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1969-06-05 第61回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月五日(木曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 内海  清君   理事 稻村左近四郎君 理事 大竹 太郎君    理事 斎藤 寿夫君 理事 田中 榮一君    理事 山口シヅエ君 理事 山田 耻目君    理事 河村  勝君       加藤 六月君    川野 芳滿君       河野 洋平君    菅波  茂君       古川 喜一君    松本 忠助君  出席政府委員         総理府総務副長         官       鯨岡 兵輔君         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 久保 卓也君  委員外出席者         通商産業省重工         業局自動車課長 田中 芳秋君         運輸省自動車局         整備部長    堀山  健君         建設省都市局都         市高速道路公団         監理官     角田 正経君         建設省道路局高         速国道課長   松崎 彬麿君         消防庁防災救急         課長      中沖  豊君     ――――――――――――― 六月五日  委員小峯柳多君辞任につき、その補欠として菅  波茂君が議長指名委員に選任された。 同日  委員菅波茂辞任につき、その補欠として小峯  柳多君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月二十二日  交通安全対策に関する陳情書  (第五  五四号)  交通遺児救済制度確立に関する陳情書  (第五五五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 内海清

    内海委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので順次これを許します。河村勝君。
  3. 河村勝

    河村委員 先般、本委員会中央高速道路の安全の問題について視察をいたしました。その際、いろいろな状況を見たわけでありますけれども、やはり特に問題になることは八王子以遠道路対向車線であることであります。高速道路対向車線というのはほとんど常識外であって、本来こういう道路を構築すべきものではない。私も日ごろ小田原——厚木線という対向車線高速道路をしばしば利用しますけれども、きわめて危険であって、できることなら通りたくないという気持ちになるのでありますが、中央高速道路の場合対向車線であってもかなり安全の面で配慮されているところは、努力はわかりますけれども、もともとつくるべき性質のものではないと思うのですけれども一体どういう事情でああいう計画を立てそれを実行に移したか、その経過並びに理由についてまず説明をしてください。
  4. 松崎彬麿

    松崎説明員 お答えいたします。  高速道路は本来四車線であるべきでございますが、交通量の少ないところについては二車線建設するという考え方をもともと建設省は持っております。その基準に従いまして中央道についてもとりあえず二車線建設するという考え施工したわけでございます。二車線高速道路交通容量は一万三千台程度考えられます。供用開始後五、六年の間にその容量まで達しない場合には、段階施工としてまず二車線建設してあとで広げる、こういう考え方をとっております。
  5. 河村勝

    河村委員 交通量の少ないところは高速道路であっても二車線でよろしいという、そういう計画をつくったところ、それからそれはどういう種類のきめ方になっておるのか。おそらく政令等のものではなしに単なる内部の取りきめだろうと思うのでありますけれども一体それはどういう性格を持つものですか。
  6. 松崎彬麿

    松崎説明員 お答えいたします。  まず二車線にしました理由としましては、高速道路全線有料制をしいておりまして、しかも料金によって建設費並びにその後の維持管理費も償還していくという考え方に立っております。したがいまして、建設費がこの中央道のように非常に高いところにつきましては、交通量の少ない場合には償還の面からもまず二車線建設するという考え方をとったわけでございます。  それから法的には高速走行を許すものにはなっておりません。現在警察のほうにお願いいたしまして交通規制は七十キロということで押えております。この点は名神東名の一応八十キロあるいは百キロ、こういう規制と大いに違うところでございます。
  7. 河村勝

    河村委員 私が聞いておりますのは、交通量の少ないところは高速道路であっても対向車線でよろしいという、そのきめた基準なり何なりの性格というものはどういうものか、内部的にどういう権威を持つものか、どういう形できまっているのか、それを聞いているので、中の理由のほうは前に聞いているので、それを聞いているわけではありません。その辺を答弁してください。
  8. 松崎彬麿

    松崎説明員 考え方としましては段階施工ということで考えております。したがいまして、この方針建設省方針でございまして、特に法律でどうこうという内容のものはございません。
  9. 河村勝

    河村委員 あなたの話を聞いていますと、そのきまり方は結局金の問題——一つ採算ベース、おそらくもう一つは、とりあえず予算が少ないからということだろうと思うのですけれども、そういう場合に安全と採算とのバランス、これは一体どう考えているのか、そういう施工基準をきめたときにどういう配慮を持ってきめたのか、その辺を聞かせてください。
  10. 松崎彬麿

    松崎説明員 この種高速道路の安全の問題でございますが、過去において二車線専用道路というのはあまりわが国では建設された例がないわけであります。そういう意味合いから、当時、きめる時点でどの程度事故があるだろうということについては、予測はつかなかったわけでございます。その後一般国道の二十五号線で二車線専用道路建設いたしました。それと、ただいま供用開始しております中央道の六十七キロ区間でございますが、この間についての事故統計供用開始後調べましたところ——自動車一億台キロ当たり事故発生件数を一応事故率ということで呼んでおりますが、自動車の一億台キロ当たり死傷事故率を出しました統計がございます。これによりますと、一般国道の一号線の中部地建管内の場合、約三百という数字が出ております。これに対しまして、四車線東名名神高速道路数字が四十ないし五十という数字になっております。ただいま供用開始しております中央道の場合が八十四という数字になっておりまして、一般国道に比べますと、その事故率はかなり低い。ただ四車線道路に比べますと、死傷事故率は多少上回っておる、こういう現状でございます。
  11. 河村勝

    河村委員 先ほど、一万三千台以下の場合には供用される、そういう答弁がありましたね。一万三千台というのは、これは期間は何をとっておるのですか。
  12. 松崎彬麿

