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1969-03-05 第61回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月五日(水曜日)     午後一時二十九分開議  出席委員    委員長 赤路 友藏君    理事 天野 公義君 理事 田村 良平君    理事 橋本龍太郎君 理事 古川 丈吉君    理事 河上 民雄君 理事 本島百合子君       遠藤 三郎君    久保田円次君       塩川正十郎君    葉梨 信行君       加藤 万吉君    浜田 光人君       山口 鶴男君    米田 東吾君       折小野良一君    岡本 富夫君  出席政府委員         厚生政務次官  粟山  秀君         通商産業省鉱山         保安局長    橋本 徳男君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    野村 正幸君         厚生省環境衛生         局公害部長   武藤琦一郎君         厚生省環境衛生         局公害部公害課         長       橋本 道夫君         農林省農政局参         事官      田所  萠君         農林省農地局参         事官      井元 光一君         通商産業省企業         局立地公害部長 矢島 嗣郎君         通商産業省公益         事業局計画課長 中村 泰男君         労働省労働基準         局安全衛生部労         働衛生課長   伊集院兼和君     ――――――――――――― 三月五日  委員加藤万吉辞任につき、その補欠として山  口鶴男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山口鶴男辞任につき、その補欠として加  藤万吉君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十一日  諏訪湖浄化促進に関する請願井出一太郎君  紹介)(第九五五号)  同(小川平二紹介)(第九五六号)  同(小沢貞孝紹介)(第九五七号)  同(吉川久衛紹介)(第九五八号)  同(倉石忠雄紹介)(第九五九号)  同(小坂善太郎紹介)(第九六〇号)  同(下平正一紹介)(第九六一号)  同(中澤茂一紹介)(第九六二号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第九六三号)  同(原茂紹介)(第九六四号)  同(平等文成紹介)(第九六五号) 同月二十七日  諏訪湖浄化促進に関する請願(林百郎君紹  介)(第一二九〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  産業公害対策に関する件(産業公害対策の基本  施策及び大気汚染対策等)      ――――◇―――――
  2. 赤路友藏

    赤路委員長 これより会議を開きます。  産業公害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。河上民雄君。
  3. 河上民雄

    河上委員 公害問題につきまして、若干の点について、厚生省並び通産省に御質問をしたいと思います。  実は、私ども公害問題が非常に顕著な幾つかの地区現地視察をやってまいりましたが、そのうちの一つで、大阪西淀地区大気汚染の問題がございます。先般環境基準が発表されたわけでございますが、西淀地区は、すでに御案内のように、川崎の大師と並びまして、日本で最も大気汚染のひどい地区でありますが、私ども視察に参りましたときに、そのひどさをあらためて感じたわけであります。ことに小学校などへ参りまして、小学校先生あるいは子供の意見を聞いたわけでありますが、遠くから通っておる先生は、西淀地区大気汚染のひどさを日々感じているにもかかわらず、学童はあまり感じていない。そのなれというものが非常に憂慮すべきことであるということをあらためて感じたわけであります。ことに、あの地区小学校で、このたび教室空気清浄機を設置するようになったというようなことでありまして、こういうことでは、教育環境としてはどうしようもないのじゃないか、教室だけ空気清浄機を入れても、これは全くびほう策を絵にかいたようなものであると思うのであります。  そこで、対策のいろいろな手段があると思うのでありますけれども、先般、川崎あるいは横浜で、大気汚染に関するかなり綿密な調査通産省でおやりになったようでありますけれども、それと並んで、日本で最大の大気汚染地区である西淀地区について、同じような調査が、通産省もしくは厚生省ですでになされておるかどうか、その点をまず初めにお伺いしたいと思います。
  4. 武藤き一郎

    武藤説明員 ただいま先生が御指摘になりましたように、西淀地区は、川崎と並んで日本の二大濃厚汚染地区でございまして、いろいろ問題があるわけでございますが、厚生省といたしましては、昭和四十四年度に大阪と共同しまして、詳細な調査をいたしたい、かように考えております。
  5. 矢島嗣郎

    矢島説明員 先生の御質問に対して端的にお答えいたしますと、先般、川崎横浜等でやったのと同じような調査を、西淀地区を含む大阪、尼崎につきまして、四十二年度に調査を行なって、それに基づきまして、川崎と同じように、九十五工場について改善指導を現在やっております。近くその結果がまとまる予定になっております。
  6. 武藤き一郎

    武藤説明員 申し落としましたが、私どものほうで、大阪と千葉県については、いろいろ人体影響調査を行なっておりますが、この一部に西淀地区学校は含まれております。
  7. 河上民雄

    河上委員 それでは、すでにそういう調査をやっておられるということでございますが、ただいま通産省では、それに基づいて数十の工場に対する改善指導を行なっておるというお話で、その結果が近く出るというようなことでございましたが、それはいつごろになるのでございますか。
  8. 矢島嗣郎

    矢島説明員 この種の事前調査困難性というのは、改善指導は、九十五工場くらいあるものですから、これがその結果を待ってやる。一〇〇%できたところでやるか、あるいは七、八割のところでやるかというところでございますので、どの辺でもって一応終結してやるか、まだきめてないのでございますが、いつまでも置いておくわけにもまいらないので、私の個人的な感じといたしましては、本年の半ばくらいまでには、五、六月には結果をまとめたいと思っております。
  9. 河上民雄

    河上委員 いま、本年の五、六月ごろまでにまとめたいというお話でございますが、そこで、厚生政務次官もお見えでございますけれども、あの西淀地区大気汚染状態を見まして、この環境基準というものについては、非常になまぬるいという批判も多いわけでありまするけれども、それにいたしましても、五年ないし十年というような、この期間にその目標をあの地区において達成し得るかどうか、非常に暗然たる気持ちになるわけでありますが、そういうような問題につきまして、厚生省ではどういうような確信を持っておられるか、その決意のほどを披瀝していただきたいと思います。
  10. 粟山秀

    粟山政府委員 五年、十年ときめましたからには、それ以内に達成するように極力やらせるつもりでそういう期間をきめたわけでございますから、達成するようにつとめます。
  11. 河上民雄

    河上委員 そういう御決意を伺って、われわれは非常に心強く思うわけでありまするけれども厚生政務次官におかれても、ひとつぜひ西淀地区をつぶさに視察せられて、そこで数時間でも、しばらくでも、その大気汚染状態を味わっていただきたいと思うのであります。そういたしますと、いまおっしゃいましたような御決意というものがよりほんとうに現実性を帯びてくるのじゃないか、こんなふうに思うので、特にそのことを希望したいと思います。
  12. 粟山秀

    粟山政府委員 ぜひ視察に伺いたい、そう思います。
  13. 河上民雄

    河上委員 先般私があの地区に参りまして、あそこに大和田という学校がございますが、そこで地域住民方々と親しくお話ししたのでありますが、非常に短い時間でございましたけれども、そこで多くの人が非常に強く強調いたしました一つに、あそこに永大産業という小さな工場がございまして、そこは、私によく内容を存じませんが、石油タールをもう一度使用している工場だというようなことでありまして、最近産業廃棄物ということが非常に大きな問題になっていますけれども、そういう一たん使ったものをもう一度使うというような工場をああいう町の中につくらして、それを放置しておる。その結果として、非常に濃度な亜硫酸ガスが発生するのではないか、こんなふうに懸念せられますが、通産省では、こういう工場につきまして、どういうように承知しておられるか。地域住民の間では、過去七、八年にわたって、この工場処理について陳情しているということを強く訴えておったのであります。特に、あの西淀地区は、川崎大師地区と違いまして、大きな工場よりも、中小工場群原因で、大気汚染が起こっているという一面が一つ特徴になっていると思うのであります。こういう工場監督に対しての態度が行き届いていないのではないかというふうに懸念されたわけでありますが、いかがでございますか。
  14. 矢島嗣郎

    矢島説明員 永大産業につきましては、さっそく大阪通産局を通じて調べたのでございますが、私どもで調べましたのでは、どうも先生の御指摘の場所にはないのでございます。私ども調べました永大産業というのは、これは全部合板工場、ベニヤ板の関係ですが、そういう関係で、大阪の住吉と堺と津守、こういうところにあるわけであります。このうち問題になりますのは、堺の新港新町にある堺工場につきまして、汚水の問題が若干あるわけであります。問題というのは、合板用塩ビ系のり剤を出しておるために、汚濁度が非常に高くなっておる、こういう事実は確認しております。それにつきましては、大阪府の指導で、凝集沈でん法という方法がありますので、凝集沈でん法を採用させることにして、四十四年夏ごろには、その設備をつくる予定になっております。どうも私の答弁が筋違いで、先生り御指摘のところの返事にはなっていないと思いますが、私ども調べましたところでは、以上のとおりでございます。
  15. 河上民雄

    河上委員 私もその地区に長くいたわけではないので、みずから調査したわけではないのでございますけれども、何か、この住民のほうもあまり化学的な知識がないかもしれませんが、ともかくそこに長く住んでおる方々が言うには、石油タールをもう一度使用しているタール処理場のようなものが近くにあって、それが非常に濃い亜硫酸ガスを発生させているのではないか。これは非常に小さい工場のようでございまして、あるいは私の申し上げた会社名前が間違っておるかもしれないのでありますけれども、そういう工場があって、それが住民の生活に非常な支障を与えているということが訴えられておりますので、ぜひもう一度あの地区――先ほど申しましたように、中小工場群大気汚染の大きな原因になっております地区だけに、通産省でもあまり掌握されておられないような工場にも十分な監督をされるよう、強く希望したいのであります。
  16. 矢島嗣郎

    矢島説明員 御指摘中小工場につきまして、御指摘タール処理場から濃い亜硫酸ガスを出しているといわれている工場をさらに調べまして、どういう状況になっておるか、ないしはどういう対策が考えられるか、至急調べて、適当な機会に御報告申し上げたいと思います。
  17. 河上民雄

    河上委員 それでは、あらためて別の機会に御報告いただくまで、私の質問を留保させていただきたいと思います。  次は、先般、群馬県の安中市というところにございます東邦亜鉛という工場の公害問題につきまして、現地に参りまして視察を行なってきたのでありますが、そこで感じましたことを申し上げまして、政府の、ことに厚生省のこの問題に対する態度をここで明らかにしていただきたいと思うのであります。  それは御承知のとおり、この工場で扱います物質の中にカドミウムが含まれておりまして、その分子が同工場の排水もしくは排煙の中に含まれておるために、地域住民の間にイタイイタイ病がすでに進行しているのではないかという不安が非常に高まっておるわけでございます。その点については、すでに厚生省でも御承知かと思いますし、またきょうは、その安中市の事情に特に詳しい同僚の山口議員もここに来ておられますので、あとで詳細については山口議員より御質問いただくことにいたしまして、私は総括的に二、三感じましたことを訴えて、これに対する早急な処置をお願いしたいと思うのであります。  御承知のとおり、先般、ことに昨年来、現地のある病院で自主的に地域住民健康調査を行ないましたところ、尿たん白陽性が出ております人の率が非常に高くなっておるということがわかりました。イタイイタイ病については、すでに冨山県の例から、その病気特徴が明らかでございますけれども、まず最初にじん臓障害が起こるというふうにいわれておりまして、尿たん白陽性が顕著になるのが特徴だと聞いておるわけでございます。その意味におきまして、この調査結果は、民間病院がやりましたためにデータの数は非常に少ないわけでありますけれども、そこにあらわれております一つ特徴というものは、きわめて憂慮すべきものではないかと思うのであります。  さらに、私は、その調査に当たった方々意見報告を伺ったわけでありますけれども、そこで特に私が重視いたしましたのは、その地域に在住三十年以上の方に尿たん白の出方が非常にはっきりしている、それ以下の方と比較いたしますと比率上非常に高いということが報告されておるのであります。私がそのことを伺いましたときにすぐ思い起こしましたのは、昭和四十二年十二月十五日に、参議院の産業公害及び交通対策特別委員会におきまして、富山県のイタイイタイ病関係参考人を招致して、イタイイタイ病のいろいろな特徴についての報告を聞いておるわけでございますが、その会議録を読みますると、やはり三十年富山の帰中町に在住している人に、ことに婦人でありますけれどもイタイイタイ病が数多く発生しておる。女性でございますから、その村で生まれて育った人の場合は三十歳から、それから、よその村から嫁に来た人の場合には五十歳前後から、病人が出ているわけであります。そういうことから見まして、どうもカドミウムというものは、多量に摂取し始めてから大体三十年ぐらい、病気が顕著に出てくるのに時間を要しているのではないかという気がするわけであります。  そういう事実と比較して考えますると、はなはだデータは少ないのでありまするけれども、三十年以上安中に住んでいる人の場合は、尿たん白陽性が顕著である、また女性の方が男性に比べてその比率が高いということは、いわばガンで申しますと前ガン症状的な段階であろうと思うのでありますけれども、きわめて重要な事実であると思うのであります。  ことにその安中工場安中精練所の概況なるものを見ますると、この会社昭和十二年の二月に創立されております。ちょうど現在は創立以来三十年を経ているわけでありまして、そこに、民間病院健康調査の結果が差し示すものの重要性というものあるいは重大性というものを、私は感ぜざるを得なかったのでございます。  そこで、特に私がある部落の懇談会に出ましたところが、ある老人の方が切々と訴えられましたのは、その方の奥さんが最近しきりと痛い痛いと訴えるようになっておる、夜眠れないので眠り薬を飲んだりしているというような事実がわかったのであります。その老婦人は七十二歳で出産六回を経験されているのです。そして十年ほど前から痛みを訴え始めて、特にひどくなったのは二、三年前からである。現在では、こたつにあたっても痛みを訴えるというようなことが述べられておるのでございます。私は医学的な知識はございませんけれども、どうも諸種の材料から見まして、この地区イタイイタイ病が進行している懸念というものは少なくないのでありまして、私は、いたずらに不安をかき立てることは好むところではございませんけれども、しかし、厚生省といたしましては、こういう事態に対して、まず何よりも警戒体制をしくということが必要ではないか、こんなふうに思うのでありますが、現在までに厚生省で打たれた手というものがどういうものであったか、それにつきまして、厚生政務次官並びに事務当局より御説明いただきたいと思います。
  18. 武藤き一郎

