもとしては、やはり十分注意をする必要がある。したがいまして、今後予防的な
対策
、あるいは環境
汚染
についてのいろいろの健康診断等につきましての
調査
研究は十分にやらなくてはいけない。またさらに、このカドミウム量の漸滅
対策
をも合理的に検討していかなければならないということで、十分これは注意する必要はあるということを重ねて、この点は考え方を示したわけでございます。
調査
に伴う見解ということで、何か最終的な結論を私どもが出したような印象を受けたかもしれませんけれども、この点につきましては、この時点におきます一つの考え方を示したのでございまして、当然十分今後の
調査
をやる、あるいはその結果に基づきまして、それぞれの
対策
なり見解を示していくことは当然でございます。
山口鶴男
183
○
山口
(鶴)
委員
いろいろお話しがありましたが、結局推定に基づいた数字であるということはお認めになったわけでございます。しかもこの水あるいは泥、土壌、農作物につきましては、この鶯沢、安中、対馬、さらには神通川流域のそれぞれのデータにつきましても、発表しておられるわけでございます。そういう中では、この土壌につきましては、安中にしろ、さらには鴬沢にしろ、それからまた対馬にしろ、神通川流域よりも非常にカドミウムの
汚染
度が高いわけですね。これははっきりデータとして比較検討ができる。それから米につきましては、三地区とも一応調べている、こういった事実を私はやはり率直に発表すべきではないかと思うのです。そうして要観察
地域
であるということについて発表をすることは、これはけっこうだと思うわけであります。あまり発表がおくれるということはいかがかということは、私も同感でありますが、しかしそこへ一歩さらに継ぎ足して、そうしてそれぞれの
地域
のカドミウムの摂取量の推定を出し、だからいまのところ
イタイイタイ病
の心配はないのだというところまでお書きとめになることは、これは私はやはり行き過ぎではないか、かように思うのです。
調査
をいたしましたならば、
調査
の結果出ました明確な事実だけを発表すべきではないかと思うのですが、大臣いかがですか。そういった事実のほかに、いま部長もお認めになったような、幾多の推定数字をつけ加えた上での御見解というものをお出しになることは、大臣いかがでしょうか。
斎藤昇
184
○
斎藤国務大臣
私は作為的な推定はいけないと思いますけれども、学者の方々が、相当根拠を持って推定をされて、おそらく三
地域
の
住民
の方々は、一体どうなるのだろうと非常に心配をしておられるだろうと思いますから、われわれの良心的な結果によると、いま直ちにはそう心配しなくてもいいぞという結論が出れば、やはり私は早く知らせたほうがいいのではないか、かように思います。
山口鶴男
185
○
山口
(鶴)
委員
作為はいかぬが、学者の人たちが良心的に検討した結果の推定ならば、ある程度許されるのではないかという御見解のようでありますが、そこでさらにお尋ねをしたいと思いますが、安中につきましては、他の
地域
と違いまして、ここの製錬方法が湿式製錬と乾式製錬を併用しているということは、過日の当
委員会
でも、私、指摘をいたしました。萩野博士をはじめといたしまして、何人かの医者の方が当該
地域
の健康
調査
をいたしております。また現地へ参りまして
住民
の訴えを聞きますと、むしろ
イタイイタイ病
の相当重い症状ではないかと推察されます
患者
の人たちはどこに居住をしておるかと申しますと、排水による
汚染
の
地域
ではないわけて、排煙によって
汚染
をされたと考えられる野殿という
地域
に住んでおられるわけであります。今回の土壌
調査
、それから米の
調査
は、この排煙
汚染
地区と推定される野殿地区についてはお調べになったのですか。
武藤琦一郎
186
○武藤(琦)
政府
委員
大気
につきましては、県がやったというふうに私どもは報告を受けております。
山口鶴男
187
○
山口
(鶴)
委員
重松公衆衛生院の疫学部長が来られましてサンプルをおとりになりました。これはすべて野殿地区ではなくて、いわば排水によって
汚染
をされたと思われる
地域
、場所を言えば中宿とかいう
地域
である。したがって、重松さんが参りましてサンプルをおとりになりました
地域
は――この野殿という高い地区はサンプルをとっていない。この
地域
は排水による
汚染
というのは考えられないわけです、高いわけですから。当然これは排煙による
汚染
