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1969-06-12 第61回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月十二日(木曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 内海  清君   理事 稻村佐四郎君 理事 大竹 太郎君    理事 山口シヅエ君 理事 板川 正吾君    理事 山田 耻目君 理事 河村  勝君       川野 芳滿君    河野 洋平君       丹羽 久章君    太田 一夫君       久保 三郎君    後藤 俊男君       松本 忠助君  出席政府委員         総理府総務副長         官       鯨岡 兵輔君         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 久保 卓也君         通商産業省重工         業局長     吉光  久君         運輸政務次官  村山 達雄君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         運輸省自動車局         整備部車両課長 景山  久君     ————————————— 六月十一日  交通安全基本法案久保三郎君外十三名提出、  衆法第二九号)  交通安全対策基本法案内閣提出第一〇七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 内海清

    内海委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。稻村佐四郎君。
  3. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)委員 私がここに質問に立ちましたのは、さきに当委員会をはじめ運輸委員会商工委員会関連質問のありました日産自動車ブルーバード並びトヨタ自動車コロナ車欠陥につき、次のような観点から心配をいたしたからであります。  一つは、今日わが国経済国民生産高において五十兆円をこえ、世界第二位に躍進をいたしましたことは御承知のとおりであります。その産業振興経済の発展は輸出の著しい増加にほかならないのであります。なかんずく輸出花形産業自動車であります。それがこのたびのような不祥事を起こしたことにより、他の輸出産業にも悪い影響を与えはしないかという問題と、それからいま一つは、交通戦争といわれ、毎年交通事故による死傷者が増加いたし、深刻な社会問題に発展している背筋の寒くなるような現実の問題を早急に解決をしなくてはならないと考えたからであります。  そこで、まず第一問といたしまして、運輸省自動車局長にお尋ねをいたしたいと思いますが、先ほど運輸省通達をお出しになったわけですが、その通達内容と、それに対するところの自動車工業会の返答についてお伺いしたいと思います。
  4. 黒住忠行

    黒住政府委員 本件に関します通達は六月六日付をもちまして依命通達の形式で自動車局長から日本自動車工業会会長日本自動車輸入組合理事長に出しております。  それは型式指定の車、そしてまた型式指定以外の車につきましても、以下申し述べるようなことに準じた措置をとるべきであるというわけであります。  その内容は、第一点は、運輸省令で、自動車型式指定規則というのがございますが、これの「第十一条第一項の変更承認を必要とする場合には、遅滞なく所定の手続をとる」ということが第一点でございます。  第二点は、「前項の変更承認を必要としない場合」すなわち、規則の要目には入ってない場合にありましても、「自動車構造又は装置について変更をする場合には、速やかに運輸大臣に対し届出を行なうこと。」というのが第二点でございます。  第三点は、一、二項の「自動車構造又は装置欠陥及びその改善措置については、早急に自動車使用者に対し周知徹底を図るための適切な措置を講じること。」ということを通達いたしました。それに対しまして、現在工業会輸入組合におきましては傘下の各事業者通達いたしまして、今後遺憾なきを期するということに相なっております。  それからもう一つは、六日に、今回の直接問題になっておりますところの日産ブルーバードトヨタコロナの件につきまして両社の重役を招きまして、次のような措置を指示いたしました。  第一点は、現在までの経過措置につきまして詳細な報告をしろということ、第二点は、現時点におきまして当該車につきまして未処理のものを早急に処理するための計画提出すること、第三点は、今回問題となっております以外のものにつきましても調査して報告すること、という三点を指示いたして、その三点につきましては、昨日日産トヨタ両社から詳細な報告がまいっておりまして、未処理のものにつきましては、おおむね八月中には処理する、それからそれ以外の現在問題となっておりますもの以外の車につきましても、両社から従来行ないました対策あるいは現在進行中の対策、現在進行中のものにつきましては、おおむね一両月の間にはこれを処置するというようなこと、それから本日の新聞紙上におきまして、現在問題となっております点を広く周知するということで、両社全国新聞広告を出すということで、けさごらんになったかと思いますけれども、そういう措置の回答が昨日まいった次第でございます。
  5. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)委員 それではいまの問題について計画、そういったものをあとでまたひとつの書類で提出を願いたいと思います。  ただいまのお話で了承いたしましたが、メーカーが公表する場合、その内容によってというのでははなはだ心もとない、消極的だと私は思うわけです。  そこで、きょうは運輸大臣が見えないわけですが、政務次官にひとつお尋ねしたいと思います。人命にかかる重大な欠陥車がある場合において、公表することを法的に——これは業者に公表せよといってみたところで、やはりなかなか思い切ったことは私はできないと思うので、法的に義務づけるという考えがあるのかどうか。公表するということを法的に義務づける、こういう問題について、ひとつお伺いしてみたいと思います。
  6. 村山達雄

    村山(達)政府委員 実は現在自動車事故報告規則という規則が出ておりまして、これによりますと、事故があった場合には、事故を起こした自動車使用者は都道府県を経由いたしまして運輸大臣にそれを直ちに報告する義務がございます。そうして運輸大臣はその報告に基づいて、これはたとえば人の身体あるいは生命に関係があるというようなことがございますと、直ちに事故警報を出す義務が、現行法規定されているわけでございます。事故がございますとそういうわけで事故警報を出しておりますが、ただ事故警報の出し方が、おっしゃるように、新聞へ出す、広く知らせるということをやっておりませんで、業者団体あるいはユーザー団体を通じまして警報を出して、その団体を通じて周知をはかっておる。メーカー側におきましてはそれに基づいて、警報をもらった場合、あるいは自分がみずから発見した場合に回収をやっている、こういう実態であります。したがって法的には義務づけられておるわけでございますが、いわばこの警報やり方そのものについて、いままでは団体を通じてやっておりますものですから非常にスピードがおそいということでございます。まあ今度は会社側がこういう広告を出しておりますけれども、今後は運輸大臣が出すというようなこともあわせ検討してまいりたいと思っているわけでございます。法的にはすでにできておるわけでございます。
  7. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)委員 国産車の場合は欠陥車発見して修理をするというようなことができますが、輸入車はどこでやっているのですか。輸入車欠陥車はだれが発見をしてだれがこれを処理するのか、こういうことはどういうことになっていますか。
  8. 黒住忠行

    黒住政府委員 輸入車につきましても型式指定によっている。相当多量に同一型式が輸入されます場合におきましては、国産車と同じように型式指定規則によりまして型式指定を行なっております。したがって国産車の場合と全く同じでございます。  それから型式指定によらないものにつきましては、日本におきまして車両検査を受け、登録を受けるということで一車ずつ検査をしておるわけでございまして、型式指定の場合あるいは検査の場合におきましてそこで一応確認できる。またその後におきます事故につきましては、国産車と同じように事故の場合に構造装置欠陥発見されますと、事故警報その他の方法でもって周知するということでございまして、使用過程に入りますと国産の場合と全く同様でございます。
  9. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)委員 いろいろ政務次官あるいは自動車局長等の話を聞いておりまして、まあわからぬでもないのですけれども、こういうふうに世間がいろいろ騒いでおるときに、もっと積極的に、たとえばユーザーメーカー官庁と三者合同検査機関をつくり、欠陥車早期発見事故防止という問題を解決するという考え方——いま聞いておると、わからぬでもないのですよ。ただしこれはいま言ったように、業者まかせでなく、とにかくメーカーユーザー官庁、こういった三者が一体となって、早期発見に万全を期す。こういう考え方についてはどうですか。
  10. 村山達雄

    村山(達)政府委員 おっしゃる点は、今後さらに研究を続けにゃならぬと思いますが、現在やっておりますのは御案内のように、型式指定に際しましては、もちろん保安上の見地から構造上のいろんな取りきめをしておりまして、それで検査をしております。なお、諸外国と違いまして二年に一回車検がございます。また六カ月に一回点検をいたしておるわけでございます。問題はその車の構造装置の安全について、さらにひとつ研究を進めるという研究面の問題がございます。  それからすでに型式指定になったあと欠陥発見するルートの問題がございますが、現在、先ほど申しましたように二つルートがございまして、一つ事故が起きますとずっとその原因を調査いたしまして、事故警報の系統でずっと流していく、そして改訳命令を出すというやり方がございます。なお事故に至らなくても、型式指定規則の上で構造が指定されておりますが、その構造変更する場合には運輸大臣承認を要するわけでございます。ただそれは、規則上の構造変更というのは、かなり何と申しますか大きな構造変化でございまして、たとえば今度のような回収して整備をやりかえるというのは、構造上の変化に該当していないのでございます。これにつきましては、今後規則等——今度はとりあえず保安上のものは指導上直ちに届け出ろ、こういう行政指導をいたしたわけでございますけれども、保安に関する問題については、たとえば規則構造変更に該当しなくても、今後はどんどん届け出義務を法的にきめる必要かあるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。そういたしますと、大体穴が全部埋まるんじゃないかと思います。  それから、なお構造上の安全の研究につきましては、現在運輸省船舶技術研究所の中で自動車の安全に関する部と、それから公害に関する部があるのでございますが、何ぶんにも船舶技術研究所の中にあるわけでございますので、今後はぜひこの研究体制を進めまして、自動車の安全とそれから公害のものを独立させまして、一つ研究所をつくるべきじゃないか、そして独立の研究所におきましては、安全それから公害の部だけでなくて、さらに事故が起きた場合の事故解析部というようなものを設けまして、強力にやはりこの研究体制整備していく必要があるのではないか。それらはいずれも組織、人員、予算に関する問題でございますので、ぜひひとつ来年度から実現をしたいと思っているわけでございまして、稻村先生にもぜひひとつ応援をお願いいたしたいと思います。
  11. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)委員 その問題はあと——大体いまあなたが言っているように、これだけ自動車が騒いでいるときに、船舶研究所があって自動車研究所がないというのだから、船舶の中に含まれているというんだから、これは話にならぬ。これは前後しておっても話が進みませんので、一応おおまかに運輸省姿勢というものについて、それからあとにその問題に私もちょっと触れてみたいと考えております。  運輸省姿勢についてお伺いしてみたいと思うんですが、産業立国輸出振興というにしきの御旗のために、業界を過保護し甘やかしてきたのではないかということと、自動車生産をされ、そのために走る凶器となって事故が起こる、事故が起こるから、事故防止するために国会に交通安全対策特別委員会まで設けて、いろいろな事故防止法律をつくらなくてはならない。どうも、この事故の元凶である自動車安全規制業者まかせになっているのではないか、それはさきに申し上げました輸出振興のにしきの御旗を振りかざされて、ぴしゃっとした監督指導がなされにくいのではないかと私は危惧しておるのであります。そこで、大臣運輸省としての姿勢をひとつまず最初にお伺いをしておきたい、こういうふうに思うわけです。
  12. 村山達雄

    村山(達)政府委員 自動車産業お話のとおり、最近非常にモータリゼーションの波に乗りまして、どんどん伸びる。そして現在、生産台数において世界第二位になってきたというのはお話のとおりであります。しかし、運輸省が受け持っております自動車行政の面は、やはり一つ構造上の安全の確保という問題でございます。それからもう一つは、自動車事業者につきましては、自動車事業というのを監督を通じまして、その安全を間接的にはかっていく、こういう二面があるわけでございます。  自動車構造上の問題といたしましては、先ほどから申しましたように、新車については型式指定をやっておりますし、それから中古車につきましては、点検基準とか、あるいは定期検査を通じまして、漸次保安基準整備してまいりまして、安全に関する措置について万遺憾なきを期しておるわけでございます。  しかし、何ぶんにもこの交通事故の問題は、構造上あるいは装置上の問題、あるいは業務運営上の問題だけにとどまらぬわけでございまして、御案内のように、道路も非常にまだ未発達で、交通がふくそうしているという道路整備の問題、あるいは環境整備の問題と大きくかかわるところがあるわけでございます。また、片方、交通規則の厳守という、いわゆる交通警察問題等も密接に関係があるわけでございまして、運輸省といたしましては、全力をあげまして自動車——何と申しましても、自動車産業はどうのこうの言ってみましても、やはり人命に越ゆるものはないわけでございまして、われわれは、そういう点はいささかも顧慮せず、安全確保上必要と思われる措置は、すべて遠慮せずにどんどん実施してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  13. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)委員 そこで、問題のブルーバードの問題ですが、これが三万台、コロナが三十万台、現在未回収、未修理として残っておると聞いているわけですが、(「百二十一万台だ」と呼ぶ者あり)そうですが、数字が違いますか。  そこで、この補修の終わるまで、この未回収米修理の車に対して補修か終わるまで運転を中止するとか、その他予測される危険に対して防止方法等ユーザーに対して適切な手を打っているかどうか、ひとつ自動車局長にお願いしたいと思います。
  14. 黒住忠行

