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1969-02-19 第61回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十四年二月十九日(水曜日) 午前十時三十分
開議
出席委員
委員長
川村
継義
君
理事
池田 清志君
理事
内海
英男君
理事
細田
吉藏
君
理事
湊 徹郎君
理事
金丸 徳重君
理事
斉藤
正男
君
理事
神田
大作
君
天野
光晴
君 稻葉 修君 坂本三十次君 塩谷 一夫君 谷垣 專一君 中山 榮一君 藤本 孝雄君
古内
広雄
君
三ツ林弥太郎
君 水野 清君 山口 敏夫君 早
稻田柳右エ門
君
唐橋
東君
永井勝次郎
君 野口 忠夫君 芳賀 貢君 平等 文成君 福岡 義登君 小沢
貞孝
君
小川新一郎
君
出席政府委員
総理府総務副長
官
鯨岡
兵輔君
警察庁刑事局長
内海
倫君
厚生政務次官
粟山 秀君
建設政務次官
渡辺 栄一君
消防庁長官
佐久間 彊君
消防庁次長
山本 弘君
委員外
の
出席者
内閣総理大臣官
房参事官
川上 幸郎君
警察庁刑事局保
安部防犯少年課
長 本庄 務君
国税庁間税部長
佐藤 健司君
厚生省環境衛生
局環境衛生課長
赤穴
博君
厚生省社会局施
設課長 大和田 潔君
農林省農地局建
設部災害復旧課
長 櫻井 芳水君
中小企業庁計画
部金融課長
井川 博君
運輸大臣官房観
光部長
蜂須賀国雄
君
運輸大臣官房観
光部整備課長
林
幸二郎
君
建設省河川局防
災課長
坂井 秀正君
建設省住宅局調
査官
沢田
光英君
建設省住宅局建
築
指導課長
前川
喜寛
君
消防庁予防課長
高田 勇君
消防庁調査官
川島 巌君
—————————————
二月十九日
委員佐々栄三郎
君
辞任
につき、その
補欠
として
唐橋東
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員唐橋東
君
辞任
につき、その
補欠
として
佐々
栄三郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
昭和
四十三年における
特定地域
に係る
激甚災害
の
指定
及びこれに対し適用すべき
措置
の
指定等
に関する
問題
福島
県
郡山
市における
火事
による
災害対策派遣
委員
からの
報告聴取
————◇—————
川村継義
1
○
川村委員長
これより
会議
を開きます。
災害対策
に関する件について
調査
を進めます。 この際、昨十八日
政令
が公付されました
昭和
四十三年における
特定地域
に係る
激甚災害
の
指定
及びこれに対し適用すべき
措置
の
指定等
に関する
問題
について、
政府当局
から
説明
を聴取いたします。
鯨岡総理府総務
副
長官
。
鯨岡兵輔
2
○
鯨岡政府委員
前々からたいへん御心配をいただいておりました主題の件について御
報告
申し上げたいと思います。
昭和
四十三年における
特定地域
に係る
激甚災害
の
指定
及びこれに対し適用すべき
措置
の
指定等
に関する
政令
の制定につきましては、昨年十一月に、
局地的激甚災害
に対処するため、
市町村
を単位とする新たな
局地激甚災害指定基準
を決定いたしまして、
昭和
四十三年
災害
から適用すべく、当
委員会
でも御
報告
いたしましたところでありますが、その後
関係省庁
において鋭意作業を進めてまいりました結果、二月十四日の
閣議
において決定し、昨十八日
政令
第十三号をもって公布、施行いたしましたところでございます。 この
政令
のおもな
内容
は次のとおりであります。
激甚災害
として
指定
いたしましたのは、えびの地震による
災害
であって、宮崎県えびの町及び鹿児島県吉松町の
区域
にかかわるもの、
台風
第七号による
災害
であって、岐阜県美濃加茂市、白川町等の
区域
にかかわるもの、八月の二十日から同月二十三日までの豪雨による
災害
であって、
北海道戸井
町、青森県今別町等の
区域
にかかわるもの、さらに、
台風
第十号による
災害
であって、長野県阿南町、天竜村等の
区域
にかかわるもの等、全部で十六
災害
であります。 これらの
激甚災害
に対しましては、
激甚法
第二章の
公共土木施設災害復旧事業等
に関する特別の
財政援助
、第五条の
農地等
の
災害復旧事業等
に係る
補助
の
特別措置
、第六条の
農林水産業共同利用施設災害復旧事業費
の
補助
の
特例
、さらに第十二条の
中小企業信用保険
による
災害関係保証
の
特例
、さらに第十三条の
中小企業近代化資金等助成法
による
貸付金等
の
償還期間等
の
特例
、第十五条の
中小企業者
に対する
資金
の融通に関する
特例
及び第二十四条の
公共土木施設
、
農地
、
農業用施設等
小
災害
に係る
地方債
の
元利補給等
の
措置
が、各
災害
の
被害状況
に応じてそれぞれ適用すべき
措置
として規定しているところであります。 なお同時に、
閣議決定
により、
中小企業金融公庫
及び国民金融公庫による
低利融資
を行なうよう
措置
もいたしてございます。 以上御
報告
を終わります。(
拍手
)
川村継義
3
○
川村委員長
これにて
説明
は終わりました。 本
問題
に関する
質疑
は後日に譲ります。
—————————————
川村継義
4
○
川村委員長
本日は、
福島
県
郡山
市における
火事
による
災害対策
について
調査
を進めてまいりたいと存じます。 まず、
同市
における
火事
による
被害状況等調査
のため、先般当
委員会
より
現地
に派遣されました
委員
から
報告
を聴取いたします。
斉藤正男
君。
斉藤正男
5
○
斉藤
(正)
委員
福島
県
郡山
市における
火事
による
被害状況等調査
のため、二月七日
議長
の承認を得て、同月十二日、十三日の両日、
福島
県に派遣されました
派遣委員
を代表して
調査
の
概要
を御
報告
申し上げます。
派遣委員
は、自由民主党の
古内広雄
君及び
細田吉藏
君、
日本社会党
の
川村継義
君及び私、
斉藤正男
、
民主社会党
の
神田大作
君及び公明党の
小川新一郎
君の六名であり、ほかに
地元選出議員
多数の御参加を得ました。 われわれ
調査団
は、二月十三日
福島
県
郡山
市の
磐梯熱海温泉
、
磐光ホテル
並びに
磐光パラダイス
の
火災現場
を克明に
調査
した後、
郡山
市
熱海支所
において、
県当局
並びに市長及び
市消防長
から事情を聴取し、各
委員
の熱心な
質疑
により、
現地
の
実情
を十分に把握してまいりたいのであります。 なお、
同市太田総合病院附属熱海病院
に入院中の
重傷者
の
方々
をお見舞い申し上げてまいりました。 まず、
火災
の発生、
避難
の
状況
、
消防活動
及び
被害
の
概要
について申し上げます。 二月五日午後九時ごろ、
磐光ホテル
一階
大広間舞台裏
の控え室において、
金粉ショーダンサー
六名中の四名が、隣接する
磐光パラダイス
一階
大宴会場
で
開催
中の
ショー
に出演するための準備中、そのうちの一名が、
金粉ショー
において
使用
するたいまつの両端にベンジンを含ませて五、六本壁に立てかけたものに、近くにあった
石油ストーブ
の火が燃え移り、
火災
が発生したのであります。
ショーダンサー
が、
消火
のためこたつのふとんをとりに行ったときには、火は手のつけられない
状況
に燃え広がっていたとのことであります。 おりしも、戸外は
風速
二十五メートル、瞬間
最大風速
四十メートルというあられまじりの
ふぶき
であり、同
ホテル
及び
パラダイス
の
屋内
は、
集中的温風暖房
により極度に乾燥しているという
状況
で、
発火地点付近
に
集塵ダクト
があったこと、あるいは燃えやすい壁、
天井等
、建材の材質などの
悪条件
が重なって、火勢の強さと
火面
の広がりの早さは、
一般
の
火災常識
では
想像
を絶するものであったといわれます。 当日同
ホテル
及び
パラダイス
内には、
収容人員
一千名のうち、
宿泊客
二百九十名、このうち、約八割の
人々
が
ショー
を
見物
中であり、ほかに、
地区
内及び他の
旅館
から
ショー
を
見物
に来ていた者約三十名、
従業員
三百七十九名、合わせて七百名の者がいたのでありますが、
火災警報装置
は、前後九回ぐらいの停電によりスイッチを入れ忘れたといわれ、スピーカーによる
警報
も聞いた者がなく、
ショー
の
観客
は、
隣接部分
で出火してから十分程度経過して、
ショー
が進行中の
大宴会場
に火が回り、出演中の歌手が歌っている途中で、
舞台
の上から「
火事
だ」と叫んだことにより初めて
火事
を知ったということであります。
避難
の
状況
について申し上げますと、
ショー
の
観客
は大
混乱
におちいり、
出入り口付近
でかなりのもみ合いが行なわれ、
ホテル
及び
パラダイス
の両玄関、
パラダイス
の
舞台裏
、あるいは大浴場、並びに
非常口
からそれぞれ
避難
した
模様
であります。 特に、多くの
人々
が殺到したと思われる
非常口
が、施錠してあったため、ガラスをたたき割って脱出をはかるまでに非常な
混乱
が生じ、数多くの
死傷者
を出すに至ったのであります。
犠牲者
の倒れていた位置及び姿勢から類推すると、
ロッカー
といわず、トイレといわず、とびらのあるところはすべて開いて前進しようとした
状況
が歴然としており、
従業員
が
ロッカー
を出口と間違えて死亡していることからしても、当時の
避難
の困難さをうかがい知ることができるのであります。
一般
の
宿泊客
は、二階、三階から飛びおりるなどして
避難
した
模様
でありますが、骨折などの
負傷者
がかなりいるといわれます。また、一方において、
新建材等
による濃煙によって死亡したと推定される者もあるとのことであります。
消防
の
活動状況
は、午後九時十五分、一一九番によらず、
一般加入電話
による
通報
で
火災
を覚知し、二分後に
熱海出張所
から
先着隊
が到着、引き続き
市消防署
並びに各
地区消防団
が出動し、
消防
車三十四台、
救急車
、可
搬式ポンプ等車両
四十七台、
出動人員
五百五十名をもって
救急活動
及び
消火活動
に当たったとのことでありますが、
先着隊
が到着したときにはすでに
パラダイス
、
ホテル
及びレストハウスの二階は
火面
に包まれ、一部三階に達している
状況
で、
ホテル
の二階及び屋上において
救助
を求めている者数名もはしご車によって救出したとのことであります。
消火活動
は、おりからの
強風
により、
ポンプ
による
注水
は
有効注水
がきわめて困難であった上に、
ホテル正面
の
安積疎水玉川用水路
の水が、工事のため
水門
を閉鎖されていて
有効水量
を確保することが困難な
状況
にあり、わずかに
ホテル敷地
内の
観賞用
の池と、裏側を流れる
側溝等
が有効に活用されたとのことであります。 零下三度という
ふぶき
の中で、
もろもろ
の
悪条件
に悩まされ、
消防職員
にも五名の
負傷者
を出しながら、目ざましい活躍によって人名の
救助
並びに
隣接民家等
への延焼を防止した
地元消防隊
の
方々
に対しここに
調査団
として深甚の敬意を表しておきたいと存じます。 かくて、六日午前三時十五分、
ホテル
、
パラダイス
をあわせて一万七千七百平方メートルを焼失して鎮火したのでありますが、
人的被害
は、
ショーダンサー
及び
従業員
各二名を含め、死者三十一人、
重軽傷者
三十一人にのぼり、先般の
水上温泉菊富士ホテル
、
有馬温泉池之坊満月城
の
火事
に引き続き、戦後
旅館
の
火事
としては
最大
の
犠牲者
を数えたのであります。 次に、今次の
火災
がかかる大
惨事
を惹起した背後に存在する
問題点
を捨い上げてみたいと存じます。第一に
問題
となりますことは、同
旅館
の
消防施設
の
不備
と
管理運営上
の重大なる欠陥があげられなければなりません。
市消防本部
の調べによる同
旅館
の
消防法令関係
の
違反事項
は、(一)、
避難器具
の未
設置
、(二)、
誘導標識
の
充電式
の未
設置
、(三)、
消防計画書
の未
提出
、四、
消防設備
の
維持管理
が不完全であった。(四)、催しものの
開催届け
の未
提出
、(五)、
裸火使用
の届け出の未
提出
、(六)、
小量危険物取り扱い
上の
不備
の七項目が指摘され、
同市消防署
は、昨年五月十日から十二月十二日までの間に、六回にわたって各般の
指導
、警告を発し、また、十二月十二日には、
消防署
及び
地元消防団
と合同して
消防訓練
を行ない、あわせて
自衛消防隊
の
訓練
と
避難訓練
を実施しているにかかわらず、実際には全く役立っていないのであります。
消防施設
の
不備
について一例を申し上げますと、同
パラダイス
の二、三階の
宿泊施設廊下
の
突き当たり
に
非常口
の標示がなされているのでありますが、
階段
を取りつける
予定
で、現実にはまだ
階段
が設けられておらず、当時
宿泊客
がなかったため大事に至らなかったものの、もし大ぜいの
宿泊者
があったならば、この
非常口
から
避難
しようとして殺到した者が、なだれを打って転落する
惨事
を招来したであろうことは
想像
にかたくなく、まさにりつ然とする思いであったのであります。 また、
管理運営上
の
問題
として指摘されております点は、(一)、火気を用いる
ショー
を行なうような
舞台
の裏に
消火器
がないといった
状況
で、
初期消火
に失敗するとともに、
消防署
に対する
通報
がおくれたこと、(二)、
内装
が
不燃材
でなく、
暖房設備
の
構造
が火の回りを早めたこと、(三)、エレベーターを
設置
する
予定
の
空洞等
が
火流
を
上層階
に運ぶ
役割り
をしたこと、(四)、
従業員
の
避難誘導
の不徹底、(五)、
館内通路
に売店のケース、
遊技具等
があって、
避難口
に通じる
通路
が狭隘であったこと、(六)
非常口
が施錠されていて容易に開かなかったことなどがあげられております。
従業員
の
避難誘導
につきましては、全く
組織
的に行なわれていなかった点は重々責められるべきところでありますが、
市消防長
の
説明
によると、
パラダイス
一階の
泉水付近
で死亡していた十九歳の
男子従業員
は、勇敢に
宿泊客
の
避難誘導
にあたっていたと推定される情報があるとのことで、もしそうであるとすれば真に賞讃されるべき行為であると考えますので、早急に
調査
の上、しかるべき
措置
を講ずるよう希望いたしておきたいと存じます。 第二の
問題
としては、
異常気象
による
強風下
の
火災
であったことをあげなければなりません。 第三は、長期間にわたる
集中的温風暖房
により
建物
全体が極度に乾燥していたこと、及び
館内
の気流が
ホテル側
から
パラダイス側
の方向に流れていたことがあげられます。 その他、
因果関係
については目下
調査
中といわれますが、
出火地点付近
に
集塵ダクト
があったこと、
強風下
でたびたび停電したこと、あるいは水利の
問題
としてたまたま
安積疎水
の
水門
が締められていたことなど、数々の
悪条件
が重なったことはまことに不幸なことであったと申すほかはなく、将来に備え、もって他山の石とすべき
教訓
を読み取ることが肝要であると思うのであります。 なお、
地元消防本部
が、今次の
火災
から得た貴重な
教訓
としてあげております点を御紹介申し上げますと、 (一)、濃煙により
屋内消防活動
がきわめて困難であるので、屋外からの送水により活用できる
散水消火装置
が必要であること。 (二)、
ダクト
について、防火上の
配慮
を行なうとともに、定期的な
整備点検
及び清掃が必要であること。 (三)、
火災
を発見した者の
通報処置
について系統を定めておくこととともに、
従業員
の
避難誘導
について
体制
を整え徹底せしめること。 (四)、
ダクト内燃焼
に対する
消火方法
と
消火器
及び
屋内消火栓
の
使用方法
の
教育訓練
を徹底すること。 (五)、
強風下
における放水は中途で折られ、
射程距離
が極度に
制限
されること。 (六)、
屋内進入
による
検索用個人装備
の
強化
と、長時間に及ぶ
消防活動
の
各種補給
について、要員及び
器具
の円滑な
供給体制
が必要であること。 また、
県当局
からも、
消防法
、
建築基準法
上の
建築物
の
構造
、
設備
、
消防用設備等
の
基準
の引き上げ、
消防法
の
改正
及び環境衛生金融公庫の
融資ワク
の拡大について要望があったことを申し添えておきます。 最後に、今後の
対策
として考慮すべき
問題
について、われわれ
調査団
としての
意見
を申し述べます。 まず、最も基本的な
問題
として指摘しておきたいことは、
旅館
、
ホテル等
の
火災
を防止するための各
行政機関
の統一的な
措置
の
必要性
についてであります。
旅館
、
ホテル等
の
建築
、
営業
、あるいは
消防施設
の
整備等
について、
政府
並びに県、
市町村等
各
行政機関
が行なう
検査
、
許可
、
指導等
の諸
措置
は、
建築基準法
、
旅館業法
、
消防法等
の
諸法令
の
ワク
内で、それぞれの
行政機関
によって
各個ばらばら
に行なわれている
実情
にあり、その
関係
は
複雑多岐
にわたり、相互の
関連性
が十分であるとはいいがたく、責任の所在もまた明確であるとはいい得ないのであります。 このことは、それぞれの法のたてまえ上、また現在の
行政機構
の
実態
に照らし、一面においてやむを得ない点があることは理解できるのでありますが、続発する
ホテル火災
の
実情
を見るとき、いま一つ大所高所から総合的な視野に立った
配慮
に欠ける点は指摘されなければならないところであります。これまでの経験に照らし、少なくとも
旅館
、
ホテル等
が
建築物
を建て、
消防施設
を完備して、これから
営業
に入るという時点において
営業
の
許可
を与える際に、それぞれの
法令
の要請しているところに合致しているかどうかについて総合的な
確認
を行なうことが必要であり、このような
制度
、
運営
について早急に検討を加えるべきであります。
営業
の
許可
を与えた後も、適切な
検査
、
指導等
が必要であることはいうまでもないところであり、このために、各
行政機関
の
権限
の
明確化
と実効あらしめるための
権限
の
強化充実
についても考慮する必要があろうと思われます。これらの点は本
委員会
において十分に論議を尽くし、必要な
諸法令
の
改正等
、抜本的な
対策
を樹立することにより、再びかかる
惨事
を惹起せしめないことが肝要であると思うのであります。 次に指摘しておかなければならないことは、
消防組織
の
充実強化
並びに
広域消防
の
体制
の
整備
についてであります。 申すまでもなく、
消防
の任務は、
消火活動
のみにとどまらず、
災害
の防除をすべてつかさどるものであり、その
組織
の
充実強化
、
装備
の
近代化
をはかることはもとより、人口、産業の
都市集中
などの
社会情勢
に即応した
広域消防
の
体制
を
整備
することにより
消防機能
の
向上
をはかることが肝要であります。 次に
問題
とすべき点は、
旅館
、
ホテル等
の
経営者
の
経営倫理
の高揚と
一般旅行者
ないし
国民全般
の
消防意識
の
向上
に資するための諸
施策
についてであります。
経営者
が、
営業
にあたって、まず考慮すべきは、多数の
人命
を預かっているという自覚に立ち、
人命
の安全を期することにあるのはいうまでもありません。
消防施設
の
整備充実
はもちろん、
自衛消防隊
の
組織
の
整備
、
従業員
の
教育訓練等
に積極的に取り組ませるようふだんの
指導
が肝要であります。 また、
一般旅行者
の側に対しても、
旅館等
における
