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1969-07-10 第61回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月十日(木曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 内海  清君   理事 稻村左近四郎君 理事 大竹 太郎君    理事 斎藤 寿夫君 理事 田中 榮一君    理事 山口シヅエ君 理事 板川 正吾君    理事 山田 耻目君 理事 河村  勝君       中馬 辰猪君    丹羽 久章君       松澤 雄藏君    毛利 松平君       井上  泉君    小川 三男君       太田 一夫君    久保 三郎君       松本 忠助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君  出席政府委員         総理府総務副長         官       弘津 恭輔君         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 久保 卓也君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         海上保安庁次長 林  陽一君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         経済企画庁総合         開発局開発計画         課長      諸口 昭一君         運輸省海運局定         期船課長    富田 長治君     ————————————— 七月十日  委員亀山孝一君及び濱野清吾辞任につき、そ  の補欠として松澤雄藏君及び毛利松平君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員松澤雄藏君及び毛利松平辞任につき、そ  の補欠として亀山孝一君及び濱野清吾君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策基本法案内閣提出第一〇七号)  交通安全基本法案久保三郎君外十三名提出、  衆法第二九号)      ————◇—————
  2. 内海清

    内海委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる交通安全対策基本法案及び久保三郎君外十三名提出にかかる交通安全基本法案の両案を一括議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。井上泉君。
  3. 井上泉

    井上(泉)委員 総務長官急ぎのようですから、まず総長務官にお尋ねをいたすわけです。  この基本法を出されるにあたって、これは何といっても作文がどういうふうにでもできるわけですが、この条文そのものについては別に異議を差しはさむものではないわけですけれども、具体的に基本法に基づいて交通安全対策を実施する上において、一番に金の問題ですが、第十二条の政府財政措置についての定めてある措置ですが、大体この交通安全対策基本法に盛られた内容によって交通安全対策を講じようとするにはどれだけの財政需要を必要とする見通しを持っておられるか、その点について総務長官の御答弁願いたいと思う。
  4. 床次徳二

    床次国務大臣 現在交通安全対策に対して支出しております額は六百三十億でありまするが。明年度以降の将来の問題に対しましては、本法に掲げましたところの手続によりまして安全対策計画をつくって、そうしてこれができるだけ効果をあげますように努力をいたしたいと思うのであります。  なお法律にありますごとく、国は財政的な援助等につきまして措置をとらなければならないという前向きの方向をはっきり示しておりますので、今後におきましてもその立場に立ちまして努力いたす所存でございます。
  5. 井上泉

    井上(泉)委員 六百三十億といいますけれども、この六百三十億は、直接交通安全の対策費ではなしに、間接的な経費も含まれておるわけでしょう、これは。
  6. 床次徳二

    床次国務大臣 その内訳等につきましては政府委員から答弁させます。
  7. 井上泉

    井上(泉)委員 そのことは宮崎さんにあとで問います。総務長官はお急ぎのようですから、総務長官に先に……。  私はこういうふうな基本法を出すというにあたっては、従来の交通安全関係法律というものを、これは全般的に整備をしなくてはならないと思うわけです。関係法でもずいぶんたくさんあるわけですが、そういうふうな一連の交通安全の対策、この基本法に基づいてそれらの法を次の国会までには整備をされて出されるのかどうか、その点総務長官から……。
  8. 床次徳二

    床次国務大臣 この基本計画に対しましては、今日従来の経験にかんがみまして大体の腹案は持っておるわけでありますが、今後これを具体化するように努力してまいりたいと思います。
  9. 井上泉

    井上(泉)委員 これは、これも交通安全に関係している法だ、これも法だというふうに法を拾い出すとずいぶん出ているわけですけれども、やはりそれは交通安全対策という一つ基本法をつくって、その基本法の中で海上交通陸上交通それぞれを法体系整備しないと、せっかく基本法をつくっても、この基本法と既存の交通に関するいろいろな法律とがアンバランスである場合にはこれはもう意味をなさないわけですが、そういう点について、私はいま総務長官が言われたのですけれども、主として陸上海上、こういうふうな点での整備というものを急ぐ必要がありはしないか、こういうふうに思うわけです。従前海上交通法を出す、出すといって出さなかったし、またわれわれといたしましても海上交通法の中にはたくさんの問題点——政府が考えておる海上交通法では、これは漁業者に対する非常な障害を与える結果になっておるので、それについては反対をしてきたわけですが、将来海上交通等についてはどういうふうに考えておられるのか、その点ひとつ総務長官から……。
  10. 床次徳二

    床次国務大臣 今回、提案いたしております基本法精神に基づきまして各種の所管官庁におきましても検討をしてもらうわけでありますが、具体的なものに対しましてはそれぞれ特別法的な規定が今日できております。しかし、これが基本法考え方と矛盾するような場合におきましては、基本法精神にのっとって改正をしなければならないし、なお御指摘のように漏れておりますものにつきましてはこれを埋めなければならない。こういう特別の法を私はやはり基本法精神に従って立法すべきであると思う。これは今後の検討にまちたいと思っております。  なお、御指摘海上の問題につきましても同様に、足りない点につきましてはこれを補うように努力いたしたいと思っております。
  11. 井上泉

