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1969-09-02 第61回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年九月二日(火曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 川村 継義君    理事 池田 清志君 理事 内海 英男君    理事 細田 吉藏君 理事 金丸 徳重君    理事 斉藤 正男君 理事 神田 大作君       稻葉  修君    鍛冶 良作君       竹内 黎一君    葉梨 信行君       八田 貞義君    水野  清君       淡谷 悠藏君    稻村 隆一君       猪俣 浩三君    唐橋  東君       中澤 茂一君    永井勝次郎君       福岡 義登君    古川 喜一君       三宅 正一君    小川新一郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 坪川 信三君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君  委員外出席者         総理府総務副長         官       岩倉 規夫君         内閣総理大臣官         房参事官    川上 幸郎君         大蔵省主計局主         計官      千葉 洋三君         国税庁直税部審         理課長     元木精一郎君         厚生省公衆衛生         局防疫課長   後藤 伍郎君         厚生省環境衛生         局水道課長   国川 建二君         厚生省環境衛生         局公害部環境整         備課長     石丸 隆治君         厚生省社会局施         設課長     吉村  仁君         厚生省保険局国         民健康保険課長 松田  正君         農林大臣官房参         事官      荒勝  巖君         農林省農林経済         局保険業務課課         長補佐     河村 文雄君         農林省農政局参         事官      遠藤 寛二君         農林省農地局参         事官      井元 光一君         食糧庁業務部長 中村健次郎君         林野庁指導部長 松本 守雄君         通商産業省公益         事業局長    本田 早苗君         中小企業庁計画         部長      外山  弘君         中小企業庁計画         部金融課長   井川  博君         気象庁予報部長 毛利圭太郎君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省河川局治         水課長     岡崎 忠郎君         建設省河川局防         災課長     生瀬 隆夫君         建設省河川局砂         防部長     木村 三郎君         建設省道路局国         道第一課長   高橋国一郎君         建設省住宅局住         宅総務課長   山岡 一男君         自治大臣官房調         査官      成田 二郎君         消防庁調査官  永瀬  章君     ————————————— 九月二日  委員田澤吉郎君、古内広雄君、三ツ林弥太郎君、  早稻田柳右エ門君、兒玉末男君、神門至馬夫君、  佐々栄三郎君、野口忠夫君、芳賀貢君及び華山  親義君辞任につき、その補欠として竹内黎一君、  葉梨信行君、八田貞義君、鍛冶良作君、古川喜  一君、淡谷悠藏君、中澤茂一君、唐橋東君、三  宅正一君及び永井勝次郎君が議長の指名で委員  に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十四年七月下旬及び八月の集中豪雨並び  に台風第七号及び第九号による災害対策  関東地方等における異常低温による災害対策  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 川村継義

    川村委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  まず、昭和四十四年八月の集中豪雨による被害状況調査のため、先般当委員会より現地に派遣されました委員から報告聴取することといたします。斎藤正男君。
  3. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 昭和四十四年八月の集中豪雨による被害状況調査のため、議長の承認を得、去る八月十八日から四日間、新潟県及び富山県に派遣されました派遣委員を代表して、調査の概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、自由民主党の湊徹郎君、日本社会党の私、斉藤正男民主社会党小沢貞孝君及び公明党の小川新一郎君の四名で、ほかに地元選出議員多数の御参加を得、現地実情をつぶさに調査してまいりました。詳細は、県及び市町村からの陳情書等資料委員長のお手元に提出いたしておりますのでそれらを御参照いただくこととし、以下簡略に御報告申し上げます。  今回の災害の特徴は、ゲリラ豪雨と呼ばれるきわめて局地的な集中豪雨で、一つの地区土石に埋もれて壊滅する等、惨状をきわめ、全体的な災害の量はもちろん、局地的な災害の質において特異なものがありました。  初めに、新潟県について申し上げます。  県当局説明によれば、八月九日未明から十二日にかけて、集中豪雨上越中越地方を襲い、被害激甚をきわめ、八月九日青海町及び糸魚川市に、十二日加茂市及び六日町に災害救助法発動水害対策本部設置関係諸機関からの協力を得、全力をあげ応急対策を実施、民生の安定につとめているとのことでありました。県の報告による被害状況は、八月十八日現在、死者十六名、行くえ不明五名、重傷者二十一名、住家半壊二百五十二戸、床上浸水八千百九十三戸、被害総額は約四百十八億円の巨額にのぼっております。  加茂市では、八月十二日、加茂川下条川等がはんらん全市の約八割に当たる約六千戸の住家床上浸水する等、激甚被害を受け、被害総額は約百六十億円にのぼり、中でも商工業被害が約百二十億円に達し、同市主要産業である繊維、木工業者壊滅的被害を受けたとのことであります。視察した市内商店街には、家の中から排除した泥土がうずたかく積まれ、七谷地区樋脇橋は橋脚が流され、橋がまん中から折れ、上水道給水管が破損、市内給水不能となり、応急突貫工事を行なっておりました。黒水地区では堤防決壊による家屋流失被害を、下条長福寺地区では下条川のはんらんで路上約二メートル、川沿い農家四十四戸が軒下まで浸水した被害を、上下条地区では山くずれによる住家の倒壊の被害視察してまいりました。市当局及び関係者並びに田上村当局から、加茂川水系抜本的改修中小企業者救済措置等について強い要望がありました。  六日町では、南魚沼郡の被災当局等から説明聴取六日町は被害総額が約四十一億円にのぼり、山腹崩壊により深沢地区の四十戸が埋没の危険にあり、国営、団体営パイロットファームが完成後一年目で壊滅的被害を受けたとのことで、早急な救済措置が望まれます。なお、小出町長から魚野川の堤防かさ上げ等について、大和町長から国鉄の橋梁改築等について要望がありました。視察した六日三国川清水瀬橋は、橋が流失、仮橋を建設中で、右岸が幅約五十メートル、長さ約二百メートルにわたってえぐり取られ、鉄砲水の恐怖をまざまざと物語っておりました。  高田厚生会館では、上越支所長から管内の総被害額は約九十二億円にのぼり、関川水防が同地方発展のかぎであるとの説明を受け、高田市、新井市、柿崎町、松代町及び吉川町各当局等から、それぞれ被害状況等聴取、特に高田市長から関川の早急な抜本的改修柿崎町長等から地すべり危険地区農家の移転に助成措置を講じられたいとの要望がありました。  糸魚川市の被害は、姫川支川等はんらんによる市内浸水及び農地冠水等で、被害総額は約四十九億円にのぼり、また、同市では都市排水に問題があり、下水道の建設を四十五年度から計画していたやさきの災害で、本年度から繰り上げて実施できるよう特別の配慮を講じられたいとのことでありました。  青海外波地区は、外波川からの土石流により同地区百六十戸、全戸が土砂に埋まり、壊滅するという惨状で、ひどいところでは屋根まで土砂に埋まり、ものにつかれたようにわが家を掘り続ける住民の姿は、水害の悲惨さを如実に物語っておりました。町当局説明によれば、八月九日、二時間で百三十二ミリという集中豪雨のため、外波川に約十万立方米土石流出堤防決壊し、国道橋鉄道橋につかえたため、水と土砂農道橋から部落に入り一瞬にして地区じゅうが泥土と化し、住民は小学校に避難、たき出しを続けているとのことであります。町当局からは、外波川の早急な改修のほか、家屋被害が大きく自力で再建できないので低利の特別な融資配慮を、また地区の分散を考慮して、土石で埋まった農地の上に三千坪、六十戸の宅地造成計画しているので、この助成に特別の措置を講じられたいとの要望がありました。  県からの要望事項のおもなる点について申し上げます。第一は、激甚法適用について特段の配慮をされたいこと。第二は、公共施設農業用施設災害復旧にあたっては、早急に災害査定を実施し、復旧事業早期着工をはかり、大幅な改良復旧復旧年次の短縮の措置を講ぜられたいこと。第三は、現行の治山治水五カ年計画を抜本的に改定され、強力に実施されたいこと。第四は、県及び被災市町村に対し、特別交付税大幅交付をされたいこと。第五は、降雨状況を的確迅速に把握するため水系別雨量観測体制強化措置を講じられたいこと。第六は、個人災害に対する援助について前向きで検討されたいこと等であります。特に、上越地方昭和四十年九月の台風第二十四号で、中越地方昭和四十二年八月の集中豪雨によって、激甚災害を受け、重ねて今回の災害であり、これが復旧にあたっては、国はその実情を十分に勘案すべきであると考えます。  次に、富山県について申し上げます。  県当局説明によれば、八月八日夜半から十二日朝にかけ、県東部山岳地方中心に、時間最高雨量九十二ミリ、三日間で七百七十三ミリという驚異的な集中豪雨に襲われ、黒部ダムが百年に一度とした計画流水量毎秒千二百トンを四百三十二トンもこえる千六百九十二トンの水がダムへ流入、同ダムから毎秒千二百七十一トンの水が下流流出する等、県東部の各河川、谷川が瞬時にしてはんらん、多大の被害をもたらしたとのことであります。県では、八月九日朝日町に、十一日滑川市、立山町、上市町及び入善町に、十二日富山市、魚津市、宇奈月町及び大山町に災害救助法発動、八月豪雨災害対策本部設置地区住民自衛隊等協力を得、復旧全力をあげているとのことでありました。  県の報告による被害状況は、八月二十日現在、死者五名、行くえ不明一名、重傷者九名、住家半壊百四十一戸、床上浸水二千百十五尺被害総額は約二百四十億円にのぼっております。  朝日町の被害は、山地崩壊及び土石流によるもので、約十二億六千万円の被害額にのぼり、視察した笹川地区では土石流で河床が上がり、住家浸水、また簡易水道施設埋没林道が各所で決壊するという大きな被害でありました。  入善町では、黒部川右岸に当たる福島地区堤防決壊現場視察、八月十一日、黒部川洪水流水量毎秒四千二百トンに対し五千トンの水量が流れ、堤防が約四百米にわたって決壊入善町に浸水、甚大な被害をもたらしたとのことであります。台風期を目前に応急築堤工事を行なっていましたが、ふたたび大雨に襲われると決壊のおそれがあり、川原に川倉という同地方独特の工事をするなど、関係者応急対策に苦慮しておりました。  宇奈月町では、愛本橋流失現場視察いたしましたが、この橋は、黒部川が急に狭隘となった谷間に愛本ダムと並列して建設してあり、八月十一日、計画流水量毎秒二千トンに対して五千トンの水が流出、一瞬にして鉄骨の橋を押し流し、濁流愛本地区住家浸水右岸の旅館では水位が三メートルにも達し、住民恐怖のやみにおとしいれたとのことであります。  滑川市では、入会橋地区視察入会橋付近は早月川の左岸県道が約二百メートルにわたって流失橋梁流失、交通不能となり、上流地区は孤立し、下流にあった上水道施設埋没全市にわたって時間給水家施中で、被害総額は約九億五千万円にのぼっているとのことであります。  上市町では、眼目新地区上市川左岸堤防が約六百メートルにわたり決壊県道約四百メートルが流失現場視察同町は八月十一日の豪雨により、町内至るところで堤防決壊被害激甚をきわめ、被害総額は約四十億円にのぼっているとのことであります。  立山町では、泉地区及び千垣地区被害状況視察泉地区では、白岩川の左岸堤防決壊濁流富山地方鉄道軌道を流し、住家軒下まで浸水決壊した堤防応急工事でどうにかふさがれ、軌道応急的に復旧していたものの、付近農地土砂に埋もれ、激甚被害を物語っておりました。千垣地区では、常願寺川の右岸堤防が約千メートルにわたって決壊住家十七戸が流され、農地が激流にえぐりとられた惨状がそのまま残され、被害を受けた住民は、山ぎわの保育所に避難しているものの、山くずれのおそれがあり、生命の危険と生活の不安におののいていました。上流千寿ケ原地区住民陳情のため山をおりてきて、住家のほとんどが流失するという壊滅的被害を受けたと、涙ながらにその窮状を訴えておられました。同町被害総額は約六十八億円にのぼっているとのことであります。  大山町では、小見地区の和田川、霞橋付近視察、ここは、上流崩土流出による被害で、北陸電力発電所流失、鉄塔が折れ、土台のコンクリートが破壊され、高圧線が寸断され、右岸堤防決壊により社宅が流失霞橋への取りつけ道路は押し流されており、同町被害総額は約二十三億円にのぼるとのことでありました。  県からの要望事項のおもなものを以下申し上げます。  激甚災害局地激甚災害指定単独災害復旧事業費に対する起債ワク拡大被災者に対する所得税の減免または延納。特別交付税配慮普通交付税の繰り上げ支給。直轄河川早期復旧道路河川、砂防の災害復旧早期着工。小河川等改修事業促進治水ダム及び多目的ダム建設促進天災融資法に基づく天災指定治山災害林道災害復旧農地農業用施設災害復旧特別措置自作農維持資金災害資金ワク拡大中小企業に対する緊急融資公園施設水道施設早期復旧気象観測機能抜本的強化利水ダム予備放流に対する補償制度確立等であります。  最後に、調査団として今回の集中豪雨による災害調査を終えて感じました点について申し上げます。  まず、第一に気象業務整備拡充についてであります。特に、裏日本地方におきましてはその整備の立ち遅れが著しく、今回の災害においても各方面から指摘されているところであります。両県は豪雪地帯に加え複雑な山岳地帯が多く、次の事項について早急な整備が必要であります。一、各河川水系ごと降雨量を常時監視できる体制を確立すること。二、立山山系気象レーダー観測所設置、また弥彦山レーダー観測所整備拡充すること。三、富山県東部に測候所を新設、また各気象通報所等整備拡充し、住民への正確な気象情報を迅速に伝える体制を確立すべきであると考えます。  第二は、中小河川改修についてであります。今回調査にあたった地方原始河川が多く、全般的に治水対策がおくれているように思われます。これら中小河川改修については、地方自治体の財政力から見て早急に実施することは困難であり、国の援助を強化し、治水対策を強力に推進すべきであります。  第三は、利水ダム予備放流に対する補償についてであります。富山県からの要望にもありましたが、最近の局地的豪雨による大災害の発生にかんがみ、発電ダムにおいても予備放流等による洪水調節機能を持たせ、その際の補償制度を考慮すべきであると考えます。  第四は、激甚法の運用についてであります。今回の調査で、被災自治体が一番強く要望しておりましたことは、激甚災害及び局地激甚災害指定を受けることであります。その適用にあたっては、災害実情地域的特殊性等を勘案し、弾力的に運用されんことを切望します。  第五は、個人災害救済についてであります。個人災害救済については従来から種々議論され、制度的困難さも指摘されていますが、最近の災害の実態にかんがみ、個人災害に対する援護措置等について真剣に検討すべき時期ではないかと思われます。  終わりに、新潟及び富山県並びに各市町村の切実な要望について、政府の積極的な措置を強く要望し、今回の調査に御協力いただいた関係各位に深く謝意を表し、報告を終わります。(拍手)
  4. 川村継義

    川村委員長 これにて派遣委員報告は終わりました。  派遣委員各位にはまことに御苦労さまでございました。      ————◇—————
  5. 川村継義

    川村委員長 ちょっと速記をやめてください。   〔速記中止
  6. 川村継義

    川村委員長 速記を始めてください。  本日は、昭和四十四年七月下旬及び八月の集中豪雨並び台風第七号及び第九号による災害対策について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本問題調査のため、次回の委員会に、電源開発株式会社理事桑原進君及び東北電力株式会社常務取締役後藤壮介君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 川村継義

    川村委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。     —————————————
  8. 川村継義

    川村委員長 それでは、まず台風第九号の被害状況並びに七月下旬及び八月の集中豪雨及び台風第七号に対し、これまでに政府においてとった措置及び今後の対策について政府当局から説明聴取いたします。岩倉総理府総務長官
  9. 岩倉規夫

    岩倉説明員 私、去る八月十二日、弘津前副長官の後任を拝命いたしました岩倉でございます。お見知りおきいただきまして、どうぞよろしくお願いいたします。  本日は、床次総務長官閣議中のため、かわりまして御説明申し上げます。  まず、昭和四十四年台風第九号による被害状況等につきまして御説明いたします。  台風第九号は、去る八月二十二日に薩摩半島西岸鹿児島県吹上浜に上陸し、九州南部を通り、四国南岸をかすめ、紀伊半島中部地方関東地方北部東北地方東部、北海道を通過し、八月二十四日にはオホーツク海へ抜けましたが、この間に、茨城県でたつまきによる災害、また青森県では、青森市を中心としまして集中豪雨による災害が発生いたしました。  この台風による被害状況は、まず一般被害として、死者、行くえ不明七名、家屋半壊流失四百六十二棟、床上浸水五千八百六十棟、床下浸水九千五十一棟、罹災世帯数六千五百十三世帯罹災者数二万六千百九十一名となっております。  また、施設等被害につきましては、県の報告によりますと、公共土木施設等約五十三億円、農地等約十七億円、農作物等約九十六億円、中小企業関係約十二億円、その他約十八億円、総計約百九十六億円となっております。  このような状況にかんがみ、政府といたしましては八月二十四日に青森県の五市町村災害救助法適用するとともに、同日、関係省庁連絡会議を開催いたしまして、応急対策に万全を期した次第でございます。  次に、昭和四十四年七月二十七日から八月十二日までの豪雨及び同年台風第七号による被害状況と、政府のとりました措置につきまして御説明申し上げます。  本災害につきましては前回の本委員会で御報告したのでございますが、その後集計いたしました被害状況につきまして簡単に御報告いたします。  まず、一般被害につきましては、死者、行くえ不明六十五名、家屋半壊流失五百棟、床上浸水一万五千六百一棟、床下浸水二万七千八百六十七棟、罹災世帯数一万六千八百五十七世帯罹災者数八万六千七百二十五人となっております。  次に、施設等被害につきましては、県の報告によりますと、公共土木施設等約五百六十九億円、農地等約百八十二億円、農作物等約五十五億円、中小企業関係約百十七億円、その地約二百十億円、総計一千百三十三億円となっております。  これらの被害状況にかんがみまして、政府といたしましては前委員会で御報告いたしましたとおり、災害救助法発動等応急対策を講ずるとともに、九月五日の閣議によりまして、本災害激甚災害として指定いたすことといたしております。激甚災害に対する措置の内容は、激甚法第五条(農地等災害復旧事業等に係る補助特例)でございます。第十条(土地改良区等の行なう湛水排除事業に対する補助)でございます。第十二条(中小企業信用保険法による災害関係保証特例)でございます。第十三条(中小企業近代化資金等助成法による貸付金等償還期間特例)でございます。第十五条(中小企業者に対する資金の融通に関する特例)、第二十一条(水防資材費補助特例)及び第二十四条第二項から第四項まで(農地等災害に係る地方債元利補給)の措置でございます。  以上、御説明を終わります。
  10. 川村継義

    川村委員長 ありがとうございました。  次に、農林大臣官房荒勝参事官
  11. 荒勝巖

    荒勝説明員 まず、昭和四十四年の台風九号による災害について御報告申し上げます。  ただいま総理府のほうから御報告がございましたが、八月十八日南方洋上に発生いたしました台風九号は、二十二日午前鹿児島県の西部に上陸し、宮崎県を通り、四国南部をかすめ、二十三日早朝紀伊半島に再上陸し、さらに東海、関東、東山、東北を縦断いたしまして、温低となりまして、二十四日夕刻オホーツク海に去りました。またこの台風の通過に伴い、関東地方ではたつまきを発生した次第でございます。  この台風九号によります暴風雨によりまして、鹿児島県、宮崎県、茨城県、青森県等、各地において農林水産業相当被害を発生しております。被害の集計はただいまお手元資料として配付しておりますが、九月一日現在の各都府県からの報告によりますと、三十都道府県に及びまして、内訳は、農作物等被害が約九十六億円、施設関係につきましては約二十九億一千万円で、被害額総計は約百二十五億一千万円になっている次第でございます。  次に、その前にありました台風七号を中心といたしまして、その前の七月下旬の豪雨並びに八月中旬までの豪雨によります災害について御報告申し上げます。  七月二十七日より八月四日にかけて北日本に、八月六日より八月十二日にかけて裏日本中心に、本土上空にあった前線が活発化し、豪雨をもたらし、また八月四日、五日には台風七号によって中部関東地方豪雨があり、農林水産業相当被害が発生いたしました。  被害は、特に農作物でございますが、九月一日現在の統計調査部及び都道府県報告によりますと、二十数県に及びまして、内訳は、農作物等が、水稲、果樹、野菜等中心に約五十五億円、農地が約五千九百カ所、約三十八億円、農業用施設が約一万二千六百カ所、約百二十六億七千万円、林野関係国有林を含め百三十七億二千万円、その他施設等約二億三千万円で、被害の合計は約三百五十九億二千万円にのぼっております。これもお手元にただいま資料として配付いたしてございます。  これに基づきまして、農林省は直ちに災害対策本部を設けまして、また一番被害が激しかった北陸地方でも地方農政局災害対策本部を設けて指導している次第でございます。  特に被害につきまして、対策の点でございますが、被害者の中に相当家屋等被害があられた方もございましたので、精米を約六・八トン、乾パン約三千食を応急配給した次第でございます。  また、ただいま総理府のほうからも報告がございましたが、農作物被害相当ありましたので、現在関係方面と打ち合わせいたしまして、天災融資法適用を検討中でございます。  また、それに伴いまして自作農創設資金のワクの設定等につきましても、同様さらに進めてまいりたいと思っております。  また、農業施設等災害が非常に激しくありましたので、激甚法適用ができますように関係方面とただいま折衝中で、五条関係あるいは第十条の湛水排除事業等の補助について現在作業を進めておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。  以上でございます。
  12. 川村継義

    川村委員長 ありがとうございました。  これにて説明は終わりました。     —————————————
  13. 川村継義

    川村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池田清志君。
  14. 池田清志

    ○池田(清)委員 ことしはまことに災害の年であります。六月の末、鹿児島県をはじめといたしまする南九州に集中豪雨被害が多出いたしましたのをはじめといたしまして、八月の中ごろに至るまで集中豪雨が断続的に本土各地に発生をいたし、その間また台風七号あり、ごとにまた八月の末におきましては、先ほど政府の御報告にありましたように台風九号が鹿児島県に上陸をいたし、九州、四国、本州を縦断する姿で日本本土全域にわたり多大の被害を残しております。まさに今年は災害の年であります。  この災害に対しまする対策を樹立し、いち早く実行するということで、政府各省庁努力をしておられますことは御同慶にたえませんが、われわれ委員会におきましても、ときにより政府を鞭撻し、ときにより政府協力いたしまして、これらの施策の遂行に進んでまいっておりますことは申し上げるまでもないところであります。  すでに発生しておりまする被害に対しまする対策といたしましては、激甚地の指定天災融資法自作農維持資金世帯更生資金の貸し出しなどなど、融資の緩和、便益をはかるのをはじめといたしまして、河川対策、特別交付金の問題、租税の減免などなど、あらゆる方面にわたりまして施策が進められておるわけでありまして、こういうふうに万全の施策が進められておるのでありまするから、これら発生いたしましたところの災害全体を一括いたしまして、それを対象としてこれらの施策を進めてまいることはどうかと考えるのでありますが、いかがでございますか。要しますに、六月の末に発生いたしました集中豪雨から台風第九号に至るまでの災害全体を一括対象として右に申し上げまするような政府の万全の施策を行なうべきである。いかがでありましょうか。
  15. 岩倉規夫