    武藤説明員 いまお話し群馬安中の問題でございますが、私どもといたしましては、富山の神通川の問題が起きましてから、全国カドミウムの問題につきましては、非常に注意をして対処しているわけでございます。昨年から、対馬あるいは群馬その他の府県で、カドミウムを産出する鉱山等につきまして、その周辺の地域につきましては四十三年度から調査をいたしておりまして、御指摘安中の問題につきましては、近く、三月中と思いますが、いわゆる調査結果の結論が出る予定でございます。それから、いろいろ御指摘病院調査とかあるいはその他のいろいろの個別的な状況等につきましては、私どもとしても、そういう問題のあることを念頭に置きまして、今後のいろいろの調査あるいは対策を考えていきたい、かように思っております。現在、群馬県のほうで約三千人の健康調査をやっておりまして、その結果も四月中にはわかるように聞いておりますので、そういう点も早く結果がわかるように、県当局を督励して、一時も早くこれについての現在における明確な状況を把握しまして、的確な対策をとっていきたい、かように考えております。
  19. 河上民雄

    河上委員 こういう問題につきましては、地域住民の間では非常に不安が高まっておりますので、いたずらにただ心配がないというようなことでは、かえって不安をかき立てるのではないかと思うのであります。先般現地で聞きました限りにおいては、そのすでに始まっております調査しかた自体が、これはしろうとの感じかもしれませんけれども、何か非常に簡単過ぎる、自分たちの不安を納得させるだけのものではないというような声がかなり強かったのであります。ただ簡単に問診をしたり尿をはかることはもちろんやっておるようであります。その詳細につきましては、また山口議員からお話しをいただくことにしたいと思いますが、ともかくただ簡単なおざなりな調査をやっておるのではないかという、不安といいますか、不満が強いようであります。そこで、それはいわれのない不安であるかどうかということは、専門家からいいますと、そういう意見が出がちでありますけれども、やはり一番の利害関係者である住民としては、その不安そのものが非常に大事なわけでございます。そこで、住民の間では、この際単にそんな問診程度ではなく、イタイイタイ病に関して十分な経験のある専門家に、一ぺん現地へ来て見てもらいたいという声が非常に強いのであります。たとえば岡山大学の小林純教授とか、あるいは冨山県の婦中町でイタイイタイ病に全精力を注いでこられました萩野博士とか、そういう方々に一ぺん見ていただきたい。ことに、病気がまだ徴候という段階においては、そういう経験というものが非常にものをいうのではないかという声をしきりと私は聞いたのであります。  そこで、厚生政務次官にお伺いしたいのでありますけれども、この際そうした住民の要望にこたえて、単に機械的な基準に基づいて健康調査をするだけではなく、その道の専門家を、特に厚生省の名において派遣するというような措置をお考えいただけないものだろうか。さらにまた、この健康調査につきまして、これは事務当局に伺いたいのでありますけれども、一体無料でやっておるのかどうか。ある程度の手数料などを取っておるのかどうか。もし取っておるとすれば、これは住民としては全くいわれのない負担になるのでありまして、これは無料で、しかも年一回やるだけでなく、年に何回か科学的な必要に応じてやるというようなこともお考えいただきたいのであります。  以上でございますが、厚生政務次官並びに事務当局より、この点についての御答弁をいただきたいと思います。
  20. 粟山秀

    粟山政府委員 住民の不安を解消するということは非常に必要なことだと思いますし、おざなりなことだけで済ませられるような問題じゃございませんので、厚生省にその研究班もございますし、十分な基礎調査をいたしまして、その上で、そういう専門家の方にも十分にそれを見ていただく、そういうような措置をとりまして、そうして、これならばという結果を出すような、そういうことはいたすつもりでございます。
  21. 武藤き一郎

    武藤説明員 いま、健康診断検査のしかたが簡単ではないかというような御指摘でございますが、私どもとしては、県を指導しておりますのは、一つにはやはり三千人というような数でございますので、まず一定の健康診断をやりまして、その中からいろいろ精密検査を要する人もまた選び出さなければいけないというようなことで、最初受けられた方がそういう印象を受けられたのではないか、かように考えていますが、さらに、いわゆる第一次の検査でいろいろ問題があるのではないかという方には、もちろん精密な検査をやることは当然でございます。それからまた、他の地域とのいろいろの比較調査も、私どもとしてはやらなくちゃいけない。たとえば対馬あるいは大分、宮城あるいは富山、そういうところの調査も現在実施中でございますので、そういうところとの比較調査もやらなければいけない、こういう考え方を持っております。  それからまた、いろいろ調査をやるのもいいけれども、早く専門家を派遣すべきではないかという御意見でございますが、私どもとしましては、やはり基礎的な調査その他をやりまして、それに基づきまして、専門家の判断なり、御意見というものをお伺いするのが当然でありますし、また専門家でありますれば、ただ単に何か問題があったために、そういう基礎的なデータ等についての御認識なしにいろいろ結論を出すということは、専門家の方はおそらくとられないだろう、かように考えておりますので、もちろんそういういろいろな専門家の派遣については、私どもは必要な段階では行ないたい、かように考えております。  ただ、いま小林教授名前をあげられましたが、小林教授分析専門家でございまして、いわゆる医学的の専門家ではございませんので、一応申し添えておきます。
  22. 河上民雄

    河上委員 いまのお話でございますと、なお基礎的な調査の上に、それぞれの分野の専門家意見を徴して結論を出したいというようなお話でございましたが、できるならば、単にできた調査を見せるというだけではなく、こういう病気は、日本至るところに発生しておるわけではないのでございまして、当然、富山県とか、そういう、いままでのところ限られた地区でございます。したがって、富山県でみずから経験した専門家協力参加を、調査段階においても仰ぐというのが、当然の措置ではないかと思うのでございます。先ほどの御答弁でございますと、あるいは私の聞き違いかもしれませんが、何か、できた資料をただ見せるというような感じを受けたのでありますけれども、そうではなく、調査段階において、調査に対して参加協力を仰ぐということが、私は必要ではないかというふうに思うのでありまして、その点について、もう一度政務次官並びに事務当局より、重ねて御答弁いただきたいと思います。
  23. 武藤き一郎

    武藤説明員 ただいま名前をあげられました小林教授は、三月末に私どもが発表いたす予定分析の結果を急いでおります共同班には、入っておられます。  それからその他の地域のいろいろ専門家を加えるべきではないかという御意見でございますが、私どもとしては、カドミウムについての専門家につきましては、全国にいろいろなデータその他の問題につきまして、四十四年度に合同研究会等を開いて、いろいろの角度から検討していただきたい、かように考えております。
  24. 河上民雄

    河上委員 それでは、なるべく住民の不安を取り除くよう、厳正な科学的な調査をいただくようにお願いいたしまして、なお通産省に一言だけお尋ねしたいのでありますが、私ども現地調査いたしましたときの印象で、非常に強く残っておりますのは、工場が傾斜地にございまして、それがその製錬所の性質上、必要な立地条件であるかどうか、私ども承知しておらないのでありますけれども、そのため、二十メートルくらいの煙突が立っておりますが、あるいはもう少し高いかもしれませんけれども、あまり高い煙突とは見受けられなかったのでありますが、この煙突から出てくる煙が丘の標高より低いところにございまして、出てくる煙がちょうど丘の上をはうようにして、丘の上にある部落に流れていっておるのであります。非常に常識的に見まして、こういう煙突の高さというものが妥当であるかどうか、疑わざるを得ないのであります。そういう点について、いままでどういう監督指導をしてこられたのか。工場側の説明では、一〇〇%むだのものは出していないということでございましたが、しかし丘の上にあります部落は、従来農業を営みまして、聞くところによりますと、昭和八年には麦の日本一ということで、当時の農林大臣であります後藤さんが、その場所に立って、特に視察にこられたという記念すべき場所だそうでございますが、今日行って見ますと、もう荒涼たる状態でございます。わずかに農民が何とかというので、牧草を植えて、その牧草も何か十分に成功しておるとは思われないのでありますが、しかし農民としては、生きるためにそれをやっておるというような状態になっておるのでありますが、そういう点から見まして、やはり現実に被害がある。その原因はともかくとして、被害があることは事実でございます。先ほど申し上げましたように、煙突の高さについて通産省ではどういう指導をしてこられたか、その点だけお伺いしておきます。
  25. 橋本徳男

    橋本政府委員 工場の立地条件、それからそれに伴ういろいろな施設のレイアウト、これはいろいろあると思うのでございます。先生おっしゃいますように、確かに安中の製錬所は傾斜地にございまして、煙突は比較的低いという形になっておるわけでございますが、問題は煙突から排出されます排煙の中に含まれる、いわゆるいろいろな有毒的な要素、こういったようなものを極力押えるというふうな方向で、従来から指導しております。また監督もしております。向こうの煙突から出る、たとえば硫黄の排出基準につきましては、〇・二二%以下というふうなことでやっておりますが、しかしそれでもいろいろな問題が出ますので、さらに改善指導しまして、そういった〇・二二%の基準に対しまして、現在排出しております鉱煙は、〇・〇二ということで、大体基準の一〇%以下というふうなことになっておるわけでございます。しかしそれ以上にいろいろな問題を含んでおるというふうなことは、私も承知しておりますので、さらにその排煙の改善あるいは全般的にそういった農業その他との調整の問題につきましては、工場側ともよく話をしまして、できるだけの改善をはかっていきたいというふうなことで、通常の鉱山でございますれば、巡回指導というようなことで、定期的な検査しかやっておりませんが、特にこの安中といったような特殊な鉱山につきましては、特別な検査をやっておりますので、一応とにかく基準を相当下回った形にまで施設改善をやらしておりますが、いま言ったような点につきましては、さらにそれによる被害が具体的に今日でも発生しているのかどうか、あるいはそれによってなお改善の必要があるかどうかということは、さらに突っ込んで検討してみたいというふうに考えております。
  26. 河上民雄

    河上委員 私どもも、排煙の中の含有量につきましては、ただいまの数字は承知いたしておるわけでございますけれども、たとえそういう数字であっても、あのように煙が地面をはうようにして丘の上の部落へ流れていくという姿を見ますと、ただ排出口における濃度というだけでなしに、多少煙突の高さについても考えなければならない問題があるのじゃないかと、非常に常識的に思ったわけでございまして、特にそういう点についての今後の指導をぜひお願したいと思います。
  27. 橋本徳男

    橋本政府委員 確かに先生おっしゃいますように、単にその中に含まれる有害ガス量だけの問題ではないと思います。したがって、いろいろな風の吹き方あるいはその地域の姿等によりまして、かりに害がないといたしましても、それによる不快感その他を与えるというふうな問題もあるだろうと思うのでございます。したがいまして、さらに現地検査を十分いたしまして、そういった問題について検討を進め、できるだけの改善をはかっていきたいというふうに考えております。
  28. 河上民雄

    河上委員 それでは、なおこまかい問題につきましては、地元の事情に詳しい山口議員より補足して御質問願うことといたしまして、時間も参りましたので、この問題についての私の質問はこれで終わりたいと思います。
  29. 赤路友藏

  30. 折小野良一

    ○折小野委員 総理府の方が何か御用事がおありのようですから、少し質問の順序を変えまして、総理府関係の方の分を先に申し上げたいと思います。  公害対策基本法が四十二年の八月に施行されましてから今日まで、実質的に一年半以上、足かけ三年になっておるわけなのであります。この公害基本法の第七条によりますと、「政府は、毎年、国会に、公害の状況及び政府が公害の防止に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。」すなわち年次報告の義務づけがなされておるわけであります。今日まで、この報告を私ども拝見いたしていないわけでございますが、公害対策を進めていく上におきまして必要な施策として、この年次報告の義務がつけられておるというふうに考えております。もちろん、政府といたしましても、いろいろ準備を進められておることであろうというふうに考えるわけでございますが、その間の経緯をお知らせいただきたいと思います。
  31. 野村正幸

    ○野村説明員 御指摘の年次報告につきましては、公害対策基本法に定めておるとおり、今国会に提出すべく準備中でございますけれども、各省の原稿が大体集まったところですが、総理府におきましていろいろ調整しておりまして、ちょっとおくれておりますけれども、できるだけ早く、今国会に出したいと思っております。
  32. 折小野良一

    ○折小野委員 今国会に出される御予定だということですが、大体いつごろまでに出されるか、時期的にはめどがつきますか。
  33. 野村正幸

    ○野村説明員 四月一ぱいには出せると思います。
  34. 折小野良一

    ○折小野委員 できるだけ早く、ひとつ御提出をお願いいたしておきたいと思います。  それから、公害対策基本法の審議の際にもいろいろ問題になったのでありますが、公害対策を有効に進めるために、行政機構の整備ということが必要じゃなかろうか、特に二元行政、三元行政、多元行政になっております現状からいたしまして、いろいろな面で対策の推進に支障があるんじゃないか、こういうような考え方が、その当時も強く主張されたわけでございます。最近お聞きいたしますと、行管あたりの――これは国の制度全般についてですが、行政整理あるいは行政簡素化、こういうような立場からの意見が出されておりますが、やはりその中に共管を廃止する、こういうような考え方が一つ打ち出されておるわけでございます。こういう立場から見た国の行政の中には、多くの面でいわゆる共管行政というものがあるのでありますが、その中で最も各方面に関連をいたしております行政といえば、これはやはり公害対策行政であろう、こういうふうに私ども考えておるわけでございます。したがって、公害対策担当の各省の方々のこの行管の方針に対する考え方、あるいはこれに対する対処のしかた、そういう面についての御意見をお伺いいたしておきたいと思いますが、まず総理府から……。
  35. 野村正幸

