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1969-08-02 第61回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年八月二日(土曜日)     午前十一時三十五分開議  出席委員    委員長 内海  清君   理事 稻村左近四郎君 理事 斎藤 寿夫君    理事 山口シヅエ君 理事 板川 正吾君    理事 山口 耻目君 理事 河村  勝君       阿部 喜元君    加藤 六月君       川崎 秀二君    川野 芳滿君       小峯 柳多君    増岡 博之君       箕輪  登君    武藤 嘉文君       井上  泉君    小川 三男君       太田 一夫君    後藤 俊男君       古川 喜一君    松本 忠助君  出席国務大臣         国務大臣総理         府総務長官)  床次 徳二君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 久保 卓也君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君     ————————————— 八月二日  委員大野明君、亀山孝一君、鴨田宗一君、河野  洋平君、丹羽久章君、濱野清吾君及び久保三郎  君辞任につき、その補欠として阿部喜元君、増  岡博之君、川崎秀二君、小宮山重四郎君、武藤  嘉文君、箕輪登君及び後藤俊男君が議長指名  で委員に選任された。 同日  委員阿部喜元君、川崎秀二君、小宮山重四郎  君、増岡博之君、箕輪登君、武藤嘉文君及び後  藤俊男辞任につき、その補欠として大野明  君、鴨田宗一君、河野洋平君、亀山孝一君、濱  野清吾君、丹羽久章君及び久保三郎君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  交通安全対策基本法案内閣提出第一〇七号)  交通安全基本法案久保三郎君外十三名提出、  衆法第二九号)  請 願   一 交通安全施設等整備事業計画期間延長     に関する請願井出一太郎紹介)(第一     〇四三号)   二 同(小川平二紹介)(第一〇四四号)   三 同(小沢貞孝紹介)(第一〇四五号)   四 同(吉川久衛紹介)(第一〇四六号)   五 同(倉石忠雄紹介)(第一〇四七号)   六 同(小坂善太郎紹介)(第一〇四八号)   七 同(下平正一紹介)(第一〇四九号)   八 同(中澤茂一紹介)(第一〇五〇号)   九 同(羽田武嗣郎紹介)(第一〇五一号)  一〇 同(原茂紹介)(第一〇五二号)  一一 同(平等文成紹介)(第一〇五三号)  一二 同(林百郎君紹介)(第一二九一号)      ————◇—————
  2. 内海清