    岩倉説明員 池田先生にお答えいたします。  多くの災害を一つのものとしてまとめて取り扱います場合には、その災害の原因となります気象条件が同一のものであるというふうにみなされるか、あるいはまたそれによってもたらされました災害がいろいろ重なり合っておりまして、分離することが非常に困難であるというような二つの条件があろうかと存ずるのであります。それで政府といたしましては、先般御説明いたしましたように、七月の下旬から八月の上旬並びに台風第七号のこの三つの災害につきましては一つのものとして措置をすることにいたしておるわけでございますが、ただいま先生の仰せになりましたような六月の災害から台風第九号までを一本のものとして取り扱うことはまことに困難であるというふうに考えております。  詳細にわたりましてはまた、担当の参事官も出ておりますので、詳しく御説明いたしたいと存じます。
  16. 池田清志

    ○池田(清)委員 災害の原因は気象の状況であるということでありますが、災害の結果ばいずれの風水害による災害であっても同じ結果が生まれておりますね。河川はんらん、死傷者あり、床上浸水あり、床下浸水あり、道路決壊農地決壊などなど、これらは災害の原因のいかんを問わず六月から台風九号に至るまでの災害の結果としてあらわれております。その結果を対象として施策を講ずるのでありますから、私考えるに、台風九号まで一括してできるのじゃないか、こう考えますが、いかがですか。
  17. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  ただいま総務副長官が申しましたとおり、政府といたしましても、池田先生の御指摘のありましたとおり、国民の皆さま方に御安心していただくためには、小しでも援助の手を差し伸べなければならないということでございまして、前回の委員会でお話のございました三本の災害、と申しますのは七月下旬の豪雨、それから台風第七号、それから八月上旬の豪雨、これらにつきまして、はたしてこれは三本の災害であるのか一本の災害であるのか、非常に議論が分かれておったところでございますが、私ども総理府といたしましては、各省にお集まり願いまして、種々議論をお願いした次第でございます。この間、数回の調整を経ましたけれども、なるべく先生のおっしゃいますとおり、国民の皆さまの立場に立ちまして、一つの災害というふうに持っていきたいということでございまして、先ほど副長官がお話ししましたように、気象条件もしくは被害額がまざり合いまして、査定が分離不能である、このような二つの条件に合致せしめるということにおきまして、七月下旬の災害及び台風第七号、八月上旬の災害は、何とかこれは理論がつくだろうということで一致を見たわけであります。そのような結果におきまして、先ほど副長官が御説明しましたように、そのための激甚政令を次回の閣議で出すということで進んでおります。しかしながら、ただいま池田先生から御指摘のございました六月末の鹿児島地方を襲いました梅雨前線による豪雨、これは原因は梅雨前線によるものでございます、それから今回参りました台風第九号によるもの、これにつきましては、どう政府部内で討議し合いましても、気象条件におきましても、それから災害の査定が分離不能という点におきましても、これはどうにもならないということで、まことに残念でございますが見送った次第でございますので、よろしく御了承願いたいと存じます。
  18. 池田清志

    ○池田(清)委員 私の私見といたしましては、一括すべきである、こういう強い主張を持っておるのでありまして、政府が分割して対策を講ずるという考え方に同調するものではありません。しかしながら、分割をして対策を講じつつある現在においては、各対象のグループ、グループによって、対策の際、甲乙があってはならぬということを強く要求するものであります。一括した場合におきましても、地域、地方の特殊性に対しまする対策は別といたしまして、全国一律に適用することのできる対策は、これは同じように行なうわけでありますが、さて分割した場合においても、その意味において差別あるべきでないと考えるのです。たとえて申しますと、激甚指定の問題についても、六月の集中豪雨に対する関係と、七月、八月に至るところの災害に対する関係と中身が違っておるように感ずるからそのことを申し上げるのですが、これはいかがですか。
  19. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  先生の御指摘のとおり、政府災害対策について差があってはならないという点につきましては、政府におきましても全く同感でございます。おっしゃいますとおり、政府におきましては、いかなる災害に対しましても手厚い手を差し伸べたい、でき得る限りの手は打ちたいと、こう考えております。でございますので、先生の御趣旨には全く賛成でございます。  なお、激甚等につきまして、これが全く同一ではないという手きびしい御発言でございますが、御存じのとおり、激甚法の体系が、法律上激甚災として指定できますのは一の災害であるというふうになっておりますので、法の許す限りにおきましてその努力を払うつもりでおります。たとえば鹿児島県を襲いました雨につきましても、政令は御存じのとおり二本出しております。それからなお、今後九号につきましてもでき得る限りの措置は講じたいとは考えております。でございますので、先生の趣旨を体しまして十分努力いたしたいと考えております。
  20. 池田清志

    ○池田(清)委員 災害に対する政府対策において、地域によりあるいはまたそのグループの対象により差別あるべきでないという主張を強く申し上げ、政府でそれを実行するように要望いたしておきます。  六月の集中豪雨から台風九号に至るまで、その災害の結果を見ますと、河川行政がなっていない、まさに原因はここにあるようであります。大中小の河川はんらんいたしまして、道路がこわれたりあるいは農地決壊したり、家屋浸水したり死傷者があったりなどなど、河川の問題がなっていない、治水計画がよろしきを得ていない、こういうことをまずもって結論しておるのであります。そこで河川対策を強化しなければならない、こういうことになってまいります。二、三の項目についてこの問題に触れたいと思いますから、河川局長ひとつ前のほうに出て待機してもらいたい。  河川法を改正いたしました際に、一級河川という制度をとりまして、その一級河川については暫定的に国庫負担率を四分の三といたしておるのであります。ところが暫定措置でありますから、これはまさに期限が到来する。その後においてはいかに相なるか。ほっておけば三分の二に返ってしまうということであります。四分の三国庫負担すべしというのは、ずっと恒久の制度として実行していくべきであると考えますが、いかがですか。
  21. 坂野重信

    ○坂野説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり、河川法の施行法によりまして、暫定的な経過措置といたしまして、河川法ができてから昭和四十五年の三月三十一日までは、一級河川の国庫の負担率あるいは補助率を四分の三という規定を設けておりますが、ほっておきますと河川法の本法によりまして三分の二に下がるわけでございまして、私どもといたしましてはできるだけこれを延長する方向に持っていきたいということで、月下大蔵省当局等との折衝、話し合いを進めている段階でございます。
  22. 池田清志

    ○池田(清)委員 一級河川に対する国庫負担四分の三を恒久制度とすべし、こう強く要望しておきます。  第三次の治水五カ年計画は進行中であります。ところがなかなかそれが予算がとれないという口実のもとに、先ほど申し上げましたように治水対策が徹底していない、こういう結果になっておるのでありまして、私は六月の集中豪雨の際においても質問をいたしましたが、治水五カ年計画を改定せよ、こう強く主張するものでございますけれども、これはいかがでございますか。  さらにまた、現在の治水五カ年計画は二兆五百億円です。その中に予備費というものがとられておる。この予備費をそのままにほっておけば、これはもう初めから終わりまで節約するという趣旨になってしまいますから、この予備費の使い方などはいかになさるのでありますか。道路河川とは対比されます。建設行政において車の両輪です。道路のほうは来年度から十兆円をこすところの五カ年計画を立てようという今日、河川においてはいかがですか。
  23. 坂野重信

    ○坂野説明員 御指摘でございますが、私どもは、現在の二兆五百億円の治水五カ年計画の投資は必要最小限度のものであって、決して潤沢なものではないということは十分承知いたしておるわけでございます。ただ、その中で現在いろいろ災害が起きております中小河川の問題あるいは砂防の問題等、かなり重視いたしておりまして、そういう面で私どもとしては治水五カ年計画計画どおりに執行しさえすれば、かなり災害の減少に役立つ、寄与できるものと確信いたしているわけでございます。もちろんいま、昭和四十三年度から始まりまして、四十三、四十四と二年目を迎えたばかりでございますので、いま直ちに改定するつもりはございませんけれども、今後の災害の推移あるいは水資源の推移等を見きわめまして、必要が生じた場合においては途中の年度においても改定することもあるいはあり得るかと思いますが、現在の時点においては少なくとも現行の計画計画どおりに進めてまいりたいということで考えております。  予備費の問題につきましては、一応大蔵財政当局との申し合わせでは、激甚なる災害が発生した場合において予備費を支出するということにしておりますので、とりあえず既定のワク内でできるだけ支出いたしまして、その既定のワクが不足するようになりました段階において直ちにその予備費の支出を検計いたしたいというぐあいに考えております。
  24. 池田清志

    ○池田(清)委員 治水五カ年計画を改定する必要あり、私はこう断定します。早い機会においてその改定を要望するものです。  河川局長ははからずも中小河川対策を口にせられました。中小河川対策が非常におくれておるということは当局もお認めであります。私は、鹿児島県を襲いました集中豪雨並びに今回の台風九号の関係におきまして、鹿児島県下でありますが、河川をあちこちと調査をいたしました。ここに河川の名前を読み上げてみますが、川内川、甲突川、隈之城川、平佐川、春田川、高城川、田海川、樋渡川、天降川、新川、網掛川、別府川、思川、久留美川、金山川、米ノ津川、中津川、池山川、江口川、大里川などなどが、川内川の一級河川をはじめといたしまして、県下におきまして災害の大きかった地域における中小の河川であります。この河川が至るところ堤防がこわれておりまして、それで農地が壊滅をしておるという実情が重なり重なってきておるわけであります。ここにおきまして中小河川対策にうんと力を入れなければならないということを強く要求いたすわけです。  しからば治水関係におきまして、建設当局ば来年度の予算におきましてどういうような概算要求をしておられるか、ちょっとお示しを願います。
  25. 坂野重信

    ○坂野説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり、最近中小河川中心とする災害が非常に激増いたしております。これは一つはやはり大河川に比べまして若干中小河川改修がおくれているということは事実でございます。それと、もう一つはやはり気象的な条件が、最近非常に局地的な集中豪雨の現象が多うございますので、大河川全体に広い地域にわたって降雨があるというよりも、狭い地域に局地的な集中豪雨があって、そのために中小河川がもち切れないということで、いわゆる鉄砲水となってはんらんする傾向が非常にふえております。この傾向はここ数年来の傾向で、特にまた最近顕著になっておるわけでございます。これに対処するために、先ほども申し上げました第三次の治水五カ年計画におきましても実は中小河川を重点に考えておりまして、昭和四十四年度におきましても直轄の河川は伸び率が二二%ということでございますが、中小河川は二一%ということでかなりの差をつけております。明年度予算におきましても中小河川改修につきましては特に重点的に考慮を払ってまいりたいということで、ただいま大蔵省と折衝を始めておる段階でございます。
  26. 池田清志

    ○池田(清)委員 わが国は海にかこまれておりまして、海岸線が非常に長いのです。でありますから、政府におきまして海岸保全事業というものを行なっております。ところがなかなかその成果があらわれておらない。運輸省、農林省建設省、三分いたしましておのおの分担するところを保全しておるわけでありますが、その海岸の内側にあります都市、農地などなど、海岸保全が十分でないために相当被害を受けるわけであります。もし台風が重なってまいりまして、海が荒れ狂うというような台風でありました際においては、この海岸がさらにまた決壊をして被害が大きい、こういうことであります。海岸保全事業につきましては政府は力を入れるということを聞いておるのでありますが、その内容をお示し願います。
  27. 坂野重信

    ○坂野説明員 お答えいたします。  海岸の事業につきましては、先生御指摘のとおり運輸省の港湾局、農林省農地局並びに水産庁、建設省の関係というぐあいに三省にまたがっておりまして、かねてから海岸事業の重要性につきましては先生の御指摘のとおりでございまして、私どもは海岸事業を推進するためにはぜひとも海岸事業の長期計画を策定する必要があるということで、各省の調整も整いまして、今度はぜひとも海岸事業の五カ年計画を四十五年度から発足させたいということで財政当局と折衝を始めております。総体の事業といたしましては四千百億でございます。それが各省に分かれておるわけでございます。これはぜひともこの長期計画の確立ということに持ってまいりたいと思いますので、よろしく御鞭撻をお願いしたいと思います。
  28. 池田清志

    ○池田(清)委員 台風九号は、その時期柄から申しまして、たんぼ、畑の被害が非常に大きいのです。たんぼにおきましては穂が出る前である、あるいは穂が出ておるところもある、穂が出て少し頭が下がっておるところもあるなどなどでありまして、農業関係被害が大きいのであります。先ほど政府の御報告にありましたとおりであります。  ところで、これに対する対策といたしましては、激甚災害指定はどうであるか、天災融資法適用は当然であるがどう考えるか、自作農維持資金のワクを拡大することも当然だと思うがどうであるか、あるいは規格外米の買い上げもすべきであると思うがどうであるか。以上四点、農林省にお尋ねします。
  29. 荒勝巖

    荒勝説明員 お答えいたします。  ただいま私から御報告申し上げましたように、九号台風相当被害が発生しておりますが、農地農業用施設等につきましては、ただいま都道府県からの報告によります段階でも、われわれの考えております激甚法適用でありますほぼ四十億円台という数字よりも被害相当下回っておるということで、激甚法適用は不可能ではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。ただ、場所によりまして、市町村別に相当被害の大きいところも、今後の調査並びに査定の推移によりましてあるいは出てくるかもわかりませんが、それにつきましては局地激甚適用によりまして、個々の市町村につきましては今後拾っていく考え方でございます。  それからさらに、農作物等被害につきましては、一応九十億円台の数字が出ておりますが、現在統計調査部中心被害状況の把握に全力をあげておりまして、九月の、もう十日ほどしますれば大体集計できるのではなかろうかと思います。その段階で、各都府県の資金需要等も勘案しながら、天災融資につきましては検討を進めてまいりたい、こういうふうに思っております。  それと同時に、自作農資金につきましても同様な取り扱いを検討いたしてみたい、こういうふうに考えております。  なお、規格外の買い上げにつきましては、食糧庁のほうから担当部長が見えておりますので、そちらから御答弁願いたいと思います。
  30. 中村健次郎

    ○中村説明員 等外、規格外米の政府買い入れにつきましてお答え申し上げます。  昭和四十三年産米の等外、規格外米につきましては、御承知のように天災融資法に基づきます指定災害、またはこれに準ずるような大きな災害によりまして等外あるいは規格外米が大量に発生いたし、それが農家に及ぼす影響が甚大であるというものに限りまして、県を特定いたしまして、配給可能な一定品位以上のものにつきまして政府の買い入れをいたしてまいりましたが、四十四年産米の取り扱いにつきましては、災害によりますこれらの等外、規格外米等の発生の状況、これが農家に及ぼす影響等慎重に検討いたしまして方針をきめてまいりたいということで、目下検討中でございます。
  31. 池田清志

    ○池田(清)委員 終わりました。
  32. 川村継義

  33. 淡谷悠藏

    淡谷委員 先ほどから調査報告を聞き、また池田委員の質問を聞いておりましても、大体この災害に対する問題点はほとんど同じになっているようであります。特に今回の九号台風による集中豪雨というのですが、その集中された青森県の実情というものはほとんどその問題を代表的にあらわしていると思うのであります。  一つには、今回の集中豪雨でまことにかつて見ないほどの大きな被害を受けている現状、特に死者二名を出しておる現状等々を見てみました場合に、予報の措置に若干の欠陥があったのじゃないかと思うのであります。地元では鉄砲水と言っておりますが、鉄砲水と言うほど急激に増水しておる。そのために家具なりその他のものを持ち出す余裕もなく、その他何とか被害を少なくするような余裕を見出さないような状態の増水を見ておるのであります。この点で、おそらくは観測する方面でも、観測に十分に力があったとしても、これを伝達する方法等において非常に遺憾な点があったのではないかと思いますが、その点をひとつ気象庁のほうから率直にお述べをいただきたいと思うのであります。
  34. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 お答え申し上げます。  青森県の雨でございますが、台風九号が北上いたしまして次第に青森県に近づいてきたということに対しまして、青森ではすでに十九時ごろからその準備をいたしまして、十九時四十分に青森県下に対しまして風雨波浪注意報を出しました。台風が岩手県の北部で温帯低気圧になりましたけれども、今回の台風はかなり中心が強い状態を維持してまいりましたので、雨が降ることは当然予想していたわけでございまして、さらに二十三時二十五分には風雨波浪洪水注意報に切りかえて注意を喚起したわけでございます。しかし、雨が降るということがわかっておりましたけれども、何ぶんわれわれが予想する量の問題につきましては、非常に予想以上に雨が多いという量的な問題が問題になりましたものですから、二十四日の一時五十五分に洪水警報を出して一応注意をした状態でございます。
  35. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ここに県のほうから出されました資料があるのですが、山岳部の多い青森県としては雨量計などの増設の必要があるのではないかと思われるのであります。現在青森県には六カ所に設置されておりますが、そのうちの四カ所はまことに旧式なものが設備されている。八甲田山のロボット雨量計はまことに旧式なもので一時間に一回しか雨量の報告をしていない。今回のような集中豪雨ではあまり役に立っていないのであります。新式のものは十五分ごとに通報してくるものでありますけれども、建設省で採用しているコールシステムというようなもので、スイッチを入れたらいつでも雨量の通報ができるといったような設備にかえる必要があると思いますが、この点は建設省いかがでございましょうか。
  36. 坂野重信

    ○坂野説明員 私現在詳細に記憶しておりませんので、よく調べまして、できるだけ先生の御指摘の趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
  37. 淡谷悠藏

    淡谷委員 こういうふうな新式のものができているのにそれを採用しないで依然として旧式のものを用いているという事実は、やはり今回の被害を非常に大きくしたと思うのであります。  それから、すでにもう一時五十五分ですか、洪水の注意報が出たのだけれども、一般の人はほとんど知らない。三時、四時になって浸水が始まってから気がついてあわてたというのが実情和んでありまして、警報の伝達の方法などにもいろいろと欠陥があるように思われます。二十一カ所あります観測所の自動化などについてもこの際ぜひ配慮していただきたい。データが自動的に送られてくるような施設、これなども気象庁の御苦労がそのまま伝わってくるように十分配慮すべきものがあるだろうと思うのです。雨量について申しますと、一定の量に達したら観測の受託者は電報で気象庁にデータを送ってくることになっておりますけれども、一定量に達したことを知らなかったり、あるいは電報の配達などで多くの時間を費やして的確な予報ができなかったという事情があったと思いますが、気象庁はその辺までの御配慮があったかどうか。これはあなたのほうの役割りじゃないかもしれませんが、そういう点になりますと結局気象庁の苦労が途中で消えてしまうという状態になると思うのです。お考えを聞かせていただきたいと思います。
  38. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 いま先生が御指摘になりました雨量の観測並びに伝達のことでございますが、実は気象庁におきまして、雨が降るということのあと、どれくらいの量になるということに関しましては、観測所の雨量のほかにさらにレーダーその他、われわれとして使います資料をいろいろ使うわけでございます。この場合、上北鉱山の雨量の資料、それからもう一つ資料が入っておりまして、それによりまして洪水警報に踏み切ったのでございます。そのほかにレーダーが、青森に対しますレーダーは仙台、函館とございますが、仙台がちょっと山のかげんで十分に青森をカバーできませんので、函館のレーダーから二十一時以降毎時間資料をもらって注意並びにその監視を続けておりました。
  39. 淡谷悠藏

    淡谷委員 もう一点、さっき建設省のほうにも要請しておきましたけれども、八甲田山系にあるロボットが非常に旧式だという点で、気象庁のほうとしてはやはり旧式なロボットではうまくないとお考えだろうと思うのですが、その点の意見も率直にお聞かせ願いたいと思います。
  40. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 現在の雨量計が旧式でございまして、こういうものは将来もっとりっぱなものにしなければならないという先生の御意見に同感でございます。
  41. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはひとつ、建設省のほうでもぜひそういうふうな御配慮を願いたいと思うのであります。  それから、レーダーの伝送装置なども函館、秋田のほうでは目下建設中で、四十五年度からできるということを聞いておりますけれども、これなどもやはりすみやかに完成させまして、いまのような災害の場合は直ちに伝送する装置をつくっていただきたい。これは強く要望しておきたいと思うのであります。  さらに、一斉に伝達する装置について若干質問並びに要望を申し上げたいと思うのですが、注意報、警報の伝達を正確、迅速に行なうためには、ぜひともこういう装置が必要だろうと私は思うのです。現在では注意報、警報等の伝達がNHK、県庁あるいは警察等の順序で電話で通報しておりますけれども、非番の職員を投入してもこの伝達には三名くらいしか配置ができないのであります。投入してもこの伝達に三名しか配置できないとすれば、したがって、十二カ所全部に通報するためには二十五分以上の時間を要しておるのが実情であります。そのため、一回で全部に通報できる一斉伝達装置が必要になってまいります。この場合、四十三年度から全国に取りつけられれば、青森は四十五、六年でなければ順番が回ってこないというふうになっておりますが、やはり一斉にやるのであれば、これは四十三年度にあわせまして山岳の多い青森県などではぜひともこの装置を急いでいただきたいと思うのですが、これはどちらの役所でやっておりますか。担当のほうから御答弁願いたいと思います。
  42. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 ただいまの一斉伝達装置でございますが、気象庁はすでに数年計画をもちましてこの整備を行なっております。現在日本の西のほうから中部にわたりまして、次第に北のほうに及ぶ予定でございまして、いずれ全地方気象台まで全部新しい方式の一斉伝達装置を完備する計画でございます。
  43. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはぜひとも一斉にできるように何分の措置要望いたします。  その次は、調査、研究体制をもっと強化する必要がないか。どこの地域にどれだけ雨が降れば洪水になるとかならないとかいうことが十分に調査、研究できる体制を強化する必要があると思うのであります。過去に観測した資料などが相当数あるにもかかわらず、これを十分に調査し、分析する体制はほとんどできていない現在、その結果、台風九号の場合でも、二十三日の夜、八甲田山で時間雨量四十ミリあったことがわかっていたのでありますが、八甲田山にただ一基しかないロボット雨量計のこのデータでは、洪水警報を出すかいなか、迷わざるを得なかったのじゃないかと思うのであります。結局、これ以上降らないとして注意報にとどめたのであったが、これも調査、研究の体制が弱体であったためと思われますが、これは気象庁ではどうお考えでございますか。
  44. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 お答え申し上げます。  集中豪雨の研究、調査体制でございますが、集中豪雨はずいぶん前から起こっている現象でございまして、気象庁としまして、まず北陸方面における豪雪の五カ年間の研究、調査が終わりまして、現在では西日本、特に九州西方海上を対象といたしました集中豪雨の研究体制の五カ年計画の第二年目に入っております。これは地上、海上並びに上空の状態も調べまして、その集中豪雨、特に非常に集中したところに雨が降る状態のこまかいメカニズムを調べようとして努力しております。現在調査、研究は気象研究所で行なわれております研究を中心にして進められております。
  45. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは妙な話ですけれども、九州その他の台風の銀座通りといわれるところでは、やはりこれに対する措置がだいぶ進んでいるらしいのですけれども、被害は備えのないところに大きいのです。たとえば豪雪被害などでも、逆に青森などではいろいろな災害を何とか食いとめるような措置をしておりますけれども、従来豪雪のなかった土地に豪雪があると非常に被害が大きい。これは、青森などは台風はわりあいにこないほうなんですけれども、今回のように思いがけないときにきた災害では、まことに対応する設備その他が弱いのです。これはやはり災害はいつどこにくるかわかりませんので、改革されるならば全国一斉に不均衡が生じないようにやっていただきたいと思うのですが、御意見いかがでございましょうか。
  46. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 お答え申し上げます。  集中豪雨は日本全国どこでも起こるわけでございまして、この研究所でやります研究のほかに、各管区気象台というのがございまして、そういうところでもやはり調査的なことをやっております。先生の御意見はよくわかりました。
  47. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さっきからのお話にもありますとおり、どこに災害が起こっても、災害の結果というものは悲惨なものでございますから、やはり全国に手をつけられている以上、あっちこっち選択せずに、これはぜひ一斉に施行するようにしていただきたい。特に私どものほうの県で申しますと、洪水予報のセンターをどうしてもつくる必要があると思う。北上川でやっておりますように洪水予報センターが設けられますと、今回の被害がだいぶ減ったのではないかと思うのであります。北上川のほうでは、気象台、建設省、県などの観測器材で得られたデータをすべてセンターに送って、そこで電子計算機で計算して予報するようになっております。したがって、青森県にあります大きな川の岩木川などの場所にこのような体制を設けることが必要だと思うのですが、この金もあまりたくさんかからぬでしょう。二、三百万円程度のものでこの設置ができるというように聞いております。災害が起きてからそのために使う金を考えますと、起こる前に投ずる金というものは非常に有効に働くと思いますが、その点のお考えも最後にお聞きしたいと思うのであります。
  48. 坂野重信