    黒住政府委員 この両件とも、従来二、三件の事故が起きてはおりますけれども、まあ直ちに大事故を起こすというようなものではございません。しかしながらこれらの欠陥車危険性があるわけでございますので、この車につきましては、一般に周知徹底するということで、役所のほうも先般来いろいろ新聞にも公表しておりますが、会社のほうにおきましても、本日の新聞全国的に周知徹底広告を出しております。同時に、両車種とも八月の中旬ないし下句までには全部点検し、回収を終わるという計画でございますから、使う人たちにも注意をしていただきつつ、すみやかに回収いたしまして善処していきたい。かように考えております。
  15. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)委員 それじゃよくわかりました。  そこで、大口の輸出先であるところの、お得意でもあるアメリカでは、自動車安全規定というものは日本よりもはるかにきびしいというふうに聞いておるわけですが、当然、輸出先の国の安全基準に合った車を輸出しないときょうのような問題が生じてくると思われるわけですが、わが国でも、アメリカと同様の程度の規則を改正する用意があるかどうか、ひとつお伺いしてみたいと思います。
  16. 黒住忠行

    黒住政府委員 わが国におきましては、自動車構造装置基準になりますものは、道路運送車両法に基づく保安基準というものでございますが、この保安基準には詳細に必要な項目規定されておりますし、最近におきましても、逐次改正いたしまして、本日付でも五点ばかり改正をいたすことにいたしております。したがいまして、保安基準の面、車両検査の面、あるいは指定規則面等につきまして、わが国保安規則世界的に見ましても劣っているものではないと思っております。アメリカにおきましても、現在わが国の車が輸出されているわけでございまして、当然向こう規則にパスしているわけでございます。ただ、排気ガスの点につきまして、わが国におきましては一酸化炭素規制をいたしておりますが、アメリカにおきましては、特殊の風土のために、炭化水素規制をするというような点は若干異っておりますけれども、その他の保安面等につきましては、わが国レベルは劣っているものではないというふうに考えていますし、現に、輸出車はみな合格しておる次第であります。しかしながら、また世界的にも、たとえば公害防止面等につきましては、いろいろ統一的な研究等が行なわれておりますので、常に世界的レベルにおくれないように十分検討をして、今後保安確保をしていきたい、かように考えております。
  17. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)委員 そこで、各国では自動車の安全問題にどのように取り組んでいるかということを調べてみますと、西ドイツでは、自動車交通安全は、自主的にブレーキ改善にかかわっているという立場から、第三のブレーキとして、連続ブレーキ装置義務づけているということですが、実は、私も専門家ではありませんからわかりませんが、連続ブレーキというのはどういうものなのか。日本はどうなっているのか。また、これを義務づけるというようなことに用意があるのか。ちょっとこの点についてお伺いしてみたいと思います。
  18. 景山久

    景山説明員 お答えいたします。  連続ブレーキと申しますのは、長い坂をおりますときに、そのブレーキが焼けるようなことがないようにという意味のもののようでございます。実は、向こうの法規を調べてみたのでございますが、そういうような規定になっております。  それで、大型車を対象に考えているようでございますが、わが国におきましても、大型車ブレーキというものは非常に重要視いたしておりまして、道路運送車両保安基準におきまして、大型車につきましては、ブレーキの一部分がこわれました場合にも、残存ブレーキ——残存ブレーキ全部というわけにもまいりませんけれども、残存ブレーキがききまして、ノーブレーキの状態にならないようにという、いわゆる二重安全ブレーキというものを規定いたしているところでございます。
  19. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)委員 そこで、だからこれを義務づけて、連続ブレーキというものをつけるというふうに考えておるかどうかという問題があるのです。
  20. 景山久

    景山説明員 大型車の二重安全ブレーキにつきましては、保安基準義務づけております。それからすべての自動車の、長い坂をおりますときのブレーキ自体耐久性能と申しますか、これも保安基準におきまして、日本国内道路で走ります場合には通常の使い方で走りました限り、十分耐え得るものというふうに規制しておりますので、現在のところ問題がないかと思いますが、世界的に、ヨーロッパにもこういった自動車構造基準につきましての委員会がございまして、私どものほうも一昨年からこれに準加盟をして参加いたしておりますが、その場合におきましても、いろいろこういったブレーキの問題につきまして討議がなされておりますので、その辺の新しい技術の動向も見ながら、前向きの処置をしてまいるとか、いろいろ検討しておる段階でございます。
  21. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)委員 そこで次に、これは建設省になるのか、アメリカの場合、世論の批判を背景に、一昨年でございますか、自動車安全基準の憲法ともいうべき全国交通自動車安全法、並びにハイウエー安全法が施行されておりますが、その内容説明をしていただきたい。またその中で、日本としてもこういうことはぜひ模範にしたい、法律の中に取り入れたいと思うものがあったらひとつぜひ御答弁願いたいと思います。
  22. 黒住忠行

    黒住政府委員 御指摘の法律は一九六六年九月九日制定国家交通及び自動車安全法、ナショナル・トラフィック・アンド・モーター・ビークル・セーフティー・アクトというのが一つございます。これは交通安全ということが主でございまして、その中では自動車安全基準制定、改廃、国家自動車安全諮問委員会の設置、安全に関する研究の点、それから各州におきます中古車検査体制の充実の点、それから政府連邦基準適合の有無を検査する権限。その次に、今回のような車両欠陥通知について規定がございます。メーカー自動車または自動車装置に安全上の支障を発見した場合には、購入者にその旨連絡をしなければならない。その通知は、第一購入者書留をもって行なう。第二点は販売店書留または迅速な方法で行なう、その通知内容は、欠陥状況危険度修理方法等でございます。さらにメーカー当局欠陥状況を通報し、当局は通商上の秘密事項を除き、安全法目的遂行の助けとなると認めるときは公開をしなければならない。それからほかの項目では基準適合プレート表示、これはわが国と違いまして、アメリカでは州によっては検査の制度がございますが、ないところもありますので、基準適合プレート表示というふうな点、その他詳細に規定をされております。したがって、車両欠陥通知ということにつきましては、わが国におきましては自動車型式指定規則によりまして、届け出をし、その承認を受けるというふうな点がございますが、車両欠陥通知方法につきましては、これは非常に参考になるのではないかというふうに考えます。  それから次は一九六六年九月九日制定ハイウエー安全法ハイウエー・セーフティー・アクトというものでございまして、ハイウエーの安全、それから行政報告というふうに二つに分かれておりますが、これは各州道路交通安全計画の推進に必要な財政援助に関する点を主とした法律でございます。その中で、ハイウェー安全の中ではハイウェー安全計画という節がございまして、各州安全計画樹立義務、及び連邦政府承認義務、すなわちハイウェーの安全につきましては、各州ごとのもののみでは万全を期せられない。各州安全計画を樹立さすと同時に、連邦がこれを承認するというふうな規定があります。それからさらに第二節に、ハイウェー安全研究開発ハイウェー安全に関する研究のための予算について規定しております。これは、要するに各州で従来、ばらばらといいますか、各州ごとに行なっておりますものを、全体的に計画を推進する、そのためには財政援助をやるというふうな法律でございまして、若干わが国とは趣を異にするかと思いますけれども、わが国におきましても高速道路が発達してまいりました現在におきましては、総合的な安全計画というものは、やはり必要ではないか、さように考えます。
  23. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)委員 それでは時間が、三十分というようにお約束したものですから、重工業局長にもお尋ねしたいこともありますけれども、おそらく板川先生山田先生のほうからも聞かれると思いますので、重複してもいけませんから、自動車欠陥とちょっと違いますが、きょうは警察庁の方もお見えになっておりますので、お伺いしたいと思いますが、去年一カ年でどれくらい運転免許の試験を受けられたものか、また、その中で何人くらい合格をして免許証を交付されたものか、ちょっとお知らせ願いたいと思います。
  24. 久保卓也

    久保政府委員 昨年一年間で八百五万人受験をいたしまして、そのうち三百四十五万人合格して、免許証を交付しているというのが実態であります。
  25. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)委員 三百四十五万人、そこで、これは私の思いつきですが、実地試験で免許証を交付されるわけですけれども、その中でいろいろ能力の違いがあると思うのです。それを一級とか二級に分ける、そして一級ならば百二十キロのスピードは出せる、二級ならば百キロまでしか出せない、こういうようなことは、思いつきですが、どうでしょうか。
  26. 久保卓也

    久保政府委員 現在のところでは、一種、二種と申しまして、二種の場合が営業用の免許でありますので、厳密な検査をやっておりますが、おっしゃいます点は、高速道路なんかに関係してのスピードに区別をつけてはどうかという御提案のようです。そこで、私どものほうとしても、考えられますことは、百キロ程度の運転についての講習をやらにゃいかぬ、あるいは試験をやらにゃいかぬという問題があるわけですが、まず第一に、百キロ程度の運転試験場をつくります、その試験場を確保するところに問題があることと同時に、実際に問題になりますのは、たとえば追い越しのときでありますとか、あるいは右ハンドル、左ハンドルを切るときにうまくいくかどうかということでありますが、もし間違って事故を起こしたのでは、講習なり試験なり、そのものが成り立たないというような問題があります。したがいまして、どうも実際上そういった百キロ程度の試験場をつくるということ、あるいは自動車学校をつくるということ自体に問題があるように考えられますので、それに対する代案といたしまして、むしろシミュレーターのようなもの、つまり映写をしながら自分でハンドルをとらせて、それで追い越しをやってみるとか、カーブのところで運転させてみるとかいったことのほうがより実際的ではなかろうか、現在ではそういったものがありませんので、これを研究し、開発させることを、昨日でありますか、命じまして、研究を始めたところであります。
  27. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)委員 これはいま申し上げたように運動神経の発達という問題も、私は相当個人の差があると思うのです。また運転技術にも私は優劣が相当あると思うのです。ところが日本の場合は免許証を受ければ一人前で、やはり飛び出して出れるわけですよ。そこでフランスの場合ですと、免許証交付後一年以内はスピードを出してはならないという制限の規則を設けてあるそうですが、こういう問題はどうですか。日本の場合は一年以内はもう絶対にスピードを出してはいけないとかというふうな何か規制をするということはできないのですか。
  28. 久保卓也

    久保政府委員 フランスの場合はたしか八十キロでありますか九十キロでありますか、うしろにマークをつけて制限をしているそうであります。そこで、現在の高速道路での事故というものは大部分が運転未熟のものでありまして、百キロのスピードになれないがための事故であります。したがって初心者については、たとえば一年以内は八十キロしか出してはいけないというふうに高速道路についての制約を設けることも適当ではなかろうかという気がするわけでありますが、全般的にそういった制限を設けることが妥当であるかどうか少し考えさせていただきたいと思います。おもしろい提案だと考えております。
  29. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)委員 考えていただくということよりか、免許証交付に対して基準をもっと厳格に、ひとつきびしくしてもらいたい。そうしませんと私は、交通事故防止と申しても、どういう法律をつくっても、なかなかむずかしいと思いますので、基準をきびしくするということと、先ほど来申し上げたところの運動神経の問題または運転技術の優劣の問題あるいはいまフランスの例を申し上げましたように、一年以内は、どんなにあれだといってもやはり経験というのは相当大きなものだと思いますから、ぜひひとつこういうことを実行していただきたいというふうに考えております。
  30. 久保卓也

    久保政府委員 試験の基準につきましては外国のようにもっと軽くしろという意見ともっときびしくしろという意見と両方ございますが、私どものほうとしてはむしろきつくする方向で考えたい。そこで現在自動車学校に対しまするカリキュラムの制定を私どものほうで厳密に制約をつけることにいたしまして、警視庁の場合では六月、一般の全国では七月から実施し、かつ四段階に分けまして、その段階ごとに各学校でチェックするというような考え方でおりますが、現在の試験そのものにつきましても、おっしゃるような方向で検討してみたいと考えます。
  31. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)委員 まだお伺いしたいことはありますけれども、時間の関係ですからまた次に飛ぶわけですが、今度の欠陥車の問題で一番大事なことだと思うわけですが、新型車やモデルチェンジした場合、自動車六法の中で自動車型式指定規則に基づき新型の審査をされるわけです。そこで審査がどういうところでチェックをされているのか、新型車のチェックをする場合、これがいいか悪いか、ここがどうだああだということをチェックされている場合はどこでやられておるか、自動車の安全のための憲法ともいうべき道路運送車両保安基準にのっとっておやりになっておるわけだと私は思うが、そこで新型車が出た場合、一台を検査をされるのに何人で幾日くらいかかるのかということをひとつお伺いしてみたいと思います。
  32. 黒住忠行

    黒住政府委員 ただいま四十三年度におきましては型式指定にかかわるものが百三十件ございます。型式指定一件のネットの処理人口は四人目でございます。それで現在本省におきましては十人がこの仕事にかかっております。型式指定をやる場合におきましては主要諸元表、外観図、検討書、明細諸元表等を調査しますとともに、試作車につきまして、場合によりましてはメーカーの所在地に行って調べる、あるいはさらに技術的詳細な検討を要します場合においては船舶技術研究所調査をするというふうなやり方をやっております。  それから、なおこれに並行いたしまして、自動車メーカーのほうにおきまして型式指定後の完成検査の体制が十分であるかどうかというふうな点等につきましても調査をいたしておりまして、個々の車につきましては、ただいま申し上げましたように図面とそれから現車につきまして調査をしておるような次第でございます。
  33. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)委員 十人くらいで、百三十件でしたか、これだけの件数をこなすということはなかなか無理だと私は思うのですよ。これに増員をする考えはどうなんですか。
  34. 村山達雄