    井上(泉)委員 それで、いま六百三十億という交通安全に対する対策予算といいましても、その中身を見れば、別段、これがそのまま交通安全対策だと位置づけることができるかどうか、疑問のあるものがたくさんあるわけです。この基本法をつくって交通安全に関する予算というものになりますと、これは相当大幅な予算というものが必要になってくると思うのですが、それについて政府精一ぱい努力をする、こういうふうにいわれているのでありますけれども、一体そういう財政措置について見通しがあるのかどうか。たとえば自動車関係欠陥車整備、そういうふうなものについても、いまの運輸省の人的な構成をもってしてはなかなかその車の検査等は及びもつかぬ、こういうような話を聞くわけですが、そういう交通安全に関する人的な対策を進めていくための人的な増員ということも当然考えなくてはならなくなってくると思うのですが、その点について総務長官としては、各省にそういう交通安全対策に関する人的な充実を要請するようになるのかどうか、その点……。
  12. 床次徳二

    床次国務大臣 今回は、この基本法に基づきまして中央対策会議ができまして、そうして計画を策定いたしますので、中央方針がきまりました際におきましては、これは国はそれぞれのものをしなければならないことになっております。特に総理中心となって各省大臣を督励いたしまして、その方針を実行させるようにいたします関係上、必要と認めまするところの予算等につきましては、各省においてそれぞれ、その方針に適するようなものを計上いたさなければならないと思います。その結果、財政当局におきましても、その基本法方針に従ってできるだけの努力をするということになりますので、かような意味におきまして、今度の法律におきましては、私は非常に効果があるのではないかと予期しておる次第であります。
  13. 井上泉

    井上(泉)委員 最後に、この「中央交通安全対策会議は、会長及び委員をもって組織する。」ということで、会長総理大臣というのですけれども、実質的には、これはやはり総理府総務長官がこの会議主宰者になると思うわけですが、こういう場合の対策会議構成といいますか、それについて、これは民間のいわゆる一般国民の中から、つまりタクシーの運転者の仲間から、あるいはまた国鉄の労働者の中からとかいうような、直接交通業務に従事をしておる者を選ぶ意思があるのかどうか、また選ぶべきであると思うか、その点について……。
  14. 床次徳二

    床次国務大臣 この計画はそれぞれ各省責任をもって実行する関係上、委員各省の長をもって充てておるわけでありまするが、御指摘のように、具体的な専門知識を必要とすることも少なくないのであります。そういう御意見につきましては、専門委員を通じまして、私どもは十分に実情を把握しながら、専門委員意見各省に反映さして、そうして会議の決定に役立たせたい、かように考えております。
  15. 井上泉

    井上(泉)委員 その専門委員の委嘱については、そういう労働者の代表とか、労働者の中から選ぶとかいうような構想にあるのかどうか……。
  16. 床次徳二

    床次国務大臣 専門委員方々をどういう人を選ぶかということは、ただいまは具体的に考えておりませんので、いわゆるお話しの組合なり直接の現場で働く人を選ぶかどうかということにつきましては、具体的に今日考えておりませんが、そういう万々の御意見が十分に専門委員を通じて反映できますように、学識経験者と申しますかあるいは現場貢献者と申しますか、そういう方々をひとつ検討いたして任命いたしたいと思っております。
  17. 井上泉

    井上(泉)委員 その六百三十億の交通安全対策予算で、そのものずばり交通安全対策予算と称せるものは、おもなものとしてはどういうふうなものがあるか、その点ひとつ、おもな予算額をお示し願いたいのです。
  18. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 先ほど長官が申し上げました六百三十億の昭和四十四年度予算でございますが、これはむしろほとんどすべてが直接交通安全対策関係あるという予算各省庁から引き抜いてまとめたものでございます。  おもな予算額を申し上げますと、現在政府としては予算的に一番重点を置いておりますのは、御承知のように、交通安全施設等整備中心といたしました道路交通環境整備関係予算でございます。これは総額六百三十億のうち約五百六十億を投入いたしております。  その内訳をさらに申し上げますと、交通安全施設整備関係で約百九十四億、踏切道立体交差化等関係で約二百三十一億、いわゆる交通反則金に基づきますところの交通安全対策特別交付金、これは地方公共団体に交付される金額でございますが、これが約百十七億、それから子供遊び場がないために路上で遊びまして不測の事故にあうことが多うございますので、子供遊び場を確保する意味におきまして、児童公園等整備が約十六億、これらを合わせますと、ただいま申し上げましたように約五百六十億になるわけでございますが、六百三十億のうちの五百六十億は主として道路交通環境整備に直接充当される経費でございます。  なお、それ以外に、道路につきましては、御承知のように別な予算をもちまして道路整備をいたしておるわけでございますが、この道路本来の予算の中にも当然安全施設に投入されるべき部分が相当額あるわけでございます。  なお、それ以外につきましては、額もあまりまとまった額のものはございません。もし必要がございましたら、またあらためて詳細に御説明申し上げます。
  19. 井上泉

    井上(泉)委員 六百三十億のほとんどがつまり道路上における交通対策予算であるわけですが、私いつも歩道橋を通って思うことですけれども——あなた方は車で通ることが多くて歩道橋を通ることは少ないと思うのですが、東京渋谷あたりの、非常に歩道橋利用率の高いところなんかで、これは前から交通安全の委員会で問題になっておるわけですが、せめて、あれだけの交通量の多いところは、一カ所ぐらいは、おばあさんでも上がっていけるような、あるいはまた地下鉄なんかではエスカレーターをつけてあるのですが、子供を連れていけるようなところを一カ所ぐらい、少なくとも大都市中心地に一カ所ぐらい、それくらいのものができないのか。これこそほんとうに思いやりのある、ほんとうにしんから交通安全のことを考えて歩道橋をつくったんだ、いわゆる歩行者の安全を確保するためにつくったんだという認識というか理解を与えることができると思うのです。いまでは車のために人間が歩かされておって、おばあさんにしろ子供にしろ、これはたいへんな苦労をなめておるのですが、その点について、そういう考えはないのかどうか。
  20. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 私たちといたしましては、わが国の交通事故が、御承知のように歩行者死亡事故のパーセントが比較的多いという関係から、ここ数年来歩行者保護というものに重点を置いて、種々の施策を推進してまいったわけでございます。したがいまして、当面、何よりもまず横断歩道橋をたくさんつくるというほうに重点を置きまして、これをやってまいったわけでございまして、その過程におきまして、御指摘のように、多少きめこまかくやればもう少しよかろうというような点がないわけではないと存じます。この点は、私たちも、いま、ちょっと反省しておりますので、今後は、できるだけ、せっかくつくった以上は、歩行者の利用しやすいような横断歩道橋にいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  21. 井上泉