    松崎説明員 一日の交通量でございます。
  13. 河村勝

    河村委員 これは一日平均ですね。そうしますと、大体事故の発生する場合が多いのは、やはり込むときですね。だから、道路によって非常に量が平均化されているところと、それから高速道路、特に中央道なんかの場合には、非常に波が大きいわけですね。ですから一日平均をとるのはおかしいので、むしろ非常に波のある、波の高いところを計算しないと正しい結論が出ないのじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
  14. 松崎彬麿

    松崎説明員 ただいまのところ、統計上はかなり長い期間をとっての数字しか出ておりませんから、いま御指摘のような点での検討は、まだ私どものほうもいたしておりません。
  15. 河村勝

    河村委員 段階的に、永久にこれを対向車線で置くものではなくて、逐次四車線に持っていくという話でありましたね。一体中央高速道の場合に、これからどういうスケジュールでこれを四車線に持っていく、そういうことになっておるのですか。その辺を聞かしてください。
  16. 松崎彬麿

    松崎説明員 八王子——大月間についてでございますが、当初の計画は、供用開始時点で、一日の平均交通量が七千台前後というふうに考えておったわけでございます。その場合の目安としましては、昭和五十年ないし五十一年ぐらいに四車線に広げれば、容量的には間に合うのじゃないかという考えをいたしております。ところが供用開始後、先ほど申しましたように、予想外交通量が発生いたしております。そういう点からいたしますと、四車線時点というものは、少し早めなければならぬだろうということは考えておりますが、今後どういうスケジュールで広げていくかということにつきましては、予算との関係もございまして、研究いたしておる段階でございます。
  17. 河村勝

    河村委員 それじゃ伺いますけれども八王子——大月間だけの問題でなしに、これは今後延長していくわけですね。大月から今度は甲府のほうに延長していく場合に、この建設スケジュールは、やはり対向車線でやっていくわけですか。
  18. 松崎彬麿

    松崎説明員 大月から勝沼の間の施工命令を本年の四月に出しておりますが、この区間につきましても、用地は四車線買収いたしておりますが、建設は二車線ということで考えております。
  19. 河村勝

    河村委員 道路建設費の中でもっていま中央道の場合、用地費の占める割合はどのくらいですか。
  20. 松崎彬麿

    松崎説明員 四車線用地買収をいたしておりまして、二車線建設いたしておりますが、一応八王子から東京側については四車線という形をとっております。これを合わせての数字お答えをいたしますが、全線建設単価が一キロ当たり九億五千万円でございます。そのうちの用地補償費が三億四千万円でございます。
  21. 河村勝

    河村委員 そうしますと、四車線分買収して、それで二車線分しかつくらぬということになりますと、用地費建設費上部構造建築費とは大体とんとんぐらいの勘定になっておるわけですか。
  22. 松崎彬麿

    松崎説明員 ちょっと御質問の趣旨が……。
  23. 河村勝

    河村委員 用地だけは四車線分買うわけでしょう。それで実際建設に使うのは二車線分しか使わなければ、この三億対九億というのは、これはほとんどが四車線分の場所ですね。二車線しかつくってないところは八王子から先だけでしょう。それじゃ八王子から大月間、これだけで計算するとどうなります。
  24. 松崎彬麿

    松崎説明員 八王子—大月間についての数字はただいま手元に持ち合わせておりませんので、わかりかねます。
  25. 河村勝

    河村委員 おそらくは半分に近い用地費だと思うんですよ。一体ばく大な用地を買って、普通の会社だったら、この用地を寝かすことはたいへんな金利ですよ。片っ方で一車線の場合の事故率なんかは一応つじつまの合うような計算はしておられるようだけれども現実に一車線でもって延びていった場合には事故率は常識的にうんとふえるはずです。それならこんな四車線分買っておいて二車線しかつくらぬというそういういいかげんなことをしないで、多少工事のペースはおくれても、これはやはり四車線で進めていくというのがほんとうだろうと思うのだけれども、その辺の考え方建設省としては一体どういうふうにお持ちなんですか。
  26. 松崎彬麿

    松崎説明員 高速道路が本来四車線であらねばならぬということにつきましては、私どももそのように考えておりますが、非常に自動車のふえも激しゅうございます。そういう面からの新しい道路の要請というのが非常に強うございます。一面、建設費のほうはなかなか十分なものが投入できないという現状でございます。そういう点からいたしまして、われわれとしましては、やはり交通量が比較的少ないと思われるところについては、用地はできるだけ四車線買収いたしますが、建設はとりあえず二車線でやるということでやっていきたい。ただ、二車線にしたために起こります事故対策につきましては、中央道でも警察のほうにお願いいたしましていろいろ交通規制の面で配慮いただいておりますし、また設計の面では、特に多いのは追い越しの場合の事故でございますので、坂道においてトラックの速度が鈍ることによる追い越し、それに備えての対策としましては登はん車線というものを設けまして、乗用車はどんどん追い抜いていけるというような配慮もいたしております。そういうことによりましてできるだけ事故を防ぐという配慮はいろいろと考えていきたいと思っておりますが、建設そのものは、やはり交通量の少ないところについては二車線でやむを得ないのじゃないかというふうに考えております。
  27. 河村勝