    村山(達)政府委員 ぜひ増員したいと思っておりまして、来年はその予算要求をするつもりでおります。
  35. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)委員 それで了承できたわけですが、いよいよ時間の関係もございますので、最後に政務次官にひとつお尋ねしたいと思うわけです。  さっきの自動車研究所の問題ですね。これは調べてみると船舶技術研究所の中に一部間借りというか、借りて細々やっておるという問題を、今年度は五千万ぐらいのあれだったと思うのですが、来年度からでなく、いま直ちに——これはいろいろな問題があるでしょうが、直ちに間借りから本舞台のほうに移す気持ちがありますか、どうですか。
  36. 村山達雄

    村山(達)政府委員 先ほどもお話ししたとおり、これはぜひとも、自動車の安全それから公害問題をまとめまして独立させる必要があると思っております。ただすぐというわけにはなかなかいかないことは御案内のとおりでございまして、やはり予算を伴う、それから組織の変更、人員の増加を要するものでございますから、来年度からぜひやりたい、かように思っておるわけでございます。それまでは部内でやりくりいたしまして、できるだけの措置を講じてまいりたい、かように思います。
  37. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)委員 ただいま質問を通じまして自動車の安全の問題、交通安全対策等々の問題について積極的に運輸省はじめ警察庁が取り組んでおられることがよくわかりました。安心をいたすわけでございます。今後もひとつ意欲的に先憂後楽の精神で取り組んでもらうことをお願い申し上げて私の質問を終わりたいと思います。
  38. 内海清

    内海委員長 山田耻目君。
  39. 山田耻目

    山田(耻)委員 昨日、東名高速の安全状態の視察をいたしましていろいろ感じ取ったこと、改めなければならないことなどの気づきがありますので、東名高速安全対策の問題から質問に入りたいと思います。  お伺いいたしますけれども、五月二十六日に東名が全線開通をいたしまして今日まで十五、六日になりますが、新聞などでも伝えられておりますように、非常に事故が多い。しかも山北−御殿場間は工事自体もむずかしかったようですけれども、この間にあります都夫良野隧道、吾妻隧道、トンネル内事故もきわめて顕著である。こういうふうな状態をどのようにしてこれから無事故に向かって片づけていくのか、重要なことだと思います。したがいまして、全線開通以前、部分開通の当時からの事故の状態、全線開通以後の事故の状態、できましたら事故の類別を含めて御回答いただきたいと思います。
  40. 久保卓也

    久保政府委員 事故件数そのものを申し上げますと、五月の二十六日から六月の八日まででありますが、この間で人身事故で三十九件、死者が四名、負傷者の数が七十四名、物損事故が六十六件であります。ただいま申し上げましたのは八日まででありますが、中身を検討いたしましたのは四日まで、つまり十日間でありますけれども、このうちで、車両相互と車両単独の事故の数は、車両相互は三十三件、車両単独は四十九件、この点は再々申し上げておりますけれども、一般道路の場合には車両単独が一で車両相互は九という割合になっておりますけれども、この場合で見られるように、車両単独の事故が非常に多いということはやはり安全運転が未熟であるとか、運転技術が未熟であるというように考えております。  たとえば原因で見てまいりますると、ハンドル操作の不適当、あるいはブレーキ操作の不適当、わき見運転といったような事故が多いわけでありまして、全般的に申し上げれば、運転技術がまずいということと同時に、高速道路に出かけていわば物見遊山と申しますか、周辺の景色を見るといったような面でのわき見運転が非常に割合が多いということであろうと思います。全般的に申し上げれば、やはり高速道路について運転者がなれていないということが最大の原因であろうというふうに考えております。
  41. 山田耻目

    山田(耻)委員 日本における代表的な高速道でありますし、東名、名神、中央高速道とこれ以外に高速道はまだございませんし、それだけにドライバーも高速道になれていないということもわからないことはありません。しかしながら、こうした高速道になれていないのでこれを熟知徹底をさせていかなければならない。たとえば事故の原因調査の中で、タイヤの不良だとか、あるいはガソリンの不十分なタンクの状態だとか、そういうことによる——これは人体損傷事故には直ちに結びつかないにしても、事故がある。これも一般ドライバーが高速道路に無知なるがゆえに生ずる一つの損害、傷害だと思うのですね。こういうものに対してどのような教育、どのような理解を深めるための措置をなさっておるのか、お伺いをしたいと思います。
  42. 久保卓也

    久保政府委員 この六月及び七月から始まりまする各自動車学校の教程、カリキュラムの中で、この高速道路における運転技術を習得させるという科目を設けております。さらに問題は、現在免許証を持っている運転者に対する再教育の問題でありますが、これにつきましては免許証の更新の機会、これは年間約二百万くらいございますが、そういったような場合、それから各県にあります安全協会におきまする教習、そういったような機会を利用しまして運転者の再教育に臨みたいという考えであります。さらに道路公団及び自動車工業会でもって高速道路における安全運転のパンフレットをつくりましてこれを無料で各インターチェンジで配布するというようなことを考えておりますが、その他なるべく多くの機会をつかまえての安全教育に対するPRを行ないたいという考え方でおります。
  43. 山田耻目

    山田(耻)委員 それが今日不足をしておるために——一般ドライバーはだれも事故をやろうと思ってやる人はおらないのですから、そういうことのPRなり教育が不徹底なるがゆえに起きている事故、こういうものが多くあるわけですから、いまおっしゃっているように教習過程で教育する。すでに免許証の所持者に対しては自動車工業会なり高速道路の管理者なり、それらの手を通して十分徹底するようにしたいと思うのでなく、早急にしなくてはいけません。大体きのう聞いてみますと、一口に八件ないし十件の事故がいま起こりつつあるそうです。それほど余裕のある徹底のしかたではいけないと思いますから、すみやかにやる、具体的にどうするというお考えなら、すみやかにやるという立場でもう一度答えていただきたい。
  44. 久保卓也

    久保政府委員 私どもの立場からいたしますれば、すでにそのことを通達いたしました。それから先ほどのパンフレットにいたしましても印刷ができておりまして、東名と名神のほうに配布をいたしております。私どもとしましては、さらに道路公団のほうとお話をいたしておりまして、現場における警戒標識をどういうふうにつけるかという問題を早急に解決いたしたいと思っております。
  45. 山田耻目

    山田(耻)委員 ひとつ早急にやっていただきたいのですが、さらに私が申しましたように、事故が多いのですから、たとえは新聞その他によっていわゆる高速道路を走行する場合のドライバーとしての心がまえ、車体としての具備すべき条件を申し上げております。タイヤとかガソリンとかこうした問題は発生している事故の類別を見ますと明確でございますから、そういう事柄をピックアップして、新聞などによって十分ドライバーに徹底できるような方法を、最近ラジオを聞きますと交通事故情報というのをやっておりますけれども、起こった事故からお互いが自戒をして事故を起こさないようにするという方法もあるでしょうけれども、事前にラジオ等を通じて高速道路に入っていくドライバーに呼びかけていく、こういうふうに万全の策を講ずるということはお考えになりませんか。
  46. 久保卓也

    久保政府委員 私は関係者でありますので、特に気がつくせいかもしれませんけれども、新聞にもずいぶん出していただいておりますし、ラジオ、テレビでも相当出ておるのではなかろうかと考えますが、なおそういった点での徹底は、さらにわれわれの周辺にありまするマスコミを活用して行ないたいと考えます。
  47. 山田耻目

    山田(耻)委員 それでは、それはひとつ早急によく徹底できるようにやっていただきたいと思う。  あなたのおっしゃるように、事故の類別の中で、高速道路に未熟なるがゆえに起こる事故というのが多く占めておるとおっしゃっているから、それを防ぐためには、いまのようなことを十分ひとつ透徹せしめていくという立場を、まだ不十分だからそうなんでしょうから、徹底していただくように重ねて強く要望いたしておきます。  それから、いまのは高速道路に未熟なドライバーが起こす事故だと、責任がそちら側に転嫁をされて言っておるのですが、きのう路線を見せていただきました。路線自体に問題は全然ないかという立場から見たら、私はそうは言えないと思います。特に大井松田−御殿場間を見まして、都夫良野トンネル、吾妻トンネルですが、このトンネル内事故というものが、二十六日に開通して、六月三日までの九日間に都夫良野で十件、吾妻で八件、合計十八件のトンネル内事故を起こしていますね。これをきのう見ましたところ、都夫良野隧道の中で三カ所くらい隧道の壁がまだ修理が整っていません。非常に新聞なりテレビなどで報道いたしますから、先週の土曜ちょっと現場を見に私行きました。そうしたら、都夫良野だけで八カ所くらいトンネル内の壁がこなごなに破れておりました。きのう私たちが調査をするというので、応急修理をなさって、二、三カ所は間に合わなかったんじゃないかと思いますけれども、いろいろと現地の事情なり道路公団の意見を聞きますと、ドライバーだけに責任はなさそうに思いますけれども、一体どのようにお考えですか。
  48. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 これは、御承知のように大井松田から御殿場がああいう地形でございまして、道路をつくる際に非常に困難をきわめたところでございます。道路につきましては、一般的に言えますことは、やはり見通しをよくするということがまず必要かと思います。それには曲線を入れるにいたしましても、非常に半径の大きな曲線か必要かと思います。またそういうような半径の大きな曲線が入らない場合は、やはり先方を見通しできる視距を計算いたしまして、それに合うような一つの走行の速度、これが実際行なわれておる速度制限の問題も、やはりそういうものを加味して運転の安全を期していかなければならないと思います。いま言いましたように、やはり道路そのものをつくる場合、地形上の制約もございますし、またその地形上の制約をなるべく技術で補うにいたしましても、いま言いました安全に運行いたしますには、それに合った制限の速度というような形で交通の安全をはからざるを得ないというような見地でいまの道路を設計しておるわけでございます。ただ、非常にここで問題になりますのは、私たち机上で、ここでは先の見通しの視距かこれだけしかないから制限速度はこれでございますということを簡単に言いましても、それが実際守られなければいけない。これは守るという点からいいますと、運転する人のドライバーの、モラルもあるかと思います。しかし、もう一つは、モラル以外に、それが守れなければ、自分もあぶないというような一つの環境があると思います。たとえば幾ら直線カーブで制限速度をいたしましても、見通しがよければ、こういうところはもっとスピードを出してもどんどん走れるというような感じをドライバーは持ちやすくなります。またトンネルの中その他にもちょっと問題があるかと思います。と申しますのは、自分が走っておる速度についてあまり外の景観等とあわせまして速度の感覚がなくなるというようなこともございまして、やはりそういうものに対しては、ことにトンネルの中では——これも一つの私見でございますが、五十メートルというような距離が簡単にドライバーがわかるような、トンネルの外でいいますとデリニエーターの設置の間隔とか、またトンネルの中でいいますと、ああいう横線にずっと入っておるような形をどっかで五十メートルか百メートル置きくらいに縦線を入れて、速度に対する感覚を持たせるというようなことも、今度のいろいろ経験からかんがみまして、私たち今後検討しなければならぬ問題だと思います。  そういうこととあわせまして、やはり道路の設計は単に——規制ということも必要でございますが、規制以外にドライバーの心理というものも考えていかなければならないというふうに感じております。
  49. 山田耻目