    井上(泉)委員 利用しやすいような歩道橋に考えるということ、非常に前向きですが、とりあえずその予算の中でひとつ一カ所ぐらい早急に、たとえば渋谷でもいいですが、そういう措置ができないのかどうか。それから、名古屋にもあるのですが、大阪にもあるのですが、そういうエスカレーターでもつくるというようにすると、どれくらいの金が要るものですか。
  22. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 たいへん申しかねますが、具体的な問題でございますので、建設省のほうからお答えしていただきます。
  23. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいまの横断歩道橋ののぼりおりにエスカレーターをつける、私のほうもいろいろ検討いたします。片側一個つけるのでも大体千五百万ぐらいはかかる、両側につけますと三千万ということになりまして、将来やはりこういうような施設場所によっては有効だと思いますが、いまの時点ではなるべく早く歩道整備し、横断歩道橋をつくるということに力を入れております。将来の問題として、私ども検討いたしたいというふうに考えております。
  24. 井上泉

    井上(泉)委員 横断歩道橋をつくる、これはほとんど機械的に建設省があっちこっちつくっておるわけですけれども、いなか歩道橋を視察をしてもらったらわかるのですが、私のところの高知県でも、国道五十五、六号線にも歩道橋を幾つもつくっておるけれども、それを通る人というものはめったに見受けることができない。そこで、一千万もかけてたくさんつくっておるのですけれども、高知県でつくっておるところは駅前の一つとそれから堺町という中心街にある一つ。それが歩道橋を通らないと通れないからやむを得ず通っておるというだけであって、それでも下を歩く。その他の歩道橋利用率というものは非常に低いわけです。利用率が低いというよりもむしろ皆無といっても差しつかえないような、子供が遊び半分に歩道橋に上がって車の動きを見ておるというような状態があるのですから、画一的に歩道橋をつくるということではなしに、やはり将来においてはそういうことも必要であろうけれども、いまとにかく都市交通混雑状態を緩和し、そして歩行者の安全を守るために、三千万かかるにしても、あるいは五千万かかるにしても、一つくらい少なくとも東京あるいは大阪とか名古屋とかという六大都市の一番交通のふくそうするところにはモデル的にでもそういうようなものをつくるようにしてもらいたいと思うわけですが、これは私だけの願いじゃなしに国民願いだと思うのです。そういう工事計画については建設省であろうけれども、やはり交通安全対策の総元締めの総理府として、そういうことを計画して、建設省予算的な配分もして、やってくれるようにしてはどうですか。
  25. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 先ほども申し上げましたように、できるだけそういう方向努力いたしたいと思います。
  26. 井上泉

    井上(泉)委員 できるだけということが二年も三年も先になったら困るわけで、二年も三年も先にならず、少なくとも今年度あたりそれだけの予算をそれに配分をする、極端にいえば、いなか国道に無理やり歩道橋をつける、そういう予算を減ずってでも東京とかそういう都市歩行者交通を安全ならしめるような措置をやってもらいたいと思います。今年度一つでも二つでもそういうことをやるということはできぬのかどうか。
  27. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 これは予算の実行の問題でございまして、関係省庁とよく打ち合わせをしたいと思います。
  28. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは建設省のほうでは、そういう省庁との打ち合わせがある場合に、予算的な配分がされれば当然具体的な工事というものを、エスカレーターなり何なりの、老人子供が歩けるような工事をやるべきであるという考え方で、本年度どこかでモデル的にでもやる御意思があるのかどうか。
  29. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いまの横断歩道橋の現況を見ますと、やはり老人子供がああいうところに上がるのは非常に不便だという話も聞きます。また、自転車が階段だとなかなかのぼりにくいという話も聞きます。私たちそういう話も聞きますので、場所によりましては自転車がのぼれるような車路にするということも一部やっております。いまのお話しエスカレーターをやるということになりますと、金も相当多いし、代表的なところというとそういう老人子供——まあ老人が主体だと思いますが、そういう通行者の多いところをまずあげなければいけないと思います。ただ、これはあとの保守が非常にたいへんでございまして、ただほおっておくと、子供が足をはさまれたり手をはさまれたりというようなこともございますので、その辺は私のほうとしても慎重に検討しておる次第でございます。代表的なところにつくれという御説は、私もそのとおりだと思いますので、今後検討していきたいというふうに考えております。
  30. 井上泉