と考えなければならぬ。この
地域
の土壌、あるいはその米、こういうものを
調査
しなければ、安中地区におけるカドミウム
汚染
というのは他と状況が違うことは、もう御案内のとおりなのでありますから、いわば完全な
調査
とは言いがたい、瑕理のある
調査
だ、こう言わざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
武藤琦一郎
188
○武藤(琦)
政府
委員
御指摘の野殿地区につきましては、排水のほうにつきましては、御指摘のようにサンプルの
調査
が行なわれていないようでございますが、やはり継続
調査
としてやる必要がある、かように考えております。
山口鶴男
189
○
山口
(鶴)
委員
そういう意味では、安中の
調査
は非常に瑕理がある
調査
と申しますか、十分ではないと私は思います。特に問題は、私も常識的には考えるわけですが、カドミウム鉱石は硫化カドミウムですね。これは水に非常に溶けにくい。しかし亜硫酸の場合は溶けるわけですね。溶解するわけです。亜硫酸はどうやってできるかといえば、亜硫酸ガスが水に溶けた場合は亜硫酸ができるわけです。ですから、結局野殿地区というのは、排煙によるカドミウムが畑にたまる、あるいは野菜の上にも着くでしょう。この排煙には当然亜硫酸ガスが一緒に出ているわけですからね。そうすると、当然亜硫酸によってこの排煙によるカドミウムが溶解して、植物にも着くでしょうし、あるいは土壌にも入る、あるいは水の中にも入るでしょう、ということで、現に現地の
住民
は、この排煙の
汚染
地区に、
イタイイタイ病
と思われる病気が
発生
しているということを非常に心配をしておるのです。とすれば、そちらのほうの
調査
をせぬで、しかも現在のところ
イタイイタイ病
が
発生
するとは思われぬというような結論をつけることは、だれが考えても私は非科学的ではないかと思うのです。大臣の言うように、これはいわば故意に
現状
を無視した
調査
結果による推定である、こういうふうにも言えるのじゃないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
武藤琦一郎
190
○武藤(琦)
政府
委員
昨年の夏、三
地域
の
調査
をやったわけでございますが、その後
大気
の問題がいろいろ問題になりまして、県のほうでも
大気
についての
調査
をやられ、私どものほうでも一部この製錬所の排煙による問題を
調査
いたしたわけでございますが、現在の段階で、それを
大気
の結果につきまして発表するだけの自信のある結果が出ておりませんので、この点はもうしばらく検討いたしたいと考えますが、昨年の夏以降、三
地域
の
調査
を終えました段階では、その点の問題は、確かにいまから振り返ってみますと、問題が一部にはあったのではないかと思いますけれども、その当時としてはいたしかたがなかったのではないか、かように考えます。
山口鶴男
191
○
山口
(鶴)
委員
部長も今回の
調査
は不十分なところがあったということをお認めになったわけであります。どうですか。この排煙の問題でありますが、排煙に
汚染
されている野殿地区の土壌、それから米、野菜あるいは――岡山大学の小林教授は、この
地域
の桑には非常にカドミウムが付着しているというようなことも発表しておられるわけでありますが、そういった排水の
汚染
地区のみでなく、排煙の
汚染
地区の土壌、米、野菜、こういうものをきちっと御
調査
なされますか。
武藤琦一郎
192
○武藤(琦)
政府
委員
排煙の影響によって土壌その他が
汚染
されていると考えられる問題につきましては、当然
調査
すべきだと私どもは考えます。
山口鶴男
193
○
山口
(鶴)
委員
私は、そういった
調査
までやはり厚生省がおやりになって、そうして推定をお出しになるのならけっこうでありますが、明らかに私どもが常識的に考えても、非常に欠けている点があるのではないかと思われるような片寄った
調査
によって、こういう結果をお出しになったことについては、私ども、党といたしましても非常に疑義を持っているわけであります。この点を、党としての見解として発表いたしたわけでありますが、大臣、この点につきましては、部長も言われましたが、
地域住民
の人たちにすれば、何か非常に、厚生省は、一番
汚染
されていると
住民
が思っている
地域
を調べぬで、他の
地域
の
調査
だけで、
イタイイタイ病
患者
