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1969-07-03 第61回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月三日(木曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 内海  清君   理事 稻村左近四郎君 理事 大竹 太郎君    理事 斎藤 寿夫君 理事 田中 榮一君    理事 板川 正吾君 理事 山田 耻目君    理事 河村  勝君       加藤 六月君    川野 芳滿君       河野 洋平君    菅波  茂君       丹羽 久章君    井上  泉君       小川 三男君    太田 一夫君       久保 三郎君    吉川 喜一君       松本 忠助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君  出席政府委員         総理府総務副長         官       鯨岡 兵輔君         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 久保 卓也君         海上保安庁次長 林  陽一君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         議     員 久保 三郎君         運輸省自動車局         保障課長    永光 洋一君     ————————————— 七月三日  委員濱野清吾君、及び後藤俊男辞任につき、  その補欠として菅波茂君及び古川喜一君が議長  の指名委員に選任された。 同月同日  委員菅波茂辞任につき、その補欠として濱野  清吾君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策基本法案内閣提出第一〇七号)  交通安全基本法案久保三郎君外十三名提出、  衆法第二九号)      ————◇—————
  2. 内海清

    内海委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる交通安全対策基本法案及び久保三郎君外十三名提出にかかる交通安全基本法案一括議題といたします。  この際、内閣提出にかかる交通安全対策基本法案について補足説明を求めます。宮崎陸上交通安全調査室長
  3. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 交通安全対策基本法案につきまして、補足して逐条的に御説明いたします。  第一章は、この法律の総則を規定したものであります。  第一条は、この法律目的を定めたものであります。すなわち、この法律は、陸上交通海上交通及び航空交通の安全に関し、国及び地方公共団体車両船舶及び航空機使用者車両運転者船員及び航空機乗組員等責務を明らかにするとともに、国及び地方公共団体を通じて必要な体制を確立し、並びに交通安全計画の策定その他国及び地方公共団体施策基本を定めることにより、交通安全対策の総合的かつ計画的な推進をはかることを目的としております。  第二条は、この法律に使用されております用語定義を定めたものであります。  第五号は陸上交通について定めておりまして、陸上交通とは、道路または一般交通の用に供する鉄道もしくは軌道による交通をいうものとしております。  第六号は、海上交通について定めておりまして、海上交通とは、船舶による交通をいうものとしております。  第七号は、航空交通について定めておりまして、航空交通とは、航空機による交通をいうものとしております。  以上のほか、本条におきましては、道路車両船舶航空機船員航空機乗組員指定行政機関及び指定地方行政機関定義を定めております。  なお、第六条以下に車両等という用語が用いられておりますが、車両等とは、同条の規定により、車両船舶または航空機をいうものとされております。  第三条は、国の責務を定めたものでありまして、国は、交通の安全に関する総合的施策を策定し、及びこれを実施する責務を有するものとしております。  第四条は、地方公共団体責務を定めたものでありまして、地方公共団体は、その区域における交通の安全に関し、国の施策に準じて施策を講ずるとともり、その区域の実情に応じた施策を策定し、及びこれを実施する責務を有するものとしております。  第五条から第十条までは、道路鉄道港湾施設飛行場等設置者車両等製造事業者及び使用者車両等運転または運航に従事する者、歩行者住民等責務を定めたものでありまして、これらの者は、それぞれ必要な措置を講ずる等交通の安全を確保し、または交通の安全に寄与するようつとめなければならないこととしております。  第十一条は、施策における交通安全のための配慮について定めたものでありまして、国及び地方公共団体は、その施策が一体として交通の安全に寄与することとなるように配慮しなければならないこととしております。  第十二条は、政府財政措置等について定めたものでありまして、政府は、交通の安全に関する施策実施に必要な財政上または金融上の措置等を講じなければならないこととしております。  第十三条は、国会に対する報告について定めたものでありまして、政府は、毎年、国会に、交通事故状況交通の安全に関する施策にかかる計画及び交通の安全に関して講じた施策の概況を報告しなければならないこととしております。  第二章は、交通の安全に関する組織について規定したものであります。  第十四条及び第十五条は、中央交通安全対策会議について定めたものでありまして、総理府に、付属機関として、内閣総理大臣会長とし、指定行政機関長等委員とする中央交通安全対策会議を置き、これに交通安全基本計画作成及びその実施推進交通の安全に関する総合的な施策の企画に関する審議等事務を所掌させることとしております。なお、中央交通安全対策会議には、専門事項を調査させるため、専門委員を置くことができることとしております。  第十六条及び第十七条は、都道府県交通安全対策会議について定めたものでありまして、都道府県に、都道府県知事会長とし、指定地方行政機関の長、都道府県職員等委員とする都道府県交通安全対策会議を置き、これに都道府県区域における陸上交通の安全に関し、都道府県交通安全計画作成及びその実施推進都道府県並びに関係指定地方行政機関及び関係市町村相互間の連絡調整等事務を所掌させることとしております。なお、都道府県交通安全対策会議には、特別の事項審議させるため、特別委員を置くことができることとしております。  第十八条は、市町村交通安全対策会議について定めたものでありまして、市町村は、市町村交通安全計画作成し、及びその実施推進させるため、都道府県交通安全対策会議設置の例に準じて、市町村交通安全対策会議を置くことができることとしております。  第十九条及び第二十条は、交通安全対策会議関係行政機関等に対する協力要求及び交通安全対策会議相互関係について定めたものであります。  第二十一条は、都道府県交通安全連絡協議会について定めたものでありまして、都道府県は、その区域における海上交通または航空交通の安全に関し、関係地方行政機関との連絡及び協議を行なうため、都道府県交通安全連絡協議会を置くことができることとしております。  第三章は、交通の安全に関する施策にかかる計画について規定したものであります。  第二十二条は、交通安全基本計画作成について定めたものでありまして、中央交通安全対策会議は、交通の安全に関する総合的かつ長期的な施策大綱等について定める交通安全基本計画作成しなければならないこととしております。  第二十三条は、交通安全基本計画に関する内閣総理大臣勧告等について定めたものでありまして、内閣総理大臣は、指定行政機関の長に対し、交通安全基本計画実施に関し、勧告等をすることができることとしております。第二十四条は、交通安全業務計画作成について定めたものでありまして、指定行政機関の長は、交通安全基本計画に基づき、毎年度交通の安全に関し、その行政機関が講ずべき施策等について定める交通安全業務計画作成しなければならないこととしております。第二十五条は、都道府県交通安全計画及び都道府県交通安全実施計画作成について定めたものでありまして、都道府県交通安全対策会議は、交通安全基本計画に基づき、都道府県区域における陸上交通も安全に関する総合的かつ長期的な施策大綱等について定める都道府県交通安全計画作成しなければならないこととするとともに、毎年度、その実施のための都道府県交通安全実施計画作成しなければならないこととしております。  第二十六条は、市町村交通安全計画及び市町村交通安全実施計画作成について定めたものでありまして、市町村交通安全対策会議またはこれを置かない市町村の長は、都道府県交通安全計画に基づき、市町村区域における陸上交通の安全に関する総合的かつ長期的な施策大綱等について定める市町村交通安全計画作成しなければならないこととするとともに、市町村長は、必要があると認めるときは、その実施のための市町村交通安全実施計画作成しなければならないこととしております。  第二十七条及び第二十八条は、交通安全計画に関する地方公共団体の長の要請等について定めたものでありまして、地方公共団体の長は、都道府県交通安全計画または市町村交通安全計画の的確かつ円滑な実施をはかるため、関係指定地方行政機関の長、関係地方公共団体長等に対し、必要な要請等をすることができることとするとともに、地方公共団体区域における海上交通または航空交通の安全に関し必要があるときは、交通安全基本計画または交通安全業務計画作成または実施に関し、中央交通安全対策会議及び関係指定行政機関の長に対し、必要な要請をすることができることとしております。  第四章は、交通の安全に関する基本的施策について規定したものでありまして、第一節では国の施策について、第二節では地方公共団体施策について定めております。  第二十九条から第三十六条までは、それぞれ国の施策を列挙したものでありまして、国は、交通環境の整備、交通の安全に関する知識及び思想の普及、交通の安全に関する民間の健全かつ自主的な組織活動の促進、車両等の安全な運転または運航確保気象情報等の迅速な収集及び周知、車両等安全性確保交通秩序の維持、交通事故による負傷者に対する医療等充実海難救助充実交通事故による被害者に対する損害賠償適正化交通の安全に関する科学技術の振興並びに交通事故原因科学的究明をはかるため、必要な措置を講ずるものとしております。  第三十七条は、国が交通の安全に関する施策実施する場合の配慮について定めたものでありまして、国は、第二十九条から第三十六条までに規定する措置を講ずるにあたっては、国民生活を不当に侵害することとならないように配慮するものとしております。  第三十八条は、地方公共団体施策について定めたものでありまして、地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて、第一節に規定する国の施策に準ずる施策を講ずるものとしております。  第五章は、第三十九条一条でありますが、同条は、この法律の適用については、特別区は、市とみなすことを定めたものであります。  附則第一項は、この法律施行期日を定めたものでありまして、この法律は、公布の日から施行することとしております。  附則第二項は、中央交通安全対策会議設置に伴い、総理府設置法について所要の改正を行なうことを定めております。  以上が、交通安全対策基本法案のおもな内容であります。何とぞよろしく御審議をお願いいたします。
  4. 内海清

    内海委員長 以上で補足説明は終わりました。     —————————————
  5. 内海清

    内海委員長 これより両案に対する質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
  6. 加藤六月

    加藤(六)委員 当委員会設置せられまして、交通安全問題に終始真剣に取っ組んでまいられまして、わが国における交通安全の諸政策あるいは諸施策というものを打ち出してこられたことに対し、委員長ほか政府委員各位に対しまして深甚なる敬意を表するものでございます。考えてみますと、第五十八国会におきまして、自民党、社会党、民社党、公明党さんからそれぞれ交通安全対策基本法あるいは陸上交通安全基本法、こういったものが提案せられ、また四十三年五月二十三日の五十八国会におきまして、交通安全基本法案をすみやかに提出する、それについては陸海空を総合的な立場からやるという決議等が行なわれ、今日、いろいろの曲折があったにもかかわらずこの基本法提出され、趣旨説明までいったということは、お互い国政をあずかり、国民のために交通安全を日夜努力いたしておるものとして敬意を表するものでございます。ただこの政府提出交通安全対策基本法案につきまして二、三疑問の点、あるいはわからない点等ございますので、質問させていただきたい、こう思うわけでございますが、基本的に、今日までこぎつけられた各位に対し非常に敬意を表し、その努力を高く評価するという立場でいきたい、私このように思う次第でございます。  質問があちこちに飛びまとまりがなくなるかもわからないことを前もっておわび申し上げる次第ですが、まず一番に伺っておきたい、こう思いますのは、長官でございますが、私は、交通安全対策といたしまして陸上交通交通安全対策の立て方、諸施策の打ち方というものと、海上あるいは航空におけるものとは相当その質と量とを異にする、こう思う次第でございますが、これを今回の基本法におきましては陸海空一本にまとめておられます。その陸海空というものを一本にまとめられた趣旨とその経過についてまず一番に御質問いたしたい、こう思います。
  7. 床次徳二