    山田(耻)委員 線形については、地形のこともありますし、財政的なこともあったのじゃないかと思いますけれども、これが非常に計画的なカーブを眠けざましにおつくりになったというふうなうわさも飛んでいるわけです。これは発想は別としても、線形はよくない。このことだけはあなた方も御理解いただいておるのじゃないかと思いますね。ただ問題は、線形が不十分だから、道路構造道路設計は八十キロまで、だというふうに押えられていると聞くわけです。だから問題は、八十キロをこえると線形の現状から事故が起きる。こういうことは当然道路の施行者としてもいえると思うのです。だから、こうした状態の中で、ドライバーが速度厳守をするように注意を求められるという気持ちは、私はわからぬわけではない。そのとおりやられていたら事故は起こらぬでしょう。ところがたまたま東名高速の中で、あの地域だけが高速道路基準速度である百キロを二十キロも割っておる。ここに一つのドライバーの観念がありますよ。一般平地を走る場合も六十キロで制限をしています。あるいは市街地は四十キロないし五十キロで制限をしています。、ドライバーの心理というのは六十五キロなり七十キロ出しておっても、注意をしておれば事故は起こらぬし、警察にとがめられなければ制限速度をこえて走ってもまあ何とかうまくいったというふうな感じが間々あるわけです。それはドライバーと制限速度との関係です。道路構造道路設計というものは、六十キロの制限をしておろうと四十キロの制限をしておろうと、七十キロ、八十キロの走行にたとえていく。それが日本のドライバーの先入感であるし、道路自動車の制限速度との相関関係なんです。ところが東名高速のこの山北−御殿場間のみはそういう常識が当てはまらない。道路構造自動車の速度制限とが当てはまらない。八十キロをこえたら事故を起こすという道路構造道路設計になっておる。それにかてて加えて警察署の速度制限も八十キロである。自動車の速度制限が八十キロで、道路構造道路設計が八十キロで、一体これは道路管理者あるいは自動車の速度制限を規制する警察庁として適当であるかどうか、私は疑問を抱きますよ。いかがでございますか。
  50. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 道路を走ります場合に安全に走れる速度というのは、先ほど言いましたように、やはり前方の見通しがまず第一かと思います。前方を見通す視距がなければ速度が出せない。またカーブのところに参りますと、あるカーブを車が通ります場合は、遠心力で外側にほうり出されることになります。そういうものを防ぐために舗装に、道路の縦の方向に勾配をつけるわけであります。これはやはり車の速度を考えまして、速度が非常に高くなりますればそういう勾配——これはわれわれカントといっています。カントをきつくしなければならないということになります。しかし、また逆にそういう速度よりもっと低い速度で走れば、これはカントがきつくて今度は内側のほうに引かれるということにもなりまして、カーブの点においてカントをつけます場合には、われわれはやはり標準的な走行の速度を考えざるを得ないのでございます。こういうものと視距を考えまして、八十キロで走れるような構造にするわけでございます。  ただこの問題は、八十キロが九十キロになれば必ずすべるというような問題でございませんで、やはりそういうカントをつけます場合には、すべりも、さらにほかの抵抗も増すようなくふうをいたしまして、設計のスピードより低くても支障ない、また多少高くても支障のない、そういうアローアンスを持った形で施工するわけでございますが、やはり一般的にどういうような速度で走っていただきたいというようなものを一つの制限の速度といたしまして、それで道路をつくっておるわけでございます。  そういう意味でございますので、私たちこれはそういう道路構造から警察庁といろいろ相談いたしまして、この道路はどのくらいの制限速度にすべきかというようなことで、制限速度を出していただいておる状況でございます。
  51. 山田耻目

    山田(耻)委員 いろいろと曲線が多い。あるいはスリップをする、そういうふうな事故が八十キロをこえた場合は非常に起こる可能性が強い。そういう線形である。そういう地形の中につくられた高速道路である。これが道路施行者のあなたの立場、私はそれはそれでいいと思いますよ。そのことは端的にいえば、少なくても山北−御殿場間というものは、高速道路一般の概念から見る高速道路として見たくないですよ。いまあなたのおことばの中に私は少し気になるのだけれども、八十キロをこえて走っても事故を起こす、そういうふうな道路設計ではない。しかし起る可能性はきわめて強い。全くでたらめだと思うのですよ、道路施行者としては。事故が起こる可能性がきわめて強いということは、八十キロ以上スピードを上げてはならぬという道路設計である、この立場を持ち続けない限り事故は絶えないのですよ。きのうは道路公団の説明を聞きますと、道路設計は八十キロです、これ以上は出せないのです、一応の許容量というものはそこに目安を置いております。高速道路としてのていを備えている、備えていないのは別として、私はその答えに満足をしているのです。だけれども八十キロをこえてみたって悪いことはないのだ、起こる可能性が強いのだ、こういうことを道路局長が答えてくれるようでは私はいけないと思うのです。問題は、やはり東名高速の中で山北−御殿場間というものは線形が悪い。スリップの可能性がきわめて強い。雨降りにはたいへんだ。だから道路構造としては八十キロ以上だしてはいけないのだ、こういう立場を建設省は強くおとりにならないといけない。  そういたしますと、今度は警察関係ですけれども、なぜ警察関係はそういう道路の許容限界というものを知りながら八十キロまで速度を認めたのか、その点についてひとつ答弁をいただきたいと思います。
  52. 久保卓也

    久保政府委員 スピードの制限と申しますのは、ただいま道路局長からお話がありましたように、私どもの理解といたしましては、少なくとも八十キロは出してよろしい道路であるという感じで受け取っておるわけであります。したがいまして、全般が百キロでありまするので、その車の流れとそれから道路の許容量との関係からすれば、建設省ともお打ち合わせの結果八十キロで適当であるという考え方であったわけでございます。
  53. 山田耻目

    山田(耻)委員 ところが事故が非常に多いのですよね。あなたのほうと建設省との相談の中身が非常に机上的であった。実際に全線開通して商売を始めてみると、きわめて事故が多い。二十六日から六月三日までの九日間で、この間の事故というものは二十九件に達しておるでしょう。全体で八十二件、この区間に事故が集中されておる。それは何かというと、道路の設計上道路構造に見合わない速度で走っておる。しかも都夫良野にしても、トンネルというのは道路の勾配の上がり切ったところに大体あるわけですね。勾配を上がっていくのに八十キロという速度で上がっていって、上がり切ったところで百キロ出すというドライバーは私はいないと思うのです。そしてトンネルの中でスリップをしてトンネルの壁にぶつかってけがをしておる。開通した二十六日、一日だけでこの都夫良野隧道で十件、一日ですよ。吾妻トンネルで八件、一日だけで事故をやっておる。こういうことは、一つ道路構造と制限されたスピードの不調和、ここの中に為政者の責任があるということも自覚しなければいかぬです。ドライバーが高速道路に未経験である、未熟である、そういうところに私は責任を転嫁をしてはいけないと思う。いま直ちにこの道路設計をやり直しなさいということにはならぬでしょう。将来御検討をいただくにしても、しかしいまやり得る方法一つある。それは交通局長のほうで認識の誤りを理解されて、もっと速度制度を落していく。それはドライバーの自覚に求めるということも大事でしょうけれども、許された限界というものを下げて安全運転を求めていく。これならすぐできるでしょう。一体どういうことになりますか。
  54. 久保卓也

    久保政府委員 私はこの大井松田の先のトンネルで事故が続発いたしましたときに考えましたことは、一つには八十キロの制限を六十キロに下げてはどうかということと、もう一つは追い越し禁止をかけてはどうかという二つの点でありました。そこで六十キロの問題につきましては、建設省道路公団のほうでさっそくにこの舗装の改良を行なわれましたので、この結果をまちたいということで、制限を落とすことをいま控えております。  それからなお私のほうでは、五月二十六日に開通いたしました日から六月二十五日、この一カ月間にかけまして通常と違った事故分析を一件ごとにやってみまして、その成果を見ましてもう一度考えてみたいと考えております。
  55. 山田耻目

    山田(耻)委員 いまあなたのおっしゃった隧道内の舗装ですね。これは建設省のミスですから別に取り上げるのです。  いま私が申し上げておるのは、道路設計、道路構造と制限速度の関連さして聞いておるわけです。きのう現地を見まして、ああした構造では、いわゆる速度許容が八十キロしか道路設計がない、それを越すと事故を起こす可能性がきわめて強い、こういう道路上の走行に対して八十キロ、限界一ぱいの速度制限を許可しておるということに、そぐわない問題がある。だから、道路設計上、道路構造上から制限速度というものを再検討する必要があろうというのです。これを聞いておるのであって、いまの都夫良野隧道なり路面上の舗装については、これはまたあらためて後ほど聞きますから、いま私が申したのはそういう状態に対する回答を求めております。
  56. 久保卓也

    久保政府委員 私どもが認識いたしましたのは、この隧道での事故がスピードに基づくものであるのかあるいは舖装に基づくものであるのか、その点が必ずしも明確でなく、むしろ舗装に基づくものでなかろうかという印象が強いものでありますので、その点スピードのスローダウンということを報告を見ましたわけでございますが、なお道路公団のほうでこの隧道内における事故分析をわれわれとまた別個におやりになるそうでありますので、それとあわせて考えたいと思いますけれども、ただいま先生が言われましたように、もし八十キロの制限を越える場合には事故が強く起こる可能性があるということが確かであるならば、これは考えねばなりませんので、建設省ともその点は、技術的な問題もありますので、お打ち合わせをいたしたいと考えます。
  57. 山田耻目

    山田(耻)委員 道路局長のほうは、道路設計、道路構造上八十キロを越えると事故の起こる可能性が非常に強いという立場を建設省としてこの国会で述べておられるのですから、それをあなたのほうもやはり受け取っていただいて、その道路構造に見合う速度制限をやる。これはやはり、申し上げたように、まだきょうはどれだけ事故が起こっておるかわかりませんけれども、きのうまでは一日平均十件程度起こっておるのですよ。やはりこういうきびしい現実を直視していただいて、私は国会で理論論争をやろうとは思いません。交通安全というものは、個々の発生する事案をどう解消していくかということのほうが中心なんです。そういう意味では、道路構造が、八十キロを越えたら事故を起こす可能性がきわめて強いといっているのですから、それに見合うような速度制限をしていく、この立場はひとつ久保さんのほうでもぜひともおとりいただきたい。そういう意味からひとつ善処をお願いします。  それからいま一つは、隧道内の追い越しが可能なんですね。これは幅員があれば可能だということになります。しかし、かつてドライバーの常識、なかなか隧道内の追い越しというのはできないものというふうに理解をしております。それを行なっていって起こした事故というものもあるわけです。私はやはり高速道路に熟練をするまでは隧道内の追い越しということは中止したほうがいい、こういう気が強くいたしておるわけです。それと同時に、隧道内の路面の舗装でございますけれども、これはサルビアシム工法とかいうむずかしい名前で、これはフランスの特許だそうでありますけれども、これをお使いになる。これは私は建設省のミスだと指摘をいたしましたけれども、この路面の舗装というものと追い越しというものとは事故の因果関係には直接関連があるでしょう。しかし、車両運送という立場から見たら、隧道内の追い越しはまず熟練するまでやめておくということと、建設省のミスということについて、それは関連さしてもらってもいいし、してもらわなくてもいいけれども、警察庁のほうは隧道内の追い越しはここ当面やめる、こういう一つ措置をなされる用意があるかどうか、それから建設省のほうは、いまのフランス工法というものに対するミスをお認めになるかどうか、それぞれひとつ御回答いただきたいと思います。
  58. 久保卓也

    久保政府委員 先ほども申し上げましたように、私も、トンネル内の、特に都夫良野及び吾妻トンネルの追い越しを禁止してはどうかという発案をしたわけでありますが、ただ都夫良野の場合に、一・七キロありまして、この場合に交通渋滞がどの程度起こるかというような問題もあります。そして、追い越しをしない場合には右側の線をどういうふうに使うのかというような問題もあります。これは車がふくそうしてくればそれを通行すればよろしいということもありますけれども、非常に距離が長いものですから、追い越しと実質上同じようにならないだろうかというような問題もあります。さらに問題なのは、都夫良野と吾妻とだけについては追い越しを禁止するけれども、同様のトンネルが他の高速道路にもあるわけです。これをどうするかというような問題もあります。  したがいまして、私は、現在これをすぐに追い越しを禁止するということではなくて、道路公団及び私どものほうの交通事故の分析を六月一ぱいかけてやりまして、その結果をまって、追い越しの禁止についても措置をするかしないかを結論を出したい、かように考えております。
  59. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 トンネルの中の舗装の問題でございますが、これは私たちいろいろ道路の舗装の研究をしております。これはいろいろ経済的な問題もございまして、現在アスファルト舗装がよく使われております。アスファルト舗装については、御承知のように、黒い舗装であります。トンネルの中はなるべく明るくしようということもございまして、白色の明色性のいい舗装を研究しておったわけでございます。たまたまそういうときに、フランスのサルビア舗装ですか、これがありまして、これを現在東名高速ではまず静岡の日本坂のトンネルで使っております。また、神奈川の大和トンネルに使いまして、これは昨年開通をいたしまして、その実績を見ますと、特にこの舗装が明かりの点、明色性では非常にいいということで、これをいまの都夫良野にまた使ったわけでございます。問題は、やはりこれ以外のアスファルト舗装の場合には、場所によりましてはダースアスファルトを使ったり、またゴム入りのアスファルトを使いまして、非常に摩擦抵抗を強くしておったわけでございます。また、そういう摩擦抵抗の上から見ますと、これは道路構造令からいいまして、特に舗装の摩擦抵抗を幾らにしなければならないというような規定はございませんが、私たちが道路を設計いたします場合に、先ほど言いました前方見通し、視距——前方に障害物があって、そこでブレーキをかけて何メートルぐらいまでにとまるというような計算をするときには、やはり路面の摩擦抵抗というものが必要になってくるのでございまして、そういう計算には大体摩擦抵抗〇・三くらいのもので計算して、おるわけでございます。このサルビアシム舗装も、そういうわれわれの計算しておる摩擦の程度からいえば、十分〇・三ぐらいはございます。そういう意味で、特にこの舗装が、いまの道路の視距の設計、それから大きくはずれるものではございませんが、私たち、やはり事故の現実を考えますと、もう少し摩擦抵抗をふやしたいということで、いま都夫良野トンネル、吾妻トンネルについても、摩擦抵抗をふやす仕事をしたわけでございます。そういう意味で、設計上誤りということよりは、私たちはやはりもっと安全なものにしておこうということで改造をしたわけでございまして、その辺いろいろ議論はあろうかと思いますが、私たちの真意はそういうところでございます。
  60. 山田耻目

