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1969-07-24 第61回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月二十四日(木曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 内海  清君   理事 稻村左近四郎君 理事 大竹 太郎君    理事 斎藤 寿夫君 理事 田中 榮一君    理事 板川 正吾君 理事 山田 耻目君    理事 河村  勝君       加藤 六月君    進藤 一馬君       丹羽 久章君    井上  泉君       太田 一夫君    久保 三郎君       古川 喜一君    松本 忠助君  出席国務大臣         法 務 大 臣 西郷吉之助君         運 輸 大 臣 原田  憲君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 久保 卓也君         科学技術庁研究         調整局長    石川 晃夫君         法務省民事局長 新谷 正夫君         法務省刑事局長 川井 英良君         文部省体育局長 木田  宏君         運輸省船員局長 高林 康一君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         運輸省航空局長 手塚 良成君         海上保安庁長官 河君 一郎君         労働省労働基準         局長      和田 勝美君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察審議         官       杉浦  滋君         通商産業省重工         業局次長    山下 英明君     ————————————— 七月二十四日  委員鴨田宗一辞任につき、その補欠として進  藤一馬君が議長指名委員に選任された。 同日  委員進藤一馬辞任につき、その補欠として鴨  田宗一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策基本法案内閣提出第一〇七号)  交通安全基本法案久保三郎君外十三名提出、  衆法第二九号)      ————◇—————
  2. 内海清

    内海委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる交通安全対策基本法案及び久保三郎君外十三名提出にかかる交通安全基本法案の両案を一括議題として、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 まず、総務長官に伺いますが、この交通安全対策基本法という法律と、交通安全に関連する諸法規がたくさんございます。この法律と諸法規との関連性、どういう関連性を持つのであるか、この点をひとつまず第一に伺います。たとえば、交通安全対策基本法はいわば憲法的な存在であり、他はそれに関する子法的な関係にあるのか、あるいはそうじゃないか、この関係をひとつまず伺っておきます。
  4. 床次徳二

    床次国務大臣 今日まで、交通安全に関するそれぞれの立場におけるところの、専門的と申しますか、規定はたくさんございまするが、今回におきましては、交通安全という運動国家的立場において、国民とともに、いわゆる総ぐるみ的運動によって対策を立てたい、かような趣旨におきまして、従来の規定というものを踏まえまして、その上にできたものであります。したがって、今日におきましては、現在ありまする各法案も、趣旨におきましては、この基本法趣旨と同じだと思っておりますが、なお今後、時代の趨勢あるいは科学の進歩等によりまして、個々法案におきましては、これを改正するものが出てくるかもしれないと思っております。精神におきましては、基本法精神というものと、従来個々にありましたものとは一致いたしておると思います。主体性と申しますか、この基本的な立場を明らかにしたものと考えております。
  5. 板川正吾

    板川委員 たとえば、基本法にこう書いてあるが、各法律にはそれよりゆるやかに書いてあるという場合に、たとえば将来、基本法のとおりに改正をしていこうというのか。とにかく、一般交通安全の法規とこの基本法との関係です。この点を、ひとつ明確に答えてください。
  6. 床次徳二

    床次国務大臣 基本法におきましては、その交通安全対策に対する基本的な立場と申しますか、前向きに全部書いてありまして、したがって、せねばならぬ、今後の方針を示したものが非常に多いのでありますが、個々法律の運用にあたりましても、その基本法精神に十分にのっとって運用してもらいたいと考えております。
  7. 板川正吾

    板川委員 答弁していないけれども、こういうことですか。法律的には関連法規とは平等の立場に立つが、しかし、政治的には、そういう関連法規の上にこの基本法というのを乗せて扱いたい、こういうような気持ちである、こういうことでしょうか。
  8. 床次徳二

    床次国務大臣 基本法でありますので、基本的方針を明らかにしておりますので、その方針に向かって、それぞれの各具体的な立法というものが行なわれると思いますが、しかし、それぞれの時点でありますると、限度といたしましては、あるいは基本法の期待するところまでと申しますか、具体的に規定はできないものがある。しかし、今後、規定方針と申しましては、積極的に安全をより確保するために努力してもらわなければならない、そういう気持ちが私は明らかに考えられると思います。
  9. 板川正吾

    板川委員 入り口でもたもたしておってもしかたがないような感じがしますから、じゃ、次にいきましょう。  この第一条に目的がありますが、ここでいう「交通の安全に関し、」これは、二条で定義がありませんが、「交通の安全に関し、」ということはどういう意味でありましょう。
  10. 床次徳二

    床次国務大臣 交通の安全ということは、単なる事故防止でなしに、被害者の安全ということも考えている、広い意味において考慮しておるのであります。考え方といたしましては、交通安全によりまして、国民生命身体財産を保護するということを中心といたしまして、なお広くこれを公益的立場において考えましたのが、第一条の規定でございます。
  11. 板川正吾

    板川委員 そうなんですね、交通の安全というのは、交通によって生ずる危険から生命身体財産上の安全を守る、それによって公共福祉を増進すると、こういうことになるのではないでしょうか。その交通の安全を確保するというのは、生命身体財産の安全を守る、これは交通の安全である、それによって公共福祉の増進に寄与すると、こういう論理でなければおかしいと思うのでありますが、第一条は御承知のように、社会党案では「国民生命身体及び財産交通による危害から保護し、公共福祉確保に資することを目的とする。」こういっておるのですね。ところが、政府案では、社会党案がすでにこれは四十二年に出されておって、社会党案が先出ておることは承知でありながら、ここに「国民生命身体及び財産」というのを除外したことは、私は、法律のこの第一条の目的というのがどうもぼやけてくる感じがするわけです。  それで、次に伺いますけれども、この「公共福祉」これはどういう意味でありましょう。これはもちろん、社会生活における共同の利益というふうに一般に解されております。基本的人権に対する制約の原理ともされております。しかし、公共福祉という概念は、古くからある法哲学概念でありますけれども、非常に時代によってこの概念が変遷をしております。ここで第一条の目的を、交通安全と公共福祉ということに結びつけて、その中における具体的な目標と目的というのが明らかにされておらないのじゃないか。どうも私が一番この交通安全対策基本法不満にするところは、そういう具体的な目的というのがはずされておる、こういうところにわれわれ不満がある。それで、社会党案があとから出したわけじゃない。先に出してある。そういうことをきちんと書いてあるのに、政府案がそこを抜かすということは、何か基本法目的自体をあいまいにする意図があるのではないかという感じがするわけです。この点どうお考えでしょうか。
  12. 床次徳二

    床次国務大臣 基本法におきましても、国民生命身体財産というものに対しましては十分に考慮しておるのでありまして、なお、それ以上に、交通安全という広い立場に立ちましての施策考えておるという考え方でありまして、社会党案とその点におきましては、いわゆる人間尊重という気持ちにおいて全く変わりないものであります。  なお、公共福祉につきましては、御意見のありましたごとく、今後の社会の進展という広い立場から見ましてこれをあげてあるわけであります。  御指摘になりました個人の生命財産という問題も、第三条、第四条の国の責務あるいは地方公共団体責務の条項におきまして、具体的に安全対策その他の責務につきまして規定をいたしておるのであります。十二分に社会党案に盛られておりまする考え方はこの法案の中に含まれておると私ども考えております。
  13. 板川正吾

    板川委員 さっき言ったように「交通の安全に関し、」というのが、具体的にいうならば、国民生命身体及び財産の安全を確保する、こういうことにあるわけでありますから、そうであるならば、具体的にそういうことを明らかにして、そうして公共福祉というのが最後結びつきになるのが私は妥当ではないだろうか、こう思います。政府案は、目的の条文の中にこういう不明確、あいまいさがあるということをひとつ承知していただきたいと思います。  では次に移りますが、第二条の定義で、交通安全の施設というものに対して定義がなされておりません。交通安全施設というのが四章二十九条にありますけれども、しかしどの範囲までが交通安全の施設かということについては定義がない。社会党案には第二条二項で明確に交通安全施設定義がなされておりますが、ここでいう交通安全施設とは何と何をさすのですか。具体的に答弁していただきたい。
  14. 床次徳二

    床次国務大臣 施設に関しましては、第五条におきまして、道路鉄道その他そういう具体的なものを設置する者また管理する者に対しまして義務を定めてあるのでありまして、さらに詳細な問題につきましては政府委員からお答え申し上げます。
  15. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 ただいま先生の御指摘になりました施設には、二つの場合があろうかと存じます。一つは、ただいま総務長官が御答弁申し上げましたように、広い意味交通施設でございまして、これは第五条にも例示してございますように、道路鉄道軌道港湾施設漁港施設、飛行場、航空保安施設等がこれに該当するわけでご、ざいます。また狭い意味交通安全に関する施設がございます。これは、道路で申しますと、ガードレールでございますとか信号機でございますとか、あるいは歩道防護さくでございますとか横断歩道橋でございますとか、そういうものが該当するわけでございますし、また海上におきましては航路標識等がこれに該当するわけでございまして、これは現在ほぼ常識的にその内容がわかっておりますので、あえてその定義をいたさなかった次第でございます。
  16. 板川正吾

    板川委員 総務長官政府案はこの五条交通安全施設をはっきりしているといいますが、道路交通安全施設になっておりますか。そうじゃないでしょう。五条道路がありますけれども……。
  17. 床次徳二

    床次国務大臣 道路は、これは交通安全施設ではありませんが、道路施設であります。したがって交通安全対策におきましても、道路が整備されるということは、交通安全に非常に重大な関係があるのであります。今後におきましても、道路の改善というもの、なお関連いたしますならば、市街地の画然というようなことも道路交通安全には非常に関係の多いことです。そういうことを前提といたしまして考えておる次第でございます。
  18. 板川正吾

    板川委員 私が質問しているのは、この法律交通安全施設というのは何と何と何をさしておるのですかということを聞いておるのですよ。道路鉄道も整備されれば交通安全に寄与することはわかっておる。ただこの基本法交通安全施設とは何かということが定義に明確ではない。そういう点がこの基本法一つぼけておるところなんです。だから、具体的に言いますが、社会党案の二条の二項にこれこれ、これこれと明記してありますが、これの中で交通安全施設の中に入ってないものがありますか。全部入っておりますか。そのほか何かが入っておりますか。これを読んでみて、これと違う点があるかどうかをはっきりしてください。
  19. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 先ほど申し上げましたように、これには御意見があろうかと存じますが、現在交通安全施設というものはほぼその内容が明らかにされていると私たち考えたわけでございます。なお、社会党案にございます「横断歩道橋道路標識信号機踏切遮断機航路標識航空保安無線施設航空燈火等」は、いずれも、私たちの案におきましても交通安全施設であろうと当えておりますが、それ以外に、たいへんこまかい問題になりますが、空港におきます計器着陸装置等もその交通安全施設に該当するのじゃないかと考えております。
  20. 板川正吾

    板川委員 それじゃこれはこまかいことだから室長でいいですが、社会党案に、必要な施設という中に歩道も当然入っておりますが、今度の交通安全施設のいま言った中に、社会党案でここに明示されたものはほとんど入っております。政府安で、施設の中に歩道は入っておりますか。
  21. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 前に当委員会で御審議をお願いいたしました交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法におきましても、歩道交通安全施設に入っております。
  22. 板川正吾

    板川委員 そういう点は、本来なら定義で明記しておくのがほんとうでしょうね。あやふやに書いておくからつかえるのです。  そこで次に伺います。二条の関係ですが、これは前にも聞いた人があるようですが、一応お聞きします。  この法律で、総理大臣指定する行政機関というのが、どことどこであるかということをまず言っていただいて、その指定行政機関交通安全行政との関連性、どういう業務、たとえば農林省関係するそうでありますが、農林省のどういう点が、この交通安全行政に関連するのか。指定される行政機関交通安全行政との関連性というものについて説明をしていただきたいと思います。
  23. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 この指定行政機関は、いずれかりに本法が成立しました暁には、内閣総理大臣指定をいたすわけでございますが、立案の過程において私たちが予想をいたしましたものを申し上げますと、総理府国家公安委員会及び警察庁行政管理庁科学技術庁大蔵省文部省厚生省農林省通商産業省運輸省労働省建設省自治省等を当面予定いたしております。  なお、農林省がどういう関係関係があるかという御質問でございますが、海上交通安全につきましては、御承知のように漁港整備等がたいへん関係がございますので、そういう意味農林省を加える予定にいたしておるわけでございます。
  24. 板川正吾

    板川委員 これはちょっと答弁が長くなるか知らないけれども、農林省一つ例をいったので、その関連省庁交通安全行政とどういう面で競合するから指定行政機関になるのかという点を聞きたかったのです。その点は答弁できますか。
  25. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 簡単に御答弁申し上げます。  先ほど私がお答えいたしました順に申し上げますと、総理府は言うまでもなく交通安全行政総合調整の任務を持っております。また一般的な交通安全思想普及につきましても所掌の事務になっておりますので、そういう観点から当然入るわけでございます。それから国家公安委員会は、陸上交通におきます交通規制交通取り締り、免許行政について所管いたしております。それから行政管理庁は、これは交通行政のあり方につきまして所掌いたしておるわけでございます。それから科学技術庁は、当委員会におきましてもいろいろ御指摘がございますとおり、今後は交通安全行政はこれを科学的に推進する必要がございますので、そういう点で関連してまいります。大蔵省は言うまでもなく財政的措置に関連するわけでございます。それから文部省学校教育社会教育を主管いたしておりますので、その観点から当然指定されるものと思われます。それから厚生省も、これも御承知と思いますが、救急医療関係でございます。それから農林省は先ほど申し上げました。それから通商産業省車両の、特に自動車の問題でございます。運輸省は陸海空にわたりまして交通行政を担当いたしておりますのでこれは当然でございます。それから労働省は、これは当委員会でしばしば御指摘がございますように、雇用労働者労働条件その他の問題が交通安全に非常に影響がございますので、そういう観点からこの中に入れたいと思っております。建設省は、申すまでもなく道路行政主管行政庁でございます。それから自治省は、交通安全対策基本法におきまして、特に陸上交通につきましては、地方公共団体施策をさらに積極的に推進することを非常に期待いたしておるわけでございまして、それらの観点から入ってくるわけでございますし、またさらに被害者の救済の対策等におきましても、一般交通安全思想普及等につきましては地方公共団体の果たすべき役割りが非常に大きいわけでございますので、それらを統轄する意味自治省がこれらに加えられる予定になっております。
  26. 板川正吾