と思われる者はないというような発表をしたことについては、非常に疑義を持っておりますから、厚生省として、今後十分
住民
の意向も聞いていただいた上で、
住民
の納得する
調査
をやっていただく、こういうことを特にお願いをいたしたいと思うのです。ひとつ大臣としてのお考え方を示していただきたいと思います。
斎藤昇
194
○
斎藤国務大臣
野殿
地域
は
大気汚染
について非常に心配しておられるということであり、その
地域
について
調査
がまだ不十分であったということであれば、これはまた引き続いてさらにやらなければならぬと思っております。
山口鶴男
195
○
山口
(鶴)
委員
そこで、通産省も来ておられますからお尋ねしたいと思うのですが、過日の
委員会
におきまして、私は、直接鉱山保安法に基づきまして、排煙、排水等について、現在
法律
的に
立ち入り検査
もでき、規制をする権限は通産省の鉱山保安局におありだ。ところが排水につきましては、
調査
をされてその
基準
を工場に示しておるけれども、排煙についてはこれはまだ
調査
をしておる段階だ。現実的には排煙の中に含まれるカドミウムは現在野放しの状態になっておるということを指摘いたしました。そうしてさらに、東邦亜鉛の工場が、六万ボルトの電圧から、二十七万五千ボルトという超高圧の電気を受け入れまして、さらに生産を大きく拡充する計画を持っておいでになります。しかも送電施設につきましては、通産省としても施設の拡充についても認可をしておられます。現在まだ受電につきましては認可はしていない、こういうことも明らかになりました。しかし、いま大臣もお認めになったように、安中の地区では排煙によるカドミウムの
汚染
ということが問題なんでありますから、そういうときにさらにこの工場施設を大きく拡充をいたしまして排煙が出る。しかも厚生省見解でも煙突が非常に低いことは問題だという指摘をいたしておるわけでありまして、煙突を高くすることも必要でありましょうが、同時にやはりこれ以上施設の拡充を許さぬ、そうして
地域
の環境の保全をはかるということが、私は、
公害
の
見地
からいえば最も必要ではないかと思うのでありますが、この点についての御見解はどうですか。 それからまた、私は大臣にお尋ねしたいと思うのでありますが、やはり厚生省としても、こういう見解を出しまして、特に安中地区につきましてはばい煙の
処理
施設について維持管理や事故時の保安
対策
を明確化する必要がある。それから煙突につきましては、非常に高さが低くて丘陵地帯に対する
汚染
が懸念される、こういうことも書いておるわけでありますから、当然厚生省見解が、不十分ではありますが、こう出た段階で、工場の施設の拡充ということについては、やはり少なくとも野殿
地域
の
調査
を厚生省が行ない、そうしてその実態が明らかになるまでは、やはり通産、厚生両省の協議におきまして、この受電の施設は許可しない。現実には、施設が拡充されてさらに大きく排煙中のカドミウムが排出をするということのないような、そういう歯どめをかけるということが必要ではないかと私は思うのでありますが、この点ひとつ大臣並びに通産当局の御見解をお伺いしたいと思うのです。
下河辺孝
196
○下河辺
説明
員 安中製錬所におきましては、昨年末ごろ、電気亜鉛の電解槽の増設、それから焼結炉、乾燥炉及び電気炉等を一基ないし数基増設するという認可申請があったわけであります。それからこの製錬所におきましては、四十二年、四十三年にわたりまして、排煙中の亜硫酸ガスの除却装置及び除じん装置というものをかなり強化してまいっております。それらのことを東京の鉱山保安監督部におきまして慎重に検討いたしました結果、除却装置に余力があるということで、一応認可をいたしたわけでございます。しかしその前に、昨年末十一月、十二月にかけまして、約一カ月野殿付近の空気中の
大気汚染
の状態につきまして、監督部としましても
調査
いたしたわけでありますが、そのときの結果によりますと、
大気汚染防止法
で規定しております濃度をはるかに下回る
汚染
の状態であったということが判明しておったわけでございます。
山口鶴男
197
○
山口
(鶴)
委員
それは亜硫酸ガスだけでしょう。
下河辺孝
198
○下河辺
説明
員 はい。その後、鉱山保安局といたしましても、この製錬所におきましては、落雷の場合に送電線が停電すると、すでに燃焼しております炉内の反応が停電の場合にも継続するということから、亜硫酸ガスが炉外に漏れて、それが各地に流れているというような問題もございまして、停電の