    井上(泉)委員 瀬戸内海に橋をかけようというときですから、そのぐらいのことは建設省も楽なことだと思うので、ひとつモデル的にぜひ大都市につくっていただくようにお願いしたいと思います。  そこで、陸上交通に関してはかなりな交通安全対策費というものが計上されておるわけですけれども、海上あるいは航空、そういうふうな関係では別にそのものずばりの交通安全対策事業計画というものはないのかどうか、その点ひとつ関係者から御答弁願いたいと思います。
  31. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 御指摘海上交通航空交通につきましては、従来総理府が直接関与していない部分が非常に多かったものでございますから、陸上交通のようにはっきりした形でまとめたものはございません。しかし、概要を申し上げますと、海上交通につきましては、現在、昭和四十四年度におきまして海上交通におきます安全対策関係予算として、約五十三億を計上いたしております。これは、先ほど陸上について申し上げましたように、海上交通におきます交通安全に直接関係する経費でございます。やはり陸上と同じような項目を立てておりまして、まず第一に交通環境整備でございますが、これは主として避難港の整備でございますとか、航空標識整備等でございまして、これが約三十六億円、それから、船舶の安全性の強化、これに約五千二百万、それから安全運航の確保、これに約五千五百万円、それから警備救難体制整備、これに約十五億、それから海上におきます交通安全に関します科学的研究推進等につきまして約七百万円、合計約五十三億の経費を本年度に計上いたしておりまして、なおそれ以外に海上交通安全対策につきましては、間接的に関連があるものといたしまして、幹線航路整備でございますとか、水路業務関係経費でございますとか、海上警備救難業務運営等に関します経費といたしまして、約七十億程度予算が計上されております。これが海上交通に関します本年度交通安全関係予算概要でございます。
  32. 井上泉

    井上(泉)委員 交通安全という非常な呼びかけにもかかわらず、交通事故というものは減る傾向というものが依然としてない。ふえる傾向にあるわけですが、これは最近における人身事故でも死亡事故でも今年度は昨年度より多い、こういうふうな状態、これは陸上自動車による場合ですが、この一番の原因というものはどこにあるのか、結局四十三年も四十二年も同じような原因であれば、車がふえたから、運転者がふえたから、それに比例して事故が漸増しておるものかどうか、その点ひとつ警察庁交通局長に御説明願いたいと思います。
  33. 久保卓也

    久保政府委員 事故の激増の原因がどこにあるかはっきりはつかめないわけでありますが、ただ負傷者一般事故件数伸び率は昨年よりやや減少ぎみであります。昨年は事故件数で二二%、負傷者数で二六%の差でありましたものが、本年の前半ではそれぞれ一五、一六%という程度で、その点はよろしいわけですけれども、死亡者が非常にふえているわけです。本年が一四・八%に対して昨年の前半では三・四%ということで、どうしてこう死者がふえているかはっきりした原因がつかめないわけであります。ただ申せますることは、自動車免許者の数がふえるに従いましてなれない人の数が多くなる。御承知のように運転交通事故の中では、免許証をもらって一年、二年といった期間の短い人のほうが事故の率は多いわけでありまするが、そういった人が非常にふえているということに一つ原因がある。もう一つは、これは死亡事故の分析から感ずるわけでありまするけれども、死亡事故原因の非常に大きく伸びたものを見ますると、わき見運転でありますとか、信号の無視であるとか、無免許運転あるいは追い越し違反、そういったような原因が非常にふえている。これをどう理解するかと申しますと、やはり交通のモラルの低下ではなかろうかというふうに私は思うわけであります。そういった、交通に十分に安全を尊重しようというドライバーが必ずしも車のわりあいに伸びない、かえって総体的には減っているんじゃなかろうかということがひとつ人間側原因ではなかろうかという気がするわけでございます。  さらにもう一つは、地方におきまして負傷者の数が非常にふえておるわけですけれども、地方におきまする舗装がどんどんと発展をしておる。そこで、舗装をいたしますると車のスピードが出る。地方人たちは車のスピードになれていないものですから、まだだいじょうぶだと思って横断をするというようなことで、そういう地方での交通事故が非常にふえている。特に歩行者の数が全体の三分の一強を占めておりまするし、その中で横断歩道外横断中における事故というものが非常に多いというようなところにも、道路整備に伴う一つの大きな原因というものがあるのではなかろうかというふうに感じております。
  34. 井上泉

    井上(泉)委員 運転の未熟、これは交通事故に不可抗力はないといわれるわけで、どういう状態でも、人身事故を起こすとか、いろいろな場合における原因歩行者責任があるとか、いろいろなことはあっても、どんな場合でも車が停止することのできるような状態の中で——暗がりから不意に飛び出してくるというような場合にはいざ知らず、普通の場合においては運転者の不注意ということが絶対的な事故原因にあるわけです。そういう点で前々から言っておるわけですけれども、運転免許基準というようなものについてこれを引き上げる、基準をきびしくする、すると言いながらも、ごく最近の新聞でも、ある自動車教習所では、自動車の練習時間をごまかしたとかいうようなことが報ぜられておったわけですが、警察庁でそういう運転免許を与える一つ基準というようなものを示しておるのかどうか、示しておるとするならばどういうふうな内容のもので示しておるのか、その点ひとつ御答弁願いたいと思います。
  35. 久保卓也

    久保政府委員 運転免許は、御承知のように指定自動車教習所にありましては技能検査を免除しておるわけです。そこで現在指定自動車教習所を卒業する者の数が全体の合格者の中で七二%を占めておりますので、われわれの免許行政の重点はこの指定自動車教習所の教科の充実と強化、さらにわれわれのほうのこれに対する指導監督の強化といった点に向けられております。そこで、従来政令でもって教科内容がきめられておりまするが、これは単に法令とか構造とか、それから実際の技能、これについてそれぞれ何時間というのが規定されているだけで、中身が具体的にされておりませんでした。そこでこの三月に通達をいたしまして、教科内容を具体的に盛りましたカリキュラムを示しまして、それに従ってやる。さらにそれの中身も若干従来のあり方と変えてやっております。さらにこの教科課程の中を四段階に分けまして、その一つ一つの段階について学校側で検定をして、パスをしなければ次の課程には進めないというチェックのしかたをいたします。したがって、その際にまた警察が時期に応じまして介入といいますか、中に入って監督をして、その検査が適当に行なわれているかどうかということでやっております。そういうようなことで、従来の指定自動車教習所における教科内容というものが、今回の改正によって相当充実されるのではなかろうかというふうに期待しております。これは七月から実施しております。
  36. 井上泉