    床次国務大臣 今回の交通安全対策基本法におきましては、陸海空をまとめまして御提案を申しておるわけであります。内容におきましては、ただいま御意見がありましたごとく、それぞれ陸上とは、航空あるいは海上異なったものがありますので、その異なりましたものに対応いたしましての考え方をいたしておる次第でございます。  なお、特に陸上につきましては、目下の状況交通事故増加が非常に多いのでありまして、すみやかな立法を要すること、この点につきましては御決議のありましたとおりでありまして、できるだけこれが対処をいたしたいと思っておるわけであります。ただ、海上及び航空におきましても、件数は少ないのでありまするが、しかし、交通増加に伴いまして次第に事件も出てまいりました。なお事件が出ました際におきましては、これは一件といえども非常に大きなシリアスな災害になるという状態がございますので、したがって、今回におきましては陸上海上航空一緒にいたしまして対策を講じた次第であります。その措置におきましては、その起こりまする状況と申しますか、また所管いたしまする態様等を考慮いたしまして必要な措置をとったような経過でございます。
  8. 加藤六月

    加藤(六)委員 長官、それで、第一章の第一条の目的の中に、それぞれの責務というものと、それから国、地方公共団体責任というもの、こういうものをはっきり打ち出して、「公共福祉増進に寄与することを目的とする。」こういうように目的、第一条がなっているわけでございますが、この第一条の目的というところを読んでみまして、非常に目的という内容がぼけておるのではないか、いま長官が御答弁になりました陸上は非常に事故が多い、しかし海空においても件数こそ少ないが、現に事故はある、さらにへたをすると大きなる事故が発生するかもわからない、こういう懸念を持った、したがって陸海空をまとめた基本法を出したのだ、こういう説明でございますが、「公共福祉増進に寄与することを目的とする。」というこの目的ということが私は少しぼけておる、端的に申し上げますと、国民生命財産身体を保護するということを強く打ち出した基本法ということにならなかったのはどういうところにあるのだろうか、公共福祉ということばではいろいろ誤解を招くような解釈のしかたも出てくるのではないか、このように思うわけでございますが、その点はどうでしょう。
  9. 床次徳二

    床次国務大臣 御意見がございましたが、何と申しましても生命財産人命を尊重するということが交通安全の重要な問題でございます。この点に対しましては中心を置いておる次第でございます。しかし交通事故の具体的のものを見てまいりますると、これがいろいろ責任と申しますか、原因、結果等の関係が非常に複雑になっておるのであります。したがって、この点に対しましてはやはり広くその事態に対処し得るようなことをいたさなければならないと思うのであります。陸海空それぞれ態様が異なっておりますし、したがってその対策も異なってまいりますし、また緊急度も異なってくるというわけであります。なおそれが並列的に行ないますために、あるいは陸上交通人命が非常に大きく損傷されておることを軽くする意味ではないのでありまして、全体を、重要性を見まして交通対策を講じたい、かような考えでございます。
  10. 加藤六月

    加藤(六)委員 長官、それで——最初、あちこち話が飛ぶとお断り申し上げておいたのですが、提案されております第三十七条に「交通の安全に関する施策実施についての配慮」というところが出てきていますね、これと——私はきょうこの第三十七条とそれから第十条の「住民責務」という問題、この二つの問題に主として中心をしぼりたい、こう思うわけです。そこでこの「交通の安全に関する施策実施についての配慮」ということで、第三十七条「国は、前八条に規定する措置を講ずるに当たっては、国民生活を不当に侵害することとならないように配慮するものとする。」こういう文章が第三十七条に入っておるわけですね。私がいまなぜ国民生命身体財産を守るということを第一条の「目的」に強くうたわなかったのかという質問をいたしましたのは、実はこの第三十七条と、いま申し上げました第十条の「住民責務」ということをお伺いしたいと思って言ったわけでございます。およそ国は国民生命身体財産を守るためにいろいろ法律をつくる。また国民生命身体財産を守ってもらうために国というカテゴリーの中に入り、税金を納め、国のいろんな法律に従っていくわけです。それなのになぜこの三十七条の配慮をしなくてはならないか、私はこれに対して、交通安全対策基本法は一つの大きな問題を含んでおる、こう考えるわけです。  その考え方というのは、今後この交通安全対策基本法を、いろいろな法律関係法案というのを整備していく段階において、第一条の「目的」では「公共福祉」ということをうたっておる。そうして第三十七条においては、いま申し上げましたような配慮、「国民生活を不当に侵害することとならないように配慮」しなくてはならないという文句を入れなければならないところに、この基本法案の性格のあいまいさというのが出てくるんではないだろうか、私はこう考えるわけです。したがいまして、この三十七条は——あとからもう少し突っ込んでお伺いしますが、三十七条の解釈のしかたについて、第一条の「目的」の「公共福祉」ということと、三十七条の「国民生活を不当に侵害することとならないように配慮」という関連性について承りたい、こう思うわけでございます。
  11. 床次徳二

    床次国務大臣 交通安全に対しましては、いわゆる生命財産身体という立場に立ちまして、これを広く公共福祉というふうに考えられておりまするが、しかし具体的な対策を見ます場合におきましては、かなりいろいろの方法、施設等が関連しておるわけでありまして、したがって、さような場合におきまして、もちろん公共福祉と申しますか、生命身体財産ということを考えまするが、しかしいろいろの施設をします場合におきましては、これがほかに関連してまいりますために、三十七条という規定を置いたわけであります。もちろんこれは中心生命財産にあることはもとよりでございます。これはこの施設実施します場合におきまして、具体的には国民生活に非常に影響が少なくないものがあるわけでありまして、したがって、国は交通安全に対するところの施策を講ずるにあたりましては、国民生活を不当に侵害することのないようにしなければならない。特にこの点の配意を要するという趣旨であるのでありまして、この意味におきましては、ただいま申し上げましたように、生命財産ということが中心ではございまするが、しかし、当然配意すべきことを規定したのであります。なお、この場合におきまして、国民生活を不当に侵害してはならないということは、国民生活の基盤をなすところの財産権等の私権はもとより、広い意味での国民の権利であります、たとえば営業の自由なんという問題も、施設の場合におきましては出てまいるわけであります。やはりこれも不当に侵害することとなってはならない、配意すべきだということの意味であるのであります。たとえば交通につきましても、海上交通の場合等におきましては、いわゆる漁業権の問題も出てまいるわけでございます。さような含みがいろいろありますので、十分に考慮していかなければならない。基本的には人命ということを十分に考えるわけでありまするが、しかし、あわせてそういうことも総合的に考えて配慮をすべきものである、かような意味において考えておる次第でございます。
  12. 加藤六月

    加藤(六)委員 そうしますと長官、この第三十七条に「国は、前八条に規定する措置を講ずるに当たっては、」こういうふうにしなくちゃならない、こうあるわけですね。全般的、全部の措置について「国民生活を不当に侵害することとならないように配慮するものとする。」というのではなくして、「国は、前八条に規定する措置を講ずるに当たっては、」と、こうなっておりますですね。これは確認をしておきますが、この法案におけるところの「前八条」とは何と何とでございますか。
  13. 床次徳二

    床次国務大臣 国がなすべきことにつきましては、前八条に国の施策といたしまして必要な事項を列挙しておるわけであります。こういう仕事をいたします際におきましては当然考慮しなければならないという意味でございます。
  14. 加藤六月

    加藤(六)委員 そうしますと、これだけの、「前八条に規定する措置を講ずる」、この場合は、新しい法律をつくる場合、あるいは政令をつくる場合、省令をつくる場合、こういう場合すべてに対して配慮というのを行なう、こういうように解してよろしいわけですか、どうですか。
  15. 床次徳二

    床次国務大臣 特に立法いたします際におきましてももちろんでありまするが、実際の措置に伴うものは具体的には非常に多いと思うのです。そういう個々のケースにおきましても、これは配慮すべきものである、かように考えております。
  16. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこで、その次にまた第十条に返るわけです。私は、この基本法案におきましていろいろの問題が出てくるわけでございますが、第三条が「国の責務」ですね。第四条が「地方公共団体責務」、それから第五条が「道路等設置者等責務」、第六条が「車両等製造事業者責務」、第七条が「車両等使用者責務」、第八条が「車両運転者等責務」、そこから先が問題になると思うのです。第九条が「歩行者責務」、こうありますね。そうして第十条に「住民責務」というのが出てくる。この法律を読んでいきますと、大体第八条くらいまではよくわかるのです、それぞれの責務というものが。ところが第九条に「歩行者責務」というものが出てきて、今度その次に「住民責務」というものが出てくる。  そこで、まず第一番にお伺いしたいのは、第十条にいうところの「住民」とは何をさすのかということをお伺いしたいと思う。
  17. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 法律の語句の解釈の問題にも関連いたしますので、私からお答えいたしたいと思います。  この法律で「住民」といっておりますのは、地域社会住民という意味でございます。
  18. 加藤六月

    加藤(六)委員 室長、「住民」とは地域住民であると非常に簡単なことばで申されましたね。いままでの法律の中に、何か地域住民をはっきり規定するような法律か何かありますか。
  19. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 ちょっと私もここでは記憶をしておりません。一般的には、たとえば何人とか国民とかいう表現を使っておる場合が多かろうと存じます。
  20. 加藤六月