非常口
など
避難路
、
避難器具
の
確認
あるいは
新建材
による煙害など、日常の
消防意識
の涵養について十分に周知徹底せしめる諸
施策
が必要であると思うのであります。 次に、指摘しておきたいことは、最近、
ホテル
、
旅館等
において、
劇場
、
映画館
その他の
遊技施設等
を設けて多数の客を誘致する傾向が顕著でありますが、これらに対する
営業
の
許可
、
取り締まり
あるいは
指導等
について、
制度
上明確な方向づけが必要であり、特に
火災予防
の
見地
から適切な
指導
が行なわれるよう
当局
の注意を喚起しておきたいと存じます。 その他、全国に散在する
温泉保養地
の
実態
を思うとき、防災上の
見地
から市街地の
改造
、道路の
整備等
の
都市改造事業
を推進すること、あるいは
中小規模
の
旅館等
の
経営者
に対する
安全施設整備
のための
融資等
について
配慮
を行なうことなどについて、この際、
政府
の
善処方
を要望いたしておきたいと存じます。 終わりに、今次
災害
によってなくなられました
方々
に対し、衷心より哀悼の意を表しますとともに、われわれ
調査団
の
調査
に御協力を賜わった県及び
市当局
の
方々
に深く謝意を表して
報告
といたします。(
拍手
)
川村継義
6
○
川村委員長
これにて
派遣委員
の
報告
は終わりました。
派遣委員各位
には、まことに御苦労さまでございました。
—————————————
川村継義
7
○
川村委員長
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
天野光晴
君。
天野光晴
8
○
天野
(光)
委員
いま
視察
結果の
報告書
を朗読されましたが、その
視察
の
実態
に徴しまして
委員会
がキャッチした
もろもろ
の
問題
、
意見等
が添えてありますが、いまの
報告書
の
内容どおり
の
運営
を今後
執行部
がやられれば、これは文句はないわけでありますが、そこに非常に
問題点
が多いと思いますので、その中の一、二の点を具体的に質問したいと思います。おもに
営業
の
許可
、
建築
の
許可
、
消防
の
取り締まり等
に関連して質問をいたしたいと思います。これは、どうかひとつ簡単に
答弁
をして、要領よくやっていただきたいと思います。 第一に、
建築基準法
に関してお尋ねするのでありますが、
建築基準法
に基づいて、
旅館
、
ホテル
での興行、いわゆる
遊技場施設等
の
設計基準
というものは、その
地域地域
においてきまっておると思いますが、まず第一に、
郡山
市
磐梯熱海温泉
の、今度
火災
を起こしました
磐光ホテル
並びに
付属パラダイス
、いわゆる
遊技場関係
のこの二つの
建物
がありますが、
ホテル
のほうはちょっと前に建ったものでありますが、
パラダイス
のほうの
許可
は、いつ
許可
されましたか。
沢田光英
9
○
沢田説明員
四十二年十一月二日に
確認
されております。
天野光晴
10
○
天野
(光)
委員
四十二年十一月二日に
確認
ではなしに、
許可
を与えたと了解してよろしいですか。
沢田光英
11
○
沢田説明員
確認
を与えました。
天野光晴
12
○
天野
(光)
委員
その
許可
の
内容
に
遊技場
的な
施設
、
舞台等
があるわけでありますが、
映画館
、要するに
映画
を上映するという
許可
になっておりますか。
沢田光英
13
○
沢田説明員
確認
の
内容
は
ホテル
、そういう
内容
で
申請
が出ておりまして、それで
確認
をいたしております。ただし、その中に一階のホールでございますとか、それから三階の
ショールーム
、こういうものが含まれておりまして、これは
ホテル
でございますが、
使用
上は
劇場
あるいは
観覧場
というふうな
特殊用途
に類するものということでございまして、
確認
の際には、これはそれぞれの
特殊用途
の
制限
による規制を適用いたしまして、
確認
をいたしております。
天野光晴
14
○
天野
(光)
委員
特殊用途
といいましても幅が広いと思いますが、具体的にいって市内の
映画劇場
を
許可
する場合の
基準
と——いま言った特殊的というその
内容
は、非常に幅が広いのですが、それは
映画
を上映しても差しつかえないという
許可条件
になっておりますか。
沢田光英
15
○
沢田説明員
その
申請
には、
映画館
という記入がございません。そこで、そこいらの町の
映画館
と同等のものがそこにあるという
確認
はいたしておりませんが、そこで小規模ながらさようなことが行なわれるということで、それに準ずるような、たとえば
内装制限
、
不燃材
で
内装
をやる、そういうふうな
内容
の
確認
をいたしております。
天野光晴
16
○
天野
(光)
委員
ショールーム
であって、小規模な
映画
なんかも上映しても差しつかえないというような
関係
で
許可
されたと言いますが、その
許可
の
基準
と
映画館
の
許可
の
基準
とは、一体どっちがきつくできていますか。同じですか。
沢田光英
17
○
沢田説明員
内装制限
、たとえば
避難路
の確保その他は、同じに見ております。
天野光晴
18
○
天野
(光)
委員
ずいぶん苦しい
答弁
のようですが、
映画館
は
映画
を見るための客を入れます。そうですから、
映画館
がかりに全焼にあった場合と、ああした
遊技施設
、特にこの
建物
は
ホテル
もその階に兼ねています。要するに、
パラダイス
というのは
遊技場
だけではなくて、その階の中には
ホテル
もあります。兼業であります。その中で最も
火災
につながりやすい
映画
を上映する
施設
は、普通の
映画館
よりよりきつくやるべきであると私は考えています。というのは、
映画館
は
映画館
に入っている人間だけですから、万一のことがあればすぐわかるわけですが、一方は、
映画
を映しておっても見ても見なくてもいいわけですから、
泊まり客
が一ぱいいるわけですから、そういうものをやるのに
扱い方
としては非常にまずい
扱い方
をしておったのではないか。この間
現地
での
調査
のときの
答弁
では、興行場としての
許可
は受けていないと、こう
現地
でははっきり県の
建築
課長が言っているのですが、そこは間違いありませんか。
沢田光英
19
○
沢田説明員
興行場法の
許可
は受けておるそうでございます。
天野光晴
20
○
天野
(光)
委員
興行場の
許可
というものは一本ですか。その中に差別はありませんか。いわゆる興行場というものは、きょう警察からもお見えになっておりますが、要するに入場料を取って客に見せる、いわゆる
ショー
も興行場、歌を歌う、歌謡曲なんかやる場所も興行場、要するに
映画
をやるのも興行場、芝居をやるのも興行場、これはみな一本で
許可
していますか。差別はありませんか。
赤穴博
21
○
赤穴
説明
員 興行場の
許可
につきましては、スポーツ、演芸、
映画
その他いわゆるそういう見せものとして
一般
の
方々
にお見せする場所につきましては興行場法がございます。もっぱら衛生上の観点から必要な規制をいたすということで興行場法がございます。これにつきましては、
映画館
でありますとかあるいは演芸場あるいはスポーツ
施設
、それらをすべて含んだ上での興行場として規制をいたしております。しかしながら、この規制はもっぱら——
建築
あるいは
消防法
上の
問題
は、これは別個の観点からそれぞれ
建築基準法
あるいは
消防法
上の規制を受けるわけでございます。これらの
営業
形態の
許可
につきましては、もっぱら衛生サイドから必要な
設備
があるかどうかということを判断した上で
許可
をいたす、こういうようなことに相なっております。
天野光晴
22
○
天野
(光)
委員
錯覚を起こさないでいただきたい。私が聞いておるのは——衛生
関係
その他の厚生省
関係
はあとでお聞きします。いまは
建築基準法
関係
で、
建築物
を建てるものに対して
制限
しておる
問題
、要するに、自分みずからあるいは他に危害を与えるおそれのあるというものを
制限
するのが
建築基準法
だと思う。それで、
建築基準法
から見た興行場というものの
許可
の中には、一本で何をやってもいいという
許可
なのか、それとも
映画
をやるにはこういう
設備
をしなければという特段のケースはないのか、こう聞いておるのです。
沢田光英
23
○
沢田説明員
基準
法上は、たとえば興行場法とは
関係
なく、その
使用
の様態によりまして
制限
をかけております。したがいまして、たとえば
一般
公衆が入るような
映画
に使われるというところと認められますれば、さような
映画館
の
特殊用途
ということで
内装
その他の
制限
をかける、こういうようなことでやっております。
天野光晴
24
○
天野
(光)
委員
磐光ホテル
一本にしぼってお聞きしますが、
磐光ホテル
のいわゆる
ショー
をやるその
舞台
は、私は焼けてから見たのだから焼けない前のやつはわからないのですが、これは
許可
になった書類が
福島
県の
建築
課にあるはずで、いつでも
確認
できることでありますから、
答弁
はきちっとしてやっていただきたい。
映画
を上映するということに関する
建築
の
内容
ではないと私は了承しておりますが、その点はどうですか。
沢田光英
25
○
沢田説明員
建築
確認
の
申請
には小ホールということで出ておると存じております。ただし、
建築
主事が
説明
を聞きまして、さような用に使われるであろうということを認めましたので、
映画館
に準ずるというような
内装
その他の
制限
でこれを
確認
した、かような次第でございます。
天野光晴
26
○
天野
(光)
委員
そうすると、
映画館
に準ずるような
内装
だけでそこは
許可
した。私が聞いておるのは、要するに普通の町の
映画館
でやる
建築
許可
の
基準
と、ああいう今度
許可
した
基準
とは同じかどうか、わかりやすく言えば、こう聞いておるのだ。
沢田光英
27
○
沢田説明員
制限
の
内容
は全く同じでございます。ただ、たとえば
内装制限
をとりますれば、小規模な場合には
内装制限
を書かなくてよいような場合がございます。たとえば何百平方以下のものは書かない。あの場合は非常に小さいのでございますけれども、
劇場
、
映画館
でございますから、
映画館
の
内装
の
制限
と申しますか、そういうものをやれということで
確認
しております。
天野光晴
28
○
天野
(光)
委員
何かこの間一緒に
調査
に行ったから、そこらあたりでいろいろ考えたのじゃないかと思うのです。あのとき一緒に行ってわかっておると思うのですが、
映画
を上映するいわゆる興行場の
許可
は出ていないと
建築
課長があそこで明言しておるのだよ。それでいいですか。興行場の
許可条件
、要するに
映画
等を上映する形のものの
許可
ではない。
営業
関係
のほうは、厚生省
関係
の
許可
は、興行場の
許可
は出ておるが、
建築
のほうはそうではないと
建築
課長はあそこで
答弁
しておる。それで
答弁
は違いありませんか。いま責任をとれということで言っておるんじゃないから、法律
改正
したいと思って言っておるのだから、そこは法律についてもうちょっと冷静に
答弁
していただきたい。言いのがれをするというような
答弁
でなしにひとつやっていただきたい。
前川喜寛
29
○前川
説明
員
建築
確認
申請
書の場合、出てまいりましたのは、あそこは
ホテル
、レジャーセンターという形で出てまいりまして、そして事故の起こりました
大宴会場
、あそこは
大宴会場
という記入になっております。その他は小ホールその他という形になっておりまして、
劇場
、
映画館
というふうな記入がないものですから——あの
申請
のときでございますので、いわばレジャーセンターという
制限
は
基準
法にはございません。したがいまして、
旅館
の
制限
であの
申請
書を法律上は見ました、こういうことでございます。
天野光晴
30
○
天野
(光)
委員
そこで、一緒に行ったのだから課長よくわかっておるはずだと思うのです。あとで興行をする場所に変えたとかなんとかいう
問題
は、それは別だ。それは責任は別ですからね。私が言っておるのは、ああいう類似のものが今後数多く国内に
許可
願いが出てくると思うのです。そういうときに、あれがかりに一階であったから——一階で全然ないところでやったというその責任追及の
問題
は別ですが、あのときのものが、一軒のうちだから、こっちがこわれているからこっちでやるのだというような安易な
ショー
ではなかったと私は了承しているのです。そういう点で、
建築基準法
の興行
関係
の
許可条件
は、私は
映画館
の設計等について県と打ち合わせをしたことがあるのですが、非常にむずかしいのです。これはもう簡単にここで
答弁
するようななまやさしいものじゃない、
映画館
の
建築
基準
というものは。しょっちゅうあそこは
映画
をやっておったそうだ、あの三階の
ショールーム
で。だから、
映画
を上映するとするならば、普通の
映画館
よりもより強固な、強力な
避難
体制
その他の防火
体制
を整えるようなかっこうで
許可
をすべき性質のものであると私は考えているから、そういうことについていま質問しているのですから、その
許可
の
内容
が悪かったとかいいとか聞いているのじゃないのですから、もうちょっとすなおに、間違いのないように
答弁
してもらいたいと思うのです。ですから、興行場、いわゆる
映画館
としての
許可
は出ていなかったということになれば、そこで
映画
を上映して、入場料を取ってお客さんに見せているのですから、それは
経営者
の責任
問題
になると思うのです。ところがあなたのほうで、いや、それはその
基準
でやったのだからだいじょうぶということになると、その点
問題
はなくなるわけですが、その点を聞いておるわけですから、間違いのないように
答弁
していただきたい。 そこで、
営業
関係
について厚生省にお尋ねするのですが、厚生省はもっぱら衛生
関係
、いわゆる採光、換気その他衛生
設備
等の完備があれば、
建築基準法
等の
関係
はなくとも、厚生省
関係
はそれだけ一本に、さっき
説明
のあったようにしぼっておるのですから、これは
ホテル
、
旅館等
も含めて、それ一本で
営業
の
許可
をされ、
建築
に関しては全然関知しておりませんか、そこらあたりをひとつ……。
赤穴博
31
○
赤穴
説明
員
旅館業法
、興行場法サイドだけから申し上げますと、さような手続になるわけでございます。
実態
上におきましては、
建築基準法
の届け出がされたもの、あるいは
確認
をそれぞれされたということを
建築
主事等と十分連絡をとりまして、それで
確認
を受けたものについて事実上の
許可
を与えておるわけでございます。向こうの
確認
のないものについては、事実上こちらの単独で興行場あるいは
旅館
というものの
許可
を与えていることは少なくともございません。
天野光晴
32
○
天野
(光)
委員
それではお伺いしますが、
許可
関係
のものは何と何がありますか。要するに
消防
関係
、それから
建築
関係
等、いわゆる総合的に
営業
をやるために
許可
を与えるのは、総合的に見て、結局は
営業
許可
が
最大
、最高のものですから、最終的にやるのは厚生省
関係
がやるわけですから、その
許可
をやるために
関係
しているのはどことどこですか。
赤穴博
33
○
赤穴
説明
員 もっぱらそういう面からいたしまして私のほうで御相談申し上げておりますところのものは
消防
関係
、それから
建築
関係
でございます。
天野光晴
34
○
天野
(光)
委員
そうしますと、
消防法
関係
と
建築基準法
関係
によって差しつかえのない
建物
である、差しつかえのない
設備
があると、こうはっきりしてからでないと
営業
の
許可
はいたしませんな。
赤穴博
35
○
赤穴
説明
員 たてまえといたしまして全部がそういうふうなたてまえにはなっておりませんけれども、そういう
措置
をできるだけ講じてやっておることは事実でございます。特に今後の
問題
といたしましては、昨年の有馬
火災
以降につきましては、特に
消防
関係
につきましては
消防
機関の通知書を受けまして、その
確認
を得た上でなければ
許可
を与えないという
措置
を本年からすでに採用いたしておるわけでございます。その点は事実上の
問題
として具体的な
措置
を講じております。従来は、
指導
の
体制
としてそういう
措置
を講じておったことは事実でございますが、これが必ずしも全部が全部そのような
措置
が講ぜられておったということは申し上げられないかと存じます。
天野光晴
36
○
天野
(光)
委員
そうしますと、有馬温泉の
火災
以後は、
委員会
のほうから、ここで議論されたか、あるいは
視察
結果の
報告
等にもあったのじゃないかと私思うのですが、それに基づいて、要するに各
許可
関係
のものを取りまとめてやるようにした、こう了承していいのですな。 そうしますと、それは行政的な
措置
でありますな。法的根拠はありますか。
赤穴博
37
○
赤穴
説明
員 有馬
火災
以後、各省が
ホテル等
の安全
対策
の
強化
ということで、それぞれ総合的に各法を運用いたしましてこのような事故をぜひとも防止したいということで、そのような行政
措置
として各省それぞれとるということで協議いたした上で、そのような
措置
を講じておるわけでございます。
天野光晴
38
○
天野
(光)
委員
いままでの厚生省のとった態度に対しましては、非常に遺憾の意を表します。いやしくも厚生省
関係
は
人命
に一番関心を深く払わなければならない。にもかかわらず、
消防署
のほうの
確認
書が来たのか来ないのか、
建築基準法
の
確認
書が来たか来ないかは別
問題
にして、採光、換気、要するに客観的に見てその衛生上の
問題
だけ解決すればそれでいいといって
許可
しておいたことにつきましては、私は非常に遺憾の意を表したい。しかし、有馬温泉以後それがそういう形になったとするならば一歩前進ですから、それは了解しておきますが、いずれにしろこれは強力な法の根拠をやはり必要としたいと私は思います。そういう点で、この
問題
を、
営業
の
許可条件
を与えるのに際して、
関係
各省の
許可
が完全に整わなければ
営業
の
許可
は与えないということは、やはり法的に書くべきだと思うのですが、それについて政務次官の所見をお伺いしたい。
粟山秀
39
○粟山
政府
委員
ただいま課長から申し上げたように、そういう
確認
がされていない場合は
営業
許可
は差し控えるものとするということにはなっておりますけれども、これを法的にきちんとするということについては、各省と今後よくお話し合いをいたしまして、そういうふうにするというような処置はとられるべきであろうと思います。
天野光晴
40
○
天野
(光)
委員
消防
関係
についてちょっとお伺いしておきたい。
消防署
関係
は、ああいう興行場あるいは
ホテル
、
旅館等
に関する
消防法
による規制はどういう点でございますか。
佐久間彊
41
○佐久間
政府
委員
ホテル
、
旅館
の中におきまして、
劇場
、演芸場等の用途に供しております部分についての規制の
問題
でございますが、
消防法
上は、その用途に従いまして、場合によりましては規制を変えております。たとえば電気
火災
警報
器などでございますれば、普通の
旅館
にもっぱら使っておる部分については規制はございませんけれども、
劇場
でございますればそういう規制が加わる、こういう形になっております。ただ、現実に
建築
の際にここを
劇場
としての用途に供するかどうかということは、
建築
機関から同意を求められました際の
状況
によって判断をするということにいたしておるわけでございます。
天野光晴
42
○
天野
(光)
委員