    ○坂野説明員 お答えいたします。  気象庁のほうと建設省等の共同作業でやっておりますいわゆる洪水予報というのは、洪水予報河川というのを全国で十八河川指定しておりまして、その中に北上川等も入っておるわけでございますが、それにつきまして、いま先生御指摘のようにようやく北上川は電子計算機による、コンピューター方式による自動的な洪水の予報システムというものができたわけでございます。これを全国にできるだけひとつ広めたいという考えでおるわけでございます。  それから一般の問題は、それより一段下がった警報指定河川というものが実はございます。これは水防法によって実はやっているわけでございます。気象台と私のほうの関係は、私のほうとしてはできるだけ雨がいつどこにどういうぐあいに降るかということが早く知りたいわけでございまして、その予報と予測ができさえすれば、どこにどういう洪水が出てくるかというものはすでに長年建設省で研究いたしておるわけでございます。やはり一番大事なことは、雨がいっどこにどういう形で降ってくるかということを私どもとしては一刻も早く知りたいということでございまして、その辺が一番問題になるかと思います。雨がどういう状態で降ってくるかということがわかりさえすれば、それに応じてどこどこにどういう洪水がいつごろ出てくるかということはおのずから計算によって、あるいは人の作業により、あるいは電子計算機によって出てくるわけでございますので、その辺十分気象庁と連絡をとりまして、洪水予報の共同作業あるいは水防法による警戒の警報の指定というようなことを十分気をつけていきたいと思いますが、コンピューターも一挙にできませんので、財政当局と打ち合わせしながら、できるだけ早い機会にそういう施設を充実するように努力いたしたいというぐあいに考えております。
  49. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはくどく申し上げましたとおり、集中豪雨などは予報措置が非常に損害に影響すると思いますので、御苦心のほどはわかりますけれども、ぜひひとつ早急に今回の災害にかんがみて実行していただきたい。以上、要望いたしておきます。  その次は、先ほども話が出ましたが、やはり中小河川の問題であります。これは以前から災害のたびごとに言われているわけなんです。もう下流のほうは相当よく改修されましたけれども、一連のこの中小河川のほうは地方の財政の苦しさとか、その他いろいろな原因がありまして、なかなか一本の河川改修ができていない。一本の河川が下のほうができて上流のほうが全然できていないということになってくれば、これは洪水が起こるのは当然なんです。今回の青森市を中心とした八甲田山系、はっきり申し上げますというと、青森市の中を流れます堤川という川のはんらんで一挙に六尺以上の浸水を見たという状態なんでございますが、これはこの川に合流します駒込川、荒川という二つの川の改修が十分に行なわれていなかった。特に荒川というのは、荒川という名前が示すとおり非常に荒い川なんです。これなどは全然手がついていないという状態なんですが、建設省、何かこの改修の予定がございましたらぜひお聞かせいただきたいし、なかったならば早急にこれを改修するような御措置の点を御答弁いただきたいと思うのでございます。
  50. 坂野重信

    ○坂野説明員 お答えいたします。  問題の堤川につきましては、実はこれは昭和三十年ごろから局部改修と称する部分的な改修に着手いたしておったわけでございますが、それがだんだん進んでいるうちに、どうも町中で用地移転の問題が不調で四十一年に一時打ち切られております。その後は、やはり災害のおそれがあるということで四十三年度からまた中小河川に着手いたしておりまして、その間に県の住宅供給公社による桜川団地というのも宅造ができてまいりましたので、どうしても早く改修を進めなければならぬということで、上流の駒込川と荒川の合流点の辺を直ちに重点的に実施すべく準備中——用地の交渉等でございましたが、不幸にして現在の災害を見たわけでございます。もともと河川改修計画が進みますと問題はなかったわけでございますが、なかなか青森県の中でもいろいろな重点河川がありまして、どちらかというと他の河川のほうに重点が向けられておったという事情も確かにあったわけでございます。そこで、今回の災害の経験にかんがみまして、できるだけ既定の中小河川改修をひとつ推進する。上流ダムをつくる計画もございますが、それらをさらにひとつ調査並びに具体的な計画というものを確立してまいりたい。それと、今回の災害にかんがみまして、できればひとつ改良復旧というような問題もあわせてこの際考えまして、事後の対策を立ててまいりたいというふうに考えております。
  51. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはまあいろいろな困難のあることは私も知っておりますが、特に今度の桜川団地といまおっしゃったあそこの団地などは、つくってすぐ災害を受けているのですね。そこへ移転したいと思った人の中に、もうここで中止しようなんで迷っている人もあるようですが、これはむしろ桜川団地よりも川の罪のほうが大きいわけなんですから、その根本的な原因として中小河川改修あるいは復旧というものは早急にやっていただきたい。  お話のございました改良復旧の点ですが、これはもう四、五年どころじゃない、だいぶ前から言っているのです。だいぶ進んだ地域では原形復旧してもいいでしょうけれども、私どもの県のようにほとんどこれまでそういうふうな進んだ施設がなされなかった地方では、依然として昔のような施設で復旧するという計画はやめなければならないと思う。これは東北六県が大きな水害を受けましたときに、長い川で木橋がかかっておったのが、その災害の場合でも同じような木の橋にかえようという話がございました。これは強い要望がありまして改良復旧いたしました。法律のほうが悪かったら法律を直して、理屈に合わぬ原形復旧というのはこの際思い切ってやめるようにしたほうがいい。もう悪いことがわかっておりながら、災害か何かの場合でも復旧はどうしても原形でなければならぬということは理屈に合わぬと思うわけです。この点はひとつ大臣のお考えをお聞きしたいと思うのですがね。——ちょっといま何かお話し中でしたが、改良復旧と原形復旧ですが、これは大臣御承知のとおり、私たちのような未開発の地域では、災害のたびごとにやはりいろいろな問題が起こる原形復旧を固執されますと、国費が全くむだに使われる状態なんで、もし法律上さまざまな難点がございましたら、法律を変えても改良復旧に踏み切る。あまりに原形復旧というものに対してこだわり過ぎますというと何にもならない国費が費やされますから、大臣のお考えをぜひお聞きしたいと思う。
  52. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 災害に関連いたしまして当該委員会を開会していただきまして、当面する重要な緊急対策応急対策等について御審議を賜わっておりますことに対しまして、まずもって深く敬意を表し、また大きな被害をこうむられました各地に対しまして深甚なるお見舞いの誠をささげたいと思う次第であります。  御質問をいただきましたに際しまして、台風第七号及び七月下旬から八月中旬までの豪雨災害並びに台風第九号等の災害につきまして、総務長官からもすでに御報告には相なったと思いますが、建設省所管の被害状況あるいはそれらに対する対策について御報告をいたしたいと思います。  台風第七号及び七月下旬から八月中旬までにおける豪雨並びに八月下旬の台風第九号によるところの建設省所管の被害状況は、九月二日今日までに至る間の被害は、公共土木施設におきましては、直轄災害が二百九十九カ所、六十二億円の損害でございます。補助災害は一万七千八百十五カ所でございまして、五百四十五億円の損害を受けております。合計一万八千百十四カ所、六百七億円に及んでおるような次第であります。このうち台風第九号によるものは四十六億円でございます。  また、都市施設は十八カ所、八千万円でございまして、住宅の被害は、全半壊流失八百九十六棟、床上、床下浸水は四万九千二百七十一棟でございます。  対策及び措置といたしましては、八月上旬の集中豪雨により著しい被害を受けました新潟富山の両県には、直ちに政府調査団が派遣されるとともに、建設省においては、新潟富山、山形、長野、福島の各県及び台風第九号による被害の大きい青森県に、被害状況調査並びに応急措置の指導に当たらしめるため、災害査定官等を直ちに派遣いたしまして、その対策を指導、また協議をいたしておるような次第であります。  二番目といたしましては、堤防の破壊、道路の交通不能等、施設の重要被災個所につきましては、交通の確保及び台風等の襲来に備えるため、直ちに応急工事に着手するとともに、目下鋭意促進中であります。一般国道の指定区間については、おおむね一車線以上の交通を確保し、なお現地の準備完了次第緊急査定等を実施し、本復旧促進してまいるつもりであります。  三番目に、台風第七号及び七月下旬から八月中旬までの豪雨による災害を、八月三十日、住宅金融公庫法第十七条第六項の災害として指定をいたしたような次第でございます。  以上が大体の被害状況に対する方針並びに概略でございますが、先ほどからそれぞれの委員の各位が御質疑また御要望になりました問題点の中心は、何といいましてもやはり中小河川対策ということが災害対策の基本対策ではないか、これを私は基本に置きましてそれぞれ指示をいたしておるような次第であります。いままでの治水対策というのは、一級河川中心としました堤防決壊からくる流域住民の不安状況を除去するというようなことが、過去におけるところの日本の治水対策であった。これからの日本の治水対策という問題は、九十八本に及ぶ一級河川はもちろんでございますけれども、一万五千有余本に及ぶところの中小河川に対するいわゆる防災の問題あるいは防災ダム建設の問題、あるいは土砂くずれ、地すべり、急傾斜対策等を含めまして、いわゆる基本的な問題点はここに置きたい、こういうようなことを、建設省といたしましては河川局長を中心といたしまして、私の意のあるところを体しながらそれぞれ検討を加えておるような次第であります。明治の初年に来ましたオランダのある学者が、日本の川は川じゃなくして滝だといって指摘したことを考えるときに、われわれのこの地形上の条件から考えましての悪条件を克服いたしまして、中小河川中心とした治水対策を根本的に立てる、これを新たなる治水の年次計画の基本に賢きながらそれぞれの予算措置もいたしてまいりたい、こう考えております。  御指摘に相なりました災害に対する原形復旧の問題、これは私は全く同感でございまして、年々歳々繰り返して、ただもとのとおりに直しさえすればそれで対策がなれりというような安易感を持ち、それが災害対策の姿勢であるというようなことは根本的に間違っておるということを私は痛感いたしておりますので、先ほどから河川局長も御答弁申し上げておるとおり、改良工事によってこれらの被害を再び繰り返さないという万全の措置をとる災害対策でありたい。私が指示し、私の方針はかくあることで、淡谷委員、他の委員各位と全く同感であることを表明申し上げまして、今後とも御理解と御協力をいただきたいと思います。
  53. 淡谷悠藏

    淡谷委員 御同意くださいましてほんとうにありがとうございました。ぜひその御同意を生かすように、予算等においても十分な御奮闘を願いたいと思うのであります。  重ねてひとつ建設大臣にお願いしたいのは、今度の青森市の被害が非常に大きい、下水道とか上水道などの問題もだいぶ大きいことになっているので、この点などについてもやはり御回意いただきまして、ぜひとも万全の措置をしていただきたい。  もう一つ、ついでに大臣に要望しておきたいのは、青森県の特殊事情、つまり冬が早く来るという特殊事情から、復旧事業がおくれますというと一年おくれます。もう十月の末になれば土木工事が困難になってまいりますので、ちょうど九月一ばい、十月の初めまでというこの時期設定につきまして、非常にみな気をもんでいるわけなのです。したがって、復旧事業その他の改良事業等も、そういうふうな気象的な特殊事情をお考えになってこれを促進していただくような御配慮を願いたいと思うのですが、重ねて大臣の御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  54. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 先ほど来御指摘になりました青森市の駒込川、荒川を中心といたします都市河川中小河川被害からくる青森市内及び関係地域が非常な損害を受けられましたことに対しましても、それぞれ調査もいたし、その対策につきましてはできる得る限り万全の対策を講ずるよう指示もいたしておるのでございます。  御指摘になりました下水、上水の応急対策等につきましても、都市整備の上においては、環境整備の土においても衛生整備管理の上においても最も重要な問題でございますので、これらの点につきましても都市局を通じまして下水道に対するところの応急復旧、それぞれの今後の復旧事業につきましても、十分県の御要望、また関係会議員の御要望を体しながら、応急、恒久対策を講じてまいりたい。  また、後段に述べられました点につきましても、建設省といたしましてはその方向をもってひとつ進んでまいりますので、御理解をいただきたいと思います。
  55. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ぜひさよう願いたいと思います。  次は農林省にちょっとお伺いしたいのですが、今回の災害で県下で漁船がだいぶ流されたりこわされたりしておる。五十七隻という報告を受けりておます。これは大畑町を中心青森市などにもございますが、ひどいのは監視船さえ流されちゃっている。これは農林省としてどういう救済措置をとられるのか、お伺いしたいのです。
  56. 荒勝巖

    荒勝説明員 漁船につきましては、いわゆる漁船の型にもよりますが、漁船保険に入っております型につきましては漁船保険のほうから直ちにその被害の認定をいたしまして支払いをいたしたいと思います。なおその災害というか、小破、中破程度で直ちに修復ができそうなものにつきましては、農林漁業金融公庫等から融資のごあっせんをいたしたい、こういうように思っております。
  57. 淡谷悠藏

    淡谷委員 もう一点お聞きしたいのですが、これは五トン未満の船が非常に多いので、全く漁民としても力のない零細漁民がかなりあるのです。この際、天災融資法等をここまで適用されて何か融資をするような方法はつかないものでしょうか。
  58. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま御指摘の五トン未満の船につきましては、いわゆる漁船保険の対象にたぶんなりにくいのではなかろうか。したがいまして、あと公庫等から融資申し上げる以外に手はないのではなかろうか。天災融資法農作物等被害融資することになっておりますので、農林漁業金融公庫のほうから被害状況に応じて御相談に応じたい、こう思っております。
  59. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その隘路を感じますので非常に苦慮しているわけなので、何らか実質的にこういう零細な漁民が助かるような方法を講じていただきたい、これを強く要望しておきます。  それから農作物被害も非常に大きいのです。たばこ、リンゴなどもございますが、私はことしの作柄を見まして、政府が米が余るという宣伝をしておる裏に非常な危惧を感じてきておったのです。今回の災害によって冠水したたんぼなどは、将来どの程度まで立ち直るとお考えなのか。特に、全国の作柄概況等もこの際一応お聞かせ願いたいと思うのです。これはもう、米が余ったといいましても、一つの災害が起こりますとたいへんに食糧に不安が起こるのです。特にこういう災害が起こったあとでは、大体その作況の見通しというものがつきませんと、思わない食糧需給上の混乱を招くことなしとしませんので、農林省の現在調べられておるところでけっこうですから、青森県といわず、全国の作柄、特に今度の青森県の被害による減収の見込みなどをお聞きしたいと思うう。
  60. 荒勝巖

    荒勝説明員 では御説明申し上げます。  ことしの米の作柄概況でございますが、統計調査部でたぶんきょうの午後発表になるんではなかろうかと思いますが、私たちきょうのために少し調べてきました数字によりますと、ことしも、非常な豊作を伝えられておるようでございます。それで、大体の概況で申し上げますと、水稲につきましては、全国の作況指数が平年作に対しまして一〇二%、陸稲が、全国ベースでございますが、一〇八%でございまして、大体推定いたしますと、まだこれは作況指数だけでございまして、面積等が十分まだ入っておりませんのでわかりませんが、八月十五日現在で史上第三位、約千四百万トン前後の米がことしやはり収穫されるんではなかろうか。その中で、まあ多少言い過ぎかもわかりませんが、北海道地区相当な冷害で作況が非常に悪い。それから、関東地方が多少冷害を受けまして、作柄が比較的よくないというふうに聞いておりまして、他の地区につきましては作況指数は非常にいい、こういうように理解しております。
  61. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この水害に限らず、冷害のおそれも若干あるようなことですが、特に災害を受けた農家はたいへんに困っているわけなんで、これはさっき池田委員からも御要望がございましたから重ねてくどくは申しませんが、規格外の米の買い上げ等も十分御配慮を願いたいと思う。  それにつけて、これも池田委員の切なるお話がございましたので、重ねてくどくは申しませんが、個人災害の問題です。今回の青森県の災害でも非常にこの個人の災害が大きいのですが、大体二十億くらいには達するのではないかというふうに見ております。この個人災害をどういうふうに救済するかが、これまでもずいぶん長い間頭を悩ましてきたわけなんです。さっきの池田委員の質問に対しても的確な御答弁がなかったようですが、これは床次大臣もお見えになる前でしたから、今回の災害に限らず、個人災害を何とか救済するような根本的な法の改正が必要だと思うのですが、大臣のお考えを伺いたいと思うのであります。これはいまに始まった問題ではありません。災害のあるたびにくどく申し上げておることなんですから、ひとつ御意見を伺いたいと思います。
  62. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいま個人災害に対する対策に対しての御質問ございましたが、この問題につきましては当災害対策委員会等におきましてもしばしば御質問がありまして、政府といたしましても検討いたしておるところであります。今日、災害に対しまして、大体公共事業あるいは農林あるいは中小企業というものに対しましては、それぞれの対策、救助方法も一応の形ができてまいっておりまするが、御意見のごとく、個人の災害に対しましては全くそういうものができておらないのでありまして、これは確かに問題点であります。まあ、従来からの態度を申し上げますると、個人の損害に対しましては自主的にまつという形になっておったと思います。したがって、今日大きな未解決な点と申しますか、盲点としてこれが考えられるのでありまして、これをあるいは共済制度によってやるか、あるいは救済の対象にするかということにつきましては、さような立場上なかなか問題点があるのでありまして、政府といたしましてもしばしば会議を開いて検討いたしておりまするが、まだ適当な結論を得ておりません。今後ともひとつこの問題に対しましては十分検討させていただきたいと思います。
  63. 淡谷悠藏

    淡谷委員 いろいろ御考慮願っていることはわかっておりますけれども、あまりにも長いと思うのです。われわれが知ってからも四、五年になります。その前からも問題があったのです。これは非常にたくさんの予算措置が必要であり、困難な問題もございましょうが、ひとつこの困難さを避けないでまっすぐ考えていただきたいのです。これはできないならできない、できるならできるようにはっきりしませんと、何か宙に浮いたような感じがいたします。もう何か、できないならできない原因についてさらに考えなければなりません。何か災害があった場合にこれを避けて通りますといつまでもできませんので、その点も真剣にひとつこの機会に御考慮願い、実行に移していただきたいということを強く要望申し上げておきます。  それから、県のほうからも市のほうからも要請がございましたとおり、これはいつの災害でも同じことですが、特別交付税の配分及び起債の許可について特段の配慮をいただきたい。さらに、被災農林漁業及び中小商工業者の復旧のために制度資金融資ワクの確保について配慮されたい。天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法を適用して、被害農林漁業者の経営に必要な資金の融通に対する助成措置を講ぜられたい、等のことが要望されておるのでございまして、すでに大臣のお手元までもこれは届いておると思いますが、それに対するお答えをひとつ伺っておきたいと思うのであります。
  64. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいま御質問のありました諸対策に対しまして県から要望書が出ておりまして、まことにごもっともなことでございます。それぞれ関係省庁におきまして研究いたしまして、これを実現するように努力いたしたいと思います。
  65. 淡谷悠藏

    淡谷委員 最後に一点、強くこれも要望申し上げておきたいのは激甚指定の問題であります。これもさっきから池田委員のほうから強く要望のあったところですが、私もあの説には全面賛成であります。特に今度の集中豪雨では、青森市などは全く壊滅的にやられておりますので、ぜひともこの際、決意を新たにしてこの激甚地の指定はしていただきたい。この場所で考えております災害地の実態と、私もこの間帰ってまいりましたが、いま早い冬が迫ろうとしておる青森市の被害地に立って考える感じとは非常に違う。非常にもう不安を感じ、絶望的になっている面もございますので、この際、この激甚指定もすみやかに実行されまして、一日も早く救済措置をとっていただくように御要望申し上げたいのですが、重ねて大臣の御答弁を願いたいと思います。
  66. 床次徳二

    床次国務大臣 今回の災害に対しまして激甚指定の御要望がございまして、私は、地元の罹災者の皆さま方の御要望としてまことにごもっともなことだ、でき得る限り激甚地の災害指定ができますように努力いたしたいと思いますが、今日いろいろ損害額等の調査が参っておりまして、十分検討いたしまして実行いたしたいと思います。
  67. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうぞ被災地の、これは青森市に限りませんけれども、実際災害を受けた人たちの身になってお考えくださいまして、特に青森市の場合は査定官を派遣されておりましょうけれども、できるならば実態をお調べの上、早急に対策を立てていただきますように重ねて強く要望いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。      ————◇—————
  68. 川村継義

    川村委員長 この際申し上げます。  理事会の協議により、ただいまの問題についての質疑を保留し、関東地方等における異常低温による災害対策について調査を進めます。  まず、政府当局から被害状況等について説明聴取いたします。荒勝房参事官
  69. 荒勝巖

    荒勝説明員 御説明いたします。  ただいま私、水稲並びに陸稲につきましてのことしの作況予報を申し上げましたが、その中で、ことしの水陸稲につきまして、北海道及び関東平野におきまして冷害によります被害がただいま発生しておる次第でございます。冷害をもたらしました大きな理由といたしまして低温現象がありまして、五月下旬、六月上旬、七月上中旬及び八月上中旬の低温が大きな理由であると考えております。この結果、北海道、東北北部に活着不良等がありましたが、さらにその後も生育遅延の様相を呈しております。特に七月上中旬の低温によりまして、関東地方中心に、特に千葉、茨城、栃木等につきまして不稔現象が発生いたしまして、また北海道では八月中下旬にさらに低温現象で、最近冷害現象が強く出ておる次第でございます。このことにつきまして、直ちに農林省といたしましても、北海道にも担当課長を出しますとともに、関東平野につきましては、先週来から被害状況の掌握並びに保険課長も出向きまして、冷害による減収状況を調べておる次第でございます。  統計調査部報告等によりますと、冷害によります、日本全体の作況的な形で、減収量が約二十七万トン前後というふうに考えておる次第でございますが、特に千葉につきましては相当広範に出ておりまして、ただいま県からの報告によりますと、約十万三千ヘクタールのうち約半数の五万四百ヘクタールがこの冷害の現象を呈しており、また茨城県につきましても十一万二千ヘクタールのうち二万七千ヘクタールが冷害現象、栃木につきましても、十万一千ヘクタールのうち一万二千ヘクタールというふうに冷害状況になっている次第でございまして、こういったことは、早期栽培といわゆる六月から七月にかけての低温がこういった非常に大きな冷害現象を生んだ原因ではなかろうか、こういうふうに判断している次第でございます。
  70. 川村継義