    河村委員 まあ先に延ばしてくれ、とにかく道路をつくってくれという外部的な要求もずいぶん強いとは思います。しかし、同時に、どうも建設担当者になりますと、新しいものをつくりたいということばかりに一生懸命で、それでほんとうに安全の面というのはおろそかにしてしまって、そのためにいろいろな事故続発の原因になっているわけですね。いまの一般の、高速道路以外の道路の例を見ても、どうもとかく新しいものをつくることに一生懸命で、古いものを拡幅したりあるいは歩道をつけたりということはじみで目立たないものだからおくれがちだという現象がはっきりあらわれているわけですね。だから、この辺でもって方針を転換して、中央高速道路なんかもこれから先は四車線でやるのだというふうに当然私は切りかえてしかるべきだと思うのです。現実用地はちゃんと買っておいて寝かしておくということまでやっておるのでしょう。おそらく工事だって私は相当手戻りがあるはずだと思う。完全に初めから四車線やればのりが二面で済むところを、わざわざあとからつくるために両側でのりを構築しなければならないということもあるはずです。だから、国民経済的に見たらロスが非常に多いわけですね。安全の面、経費の面——これは国費ですよ。そういう点を考えたら、当然中央高速道路について、今後方針を転換すべきだと私は思う。きょうは道路局長がいなくて、あなたに聞いても無理なのかもしれないけれども、その点についての検討はいま建設省でなされているのか、なされていないのか、その辺をひとつ聞かせてください。
  28. 松崎彬麿

    松崎説明員 段階施工におきましては、ただいま先生おっしゃいましたような問題がございます。この点につきましては、建設省としても研究機関に委託いたしまして、どういう利欠点があるか、経済的に見てどうであるかというようなことを、手戻りの面あるいは交通量からの収入の面、そういうものもあわせて検討いたしております。
  29. 河村勝

    河村委員 それはおかしいと思うのですね。段階というか、始まっちゃってからそういう経済計算なりあるいは安全との関連の計算をするというのは順序が逆なので、こういうものを対向車線でもって計画する前に、事前に十分な計算の上で、対向車線でもいいからつくったほうが国全体の利益を考えて、安全の面から、経済の面から考えて、これのほうがとるべき手段だというふうな結論を出してそれでやるというならわかるけれども、始めちゃっておいてから計算するというのはおかしいでしょう。一体いままでそういう計算はしたことはないのですか。
  30. 松崎彬麿

    松崎説明員 すでに結論は出ておるものもあるわけでございます。ただ、路線によりまして建設費がかなり違ってまいります。交通量も変わってまいりますし、構造物が多い少ないによって、あとから投資する額も変わってまいります。そういう点でのいろいろな検討をなお一そうやるということでございます。
  31. 河村勝

    河村委員 そういう返事は、いまの世の中では通らないので、電子計算機の発達した世の中ですから、いろいろな条件を与えて、与えたデータが変われば結論もおのずから変わる。幾つもの条件予測式のものが当然あってしかるべきだし、現にあるはずです。だから地価なりあるいは土工の費用なり、そういうものを変わったら変わったで、それぞれ当てはめていけば結論は必ず簡単に出るはずだと思う。そういうことはやってないのですか。
  32. 松崎彬麿

    松崎説明員 検討はいたしております。
  33. 河村勝

    河村委員 どうもたよりない返事で、どうも課長さんにこれ以上お聞きしてもしかたがないので、きょうは責任者がおいでにならないのでたいへん残念なんですけれども、ちょうど鯨岡長官お見えですので、いまあなた、私の質問を聞いておられて、政府責任者としては——これからのこういう種類計画を進めるためには、もっと科学的でなければいけませんよね。一体国民経済的に考えてどうであるかというくらいのことは当然おやりになってしかるべきだと思うのですけれども、その点もう一ぺんお考えになって、あなたも交通安全という立場からの発言権はあるわけでありますから、今後中央高速道路に限りませんけれども、こういう対向車線なんという高速道路をただ延ばしていくというのではなしに、もう一ぺん出直して、仕事をするなら初めから少なくとも四車線でやっていくというふうに変更すべきであると考えますが、いかがですか。
  34. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 お答えいたします。  私は、言うまでもなく建設省ではありませんが、いま先生指摘のように、いかに交通の安全を確保するかという立場に立ってものを考えれば、全く御指摘のとおりであります。この間私も、実はつい最近ですが中央高速道路を通ってみたのです。せっかく用地買収をしたあとがあるのですけれども、二車線というんですか、そのために分離帯がないのですね。非常に危険だなあという感じがいたしました。だが一方また、先生きびしく御指摘でしたけれども、ずっと長く延ばしてこれを本来の目的の向こうまで通ずるということ、これもおくれていいということではありませんが、それを延ばすために当然複線にするところを単線にして事故が起こることを黙って見ているということはない。特に私の立場としては、延ばすよりは事故がないようにしなきゃならぬことはいうまでもないことですから、今後事故状況等、いろいろ建設省でも、単線にしているために起こるであろうものを予測してその防衛策を講じていることは御理解のとおりですが、それにもかかわらず起こるであろう事故を見まして、われわれのほうとしては厳重に建設省に要求して、政府としても考えていかなければならぬことがある、こう思いますので、いましばらくひとつ御猶予を願いたいと思うわけであります。
  35. 河村勝