    ○野村説明員 現在、おっしゃいました対策につきましては、関係各省がそれぞれの権限に基づきまして、実態に即して適切な施策を講じますようやっておるわけでございます。これは、公害現象そのものが、大気汚染とか水質汚濁とか、騒音とか、そういう種類によりましていろいろ性質が異なりますし、また同じ大気汚染でございましても、たとえば工場大気汚染と自動車の排気ガスの大気汚染とは、それぞれ規制のやり方なり態様が違ってくるわけでございます。したがいまして、それぞれの各省が、それぞれの専門的知識を生かしまして行政をやっておるわけですが、ただ、公害問題は非常に国民の生活に密接な関連があるということで、それが各省ばらばらにやることによって、その内容が非常に不統一になったり、あるいは不備になったりする点は非常に困ります。したがいまして、関係各省は、公害対策会議という閣僚ペースの連絡会議を設けまして、そこで施策の調整なり推進をやっておるわけでございます。具体的には、その下にあります幹事会あるいは各省の担当課長でやっております公害対策連絡会議、そういうものがひんぱんに会議を開きまして、連絡調整をやっておるような次第でございます。
  36. 折小野良一

    ○折小野委員 いまの御答弁は、確かにそういうようなことで総理府としてはやっておられるだろうと思っております。しかし、これが一元化されれば、より公害対策の効果があがるんじゃなかろうか、こういうような立場からの意見でもあり、また、それはただ単に国会審議の過程で出ただけでなしに、政府の諮問委員会等におきましても、やはりそういうような意見は、強く政府に対して当時答申をされたわけであります。したがって、その業務がいまおっしゃっるようにばらばらに行なわれ、不統一に行なわれ、またそれぞれのセクショナリズムと申しますか、そういうようなことが業務の推進を妨げる、こういうようなことは当然あるわけでございます。それが現在の段階においては、それをなくするように、おそらく総理府が中心になって、いろいろ調整をはかっておいでであろうと思っておりますが、それが一元化されるならば、さらに一そうそういう面の推進がはかられるんじゃないか、こういう立場からの意見なのであります。したがって、いわゆる前向きの姿勢で御検討になってしかるべきだと考えます。行管の立場といたしましても、やはりそういうような立場で、いろいろな行政が共管行政で、その間に問題がある、これを一元化することによって行政の簡素化と能率向上が期せられる、こういうような立場における意見というふうに考えます。したがって、前向きの立場における御意見をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  37. 野村正幸

    ○野村説明員 先ほど申しましたように、公害現象は非常に多面的、多元的でございまして、その態様なりあるいは規制の方法が、ものによりまして非常に異なるわけでございます。これを公害という名前一つの行政機構に一本化しましても、その規制のやり方その他が、非常に具体的になりますとそれぞれ分かれます。そういう関係で、いまそれぞれの各省の専門知識なり技術力を総動員しまして、対象を講じているわけでございます。で、これを一元化あるいは行政の簡素化という観点から一本化しましても、どちらがほんとうに公害行政について責任を持ってうまくいくかという点につきましては、いろいろ検討しなければならない点がございますので、現在の考え方としては、公害対策連絡会議というものでやることで十分ではないかというふうに考えております。
  38. 折小野良一

    ○折小野委員 もちろん、公害現象は多面的であり多元的でございましょうし、そしてまたこれに対する対策は、個々の現象に即した対策というものがいろいろとられなければならない。しかし、それが行政の面におきましてその推進を阻害する、こういうような面がいろいろ出てこないということは言えないわけであります。ただ単に、多面的なものあるいは多元的なものを調整しさえすれば、そこに効果があらわれるというものでなしに、やはりそれを一元的に促進することによってより大きな効果が上がる。こういうことが期待されるわけでございます。そういうような点から、もちろんこれは十分な検討を要する問題でありますが、当然検討していただかなければならないのですが、しかし、その検討の立場といたしましては、現在それぞれの省で所管しておられるそれぞれの業務をいつまでも保持しようとか、あるいは自分の守備範囲を何とか確保しようとか、そういうような考え方でなしに、あくまでも国民のために、公害対策というものはどうしたほうがよりよく効果が上がるか、より大きな効果が上がるか、こういう立場で検討されることが必要であろうと思っております。もちろん、私どももその内容につきましては十分承知いたしておりません。しかし、いろいろな報道その他によりまして、現在のような多元的な行政になっておるがためのいろいろな問題というのが常に出てまいるわけであります。たとえば、ある部面からはわりあい積極的な姿勢でこの対策に取りかかろうといたしますと、他の面からその足をひっぱる、こういうようなことがいろいろあらわれてまいります。そうしてそのことが公害行政に対する国民の不信を買う、こういうような問題もいろいろあるわけでございます。そういうような面から、常に国民の立場に立って考えた場合にどうすべきか、また現在の状態で満足するのでなしに、現在の状態をよりよくするためにはどうすればいいか、こういうような立場で、ひとつ今後十分な御検討をお願いいたしておきたいと考えます。  それから、公害行政の面におきまして今年度の重要課題は、基本法に基づきまして、紛争処理並びに公害の健康上の救済に関する特別立法、これがことしの公害問題の中心になってまいろうと思っております。これは当然、基本法におきまして、そういうような制度をつくることを要請いたしておるわけであります。もちろんこれらにつきましては、具体的にまだ私ども原案を承知いたしておりません。今後具体的な審議が行なわれるわけでございます。そういうような面につきましては、私は別に触れたいとは思いませんが、現在までのところ、政府の案がまとまります過程におきまして、いろいろなことが報道されておるわけですが、その中の一つに、紛争処理関係につきましては基地公害というものを除外する、こういうようなことが新聞報道等に出されておるわけでございます。本来公害というものの概念の中に、基地公害というものがあったということを私ども十分承知いたしております。こういうものを除外しなければならない理由がはたして那辺にあるのか、こういう点につきましては、法案作成の過程でいろいろおまとめになっておる総理府のほうで御承知だろうと思います。その間のいきさつと、これを除外するということにしなければならなかった理由というものを御説明願いたいと思います。
  39. 野村正幸

    ○野村説明員 防衛施設から生じます騒音等の障害につきましては、関係各省の間でいろいろ議論したわけでございますけれども、御承知のとおり、結果としては別の法体系によることになっております。  その理由といたしましては、防衛施設から生じます障害等につきましては、その発生原因等から見まして、紛争処理制度のいわゆる一般の産業公害とは別個の扱いをすべきではないかということがまず第一点であります。その次に、このような防衛施設から生じます障害につきまして、その救済のためには、防衛施設周辺整備法という法律がございまして、この法律の実施につきましては、一般公害の場合とはより厚く、あるいは民生の安定とかあるいは補償とかにつきまして、いろいろ施策を講じておるわけであります。また損失補償につきましても、異議の申し立て制度等がございまして、紛議の円満な解決をはかっておるわけであります。したがいまして、公害紛争処理法案におきましては、そのような防衛施設の特殊性あるいはいろいろ手厚く施策を講じている、そういう観点から、一応別の法律によることにいたしたわけでございます。
  40. 折小野良一

    ○折小野委員 今日まで、防衛施設周辺の問題につきましては法律があって、それぞれの必要な対策が講じられておることはわかります。しかし、別個の扱いをすべきではないか、といまおっしゃった。その別個の扱いをしなければならない理由というのは、どういうことなんでしょうか。
  41. 野村正幸

    ○野村説明員 防衛施設から生じます障害につきましては、障害という点では一般の産業公害と同じようでございますけれども、その原因となる行為が、米軍なりあるいは自衛隊の行動から生ずるものでございまして、たとえば調停といいましても、その行為自体を動かすということではなしに、補償で考えるというふうな施策になると思いますので、この紛争処理という、産業公害を中心とした一般の公害問題を含めたそういう体制とは、一応別の扱いをすべきであるということでございます。
  42. 折小野良一

    ○折小野委員 いまのお考えは私どもにはわかりません。行為自体を動かすことができない、こういうふうにおっしゃいました。ということは、国民の健康よりか、そういう基地において行なわれる行為のほうが重要だ、それを優先させる、こういうお考えでございますか。
  43. 野村正幸

    ○野村説明員 この行為自体が優先するということではなしに、基地公害につきましては、別途の法律が十分準備されておりまして、そっちのほうで、補償なりあるいは異議の申し立て、そういう制度がございますので、そちらの体系によるということでございます。
  44. 折小野良一

    ○折小野委員 いま確かに行為自体を動かすことはできないというふえにおっしゃった。したがって、その動かすことができない行為によっていろいろな公害が発生する、それによって紛争が起こる、そうした場合には補償その他によって解決するということは、やはりその行為自体を国民の健康よりは優先さしておる、こういうことじゃありませんか。
  45. 野村正幸

    ○野村説明員 防衛施設から生じます障害につきましては、別途の法体系があるということで、これはそっちの法体系によることにしたわけでございます。したがいまして、この公害紛争処理法案におきましては、産業公害を中心としまして、当事者の調停なり仲裁ということでやるよりも、そちらの法体系によったほうがよろしいということで、別体系によるというふうにしたわけでございます。
  46. 折小野良一

    ○折小野委員 別途の法体系があることは承知いたしております。したがって、その理由はわかっておると私は申し上げた。しかし、その行為が動かすことができない、こういう考え方でこの公害を除外するということでありますならば、これはきわめて重要な問題だと思っております。たとえば、先般小松基地において飛行機が墜落をして、そして多くの死傷者が出た。これは公害じゃないかもしれません、いわゆる公害という範疇からははずれるかもしれませんが、そうした場合において、そこを飛行機が通ったあるいは常時そこを飛行機が通るという行為、これは動かすことができないということで、結局そういうような被害がたまに起こってもこれはしようがない、こういうようなかっこうになってくるわけであります。そういう考え方で、はたしてこの基地公害というものを考えておられるのか。
  47. 野村正幸

    ○野村説明員 この公害紛争処理法案を検討する段階で、たとえばどういうことが内容になるかということで考えた場合に、たとえば鉄道なり航空を、これは騒音があるから一切ストップしろ、あるいは、そういうふうな本来社会的公共性を持ったものにつきましては、この制度になじまないというふうに考えておるわけですけれども、基地公害につきましては、そういう航空機のように、内容によりまして、この調停なり何なりになじまないものがあるのじゃないかということで、これは一般の産業公害につきましても同じことが言えるわけですけれども、そういうなじまないものが多いということが一つあるわけでございます。それから、先ほど申し上げたように、これは別途の補償措置その他いろいろな手当てがございますから、そっちの別の体系でいくというふうに考えておるわけでございます。
  48. 折小野良一

    ○折小野委員 確かに、今日の世の中におきまして、完全になじむという段階には至っていないという面はあると思います。確かにそこに汽車が通っておる。これはやはり国民経済の立場からいって、どうしても通らなければならないわけです。しかしながら、やはりその騒音はできるだけ少なくするような努力というものがなされなければならないと思います。汽車が通っちゃいけないとは言えない。しかし防音装置をやってくれということは当然言えるわけでございますし、そういうような方向にいろいろな対策が進むということこそ、公害行政の一つの方向じゃないかと思っております。基地における行動といえどもこれは絶対に動かすことができないのだというわけにはまいらないんじゃないかと、私ども思います。たとえば基地を出ていく、あるいは基地に帰ってくる飛行機が、常時都市のまん中を、その上空を通っておるということになりますと、これはやはりいざという場合の被害が大きいということになれば、できるだけ人家の少ないところを通るようにとか、あるいは海を通るように、こういうような対策もあり得るわけでございまして、こういうような問題も、やはり広い意味の公害務策であろうと思っております。私どもはそういう意味からいきまして、基地公害といえども、完全に公害対策になじまないということは言えないというふうに考えます。しかし、いまおっしゃるように、別途の法律で考えるということでありますならば、それはどういうような具体的な方法を御考慮になるか知りません。その方法の内容によって、また検討しなければならないわけでございますが、一応そういう立場で考えるというならば、それはそれでけっこうだというふうに考えます。そうした場合に、この一般的な公害対策というものと別途な措置を考えなければならないという理由、その点をもう少しはっきりお聞かせをいただきたいと思います。
  49. 野村正幸

    ○野村説明員 基地公害につきましても、関係住民の、たとえば生活の安定なりあるいは福祉から見まして、それが一般の公害よりもそこなわれてもいいということは絶対言えないわけでございますから、この制度に見合いまして、基地周辺等の法律その他で、そういう対策が講じられるというふうに私ども考えております。これは具体的には防衛庁がいろいろお考えになることでございますが、私ども具体的な内容につきましては、ここでは申し上げられません。
  50. 折小野良一

    ○折小野委員 確かに防衛施設の周辺に関する対策というのは、今日まで法律もできておりますし、それに基づいて具体的に予算も組んで、そしてその対策を講じておいでになるわけであります。それは私どもよく承知をいたしております。しかし、それであってなおかつ、いわゆる基地公害ということばが世間に流布するように、基地周辺において公害紛争というのがあるわけであります。多いわけであります。したがって、やはりこういうような面につきましては、今日の状態では、基地周辺の紛争を完全に消化し切っていない、こういうことだと思うのであります。したがって、現在のままに、対策がとられておるからいいということでは、この問題は済まないのでして、一般の公害につきましても一歩を進めようということで、紛争処理の新しい制度を設けようとしておる。公害についてももちろん対策は講じられておりますでしょう。しかし、それもやはり一歩を進めていきたい、こういうことであろうと思っております。したがって、そういうような法律がいままであるからということで、この公害関係対策を除外するというわけにまいりません。しかし別途の法律をつくられるということでございますから、それが十分なものであるならば、その内容によっては、私はそれはそれなりにけっこうだと考えますが、そういうような実態から考えまして、現在のままでいいということは決して言えない。そういう点から、これはやはり、できますならば、今回紛争処理の法案ができると同時に、これを除外されるのであるならば、基地周辺の公害についての紛争処理対策というものもあわせて御提示あるべきである、そういうふうに私どもは考えるわけでございます。いかがでございましょうか。
  51. 野村正幸