    板川委員 それじゃ三条に移りますが、三条に、国はこれこれにかんがみて「総合的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。」とありますが、「総合的な施策」とは具体的にどういう範囲総合的な施策というのか。これはあまりばく然としておるものですから、それにしても大体の骨組みだけでも具体的に、どういう範囲総合的な施策とするのか、これを明らかにしてもらいたいと思います。
  27. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいま御説明申し上げましたように、非常に各省関連しております。したがって、これを個々に乱脈にいたしましてはいけませんので、特に第十五条以下、中央交通安全対策会議という機関を持ちまして、総理を会長といたしまして、各省の間で十分検討いたしまして、安全計画というものを作成される。そうしてそのつくりましたものに従って各省庁に実行してもらうということになるわけであります。その意味におきまして、計画を立案するというところに十分な総合性が発揮される。同時に関係各省としましては、それぞれの分担におきましてその安全計画に従って実施する責務を持つ、かように考えております。これによりまして一段と統制的な意味におきましても安全対策というものを推進することができると考えております。
  28. 板川正吾

    板川委員 これはちょっと気になる文字ですから次に伺いますが、この第四章に「交通の安全に関する基本的施策」という表現があります。これと「総合的な施策」とどういうふうに違いますか。
  29. 床次徳二

    床次国務大臣 第四章におきましては、「交通の安全に関する基本的施策」としまして、国その他の施策として具体的にあげてあるわけでありますが、これが総合せられましたものがただいまの総合的な施策としてお考えをいただきたいと思います。
  30. 板川正吾

    板川委員 基本的な施策総合されたものが総合的な施策と言うんだけれども、大体中央対策会議総合的な施策を立てる場合に基本計画といっているんじゃないですか。だから基本総合したものが総合、ちょっとごろがおかしいから聞いたんです。たいした問題じゃないからいいのですが、何か意味があるんじゃないかなと思って聞いたのですが、意味はなさそうですね。  では次に行きましょう。第五条に行きますが、第五条に「交通の安全を確保するため必要な措置を講じなければならない。」道路設置者鉄道設置者施設を増強し、輸送の円滑をはかり、もって交通の安全を確保することが含まれているだろうか。この五条の中に、鉄道道路設置者がその設備を増強して、そうして交通の安全を守る、輸送を拡大して安全を守るということは、「交通の安全を確保するため必要な措置を講じなければならない。」という事項の中に解釈として入るのでしょうかどうかということです。
  31. 床次徳二

    床次国務大臣 設置する場合におきましては、設置のしかたにつきまして、それぞれの規定がございます。また管理のしかたにおきましてもそれぞれの規定があるわけでございます。「法令の定めるところにより、」とありまするが、陸上であればたとえば道路法とかあるいは鉄道営業法とかあるいは道路運送法とか軌道法あるいは航空法等法律にそれぞれ規定がございますので、その規定趣旨に従って交通安全の確保にあたるわけでございます。
  32. 板川正吾

    板川委員 「法令の定めるところにより」ということですが、そのほか「必要な措置」ということが入っておるものですから、「必要な措置」という中にそういう広義の交通安全の施設というのが入るかどうかと思ったのですが、まあいいでしょう。  次に第六条ですが、「車両等製造事業者責務」、欠陥車の問題もあって問題の項目ですが、この製造業者責務の中に、最後の「安全性向上に努めなければならない。」という、いわばある程度逃げ道をこしらえておくような表現になっておりますね。こういう点は、社会党案のように「安全が確保されるように万全の措置を講ずる責務を有する。」こういう形にしたほうが私は製造業者責務を明確にする意味でいいのではないだろうか、またそうすることが今後車両等製造事業者を監督する運輸省立場からいっても私はいいのではないかと思うのですが、運輸大臣にひとつこの見解を承りたいと思うのです。「安全性向上につとめなければならない。」ということは製造業者のあたりまえの話であって、別に安全性について強い義務づけがないように思います。安全が確保されるように、国民が安心して乗りものが利用できるように万全の措置を講ずる責務ありとしたほうが妥当な表現ではないだろうか。この意味では社会党案五条にありますが、これは運輸業者責務の中に入っておりますが、ここの製造業者責務の場合に、表現がゆるいのじゃないかと私は思いますが、いかがでしょう。     〔委員長退席、稻村(左)委員長代理着席
  33. 原田憲

    原田国務大臣 「努めなければならない。」ということは、この法律用語によって私は社会党のおっしゃっておる「責務を有する」ということと同じくらいのことが書かれておる、このように考えております。
  34. 板川正吾

    板川委員 書かれている文章からいえば、「向上に努めなければならない。」、向上につとめていますよ。どこでもつとめておっても欠陥車がああやって出ているじゃないですか。だから私は、この表現はまことに資本家に甘い。多少の欠陥車があってもやむを得ないという言い方に通ずるんじゃないかと思いまして、これは運輸省としては、この辺はもっときびしく規制すべし、こういう答弁があったほうがしかるべきではないだろうかと思います。  七条に移りますが、ここで使用者責務があります。この場合に、車両等使用者ということは、定義が明確ではありません。使用者とはどういうものでありましょうか。たとえば運転者使用者の区別はどういうふうにつけるのでありますか。私は、この点も、社会党の案の五条にありますように「運輸事業者責務」としたほうが妥当だと思う。大体、この政府案には事業者責務というのが不明確なんです。交通安全というのは、もちろん個々のドライバーなりあるいは個々の人も交通安全に協力する責務ありとしても、交通でも船でも自動車でも、運輸事業者というものが一番安全に対して責任を持たなくちゃならぬと思うのです。ところが、政府案には、使用者責務という項目はあっても、運輸事業者責務というのがはずされておる、これはどういう関係でありましょうか。まず定義から伺います。
  35. 床次徳二

    床次国務大臣 この使用者というのは、広い意味使用者——業者あるいは個人の使用者も含むわけでありますが、具体的には「法令の定めるところにより、」と書いてあります。この法令が非常に数が多いのであります。一応関係法令を読みますと、道路交通法、道路運送車両法、鉄道営業法軌道法、船舶職員法あるいは航空法というふうにそれぞれの規定にあるわけでありまして、その立場立場におきまして具体的な規定があるわけであります。
  36. 板川正吾

    板川委員 それはありますけどね。そういう責任を明らかにする場合には、だれがその責任を負うかということを明確にしたほうがいいんじゃないですか。じゃ、どうして運輸事業者あるいは車両等を使用して事業をなす者の責任というふうに、事業者の責任というのをぼかしてあるのですか。そのぼかす意味はどういうところなんですか。これは社会党案が先に出ていますから、政府案をつくるときにいろいろ考えて違いを出したのでしょうけれども、なぜ違えたのか。ポイントは、たとえば運輸事業者責務というのは、社会党案でも政府案でも同じでいいと思う。考え方が違えば、その内容において違うのはあり得ても、どうしてこの事業者責務というのをはずしてあるのですか、あるいは不明確な表現にしてあるのですか、その点どうもおかしいじゃないですか。
  37. 床次徳二

    床次国務大臣 これは特に責任をぼかしたつもりではないのでありまして、その趣旨においては同じでありますが、的確にはそれぞれの法律でもってきわめて明瞭に責任を書いてありますので、それに従った次第でございます。
  38. 板川正吾

    板川委員 まあ私の意見があるということを承知しておいてください。  八条です。これはきのうも質問されたようですが、八条の一項の「車両を運転する者は、法令の定めるところにより仕業点検等を行なうとともに、」とある。事故の割合からいうと、陸上道路運送自動車事故が一番多いわけですね。その車両を運転する者に規定しておるのに仕業点検等というだけで、今度は船のほうでは、発航前の検査から異常な気象、海象等の通報、航路標識の事故の通報、こうやって具体的に書いてある。船員の場合でも若干よけい書いてあるのですが、一番大事なところに一つだけ仕業点検、まあ仕業点検が一番初めやるんだからいいにしても、もっと具体的な表現があってもしかるべきだと思う。表現上バランスがとれてないですね。何か伺うところによると、関連法規に仕業点検と書いてあるから仕業点検だけでいいんだと、こういうことでありますが、これはさっき言った、基本法のほうがいわば上位の法律だというのであれば、基本法には、せっかく大事なところなら——どうでもいいことがたくさん書いてありますが、大事なところなら、いまちょっと詳しく書いたらどうかなと思った。どうも表現がちょっとおかしいと思うのですが、これは何回か人が言っておるそうですからいいです。  次の九条の問題ですが、歩行者の責任というのは、私はどうもおかしいと思うのです。歩行者が道路を通行するにあたっては法令を守りなさいということなら話はわかりますよ。あえて言わなくたってそれは当然でしょうし、それは関連法規にもあるでしょう。しかし、「陸上交通に危険を生じさせないように努めなければならない。」という規定があることは、私は問題だと思うのです。これはいわば歩行者優先、人命尊重の原則をここで否定するような感じがいたします。歩行者は、陸上交通に危険を生じさせないようにつとめなければならない義務、責務を持つということになるんでしょう。なぜこういう歩行者優先なり人命尊重なりの原則を無視するような表現を加えてあるのですか。この理由をひとつ明らかにしていただきたい。     〔稻村(左)委員長代理退席、委員長着席〕
  39. 床次徳二

    床次国務大臣 陸上交通におきましては、歩行者によるところの事故が非常に多いわけであります。したがって、ここにありますごとく、道路交通法に従って通行することはもとよりでありますが、なおそれ以外におきましても、やはり事故が非常に多い、全死亡の事故の五〇%が歩行者自身の責任による事故である関係上、でき得る限りつとめてもらいたいという趣旨において書いてあるわけであります。
  40. 板川正吾

    板川委員 たとえば、それなら法令を守ってくださいということだけでいいんじゃないですか。陸上交通に危険を生じさせないようにつとめる責任があるというのはどういうことです。国道、地方道、県道合わせますと、歩道のあるところは大体五%に満たない状況でしょう、全国的な統計によると。歩道がきちんとしておる道路であれば、それはその歩道から飛び出して陸上交通に危険を生じさせちゃいけないということはわからぬでもないのですけれども、日本の道路の実情からいって歩道がほとんどない。国道でだって歩道はありません。ないのが大部分ですよ。延長に対して一三%くらいでしょう。われわれの選挙区へ行けば、ダンプカーが二台すれ違ったら人さえ歩けないような国道ですよ。そういう十分な歩行者優生というか、あるいは人命尊重というか、とにかく人が通るような道、歩道ができてないのに、この現状において、陸上交通に危険を生じさせないようにつとめる責任が歩行者はある、あえてこういう規定を差し込むことはおかしいじゃないですか。
  41. 床次徳二

    床次国務大臣 先ほどお答えをいたしました歩行者自身の責任によるところのパーセントでありますが、これは全死亡事故の五%でありますので、あらためて訂正させていただきます。  なお、国におきましては、事故のないようにいろいろと施設をいたしまして努力をいたしておりますが、しかし仰せのごとく、十分でないところもあります。やはり歩行者自体といたしましても、できるだけ努力をしてもらいたい、かような意味におきましてこの規定ができておるのでありまして、できるだけ事故を防止したいという趣旨でございます。
  42. 板川正吾

    板川委員 道路交通法にも歩行者は交通法規を守れと書いてあります。だから、歩行者が交通法規を励行してくださいということが協力になる、これはたとえばそういう程度の考え方であれば、私もそれはそれで考え方としてわからぬじゃないです。陸上交通に危険を生じさせないようにつとめろというのは、これは私はおかしいと思いますね。こんな規定があることはおかしいし、これじゃ車優先ということをある意味じゃ言っておることになるんじゃないでしょうか、反対解釈すれば。おかしいですね。しかしおそらく多数が賛成しておるようですから、少数者としては残念ですが……。  第十条に行きましょう。「住民は、国及び地方公共団体が実施する交通の安全に関する施策に協力する等交通の安全に寄与するように努めなければならない。」責務を持つというのであります。「施策に強力する等」とは具体的にどういうことを意味しましょうか、明らかにしてもらいたいと思います。
  43. 床次徳二

    床次国務大臣 これは地域地域におきまして、それぞれ交通安全に対して、安全運動をやったり、いろいろ施設をいたしておるわけであります。あるいは歩道橋をこしらえる等の問題も地方公共団体でなにしますが、その場合において、地元におられる方はやはり地元のいわゆる安全の方針に従って行動してもらいたいというわけでございます。
  44. 板川正吾

    板川委員 国民と住民との違い、ある意味では、私は住民という、より狭い表現よりも国民という一般的な表現のほうが、まあこういう規定を置くとすれば、妥当ではないかと思うのですが、なぜ国民じゃなくて住民としたのか、この考え方を説明していただきます。
  45. 床次徳二

    床次国務大臣 この安全運動につきましては、やはり地方の地域地域を立場として運動がございますので、さような立場を踏まえまして、やかましくいうと市町村の地域に住所を有する者が住民ということになりますが、その地域社会の一員としての責任を明らかにとってもらいたいという意味でございます。
  46. 板川正吾

    板川委員 安全運動の場合はそういう言い方があっていいと思うのです。しかし、交通の安全に関する施策というものは安全運動ばかりじゃないですね。いろいろのことが施策の中にあるでしょう。そうすると、住民というのは、かえって協力する範囲を狭めているという感じがしますね。私は包括的な表現国民といったほうがいいと思うが、しかし、この安全に関する施策というのが安全運動だけのようであるなら、住民でもいいかもしれません。
  47. 床次徳二

    床次国務大臣 あまり法律的な議論を申し上げるのは筋ではございませんが、住民と書いてありますと、たとえば法人なんかも入りますし、外国人も入る、国民というと、それが抜ける場合がありますので、住民と書いたというわけでございます。
  48. 板川正吾