    井上(泉)委員 それは幾ら法律をつくっても、実際に交通安全というものは、これは交通の手段というものは人が人を運ぶことに結論的にあるわけです。いまその事故原因というものの中に運転の未熟というものをあげられたのですが、大体全国の自動車学校のこれらの管理は警察庁がやっておると思うのですが、各地域の自動車学校の校長で、前職が警察官でない者と警察官であった者との割合はどうなっておるか。
  37. 久保卓也

    久保政府委員 自動車学校につきましては、管理者と学校長と二つに分かれておりますが、管理者は一般の方が多いと思います。つまり自動車学校を経営している人です。それから自動車学校長はおそらく七、八割は警察官出身者ではなかろうかと考えます。
  38. 井上泉

    井上(泉)委員 警察官がほとんど退職されて学校長になる。私は別にこれが不都合というわけではないし、そのことが法規その他から十分適当だという面もあるわけですけれども、それはやはり自動車学校同士の競争というようなもので、運転免許を与えるのが非常に拙速過ぎるという、どこそこの学校に行けば、あそこであったら早うなる、ここではだいぶひまが要るとか、そういうような話もよく聞くわけです。そういう点で自動車学校の管理というか、所管の自動車学校の管理というものについては警察庁としてはどういう管理をやっておるのか、地方の警察本部等を通じてどういうふうにやっておるのか、その点をひとつ……。
  39. 久保卓也

    久保政府委員 学校差によって免許がやさしい、むずかしいという評判があるわけでありますが、特に自動車学校に対する指導監督は都道府県の公安委員会がやっております。そこで従来の教科内容が先ほど申し上げましたように抽象的な規定のしかたでありましたので、県間に相違があった。そこでわれわれのほうで内容を具体的に規定したものを示して、これによってやるということに、これは指定自動車教習所の連合会とも話し合って、現にやりつつあるわけでありますが、それによりますと県間の教科内容が統一される、したがって、そのアンバランスというものがなくなってくるということで、間接的な学校の中身についての指導監督はできるというふうに考えております。そのほか、一般的には都道府県公安委員会のほうで指定自動車教習所の所長あるいは学校長というものを集めて、時宜、公安委員会の示すところを示しておりますし、それから学校における指導員というのは公安委員会が審査をして選定をするわけでありますから、これによってのある程度の統一性ということも確保されておりますし、さらにそれだけではありませんで、指導員に対する講習というものを毎年やっております。また管理者に対する講習も行なわれております。それだけでなくて、そこでどういうふうに教習が行なわれているかということについては、各県によってアンバランスがあるかもしれませんが、警察官が現場に臨んでその講習の内容をチェックしておるということであります。特に先ほど申し上げましたように四つの段階を逐次経て最後の技能検定までいくという制度を設けましたので、一そう指導監督がやりやすくなったのではなかろうかというように思います。
  40. 井上泉

    井上(泉)委員 どこの自動車学校も、赤字でつぶれたという話はほとんど聞かないわけで、かなりもうけておる。一種の企業化して、いなかの事業家が自動車学校を開いて、そうして警察官のやめた人を校長にしてやるというようなことで、どこの自動車学校もたいへんな黒字の状態にあることを聞くわけです。  それで運転免許基準というもので、実習時間、実際のハンドルを押える時間というものが非常に少ないように思うのですが、その点はどうですか。
  41. 久保卓也

    久保政府委員 技能運転はたしか十時間と規定されているはずでありますし、また路上運転時間を二時間ないし五時間と規定してありますが、できるだけ五時間路上運転をやらせるようにという指導をしておりますので、これも事実上はそれほどの問題ではない。先ほど運転者のほうに問題がだいぶあるようなことを私は申し上げましたが、問題は運転者の技術が未熟であるということよりも、知っていることを守らない、たとえばわき見運転をしてはいけないということは学校で教わるわけでありましょうけれども、わき見運転をするということに事故がつながっておる。わき見運転をしないようにということを全く学校で十分に教えるということはおそらく不可能ではなかろうかと考えるのですけれども、そういった運転をする場合の心がまえの不足にあるのではなかろうか。たとえば赤信号のときにつっ走ってはいけないということは当然知っておるわけでありますが、それをつっ走っていって事故が起こるというところに問題があるというふうに私申し上げたわけであります。
  42. 井上泉

    井上(泉)委員 それは実地のハンドル時間が十時間や十五時間で、路上五時間とかいうようなことで運転免許をもらった者に注意を怠ったことに、わき見運転をしたからとか——わき見運転をしないような教育というのはなかなかむずかしい、こういうように言われるのですけれども、十時間や十五時間で、この自動車という複雑な構造のものを操作ができるかどうか。これはどの運転手も、たとえば東京あたりでのタクシーの運転手なんか、実際の熟練者になれば、これは五年、十年という経験をしないとだめですよ。これからちょうど夏休みに入り、これは高校生とかあるいは大学生なんかずいぶん自動車運転免許試験を受けに学校へ入るわけで、自動車学校としては書き入れどきになるわけですが、十時間とかいうような単位でなしに、もっとこれを、少なくとも三十時間ぐらいのハンドル時間がないと免許を、路上で運転をさす資格を与えるということは間違っておると私は思うのですが、その点どうですか。
  43. 久保卓也