    川村委員長 説明はこれにて終わりました。     —————————————
  71. 川村継義

    川村委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。水野清君。
  72. 水野清

    ○水野委員 ただいま農林省荒勝事官から関東地方の低温生理障害の報告がございましたけれども、私の知っております状況を申し上げますと、七月の上中旬、千葉、茨城、栃木などが中心関東各県で稲の低温障害、生理障害、こういうのだそうですが、これが起こりまして、ちょうど穂が出る時期でありますが、稲の受精をする生理障害だそうであります。特に千葉県におきましては、自主流通米ということでホウネンワセとかコシヒカリというようなわせの品種を奨励して、ことし農業者に品種の転換をはかってもらったわけであります。その品種が、ちょうど俗称青立ち障害といっておりますけれども、受けたわけであります。この災害は、実は稲の受精期に、開花、受精する時期に低温であったわけですけれども、はたしてその災害が起こっているかどうかということは、農業者や県の出先機関あるいは農林省の出先機関などではその当時はあまり気がつかなかった。ここにたまたま一つの稲の穂を持ってきておりますが、こういうふうに、稲というのは実るとたれるわけなんですが、たれない。ほうきみたいに立っているわけです。稲刈りの時期が近づいてきて、農村の人たちが自分のたんぼを見て、どうも実っていないようだということから、大体七月の末から八月の上旬に発見をされてきたわけです。まことに恐縮なんですが、たとえば九号台風とか七号台風被害のように、風が吹いて人家が倒れたというような災害ですと、世間の耳目を驚かすようなあれで関係者から同情をいただけるわけなんですけれども、まことに静かなる災害でありまして、今日まで顧みられなかったわけであります。  ただいまの荒勝事官報告にもございましたように、千葉県下の災害は、県の報告でございますと五万町歩余り、茨城が二万七千町歩、栃木が一万三千町歩ぐらいあるそうであります。千葉県の五万町歩の被害内訳は、これは県下各郡でございますが、特にひどいのが長生郡、山武郡、海上郡、匝瑳郡、香取郡、印旛郡の各郡の市町村にわたっております。そして大体千葉県の平年作というのは四十四万トン前後の米の収穫があるのでありますが、この一三%に当たります五万七千トンの減収であろう、県の報告ではそういうふうにいっております。しかし、稲刈りが進むにつれてもっとこの被害額がふえるかもしれない。五万七千トン、大体被害金額にして七十八億円に相当するそうでありますけれども、この災害に対して農林省中心にできる限りのいろんな対策を考えてもらいたい。私、これからできる限りいろんな災害対策を伺いますので、一つずつこれに対してどういう手が打てるか、実行できるかどうかというような具体的なお答えをいただきたいわけです。  まず第一に、天災融資法発動が今度の千葉県を中心とする低温生理障害の稲作被害に対してできるかどうかということを承りたいわけです。
  73. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま私御報告申し上げましたように、それから水野先生からの御指摘もありましたが、関東平野におきます千葉を中心としての水稲の冷害による被害相当大きいものというふうに私たちも判断し、また聞いておる次第でございます。さらにただいま私から申し上げましたように、統計調査部におきましても本件につきましてはただいま調査中でございまして、いずれ近日中に統計調査部として最終的な数字の確定をわれわれいただく予定にしているわけでございますが、その統計調査部の数字の確定を待ちまして、天災融資法発動につきましては善処してまいりたい、こういうように思っておる次第でございます。
  74. 水野清

    ○水野委員 天災融資法発動についてこまかく掃いたいのですが、天災融資法発動が行なわれますと、自作農維持資金という制度が一つあります。それからいわゆる天災資金というもの、天災資金の中にもいわゆる三分の資金と六分五厘の資金と、この二種類あるそうであります。県当局や地元では、この自作農維持資金の特別ワクを設定してほしい。千葉県では現在、毎年二千数百万の自作農維持資金が割り当てられてきておりますけれども、今度の災害に対してはそれに上乗せをして資金ワクを設定してほしいということをいっておりますけれども、この可能性についてはいかがでしょうか。
  75. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま申し上げましたように、天災融資法の一つの発動要件である被害額の確定をわれわれとしては待って直ちに善処したい、こう思っておりますが、すでに御承知のように、天災融資法は最低の発動要件が、いまの段階では三十億円以上被害があるということがまず全体の大ワクの設定でございます。さらに、この天災融資法発動になりました場合には当然それに相並行いたしまして、自作農維持資金もいわゆる災害ワクとして、従来のいわゆる自作農維持資金とは別ワクに、災害対策用の自作農資金を別に配付する、割り当てる、こういうふうになっているので、今後事務的には、かりに天災融資法発動された場合にはそういう形で手続を進めてまいりたい、こういうように思っております。
  76. 水野清

    ○水野委員 こまかいことですが、ついでにちょっと伺っておきたいのです。自作農維持資金を割り当ててくださるのは非常にありがたいのですが、これは過去の例でありますが、たとえば五十万円自創資金がAならAという農民に貸し出しができるようになった。ところがその農民がたまたま農協に十五万円ばかり貯金があったというと、十五万円差っ引いて、あなた三十五万円しか借りられませんよと、こういう引き方をするのであります。もちろん貯金があればその貯金で自立するという考え方は必要なんでありますけれども、零細な貯金があるからそれを引いてやるというのでは、私はなかなか農民が来年の再生産のために立ち上がれないと思います。これは別に今回の災害の問題だけでなくて、全国的な、常にいつも起こる問題でありますけれども、これについて少し考え方をゆるめていくべきじゃないかと思うのですが、農林省としてどう考えておられるか。
  77. 荒勝巖

    荒勝説明員 御存じのように、自作農維持資金は五分の資金でございまして、貸し付け金利が非常に低いということ、それと、天災資金と違いまして、政府といたしましては使途についてきびしい条件をあまり付してないというようなことで、非常にふだんから需要が多いということで、こういう天災がありました場合に天災資金として自作農維持資金を貸し付ける場合におきましても非常に需要が多過ぎまして、したがいまして、供給の範囲内にワクを持っていくためにわれわれ事務当局といたしましてはいろいろ苦慮するわけでございます。自然、多少でもゆとりのある方には多少がまんをしていただかなければ、みんなに公平に分けにくくなるというようなことで、需要量と供給の多少のアンバランスでそういうことになると思いますが、ことしも災害が非常に次々と続いております関係で、この需要が非常に現在要望が強くて、われわれ苦慮しているような次第でございます。
  78. 水野清

    ○水野委員 次に、天災融資法発動で、もう一つ可能性のある天災資金の問題でありますけれども、荒勝さんも御承知のように、これに六分五厘の金利のお金と三分のお金と二種類あるわけです。三分のほうは特別被害農業者という何か指定を受けなければ借りられないそうであります。実際に六分五厘のお金というのは、農林省でも御承知だと思いますが、借り手が非常に少ない、余っている。三分のお金と六分五厘のお金とあれば三分のほうを借りたいにきまっておりまして、人間の経済要求として三分のほうへ殺到する、こういうわけでありますけれども、千葉県その他今度の関東地方の稲作の冷害の場合、特別被害農家というものの設定ができて、三分のお金というものが貸し出しが可能かどうかということを承りたいわけです。
  79. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま御指摘になりました特別被害農家の実態でありますが、これは天災融資法の法第二条の第二項に規定しておるのでございます。一項というものはいわゆる普通の被害農家ということで、貸し付けられる一つの資格要件が、平年収穫量に対して減収量が三割以上ある農家がいわゆる天災融資法の貸し付け要件を備えているものでございますが、特別被害農業者という、いわゆる三分資金を借りられる農家は、さらにそのうちからしぼりまして、いわゆる平年の農業総収入額に対しまして五〇%以上の損失額のある方がこの特別被害農家の対象になるという、一つの法律的な資格要件が設定されているわけでございます。それに伴いまして、そういう農家の方が非常に多いという判断を農林省としていたしましたならば、特別被害地域というものを指定いたしまして——それは農林省指定するのではございませんで、そういう地域につきましては市町村または大字ごとに都道府県知事が指定することになっておりまして、その指定したものを農林大臣がさらに追認というようなかっこうで再指定するようなかっこうになっております。そういういわゆる要件といたしましては、その当該知事さんが指定されます区域内の農業被害者のうち、特別被害農業者資格要件のあるものが一割以上ないと困る、五割以上損失額のある方が一割以上いないと指定地域にならない、こういう一つの要件がしぼられておるわけでございますが、われわれといたしまして、御指摘のように六分五厘の資金につきましては非常に希望が少なくて、実際は三分資金の方が非常に多いということで、予算の範囲内でやりくりいたしまして、実際問題といたしまして、過去のこの二、三年来の実績からいたしますと、貸し付けワクのうち、貸し付けた結果から判断いたしますが、大体八割以上くらいが三分資金に回っておる、こういうふうに御理解願っていいのではなかろうか。こういうものは今後数字の統計の整理をしてみませんと、頭から先走ったようなものの言い方はできかねるのですが、大体平均いたしますと八割以上が三分資金になる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  80. 水野清

    ○水野委員 金融問題でもう一つ伺いたいのですが、被災地の農家がこれまで農業資金その他生活資金を農林中金、農林漁業金融公庫、国民金融公庫などからいろいろ借りているわけであります。この際、ひとつこの支払いを一年ないし二年延期することができないかどうか。もちろん、延期するわけでありますから、その延期する期間は利子補給もしていただくということで可能性があるかどうか、伺いたいと思います。
  81. 荒勝巖

    荒勝説明員 今回のいわゆる関東平野の冷害につきましてすでにただいま用意しておるのでありますが、冷害の関係で、天災融資によります既貸し付けのほか、政府関係金融機関等から貸し付けております債務につきまして、その回収につきまして、経済局長名をもちましてそれぞれの金融機関あてに、この天災に伴うものについては、ただいま御指摘のありましたように、融資につきまして条件緩和を極力進めるようにという通達を出しておりまして、農家の方の中には返済できる方もありましょうし、また非常に返済が困難な方もありますので、それらにつきましてはケース・バイ・ケースで、話し合いで融資条件等はきめてまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  82. 水野清

    ○水野委員 ちょっと伺いたいのですが、いまのところ経済局長名ですでに出したのですか。それが一つと、それから金利の問題、先ほど申しました支払い延期はいいですが、その間の金利はどうするかということです。
  83. 荒勝巖

    荒勝説明員 その通達の件につきましてはただいま事務手続中でございまして、おそらくこの二、三日中には通達は出されるのではなかろうか、こういうふうに思っております。  金利につきましては、金利の減免ということにつきましては、すでに制度的な融資でいろいろお貸し申し上げておるものですから、金利そのものの減免はむずかしいのでございますが、回収、いわゆる返済等についていろいろそれぞれの条件を緩和してまいりたい、こういうふうに思っております。
  84. 水野清

    ○水野委員 次に、お米が非常に余って、先ほどの作柄の報告によりますと、ことしも豊作だそうであります。今度の災害の場合、関東各県でも、いわゆる等外米といっておりますが、規格外米が発生するであろうということは考えられる。千葉県などは早場米地帯でありますから、すでに、稲刈りをして脱穀をしてみると非常に質の悪い米ができております。そこで、規格外米の買い付けを——これは食糧事情その他からいえばまことに言いにくいことなのですが、先ほどの淡谷委員青森災害でも要望があったようでありますけれども、ひとつ食糧庁長官通達で買ってもらえないか、どうだ、こういう話なのでありますが、いかがでしょうか。
  85. 中村健次郎

    ○中村説明員 等外、規格外米の買い入れにつきましては、四十三年産米でとりました例もございますし、四十四年産米につきまして、これからの各被害地における発生状況等も見ながら慎重に検討をしてまいりたい、このように考えております。
  86. 水野清

    ○水野委員 次に、共済金の問題なのです。非常にこまかいことを聞いて申しわけないけれども、こういうこまかい面で各方面から攻めていかなければこの災害の損失を取り戻せないものですから、まことに恐縮だけれども聞いてもらいたいと思うのです。  共済金は、大体被害が確定して実際農家に支払われるのは、いまの状態ですと三月末なのであります。たとえば全然収穫皆無だったというような農家では、この年の暮れにかなり経済状態が苦しくなる。そこで、これは被害の確定その他から、きょうにでも払えということば非常に無理だと思いますが、せめてこの年末までにはひとつ共済金の早期支払いをやってもらえないか、これについてお答えをいただけませんか。
  87. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま私答弁を申し上げましたように、この千葉、茨城、栃木の冷害による被害が非常にひどいというのは八月中旬ごろからはっきりしてまいりましたので、実はきのうきょうと、農林省でも保険金のことにつきまして保険業務課長がたぶん千葉に行っておると思います。本日ここへ出席いたしておりませんが、そういった保険金の実情関係で行っておりまして、帰りましたら直ちにその報告を聞きまして、現地でたぶん評価について指導を行なっておりますので、帰りましたら直ちに迅速に概算金の早期支払いが——精算はやはりいろいろの関係で多少時間を要すかもわかりませんが、被害の大きい農家についての概算払いについては、極力速急に支払いができますように内部で検討してまいりたい、こう思っております。
  88. 水野清

    ○水野委員 次に、これもまた非常にこまかいことなんですが、おそらく千葉、茨城では来年の再生産のための種もみが不足しております。この確保はどうしても農林省あたりで仲介をしていただいて、それぞれの産地にひとつ手配をしていただかなければならない。このことが一つです。これはまあやってもらえばできるわけであります。  それから、共同購入をするわけですが、種もみに対する補助金を出せるはずだ、こう思うのです。過去において北海道の冷害で出したことがあるということを聞いておりますが、今度の場合も種もみの購入費に対して補助金を出せるかどうかということについてお答えをいただきたいと思います。
  89. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  種もみの手配につきましては、ただいままで冷害関係の各県に私どものほうから伺いました範囲では、おおむね県内で調達できるという様子でございます。しかし品種によりましてはむずかしいものもあろうかと思いますが、それの必要を生じました場合には、私ども全国種子協会と協力をいたしまして手配をいたします。  それから種もみの補助でございますが、再生産用の種もみの補助について、慣例といたしましても、どの災害の場合もいままで補助いたしておりますので、あまり零細にわたらない金額以上になりました場合には、大体そのように努力をいたす予定でございます。
  90. 水野清

    ○水野委員 ありがとうございました。  それから、これは今回の青立ち——青立ちと言っておるのですが、稲作障害、生理障害とは直接関係がないのですが、千葉県下では非常にウンカその他の病害虫が発生しておるわけです。これに対して農薬の散布をいまやっておりますが、この補助をひとつやってもらえないかという要望が非常に強いわけでありますけれども、これについてはいかがでしょうか。
  91. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  農薬の補助につきましては、従来これは経営費の一部という考え方と、その他、災害、非災害の場合の区別が非常につきにくいために、かつてもいろいろなことをやりましてかえって農家の方に会計検査等で御迷惑をかけた例もございますし、いろいろな事情がありまして、ここ十年ぐらいは農薬の補助金というのは行なっておりませんで、今回につきましても努力はいたしてみますけれども、たいへんむずかしいかと思っております。
  92. 水野清

    ○水野委員 そういう御趣旨はわかるのですが、最近農薬の散布というのはヘリコプターでやったりして、非常に広範囲でやっているわけです。たとえば、ウンカの発生などにおいて、これは考え方として今後の問題としても考えておいてもらいたいのですが、ウンカの発生というのは、発見してから一週間以内くらいに防除してしまえば小範囲でおさめることができるわけです。ところが、四、五年前にも関東地方にウンカの大災害がありましたけれども、このときもそうなんですが、農薬がない。補助をどうするかなんということはあとでけっこうですけれども、何しろヘリコプターがないというような問題で手おくれになってしまう。失礼だが、お役所仕事で手おくれになってしまう場合が非常に多いわけであります。相手は生きものですからどんどん広がっていくわけです。私は、肥料代とか農薬代は出さないという考え方は、大蔵省、農林省で考えておられる考え方というのはすでに伺っておりますけれども、農薬についてはもう少し考え方を改めていく必要があるんじゃないか。要するにあと払いで、国で幾ばくでも補助をしてやるから、早急に対策をやる。自衛隊のヘリコプターを借りてきて農薬をまいたって私はいいと思うのです。そういう考え方を農林省にひとつ確立してもらいたい。各農政局にしっかりしたそういう指道方針を出してほしいと思うのであります。いかがでしょうか。
  93. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 御指摘のありましたヘリコプター防除でございますが、これにつきましては、緊急の防除をヘリコプターでやりました場合に、農薬代は補助しませんでしたけれども、ヘリコプターのチャーター料を緊急防除費の中から支出したという例が一例ございます。したがいまして、そういう例に当たりますかどうか、また検討させていただきたいと思います。また飛行機が間に合わないというお話は、これは私どもいろいろ努力をいたしまして、予算の拡張を毎年、防除協会にも飛行機の台数をふやすような努力をいたしておりますけれども、なかなか込み合ってしまう時期になりますし、災害などが起こりますと一時にあちらこちらで用が出ますためになかなか御期待に沿えない面がございますが、今後とも先生の御趣旨のような点につきまして私ども検討させていただきまして、努力をしてまいりたいと思います。
  94. 水野清

    ○水野委員 農林省に対してはそのくらいにしまして、自治省と国税庁の方がいらっしゃると思いますが、先に自治省に伺いたいのですが、今回の稲作障害で、各町村ともいろんな事務費その他、実際に町村は農薬なんかの散布をいたして、お金を出したりして、非常に金を使っているわけですが、特別交付金のこの災害についての特別ワクというのですか、別ワクを千葉県——私は千葉県の出身ですから千葉県と言いますが、各県並びに各市町村に出すことができると思うのですが、いかがですか。
  95. 成田二郎

    ○成田説明員 お答え申し上げます。特別交付税で出せます。
  96. 水野清

    ○水野委員 出せるのならそれでけっこうです。ひとつよろしくお願いいたします。  それから、この稲作障害で個々の農家がかなり収入が減っております。それぞれの被害程度があると思いますが、国税の減免をしてほしい、これについて、国税庁ではどういうふうに考えておるか、伺いたいと思います。
  97. 元木精一郎

    ○元木説明員 お答えいたします。  御承知のように、税は翌年の三月十五日までの確定申告で、前年分の所得を申告によってすっかり精算していただく、こういうたてまえになっておるわけでございまして、このたびの異常冷害につきましても、減収あるいは特別な費用を要したというようなことについては、税務署におきましてつまびらかに調査をいたしまして、三月十五日に出していただく確定申告にそれが反映するように措置をしていく、こういうことになるわけでございます。さしあたっての措置といたしましては、これも御承知のように、七月に第一期、それから十一月に第二期、こういうことでございまして、九月以降の所得が半分以上の方は十一月に初めてということになりますが、いわゆる予定納税におきまして減額の申請をしていただく。昨年に比べまして特に収量が少ないというようなことが考えられます場合におきましては、その減額の申請をやっていただくということで処理してまいる、こういうことになろうかと思います。
  98. 水野清

    ○水野委員 長時間、ありがとうございました。先ほどの農林省報告や私の申し上げましたように、関東各県、千葉県を主として、低温の稲の生理障害というものは予想外の数字でございます。総理府の参事官がおられるけれども、ひとつ早く天災融資法発動閣議で決定をしていただいて、先ほど来お願いをした、考えられるいろいろな対策があると思いますけれども、それぞれ早く実行してもらいたいとお願い申し上げて、私の質問を終わります。
  99. 川村継義

    川村委員長 午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時七分休憩      ————◇—————    午後二時八分開議
  100. 川村継義

    川村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、理事の協議に基づき、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  午前中決定を見ました参考人二名のほかに、関西電力株式会社取締役吉田登君を参考人として次回の委員会出席を求めたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 川村継義

    川村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  102. 川村継義

    川村委員長 それでは、関東地方における異常低温による災害対策について質疑を続行いたします。葉梨信行君。
  103. 葉梨信行

    葉梨委員 午前中の審議でもって、水野委員からこの冷害による被害について御質問があったようでございますが、関連質問とも申しますか、関連しまして、茨城県の利根川沿岸の早場米地帯の冷害の状況がどんなものであったか、お役所からその概況をお伺いいたしたいと思います。
  104. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  統計調査部の正式の集計がまだできておりませんので、午前中も県の報告でお答えを申し上げましたわけでございますが、茨城県の報告によりますと、十一万二千ヘクタールの水稲のうち二万七千二百二十四ヘクタールというものが今回の冷害を受けまして、約四十億余りの被害を受けた、そういう報告に接しております。
  105. 葉梨信行

    葉梨委員 私がたまたま利根川沿岸の早場米地帯、茨城県稲敷郡、北相馬郡を歩いてみますと、平年ならば反当八俵、九俵とれるところで三俵ぐらい、あるいはひどいところは二俵ぐらいというような話も聞いたわけでございまして、この冷害の被害というのは予想以上に甚大であると思うのでございます。この被害に対しまして、——これは収穫をして俵に詰めてみませんと正確にどの地区でどれだけの減収というようなことがわからないと思いますが、かりにその減収の数が確定したときに、それに対しまして天災融資法発動していただけるのかどうか、その点を承りたいと思います。
  106. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま御説明いたしましたように、ただいまの段階ではまだ、県からの報告をいただき、かつ統計調査部等を通じまして現在調査中でございます。調査の結果を待ちまして天災融資法発動するかいなかを政府としては判断いたしたいと思いますが、おおむね現在の天災融資法発動要件は、被害額の見込み総額が大体三十億円というのが限度になっておりまして、この冷害関係被害総額が出てきましたところでそういった数字と比べ合わせて決定いたしたい、こういうふうに思っております。
  107. 葉梨信行

    葉梨委員 具体的に天災融資法農家救済を受けるのはどんな面で救済を受けられるのか、その点につきまして御説明を願いたい。
  108. 荒勝巖

    荒勝説明員 天災融資法に基づきまして、被害がひどい農家、いわゆる三割以上の被害農家につきまして、一般的にはその個々の農家資金需要額といいますか、営農に必要な資金需要を集計いたしまして貸し付け額を決定するのでありますが、おおむね一般的には六分五厘の金利で貸し付けをする、特にさらに五割以上の減収というか被害額があります場合には、いわゆる特別被害農家といたしまして三分資金の貸し付けを行なう、こういうことになっておる次第でございます。
  109. 葉梨信行

    葉梨委員 それから、貸し付け金に対しましてそういう制度があるとしまして、農家で農業共済に入っております農業共済の面からどの程度の補てん金と申しますか、共済のお金が出ることになるか、その点も承りたいと思います。
  110. 荒勝巖