    河村委員 きょうは安全だけの立場から議論しておりますけれども、安全の面だけでなしに、安全プラス国の費用、言いかえれば国民の税金です。これを最も効率的に使うという立場から見ても、土地を買収して寝かしておく——これも普通の値上がりさして売るという商売やっているなら別ですよ。これは完全に寝かしちゃうんだから。普通の会社なら、金利もたいへん。道路構造でも、かなりの手戻りがあるはずだと、私は計算したわけじゃないけれども、見ていてそう思います。そうすれば安全の面ばかりでなく、国民経済的に見ても、あれを二車線でつくるのは、大きな目で見て決して有効な施工法じゃ私はないと思うのですよ。そういう意味で、安全面ばかりでなく、効率的に予算を使用する、両方の面から、ぜひともこの際本格的に検討していただきたい。それを、きょうは建設省課長さんしかいないので、副長官に特にそれをお願いしたいと思うのですが、もう一ぺんひとつ、ただここだけの答弁でなしに、政府責任としてはっきりお答えを願いたいと思いますが、いかがですか。
  36. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 安全の面をはずれて経済的効率というようなことに立ち至りますと、いま私が正式にお答えする立場ではないかとも思いますが、しかしながら御指摘のことはよくわかります。当然建設省でもその辺のことぐらいは十分検討して私はやっているものだと思いますが、御指摘のこともよくわかりますので、政府としてこの問題、せっかくの御指摘でありますから、真剣に検討してみるということをお約束申し上げます。
  37. 河村勝

    河村委員 けっこうですけれども、どうもさっきから建設省の話を聞いていますと、ほんとうに客観的な分析はしていないように思われるのです。まあ政治的な圧力もあるかもしれません。それから、建設当局の何としても新しいものをつくりたいという偏向もあるでしょう。いろいろな理由から、どうもつくりたいほうに一生懸命で、そうした国民経済的な分析をやっていないように思うのです。だから特にお願いするわけです。  それで安全の問題とちょっと離れますけれども、この間中央道に行きまして、大月から河口湖の間ですね、あの間は今後は延ばす計画はないわけですね。今後は大月から勝沼に延ばすのですか。一体あれはどういう理由で変わったんですか、計画は。
  38. 松崎彬麿

    松崎説明員 中央道の当初の計画は、大月から河口湖を通りまして、現在考えておりますルートの中津川のほうへまっすぐ長大トンネルを掘ってつなぐという考えであったのでございますが、長大トンネル自動車走行上非常に問題があるということと、建設費も高いということ、それからできるだけ多くの人に利用していただくとすれば、むしろ諏訪回りということにしてルートを変えたほうがいいんじゃないかという意見がその後出てまいりまして、決定された日付は記憶しておりませんが、最終的には審議会においてただいまのルートに決定したというふうに承知しております。
  39. 河村勝

    河村委員 最終的に審議会でそうきまった、それでなぜあの道路ができているんですか、最終的に勝沼に抜ける道路建設すべきだというように決定したというのに、なぜ大月—河口湖間がちゃんとできて車が走っているのですか、それはどういういきさつですか。
  40. 松崎彬麿

    松崎説明員 大月——河口湖間については、そのことが決定された時点ではもうすでに着工いたしておったんです。と申しますのは、大月——河口湖間につきましても、やはり審議会において高速道路として決定された路線、その後その部分はブランチにしていいということで、本線は大月からまっすぐ甲府へ抜ける、こういうことに変更されたわけであります。
  41. 河村勝

    河村委員 どうも聞いているとよくわからないことになるんですけれども、一回それじゃその審議会できめて着工して、着工し始めてから計画変更になった、こういうことですか。その辺のスケジュール変更の過程はどうなっているんですか。
  42. 松崎彬麿

    松崎説明員 本日その経緯についてのこまかい資料を持ってまいっておりませんので、お答えいたしかねます。
  43. 河村勝

    河村委員 きょうは安全の問題で聞いているんだから、これ以上それは聞きませんけれども、あのときに私は地元の責任者から聞いた話では、あれは永久に四車線にする意思はない。——永久にというのは少しオーバーかもしれませんけれども、とにかく四車線にする計画はない。ところが用地は四車線買っちゃっているんですね。あの用地一体何に使うのですか。
  44. 松崎彬麿

    松崎説明員 基本計画では四車線ということで決定しております。整備計画段階で、建設のみは二車線でやる、用地は四車線買収するということになっております。したがいまして、法律的にはあくまでも、いまなお四車線ということで考えておるわけでございます。
  45. 河村勝

    河村委員 これはついでに聞いたんですから、これ以上きょうはやめましょう。実際、安全の問題も最も大事なことであるけれども国費の乱費がこんなに私はひどいものかと思って驚いたんですけれども、きょうは責任者がいないから時期を改めて聞きます。  では、その問題はあとに残しまして、もう一つ、これは高速道路全般でありますけれども消防庁来ておられますね。——最近高速道路救急体制についてのいろいろな論議がされております。それで一部に、公団でもって救急業務責任を持つべきじゃないかという議論もあります。私もたいへんもっともだと思うんですね。現在公団消防庁の間でいろいろな救急業務についての取りきめがありますね、協定みたいなものが。大体大ざっぱにいってどういうことになるわけですか
  46. 中沖豊

    中沖説明員 名神高速道路東名高速道路につきまして、私ども公団協定を取り結んでおるわけでございますが、その内容は、主として救急自動車無償貸与その他の便宜供与でございます。
  47. 河村勝

    河村委員 いろいろな方面からの話を聞いておりますと、高速道路というのは、インターチェンジというのは非常に間隔が長いわけですね。それで、非常に閉鎖的であって、新幹線は別にして、一般の鉄道よりもなおさら閉鎖的な場所でありますね。だから、市町村に消防業務を分担させるというのは、常識的に考えてもちょっと無理なところがあるわけですね。実際なかなか思うようにいかないし、市町村の金の負担もたいへんだといういろいろの問題があるようですけれども一体、これについて、そういう問題点をどういうふうに取り上げておられるのか、今後それを改善していく計画があるのかないのか、それを伺いたいと思います。
  48. 中沖豊