    山田(耻)委員 交通局長のほうにこれは私のお願いということになるかもしれませんが、六月一ぱい検査していろいろ検討してきめていきたいとおっしゃる気持ち、これはおやりになっておるあなたの側としてはそこまで検討なさりたいということはわかりますが、しかし従来いろいろ検討する、そうしてできるだけ科学的にデータを集めたいというふうな答弁は、この委員会だけでなく各所にあるわけですけれども、やはりその結論が出てくるのは二、三カ月あとなのです。あなた方が六月一ぱいやって結論を出して、七月一日からすぐいずれかに実施に踏み切るとおっしゃるほどの、たいへん申しわけないけれども、警察庁の能力はないのじゃあるまいか。やはり七月か八月になってから結論が出る、こういうことでは、事故を未然に防いでいくという交通安全の立場からそごを来たすわけです。ですから、従来の隧道内における運転の観念、この観念を一番最初に御説明のございましたように、高速道を走るドライバーが未熟である、ここに責任を転嫁している部分があるのです。あるいは私は未熟である部分を認めますよ。それは一つは従来のドライバーの運転感覚、隧道の外で飛ばす速度を隧道の中に入ったら落とす、そうして追い越しはできないのだ、こういう観念がずっと持続してあるわけです。まあフランス工法がどうかということは後ほど申し上げることにして、私の想像ですよ。八十キロの制限で登り勾配を登っていく、できるだけ吹かしながら八十キロの速度で隧道に入る、スピードを若干落とす、うしろの車も入る、追突をおもんぱかってブレーキを踏んでハンドルを切りそこなって壁にぶち当たりスリップをする、こういう事故が多かったのではないかと想像します。もちろん私の想像は当たらないかもしれませんけれども、隧道内に入ったら隧道の外よりかスピードを落として、追い越しは禁止されておるのだという観念がありますよ、自動的に働いておる。その観念が徐々に払拭されていくまでは、やはり隧道内の追い越しはできるだけやめてほしい。  それからもう一つは、交通局長おっしゃっていますように、よその隧道では追い越しをやっているんだぞ、だから都夫良野の吾妻もやっていいじゃないかということは、線形の違いも考慮に入れて言わなければいけないのです。隧道内の追い越しというものだけをながめてみれば、どの隧道も高速道の場合同じでしょう。だけれども線形が異なっておる。道路構造もきわめて異なっている状難の中にある隧道でございますから、私はそこらあたりも十分理解度を強めてもらって、事故が起こっておるという現実を踏まえてもらって、そうして適宜な対応措置を講じていかなければ事故というものは減らないと思うのです。その意味から、六月一ぱい一ぺん調査をして、それから結論を出してやってもいいじゃないかというおっしゃり方に実は不満なのです。  あの隧道の入口を見ますと、電気の標示板、掲示板が出ております。隧道、速度を落とせと出ている、不親切きわまりないです。何ぼにスピードを落とすのです。八十キロで走ってきたものを、スピードを落とせと標示されておるので、七十九キロに落とすのか、六十キロに落とすのか、それはドライバーの判断にまかせる、こういう標示でしょうね。これもたいへん不親切です。やはり速度を六十キロに落とせ、隧道内の事故がきわめて多い、こういうふうに電光掲示板に標示されるのがあなた方の親切な態度です。めんどうくさいから速度を落とせとこう書いちゃったのか。これらを含めて、速度標示に対しては一つの明確な、具体的な規制をし、隧道内に対してはこの隧道は特に事故が多いから追い越しを禁止する、こういうふうな措置をやはり早急にとって、そうして検討しながら、高速道にふさわしいドライバーの熟度も高めていきながら、事故を減らしつつ、高速道の快適な輸送や旅ができるようにしていくのがあなた方の責務ではないかと思うのですよ。六月一ぱい調査します、その結果においてやります、私は少し官僚臭といいますか、何か現実に即して手を打っていくという気魄が欠けているとは言いませんけれども、少しやわらかいような気がしてならないのです。そこはどうでしょう。
  61. 久保卓也

    久保政府委員 私は先生と同じように、先ほども申し上げましたように、まずスピードを落とすこと、それから追い越しを禁止することを提案したわけでございますが、専門家の立場になりますとやはり具体的な論拠を求めているわけでありまして、行政をやる場合には何かの根拠に基づいてやらなければいけないという感じが非常に強かったものでありますので、ただいま申し上げましたように、六月二十五日までの一カ月間のデーターをもとにして結論を出したい、かように考えたわけでございますが、ただ先生のおっしゃるような問題もありますので、これはある程度の具体的な問題につきまして建設省と打ち合わせて、早い機会に結論を出してみたいと考えます。
  62. 山田耻目

    山田(耻)委員 ぜひともひとつそうしてください。やはり人間がけがをしたり死んだりする事故に結びつく事柄でございますから、ぜひともひとつ早急に検討をして結論を出していただくようお願いいたします。  それから道路局、長にまたお伺いするわけですが、例のサルビアシム工法というのが、まあほかでもやっておるのだ、しかしあの都夫良野、吾妻両隧道では舗装された上が膜を張っちゃっている、そうしてすべったということは間違いないのですね。それは幾らほかの隧道ではうまくいったとしても——あるいはほかの隧道では膜が張らなかったかもしれぬ、スリップしなかったのかもしれぬ。しかし都夫良野、吾妻の隧道ではそれがスリップをした。そうして一日に隧道内で十八件も事故が起こっておる。そこで急いで路面をはがしてざらざらにつくり直したのでしょう。これは私は建設省のミスだというのです。これは私は認めるべきだと思う。話によりますと、このサルビアシム工法を採用してあした開通というときに、一度も試走車も走らせていない、こういうこともいわれているのですね。とにかく五月二十六日に全線開通、全線開通というところに一切の道路施行者の力を注いで、この道路を走っていく車が安全に、事故もなく行ける、そういう道路構造になっているかどうかということすら検査をすることなくやったということは、私はミスだというんです。これはどうですか。いろいろ建設省としては言い分があるでしょう。言い分があるでしょうけれども、改善をしていかなければならなかったというところには、私は消すことのできない責任があると思う。これが一つ。私は六日の衆議院の建設委員会でやられたように、国家賠償をしなさいということをこの安全委員会で言うべきかどうかは別として、それは別のところで措置がされるものと思うけれども、やはり建設省道路構造上のミスであったということは、ひとつ認めていただけませんか。
  63. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたサルビアシム舗装で、ことに雨の降ったような場合に上に膜ができてよけいすべりやすくなるという問題、これは一般にアスファルト舗装でもそういうハイドロプレーニングという現象があるという考えもあります。この問題、私たち道路構造を担当しておりますと非常にむずかしい問題だと思います。私、やはりこういう問題は、相当科学的な研究をし、また同じ舗装であってもそれの混合物の多少、多い少ないということがすぐそういうものに影響してくるように思います。これはやはり、工事の施工の管理の問題もあろうかと思いますが、私たちこういう舗装の問題について、さらにもっと研究をしていかなければならないということは痛切に感じておるわけでございます。いま先生のおっしゃいましたように、あとからすぐそういうような改造をするということは、やはり私たち道路をつくる技術者といたしましては、はなはだ自慢になることではないと思います。そういうことは絶対ないようにしたいということは、それは技術者の良心からも言えると思います。ただ、これを建設設計のミスだ、こういわれると、これは少し酷ではないか。いろいろそういうわからない科学技術的な問題もございますが、まずそういうものも試験舗装もし、前例を見て、いまのわれわれの技術では相当注意を払ってやってきたと思いますので、それをすぐミスといわれるのは非常に酷だと思います。ただ、私たち、そういうことよりは現実の時点に立ちまして、いかにしたら少しでも交通事故がなくなるかという観点から、もう少しここはこうしたほうがいい、ああしたほうがいいというところについては、気のついた範囲内でできるだけ改造してまいりたいというふうに考えております。  ただいまのお話の試験車の問題も、これはいまの東名高速には、先ほど言いましたダースとか、ゴム入りとかいろいろな舗装をしておりまして、それについて正式に試験車を走らせるということもございます。この点につきましては、やはりこの舗装については、正式の試験車を走らせておりませんが、簡易の試験車で舗装の抵抗もはかっておりますので、あとから考えますと、もっと注意すべきじゃなかったかとおっしゃいますればそのとおりだと思います。できるだけこういうことが前例とならないように、今後は道路の建設に細心の注意をもって施行していきたいというふうに私たち考えております。
  64. 山田耻目

    山田(耻)委員 まあミスだと言われるとそれはあなたの立場上快く認めるわけにはいかぬでしょう。ただ道路をつくる責任者は、この道路をつくったら事故がたくさん起こるわい、いい気持ちだというふうな気持ちで道路をつくる者はいない。事故がないように、どうしたら交通政策がりっぱに行きわたるかということを考えておつくりになると思う。ただ、おつくりになった中で、線形も十分検討されずに、霧の多いところ、雨の多いところ、そうして、そのために上に膜ができてつるつるすべる、こういう道路をつくったということに関しては深く自戒してもらわなければいけないと思います。だから、今後道路をおつくりになるでしょうけれども、十分これらの教訓を生かしてりっぱな道路をつくっていただくということは将来への約束でしょう。ただ、今日この問題があの取りかえをするまでに、全部の事故として二十二件起こっていますね。二十六日開通だけで十八件ですよ。私はこういう事故を発生させたということについて、やはり国会というものは私はあるべきところはあらしめておかなくてはいけない。正すべきことは正しておかなければいけないという気持ちであなたにいま申し上げたところなんです。  これ以上、この問題をあなたに追及してみてもいけませんから、改造されたわけですから、とにかくこうした状態の中で起こった事故に対しては、私は建設省として、きわめて遺憾であるという遺憾の意は表してもらいませんと、二十六日の開通を急がすために、試走車も試験車も走らせなかった。現実に走らせてないですよね。それを国民が、あそこを通る者の身になってその話を聞いて、壁にぶつかった連中はそれはあなた腹の中が煮えくり返っていますよ。やはり行政者というものは責任を負わなくちゃいけない。それはいろいろとこのサルビアシム工法というものは、それは世界でもいい工法かもしれませんけれども、あの地形の中に適合しなかったわけですから、この点については私は道路局長をもうこれ以上責めませんから、やはり遺憾であったということぐらいは言っておいてほしいと思いますね。
  65. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 私いろいろ弁解がましいことを申しました。秘そういうことを率直に申し上げますと、幾ら弁解いたしましても事故が返るものでもございません。私こういうものを教訓といたしまして、道路の施行者といたしまして、こういうことが今後絶対ないような配慮をしてまいりたいということを深く痛感する次第でございます。今度の事故につきましては、そういう弁解を除きまして、率直にこういうことになりましたことをおわびしたいと思っております。
  66. 山田耻目

    山田(耻)委員 それでは次に進みますが、きのう調査をしてみまして、次に感じたのは救急体制です。非常に事故が多い。しかもインターチェンジとインターチェンジの距離もかなりある。事故を起こしますと、連絡を受けて救急車を呼んで、そうして負傷者を連れて救急病院に行く。あの道路を通る車は早いけれども、事故を起こしたものを運ぶ速度はきわめておそい。これは高速道路に付随すべき不可欠の要件を欠いている、こういうことになるわけですね。一体この救急体制に対してどのようなことを考えておるのか、閣議でも御相談なさったようでありますから、宮崎さんのほうからひとつ御説明いただきたいと思います。
  67. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 高速自動車国道におきます救急体制の問題でございますが、御承知のように現行法のたてまえにおきましては、救急業務は市町村がこれを実施するたてまえになっております。ただ、この市町村は、現在政令で実施義務を負っておりますのは人口四万以上の市町村でございます。なおこれは近く人員二万まで範囲を拡大する予定でございますが、御指摘のように高速自動車国道、特に東名におきましては、インターチェンジを管轄いたします市町村が必ずしもこの政令の市町村に該当しない場合がございます。そこでこれらに対応いたします措置といたしましては、御承知と思いますが、昭和四十二年に消防法を一部改正いたしまして、救急業務の行なえない市町村が他の市町村に救急業務をかわりにやってもらう、これを都道府県が要請する、あるいは場合によりましては都道府県がみずから実施するという一応の体制になっております。そういった体制、それから市町村の能力によりましては、一部事務組合をつくりまして共同して実施する、そういうことによりまして、現在一応東名のインターチェンジ所在の市町村が何らかの形で救急業務を実施いたしておるわけでございます。  そこで問題は、たまたまこの前浜松近辺で起こりましたような一度に多数の死傷者が出た場合にその処理が十分でなかったじゃないか、そういう問題があるわけでございまして、これらにつきましては現在市町村の救急業務能力の向上を何とかはかろうということで協議いたしております。  なお根本的な問題といたしまして、こういう広域交通、高速交通の場においては、救急業務を市町村だけにやらせるのは無理ではないかという御意見が一部にあるわけでございます。また閣議におきましてもそれらを検討したらどうかという発言があったように伺っておりますが、この問題は法律改正にも関連いたしますので、いますぐ急に結論を出すということはなかなかむずかしいのじゃないか。そこでもちろん現在総理府におきましては、関係省庁と協議いたしまして、一方におきましては将来の高速自動車国道におきます救急業務体制を基本的にどう持っていくかということを検討いたしておりますが、あわせまして当面現在の体制のままでもう少し何かうまく改善をはかる方法があるのではないかということで、現在協議中でございます。これにつきましては消防庁、それから建設省、いろいろと意見がございまして、現在私のところでその調整をはかっておる段階でございます。
  68. 山田耻目