    荒勝説明員 農業共済のほうにつきましては、県並びに村の段階に設置してありますそれぞれの共済組合あるいは共済組合連合会でそれぞれ査定をいたしまして被害額を認定して、被害の度合いに応じて、いわゆる共済金あるいは保険金の支払いが政府からも行なわれることになるわけでありますが、先ほど、午前中も御説明いたしましたが、今回の被害が利根川地区周辺で相当大きいようでありますので、政府といたしましては極力、被害の大きい農家につきましては精算を待たずに概算払いで早急に支払うよう指導してまいりたい、こういうように思っております。
  111. 葉梨信行

    葉梨委員 早急に支払っていただくのはたいへんけっこうであり、必要なことだと思いますが、農業共済に対します評判を聞いてみますと非常に不評でございまして、たとえば今度の場合、八俵とれるところで三俵しかとれなかった、五俵減収になったというときに、一体どの程度の救済金が出るか、承りたいと思います。
  112. 荒勝巖

    荒勝説明員 個々の農家被害の割合に応じましてケース・バイ・ケースで、また個々の農家がどの程度の標準的ないわゆる保険金をふだんから掛けておられるのかによっても、支払いのしかたはおのずから多少違ってくるのではなかろうか。だからふだん、平年のときに反収が高いにもかかわらず比較的低い数字で掛け金率等をきめておられますと、いざ災害のときに比較的あまりよくない保険金が返ってくるというようなかっこうになるのではなかろうかと思います。
  113. 葉梨信行

    葉梨委員 農業共済というのは、個々の農家のそういう災害のときの減収を補てんするという作用があると同時に、全国の農家につきまして、ある地方災害を受けたときには、その共済金として積み立てた額をそちらへ持っていって救済する、一種の講みたいなものだろうと思うのでございます。そういう意味で、地方によって掛け金が違うとしましても、全国的な評判を聞いてみますと、どうも救済の役目をするのには何か非常にもの足りないという評判を聞くわけでございます。そこで、かりに八俵収穫があった。平年作八俵の場合に三俵しかとれなかった場合どうかということをお伺いしたわけでございまして、単に茨城県のある地方がどうか、幾らかということよりは、一般論として全国平均で幾ら共済金が支払われているか、それを承りたいのでございます。
  114. 荒勝巖

    荒勝説明員 一応計算上でありますが、ふだんからかりに基準反収を八俵で計算してあるといたしまして、かりに三俵しか今回収穫物がなかったという場合の計算方法でいきますと、八俵に七割掛けまして五・六俵の歩どまりを出しまして、五・六俵と三俵との差、いわゆる二・六俵分を保険のいわゆる保険金の支払い額で支払われる、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  115. 葉梨信行

    葉梨委員 そうしますと、七割掛けるという、この〇・七というのはどういう基礎で七割ときまっているわけでしょうか。
  116. 荒勝巖

    荒勝説明員 こまかい計算は別といたしまして、七割というのは一応いわゆる保険の経費に当たるもの、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  117. 葉梨信行

    葉梨委員 七割が経費ですか。経費の率を掛けて……。それはちょっとおかしいのじゃないですか。もう一回説明してください。
  118. 河村文雄

    ○河村説明員 それではお答えいたします。  いまの〇・七というのは、三割部分は農家自体が自家保険する部分というふうに考えて〇・七にしております。その分については引き受けも支払いもしない、農家みずからがその分は守る。したがいましてその分の掛け金も何もとっていないというかっこうになっております。  お答えしました。
  119. 葉梨信行

    葉梨委員 そうしますと、いまの計算でまいりますと、五・六俵マイナス三俵で二・六俵分について共済金が出る。その二・六俵の一俵当たりはいまの生産者米価で計算するわけでございますか。——そうだとすれば、八千円掛けましても大体二万円出る、そう了解してよろしゅうございますか。
  120. 河村文雄

    ○河村説明員 お答えいたします。  いま先生のおっしゃったとおりでございますが、価格については生産者価格の九割というかっこうでやっておりますから、量が七割で価格が九割ですから、皆無になれば粗収入の六三%てん補する。ただし金額につきましては組合等で選択をするというかっこうになっておりますから、ただいまの話は最高限度選択した場合でございます。
  121. 葉梨信行

    葉梨委員 これ以上きょうはお伺いいたしません。詳しく私も検討してまいりませんでしたのでお伺いしませんけれども、どうも農業共済に対しましては、何かみんなの積極的にかけるという気持ちがないようで、どうも毎年取られ損じゃないか。保険でございますから取られ損ということはないのであって、その保険によってどこかの災害を受けた農家が助かるというメリットがあるということを私は常々地方を回って説明しておりまして、みんなも了解してくれるわけでございますが、それにしましても、その災害救済される対象に自分がなった場合に、どうもぴんとこないというか、足りないんじゃないか、もっとめんどう見てくれたらいいんじゃないか、こういう要望が強いのは事実でございます。そこで、そういう給付金につきまして、現状のままでおいでになる方針か、それとも将来もう少し何か改善をしていこうというお考えがあるか、その点について承りたいと思います。
  122. 荒勝巖

    荒勝説明員 保険につきましては、ただいま御指摘の点もありますほか、政府といたしましてもこの保険業務関係には相当多額の負担もしくは助成をしてきております。しかしなお非常に評判が悪いという点につきましても、いろいろその保険関係の研究会を現在持っておりまして、掛け金等の点につきまして現在研究会でいろいろ検討いたしておりまして、直ちに改正するかどうかわかりませんが、結論を待って今後何らかの改善を実施したい、こういうように思っております。
  123. 葉梨信行

    葉梨委員 そこで、保険の掛け金について改善をされる。掛け金だけでなくて、もう少し具体的にどういう点とどういう点についてどうもやり方が悪いようだから、この点とこの点をもう少し改善するとか、あるいは仕組みをこういうふうに変えるとかという、もう少し具体的なお話を承りたい。
  124. 荒勝巖

    荒勝説明員 研究会の検討の結果を待たないと、ここでどの方向ということもはっきり明言はできないのでございますが、掛け金のみならず、てん補率等につきましても改善を加えてまいりたい、こういうように考えております。
  125. 葉梨信行

    葉梨委員 農業者にとっては必要な制度であり、実際に救済される点も大きいと思うのでございます。それについてやり方の不備な点はぜひ研究会で早急に結論を出していただきたいし、また一面においてはやはり助け合いでこの保険というものをやるのだというPRといいますか、その農業共済の意味をよく農業者に徹底させるように今後努力をお願いしたいと思うのでございます。  それから最後に、今度こういうことで減収になりました農家に対しまして、所得税の免税の問題についてはどういう方針で対処されるか、承りたいと思います。
  126. 川村継義

    川村委員長 速記をとめてください。   〔速記中止
  127. 川村継義

    川村委員長 速記を始めてください。
  128. 葉梨信行

    葉梨委員 それではこれで質問を終わります。
  129. 川村継義

    川村委員長 神田大作君。
  130. 神田大作

    ○神田(大)委員 同僚から関東地方の冷害についていろいろと質疑がありましたが、この関東地方の冷害は、かつて明治四十二年にこのような大冷害がありましたが、しばらくこのような異常天候というものは関東地方にはなかった。今度非常な冷害が千葉、茨城、栃木を見舞ったのでありますが、これらに対して気象庁としてはどのような予防措置をとられたか、まずこれをお尋ね申し上げます。
  131. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 お答え申し上げます。  一般的な天候の経過といたしましては、最近は非常に高緯度の方面に冷たい空気があらわれまして、寒冷化の傾向を北半球にとっていまして、このために、本年すでに春ごろからある極端な天候があらわれて、いまは過渡期的な傾向をとるということは、われわれとしてはいろいろの機会に発表してまいりました。また、一カ月の天気の予報と三カ月の天気の予報を毎月出しておりますけれども、本年七月に対しましては、やはり梅雨前線は非常に顕著で雨が降りやすい、あるいは北日本では特に不順な天候になるだろうというような予報をしております。また、実際のデータで見ますと、七月の五日から九日の五日間の気温といたしましては、関東方面は平年よりも四、五度低かった、これは極端にそのときが一番低かったのでありますが、こういう結果が出ております。
  132. 神田大作

    ○神田(大)委員 いまの答弁は、これはそういう気象状況報告ですね。私の聞いているのは、予防気象として、このような災害をあらかじめ予見して、それらに対する対策を立てることが大事なことなんですよ。そのような気象庁としての長期見通し、長期観測等に立ったこのような関東地方における冷害というものに対してどのような措置をとったか、こういうことを聞いておるのです。その点はいかがですか。
  133. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 お答え申し上げます。  長期予報の結果などにつきましては、一般の報道関係のほか農林省農政局などを通じて発表してまいっております。
  134. 神田大作

    ○神田(大)委員 それでは農林省にお尋ねしますが、農林省は、このような気象庁の連絡に対しまして、この冷害に対する予防的措置あるいはその後の対策等についてはどのような指導をしたか、お尋ねをします。
  135. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  気象庁から毎年三月に出ます夏季の長期予報と、それから毎月向こう三カ月予報、それから一カ月予報が出るわけでございますが、その内容におきまして、本年におきましては、先ほど気象庁の御説明のございましたとおり、天候の非常に変わりやすい気象状況であって、特に東北日本においては冷害のおそれがあるという予報が出ておりました。私どももそれに対応いたしまして、四月四日に農林省から全般的な春夏作に対します技術指導、冷害に対する配慮を十分するようにという、こういう大きな通達でございますが、そういうものを出しましたわけでございます。それから引き続きまして、それぞれの時期におきます気象の予報に応じまして、五月二十日の予報に対しまして五月三十日に、それから引き続きまして六月の末の予報に対しまして七月の四日に、それから八月の予報に対して八月二十七日に、それぞれ地方農政局を通じまして各県に対しまして、気象災害に対します予備的措置及び事後措置について十分な配慮を指導するようにという通達を出しました次第でございます。
  136. 神田大作

    ○神田(大)委員 いま御説明になりました予防対策に対する通知書等をひとつ参考までに提出願いたいと思います。  それで、そのような気象庁の予防通知と農林省の行なった予防対策が効果的に行なわれたかどうか、その点をお尋ね申し上げます。
  137. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  本年の冷害の出方の型でございますが、これがいわゆる遅延型ではございません。普通申します遅延冷害と違いまして、ある時期だけ極端な十七度以下の低温が持続するという障害型の低温でございました。私どもあらかじめいろいろな準備をして、肥料を押えろとか、病害虫の防除をよくやれとか言っておりましたけれども、そういうようなものの効果の及びがたいような災害の型でありましたために、やはり関東一円の場合でございますと、主として被害のありました品種はホウネンワセでありましたけれども、ホウネンワセのたまたま減数分裂期に七月の低温がひっかかりましたために、私どもが申しておりましたような準備の及ばなかった点があったというように理解しております。
  138. 神田大作

    ○神田(大)委員 それは予防措置をとったけれども及ばなかったということでありますが、これでは長期予報を出しても、これら予報に対しまして適切な指導とこれに対する警戒を行なわなければ、ただこれは絵にかいたもちであって、膨大な費用を使って気象予報等を行なってもこれは何にもならぬ、効果が出ない、こういうことになりますので、気象予報とそれに対する農林省の技術指導というものに対して、もっと緊密な連携と実効ある措置を私は望むものであります。このような冷害ができたというのは、そのような点において農林省等において手抜かりがあったのではないかと思うのですが、それはいかがです。
  139. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  技術的な面でこういう障害型の低温に対抗いたします方法というのは、実は冷害に対します一番大きな方法でございます品種の問題がございますのですが、この品種の問題につきましては、障害型の冷害に対しては防ぎようがないわけでございます。といいますのは、いかなる品種をやりましても、その品種の穂ばらみ期でありますとかあるいは減数分裂期に低温が遭遇いたしました場合には、これは防ぎようがないわけでございます。たとえば本年も、千葉県なんかの例で見ますと、同じホウネンワセでありましても、五日早く植えた人及び五日おそく植えた人は被害を免れている例があるわけであります。たまたま大きな、千葉県の中心になっている——栃木県の場合も同じでございますが、中心になっている、八月の十日前後に出穂するようなぐあいに五月の十日前後に田植えをしたというところが当たってしまったわけでございます。これは、品種を取りかえましたり、あるいは作付時期をかえました場合におきましても、気象の状況というものが、その低温がいつ幾日出るかということがあらかじめはわかりませんし、それからまたもう植わってしまっている場合には、何月何日に低温が出ると言われましても防ぎようがないわけであります。品種の面からの防ぎ方というのは非常にむずかしいわけでございます。たとえば北海道の品種のように、十二、三度になりましてもだいじょうぶな品積もございますけれども、そういうものは内地に持ってまいりますと非常にごくわせになって品質の非常に悪いものになる。また収量も非常に少なくなる。そこで品種的な防ぎ方ができない。  そこで対策といたしまして考えられますことは、よく冷害地一般にやりますのは、深水かんがいなんかを緊急にやるというのが広い面積についてもあり得るわけでございます。ただし、先生先ほど御指摘になりましたように、明治四十何年から初めてだということになってまいりますと、平生からそれだけの水路のかさ上げをいたしましたり、そういった準備をいたしまして引き合うかどうかという問題がございますので、そこまでの準備はなかなか普通の場合は行なえないというような点がございまして、障害型の冷害に関しましてはなかなか防ぎ得ないことかと思います。  それですから、普通一般に気象の頻度からいきまして、そういった低温が起こり得る時期を回避して田植えをするような方法をとらざるを得ない。その点におきましては、改善の方法として今後考えられますのは、最近早場米地帯——千葉なんかそうでございますが、そうでなくて、早場米地帯以外におきましても、だんだんだんだん早植えをして早取りをして、しかもそれが多収でございます。その結果、出かせぎ等に出てしまう。そのために急ぐということで、先生も御承知のとおり、かつての戦前に比べますと、関東以北、大体一カ月ぐらい田植えが早まっております。そういう無理なことは、今後こういった米の生産需給事情になってまいりますと、大いに改善をさせるように指導いたしてまいりたいと思っております。それが最も有効な方法ではないかというふうに考えております。
  140. 神田大作

    ○神田(大)委員 私が申したいのも、いまお答えになったように田植えが非常に早まってきた。そして出かせぎなり何なり行くために早く田植えをしてしまう。ことしこのような冷害ぎみな気候の予報が出ているときには、ホウネンワセであっても時期を五日ずらせばそれが災害にあわなかったということで、今度冷害にあったところはいずれも早期の田植えをしたところの田が全部それに出っくわしたわけですから、私はそのような予報があった場合において、田植え時期をおくらせるようなそういう措置ができなかったかどうかということを質問したわけです。結局そういうことが行なわれれば、この災害にあわてなくても済んだわけです。わずか五日か六日の期間です。われわれはことしはそういう非常な異常気象であるということは初めからもうわかっていたことでありますから、私はそういう気象予報が出た場合における災害予防に対する農林省の指導というものをいま少しやはり徹底させるべきではないか、こういうふうに考えるのでありますが、その点はいかがでございますか。
  141. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 先生のおっしゃいましたとおりの状態が出たわけでございますけれども、ただ私ども、事前の予報によりまして何月何日に十七度以下の低温が出るかということは、田植えの時期においてはおそらく正確に判断することはできなかろうと思います。気象庁におかれてもむずかしかろうと思います。そこで私ども、先ほど申し落としましたのでございますが、もう一つの方法といたしまして、昔は早中晩の組み合わせをして被害の分散につとめたわけでございますが、そういった点については、最近早植えに伴ってわせの流行と申しますか、わせがどんどんふえております状況に対しまして、今後、先生の御指摘もありますし、そういう点について従来よりも一そう心がけまして指導いたしてまいりたい、そのように思っております。
  142. 神田大作

    ○神田(大)委員 この際気象庁にちょっとお尋ねしたいのですが、先ほど委員からも質問がありましたとおり、気象庁の施設の整備あるいはまた気象予報の機能等が、これは大いに予算と関係あると思うのですが、今日、科学の非常に進んでいる現在、とかく整備がされない。この点についてわれわれは毎々の委員会で、気象庁の施設の充実に対しまして政府当局の熱意がない、もっと予算をとって、そして完全な予報のできるような措置をとるべきである。これは十勝沖の地震のときもそうでありましたし、今度の第九号台風のときもあのように、今度は日本海に抜けるだろうとか、太平洋に抜けるだろうとかというようなことをたびたび予報しながら、結局は日本の本土をずっと通って北海道まで行ったというようなこの予報のあやまち、こういうことをこの際大きく反省して——大臣いないな。なぜ大臣来ないのです。こういう大事なときには大臣をちゃんと来させるようにすべきだと思うのです。委員長、大臣を呼ぶようにしてください。大事なことだ。ことしにおける日本最大の災害であるというようなことを審議するときに、責任ある大臣が来ないということはけしからぬ話です。  大臣がいないから大臣がいるときまた御質疑しますが、気象庁はこのような同じことを繰り返さずに、今度は気象庁の予算を十分とって、このような大災害を未然に防ぐ努力を私はしていただきたいということを強く申し上げるのでございますが、この点について気象庁の責任者の答弁を願います。
  143. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 お答え申し上げます。  気象庁の予算またその予報の精度のことに関しましては、極力われわれとしては最大の努力をいたしまして予算を請求しております。また新しい機械といたしましては、たとえばレーダーの整備であるとかあるいは電子計算機を使うとか、極力努力をしている状態でございます。また今後、われわれの予報といたしましては、大きな台風が来ることをことしは予想しておりますので、われわれとしては全力をあげて予報に努力したいと思っております。
  144. 神田大作

    ○神田(大)委員 このことは大臣が来てから適当な機会に質問したいと思います。  それで、先ほどから天災融資法発動の問題とか激甚法指定の問題等がありまして、まだ三十億になるかならぬかわからぬからこれがきまってから検討したいという話でありますが、栃木県だけにおいても、県の調査によりますというと十七億、千葉県、茨城県はこれの約倍くらいの被害があるといわれておりますからして、冷害における被害が三十億を突破することは明らかであろうと私は考える。そういうときに、やはり冷害を受けて実らない稲穂を見詰めておる農民の気持ちを考えて、この天災融資法発動とかあるいは激甚法指定等についてはすみやかにこれを決定すべきである、こういうように考えますが、この点についてどう考えますか、お尋ねします。
  145. 荒勝巖

    荒勝説明員 お答えします。  今回の冷害が非常に特異な形で出てまいったものでございますから、農林省といたしましても、現在関係被害県に関係係官を出しまして被害の実態を掌握いたしますとともに、統計調査部を通じまして早急に被害の数量の確定を、ただいま御指摘のようにはかりたいと思っております。それとともに、直ちに資金需要等を勘案の上、天災融資法発動とかそういったことを善処してまいりたい、こういうふうに思っております。
  146. 神田大作

    ○神田(大)委員 次に、国税庁来ておりますか。——国税庁にお尋ねしますが、これは前にも話があったろうと思いますが、国税庁としては今度の冷害に対する所得税についてはどのようにお考えになっておるか、お尋ねします。
  147. 元木精一郎

    ○元木説明員 午前中にもお答えしたところでございますけれども、御承知のように今年の所得税につきましては確定申告によって精算をしていただくということでございまして、冷害を受けられた地方における作物の収穫量あるいはそれに伴いますところの特別の費用といったようなものにつきましては、現在並びに今後も税務署単位に入念に手抜かりのないように調査をいたしまして、それに基づきまして昨年に比べてどの地域がどのように減ったかというようなことにつきましての調査を十分に行き届かせて、それに基づきまして確定申告に伴う納税者の農民の方々との御相談、納税相談というようなことで反映してくる、こういうことになろうと思います。またさしあたりの措置といたしましては、昨年に比べて収穫量が減ると見込まれる方につきましては、十一月に二期分の予定納税というのがございますし、また九月以降の所得が半分以上のいわゆる特別農業所得者の方につきましては、十一月に予定納税が初めてくるわけでございますが、その際に減額申請という措置によりまして税額を減らしていただく、こういうことになろうと思っております。
  148. 神田大作

    ○神田(大)委員 国税庁としてはそのような方針でやるということでありますが、往々にして最近農業所得に対しましてきつい査定が行なわれておるということをわれわれは耳にしておる。これは、四十三年度の所得税を見ますと、その前年に比べますと相当農業所得税が上がっておる。これは標準額というものを県単位あたりできめるのであります。いままでの標準額をきめる場合は、各郡市単位くらいで農業者の代表並びに市町村あるいは税務署の方々が集まって標準額をきめていったのが、今度は県一本で税務署の調査の結果を押しつけるような形でもって農業所得額がきめられておるようであります。そうなりますと、確定申告に基づいてやると言っておりながら、一等、二等、三等地というように分けて、この土地は幾ら、この土地は幾らというように税務署でもって確定する、税額をあらかじめきめてかかっておるようでありますが、これはわれわれから言いますと、少し民主的じゃないのではなかろうか、もっと納税者の意思を反映させた形でやるべきではなかろうか、こういうように考えるわけです。  たとえば去年の場合はこういう例がありました。いま小麦その他の裏作はほとんでつくらない。つくっても引き合わないから農家がつくらない。そうするとくろ地になっておる裏作を収入にあげて、その分をおまえのところはこれだけじゃないかというようなことを言ってくる。いやあすこはつくっていないというと、それじゃおまえらは何をしていたんだ、出かせぎをしていたのか、出かせぎをしていたとすれば出かせぎの賃金は幾らだというようなことを言って、非常に、これは言い過ぎかもしれませんけれども、昔の悪代官のようなやり口をやらないとも限らないとわれわれは見ておる。だから災害にあったからということで、災害に対する申告を公平に認めさせて、民主的な税の徴収方法を私は各税務署に——あなたの言うことは、ここでは言うけれども各税務署、税務署ではそんなあなたの言うようにやらぬじゃないですか。この点、こういう災害に泣く農民に対しましては寛大なる措置をやはりとってやるべきだと思いますので、ひとつ徹底させるべきであろうと思う。税金等の問題については私はまた別の機会にお尋ね申し上げますが、この災害等に対する所得税の徴収の態度等につきましては、災害農民の立場を十分理解してやっていただきたいということを強く要望するものですが、この点についてあなたの見解を聞きたいと思います。
  149. 元木精一郎

    ○元木説明員 非常にごもっともな仰せであろうと思います。初めにおっしゃられました調査に関連してのことでございますが、農林省当局の統計資料等広く参考にさせていただく。一方的にならないような調査、また農民の方々の代表の方々とも接触を密にいたしまして、十分にその年の収穫量の実情ができるだけ客観的に反映できますように、調査にあたって十分に気を配ってまいる。第一線に対する指導、指示ということにつきましても、先ほど仰せのような見地から十分に気を配ってまいりたい、こういうふうに考えております。  裏作の小麦のことのお話がございましたけれども、もともと御承知のように、現在の所得税は確定申告、自主申告ということで、農民の方々が各自で申告を出していただければこれにこしたことはないのでございますけれども、現状まだそこまでまいるわけにはまいらないということで、いわゆる標準に基づく課税が行なわれておることは御高承のとおりでございます。そういうことになりますと、個々的に申しますれば課税にあたって行き届かない面というのは出てまいらないと断言するわけにはまいらないかと思いますが、そういう場合におきましては、それぞれ個々の方々が十分に実情を具して、またできるだけその証拠になるような客観的な資料をとりそろえていただいて税務署のほうに申し出ていただきたい。そういうことになりますれば、その個々的に作柄の違うのに応じました課税ができる。私どものほうとしてもそのようにスムーズに農業に関する課税が行なわれますことを期待いたすわけでございますので、その辺のこともぜひお願いしたい、こういうふうに考えております。
  150. 神田大作