    中沖説明員 御承知のように、救急業務は、住民の生命、身体の安全を守るという、住民の生活に密着した行政であるというふうに考えております。また、現在市町村の仕事でございます消防、この消防の中で、火災防御活動と並んで救急業務は大きな分野を占めてきておるわけでございます。そういう点からいたしますと、救急業務というものは、本来的に市町村の仕事ではないかというふうに私ども考えております。ただ、御指摘のように、高速道路等におきまして、広域的に処理をしなければならない問題が出てきておるわけでございます。でございますから、市町村の消防機関が救急業務を行なうにあたりましては、相互の応援協定の締結あるいは一部事務組合の結成、それから昭和四十二年に行ないました消防法の改正によります消防業務、この行政制度の活用等によりまして、市町村の消防機関が適切に救急業務を行なえるように、その体制の整備をはかってきておるわけでございます。かりに今度のような東名の大きな事故が起こりました場合、高速道路関係の救急業務公団が実施します場合におきましても、やはり市町村の救急、機関の応援というものが必要になってまいります。そういたしますと、連絡が非常に悪い場合には、かえって混乱を生ずるのではないかというふうに考えますので、むしろ現在の市町村の消防機関の持っておりますこの組織を活用いたしまして、公団等の便宜供与、あるいはいろいろな財政援助等も十分行ないまして、市町村の消防機関の救急業務の推進が十分できるように育成することがかえって大切ではないかというふうに考えておるわけでございます。御了承願いたいと思います。
  49. 河村勝

    河村委員 先ほど、あなたは、消防業務は住民を対象にするのが主体であるとおっしゃいましたね。高速道路でいまいろいろ事故を起こして、救急業務の対象になっているもので、その市町村の住民であったという例は何%ありますか。
  50. 中沖豊

    中沖説明員 ほとんど住民外の、つまり当該市町村外の住民だということになろうと思います。
  51. 河村勝

    河村委員 そうすると、あなたのさっきの答弁は非常に矛盾しているので、消防業務はその地区の住民を対象にするものだから、だから、ぜひとも市町村がやらなければならぬという、そういう答弁だったわけですね。ところが、実際は、住民というのは全然いなくて、もっぱらよその人間が——要するに高速道路の住民みたいなものですね。そういうものを対象にしなければならないものを、市町村がわざわざ不便なインターチェンジから乗り込んでいってやらなければならぬということはないように思うが、その辺はどうお考えですか。
  52. 中沖豊

    中沖説明員 私ども、そういうことも考えまして、広域的に救急業務を処理する必要があろうかというふうに考えておるわけでございます。そしてまた、市町村がそのために経費も余分に負担するわけでございますから、そうした点につきまして十分配慮しなければならぬということで、公団からの救急自動車の貸与、あるいは特別交付税による財源措置等も積極的に講じておるような現状でございます。
  53. 河村勝

    河村委員 どうも、無理やりに市町村の消防でやらなければならぬときめちゃって、そこからスタートして議論しているような感じがするのです。大体、公団でもって救急自動車や何かもみんな市町村に貸しているわけでしょう。かなりの金も出している。もちろん大きな事故になれば、地元の市町村の応援体制、これはなければならぬのはあたりまえです。しかし、第一次的責任は、広域的にこういうものをやるとすれば、広域的に管理をしている公団がやるのが一番都合がいいくらいのことはあたりまえだろうと思うのですが、あなたはそうお考えになりませんか。
  54. 中沖豊

    中沖説明員 これはかりにでございますけれども公団救急業務を行ないます場合には、やはりインターチェンジごとに一体でなければならぬ。その一体のための人件費等を入れますとかなりの金額になりますが、現在、高速道路におきましては、実はさほど件数は多くないのだというふうに私どもは思っております。また、かりに非常に大規模な事故が起こりました場合には、結局は市町村の救急機関の応援によらざるを得ない。そうしますと、公団が実施します場合には非常に中途はんぱな形にならざるを得ない。むしろ、それよりも、現在、市町村の消防機関におきましては、救急業務の体制の整備をはかってきております。たとえば救急業務の事務実施の市町村につきましては、人口三万以上の市まで現在義務づけてきておるわけでございますが、そういうふうに救急業務の体制の整備をはかってきておりますので、その知識、経験というものを十分活用し、さらに市町村の消防機関の救急業務が十分できるように積極的な援助を与えるということが必要ではないだろうかというふうに考えております。
  55. 河村勝

    河村委員 あなたは、いま、どうせ応援体制はつくらなければいかぬのだから、初めから市町村がやったほうがいい、そのほうが合理的であるというような答弁なんですけれども、しかし、大事故で地元の応援を頼まなければならぬケースというものは実際どのくらいあるのですか。鉄道の例を見ても、一般的な事故は第一次的に鉄道が責任を負って、大きな事故があれば地元の応援を求めますね。そのケースというものは非常に少ないわけでしょう。道路の場合にはそれ以上に少ないはずですわね。だから、救急車その他は事実上全部公団から市町村に貸与するわけでしょう。そうすれば、物件費については公団がしょっても問題はないはずだ。問題は、確かに、あなたが言うように、事故救急業務のためだけに公団が人間をかかえていることがほんとう経済的かどうかという問題が最後に残ると私は思う。その場合、救急業務だけを特定の人間にやらせると考えるから話はむずかしくなるのであって、公団自体は、パトロール業務もやれば、清掃業務もやれば、いろいろの種類の管理作業があるわけでしょう。そういうものと一体にすれば、消防救急業務がそれほど超技術を要するようなものとも思われないので、そうした一般管理作業と一緒に使えば、人間はむしろかえって合理的に安く使えるという計算になりはせぬかと思うが、その点どうお考えですか。
  56. 中沖豊