    山田(耻)委員 高速道で事故を起こして負傷者が出て、それを受け持つ救急、消防それぞれの関係の問題は地方自治体、こういうばらばらになっておるところにもう一つ問題がございますよね。ですから救急業務をどうしたら一本化できるか、そうして遅滞なく人命を損せないように救急活動ができるか、これは一体化活動をなさるように閣議で御検討中である、私はそのことばを信頼したいと思うのですが、問題は、これも御検討なさるということだけではいけないのですよ。たとえば開通する前日の二十五日に大事故をやっておるでしょう。一人が死んで、七十五名も重軽傷の事故を起こした。あれは三ケ日町ですか、この三ケ日町には救急車もなければ救急病院もない、こういうところでこういう事態を起こしているんですよね。こういうところには高速道路をつくる資格がないのです。これは大きくいえば日本行政全般の欠陥でしょうね。どだい足元がぬかるみ、全く人の住めるようなところじゃないところに大廈高楼を建てて、お互いがその美しさを競っておるということでは、私は行政というものはうまくいかないと思うのです。ましてや佐藤さんが言っているような人命尊重、この政治哲学を透徹さしていくためには、高速道路をつくるときにはこれに付随すべき不可欠の要件である救急体制というものは、一つも国民から指弾を受けることのないような体制ができ上がっていなくちゃいけないですよ。これが一つもやられていないで、東名高速が日本有数の高速道路である、事故は続発をしておる、救急体制はなっちゃおらぬ、これでは私は政府の政治の姿勢の中にきわめて許しがたいものがあると思うのです。だから、それを克服するために早急に一体化の救急体制をつくろうと御相談なさっておるようですけれども、話だけじゃなくて、これには法律改正も必要だし、財政援助も必要なんですから、こういうものをきちっと整理をして、いつごろその結論が出ると判断をなさっておるのですか、それをひとつ聞かしていただきたいと思います。
  69. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 先ほども申し上げましたように、当面現在の体制のもとで市町村の行なっております救急業務をさらに円滑に行なわせるということ、これは早急に結論を出したいと思っております。  なお、道路公団が全面的に救急業務をやるというような問題になりますと、先ほど申し上げましたように制度の改変の問題になりますので、またこれも当面、現在でも道路公団はいろいろと救急業務に協力いたしておるわけでございますが、さらにもう少し協力してもらう余地があるのじゃないか、こういうようなこともあわせて検討いたしておりまして、これらの点につきましては早急に結論を出す予定でございます。  なお、その根本問題につきましてはいろいろと意見がございまして、現在私のほうでも、これが一番いいのだということは率直に申しましてなかなかきめがたい実情でございます。したがいまして、いつまでに結論を出せるかということは、私、正直に申し上げまして自信がないわけでございますが、いずれにいたしましても、高速自動車国道が今後いろいろできるわけでございまして、それらの場合には先生さまに御指摘のようにこういり問題をすべて解決しておかなければならないと思いますので、鋭意努力をいたしたいと思います。
  70. 山田耻目

    山田(耻)委員 道路局長にお伺いするのですが、これはあなたに聞くのが適当かどうかわかりませんけれども、いま道路公団のインターチェンジなり管理局ができていますね、あそこには救急車を持っているのですか。
  71. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 救急の問題については、私ども、いま宮崎室長が言われたように、いま消防庁その他といろいろ折価しております。現状を申し上げますと、名神につきましては、これは沿道に非常電請がございませんので、パトロールカーをかなり強化いたしまして、そのパトロールカー、これは警察もパトロールしておりますが、そういうもので高速道路の上の負傷者を運んでおる例も非常に多いわけでございます。東名につきましては一キロおきに非常電話を備えまして、それが管理庁を通じまして各市町村の消防本部に連絡をして救急車を出動さしてもらっておるわけでございまして、現在そういうような救急業務は各市町村が行なうというたてまえのもとにやっておるわけでございますが、その市町村で財政上非常に困難なところについて、ある台数の救急車を市町村に無料で貸与しておるわけでございます。現在のところは救急車と称するものはいまの東名には持っておりません。実はこの辺がこれからの問題としていまいろいろ検討しておるところでございます。救急業務といいましても、やはり事故を起こした車から負傷者を搬送いたしまして病院に連れていく、それで治療するということかと思いますが、その中の搬送の問題につきましては、これは一般の道路でも病人、けが人があればそれを病院まで連れていくということはやられております。私たち、いまの消防法のたてまえからいいまして、パトロールカーがそういう救急の場合に負傷者を搬送するということは決して消防法のたてまえにもとるものではないと思います。そういう意味で今後の東名高速のパトロールの問題をどうするか、また負傷者の搬送をどういうような形でやっていくか、その辺を現在検討しておる次第でございます。
  72. 山田耻目

    山田(耻)委員 公団がパトカーを持っていましたり一キロおきに電話を備えつけておる、これはある意味では、一つ事故防止事故の通報を早くするということですね。いま私が伺っているのは、事故が起こって死傷者を、まさに分秒を争うような事態ですからね、一刻も早く遅滞なく救急病院に送り込む、この体制がなっておらぬということです。事故を起こすのは高速道路で、これの救急病院へ運ぶ一切の救急車なりそういうものは地方自治体でおやりなさい。法律のたてまえがそうなっておるんだ。ここに問題があるというのですよ。これはさっき宮崎さんのほうで、閣議で一本化のために配慮したい。そのためには法律改正もし、財政援助も考えていかなくちゃ片づかぬことですからね。そういうことを閣議で御相談なさっておるというから私はいま深追いしてないのですよ。それが来年や再来年の話じゃなくて今日の課題ですから、早急にひとつ閣議で結論を出していただけるものだと思うけれども、その過程に至る段階を私たちは軽視できないというのです。だから当面、事故発生の場所であるこの東名高速、これを管理をしておる道路公団、ここの中に具体的な配慮を推し進めていく以外にないだろう。その一つの具体的な道筋として、事故が起こった。管理局に通報が入った。すぐもよりの消防署に対して救急車の出動を求めた。上がって行くインターチェンジは向こうのほうで、そしてインターチェンジをさがして上がって行って事故者を連れて病院に行く。今日の高速道路道路構造では、事故発生の場所いかんによってはこれにかなりの長時間を要するのですよ、いわゆる道路構造そのものが閉鎖式ですから。インターチェンジを通る以外に上がれないのですから、非常に閉鎖式になっておる。だから事故が発生したところによっては、助かる者も助からないのですよ。こういう道路構造を持っている建設省あるいは道路公団は、国が法律改正をし、地方自治体に財政援助をするまで当面の緊急措置としての具体策を持たなければ、道路営業をする資格はないのですよ。そういう意味から、当面の具体策を考えてほしいというのが私の意見なんだ。何か考えておるかと聞いておるのです。おらなければ私の意見も申します。
  73. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 いま先生おっしゃいましたとおりでございまして、私は、いまいろいろ検討しております中には将来の、これは東名高速以外の、全国を張りめぐらします幹線自動車道の網を考えております。将来こうあるべきだという問題は、これは当然検討いたしておるわけでございます。それと当面何が、どの地区で一番困っておるかというものに対していまいろいろ早急に結論をつけて実施に移したいということを考えております。  その内容については、まず先ほど言いました事故の発生した車を早くキャッチする情報連絡の施設をどう強化するか。これはたとえば現在道路公団の事務所及び警察の警ら隊との間では、四百メガサイクルの無線機で連絡しております。そういうようなものをさらに市町村の消防本部まで延ばすかどうか、この問題。また先ほど先生の御指摘ございました場所によりましては、インターチェンジからインターチェンジまで非常に遠い場所、こういうものに対しては何か別の簡単な進入路ができやせぬか。またバスストップその他をうまく利用して、そういうような負傷者を早く搬送する方法ができないか、こういうことを現在検討しております。現在サービスエリアにはサービスエリアの中のいろいろ物資の搬送の道路が別にございます。こういうものはもうすでに使えるものにつきましては、できるだけそれを利用するということを現在やっております。そのほかにも、またいまの高速道路の中には中央分離帯がございまして、それをところどころ切りまして、上り線から下り線に行けるような設備もしておりますが、この問題は、簡単に言いますと、よほどパトカーその他の警戒のもとにやらないと、かえって救急車が上り線からその分離帯を通って下り線に移るというようなことを実施いたしますには、前後の警戒体制をかなり強化していかなければなりませんので、そういう点もあわせまして現在検討中でございます。  そのほかに、これは小さなことかもしれませんが、サービスエリア、バスストップ、そういうところでいろいろ売店がございます。そういうところにある程度は救急の施設もつくったらどうかというような——これは医者がおりまして治療するというわけにはいきませんが、包帯とかそういうような救急医薬品、こういうようなものを備えたらどうかということもあわせまして現在検討中でございます。これは早急に結論づけて実行できるものは実行したいというふうに考えております。
  74. 山田耻目

    山田(耻)委員 時間もだいぶたちましたので、先を急ぎたいと思いますが、やりたいと思いますということでは、やはり今日の現状にふさわしくないと私は思う。早急に実行に入るという段階を示していただきたい。私は、申し上げたように一番気になるのは、閉鎖状態ですから距離が非常にあります。ですからインターチェンジとインターチェンジとの間には、それはバスストップを利用してもいいし、常時は使わなくていい、閉鎖されていてもいいのです。だけれども、事故が発生したときにはその通路を通ってもよりの救急病院もちゃんと御精査いただいておるわけでしょうから、そこにすぐ運び込める。こういうふうなことは、高速道路日本で経営する人々にとっては当然気づかなくちゃならぬことです。それを早急に実行に入ってほしいと私は思う。  それからいま一つは、いま東名の一日の収益が約五千万です。月に十五億です。年間百八十億、かなりの収入をあげているのです。やはり公団自体が、地方自治体にまだまだ政府の不十分な政策のために、消防署なり救急車の設備がないこういうことを十分念頭に置いて、貸し付けもけっこうですけれども、管理局なりあるいはインターチェンジなりあるいはサービスエリアに常駐をさせておいて——これは公団の車です。救急車を常駐させておいて、随時遅滞なく出動できる、こういう設備をとってもらわなくてはいけません。それは政府の施策の不十分さが公団に肩がわりをさせることになるでしょうけれども、その責任のがれを言っておって助かるべき人の命も助からない、こういう救急体制というものは私はいけないと思うのです。だから公団の収益状態を見ていけば公団でできますよ。やってほしい。  それからいま一つ、きのう見まして、サービスエリアのあの広大な敷地はどうです。途中に山をはさみ広大な敷地です。地方救急病院がもよりにない。しかしサービスエリアの広大な敷地、これを合理的に検討して、この広大な地域は公団の財産なんですから、ここに救急の医療設備をする、こういうことだって不可能じゃないでしょう。救急病院のないようなところで事故を起こして遠方まで運んで、助かる命が死んでいく、そうした事故は毎日起こる可能性を内蔵しているのですよ、だからあの高速道路に付随するサービスエリアに、売店だとか、もちろん石油スタンドも大事ですけれども、負傷者の救急な医療機関をあそこに設置をして、そこで仮の処置をしても専門の救急病院に運び込む。たとえば交通事業をやっておる国鉄が、全部単独の医療機関を持って、そうして随時事故が起こればそこに全部持ち込んでいくというシステムをとっていますよ。今日のあの高速道路の利用率、こうしたものから考えていき、しかも事故率は他の交通産業に比肩すべくもない大きな数の公団が、敷地を持っておるサービスエリアにそういう医療設備をもって救急措置をしていく、こういうことだって公団はできるじゃないですか。それは国がやるべきだといってお互いに責任のなすり合いをしておったのでは、人間の命を大切にすることとは言えないでしょう。交通安全特別委員会の議論なんですから、それをもろに受けて具体的な検討に入ってほしい。  いま申し上げましたように、大体私は三つ申し上げたのです。いわゆる事故発生のときに使える救急の道路をつくりなさい。閉鎖状態から事件発生のときにはそれが開放されて救急病院に進んでいける。いま一つは、公団自体が救急車を持ち遅滞なく事故処理ができるように、しかもサービスエリアの広大な敷地に医療設備を施して緊急の措置をする。これくらいのことはしろうとの私が言っている内容ですから、まだまだ専門家の皆さんに御検討いただければ十分な案が出てくるかもしれませんけれども、きのう見た程度で、私がきわめて遺憾な状態を見聞きいたしました緊急体制に対しては、その措置を早急に実現のために配慮を願いたい、特にお願いをしておきたいと思います。
  75. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 いま先生の御指摘になりました点、現在鋭意検討しております。たとえば救急の道路でございますが、これも救急病院がどこにあるか、こういうものとにらみ合わせて、できるだけまず全線の中でどこが一番困るか、こういうものから始めてまいりたいというふうに考えております。  また、公団自身が救急車を持つ問題につきましても、これはいまの消防法の問題がございますが、先ほど言いましたように、そういうような寝台付のパトカーを持っておりまして、それで運ぶという方法も現在検討中でございます。  また、サービスエリアでそういう応急な医療措置をするという問題であります。これは私たち公団が将来の理想的な形として、消防法を改正して高速道路の問題救急は道路管理者がするというようなことも一応検討しております。  こういうような問題になりますと、こういう泣きごとを言うのもいけないことかもしれませんが、どうやって人を集めるか、その辺がまず問題になろうかと思います。また集めた人につきましても、やはり一つの機関になりますといつまでもそういう看護をしておるというような、将来のその人の身分も考えなければなりませんので、そういう点もあわせて、公団がほんとうにどの程度の救急の体制に乗り出せるか、こういうものを慎重に検討しております。  また先ほど言いましたサービスエリア以外のいわゆるバス停、それからパーキングエリア、この辺でどういうような救急の措置ができるか、これも検討しております。  なかなかサービスエリアと言いますと全線で限られておりまして、その周辺だけがそのようなことになることはいいことでございますが、やはり全線同じような形で考えていかなければならないと思いますので、そういうものもあわせて検討しております。そのうち先ほど言いましたように、将来の問題は将来の問題として、いますぐできることを、何ができるか、これだけを早急にきめて、すぐ実行に移す考えでございます。
  76. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 ただいま問題になりました高速自動車国道におきます救急体制の整備の問題を含めまして、実は高速自動車国道におきます事故防止の具体的対策を現在総理府でまとめている最中でございます。きょうも午後から第二回目の関係課長の会議を開く予定にいたしておりますので、救急の問題はいま道路局長が答弁いたしましたように、当面できますことにつきましてはこれらとあわせまして来週じゅうくらいには結論を出しまして、直ちに関係省庁ですみやかに実施に移すことにいたしたいと考えております。
  77. 山田耻目