    久保政府委員 規定できめられておりまする時間は最低の時間でございまして、したがって、それだけは少なくとも教えなければいけないということで、その上に検定があるわけでございますから、検定が受かるまではやはり技能の実際の運転が行なわれる。したがいまして、現状でありますれば二十二時間というものが全体の学科を含めた最低基準でありましたが、その場合の平均が三十数時間、実際に最後まで検定を受けられる人が三十二、三時間というのが平均になっておりますから、十時間で十分ということは申せません。ただ、やはり運転神経のよい人とか若い人とかいうものは十時間ないしそれに近い数で通っておるようであります。  さらにまだ問題がありますのは、日本の場合は外国に比べて試験場の中で、自動車学校の中で運転をやらしておりますが、外国ではそういう制度がございません。したがって、いきなり路上に飛び出して試験を受けるわけでありますが、わが国の場合には、従来は試験場の中で、自動車学校の中でのテストが中心であったものを、やはりそういった路上教習というものに重点を置くべきではなかろうかという思想になって、これに対する時間割りをふやしたということであります。その点で、ある程度現状でまずまずだいじょうぶではなかろうかというふうに考えております。
  44. 井上泉

    井上(泉)委員 これは宮崎室長にお尋ねしますが、現状ではだいじょうぶだろうと思うというけれども、十時間や十五時間あるいは二十五時間くらいで、自動車になれるだけでも私はかなりの時間数というものは要ると思うのですが、これはいろいろの試験によって最低の条件が二十何時間になっておる、こういうふうに言われるのですけれども、運動神経が最低だったらやはり最低の基準というものを、平均して二十何時間たったらと、これだけ交通問題がやかましいのだから最低の基準というものはやはり上げる必要がある、あなたは交通安全調査室長としてそういうふうには考えないですか。
  45. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 先ほど先生から御指摘がございましたように、交通安全を確保する意味におきましては、なるべくよいドライバーをつくり出すということがたいへん必要なことだと考えます。したがいまして、その意味におきまして指定教習所の教育というものはたいへん重要になるわけでございますが、その内容につきましては先ほど交通局長からお答えいたしましたように、現在においてそれが直ちに、教習所の実技訓練の時間数の不足が直ちに事故につながったというようなことはあまり聞いておりません。しかしながら、これは充実した教育をするにこしたことはないわけでございますので、この点はさらに実態をよく調査いたしまして、もしこれを収めるべきであるということになれば、その収善の方法を考えたいと思います。
  46. 井上泉

    井上(泉)委員 これは運転未熟——練習所の時間数の不足が事故につながっておるとかおらぬとか、そんなものは統計にとりょうがないです。要するに運転未熟というものが事故を起こしておるということには間違いがない。それで運転をけいこしたところはどこかといえば、その練習所でけいこをしておる。その時間が最低十何時間とかいうことに原因があることは私は常識的にそう推理をせざるを得なくなると思うのですが、副長官どうですか。そういうふうな練習所における時間単位というものをもっときびしくする必要がありはしないかと思うのですが、それについての見解を……。
  47. 弘津恭輔

    弘津政府委員 いろいろお話を承っておりまして、私もできるだけ運転免許の技術の時間というものを延ばしたいというふうに考えておりますが、一応各方面の意見を聞きまして、警察庁のほうのいろいろな統計もございましょうから、先生の御意見もいれてもう少し検討してみたいと思います。
  48. 井上泉

    井上(泉)委員 私は道路局長に対する質疑はしませんから、帰っていただいてけっこうです。  そこで経済企画庁の開発計画課長がおいでておるわけですが、日本の交通運輸というものの機関というもの、つまり自動車だとかあるいは船舶とかいうようなものは年々ふえておるわけです。そこで、現在を一〇〇とした場合に五年後ではどれだけの伸びになる見通しを持っておるのか、その点だけお伺いいたします。
  49. 諸口昭一

    ○諸口説明員 お答えいたします。  いま井上先生の御質問の点でございますけれども、手持ちがございませんので、まことに恐縮でございますが、ただ私どものお答えできますのは、今後のモータリゼーションにからみまして自動車その他、御案内のように非常に多くなるだろう。大体自家用車で二千万台以上に六十年にはなるんじゃないかというふうに考えられております。そうしますと、大体一世帯には一台近いものになってくる。したがいまして、新全総におきましては、先生御案内のようにやはり何と申しましても国土の均衡ある発展をはかるという観点からいたしますと、交通通信体系を非常に整備するということが必要になってまいります。そういう意味からいわゆる航空網、交通、鉄道、高速道路整備というものを全国的にいたしまして、全国的なネットトワークを促進しまして、それによっていろいろ開発計画を進めてまいりたいというようなことで、いま先生の御指摘のような交通安全の問題は十分それぞれ各省庁で検討しまして、そういう事故防止について十分万全をはかってそういう道路の高速化の推進をはかってまいりたいというふうに考えております。
  50. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで将来のわが国のそういう交通機関、いわゆる運輸手段ですか、そういうふうなものの増加率というものは非常に激しいわけですが、そこで私は四国と本土との関係について四国の物資が将来どういうふうな伸び率を示して本土へ入っていくのか、その点についての企画庁としての調査の内容をお伺いしたいと思います。
  51. 諸口昭一