対策
、それから煙突の高さにも一応問題があるのではないかということで、それらの除害装置につきまして、監督部を中心にいたしまして、現在検討を進めている段階でございます。
斎藤昇
199
○
斎藤国務大臣
先般、厚生省のほうでああいった報告を出しました。したがいまして、いまの段階で、そのままでさらに生産のキャパシティを増して、増産をするということは、私はもう少し私のほうの技術者の
意見
も十分聞いて納得できませんと、常識的には、いま直ちにやることはいけない、かように考えております。 野殿地区につきましても、さらに土壌その他の
調査
もやらなければならぬ、かような見解に立っております以上は、なおさらさように思っております。しかし技術者の
意見
を十分聞いて、今度できるものが、いままでより以上にそういった
公害
を出すおそれがないということでありますれば別でありますが、ちょっといま私の常識といたしましては、もう少し
対策
を進めてから後でなければいけないのではないか、かように考えます。
山口鶴男
200
○
山口
(鶴)
委員
たいへん大臣の明快な御答弁をいただきまして、私も敬意を表します。 鉱山課長さんに私は申し上げたいのですが、排煙中に含まれる亜硫酸ガスだけをおたくのほうはお調べになっておるようですが、問題は、排煙の中にカドミウムが一体どの程度排じんとなって出ておるのか。そして先ほど申し上げたように、この排じんの中に含まれるカドミウムが、当然亜硫酸ガスと一緒に出ておるわけでありますから、亜硫酸によって溶解して、土壌の中に入る、あるいは食物にも入るということが懸念をされているわけです。そういうときに、おたくのほうは亜硫酸ガスだけ調べて、施設を増設してもよろしいのだ、私はそういうような考え方では困ると思うのです。したがって、カドミウムにつきましては、厚生省のほうでもお調べになっておられて、
厚生大臣
としての御見解もいま承ったとおりですが、通産省の側におきましても十分――おたくのほうは、カドミウムについてはまだ明確なデータも出ていないのですから、単に亜硫酸ガスだけでもって許可するということは、やはり軽卒である。十分厚生省側とこれは協議をするということが正しいと思うのです。当然そういうふうにやってもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
下河辺孝
201
○下河辺
説明
員 昨年は亜硫酸ガスの
調査
をしたわけでございますが、この三月に
大気
中の浮遊粉じん量及びその中に含まれておりますカドミウムの
調査
というものを実施いたしております。したがいまして、その結果が出ました段階におきまして一まだその
大気
中のカドミウムの許容限度というものにつきまして、
基準
というようなものはないようでありますけれども、さらに慎重を期するために、厚生省ともよく協議した上で、今後の
対策
を考えてまいりたいと思っております。
山口鶴男
202
○
山口
(鶴)
委員
この点は
委員長
にも過般お願いをいたしまして、
委員会
としても十分
対策
を講じていただきたいとお願いしておきましたが、ただいま
厚生大臣
の御答弁もありまして、私の希望する点を十分お認めいただいて、感謝いたしているわけでありますが、カドミウムの害というものは新しい
公害
であります。それだけに、この問題につきましては、
公害防止
という観点から、
委員会
としても十分慎重にお取り組みいただくようにお願いいたしておきたいと思います。 次いで、厚生省にお尋ねしたいのでありますが、水俣病にいたしましても、
イタイイタイ病
にいたしましても、それから最近問題になっておりますスモン病にいたしましても、明確な治療法というものがまだ
確立
されておらぬようであります。科学技術の進歩する現在でありますから、これは国として、厚生省あるいは科学技術庁等とも連携をおとりになってもいいと思うのでありますが、ひとつ
国民
の心配を解消するという意味で、こういった新しく
発生
しつつある
公害病
に対しては、国が総力をあげて研究開発していく、こういう体制が必要ではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
斎藤昇
203
○
斎藤国務大臣
全く同感でございまして、国内のそういった知識を動員いたしまして、早急に治療法を発見いたしたいとつとめております。
山口鶴男
204
○
山口
(鶴)
委員
神通川であの