    ○野村説明員 基地公害につきましては、御指摘のとおり、一般の産業公害と違って、同じようにいろいろな施策を講じなければならぬということは、おっしゃるとおりであります。これは基地周辺等の整備に関する法律によりまして、いろいろ施策を講じているわけですが、もしもその点に不備があれば、防衛庁のほうでいろいろ検討することになると思います、防衛庁の問題でございますので、私ども、この席ではちょっと申し上げられないわけでございます。
  52. 折小野良一

    ○折小野委員 内容につきましては、確かに直接の担当は防衛庁でございますし、基地公害を除外するという問題も、具体的な法案が出てまいりませんと、私どもその内容についてわかりません。これ以上の具体的な問題については、その際に、また御質問を申し上げたいと思っております。一次に、基本法の第十五条に「科学技術の振興」ということがあげられております。私ども、この問題は公害対策を推進していく上においてきわめて大切な、しかも基本的な問題であろうというふうに考えております。おそらく、公害に関連する科学技術がより進んでまいりますならば、公害対策のあり方というものも、もっともっと違った形になるんじゃなかろうかというふうに考えます。したがって、こういう面につきましては、政府におきましても、各方面でいろいろな検討が進められてまいっておるというふうに考えるわけでございますが、基本法ができましてから今日まで、政府でいろいな形で取り組んでおられましょうが、その間に特にこういう面ではこういう前進を示したのだ、こういう面ではこういう段階に研究開発ができてきておるのだ、こういうような点で具体的なものがございましたら、ひとつお知らせをいただきたいと思います。
  53. 矢島嗣郎

    矢島説明員 御指摘のとおり、公害の問題の解決には、公害防止技術というものをできるだけ早く研究開発して、これを実用化することが一番でございまして、簡単にいえば、これができてしまえば公害問題の大半は解消するだろう、ということがいえるわけです。  そこで、御質問の公害対策基本法十五条にうたってあるように、基本法ができてからどういう進展があったかということでございますが、いろいろあると思います。例示的に御説明申し上げますと、水の関係では、石油とかいろいろな油が非常に問題になっているわけですが、こういうものにつきましては、通産省におきましては、バクテリアの研究というものを、発酵研究所というのが千葉にございますが、ここでかねてから研究しておりまして、その研究の蓄積が相当あるわけですが、その結果が成果を結びまして、活性汚泥法というのができまして、要するにバクテリアが油を食ってしまう、そういうことによりまして、油が出なくなるというのが確立いたしまして、これが逐次各方面に実用化されております。たとえば四日市などにおきましても、非常に油の問題がうるさかったわけでございますが、現在その活性汚泥法を適用して、共同の公害防止施設をやっているというのがございます。同じくこの方法は、新しい石油精製会社、たとえば姫路におきまして出光興産の問題がいろいろございますが、その中でも、少なくとも油に関しては、この方法を採用するということで、地元の方に一応御納得をいただいておる、こういうようなのは、水の関係一つの例ではないかと思います。  それから、先般環境基準が設定されまして、亜硫酸ガス大気汚染について、政府としては重大な決意のもとに、今後施策をやっていかなければならぬわけでございますが、その中でも、この亜硫酸ガスを除く技術というものを開発し、早急に実用化するというのが一番大事だというので、閣議決定にもそういうことがうたわれておりますし、閣議決定と同じ日に、通産大臣が所信を発表されております。この中でも強くうたっているわけですが、この点に関しましては、通産省におきまして、工業技術院で大型プロジェクトということで二つの方法、つまり重油そのものから脱硫するという方法が一つございます。実際上はその方法に二つあって、二つをやっているわけですが、これが研究を始めましてからすでに三年目ぐらいになりまして、なお完成までには二年間を要しますが、だいぶ進展をしております。それからもう一つは、煙の段階から硫黄分をとるという排煙脱硫、これのほうはやはり二つの方法をやっておりますが、一つの方法につきましては、本年度でもって一応研究が終了する、もう一つの方法も来年度で研究が終了する、こういう段階になっております。その研究の成果を見ました上で、逐次これを実用化してまいりたいと思っております。  水の関係と煙の関係、それぞれ例示的に御説明したわけでございます。このために毎年十億円を上回る研究費を投じておるわけでございます。
  54. 折小野良一

    ○折小野委員 厚生省関係では。
  55. 武藤き一郎

    武藤説明員 厚生省関係では、主として医療面の問題でございますが、問題になりました水銀、カドミウム等によります中毒患者についてのいろいろ治療面の研究をやっております。水銀中毒につきましては、具体的に新潟大学、それからイタイイタイ病、これはカドミウムの問題でございますが、この点につきましては冨山県立の中央病院等に委託して、現在医療面からの研究をやっております。これまでのところ、体内に蓄積されました水銀とかあるいはカドミウムを排出するための有効な薬剤が見出されてきております。それからまた、水銀中毒につきましては、神経系の麻痺が固定した者につきまして、リハビリテーションによりまして回復機能を持たせるというようなことにつきまして、かなりの効果があらわれております。  それから先ほどのイタイイタイ病につきましては、カドミウムを排出させるとともに、ビタミンDの大量投与あるいはたん白同化ホルモン剤、カルシウムの補給を併用しまして、顕著な病状の改善が行なわれております。  それからまた、最近非常に分析技術が発達してまいりまして、いままで計量できませんでした微量のものまでも測定できるようになりまして、私ども全国九カ所に設けております国設の大気観測所におきましては、鉛、カドミウム、亜鉛、マンガン、ニッケル、鉄等のいろいろな微量重金属の空気中における分析等も、現在行なえるような状態になっております。  簡単でございますが、以上のとおりでございます。
  56. 折小野良一

    ○折小野委員 いろいろな重金属が人間の健康に被害を及ぼすということがいわれております。空気中の重金属についてのいろいろな分析はなされておるようでございますが、排水の中に含まれております重金属、いままで水銀とかカドミウムとか出ておりますが、その他の重金属の中で、人間の健康に害がある、いわゆる公害の原因になる、そういうふうに思われるようなものは、現在までの段階でいろいろ研究されておりましょうか、あるいは研究の段階においてそういうものが新しく出てきておる、というようなことがございましょうか。
  57. 橋本道夫

    橋本説明員 重金属の影響面でございますが、この点は各国とも非常にデータが少のうございまして、現在私ども、全部合わせますと約一千数百万をかけまして、水の中の調査と、どろの中の調査と、土壌の中の調査と、食品の中の調査を一斉に進めております。それからもう一つは、人間の臓器について、死体の中の重金属を現在ずっとチェックしておりまして、何かものが起こらない先に、大体のバックグラウンドを調べておるというような形をとってやっております。いま先生の御指摘になった、水の中の重金属はどういうものに着目しておるかということでありますが、将来は、このクロームなども規制を加えていくべきものであろうと考えております。現在水では、この次のスケジュールはクロームというように考えております。
  58. 折小野良一

    ○折小野委員 これは重金属ではございませんが、最近病院でいろいろ抗生物質を使っております。病院の排水の中に、抗生物質の廃物が流れ込むということは考えられるわけでございます。また、病院等の排水処理施設がどの程度完全なものか、それもよくわかりませんのですが、抗生物質あたりがそういう排水にまざって出た場合に、被害があるものなのかないものなのか、あるいは抗生物質等を処理するような施設が現在の病院に義務づけられておるのか、あるいはそういう施設ができるのか、その辺の御意見をちょっとお伺いいたしたいと思います。
  59. 橋本道夫

    橋本説明員 抗生物質によって起こる環境汚染という点につきましては、これは環境汚染という意味ではなく、食品衛生のほうで対応しておりまして、一般の環境汚染の中で、抗生物質による汚染ということは、現在WHOなんかでも注意を払っておる内容になっているものは、入っておりません。しかし食品の残留云々という面では、これは警告を出しておりまして、食品化学のほうでは取り組んでおります。病院のほうでは、下水終末処理場に入るとか、あるいは一般の生物分解で、私どもは一応分解されて問題はなくなるのではないかと思っております。やはりそういう点につきましては、またいろいろ御意見等で、注意をしていきたい、こういうふうに思っております。事例はございません。
  60. 折小野良一

    ○折小野委員 私どもも、それが抗生物質であるというはっきりした分析なり証拠なり、こういうものがあるわけじゃありませんが、ある病院の排水が用水に流れ込む、その用水に泳いでおります魚がよく死ぬ、こういうような事例がありまして、これはおそらく抗生物質によるものじゃなかろうか、こういうようなことがいわれておる事例があるわけなのであります。そうであるかないかはよくわかりません。そういう面もひとつ――今後抗生物質の使用というものは非常に多いと思われますし、また病院のそういう排水処理等について、今後さらに一そう十分注意をしなければならない状態になってまいろうと思っております。一つの課題として、御調査をお願いいたしたいと思います。  それからもう一つ、それに関連いたしまして――関連はいたしておりませんが、そういうもので、一つだけお聞きしてみたいと思いますが、合成樹脂関係工場でフェノールを使います。このフェノールが一つの公害の原因になるというふうにいわれておるわけでございますが、そういう面については、実例とかあるいはいろいろな研究の成果とか、あるいはまた対策、そういうものがございますか。お伺いをいたします。
  61. 橋本道夫

    橋本説明員 いまおっしゃいました事例というのはございます。私が直接に、いまどこに何があったということをすぐさま申し上げる事例は持ち合わせておりませんが、一つは悪臭や刺激の問題で出てまいりますし、一つは器物、動植物の問題で出てまいります。それに対しては、私いまど忘れをいたしましたが、いまおっしゃったような、将来やはり特定有害物質として対処をしていくことが基本ではないかというような考えでおりますが、現在のところ、まだ規制がかかっておる例はございません。
  62. 折小野良一

    ○折小野委員 これらのものにつきましても、十分調査をしていただきたいと思っております。いまおっしゃいました器物とかなんとかに対するものでなしに、これが生物の神経をおかす、こういうような実例があるわけなんであります。そういうような面から、もしこれが相当大量に排出されるというようなことになりますと、いろいろそういう面の問題が出てまいろうかと思いますので、こういう問題についても、今後ひとつ御検討をお願いいたしたいと思います。  それから次は、公害基本法の第十六条でございますが、「知識の普及等」という規定がございます。この規定は、一般に公害関係知識の普及をはかり、公害防止の思想を高めるというのが目的でございますが、こういう面については、行政の立場から、かねていろいろな方法を講じてなされることが必要だと思っております。特に、これは知識の普及ということになるかどうかは別といたしまして、産業界における公害というものに対する正当な認識、これが高まることが、公害対策を推進する上において一つのきめ手になると私ども考えております。産業界における公害に対する考え方が十分でないがために、公害に対するいろいろな対策がおくれてくる、あるいは公害防止関係の技術に力を入れるとか金を入れるとか、そういう面が行なわれない、こういうような面がいろいろあると思うのでありますが、こういう面に対する働きかけと申しますか、そういう面が具体的になされておりますかどうかをお伺いいたしたいと思います。
  63. 矢島嗣郎

    矢島説明員 おっしゃるとおりに、産業界に対して公害防止の認識を十分深めることが非常に大事なのでございまして、通産省の一般行政のあらゆる部面において、その点を考えてやっておるわけでございまして、たとえば石油業法というものがございますが、石油業法で新しい石油工場を認める際におきましても、その認める際の条件として、公害防止施設を十分設置することを条件にいたしましてやっておるわけでございます。これは電気その他のほうについても、同じような趣旨でやっておるわけでございまして、それは行政全般についてやっておるわけでございますが、なお具体的な問題といたしましては、通産省ではこの数年来、映画による啓蒙普及ということが一つと、それからパンフレットの配布による啓蒙、この二つをやっておるわけでございます。映画につきましては、公害防止の必要性及びその対策の効果を内容とした映画を毎年一本ずつ作成いたしまして、ある年は水質汚濁の防止に重点を置く、ある年は大気汚染の防止をやるというようなことでやっているわけでございます。それからパンフレットにつきましては、全国の一万五千の工場、事業場等の事業主に対して、同じような趣旨から、パンフレットを配布しております。それから第三といたしまして、公害防止事業団を、通産省厚生省両方でめんどうを見ておるわけでございますが、その公害防止事業団におきましても、事業者に対する公害防止の必要性を述べた広報パンフレットの配布、あるいは同じく映画の作成、上映をいたしておる次第でございます。
  64. 折小野良一

    ○折小野委員 できるだけこういう面につきましても力を入れていただきまして、一般的に、特に産業界あたりに、公害に対する認識を高めていただくように努力をしていただきたいと思います。  それから、公害対策はもちろん国のほうでいろいろ進めていただいておりますが、また、それぞれの地域において、地方の公害対策というものを進めてまいりませんと、十分な効果が出ませんし、また、きめのこまかい、地域に即した対策というものができにくいわけでございます。幸い、公害対策基本法ができましてから、各地におきまして、特に県段階でございますが、やはり公害に関連する条例をつくる、あるいは機構を整える、そういう動きがだんだんと出てまいっておりますことはけっこうなことでございますが、必ずしも、公害に対して、あるいは公害対策に対して、積極的な姿勢でこれに取り組むというような面があまり見られないような気がいたすわけでございます。  まず第一に、最近の地方におけるこのような公害対策の条例とかあるいは機構とか、そういうものの進捗状況がおわかりでございましたら、概要をお知らせいただきたい。
  65. 武藤き一郎