    加藤(六)委員 私も実はきょう質問をするということは不意に昨晩きまりましたので、政府委員の皆さま方とも内容その他について相談も何もせずにやりましたので、その点については私のほうも悪いと思いわけでございます。ただ、長官、これは基本法ですからね。まあどの法律を軽く見る、どの法律を重く見るということではございません。ございませんが、これははっきりと交通安全対策基本法という基本になる法律です。しかも基本になる国民生命財産身体を守るという——まあこの法律には直接そのことは出てきておりませんが、この中に歩行者という名前が出てきたり、住民という名前が出てくる。その住民というものの解釈を単なる地域住民でございますというようなことで済ましておきますと、そうすると、先ほど言った三十七条におけるところの問題と私は非常にからんでくると思うのです。そこでこの問題をはっきりさしていただきたいという意味でいま質問しているわけでございますが、この「住民責務」というものの「住民」の解釈をもう少しはっきりしていただきたいということ。  その次は、しからば、たとえば私は愛知県に住んでおる。そして私のつとめ先は愛知県内にあるところの自動車製造メーカーであるということになりますと、しかも私がかりに代表権のある経営者であるならば、第六条の「車両等製造事業者責務」をまず負わなければならない。そして私がオーナードライバーであるということになりますと、第七条の「車両等使用者責務」にかかってくるのではないか。もちろんタクシーを経営しておるとかトラックを経営しておるとかいう場合も同じだと思うのです。それから第八条はいまのオーナードライバーにもかかってくる。そして仕事が済んでうちへ帰って散歩をする、あるいはほかの用で歩いておるということになると第九条の歩行者になってくる。しかも私は愛知県に住んでおるということで第十条の住民になるということになりますと、この加藤六月個人は一日のうちにこの法律の中の六条、七条、八条、九条、十条、全部にかかってくる。そういうことになりますと、一体どうしたらいいのだろうかという気持ち等も持つわけですので、もう一度お伺いしますが、第十条の住民という場合は、ある面では六条、七条、八条、九条のものたり得るわけですね。
  21. 床次徳二

    床次国務大臣 十条に「住民」という字が書いてありますが、ここには「国及び地方公共団体実施する交通の安全に関する施策に協力する等」云々とあるのであります。これに対しましてはそれぞれの地域等におきまして施設をいたしますものを予定しておりまして、それに対して協力していただくという意味であります。非常に具体的に申しますならば、たとえば歩道橋をつくるというような場合等におきましては、歩道橋の設置に対してはその地域の方々にいろいろ利害関係があるわけです。しかし、そういうことに対しましてはある程度まで御協力を願わなければならぬ場合があるという意味におきまして、先ほど地域の住民ということを申し上げたのであります。具体的な施設に関連いたしまして出てまいるものでございます。
  22. 加藤六月

    加藤(六)委員 そうしますと、この第三条の国、第四条の地方公共団体、第五条の道路設置者、それから第六条、ここら辺までは性格が相当はっきりするのですが、十条までを全部ひっくるめて考えますと、国民全部に対する責務、この日本国内に生活し、活動しておる全国民に対する責務を明らかにしよう、こういう趣旨で第十条に「住民」を入れたのか、こう尋ねたくなるわけですが、そう解釈していいですか。
  23. 床次徳二

    床次国務大臣 ここに書いてありますのは、それぞれの立場に立ちましての責任というものがあるわけでありますので、それを具体的に指示しておるわけであります。歩行者にいたしましても、国民はやはりほとんどが道路を使用いたしますので歩行者であります。歩行いたします際には、この九条に掲げましたような意味において「努めなければならない。」ということになります。なお、住民等におきましても、先ほど施設の例を申し上げましたが、それぞれその区域におきまして安全運動等をいたしまする際におきましては、やはりさような趣旨におきまして、地域住民としての立場において地域で実行いたします安全運動にも御協力いただかなければならぬ、さような意味であります。国民それぞれの立場立場、特に交通安全運動におきましては具体的のケースにつきまして非常に関連しているものがありますので、製造者の立場運転者立場というような個々の立場に立って具体的に責任を指摘した。これは今回の法律といたしまして非常にはっきりしている。私は一般的な規定でないところに対策として非常な意味があると考えております。
  24. 加藤六月

    加藤(六)委員 わかりました。長官、いま、具体的な責任立場というのを明らかにしようとしたのだ、こういう御説明がございましたね。そうしますと、これは長官のあげ足をとるのじゃないのですが、先般運輸委員会並びに当委員会におきまして欠陥車問題というのが出てきましてずいぶん議論いたしました。また新聞も書きましたね。そのときに欠陥車問題で第六条と第七条——これはある面でいえば非常にあいまいな表現でございますが、第六条の「車両等製造事業者責務」というところで、「構造、設備及び装置の安全性の向上に努めなければならない。」こう出ておりますね。これがいわゆるメーカー、製造事業者責務です。それから第七条に「車両等使用者責務」というのが出てきます。ところが先般の欠陥車問題でわれわれがいろいろ幅広く議論した中で、たとえば自動車の整備業者あるいは自動車の販売業者、この法律でいきますとこれは自転車まで含むわけですね。そうすると小売り店業者も入る。そういう意味責務を明らかにするのなら、この法律でいけば一番重要になってくるのは、これからやる場合は飛行機の輸入業者、これは商社という名前がついてもいいのですが、飛行機の輸入業者、あるいは自動車の完全自由化を行ない、輸入の自由化をやった場合には自動車の輸入業者、あるいはディーラーですね。こういうものの責務というのはうたってないわけです。欠陥車問題についてこれから内容をはっきりさしていくために重要なる役割りを示すものとして、しかも先般来運輸省が総合対策を発表した中にもはっきりと、メーカーについて、それから整備業者あるいは販売業者について、またその次には運輸業者について、こういう対策を打ち出しているわけです。もちろんユーザーについての対策というのも発表したわけですが、この六条と七条の間にもう一条、いま申し上げました自動車とか飛行機の輸入業者あるいはディーラー、こういうものの責務をうたう必要があると思うのですが、これはどうでしょう。
  25. 床次徳二

    床次国務大臣 この法律におきましては、生産者という立場におきまして規定がございます。また運転者という立場でもあります。それから使用者という立場でもございますが、販売業者に対しましてはこれを対象としておりません。これは欠陥車の問題の際にいろいろ御議論があったようでございますが、ここにおきましては、取り扱う車両が国産車でありましてもあるいは輸入車でありましても、車両安全性の向上の問題につきましては、車両の製造業者のほうの規定に直接関係がありますが、安全性を維持する最終的な問題につきましては、製造とそれから車検、点検整備という問題があります。この点に関しまして行なわれておりますために、販売業者に対しましての責務というものは特に規定をいたさなかったわけでございます。
  26. 加藤六月

    加藤(六)委員 長官、参議院のほうで御用がおありのようでございますので、どうぞ行っていただいてけっこうでございます。副長官が間もなくおいでになるそうでございますので副長官に引き続き質疑いたしたいと思うのです。  そこで、室長にお伺いするのですが、室長は外国の法律を調べてみられて、特に今度は欠陥車の問題が出たので、われわれも非常に一生懸命勉強をしたのですが、単に自動車だけを例にとるのではないのですが、具体的に申しませんが、外国の法律を見ますと、たとえばちゃんとうたっております。それは製造業者、輸入業者、販売業者、これらを含めて責任というのを負わすという法律がたくさんあります。これからは世界経済がますます自由化し、諸外国のものが——自国内でつくる者、それだけじゃない、輸入する者、販売する者、これに対してもはっきりした責務を負わしておる法律がたくさんあることを私は知っておるわけです。具体的に申し上げてもよろしいのですが、当委員会法案内容に直接関係ありませんから詳しく申し上げませんが、私が調べただけでも相当あります。  そうしますと、この六条、七条の間にもう一条必要なのではないか。さっきの長官の答弁では私少し納得しないものを感ずるのですが、室長の御見解をひとつ承りたい、こう思います。
  27. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 御意見はまことにごもっともであると存じますが、私も外国の制度をそれほど的確には存じておりませんが、外国におきましては必ずしも日本におきますような車検制度をとってない国が多うございます。したがいまして、そういうことから、あるいはメーカー以外にディーラー等にも責務を課しておるのではないかと想像いたしておりますが、わが国におきましては一応現在のところでは車検制度をとっておりますので、国産車はもちろん外来車も車検によって保安基準に合致しているかどうかを検査することになっておりますので、少なくともこの制度が非常にまずいとかいうことでありますとまた問題は別でございますが、現在のところはこのチェックでよろしいのではないか。したがって先ほど長官がお答え申し上げましたように、ディーラーにつきましてはもちろんいろいろ道義的な責任は持つべき場合があると思われますが、法律で特に規定をいたさなかった次第でございます。
  28. 加藤六月

    加藤(六)委員 室長、しつこいようですけれども、先般来運輸委員会において欠陥車問題じゃなくして、その車検制度も含んでずいぶん議論いたしたわけです。これはここにおいでの皆さん方もよく御存じですが、その車検制度が正確であるか、厳重に行なわれておるかどうかということは、これは別な話ですが、そういう制度がある、車が非常に多くなったからさらにコンピューターでやる、いろいろなことをやる、この話とこの基本法にいうところの責務という問題とは、私が言いたいのは別なんです。先ほど長官は具体的にそれぞれの責務をうたったのだ、だから十条の住民責務ということも入れたのだ、その例としては横断歩道橋をつくるとき等の問題までお引きになって御説明になった、これはよくわかる。もちろん私たちは、この政府案を出す前後におきまして、党内におけるそれぞれの機関で勉強させていただいておるわけですから知っておるわけです。知っておるわけですが、車検制度があるからということでは私はおかしいと思うのです。そうしたらこの委員会でもう一ぺん車検制度がどういうものであるかということをぶり返して、もとからゆさぶり起こした質問を展開しなければならなくなるのです。そのことは申し上げません。申し上げませんが、もう一度お伺いしますが、これは責務をあらわしておるわけでしょう。そうすると室長、あなた御存じと思いますが、いま芝浦の埠頭へ外国の自動車が着いた、税関の検査を済ませて東京へ持って帰る場合には仮ナンバで持って帰られますが、それから本ナンバーを取りますね、そうして自動車を走らせます。その間においてどの程度の車検をやられるとあなたは御存じでございますか。
  29. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 ただいま御指摘になりましたような場合には、その間においてはおそらくやっていないと思います。
  30. 加藤六月