    板川委員 私は、その点詳しく法律関係を調べてないんだけれども、日本国民が守らなくちゃならない事項は、日本に居住する外国人でも守らなくちゃならないというたてまえじゃないですか。だから、それならば、住民と書いておるのは外国人もみんな入るんだ、だから住民と書いたというのはどうかと私は思いますな。そういう意見がありますよ。  では、次に行きましょう。十一条関係で、十一条というのは、読んでみて、何回読んでもどうも何をいっているんだか、盲腸みたいなもので、あってもなくてもいいような事項で、当然のことをあえて十一条に置いたというのはどういう意味でありましょうか。たとえば第四条で、地方公共団体は国の施策に準じてということで、すでに規定がありますね。国の方針に準じてやれということで、準ずれば大体国の方針と一体となってやることは明らかだと思うのです。あえて十一条に、「国及び地方公共団体は、その施策が、直接的なものであると間接的なものであるとを問わず、一体として交通の安全に寄与することとなるように」、ここであとは「配慮しなければならない。」配慮というのはたいへんばく然とした表現です。何でこの条文が必要なんでしょう。
  49. 床次徳二

    床次国務大臣 先ほどの地方公共団体のほうの準じてというのは、安全施策に対しての国の方針と同じようにやれという趣旨でございますが、十一条の、「直接的なものであると間接的なものであるとを問わず」と書いてありますが、これは、直接的なものというのは、たとえば幹線道路を建設するというような場合におきましては、やはり交通安全に寄与するように配慮しなければならないし、あるいは学校を設置するというような場合におきましても、やはり学校の設置が児童の交通にずいぶん影響がありますので、やはり交通安全ということを考えながらやってもらわなければならぬというような、あるいは他の例を申し上げますと、港湾内のいろいろの施設のたとえば造成というような問題等でありましても、やはり交通安全に支障のないような立場から、埋め立て等をしなければならぬというような、間接的な仕事もこの中に含む、一体として配意しなければならないという意味におきましての注意規定でございます。
  50. 板川正吾

    板川委員 これは施策における交通安全のための配慮、そうするとあれですか、直接的なものというのが交通安全に直接的なものであって、間接的なものというのはこの交通安全基本法には直接関係のない、学校とかあるいは港湾の施設は入っていると思いますが、何か間接的なものを問わずというので、この条文では直接的なものよりも、間接的なものを一体としようというほうに重点を置く表現なんですか。どうもこの条文の意味がわからないのですよ。いや、当然のことだからあえてこれを規定しておくというのか、どこに引っかかっているのかという感じがするのです。
  51. 床次徳二

    床次国務大臣 御指摘のように、直接のものは当然でありますし、間接的なものはやはりその限度において影響がありますので、交通安全に対して十分考慮しろという意味におきまして、交通安全ということを重視したために、特にこういう規定を設けたわけであります。
  52. 板川正吾

    板川委員 どうも釈然としないけれども、次に行きましょう。  十二条に移りますが、この十二条は御承知のように社会党案の七条なんです。この政府案の十二条では、「必要な財政上又は金融上の措置その他の措置を講じなければならない。」ここで、法制上という、社会党案にある重要な柱がわざわざはずされております。このはずした理由というか、法制上の必要な措置というものをあえて表現しない理由というのは、どういう点にあるのかということなんです。この交通安全というのはたくさんの法律に関連しておるのでしょう。この法律法律を整備して、そうして国民の協力を求めるということが、交通安全にもたいへん大切な事項になっていると思うのですよ。交通法規を整備して、そうして国民にこれに協力してください、こういう形を持っていくことは、私は必要だと思うのです。ですから、交通安全を確保するというためには、法制上の整備というのはたいへん重要な役割りを持っていると私は思うのです。ところが、社会党案にそういう柱があるのに、政府案の場合にわざわざ法制上ということを除く、除いたからどうこうというのじゃないけれども、とにかくそれがはずされているというのは、何か特別の意図があるのですか。必要がないというなら別ですけれども、必要があるというなら、私は当然これは入っていいんじゃないかと思いますが、なぜないのか、それを明らかにしていただきたい。
  53. 床次徳二

    床次国務大臣 別に他意があったわけではございませんで、法律が必要でありまするならば当然法律の制定を要するという趣旨であり、立法例によりましても書いてあったりなかったりいろいろあるものですから、これには特に書かなかった。その他の措置といううちに含まれた形になっておりますが、これは全く取り扱いの例でございますので、他意はないわけでございます。
  54. 板川正吾

    板川委員 交通安全上、法制の整備というのはたいへん重要な役割りを持つと思うのです。だから、社会党案にあったものに、少しは変えなくちゃならないからといって除いたかどうか知りませんが、しかし大事なやつを除いちゃいけませんね。これは当然入るべきじゃないだろうか、私はこう思います。  次に十三条ですが、講じた施策の概況に関する報告を出すということに政府案はなっております。従来基本法は、各種の基本法が出ておりますが、講じた施策の概況に関する報告と同時に、その年度に講じようとする施策提出することがたてまえになっておりますが、この政府案では、講じようとする施策を国会に報告することにならない。これは従来の基本法から形を変えておるようです。国会を軽視した考え方ではないだろうか、こう思いますが、いかがですか。
  55. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 講じようとする施策について国会に報告申し上げる例は、御指摘のように非常にございます。したがって、本法案におきましてはそれをやらないというわけでございませんで、この最初にございます「交通の安全に関する施策に係る計画」がおおむね他の法律におきます講じようとする施策に該当するわけでございます。理由は、簡単に申し上げますと、本法案におきましては、政府の講じようといたします施策につきましては長期的な計画とそれから年度の業務計画とこの二つにおおむね集約されることになりますので、この計画を国会に御報告申し上げれば、政府が何をしようとしているかということがおわかりになろう、こういう趣旨でこういう規定を設けたわけでございます。
  56. 板川正吾

    板川委員 業務計画なり基本計画なりを国会に報告するのですか。
  57. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 十三条におきましては、毎年国会に報告をしなければならないと規定してございますので、計画は毎年度の業務計画総合したものを御報告申し上げるということになろうかと思います。
  58. 板川正吾

    板川委員 毎年度の業務計画を実施したものをでしょう。講じようとするものは報告にはなりませんね。
  59. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 翌年度の計画をその前に御報告申し上げる、こういうことでございます。
  60. 板川正吾

    板川委員 では第二章に移りますが、この中央交通安全対策会議、これは行政組織法の八条機関ですね。そこで、どうも全般としてあまりにも抽象的だというのが私は問題だと思うのですが、たとえば基本計画を作成し、実施を推進する、基本計画には長期的、総合的な施策、こういうようなことで非常に抽象的ですね。  ここで伺いますが、現在総理府で主宰をしております交通関係閣僚協議会というのがございますが、この交通関係閣僚協議会のメンバーと中央交通安全対策会議のメンバー、これが違うポストはどことどこですか。
  61. 床次徳二

    床次国務大臣 その点は、この対策会議におきましては農林省が入っていまするが、協議会におきましては農林省が入っていない、そのかわり経済企画庁が入っている。趣旨といたしましては、協議会のほうにおきましては都市交通を中心といたしましてなお多くの仕事がございますが、その立場によりますが、本機関におきましてはもっぱら交通安全ということを中心といたしまして実施をしてまいりたいと考えております。
  62. 板川正吾

    板川委員 交通関係閣僚協議会ですから、それは都市交通を当面やっているかもしれませんが、別に総合的な交通安全をやってはいけないということではないのでしょう。ただ当面は交通関係閣僚協議会では都市交通問題をやっているという意味でしょう。いずれにしても交通関係閣僚協議会で全般的な交通政策、しかもその中に交通安全も含めた論議をしてはいけないということではないと私は思います。しかしこれを構成するメンバーというのは、一、二の人が違うだけで、実質的には中央交通安全対策会議と、現在あります交通関係閣僚協議会とはほとんど大差がない。同じような人が同じような仕事をやっているのに、何で中央交通安全対策会議というふうに——中央交通安全対策会議というように麗々しく出しておるのですが、中身はいまと大差がないのじゃないかという感じがします。  総理府にあります交通対策本部というのはどういうことになりますか。解消するのですか、従来どおり置くのですか。
  63. 床次徳二

    床次国務大臣 総理府におきましては、やはり先ほど御指摘になりました都市交通関係がありますので、引き続きその問題もやってまいりたいと思うところでございます。  なお、先ほどお話しがありましたが、両方の差につきましては、この機関におきましては総理が会長になっておりまして、総理各省の中心となって今後実施するというところにおいて従来の協議会とは違っております。従来の協議会におきましては総理が入っておらないというところが違います。
  64. 板川正吾

    板川委員 閣僚協議会の議長といいますか、会長といいますか、これは総理じゃないのですね。総理ですか。
  65. 床次徳二

    床次国務大臣 協議会におきましては総理は入っておりません。総務長官が事実上の座長をしております。
  66. 板川正吾

    板川委員 この中央交通安全対策会議というのは、この二項にありますように事務をつかさどり、そうして基本計画を作成し、実施を推進する、こういうことになるようであります。ですからこれは、中央交通安全対策会議というのは、交通安全に対する計画及びそれを推進する最高の機関、こういうふうに見てよろしいですか。
  67. 床次徳二

    床次国務大臣 さようにお考えをいただきたいと思います。
  68. 板川正吾

    板川委員 先ほど言いましたように、十五条で会長は内閣総理大臣になっております。確かに総理大臣がここで出てくるのですが、会長は総理大臣ということになっておりますが、この十五条以下の条文に会長が何をするということが一言も載っておらないように思うのですが、どういうことなのですか。総理大臣がやることにはなっておっても、会長がやるということはいっていないのですね。ここだけ会長は総理大臣というふうに、いかにも何かたいへん重視しているような言い方になっておるのですけれども、十五条以下に会長が何がしのことをやるというような規定がないのはどういうことです。
  69. 床次徳二

    床次国務大臣 会の運営その他に関しましては、十五条の六項にございますが、必要な事項につきましては政令で定めることになっておりまして、会長、総理を中心としてこれが実施できる、したがって政策の一元化ができるというふうに私ども考えております。
  70. 板川正吾

    板川委員 総理大臣になった者はここの会長になり、会長は、この交通安全に関する事務をつかさどり、そして計画を作成し、実施を推進する責任を持つ、こういうことにこの十四条、十五条でなっておると思うのです。ところが、これ以降に会長の名が一つも出てこないので、総理大臣ばかり出てくるのですね。だから結局、会長なんというのはシャッポを置くようなかっこうで、従来どおり交通関係閣僚協議会と同じように、シャッポがなくても、ひっかけておいてもほとんど同じようなメンバーでおそらくやられるのだろうという感じがいたします。  次に、一応聞いておきますが、十五条の四項で専門委員というのですが、専門委員範囲、これはどういうのがメンバーですか。
  71. 床次徳二

    床次国務大臣 会長が中心となって会を行ないますので、その会長としての統制力を十分に発揮し得るところが特色であるということを充ほど申し上げましたが、御了解いただきたいと思います。  なお、専門委員を置きますことは、民間の学識経験者というものを十分この会議内容に、審議に反映させたいという趣旨において設けておるのであります。社会党案考えまするならば、審議会というものが民間の意向を反映するために設置せられておりまするが、政府案におきましては、民間の意向はこの専門委員でもって反映させるという形になっております。
  72. 板川正吾

    板川委員 会長の問題は、せっかくそう言っておっても、実際はどうもどこにも重要視されていないのでお伺いいたしますが、現在総理府交通安全関係で扱っておる交通安全国民会議というのは、今後この会議とどう扱われるのでしょうか。なくなるのですか。国民会議とこの中央会議と両方置くのですか。
  73. 床次徳二

    床次国務大臣 交通安全国民会議の開催の目的は、政府の交通安全施策国民各層の意見を反映させるとともに、政府の交通安全施策に対する国民の理解を深めることによって施策の推進について民間の積極的な協力を求めることにある、これが趣旨でございますが、本法を施行しました後におきましても引き続き国民会議を開催してまいりたいと思っておりますが、ただ政府の交通施策に対するところの民意の反映という点につきましては、今回、ただいまお答え申し上げましたように専門委員中央交通安全対策会議に加わることによりまして大体役立つと思います。  なお第二点の問題点といたしまして、政府の交通安全施策に対する国民の理解を深め積極的な協力を求める点につきましては、なお民間における自主的な組織活動等を促進すること等も考える必要があるのであります。この点におきましては国民会議のあり方につきましてなお再検討をいたしたいと思っております。
  74. 板川正吾

    板川委員 これは自治省関係呼んでなかったかどうか知りませんが、十六条で都道府県交通安全対策会議を置くということになっております。ところが現在都道府県には交通対策協議会というものがあります。それの構成とメンバーが、あるいは任務がほとんど同じでしょう。一体どういうふうに一この基本法でいう都道府県交通安全対策会議のメンバー、知事を会長とし、指定行政機関の出先の長等をメンバーとする都道府県交通安全対策会議が設けられるといっております。しかしこれは、現在ある都道府県交通対策協議会の構成メンバーとほとんど同一だと思うのです。その違う点はどことどこが違うのですか、これわかったら……。
  75. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 御指摘のように現在ほとんどすべての都道府県に、名称はまちまちでございますが、一種の交通安全に関します連絡協議をする機関が設けられております。その構成は、これは府県によってまちまちでございます。この本法で考えておりますのは、ここにもございますように、知事を会長といたしまして、知事部局の職員、これは土木部長その他が当然入るわけでございますが、それと教育委員会の教育長、警視総監または道府県警察本部長、それとあとは指定市を包括しております場合には指定市の長その他の職員、それからあとは市町村の代表者、消防機関の代表者等でございます。  先ほど申し上げましたように、現在設けられております都道府県の連絡協議会はいろいろございますが、大別いたしますと国または公共団体の職員のみで構成しておりますものと、それから広く学識経験者その他民間の方々を入れて構成しておりますものと二つございます。この本法案におきます対策会議は、主として行政機関のメンバーを中心にいたしまして、さらに必要がある場合には、この十七条の四項で特別委員を置くというシステムにしておりますので、その広く民間の方々を現在入れておる協議会に比べるとその範囲は狭くなるものと考えます。
  76. 板川正吾