    武藤説明員 これは自治省のほうで、昨年の暮れにいろいろ取りまとめた資料によりますと、まず県段階で条例をつくっておる県は二十六都道府県、条例の数は三十でございます。それから、これは五大市も含めまして、条例をつくっておる市が二十四市でございます。それから町村が、町が十五で、村が五ということで、相当の条例がしかれております。  それから、いわゆる対策審議会等につきましては、これは県の段階等につきましては、条例等で設けられているものが三十二、それから要綱その他で設けられているものが四十七でございます。市町村の段階で審議会等が設けられておりますものは、条例の段階では五十六、要綱その他の段階で百ほどの審議会とかあるいは対策本部とか、そういったものが現在設けられております。  それから機構の問題でございますが、これは現在、先ほど三十と述べました府県には、ほとんど公害を専管する部なりあるいは課が設けられておりまして、大半は企画部系統でございますが、厚生部あるいは商工部等で専門の部局が設けられている状況でございまして、だんだんこの公害問題が大府県以外の中小県なりあるいは中小都市についても認識が深まりまして、特に昨年の大気汚染防止法あるいは騒音規制法等の実施を見まして以降、地方におきまして、だんだん公害関係の部局の設置が見られるようになっております。
  66. 折小野良一

    ○折小野委員 各地方におきまして、単独の条例ができたり機構が整備されてくることはたいへんけっこうなことでございます。公害につきましては、それぞれの地域の実情に応じて、発生のしかたとかいろいろございますので、やはり現地が最も関心を持つということが大切なことでございます。しかし、その反面に、機構をつくったり条例はつくりますが、それがいわゆるおざなりである、あるいはそれぞれの地域におきましては、場合によっては工場誘致等を積極的にやっておる。したがって、公害防止というような面につきましては、そういうような企業に対して遠慮をして、なかなか十分な規制ができない、こういうような事態もまたあるわけでございます。したがって、厚生省で、条例をつくったりあるいは機構を整えたりしておる、そういう報告は受けておられると思いますが、その内容まで御検討をしていただきまして、場合によっては、適切な指導をやっていくというようなことで、地方における公害防止対策というものがおざなりなものにならないように、この点はひとつ十分注意をして御指導をお願いいたしたいと思います。質問を終わります。
  67. 赤路友藏

  68. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私は、主として、先ほどわが党の河上議員からお尋ねのございました群馬県の安中東邦亜鉛におけるカドミウムの公害につきましてお尋ねをいたしたいと思いますが、その前に一点だけ、基本的な問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  それは、公害紛争処理に関する法律案が問題になるわけでありますが、先ほど民社党の折小野議員からもお話がありましたけれども、この紛争処理から基地公害を除くという政府の方針であるようであります。そこで問題になりますのは、公害基本法の中には、特に基地公害を除くという規定はないわけであります。また、すでに騒音規制法が制定をされまして、騒音に対する公害につきましても、それぞれ取り組んでおられるところであります。  さて、たとえば板付でありますとか、小牧でありますとか、伊丹あるいは千歳、こういった飛行場を考えますときに、民間航空機も入っておるわけでありますが、同時に、板付のごときは米軍の基地になっております。また、その他の飛行場におきましても、自衛隊の基地になっているわけでありまして、このような場合に、この音は民間航空機の音だ、この音は米軍の音だ、これは自衛隊の音だ、というような区別がつくはずはないと私は思うのです。したがいまして、こういった各飛行場の態様を考えました場合に、特に騒音防止の観点からの紛争を処理するということを考えました場合に、この基地公害を除くということはきわめて遺憾なことであり、実態に即さぬことではないか、かように考えるのでありますが、お考えはどうでしょうか。
  69. 野村正幸

    ○野村説明員 基地につきましては、防衛施設周辺整備法によりまして、いろいろ施策が講じられているわけでございますけれども、これは米軍と自衛隊と込みで対策が講じられております。それから、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等の行為による特別損失の補償に関する法律、これは特損法といっておりますけれども、この法律によりますと、基地に関連して、基地に発着する飛行機につきましても、たとえば特別な補償とか、いろいろな公共施設の防止工事の助成とか、そういう施策を講じているわけでございます。
  70. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それはわかっております。問題は、それでは特損法なり基地の周辺整備に関する法律で、そういうものについては処理をするということになれば、私が指摘したように、民間航空機の出している騒音、それから自衛隊機あるいは米軍機の出している騒音も、一括してそちらのほうで処理をするということになるわけでありますから、そうなれば、騒音を出している民間航空機、そういうものは幾らはなはだしい騒音を出そうと、紛争処理のほうには回っていかないで、いわば不当に民間航空機の会社、そういった資本を、結果的には擁護するというかっこうになるのじゃないか、そういうことは不合理だとは思いませんか。
  71. 野村正幸

    ○野村説明員 基地問題あるいはいまおっしゃいました民間航空との関連につきましては、防衛庁が実際の実務を担当していますので、私ども、具体的な問題につきましてはよく存じておりません。ただ、この紛争処理法案は、そういう問題につきましては、そういう基地その他の法律によるというふうに、そっちのほうの対策でやるというふうにしているわけであります。
  72. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまの御答弁はおかしいと思うのですよ。結局、民間航空機がいかようにはなはだしい騒音を出そうと、すべてこれは米軍ないしは自衛隊機関係の法律でもって紛争は処理するということでありますから、結局そういう意味では、民間航空会社は不当な利益を受けると申しますか、はなはだしい騒音による公害を出しても、一切それは関係ない。こういうことでは、法律の上からいって片手落ちだということではないのですか、そんなことはおかしいですよ。
  73. 野村正幸

    ○野村説明員 この公害紛争処理法案におきましては、防衛施設につきましては別の法体系によるというふうになっているわけですけれども、そのために基地周辺の住民の福祉とか健康に害があってはいかぬというふうに、私ども考えております。したがいまして、現在の法体系でございますと、基地周辺におきまして、たとえば非常に騒音が高いといった場合には、公共施設として、市町村がいろいろと、たとえば学校とか病院なんかに防止工事をしている。それに対して国が一〇〇%近い補助をしているということで、騒音その他の障害につきましては、いろいろ対策を講じているということでございます。
  74. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私の時間があれですから、これはこれ以上問いませんが、またしかるべき機会に防衛庁にも来ていただいて、また他の委員から指摘をいただきたいと思うのですが、問題は、いまのお答えを聞いておりますと、確かに公共施設で、国なり地方自治体が整備をするというふうにして、住民に対してはそれはそれで済むかもしれませんが、問題は、いわば産業公害民間航空機という近代的な施設が発する騒音あるいは公害というものが、そういう形で不問に付されるというところに、やはり納得のいかないものがあるし、また法律のていさいからいっても、片手落ちだということになるのですね。したがいまして、その問題は指摘するにとどめまして、今後さらに議論をいただきたいと思います。  さて、そこで、厚生省の方にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、現在厚生省におきましては、昭和四十四年度の公害調査の一環といたしまして、神通川流域をはじめといたしまして、各地域で問題になっておりますいわゆるカドミウムの害につきまして、いろいろと御調査をされておるそうであり、先ほどここで御論議もありましたが、健康調査を実施しておられる。それからさらに、水中あるいは米麦等の食品あるいは土壌、こういったものに含まれますところのカドミウムの量等についても調査をされておられる。そしてすでにある程度中間的な報告も集まりまして、二月の二十日でございますか、調査結果について比較検討を行なっておるということも伺っておるわけであります。これらの調査は、一体いつまでに正式にまとまり、公表される予定でありますか、まずそれをお尋ねいたしたいと思います。
  75. 武藤き一郎

    武藤説明員 いまお尋ねの調査の結果は、三月末には発表ができるというふうに確信しております。
  76. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 三月中に取りまとめて公表されるというわけですね。  そこでお伺いをしたいと思うのですが、いかがですか、この地域の、特に安中市の、先ほどお話がございました野殿、それから中宿あるいは岩井、こういった地域では、以前から地域の農民の人たちが、たとえば養蚕の桑に被害があるとか、あるいはたんぼにおいて稲がたいへん実りが悪くなったとか、そういう形で被害を訴えておられるわけであります。東邦亜鉛におきましても、昭和二十八年から毎年約五百万円を、この被害者の皆さんに対する見舞い金というような形で、いわば補償をしておったという状況であります。ですから明らかに、常識的にいいましても、この地域の被害というものは必ずあるということだと私は思うのです。  どうでしょうか、たとえばカドミウムにしぼってお尋ねしてもいいのでありますが、他の地域とこの地域住民が摂取をしておりますカドミウムの量、あるいは水中ないしは米麦等の食品に含まれるカドミウムの量、あるいは土壌に含まれるカドミウムの量、こういうものは通常の値よりもどのくらい多いですか。そういう点はおわかりでしょう。
  77. 武藤き一郎

    武藤説明員 結果につきましては、三月中に発表できると確信しておりますが、いまお尋ねの点の推測につきましては、橋本公害課長から御説明いたします。
  78. 橋本道夫

    橋本説明員 その地域住民がどの程度にカドミウムを食べておるかという御質問でございますが、いま私どもがお答えできます範囲内と申しますのは、従来の学界等に発表された成績ということが中心でございます。そのほか、実際に水道というものはどこから水が取られるかということについての想定に基づいた考え方でございまして、私どもの現在までに得られた――四十三年のデータを省きますと、米の中に大体平均的に〇・五ないし〇・六PPMのカドミウムが含まれておるということになております。そうしますと、米の食べる量からいろいろ計算をいたしてみますと、大体一日〇・三ミリグラム以下ぐらいのものを食べておるのではないか。水道につきましては全くその場所とは関係のない場所から上水道を引いておりますから、水からの摂取というものは考えなくてよろしいのではないかということでございます。空気の問題はわかりません。現在の段階では非常に高度に処理されておることだけは事実でございます。そういう観点から見ますと、私どもは、現在内規的に部内で、一日摂取量〇・三ないし〇・五ミリグラム以下ぐらいのところならばこれはだいじょうぶだという言い方を、当面はいたしております。何もなしに非常におびえているというだけではいけませんので、そう申しておりますが、大体それくらいのものでありまして、神通川流域に比べれば、少し低いのではないかと思っております。
  79. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 先ほど、イタイイタイ病に関する、その病気特徴というものを、河上議員も指摘されたのでありますが、私は、カドミウムの害というのは放射線の害に似ているのではないかという感じがするのであります。御案内のように、放射線につきましては、許容量以下の線量でありましても、長い期間人体が放射能を受けておりますと、それが蓄積をいたしまして、そして放射線による障害というものがあらわれてまいります。このカドミウムの害が、神通川流域でも、お話がありましたが、結局三十年以上そこに居住しております人たち、その人たちが、たとえ中毒を起こすようなカドミウムを一ぺんに摂取しなくても、長い間ある程度の量を摂取していった場合、体内にこれが蓄積をするという形で、カドミウムの害というものがあらわれている。だからこそ、神通川流域でも、三十年以上居住いたしました方に非常に害が出ておる。また安中におきましても、この工場を開始いたしまして三十年、しかも三十年間この地域に住んでおりました方、そして特に婦人の方に尿たん白もはなはだしく出ているということだろうと思うのです。そういう意味では、東邦亜鉛の現在のことは、また通産省と議論したいと思いますが、私ども工場に参りました際に、現在は相当排煙、廃液等について規制をしているというお話をいたしましたが、しかし、戦争中あるいは戦後の一定の時期――この工場が近代的な施設が完成いたしましたのは昭和三十八年から九年の間でありますが、それ以前のカドミウムを排出しておりました量というものは、これはもう会社側も、全くわからぬ、その当時は確かにずさんでございました、ということは認めているわけであります。といたしまするならば、現在一日に摂取いたします量が比較的多くはないと申しましても、過去における蓄積、それから今後体内に蓄積されるであろう量というものを考えた場合に、相当私は問題があるのではないかと思うのでありますが、この点はいかがですか。
  80. 橋本道夫

    橋本説明員 いま先生のおっしゃいましたように、私どもカドミウムは慢性の蓄積性の問題のある物質だというぐあいに考えております。過去における状態はどうであったかということは、私どもとしては、現在、状態を把握しておりません。私どもの判断をいたしておりましたのは、いまの米といまの水という条件と、いまのコントロールということでございます。過去におけるものが何に残っておるかということは、今後の調査の結果によって判断される、そういうように思っております。
  81. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 けっこうです。私の考え方と課長さんの考え方は、この点におきまして一致していると思うのです。  そこでお尋ねしますが、橋本公害課長さんが、昨年の十二月二十七日、東邦亜鉛に参りまして、周辺地域並びに会社の施設を視察された。そのあと市役所におきまして市の関係者とお会いになりまして、談話を発表されたようであります。その際、東邦亜鉛周辺のカドミウム公害は必配しないように、こういう御発言をされた。さらに、東邦亜鉛のカドミウムは、現段階において各国のデータと比較しても人体に及ぼす影響は心配ないと思う、こういう御発言をされたということが「広報あんなか」に載っておるわけであります。私は、カドミウムがいま言ったように蓄積性の障害であるということを課長さんもお認めになっている以上、現在の厚生省がおやりになった調査、しかもそれは最終結果の発表がまだないという段階で、かように断定的な談話を発表することは、これは科学的でないと思うのです。これはやはりたいへんまずいのではないか。しかし、現地の皆さんは、責任ある立場にある課長さんがこういう談話を発表したということに対して、たいへん怒っておいでであります。課長さんの真意をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  82. 橋本道夫