    加藤(六)委員 そうしますと、そこでこの責務という問題を、輸入業者あるいは販売業者という問題もこれほど具体的に言うなら少し片手落ちになりはせぬかという気持ちで私は言うのですが、これはあくまでも基本法ですから、もう少しほかの法案改正や今後具体法に、実施法に移る場合に考えていただかなければならないのではないかと思いますが、先般来あれほど欠陥車問題というものが議論せられ、これは自動車、飛行機の車体だけについて言えるのではなくて、たとえば自動車につけておるタイヤ、飛行機につけておるタイヤ、これを輸入しておる場合でも言えるのです。そのタイヤに欠陥があった場合にどうするのだ、どこがチェックするのだ、いまわが国にタイヤに対するチェックのしかたというものがあるかという問題までいかなくてはならないわけです。真の意味における安全という問題を議論いたしますと、現に私は知っておるわけです。あるところの輸入業者がその性能を極端に隠して輸入しておる。しかもそれを購入しておるのは政府機関である。この問題を現実に知っておるわけです。ただしこれは自動車ではございません。それでずいぶん追及しましてその問題は直してもらいました。ほかのそういう問題は委員会の席では議論いたしません。  そこで、私はそういう経験を持っておるがゆえに、特に輸入業者とか販売業者のそういう問題について利潤追求に急のあまり、そういう問題に手抜かりがあるという場合に一番困るのは国民です。そういう立場でこの問題を一つ提起しましてやったのですが、先ほど申し上げましたようにこれは基本法でございますので、今後の実施法の段階におきましてそういう問題等は御考慮願えるならば、あえてこれ以上質問する必要はないと私は思うわけなんでございますけれども、そういった等の事情を今後、単に室長さんだけでなくて、政府委員の皆さま方もよろしく御勘案願いたい、こう思う次第でございます。  それからまた話は次へ飛ぶわけですが、第二十八条について少し承りたい、こう思うわけです。  この第二十八条に「地方公共団体の長は、当該地方公共団体区域における海上交通又は航空交通の安全に関し必要があると認めるときは、交通安全基本計画又は交通安全業務計画作成又は実施に関し、中央交通安全対策会議及び関係指定行政機関の長に対し、必要な要請をすることができる。」この問題です。この問題につきましては法案作成の段階においてずいぶん議論が戦わされたのではないか、私こう思うわけです。  一番最初に質問いたしました第一条の目的のときに、なぜ陸海空を入れたかということを質問申し上げました。それは実はここに出てくるわけです。ここにも関連してくるわけでございまして、この二十八条、これを読みますと、陸海空とはいうものの、これは地方公共団体から第十条のそれぞれの住民責務までいく段階というものはほとんど陸上交通ではないか。ある面で申し上げますと中央でやるのがほとんどではないか。そうして今度は地方公共団体その他の非常な責務その他の計画を強制するようにしておきながら、空と海の問題に関しては中央でやるのだ、地方は必要な要請をすることができるんだというこの第二十八条は何かこうぐっとかまえだけはよくても、実際の段階になってくると、いままで二本足で歩いておったのが一本足か、もうちょっと片方の足が、しかも親指ぐらいは欠けたような感じになるんですが、この問題について、どうしてこういうようにしておるのかという内容について御説明を承りたい、こう思うわけです。
  31. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 実はただいま御指摘の二十八条の問題につきましては、それ以外に御承知と思いますが、二十一条に、都道府県交通安全連絡協議会を設けることができる旨の規定を置いてございます。これは御指摘のように、陸上交通の安全と海上交通航空交通の安全とはそれに対する対策も若干態様を異にしておりますし、特に海上交通航空交通につきましては、都道府県以下の段階で国の出先機関と都道府県とが一体となりまして計画をつくるという実益が現実の問題としてあまりそれほど多くないのではなかろうか、こういう観点から一応都道府県以下の交通安全対策会議におきましては、陸上交通安全に関する計画作成とその実施推進のみを保証させることにいたしたわけでございます。しかしながら、そうは申しましても、非常に大きな飛行場を持っております府県でございますとか、非常に大きな港湾を持っております府県等におきましては、海上交通航空交通につきましても問題があるであろう、そういうことを考慮いたしまして、一応都道府県交通安全対策会議とは別に、海上交通航空交通の安全に関します連絡協議会、これは必要がなければ設ける必要はないわけでございますので、一応任意制にしておりますが、これを設けて、ここで十分に連絡協議をする、こういうたてまえにしておるわけでございます。したがいまして、海上交通航空交通につきまして、特に地方段階におきまして、これを軽視しているという意味では決してございません。現在の実態が大体この程度であるという認識に立ちまして、それに適当な機関を設ける、こういうことでございます。  なお、要請につきましては、これは陸上交通におきましても同様に、知事に要請権を与えておりますし、海上交通航空交通の場合にはこの連絡協議会を置かない県におきましても、その必要性がある場合も考えられますので、すべての知事にこういう要請権を規定した、こういうことでございます。
  32. 加藤六月

    加藤(六)委員 航空局の方はおいでになってないようでございますので、御質問できませんが、海上保安庁の次長さんがお見えになっておるようなので御質問申し上げますが、実は私たちは一番最初に申し上げましたように、昔、陸上交通基本法を一本にしぼって行きたかったという経緯がある。それは、同じ法律一本でしぼろうとしたら、必ずこういうような問題が出てきて、何か歯が抜けたような、足が欠けたような法律になるのじゃないだろうか。またその不備がいろいろなところで議論されるんではないだろうかという問題等々これあり、そういう考え方等をとっておったわけでございます。ただいま室長さんが御答弁になりましたが、この問題について、第二十八条で問題が起こるというのは、海上交通の問題というよりか、具体的には主として港内の問題、港域の問題、こういう問題が起こってくるんではないか、こう私も思いますが、地方公共団体海上保安庁とはいままでそういう関係について協議したり審議して、両方が意見がまとまらないとやらないとかあるいは海上保安庁がきめれば地方公共団体はこれに従わすのだ、そういったような意見が食い違ったような事例というものはありますか。
  33. 林陽一

    ○林政府委員 ただいま先生から御指摘がありました点でございますが、特定港におきましては、港則法に基づきまして海上保安庁の保安部長を港長といたしまして、港則法の施行に当たっておるわけでございます。港内におきます海上交通規制につきまして、それぞれの地方公共団体、ことに港湾管理者と密接に連絡を保ち、地方の御要望を入れて、港長業務を行なうように実施しております。特に意見の食い違い、そごを生じまして、調整がつかなかったというような事例につきましては存じておりません。
  34. 加藤六月

    加藤(六)委員 林次長がおいでなので、ついでに林次長に、関連する内容で御質問いたしておきたいと思いますが、国は海難救助充実をはかるため、海難発生情報の収集体制及び海難救助体制の整備等必要な措置を講ずる、私はいまの日本で、この交通安全の立場から言うて、一番おくれておるのは海上保安庁のこの体制じゃないかと思うのです。ほかの面はいろいろミスもあるし、不十分な点もあるし、予算の問題等もありますけれども、まあ希望点が十とするならば、七とか八ぐらいいっておる分野もあると思うのですが、海上保安庁のこの問題については非常におくれておるのではないか、こういう気持ちを持っておるのですが、具体的にはどのような措置海上保安庁としてはお考えでございますでしょうか。
  35. 林陽一

    ○林政府委員 ただいま先生から海上保安庁としまして、ありがたい御指摘がございましたのですが、海上保安庁では、現在巡視船艇二百九十七隻、航空機は目下十八機持っているにすぎません。巡視船艇の中にも、旧海軍などから引き継ぎましたものがまだ数隻残っておりますし、戦後のまだ速力が制限されておりますときにつくりました非常に性能の悪い巡視船がまだ四十四隻残っております。そういうような状態でございます。さらに巡視船につきましては、一応二十五年、それから巡視艇につきましては十五年という耐用年数を設けておりますが、まず巡視艇の十五年をこえます老齢艇がだんだんふえてきつつあるような状態でございます。それ以外に、もちろん巡視船艇をふやし、航空機をふやしまして、大いに増強いたしたいわけでございますが、一番の急務はこのような老朽船舶、地方の各港に配置はしてございますが、いざ救難があったときに十分活動ができないような低性能船舶の大型化、スピードアップをしなければならないというような要請に迫られております。  本年度におきましても、巡視船艇、ことに巡視艇の性能改善、代替建造が大型巡視艇四隻、中型巡視艇十五隻について予算がついております。  さらに、航空機についても逐次やっておりますが、何分最初の予算規模が小さく、毎年の予算の伸び率が限られておりますわけですから、十分意にそぐいませんで、国民の皆さまの御要望、ことに海事労働関係者の御要望に沿えないような次第でございます。  今後ともこの点十分財政当局とも折衝いたしまして、御期待に沿えるように努力いたしたい、かように考えております。
  36. 加藤六月

    加藤(六)委員 総務副長官、いま海上保安庁の林次長がああいう答弁をされたんです。私は質問の中にも申し上げましたが、海難救助の問題、非常に立ちおくれているのではないかという内容を申し上げたんですが、この法律が通った場合にはあとからこれは所管問題とかいろいろ問題が出てくるわけですが、必要な措置をとるためにはずいぶん——これは陸上においても、航空においても、海上においても予算措置を必要とするわけです。財政上の措置——一番膨大なものは、局長もおいでなので若干局長にも御質問いたしたいと私思うておるわけですが、ずいぶん膨大なるものが要ると思うのですが、この法案提案者としての総理府の、いまの海上保安庁林次長の御答弁に関連しての決意のほどを承っておきたい、こう思うのですが。
  37. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡政府委員 加藤委員御承知のとおり、先ほどもお話がありましたが、問題はいま陸上交通でございますが、しかしながら近い将来のことを考えてみれば海上航空すべてが問題ではなかろうかということで、こういう基本法の御審議をお願いいたしている段階であります。したがいまして、われわれもこれを万全に実行していくためには、いまお話しのおことばを借りればずいぶんの予算要求ということになるだろうと思います。しかしながらこれは今後の推移を見て、そして検討いたしていきたい。それ以外にいまだお答えする段階ではない、こんなふうにも考えておる次第でございます。
  38. 加藤六月

    加藤(六)委員 副長官、それじゃだめですよ。形をつくって魂を入れずというのはいまの総務副長官の答弁ですよ。当局者ですから四十五年度の概算要求をこれからおやりになっていろいろ御苦労されるだろうと思うのですけれども、少なくとも私が冒頭に申し上げたこの基本法を出すに至った経過と当委員会並びに国会全体の強い決意というものを——国民生命財産身体というものをいかにして守るか、人の命は地球よりも重たいのだ、この精神に従ってこの基本法を今日出してきたわけです。したがいまして、相当なる決意をもって今後この措置に臨んでもらわなくては、この基本法案審議する意欲にも欠けるし、また当委員会における精神にももとることになると思うのです。だから私は決意のほどをもう一度この席ではっきり表明していただきたい。こういうことをもう一度申し上げます。
  39. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡政府委員 私の申し上げたことがきわめて消極的に考えているというふうにとられてはまことに私も残念であります。決してそうではないのです。言われるとおり、こんなに大勢の人が交通事故のために命を失うというようなことは穏やかなことではありませんから、議会側のほうの御心配もよくわかります。そこでそれを踏まえていまこういう基本法をつくりました。これはもう言うまでもなく、この基本法に盛られている精神を予算の面であらわさなければどうにもなりませんから、それはもう一生懸命やりますけれども、これをどのくらいの程度になるのだというふうにお聞きになったのだと思いましたので——そうでなければ私どもはできるだけの努力をすることをここに言明をしてお誓いをする次第であります。
  40. 加藤六月