    ○神田(大)委員 次に自治省にお尋ねしたいのですが、災害地の町村並びに県等におきましては税金の減収その他この災害対策等によって地方自治体の資金源が減殺されると思うのでございますが、これらに対しての特別交付金についてどのように考えておられるか、お尋ね申し上げます。
  151. 成田二郎

    ○成田説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、従来もそういう場合におきましては、県並びに市町村に対しまして農林省当局等被害状況等の実態を見まして、それでできるだけの特別交付税によりますところの財政の援助措置は行なってまいりました。今後も、今回の場合につきましても十分考えてまいりたいと思っております。
  152. 神田大作

    ○神田(大)委員 最後に、私は委員長の了解を得まして一、二問、第九号台風に伴うて起こりましたたつまき被害についてお尋ねしたいと思いますが、この茨城、栃木を襲いましたたつまき被害はどのような状況であったか、お尋ね申し上げます。
  153. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  ただいまの茨城、千葉方面にわたりましたたつまき被害でありますが、これは発生しましたのは先生の御指摘のとおり二十三日でございまして、死者が一名、重軽傷が六十八名、家屋半壊三百十棟程度に広がっております。
  154. 神田大作

    ○神田(大)委員 今度の九号台風に伴って起こったたつまきは、わが国においてのたつまき被害としては大きな被害であったと思うのです。たつまき被害にあった方の被害状況を私は現地に行ってこの目で見てきたのでございますが、局地的にまことに惨たんたるものであります。あらゆるものが巻き上げられた。幸い夜でなかったために予想以上に私は被害は少なかったと思うのです。そういう局地的な災害に対する対策に対しまして、局地激甚、ほんとうの局部激甚といいますか、こういうものに対しましての対策を国はどのように考えておられるか、お尋ねをしたいと思います。
  155. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御質問の点でございますが、これは局部激甚とくしくもぴたりとしたことばをおっしゃられましたけれども、これは私のほうで扱っております局地激甚ではちょっと処理しかねるだろう。と申しますと、おそらくこの場合は個人災害の問題に移るのではないかと思われますが、個人災害の問題につきましては午前中に総務長官からもお答えしましたとおりに、ただいま鋭意検討の段階でございます。この個人災害につきましては非常にむずかしい問題を含んでおりまして、総務長官をはじめ政府一同苦慮しておるところでございますが、何らかの方法が見出せないかと検討しておるところでございますので、その点を御了解願いたいと存じます。
  156. 神田大作

    ○神田(大)委員 われわれも、局部災害と申しますか、小さいところに徹底的な災害を受けた場合の——これはひょう害等も同じでございますけれども、たつまきの場合は、農作物と同時に家屋、人畜にも被害を与えておる。こういうたつまきという天災による災害、そういうものに対しましては、やはり何らかの措置を講じなければ、その災害にあった人を更生させるわけにいかないと思います。この点はひとつ、今度の災害現地を国当局も見て実際にその惨状をおわかりであると思いますから、この点を十分考慮されんことを特に要望いたしまして、私の時間も来ましたので私の今回の質問を終わります。      ————◇—————
  157. 川村継義

    川村委員長 引き続き、午前中質疑を一時保留いたしておりました昭和四十四年七月下旬及び八月の集中豪雨並び台風第七号及び第九号による災害対策について質疑を行ないます。稻村隆一君。
  158. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 あるいは重複するかもしれませんけれども、各項目にわたりまして簡単に政府の御意向を確かめておきたいと思っております。  まず自治省関係ですが、これはお尋ねしなくともいいのですが、災害復旧事業費については、財源はほかにないのですから、全般として特別交付税に対して十分な考慮をしていただくようにお願いしたいのですが、その点ひとつ……。
  159. 成田二郎

    ○成田説明員 お答え申し上げます。  実は、先般の新潟富山災害に対しまして政府調査団が編成されまして、直ちに参りました。私も現地に参りまして新潟富山災害の現状もつぶさに拝見してまいりました。たいへんな災害の状態でございます。こういうものを実感として感じてまいりましたので、直ちに上司のほうにも報告いたしまして、できるだけの地方財政に対する援助は、起債、交付税、特別交付税、あげまして御協力申し上げたいということでございます。
  160. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 それから建設省にお尋ねしたいと思うのですが、この前の八月十五日の災害対策委員会におきましても、大野委員と私からもお尋ねしたのでございますが、当時、まだ政府調査団が帰ってきておられないので明確な御答弁を得なかったのですが、これは加茂市の問題でありますが、一地方の問題だけじゃなくて、全国にこういう例はたくさんあると思います。これは私は、民生安定の上に、もう実に重大な問題だと思うので、一地方問題でありますけれども、全国的な問題として取り上げたいと思っておるのです。  そこで加茂市の問題でありますが、一級河川加茂川水系下条川水系の抜本的な改修工事を緊急的に施行してもらわないと、一昨年水害がありましてまたことし水害がある。それでもってばく大な損害です。惨たんたるものです。実際上、誇張じゃないが、涙なくして見るわけにいかないというふうな惨状でありまして、しかも商店の災害等は、法律がありませんので、救済の方法はわずか低利資金だというぐらいなもので、方法はないわけであります。  そこで問題は、これは徹底的に技術的にできるはずですから——防災タムをつくるとかなんとかいっておりますけれども、これは防災ダムも必要でありましょうが、同時に、こういうふうなはんらんが再び起きないように今日の技術でできないはずはないと思います。私はしろうとでありますから、わからぬけれども。次の国会に建設省とし、ては具体的に案を出しまして、再びこういうことが起きないように早急に抜本的な改修工事をしていただきたいと思うのでありますが、その点建設省の具体的なお考えをお聞きしたいと思うのです。
  161. 坂野重信

    ○坂野説明員 御指摘のとおり、加茂川につきましては惨たんたる災害を受けたわけでございまして、私自身も現地にさっそく参りまして、災害惨状をつぶさに視察したわけでございます。従来いろいろないきさつがございまして、結果的にはなかなか改修がはかどらなかったということでございますが、これを契機にいたしまして、先生の御指摘のとおりに抜本的な対策をひとつ講じたいということで、加茂川につきましては従来の計画をもう一度検討し直しまして、河川の本格的な改修に踏み切りたいというぐあいに考えております。ダムの問題等もいろいろございますけれども、本格的な改修をやるとなってまいりますと、相当な人家の移転補償という問題が出てまいります。特に心配をいたしておりますのは、いよいよ改修を始めるとなりますと、なかなか移転補償がはかばかしくいかないというようなこともあるいは起こるのではないかということでありますが、先般も加茂の市長さんにも、この際でございますから、政府といたしましてもひとつ抜本的な改修に踏み切りたい、地元としても何とかいろいろな用地補償につきましては全面的な協力をお願いしたいということを申し上げた次第でございます。私どもといたしましては、早急に抜本的な改修計画というものを策定いたしまして、それに基づきまして明年度から本格的な事業にかかりたいというぐあいに考えております。  下条川につきましては、現在治水ダム上流のほうで計画中でございます。これは不幸にして非常に地元の反対にあいまして、なかなかダム建設は思うようにいきません。こういう問題につきましても、この際でございますので、地元の御協力をぜひとも得まして、治水ダム促進下流河川改修というものをひとつ促進してまいりたいというぐあいに考えております。
  162. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 いつでもそういう問題のときには地主等の反対があって、なかなかむずかしい問題が発生するわけであります。しかし、これは私は法律をあまり知らないのですけれども、そういう場合は強制的にも収用できるような法律はないのですか。私は実は国会におりながらそういうことを知らないでおるのですが、その点どうなんですか。
  163. 坂野重信

    ○坂野説明員 お答えいたします。  もちろん強制的な土地収用法の規定がございます。しかしわれわれとしては、できるだけ地元の了解、地元の協力、御理解を得るというのがまず私どもの基本的な姿勢でございますので、そういう姿勢でもってできるだけひとつ地元の協力を得るようにいたしたい。もちろんそういう土地収用法に基づく強権発動ということも道としてはございますけれども、こういう際でございますので、できるだけ地元の皆さまが打って一丸となって、地元をみずから守るという気持ちで御協力をぜひお願いしたいというつもりでおるわけでございます。
  164. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 具体的に抜本的な工事をやるにはどのくらいな金がかかるというようなことを検討して、次の国会に提案する考えは建設省にありますか。
  165. 坂野重信

    ○坂野説明員 これは別に新しく法律をつくるわけでもございませんので、既定の予算の範囲内あるいは明年度の新予算の範囲内で、計画が固まりましたらひとつ重点的に仕事に取りかかりたいというぐあいに考えております。まだ計画の問題でどのくらいかかって、具体的にどういう事業をやるかということにつきまして、計画ができ次第先生に御説明申し上げたいと思っております。
  166. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 まあそれは、刈谷田川の例もありますが、御存じでしょう、刈谷田は今度はああいうふうにずいぶん、八十億も金をかけて根本的な改修をやったために、だいじょうぶでしょう当分は。だからああいうふうに根本的に、予算においても計画においても十分立てて、そうして短期のうちにやっていただきたい、こういうことを希望するわけであります。その点について、刈谷田川のようにやるようなお考えはございませんか。
  167. 坂野重信

    ○坂野説明員 刈谷田川の場合とはちょっと事情が異なりますけれども、あれはまあ災害助成事業ということで一貫して、それに下流のほうを中小河川で組み合わせてやったわけでありますが、あれに準ずるような方法でひとつできるだけ事業の促進をはかっていきたいというぐあいに考えております。
  168. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 通産省関係にちょっとお尋ねしたいのですが、先ほど政府の御説明にもありましたけれども、加茂災害に対しまして激甚法指定はもうこれは決定的ですね。
  169. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  先ほど総務副長官から冒頭に説明しましたように、中小企業被害につきましては激甚災害指定はほぼ決定的でございまして、五日の閣議におきまして決定いたす予定でございますので、災害救助法適用されております加茂市につきまして、中小企業についての激甚適用はほぼ決定的と申して差しつかえないと存じます。
  170. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 それから水害復旧の特別融資ですが、これは一番重要な問題だと思うので、これに対してお考えをお聞きしたいのです。  一昨年に続いての災害でありますから、これはこの前もお尋ねいたしましたけれどもいま一度念を押しますが、復旧資金も返済未了のものが多い。商工業が早期に復旧できるよう、政府系の金融機関による限度額の撤廃、利率は日歩一銭八厘以下、償還期間十年以上というふうな特別融資をしていただきたいというのが地元の要望でありますが、その点はいかがでしょうか。
  171. 井川博

    ○井川説明員 お答え申し上げます。  いまの先生の御質問の中に四点ばかりあるわけでございますが、一つ、低い金利の適用というお話でございますが、この点につきましては先ほど総理府のほうからお答え申し上げましたように、激甚災害というものの適用ということになりますと、年六分五厘の低利の適用ということになるわけでございます。  それから融資の積極的な貸し出しというお話がございましたが、この点につきましては二つの処置があるわけでございます。一つは、中小企業が非常に市中金融機関から金が借りにくいという場合に、たとえば新潟県の場合には新潟県の信用保証協会というところが信用保証をいたしますけれども、激甚災が適用になりますと、その場合に保証協会が保証しやすいように、それから保証料も安くできるようにという処置が適用されます。これによって保証がやりやすくなり、保証がつきますと市中金融機関からの金が流れやすい、こういうシステムになるわけでございます。それからもう一つの政府系の中小企業三金融機関、すなわち中小公庫、国民金融公庫、商工中金のワクの拡大でございますけれども、災害復旧のために必要な資金というものにつきましては、支店割当のワクにかかわらず貸し付けていくという方針で対処いたしているわけでございます。  それから第三点の、従来のものの返済がまだできていないのだけれども貸し付けるようにという点につきましては、先回の当委員会でも答弁申し上げましたように、特に新潟の場合には先々年災害を受けた直後であるということもございますので、まだ借りている金がある場合にでも新しい災害復旧の金は貸し付けていく、こういう処置をとっております。  それから第四点の期限の問題でございますけれども、災害の場合には通常よりも弾力的に延ばしていいという指示をいたしておりまして、それらの支店それぞれの窓口でそういうふうなかっこうで被害者のいろいろの実情をお聞きしているというのが現状でございます。
  172. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 農林省関係にお尋ねしたいのですが、今度のことで農林災害事業に対し激甚法適用されることはもうきまったようでありますが、加茂下流の三条、田上の長期の湛水地帯がある、これは激甚法の十条が適用されるかどうか、これをちょっとお尋ねしたいと思います。
  173. 井元光一

    ○井元説明員 八月中旬の新潟地方を襲いました集中豪雨では、新潟県の三条市及び田上村の地域内の農地が長い間湛水いたしまして、これに対して激甚法適用されれば非常に利用しやすくなり、かつ補助率も非常にアップされるわけであります。激甚法は、先ほど官房参事官からも申し上げましたとおり非常に可能性が濃くなってまいりましたので、これについてもおそらくそれに沿って、御心配がないだろうと思っておる次第でございます。  以上でございます。
  174. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 農業災害復旧事業はなるべく早くやってもらわなければ役に立たない。賽の河原の石を積むようなもので、早急にやらなければ何にもならないということはもう農林省でも御存じのとおりです。今度の農業災害復旧事業をできるだけ短期にやってもらう、地元では二カ年で完了するようひとつお願いしたいというふうな陳情がきているのですが、その点はいかがでしょうか。
  175. 井元光一

    ○井元説明員 早期査定につきましては、本委員会でたびたび御指摘がありますように、私ども事務当局といたしましては鋭意努力しておる次第でございます。具体的に申し上げますと、八月水害の査定につきましては、緊急を要する個所等を対象とする緊急査定は、概算書の作成のおくれる一部を除きましては八月下旬から九月中旬までに実施いたすことにいたしております。またその他の個所の査定につきましても、災害復旧計画の概要書の提出があり次第、緊急査定に引き続いて実施することにいたしております。なお九号台風災害による査定につきましても、緊急を要する個所につきましては、九月下旬から十月初旬までに実施することにいたしております。また、たとえば新潟の査定につきましては、九月三日から九月十三日までに四班を派遣、また九月十七日から九月二十五日までには二班を派遣する予定になっておる次第でございます。
  176. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 従来の災害復旧は原形復旧をたてまえとしているわけであります。これではすぐ被害が起きる、再度被害を受けることになるので、改良復旧ができるような措置をひとつぜひやっていただきたいと思うわけですが、その点ひとつ農林省に伺いたいと思っております。
  177. 井元光一

    ○井元説明員 農地農業用施設災害復旧につきましては、被災の程度によりまして、単に原形復旧にとどまらず、効用復旧を目的といたしました復旧を行なっております。けれどもさらに再度災害を受けるおそれのあるところにつきましては、極力これを防止するための災害関連工事をあわせて実施して、改良復旧を行なうようにつとめておる次第でございます。
  178. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 今回の災害は、特に山腹から多量の土砂崩壊が田に流れ込んで、これを復旧することはもう限度額を大きく上回っているのですね。その差額はみな関係農民の負担になるわけでありまして、ぜひひとつ限度額の引き上げをお願いしたいと思うのですが、その点ひとつ農林省のお答えをもらいたいと思います。
  179. 井元光一

    ○井元説明員 農地復旧の反当限度額につきましては、従前の方法をも十分しんしゃくいたしまして、災害復旧工事費の上昇に見合うように、四十四年の四月十一日に政令の改正を行なったわけでございます。これは一部もう出しておりますように、昭和四十四年度の入植農家一戸当たり全国平均国庫補助額を基準としてつくったものでありまして、本年度は百九十九万円といたしたわけでございます。以上でございます。
  180. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 次に農機具の問題ですが、これは農業協同組合等が事業主体となって、収穫や農機具及び仮設共同作業場を設置して利用するわけですが、刈り取り機とかあるいは乾燥機、脱穀機、調製機、仮設共同作業場を事業の対象としている事業費の補助を、やはりこれは天災融資法ですか、によってぜひお願いしたいと思っておるのですが、その点いかがでしょうか。
  181. 荒勝巖

    荒勝説明員 今回の新潟地方を襲いました災害は、近く天災融資法発動すべくただいま準備を進めておりますが、天災融資法発動されますと、個々の農家の方の部分につきましても天災融資法融資の対象になり、かつ農業協同組合等が所有し、もしくは運転されておりました分につきましても、資金需要を見きわめまして融資の対象にいたしたい、こういうふうに思っております。
  182. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 今度は厚生省のほうにお尋ねしたいのですが、災害における国民健康保険税の免税については、減免額の八割が国から補助され、二割については保険者の負担となっております。ところが今度の大水害で、都市の大部分は罹災しておるし、特に加茂などは一昨年やられてまた今度やられておるわけであります。連年の災害で、災害復旧のため市町村の財政は窮迫をきわめておるわけです。さらに保険給付費がますます高くなってくる実情であります。したがって、この減免額の全額国庫負担をするように何とかひとつ厚生省は考えていただきたいのです。その点をお尋ねしたいと思います。
  183. 松田正

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  御承知のように、いま保険料の減免額につきましては、当該減免額の十分の八を特別調整交付金の中で措置をいたしております。おっしゃいますようにあとの二割につきましては市町村負担ということでございますが、この災害の保険料の減免につきましては市町村に一切おまかせをいたしておるというような事情もありまして、一応八〇%を裏打ちをいたしておるという現状でございます。医療費等の伸びによりまして非常に保険料と医療費の格差が生ずる、こういう場合にも特別調整交付金で裏打ちをする方途を一応持っておりますので、先生の御趣旨によって十分に検討いたしたい、かように考えております。
  184. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 なお、国民健康保険以外の健康保険、共済組合の被保険者についても、掛け金、保険料の軽減の救済措置を、これはぜひやっていただきたいと思うのですが、その点御答弁を願います。
  185. 松田正

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  被用者の保険につきましては、おっしゃるように減免の方途がございません。これは十分関係の面とも相談をいたしたい、かように考えております。
  186. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 最後に私、農林省建設省にもう一度お尋ねしたい。この問題はこの前、十五日の災害対策委員会でもお尋ねしたけれども、はっきりした政府の御答弁がなかったのですが、新潟県の南魚沼郡六日町五十沢地区の三国川の頭首工の問題、水の取り入れ口ですね、それから同じ城内地区の宇田沢川の頭首工の問題、あれは全く何というか、露骨な表現でいえば、どうも私は農林省あるいは建設省の重大な手落ちじゃないかと思う。あんなばかな話はないと思うのです。私、しろうとでわからぬけれども、御存じのように上流のV型のところから左側が破堤してしまって、何億も金をかけてやったものが何にもならぬような状態になっておる。あんなばかな話はないと思うので、どういうわけであんなことになったかということをあのときお尋ねしたのですが、まだ調査中であって、調査してみた結果どういうわけでああいうふうな破堤をしたかということを今度お答えしてくださるということであったのですが、その原因につきましてひとつ農林省建設省から御答弁願いたい。  あれは、この前も申し上げたのですが、うわさかもしらぬけれども、あれはあぶない、必ず前のほうが破堤するからということを何度も地元の者は陳情したにもかかわらずほっておいたというのです。それは農林省と仕事が違うものだから、仕事に十分な連絡がとれていないから、そこでどっちが冷淡だったかわからないけれども、ほっておいて、地元の者は必ず切れると言っておったものが破堤してしまったのですから、これは農林省の責任だか建設省の責任だかわからないけれども、政府の重大な責任であると思うので、この点の原因につきまして明確な御答弁を願いたいと思っております。
  187. 井元光一

    ○井元説明員 先生、事情は十分御存じだと思いますけれども、原因については、一口に申しますと異常な天然現象が出た。工事上の技術上の問題につきましては、両省の意思の疎通を欠くというようなことをおっしゃいましたけれども、そういうことは全然ないわけで、河川協議も十分いたしたわけでありまして、当時の天文資料からは技術的に全然間違っていないというふうに考えておる次第でございます。参考上、当時の計画水量と今回の推定洪水量の違いを申し上げますと、三国川のほうは計画水量は毎秒七千トン、今回の推定洪水量は千二百二十トンになっておるわけであります。それから宇田沢川のほうは計画水量が二百八十トン、今回の推定洪水量は三百三十六トンあったわけです。そのために、計画時の考え方よりも異常な天然現象が起きたと考えるしかないわけでございます。以上です。
  188. 坂野重信

    ○坂野説明員 お答えいたします。  大体農林省でお答えになったと同様なことでございますが、私も、何か農林省建設省の関係が、連絡が悪かったのではないかという事実がなかったか確かめたわけでございますが、そういう報告はございませんでした。先ほど農林省が言われましたように、そのような異常出水でございまして、もちろん、せきの影響は若干あると思いまます。しかし、ただそれを計量的に一体どのくらいの影響があったかというようなことはなかなか技術的にはむずかしい問題でございまして、やはり主導的要因というものは異常出水があったということで、たまたませきの上流側がどういう自然現象か、その辺はなかなか分析が困難でございますけれども、左岸で同じような状態で切れたということでございます。
  189. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 そんなことをおっしゃるけれども、それではぼくら全然それば納得できないです。異常出水だからやむを得なかったというような話はないです。これは地元では、洪水が出たら必ず切れると前から言っていたのです。私はそこの選挙区だからよく知っているけれども、技術上のミスもなかったとかなんとか、そうおっしゃるのは、あなた方としては当然だろうけれども、あんなばかな話はないと私は思っている、実際。異常出水というけれども、あれくらいの雨はおそらく、洪水の歴史は知らぬけれども、記録は知らぬけれども、あのくらいの雨は、ぼくは過去においても何度もあったと思うんですよ。それがあんなふうなことになったことは、これはくろうとからいえばいろいろ弁明はあるだろう、ちょうどお医者さんが、病人が死んだとき、これは自分のあやまちじゃないんだといろいろ言うと同じようにあろうけれども、これは設計上のミスが絶対ありますよ。重大な失態ですよ、建設省、農林省の。このことをここで議論したってしょうがありませんから、今後は絶対にあのようなことのないような復旧工事をやっていただきたいということを、私は特に農林省に、十分農林省建設省と連絡をとってあのようなことがないように、ひとつお願いしたいと思うのです。あったことはがたがた言ったってしょうがないですから、今後はないような復旧工事ができますか。それを私はお尋ねしたいと思っているのです。
  190. 井元光一

    ○井元説明員 まことに残念な当時の技術的な結果でありましたけれども、今度はこれを機会に絶対かようなことの起こらないよう、十分技術的に検討に検討を加えて計画したいと思っております。
  191. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 わかりました。これで終わりです。
  192. 川村継義

  193. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 まず最初に、この間視察に行ってまいりましていろいろと現地で感じたことがございますので、簡単に御質問したいと思います。  まず、私いつも衛生問題でお尋ねしているのですが、ひとつまた衛生問題から入りたいと思います。  第一番目には、水害地の被災地の伝染病の問題でお尋ねしますが、冠水井戸、水が入ってしまった井戸をどうやって殺菌したらいいのか。厚生省はその点通達またはそういった法律等によって指示なさっておりますか。この点からお聞きいたします。
  194. 後藤伍郎