    山田(耻)委員 非常に重要な問題ですからひとつそれぞれの分野、一つは国、一つは公団を中心とする措置ですけれども、早急に結論を出していただいて、具体的な措置をひとつ実現していただくように強く要望しておきます。  委員長、これから事故車を少し聞くわけですけれども、一体与党は一人もいない。——一人いました。野党が三人で与党が一人というような——それは私みたいなチンピラが質問するのですから、聞きたくない、出たくないということかもしれませんけれども、私は、委員長として忠告を促して、これから長い時間をとりませんけれども、すみやかに集めてほしいと思うのです。
  78. 内海清

    内海委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  79. 内海清

    内海委員長 速記を始めて。
  80. 山田耻目

    山田(耻)委員 最近トヨタ日産コロナブルーバード事故車が非常に騒がれているわけで、運輸委員会その他でもきのうはかなり追及をされまして、トヨタ日産それぞれの責任者が出られまして御答弁をなさった。トヨタはきょう、日産はあした公表する、こういうふうな委員会での結論が出ていたようです。けさ新聞を見ますと、十九車種にわたって欠陥車があるということが表面化いたしてまいりました。私たちもそれぞれ自家用車を持っておりますけれども、自分の車が何だか信用できなくなってきたのです。これは日本の国内におられる多くの自動車所有者、特に大切な運転をするドライバーも非常に不安感にかられていると思うのです。なぜこういう欠陥車というものが野放図に出てきたのか。やはりこの原因をきわめていくということは、私は日本自動車産業の上からも大事だと思うのです。しかしきょうそうしたことに触れておりますと非常に長い時間になりますので、そうしたことには触れようとは思いませんけれども、特にこのコロナにしてもブルーバードにしても最初の発見アメリカであった。外国から日本に知らされて日本の国内で大騒ぎして、そうして問い詰めてみたところまだほかにもたくさんあるんだ、こういうことになってきておるんです。きわめて不愉快です。一体こうした自動車安全基準に対して運輸省というものは監督行政の立場から何をしておったのか。日本自動車産業というのは午前中稻村君からもお話がございましたように、今日では日本輸出産業の花形であるし、日本の戦略産業の花形であるし、しかもそれはよってもって国の保護政策の中で育ってきたんです。メーカー運輸省政府がぐるになって形ばっかり見ばえのいい車をつくって、それに乗って走っておれば、ブレーキがきかなくなったりうしろのほうで火災を起こしたり、シャフトが折れたりして大事故を起こすというふうなことが、監督行政の上から全然わからなかった、こういう答弁を運輸大臣もしておりますけれども、なぜ一体こうなったのか。ひとつ黒住自動車局長、どういうふうに運輸省は今日まで監督をしておったのか、お話をいただきたいと思います。
  81. 黒住忠行

    黒住政府委員 自動車で一定数量以上に生産されますものは、自動車型式指定規則によりまして型式を認定をしておるわけでございます。型式指定規則によりまして型式を指定しておるわけでございますが、その第十一条で、それの規則の中にきめておりますところの要目につきまして、変更しようとするときには運輸大臣届け出をいたしまして変更承認を得なければならないという規定になっております。したがいまして、この規定に触れます内容についての変更等があります場合におきましては、当然届け出があり、その承認を求めるというわけでございますが、それの中に入っていない点につきまして、メーカーのほうで欠陥発見いたします場合におきましては、メーカーのほうでそれの対策を開始して処理するというふうなたてまえになっております。しかしながら、事故が起きました場合あるいは車検等におきまして、役所が発見をいたしました場合におきましては、この型式指定規則に入っていない点につきましても、それぞれ事故警報等によりまして使用者あるいはメーカー等に注意を喚起し、これの変更をやらしております。三十九年の九月から昨年の十一月までにおきまして、運輸省が指示いたしました車両欠陥対策は十七件ございます。それらにつきましてはその後の回収状況等をチェックをしてまいっております。ただ今回ありますものは、車両指定規則規定いたします以外のものにつきまして、メーカーが自発的に回収をしたものの状況を聴取いたしましたところ、昨日トヨタ及び日産からすでに対策を実施いたしたもの、それから現在対策進行中のものにつきまして報告がございました。これらの現在対策進行中のものにつきましては、おおむね八月一ぱいまでにはこれを完了するというふうに計画もなっておりますし、われわれといたしましてもそれを強く指示いたしまして、それを監視していきたい。要するにこの型式指定規則規定されました事項以外のものにつきまして、これだけの欠陥車があるということでございましたので、今後におきましては、この規則の改正までは、この規則規定されていない点につきましても、メーカーのほうでその欠陥発見いたしました場合は直ちに運輸大臣届け出をしろということを強く通達した次第でございます。  なお将来につきましては、型式指定規則技術レベルあるいは事故の現状等からかんがみまして至急改正を検討していきたい、かように考えております。
  82. 山田耻目

    山田(耻)委員 コロナ欠陥車が国内でメーカーによって発見をされて、改良、回収に入ったのはいつごろなんです。
  83. 黒住忠行

    黒住政府委員 コロナブレーキチューブの部分の故障がわかりましたのは、四十三年の四月に福岡のトヨタ販売店から異常の報告が本社にあったようでございまして、その後にもブレーキ故障が三件発生いたしておりますが、これは大事に至っておりません。四十三年の八月に対策を始めまして、現在まで約五四%のものが対策を終了いたしております。
  84. 山田耻目

    山田(耻)委員 私が調べたのによりますと、コロナブレーキ故障、腐食、こういうものが気づかれたのは四十二年の十一月、そうして四十三年の一月からはいわゆる日産自動車改善をして売り出しているんです。そうして四十三年一月以前に売り出したもので改善されてないのを回収に入ったのが、いまあなたの言っているように四十三年の八月からです。すでにトヨタは気づいて四十二年十一月から作業に入っているんですよ。そうして四十三年の一月からはその部分を改良して売り出している。こういうことがなぜ運輸省にわからなかったのかと私は聞きたいのです。運輸省はこうした安全基準の改良変更に対して、いまの型式指定規則に基づいて報告を受けるようになっておるのでしょう。その報告も受けていなかったのですか。いま私が言ったことを調べてもいなかったわけですか。いまのあなたの回答では、四十三年八月に発見をされて回収に入ったと言っているけれども、今日の回収率が五四%と言っているけれども、それはつい最近のことなのです。一体これはどういうふうになっておるのですか。
  85. 景山久

    景山説明員 いま先生のお話しございましたもっと前からやっていたのじゃないかというほうでございますが、これはメーカーのほうが暫定的な措置をしていた。今回の四十三年八月からやっておりますのは本格的なやり方で、これでなければいかぬということでこういうふうになっているということでございます。  それからわからなかったのかという点につきましては、先ほど局長が御答弁申し上げましたように、実はこれは報告事項でございませんので、そういった事故については全然わからなかったということでございます。
  86. 山田耻目

    山田(耻)委員 四十二年の十一月にわかって四十三年の一月から改善をした、これは暫定的なものであった、これがいまの景山さんの言い方ですね。
  87. 景山久

    景山説明員 はい。
  88. 山田耻目

    山田(耻)委員 暫定的なものであった。ところが四十三年八月になってこれが欠陥車であるとわかった。四十三年一月に、暫定的なものであろうとあるまいと、いまの型式指定規則に基づいて報告を受けているんでしょう。
  89. 景山久

    景山説明員 これは型式指定規則報告事項に該当いたしておりませんので、全然報告を受けておりません。いま申し上げました第一次暫定措置といいますものも、今回の件で調べましてやっとわかったわけでございます。
  90. 山田耻目

    山田(耻)委員 型式指定の要件が具備していないということなんですね。ところが最近アメリカでいわゆる欠損車としてブレーキ故障、腐食、こういうものが指摘をされて、アメリカでは率先して回収に入り、そうしておくれて日本回収に入る、こういういきさつなんですね。欠損車の扱い方として、いまの型式指定規則の中に不備をお感じになりませんか。
  91. 黒住忠行

    黒住政府委員 型式指定規則によりまして実施しておるわけでございますが、これに規定してない点につきましても、危険性ということから考えますと、現在欠陥車のようなものが出ているわけでございますから、とりあえずは先ほど申し上げましたように規則規定する以外の点につきましても届け出を励行させまして、適正な改善を行なわすということにしたわけでございます。しかしながら、指定規則自体につきましても、逐次改正はいたしておりますが、不備な点もございますので、これの改善につきまして至急検討に入りたいと思っております。
  92. 山田耻目

    山田(耻)委員 お役所ですからね。法律を順守してお仕事をなさるのでしょうからわかりますけれども、やはり現状に適合できるような方向に法律の改正をなさって、あるいはそれまでは運輸省の省令なり通達で厳格に取り締まっていただきたい。この種のものはやはり疑わしきを罰するという立場で措置していきませんといかないのですよ。私はよく有毒食品を扱っておりますけれども、有毒食品に対してはきわめて厳格なんですよね。これは人命に損傷を与えるからです。この自動車の欠損車も、まさに乗りものという形の有毒食品に類するような危険感を国民に与えていますから、私は特に強くそれを要請しておくわけです。  それから通産省お見えでございますが、このコロナなりブルバードがアメリカなり外国で欠損車として非常に不評判であるわけですけれども、回収に入っておるということをいつごろお聞きになったか、運輸省アメリカ新聞に出てそれから運輸省に話が出て初めて知った、こういうことですが、運輸省はたいへん保護なさって特にかわいがってこられた日本自動車が、外国に売り出されてこれはかたわ者じゃ、そういう指摘を受けたら、すぐ通産省には組織を通して連絡があったでしょう。なかったのか、聞いていても押えていたのか。たいへん意地悪い言い方ですけれども答えていただきたい。
  93. 吉光久

    ○吉光政府委員 先ほどから御指摘いただいておりますように、自動車産業輸出産業として非常に重要な産業でございますし、あるいはまた、自動車産業は非常にすそ野の広いいろいろな産業分野に関連している産業でございますので、戦略産業として積極的に育成措置をとってまいっていた産業であることにつきましては、御指摘いただいたとおりでございます。したがいまして、この輸出問題につきましても常に敏感に目を光らしておるわけでございますが、実は残念でございますけれども、今回のアメリカにおける欠陥車問題につきましては事前に必要な情報を入手していなかったわけでございまして、非常に遺憾に存じますと同時に、現在これを深く反省いたしております。アメリカにおきましてこれが急激に問題になりましたのは、何と申しましても日本アメリカにおける輸出車の増加率がここ一、二年急激にのぼってきたというところから、特にそういう欠陥車に関する問題につきましても問題意識が強くなってまいったのではないか、このように想像するわけでございますけれども、ただこういう問題は輸出振興でございますとかどうとかいう問題を離れまして、やはり安全性に関する基本的な問題でございますので、ただ車を売ればいいとかいう心がけで対処すべき問題ではないとかたく思っておるわけでございます。したがいまして、この問題が発覚いたしまして以来、自動車メーカーに対しましても、そういう意味の安全性がまず根本的に第一である、こういう信念に透徹してほしいという意味の忠告も発し、また機会をつかまえまして、そういう意味の注意も喚起いたしてまいっているわけでございます。まことに申しわけないことだと思っております。
  94. 山田耻目