イタイイタイ病
にお取り組みになりました荻野博士も、いわば全く自費でもってこの研究をなされたそうであります。私は、そういった非常な篤志家の方に御努力いただくことも必要だと思うのでありますが、いま大臣の言われたように、国として研究開発に力を注いでいく、しかも単に国の
関係
の技術者ばかりではなしに、在野のこれらに取り組んでおられる英知をも結集して、そうしてお取り組みになることが必要ではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
斎藤昇
205
○
斎藤国務大臣
これは、もう官公、私を問わず、そういった専門家と認められる方に参加をしていただきたいと思って、
関係
当局にも指示をいたしております。
山口鶴男
206
○
山口
(鶴)
委員
それから、いま神通川流域の要観察者の方に対しては、国が一〇%、県が一〇%、市町村が一〇%という形で
医療費
の援助としていると聞いたわけです。国保の適用者でありますから、七割は国保の
対象
、そしてあとの三〇%は国、県、市町村でもって負担するということのようでありますが、今度鶯沢、安中、対馬、この三
地域
の方々についても、要観察
地域
だという御
認定
なんでありますから、当然同じような体制をお考えになることが当面必要ではないだろうかというふうに思うのですが、この点はいかがでしょうか。
武藤琦一郎
207
○武藤(琦)
政府
委員
富山
におきます
イタイイタイ病
患者
につきましては、先生御
説明
のとおりの
医療費
の援助あるいはそのほか
医療
研究費の補助をいたしております。ただこれは現在のところ、県当局が、いわゆる
イタイイタイ病
患者
として審査会の結論で
認定
された者について、この
措置
をとっているわけでございまして、現在先生がいまお話の群馬の安中
地域
の問題は、これはまだ
患者
として
認定
されているわけではございませんし、私どもとして、当
地域
が要観察
地域
であるというふうに考えているわけでございまして、当
地域
の健康診断の結果は、先生先ほどから問題にされております野殿
地域
を含めまして、現在三千人程度の健康診断の結果を、県当局がいま急いで
調査
分析中でございますので、その点は、現在の段階では安中
地域
を現に
イタイイタイ病
の
認定
をされております
富山
地域
と同じようには
措置
できないのではないか、かように考えております。
山口鶴男
208
○
山口
(鶴)
委員
ですから、健康
調査
の結果が五月には出ますのですね。そういたしまして、もしかりに、ということになるだろうと思いますが、結局要観察
地域
である、そして健康
調査
の結果が出ました段階で、もし神通川と同じような状況があった場合は、同じような
措置
をお考えになることが必要ではないだろうかという意味でありますが、その点はどうですか。
武藤琦一郎
209
○武藤(琦)
政府
委員
富山
と同じような状況になりますれば、そういうことになろうか、かように考えます。
山口鶴男
210
○
山口
(鶴)
委員
これで終わりたいと思いますが、私はこの際、通産省の立地
公害
部長さんがお見えですから申し上げておきたいと思いますが、実は、横浜市で亜硫酸ガスの
大気汚染
の状況につきまして、市としてもいろいろ努力をいたしております。そして厚生省の、十年後に〇・二PPM、しかもこの九九%の時間においてそれ以下の
基準
にしていきたい。五年のうちには〇・三PPM、九九%というようなお考え方でおるようでありますが、現実に横浜市として、八十五工場ですか、当該
地域
の工場の
調査
をいたしましたその資料の公表を求めましたところが、いや、
企業
秘密の問題もあるから、そういうことは発表できぬというような態度をおとりになったそうであります。それからまた、過日参議院の予算
委員会
の一般質問におきまして、わが党の田中寿美子議員が、石油あるいは電力の
企業
が
公害防止
に対して一体どの程度の投資をいたしておるのかというような質問をいたしましたのに対して、通産大臣は、石油におきましては二〇%近く、電力におきましては七%近く、投資額のうちその程度を
公害防止
に投資いたしておるというような答弁をいたしたようでありますが、これは厚生省にいま聞いてみたいと思うのですが、現実にはそんなに
公害防止
の投資はやっておりません。せいぜい電力におきましては一・五%程度の
公害防止
の投資しかやっていない、こういう状態だそうであります。したがいまして、自治体が