    後藤説明員 冠水した場合の井戸の消毒でございますが、これにつきましては災害地のいろいろな指導の中でうたってございます。まず井戸が冠水した場合でございますけれども、最初土砂の汚水が入っておりますので、十PPMになるようなクロールでその井戸の井戸がわを含めた全体をよく洗う。そのあとで洗い終わりましたその水を全部くみかえまして、いわゆる井戸ざらいでございますけれども、新しい水がわいてまいります。その際一PPMになるようなクロール消毒ができるようなふうに指導しております。約三十分ぐらい放置いたしまして、そのあとで飲用に供する。さらに一日おいてもう一度一PPMになるようなクロール消毒をしろ、こういうことをしております。
  195. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そういたしますと、井戸水は消毒薬を入れてもすぐは使えないわけですね。三日とか四日とかおいて、ある程度冠水がきれいになって、そしてその一PPMの水の殺菌ということに対する指示というものを与える、そういうことは何か衛生法か何かで規制され、なおかっそういった水害等の被災のときにはそれを適用するように通達等をしておられますか。
  196. 後藤伍郎

    後藤説明員 これは私らの防疫対策として通知いたしておりまして、一般の水、あるいは上水道が破壊したような場合、そういう水道法に載っておる場合、いろいろございますけれども、ただいまお答えいたしましたのは、災害時冠水した場合の災害防疫としての私たちの指導でございます。たとえば、一PPMといいましてもなかなかびんときませんので、いろいろ具体的に、化成石灰を五グラム、百ccの水に溶かしてよくかきまぜ、その上澄みをその容積に応じて一PPMになるようにしてくださいということです。特に通知ということではございません。
  197. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、そういう人の生命、伝染病が発生するかしないかという——特に、私は水害で一番考えなければならぬことは、水害が起きる直前の水ぎわ作戦が、要するに伝染病を防ぐところの一番大事な指導である。いまあなたがおっしゃったような水道法や衛生法、またば特殊な災害等の立場に立って、市町村並びに県にはそういった通達は行っておるのですか。
  198. 後藤伍郎

    後藤説明員 私らのほうからは通達ということじゃなくて、県を通じた指導をしております。
  199. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 すると、日本全国の市町村または都道府県等への指導というものは、一年に一ぺんとか三年に一ぺんとかいって厚生省は関係者に指導を行なっているのですか。
  200. 後藤伍郎

    後藤説明員 私どもは、最初衛生部長会議、それから防疫主管課長会議、その次に各ブロックに分かれて詳細な指導を、これは年に一度毎年やっております。
  201. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、具体的な例をお尋ねいたしますが、滑川市に対してはいつ御指導されましたか。
  202. 後藤伍郎

    後藤説明員 ちょっと日にちは忘れましたけれども、滑川市は富山県でございますので、富山県の指導——これは、滑川市に私たち直接は行っておりませんけれども、県を介して各市町村にいくわけでございますので、近畿、東海のブロックで、ちょっと忘れましたけれども、五月か六月ごろにやったと思います。
  203. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、そういう大事な、人の生命に関係するような衛生という問題に対しては、たとえば五月に県が市町村に指導したという確認はまだ厚生省としてはとっていないのですか。
  204. 後藤伍郎

    後藤説明員 私自身、確認したかどうかといわれるとなかなかむずかしい問題でございますけれども、われわれとしては、伝染病予防法が非常に歴史が古いものでございますので、そういう指導などは相当深く通っていることだと思っております。
  205. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ところが実際は通っていないのですね。あなたにも先ほどお見せいたしましたけれども、これは滑川市が配ったチラシなんです。そこには、「市民の皆さん、水害後チフス、赤痢等消化器系伝染病及び食中灘が発生するおそれがあります。これらを予防するため、次のことに注意して下さい。」といって、十の個条書きにしている。最初の「飲料水、食品に注意し、生水、生物を摂らないこと。調理前、食前、用便後の手洗いを励行すること。食器類の煮沸消毒を励行すること。発熱下痢等の症状があれば、医師の診療を受けること。」ここまでは常識的なことで、何ら問題はない。五番目が問題なんですね。「冠水井戸は晒粉で消毒すること。(サラシ粉をマッチ箱一杯を茶わんに入れ、少量の水を加えてよくねり、これをビール瓶に入れ水を加えて一杯にする。これを盃三杯宛朝、昼、晩井戸に入れる。)」こう書いてあるのですね。だから、先ほどあなたが申されましたような一PPMだとか何PPMなんということはさらさら書いてないのですね。冠水したその水をくみかえろとも書いてない。それにさらし粉を溶いた水を杯——杯というものはものすごく小さいものですね。井戸だって相当大きい井戸もあれば小さい井戸もある、水のうんとわいてくるものもあればわかないものもある、一様に杯一ぱいのさらし粉ではたしてこれが殺菌できるかどうか。こういう赤い紙で、これは全戸に配ったのです。これは滑川市ばかりではない。それで、あなたも御存じのとおり、東京など三大都市、大きな都会においては水道というものは相当な普及率があるけれども、こういった市町村のいなかのほうへ行けばまだ水道の普及率は三〇%か四〇%のところがありますね。滑川市なんというのはほとんど半分は井戸水、これじゃこのとおりやって、この書いてある「水害後チフス、赤痢等」あったときは、だれが一体責任を負うのですか。
  206. 後藤伍郎

    後藤説明員 ただいま先生お読みいただいた文章を聞いておりますと、非常に指導がまずいように思います。その際、患者が出た場合の責任はだれがとるかということでございますけれども、これは市町村長、滑川市長さんの仕事になるわけでございます。
  207. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 確かにそれは責任は滑川の市長がとるわけなんですけれどもね。そういう地方行政の不備というものを考え、また衛生的にも非常にこういう問題は不備な点もあるから、そこで本省の厚生省というのがでんと控えていて、皆さん方が日夜御努力なさって、そういう間違いを起こさないように——こういう赤いチラシをまけば市民はそのとおりになる、これはたいへんなことなんですね。これは他の市町村も大同小異こういうことをやっていますよ。これは爆発的にいままで。これじゃベトナムみたいなやり方ですよ。近代福祉国家の日本の昭和四十四年度現在の環境衛生のこれはまことに——私たちは子供の時分、さらし粉、マッチ箱なんてよく聞いたけれども、第一こんなことで殺菌ができるのですか。
  208. 後藤伍郎

    後藤説明員 これは実は私どもの指導が少し行き届かなかった点もあるかもしれませんけれども、実はそのマッチ箱とかいろいろな問題が書いてありますけれども、これは災害時非常に混乱しております。まあ防疫陣としては迅速適確にやらなければいけない。その際、一PPMといってもなかなか計算がむずかしい筋もございます。それで、たとえば水百ccに五グラムの化成石灰を入れますと大体五%のあれができますが、その水をもとにして、実は私どもいろいろな井戸の深さ、広さ、まあ容積でございますけれども、容積に応じてどのくらいのその原液を入れるかということを実はこまかく書いてあるのですが、それをちょっと誤解されてそういうふうに書いていると思います。まあ私たちが指導した線、たとえば一斗の水は十八リットルであり、これに一PPMの塩素を入れるにはクロール石灰水は三・六ccある、これは大体大きなさじで一ばいで足りるというような、非常に緊急、なるべく迅速にやるというようなことでそういう指導をしております。その解釈上の間違いだろうと思いますが……。
  209. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 一斗の水がどうのこうのといったって、これは井戸ですから、杯一ばいで殺菌できるなんということは常識で考えたってできるわけがないのです。だから、これは常識人はやらないと思うけれども、こういう問題が出てくる。これは、万が一これで伝染病が大量発生したら滑川市長の責任だけじゃききませんよ。厚生大臣まできますよ。これは防災会議議長であるところの総理大臣の責任にいっちゃうのですよ、ほんとうに。あなたはそこまでお考えになっていないかもしれないけれども、私はもしもこれが一人でも出たらこんな程度では黙っていません。たまたま出ないから、まあこういう問題があるからと、きょうは御注意している。まして富山県というところは、これは薬の産地だ。  もっと不可解なことがある。これはあなたには先ほどもちゃんとお教えしたとおり。一体、この間も問題になったんだけれども、この富山県の立山町、宇奈月町、上市町、入善町、朝日町、大山町、滑川市、魚津市、黒部市、ここにありますが、そのうち魚津市と黒部市だけは確認がないのでありますが、これらの市町村には伝染病予防の経口薬というのですか、あの薬は配布されておりますか。
  210. 後藤伍郎

    後藤説明員 予防内服のお話だと思いますが、私らとして予防内服を配布することはほとんどございません。それから、魚津その他の町で、未確認ということでございますけれども、これは製薬会社から、どうですか、要りませんかという電話がしょっちゅうきたそうですが、うちではやらないということで、その三市町はやっておりません。なお県としましても、この際、災害の事情から見て今回は予防内服はやらないという基本的な方針をとっていたのでございますけれども、製薬会社の販売員が直接市町衛生課のほうに入りまして、何か販売をした、そういうことのように考えております。
  211. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは先ほであなたとお打ち合わせでございますから私詳しく聞きませんが、この町に配った薬はエマフォルムですね。私はこの前の委員会のときにきびしく指摘したわけですね。あれからもう二カ月近くたっておりますね、一カ月ですかな。それがなおかつ——あのときにお答えいただいた方が、ちょっと名前を忘れたんですが、私が大きな声でどなったもので、私も非常に恐縮しておりますが、そのときに、こういうことは二度と繰り返さないようにしますと言っておるにもかかわらず、たとえそれは国や県はそういう薬を買うなという指示はしておっても、いま言った立山宇奈月上市入善朝日大山滑川、人口大体四万としても約三十万、四十万近い人たちにこの伝染病の薬が配られておる。ところが、先ほどあなたも御存じのとおり入善町においては——このエマフォルムというのは、これはわれわれわからないです、こういう薬は。ワカマツとかビオフェルミンならわかる。ところがエマフォルムなんて、これは何だかわからないですよ。これは何の薬かとあなたにお尋ねしたら、あなたがおっしゃるには、これはお医者さんが使う専門薬である。両方ある。だけれども、今回この商人が配ったほうは医者用である。であるから分量はよくわからない。そこでこの入善町では三日分を一ぺんに飲ましちゃったんですね。幾ら腹がすいたからといったって薬を三日分一ぺんに飲んだらたいへんですよ。それで事故が出て、発熱、下痢、嘔吐、いま病気になっております。このことを御存じですか。
  212. 後藤伍郎

    後藤説明員 今回の予防内服につきましては、先ほど申し上げましたように県を通して最初はまいりましたのですが、県当局、それから保健所当局は予防内服の必要はないということで、これは一応拒否しておりますが、そのほかの、町へ直接いったところでただいまのようなお話が出ているわけでございます。このエマフォルムの量、この主剤はキノフォルムというものでございますけれども、この量が一般に投与する量の大体倍からいっている。その結果入善町の中で九人の方が発病しております。食欲不振、悪心、軽度の意識障害、そういうものがございますが、大体二、三日ぐらいでほとんど全快しております。そのほか一市五町で投与しておりますけれども、このほうはそういう事故は出ておりません。
  213. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 薬の効果というのは両刃のもでありまして、適量に与えればこれはきく。化学薬品がきけばきくほどこれは危険な副作用を伴う、これは常識であります。幾ら混乱時ではあるといえども、こういうふうに薬事行政と申しますか保健行政が市町村に徹底しない。さらし粉の件もしかり。いま言った予防経口薬の件もしかり。富山は幸か不幸か知りませんが、薬が非常にできる。そのために誤ったこういう薬に対する過信、盲信、もしくは薬に対する甘さと申しますか、薬というものに対する感覚の鈍さ、こういうものがこういう事故を生み出しているのじゃないか。それも一つくらいの町ならいざ知らず、あなたのおっしゃったように一市五町、その人口対象はたいへんなものです。  それで、私の調べたところ、あなたからお聞きしたところによりますと、中田清兵衛薬品KKの富山市の所長青木正治さん、この方が大量に薬を売り込んだ。これは売り込んだだけではないのですよ。県や国が、伝染病の経口の予防薬を飲ましてはいけないというのにはわけがある。これはこの前の委員会で私は説明を受けました。こういうものを誤ってはいけないということが一つ。それに、実際上の伝染病予防薬というものは抗生物質である。たとえばクロマイのようなものである。ところがこれは飲ませると耐性菌ができて危険である。いろいろな理由があって厚生省としては飲ませないのでしょう。それを、そういう市町村の無知につけ込み、こういう災害のときに金もうけしょうというその根性がまず第一番目に気に食わない。第二番目には、気に食わないだけで済めばいい。事故が起きた。あなたは軽く二日ないし三日ということをおっしゃっておるが、万が一これがサリドマイド事件のように大きな事故になったら、一体これはだれが責任を負うか。ましていわんや、この前の委員会においては、私はこの問題を徹底することを厚生省にお願いしました。しかるに依然としてこういう問題が徹底していない。私がなぜこうやって食いつくかと申しますと、制度資金の問題とか災害対策の公共土木の復旧とか、それはもちろん大事ではありますが、事人命、健康に関する問題は、何はさておいてもこれを徹底し、改革をしていくのが私は政治の常道だと思う。しかるに、こういう委員会でわずか三人か四人しか議員がいない。だれも出てこない。これだけの大事な問題をいま論じておるにもかかわらずうやむやにされたのでは、次に起きてくる災害のときにもつと大きな事故が出ないとは、だれもこれは確証ありませんよ。そのときに、滑川市長に言ったのだけれども守らなかったのだ、富山県に指導したけれども徹底できなかったのだで済みますか。指導とは、相手に納得のいくまで説得をするのが指導なんです。それをしないで、できません、あるいはしません、これは厚生省当局の怠慢といっても過言でないと思う。  そこで、再度こういう事故が起きて、たまたま事故にならなかったということによってうやむやにされたのでは、これは大問題です。もしも私が予算委員会の席上、総理大臣にこの問題を追及したらどういうことになる。厚生大臣がこの席上にいて、厚生大臣に追及したらどうなる。本日は、防災会議議長の総理も、また当面の最高責任者である厚生大臣もおいでにならない。第一線で戦ってくださるあなたにはまことにお気の毒だけれども、この委員会でこれだけのことはどうしてもいっておかなければならぬし、議事録にとどめておかなければならぬ。私は次の通常国会の予算委員会で、公明党がこの問題をもう少し重視して取り上げることを言っておきますので、全市町村並びに日本全国こういう問題が二度と起きないように、本日この委員会で指摘があったことを厚生大臣に必ずお伝え願って、閣僚会議が五日に行なわれるそうでありますから、その席上この問題が対象になることを私期待しておきます。この点が第一点でございます。どうかひとつ、ただいま申し上げましたように伝染病予防薬に対する非常にあいまいたるものの考え方、また指導の不徹底、これはこの前の委員会以来追及しておりますので、何とぞきょうお帰りの節には大臣によろしくお伝え願いたい。小川が申しておるのではなくして、国民がこれを言っているのだという自覚に立ってひとつお伝え願いたいのです。よろしくお願いいたします。  以上をもちまして、薬に対する質問は終わらしていただきます。御苦労さまでした。  次に、予算の問題でお尋ねいたします。ほんとうはこれも大蔵大臣もしくは床次総務長官にお答え願わなければならぬ問題で大事な問題であります。災害が連発しておりますが、総合予算システムの中で補正予算を組まずに昭和四十四年度を一体乗り切れるのかどうか。また公務員の給与問題等非常に大きな社会問題になっております。こういう問題に対して、災害対策の予算をとるのか、また、公務員給与問題で世論のうるさくなった今日、完全実施という点に踏み込んで、はたして一体補正予算を組まずにできるのかどうか。私はその点、まだはなはだ疑問な点があるので、政治的姿勢はともかくとしても、計算的、数字的にいってはたしてこれが可能なのかどうか。いままで起きてきた災害の損害から見て予備費等の中でまかなえるかどうか。この点についてお答えを願いたい。
  214. 千葉洋三

    ○千葉説明員 お答え申し上げます。  八月二十八日現在で予備費の支出が八十三億二千九百万になっております。予備費全体の予算額が九百億でございますものですから、八百十六億七千百万という残額になっております。いま先生が申されました被害で、私のほうに報告がございますのは約千五百億というような数字でございますものですから、経験値から申し上げまして大体今年度の使用額三百億程度じゃないかという概算でございます。したがいまして予備費の範囲内でまかないたいというように考えております。
  215. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 あなたから補正予算を組むかどうかという姿勢について、私が全部言質をとろうとは思っておりません。これはまた非常に大きな問題ですから当然大臣もしくは担当の長官等が答えるべきものでありますが、いま申し上げたような数字の面からいったのではこれは組まざるを得ない、物理的にいって、また数字的にいって不可能である。あなたは一体その点はどうお考えですか。
  216. 千葉洋三

    ○千葉説明員 予備費のほかに、毎年のことでございますが、不用の財源が相当額出ることも考えられます。そういう予備費、それから申し上げました不用額等勘案いたしまして、今年度の予算額の中でまかなっていきたいというふうに考えております。
  217. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると公務員のほうのあれはどうなるのですか。そっちはたな上げになりますか。その辺のところを……。
  218. 千葉洋三

    ○千葉説明員 公務員、稲作特別対策費等、もろもろございますけれども、いま申し上げた不用の財源等全体をにらみ合わせまして、今後の検討ではないかと存じております。
  219. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 不用の財源でどれぐらいあるか私知りませんが、とにかくあなたは専門官なんですから、公務員の給与がどれくらい要るんだ。いま言われたのは千五百億ですね。こういうことをいろいろ考えて、それはもう私も議員なんですからこんな答え方じゃ困るのですね。もう少ししっかり答えてもらいたいのです。これはあなたの考え方で開くとか開かないというのではなくて、数字の上からいって第一線の担当官の目から見てどうかというのであって、開く開かないはこれはもっと上の人がきめることである。そういう補正を組むか組まないか、こういうことを私はあなたに言ってもこれは無理です。だから私がいま聞いていることは、数字的にいって、物理的にいって、もろもろのものがあるので、補正予算を組まなければどうしてもだめですよ。これは数字の上からいってそうなってしまうのです。数字というものは厳正中立でありますから。そういう点だけ聞きたい、こういうわけなんですよ。
  220. 千葉洋三

    ○千葉説明員 何度も同じことを申し上げてたいへん恐縮でございますけれども、予備費の残額八百十億、それと今後の不用見込み等を合わせまして、いま申し上げましたような財源がまかなえるかどうか、これからの検討でございますけれども、われわれとしては今年度の予算の範囲内で何とか処理していきたいというふうに考えております。
  221. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これ以上あなたを責めてもしょうがないから言いませんけれども、これはほんとうによく検討してくださいね。  その次に、私がいまから申し上げますが、激甚災害の財政措置というものを市町村は非常に望んでおります。特に過疎地帯、これは連年災害、いろいろな複雑な問題から財源の捻出がたいへんなんでありまして、公共土木とかまたこういった激甚災害財政を望む市があります。私が回ってきたところを申し上げますので、激甚災害に、または局地激甚災害指定する見込みのあるところだけお答え願いたい。そんないやな顔をしないでひとつお願いします。  申し上げます。市町村別の標準税収額を私のほうで調べてあります。これの算定のしかたはもう皆さん御存じだから言いません。加茂市、田上町、六日町、大和町、小出町、高田市、糸魚川市、新井市、松代町、柿崎町、吉川町、青海町、立山町、宇奈月町、上市町、入善町、朝日町、大山町、滑川市、魚津市、黒部市、私ども災害対策特別委員会が三泊四日の強行日程でこれだけ回ってきたわけです。いずこの市町村へ行ってももう言うことはきまっております。激甚災害に御指定を、天災融資法発動を、もうたいがいきまっております。あとは中小河川改修を、それから災害復旧費の拡大ですね。大体そういう同じようなことを言っておりますが、もう十一日以来約二十日以上たっております。今月の五日の閣僚会議で大体のめどがつくそうでありますが、いま申し上げました市町村、何と何が全国的な激甚災になるのか、また何と何の種類はこの町においては局地激甚災害指定を受けるであろう、大体のことはもうおわかりであろうと思います。五日ということですが、もう二日ですから。これは別に軍の機密でも何でもない。一日も早くこういう問題を知りたいのが被災市町村、またわれわれ議員の偽らざる気持ちでありますので、ひとつ御説明のほどお願い申し上げます。
  222. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答え申し上げます。  ただいまの激甚災の適用地の問題でございますが、先生にお詳しいとおり、そういう場合におきましては激甚災をまず指定いたします。その手続を五日の閣議できめまして、近く公布するということでございます。内容につきましては、農地農業用施設中小企業のための措置につきましては、これは全国基準でまず適用いたします。それから公共土木につきましては局地激甚の問題となりまして、五日の閣議におきましては政令指定は行なわれず、今後の問題として残されると思います。でございますので、先生がただいまおあげになりました地名、これはだいぶございまして、私のほうで全部書いたのでございますが、このうち、中小企業につきましては激甚指定の政令が出ますので、この適用地域は、これはあとで金融課長からお願いしたいと存じますが、災害救助法適用地域でございますので、これは先生、災害救助法適用地域の表をお持ちと思いますので、これはずばりそのまま当てはまる、こうお考えになっていただけばよろしい、こう考えております。  それからなお、農地農業用施設でございますけれども、農地農業用施設につきましては、適用いたします場合にはこれはまた基準がございまして、農林大臣が告示というふうになりますので、これは農林省のほうから大体の目安をあとから申し上げさせていただきたいと存じます。  なお公共土木につきましては、これは局地激甚の問題でございますので、これは災害査定額をもとにいたしまして算定いたします関係で、ただいま直ちにその政令を出すわけにはいかないということでございますので、若干時間がかかると思われますが、その感触等につきましては建設省から御説明させていただきたい、こう考えております。
  223. 井川博

    ○井川説明員 ただいま川上参事官から申し上げたとおりでございまして、中小企業に関しましては全国基準の激甚災害基準に該当するということが明確になりました。したがいまして、いま先生があげられました市町村は、災害救助法適用市町村でございます限り、全市町村適用される、こういうことになるわけでございます。
  224. 井元光一

    ○井元説明員 一戸当たりの負担額が二万円以上の市町村について、以上でございます。
  225. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そういうことはわかっているのですよ。だからいまその該当するかどうかを聞いている。
  226. 荒勝巖

    荒勝説明員 お答えいたします。  今回の七号台風を前後といたしましていわゆる七月末の豪雨、それから八月上旬の豪雨をからめました関係被害のありました農地農業用施設全部が、一応さしあたりワクとしては農地、農業用の激甚法の第五条グループの対象になるわけでございます。それで、今後われわれのほうで災害査定をする過程で具体的に災害助成率等がきまってまいりまして、そしてその激甚法の対象として補助率がかさ上げされていく、こういうかっこうで、実際最終的に決定いたしますのは災害査定が終わってみないとほんとうのことはわからないけれども、大体今回の災害を受けた地域はおおむね全部激甚法の対象となる。さらにいま農地局参事官が申しましたのは、その町村で被害がありましたいわゆる一戸当たり二万円以下の場合は激甚法の対象にならないという欠格要件を申し上げた、こういうふうに御理解願えればいいのじゃないかと思います。
  227. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 査定が終わらなければこれは話になりませんが、そういうわけのわからないことを聞いておるわけじゃないのです。大体皆さんのほうはもうわかっておるはずであるから私のほうも聞いておるわけなんですが、その点はまた時間もございませんし、きょうは聞きません。  河川局長、だいぶお待たせいたしました。公共土木の激甚指定が最近少ないのですね。この理由はいろいろあると思うのですが、標準税収額が約二割くらいいつも毎年ふえていく。そういう関係があるのでなかなか公共土木については激甚災の指定というものができないのだというような、うがったようなうがたないようなわけのわからないようなことを言っておる人もいるのですが、こういう点、河川局長さんはベテランですからひとつ教えていただきたいのです。それとまた総理府にお願いしますよ。二人から……。
  228. 坂野重信