    山田(耻)委員 アメリカにはそれぞれのメーカーの出先もあるいは販売の出張所もありますし、政府にとっては、あなたのほうには在外公館もありますし、あれほどアメリカで話題になっているものが通産省の耳に入らなかったということは、私は信頼できないんですよ。むしろ入ったけれども、あなたの後段のお話のように、アメリカの多少のおかやきも手伝ったりして、欠損車に対することをいろいろとあばき立ててけちをつけて日本自動車産業輸出の伸びを押える、こういうようなところに通産省の思惑等もあったのではないだろうか、実は私も多少そのほうに疑いの眼を向けているのです。しかし全然関知しなかったということになりますと、通産省の、日本政府輸出の中核としての責任が問われることになりますね。  いま一つ、これは後ほど運輸省にも聞きたいことになるのですけれども、日本は二年で車検を与えておりますが、スウェーデンは三年ごとです。スウェーデンは日本の車検のようにきちんと整備工場で整備をして、車検を受けて合格をする、こういう方法はとっていないのです。三年ごとにその車そのままで車検を受けて、ここが悪い、ここを直しなさい、こういう形で指摘を受けて整備工場に入れる。そうして整備工場で改修をしてもらって、再検査を受けて合格をする。だめなものはだめ、これがスウェーデンの車検のやり方です。この車検を行なう企業は半官半民である。だからそこにはあらゆる車の三年後のデータが出てまいります。この車はどこが悪い、そういう傾向値が全部出てまいります。国際的にもなかなか権威のある一つ報告書がまとまります。そのスウェーデンの報告書の中にコロナが入っている。ブレーキ故障で十八位という恥ずかしい成績なんです。パイプ腐食が十九位という恥ずかしい現状なんです。このデータは世界各国に送付されておりますから、当然通産省にも行っていたと私は思うのです。これも来ておりませんでしたか。
  95. 吉光久

    ○吉光政府委員 入手いたしておりません。
  96. 山田耻目

    山田(耻)委員 運輸省には行っておりませんでしたか。
  97. 黒住忠行

    黒住政府委員 そのデータは入手しておりません。
  98. 山田耻目

    山田(耻)委員 もう通産省も運輸省も、だまそうがどうしようが売ってしまったら終わり、こういうことになるのですか。
  99. 吉光久

    ○吉光政府委員 それぞれの国におきまして法制の違いがございますので、したがいまして、現在現実の自動車輸出問題につきましては、各国ともそれぞれの国の基準に適合する車が向こうで輸入を許されるというたてまえになっておるわけでございます。したがって、輸入された以上、それぞれの国の安全基準に適合したものとして輸入されておるというふうに一応了解できるわけでございますけれども、実は先ほど一番初めにお答え申し上げましたように、いままでの通産省の輸出先におけるこういう自動車欠陥等に関する関心が非常に低かったというふうなことにつきましては、実は深く反省をいたしておるわけでございまして、今回の事件を契機にいたしまして、すでにすぐに在外公館あるいはまたジェットロ等あらゆる機構を通じまして、先方の事情等につきまして現在調査を始めたところでございます。したがいまして、いま御指摘いただきましたような点につきましても、近くそれぞれの国から情報が入ってくるのではないかと思っております。この点、スタートが非常におそかったことにつきましてはおわび申し上げたいと存じます。
  100. 山田耻目

    山田(耻)委員 日本のこうした戦略産業であり、ここ数年急激に成長を遂げてきた自動車産業輸出をされていく、もちろん各国の安全基準に従って輸出をされ、輸入をされていくわけでしょうけれども、ジェトロという組織があるし、こうした問題で幾つかのいいこと、悪いこと、そうした情報は当然その親元である日本の通産省に対しては詳細に報告かあるいは情報の交換がなされていたものと私は思っているのですよ。それがいままでなされていなかった。これからやることにいたします、私はジェトロを通しての国際情報交換、情報組織がそれほどゆるやかないいかげんなものであったとは思いませんけれども、まあこれからおやりになるし、いままでは何の情報もなかったとおっしゃれば、通産省の信頼の度合いを私あらためて認識をするだけでございます。全く不愉快きわまるわけです。しかし通産省も十分目を光らしていただいて、この種の事件が再び起こらないように監督の度合いを強めていただくようにお願いしたいと思うのです。通産省、もうけっこうでございます。  運輸省にお願いをするのですけれども、いま私は一つの例としてスウェーデンの車検の話をいたしました。これに関連して私も思うのであります。けれども、原田運輸大臣が、これからは欠損単あるいは問題車はあるたびに随時公表させるということを通達された。きのうの運輸委員会でも川又さんにしても豊田さんにしてもそれを受けられて、やるとおっしゃった。問題は、欠損車、問題車を発見するあるいはそういうことを運輸省に通報するのはだれなんですか。
  101. 黒住忠行

    黒住政府委員 従来の規則規定しておりますものは、当然メーカーのほうが運輸大臣届け出いたしまして変更承認を受けねばならないわけでございます。  それから、それに規定しておりません今回の、昨日報告があったものにつきましては、メーカーのほうで対策を講じました場合は、従来は報告届け出がなかったわけでございますが、今後はメーカーのほうから届け出をさすということでございます。ただ、ときには車両検査のときに役所の検査官が欠陥発見したものもございます。これは役所のほうで逆にメーカーに指示いたしましてこれを是正さすということもございます。  それから、事故がありました場合におきまして、事故現場の調査によって車両の構造装置欠陥があるということが役所のほうでわかりました場合においては、役所のほうで事故警報等を発してそれを改善さすという措置をしておるわけでございます。  役所のほうで事故あるいは車両検査のときに発見しないで、自社内あるいはディーラーあるいはユーザーからのクレーム等で発見したものは、メーカーのほうから役所のほうに届け出さすというふうになるわけでございます。
  102. 山田耻目

    山田(耻)委員 私たちの周囲を見回してみまして、自分の娘を嫁に行かすのに娘の欠点ばっかり言うて縁談をまとめていくという親はなかなか少ないです。売らんかな売らんかなという激しい競争の中で売れればいいと、こういう燃えるような意欲を持っているメーカーに売れ行きをとめるような欠陥車報告運輸省はほんとに規則どおり期待できると思いますか。きのうときょうと、急に日本の商業政策あるいは産業政策が変わったとは思いません。やはりメーカーからの通報主義、報告主義をとっております限り、今日のような事態というものは繰り返されるのではないか、これが私の心配なのです。アメリカ方法日本に採用する余地はないだろうか。事故車の報告義務、これはメーカーであったりあるいはユーザーであったりあるいは直接の所持車、ドライバー、これらが車の欠損の度合いについて報告する義務を持っておる。こういうふうにしていきますならば、いま私が考えついたような日本メーカーの信用を持たない度合いを裏づけて解決してくれると思う。メーカー運輸省とが相互に問題点を摘出をしていくということでは、私は今日のこうした問題の解決はできそうにないという気がいたしますが、そういう通報主義、報告主義を売る者と買う者と双方に義務づける、こういうふうなことを考えてみてはいかがでしょう。いかがでありますか。
  103. 村山達雄

    村山(達)政府委員 いま先生のおっしゃったことも一つ方法だと思いますが、現行法では運送下業者あるいはある程度の台数を持っておりますユーザーは、事故が起きますと必ず報告することになっております。この事故の原因をきわめまして、構造上の理由あるいは整備上の理由がありますとそれぞれ欠陥の補正を命じ、同時に一般のユーザー警報を出す組織になっております。  なおもう二つは、先ほどお話がありましたように、型式指定規則のほうから情報が入るわけでありますが、これはいまの型式指定をする際の諸要系に変更があった場合に限って報告をとることになっておるわけでございます。現在問題になりましたのは、たまたまその型式指定の際の諸要素に族当しないというところに問題があるわけでございます。今回はとりあえず行政措置といたしまして、諸要素に関係がなくとも、保安上何らかの改善を加えたならば直ちに報告しなさい、こういうことでやっておるわけでございますが、私は今後この型式指定規則におきまして、保安上のものはこれを行政措置でなくて一つ業者義務としてやはり運輸大臣にぜひ届けてもらう必要がある。今回はとりあえず行政措置でやったわけでございますが、これを法的に義務づければ、私は日本業者はちゃんと法律を守りますから、それで大体来るのではないかと思っております。  なお、以上申し上げましたのは法律上の義務としてやっている限界を申し上げたわけでございますが、それ以外の一般の国民の人たち欠陥発見したあるいはオーナードライバーに事故があったとかという場合に、もちろんそういう人たちから通報をいただくということはわれわれは大いに歓迎するのでありますが、これを法律的な義務にするかどうかという問題につきましては、若干法制上疑義がございますので、先生の御意見なども参酌いたしまして今後真剣に検討してまいりたい、かように思っております。
  104. 山田耻目

    山田(耻)委員 まあ車の構造上の欠陥というものは、いわゆる一般の使用者というものは事故が起こって初めてうかがい知るというのが今日の状態なんですよ。そのためにメーカーというものが非常にのさばった原因もあると私は思うのですよ。だからいまの規則上からいきますと、いわゆる型式指定の中で変更がない限りはしかたがない、こういうことから一歩踏み出して、法律の改正ではないけれども、そういう強い指導体制に入る。それと同時にもう一歩、やはり法律改正をして、メーカー以外の使用者なり所有者のほうからも疑わしいときには事故報告をさせるという一つの慣行というものを確立するために、法律改正がいいかあるいは通達行政がいいか、ここらあたりもひとつ十分検討をいただきたいと思うのです。  それからいま一つは、さっきもちょっと触れましたが車検制度です。日本の車検制度は、整備会社に入れてブレーキとか方々指摘されるところを直して、そうして車検を受けに行くわけでしょう。それが直っておれはパスして、陸運局はちゃんと合格証をくれる。だから私が使っているニッサンセドリック、この車はどこが悪いということは事前に事業所のほうで消えていってしまう。だから、スウェーデンでやっておりますようにそのままの車で車検を受ける、そうしたらこれはここが悪い、ここが悪い、これを直していらっしゃい、それの何千台、何万台の統計をとりましたら、この車はどこに欠損部分がある、こういうものが統計的に出るわけですね。そうして指摘されたものを整備工場で直して再検査を受けて、安全確保の合格証を張る、こういうふうな車検制度というものが日本でとれないか、とれない理由というのがあるのでしょうか、それをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  105. 黒住忠行

    黒住政府委員 スウェーデンの場合におきましては、直接持ち込みが原則になっておるようでございます。わが国におきましても、整備工場を経由しないで持ってくることはもちろん可能でございまして、直接ユーザーのほうで持ち込んでもこれはいいわけでございますが、大体車両検査を受けますためにはこの整備をして、これなら車両検査がパスするというふうにして持ち込むということでございまして、スウェーデンの場合におきましても、直接持ち込みといっても、必ずしも悪いままに持ち込むということではないと思うわけでございます。したがいまして日本におきましては、車両工場のほうで一応整備をして車検に持ってくるということが、おおむね原則になっておるわけでございます。それに例外的には、直接の持ち込み車もあるわけでございまして、制度といたしましては直接持ち込みというものも、もちろん可能でございます。直接持ち込みが原則でありますというと、銘柄別の、装置別の不良の傾向を把握し得るわけでございますが、整備工場で整備いたしました場合におきましても、なおかつそこでも車検におきまして不完全なものであるという指摘はいたしておりますし、また例外的な直接持ち込み車につきましても、車検で指摘いたしておるわけでございます。したがいまして、装置別にどのような個所が悪いかということは指摘可能でございまして、これらの点につきましては、整備工場を指導いたしておるわけでございます。ただ、さらにわが国におきましては、役所の車両検査とともに今回法律改正も提案いたしておりますけれども、膨大なる事務量に応じまして、役所の車検と同時に指定整備工場の制度を拡充いたしまして、両方どちらで継続検査を受けてもよろしいというようなことで、なるべく自動車所有者の近くでもって検査を受けられるという制度を考え——従来から実施しておりますが、それを拡充しようとしておるわけでございます。諸外国におきましても、国あるいは州等が直接検査をいたしておりますものもありますし、民間車検場あるいは協会等で検査をいたしておる国もあるわけでございまして、われわれのほうにおきましては、国の検査と民間車検の制度というものと両方活用いたしまして、このモータリゼーション、車の増加に対処していきたい、かように考えておる次第でございまして、整備工場の整備と車検ということと相まって保安確保する方法を進めていきたいと思っております。
  106. 山田耻目

    山田(耻)委員 もう予鈴も鳴りましたので、これで終わりますが、欠損車については、きわめて中途はんぱですから、また次の委員会であらためてやりたいと思います。
  107. 内海清

    内海委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時五十四分散会