地域住民
の健康を守る意味から
公害対策
のために資料の公表を求めても、通産省の側はそういうことは
企業
秘密だと称して、
住民
の期待にこたえない。さらに電力あるいは石油等の大
企業
がこの
公害
を振りまいているわけでありますが、こういったものの
公害
投資に対するところの資料等につきましても、きわめてずさんなといっては一恐縮でありますが、現実から離れたような御答弁を通産大臣もしているということでは、私は、通産省の側は
公害防止
というものについてはほんとうの熱意を入れていないのだというふうに
国民
の側が感ずることは無理がないと思うのです。私は、当然
住民
の期待にこたえて、自治体が、何も個々の
企業
秘密を知りたいなんということを思うわけはないのでありまして、少なくとも通産省がどのような
調査
をしたかという結果を求めた場合は、すなおにこれを公表する、それからさらに電力なり石油化学なり、こういった
公害
を振りまくと思われる
企業
が、どの程度
公害防止
に対して投資をしているかということも厳密にやはり
調査
をして、そうして
公害防止
のために努力をする、こういう態度が必要ではないかと思うのですが、いま私が申し上げた点につきまして、通産省としましてはどういう御見解でありますか、承っておきたいと思います。
矢島嗣郎
211
○矢島
政府
委員
先生のただいまの御質問は二つございますが、あとのほうから先にお答えいたしますが、先日の参議院の予算
委員会
におきまして、田中先生の質問に対して大平通産大臣が答えたのは、概数でございますが、決してずさんなものではなくて、十分な根拠に基づいて調べたものを、大臣が概数としておっしゃったわけでございます。具体的に申し上げますと、電力につきましては、公益事業局の精密な
調査
が常に行なわれておりまして、昭和四十二年度の実績によれば、工事費総額に対して
公害対策
費は七%強に相なっておるわけでございます。さらに、公益事業局におきましては、四十三年度から四十八年度の長期計画について、それぞれ
公害防止
対策
費が総投資額に対してどのくらいに相なるか正確に調べてございますが、この四十三ないし五十二年の長期の計画を見ましても、七%を優にこえている数字が出ておるわけでございまして、大臣がおっしゃった点は、決してずさんな数字ではなくて、正確なものということができます。 次に、石油につきましても、大臣は二〇%程度というふうに申されましたが、これも正確な資料に基づいておるわけでございまして、四十二年度が総投資額に対して一二%、四十三年度は総投資額に対して一六%というふうに累年比率が上がりまして、現在集計中の四十四年度の計画では、総投資額の二〇%強に当たっているわけでございまして、この数字をもとにして、大臣は二〇%というふうにお答えになったものと思われます。 以上が第二の御質問に対するお答えでございますが、次に第一の横浜、川崎の問題につきましては、若干誤解もございまして、御
説明
申し上げなければならぬと思いますが、通産省が先般行ないました横浜、川崎の
大気汚染
の
調査
というのは、実は暫定的な、中間的なものでございまして、その結果に基づいて、これから
企業
からいろいろな改善計画を出してもらいまして、さらに第二次
調査
をやり、場合によりましては第三次
調査
をやりまして、ファイナルなものになるわけでございます。これは何も横浜、川崎に限らず、通産省が従来やっておるほかの
地域
につきましても、とても一ぺんだけのものではなかなか所期の結果は出ない。それで二次、三次というものをやっておるわけでありまして、最終的な結果が出ましたならば、その結果というものは、当然のことながら、
関係
の自治体である横浜市なり川崎市なりと十分御連絡して、むしろそのアフターケアをこそ、横浜市なり川崎市なりにやっていただくつもりでありまして、決してその結果を
企業
の秘密とかなんとかいって隠すつもりは毛頭ないわけでございます。この点につきましては、横浜市に対しても十分
説明
してあるわけでございます。問題は、いまは暫定的なものでございまして、その中には、いろいろな複雑な生産計画でありますとか、その他いろいろございますので、こういうものは一応外には出さないという約束で
企業
からとっているものでございますが、これをいま出しましてもかえって混乱を起こしまして無意味でございますし、会社に対しては、そういう出さないという約束でとっている次第でございますので、あえて中間的なもので出さないわけであります。繰り返して申し上げますけれども、第二次、第三次