    板川委員 これは都道府県のことですから、わかっているだけちょっと言ってください。  十八条に、市町村は市町村交通安全計画を作成し、実施するために市町村交通安全対策会議を置くことができる、こういうことになっております。現在でも条例をもって交通安全対策会議を持っておる市町村があるわけであります。私はこの十八条で規定されるメンバーと現在あるものと、おそらくこれも大差がないと思います。現在条例をもって市町村交通安全対策会議を持っておるのはたしか二千八百くらいの市町村だろうと思います。い、ずれにしても、この置くことができることによって市町村交通安全対策会議を置くだろうと思われる市町村はどのくらい予想されておりますか。
  77. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 御指摘のように現在何らかの意味におきまして交通安全対策に関する協議会を設置しております市町村の数は約二千八百二十余りでございます。したがいまして、この法案におきましては、市町村におきましては一応設置は任意制にいたしておりますが、現在すでにこういう協議会等を設けております市町村は、ほぼこの法律に基づきましてこれらの対策会議設置することになるかと存じます。また政府といたしましてもできるだけ必要があると認められる市町村は設置をするように行政指導をいたしたいと考えております。
  78. 板川正吾

    板川委員 そこで振り返ってみますが、総務長官、全部言うのは省略します。中央の対策会議、都道府県、市町村の対策会議、これは今度新しく持つことになる。しかしこれは従来ある交通関係閣僚会議なり都道府の同様の交通対策会議なりというものと全く大同小異なんですね。だから、この計画をし実施するというのがこの対策会議だというのです。その会長である総理大臣が最高の責任者だというのです。だけれども、しかし、実際現在こういう会議があっても交通事故がなかなか防止できないのに、基本法でこういうふうに同じようなものを、名前を変え、衣を変えたというだけで交通事故が防止できる、交通安全の施策、行政が強化されるというふうには、私は思いませんが、これはどういうふうにお考えですか。実体は同じですよ。名前が変わるだけですよ。
  79. 床次徳二

    床次国務大臣 従来は実際上の連絡機関という形でもってできておったのではないかと思います。今回法律によって基本法という立場に立ってできましたことにおきまして、そのたてまえが著しく異なってまいると思うのです。しかも基本法においては、政府各省におきまして、基本法精神によって積極的な努力を規定してあるわけであります。したがってその遂行等におきましても十分な効果があがる。特に効果がありますのは、総理府を中心としたところの組織になっております。これは強力に中央並びに地方——県、市町村それぞれの段階におきまして実施計画をつくり、そのつくられました計画というものが統一性をもって実施せられるというところに、私は大きな意義があると思うので、この意味におきまして相当困難な交通戦争でありまするが、交通事故防止に役立つもの、また、役立てなければならないと思うので、今後努力いたしたいと思います。
  80. 板川正吾

    板川委員 政府案にも規定されておりますように、国も地方自治体も、生命身体財産を保護するというのは当然の任務だ、こういっておる。この、国も地方自治体も当然の任務だということには変わりないのです。交通事故防止のために、いまでも同じような組織とメンバーで会議が行なわれておる。それは何とか計画基本計画とか実施計画とかということをいわなくたって、やはりそれに応じたものをつくってやってきておる。この基本法で着物を着せかえたとしても、私は、これの実態がそう動くものではない、こういう会議だけじゃ事実上従来と何も変わりはない、こういう評価をせざるを得ません。  時間も少ないようですから、次へ移ります。  この第三章では、交通安全対策会議基本計画を立てる——どういう内容かというと、「総合的かつ長期的な施策の大綱」である、こういうのであります。長期的とは、これはどういうふうにお考えなんですか。たとえば交通安全のための五カ年計画とか三カ年計画という、こういう何とか計画というものを考えて長期的施策というふうに、目標を明らかにするのでしょうか。この点伺います。
  81. 床次徳二

    床次国務大臣 交通行政は、大体社会の進展に伴いまして変化がございますが、さしあたり、大体五年くらいを目標にして計画を立てて実施いたしたいと思います。
  82. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、総合的な五カ年計画というようなものを立てて基本計画とする、こういうふうに考えてよろしいですか。
  83. 床次徳二

    床次国務大臣 さようでございます。しかもこれの遂行に対しまして、それぞれ各責任行政官庁がこれに当たるということを明らかにしておりますので、相当効果はあがると考えております。
  84. 板川正吾

    板川委員 それはわかりました。  二十三条で、これはちょっと理屈にもならぬのだけれども、「総理大臣は、必要があると認めるときは、指定行政機関の長に対し、交通安全基本計画の実施に関して必要な勧告をし、又はその勧告の結果とられた措置について報告を求めることができる。」——ほんとうならこの辺は、中央交通安全対策会議会長が、こういうふうにいうのかなと私は思ったらば、会長でなくて内閣総理大臣である。会長の名でやらないというのは、どうも会長ということばが一つしか出ていないだけに、どうかなと思います。これは意見だけ言っておきます。  二十四条で、「指定行政機関の長」、先ほど言った、各省交通安全基本計画に基づいて「その所掌事務に関し、毎年度、交通安全業務計画を作成しなければならない。」ということになります。業務計画各省庁ごとに出しますから、たくさんな数になるようであります。これは各省庁、たとえば建設省、経済企画庁も入っておるようですし、農林省も入る。十幾つの省庁が業務計画をつくる場合に、業務計画内容というのをどういう範囲までこの業務計画に盛るかということは、具体的な柱というものがありませんか。
  85. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 これは基本計画にも共通する問題でございますが、先ほど先生の御質問にもございましたけれども、基本計画、業務計画につきましては、現在政府が交通安全対策の柱として、大ざっぱには四本、こまかくいえば六本の柱を立てておるわけでございます。道路交通環境の整備とか、あるいは安全運転の確保交通安全教育の推進、それから交通秩序の維持、被害者対策の強化、交通に関します科学技術の開発、これは陸上の場合でございます。したがいまして、基本計画も、大体目下のところはこの六つの柱に従いまして、それぞれ五年程度の長期的な計画を立てたいと考えております。この基本計画に基づきまして、各省庁がその単年度に実施いたします基本計画の一年分につきましてそれぞれ具体的な計画を立てるわけでございまして、非常に守備範囲が広い。たとえば運輸省等でございますと、いま申し上げた柱のほとんどすべてが入るかと存じますし、あるいは守備範囲の比較的狭い農林省厚生省等では、その柱のうちの一つについて業務計画を立てる、こういうことになるかと存じます。
  86. 板川正吾

    板川委員 この業務計画は中央でまとめられて、そして国会に報告をされるのですね。
  87. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 まとめ方等につきましては、まだ十分に検討いたしておりませんが、趣旨といたしましては、翌年度に実施いたします業務計画を何らかの形で総括的に取りまとめまして国会に報告いたす予定でございます。
  88. 板川正吾

    板川委員 これはたいしたあれじゃないんだが、二十四条の三項に「指定行政機関の長は、第一項の規定により交通安全業務計画を作成したときは、すみやかに、これを内閣総理大臣に報告する」「指定行政機関の長」ということであれば、私はこれまた会長である内閣総理大臣に報告するというのがほんとうだと思うのだけれども、この辺が私釈然としない感がある、会長というのが少しも出てこないものですから。  二十五条「都道府県交通安全計画等」は、大体準じると思いますから省略をしましょう。  二十九条に移ります。「国は、交通環境の整備を図るため、交通安全施策及び航空交通管制施策の整備」以下書いてありますが、本法でいいます「交通環境」とは、どういう定義を下すのですか。たとえばいままでの例からいうと、どうも道路鉄道の整備というのは入らないように思いますが、念のためにこの「交通環境の整備」というのはどういう範囲考えておられるのか、明らかにしていただきたい。
  89. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 若干抽象的で恐縮でございますが、「交通環境」と申しますのは、およそ交通が行なわれる場所におけるいろいろの諸条件という意味でございます。ただし、この二十九条では、その諸条件のうち主として物的な面、施設的な面と、それから交通規制的な面をとらえてここに掲げたわけでございます。
  90. 板川正吾

    板川委員 交通規制の面ですね。この規制の面でひっかかってくるのは、第二項の「国は、陸上交通の安全に関し、住宅地、商店街等について前項に規定する措置を講ずるに当たっては、特に歩行者の保護が図られるように配慮するものとする。」というものですが、この基本法の中になぜ歩行者の保護について住宅地と商店街だけ取り上げたのでしょう。歩行者の安全を守るということは、これはいかなる場合でも当然なことであって、特に守れということは、そのほかのほうは特に守らぬでもいいという、多少ゆるくてもいいという反対解釈も意地悪くすればできないわけでもないだろうと思うのです。この二項で住宅地、商店街は特に守れとあえて言わなくたっていい規定じゃないでしょうか。基本法の中に二つだけ特に取り上げて守れというと、ではほかは守らなくてもいいのか、こういう解釈をする人も法律学者の中にあるようです。あえて二項を入れた理由はどこにあるのでしょうか。
  91. 床次徳二

    床次国務大臣 他の地域を閑却してよろしいというわけではございませんが、住宅地、商店街は特に通行者の多いところでございます。さような意味におきましてここに特掲いたして十分な保護をいたしたく考えたわけでございます。
  92. 板川正吾

    板川委員 ここでちょっと行政管理庁に伺いますが、行政管理庁では交通安全に関してたびたび勧告をされています。なかなか適切な勧告をされておると思いますが、たとえば自動車の保管場所の確保等に関する法律を実効あらしめるようにせよということをいったり、取り締まりが不十分だ、強化せよとか、罰則を強化して違反者には車両の使用停止をさせたらどうか、検討せよということをいっております。それから車両制限令の内容がどうも人間制限令的になっておる、車両制限令の運用についても再検討すべしということがあったり、あるいは道路に規制標識の設置が不十分である、すみやかに設置せよとか、そのほか何かあったと思いますが、せっかく行政管理庁指摘をしてくださっても、なかなか実行がそれに伴ってないような感じがするのですが、これに対して行政管理庁はその後どういうような監視をしておるのか、承っておきましょう。
  93. 杉浦滋

    ○杉浦説明員 行政監察の効果の担保につきましては、一般的には、勧告をいたしますと、その後六カ月とか一年とか時限を切りまして回答をいただきながら、その勧告の効果というものを確認しておるわけでございます。先生がいまお示しの、たとえば車両制限令の問題を例にとって申し上げますと、先生が御指摘のように、車両制限令の規制というものは、現在では道路管理者が逐一規制をすることは困難であるということによりまして、直接警察官による取り締まりで行政罰を適用するようにしたらどうかということで勧告いたしたわけでございますが、これは来年度の道路法の改正でそのことはやってもらえるというようなことで、主管官庁で作業が進められております。その他標識の問題等につきましては、それぞれ会議を持ちまして指示をされておりまして、私のほうの各出先で調査いたしました結果を確認いたしますと、指摘いたしました問題につきましては大半改善が確認されております。
  94. 板川正吾

    板川委員 法務大臣も来ておりますから、その関係もあって、被害者救済の問題について、ひとつしぼって質問をいたしたいと思います。  交通事故の人身事故で、当事者間の示談が成立をしないで訴訟や調停裁判に持ち込まれた件数というのはどういうような割合でしょうか。それはわかりませんか。
  95. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 人身事故によりまして生じました訴訟、調停等の事件数でございますが、法務省といたしましては直接これに関係ございませんので、私どものほうでは的確な資料は持っておりません。最高裁判所の事務総局のほうが正確に把握していると思います。
  96. 板川正吾

    板川委員 委員長、これはあとでこの資料を出してみてください。  私の調査では、これは約二%ぐらいだというのですね。何年か年次はわからないのですが、五十三万件で訴訟と調停に持ち込まれたのが一万件という。二%程度しか訴訟や調停、裁判に持ち込まれることはないというのが通例のようであります。  そこで、これは法務省でわかりませんかな。訴訟の結果、判決どおりの賠償金が支払われなかったというのは、どういうような訴訟の判決を受けた中でどのくらいな割合を占めているか、これは法務省では調べたことはありませんか。
  97. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 これも確定判決なりその他債務名義に基づきまして強制執行をいたしました結果のことでありまして、ことに交通事故関係がどのようになっておるかということは法務省では把握できない。裁判所のほうも、おそらく執行官にその報告をとっておるのではないかと思いますが、最高裁判所のほうでお尋ねいただいたほうが至当だと思います。
  98. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、先ほどの私の質問は法務省では答弁できないので最高裁判所のほうへ資料を要求してくれということですから、あとでひとつ要求してもらいたいと思います。
  99. 内海清