    中沖説明員 御承知のように、救急業務というものは人命に関する仕事でございますので、それに要します人員、施設につきましては、特段の配慮を要するかと思います。  救急隊員につきましては、現在きわめて厳重な訓練を行なっておるわけでございます。私ども、その資質の向上を一そうはかる必要があろうかと考えております。そういう面からいたしましても、かなりの知識、経験、熟練を要するのではないかというふうに考えております。  もちろん、公団におきましても、道路管理者として、できるだけ救急業務に協力してもらうという必要があろうかと思うわけでございます。そういう面で、公団とも、あるいは警察、厚生関係の医療機関とも十分連絡を密にいたしまして、救急業務が一そう適切にできるように努力してまいりたいと考えております。御了承願いたいと思います。
  57. 河村勝

    河村委員 救急業務が命にかかわることぐらいのことはあたりまえですけれども、救急隊員が別段医師の技術を持っているわけではないのです。応急手当はできなければいかぬのですけれども、結局そういう場合には医者を呼んでこなければならぬ。その場合には消防がやろうと公団がやろうと同じことですね。どうしても消防がやらなければいかぬというようにきめてかかっておるような返事であって、これまたさっきの道路の問題と同じように、もう少し国全体の立場でどっちが得かという計算がなされてないような気がするのです。そこで、もちろん鯨岡長官に最後はお伺いしなければいかぬのだけれども、これもまたいままでのやりとりを聞いておられて、いろいろ問題点はおわかりだろうと思うのですが、一体あなたはそういう点をどうお考えですか。
  58. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 その問題は私はよくわかりませんから、政府委員をして答弁いたさせます。
  59. 河村勝

    河村委員 わかりませんではなしに、いままで別段むずかしいやりとりをしていたわけではなしに、私だって別段専門家じゃないので、ごく普通の会話をしておったわけですから、その会話の内容から聞いてどうお考えかと伺っているので、宮崎さんが答弁するのはいいですよ。いいですけれども、そのあとであなたもやはりちゃんと責任をもって答弁してください。
  60. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 高速自動車国道におきます救急業務の問題が大きくなりましたのは、御指摘のとおり、過日東名でバスの事故によって一度に数十名の負傷者が出たということに関連してのことだと思います。御指摘の点はまことにごもっともでございまして、総理府といたしましても、この高速自動車国道の救急問題をいかにすべきかということはかねがね考えております。ただ目下の段階におきましては、先ほど消防庁がるる御説明申し上げましたように、市町村消防の内容を強化すること、それから相互の応援体制をさらに強力に行なうこと等によって、当面これでカバーしてまいりたいという考えを持っておりまして、これにかわる非常にいい案がございますれば、私どものほうも消防といろいろ話をしまして、これはどうかということになるわけでございますが、現在、率直に申しまして、現在の消防庁考えております以上の名案が実はまだないわけでございます。と申しますのは、これは結果論になるかと思われますが、同じ高速自動車国道でございましても、名神のほうは、これが開通いたしましてから今日に至るまで、もちろん部分的、断片的には問題がございましたが、救急問題がたいへん大きな問題になったことはございません。したがいまして、東名の問題も、今後ここしばらく成り行きを見まして、さらにまた非常に大きな問題が出るということであれば、これは当然に検討を要するかと存じますが、その点は今後消防ともよく連絡いたしまして、事態に即応して今後検討してまいりたいと思っております。
  61. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 いま御審議をいただいている交通安全基本法においてもそのことはうたわれていることは先生御承知のとおりであります。ここでいま私もそれを見ているのですが、交通安全についての国及び地方公共団体、運転者、あらゆるものの責任の明確化ということを、文章ではきわめてはっきりするのですが、具体的には——私も東名ですか、あれを走ってみて、ここで事故が起きたときに責任の明確化といってもだれがどういうふうにやれば一番適切なんだろうか、一番ほめられるやり方はどうなんだろうということを考えると、なかなかむずかしい問題があります。これを、救急業務はその土地の責任にするというても、はたしてそこら辺に適切な医療機関があるかどうか、それもわかりませんし、あるところもありましょうし、ないところもありましょう。道路によっても違いましょうし、また道路の性質、それによっても違いましょうし、また都市、農村、山岳地帯みなそれぞれ違いましょう。なかなかいい考えは浮かばないのであります。なおこの点は高速道路の発展とともに十分検討し、不測の大事に備える体制を整えていかなければならないというように考えております。なかなか知恵は浮かびません。何かいいお知恵がありましたならばひとつ御示唆をお願いいたしたい、むしろそういうふうに考えておる次第であります。
  62. 河村勝

    河村委員 私は、知恵を出して、公団でもってやらせることをたてまえにしてやったほうが一番機動的かつ能率的、合理的だろうと思うので、それを提案しているのでありまして、ぜひ御検討ください。  終わります。
  63. 内海清

    内海委員長 松本忠助君。
  64. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 六月一日付の朝日新聞の記事でございますが、日産またトヨタの車両の欠陥につきまして「ニューヨーク・タイムズ」が報道しております。そのことについて朝日が取り上げております。そこで、この記事の最後のほうに、運輸省自動車局の話が載っております。この点からまずお伺いしてみたいわけでございますが、この発言は責任のあるお立場の者の発言でございますか。そしてまた、この内容については新聞の報道のとおりであるかどうか、まずこの点を先に伺っておきます。
  65. 堀山健