私の聞いておるのは、あれは
ホテル
と
遊技場
と一つの
建物
です。
ホテル
は先につくったのですが、あとの
建物
はすぐ隣につくって、一つの
建物
として使っておるわけですから、先の
ホテル
の場合は別として、あとからつくったいわゆる
遊技場関係
兼
ホテル
の
建築
に対して、
消防法
に基づくその
施設
、それから準備すべき
避難器具
あるいは
消火器
等の
問題
で、これだけでは
営業
は
許可
できないんだぞということにつながっているんじゃないかと私思うのですが、そういう意味で、
消防法
はいいのだ、もう
関係
ないのだというならば別ですが、そうでなくて、さっきの厚生省の話ですと、
消防署
の
確認
書を得て、ということは
消防署
のほうに
関係
があるということになるのですが、
消防署
のほうも
消防法
に基づいて、この
営業
の
問題
についてはこういう
設備
とこういう準備をしなければいけないという規定があると思うのですが、それは何と何ですか、こう聞いておる。
佐久間彊
43
○佐久間
政府
委員
旅館業法
として、
旅館
としての
営業
を
許可
されます際におきましては、先ほど厚生省のほうから
答弁
がございましたように、従来は、
消防
のほうからの
意見
を求められるということは、法的にも根拠がございませんでしたし、現実にもやっていなかったと思います。ただ、昨年の有馬
火災
以後のお互いの申し合わせによりまして、そういうような
指導
をいたしておるわけでございます。
天野光晴
44
○
天野
(光)
委員
確認
しておきますが、そうすると現在も法的根拠はない。 それでは
消防法
に基づいて
消防署
が
避難口
をつくれとか、あるいは
避難
場所を用意しろとか、
消火器
を置けというようなことは、どういう根拠に基づいてやっておるのですか。
佐久間彊
45
○佐久間
政府
委員
消防法
におきましては防火上の
見地
から、
旅館
の場合にはどういうような
消防
用
設備
を設けなければいけないとか、あるいは
避難
設備
を設けなければいけない、あるいは
劇場
の場合にはどういうような
設備
を設けなければいけないということは規定をいたしております。したがいまして、
消防
機関といたしましてはでき上がりましたものにつきまして予防査察をいたしまして、その
法令
どおりなされておりません場合にはそれをするように命令をするということをいたしておるわけでございますが、ただ
営業
の
許可
がなされます際に、
消防
機関にその点を聞かれるということは、先ほど来厚生省から御
答弁
がありましたように、法的根拠はなかったわけでございます。
天野光晴
46
○
天野
(光)
委員
そうするとあれですか、要するに
消防法
に基づく
制限
というものと
営業
の
許可
とは全然
関係
ないのだ、こう了解していいのですか。
佐久間彊
47
○佐久間
政府
委員
建築
の
関係
につきましては法的にも、
建築
確認
をいたします際に、
消防
機関の同意が必要だということで、
建築
関係
のほうから書類が回ってまいりまして、
消防
機関のほうではその書類を見まして、
消防
用の
設備
が
消防法
の規定どおりに備わる計画になっておるかどうかということはチェックいたします。しかし
旅館業法
のほうの
営業
の
許可
の際には、法的にはさようなことはなかったわけでございます。
天野光晴
48
○
天野
(光)
委員
建築基準法
に基づく
建築
設計、施工等に関しては、その
使用
目的に沿った状態において
制限
をする、こう了解していいわけですね。
佐久間彊
49
○佐久間
政府
委員
先生のおっしゃいます意味、あるいは取り違えておるかと思いますが、
建築
をいたします際に、
建築
関係
あるいは
消防
関係
で、防火上必要な観点につきましては
消防
機関もその際にチェックできる、かようになっておるわけでございます。
天野光晴
50
○
天野
(光)
委員
そうしますと、結局
消防法
も基本的にはその
営業
の種類によって法の
運営
に弾力性があるものと了解しておるのですが、かりにそうだとすれば、普通の
一般
民家はどうとか、アパートはどうとかあるいは興行場はどうとか、あるいは
ホテル
はどうとか、何十階建ての
建物
はどうしなければいけないというふうに、おのおの
制限
があるだろうと思うのです。その
制限
の目的はやはり
使用
目的につながると思う。要するに、
ホテル
の
建物
を建てて、
営業
の
許可
とは全然
関係
ないという考え方はちょっと了解できないのですが、そこらあたりは、
営業
してもしなくてもそれは厚生省
関係
だから、いままでは全然
関係
なかったのだというように了解していいのですか。
佐久間彊
51
○佐久間
政府
委員
あるべき姿といたしましては、先生の先ほど来御指摘になっておりますように、私も、
営業
の
許可
と私どものほうの法律上の義務の
確認
というものとは関連を持たせてやるべきものだと思っております。しかし、現行法上は、
営業
の
許可
をなさいます際に、
消防法
上の
基準
に適合しているということが
許可
の要件になっているということにはなっていないわけでございます。ただ事実上の
問題
といたしまして、たとえば今回の場合も
消防
機関といたしましては、焼け残りましたニュー磐光の部分につきまして、
消防法
上の規定に基づきまして
使用
停止処分にいたしておるわけであります。停止処分にいたしました結果、事実上
営業
できなくなる、こういう関連はございますが、
消防
機関といたしましては、
営業
と
関係
なく、
消防法
上の規定の上から
使用
停止処分にした、かような法律
関係
になっております。
天野光晴
52
○
天野
(光)
委員
何かわかったようなわからないような——そうしますと
建築基準法
の
問題
だけで任意に、要するにその他の
消火器
の
設備
とかそういうものはどういう考え方、法の根拠はどういうことで
避難
場所をつくれとか、あるいは
建築基準法
外ですから
避難
用具を必要としない、
消火器
も必要としないというふうに了解していいですか。
佐久間彊
53
○佐久間
政府
委員
私の御
答弁
の申し上げ方が、ことばが足りなかったので先生に御理解いただけなかったと思いますが、
消防法
の規定によりまして、どのくらいの規模の
建物
、あるいはどういう用途に供する
建物
、何階建ての
建物
というものにつきましては、たとえば
消火
せんはどういうふうに取りつけろ、
避難器具
はどんなものをつけろ、あるいは自動
火災
報知機はどんなものをつけろというような規定は
消防法
で規定をいたしております。
天野光晴
54
○
天野
(光)
委員
私も舌足らずで聞き方がまずかったと思うのですが、
建築基準法
で、
建築物
の
使用
許可
をする場合に、防火
関係
の法律は一切整っていると了解していいわけですね。
佐久間彊
55
○佐久間
政府
委員
建築基準法
と
消防法
関係
の防火上の規定につきましては、
建築
確認
の際に私どもと十分打ち合わせがなされて行なわれておる、こういうことでございます。
天野光晴
56
○
天野
(光)
委員
そうなれば、ちょっとそこで
問題
が起きてくるわけです。先ほど
報告書
にもあったように、二階、三階の
非常口
の
階段
は、法的
見地
からいえば
避難
階段
、
非常口
がつくられていなくてもあの
ホテル
遊技場
の
建築物
の
内容
においては差しつかえない、こう了解しておりますが、これは
問題
じゃないのです。ただし、必要である
避難器具
の用意がなかったのを、
消防
関係
はこれの
使用
許可
をしたということになる。いまだにその
器具
の
設備
がない。話に聞けば
避難器具
をつける場所がない、どこへつけたらいいかということで、この
建築物
の
営業
は一昨年の十一月に
許可
されているのでありますが、もうまる一年以上にもなっている。その
設備
が最初からないものをなぜ
許可
したかということです。
消防
庁が
建築基準法
に基づいてその
許可
を与えたということになるのですが、それはそういうふうに了解していいのですか。
現地
に課長が行っておられるから、その点よくおわかりだと思うのです。
佐久間彊
57
○佐久間
政府
委員
これも私、先ほどちょっと御
説明
のことばが足らなかったと思いますが、
建築
確認
の協議を受けます段階におきましては、いわゆる
建築
と直接結びついた
消防法
上のいろいろの
施設
でございまして、あと
建築
ができましてからその
設備
をするようなもの、これは
建築
確認
の際にはまだはっきりわかりませんから、これはできましたあとで、
消防
機関の査察によって欠陥が発見されたならばそれを励行させるということで、
建築
確認
の際には、その点は今回の場合には見ておらなかったようでございます。
天野光晴
58
○
天野
(光)
委員
そうしますと、
建築基準法
に基づくものといえば
避難口
とか、要するに
避難
をする個所だけの
問題
で、それをさっき私は二つに分けて聞いておるのですが、その部屋の中に
設備
するようなものは
営業
とは
関係
ない、こう了解していいですか。どうですか。
佐久間彊
59
○佐久間
政府
委員
営業
とは
関係
ないと思います。
天野光晴
60
○
天野
(光)
委員
そうすると、
消火器
あるいは
避難器具
等の用意はしなくてもよろしい、あることが望ましいが、しなくてもいいんだというふうに了解していいですね。
佐久間彊
61
○佐久間
政府
委員
営業
許可
の時点におきましては、先生のおっしゃいますように、
営業
許可
とは
関係
がないということでございます。 それからまた、先ほど
問題
になりました
建築
確認
の時期、このときにはまだ設計だけでございますから、そこにはたして
避難器具
が
設置
されるかどうかということはわからないわけでございますので、その
避難器具
が実際にあるかどうかは、竣工いたしましてからあと、
消防
機関がこれを点検して
確認
をする、こういう段取りになるわけでございます。
天野光晴
62
○
天野
(光)
委員
そこがちょっと
問題
なんだ。そうすると、
建物
についておる——要するに
消防法
によって
建物
に
制限
されるもの以外のもの、いいですか、以外のもの、たとえば
消火器
とかあるいは
避難
用具のようなものはなくてもよろしいのだというふうに——極論ですよ。いまの話だと、
建物
を建てたばかりのときにその用意は見るわけにはいかないから、これは
建築基準法
に基づく
許可
制限
だけの、
消防法
に基づくものだけを見て
許可
する。
営業
の
許可
をする段階においては、それは法的に全然
関係
はないから厚生省は
営業
の
許可
をするだろう。何の目的で
消火器
とか、あるいはああいうものを
消防法
に基づいて
設置
させるのですか。それは
消防法
には根拠がないのですね。そういうものは置かなくてもいい。置かなければならないとはないわけですね。
佐久間彊
63
○佐久間
政府
委員
消防法
上は、先ほども申し上げましたように、こういうものを置かなければならないということにいたしておるわけでございます。したがいまして、
消防
機関といたしましては、
営業
の
許可
と
関係
なしに、そこで
建築物
ができて
営業
が行なわれている状態におきまして査察をいたしまして、それらのものが
設置
されておりませんければ
設置
するように
指導
をしておるわけでございます。ただ、御指摘のように
営業
の
許可
という、その
許可
処分そのものとは法律上関連はない、こういうことでございます。
天野光晴
64
○
天野
(光)
委員
そうすると、そうしたものは備えつけなければならない。何の目的で……。
佐久間彊
65
○佐久間
政府
委員
これは防火、安全の目的でございます。
天野光晴
66
○
天野
(光)
委員
防火、安全の目的で備えつけなければならないものが、その
営業
を開始するときに備えつけなくてもよろしい、あとから査察して注意するだけ、それでいままでいいと思ってきましたか。
佐久間彊
67
○佐久間
政府
委員
これは
営業
が開始されます際には当然備えつけられていなければいけない。
消防法
の
関係
ではそうなるわけでございます。ただ
営業
の
許可
処分の条件として、
許可
官庁でそれがなければ
許可
をしない、こういう
関係
にはなっていなかったということでございます。
天野光晴
68
○
天野
(光)
委員
それの罰則はどうなっています。備えつけなかった場合に罰則はどうなっていますか。
佐久間彊
69
○佐久間
政府
委員
消防法
上の
消防
用
設備
を備えつけてなかった場合におきましては、備えつけるように
措置
命令を出すことができます。その
措置
命令に従いません場合におきましては罰則がございまするので、
消防
機関としては告発ができる、あるいはまたその備えるべきものが備わっていないために著しく危険だという場合には、
営業
停止を命ずるというような
措置
ができるわけであります。
天野光晴
70
○
天野
(光)
委員
まあいいでしょう、それぐらいで。何ぼ言っても責任のがれ。私は責任を追及しておるわけじゃないのです。こういう
火災
を今後また起こさないようにしたいと思いますから、そういう点で、いま言うとおり、法的には根拠がない、法的には根拠がないというようなことを言っておりますが、
消防法
に基づく
基準
というものは
人命
に関する
問題
が
最大
の目的だと思いますよ。その
営業
をやるのに備えつけなければならないものを、
営業
をやってから査察して注意することができる、その注意を聞かなかったら処分ができるなどというようななまぬるいことをやっておるから、ああした大きな
問題
が起きるのです。それをいままで一向差しつかえないのだと考えておられるような、そういう無神経さでは話にならない。非常に残念ですが、そう思います。 それから、興行場の中の
取り締まり
は一体、
消防
でやるのですか警察でやるのですか、どっちでしょうな。
営業
に関する
許可
というものは、たとえば
映画館
で
映画
を上映する、あるいは
ショールーム
で、
映画館
の
設備
のないところで
映画
の上映をするというような場合の届け出とかその
許可
とか、あるいはこの間のような場合は、三階の
ショールーム
が風のために屋根が飛ばされて、その
ショールーム
でできなくて、普通の
宴会場
で最も危険な火をもてあそぶ
ショー
をやったということなんですが、そういうものの
取り締まり
はどっちでやるのですか。
赤穴博
71
○
赤穴
説明
員 演芸、スポーツ、
映画
等、常設的にやっております場所につきましての
取り締まり
は当然興行場法でやるわけでございます。こういうものをやる場合には、それぞれ都道府県知事の
許可
を得てやるということに相なっておるわけでございます。
一般
的には興行場法の規制を受けるわけでございます。
天野光晴
72
○
天野
(光)
委員
興行場法の規制を受ける。その末端の行政官庁は県ですか。
赤穴博
73
○
赤穴
説明
員 通常、保健所がその末端の窓口になっておるわけです。
天野光晴
74
○
天野
(光)
委員
事故の起きた場合の責任追及は警察ですか。
内海倫
75
○
内海
政府
委員
事故が起こりました場合に、刑法上追及すべきものありとすれば、当然警察において行ないますし、またそれぞれの行政
法令
、特に罰則のついております行政
法令
に違反があるとするならば、そういう違反としての犯罪の追及ということは当然警察においても行ないます。
天野光晴
76
○
天野
(光)
委員
いま取り調べ中だからその
内容
の公表はできないと言われればそれで終わりなんてすが、新聞紙の報ずるところによると——今度の
火災
においては
もろもろ
の刑事責任を追及する
内容
を含んでいると私は思うのですが、新聞紙上の報ずるところによると、責任の追及をする手がないというふうに地元の新聞は書いておるのですが、警察庁としては何かこの
問題
について地元警察からの連絡等ございましょうか。
内海倫
77
○
内海
政府
委員
今回の
火災
につきましては、だれがこの
火災
の原因をなしておるかということにつきまして、当然捜査をいたす必要がございますので、現在も捜査を実施いたしております。現在までのところ明らかになっておりますのは、あの
ショー
に出ましたダンサーですか、これらの行為において重過失致死罪あるいは重過失失火罪、こういうふうな面における責任は十分追及でき得るものという観点で捜査を行なっております。この
ホテル
の
経営者
についての刑事責任ありやいなやという
問題
につきましては、非常にいろいろ条件がございますので、これらについて現在各面からの取り調べを行なっておるところでございます。
天野光晴
78
○
天野
(光)
委員
現地
を
調査
したわれわれの勘ですが、あれが三階の
ショールーム
であの
火災
が起きたとすれば、あれほどの
被害
は起きなかっただろうと思う。あれは一階で、ことに暖房を流す穴からどんどん火が拡大したということになるわけでありますから、要するに一番大切なことは、火を扱った直接の者が大切であるが、刑事責任追及について、私はこうした
ショー
をやる場所を取りかえた責任のほうが重大だと思うのです。その点については非常にむずかしいという話をされたが、いま質問している中でわかるように、これは端的にその
ホテル
の
経営者
の責任だと私は思うのですが、それがやはりむずかしいのでしょうかね、いままでの
報告
の状態では。どうですか。
内海倫
79
○
内海
政府
委員
先刻御存じのように、私ども今度の
火災
につきましては別のところにいろいろな原因等があろうと思います。したがって、それらの事柄については十分究明いたしたいと考えておりますけれども、ただ、刑法を適用してこれを犯罪として処断するためには、その間におけるいわゆる法理上の相当
因果関係
というものを明らかにいたさなければいけませんので、そういうものを明らかにし得る、あるいはそういうことによって犯罪の事実があると確信し得るまでは、われわれとしてはいまここでそういう犯罪ありとか、あるいはなしとかいうふうなことを申し上げる段階ではないと思います。ただ、われわれとしては、ああいう大
火災
のあったところでございますから、何としてもその責任を追及しなければならない。その
実態
を明らかにしなければならない。明らかにした結果、その
火災
について、それが踊り手であれ、あるいは
営業
主、
ホテル
の
経営者
であれ、それに責任があるということが明らかになれば、とことんそれは犯罪として追及いたすべきものと考えております。
天野光晴
80
○
天野
(光)
委員
それではもう結論に入りますが、最後に具体的なものが一つありますからそれを建設省にひとつ……。 有馬の
火災
もそのとおり、この間の
磐光ホテル
の
火災
も、要するに
建築
材料の質によって起きたものである。いわゆる
新建材
を使った、その
新建材
が原因であの大量の死人が出たというふうに了解するわけです。視界不明、視界ゼロ、そしてもう悪臭でみな倒れたというのが
実態
です。有馬温泉の
火災
もそのとおりなんですが、もう相当時間もたっておるので、建設省住宅局のほうでは、それに対処をして
建築
材料の
制限
等について、具体的に話し合いが進んでおりますかどうですか。
沢田光英
81
○
沢田説明員
私のほうで最近、一月に
建築基準法
の
政令
を
改正
してございます。この中に幾つか柱がございますが、その中で
内装制限
というのが非常に大きな一本の柱でございます。結局
新建材等
によりますものは難燃材料と称するものでありまして、
不燃材
料あるいは準
不燃材
料のような耐火性の、あるいは煙を出さないというものではないのであります。可燃材料よりは燃えにくい、ただし煙の出るものがかなり入っておる、こういうものであります。しかし、燃えにくいために、
内装制限