    ○坂野説明員 お答えいたします。  たまたま今年度はこの基準に該当しないということで、目下のところはA基準、B基準とも公共土木関係の三章グループにはちょっと困難な見通しでございます。ただ最近の例を見ていただきますと、必ずしも公共土木関係だけが非常にシビアーだということは統計的には出ておりませんので、その点は御了承願いたいと思います。  二章グループの関係では「全国の都道府県及び市町村の当該年度の標準税収入の総額のおおむね一・二%相当額をこえる災害」ということがB基準になっておりまして、四十四年は三百十億でございますので、三本の災害を合わすとそれ自体には該当するわけでございますけれども、そこにまたただし書きがございまして、都道府県の査定見込み事業費が当該都道府県の標準税収入をこえるものが一つ以上あることということで、実は富山県がその代表株ということでございますけれども、どうもいろいろ試算いたしましても標準税収入を突破しないというようなことで、目下のところ二章グループは困難な情勢にあるわけでございます。  局地激甚災につきましては、先ほどお話がございましたけれども、若干の市町村が該当すると思っておりますが、これは緊急査定でも済んでみませんとある程度の見通しがつきませんので、その段階で見込みがつきましたらまたお知らせいたしたいと思うわけでございます。
  229. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  ただいま河川局長の御説明ですでに結論は得ておるかと存じまするが、なお補足いたしますると、私、先生からただいまの事項御指摘ございましたので、過去の実例、公共土木がどのくらい該当しておるだろうかということをちょっと当たってみたのでございますが、これは三十七年からでございますけれども、現在までに三十二災害に、激甚法でございますか、これを適用いたしまして、このうちに公共土木の二章グループが該当いたしましたのがたしか十ございます。では、これは古いものだけではないかとおっしゃるかもしれませんが、最近、四十二年にも二件公共土木の関係で該当いたしております。でございますので、たまたま今度の災害につきましては三本合併いたしましても、これが二章グループに該当しなかったと申しますのは、おそらくこれは三本の災害が、少し申し上げにくうございますが、非常に散らばった地域に起きたということでございますので、総被害額におきましてはB基準には該当しておったのでございますが、その一件当たりの関係でうまく当てはまらなかったのではないかということでございますので、現在直ちにこれをもって公共土木の基準が低いか高いかを論ずるのはまだ少し早いのではないか、こう考えております。
  230. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ここで議論する時間もございませんからやめておきますが、広範囲に地域が散らばったということだが、これは私、災害地を回ってみて、各県の人が言うのは、川なんというものは災害がこなければよくならないのだと言っておるのですね。日本の河川行政というものは災害がこなければよくならないというようなことを市町村や県の役人がわれわれ視察団に言っておるということ、だから公共土木施設の破壊というものも、要するに災害が起きないところ起きないところをねらっておるのです。だからゲリラなんていわれるのですね。これはほんとうのことをいうとゲリラなんです。これは全部やってやればいいのです。できないからそういうようになっている。だから、広範囲に範囲が広がったという意見は、私もこの際もう少し研究し、検討して発言を求めたい、こう思っています。これはそれでいいです。  その次に、河川局長、鉄筋の橋のところに木の橋がくっつくということが災害復旧などにありますか。植物のつぎ木ということはよくわかるのですがね。そういう橋というものは災害復旧事業でやるのですか。これは昭和四十一年の話なんですけれども、どうですか。はっきり言うと、ここまでは永久の鉄筋コンクリート、予算がないから、それから次は木造なんだ、そういう橋があるのですよ。そういうのはどうなんですか。はっきり言いますと、こういうところにあるのです。そういうおかしな橋があるのは、岩手県宮古市の閉伊川の花原市と牛伏を結ぶ橋です。ここは増水して木造部分がこわれてくれることをひそかに願っているのですね。四十一年六月の台風四号で前の橋が流されて、そこまでは鉄筋の完ぺきな橋にした。その写真もあります。ここに行くと年じゅうのことです。この木の部分だけは流れてくれ、流れてくれと願っているのです。災害が起きてくれとここは言っているのです。こういうおかしな橋が日本の中にあるのです。こういう橋はどうなんですか。
  231. 坂野重信

    ○坂野説明員 お答えいたします。  その現実の事実がどういう経緯でそうなったか知りませんが、改良復旧の方針は本日大臣からも答弁されたとおりでございまして、木造橋であって、それが半分以上被災した、そしてこれを再び木造橋として復旧するのがきわめて不適当だ、そういう場合には永久橋ということで復旧するたてまえでいっております。おそらくそれは、その辺の解釈の問題であるいは一部が木橋のままであるかと思いますが、こういう場合にはできるだけ、そういった道路の改良費、橋梁の改良費というものを加えて当然やるべき問題であると思いますので、今後こういう事態ができないようなことをひとつ十分検討してまいりたいと思っております。
  232. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 次に、河川局長、河川法の第五十二条の見解を聞いておきたいと思うのです。これはダム問題であした相当白熱した議論が展開するであろう、私も実は参加したいのでありますが、ちょっとよんどころないことであしたは欠席させていただくように委員長にも届けを出してありまして、かわった人が来るので私は言えないのできょうここで言っておきます。  河川法第五十二条は御存じのとおり「洪水による災害が発生し、又は発生するおそれが大きいと認められる場合において、」云々とありまして、これはダムですね、「又は災害を軽減するために必要な措置をとるべきことを指示することができる。」というのです。指示することができる。でありますから、一体この河川法第五十二条の指示というものはいままでにどれくらいダム災害のときに出たのか。今回も、私がいまから聞かんとすることは、黒部川の俗にいう黒四のダムが温水して下のほうの入善とかそういう町々が被災した。これはこの前も問題になったし、あしたもおそらく関西電力が相当つるし上げられるのじゃないかと私も期待しておりますが、こういう問題がある。一体この五十二条の指示ですね、河川管理者がどういう見解をとるかという、ものの判断ですが、そういう点について、これは法改正しなければならぬという声が非常に現地にある。河川局長はもう河川の神様ですからこの点よくおわかりだと思うのですが、局長のこれに対する御見解をお聞きしたいのです。
  233. 坂野重信

    ○坂野説明員 お答えいたします。  これは非常にむずかしい問題でございますが、私どもは決して五十二条の発動ということに消極的ではないわけでございます。ただ五十二条を発動するためにはいろいろの準備が要りますし、また、先生御承知のように、現在存在する利水ダムが必ずしも五十二条を発動するような条件を整えていないわけです。まずそのダムの大きさの問題があるわけです。小さなダム洪水調節をやらせようと思ってもできない。それから構造上、そういった洪水調節のできるような構造を持っておるもの——黒部川の黒四のダムのあたりは必ずしも洪水調節のできるようなダムの構造ではないわけです。無理にやらせようと思えばできないことはないわけですけれども、本来そういうぐあいに構造的に成り立っていないというような問題。それからやはり気象庁予報といいますか、これは気象庁の問題になるわけですけれども、最近のような局地的な集中豪雨、どこにいっどういう雨が降るかわからぬような事態において、うっかりたとえば予備放流をやれといいましても、予備放流をやった直後に下流のほうにえらい大雨でも降ったら、これは人工洪水——洪水から守るためにかえって洪水を起こすような問題が出てくる。そういうようなことを考えますと、なかなか五十二条を発動するにはよほどの準備、よほどの予報、それからいろいろな構造的な制約というものの上に立って考えなければいかぬ問題なので、私どもとしては五十二条をいきなり発動するよりも操作規程——四十七条にダムの操作規程の規定がございます。これは利水のダムにつきまして、河川管理者がダムの操作規程についての承認をとる条項をうたっております。承認をとらせる。その場合に河川管理者は関係都道府県知事の意見を十分徴してやることになっておりますので、できるだけそういった操作規程の段階でダムの操作というものをルール化しておく。そうしておきませんと、これはいきなりしろうとがばっとやれといわれましても、ダムの管理者といいましてもなかなか経験者は限られた人でございますので、そういった臨機応変の判断をするには気象のすべての分析というものがなければいかぬ。そうするとやはりルール化しておいて自動的に、ある雨が来た、それによって相当訓練された上で、そのルールの範囲内においてやるということにしておいたほうが大きな間違いがないわけであります。そういう意味合いにおきまして、そういったダムの操作規程を私どもとしては徹底的にいま指導をやっております。昨年も佐久間ダムの問題がございまして、斉藤先生からもずいぶんおしかりを受けて御指導を賜わっておるわけでございますが、なかなか操作の問題というものは、へたに誤ると、洪水を防ぐという目的がかえって洪水を助長するというような問題がございますので、相当慎重には慎重を重ねてやっておるわけでございます。操作規程をできるだけ洪水調節の役に立つような方法で変更さす、そういうルール化をする、そうしてその範囲内においてできるだけ主任の責任の技術者が判断をして、その操作規程を弾力的に運用するというのが、やはりまず私どもの第一の着手じゃないかというようなぐあいに考えておるわけでございます。ただしかし、明らかに気象条件等からいって、あるいは構造的にいっても、五十二条を発動して適切である、あるいは下流に対して重大なる大災害が発生するというような、国民経済上また国土保全上重要なる影響を及ぼすというような段階、そういった条件がそろいますれば五十二条を名目的に発動するということにやぶさかではございませんが、そういった名目的な問題でなくても、五十二条の精神を実質的に生かして、五十二条に自動的に移っていくということのほうがより効果的じゃないかということで私どもとしては行政指導をしているような次第でございますので、その辺ひとつ御了承お願いしたいと思います。
  234. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私は河川局長のお話、よくわかります。よく理解できます。しかし営利を目的とし、またその目的が電気をつくるとか、水が直接その会社の、またはそういった企業体の営利に関係してくることになってくると、河川局長さんがお考えのような問題じゃないんですな。それはもう水一升を金に換算するというようながめつい考えを持っているのですから、だから電力会社のダムなんというのは水が財産、これは先輩である斉藤さんがいつも持論で言っておりますよ。斉藤さんは車の中じゅう、おれは関西電力が恨めしいと言っておりましたよ。私はそういうことは無関心だったから、斉藤さんに相当聞いたのでわかったのですが、そういう考え方でいきますと、四十七条と五十二条とどっちが優先するかということになるのですよ。これは向こうがあなたのような理想的な考え方をしてくれていればいいですよ。そうじゃないから今度のような事故が起きた。各被災町民が関西電力に損害補償ということで、むしろ旗をおっ立てて陳情に行こうとしている、またしている。だから、関電が正しいデータを出したかどうか、それはわれわれもわかりませんが、こういうことを言っておるのです。富山県会の水害対策特別県会においては、黒四ダムがあったために黒部川はんらんは防げたのだ、なかったらもっと大きなはんらんが起きただろう、こういう思い上がったことを言っておるのです。これは河川局長の見解からどうなんですか。  第一点は、四十七条と五十二条とどちらが優先するのか。次は、そういうようなことを関電で言っているけれども、一体この黒部ダムはそういう目的を達し得るのかどうか。これは権威のある県会の席上言っておるのです。これはどうですか。
  235. 坂野重信

    ○坂野説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、私どもとしては四十七条の操作ルールというものをできるだけ洪水調節に役立たせるような方針で行政指導を行なってまいりたい。しかし、先ほど申し上げましたように、条件が整い、そういった気象条件等から見て適切である、どうしても五十二条を発動しなければいけない、名目的に見てもはっきり五十二条を発動しなければいかぬという場合にはあえてそれにやぶさかではございませんが、佐久間ダムの例に見ていただきますように、私どもは昨年の災害が起きてからかなり行政指導をやり、通産省なり電発のほうにも御協力を願って、幸いにことしは佐久間ダムにおいては予想以上の成果をあげたという実例があるわけでございます。ですから、これはやはり電力会社の考え方でございまして、極端に申し上げますと、五十二条を発動して電力に著しい損傷を来たしたという場合には、その時点において関係省で集まって善処をなさなければいかぬわけで、おそらく補償問題等も出てくるかと思います。しかしやはり通常、先ほど申し上げたように技術的にこれはむずかしい問題があるわけであります。  そこで、そういう制約のもとにおいて間違いのないようにやっていくにはやはり操作ルールというものを十分検討して、そうして電力会社といえども——これは私ども別に電力会社を擁護する気持ちは毛頭ないわけで、先生方と全く同じ気持ちで、河川管理者としてはやはり河川治水上の問題こそが重要であって、それにあわせて河川の利用という問題も重要なことは先生御承知のとおりでございまして、そういった精神上、考え方において何ら変わることがないと思いますので、そういう観点からひとつ適正な管理を行なってまいりたいというように考えております。
  236. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 確かにそのとおりなんですが、ここで私は気象庁にお尋ねしたいのです。  いま河川局長が重大な発言をしておりますよね。これはそういった気象条件が整わない。それで富山県会では知事が五十二条を優先だと言っておるのですよ、県会会議録を見ると。ところがそういった気象条件が整う、またそういった判断をする、これは明らかに裏日本の気象観測体制というものを、国がそれだけ万全の体制を整えてからの話なんですね。現在のように、先ほども私どもが報告の中で申し上げましたが、立山山系気象レーダー観測所を設けろ、弥彦山レーダー観測所整備しろ、こういう重大な一連の裏日本対策——これからも起きるであろうところのこういった台風集中豪雨等に、日本でも「黒部の太陽」とまで言われ、映画やテレビにまで出るようなこういう大型ダムについて、気象条件が整った整わないという判断を知事ができないような気象体制の弱体化であったのでは、一体五十二条が優先するのか四十七条かという議論になってくると、これは国に責任が出てきちゃう。でありますから、私はまず、この裏日本の気象観測体制というものは、現在の体制のままでどの程度防災体制の完ぺきをはかれるのか、あるいは現在の体制では防災体制台風集中豪雨に対する要撃体制というものは不完全である、もっと関所を多く設けなければならぬ。要するに、富士山山頂レーダー観測所のように、日本アルプスの立山山頂に富士山のあのレーダーと同等もしくはそれ以上の設備を持った立山山頂レーダー観測所を設置しなければならぬという富山県当局の要請、われわれも同様にこれを感じてまいりました。私はいま三点お尋ねしておりますが、これに対するところの御見解を承りたい。
  237. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 お答え申し上げます。  現在気象庁では台風とか集中豪雨に対しましていろいろの方法を使って鋭意努力しているわけでございますが、その中で先生御指摘がございましたような裏日本の日本海側の体制に対しましては、たとえばレーダーは福井の東尋坊にあって北陸三県をカバーしておりますし、また新潟の弥彦にレーダーがございます。これらのレーダーで気象の条件、特に雨雲を観測いたしまして、極力われわれとしては雨またはその雨量などを予測いたしまして、気象台から注意報あるいは警報を出して情報を流し、資料を流していくわけでございます。  立山のレーダーに関しましては、現在気象庁としてはすぐつくる予定はございません。弥彦のレーダーに関しましては、今後さらにこれをもっと活用するように検討する方向で進んでおります。  それから第三点の、われわれが今後のこういう異常気象に対してどの程度予想できるかという問題でございますが、こういう気象現象を観測いたしますときは、まず平生毎日一定の基準で一定の観測をし、予報を出すわけでございますが、その中に台風であるとか、あるいは集中豪雨のような、平生の気象状況をこえたある異常な特別な、あるいは集中的な現象があらわれるというふうに判断をいたしましたときには、レーダーの観測の回数をふやしたり、あるいは予報官がさらに詳しく調べるような体制をとっております。ただ残念ながら、現在観測施設のさらに中間に位しますような観測点のないところに対しまして、つまり先ほど先生がお話しになりました、いつ、どこで、どの程度という非常に局地的な、あるいは時間的に短時間の予報となりますと、広い範囲ではわかるのでございますが、非常に局地的な短時間のことは技術的にわからないという状態がございます。
  238. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 わからないというのは、これからの科学もしくはこれからの気象体制というものが整っても、なおかつそういうむずかしい問題はわからないのか。  それから、いま気象庁、あなたはまことに薄情な言い方をされたのですが、立山山頂にはレーダーはつくらない。つくらないと言ったって、あなた、われわれは、国民は、何としたって必要なものはつくる。日米安全保障条約においては、佐藤さんは三次防にはばく大な金を、予算を計上している、あるいは四次防もこれからやるでしょう。必要とあらばナイキアジャックスも入れる。必要とあらばファントムも入れる。必要とあらば、船田構想によれば百万の国民軍もつくろうという構想がある。佐藤さんは何と言ったかと申しますと、みずからの国をみずからの手で守る国防の自衛意識——一九七〇年以後、これから起きてくるであろう民族主義というものは、私はこういう一国の防災体制の中に民族主義意識というものが盛り上がって、みずからの国をみずからの手で防災していくのだという気概を持って十分にやっていくのが政治だと思うのですね。あなたは大臣になったようなつもりで、私はやらないと言っているけれども、やらないなんて、どこで一体そんなことを判断するのか。おかしいですよ。やるとかやらないとかいうのは国民がきめるのです。議会がきめるのです。そのために衆議院、参議院、国会がある。そういった議会制民主主義というものは、あくまでも民衆の要求を政治というテクニックの中で生かし切っていく。一言で言えば、多くの税金を集めてそれをいかに使うかということが政治でしょう。そういうことをいまここでできないなんと言う。それはあなたの立場としては逆に、いまのような貧弱な予算では、観測体制では、これからのわが国の防災体制を完ぺきにはできない。総理、どんなことがあってもこれだけの予算をつけてくれ、また国会においてもどうぞ協力してくれというのが私は当然の姿であると思う。それをできない——できないと言ったって、必要だからみんな陳情者が来ている。  ところがきょうここにだれもいないのですよ。公明党の質問になるとばかにして来ないのだ、こんな大事な話をしているのに。私はこういう被災県の連中にも言いたい。これだけの大事な審議をしているのに、富山県も青森県も新潟県もみんな帰ってしまった。まだ四時だ。私ははっきり言うと、もう言ってあげたくないんだ、こんなに薄情な……。だけれども言わざるを得ない。多くの民衆はこのことによって悩み、なおかつ財産が失われ、とうとい人命を失っていることを思えば言わざるを得ない。たった一人でも聞いてくれる人があれば言います。  どうしてあなたはそのことに対して、立山山頂のレーダー装置は必要がないということをきめつけるのか。これはまず第一番にお尋ねしたい。金がないのか、必要がないのか。それで片面においてはゲリラ豪雨の予想もできない。ゲリラというのは右に出るか左に出るかわからないからゲリラなんで、わかれば正規軍なんです。こういうことが感知でき得る体制を整えるのが、観測体制の責任を預かる気象庁の役目だと私は思いますが、いかがですかこの点については。
  239. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 ただいまの先生のお話に関しまして、立山のレーダーに関しましては、私の上司である長官に申し上げて検討したいと思います。
  240. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そういうふうにいかなきゃいけないですよ。上の者に聞きもしないでもってだめだなんて、そんな権限はないはずだ。  それで、私が調べてきたところによると、大雨注意報発表が八日の十七時十五分に出ているのです。きょうは、この現在時点においては黒四ダムの貯水量はわからないと思います。わからないね。わからないと思いますからけっこうです。これはあした斉藤さんに聞いていただきます。八日十七時十五分現在大雨注意報が出ております。この時点において黒四ダムの貯水量は幾らか。これは私が聞きたいことを斉藤社会党代議士にお願いしたい。これが大事なかぎになっているんです。放水したのが十一日です。大雨洪水注意報が発表になったのは九日と同じく出ております。そうして十日には大雨洪水注意報解除が出ている。そうして十一日にまた大雨洪水警報が流れている。この資料富山地方気象台の資料です。これをいま私読んでいるんです。これが大体問題になって、これから黒四ダムの人災であるか、多目的ダムの性格を逸した利水ダムのどういう結果が生まれてくるかということがあす議論になるので、でありますから、私は公明党としてはきょうは玄関口のそこまで開いておきますが、こういった予報というものは、いまも河川局長がおっしゃるとおり、こういう大事な気象という完備したことがなければ五十二条、四十七条の使い方がたいへんなんだ。だからこそ気象体制というものは完ぺきになり、なおかつ正確な予報というものを求めて求めて求め抜いていくというところに、私はこれからの気象体制の姿勢があると思うのです。そうしませんと、これからいろいろとダム問題が起きてきたときにお互いの責任のなすり合いになって、最後にばかを見るのは被災民なんです。でありますから、私はこの点について裏日本の気象体制というものを——富山県知事が涙を浮かべて私どもに陳情したのです。でありますから、この点についてもう一言あたたかみのある御答弁を議事録に載せて、私はそれを複写にして富山県知事に送ってあげたい、こういういま気持ちでおりますので、御答弁をひとつお願いします。
  241. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 申し上げます。  気象観測体制の充実につきましては、水害用ロボットの更新、またそれに関連いたしまして、農業気象業務整備を行なって観測点を充実する、気象観測施設の近代化を行なうとともに、弥彦山気象レーダーの施設の強化を計画中であります。なお、さらに、近い将来におきまして、気象レーダーの情報を伝達する組織を整備するように検討中でございまして、これによりましてさらに一そうわれわれの監視体制を強めまして、より一そう予報その他に努力する所存でございます。
  242. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 まことにありがとうございます。それではひとつよろしくお願いいたします。  時間もございませんから、これで質疑は打ち切りますが、最後に、これは河川局長にお願いしたのであります。これは道路のことですが、建設省の最高の人がきょうは局長しかいないので……。  今回、日本海沿岸の国道八号線という、あの親不知子不知、糸魚川からずっと行きますね、新潟県と富山県境の青海町でしたな。あの青海町の被害というものはものすごいものがあります。ちょうど平家のひよどり越えのさか落としのようなもので、山のふところが浅くて、すぐもう海へ行っちゃうんです。そのために国道が遮断されて一時は孤立した。海上から物資を輸送した。こういう親不知子不知の、これはもう昔からの難所でありますが、国土総合開発の立場からこういった道路の拡幅、またあそこの町は、このままであったのではまた大被害が起きるから人類の移動を行なおう、町ぐるみの移動を行なおうというようなことを言っておりますが、こういったことについての御見解をひとつお願いしたい。これをもって私の質問を終わらしていただきます。
  243. 坂野重信

    ○坂野説明員 担当が違いますが、先生の御趣旨をよく生かすような方向で検討するように道路局長によく言っておきます。  それから、道路のいろんな災害の問題で、海岸沿いの道路は確かに被災を受けておりまして、上からの崩落物があった場合に対する構造物の強度の問題等につきましても先般御指摘がありましたので、道路局で目下検討中でございます。
  244. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 以上をもって終わります。
  245. 川村継義

    川村委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は明三日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後四時五十一分散会