    橋本説明員 いまの御指摘の点につきましては、私ども安中地区については、イタイイタイ病があるからといって調査を始めたわけではございません。ただその地域の汚染ということにつきまして、小林教授から分析の結果を指摘されている点については、これは予防的な観点から注意をしなければならぬということで、調査を始めたわけでございます。調査を始めたわけでございますが、小林教授現地に全く個人的に行かれまして発言された点におきまして、非常な社会的な不安が現地に起こっておるということを、私どもは知ったわけでございます。その点は、現地方々が数十名東京にお見えになりまして、私は一時間以上現地方々のいろいろな声も聞きました、いろいろ責められもいたしました。それから、地元の地方公共団体におきましても、どうもこういうことで、実は非常に私たちもどういうぐあいにしていいかわからないということでありました。それから、工場側としても、どうも私どもとしても困っておるということでありまして、ぜひ来るようにということで、全部の関係者から再三再四要請されたのであります。その点につきまして、私どもは公害の行政官でございますから、現在の時点でどういうぐあいに対処するかということを、行政としてはやはり何か処理をしなければならないということがあるわけでございます。そこで、十二月の末に急に時間があきましたので、さっそく現地に参りまして、そうして現地の周辺地区視察をいたしました。それから、もう一つ工場も拝見いたしました。現地におきまして、工場に反対しておられるいろいろな人たちの声も聞きました。もう一つは、保健所におきまして、保健所長さんから、いろいろ従来その地域で公衆衛生をおやりになって、つかまえておられることも伺いました。そういういろいろなことから判断をいたしますと、非常におびえて、いますぐさま社会的な不安を起こすということは、私は適切ではないと考えたわけでございます。これは全く手放しに、だいじょうぶだというようなことを言ったわけではございません。安中の市の広報の中に、非常に要約されまして、だいじょうぶだという面だけが大きくクローズアップされたことによって、現地方々が非常に不信感あるいは怒りを持っておられるということは、ある程度十分起こり得ることだと思いますが、私は真意が十分伝えられておらないと思っております。これは、話をしていることは全部録音をとっておりますから、その録音したのを全部聞いていただきましたら、私ども決して手放しにだいじょうぶだと言っておるわけではない。ただ、現在非常におびえて騒ぐということは適切ではない、ということを申し上げたわけでございまして、今後出た結果によって、必要な対策はびしびしとるということも申し上げております。その一例としまして、富山におきましては、あぶないと思ったときには、魚をとることをとめたということもやっておるのでありまして、それまでの決意をしながらやっておるということを申し上げたわけであります。市のほうから私どものほうへ参りまして、自分たちの出した広報の要約によって御迷惑をかけたことは申しわけなかった、という話にも接しております。  一応それだけ申し上げておきます。
  83. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私のところに、テープを全部速記いたしましたのがやがて届くと思います。その際に、またそのことは、ひとつその上で議論をいたしたいと思いますが、現在は課長さんみずからも、私が指摘いたしましたように、蓄積性の障害であるということをお認めになっておるわけでありまして、現状の厚生省がおやりになりましたカドミウムの量がいかような量でありましょうとも、しかもまたちょうど三十年たちました工場でありまして、むしろ私はこれからあの地域はこの害が出てくるのではないだろうかということを懸念いたしておるだけに、今後の対策というものが必要だと思うのです。課長さんが今後の対策というものを大いに強調されたということでありますから、その点はけっこうでありますが、それだけに、何も不当な心配を与えることはないと思います。何か地元住民といたしますと、東邦亜鉛のために相当な公害があるのではないかという点で、心配をいたしております。ある一人の老婦人のごときは、自費でわざわざ富山へ行って、そして萩野博士に診察をしていただきたい、ということを言っておる者もおるわけであります。そういう状況でありますだけに、一方で全く心配ないのだということを言いますと、何か厚生省の課長さんはいわば会社の手先ではないだろうかというような疑惑を住民が持つということは、私はあり得ることではないかと思うのです。そういう意味で、むしろ、私は、今後の対策につきまして、課長さんが真剣に対処されることを強く要請いたしたいと思うのです。この談話の件につきましては、またあらためて議論をいたしたいと思います。  さてそこで、厚生省におきましては、四月中にはこのカドミウムによる環境汚染防止暫定対策、これは単に群馬県のみならず、対象になっております長崎、宮城、大分各県におけるものを総合いたしましての暫定対策を打ち出すのであろうと思いますが、この暫定対策は、カドミウムのいわば排出の許容量、そのほか地元住民の皆さんに、先ほどは汚染された魚を食べることも禁止をするというようなことも言われましたが、そのほかどのような対策をお考えになっておられるのですか。
  84. 橋本道夫

    橋本説明員 今後の対策としてどのような事項を考えておるかということのお答えで、お許し願いたいと思いますが、一つは、その地域の中のカドミウムの汚染というものをどのようなぐあいにして判断をするかということでございます。どのようなものを、どういうぐあいな取り方をして、どういうはかり方をして、どういうような水準であれば、これは少しよごれている、これは中程度よごれている、これはずいぶんよごれておるというような判断をするのかということを、一つ整理をいたします。それからもう一つは、それを一体一日何ミリグラム食べているという計算をどのような形でやるのかということでございます。そういうことによりまして、先ほど私の申しました一日当たり〇・三ないし〇・五ミリグラムといいますのは、全く部内で論議畳いたして使っていることでございまして、専門委員先生方も論議をしておりますが、この点につきましては、また将来学問上相当長い時間を経ながら検討される問題だと思っております。それからもう一つは、地域住民の健康水準についてどのような判断のしかたをするかということでございまして、これは死亡統計の扱い方、あるいは医療統計の扱い方、あるいは健康診断の結果あらわれてきたデータの疫学的な判断、及びそこで異状があるとされた人につきましての鑑別の診断の方式ということを打ち出したいと思っております。それからもう一つは、どのような食品構成を現地は持っておるかということである。あるいはカドミウムの問題につきましては、何か健康上に悪い影響がある場合には、栄養の問題も非常に大きゅうございますから、栄養の指導というような面も十分配慮していきたいと思っております。それから発生源に対しまして、この発生源の評価ということが一つの問題になるということでございまして、発生源に対してどのような措置を今後要求していくかというようなことを考えていきたいと思っているわけであります。安中につきましては、四十四年度も、この調査及び保健対策を、私どもの現在の調査研究委託費の中からやって、進めていきたいというような考えでおります。
  85. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 通産省の鉱山保安局の方お見えだと思いますので、お尋ねいたしますが、現在東邦亜鉛、他のカドミウムを出しております事業所についても同じだと思いますが、現在の法律でいわば廃水ですね。さらには鉱煙と法律には書いてありますが、排煙といってもいいかと思いますが、これに対する規制を、しかもそれが守られているかいないかということを検査いたしまして、場合によりましては操業の停止等の強制措置もとり得る権限を持っているのは、通産省のこの鉱山保安局ですね。現在までのところ、東邦亜鉛さらには亜鉛を製錬しております鉱山というものは、亜鉛とカドミウムというのは非常に類似の鉱物でありますから、当然これが一緒に出ること本容易に想像されるわけです。こういうものに対しては、この廃水排煙については、具体的にどのような規制基準を持っておられるのか、その点をまずお答えをいただきたいと思うのです。
  86. 橋本徳男

    橋本政府委員 お答えが前後するかと思いますけれども、また全国的なベースでまいりますと、このカドミウム問題がこういった非常に大きな問題になってまいりましたので、本年度第三四半期-第四四半期にかけまして、全国の五十五の鉱山に対しまして、利水地点におきまして〇・〇一PPM以下のカドミウムの検出ができなければ、その当該鉱山に対する施設の改善命令といったようなものを出すというふうな考え方に立ちまして調査をしております。大部分の調査は、それぞれの監督局部におきましてやりまして、おおむね完了いたしました。現在その採取いたしました利水地点におきまする水を分析中でございまして、逐次そのデータが集まりつつございます。まだ全部集まっておりませんので、大体の感触から申し上げますと、大部分のところの鉛、亜鉛工場、これは大体〇・〇一以下でございますが、若干これを上回りはしないかといったような鉱山が出ております。したがいまして、こういったところにつきましては、貯水槽をふやすとかあるいは沈澱池を拡充するとか、それから中和装置を改善するとかいうふうなことをやって、〇・〇一以下のPPMになるようには改善指導をやり、そして再度その追跡検査というふうなものをとりました上で、その分析をやりたいというふうなことを考えておりまして、大体こういった一連の施策は、三月から四月くらいにかけましてほぼ見通しがつけられるというふうに考えております。  さらに四十四年度におきましては――現在操業しておるそういった鉱山が五十五ございますけれども、休廃止しておる鉱山もあるわけでございます。その休廃止鉱山につきましても、四十四年度は、それから流れる鉱液等につきまして検査をしようというふうなことで、これも数十あると思うのでございますが、それをやりたいというふうに考えております。  それから鉱煙等につきましては、従来から、こういった鉱煙につきましては地区によっていろいろ基準は違っております。安中につきまして申し上げますと、安中につきましては、先ほど御説明申し上げましたように〇・二%程度というふうなことを一応の基準にはしておりますが、しかし先ほどのように地形その他を考えますれば、〇・二では非常に高いのじゃないかというふうなことで、現在は〇・〇二に押えるというふうなところまで、この二、三年間かけて施設を毎年改善しております。それで、現在のところでは〇・〇二%の排煙になっております。  それから安中につきましての水の処置でございますが、これはさかのぼってまことに恐縮ではございますが、御承知のように、鉱山につきましては、昭和二十四年から鉱山保安法によりまして――いろいろ廃水等につきましての紛争は各地で起きておるわけでございます。したがいまして、自来いろいろその水質の検査をし、あるいはいろいろな施設の改善を指示し、というふうなことでやっておりますが、残念ながら、当時におきましてはカドミウムといったような問題の発生がわからなかったというふうなことのために、この安中につきましてのカドミウムといったようなものが問題に――われわれが問題に取り上げましたのは、きわめて最近のことでございます。それで、自来、昨年も七月、十月、十二月と三回、十二月は煙のほうでございますが、七月、十月と再度にわたりまして、特別の検査を実施いたしまして、いろいろ改善を指示しております。いろいろな廃液の系統を統合するとかいったような形において検査をいたしまして、十月段階におきまする検査の結果におきましては大体〇・〇一以下だなったというふうな形でございますが、しかしいろいろこういった問題のあるところでございますので、特に安中につきましては、今後においても通常の検査以上の検査を定期的にやろうというふうなことで、現在取り組んでおる次第でございます。全国的にも、先ほど申しましたように、特にこういったカドミウムの問題につきましては詳細な検討を進めると同時に、特に問題のありまする安中あるいは九州の豊栄それから九州の対州というところには、通常の検査以外の特別の検査を実施して、その都度、必要があれば改善指示をするというふうなことでやっておる次第でございます。
  87. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 カドミウムの害というものが最近唱えられたということもありまして、従来の監督が十分でなかったということは、それは御説明はわかるわけでありますが、工場へ参りまして、従来はどうかと言いましたら、昭和三十六年ごろは〇・一PPMのカドミウムを出しておったということを、工場の責任者が言っておられました。三十六年当時〇・一PPMでありますから、これは、それ以前の、増産体制にあった戦争中、あるいは戦後の時期、あるいは朝鮮戦争で亜鉛あるいは鉛等の需要が非常に多かった時期、というものを考えますと、これは相当濃度の高いカドミウムが現に排出されておったということは容易に想像できると思うのです。私は、やはり今後、この地域カドミウム害が問題になるのは、そういう過去の、異常に多かったこのカドミウム、しかも、酸化カドミウムというのは溶けにくくて、土壌の中にずっと定着をするわけでありますから、それだけに、私は非常に危険であるという感じ一つ持ちました。  いま一つは、お触れになりませんでしたが、排煙の場合です。排煙は、確かに、亜硫酸ガスの濃度につきましては規制をされておることは、いまお聞きいたしたのでありますが、私は、東邦亜鉛の場合は、他のカドミウムあるいは鉛の製錬工場と非常に違ったところがあるということを指摘いたしたいのです。それは、たいていの亜鉛工場は、いわゆる湿式と申しまして、製錬方法が湿式という製錬方法をとっております。ところが、東邦亜鉛は、この湿式の製錬方法と併用いたしまして、そこから出ました鉱津を焼結炉の中に入れまして、これは電気炉でありますが、鉱津を落とすわけであります。そうしますと、亜鉛からカドミウムが蒸気状態になって発生をするわけであります。そこから出ました排煙というものが、それはある程度のサルファ分を除去する装置を通ってはおりますけれども、空気中に出ておることは間違いないわけでありまして、そういう意味では、この東邦亜鉛につきましては、排煙中のカドミウムの規制というものをやらなければ、これは私は問題があると思うのです。それで、安中の場合は、神通川流域と違いまして、排水によるカドミウムの汚染と、それから、排煙によるところのカドミウムの汚染、この両方を考えなければなりません。その証拠には、この害は、下流の中宿という地域ばかりじゃなくて、先ほどお話のございました、東邦亜鉛よりも上の、野殿というところに、先ほど御指摘になったような、イタイイタイ病患者と思われる方が出ておるわけです。こちらのほうは一体どうしているのですか、排煙のほうは。
  88. 橋本徳男

    橋本政府委員 おっしゃいますように、排煙の中におきましても、カドミウムの存在を、これは当然検査する必要がございます。それで、実は十一月、十二月と、排煙の中におけるカドミウム検査いたしまして、現在分析しておりまして、近く結論が出ます。おそらく今月中には出ると思います。  ただ、問題は、排水と違いまして――排水の場合は大体の国際的基準がございますけれども排煙問題につきまして、実は明確な基準が国際的にもないわけであります。ただ、まあ、あり得るとしますれば、労働環境基準といいますか、労働環境としての大気中の基準がございます。とりあえずは、そういった労働中における排出、労働中におけるそういった基準、こういったようなものも何らか科学的に換算をするとか、科学的にあるいはそういったような問題を焼き直した形において、それを照らしてみて、はたしてこれが問題であるかどうかというふうなことを検討したい。それで、まあ、この排煙中にほんとうにカドミウムが含まれておるかどうかということが第一点。含まれておるとしますれば、どの程度に含まれておるか、それがそういった国際的な基準に比べてどうかというふうな点につきましては、大体今月中には結論が出るように思っております。
  89. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、通産省の鉱山保安局では、いわゆる排煙の中に含まれるカドミウムは、今日までは野放しであったということですね。何ら規制はやっていなかった、そういうことですね。
  90. 橋本徳男