の中に、そういうものを使っていい、可燃材料を除いたものとしてはそういうものを使ってよろしい、こういうことに従来なっております。それを今度は、
ホテル
、
旅館
のたぐいには
内装制限
をかけて、可燃材料はまずだめだといたしておりまして、難燃材料はいままで
ホテル
、
旅館
のたぐいには
内装制限
がかかっておらなかったのがまず第一でございますが、それをかけまして、難燃材料までは使ってよろしいということにまずいたしました。そこで、いま先生御指摘のように、
ホテル
で難燃材料の
新建材
から煙が出るという
問題
がございますので、いまその難燃材料の煙の出るものをどうやって排除するかということを昨年来検討しておりまして、告示によりましてこの試験方法を改めて、難燃材料の中からこれを排除するというふうな告示を
政令
の施行までに出したい、かように考えております。
天野光晴
82
○
天野
(光)
委員
それでは私これで終わりますが、先ほど粟山政務次官から
答弁
がありまして、結局これは厚生省が元締めですから、
問題
の目的は
営業
の
許可
をするかしないかというところにかかっているわけであります。そういう点で一番残念だったのは
消防庁長官
の
答弁
なんです。
消防法
に備えつけなければならないと規定してあるものは、
営業
を開始する前にその備えつけがあるかないかを確かめて、そして差しつかえないという形の上で
営業
を
許可
するのが私は一番大切なことじゃないかと思うのです。法的の根拠はないんだ、だからいままではやっていなかったんだというのでありますが、事務
当局
のほうで、厚生省と自治省の
消防
庁と建設省と三つでよく相談されまして、一本で
許可
をする。そしてそのすべての付属するものが完全に整わない以上は
許可
できないんだという形のものに、これは抜本的に法の
改正
をやるべきだと思うのであります。そういう点で、先ほど粟山政務次官から
答弁
がありまして、考慮したい、するということですから、これを一日も早く進めてもらいたい。どうしても進められないようならば、当
委員会
で
委員
の
方々
におはかりいたしまして、議員立法できっちりしたものをつくりたいと思います。そういう点で最後に、これは早急にやるべきだと思いますから、政務次官が——建設省の政務次官はいま建設
委員会
に行っていますからあれですが、中心になられて、この
問題
の促進をしていただくということを条件にいたしまして、私の質問を終わります。
川村継義
83
○
川村委員長
斉藤正男
君。
斉藤正男
84
○
斉藤
(正)
委員
天野
委員
から非常に基本的な、しかも重要な課題について質問があり、これに対して
答弁
がございました。これは非常に重要な
問題
でありまして、
法令
整備
の
問題
もあるでしょうし、あるいは各省庁の調整の
問題
もあるかと思いますが、大前提として
天野
委員
の質問にお答えになったことを了解の上で、やや具体的になりますけれども、
関係
者にお尋ねをいたしたいと思うわけであります。 まず、
消防
庁
関係
に伺いたいわけでありますが、
磐光ホテル
並びに
磐光パラダイス
は、
消防法
の
関係
から、防火、防災、
人命
救助
等々の観点に立ったときに、それらの
器具
機械
設備
等、法に照らしてまずまず合格点であったのか、 〔
委員長
退席、金丸(徳)
委員長
代理着席〕 あるいは全く落第点であったのか、あるいは申し分なかったのか。いろいろ
調査
をした結果の書類等を伺いますとあいまいな点がございますので、まずこの点について伺いたい。
佐久間彊
85
○佐久間
政府
委員
消防
用
設備
の
設置
につきましては、たとえば
避難
設備
、
避難器具
が全然
設置
されていなかったというような
法令
違反の点もございますが、まあ総体としてみますと、まずまず
設備
がなされておったというふうに見ております。ただ、
問題
は、その
設置
されました
設備
の
維持管理
、この点は非常に欠陥が多かったようであります。
斉藤正男
86
○
斉藤
(正)
委員
地元
消防署
は、
昭和
四十二年に二回、
昭和
四十三年に二回、最後は四十三年十二月十二日に総合的な
検査
指導
というようなことで、少なくも
報告書
に出ているものだけでも前後五回の
検査
なり
指導
なりをいたしておるわけでございます。ところがその
内容
を見てみますと、たとえば
消火器
具についてこう書いてあります。「若干の泡
消火器
が
設置
されていたが、その
設置
個数は不明である。」泡沫
消火器
が若干
設置
をされていたが、幾つあったかわからない、こういうようなことが出ておるわけでございます。あるいは
避難器具
については、「全く
設置
されておらず、
設置
義務に違反している。」というようなことも出ている。あるいは誘導灯及び
誘導標識
については、「ともに
設置
されている。」というようなことが書いてあるわけでございます。泡沫
消火器
が
設置
はされていたけれども、幾つ、どこに、どのようにあったかわからない、こういうことなんですけれども、
消防
庁の
指導
として、特にこうした観光
ホテル
、
旅館等
について、消化器が幾つ、どこに、どのように置いてあるかというようなことは、地元
消防署
には図の上ででもあるいはそのほかの方法ででも、
確認
できるような
指導
を一体しているのかどうか。あるいはそういう
調査
なり
指導
をやっているのかどうか。焼けあとへ行ってみると、なるほど今日泡沫
消火器
がありますから、それを見て、若干
設置
はされていたけれども幾つあったかわからないというようなことなのかどうなのか。きわめて不十分だと思うのですけれども、
消防
庁としてはどういう
指導
をされ、どういう行政的な
指導
をされているのか、伺いたい。
佐久間彊
87
○佐久間
政府
委員
ただいま御指摘いただきましたような点につきまして、従来の
消防
機関の査察
指導
の上でいろいろと遺憾な点があったことは事実だと思います。
斉藤正男
88
○
斉藤
(正)
委員
いつの
火災
でもそうでありますし、特に今度の
磐光ホテル
の大火につきましても、地元
消防署
あるいは自警
消防
団のたいへんな活動につきましては敬意を表しているところです。 〔金丸(徳)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕 しかし、いま私が申し上げましたように、前後五回からの
検査
をし、
調査
をしておるのにかかわらず、泡沫
消火器
が何個、どこに置いてあったかも地元
消防署
でも
確認
をしていないというような事態は、これは
消防署
の労を多とすることは十分でありますけれども、なお手抜かりがあった、なお不十分であったというようにしか考えられません。ただ
長官
が、十分でなかったと言うことだけでは済まされない
問題
ではないか。もちろんこの大火の原因が那辺にあったかということを考えたり、あるいは当時の
状況
がどうであったかということを考えますれば、地元
消防署
を責めるなんという気持ちは毛頭ございません。毛頭ございませんけれども、やはり基本的な、ごく初歩の
消防
関係
の査察
指導
において手抜かりがあり過ぎるというように思うのですけれども、
長官
の見解はどうですか。
佐久間彊
89
○佐久間
政府
委員
最近、
消防
行政の面におきまして、予防業務のウエートが非常に高まってきております。そこで、
消防
機関といたしましては、二面
火災
に備えて待機をしておらなければならない反面、また予防査察に参らなければならないということで、地方の小規模の
消防署
におきましては、署員が非番のときに予防査察をやるというような
状況
で、いろいろ努力はしておるわけでございますが、それぞれまだ不十分な点があるということは御指摘のとおりでございます。
斉藤正男
90
○
斉藤
(正)
委員
消防
庁の
報告書
を見ましても、「最近では、
昭和
四十三年五月二十五日、
確認
に伴う竣工
検査
が行なわれ、その際、
消防
当局
も共同で
検査
を行なっている。」これはおそらく
建築基準法
に基づく
確認
が
関係
者によって行なわれたときに、
消防署
も立ち会ってやっておられるということだと思うのですけれども、それにしては少しおそまつではないかというように感じるわけでございます。特にこの
報告書
の中で、「誘導灯及び
誘導標識
、ともに
設置
されている。」ということですけれども、私どもが実地に拝見をした中で、たとえば
パラダイス
の二階、三階の廊下の
突き当たり
に、ちゃんと
非常口
という標識灯があるのです。ところが
階段
はない、こういうことなんです。なるほどその
階段
の必置につきましては、
消防法
上はなくても違法ではないということでありましょうけれども、
非常口
という標識がありながら
階段
がないということは詐欺行為ですよ。そういう点を
指導
した結果、
階段
を発注してある、こういう地元の態度でございました。この辺も、いついつまでにつけろ、つけなければ停止だぞというくらいのやはり行政
指導
をしない限り、業者は金もうけに一生懸命ですけれども、今日なお
人命
尊重という態度については、あらゆる大きな
ホテル
、
旅館
の
火事
から考えましても、薄いんですよ。私はやはり、義務
設置
のものは最小限
設置
をしてあった、しかしその管理
運営
あるいは非常の際の行動について手抜かりがあったということだけでなくて、
人命
尊重の
見地
からこういうものは設けろという
指導
を行政的にやらない限り、非常な
問題
を今後に残すというように思うわけでございます。少なくも非常の際の防火、
避難
、防災といったような立場については、二〇〇%、三〇〇%の
施設
があってしかるべきだ、こういうように考えておりますので、ぜひひとつこの点については考慮をいただきたい。なお、法の
改正
が必要とあるならば法を
改正
しても——私はいまの段階では、二度とこのような
惨事
が起こらないと断言することはだれもできないと思う。もっと危険な、もっと悪い条件の
ホテル
、
旅館
が各所にあるということから考えますれば、ぜひひとつ強固な行政
指導
を行なっていただきたいと思う。もう一度
長官
の見解を伺いたい。
佐久間彊
91
○佐久間
政府
委員
おっしゃいます点、全く同感でございます。 なお、先ほどあわ
消火器
の御指摘がございましたが、あわでない通常の
消火器
につきましては、これは
消防署
も十分、個所、数も把握しておったようでございます。あわは特殊なものでございますので、少し手抜かりがあったようでございます。 それから誘導灯、
誘導標識
につきましても全く御指摘のとおりでございまして、実は、従来
消防法
令で誘導灯、
誘導標識
を設けなければならないという規定はございましたが、これが停電になりました場合に一緒にあかりが消えてしまうということでは何にもなりませんので、ただいま
政令
改正
を準備いたしておりますが、それによりますと、誘導灯の場合には非常電源をつけなければいかぬということを義務づけるようなふうに考えております。 いずれにいたしましても、非常の場合の
人命
の安全ということが最優先的に考慮されなければならない事項でございまするので、従来の行政
指導
で至らなかった点につきましては反省をいたしておりまするし、なおまた
法令
上の
改正
措置
を必要とするものにつきましては、現在も検討いたしておりまするし、今後も引き続き真剣に検討してまいりたい、かように存じております。
斉藤正男
92
○
斉藤
(正)
委員
今度の
火災
の特徴点は、
ダクト
に非常な特徴があるように拝見をしてまいりました。一体
ダクト
とはどういうものであるか、伺いたい。
沢田光英
93
○
沢田説明員
お答えいたします。
ダクト
には大きく分けて二種類ありまして、一つは水道管、配水管、そういうものを
建物
の中に縦横に通します、そのスペースをまとめた
ダクト
というのが一つございます。そのほか、もう一つのほうは、たとえばエアコンをやります、そういうところの空気が通ります
ダクト
、こういうふうな二つに分類されております。
斉藤正男
94
○
斉藤
(正)
委員
いまの
説明
によりますれば、今度の
火災
の特徴点は後者のほうの
ダクト
だろうと思うわけでございますが、この
ダクト
の吸い口が火元に近いところにあった、こういうようにいわれておるわけです。そうしますと、これはエアコン、冷暖房を含め、空気浄化を含めてのことなのか、その辺はどうなっておりますか。冷暖房もその
ダクト
を使ったのか、あるいはエアコンと兼ねてやったのか。
沢田光英
95
○
沢田説明員
ただいまその
ダクト
はどちらに使ったかちょっとわかりませんが、エアコンの空気だけを送る場合と、それから暖冷房を送る場合と二つございます。でございますから、この場合にはどちらになっておりますか……。常通は、エアコンと申しますと両方の機能を兼ね備えたものが大部分でございます。
斉藤正男
96
○
斉藤
(正)
委員
これは
消防
庁のほうでも建設省のほうでもかなり詳細な
調査
を行なっていただいておるとばかり思っていたわけなのですよ。したがって、この
磐光ホテル
なり
磐光パラダイス
の
ダクト
は、一体エアコンと熱風暖房の両者を兼ねていたものなのか、熱風暖房の
ダクト
は別に一本通っていて、エアコンの
ダクト
はまた別なものであったのか、その辺の
調査
はされていませんか。
川島巌
97
○川島
説明
員 私ども、
火災
の翌日に
現地
に行きまして、
ダクト
の状態は一応見てまいったのです。
ダクト
は
構造
上一本のように拝見してまいりました。暖気暖房の
ダクト
は、あそこはある部分は使っておる、そういうふうに聞いてまいったわけでございます。現在、その後の
調査
は手元に資料がございませんので、
構造
上の
調査
はまだ十分まとまっておりません。
川村継義
98
○
川村委員長
ちょっと、前川
建築
指導課長
からどうぞ。
前川喜寛
99
○前川
説明
員 お答えいたしますが、
ダクト
の
問題
、仰せのように非常に
問題
でございまして、大体われわれ聞いておる範囲では、当時の
調査
でも温風ということを聞いておりますけれども、たぶんエアコンも一緒にやっていたのじゃないかという見当でございます。吸い込み口があって、煙がずっと娯楽センターのほうにいったというお話なんかも相当大きな
問題
でございます。その辺のいろいろな、リターンとか複雑な機能があるわけでございますので、そのパイプの配管状態がどうであったかというようなことを至急にいま
調査
してもらっておる最中でございます。
斉藤正男
100
○
斉藤
(正)
委員
これは設計図なりを見ればすぐわかることなんでして、ただむやみやたらに配管をしたわけではないと思うのですよ。しかも、出火場所に近いところに吸い口があった、こういうのです。そうなってきますと、これは防じんの、あの部屋の空気がよごれたのを吸い込む吸い口であったのか。あそこからまさか正常な空気をとるような吸い口ではなかったと思いますけれども、あそこにもし二つの吸い口があったということになりますと、これは一体どういうものであったのかというような私は懸念もあるわけなんです。 同時に、
ダクト
を煙突のような形で火炎が走ったということになりますれば、今日並びに今後の
建築
について、
ダクト
の占める位置といいますか、非常に大きなものがあるわけなんでして、これは
建築
の革命的な
改造
が考えられなければならぬ。もしあの配管を伝って火炎が流れた、そのためにあのような瞬間的な大火になったというようなことが立証されれば、非常に大きな
問題
だと思うわけでございます。 したがいまして、おそらくエアコンと熱風暖房の両方を兼ね備えた
ダクト
であろうというような
答弁
でございますが、この点はひとつ徹底的に
調査
をいただいて、今後の
ダクト
のあり方についても早急に結論を出すなり、あるいは
使用
上の注意を確立するなりということが
教訓
として大きなものだというように思うわけでございますので、ぜひひとつ十分な御検討をいただきたいというように思うわけでございます。 なお、先ほどの
天野
さんの質問からいろいろ
問題点
が浮き彩りにされておるわけでございますが、
消防法
と
建築基準法
と風俗
営業
法なりあるいは興行場法なりというようなものの相互
関連性
についても、やはり非常に大きな
問題
をたまたまあそこは呈示をいたしました。今日どこでもそうでありますけれども、温泉街等の
ホテル
、
旅館
は、何らかの形で興行
施設
を併置するというものが非常に多いのでございます。
ホテル
、
旅館
本来の仕事からあげる収益以外に、ここに娯楽
施設
を併置して、それからの水揚げをねらっているというような形、それからレジャーの巨大化によって
一般
国民もまた、
ショー
を見てお湯に入って、一ぱい飲んで寝るというような形がたいへん流行しているわけなんです。したがって、こういう娯楽と宿泊を兼ねたといったような
施設
につきましては特段の
配慮
が、
消防法
的な
見地
からも考えられなければならないし、
基準
法上からの
措置
もとられなければならないし、また
営業
許可
というような
問題
については厚生省
関係
の
配慮
も必要だというように思うわけであります。先ほどの
答弁
で尽きているといえばそれまででございますし、先ほど建設次官がお見えにならないということで粟山次官からの御
答弁
をいただいたわけでありますけれども、次官がお見えになりましたので、総合的な
見地
に立って、特に大ぜいの人を収容する
施設
とか
建物
等についての
許可
基準
あるいは認可
基準
といったようなものの総合調整について見解を承りたい。
渡辺栄一
101
○渡辺
政府
委員
ただいま
斉藤
委員
からの御指摘をいただきましたが、お説のとおりでありまして、われわれも今後さらに厳重な監督をしてまいりたいと思っておりますが、特に今回の
問題
は、御承知のような
旅館
の大広間で
ショー
を行なうというような事例でございまして、このような中間的な用途については遺憾ながら明文を欠いておったのでございます。ただいま御指摘のような
問題
につきましても、当然われわれといたしましても今後十分考えてまいらねばなりませんので、ただいま国会に提案をいたしたいということで進めております
建築基準法
の
改正
につきましても、このような
問題
につきまして十分検討いたしまして、なお今回の事例にかんがみまして、現在考えております
改正
案そのものにつきましてもさらにこれを補足しなければならない
問題
があると思いますので、十分ひとつ検討いたしまして万全を期したい、こういうことを考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
斉藤正男
102
○
斉藤
(正)
委員
最後に、この
磐光ホテル
並びに
磐光パラダイス
は、
昭和
三十八年十月三日に
建築
確認
が行なわれて以後、八回にわたり増築に伴う
建築
確認
がなされているということで、都合新築を含めて九回の工事が行なわれ、そのたびに
建築基準法
に基づく
申請
がなされ、
確認
がなされて今日になっているわけなんです。九回増改築をいたしますれば原形をとどめず、全く容貌は一変をしてきていると思うのでございますが、そうなってまいりますと、そのつど
建築
確認
がなされた部分は合格をしているといたしましても、九回の増改築によってできた現状というのは、きわめて複雑にして怪奇な
建物
になる。これは有馬温泉の場合も全く同じであります。したがって、そのつどの
建築基準法
に適合をした
建物
でありましょうとも、それが総合してでき上がっている現物は非常に奇妙なものになっていて、総合点検をすればあらゆる個所に
不備
な場所ができてくるというように思うわけなんです。したがって、総合してできた
建物
に対する
基準
の適合、そのつどなされた部分的なものに対する
基準
の適合といったようなものは不離一体のものでなくてはならぬというように思うわけでございます。特に、現場へ行っても明らかなように、当然