    内海委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる交通安全対策基本法案及び久保三郎君外十三名提出にかかる交通安全基本法案の両案を一括議題といたします。  両案に対する質疑は、去る七月三十一日に終了いたしております。  これより内閣提出にかかる交通安全対策基本法案及び久保三郎君外十三名提出にかかる交通安全基本法案を一括して討論に付します。  討論申し出がありますので、これを許します。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 私は日本社会党を代表して、日本社会党提出交通安全基本法賛成し、政府提出交通安全対策基本法反対討論をいたします。  政府の無計画な自動車産業育成政策によって、わが自動車保有台数は、敬異的な増加を遂げ、ために、自動車交通事故もまた激増し、いまや国民生命身体財産日常不断の危険に直面いたしているのであります。  昨年の自動車交通事故による死者は一万四千二百五十六人、負傷者は八十二万八千七十一人と史上最高記録を示し、さらに本年はその記録を更新し、死傷者百万人をこえるものと予想されているのであります。  交通戦争といわれて久しいのでありますが、この間政府のなしたことといえば、ダンプカーに背番号を表示し、歩道橋を若干増設したにとどまり、金をかける抜本的な交通安全対策は全く放置されてきたのでありす。  さらに政府は、幹線道路高速自動車道には膨大な国家資金を投入しながら、他面、歩道整備を怠り、国道、県道の総延長に対する歩道率はわずか五%にも満たない現状を放置してきたのであります。  人が歩く道としてつくられた道路は、いまや自動車の横行にまかせ、人々はその片すみを戦々恐々として歩行せさるを得ない現状は、まことに人道を無視するものといわなければなりません。  このことは、佐藤総理が口では人間尊重政治を唱えながら、実際には口とは全くうらはらの人間不在独占擁護政治を行なってきた事実を雄弁に物語っておるのであります。  今回の政府提出交通安全基本法は、この佐藤内閣の本質をいかんなく暴露しており、国民生命身体財産を守るための具体的施策はほとんど骨抜きにされており、これは地方都市によく見られる交通安全都市宣言の垂れ幕のように、実質的施策の裏づけのない宣言規定をいたずらに羅列しているにすぎません。  したがって、もしこの交通安全基本法が成立したとしても、われわれはこれによって実質的に交通事故が防止できたり、あるいは減少したりすることは絶対にないと断言してはばかりません。  以下私は具体的に反対理由を申し上げます。  反対の第一の理由は、政府案目標があいまいで明確を欠いている点であります。  交通安全基本法制定の目的は、言うまでもなく国民生命身体財産の安全を守るため、まず国において総合的施策を具体的に明定し、その目標達成のため国や公共団体国民協力を求め、官民一体となって実質的に交通事故を撲滅するにあると存じます。  しかるに政府案は、総理大臣会長とし、関係省庁閣僚委員とする中央安全対策会議本法運用最高機関と定めていますが、そこで決定する交通安全基本計画には、総合的かつ長期的施策大綱をきめるとのみ規定してあり、さらにまた、その基本計画に基づいて関係省庁が毎年実施しようとする業務計画にも、総合的かつ長期的施策大綱を示すと規定するのみで、いずれも国が行なう具体的施策について何一つ明確な規定がなされておりません。  このように、目標の不明確な交通安全基本法は、その運用において何ら実効をあげ得ないことは明らかでありまして、われわれの賛成できないゆえんもそこにあるのであります。  反対の第二の理由は、政府案では、安全行政一元化が行なわれないことであります。  申すまでもなく、交通安全行政を推進するために一番大切なことは、行政一元化であります。交通安全行政が、十五の省庁にまたがり、各省ばらばらで、全統一性がなく、常になわ張り争い責任の転嫁が行なわれていることは、国民の深く不満とするところであります。  この際、多元的安全行政統一し、その一元化をはかることが最大の急務といわなければなりません。  しかるに政府案は、依然として多元的行政を続けようとするもので、国民の要望に全くこたえておりません。私は、少なくとも社会党案のように、行政委員会をもって、事故防止のための統一的機能を果たさすべきであると思うのであります。  これに対して政府は、中央総理大臣会長とし、関係省庁閣僚委員とする中央交通安全対策会議を置き、地方には、都道府県に知事を会長とし、関係省庁出先機関の長を委員とする都道府県交通安全対策会議を置き、市町村にはそれに準ずる市町村交通安全対策会議を置くことができると規定してあるから、それによって、国の施策統一がはかれるとされていますが、しかし、この中央及び地方における交通安全対策会議の設置は、現にある交通関係閣僚会議都道府県交通対策協議会市町村交通対策協議会と、構成メンバー機能等がほとんど同一でありまして、すでに同じメンバー機能を持つ会議があり、それによって交通安全の確保ができないのに、単に基本法に基づく会議としたからといって、効果があがるということはあり得ません。実のない形式だけの対策会議を持っても、それは国費、公費の乱費以外の何ものでもないと思います。これが反対する第二の理由であります。  さらに私は、政府案問題点について、若干の指摘をいたします。  第一は、政府案には、運輸事業者責任が不明確であります。交通安全のため、運輸事業者の責務の重大さが問われている今日、それをあいまいに規定することは、容認できません。政府案は、車両等使用者として包括しているといわれますが、少なくとも社会党案のように、簡明直截的に表現すべきであると思います。  第二は、政府案は、歩行者に、陸上交通に危険を生ぜしめないよう協力する責務ありと規定していますが、これは歩道率五%という道路整備現状を無視し、人間尊重歩行者優先の原則を否定することに通ずるものとして問題であります。  第三は、法令整備の問題であります。交通安全の施策実効をあげるためには、諸法令整備し、国民全体に協力を求めることが必要であります。  しかるに政府案には、国の法制上の措置が故意に削除されております。これは各省のなわ張り争い総理府で統制できないことを表明するもので、これまた、基本法実効を疑わしめている点であります。  第四は、被害者救済について、政府案は、現状を是認する規定にとどまり、一歩も積極的に前進する規定がありません。現在、交通事故被害者は、自力救済以外に道はなく、大半が泣き寝入りするか、たまに訴訟によって損害賠償の判決を受けても、その三分の一はびた一文も補償が取れないという実情であり、事故の処理にあたって、加害者がいばり、被害者が哀願するという傾向が一般的で、まことに不合理もはなはだしいのであります。政府案には、こうした現状を改革し、被害者救済のための積極的施策に取り組む姿勢が全くありません。  要するに、政府案現状是認にとどまり、何ら前進も改革もありません。交通安全基本法という名には、あまりにもおそまつな内容であり、その点賛成いたしかねるのであります。  最後に結論を申し上げます。交通事故から人命を守ることは、いま政治に課せられた重大な社会的要請であります。  人類は、過去において数々の伝染病と戦い、これに勝利してまいりました。今日。交通事故死者は、伝染病のそれよりもはるかに多いのであります。われわれは、文明社会の悪疫といわれる交通事故に、国も国民もあげてきびしい闘争を起こさなければ、その撲滅を期することは不可能であると思うのであります。  政府原案には、残念ながら、そのきびしさに取り組む姿勢が全くありません。おそらく本法が制定されたとしても、その実効は期待できないと思います。また、本法はあっても有害ではあるまい、ないよりはましではないかという意味で賛成するならば、事が人命に関する問題だけに、あまりにも無定見といわざるを得ません。  この際、政府・自民党は、いさぎよく本法を廃案とし、実効性ある交通安全基本法を再提出されるよう強く要望して、反対討論を終わります。  (拍手
  4. 内海清