    橋本政府委員 カドミウムということで特別の意識はしておりませんが、従来からのいろんなコットレルとかいったような排煙関係の除じん施設というふうなものをかなり強度にやってきておりますので、大体はこういったことで、かりに排出されるとしましても、ネグリジブル程度のものではないかというふうな考え方を持っておったわけであります。ただ、しかし、それはあくまでも、どちらかといいますれば、従来は脱硫関係のところに主力を置いてやってきた施設でございます。当然それによっていろいろなばい煙等の除じんは行なわれるわけでございますが、しかし、その除じんの行なわれることによって、あるとしますれば、それに含まれておるカドミウムも除去されるわけでございますので、はたしてそれが十分であるかどうかということで、先ほどのように、十一月、十二月と検査をしておるわけでございます。おそらくは、結果としては、そう含まれていないのじゃないかと思いますが、かりに含まれておるとしましても、非常に微量であり、これはおそらく無害に近い程度ではなかろうかという感じは持っております。
  91. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ダストコットレルなりミストコットレルなりを通す中で、亜硫酸ガスなり他の粉じんを除去しているから、カドミウムもたいして出ないだろう、こういうお話でありますが、とにかく、排煙に含まれるカドミウムについては、今日まで検査もやらなかったし、したがって、規制もやっていなかったというような状況ですね。それはお認めになりますね。  そこで、私は、今度は厚生省のほうにお尋ねしたいと思うのですが、四月に、先ほどお尋ねをいたしましたように、環境汚染防止暫定対策をお出しになるというわけですね。そうした場合に、今日まで排水については、鉱山保安局のほうでもある程度規制をしておるが、その規制が、やはり厚生省の公害という観点から見た場合、適切であるかないかということは、当然、やはり通産省にまかせっぱなしということでなくて、厚生省としても判断をされると思うのですね。それからまた、排煙に含まれるカドミウムの量、これにつきましても、当然、厚生省も、私は野殿地区というような一これは野殿地区にもカドミウムが他の地域よりも多かったとするならば、これは排水から出たということはあり得ぬわけです、高いのですから。当然、これは排煙の影響によるカドミウムの量だということだろうと思いますから、当然、このカドミウム排煙からどのくらい出るのかということも、厚生省としては、やはり調査として出てくると思うのです。そうした場合、この通産省の側と一体どのような協議をして、一貫した対策というものを打ち立てるつもりですか。
  92. 橋本道夫

    橋本説明員 いまの御質問は、排煙中にカドミウムが出てきて、それが大気中にどうあるかということであろうと思いますが、その点につきまして、カドミウム濃度につきまして、通産省のほうから、労働衛生の基準の〇・一ミリグラムパー立方メートルという数字があると言われましたが、これは一〇〇マイクログラム一立方メートル中にあることになりまして、かような大量のカドミウムというものは、実際に普通の大気中のあらゆる場所を調べても、いままでのデータに関する限り、ありません。アメリカに最もあったのは〇・二マイクログラムパー立方メートル、日本の検出したデータは〇・〇〇二マィクログラムパー立方メートルでございます。そのようなことで、どのような態度基準を考えるべきかという議論は当然あり得るだろうと思います。一般的には、原子力の場合は、労働衛生の基準の三十分の一程度、非常にきびしくても百分の一としましても、三ないし一マイクログラムパー立方メートルでございますので、これでは、現在までの調べられた実際の汚染濃度よりも高くなるのではないかという事情は、頭に置かなければならないのじゃないかと思います。厚生省としまして、一部ハイボリュームエアサンプラーで現地の空気をとっておりますが、これは非常に限られた期間のサンプルでございますから、それだけで判断するわけにはいかないと思っております。これは来年度、四十四年度以降は、その場所をきめて、ちゃんと定期的に、継続的にはかるという仕組みを、何とかこの地元のほうにやってはどうかというふうな話を、私どももいたしております。そういうことによって、通産省方々と話し合いの接着点があるんじゃないか。基準の数値だけに学問的論議を集中すると、わからないということが出てくるか、あるいはかえって程度のゆるいことになるおそれがあるので、なし得るべき最もきびしい規制を続けていただくということが、基本の考え方ではないかと思います。そういうぐあいに思っております。
  93. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大気に含まれるカドミウム量を検査される。それもけっこうだと思うのですが、私はやはり、野殿地区というような排水によるカドミウムの汚染ということは考えられない地域において、その地域の土壌、あるいはその地域の米あるいは麦、あるいは養蚕をいたします場合の桑の葉、そういうようなもののカドミウムの量を調べるということも、排煙からどの程度のカドミウムが出ているかということを押える一つの重要なきめ手ではないかと思うのですが、そちらのほうはいかがですか。
  94. 橋本道夫

    橋本説明員 現状でどの程度出ておるかということになりますと、私どもの推測では、あれだけの防止装置をしておれば、現状では非常に少なかろうと思っております。ただ問題が出るのは、おそらく事故の場合に放出することがあるのではないかということでございます。昔のデータについては、全くわれわれ触れようがないということでございまして、現在までのところでは、その土壌中にどれくらいあるかということのデータをもって、その昔のことを類推する以外には手がないのではないかというような考えであります。  農作物の点につきましては、私どもは、健康の観点からどれだけのものを取り入れたらいけないかというような検討をいたしますが、農作物自体として、桑ではどれくらいの被害になっている、あるいはほかではどのくらいの被害になっているということにつきましては、基本的には農林省の側で検討していただきませんと、私ども自身は農業技術の専門家ではございませんので、そこまでは入れないのではないかというぐあいに思っておるわけであります。
  95. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 とにかく排煙によるカドミウムの害というのは、神通川流域では見られなかった新しい現象であることは間違いないと思うのですね。現に排水とは関係のない高い地域で、カドミウム患者とおぼしき人が出ているということは、そのことを裏書きしておるわけでございますから、そういう意味では、排煙に対する規制というものをぜひともシビアーにやっていただかなければならぬと思うわけです。そういう意味では、通産省サイドではなしに、厚生省サイドからやはりきちんとした方針を出すべきだと思うのですが、この点いかがですか。
  96. 橋本道夫

    橋本説明員 厚生省のほうからも、私ども調査の結果、あるいは視察の結果に基づいて、通産省に要望いたしたいということがあれば、これに対しては資料も全部そろえまして要望して、それによって、通産省のほうの権限で問題を処理していただくということにすべきだと思っております。
  97. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 通産省の側は、それでけっこうですか。
  98. 橋本徳男

    橋本政府委員 私のほうは、大体この三月末までには出るだろうという分析結果、これにつきましては、もちろん厚生省に、実はこういう結果が出ましたというふうなことで、資料も出したいと思っております。また厚生省からもいろいろデータをいただき、それでいわゆる公衆衛生というふうな観点から、厚生省のほうで立てられた基準につきましては、われわれ十分それを順守させるような万全の措置を、企業に対してとっていただきたいというふうに考えております。
  99. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いま議論いたしましたのは、通常ノーマルな形で操業が行なわれている場合の問題でありますが、私どもが当該会社へ参りましていろいろ事情を聞きましたら、やはりしばしば突発的な事故、たとえば電圧の降下でありますとか、いろいろな状況によりまして、多量に排煙が出る場合があるということは、企業側も認めておるわけであります。したがいまして、問題は、公害課長も触れましたように、常時その地域の大気に含まれるカドミウムはどうであるかということをやはり調査をいたしますと同時に、排水についても、同じ意味で、通常の場合の量のみでなく、一カ月なら一カ月、二カ月なら二カ月を通しまして、そのつど異常値というものが発見されないかどらかということに対する監視が、やはり必要ではないかと思うのです。  さらにその上、私がここで問題にしたいのは、通産省の公益事業局の方お見えだと思うのですが、この会社は現在世界第二位の亜鉛生産量を誇っている企業であります。もちろん国内では亜鉛の生産量において第一位であります。カドミウムを製品として月産約百トン出しているわけでありますが、亜鉛につきましては一万七千五百トン出しておりまして、国内第一、世界第二位であります。これをさらに大きく拡充強化するという計画がございます。現在電力につきましては、六万ボルトの電圧の送電線から受電いたしておるわけでありますが、さらに二十七万五千ボルトの高圧の送電線をつくりまして受電するという計画を進めているようであります。そういたしますと、さらにこの規模が大きくなるわけであります。排水につきましてはいろいろと過去において問題があった。これからも規制をしなければならぬ。排煙については今日まで規制はしなかったが、今後規制を考えたいというわけでありますが、さらにこの規模が大きくなりました場合、当然工場から排煙ないしは排水の形で排出されますカドミウム量というものは、これは必然的に増大をすることは明らかだと思うのです。したがって、こうした工場の拡張あるいは送電線を六万ボルトから二十七万五千ボルトに変更しようという場合、単に公益事業局が電気なら電気の側から簡単に認可をするということでなしに、やはり同じ通産省の鉱山保安局あるいは公害に対して取り組んでおられる厚生省が、そういった公害という観点から、この認可がはたして妥当であるかないか、あの地域において、これ以上大きな工場施設になっていくことが、公害防止の観点から適切であるかないかという検討がやはり必要ではないかと思います。現在送電線の状況につきまして、この送電施設の認可、あるいは工場側の受電の認可ということが問題になりますが、その認可状況は一体どうなっておりますか、お伺いをいたします。
  100. 矢島嗣郎

    矢島説明員 最初に私から答弁さしていただきたいと思います。  最初に技術関係を申し上げますと、東邦亜鉛の増設問題がございます。先生おっしゃいましたように、従来の六万ボルトから二十七万五千ボルトにしたいということで、それに対して、送電線の、超高圧送電線でありますから、工事に対して、電気事業法によりまして工事計画の認可を行なったわけであります。その際、電気事業法では非常に精密な技術基準がございまして、ことさら、送電線の太さがどうとか、あるいはその下に人家があるかないか、そういう点を電気保安の観点から十分にチェックはやっているわけであります。そういう意味における保安基準を守っているかどうかは十分にチェックを行ないましたけれども工場そのものの新増設が公害にどうなのかという点のチェックはやってないわけであります。それについては、後ほど鉱山保安局のほうから説明があるかと思いますが、鉱山保安法に基づいて、その新増設を認めるかどうか、その新増設にさらに関連して、公害防止の施設が十分であるか否かということは、鉱山保安法のほうでやっていただくたてまえになっておりますので、そういう意味の公害は、直接この認可には関係ございません。
  101. 橋本徳男

    橋本政府委員 個々の工場の増設につきましては、おっしゃいましたように、亜鉛といたしましては月産一万四千トンから一万七千トン、亜鉛華につきましては千六百トンから二千六百トンというふうなことで増設は承知しております。ただしかし、こういう計画は以前からございました。したがいまして、いろいろ工場検査して問題になりました、いろいろな堆積場その他沈でん池の改造、それからいろいろな工場、製練所内における水の統一的な処理、こういったようなものをやり、かつまた排煙施設につきまして、いろいろな施設の改善指示をしてきておりますが、この改善指示の際には、今日以上により大きな施設が増設されるであろうということを前提といたしまして、それだけの容量で従来からやってきておりますので、これによって現在の姿が汚染されるという形はないわけでございます。したがいまして、過去の問題は別といたしましても、現在の容量ははるかに、増設されます分以上の能力をもって、それぞれすでに処理し得る体制になっておりますので、その面から見ますと、保安上は問題はないというふうに考えて認可したわけでございます。
  102. 中村泰男

    ○中村説明員 先ほど立地公害部長から御答弁申し上げたことで要約されるわけでございますが、公益事業としましての電気事業は、いわば受け身でございまして、需要者側のほうから希望がございますと、それに対する送電施設というような工事があるわけでございます。大きな工事になりますと、電気事業法によります工事計画の認可ということがあるわけでございますが、電気事業法の体系では、先ほど御答弁申し上げましたとおり、保安基準という形から見ていくわけでございます。ただ、先生おっしゃいましたように、公害問題があるじゃないかという点でございますが、電気事業法の体系では、あくまで供給責任なりあるいは保安という関係からいたしますと、直接公害問題――もちろん電気事業そのものの公害発生との関連ではいたしますが、需要者サイドの問題としては、なかなか法体系としては及び得ないのが法律上のたてまえでございます。しかし、同じ通産省の中でございますので、保安局あるいは立地公害部、そういうところと連絡をとりまして、行政全体としましては、支障がないようにしていきたいと思います。
  103. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまの鉱山保安局長の御答弁は、ちょっと奇異な感を持たざるを得ないのですね。第一、おたくのほうでは、カドミウム排煙については野放しといっては悪いけれども、現状まで、規制の基準というようなものは何らやっておらなかったわけでしょう。そうですね。これからさらに施設が拡充されるならば、当然排煙の中に含まれるカドミウム量が多量になるということは、かりにPPMで押えたとしても、量がふえれば、濃度は変わらぬでも、出るカドミウムの量というものがふえるのです。ですから、この点は亜硫酸ガスの問題と同じじゃないですか。亜硫酸ガスの公害を議論する場合に、煙突から出る排出基準を幾ら議論しても、結局環境基準全体を規制していかなければ人命が守れないというのが状況ではございませんか。したがいまして、東京都におきましても、美濃部さんは、そういう意味ではミナスの低サルファの重油を使うという立場から、東電との間で契約をされて、そして一本一本の排出基準は守られても、これ以上全体の環境が守られぬというようなことでは、都民の生活が守られぬという観点から努力されたことは、もう天下周知の事実だと思うのです。この問題についても同じことだと思うのです。  ですから、計画課長さんにお尋ねしますが、まだ受電のほうは認可になっていないわけですね。それから鉱山保安局のほうも、十一月、十二月にこの排煙の中に含まれるカドミウムについてはいろいろ調査をして、これから分析をして、そして四、五月ごろにはある程度の基準を定めたい、その場合には、厚生省調査をやっておられるから、相協議をして、決して保安局のサイドではなくて、十分厚生省側のシビアーな意見も聞いて基準をきめたいといっておられるわけでしょう。とするならば、少なくともこのような排煙の中に含まれるカドミウムについて明確な基準ができ、しかもその基準が、さっき言いましたように、亜硫酸ガスの排出基準環境基準という観点からの検討も十分されるまでは、受電の認可というものはされないということぐらいは、ここできちっと統一をしていただきたいと私は思うのですが、この点はいかがですか。
  104. 橋本徳男