通路
になるべきところに遊ぶ
器具
が出されている、当然
通路
に当たるべきところに売店のスタンドが出ているというようなことは、廊下の広さ、長さその他は
基準
法に合っているかもしれませんけれども、しかしそれを廊下に使わず
遊技場
に使ったり、売店場になっているということは、これは明らかに違反なんです。こういう総合的な
見地
に立っても、これまたきわめて不十分なものがあったというように思わざるを得ない。したがって、そうした設計上の
問題
だけでなくて、現実にある
建物
、現実にある
実態
を把握していかなければ、
消防
のたてまえからも万全は期せられない、こういうように思うわけでございますが、部分的な
申請
のたびごとの
許可条件
と、それらが累積してでき上がった現物の適合条件といったようなものに対する見解は、一体建設省ではどのようにお考えになっているのか、最後に承りたい。
沢田光英
103
○
沢田説明員
お答えいたします。 部分部分の増築の
申請
が出てまいりますが、
確認
に際しましては、それ以前の
建築
とのつながり、その条件に
基準
法上適合しているかどうか、それを条件として見ながら
確認
しております。
斉藤正男
104
○
斉藤
(正)
委員
そういうことはおそらくやっていると思うのですけれども、そうしますと、ふしぎなことに全然焼けていない、煙も回った気配のない個所があるのです。警察のほうから
営業
停止を食らっていたヌーディストクラブという奇怪な酒場があったわけですけれども、あそこなどはほとんどもう煙も回っていない、原状のままで残っているというようなこと、これは
ダクト
との
関係
として解釈していいのか。どうしてあそこのところだけ火が回らなかったのか、煙が回らなかったのか、私はふしぎに思うわけでありましたけれども、一体建設省ではどういうようにお考えでありましょうか。
前川喜寛
105
○前川
説明
員 クラブのところでございますが、あそこはその前のほうの相当区画がもうすでに耐火
構造
とか、浴場部分でございますね、あそこでございますのであそこまで煙が行かなったのじゃないだろうかというふうなことを感じております。ただ、いま御指摘のように、
ダクト
系統が現実にどういうふうになっていたかというふうなことも、実際
問題
としては相当影響するわけでございます。この辺が、
ダクト
をもう少し調べてみないとよくわからない、こういうようなことでございます。 それからなお、ちょっと先ほどの御質問に対して補足いたしますと、いろいろ増築増築ということで出てまいりますのはやはり全体として見ておりますけれども、途中の廊下にいろいろな売店を置いたり何かするということにつきましては、いわば有効保持といいますか、
維持管理
といいますか、
建築基準法
上の
維持管理
面といいますか、こういうところが十分に規定ができていない。今度の法律
改正
におきましても、そういった面をできるだけ手当てをしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
斉藤正男
106
○
斉藤
(正)
委員
再三にわたるこうした
施設
の大火で、
関係
各省も真剣に検討をいただいていると思うわけでございますけれども、ぜひひとつこの際抜本的な
対策
を確立して、しかも出先に対し強く要請をされない限り、幾ら本省であれこれ言ったからといってだめなので、現場は出先でございますから、非常に大切な仕事であろうというように思うわけです。どうぞひとつこの際、二度と再びこのような災禍の起こらないためにも、鋭意各省が協議をいただきますようにお願いをして、私の質問を終わります。
川村継義
107
○
川村委員長
神田大作
君。
神田大作
108
○
神田
(大)
委員
だいぶ時間もたっておるようでありますから、いままで質問された方と重複しないように、私のほうから簡単に御質問申し上げます。 まず第一に、今度の
磐光ホテル
の
火災
は、
火災
が起きるというようなことは非常に遺憾なことでありましたが、それ以上に、三十一人の死者並びに三十数人の
重軽傷者
が出たことであります。その
死傷者
が出た
最大
の原因は、
非常口
があって、この
非常口
にかぎがかかっておって、しかも
非常口
という標識があって、
火災
が起きた、
非常口
があるならというのでそこを目がけて
避難
をしたところが、そこがあからぬ、これが一番の原因です。これは
非常口
がないほうがよかった。なければそこへだれも行かなかった。ほかのほうへ逃げる。
非常口
という標識があって
非常口
があかないというようなことに対するこれらの管理、この
非常口
の開閉は一体だれが責任を持ってやるわけですか、ひとつそれをお尋ねしておきます。
佐久間彊
109
○佐久間
政府
委員
防火管理者でございます。
神田大作
110
○
神田
(大)
委員
そうすると、
磐光ホテル
の防火責任者というのはだれでございますか。
佐久間彊
111
○佐久間
政府
委員
総務課長の佐賀時夫という者でございます。
神田大作
112
○
神田
(大)
委員
それでは警察庁にお尋ねしますが、警察庁はこの総務課長に対しまして、管理上の責任に対しましてどのような処置をとっておられますか。
内海倫
113
○
内海
政府
委員
取り調べその他の
内容
について、いまここで申し上げかねますけれども、この
火災
に
関係
のあります者については、すべてそれぞれ事情を聴取、あるいは必要な者については取り調べを行なうというふうなことを現に行なっておるところでございますので、ただいまのお話しのような件についても、それぞれの責任ある者についてその事情を聴取いたしておるものと、かように考えます。
神田大作
114
○
神田
(大)
委員
私らはそういう刑法等についてはまたしろうとでよくわからぬが、管理者がそういう管理上の重大なミスによってこのような
災害
を起こした場合には、どのような刑事上の責任があるのですか、お尋ねします。
内海倫
115
○
内海
政府
委員
こういう場合における責任、特に刑法上の責任の追及というものはたいへんむずかしいといいますか、非常に詳細にかつ多くの証拠を明らかにして追及をいたすべきものでありますので、一がいに言えないわけでございますが、たとえばいまのお話しの
非常口
の開閉という
問題
が、この
火災
において多数の死者あるいは
負傷者
を出したその原因になっており、その
関係
がいわゆる刑法上の相当
因果関係
に立つ、要するにそのことが直ちにそういう死傷というものを引き起こしたことの原因である、そして、その開閉について、その責任を持つ者が重大なあるいは業務上の過失があるというふうなことが明らかになるのであれば、これはその死んだことあるいは負傷したことに対する業務上の過失致死あるいは過失傷害の罪が論ぜられるものと私どもは考えます。しかし、そのためには、ただいま言いましたように、それを立証するだけの多くの証拠資料というものを警察としてはあげていかなければいかぬわけですから、いま直ちにそういうものが結びつくのかどうか。具体的な
磐光ホテル
の
問題
については、地元において詳細にそういう取り調べを行なっておると思います。
神田大作
116
○
神田
(大)
委員
今度の
火災
についての傷害致死、死者や
重傷者
ができたということの原因は、これは火元の
金粉ショー
というようなものに対しても
問題
がありますよ。しかし、火が出ただけでなしに、そういう
維持管理
の上において重大な過失がある。これはわれわれ現場を見た者ばかりでなしに、現実にその中に
観客
として
ショー
を見た人たち、あるいはまた
消防署
関係
の人たちの認めておることです。
火災
が起きてから相当の時日がたつのでありますから、警察
当局
がこの死者並びに
重傷者
ができた重大な原因をまだ取り調べ中であるというようなことでありますけれども、それはもう速急に証拠を摘出して、厳重な処分をしていただきたい。私は、相当の
従業員
を使ってああいう
ホテル
あるいは
劇場
をやっている者がひんぴんとして
火災
を起こし、
死傷者
を出しているが、それの真の原因がいつもうやむやにされているということは、やはり今後のこういうことを防災する上において大きな支障を来たすと思いますので、警察
当局
は、総務課長のみならず、
ホテル
の
経営者
に対しても、これは重大な過失であるとわれわれは考えるので、これの刑事責任をきびしく追及してもらいたいと思います。それに対してお答えを願います。
内海倫
117
○
内海
政府
委員
先ほどもお答え申し上げておりますように、この
火災
発生に伴って、
火災
並びにそれによって生じた死者、
負傷者
に対する原因その他、十分に事情を調べておる段階でございます。もとより、その結果において、先ほど言いますように犯罪の容疑がありますれば、厳重に追及する所存でございます。しかしながら、繰り返して申しますけれども、警察は厳正に処置をとらなければなりませんけれども、だからそれだけにまた、法律に照らして罪を論ぜられないものに対して罪を論ずるということもできないわけでございますから、常識的にあるいは通常の考え方で見れば、このように多くのあやまちがあるではないかというふうに見られました場合でも、これを刑法上の犯罪として論断する。あるいはそのための証拠づけをするためには非常に多くの条件が必要になるわけでございますので、そういう条件がそろわない限りは、警察としては犯罪として論ずることはできない。そのかわり、その条件がととのえば犯罪として追及をいたすわけでございます。現段階では、そういうものがあるやなしやということを何一つ落とすことなく、いろいろな角度から取り調べをし、あるいは事情の聴取をいたしておる、こういう段階であります。
神田大作
118
○
神田
(大)
委員
いま一つ、
非常口
と同時に、防火とびら、これも各所にあったようですが、一枚もこのとびらがおりていないのです。だから、いかに
非常口
をつくり、あるいは防火とびらをつくっても、これを
使用
しなければこれは何にもならない。さっき言ったように
非常口
にかぎがかかっていたり、防壁をおろせば
火災
の類焼を防げるのをおろさない、こういう
問題
、今度の
火災
でわれわれ、
建築基準法
にのっとった
建築
をしましても、それを
使用
することができないというようなことにも大きな原因があると思うのですが、それらについて
建築基準法
の
関係
者の御
意見
を聞きたいと思うのです。
沢田光英
119
○
沢田説明員
お答えいたします。
建築基準法
によりまして、ただいまのような防火区画の
問題
あるいは防火とびらの
問題
、そのほかいろいろな
制限
を付して防火の
対策
を規定しております。ただいまのように管理上の
問題
がからんでくる
問題
がだいぶございます。私どものほうでそれの管理にどこまで入れるかという
問題
もございますけれども、たとえばそういうものが自動的にちゃんと作動するようにするとか、さようなことで今回の
政令
の
改正
の中にも入ってございますし、また先ほど政務次官が申し上げました
基準
法の
改正
の中でも十分取り上げて、補足拡充していきたいと思います。
神田大作
120
○
神田
(大)
委員
次に、先ほどから
劇場
として認可してあるかどうかという
問題
が出ておりましたが、今度のこのような
災害
の大きな原因は、
劇場
として認可されておった場所で
ショー
をやらずに、その
劇場
の屋根がこわれたというので一番下の
ホテル
の
宴会場
でもって
ショー
をやったんですね。一体こういう
劇場
使用
についての
許可
、認可
関係
においてどのような欠陥があったのか、お尋ねします。
赤穴博
121
○
赤穴
説明
員 当日
ショー
が行なわれました大広間ステージでございますが、これは定員九百名で、一応演劇も可能なステージとして興行場の
許可
の対象になっている場所でございます。これにつきましては四十三年五月二十四日に、大広間ステージと
映画館
とプールサイド——プールサイドと申しますのは、当日本来ならばここで上演されるべきはずであったところのステージでございまして、そこが当日は風等の都合で大広間ステージにかわったという事情のある場所でございますが、これらはいずれも四十三年五月二十四日、興行場法による演劇、
映画
、演芸、それぞれの興行場法の
許可
を手続上は受けておるものでございます。
神田大作
122
○
神田
(大)
委員
それは
劇場
として
使用
可能であるという正式な
許可
が出ておるわけですか。正式な
許可
ですか、それは。
赤穴博
123
○
赤穴
説明
員 演
劇場
として
使用
するという前提での興行場法の
許可
が四十三年五月二十四日に出されております。
神田大作
124
○
神田
(大)
委員
そのときに、これはもちろん
劇場
としての
建築基準法
に沿って、あるいは
消防法
として
火災
災害
を防ぐ
施設
が整っておって、そして厚生省としては
劇場
として
許可
したわけですか。
赤穴博
125
○
赤穴
説明
員 その辺につきましては必ずしも事情が明確になっておりませんけれども、
建築物
その他につきましてはたしか四十二年に
建築
確認
を受けて、四十三年に開設されたものであったと存じます。したがいまして、
建築
確認
その他の手続は、この
磐光パラダイス
という全体につきましては四十二年の十一月かに
建築基準法
上の
確認
その他の手続をいたしておりまして、実際にでき上がって
施設
として
使用
を始めたのが四十三年の五月ということで、その当時に興行場としての
許可
をそれぞれ
劇場
、
映画館
、ステージについて与えておるわけでございます。
神田大作
126
○
神田
(大)
委員
今度
火災
が起きた
パラダイス
じゃなく、
ホテル
のいわゆる
宴会場
にやったわけですか。そういうことですか。それは
パラダイス
じゃないですか。
赤穴博
127
○
赤穴
説明
員 いまの先生のお尋ねでございますが、当日
ショー
が行なわれましたのは
磐光パラダイス
の大広間でございます。したがいまして、これは
磐光パラダイス
の中にあります一階の演芸場として
許可
を受けた大広間で
ショー
が実演されたわけでございます。
神田大作
128
○
神田
(大)
委員
その劇をやった控え室は、
劇場
としてのところを
使用
したのか、
ホテル
のところを
使用
したのですか。
赤穴博
129
○
赤穴
説明
員 私どもが承知いたしておりますのは、控え室として使いましたのは
ホテル側
の大広間を控え室として使った。しかしながら、実際の
ショー
が行なわれましたのは、
磐光パラダイス
の大要会場の
劇場
として
許可
を受けた当該部分で行なわれたわけでございます。控え室は
ホテル側
の大広間のステージを控え室として使った、こういうふうに私ども承知いたしております。
神田大作
130
○
神田
(大)
委員
この
火災
が直接に起きたのは、
ホテル
のいわゆる
宴会場
で起きたのですね。それを控え室として
使用
したのですね。こういう劇、特に火を使うような劇をやる場合、そういう
劇場
として
許可
を受けておらない
ホテル
で控え室として準備をした。これは
劇場
と同じです。そういうことは違法でないのか、適法であるのか、どうでしょう。
赤穴博
131
○
赤穴
説明
員 違法性あるいは適法性ということについて、にわかに私が即断的に申し上げることは適当でないと思いますが、少なくとも、
劇場
でないところをそういう控え室として
使用
し、そこに火気を用いたということは非常に不適当な事態であった、かようには考えております。
神田大作
132
○
神田
(大)
委員
私は、不適当でなしに違法だと思う。
劇場
の控え室というものは
劇場
の中に備えつけてあるものだ。
劇場
の中に備えつけてないところでそういうことをやることは、
劇場
外を
使用
したことになるのであるから、これはまことに適法ではないと私は考えるのでありますが、いま一度お答え願います。
赤穴博
133
○
赤穴
説明
員 違法であるかどうかということについては、私もにわかに即断申し上げられないということを申し上げておるわけでございまして、事態として非常に不適当な状態であったということは十分申し上げられます
神田大作
134
○
神田
(大)
委員
一応法律
問題
はあとでよく検討してやりましよう。 そうすると、そういう控え室として
ホテル側
が使わせたという責任はどうですか。それを使ったということは無断で使ったわけか、それとも
ホテル側
の承認を受けてそれを使ったものであるかどうか、お尋ねをいたします。それが一番このもとなんだ。
赤穴博
135
○
赤穴
説明
員 この経営は、
パラダイス
のほうも
ホテル
もそれぞれ同じ
経営者
が経営いたしておるわけでございますので、その辺の
使用
関係
につきましては、かなり弾力的な場合も十分あり得るものと思います。
神田大作
136
○
神田
(大)
委員
君、そんなことじゃ困ります。弾力的という話はないでしょう、あれだけの
災害
を起こして。その火元になっておるのですよ。火元になり、それが原因なんですよ。そういう重大な火元の、しかも
劇場
として
建築基準法
にのっとっておらないところを
使用
した、そのために
火災
が起きたというのであるから、それに対する責任は明らかにするべきだ。これは責任を明らかにすることによって
経営者
の管理責任というものが出てくると思うのです。これについて警察庁はどう考えます。
内海倫
137
○
内海
政府
委員
違法あるいは違法でないという
問題
、私の立場からは、やはり具体的にそれを取り調べておる者でない限り容易に
意見
は言えないものと考えます。したがって私も、いまこれを直ちにだれに違法がある、あるいはそれが違法であるのかないのかということをここで申し上げることは差し控えたいと思います。
神田大作
138
○
神田
(大)
委員
しかし、これは
火災
の原因になった場所でありますから、しかも
劇場
として認可された場所でないところを
劇場
の一部として作われたわけでありますから、私はこれは適法でないと思う。これはやはり管理者の責任
問題
とも通ずるものです。管理者がこれを
許可
したのか、それとも
ショー
の責任者が無断借用したのか、そこらのところはやはり責任追及の上において非常に重大なポイントであると思う。これをうやむやにすると、
劇場
の
許可
を受けてないところで劇をやってもいいということになる。片方において
劇場
の
許可
を受け、片方は今度は
ホテル
の一部の受けてないところでやる。これは温泉地のみならず、今度東京の中心街においても、帝国
ホテル
あたりでも劇をやる、いろいろのところで劇をやるようになります。そうすると、一カ所だけ
劇場
の
許可
を受けて、都合が悪いからといってほかでもってやってもこれを黙認しているということになると、これはたいへんなことになる。そういう意味合いにおいて、私はこの点を厳重に究明していただきたいと思います。これはどちらの管轄になるのですか。
内海倫
139
○
内海
政府
委員
先ほどからたびたび申しておりますように、刑事責任に関連するものであればもとより当然取り調べもいたします。また責任があればその追及もいたします。
神田大作
140
○
神田
(大)
委員
いま一つ大事なことは、
金粉ショー
というものをやって火を使う。これはもう一年近くやっておったということを聞いておりますが、このように非常に危険な、
火災
になるおそれのあるような、こういう
ショー
をやることを一年近く見のがしておった。しかも
観客
の多くは、これはどうも危険じゃないかということを再々言っていた、そういううわさもありましたし、直接あぶないのじゃないかということを話したということをわれわれも聞いておる。そのような危険な火を使う
ショー
を黙認しておったか。あるいは知らぬといえばそれまでかもしれないけれども、このようなことに対する
取り締まり
は一体どこでやるのか。
佐久間彊
141
○佐久間
政府
委員
火気の