    内海委員長 承知しました。
  100. 板川正吾

    板川委員 民間の団体、交通科学協議会という団体がありまして、ここで交通訴訟の追跡調査をして、報告があります。その報告によりますと、判決をもらっても全く一銭ももらえないというのが二八・五%、和解が成立しても四・八%は全く一銭ももらえないという調査があります。それで、判決をもらっても一銭ももらえないというのは二八・五ですが、ちょっと払ってあとはすぐだめになったというのを加えますと三五、六%になるようであります。こういうようにせっかく判決をもらっても三分の一は一銭ももらえないという状況だということを私は念頭に置いて議論してみたいのでありますが、裁判所——これは裁判所のことを法務大臣に聞くのもあるいは多少筋違いがあるかもしれません。しかし、お互いに司法行政に関係しておることですから、裁判所の判定がどうこうとかという意味で言うのじゃないのです。国民の正当な権利者が法のもとに救済されなくちゃならぬという考え方で私は伺うのでありますが、裁判所というのは、判決を下せばそれが払われたか払われないかは、それは私のほうの知ったことではない、どうも現状はそうなっておるようであります。司法の使命というのは正当な権利者を擁護するということにあるのじゃないだろうか。そうしますと、いま裁判の結果というのが実は正当な権利者を擁護できないという現状を何らかの形で私どもはこれを検討し、反省をし、必要な措置考えなくちゃならぬのじゃないだろうかと思うのです。最高裁判所を呼べばいいのですが、きょうは呼べないようですから。で、いまの裁判の制度というのは、昔、自動車が一部の富裕階級だけの持ちものであった、そして大衆というのは人命の評価というのが非常に低くて、事故を起こしても、大体金持ちが車を持っているのですから、また安い金で、示談かあるいは裁判があっても支払われたのでありますから、そこでまあ問題がなかったように思うのです。そういう制度の中に今日の裁判制度というのは踏襲してきていると思うのです。ところが、いま自動車所有台数が千五百万台、免許証を持つ者が三千万人、年間に百万人の死傷者が出る今日、旧来の裁判、司法行政の概念では司法のほんとうの使命というものが果たせないという変化を来たしておるんじゃないだろうか。大学問題で、大学の総長なり教授の権威ということばかり考えておっても、実質的にはその権威がいま崩壊しつつあるのと同じように、いまのままでいったんでは法の権威というのが国民から守られない状態になるんじゃないだろうかというふうに私は思うのです。  そこで、判決を担保して被害者の正当な権利を保障する何らかの制度が必要だ、法の権威を守るためにも今日の社会において必要だと私は思います。たとえば、これは運輸大臣関係ですが、自賠責の限度を大幅に引き上げて、保険の範囲というものを拡張して担保する機能を持たせるということも一つあると思います。これは一つの例であります。特別に判決を担保する国の機関というものを置くこともあってもいい。そういう方法もある。  外国の例を調べてみますと、判決の金額を特別な機関で担保している例がある。たとえばフランスでは、強制保険料というのが年額一台について十二万六千円というふうに非常に高くて、そして保険会社は裁判所の命令した金額を支払うということになっておるそうです。保険に入ってない車が事故を起こした場合には、政府が立てかえをして加害者に請求するという制度がフランスにあるそうであります。それから米国のかなりの州では、未賠償判決基金という制度があるそうであります。判決の金額が支払われなかったときに、これは完全に百%というんじゃないようですが、一定限度までは基金から支払い、基金は加害者にその支払い額に利息をつけて返済をさせる、その返済が済むまでは運転免許証の停止をするという制度があるそうであります。またスウェーデンでは、最近保険金の限度を、死んだ場合の限度ですが、七千万から一億五百万というふうに五割方引き上げて、そして実質的には裁判の命令が出ても払えるような状況にある、そういうことだそうであります。  こういう外国の例があるように、いま非常に自動車が多くなって、交通事故がわれわれ身辺にも相次いで起こるような状況下にあっては——従来の、裁判所が三千万判決を下した、しかし払う者は左官屋の五十五歳のおやじさんと小僧だ。それでも三千万払うことが正当である、また被害者の正当な権利を擁護してそういう判決を下した。それは裁判所の決定は、裁判が独立しておりますから自由ですが、しかし、これを補完して、裁判の命令、裁判所の判決をほんとうに守り得るような制度をとる必要があるんじゃないだろうか。いまのままで、出しなさい、ないそでは振れないという式であったら、被害者も救済されないし、法の権威というのもますます失墜していくだろうと私は思うのですが、司法行政を担当しておる法務大臣としてこういう見解をどうお持ちでありましょうか。
  101. 西郷吉之助

    ○西郷国務大臣 お話しのとおりに、裁判の結果を見ましても、被害者の救済の実績が非常に悪いのでございますが、とりあえずやはり交通事犯の被害者の救済といたしましては、現行の保険並びに保障制度を十分拡充強化していくことが、さしあたり一番実効性があるのではないかと考えますけれども、ただいまお述べになりましたとおり、交通事犯による被害者が賠償請求をして裁判で勝った場合でも、加害者が資力がなかったり財産がなかったために医療に十分な救済がされない、またそれが現状のようでございますが、そういう場合に、お話しのように、外国にあるような基金制度をもって対処することも一つの方法かと考えますけれども、これをやりますにつきましても関連事項等もございますから、そういう点を法務省としても前向きに検討してまいりたいと考えております。
  102. 板川正吾

    板川委員 運輸大臣、どういうお考えですか。
  103. 原田憲

    原田国務大臣 法務大臣がいま前向きに言われましたので、私はそれ以上言うことはないのですが、いま関連のこともあり、こう言われた。訴訟をして勝って金をもらうという事例は、交通だけではなしに、ほかのこともあるからそれとの関連のことをおっしゃったと思います。そのこと等も考え交通事故という問題については、特に交通事故で遺児が高等学校へ進学をするという場合に、ほかの事故で死んだ遺児もあるわけですけれども、これらに対してひとつ重点的にやろうじゃないかという考え一つ施策になってあらわれていること等も勘案して、法務省当局とよく相談をしていきたいと思います。
  104. 板川正吾

    板川委員 これも最高裁の資料になるかもしれませんが、いま民事訴訟の中で交通事故の訴訟の割合というのもこれまた最高裁の資料かな……。
  105. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 訴訟に関係する統計でございますので、最高裁判所で正確に把握しております。
  106. 板川正吾

    板川委員 いま民事訴訟の大半は自動車被害者から出されておる事案だと思います。ですから私は裁判所の判決が出た場合に、その大半が自動車交通事故関係が多いようでありますから、何らかの形でこれを担保する方式をひとつ運輸大臣考えていただきたいと思います。  これは検察庁関係か法務省かになりますが、交通事故の場合に人身事故が主ですが、示談というものについてどういう評価をしているのだろうか、この点をひとつ伺いたいと思うのです。時間がありませんからちょっと私のほうから申し上げますと、従来は民事不介入の原側あるいは民刑分離の原則からいって、示談したかいなかは刑事処分には影響ないんだという考え方も一方にあり、また最近特に若干多くなったそうでありますが、被害者救済に重点を置いて、示談をしてくれば情状酌量の際の証拠にする、こういう扱い方があるそうであります。しかし、何といってもわが国の刑事手続上において、示談の効果というのは非常に低く評価をされていることは間違いはないと思うのです。ところが、実は示談というものを低く評価することによって、なるほど違反を犯した者に刑罰を科するという点は、いわゆる刑事重点的な考え方はあるものは問題がある。意味ではいいようでありますが、被害者の救済という点にポイントを置きますと、実は刑事重点の考え方というたとえばわれわれは地方に行くとよく相談されるのですが、交通事故の相談が大部分なんです。禁錮半年食ったから、もうくさいところへ行ったんだから損害賠償は絶対応じない、あるいはないそでは振れない、こういうことになったり、とにかく刑事罰を受けたんだから賠償のほうはもうゼロになったのだ、こういうふうな考え方を持ったりいたします。事故を防止することはたてまえですが、起こった以上は被害者を救済するというところに重点が置かれなければならないと思う。事前に事故を防止するということはたてまえです。しかし起こったからには被害者を救済するというところにポイントを置かなければならぬと思う。ところがいまの検察庁の扱い方というのはどうも刑事重点的なものがある。これもまたさっき言った議論で、昔自動車が少なかった時代の話。走る大きなものをもって人をけがさせた場合には厳罰に処するぞ、一罰百戒だ、そういうことでその価値はあったと思う。しかし今日においては、私は罰則よりも救済のほうに重点を置かれるべきではないだろうか、救済のほうに重点を置くためには示談というものをもうちっと重要視すべきではないか。アメリカの例は、損害賠償してくれば、あるいは示談が成立すれば刑事処分はされないということになっておって、実際の被害者救済に重点が置かれておるそうであります。ですから、たとえば事故を起こしてきた、完全におまえが向こうに示談をして、救済して、払うものは払ってきたならば、処罰は金銭で処罰をしたことにして刑罰のほうは免除しようという扱い、そういう扱いにすれば被害者がたいへん救済されるんですね。その辺、私は今後の被害者救済という点から考えて示談というものをもうちっと重く見て、完全に示談が済んでおるならば刑罰のほうをうんと酌量して低くして、示談を奨励させるような方向に司法行政というのを向きを変えていったらどうだろうか、こう思いますが、法務大臣いかがなものでしょうか。
  107. 西郷吉之助

    ○西郷国務大臣 御承知のとおりに、検察庁におきましては刑事事件を処理するにあたりまして、やはり最初に罪の軽重あるいは情状、さらにいまお話しの示談の成立の有無というような犯罪以後の状況を十分慎重に考慮いたしまして寛厳よろしきを得た取り扱いをいたしておると確信しております。いまお尋ねのように軽微な交通違反におきまして示談が成立いたしておりまする場合には十分その事実を尊重いたしまして、そういう際は大半刑事責任は追及しないようにいたしております。
  108. 板川正吾

    板川委員 最近はそういう軽微なものについてはそういう趣旨がだんだん扱われてきたようですが、軽微じゃないやつも、その辺が実は交通事故というものを、おまえは相手をけがさしたから半年禁錮だというようなことになって、なるほど刑罰を厳正にしたということにおいて一つの価値があるでしょう。しかしそれをやったら、実はその被害者が救われないという事態が多いですね。ですから、その辺の切りかえ、昔車が少ない時代はそういう走る物をもってけがさしたというので、刑事罰重点でよかったかもしれないけれども、いまは起こった以上は救済に重点を置く方向に私はなったほうが、めぐりめぐって公共福祉に沿うんじゃないか。半年、一年禁錮にしたって一銭も払わなければ、被害者は救済されない。裁判所へ訴えても判決出たって金はもらえない。泣き寝入りするほかはいまはないのです。こういう従来の司法行政の方針をひとつ検討されて、転換をされることを要望いたします。  それと、被害者が裁判に持っていかない。アメリカなんかでは権利意識が強いものですから、裁判ですべてきめてもらおうということで、損害の関係は裁判できまるのが多いそうですね。ところが日本では裁判に持っていくのは一%、調停が一%、ごくわずかです。なぜかというと、金がかかるんですよ。弁護士に金がかかる、時間がかかる、そうして判決が出てもそれがもらえない場合がある、こういうことでせっかく国のそういう制度、法律の救済を受けようとしても受け得ないですね。ある意味では国民の法に対する不信ですよ。法の正当な救済が法律関係に持っていったってだめだ。そして今度は、加害者のほうは何だというと、事故が起こったときはちょっと頭を下げるけれども、あとは裁判でこい。裁判で負ければ払うけれども、裁判でこい、こういう形になる。被害者は裁判しようといったって弁護士の金がかかる、時間がかかる。勝っても取れないことになる可能性があったんじゃということで、結局うやむやで被害を受けた者が泣き寝入りするほかない。法の正当な救済を受けられない。だからこういう点を考えて、たとえば刑事犯人には、最悪の場合には官選弁護人がつくですね。この交通被害者に官選弁護人的な、これはあんまりめんどうくさい争いがないわけですから、官選弁護人という制度をつくってもらえないものだろうか、こういう被害者側の気持ちがあるのですね。とにかく加害者に、事故を起こせばたいへん金がかかるぞということが、事故防止一つの原因なんですよね。いままではひきっぱなし、わからなかったら裁判でこい、自分で生活力、金があれば、裁判何年かかってもやっていきますから、片一方負けちゃいますよ。これは法のもとに平等だといいながら、平等ではないのです。こういう点を考えて、交通事故の被害者にも希望するならば官選弁護人をつけてやるというような考え方、最悪の場合には法律扶助という予算がありますね。総務長官、これをもっとうんとふやして、協会なり、弁護士に金をやって、実質的には裁判のそういう人には弁護士料をあまり払わなくたって、実際に裁判に持っていけるような措置を講ずべきではないだろうかと思うのですが、この点ひとつ法務大臣と総務長官から答弁を願いたいと思う。
  109. 西郷吉之助

    ○西郷国務大臣 ただいまの御質問にお答えいたしますが、御承知のとおり、費用がない人に対する救済措置として法律扶助協会というのがございますので、そういう点につきましてお話もございますので、だんだんこれを拡充する方向に検討を加えていきたいと思います。
  110. 床次徳二

    床次国務大臣 総理府といたしましては、いまの裁判の問題につきましては、法務大臣からお答えいたしましたが、なお自賠責の強化という問題並びに一番大事なことは、事件の発生いたしました当初における手続等につきまして、適切な指導をすることが必要だ、この点は都道府県における相談所の拡充、並びに末端の市町村におきましても、十分な適正な指導をいたしまして、最初の方途を誤まらなくて、適正な処置がとられますように指導いたしたいと思っております。
  111. 板川正吾