    橋本政府委員 そういったために、水のほうにつきましてはもちろんそういうことを十分考えまして、十分な余裕を持ってやっております。それから排煙のほうにつきましても、四十三年の九月に、それを前提といたしまして、その当時におきましては、いろいろそういった亜硫酸ガス以外の問題につきましても認識がございましたので、九月それから昨年の七月ということで、除じん施設をさらに、現在でございますれば不必要と思われる程度までの施設を、改善の指示という形において指示させておりますので、そういう状況でやりますれば、おそらくカドミウムの問題につきましても問題はないではなかろうかという感じは持っているわけでございます。したがいまして、今度のこういった施設は、前から計画されておる問題でございますので、それに伴いまして排煙処理能力をふやし、かつまた排煙処理の施設を二基程度増設させて、その上でこの増設を迎えたというふうな形を実はとっておるわけでございます。
  105. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私が先ほど申し上げたことに対して、厚生省の公害課長、どうですか。
  106. 橋本道夫

    橋本説明員 排煙の問題の基準ができなければならないという観点から、どうしても数字をシビアーなサイドで割り出したらどうかということになりますと、私どもは労働衛生の数字の三十分の一から百分の一ということが普通の常識でございます。そういう観点からいって、いまの濃度がどれくらいか、あるいは将来大きくなった場合にどれくらいかということが、十分計算され得るものであろうという考えでおります。
  107. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そこで委員長にお願いしたいのですけれども、結局いまの議論は委員長もお聞きいただいたと思うのですが、問題は、個々のカドミウム自体については、排煙基準すらきまっていない。そしてさらにいわば工事が拡張せられるということでは、これは環境基準の上からいっても問題が起きるということは明らかだと思うのです。したがって、私はこういう工場の拡張を許可いたします場合は、公害という観点からの各省間の連携というものを十分とっていただかなければ、公害対策は前進をしないと思うのです。したがって、ここでこれ以上議論いたしましてもいかがかと思いますから、むしろ委員長ないしは理事会等におかれまして、そういった現に問題になっておるカドミウム工場、それが大きく拡張されようとする場合におきましては、すでにすべて認可されてしまったのなら別でありますけれども、受電施設等はこれから認可だという段階だそうでありますから、そういう段階におきましては、公害防止という観点から、十分いろいろなデータを集めて認可するならする、そういったデータがそろうまでは、認可についてはある程度見合わせるというくらいの行政が行なわれるように、委員会として十分ひとつ御検討いただきたい。これはお願いを申し上げる次第でございます。  それでは次に、そこにつとめております労働者の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのです。  現地へ行きましていろいろ事情を聞きましたら、けい肺病と非常に似た病気でなくなるケースがあるというのですね。けい肺は御案内のように、肺に非常にこまかな石が付着いたしまして、肺の機能を弱める病気でありますが、この場合、私しろうとですからわかりませんが、やはりカドミウムあるいは重金属の酸化物を大量に吸収をいたしましたために、ぜんそくともつかず肺病ともつかないような呼吸器疾患にかかることがあり得るのじゃないかという感じがいたすのであります。奇妙なことに、この工場は指定医を幾つかつくっておりまして、この指定医へ行く場合は休暇等についても便宜をはからうが、指定医以外のお医者さんにかかることについては休暇等の便宜は与えないとかいう形で、指定医以外でそこにつとめる労働者の皆さんが診療を受けるということに対して、いろいろな形で束縛をしているやに聞くのであります。そういうことは、やはりある程度、そこに働いております労働者は、周辺の人よりもよけいカドミウムを呼吸器で吸収する場合というのは当然予想されるわけでありますから、何かそういうことに対して会社側がいろんな、まあ配慮をしているというような感じがするのであります。労働基準局の方がお見えだったらお尋ねしたいのですが、そういった労働者の診療、どこのお医者さんへ行こうと、保険証を持って行けば自由なわけでありますから、そういうことに対して企業が制約を加えるということは、労働者の権利を守るという意味からは、たいへん重大な人権の侵害ではないかと思うのでありますが、それに対するお考え方と、それから厚生省にお尋ねしたいことは、そういったけい肺に似たような呼吸器疾患というものについても、ひとつ精密な調査をしていただきたいと思うのです。幸い健康調査もやっておられるようでありますから、そういう観点での調査というものを十分やっていただきたい。それからまた、三千人にのぼる健康調査をやっておられるそうでありますが、この場合は、働いております労働者の人が一体何人くらいこの健康調査の対象になっておりますのか、この点もひとつあわせてお尋ねをいたしたいと思うのです。
  108. 橋本徳男

    橋本政府委員 最初の問題でございますが、企業によりましては、いろいろ労働条件に基づきまして、労働条件の問題につきまして、特定の医者にかかることによって、通常の労働条件以上の条件、たとえばそこの医者に行くことによって特別の手当てがしてもらえるとかなんとかいうことは、これは企業のかかえておる医者として、あり得ることはございます。ただそれによって逆に、通常でも受けられる程度の労働条件を制約する、その医者に行かなければ制約するという形というのは適当ではない、こう思いますので、私、ストレートにこの所管でございませんが、実態を調べまして、後刻御回答申し上げたい、こう思います。
  109. 伊集院兼和

    ○伊集院説明員 ただいま御指摘の、医師を制限して受診に当たらせる――ただいまも通産省のほうからお答えがございましたが、医師である衛生管理者として、事業場がみずからの事業場の職員として選任いたす者については、限定いたすのがたてまえでございます。しかしその際におきましても、労働者が健康診断あるいは診察を受けますことについては、当然労働者に選択の自由がございます。したがいまして、その事業主が選択いたしました医師の健康診断にいたしましても診察にしても、それを拒否し、自己が選択いたしました他の自由な医師の診療を受ける自由は、当然にあるべきものだと理解をいたしております。またそれに関連いたしまして、休業等の問題につきまして、すべてそのように指導いたしておるつもりでおります。東邦亜鉛の問題につきまして、私、実はその具体的詳細を存じておりませんが、今後調査いたしてみたいと存じます。
  110. 武藤き一郎

    武藤説明員 いま群馬県が二月、三月実施しよう、あるいは実施しております健康診断の中に、労働者が入っているかどうかの問題でございますが、当方に参りました資料では、実はその区別がはっきりいたしておりません。しかしながら、おそらく一般住民の方を集めてやるわけでございますので、たぶんその時間は会社に行っておられることと思いますので、入ってはいないのではないかというふうに考えられます。この点、なお確認をいたしたいと考えております。  それから、呼吸器疾患の精密調査をやる必要があるではないかということでございますが、現在のところの調査では、おそらく先生が要望されますような精密検査はやっていないのじゃないかと思いますが、この点はやはり一般的な一次検査、二次検査の結果、要注意的なものが出ますれば、当然そういう点はさらにもう少し精密検査をやる必要がある、かように考えております。
  111. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 鉱山保安局長さん、ひとつこれは、群馬県にも労働基準局があります。労働基準監督署が当該地域にもあるわけですから、それを通じて、そういった状況については十分ひとつ御調査をいただきたいと思うのです。  それから、お答えいただきました点につきましては、調査をされるということでありますから、了承いたします。  そこで、実はフランスにおきまして、一九四二年カドミウム工場労働者六名に、カドミウムによるイタイイタイ病と同様な症状があったということが報告をされておるそうであります。例の冨山県萩野博士はこの文献を見まして、なるほどフランスでカドミウムを使っておる工場で、このイタイイタイ病患者と同様な疾患があらわれた。それがたまたまカドミウムを使う工場につとめておる労働者であったということから、なるほどこの病気カドミウムによる疾患なんだというインスピレーションを得られたという話を聞いておるわけであります。といたしますと、私は、周辺の住民も問題でありますけれども、やはりそこに働いております労働者の健康管理というものがより必要ではないだろうかという感じがいたすのであります。それだけに、ひとつ私は公害部長さんにお願いをいたしたいと思うのでありますが、やはりそこに働いております労働者の健康調査というものを、厚生省調査の一環としてやっていただきたい、それが必要ではないだろうかというふうに思います。それに対する御見解はどうでありますか。そういう中で、ひとつ呼吸器疾患につきましても十分御調査をいただきたいことと、いま一つは、先ほど申し上げたように、三十年という長い期間蓄積されて発生することの多い病気である。それだけに、やはりかつてこの工場につとめておりました方、しかも五十、六十、七十というような高年齢に達しておられる方々、こういう方の健康調査というものがより必要じゃないかという感じがするのです。私の聞いておりますところでは、かつてこの工場に、戦争中最もこのカドミウムが多量に排出されたと見られる時期につとめておっておやめになった方で、さっき言いましたようなけい肺に似たような呼吸器疾患で苦しんだ方がある、なくなった方があるということを聞いておりますだけに、この点につきましては、十分ひとつきちっとした御調査をいただきたいというふうに考えるわけです。
  112. 武藤き一郎

    武藤説明員 フランスにおいて起きました事件につきましては、概略私どもの方でも承知いたしておりますけれども、フランスにおいて起きました事件について、工場側は積極的にそのことを公表して、その対策の手を打ったというふうに聞いております。労働者についての健康調査の問題は、実はこれはやはり労働省のほうで責任を持っておられますので、その点やはり労働省のほうで私どものほうの意見等もくまれまして、いろいろ御計画をやっていただきたい、かように考えております。ただ、いま先生の御指摘の、すでに退職をしてその地域に住んでおられる方、この方は、当然もうすでに現地の保健当局では、疫学的にやはり注目して詳細な検討をすべき方だろうということは気がついていることと思いますけれども、さらにその点につきましては、県当局に具体的に指示をいたしたい、かように考えております。
  113. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これで終わりたいと思いますが、農林省の方にもお見えいただいたのでありますが、私はこの地域の公害の問題を調べますと、非常に残念な気がいたしたのであります。他の公害の地域もそうです。群馬県はかつて百年の公害といわれた渡良瀬川の銅の公害がございます。この公害が問題になりました経過を見ると、まずあの地域で魚が死んだということが問題になった。それからまた、稲に被害があって農民が苦しんだということが問題になった。それから、身体に関する被害というものは一番あとから問題になったわけであります。この東邦亜鉛についても同じです。神通川のお話を聞いてもそうですね。まずさっぱり米がとれなくなったということから、農民の人たちが問題にされた。身体に関する問題というのはあとから提起をされたというふうに聞いています。この東邦亜鉛の安中地区も同じですね。初め、あの流域にコイが飼われておるわけですが、コイが死んだということで問題になりました。やがて養蚕の桑がどうもぐあいが悪くて、お蚕が死んだというので問題になりました。それから稲がとれなくなったということが問題になったわけです。それから、神通川のイタイイタイ病と同じような症状が出ているじゃないかということで、最後に身体に関する被害というものが問題になってきたというところに、私は今日までの公害の問題になりました経過の非常に悲しい宿命があるような気がいたすのであります。そういうことでは、人命尊重という観点から、話が全く逆である。私は、これを解決することが公害対策の重要な柱ではないかという感じがいたすのでありまして、東邦亜鉛も、初めはコイが死んだ、桑の被害ということで、年々五百万程度のお金を出しておるわけです。しかし、これでは私は、さっき言いましたように、問題の本質は全く解明されていないというふうに考える次第であります。  したがいまして、農林省の方に、お答えはけっこうでありますが、農業災害も早くから問題になっています。この点については十分お取り組みをいただきたいことをお願いいたしますと同時に、どうかひとつこの問題につきましては、立ち入り権を持っておりますのが、現状は通産省並びに労働省であります。そういった観点での規制というものをやはりやっていただきますと同時に、厚生省厚生省の立場から、よりこの人間の命を大切にするという観点でのりっぱな調査をひとつ出していただき、りっぱな対策を立てていただくことをお願いいたしたいと思います。  それから、ついででありまして恐縮なんですが、群馬県でもそうですが、水銀式の食塩の電気分解の工場等があります。いま水銀を使用しております工場が相当ございます。水銀が出ますために汚染されております河川、あるいは水銀を排出をいたしております工場、こういったものに対して、国民のいろいろな意味での心配というものが高まっておるわけでありますが、聞くところによりますと、厚生省ではこの水銀を出しておりますおそれのある工場、水銀で汚染をされております河川といったものの調査を一応やっておられるそうであります。この資料はひとつ私どものほうにいただきたいと思います。この点を最後にお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  114. 赤路友藏

    赤路委員長 山口委員のほうから委員長へ申し入れられた点については、十分配慮していきたいと思います。  それから政府側のほうへ。いままで私議論を聞いておりまして、ちょっと思いついたことがあるのですが、もう皆さん十分御承知だと思うのですが、ロンドンスモッグ事件ですね。これは三週間の間に四千人の死者を出した。そして一番亜硫酸ガスの濃度の高いときが六日間、それが〇・四から〇・七PPMということになっておる。おおむね〇・一三から〇・一七PPMにとどまっておるという記録がある。そういう状態で四千人もの死者を出した、こういうことになるわけですね。そうすると、それの記録を見ていきますと、医学的には一PPMで胸部圧迫を感ずる、その程度なんですが、長期にわたって汚染が続いたということがこういう事態を起こした。先ほど来、山口委員からも、折小野委員のほうからもお話がありましたけれども、やはり今日日本に起こっておる公害というものは、非常に長期にわたって積み重ねられてきたものが限界に達してきたんじゃないかという心配があるわけです。十分ひとつこれらの点を考慮されて、積極的な姿勢で取っ組んでいただきたい、これを御希望申し上げておきます。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十四分散会