使用
につきましては、
火災予防
条例がございまして、その中で、催しものをやるときには
消防署
に届け出なければならないという規定がございますし、さらに、
劇場
、演芸場、集会場等の場所で裸火を
使用
してはならないというような規定が
火災予防
条例にございます。したがいまして、この裸火の
使用
につきまして、
消防
機関が従来知っておって注意をしてなかったということでありますれば、私は
消防
機関にも落ち度があったと思います。それらの点につきましては、なおよく
調査
をしてみたいと思っております。
神田大作
142
○
神田
(大)
委員
これは
火災
の直接の原因になったことでありまして、なかなか
現地
の
消防
関係
の皆さんが努力をしておったのではあろうけれども、このようなことを見のがすということについては、われわれは承服できないのです。どんなに
建築基準法
を厳重にし、常に何回となく
消防訓練
をやっておっても、そういう大事なことを見のがしておったのでは、これはどうにもならぬことであります。この点については
消防署
関係
としても厳重に原因を早急に
調査
して、それなりの処置をしないと、今日、水上温泉にしましてもあるいはまた今度の
火災
にいたしましても、管理者に私は大きな責任があると思うのですよ。いかに
消防
庁やあるいは建設省が厳重に法をつくっても、それを守らないし注意を怠っていたのではどうにもならぬのです。こういう個人の家と違う病院、
劇場
、学校等に対し、この管理者に対してやはりそれなりの処置をするということによって、私はこれを防ぎ得ると思うのです。いままでの
火災
の
問題
等を見ると、火元、
火事
を起こした者は処罰されますけれども、管理者はいつものがれているのですね。しかし私は、一番管理者が重大な責任を負うべきだと思うのです。そういう
劇場
、病院、学校等の、たくさんの人が集まった場合の
火災
において、注意を怠ったというのは重大な過失なんですね。こういう点について管理者の責任を追及すると同時に、それの当面の予防責任を持つところの
消防署
として一年の間これを見のがしておった、これは知らぬと言えないと思うのです。しかも入場料を取って劇を見せておったのですからね。こういうことに対して
消防署
側の適切なる処置を強くお願いします。 次に私は、
建築基準法
が
改正
されるというのであるから、できるだけ早くこれを施行してもらいたいと思うのです。今度の
火災
が、いろいろな
悪条件
はあったが、その中で一番大きな
問題
は、ぐるりは鉄筋コンクリートであるが中は幾らでも燃える、しかも煙の出る、悪臭の出る
新建材
でもってつくられておったために、一たび火が出るとそれがちょうどふいごの中に入ったもののように、全部ありとあらゆるものが燃えちゃったのですね。ぐるりだけがりっぱである、中はどうでもいいというような、こういうやり方に対して、今度は
基準
法を
改正
いたしまして、このようなことのないように防いでもらいたいと思いますが、政務次官はこれらに対してどのようにお考えになりますか。
渡辺栄一
143
○渡辺
政府
委員
ただいま
神田
委員
から適切な御指摘をいただいたわけでございますが、
建築物
の大規模化また用途の複合化等によります
社会情勢
の変化及び
建築
技術の進歩に伴いまして、
建築基準法
の防災
基準
の
整備
強化
ということを早急に進めておるのでありますが、特に最近頻発いたしております
火災
による事故の
実情
にかんがみまして、現行法の範囲内で、技術的
基準
のうち防火
避難
関係
基準
につきましては、今般同法施行令の
改正
を行なったのでございまして、これは五月一日施行ということになっておるのでございます。 その
概要
はすでに御承知でございますが、
人命
尊重の立場から必要な
基準
を
整備
強化
したものであります。一つは、
内装制限
の
強化
、耐火
建築物
の
旅館等
につきましても
内装制限
を行ないまして、さらに
一般
に廊下等の
内装
材料の
使用
の
制限
を
強化
いたしておるのであります。もう一つは、防火区画
関係
の
基準
を
強化
いたしまして、大規模
建築物
につきまして
階段
室等につきましては、煙及び炎が拡大することを防止するための区画の
設置
及び防火とびらの開閉機能についての新規の規定を設けております。 次に、
避難路
の排煙装置といたしましては、
避難路
の防火防煙
構造
基準
を
強化
いたしましたことのほかに、特別
避難
階段
につきまして排煙
設備
の
構造
基準
を設けております。 またこれに引き続きまして、今国会を目標に
建築基準法
の
改正
を検討いたしておるのでありますが、
災害
予防の面につきましては、特に
人命
尊重の立場を最重点といたしまして、
避難
施設
、
内装制限
、非常電源等の
建築
設備
の
維持管理
等につきまして
基準
を
強化
整備
いたしたい、かように考えております。 もちろんそれ以前におきましても、必要な場合には、先般も申し上げましたように改善命令を出しまして、厳重にこれらの
問題
はわれわれといたしましても取り扱ってまいりたい、かように考えております。
神田大作
144
○
神田
(大)
委員
私は最後に、いま政務次官が言われたように、このような
災害
が起こらぬように
建築基準法
の
改正
を強く要望すると同時に、いままでいろいろの質問等も聞いてみまするというと、
建築基準法
は
基準
法、
消防法
は
消防法
、
劇場
の認可は認可ということで、てんでんばらばらの行政をやっている。これを一体化した責任のある行政
許可
をやらないと、いつまでたってもなすり合いになってくると思うのです。特に
ホテル等
が
劇場
を併設したり、あるいはまた
ホテル
でもって劇を行なうというようなことが非常に多くなっている。そういう場合において、
消防
器具
が完備しておらないのに
ホテル
としてあるいは
劇場
としてこれを認可するというような場合、特に
営業
認可をする段階においてこれをチェックすべきだと思うのですが、その点についてどのように考えますか。非常にあいまいな
答弁
をしていますが、厚生省ひとつ。
粟山秀
145
○粟山
政府
委員
有馬温泉のあの
火災
のあとで、先ほど
天野
委員
に御
説明
申し上げましたが、各省間でもって防火のための協議会をつくりまして、新しくできるものについては、
消防
用の
設備
等が
設備
されているということの通知を
消防署
のほうからもらわない場合には、
旅館
としての
営業
の
許可
は差し控えるようにということを都道府県のほうに強く申しております。 それから、もうすでに
営業
しているものについても、これは
消防
用の
設備
などを重点的に行なうということにして、勧告書とかそういうものがちゃんと出ていない場合には、勧告書とか命令書を出して、そうしてそれを厳重に監督するように、そうしてその
設備
をするためにはまた環境衛生の金融公庫などからその融資を優先的に出さして、そうして早くそういう
設備
ができるようにする、そういうことなどの処置をとりましたけれども、今度の
磐光ホテル
のああいう
火災
がまた有馬温泉以上の
火災
になったということを見まして、ただいままで当
委員会
においていろいろの御指摘を伺いまして、
旅館
の
営業
を
許可
する厚生省——これは都道府県がいたしますけれども、一番の
関係
ある
当局
といたしましては、そういう各省庁間にすき間のないように今後も早急に協議をいたしまして、そうして、建設省のほうでは
法令
もお変えになるそうですけれども、こういうことが厳重に
確認
をされない以上は
許可
しないし、それからまた今後も厳重な、できているところに対しては
検査
をいたしまして、そうしてそれが早急に
設備
が行なわれなければ、それからあるいはまたいろいろな防火
訓練
、そういうものに対してももっと厳重な注意が払われるような
指導
をいたしまして、そうして各省間ですき間のないように、そうしてお互いの連絡をとりましてやっていきたい、そのように思います。
神田大作
146
○
神田
(大)
委員
政務次官の言われることを実行してもらいたい。というのは、いままで
ホテル
が、そういう
消防設備
が
不備
であるとかあるいはまた
建築
等において重大な欠陥があっても、いままで
ホテル
や
劇場
で取り消しになったところがありますか。私は聞いていない。いままではそういう面において非常に監督がずさんであったと思う。私はこの
問題
については、非常に多くの
死傷者
の皆さんに対して申しわけない。これはやはりそれぞれの
当局
者が責任を果たした厳重な監督をしていないというところに大きな責任を感じなくちゃならぬと私は思うのです。そういう点について、今後はあのような
災害
の起こらぬように厳重な監督をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
川村継義
147
○
川村委員長
小川新一郎
君。
小川新一郎
148
○小川(新)
委員
二月六日の
委員会
におきましては、まだこの
火災
の原因がはっきりしなかった時点で私質問したのです。あのときに山本
消防庁次長
にお尋ねしたわけなんですが、こういう
金粉ショー
のような危険なものから
火災
が起きたときにはたいへんであると言ったときに、次長は、あのときは停電が数回あった、とてもそんなことは考えられない。こういう危険な
ショー
があるということを私指摘したのでありますが、そのときにはそういうようなニュアンスのお答えをちょっといただきました。これは私何も山本さんを責めているわけではありません。だれでもそういうことは考えられる。私はあの時点において、あの
金粉ショー
のダンサーの火が原因であったという考えを持っておったのですけれども、確たる証拠がなかったので強く言えなかった。だけれども、きょうこうしてあらゆる角度から検討されてみて、その
概要
が浮き彫りにされて、いろいろな欠点がいま出てきたわけです。 私は、粟山さんにちょっと御
答弁
願いたいことは、こういった
旅館
、
ホテル
の
営業
者のモラルの点についてまずお尋ねしたい。 それは、テレビを見ても何を見ても、私どものまわりの都市生活者、またはサラリーマン生活者でもそうですが、激烈な生活闘争をやって、レジャーというものは第三次産業で、これからもどんどん発展してまいります。ところがそういった国民感情というものを利用して——これを利用すると言ってはなんですが、逆に悪用していく場合も出てくる。それがレジャーに走り過ぎる。健全なる慰安といいますか娯楽の範囲を越えまして、非常な逸脱行為に走っていく面が非常に多い。それが今回の
磐光ホテル
にも見られた。それは先ほども御指摘があったように、ヌーディストクラブなんというものを経営しまして——私どもそこへ行ってまいりました。ちょっとここでははばかって言えないわけでありますけれども、非常に風俗
営業
的に見てよろしくないという立場から、警察庁からこれは
取り締まり
の対象になっておった。警察または
消防
庁がいろいろ勧告しても、そういう業者のモラルが——この社長は年も二十九歳ですね。くしくも満月城の社長も若いのです。
昭和
生まれの方です。どうしても営利面に暴走しがちである。あなたに御婦人の立場から、こういった面についてまずお考えをお聞きした上で、厚生省の最高がきょうおいでになっておるので、
許可
をする立場上からどのようにお考えになっておるのか、この点をまずはっきりしていただきたいと思います。
粟山秀
149
○粟山
政府
委員
お説のとおり、私は、こういう場所は休養の場であり、それから精神的にもやはりいこいの場であり、日ごろの疲れを直して、また元気になってそれぞれの仕事にとりかかれるような、そういう場所であるべきであろう、そう思います。ただ近ごろ、これはああいう
旅館
に限らず、すべての面が少しそういう面で娯楽に走り過ぎているということは十分に認められる。あの磐梯観光
ホテル
もああいうような興行場をも持ってやっておるということ、その興行の
内容
についてもいささか適当じゃない。いまの時勢、いまの人たちの遊びに走る、そういう考えにおもねるのと、商売上の金もうけに走る、そういう気持ちがあり過ぎるということで、私もあまり感心しないと思います。 ことに、お尋ねのことにも関連するかと思いますが、当日は非常に天候が荒れておりまして、停電が何度もあった。そういうようなときにああいう興行をするということは、サービス過剰であろう。やはりこれはいらしたお客さんが大ぜいなので、ぜひとも見せたいということであったのでしょうが、ああいう場合にああいう興行をするということはサービス過剰であるということと、あの
経営者
が若いということでもって、やはり経験が浅くて、そういういろいろな面での考慮に欠けているところがあった、そのように思います。
小川新一郎
150
○小川(新)
委員
刑事局長さんからも、先ほど責任
問題
についてはいろいろと御
答弁
があった。いま粟山さんからもお話があったように、道義の面からいって——日本の国土は御存じのとおり三十七万平方キロの狭いところだ。自然、温泉という天然資源をかかえておる。この温泉という資源は国民のものだ。一部業者のものではないわけです。当然この限られた天然資源を有効に活用し、そうしてみんながこれを享楽する権利を持っておるはずです。一部業者のそういった独占していくという考え方、そうしてそこから発想していく
営業
というものが逸脱行為に走っている場合には、道義的にもこういった失敗を起こしたということは、社会的に見て年が若いとかなんとかということではとても見れない。しかし一つ一つ法的に照らし合わせてみて、確かに責任という
問題
になってきますと、これが告発の対象になるのか、それとも刑事上の責任があるのかという
問題
は別としましても、これは大きな
問題
になると思います。そしていまもそういうお話があった。有馬温泉のときには、山本さんもすぐ告発するような
意見
をお述べになりましたが、今回の場合と一体どこが違うのでしょうか。
消防
庁では告発するのでしょうか。この前の有馬のときはこれはされたのですか。この点について……。
佐久間彊
151
○佐久間
政府
委員
有馬の際には告発をいたしました。今回の場合においては告発をただいままでいたしておりません。
使用
停止処分をいたしただけでございます。
内容
の違いという点でございますが、有馬温泉の場合につきましては、
消防法
令違反がいろいろございまして、
消防
機関がこれが改善につきまして従来たびたび
措置
命令を出しておったのでございます。そこで、
措置
命令を出しておったにかかわらず実施しないということで告発をいたしたわけでございますが、今回の場合におきましては、若干
不備
な点もございましたけれども、大体においては
消防法
令の
基準
に適合した
施設
設備
をいたしておりまして、それに対して、従来
消防
機関として改善命令を出したというような事情もございませんでしたので、今回は告発をするということはいたさなかったわけでございます。
小川新一郎
152
○小川(新)
委員
どちらにいたしましても、三十名または三十一名の多くの
人命
を失ったという点は、これは同じであります。その
火事
も、有馬の場合には深夜であった。今度の場合には九時ごろ、宵の口であった。私は、ものの考えようによっては——いろいろな気象現象もあった、でもありますが、今回
問題
になったのは、この危険な火を扱う
ショー
、または
避難口
のかぎが閉じておった、こういういろいろな点を総合的に比較してみますと、有馬の満月城の責任よりも今回が劣っている、それ以下であるというようにはどうしても理解できないのです。その点について私はどうも理解できませんので、もう少し納得のいく御
説明
を願いたい。
佐久間彊
153
○佐久間
政府
委員
経営者
の道義的な責任と申しますか、いろいろな事情から考えてみますと、大体いま先生のおっしゃいましたお気持ちも私にはよく理解できるわけでございますが、ただ告発ということになりますと、法律上この違反に対して罰則の規定があるという場合でございませんければ告発はできないわけでございます。しかも、この
消防法
令の場合におきましては、その前に
措置
命令を出しておるというような要件もございまするし、それらの法律上の諸条件に照らしてみまして、今回は告発の
措置
を勧告しなかったということでございまして、有馬の場合と違いまして、今回は一応
設置
は大体
法令
どおりにされておりましても、その後の
維持管理
においては非常に大きな欠陥がございまするし、多数の死者を出したということにつきましても、道義上責められるべき点はいろいろございまするけれども、ただいまの告発という点につきましては、ただいま申しましたような事情で勧告をいたさなかったわけでございます。
小川新一郎
154
○小川(新)
委員
今後
調査
が進んで、捜査が進んで、いろいろと新事実が出たり、または法的に見てどうしてもこれはしなければならぬという条件になった場合はまた別なのでしょうか。
佐久間彊
155
○佐久間
政府
委員
今後の
調査
の結果、お話しのようなことになりますれば別でございますが、ただいままでの
調査
の結果においては先ほど申し上げたとおりでございます。
小川新一郎
156
○小川(新)
委員
有馬温泉の事件以来の査察について、
消防
庁の
指導
にはどのように変わった点があるのでございましょうか。
佐久間彊
157
○佐久間
政府
委員
有馬温泉後の
指導
で、私どもが一番反省をいたしました点は、従来
消防法
令の違反がございましても、
消防
機関としてはその改善について勧告をする、そして何回やっても相手方に誠意がなくて実行がされません場合におきましても、これを勧告のやりっぱなしと、こういうような点がございましたので、その点につきましては深く反省をいたしまして、私から通達を出しまして、そのような場合においては
使用
停止なり告発なりの断固たる
措置
をちゅうちょすることなく、やるようにということを強く
指導
をいたしておりまして、おそらく全国の
消防
機関におきましてもそういうような心がまえの転換がなされつつあるものと存じます。
小川新一郎
158
○小川(新)
委員
「「磐梯国際観光
ホテル
」
火災
概要
」、
郡山
市消防本部
で出された書類によりますと、七つの原因をあげております。「
消防法令関係
違反」として、「
避難器具
の未
設置
」「
誘導標識
の
充電式
の未
設置
」「
消防計画書
の未
提出
」「
消防設備
の
維持管理
が不完全であった」「催物の
開催
届の未
提出
」「
裸火使用
の届出の未
提出
」「小量危険物取扱上の
不備
」、以上七点。この以上の七点は告発するに値しないものでありますか。
佐久間彊
159
○佐久間
政府
委員
この中で
消防
用
設備
の
問題
につきましては、その違反がありました場合に
消防
機関が
措置
命令を出しており、その
措置
命令に対してそれを実施しなかったという場合に初めて告発できる条件が満たされる、こういうことになるわけでございますが、それらの条件が今回の場合、いままでの
調査
のところでは備わっていなかったという判断をいたしたわけでございます。
小川新一郎
160
○小川(新)
委員
この七点は
火事
が起きた結果が出てから発見されたものだと了承するのですが、「
昭和
四十三年五月十日、防火対象物
使用
開始届
検査
の際、防火戸の
設置
及び
消火器
が不足のため増設について
指導
した。また
消火器
の標示板を標示するように
指導
した。」これは四十三年五月二十日の時点においては解決されておったのですか。
川島巌
161
○川島
説明
員 手元にその資料がちょっとございませんが、防火戸の
誘導標識
の
設置
は、先ほどの御質問の中にあったと思いますが、
パラダイス
の二階、三階については
建築基準法
で定められたものの必要外と認められます。これにとびら並びに
避難誘導
灯がつけられてあって、それで
階段