    ○堀山説明員 これはいろいろな人に会っておりまして、いろいろな人の発言をある程度参酌して書いたものではないかというふうに考えます。
  66. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうしますと、一応運輸省の係の何人かの方々の話を総合して、そして朝日は、運輸省自動車局の話としてとっている、こういうわけですね。それで記事の内容については間違いはないわけですね。
  67. 堀山健

    ○堀山説明員 その記事の内容は、私どもでいろいろな人から聞いたのをある程度整理して書いたものと思いますけれども、中身につきましては、必ずしも公式見解ということで私ども言ったつもりはないわけでございます。
  68. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それではその点は一応お伺いしておいて、その記事の内容に、これらの「事故原因に不審な点があれば、徹底的に調べてメーカーに改善を求める行政指導をし、ときには文書で改善通告もしている。」こういうふうにございます。そこで、いままでに文書で改善通告を出した実例がありますか。
  69. 堀山健

    ○堀山説明員 事故報告規則というのがございまして、事故が起こりますと、事故に関して報告することになっております。これは運送事業者と十両以上の車の使用者についてその義務がございます。報告書は時間がかかりますので、別途に二十四時間以内に速報するという制度が設けられております。ただこの件につきましては、たとえば衝突、転覆、転落、火災、踏切衝突、あるいは五十万円以上の物損、あるいはいわゆる主要保安部位といわれておりますハンドル装置とか、あるいはブレーキ装置、懸架装置、こういったものについて、そういう事故があったときには報告を求めるということに制度的になっております。その他原因の発見といたしましては、警察機関よりの通報もございます。それからもう一つは、車を使用しておる者、いわゆるユーザーと申しますか、こういった方々が車を使ってみて、これは非常に危険である、あるいは改善を要する、こういうものもございます。したがって、そういうニュースソースを私どもが承知いたしまして、これは車の欠陥によるものであるというふうに判定いたしますと、これに対してメーカーに改善の指示をいたします。それから一方においては、車のユーザーに対して、これは方法として団体を通じて文書を出す、あるいは私ども地方機関がございますので、その地方機関に対しても通告する、こういうことにしております。
  70. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それで、その改善の通告を出すやり方でありますけれども、確かにその業者の団体であるとか、あるいは地方にあるところの運輸省の下部機関を通じて周知徹底をはかるということはけっこうなことだと思います。しかし、一般に周知徹底をさせるということが私は大事じゃないかと思う。それこそ未然に事故を防止することができると思うのですけれども、秘密にメーカーに対してのみ改善の通告を出した。そうしてあっても、必ずしも、そのメーカーに出したからそれがすぐ改善されるというふうに、見通しはこれはなかなかないと思うのです。そこで、やはり批判された車両に欠陥があることを監督官庁であるところの運輸省が承知をしている。承知をしていながらそれを野放しにしておいたのでは危険ではないかと思うわけです。一般に周知徹底させる。特に最近は、いわゆるオーナードライバーと申しますか、自家用保有者が非常に多い。こういう方々が問題だろうと思うのです。いま運輸省が言われるのは、おそらく、バスであるとかトラックであるとか、そういう業界に対してはその業界を通じて徹底をすればある程度徹底はできると思います。しかしながら、特に今回のような問題については一般の方々に対してそのことを早く周知徹底をさせるということが必要ではないかと思う。特に東名全線開通をした。まあ、日本の大動脈が完成をしたわけでございますけれども、こういう高速時代に入りますと、五十キロ、六十キロで走っているときの問題とはわけが違って、ピン一本、バネ一つが欠損があっても大事故になる、人命にかかわるというような事故が当然できるわけです。こういう、いままでと変わった東名の開通という一つの大きな時点を迎えた状況の変化に適応した考えを運輸省ではとるべきではないか。一般に対して公表すべきではないか、こういうふうに私は思いますが、この点を部長はどう思いますか。
  71. 堀山健

    ○堀山説明員 確かに、一般に即座に周知するという方法は、現在のところ、とられていないことは事実であります。先ほど申しましたように、私どもの下部機関を通じ、あるいは組織を通じ、あるいはメーカーを通じてやる、こういうことでございますので、その点は確かに徹底を欠いた面はあろうかと思います。したがいまして、今後につきましては、先ほど言いましたように、いろいろな形のニュースソースがございますが、さらに、メーカーが自分で発見したもの、こういうものもございます。したがって、メーカーからそういう面についての報告を、従来から一部報告を申し出たものもございますが、今後制度的にそういうものをとって、しかるべき処置を当省としてもとりたい、かように考えます。
  72. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 結論でございますが、一般に公表したほうがいいと思いますね。その処置をとるほうがいいと私は思いますが、はっきりその点を言っていただきたいと思います。
  73. 堀山健

    ○堀山説明員 アメリカの制度では、メーカーが車両の欠陥を見出したときには、メーカーは、政府に対して、事故の欠陥について届け出ると同時に、新聞発表する、こういうことに習慣としてなっているようでございます。私ども日本においては、そういう制度が実はなくて、先ほど言いましたようなルートで流すということになっております。その意味では、今後改善をいたしたいと思います。
  74. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それで、最初お尋ねした点の、車の事故原因について不審な点があれば徹底的に調べる、こう言われておりますけれども一体どこで調べるのかということです。運輸省として直接調べるのか、あるいはメーカーに調べさせるのか、あるいは第三者に調べさせるのか、その辺のところはどうでしょうか。
  75. 堀山健