    ○諸口説明員 新全総におきましてはやはり拠点港湾なり基幹道路、こういうものを整備いたしまして、それぞれいわゆる地方都市とサブネットで結びつけるというようなことで全国的な交通体系を促進していこうということであります。そういう点からいいまして、いま先生の御質問の点でございますけれども、御案内のように四国地方と申しますのは中国地方と瀬戸内海をはさんで位置しているわけでございまして、なお近畿圏及び九州地方と非常に密接な関係がございます。それで現在それぞれ独自のブロックとしての開発が進められているわけでありますが、四国地方は御案内のように南太平洋を控えまして非常に特色ある発展を示しているわけであります。今後のあり方でございますけれども、御案内のように四国山脈等の関係から、地域交流が妨げられる地勢的な障害やあるいは域内外を結ぶ交通網のおくれ等がございまして、なかなか不均衡がいまの段階においては見られるわけであります。それぞれの立場においてやはりブロックとしての開発を促進する問題をかかえているという認識を持っております。今後における交通通信体系の整備、それから新しいネットワークの形成につきましては、こういうような発展の阻害要因というものを克服しまして、特に本州−四国連絡橋が非常に中国、四国の一体化を促進するわけであります。こういうような一連の都市と産業の集中する広域経済圏というものを形成するだろう。また新たな工業開発拠点として、非常に増大する食糧需要、観光需要というものを充足する地域として、われわれとしては非常に期待をいたしておるということでございます。したがいまして、そういう地域として所要の開発を進めていく必要があるのではないか、かように思っております。
  52. 井上泉

    井上(泉)委員 橋の問題もありますけれども、橋はかりに来年からやるとしても十年も先になるし、そういう中で本州と四国との交通量というものは現在の輸送機関の中でどういうようになるのか。いま本四の間に一〇〇の荷物が動いておれば、これが五年先には一五〇になるのか一六〇になるのか、そういう経済の伸び率というものを私はお尋ねをしたいわけです。それはわかっておれば説明を願いたいと思うし、いま手元に資料がないとするならばこの問題についてはまた後日質問したいと思いますが、その点……。
  53. 諸口昭一

    ○諸口説明員 まことに恐縮でございますが手持ち資料がありませんので、また別途先生の御質問について答えさせていただきたいと思います。
  54. 井上泉

    井上(泉)委員 これは交通局長にお尋ねするわけですが、都内の交通規制の問題で、停車でも人を積みおろしするとき以外は運転者が乗っておっても路上停車しておってはならぬ、こういう地域を設定されたようにけさのニュースで聞いたわけで、これは私は非常にけっこうなことだと思うわけですが、この路上で停車をすることについての措置というもの、これは私は単に東京都だけではなしに全国的にこれが非常にあると思うのです。四国の高松港の周辺では、フェリーに積み込むために、年末とかその他のラッシュ時になると高松港から三越あたりまでずっとトラックが並んでおる。こういうような状態で、あの辺の交通が全く渋滞してしまうという状態にあるわけですが、停車と駐車の区分というものは、運転者が乗っておればこれは駐車禁止区域でも停車だから差しつかえない、こういうことになるわけですけれども、長時間そういう停車を必要とするような、交通渋滞を来たすような地域は全国的にこれを規制する方向にあるのかどうか。
  55. 久保卓也

    久保政府委員 今日の交通の安全と交通の渋滞を緩和するためには当然道路その他の整備が必要でありまするが、直ちにでもやれることは交通規制であります。警察行政は消極的な行政でありますので、与えられた条件の中で何とかその状況をよくしようとする行政でありますが、その中で交通規制、たとえば一方通行でありますとか駐車禁止でありますとかというものは、この規制の中心をなすものであります。したがいまして、この春に行なわれました警察本部長会議でも大々的な交通規制の実施を指示いたしまして、東京では二年計画大阪ではさしあたって万博の前の計画について非常に大規模な計画をいま立てつつあるわけであります。各県でもそれぞれ実情に応じて行なわれつつあると私は思っておりますが、特にこの交通規制をやる場合にわれわれとして心がけさせておりますことは、警察側の一方的な判断ではなくて、地元の意向をよく聴取しながら実施するようにということを言っておりますので、交通規制につきましては道路標識その他金がかかる面もありますので、それとにらみ合わせばいたしまするけれども、逐次厳密に実施されていくものと考えております。
  56. 井上泉

    井上(泉)委員 タンカーのフェリーの事故というものが、淡路、それから高松港で相次いで起こったわけですが、この原因というものは、あそこの淡路にしても、宇高にしても、タンカーのフェリーの業者というものがピストン輸送で非常なむちゃくちゃな運転をしておったということに原因があろう、こう思うわけです。  そこで、こういうフェリーの運航管理というもの、これは海運局がやっておるので、海運局が来られてから質問をしますけれども、海上のそういうフェリーの交通輸送の安全対策というような面について、総理府としても、問題があったのだから検討されておると思うのですが、宮崎室長にそれについての見解、報告をお願いしたいと思います。
  57. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 海上交通航空交通の安全の問題につきましても、従来からも抽象的には総理府がその総合調整の責めに任ずべき地位にあったわけでございますが、何ぶんにも海上交通の問題は、大部分運輸省の専管事項でございますので、私たちはいま御指摘の事件につきましても連絡を受けた程度にとどまっております。したがいまして、詳細は海上保安庁の次長から御説明をしていただきたいと思います。
  58. 林陽一

    ○林政府委員 ただいま先生からも御指摘がございましたように、最近瀬戸内海で二つの事故が勃発いたしましてから、運輸省の本省におきまして、直接フェリー会社を監督しております海運局、さらに船員関係の法令を所管しております船員局、それから船舶の安全関係の法令を主管しております船舶局で鋭意検討をして、対策を練っております。これに基づきまして所要の措置を講じ、通牒など発しておるような次第でございます。海上保安庁といたしましては、海上におきまして、法令を施行し、さらに海上の安全を確保するという立場にございますので、法令に定められたところ、さらに運輸本省各局の方針に従いまして、現地の海上保安部署を督励して、その後このような事故の再発がないように指導しておる次第でございます。
  59. 井上泉