    板川委員 総務長官、正直のところ、市町村の相談所なり警察の相談所、どこに行っても大事なことはちっとも教えませんよ。たとえば被害者が一体幾ら金を要求したらいいのですか、こういうふうに相談しても……。警察へいったら民事不介入です。あなたがきめなさい。私はこういう損害を受けた、幾ら相手に要求したらいいんでしょうかといっても、どこも教えてくれるところはないのですよ。適切なところなんてないですよ。やってみたけれども……。大臣あたりのところにはそういう地元のこまかい相談はこないかもしれないが、われわれのところ毎日ですよ。そういう意味では、いまの相談所なんて何にもならない。幾らか請求する手続を説明してやる程度のものです。解決になりません。だから、この法律扶助協会ですか、あそこにもっとうんと金を出して、被害者があまり金を出さなくたって弁護士を頼めるようにしてやらなくてはだめですよ。相談所なんて何にも価値はない。これをよく覚えておいてください。  法務大臣、せっかくですからもう一問。交通事故の九〇何%が示談で解決しておる。当事者の示談もあります。当事者同士で軽微なものは話がついちゃう。しかし相当数第三者を入れた示談がありますね。ところが第三者の中には、いわゆる示談屋というものがあるのですね。この示談屋の扱う件数というものが非常に多いんだそうです。しかしこれも一つ役割りを果たしておるのですね。われわれ事故を起こしても、どういう手続きをしてどうやっていいか、われわれでもちゃんとわかっていないのですから、一般の人はなかなかわかりませんね。だからそういう中に入って、保険料を請求してくれたり、相手に行って幾らかもらったらどうでしょうかということをいったりするのは、なかなか便利な方法らしいですね。といって、弁護士に頼んだら幾ら取られるかわからないということになると、示談屋の口車に乗っかって保険料を詐取されたりする場合もある。しかしなかなか効果があって、百何十という団体があり、一つの団体で日本の訴訟の案件の二倍くらい示談をして解決しておるところがある。この示談屋について、私はちょっと思いつきなんですが、いまのように放置しておかないで、何か一つの資格と基準を与えて、弁護士法にも触れないような範囲で基準を与えて、そしてある種の範囲の仕事はそこでさせるというようなことをやったらばあるいはいいかなという感じがするのですが、いまは社会的にだれも認知しておりませんからね、示談屋というのは。あるいは弁護士法違反だなんということになる。事実は、この示談屋というのは百万件にもなる交通事故の当事者同士の中へ入って、一つ役割りを果たしているのですね。これをひとつこの際考えていただきたいと思います。何らかの法的位置を与えて、国の監督のもとに、ある限定された範囲の仕事をさせる。たとえば地方の人にめんどうくさい自賠法の手続をやれといったって、できませんよね。労務関係には労務士法というのができて、労働基準局で出す資料やなんかは代書してやるという制度ができたのですね。交通示談士じゃないけれども、労務士に見合うような何らかの範囲でやらせて、監督をして資格を与えて、それで不正なことをしたならばそれを取り消すというようなことをお考えになったらどうかなと思いますが、いかがですか。
  112. 西郷吉之助

    ○西郷国務大臣 お尋ねの点はわからぬこともございませんが、非常に微妙な点もございますが、とりあえずお話しの示談屋の実態の把握につとめてまいりたいと思います。
  113. 板川正吾

    板川委員 まだ三十七条の問題がたくさんありますが、あとはわが党の専門家の久保君が残ったところを全部やってくれますから、以上をもちまして私の質問を終わります。
  114. 内海清

  115. 久保三郎

    久保委員 時間もたくさんないようでありますが、なおいままで総務長官はじめ、各委員に対してお答えがありましたが、多少失礼でありますが、御答弁内容が提案された主管大臣としてはいささかどうかと思うような点があります。名前がいずれにしても基本法でありますから、少し重複するかもしれませんが、二、三そういう点でお尋ねを申し上げますと同時に、具体的な問題について、この際確認の意味を含めてお尋ねを申し上げたいと思います。  まず第一に、政府として今回交通安全対策基本法案を提案されましたが、これはどんな動機から提案することになったのでしょう。  それからもう一つは、この法案を成立させて、これによっていかなるメリットをお考えなんでありましょうか、この二点です。
  116. 床次徳二

    床次国務大臣 交通安全に対しましては、すでに数年来の国会におきまして御審議をいただいておるわけでありまして、すみやかにその成立を期待されておりますので、政府案といたしまして提案いたした次第でございます。今日非常に大きな問題になっておりまするところの交通事故に対しまして十分に対処いたしまして、国民福祉を守っていきたいというわけであります。なおそのためには交通安全対策というものを国といたしまして総合的に推進することが非常に大切だと思います。特に対策の樹立にあたりましては特別な機関をつくり、なお計画を樹立いたしまして、国、さらに都道府県、市町村にまで総合的にこれを実施いたしまして、いわゆる人間尊重と申しますか、交通安全対策の実現につとめたいと考えておる、これが本法提案の趣旨でございます。
  117. 久保三郎

    久保委員 いまのお答えでは、言うならお話としてはわかるのでありますが、具体的にいまも政府は交通安全に対してはそれぞれ施策を講じていると思うのですね。その上に対策基本法を出すのは、施策総合的でないということに尽きるわけでありますか。
  118. 床次徳二

    床次国務大臣 関係各省それぞれ最善の努力をいたしておるわけでありまするが、しかし今日の組織におきましては、これが真に一体化して強力に推進するという意味におきましてはやや欠ける点がございますので、今回は新しい機構のもとに一元的に政策を推進し得る機構をつくりまして、なお推進の方法等におきましてもそれぞれの機構をつくりまして、そうして国民とともに総ぐるみでもってその実効をあげようとするわけでございます。
  119. 久保三郎

    久保委員 後ほどその一元的な問題についてもお尋ねしますが、言うならば昭和三十九年に交通基本問題調査会に政府が総合交通政策について諮問をされ、これの答申がございまして、その答申の一つの大きな柱として交通安全対策があり、その中で交通安全基本法をひとつつくりなさいということをいわれてつくったのだろうと思うのです。それはそういう意味でありますね。動機というのはそうですか。
  120. 床次徳二

    床次国務大臣 沿革から申しますとそれも一つの動機でございまして、経過を申し上げますると、三十九年に交通基本問題調査会の答申におきまして、基本法の制定並びに連絡調整を行なう協力の機関設置等を要望せられたのであります。これに従って四十年には陸上交通安全調査室を設置しまして、行政の総合調整等につとめたのでありますが、さらに四十一年から立案に着手いたしまして、ようやく原案を得られるに至ったのでございます。
  121. 久保三郎

    久保委員 そこで基本法でありますが、いまお話しのような三十九年の答申に基づくまでもございませんが、この安全対策基本法、わがほうでは安全基本法でありますが、やはりこれを貫くものというか、そういうものはわが国の憲法に保障する基本的人権を守るという大前提がなければならぬと思うのです。そういうところから基本法の制定を考えていこうというふうに、言うならば現在の施策について振り返って、そういう原則に戻ったいわゆる基本的な姿勢を示そうというのが大きなねらいだろうと私は思うのであります。ところが、先般来それぞれ御質疑がありましたように、政府案におきましてはそういう文言もないわけではありませんが、目的の中に取り入れてないというのは、形式的かもしれませんが、言うなら取り組みの姿勢として少しく原則を軽く見ているのじゃなかろうかというふうに思うわけであります。そういうことから、もう一つ申しますと、これは対策基本法の中で現状をひとつ形をつけていこうという仕組みに見られるわけであります。というのは、特に先ほどお話がありましたように、交通安全行政の一元化、総理府の中に安全室を設けたという。それからもう一つは、御承知のように総理大臣議長とする交通安全国民会議でありますか、そういうものがいまある。そういうものもこの対策基本法の中に一々当てはめていって、現状を法律の上でつけていこうというためのねらいのようにわれわれは思うわけであります。だから第三条の中に国民生命身体財産を守るという文言があるなしにかかわらず、どうもそういうふうにとれるわけであります。これは見解の相違といえばそれままででありますが、特に一元的な運営に——答申は専任の機関を設けるといっていますね。専任機関を設けるというからには、その前進をはかろうとするならば、各省庁にまたがっているところの交通安全行政を一元化するというのが、まず常識的にも実際的にも考えられなければならぬ点だろうと私は思うのであります。ところが政府の対策基本法においては、総理大臣を長とする安全対策会議でやっていこう。これはいままで御答弁ありましたから、何というか御答弁内容を私は十分承知しております。交通安全行政がばらばらになっている、この総合調整なり一元化あるいは推進を真剣にはかるというならば、もう少し前進した姿で、われわれの提案どおりにしようとはあえて申し上げませんけれども、少なくともそれくらいの気がまえがあってしかるべきだと思うのでありますが、念のためにもう一ぺんお尋ねをしておきましょう。いかがでしょう。
  122. 床次徳二

    床次国務大臣 基本法目的は、ただいまお話しになりました社会党案にいたしましても、内閣案におきましても、私は全く同じだと思います。表現の差であると思いますが、要は、いかに実効をあげるかという問題だと思います。今日、交通安全に関係いたしておりまする省が、数も非常に多いことは先ほど来申し上げておるのでありますが、この関係各省というものが交通安全という目的にほんとうに一丸となってその勢力を集中し、なお実効をあげ得る形をとることが必要なのであります。しかしこれを一つの省にまとめるということ、これは現状におきましては必ずしも適当ではないと思うのであります。したがって、その目的を達するために、ここに交通安全対策会議という会議体、行政機関としての組織をつくりまして、そして内閣総理大臣を中心といたしまして、その事務の統一性と申しますか、総合性を十分に発揮し、しかもこれを実施するにあたりまして、統一的に推進できますように機構をつくったのでありまして、社会党案において期待しておられまする総合性と申しますか、統一性と申しますか、これを実現するのには、政府案におきまして十分にできると私は思っておるのであります。なお引き続き、中央のみならず市町村、都道府県にまでこれを及ぼしてまいりたいと考えておる次第でございまして、要は、政府並びに国民というものが基本法制定の機会に精神的にも十分な努力をいたしまして、法規の制定の趣旨に従って邁進するということが今後の重要な問題であろうと私は思います。
  123. 久保三郎

    久保委員 お話はそのとおりでしょうね。お話とすればそういうことだと思うのです。私としては、形の上ではとにかく前進はない。お考えとしてはなるほど説明はそういうことかもしれませんが、いま一番、交通安全行政で政府としてやらねばならぬことは、ばらばらになっておる安全行政をどう統一し一元化して、どう推進するかが問題であると思うのですね。だから、この対策基本法の中にありますように、これをつくるのにどうして手間がかかったのか、ひまがかかったのか。特に会長など入れるのにどうしてこんなひまがかかったのだろう。私は短い時間の中であえてこんな裏話なんか申し上げる必要はありません。それほどまでに問題があるのですね。各省庁ばらばらになっておる。だからそれをどうやっていくのかということが交通安全行政の一番大事な点だと思うのですね。金の面も大事ですよ。しかしながら、いまばらばらになっているのをどうしてやっていくのかということが一番大事でしょうね。総理大臣を長とする会議なら一番かっこうがよくて実力があるというなら、それなら何も会議なんか必要ないです。定例の閣議でやったらいいのです。閣議でみんなぴったりきめていけばそれでいいのです。そうじゃないのですか。だからこれはとにかくすれ違いというか、お話は合わないことになっておりますからなんでありますが、少なくともこれには限界がある。このまま法案が通っていって対策会議でおやりになっても、限界があるということだけを一言最後に申し上げておきます。  それから次には定義の中で一言聞きたい。いわゆる海上交通というのは、船舶による交通、その「船舶」とは、「水上又は水中の航行の用に供する船舟類をいう。」こう書いてあります。それでここでいう船というのはなるほどこれだけなんだから、そのいわゆる「航行の用に供する船舟類」というその船舟のたぐいは何であるか。
  124. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 本法の第二条で定義いたしております船舶は、ここにも書いてございますように「水上又は水中の航行の用に供する」およそ社会通念上の船すべてを含んでおります。
  125. 久保三郎

    久保委員 そうだとすれば、先ほど質問もございましたが、いわゆる政府のとるべき措置の中で、法制上の措置を脱落させておいては、いまあなたの答弁のような現行の法制の中では、あなたがおっしゃることは何にもひっかかりがないと思うのです。いま直ちにあなたの解釈からいくならば、いわゆる船舶安全法なり何なりを改正しなければいかぬのです。法制上の措置をとらなければいかぬ。財政上の措置だけではない。ところが先ほどの総務長官のお話だと、法制上の措置などはこれは当然のことだから入れないようなお話をしているのです。これはどうなんですか。いまの現行法規の中では、室長が言うような船はどこにも規定がない、除外されている。そこで先般——これは運輸大臣おいででありますからその結論はどうなったか、私は運輸委員会でお尋ね申し上げた。いわゆる最近レジャーがいろんな方面で発達している。特に夏になりまして、簡便なモーターボート類がそれぞれ水上を航行している。これは御承知のように、船舶安全法あるいは海上運送法その他一切の法規から野放しであります。ところがこれが一たん事故があったらたいへんな事故になるわけですね。これは旅客の運送の用に供すると供さないとに限らず、いわゆるここでいうところの船舶「航行の用に供する船舟類」そのたぐいですね。これについては運輸委員会で私から御要望申し上げて、運輸省の省内、少なくとも一ぺん対策考えてほしいという要望をしましたが、あわせてその結果はどうなっているかお聞きしたい。  まず最初に総理府のほうから、現行法律の中には、室長答弁したような船はどこにも入っていない、これはどうするか。
  126. 床次徳二

    床次国務大臣 ここにありまする船舶は、先ほど室長から答弁いたしましたごとく、広く船をさしておるのであります。したがって、船舶安全法に規定する船舶以外のものも含んでおる次第であります。今後船舶安全法自体におきましてどの程度まで規定するかあるいはそれ以外の関係において規定をするかどうかということにつきましては、将来十分検討いたしたいと思っておる次第でございます。  なお、今日あるいろいろの特別法規と申しますか、関係法規基本法との関係でありまするが、基本法精神に従ってそれぞれの特別法規が今日動いており、矛盾はないと考えておりまするが、なお社会の情勢の変化あるいは技術の進歩等にやりまして、さらに高度の立場に立っての規定も、将来はあり得ると思うのであります。それぞれ情勢に応じまして法制の改廃をすることになると思います。この点は財政あるいは金融の問題以外に、法制におきましても、必要とありますものにつきましては、当然法制上の改廃を行なうことは予想しておるところであります。     〔委員長退席、稻村(左)委員長代理着席
  127. 原田憲

    原田国務大臣 法制上の問題についてはいま総務長官がお答えになりましたので繰り返しませんが、先般運輸委員会指摘されて、これは非常に微妙な問題で、私のほうで、ぜひ検討しなければならぬということで、いま検討しております。般員局長から御報告いたさせます。
  128. 高林康一

    ○高林政府委員 二十トン未満の船舶に対します船舶安全法の適用の問題につきましては、近くそういうような問題についてどのように対処するかきめたいというふうに、現在省内の会議で検討を進めておるという段階でございます。  先ほど御指摘のございましたモーターボートなんかの場合につきましては、現在は二人以上乗せますところのモーターボートにつきましては、五トン未満のものでございましても船舶職員法上は小型船舶操縦士という資格を義務づけております。ただ、一人の場合においてどうするか、こういうようなことについては、現在審議をしておりますところの船舶職員制度の改正の中において取り上げて考えてみたいと思っておる次第でございます。
  129. 久保三郎