    加藤(六)委員 海上保安庁がおいでになったのですが、気象庁は来ておられるのですか。これは総理府のほうにお伺いしますが、海難救助の問題と同様に私は今後非常に重要なる役目を果たすのは気象情報だろうと思うのです。これは運輸委員会並びにわが党の内部においてもこの気象庁の予算とか、方法その他について過去たびたび議論されておるわけでございますが、一がいにして言うと、気象情報というのは当たったり当たらなかったりということが非常に多いということで、今日海と空という問題をこの基本法に入れた場合に非常に重要なる要素を帯びてくるのが気象関係の問題だろうと私考えられるわけであります。社会党さんの提案されております基本法にはこの気象関係というものも入っておったようでございます。政府提案のこれには気象関係というものは入っていない。この問題について勉強もいたしたわけでございますが、気象庁の方がおいでにならないので具体的に突っ込んだ質問は差し控えますが、海と空の問題についてはこの気象というのが非常に事故を防止する上において重要なる役割りをいたします。さらに陸の面におきましても、先般の飛騨川の事故のごときあるいはまた鉄道、山くずれ、土砂くずれ、提防決壊、自動車事故その他のいろいろの事故等の問題が出てくると思うのでございますが、この気象情報の関係をこの法案の中にお入れにならなかった理由はどこにあるのですか。
  41. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 特に海上交通航空交通の安全につきましては、気象情報が非常に重要であることは御指摘のとおりであります。この法律におきましても第三十一条の二項といたしまして「国は、交通の安全に関し、気象情報その他の情報の迅速な収集及び周知を図るため、気象観測網の充実、通信施設の整備等必要な措置を講ずるものとする。」ということを規定いたしております。したがいまして、もしこの法律が成立いたしました暁には、この条文にのっとりまして気象観測網の充実について格段の努力をする、もちろん現在でもいたしておりますが、さらに努力をいたす考えでございます。  なお、たいへん恐縮でございますが、先ほど私十分なお答えができなかった住民のことでございますが、これは公害対策基本法の六条にほぼ同趣旨規定が置かれておりまして、その趣旨は先ほど長官がお答えしたと同じように理解いたしております。
  42. 加藤六月

    加藤(六)委員 わざわざ三十一条の二項の中に入れてある、私は二項の中に入れているということ自体で気象関係を軽く扱ったのではないか、一つの章を立てておやりになったらどうだろうか。これは車両等の安全な運転、運行の確保のために気象情報、気象観測網、通信施設ということをうたっているわけです。非常に重要なる役割りを果たす問題だから強く打ち出してもらいたい、こう思っているわけです。  これに関連しまして道路局長さんがおいでのようでございますが、最近局長さん、民間放送あるいはNHKが非常に気象情報あるいは交通情報を流しておるわけです。ある会社はヘリコプターを飛ばして交通渋滞情報を流す、またある会社は刻々における気象情報を流して国民の皆さん方に非常に便宜をはかるようにいたしておるわけです。  これは小さい例で恐縮なのでございますが、道路管理者に対して、特にラジオの場合が多いようでございますが、何千何百何十サイクルでこの情報を流しておる。それがよく徹底しない場合があるから、国道あるいは地方道の道路標識に、間違わないような形でこれを立てていただきたいという要請道路局にも相当いっているのではないかと思いますが、これはまだ打ち合わせいたしてない問題でございますので、具体的なことは御質問いたしませんが、気象、交通渋帯、こういう問題について明らかにするような標識を立てるようにという要請等があれば建設省としては積極的に許可される御意向でございますでしょうか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  43. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 道路につきましてのいろいろ情報の収集、伝達、この問題につきましては、昨年の飛騨川事故の貴重な実例にかんがみましていろいろ検討しておりまして、この六月から、非常におくれましたが道路情報センターというのを建設省及び各地方建設局、道路三公団に設けまして、できるだけその道路の利用者に対して道路の情報を伝達するという方法を講じております。ただ私、率直に言いましてまだまだこの問題は、情報の収集及び伝達というものをもっと積極的にやらなければならないと思います。それには来年どういう方法がいいかいま検討しておりまして、ある程度これは民間法人みたいなものにもやらせるようなことのほうが能率よくいくんじゃないかということで検討しております。またいま先生のおっしゃいました、そういうものを利用者に示すような道路交通情報標示板といいますか、こういうものについてはできるだけ都道府県その他の協力を求めて、必要な個所に必要なものをつくるように指導しておりまして、そういう設置要請があればこれを断わるようなことはないというふうに考えております。
  44. 加藤六月

    加藤(六)委員 交通安全に対する情報というのは、それぞれの責務を明らかにするとともに、この情報というのを早く知るということも非常に大切な問題でございます。そういう点におきまして、いま道路局長さんの御答弁をいただいたわけでございますが、これは道路関係だけでございますが、そのほかにも鉄道関係あるいは海上航空等においても、気象庁その他それぞれの重要なる任務があると思いますので、どうぞその点につきましては、今後ともいままで以上に御努力をお願いいたしたいということで次に移らせていただきたいと思います。  これはまた法案内容でございますが、第二章の「交通安全対策会議等」ということで第十五条の四項に「中央交通安全対策会議に、専門事項を調査させるため必要があるときは、専門委員を置くことができる。」こうあるわけでございます。この文字どおりに専門委員というのを読みますと、専門事項を調査さすことだけに専門委員を置く、このようにとれるわけでございます。いまそれぞれの機関があり、またこの基本法を通した場合における機構整備の問題等があるわけでございますが、専門事項を調査させるためだけに専門委員を置く必要があるのかないのか、これはどのようにお考えかひとつ承りたいと思います。
  45. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 交通安全対策を策定いたします場合には、十分御承知と思いますが、現在非常に科学的、技術的な問題で解決しなければならない問題が非常に多いわけでございます。したがいまして、そういう専門的な技術的な問題につきまして、それぞれ専門家の御意見を十分にお伺いして、これを国なり地方公共団体なりの交通安全対策に取り込んでまいりたい、こういう観点から中央交通安全対策会議専門委員を置くことといたしたわけでございます。
  46. 加藤六月

    加藤(六)委員 そうしますと、室長、今度は第十七条の四項に「都道府県交通安全対策会議に、特別の事項審議させるため必要があるときは、特別委員を置くことができる。」中央における専門委員、いま室長そのような御説明をされました。しからば都道府県における特別委員というのは、これはどういうことをやらすのですか。この文章のとおりですか。
  47. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 これは一つは法令上の用語の問題にもなるわけでございますが、一般的に専門委員を置いております場合には、その専門委員は正確に申しますと委員ではございませんので、特別に規定をいたさない限りは審議には参加いたさないというのが普通の形態でございます。これに対しまして特別委員は、ただいま御指摘のように「審議させる」という表現が用いられておりますので、これは審議に参加する委員ということでございまして、その点が若干異なるわけでございます。  現在都道府県段階でなぜ特別委員を置くことにしたかということでございます。いろいろございますが、特に問題になりますのは、都道府県段階でたとえば鉄道に関する交通安全、もちろん道路上の交通安全は言うまでもないわけでございますが、そういう問題につきまして計画なりを重ねます際には、単に都道府県の知事部局あるいは国の出先機関以外に、たとえば国鉄の関係者であるとか道路公団の関係者であるとか、そういう人たちが加わりまして計画作成するほうがよりよき計画ができることになると考えられますので、それ以外の特別委員も考えられることは考えられるわけでございますが、具体的に私どもいま頭に描いておりますのは、そういう人たちに地方段階では特別委員として審議に参加してもらって対策をきめたらいいのじゃないか、このように考えておるわけであります。この点はいろいろと御意見もあろうかと存じますが、国の段階におきましては、国鉄にいたしましても道路公団にいたしましても、大筋のことはそれぞれの主管省庁におきまして十分に理解し発言できるわけでございますので、中央におきましてはそういう特別委員という制度を特に設けなかったわけでございます。
  48. 加藤六月

    加藤(六)委員 室長、いまの御説明を聞きますと、中央のほうに逆に特別委員が必要であって、地方のほうに専門委員が必要なんじゃないかと思うのですよ。それは、この法律のたてまえからいきますと、地方公共団体に対して相当重い責務を負わしております。責務を負わしておりますけれども、財源措置とかいろいろな問題、室長はいま専門的な鉄道の方がどうのこうのとおっしゃいましたが、要は、いろいろな議論を積み重ねていくと最終的に財源措置に尽きるのじゃないかと思うのです。その財源措置に尽きるときに、中央ではこの会議でやればいい、専門的な問題を調査させるために専門委員を置くのだ、ところが地方ではそうじゃないのだということになりますと、私は逆じゃないかと思うのです。財源措置を講ずる場合の大部分というものはもうほとんど中央でしょう。そういう観点から見てどうもあやふやなような気持ちがしまして、この問題も、しからば特別委員あるいは専門委員というのをやめて審議会にしたほうがいいのじゃないかという議論まで発展してくるのじゃないかと思うのです。私は、もちろんいまのこの法案に盛られておる内容で十分いけるという自信があるわけですけれども、それならもう一歩進んで、ほんとうは専門委員というのもやめ、特別委員というものもやめていったらどうだったんだろうか。いわゆる国、地方公共団体、こういう方々、それから五条、六条、七条、八条に出てきておるそれぞれの責務、こういう方々の責任の所在をはっきりさした以上はこれに対する財源措置法律措置ということでいいのじゃないか。それを何かつけ足しのように専門事項を調査させるために専門委員を置く、特別の事項審議させるために特別委員を置くというと、何か責任がまたはっきりしないようになる。ある面では、今度われわれが責任の遂行を迫ったときに、そういう特別委員がどうでございますとかあるいは専門委員の調査がまだできておりません、こういうことになりますと非常に困るので、この特別委員あるいは専門委員という方々、特に中央における専門事項を調査する専門委員に対する性格をはっきりしておかないと、政府の隠れみのにされては困る。同じことは都道府県にいった場合にも当然起こってくるのではないか、こう思います。今後先輩委員の皆さま方がこういう具体的内容についても詳しく審議されるだろう、こう思いますので私はこれ以上申し上げませんが、余分なものについてあまりこだわりを持たぬようにしてもらいたい、こう思うのですが、室長の御意見どうでしょうか。
  49. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、専門委員は、ここにございますように専門事項を調査していただくわけでございまして、それに基づきまして最終的な計画を決定いたしますのはあくまでも中央交通安全対策会議責任でございます。この中央交通安全対策会議の本来の委員は総理大臣以下閣僚でございまして、先生御指摘になりました財政措置等も、その閣僚のレベルの責任においてこれを決定いたすことになろうかと存じますので、そういう御心配はあまりないのじゃないかと思っております。  なお、中央におきましては主として大きな方針をきめるわけでございますが、地方段階におきましてはむしろ実施計画中心になろうかと存じます。その場合には先ほど申し上げました、たとえば国鉄でございますとか道路公団の当事者が入っていたほうがより実効性のある実施計画ができるのじゃないかという観点から入れた次第でございます。
  50. 加藤六月