    井上(泉)委員 それは、保安庁は海上における問題ですが、フェリーの運航管理というのは、これは保安庁ではないでしょう。保安庁ですか。
  60. 林陽一

    ○林政府委員 海運局です。
  61. 井上泉

    井上(泉)委員 今度こういうような基本法ができて、これで海上交通の問題そういうふうな管理というのをする場合には、これはやっぱり総理府へ移るというわけじゃなしに、そういうフェリーの運航管理とか交通安全に関する問題とかいうのは、やっぱり運輸省関係運輸省で行なうことになりますか。
  62. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 ただいま御審議をお願いいたしております法案におきましては、中央に置きます中央交通安全対策会議におきまして交通安全の基本計画をつくることになっております。これは言うまでもなく、陸上のみならず海上交通の安全についても計画をつくるわけでございまして、そこでいま先生御指摘のような事柄につきましては、基本的な事項が定まるわけでございます。  そうして、その計画のつくり方でございますが、これも法案に規定しておりますように、その対策会議の事務部局は一応総理府でございますが、海上交通航空交通につきましては、事柄の性質上、運輸省と共同して事務部局を構成することになっております。したがいまして、実際の仕事の運びといたしましては、まず事務部局におきまして基本計画の素案と申しますか、そういうものをつくるわけでございまして、その際に、私のほうと運輸省とよく相談いたしまして、的確な対策が行なわれるような案をつくりたい、かように考えております。
  63. 井上泉

    井上(泉)委員 警察庁交通局長に対する質問は次にしますので、けっこうです。  そこで、富田定期船課長がおいでになっておるわけですが、フェリーの安全対策ということについて、運輸省では、あの事故に基づいてどういう措置をされたのですか。
  64. 富田長治

    ○富田説明員 お答え申し上げます。  各原局、いろいろ関係局がございますが、私のほうで、さっそく、官房を中心といたしまして、海運局、船員局、船舶局、それから海上保安庁等ワーキンググループをつくりまして、長期的な対策ということを、いろいろな観点からいま非常に熱心に研究いたしております。  それとは別に、先日御報告申し上げたかと思いますが、緊急に電報で通達いたしまして、四事項ばかりについていろいろな指示をいたしておるわけであります。  さらに緊急な手段といたしまして、ただいまマニュアルの整備をやっております。そのうちの大部分は印刷に出している段階でございます。印刷ができますれば、それを地方に送りまして、これに準じた運航管理規程をつくっていきたいということで、いまほとんど作業が終わる段階でございます。
  65. 井上泉

    井上(泉)委員 いま、せっかく定期船課長がおいでになっているのですから、このことを聞いておきたいと思うのですが、最近私はフェリーに乗って、綱を引っぱってあるのを見たが、これは最近始めた、この事故があってから始めたということを聞いて、乗客の安全を確保するきわめて初歩的なことすらやっていなかったというようなことを見てびっくりしたわけですが、フェリーの運航管理というものはあまりにもおざなりというか、ほとんど放任に近いような状態でなかったかということを考えざるを得ないのです。それで、今度この事故が発生して以来というものは、たとえば淡路と神戸との間のフェリーなんかになりすまというと、あそこに荷物をトラックで持っていっても、あそこで三時間も四時間も待たされる、そういうふうな状態になっている、こういうわけです。淡路−神戸間のフェリーとしては、あそこへ四国から荷物を持っていっても、これは三時間、四時間待つのが普通のような状態だということを聞くのですが、それはもう打開の道はないのかどうか、その点伺いたい。
  66. 富田長治

    ○富田説明員 お答え申し上げます。  淡路フェリーでは、私どもの指示に基づきまして、ただいま大型船を建造中でございます。その船は千五百トンぐらいの船になるかと思いますが、その船が投入されますれば、かなり大幅に改良されるかと思っております。
  67. 井上泉

    井上(泉)委員 宇高の関係ですが、先般運輸委員会で宇高のフェリーの状態について質問したときに、宇高の岸壁ももう一ぱいでどうにもならぬ、こういう海運局のほうの答弁だったのです。事実、あそこへ行ってごらんになったらわかると思うのですが、三分間隔にフェリーは出ておると言いますけれども、それでも車はずっと待っている。先ほどあなたが来る前にも言ったのですけれども、フェリーがそういう状態で、あそこのところで一ぱいになるために五時間も六時間も待たされる。年末のときなどは、宇野から高松へ渡ろうとしても、あそこで何時間も待たなければいかぬというふうな状態があるのが宇高の現状です。その中で無理やりするから危険というものが出てくるわけですが、あの宇高の交通の渋滞ぶり、つまり車がフェリーのために全部三越あたりまでつながっておるわけですが、そういうふうな状態は、これはやはり宇高フェリーの管理をする海運局としては放置のできぬ問題だと思うのですが、あそこの混雑の状態について運輸省ではどういう処置を考えておるのか。
  68. 富田長治

    ○富田説明員 お答え申し上げます。  実は四国と本土を結ぶフェリー、これは本年度実は予算をいただきまして、本格的な調査をするつもりでございますけれども、常識的に申しまして、非常に阪神地区へ着く貨物が多うございます。したがいまして、いま長距離フェリーと申しますか、準長距離フェリーでございますが、四国から阪神地区に直接持ってくるというようなフェリーの免許申請も出ております。それからまた御指摘のとおり、宇野、高松、両港とも非常に込んでおります。したがいまして、そこをはずしたような航路の申請も出ております。したがいまして、われわれもそういう面の申請を早急に審査いたしまして、そこから少しでもほかのほうへはずしていくという形でその混雑緩和をはかるべきじゃないかということを考えております。
  69. 内海清

    内海委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