がついておらなかった。この事実について早急に
階段
を
設置
するようにという
指導
をして、その際の
措置
としては、
旅館
側のほうの事情で、土地
問題
あるいはその他の
関係
でなかなか
設置
が思うようにいかないということであるのですが、事実上の行為としては、それをロックしまして、そしてそこを使えないという形で一応安全を確保したというような
報告
を受けております。その点、
郡山
市消防本部
では
熱海出張所
に予防査察をまかせてありまして、
器具
の
設置
あるいは
検査
等の書類は本署の予防係において保管しておりますが、事実上の
指導
行為については口頭による
指導
確認
ということで、ただいまの
問題点
があがったと思います。 その
問題
については、「
避難器具
の未
設置
」につきましては、二階、三階部分の
避難器具
、これについてはなかったということを承知はしておるようであります。これはしかし書類がございませんので、これについて
指導
をいたしましたという
調査
はございません。 それから「
誘導標識
の
充電式
の未
設置
」、これも
充電式
のものとそれから直接電源からとるものと約半々に
設置
してあった、こういうことでありますけれども、これが事実上どこの部分のものが
充電式
であったか、あるいはどこの部分が電源式であったかということがはっきりいたしておりません。 それから「
消防計画書
の未
提出
」、これは四十三年の五月の時点では未
提出
でございます。 それから「
消防設備
の
維持管理
が不完全であった」、これは三点ございます。一つは、
火災
当日、出火場所の自動
火災警報装置
の配線のスイッチが、停電のためにブザーが鳴りますので切ってあった。これが
維持管理
の一点であります。それから
屋内
消火
せんの一部が、本来ストレージ・タンクから水を持ってこなければいけないのが水道からじかに配管されておった。これが
使用
上、性能上の
問題
があるわけですが、
構造
基準
に合致していない、これがございます。 それから「催物の
開催
届の未
提出
」、これはなされておりせん。催しものがあったということを熱海の出張所では、ありていに申し上げますと知らなかった、こういうふうに言っております。 それから「
裸火使用
の届出の未
提出
」、これはなされておりません。もちろん、これは催しものがあったということを知らないということに関連して、それを督促する、こういう
措置
はいたしておりません。 それから「小量危険物取扱上の
不備
」、これはまことに申しわけありませんが、
消防法
でいうところの危険物の届け出の
関係
か、あるいは
金粉ショー
のために使ったベンジン、これは法的規制はされておりませんが、これの
使用
が悪かったのか、このいずれかはちょっとはっきりいたしません。おそらくは
金粉ショー
のたいまつのためにベンジンをつける、これをストーブのそばに置いたという事実が悪いということですが、これは
法令
上規制の
措置
はございません。
小川新一郎
162
○小川(新)
委員
消防庁長官
にお尋ねしますが、これにいろいろと摘出してありますね。これ以上のものがあると思うのです。われわれは
現地
に行ってみて感じているわけです。これはまだ
消防
関係
です。
建築基準法
関係
だってあるはずです。ところがこれだけ並べたって、一つずつですよ、
指導
していることが。それで私が一番
問題
にしていることは、
関係
法違反に対するものの
指導
がないのです、下のほうに。そういう指摘がないで、
消防法
の違反が少ないから、満月城のほうはやったけれどもこちらの磐梯のほうはやらないなんといったら、これは片手落ちですよ。同じ三十人もなくなって——三十一人、多いです。
消防法
の違反というものは、数が多いとか少ないとかいうことじゃない。重大な
問題
がここには含まれているのです。確かに満月城のほうは十五回査察、言うことを聞かなかった、これはいかぬと思うのです。こちらは合計して六回です。だから私は、神戸市の
消防
局のほうが一生懸命だったように思うのですよ。こちらが悪い。そうなってくると怠慢のように思うけれども、大事なことが何にも結果が出ないのです、こっちの
郡山
消防
本部のほうの査察については。そのことだけで、差があるとかないとかでもって重大な告発
問題
というのは、これは非常に大きな人権
問題
ですよ。こういうところにウエートのかけ方をされたんでは、これは非常に片手落ちだと思うのです。この点はあとでお尋ねいたします。 それでは、四十三年五月二十日に「大広間の
使用
は宴会、余興以外は
使用
しないように
指導
した。」これだけしか
指導
していない。四十三年七月二日には「
火災
報知機
検査
の際、
非常口
の標示及び非常
階段
の標示をしておらない個所があるので標示するよう
指導
した。」ということは、四十三年五月十日にはこの
火災
報知機
検査
をやらなかったのかどうか、こういう疑問が出てくるわけです。それではもしも四十三年五月十一日に
火事
が起きたら——四十三年十二月十二日、四十三年十一月十四、十五日というのは、これは有馬の
火災
が十一月二日に起きておりますが、それ以後の
指導
というものは、全然五月十一日の時点においての
火事
においては
指導
がなされないままに済んでしまう。これは
消防
庁の出した資料ですからね。私は何もこの
報告書
にけちをつけているわけじゃないのです。ありのままに質問しているわけです。素朴な質問をしているわけです。これに対してはどうですか。一つずつこうやっていったら、上にあることが一つもこっちには出ていないですよ。どこに
裸火使用
の届け出の
検査
をやったなんて出ておりますか。どこに小量危険物、ベンジンを扱うと危検があるからということで、十一月十四日、十五日以降、有馬の温泉以後の
火災
が起きたという時点において
指導
があったのですか。催しものの届けの未
提出
に対する
指導
がどこになされておりますか。全然上と下の
指導
がかみ合っていないです。これは明らかに
消防
機関の
指導
または監査の不手ぎわ、その不手ぎわをカバーするために告発できないということになれば、それじゃ十五回やったという、克明にやったという神戸市
消防
局のほうが緻密であったということになる。この点が、私はこの
報告書
を見ておると、どうしても納得ができない一点なんです。この点についてお尋ねします。
佐久間彊
163
○佐久間
政府
委員
るる、いろいろ御指摘をいただきましたが、先ほども申し上げましたように、有馬と比較して、
経営者
の責任がこちらが軽いから告発をしないとかいうわけではございません。法律の条文に照らしまして、今回の場合におきましては告発の条件を欠いているように思われましたので、そのような勧告をしなかったというだけでございます。 なお、有馬の事故があってからの
指導
が全然行なわれていないじゃないかというような御指摘でございますが、私ども
報告
を受けておりますところでは、こちら側の
指導
によりまして、昨年の十二月に
避難訓練
並びに予防査察を行なったということでございます。もちろん、この査察のやり方、あるいはそれが十分実効をあげていなかったじゃないかというような御指摘でございますれば、この25のところに書いてございますような欠陥がなお発見されたわけでございますから、そのとおりであったというように存じます。
小川新一郎
164
○小川(新)
委員
これは刑事局長にお尋ねしたいのですが、とにかく三十一名のとうとい
人命
がなくなった。特にこの中で私は一番
問題
にしたいことは、小量危険物、といってもこれは御
説明
を受けなければわかりませんけれども、危険なベンジンとかそういうものですね。それから、いろいろと先ほども
問題
が出ました
ショー
の場所が違ったとか、いや何だとか出ましたが、こういうことを一番最終にやるのは、これは
経営者
だと思う。捜査のことをいま私ここで聞きませんが、ここに出ている七点だけでも事実であれば、これは
旅館
経営者
の刑事的責任は問われるのですか。
内海倫
165
○
内海
政府
委員
先ほどからたびたび申しておりますように、こういう刑事責任を追及するための捜査というものは、具体的な条件、具体的な
実態
について、克明にこれを調べ、そうしてその起こっている
火災
あるいは生じた死傷の事故というものと、そういうふうないろいろな過失あるいは管理上のミスというふうなものが、いわゆる犯罪追及の条件として結びついておるかどうかということを明らかにしなければ、警察という立場あるいは法律の立場からは容易に犯罪であるとかないとかということは言えないわけでございます。ただいま
郡山
消防
本部の査察結果についてもいろいろ御
意見
ございましたけれども、もちろん地元警察においてはそういうものも十分検討いたしておりますが、その結果がどういうふうに出てくるのかということは、私いまここでいかようにも申し上げかねるところでございます。警察としては、たびたび申し上げておりますように、現状を的確に調べておる、そういうことでございます。
小川新一郎
166
○小川(新)
委員
これはそのくらい慎重であってしかるべきであると思います。私もその
意見
には賛成でありますけれども、再三再四、どちらにしても結果が出ておりますからね。因果の理法からいけば、科学的に見ても、原因がなければ結果は出ないのです。その点われわれは、社会的な観点に立って、これは明らかに、明確に、責任の追及をしていかなければならぬ。これは、なくなった方に対して申しわけないと思う。うやむやに終わらせられない。その点はひとつ今後の捜査また
調査
に期待するものであります。 お急ぎのようですから
建設政務次官
にお尋ねいたしますが、日本の観光
旅館
または
ホテル
、または病院、こういうところで
新建材
を使っております。使っておりますが、
新建材
の中で最もおそるべき点は、
建設政務次官
の考えの中からは何なんでしょうか。
渡辺栄一
167
○渡辺
政府
委員
ただいま小川
委員
の御質問でありますが、専門的なことは係が来ておりますが、今回の施行令その他で考えておりますことは、非常に煙が出るという点ですね。それから、比較的燃えやすい。そういうような点につきまして今度の施行令でも考えておりますが、次の
建築基準法
の
改正
につきましては、十分ひとつ研究をしたい。 なお、私どものほうの
建築
研究所におきましても、こういう
問題
につきましては、それぞれ具体的な研究を進めておるわけであります。
小川新一郎
168
○小川(新)
委員
旅館
に泊まるのに、この間漫画に出ていたのですけれども、まずヘルメットを持っていけ、なわばしごを持っていけ、次に懐中電灯を持っていけ、その次には防毒マスクを持っていけ、この四点をまくら元に備えて温泉に行け、こういう漫画が出ておりました。私は、ただ単なる煙だけとするならばそんなにおそろしくないと思うが、この煙には有毒ガスが含まれていると聞いております。建設省では、こういった
新建材
、または新しい科学がどんどん発展しまして、あらゆる利用価値が見出されてきますと未知の分野もある。こういう点につきましては、
建築基準法
改正
の
基準
になるべき
調査
とか、そういうデータというものはどこで一体集めておるのか、一体どういうことが
基準
になっていらっしゃるのか。
渡辺栄一
169
○渡辺
政府
委員
ただいま小川
委員
の御質問でございますが、私どものほうといたしましては、ただいま
建築
研究所の中でこういう建材に対しまする研究を進めております。しかし具体的な、ただいまお話しのような専門的なことにつきましては、
指導課長
も来ておりますので御
説明
を申し上げます。
前川喜寛
170
○前川
説明
員 お答えいたします。 いまの点は、現実には日本
建築
センターで防煙
関係
の
委員会
をつくっておりまして、これは財団法人だったと思いますが、そこでいろいろの
関係
の専門家に協力してやっていただいております。そこの資料は全部
建築
指導
課のほうへ集まっておりますけれども、まあしかしどちらかというと、建設省としまして正式には
建築
研究所の防火の担当のところが建設省としての実質的な責任を持って集めている、大体こういうかっこうでございます。
小川新一郎
171
○小川(新)
委員
水上温泉のときにこの
調査
の依頼が当
災害対策
特別
委員会
の
委員
から出されておる。これは民社党の方から出ておりますね。
会議
録を読めばちゃんとはっきりしております。それからもう数年たっておりますが、建設省からは、議員からこういう
調査
依頼があった、いつまでにそのデータを出すということを聞かれておりますが、それに対していつ出るのですか。
前川喜寛
172
○前川
説明
員 水上温泉のときのことはちょっと私存じませんでまことに申しわけございませんけれども、煙の
問題
はやはり最近非常に起こった
問題
でございます。やはり研究量が非常に膨大でございますので、時間を食って申しわけないわけでございます。今回のいわば
建築基準法
の
改正
を実はめどにしまして何とかまとめたいというふうなことで、もう大体できかけております。さらに、今度の事件につきまして、われわれとしてももう一刻も早く、この法律
改正
以前にでもできるだけ煮詰めてみたい、こういうふうに考えております。
小川新一郎
173
○小川(新)
委員
はなはだいつも要領を得ない
答弁
ばかりいただいておるのですけれども、これは大事な
問題
ですから早急にお願いしたい。
消防
庁にお尋ねしますが、
消防
計画の計画書が未
提出
でどうして
消防訓練
ができるのですか。
川島巌
174
○川島
説明
員 実は
消防
計画につきましては
消防署
で
指導
いたしまして、そして
消防署
のほうへ届け出させる、こういう形になっておりまして、まあ現在素案みたいなものが発生当時出ており、
消防署
と相談中であった、こういうことでございます。その
消防訓練
、
避難訓練
が十二月十二日に行なわれましたその直前の時点におきまして、
ホテル
の
従業員
、防火管理者である総務課長以下分担をつくりまして、これは一応自衛
消防組織
という形で分担表がつくられております。その計画に基づきまして
消防訓練
と
避難訓練
を行なっておる。したがいまして、その
消防
計画のほうは具体的な個々の行動を書くことではなくて、一応分担あるいは
消火
に対する
設備
の
維持管理
、あるいはそういう
消防
のための目標というようなことを定めるわけでございます。
消防訓練
のほうは、それを今度は具体的の行動に移しまして実施をしたということで、やり方があべこべでございますが、そういうことで
実態
行動として
消防訓練
を行なった、こういうことでございます。
小川新一郎
175
○小川(新)
委員
この
消防訓練
には
消防署
員が実地にそこへ立ち会って、そして
訓練
指導
をするべきものなのか、ただそういった
旅館
とか
ホテル
の任意にまかせてやらしているのか、そういう点はどうなんですか。
川島巌
176
○川島
説明
員 今度の
磐光ホテル
の場合には、有馬温泉直後のことでございますし、初めてのケースでございます。したがいまして、
郡山
市消防署
長、それから
熱海出張所
の所長、予防
関係
者が立ち会ってこの
訓練
を実施しております。通常の場合、
一般
の
消防署
におきましては、相当規模の
消防訓練
であれば、これは当然
消防署
から予防係官あるいは警防の担当の者が出向きまして
指導
をして、計画の段階からさせることもございます。それから部分的な小さいものにつきましては、防火管理者みずからの裁量で実施をする。こういうことで、できる限り
消防署
員は立ち会って
指導
をするという形でこの
訓練
が行なわれて、るのが
実情
でございます。
小川新一郎
177
○小川(新)
委員
そこは
問題
だと思うのですね。結局、任意で
消防訓練
をやったのじゃない。先生が行ったわけですね。
消防署
の
指導
のとおり
訓練
をやられて徹底されたと思う。ところが、その次の九ページには、「
管理運営上
の
問題点
」として「
館内通路
には、売店のケース、
遊技具等
が置かれてあって
避難口
に通じる
通路
が狭隘であった。」「
火災
に際し
使用
する
非常口
は、施錠され容易に開かれない状態にあった。」その次にはウに「
従業員
の
避難誘導
の不徹底」がうたわれているのです。これは一体どういう先生が
消防訓練
を教授したのか。
消防
ごっこをやっているわけじゃないんですからね。そのときに
避難口
にかぎがかかっている。その
避難口
をあけてみれば
階段
がなくて前はがけです、三階は。落っこっちゃう。だから危険だからかぎをかけ、そしておみやげものだの、売店の品物が
通路
にあふれておった。そして一一九番にも電話をかけられない能力、
一般
電話で
通報
があった。これは一体
郡山
消防署
のどなたがどう具体的に
訓練
をなさったか、疑いたくなっちゃう。それとも一ぺんだけの
訓練
ではだめなのか。一体何回ぐらいやれば基本的な
問題
はマスターできるのか、この点について御
説明
いただきたい。
川島巌
178
○川島
説明
員 実はまことに申しわけないのですが、この
消防訓練
計画書を向こうからもらってきておりません。ただ、この当日行ないました
訓練
は、
パラダイス
部分のみならず、
ホテル
全部について
一般
的な
訓練
を行なった、こういうことでございまして、ここに指摘されてありますものは、事故の、今回の
パラダイス
・ケースのいわゆる大量焼死者を出したという原因となるものをここにあげたわけでございます。
避難訓練
の際に一応こういう部分に触れて講評をしたかどうか、つまびらかではございませんが、こういう点については、当時の
訓練
実施上の
指導
の不徹底はあったといわざるを得ないわけでございます。 それから二階、三階部分の
避難口
につきましては、先ほど御
説明
申し上げましたように、これは
階段
がつくまでは使えないように完全に閉鎖をしておけということで一応処置をした、
指導
をしたというふうに
消防署
のほうからは聞いております。ただ、
避難誘導
灯が
設置
のままの状態にあったということは、これはまことに申しわけないことだとわれわれは考えております。
小川新一郎
179
○小川(新)
委員
私は、
建築基準法
の論争はもう先ほどしましたからしないのですが、なぜここで出したかと申しますと、
消防署
のコーチがついて
訓練
をしておって、そうしてその
避難口
を使うななんて、そんな
指導
をしているからあそこで死んでいるんじゃないですか。なぜそのときに、使うなではなくて、それをやらせるという
訓練
をしないのですか。かぎがかかっていて、
階段
がないから、それは閉じてかぎをかけてしまう、そういう
訓練
を
消防署
がしたとしたら
問題
じゃないですか。
川島巌
180
○川島
説明
員 私のお答えのしかたがまずくてまことに申しわけありません。ただいま申し上げました
避難口
と申しますのは、
パラダイス
の二階、三階の部分でございまして、そこは
階段
がついておらないためにそこは使うなと、こういう
指導
をしたというふうに
報告
を受けております。 それから、施錠と申しますか、
避難
の流れの中心部をなしました南西部の
避難口
の施錠につきましては、これはこの部分が演習の対象地になっておらなかったのじゃないかと私は考えるわけであります。
現地
に着きまして、
旅館
の責任者に、これは総務課長でございますが、ここのいわゆる開閉状態について聞きましたところ、実は申しわけないけれどもここはかぎをかけておった。ここは
強風
のためにかぎをかけておったのかと聞きましたところ、そうではなくて、この
パラダイス
に入るには、外から入る場合には全部正面玄関からお金を取って入れるということで、あそこをあけておきますと盗難上その他の
問題
があるので、必要の際はあけるのだと、こういうふうに話しておりました。したがいまして、
消防署
のほうでこれを完全に知っておれば、いわゆる
避難
の際に有効に使えるような