    内海委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、内閣提出にかかる交通安全対策基本法案について、採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  5. 内海清

    内海委員長 起立多数。よって、本案原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)  次に、おはかりいたします。  ただいま、内閣提出にかかる交通安全対策基本法案を可決すべきものと決した結果、久保三郎君外十三名提出にかかる交通安全基本法案については、議決を要しないものと決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  6. 内海清

    内海委員長 起立多数。よって、本案議決を要しないものと決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 内海清

    内海委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————   〔報告書附録掲載〕      ————◇—————
  8. 内海清

    内海委員長 これより請願審査に入ります。  本日の請願日程第一から第一二の請願を一括して議題といたします。  まず、請願審査の方法についておはかりいたします。  請願内容については、文書表で御承知のことでもありまするし、また先ほどの理事会におきましても、御検討願いましたので、この際、紹介議員からの説明聴取等は省略し、直ちに採否の決定に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 内海清

    内海委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  これより採決いたします。  理事会において協議願いましたとおり、本日の請願日程中、第一ないし第一二の各請願につきましては、いずれも立法措置によりまして、その趣旨がすでに達成せられておりますので、議決を要しないものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 内海清

    内海委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 内海清

    内海委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————   〔報告書附録掲載〕     —————————————
  12. 内海清

    内海委員長 なお、本日までに、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり、交通遺児救済についての特別立法措置に関する陳情書外十件であります。この際御報告いたしておきます。      ————◇—————
  13. 内海清

    内海委員長 次に、閉会審査申し出の件についておはかりいたします。  交通安全対策に関する件について、閉会中もなお調査を行なうことができますよう、議長に対し閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 内海清

    内海委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次に、閉会中の委員派遣承認申請についておはかりいたします。  閉会審査にあたり、現地調査の必要がありました場合には、委員長において、適宜委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 内海清

    内海委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、派遣地派遣期間派遣委員選定等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 内海清

    内海委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時五十一分散会