    加藤(六)委員 もう十二時も過ぎましたので、私の質問はそろそろ終わらしていただきたいと思うわけですが、財源の問題が出たついでに蓑輪道路局長さんにお伺いしておきますが、この基本法が通り、それぞれ相当の施設をやらなくちゃいけない。一番大役を持たれるのは道路局ではないかと思うわけでございますが、道路整備五カ年計画とこの基本法が通過した場合との関係はどのようにお考えでございましょうか。
  51. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 道路整備五カ年計画といいますのは、これは御承知のように道路整備緊急措置法に基づきまして、四十二年から四十六年までの五カ年の計画を閣議決定しておる次第でございます。これには道路の整備の目標が出ておるわけでございまして、その中に交通安全施設の金額をあげております。ただこの基本法が通りまして、また現在の交通上の事故状況から見ますと、交通安全施設というものを相当強力にやってまいらなければならないということで、四十四年からさらに三カ年間の交通安全施設計画を現在つくりつつある段階でございます。さらに長期的な問題は今後検討する必要が相当あろうかと思いますが、やはりこの五カ年計画の中で交通安全施設を相当整備してまいりたい、そのための三カ年計画をつくってまいりたいということと、そのほかにやはり道路をつくります際に、交通安全施設を完備させるというようなことで、改築、改良、舗装の中へそういうものを相当積極的に取り込んでまいりたいというふうに考えております。いまの六兆六千億の五カ年計画の中では、やはり道路の環境整備の中の一環として交通安全施設を強化してまいる所存でございます。
  52. 加藤六月

    加藤(六)委員 いまおいでになっているのが道路局長さんなんで、道路局長さんにお伺いしたわけでございますが、先ほど総務副長官に財源措置に対する決意の披瀝を要望したわけでございますが、私の希望といたしまして、当委員会になるべく早く佐藤総理大臣の御出席を願い、佐藤総理大臣に、この基本法実施に伴うところのもろもろの決意、各方面にわたる決意を伺わさしていただく機会を与えていただきますように表明いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  53. 内海清

    内海委員長 田中榮一君。
  54. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 私は、本日提案をされました政府提案の交通基本法案と、社会党から提案をされました交通基本法案の二案につきまして、若干質問を行ないたいと存じます。  本交通基本法案は、すでに昨年の通常国会におきまして提案される予定であったのでありまするが、いろいろの事情によりましておくれまして、ようやく今国会に提案されるに至りましたことは、多少おくれましたけれども、交通事故防止の上から、また国民生命を尊重する上からも、まことにけっこうなことと存じております。したがいまして、私どもとしましてはこの基本法案の両案につきまして十分慎重に審議をいたしまして、本法案がすみやかに成立せられんことを希望するものであります。  まず第一にお伺いいたしたいことは、実は当初自民党の昨年の考え方といたしましては、当面の問題といたしましてはやはり陸上における交通事故防止ということが重点で、われわれも陸上交通事故防止に重点を置いて交通基本法を策定すべきではないかということで、そういう方向で進んだのでありまするが、途中から、陸上交通以外に空の交通並びに海上交通の危険も防止せねばならぬという考え方が出まして、これも当然のことであると賛成いたしまして、陸海空の総合的な基本法案が策定されたのであります。こういうことにつきましてわれわれとしましては、交通事故というものは常識的に考えましてどうも陸上交通じゃないかというように、いままだそういう気持ちがあるのでありまするが、海上それから空を入れたということは決して悪いことではないと思うのですが、ただこれだけでは空の事故防止、海の事故防止はとうてい完ぺきなものではないと私は思うのでありまするが、ほんとうに陸上と並んで空と海の事故防止をするという意思でこの三つを入れたのであるかどうか、またこれだけでは海と空は不十分であって、ほかに何らかさらに一つ補完的な法制を準備する必要があるのかどうか、その点についてひとつお伺いしてみたいと思います。
  55. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡政府委員 お話のように、現在交通事故といえば、一応考えられるのは陸上交通でありますが、しかしながら海並びに空の最近の発達、それから将来における発達の様相というものを考えあわせてまいりますと、この機会に交通の安全について基本的な法律をつくろうということになれば、これを一緒に交えたほうがいいのではないかという基本的な考えでこの法律をまとめ上げたつもりであります。したがいまして、何かついでに海や空を入れたのであって、これからまた別に海や空については考えていかなければならないというようなことを現段階で考えているわけではございません。
  56. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 この規定の第二十八条等から見ますると、どうも陸上交通のほかに海上交通、それから空の交通というものはちょっとつけ足しについているような感なきにしもあらずでありますが、もし必要があるならば、「地方公共団体の長は、当該地方公共団体区域における海上交通又は航空交通の安全に関し必要があると認めるときは、」となっておりますから、これは海上のないところはしかたがないと思いまするけれども、この条文から見ますると、どうもつけ足しのような感じなきにしもあらずですが、その辺をもう少しはっきりおっしゃっていただきたいと思います。
  57. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡政府委員 御審議の過程で十分御理解いただけているように、この基本法は、たとえば責任の所在を明らかにするとかあるいはこの基本法に基づいて中央並びに地方において基本計画を綿密に策定をするとか、そういうようなことが骨子となっておることは御案内のとおりでございます。  そこでいまもお話がありましたように、地方で行なう場合において、たとえば山梨県のごとく、長野県のごとく海のないところもありまするから、そこでそういうふうにはなっておりまするけれども、しかしながら決してつけ足しでつくっているのではございませんで、中央における審議会並びに中央において策定する基本計画におきましては陸、空、海一体となって考えていかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけです。二十八条だけを取り上げますと、いまお話しのようなことになるかもしれません。決してそういうつもりではございません。詳細には宮崎室長をもって……。
  58. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 端的に質問いたします。  ならば、この空と海の事故防止に関する基本法としてはこの基本法で全部必要にして十分である、こういう考えで進んでよろしいかということでありますが、それでよろしゅうございますか。
  59. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡政府委員 お答えいたします。  基本法としてはそうだろうと思っております。
  60. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 次に質問申し上げますが、政府交通安全対策基本法内容は、主として第二章の交通安全対策会議中心になり、さらにその中心になるものは交通安全計画をこの交通安全対策会議において策定させる。そういたしますると、この交通安全計画内容というものが基本法の中身であり、これが一番重要な問題であると私は考えるわけであります。  そのほかに国の施策としてあるいは地方の施策として交通の安全に関する基本的施策をこうせい、ああせいという規定があるわけでありますが、そこでまずこの基本法中心になる交通安全対策会議でございまするが、この中央の交通安全対策会議都道府県におきまする交通安全対策会議との関連性、もちろんこの間には命令、服従の関係はないと思いまするが、この二つの関係というのはきわめて密接な関係を持つべきであろうと思うのでありまするが、これはどういうふうなことによって関連性を保持することになるのでしょうか、それをお聞きしたいと思います。
  61. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 先生御指摘のように、この中央交通安全対策会議と地方の交通安全対策会議とは行政組織として必ずしも正確な意味で上下の関係にはございません。しかしながら、個々の条文にも規定がございますように、そもそも中央交通安全対策会議基本的な交通安全計画作成するわけでございますが、地方におきます交通安全計画はその中央で作成されました基本計画に基づいてそれぞれの地域の実情に応じ計画を立てることといたしておりますので、そういう関係では一体性は十分保たれるものと考えております。
  62. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 私は、この交通安全対策会議においてまず基本的安全計画を樹立する際に、やはり民間の意見といいますか、野の意見というものを十分に聞く必要があるのではないかと思うのですが、これは総理大臣を首とする閣僚の会議でございます。そういうところで、はたして民間の意見をこれらに十分に浸透し織り込ませることができるかどうか。もちろんそれぞれ学識経験者の専門委員を付属して置くことができる、こういうことでありまするが、その辺はこれをどういうようにして民間の意見を浸透させるということになるのでありましょうか。私はそれが一番重要ではないかと思うのでありますが、その辺どういうような御意見でしょうか。
  63. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 これは先ほど加藤委員の御質問にもお答えしたところでございまするが、現在交通安全に関しまして一番必要な事柄は、民間の御意見のうちでも特に専門的、技術的な御意見が大部分でございます。したがいまして、この法案におきましてもいま御指摘になりました専門委員、これは民間の学識経験者の方々にお願いする予定でございますが、それらの方々から高度にして専門的な御意見を十分に拝聴いたしまして、これを吸収いたしまして国の施策に反映させてまいりたい、このように考えておるわけであります。また、本法案では必ずしも明確には規定いたしておりませんが、今後も従来に引き続いて民間の交通安全に関する団体等の育成等にも努力する考えでございますし、また政府も現在御承知の交通安全国民会議というようなものを開催いたしております。これらの運営につきましては、かりに本法案が制定されました後にはいろいろと改善の方策を考えなければならないと思っておりますが、それらの機会を通じまして、常時十分に民間の御意見を取り入れていきたいと思っております。
  64. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 次に社会党の御提案になりました内容につきまして提案者の方にお聞きいたしたいと存じますが、よろしゅうございますか。——社会党から提案されました交通安全基本法案の第四章の規定によりますると、「交通安全対策委員会設置」ということになっております。政府中央交通安全対策会議、総理大臣が会長になり、社会党の御提案になります「交通安全対策委員会設置」、この条文を読み上げますと、「交通の安全に関する基本的な計画を策定し、及びその実施推進するため、別に法律で定めるところにより、総理府の外局として、両議院の同意を得て任命される委員によって組織される交通安全対策委員会を置く。」こうなっております。  そこでこの第二十条の規定で、この条文だけではまだはっきりいたしておりませんが、総理府の外局とするということでありますから、要するに役所になるわけであります。外郭的な官庁になるわけでありますが、両議院の同意を得て任命される委員というのはどういう者を予定されておるのであるか、それからまたその委員の数は何名くらいを予定されておるのであるか、そうして委員会を運営していく場合におきましては当然責任者がなくてはならぬと思うのですが、その委員長はだれがなるのであるか、その委員長の権限の規定もないのでありまするが、その辺はどうなっておりまするか、ひとつ御説明を願いたいと思います。
  65. 久保三郎