措置
を具体的に
指導
したと思うのです。これが
現地
の
調査
をした段階でははっきりいたしません。そういうことです。
小川新一郎
181
○小川(新)
委員
その入り口のことにつきましては、こちらの社会党の
委員
さんがものすごくこの前おしかりになっておりました。要するに、
パラダイス
というものは外から容易に入れるんだ。営利上、人の命よりも金もうけのほうに重点があるのだからかぎがかかっている、どろぼうよけなんだ。ただ、私が
問題
にしておることは、ここで
消防署
の専門官が
避難訓練
のコーチをしたということなんです。コーチをしながらそういう点をいいかげんにした。そのコーチのとおりやったら事故が起きたと言われてもしようがないですね。自分たちが自主的にやったのならばそういうこともあるでしょう。しかし、専門官がその
避難訓練
や
消防訓練
に参加しているのですから、そういうところを置き去りにしたり、ここはこうだからということで妥協をしたり、いま言ったようないろいろな
営業
的な
問題
でかぎをかけておくんだとか、そんなことを察知できないような
訓練
だったら、やっぱり教えた人が、そこに参加した専門官が責任を負わされる。これは何たって道理だと思うのですね。それがここには書いてはありませんよ。さすがにこの
報告書
には書いてないが、そういった
問題
が今回いろいろと摘出されておるのですね。ここだけ責めているわけじゃありませんが、これから
旅館
の
消防訓練
、
避難訓練
には必ず
消防署
員が立ち会い、厳重にやっていくのがたてまえなのか、それとも自主的に、そういった
訓練
とかそういうものは
旅館
の業者にまかせるのか。どういうのですか、その態度は。
佐久間彊
182
○佐久間
政府
委員
旅館
の
避難訓練
は、防火管理者が自主的に励行するというのが法律の原則のたてまえになっております。先生の御指摘のようなことで、
消防職員
が一々立ち会うということができますれば、それも一つの考え方だと思いますけれども、
消防職員
の数も限られておりまするし、やはり私は、
旅館
の
経営者
が自主的に、自分のところから火を出さないように防火管理の責任をもっと持ってもらうという考え方でいかなければ、とても
消防職員
に全部の
旅館
、
ホテル
の
消防訓練
の
指導
をさせるということはできません。現在それだけの余裕はございません。そこで、防火管理者の
避難訓練
の実施の義務は、昨年
政令
を
改正
いたしまして新たに加えたわけでございます。私どもとしては、まず防火管理者にしっかり自主的な管理の責任を持ってもらい、そして、その足らないところを
消防職員
が
指導
する、こういうことでいきたいと思います。
小川新一郎
183
○小川(新)
委員
その点はよく了解いたしました。ふだん火が出ていないときに、それは確かにたいへんだと思います。たいへんだと思いますが、一朝有事の際のためでありますので、そういったことに専門官が行かなければ、ただ
消防
ごっこみたいになってしまうおそれがあると私は心配しているわけですね。その点はひとつ今後の検討としてお願いしたいのです。 その次に、
金粉ショー
というのは、このダンサーはこの
旅館
の専属ダンサーではないように聞いておりますが、ほかにもこういう
旅館
をかけ持ちでやっていたのですか。どうなんですか。
赤穴博
184
○
赤穴
説明
員 その点につきましてはつまびらかではございません。
小川新一郎
185
○小川(新)
委員
つまびらかでなくては困るのですよ。これはつまびらかにしてもらわなくちゃ困る。なぜかといえば、このチームは二十何人もの、三十人ものチームで、専属で雇っているならここだけだけれども、こういうふうに一カ月この
旅館
でやって、その次は向こうの
旅館
へ行って同じような
ショー
をやっていて、もし今後も事故がなければどんどんやっていくのだということになれば、これはやはり
問題
だと思うのですね。その点がまず一つです。 次には、風俗的に見て、これは女の人も男の人も裸になってしまうのですね。これは政務次官、一体どう思っておりますか。この点ではおかしな
ショー
と見ておりますか。
粟山秀
186
○粟山
政府
委員
ただいまの裸でどうかということについては、裸だから卑わいであるということには必ずしもならないと思っております。
小川新一郎
187
○小川(新)
委員
そうすると、好ましいと思っておりましたか。
粟山秀
188
○粟山
政府
委員
見たことがないので、この
ショー
については何ともお答えするだけの経験がございません。
小川新一郎
189
○小川(新)
委員
これは上半身が裸だということは、男も女も裸であると私は解釈しているのです。実際はどの程度の裸であるか、私も見たことがないからわかりませんけれども、非常に客寄せ主義的な——先ほども出ていたが、ヌーディストクラブへ警察の手入れが入って
営業
中止になった。はっきり言うと、こういうところは刺激の強いものでなければお客が呼べないのですね。こういう点にも非常に
問題
があると思うが、これは専属であったかどうか、また、ほかの
旅館
でもやっていたのかどうか、厚生省、至急にちょっと
調査
していただきたいと思うのですが、あとでけっこうです。その点をお願いします。 次に、
ダクト
の点が先ほど
問題
になりました。これは通風装置ですか、あれが火炎放射器的な役目をしたといわれております。こういった通風装置というものはどのように考えられておりますか。
沢田光英
190
○
沢田説明員
お答えいたしますが、現在、
基準
法の
政令
の中に、
ダクト
が防火区画を貫くところに防火上のダンパーをつける、つまり、しんになって火を防ぐようなものを中につけるという条項があります。ただし、その区画は千五百平米が
基準
になっておりますので、小さな区画のところには入っていない。したがいまして、もし火炎がそういうものを走ったのだといたしますと、その技術的な
問題
が発生するかと思います。ただ、原因が、そこを走ったのかどうか、現在検討中でございまして、その結果、走ったとなれば、技術的な検討を加えまして、所要の
政令
なり告示なりのところでカバーをしていきたいと思います。
小川新一郎
191
○小川(新)
委員
時間もありませんから最後に一点だけ、これで終わります。 これは
消防
庁にお願いしますが、
消防活動
関係
においては、異常な気象下において、
悪条件
のもとに、往々にしてこういった大火が起きるのが常であります。また、それが原因になって大火になることは考えられます。そこで、平素において
想像
もできない大
惨事
になるという貴重な
教訓
を得た。この貴重な
教訓
とは何か。一体この貴重な
教訓
をどう生かされるか。この点についてお伺いしておきます。
佐久間彊
192
○佐久間
政府
委員
今回の警防活動につきまして、今後いろいろ検討すべき
教訓
があったと考えております。まず、この
通報
が、覚知が非常におくれたというようなことにつきましても、私どもなおよく検討してみなければならない点があると思います。それから、覚知がおそくて出動がおそくなったためかと思いますが、火煙が相当な勢いになっておりましたので、
消火活動
も最初思うように進まなかった点がございます。また、その際、水利の
問題
で、せきとめられておったことも事前に
調査
せずにおったというようなこと、また、ただいまお話がございましたように、非常な雪、
ふぶき
の困難な
状況
のもとでの警防活動、いろいろ警防活動上の
問題点
もございますので、現在私どもも専門家に検討を命じておるところでございます。
小川新一郎
193
○小川(新)
委員
私これで終わらせていただきますが、最後に一つだけ要望しておきたいのです。 このような
火災
が起きて、事後になってお互いに責任を究明していく、これも一つの
問題
ではありますが、それ以上に予防という点が一番大事です。先ほどから各
委員
からの法的の
問題
、
建築基準法
、
消防法
、自治省
関係
、また警察庁、こういったあらゆる
関係
各省のチェックの方法、こういう点はわれわれ議員といたしましても、当
災害対策
委員会
でも、
委員長
にお願いいたしまして、これからどんどん検討していかなければならぬ点であると思います。ただ、私はあそこを
視察
しまして、あそこに一匹のチンパンジーが生き残っておりました。ちょうどサルのおりがありまして、そのチンパンジーがあざ笑うかのごとく、人間は一体何をやっているのだ、おれはこうやって生き延びたじゃないかというふうに語りかけているように感じたわけです。あの池がお湯になってしまったので、コイが何百匹も浮き上がっておりました。その向こうに小さな動物園みたいなものがありまして、そこに鳥とか小動物がおった。不幸中の幸いという表現をしていいかどうか、これらの動物は何ら
被害
がなかった。動物に笑われるようなことがあってはならないと深く痛感して帰ってきたのです。こういう
委員会
において真剣に討議された
問題
が一つ一つ実現の方向に歩んでいくよう、私は最後にお願いいたし、希望もし、また私どもも実現する方向へ努力いたします。どうかお互いにがんばっていきたいと思います。 以上をもって終わらせていただきます。
川村継義
194
○
川村委員長
唐橋東
君。
唐橋東
195
○
唐橋
委員
だいぶ時間がおそくなりましたので、私は税法
関係
の
問題
に限りまして簡単に御質問申し上げますので、御
答弁
もごく結論的にお願いしたいと思うわけでございます。 いままでいろいろと議論されてきましたように、
ホテル
と興行場の合併されたもの、しかも御承知のように、
ホテル
は
ホテル
の入り口がある。それから
パラダイス
は
パラダイス
の入り口で、
パラダイス
のほうは毎日何百人という人たちが出入りいたします。そうして、いままでの議論でおわかりのように、あそこにはいろいろの催しものがありました。そうしてさらに、その興行場という認可も、
許可
というか認可というか、厚生省
関係
から出ていたということはいままでの議論で明らかになったわけでございます。そういたしますと、入場税法を見てみますと、興行場というところにおいて、「
映画
、演劇、演芸、音楽、スポーツ、見せ物、競馬、競輪その他」、こうなっておりますが、あの中において
ショー
を行なう。私は一回行ったことがありますが、あの二階のホールでは、ステージでは音楽をやっておりました。今度の
火災
は御承知のように
金粉ショー
でございます。そういたしますと、これは当然入場税法の対象になる、こういうことがいわれると思うのですが、これに対してはいままでどのように取り扱っておいでになったか、御
説明
願いたいと思います。
佐藤健司
196
○佐藤
説明
員 この磐梯国際観光という
施設
の中に、いわゆる演芸ホールでございますとかあるいは
映画
をやる
施設
、そのほかに浴場その他多種多様の
施設
を持っておる
パラダイス
というものがあるわけであります。入場税法のいわゆる「催物」をやっておるというものに該当いたしますのは、その中におきますところの演芸ホールでときどきやっております流行歌を聞かせるということ、あるいは
会議
室で
映画
をときどきやっておるというものが「催物」をやっておるということになるわけでありますが、
磐光パラダイス
に入りますための料金といいますものは、
宿泊者
につきましては三百五十円、非
宿泊者
の場合には四百円をおとなに対しては取っておるわけであります。この中でいわゆる「催物」に該当する部分がいかほどであるかということを計算いたしておるわけでありますが、そういう案分計算をいたしてまいりますとこれが三十円未満になるわけであります。そういう
関係
からいたしまして、現在の入場税法におきましては入場料金を課税標準といたしておるわけでありますが、その入場料金が三十円未満である場合におきましては課税をしないことになっておるわけであります。ちょうど免税点以下に相なります
関係
上、課税をしておらないわけであります。
唐橋東
197
○
唐橋
委員
私は課税されていないということを
現地
の税務署からもお伺いいたしました。そのほかの税を調べてみますと、
遊技場
の
施設
の中の御承知のようにパチンコ屋、射的場への
施設
利用税がございます。それから温泉でありますから入湯税があります。入湯税は市税ですから、市のほうから資料をとってみますと一日四百人の入湯税が納まっております。パチンコは台数が八十三台で、一台につき四十円ずつの課税がされておる。そういう中において、ちょうど私らが行きましたときには二階のホールというものは、私には音楽というものはよくわからないのですが、とてもにぎやかなんです。ほとんどホールが満員でした。今度の
ショー
の場合だって百七、八十人、こういうことでございます。しかもそれは昼間でないのです。私が行ったのは昼間です。夜でさえそれだけの人員なんです。そうすると、あの
施設
の中で入湯税が取られる。これが四百人。これも計算上は
ホテル
を中心とした入湯税であって、あの
パラダイス
を中心とした入湯税というものでないじゃないか、こういうことを考えましたときに私は非常に疑惑が出てまいりました。 したがって、私のお伺いすることは、必ずどのような場合であっても第二条にありますように、名義は別ですが、対象になっていた。しかしこれは非課税対象だった、こういうことなんですけれども、その非課税の限界というものをどういう——人員からいえばどのくらいの人員で考えたか。おそらく私は金ではこれはつかみ得ないと思うのですよ、四百円の中では。人員でつかまなければならないんじゃないですか。そして必ず、私たちが何か催しものをするというときには切符が発行になって、税務署の権威のある切符が三百枚、二百枚、これをもらわなければ
映画館
やあれにいけないような仕組みになっているでしょう。手続上はどうなんですか。まずそこからお聞きしましょう。
佐藤健司
198
○佐藤
説明
員 これは、たとえばこれに似たようなものとしましては、船橋のヘルスセンターでございますとか、いろいろなこういう
施設
の中の一部で催しものが行なわれておるものがあるわけでありますが、この場合におきましては、やはり全体の経費を案分をいたしまして、それが入場料金の中でどういうふうな配分になるかということを計算をいたしまして、その経費の部分につきまして、催しものに直接要した経費の部分を入場料金の中で案分をいたします。そういうことによりまして課税標準というものをきめておるわけでございます。
唐橋東
199
○
唐橋
委員
そうすると人員には全然
関係
ないのですね。非常にそこら辺
問題
になりますね。入場者の人員には全然
関係
ないのですか、満員になろうが、どうであろうが。あたりの
施設
に非常に金がかかるから、それを配分してみれば四百円のうちにはもう何割しかない、こういうような算定の根拠が入場税法から出てくるのですか。
佐藤健司
200
○佐藤
説明
員 これは入場人員とは
関係
がないわけでございます。その入場料金の中でどの部分になるかというのは、その中における催しものに直接
関係
する経費、その中に入場するための全体の
施設
を利用する経費、それの案分によりまして計算をいたします。
唐橋東
201
○
唐橋
委員
わかりました。私はいままで、ヘルスセンター方式というか、どういう方式というか、一括切符を買えばその中に入って、パチンコ、これは金を出してやればやれる。あるいは児童遊園地もある、温泉プールもある。あらゆる娯楽
施設
が完備しているわけです。
映画館
もあれば
劇場
もある。そしてみんな、
映画
をちょっと見て、あるいは今度は何時からは
ショー
だ。こういうことで一日そこで遊覧をする。そうしますと、ほんとうに私最初疑問に思っていたのは、どのような場合だって催しものの場合には、税務署から権威のある切符がこれは税として出されている、そういうものがあの中においてどのように代行されておるか、こういうことになってきていたのが、それが実際はそうでなくて、一枚の入場券であとは全部プール計算で行なわれる、こういう課税のしかたなんですね。他の独立したあるいは興行、そういうものの課税の方法といまのようなヘルスセンター方式の課税方法は全然違うんですね。
佐藤健司
202
○佐藤
説明
員 これは一括してそこの全体の
施設
を利用するための料金というものがあります。その料金さえ払えば、中で催しものがありますとそれも見られるというような形態のものにつきましては、やはり先ほど私申し上げましたように、全体の経費の中のその催しものに要する経費の分を見まして、それを入場料金の中で案分をいたしまして、課税になる、入場税の対象になる課税標準というものをきめておる、こういうことになっておるわけです。
唐橋東
203
○
唐橋
委員
私も非常に勉強不足なんですが、そうするならば、そのような取り扱いは入場税法のどこにあるのですか。少し勉強してみましょう。
佐藤健司
204
○佐藤
説明
員 これは、現在の入場税法に関連しますところの通達によりまして、そういう取り扱いをきめているわけであります。
唐橋東
205
○
唐橋
委員
それは非常に
問題
だな。労演あるいは労音、あるいはちょっとした演劇をやろう、そういうものに対してはものすごくいまきびしく税務署は切符を発行していますよ。そうしてこのような大きな
ワク
の中に入ったものは
ワク
の中のプール計算だという。今度何日にはこういう興行がかかる、今度こういうような
ショー
をやります、こういうような音楽をやりますといって、全く大宣伝をいたします。そうして、
ホテル
のほうは別として、一日の入場料を取るわけですが、入ってみれば、食堂に入って御飯を食べれば料金を取ります。パチンコをやればパチンコ、射的をやれば射的、残されたものは何かというといまの催しものだけなんです。その通達をひとつ見せてください。
佐藤健司
206
○佐藤
説明
員 これは課税標準額の計算に関しての通達でございまして、「入場料金の抽出判定」という規定がございます。これは入場税法基本通達でございますが、もし必要でございましたらごらんいただきたいと思います。
唐橋東
207
○
唐橋
委員
あとで見せてください。時間がありませんので、私はあとで勉強さしていただきたいと思います。 具体的に四百円の配分をお聞きします。案分したのですから、この
磐光パラダイス
の案分の根拠を御
説明
願いたい。四百円の案分です。
佐藤健司
208
○佐藤
説明
員 これは
郡山
税務署のあれでございまして、まだ詳細な資料は取っておりません。
唐橋東
209
○
唐橋
委員
案分方法でここの場合には三十円以下になった、こういうことなので入場税は徴収していなかった、その案分その他については所管税務署におまかせしているのでここではわからぬ、こういうことなんですね。それでは大至急その案分方法を取って私のところに届けてください。それを同時にいまの通達をあとで一部よこしてください。
佐藤健司
210
○佐藤
説明
員 これは税務署のほうに照会をいたしましてさらに詳しい資料を取り寄せたいと思いますが、やはり
施設
全体に対する入場料というものと、それからその中の一部の催しものとを区分せずに入場料を取っております場合、その中のいわゆる催しものに対しての入場料金というものを確定するための通達が出ているわけです。これは後刻
提出
します。
唐橋東
211
○
唐橋
委員
これで質問を終わります。あとで資料を出してください。 なお、私がお願いする資料には、そういう形の、ヘルスセンター方式ということばが該当するかどうか、そういう中で入場税を取っているというところがあれば出してもらいたいし、それからもしそういう方式で著名なところ、入場税を取ってないけれどもこういう著名なところがございますというようなところで、十カ所程度でいいですから、全国の例をひとつ出してみてください。あとで資料として出してみてください。
川村継義
212
○
川村委員長
本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。 午後二時十分散会