○吉光政府委員 私に対する御
質問、三点ございました。順を追って
お答え申し上げたいと存じます。
最初の一
自動車産業に対します保護政策と
安全性の問題でございます。確かに
自動車産業はすそ野の広い産業でございまして、したがいまして、これが基礎産業として相当重要な地位を持つべき産業ではないかという認識と、そしてまた
自動車産業が輸出産業として相当適格性を持っておる産業であるというふうな二つの前提に立ちまして、政府は
自動車産業の育成につとめてまいったわけでございます。そのために主といたしましては、体制整備を中心といたします
構造改善についての金融上の
措置と申しますか、これが一番の中心であったわけでございまして、その他の
措置といたしましては、いわゆる外資法に基づきますところの資本自由化等についての問題、あるいはまた関税の
関係、その他の
措置が並行的にとられておったわけでございます。ただ、こういうふうに基幹産業としてこれを育成してまいるということと、いま御指摘ございました
安全性の確保というものは、当然に
安全性の確保ということが大前提でございまして、したがいまして、今回のような
事故が起こりましたことにつきましては、私
ども、ほんとうに遺憾にたえないと思っておる次第でございまして、むしろ
安全性を確保し、要するに
品質、性能を売りものにするその
品質、性能の中には、当然
安全性というものが織り込まれた
品質、性能ということで、
自動車業界も考えなければならない当然の責務ではないかと思うわけでございます。したがいまして、今回の事件を契機にいたしまして、
運輸省のほうでもいろいろときびしい姿勢が出されておるわけでございますけれ
ども、私
どもといたしましても、この
運輸省の出されておりますきびしい
態度と全く呼応いたしまして、
メーカーに対するいろいろな
意味での指導行政をやってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
それから第二の、安全の問題と関連いたしまして、下請業界に対して
メーカーが非常にきびしくある、その点が今回の件に関連はしないかどうかという御指摘と、それからそういう下請業者に対する監督をさらに厳重にするための何かの立法
措置が考えられないかというふうな御指摘であったかと思います。確かに
自動車業界が国際競争力を強化いたしますために、自分も相当きびしく合理化要請にこたえますと同時に、
部品業界に対しましても相当きびしい合理化要請をしておったというふうなことを私
どもも想像することはやさしいわけでございます。まあ、そういう
意味で、
部品業界も相当きびしい合理化要請の中で成長してまいっておるというふうなことであろうと思うわけでございますけれ
ども、何と申しましても、やはり
自動車業界と
部品業界というのは、ほんとうに車の両輪のようなものでございまして、いずれか一方が立つという現象はあり得ないと思うわけでございます。御指摘のように、現在の
自動車部品のうち、大体内
製品が四割
程度、それから外注
部品というのが六割
程度というのが
日本の現状でございますが、特に今回問題になっておりますような
機能部品のほうの問題につきましては、内
製品が大体半分
程度、外注品が半分
程度ということではないかと思うわけでございますけれ
ども、これは各社によって違いますけれ
ども、ともあれ相当部分をそういうふうに外注に依存しておるというのが現状でございます。私も、先般も
自動車工業会の社長会に参りましたときにも、今回のようなケースの
措置につきましても、事後
措置の問題でありましても、このしわを下請業界、あるいは
部品業界にしわ寄せするということで解決してはならないということを、厳重に
注意いたしたわけでございまして、
自動車工業会といたしましても、今後そういう
部品工業会その他と、こういう
安全性確保という問題を中心にいたしまして、連絡協議会をつくって善処してまいるというふうな意向に伺っております。そういうふうな
意味で、この問題、こういうふうなことについて、下請業界に不当にしわ寄せされることがないよう、私
どもも厳重に
注意をしてまいりたいと思っております。
なお、いまの特別立法の問題でございますけれ
ども、現在ございます立法といたしましては、下請に対します代金の支払い遅延防止法という法律がございます。これは支払い遅延防止についてうたっておるわけでございますけれ
ども、同時にまた、その実質的な
内容等につきましても
調査権が発動できるというふうなことになっております。私
どもの中にございます中小企業庁とも密接に連絡をとりながら、この法の運用によりまして、ただいま御指摘されました点につきまして、将来とも厳重に取り締まりをやってまいりたいと考えるわけでございます。
それから第三の御指摘の、ディーラーの販売競争というふうな問題が今回の件に関連してはおらないかという御指摘でございます。確かに
自動車業界は、現在販売競争が激しゅうございます。したがいまして、ディーラーの中でも赤字で経営しておるというふうなところもあるわけでございます。この点は、今回のディーラー間におけるいろいろな競争というものが、直ちに今回の
欠陥車に結びついたというふうな因果
関係でつかまえることは、非常にむずかしいと思うのでございますけれ
ども、何と申しましても、やはりそういうもとにあります過当競争的競争事態というものは、これは厳に戒められなければならないわけでございまして、不当に値引きして売る、あるいはまた不当に高く下取り車をとるというふうなこと、これは流通秩序の面から申しましても、厳に戒めなければならない問題でございます。従来割賦販売条件、この
標準条件の設定、その他下取り価格につきましての適正化の
方法というふうなものを具体的に実施してまいっておるわけでございますけれ
ども、この機会にさらに、あらためてそういう流通秩序の確保という観点から、いままでの体系をもう一回再検討してみたいと考えております。