調査
が終わって最終結果につきましては、これは十分にそういう連絡をいたしまして、アフターケアをやっていただこうと思っております。
山口鶴男
212
○
山口
(鶴)
委員
横浜、川崎市の問題につきましては、これは
地方
自治の基本にも触れる問題でありますから、また
地方
行政委員会
なり、あるいはまた
産業公害
という
見地
から、また当
委員会
でもきっと議論になると思いますから、その点はこれ以上触れることは避けたいと思います。 最初のお答えになりました
公害
投資の問題でありますが、銀行等の
調査
によりましても、鉄鋼、電力など十二業種の大手九十三社の
公害防止
の投資は、一九六五年の銀行
調査
によっても、平均一・七%というのです。厚生省でももっと低い数値だという御見解を発表したこともあると存じます。それから、お答えになりましたのを聞きましても、石油につきましては一二あるいは一六という投資だ。二〇ではたいへん違うのじゃないかと思いますが、そういうことは触れませんが、どうなんですか、厚生省は、この程度石油、電力が
公害防止
の投資をやっているというふうに御認識なんでありますか。
武藤琦一郎
213
○武藤(琦)
政府
委員
企業
が
公害
投資をどのくらいしているかという
調査
につきましては、厚生省といたしまして独自の
調査
をやったことはございませんし、通産省からの
調査
の連絡を受けるか、あるいは他の機関が
調査
をいたしたので知るほかはないわけでありますが、その点につきましては、厚生省独自の
調査
結果を持ちませんので、何とも言えませんけれども、この問題につきましては、やはりできるだけ
公害防止
につきまして
企業
が努力されることを望んでいる次第でございます。
山口鶴男
214
○
山口
(鶴)
委員
この問題も、商工
委員会
等でさらに党として議論のあるところだろうと思いますから、これで私は終わることにいたします。
赤路友藏
215
○
赤路委員長
それでは私のほうから……。 大臣のけさの答弁の中で、一つお願いしたいことがある。
公害防止事業団
の事業のあり方についてちょっと御答弁がありました。各県からいろいろ集まってきたものを、それぞれ取捨選択をして決定しておる、こういうことなんですね。どうも
公害防止事業団
の資料等を見てみましても、受け身なんですね。積極的な指導性というものがないので、各県から持ち上がってきたもの、あるいはその
地方
から来たものを取捨選択して、融資したり、あるいは工事をやってそれを譲渡したりしておるわけです。いわば受け身です。積極的な指導性というものがないように思うわけです。これは
公害防止事業団
のいままでの事業の進め方といいますか、それが常例か何かわかりませんが、そういうふうになっております。ぜひひとつもう少し積極的に、そうした問題のあるものは、ぱっとつくって、すぐそれに右へならえさすくらいの積極性を持ってほしい、こういうように思うのです。それだけです。四十五年度の予算の中等で、ひとつ御検討願えればけっこうだと思います。
斎藤昇
216
○
斎藤国務大臣
公害防止事業団
は、御
承知
のように、大体
公害防止
事業をやる事業に対して貸し付けをやるというのが大きな
目的
になっておるものですから、したがって、こういう事業をやるから貸してくれという形で、受け身の形になっておるわけであります。いま
委員長
のおっしゃいますような方向におきまして、積極的にこの
公害防止事業団
でやらしたらよかろうというようなものをまた考えてみまして、適当なものがあれば、積極的にやることも考えてみたいと思います。
赤路友藏
217
○
赤路委員長
もう答弁は要りませんから……。 私の申し上げるのは、いま
公害防止事業団
で施設を建設しておる、そうして中小
企業
の集団に譲渡しておるわけです。これは相当な負担になっておる。やはりいまのままでは、それの伸びが案外ないのじゃないか。結局、譲渡してもらっても、金利分だとか、それへどんどん払っていきますと、かなり高いものになる。中小
企業
では非常に無理な点が出てくる。それが一つあるものですから、むしろ積極的に
政府
のほうでてこ入れをして、そして中小
企業
の連中がほんとうに使えるような体制、それを積極的に考えていただきたい、こういうことです。 本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十八分散