    久保議員 いまのお尋ねでありますが、政府とわがほうの案の違っている点の一つであります。われわれのいままでの主張では、できますならば交通行政などは一元化していくべきであろうという主張をいまでも持っておるのであります。しかし、その中でも特に当面する交通安全を確保するためには、ばらばらになっておる機構を一元的に運営していく必要がある、こういう考えがあるわけでありまして、それを一省あるいは一庁それぞれに置くかどうかという問題については、かなり議論があります。しかし当面、そういう要請に答えていく必要があるので、いまお話がありました第二十条で交通安全対策委員会設置をやっていこうということでありまして、政府のほうは、御承知のとおり中央交通安全対策会議、これは総理大臣が会長でありますから、何か権威があるようでありますが、言うならば、並らび大名的なものに終始するきらいが多いのであります。そういうこともありますので、いわゆる安全対策委員会をつくる、この安全対策委員会については——この第二十条を受けて、別途ただいま提案中でありますが、衆議院の内閣委員会交通安全対策委員会設置法案を提案しておりまして、御承知かと思うのでありますが、要点を御説明申し上げますれば、第一条設置目的は、いま申し上げた基本法第二十条を受けての話であります。いわゆる総理府の外局として対策委員会を設けます。権限でありますが、第二条は委員会の権限として、いま御指摘のような通常の役所、行政機関、そういう形のずっと権限を持たせますと同時に、当委員会は、交通安全に関する委員会でありますから、交通の安全に関する基本的な計画を策定する、それから交通の安全に関する基本的な計画実施推進する、それから次には、交通の安全に関して関係行政機関が講ずる施策の総合調整を行なう、この三つが当委員会の特徴的な権限であります。委員会委員は五名でありまして、これは国会によって、交通の安全に関して学識経験を有する者のうちから両院の同意を得て総理大臣が任命していく。それから責任者の権限その他はどうか。これはこの法律に従いまして必要なものをつくっていくということでありまして、委員会会議は、委員長が互選され、これが責任を持つということであります。そういうことでこれをやると同時に、対策委員会には、先ほど政府側にもお尋ねがありましたが、御承知のように、総理府付属機関としてわがほうの案といたしましては、交通安全対策審議会というものをつくりまして、御指摘の民間の意向を十分組み入れていこう、これに対して重要な施策を決定する場合には、これに諮問をし、あるいはこれの意見を聞かなければいけないというような規定を、それぞれのところに設けているわけでありまして、一応申し上げますれば、そういう次第でございます。
  66. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 重ねてお伺いいたしますが、ただいまの御説明で、大体組織その他につきましては了承いたしました。  そこで現在の交通安全対策委員会は、中央において設置されるのですが、地方には、どういうような関係になるのでありましょうか。地方と中央との関係は、どういうふうになるのであるか。  それからもう一つ、現在、政府案におきましては、中央対策協議会でありますか、中央安全対策会議というものを置くことになっておりますが、それに対して、社会党案とされましては、ここに交通安全対策委員会、むしろこれはもう少し民意をいれたいという、いわゆる民間的な考え方で、そういうアイディアをおとりになったのではないかと思いますが、あるいはまたほかの考えがあるかもしれませんが、この中央安全対策会議と、それから交通安全対策委員会との違い、この交通安全対策委員会の特徴、メリットといいますか、そういう点は、どこをおねらいになったのであるか、それをひとつ説明していただきたいと思います。
  67. 久保三郎

    久保議員 一番最初のお尋ねは、いわゆる中央と地方の関係はどうかということでありますが、これは基本法でございますから、われわれといたしましては、交通安全対策委員会基本的な計画というか、政策、計画、そういったものを立てますが、あるいは国の施策遂行のために必要であって、地方にも及ぼす必要があるというようなものについては、これは地方の独自の考えもいれまして、地方が独自につくる場合もあるし、あるいはこの基本法の付属法によって、政府のいうような対策会議というか、そういうものに、順次地方につくらせる必要があるとするならば、持っていく、こういうことでございまして、その辺の違いが多少ございますが、われわれのほうは基本法でありますから、こういう会議中心にしてのものであってはならないであろうというような考えから、これは関連法に譲ろうということでございます。  それから先ほども申し上げたように、政府のほうの交通安全対策会議交通安全対策委員会、いわゆるわがほうとの違いをつけたメリットはどうなんだろうかということですが、先ほど申し上げたように、われわれは、少なくとも当面する交通安全行政は、やはり一元化していくことが一番いい、たとえば道路交通安全だけを一つとりましても、建設省あり、自治省あり、あるいは厚生省あり、あるいは運輸省あり、あるいは通産省ありということでありまして、まだそのほかにも気象庁もあれば、警察庁も出てくるということでありますから、少なくとも政策について、交通安全対策だけは一元化していきたい、きちんとしていきたいというようなことで、この対策委員会を、総理府の外局として置こう、そこで調整もきちんとしようということでありまして、ただ政府のほうの交通安全対策会議は、これは政府のほうにお尋ねいただけばいいと思うのでありますが、われわれの見る目では、どうも総理大臣を会長にして、たいへん強力のようでありますが、年に一ぺんか二へんの会議で、大体事終われりといういままでのことになりはしないか。それから、いままで過去において、こういうものがあろうかと思うのでありますが、あまり効用を発揮していないというようなことで、ここは一つの行政機関で、そういうきちんとしたもので対策をやっていったらどうか、こういう考えであります。
  68. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 もう一点だけお尋ねいたします。  そうしますと、この交通安全対策委員会陸海空も合わせてこれを処理する、こういうことと考えてよろしゅうございますね。
  69. 久保三郎

    久保議員 はい。
  70. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 それからもう一つ、必要により任意に希望によって設置したい都道府県があるならば、必要によって置くことができる、こう解釈してよろしゅうございますか。
  71. 久保三郎

    久保議員 陸海空全体の総合的なものをこの対策委員会の中で調整し、計画していきたい、こういうような考えでいるわけなんです。それは、もちろん先ほど申し上げたように、付属機関である審議会の意見を聞きながら、最も有効適切なものにしていこう、こういうことであります。答弁が長くなるかもしれませんが、一つの例を申し上げますれば、東京あるいは京浜港というか、そこにおけるところの海上交通安全一つをとりましても、海のいわゆる保安庁所管の問題だけではなくて、その港湾の施設、たとえばタンカーが入ってくる、そうしてタンカーの油をとる陸上におけるタンク、こういうものは一体となって処理しなければ、交通安全というか、そういうものの安全は確保できないということもございますので、くどいようでありますが、陸海空全体を含めて一元化するために、この委員会で処理していこう、こういうことでありまして、それぞれ専門家五名をこの委員会に置こう、こういうことであります。  それから、地方にはそれぞれ必要なものを、やはり地方の独自の立場でつくらせることが一番私はいいと思う。と同時に、われわれのほうの基本法にもございますが、地方自治体は国の施策に協力せねばならぬということで、国の施策に準じて施策をとれということでございます。それに応じてつくってもらう、こういうこともまたかたがたあるわけであります。以上です。
  72. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 ありがとうございました。さらに再び総理府のほうに返りまして、先ほど加藤君からいろいろ御質問がありました。国とそれから地方公共団体そのほか関係者の責任というものが規定の中にはっきり明定されたのでありますが——すみませんがもう一点だけお願いしたいのですが、たとえば運輸事業者の責任というものも掲げられておりますが、社会党案によりますと第五条でありますが、「運輸事業者の責務」となって「運輸事業を営む者は、その事業を営むについては、常に交通の安全が確保されるように万全の措置を講ずる責務を有する。」となっております。政府案によれば、これは国家の責任体制をはっきりし、国、公共団体、それから歩行者、それから車両運転者、最後には住民責務というところまではっきりうたっておるわけです。社会党案によりますと、運輸事業者の責任だけをピックアップしてやっているのですが、これはどういう意味なのでございましょうか。どうして歩行者とかそれから最も大事な車両運転者であるとか、あるいは道路設置者といったようなものの責任者の規定を明定をなさらずに、運輸事業者だけの責任をピックアップしてここだけをぱっと大きくやった理由はどういうところにございましょうか、ちょっとそれをお聞かせいただきたいと思います。
  73. 久保三郎