    久保委員 せっかく御検討いただいて、早急に対策を立ててほしいと思っているのです。  その問題はそれとして、ただモーターボートばかりじゃなくて、いわゆる櫓、かいによる船の問題も出てくるわけであります。最近、遊漁船の問題がございます。これは櫓、かいで行っているものが多い。あるいは櫓、かいで行かないでも、機械船に曳航されて、ある一定の漁場というか、つり場に持っていかれる、そういうものもあるわけです。これは船舶安全法にもかからぬわけですね。こういうものを早くやらぬ限りは、どこの所管になるのかわかりませんけれども、法制上もなかなか積極的に出られないのじゃないかと思っているわけです。  そこで床次長官に、念のためにこれを申し上げておきます。あなたの答弁と食い違っていきますから何べんも同じことを言いませんけれども、法制上の措置をこの中に入れなかったこと自体は誤りだし、そんな解釈はどうにでも出ますよ、など、と書いてあるのですから。その他必要な措置を講ずる——その他の中に幾らでも入る。しかし私はそういうものではないだろうと思うのでございます。でありますから、これは十分あとからも問題になると思うのでありますが、一応この点は申し上げておきます。  それからもう一つは、海上交通法の問題が出てまいりまして久しくなる。とうとうこの国会中にも政府は海上交通法の提案がなかった。先般の質問でも、御承知のように大型タンカーの問題あるいは狭水道における航行の問題、あるいは私がいま申し上げたような小さい船の問題を含めて、陸上における道路交通法と同じような形で必要だというのが世論であります。ところが各省庁間の調整ができないままに、今度も日の目を見ないというのが事実じゃないですか。そうでないというなら御答弁をいただきたいのです。何よりも大事なのは人間の命だということを先に考えない、そういう対策基本法は、私は意味がないと思うのです。そういう意味でも、海上交通法が、私の言うような理由じゃなくて、別な理由で提案ができなかったというなら、政府のほうから御答弁いただきたい。いわゆる一元化というか、そういう責任個所がなくて、各省庁ばらばらで——運輸省と水産庁あるいは農林省、そういうところの関係もこれはあるわけですね。政府として一体として責任を負える立場にいまないのです、交通安全行政は。だから私は、実際総理大臣を会長にして会議を起こすなんというのはナンセンスだと思う。何かお答えがありますか。海上交通法が出せなかった理由ですね。私が言うような理由と違うのでありましたらお答えいただきたい。
  130. 原田憲

    原田国務大臣 海上交通法を本国会に提案できなかったことについて久保さんが理由としてお述べになったのは、役所同士の話がうまくいかなかったのじゃないか、こういうことでございますが、確かにそれはそのとおりでございまして、私から農林省との間に漁労の取り扱いについて話し合いをするようにということで、両省で話し合いをいたしておりましたが、了解点に達することができませんので、今国会に提出できなかった、こういうことは事実でございます。しかしながら、海上交通について現在政府が責任を持てないじゃないか、それは私は違うと思います。いまはいまでできるだけのことをやって、海上交通事故防止安全対策ということに対して全力を尽くしておる、こういうことはお認め願いたい。しかしそれによって事故が起きているじゃないか、こういわれれば、それはまさに事故は起きておりますけれども、私どもは、海上保安庁が中心となって、航行の安全を期して、またそれぞれの船員、船舶あるいは港湾その他の各局が、海の問題については全力を尽くしておる、こういうことで御了承を賜わりたいと思います。
  131. 久保三郎

    久保委員 運輸大臣のお立場ですから、そのとおりだと思うのですが、い、ずれにしても海上交通法の必要性はだれもが認めている。ところが出てこぬということは政府の責任だろうと私は単純に思っているのです。私は非常に単純ですからそう思う。決して皮肉で申し上げておるわけではございません。何かそれで床次長官、お話がございますればお答えいただきたい。
  132. 床次徳二

    床次国務大臣 今回の基本法におきましては、陸上、海上、航空三者を対象とすることになっておりまして、さような意味におきまして今後検討いたしまして、必要がありますならば各省の間を積極的に調整してまいりたいと思います。
  133. 久保三郎

    久保委員 荒木国家公安委員長に、交通法の問題で、関連して二つほどお伺いします。  一つは、いま海上交通法のことも出ましたが、現在の道路交通法では、もはや安全の問題ばかりじゃなくて、特に都市における道路交通の規制というか、もしも警察がこれをうまくさばいていく立場にあるとするならば、道路交通法はもはや限界に達しているのではないか。いわゆる取り締まり法規としての道路交通法はいざ知らず、都市における路面交通を円滑にやっていくんだという立場も含めて交通警察が担当するんだとするならば、道路交通法はもはや限界だろう。これは限界だとするならば、これをいま申し上げたような方向で再検討というか、検討する必要があると思いますけれども、いかがでしょう。
  134. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 御指摘のように、自動車の量がふえましたし、さらに過密過疎の問題がカレントトピックになっておる現実がそこに急激にあらわれてまいりました。さようなことを考えましても、従来の道路交通法そのままで完全に受けとめ得るかどうか、またその中における警察当局の責任が果たせるかどうかということ含めまして検討すべき課題がそこにあるというふうな気持ちはいたします。ただ、具体的に、どういう角度からどういうふうにということまでは申し上げかねますけれども、要すれば交通局長からお答えを補足していただきます。
  135. 久保卓也

    久保政府委員 交通安全のみならず、都市交通において現在非常に重要な課題が提出されていることは御承知のとおりであります。  そこで問題でありまするのは、道路の整備が間に合わないのに車が非常にふえてくるということでありますから、都市における車の制御をどうするかという問題であります。今日は、現在の道交法のたてまえでありますので、交通規制というたてまえでやっておりまするけれども、いかにも現行法だけでは間に合いません。したがいまして、どういった場合に都市への車の乗り入れを制限するかということが問題になるわけでありまして、たとえば車種別の規制あるいは時間別の規制、そういったものが現行法上では非常に困難でありますので、そういった面の改正が必要かと考えます。さらにまた裏通りで非常に狭い通りを車がようやく通る。これは現在通しておるわけでありますけれども、そういったものをさらに規制する必要があるのではなかろうか、そういった観点も含めての改正を検討いたしております。
  136. 久保三郎

    久保委員 道路交通に関連して建設省道路局長にお尋ねしますが、あなたのほうで予測している、計算しているのかどうかわかりませんが、道路原単位はあなたのほうで予想しているとおりの計数に今日あるかどうか、今日そういう傾向にあるかどうか、いかがですか。
  137. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 いまある道路資産を計算いたしまして、それを自動車の保有台数で割った原単位という計算でございますが、これはいままでの傾向を見ますと非常に車がふえるに従ってだんだん減ってまいります。いまこの原単位はどのくらいがいいかということは非常にむずかしいのでございまして、いま私たち道路の長期計画では、昭和六十年までに幹線道路四十万キロやりまして、交通需要の想定をいたしますと、全国的には一応いまのような交通混雑は解消できるというふうにその時点を考えております。そのころの原単位を考えますと、いまよりもう少し上がるということでございまして、原単位でいいますと、いまはちょうど一番下のどん底ではないか。われわれの長期計画に基づきましてこれから逐次原単位を上げてまいりたい。そして昭和六十年にはほぼ全国的に交通混雑が解消できるような道路計画にしたいというような計算をしている次第でございます。
  138. 久保三郎

    久保委員 非常に楽観的な見通しでありますが、自動車道路関係はそういうことになるだろうと思うのですね。あなたの計算どおりになるかもしれません。ならぬかもわからぬ。これはわかりません。しかしながら人間と道路関係はどういうふうになるでしょう。これはまた別だろうと思うのですね。     〔稻村(左)委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、道路の問題に関連してきましたから一つだけ伺っておくのでありますが、取り組みの姿勢が悪いですね。道路というのは御承知のように、道路整備緊急措置法に基づいていまお話しのような形で膨大な財政投資をしているわけです。ところがこの緊急措置法目的には人間の人の字も書いてないです。そうでしょう。「自動車交通の安全の保持」云々と書いてある。人間の問題は書いてないのです。この間からあなた御答弁をなさっておりますが、六兆六千億の中でいま重点的に歩道の問題を取り上げているとおっしゃるが、実際はそれは一部の話であります。それでは基本的なものの中で歩道の部分はどれだけ改良できるのか、六兆六千億の中でどういう分野がきちんとできるのか、これは計画としてあるのかないのかということが一つ。  それからもう一つは、道路構造令を見ても、第四種の道路には歩道をつけなければならないが、その他はつけなくていい、そうなっていますね。そういうものの考え方でいいのだろうかどうだろうかという問題です。これをやはり再検討する必要がある。六兆六千億の道路五カ年計画も修正に次ぐ修正をして、ただいま御答弁があったとおりの原単位に上がっていくという予想はけっこうだが、人間を中心にした道路改良ではないのではないかというふうにわれわれはとっているわけです。そういうものはどういうふうになっておりますか、お答えをいただきたい。
  139. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 いまの道路の現状を反省いたしますと、やはり車と道路との不均衡が目立っております。その中で、いままでの道路歩道がきわめて少ない、またいままで車があまり入らないような道路にまで、道路が少ないために車が入ってきているというのが現状かと思います。こういう現状を踏まえまして、私たち前から説明しておりますが、将来の考えといたしましては、道路の構造を規定いたします道路構造令、これの改正をいま検討しておるわけでございます。いまの道路構造令は混合交通、人と車が一緒に通るというようなことを前提とした道路の幅員構成をしております。これを道路と、道路の中の車道、車道は車が何車線通るかということできめる、それに必要な路肩もつけ、必要な場所においては歩道をつける、また自転車の多いところは自転車の通る部分をつけるというような形でいま検討しておる次第でございまして、これでいまの道路の構造、車、人、こういうものをはっきり分離させるという思想で幹線の街路、また地方の道路についても必要な歩道をつけるような形で検討しております。そういう構造令を踏まえましていまの第五次の道路五カ年計画、さらにその後の計画につきましても、自動車の増加、それに伴う交通安全というような立場から歩道を整備していくことを計画してまいりたいというふうに考えております。
  140. 久保三郎

    久保委員 いまのようなお話でありますが、あなたのほうで出している対策基本法の第五条には、あなたのほうの責任が書いてある。具体的にいまのようなお話だけで済まされるものかどうかということです。第五条の「道路等の設置者等の責務」これは言うまでもなく建設省ですよ。建設省の中でも道路局長、これは十分かみしめて提案しているのですか。いかがです。——まあ時間もありませんからいいですよ。念のために申し上げる。あのとき何も言わなかったじゃないかと言われると困るから、ちゃんと言っておきます。よろしゅうございますね。  それからまた国家公安委員長にお尋ねするのでありますが、いまいろいろ道路局長からお話がありましたが、数字の上では、予想では原単位はよくなっていく、上がっていく。そうすると事故が少なくなっていくという計算なんですね。ところが、残念ながらそうはまいらぬと私ども思っておる。  そこで一番問題になるのは、やはり人間と車が戦争したら、戦ったら、どっちが負けるか。簡単でありますが、人間が負けるのですよ、これは。車と人間では人間が負けちゃうのです。それで、運転や操縦するものに、いろんな種類があります。汽車の運転士、機関士、それから自動車の運転手、飛行機のパイロットもいます、船の船長もおります。ところが自動車の運転手だけは、あまりにも資格が容易にとれるというところが魅力でもあるしまたいいことでもあるかもしれませんが、反面非常にルーズ——ルーズというより非常に、何というかあまりにもゆるやかである。そのために事故が多いという見方もあります。たとえば航空機の操縦士には、たいへんな、あらゆる角度から、いろんな制約があるわけですね、資格、適正も含めて。ところが、自動車の運転手のほうには、言うなら道交法に基づくところのいわゆる免許、これを取ればよろしい、こうなっております。  それからもう一つは、走るところでありますが、汽車にいたしますれば一本のレールの上に乗っかっておるわけです。信号機ももちろんあります。そうして、長年訓練した機関士がこの操縦をするわけですね。それでもなおかつ事故はあるというので、万全には万全を期して、いわゆる自動停止装置などもつけている。ところが、運転手にはそういう一定の走行路があるはずはないですね。もちろん車道は区別しておりますが、これは追い越しもできます、追い抜きもできます、対向車も来ます。汽車や何かのように一定の専用のところはない。そこに、やはり考え直す必要があると思うのですね。だから、道路面の構造は、分離帯を設けるとか、こういうことは考えられます。しかし、人間の、運転手の資格、訓練、適正、そういうものは、もう一ぺんこの際見直す必要が私はあると思うのです。いつか、この席だと思うのでありますが、精神異常者に対する措置で、これは一ぺん何か形式的に、診断書を持ってこいといったらば、産婦人科の医者から診断書をもらってきたという話がありまして、とうとうこれはおやめになったそうであります。だから、少なくとも免許証を与える責任は政府にあるのですから、政府がその適正について診断するのがあたりまえでありまして、どこか医者へ行ってもらってこいということではこと足りないんじゃないかと私は一つの例から思います。  それで、この際、一つの厳重な資格——資格というのはあれですが、そういう基準をもっと向上させなければ、やはりこれからの自動車と人間との関係は改善されないと思うのですが、免許制度について、いま申し上げるような点から再検討する用意はあるかないのか、いかがでしょう。
  141. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 結論から先に申し上げれば、検討する用意があり、検討しつつあります。  御指摘のとおり、飛行機の操縦士の資格要件あるいは船舶の船員、高級船員の資格要件をはじめとして、非常に厳重であると聞いております。それに比べれば、少なくとも一種免許でありますか、単にドライバーが自分の車を自分が運転して、一応安全に走ればよろしいという感覚が先行しているような制度じゃなかろうか。これは私の個人的なしろうと判断ですけれども。ところが、どっこい、高速道路は出てくるわ、都市の渋滞状態の交通戦争の中に、自分自身の安全もさることながら、自分自身が未熟であるがゆえにあるいは精神的な症害その他のゆえに、人の生命身体に影響を与えるであろう、危害を加えるであろうことを、飛行機乗りないしは船乗りが、自分だけというよりはお客さんを乗っけておる、多数の人を乗っけておる前提に立って厳粛に受けとめられておることに比べれば、単にドライバーのそれ自体として考えれば簡単に考えられそうですけれども、自動車がこう多くなってくるわ、高速道路はできてくるわということになりますれば、自分以外の人さまに、通行者にあるいは他の自動車に、危害を与えるという意味においては、飛行機乗りその他と似たような考えで受けとめなければならぬ事態になりつつあるのではないかというふうに私は個人的には思いますが、そういう意味で、自動車の運転免許証をもらうにつきましてのいろいろの条件ないし訓練の関係等、自動車学校の内容を強化するとかあるいは教習課程を充実していくとかいうふうなことを中心に、自動車学校の課題をつかまえて検討を加える等をはじめといたしまして、検討しつつあります。
  142. 久保三郎

    久保委員 国家公安委員長は、私はもうきょうは質問はございませんから……。  次には、労働省にお伺いするのであります。  労働基準法は、いわゆる人たる生活を営む最低基準として労働基準をつける、そういう意味ですね、基準法というのは。人間として必要な最低基準である、こういうことですね。それだけでは、最近の交通労働者の労働基準にはいささか不足である。いざさか不足というのは、労働者そのものには不足でなくも、その労働者によって運ばれる人間からとれば、この運転者やパイロット、機関士、そういうものに、単なる最低の人間としての労働基準は関係がない。これは関係がないと言ったらおかしいが、厳密な意味では関係がない。むしろその運転者である交通労働者が、自分が輸送する人間あるいは国民財産というもの、そういうものに対して十分安全な輸送ができる立場の労働の基準というか、そういうものが要求されることになっていると思うのです。その一つの例は、先年出しました労働省の二・九通達はその一つかと思うのであります。しかし、ややこれはあいまいであります。そこで対策基本法を出す。それであなたの責任もこの中に書いてある。これは車両運転者等の責務の中に入ってきます。だから、そういうものを考えると、いまの労働基準法のたてまえというのを、交通安全のたてまえから別個にまたつくらねばいかぬだろう、こういうように思うわけです。いまはその安全というものは労働保護者の立場だけから考えているのですね。そうでなくて、安全の基準から考えるべきだと思うのですが、いかがですか。
  143. 和田勝美

    ○和田政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、労働基準法は労働者の人たる生活に値する最低条件を定めるということでございまして、その基本理念で全部が貫いてございます。しかし、ただいま御指摘のように、その労働者の行為によって世間一般に与える影響の問題が確かにあるわけでございまして、そういう観点から今度の交通安全対策基本法案も立案されておると私ども承知いたしておりますが、その中の三十一条に、国の責務として安全のために必要な措置を講ずるようなことが規定されております。それに基づきまして、この法案が成立しました以降私どもとして考えてまいりたいと思っておりますが、ただいま先生が御指摘になりました昭和四十二年二月九日の基準局長通達も、大体先生の御趣旨のようなことで書かれております。今後の趨勢とにらみ合わせながら、こういうようなものをそれぞれ強化するなり何なり必要な措置をとってまいりたい、かように考えております。
  144. 久保三郎

    久保委員 基準局長、時間がないからあなたの答弁を信用しますが、これもやはりアリバイをつけておきます。よろしゅうございますか。おざなりの答弁では困るわけでありまして、時間はなかったかもしれませんけれども、それこそ一言アリバイとして確認しておきます。  それから運輸大臣にお伺いするのですが、いまもお話が出ました二・九通達。これはトラックの運転手の労働基準は守られておりません。これは通達でありますから、実際は法律改正がしかるべきなんです。しかし、それはそれとして、いま、たとえばダンプカーを中心にするトラックというか貨物自動車のかもし出す交通事故、そういうものはあとを断たないわけなんです。これは言うならば車が多いことも一つあります。  もう一つは、過当競争になっているということ。たとへば砂利あるいは土砂、そういうものの運搬は九割近くが自家用車のナンバーでやっております。実際は、御案内のとおり、中身はある特定の企業に雇用された形でダンプカーを運転しているのです。結局は免許を受けたいわゆる路線トラックあるいは地場トラックがございますが、そういうものも運賃のダンピングで今日やっておる。いま貨物自動車界においては交通秩序というか輸送秩序が維持されないままでいるわけです。基本をさぐればそこに問題が一つあると思うのです。  運輸大臣の同じ所管であります内航においては、御案内のとおり、最高限度の船腹量を策定して、それぞれのグループにおいて調整作用もしておる。運賃についてもある程度の規制というか、自主規制に近いものまでやっておる。陸上においては何もそういうものがないのであります。ないままに、狭い道路を猛スピードでトンボ返りの運送をしているわけです。これは、一つ交通秩序というか輸送秩序の確立を基本的に考えなければならぬと思うのです。海上の内航でできて陸上でできないはずはないと思う。これについてはどういうふうにお考えでしょうか。
  145. 原田憲

    原田国務大臣 いまお話しのように、海や空でできて陸上でできないわけがないということは、私もそのとおりであろうと考えます。いまはダンプカーその他の営業車の問題を提示されましたが、私は、タクシー業界でもそのとおりであろうというふうに考えております。いたずらに過当競争することだけが本来の目的ではありません。これらの問題については今後十分検討をしていきたい、このように考えております。
  146. 久保三郎

    久保委員 時間があまりありませんから、せっかくお呼びしてお答えをいただかないとなんでありますからなんでございますが、全部お答えをいただくわけにはとてもまいりませんので、あとで時間がございますれば質問をさせていただくことにいたしまして、あと一、二点だけで——わざわざお忙しいところを来ていただいて何にも答弁もなかった、質問もなかったというのでたいへん恐縮でありますが、お許しをいただきたいと思うのであります。  そこで、これは総務長官にお伺いしたいのでありますが、先ほどこの法案の中で幾つか問題の点がありました。その中でやはり奇異に感ずるところは、第十条の「住民の責務」であります。先ほどの御答弁は、何か外国人までそれら住民の中に入るから、そういう意味で住民をお使いになったと言うが、こだわるわけではありませんが、住民とはいかなるものであるか、これは床次長官よく御存じの地方自治法に住民の解釈が、定義が出ております。住民というものは当該の市町村に住居を有する者で、その市町村の住民であると同時にそれを包括するところの都道府県の住民でもある、こういうことになっておるわけです。そうしますとこれは住民にあらざる者が、たとえばわれわれのように東京では住民ではありません。東京では住民ではありません。そうしますと、東京でやっておること自体には責任がないということに相なりますかな。これは何か社会党案に対して、向こうは国民と書いてあるから、こちらは住民といきましょうということではなかろうかと思う。そうだとすれば、これはいさぎよく正誤でも何でもいいからやめたほうがいいです。もっとも住民というのは、最近は新しいことばとして再認識されております。すべての運動なりすべての政治の根源は住民にあり、そういう意味で住民ということでおつくりになるとするならば、地方自治法第十条は定義を、解釈を変えていかなければならぬと思うのです。あまりむずかしいことではないと思うのです。これは何か外国人を入れるとかなんとか——外国人だって何だって日本の法律には従うことになっておるのです。明治時代とは違いますよ。どうなんですか。これは大体脆弁ですよ、こんな法律を出してくるということは。
  147. 床次徳二

    床次国務大臣 特に住民として書きましたのは、自治法のことばに住民ということばがありますけれども、地域社会の一員であって、地域社会でもってきめました規制に従ってもらいたい、かような意味で書いてあるわけでございます。御趣旨は了解いたします。ことさらに異を唱えて国民というのを住民と書いたというようなつもりはございません。
  148. 久保三郎

    久保委員 これは対策基本法でありますから、いままで何回も皆さんからお話がありました——少なくとも基本法ですからこれは改正いたしませんよ、基本法の改正はありません、ほとんどないと思うのです。基本法でありますから、やめてしまうか、そのままそっくりずっと持っていくか、二つしかない。だからいやだと思うけれども、こういうものは——どうもどこの学者がつくったのか、内閣の法制局がよくこんなものを書いたと思って、私は時間があれば法制局長官にここに来てもらって、もう少しわれわれが理解できるような解釈をしてもらうか、少なくとも中身を修正するかどっちかです。これは恥ずかしい。
  149. 床次徳二

    床次国務大臣 おことばがありましたが、これは地域社会という立場を重視して住民という字を使ったのでありまして、先例といたしましては公害対策基本法にもやはり同じような使い方がありますので、その先例にならった次第であります。
  150. 久保三郎

    久保委員 これは公害対策とは違いますよ、違います。とらえ方が公害対策基本法は違いますよ。それを一言言っておきます。やるかどうかは別です。  時間が参りましたが、あまりお尋ねしない方に——科学技術庁来ておりますね——あなたのほうの責任もこの中では出てくるわけなんです。いま一番大事なのは——政府の施策が科学技術に関してはおくれておる、民間のほうはいかにもうけようかというので、多額の金を出して研究開発をしておるわけです。これはもうけると言ったら語弊がありますが、やはり企業でありますからそこに金が入っていく、安全対策というものは二の次にならざるを得ない、これは当然だと思うのです。しかしこれをチェックするのは政府だけです。その政府が、そういうものに対しての全体的な科学技術の金がないし、あっても各省庁これみんなこま切れでばらばらになっております。そこで政府も言っておるし、ぼくのほうでも言っておるのは、少なくとも交通安全に対しての科学的な研究調査をやらなければならぬ、少なくともこういうものの一元的な運営について考えているかどうか、簡単に。
  151. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答え申し上げます。  科学技術庁といたしましては、研究調整関係につきましては、災害並びに公害と並びまして、この交通災害に対しましては重要研究テーマとしてあげているわけでございます。したがいまして、この各省庁におきます研究につきましては、科学技術庁としましてもこの内容については取りまとめて研究調整を行なうことになっておりますが、ただ従来の研究の状況から申しますと、交通安全に対する研究といたしましては、警察庁運輸省、通産省、建設省、各研究所において行なわれておりますが、その研究の成果につきまして、研究を行なうにあたりましての研究の調整というものは、予算を通じまして見積もり方針というものを私たちのほうで調整しているわけでございます。したがいまして、私たちとしましてもこの問題は重要な問題でございますので、今後とも交通安全については十分強力に推進していきたいと思っている次第でございます。
  152. 久保三郎

    久保委員 御答弁はたいへんりっぱでありますが、それでは実際はどうやっていくのですか。
  153. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 実際につきましては、重要テーマとしてあげましてから昭和三十六年からこの問題についていろんな問題を取り上げているわけでございます。なお各省庁にまたがって行なわれます研究につきましては、私たちのほうにございます特別研究促進調整費という経費をもちまして、各研究所においてその経費によって研究を進めていただくということになっております。  なお、つけ加えますが、従来まではそれに対しまして出した経費といたしましては、約二億三千万ほど使っているわけでございます。
  154. 久保三郎

    久保委員 局長、たいへん恐縮だが、この次にまたお伺いをします。資料を出してください。二億三千万というと科学技術庁ではたいへんな金ですね。あなたのところは全体が少ないですからね。だけれども、安全のためにそれだけ使っているわけじゃないでしょう。そのほかのものも入ってそれだけでしょう。非常に少ない、狭い。いずれにしましても、時間が来ましたのであとにします。  最後道路局長、さっきの答弁でちょっとふに落ちないこともあるので、私に対する答弁でなくて、歩道道路の何になるのですか。交通安全施設になるのですか。これは道路の部分でしょう。安全施設じゃないですよ。いかがです。
  155. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 歩道道路の部分でございます。実際、道路を構築する場合に、車道、歩道というような形で構築いたしまして、道路の部分になっております。ただ私たち道路の部分、そのほかの付属物その他の中で特に交通安全に関係のあるものを交通安全施設と称しまして、これにつきましては既存の道路についてかなり不足しておることはありますので、そういうものの整備を、交通安全施設等の整備の三カ年計画という形で整備をやってまいりたいという考えでございます。
  156. 久保三郎

    久保委員 約束の時間だししますので、運輸省関係局長、早くからおいでになっていただいたのでありますが、聞きたいことだけ申し上げて、御答弁は時間がありませんからあとでいただくことにします。  まず航空局長にお尋ねしようということは、パイロットの訓練、そのために必要な訓練飛行場を早急に考えなければいかぬのじゃないかということが一つ。これは運輸大臣にもお聞きいただきたい。それからもう一つは航空管制の問題でありますが、管制の近代化や合理化をはかる前に、日本の空の合理化をはからなければならない時代になってきはしないか。一ぺん白紙に戻して、日本の空の交通管制のあり方を再検討する時期に来てないかということを聞きたかったのであります。  それから高林船員局長には、最近船員労働者の需給が陸上に比較してかなり逼迫しております。そういう中で交通事故というか海上の事故もかなり多くなっておる。そのときに船舶職員法の改正というかそういうものがあるんだが、それと同時に船員労働者の需給対策というものをどう考えておるか。これは安全に直接関係がございますので聞きたかったのであります。  それから黒住自動車局長と通産省の吉光重工業局長には、先般来の続きであります欠陥車措置はどうしたか。なるほど運輸大臣からは一応の通達、方針、要綱が出されましたが、それだけでは足りないのではないか。早急に法制的なもの、あるいは財政的なものを確立していまの不安を解消すべきだろう。それからもう一つは、通産省は単に業界に話をしただけで、対策らしきものは表に何も出てないが、どうした。対話を含めてどういう対策をするかという明確なものが表に出てない。これは通産省として出すべきであるという主張でお聞きをするわけであります。  大体以上で私がお尋ねをしようというものの中身は終わるわけでありますが、もし次回時間がありますれば継続をさせていただくことにして、本日はこれで終わります。ありがとうございました。
  157. 内海清

    内海委員長 この際、本会議終了後再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時五十七分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