    久保議員 それはもうお尋ねの点はたいへん大事な点で、政府案との違いと言ったら語弊がありますが、表現の違いの大きな点であります。われわれのほうは「国の施策」としていわゆる国の責任として第三条ではかくかくの政策を総合的に講じなければならないというようなことが一つございます。これは地方でも同様ですが、その中には「交通安全施設を整備すること。」あるいは「車両船舶及び航空機安全性確保」あるいは「車両等の安全な運行及び航行の確保」あるいは「交通秩序の維持」こういうようなことで第三条に「国の施策」をあげているわけであります。問題は、政府案はそれぞれ車両メーカーあるいは運転者歩行者、こういうものの責任を一々あげておられますが、それはそれなりに一つの理由があるかと思うのであります。  まず第一に車両の問題一つとりましても、国の責任というか、そういうものは車両等の安全基準、そういうものも含めておかなければ、単に責任を追及するといってもこれは無限大なことになりはしないかという思想が一つございます。そういう意味でわれわれのほうはその責任を追及しないわけじゃないけれども、いまある制度の中でたとえば欠陥車両の問題がこの間じゅう出てまいりました。そうなりますれば車両の保安基準、それに基づいて整備したか、あるいはそれに基づいて製造しているかどうか、それに違反すれば当然責任を問う、こういう段取りだろうと思います。ところがいまの体制からいうと欠陥車の保安基準にいたしましても、あるいはタイヤを含めてもそうでありますが、必ずしも国の責任としては十分でない。国の責任が明確でありませんから、それ以上にそういう製造者や運転者に対してこの責任をとらせるというのは少しく段階的にストレート過ぎるのではないかというような思想が一つございます。そういう意味で実は責任を追及——ただし第五条でいっている「運輸事業者の責務」でありますが、これは当然これを業とするのでありますから、これ自身についてはやはり企業の責任として考えてもらう必要があろう、こういうことでございまして、最近特に高度成長経済というか、そういう中では、まあ言うなら企業性の追求ということで表面に出てくるわけであります。それを規制しようということでありまして、そういう意味でここで強調しているわけであります。  それからもう一つは、住民の問題が先ほど加藤委員からもございましたが、いま先生からもお話がありましたが、われわれのほうは住民責任というような、あるいは歩行者責任というようなことじゃなくて——歩行者責任というのはたとえばこれは道交法によって規制していく、責任はとらせるということだろうと思います。あるいは車両運転者責任についても同様であります。それから住民責任でありますが、これはどうも政府案についてはあとから私自身もお尋ねをしようと思っているのでありますが、われわれはこの基本法全体に盛られたものに対しては、やはり一般的に国民の協力を求めるということだろうと思うのでありまして、第六条で、住民責任ではありませんが、「国民は、交通の安全に関する国及び地方公共団体施策に協力しなければならない。」というふうに義務づけていこうということであります。
  74. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 第十八条の規定について総理府にお伺いしたいと思います。市町村交通安全対策会議というものは、これは必然的に置くものではなくして必要があるならば置くことができるということになっておりますね。ところが現在交通事故というものは、もちろん都市に多発的に起こるのではないかと思いますが、しかし最近におきましては農村においても相当起こっているわけですね。ことに町あるいは——最近なんか三万ぐらいから市になれるというような話もあるのですが、二万ぐらいの中小町村におきまして交通事故が相当起きておる。そういう点からいいますと、私は、こういう会議をやってもよしやらぬでもよし、おまえさんの自由だよ、こういう任意制にしておくことよりも、ある程度奨励をして置かしたほうが何らか施策を講ずる上においても、交通事故対策の上からもいいのではないかと思うのですが、副長官どうですか。
  75. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡政府委員 お答えいたします。  いまお話しの中にもありましたように、なるほど市町村の行政単位がだんだん大きくなってきますこともありますし、そういうところでも交通事故が起こっていることは御指摘のとおりであります。中にも山間僻地、非常に小さいところもありますから、どうしても置かなければならぬというようなことで縛るということもどうかと思いまして、こういうふうな規定にいたしたわけであります。
  76. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 補足して説明いたします。  先生御指摘の点は十分私ども考慮したわけでございまして、一応こういうたてまえにはなっておりますが、今後かりにこの法律が制定されました暁には、いわば行政指導といたしまして私たちから見まして置くことが必要であろうというものに  つきましてはこれをなるべく置くように指導をいたしたいと思っております。まだ政府部内で完全に意見が固まったわけではございませんが、心持ちといたしましては当然置くべきであろう、市町村であっても御指摘のような問題が多い市町村につきましては置くように指導いたしたい、このように考えております。
  77. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 お説のとおりに、やはり市のごときは、私は総総府のほうから内面指導、行政指導によりましてある程度設置を勧奨されたほうがしかるべきではないか、こうも考えております。いま副長官の御指摘のように、山間僻地は、これはまたそんなところに自動車がおりませんからそういうところには必要なかろうと思いますが、やはり市の行政区域を持っておるようなところは当然安全対策会議設置させたほうが至当じゃないかと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  時間が迫ってまいりましたので、先を急ぎます。  次に第二十九条の二項でございます。「国は、陸上交通の安全に関し、住宅地、商店街等について前項に規定する措置を講ずるに当たっては、特に歩行者の保護が図られるように配慮するものとする。」ということはどういうことを予定されてこういう規定になっておるのでしょうか。従来、普通商店街、住宅地におきましては、歩道を設置したりあるいは陸橋をつくったりあるいは横断歩道をつくり、あるいはガードレールを設置したりまたは信号灯を設置したりそうしたことをやっておりますけれども、そのほかに何か名案があることを予定してこういう規定が入ったのでしょうか、どうなんでしょう。それともこれは予算を取るためにつくった規定なんでしょうか、どうなんでしょう。
  78. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 ここで予想しておりますのは、たとえば東京の郊外等によく例が見られるわけでございますが、道路が比較的狭くてそのまわりに商店とか住宅が密集しております地域、そこで御指摘のようにもちろん道路を広げること、あるいは歩道をつくることができれば非常にいいわけでございますが、そう簡単にできない場所もございます。そういう道路につきましては、たとえば大型車の通行を禁止するとか、あるいは一番極端な場合には車両全体の通行を一時制限する等によりまして、その付近の住民の人々の交通安全をはかりたい、こういう趣旨でございます。
  79. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 了承いたしました。  次に第三十三条の規定でございます。「国は、交通秩序の維持を図るため、交通の取締り等必要な措置を講ずるものとする。」とありますが、交通局長いらっしゃいますでしょうか。
  80. 内海清

    内海委員長 交通企画課長が来ておられます。局長はほかの委員会関係で……。
  81. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 何の会議に行ったのですか。この前の質問のときにも交通局長は途中からお抜けになったのですよ。きょうのしょっぱなの自民党の質問に対して、交通局長が途中からどういう会議か知りませんが、抜けられることは私は不適当だと思います。この前私が質問したときにも途中からお抜けになってお留守でした。——それではいいですよ。またあらためてやりましょう。  それでは三十五条の自動車損害賠償保障制度の問題についてお尋ねしたいと思いますが、時間もありませんから急ぎますが、答弁はなるべく簡単にお願いしたいと思います。  きょうの「サンケイ新聞」によりますと、自賠責任の特別会計の赤字が約一千七百億になんなんとしつつある。この賠償金引き上げを、何か赤字解消のために自動車保険料金を上げなくてはならぬ。同時にまた、保険金給付の額も現在の三百万円を五百万円にしようじゃないかというようなことであります。私どもは三百万円を五百万円にすることについては異議がございません。当然だろうと思いますが、ただ、これによりまして保険料金が二倍から二倍半に急遽一ぺんに引き上げられるということにつきましては、これは相当社会問題を投げるのではないかと思うのであります。そこでこれが対策としまして、最近聞くところによりますと自動車の免許証を持っている者に全部料金をぶっかける、こういうことであります。自動車の免許証を持っておる者は実際自動車を運転するのですから、その自動車運転によるところの事故防止の責任観念を植えつける、こういう点は、私もねらいはいいと思うのであります。この中でいわゆるペーパードライバーというのがたくさんある。現在免許証をどの程度出しておるかといいますと、全国で約二千四百万枚ほど免許証が出ておるということです。現在自動車数は一千三百五十万台ぐらい。ところが自動車の免許証の数は二千四百万枚だそうであります。この中に相当数のいわゆるペーパードライバーが——ペーパードライバーというのは、免許証は持っておるけれども、実際に運転をしたことはない。かつて自動車の運転をしておって免許証をとった。その免許証はだてに持っておるというのであります。私どもはこういうペーパードライバーを解消するためには、いわゆる運転手そのものに保険料を直接賦課するということは、これは非常にいいじゃないかと思うのであります。それによってペーパードライバーをなくしていくことは非常にいいと思うのでありますが、ただ現実の問題としまして、たとえばハイヤー会社あるいはタクシー会社の運転手そのものに保険料金を賦課する。はたしてこれが運転手として払うかどうか。月数千円の金を払えるかどうか。同時にまた、それがやがて自動車の所有者すなわち会社の雇用主にこれが転嫁されるということになる。またかりにこれをまじめに運転手に払わせようとすれば、そこにいろいろ問題が起こってくるのではないかというようなこと、そういうようないろいろなことを考えますと、運転手そのものに、運転免状を持っている者に直ちにこの保険料を賦課するということがはたして実際にできるかどうかということが考えられるわけであります。  この間損害賠償の保険会社の人たちに話を聞いてみますと、これが一番いいんだ、運転免状を持っている者に保険料をかけることが一番適切ですとはっきり答えておりまして、確かに机の上の議論としては私はそれは一番適切な議論だと思っております。しかしながら、こうしたことがはたしてできるかどうか、そういう点から考えますと、この三十五条の規定を読みますと、「損害賠償の請求についての援助等必要な措置を講ずるものとする。」こういうような規定もございますが、こういう点に関連していまの問題について総理府といいますか、これは運輸省の関係だと思いますが、運輸省としてどうお考えでしょうか。
  82. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 この三十五条で規定しております、損害賠償適正化をはかるための自動車損害賠償保障制度の充実の本体は、申し上げるまでもなく、この条文の趣旨は、不幸にして事故が起こりました場合に被害者が十分な補償を受けられるような体制をとにかく強化いたしたい、こういうことでございまして、その方法、手段についてはいろいろあるわけでございます。そこで御指摘の点も一つの意見として従来からございました。現在私の承知しております範囲ではこの意見を、自賠責制度の審議会がございまして、その審議会の一つの議題に供していろいろと御意見を伺う段階になっておるようでございます。もちろんいろいろ先生の御指摘のような問題もあろうかと存じますが、かりにそれらの問題点が比較的解消するとすれば、これも一つの考え方ではないかと存ずるのであります。  なお詳細については運輸省から担当課長が参っておりますから御説明いたします。     〔発言する者あり〕
  83. 内海清

    内海委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  84. 内海清

    内海委員長 速記を始めて。
  85. 永光洋一

    ○永光説明員 ドライバー保険の、運転免許証に強制保険をするという問題につきましては、最近運転者事故防止に対する責任といいますか、自覚といいますか、そういう問題あるいは保険料の負担の公平というような観点から問題が出ておりまして、われわれとしても検討をしておる段階でありますが、御存じのように、運転者責任と現在の自賠法の運行供用者と申しますか保有者の責任が、民法七百九条と自賠法三条では責任要件が異なりますので、この点につきましての調整の問題、しかも保有者責任を非常に無過失的に見ております制度を民法七百九条の運転者責任に転換するということ自体は、やはり極論するならば時代の逆行ではないかという議論もございまして、一つの考え方としては車両の保険に加えてこれを補完するものとして運転者責任保険を加味する、そしてそこに保険料を徴収し、ある程度被害者に対する賠償を厚くする。かてて加えて運転者に対する責任の自覚を求めるということは考えられないか。この点についても責任の要件が違うので、非常に問題はあるわけでございますけれども、やはりわれわれとしてもそういう御意見がある以上当面の問題として検討したい、こういう考えで、先ほどのお話にもありましたように、今月の八日から自賠責審議会が限度ワクのアップと保険料是正並びに当面する問題について数回開かれると思いますので、その中で当面の問題の一環としてこの問題も議論される、こういうふうにわれわれは考えております。
  86. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 まだございますが、いろいろございますから、私の質問は一応これで打ち切らしていただきます。
  87. 内海清

    内海委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時六分散会