    ○堀山説明員 いろいろの場合がございます。たとえば材質欠陥でございますと、研究所へ持っていけば、そこで材料分析、強度試験と申しますか、そういうものをやる。それから、そういう研究所、もちろん当省の研究所がございますが、船舶技術研究所なりあるいは関係の科学警察研究所とか、あるいは大学に頼むとか、そういったよその機関に頼むこともございます。私どもが技術的に判断する場合もありますし、メーカーの判断によるという場合もあります。メーカーの判断によるという場合は、これは当然、何か欠陥がありますと、その対策をとらなければならない。その部品をどうかえるかということになるのであります。そういったケースもございます。
  76. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それで、先ほどの自動車局の話の中に「米国では日本のような車体検査制度がない。日本では定期的な車検でチェックが行われているだけ、安全には気を配っている」というふうに考えると書いてあるわけです。  そこで、私、常々お伺いしたいと思っておったのですが、ついぞ聞く機会がなかったのでお尋ねしてみたいという点があります。  たとえば五トン積みのトラック、これのブレーキまわりを試験するときにはどういうふうに具体的にやるのか。また、八トン積みのトラックのブレーキまわりの試験をするときにはどういうふうにやるのか、この二つについてお答えを願います。
  77. 堀山健

    ○堀山説明員 ブレーキには、ブレーキ試験方法というのが、俗称JISと申しますが、これできまっております。そのやり方によって試験をする、こういうことにしております。
  78. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その場合に、たとえば五トン車の場合は、やはり空車で走っているときと荷重、要するに荷物を積んだときとおのずからブレーキのきき方が違うと思います。また、八トン車では八トン車だけの、やはりシューのぐあいは違っておると思うわけです。荷重を考えて試験をしているのか、あるいは空車で試験をしているのか、その点をお伺いしたいわけです。
  79. 堀山健

    ○堀山説明員 申しわけありませんけれども、試験方法を、いま手元に持っておりませんので、正確なお答えはいたしかねるわけであります。
  80. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 これはもうどっちも荷重を考えないで試験しているように私は聞いているんですがね。資料がないと言われますから、それ以上追及することもやめますけれども、全然その荷重の点を考えないで試験をしてみてもしようがないと思うのです。この点、一ぺん見せていただきたいと思っています。やはり五トン車なら五トン車のように、八トン車なら八トン車のように、荷物を最大積載量まで積んでその上で試験をするのでなければ、これは無意味だと思う。単に五トン車を空車のまま、あるいは八トン車を空車のままで試験したのでは無意味ではなかろうか、これはしろうと考えでありますが。ひとつ専門的な点を一ぺん調べていただいてお答えをいただきたいと思います。この回答については保留をさせておいていただきたいと思います。ひとつ次回に聞かせてもらいたいと思います。  それでは、続いて、この朝日新聞の記事によりますと、日産、トヨタに限らず「ほとんどのメーカーが秘密のうちに処理してきたようだ。」こう書いてあるのです。「四十一年にはトラックのブレーキの故障による大事故があいつぎ、各社とも対策に懸命になったことがあるが、この事実も運輸省とメーカー以外にはほとんど知られていない。」こう書いてあります。この車両は、おそらく、欠陥車両と思うわけでありますけれども、どうでしょうか。
  81. 堀山健

    ○堀山説明員 車のいわゆる欠陥と申しますと、一つは、設計上の完全なミスの場合、一つは、整備上非常にこれの点検整備というものがしにくい、したがって、しやすいようにしたほうが保守が非常に楽である、こういうものもございます。いろいろありますので、そういうことを含めて改善が行なわれているものと考えますので、それがすべてそういうことではないと思います。
  82. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私どもお伺いしたい点は、これが欠陥の車両であったかどうか。そのことを運輸省が知っていて、しかも、メーカーと運輸省以外はどこも知っていなかった、こういう事実があったというのですね。この記事のとおりとするならば、運輸省がこういう欠陥を承知していて、もしかして大事故が起きた、人命を損傷した、こういうことになったとしたら大問題だと思う。過去にこういうふうな四十一年のブレーキ故障によるところの大事故が相次いだという事実があったわけですから、こういう点を考えれば、どうしても一般には公表すべきであったろうと思うのですが、なぜその当時公表しないで、運輸省とそしてメーカーだけが知って秘密のうちにそれを処理しようとしたのか、人命尊重とメーカーの保護のどちらを優先するのか、この点について私は非常に疑問に思うわけです。三菱重工業と日産ディーゼルの事故も記事が出ております。日産の場合には、事故発生から全国で売り出されていた車両の点検が終わるまで二年近くかかった、こういうふうにございます。この間事故原因となったブレーキのひび割れを二百九十五台から発見して部品を有料で交換した。この原因によるところの事故はあったのかなかったのか。あったとすれば、その事故の発生を予見できる立場にあった運輸省、その運輸省が責任を負うべきではなかろうかと思うのです。人命尊重の立場から、会社に対して改善命令を出した、それで済むものではない。やはり一刻も早くそういう事実を公表して、そして未然に事故を防止する方向に持っていくべきではなかったかと思うのです。この四十一年度の大きな事故についてなぜ公表しなかったのか、その辺の真意を伺っておきたいわけです。
  83. 堀山健

    ○堀山説明員 先ほどから申し上げましたように、いろいろな機会に発見いたしましてそれに対する措置をとるわけでありますが、一つの方法は臨時検査をするという方法がございます。それからたとえばその例でいきますと、これは実は例として非常に少ないわけでありますが、LPタクシーで火災事故を起こしたということで、これは全数政府のほうで直接検査をいたしました。それからまた先ほど申しましたように、事故があった結果としてこれは直ちに欠陥部分を改良して処置しなければならないというものにつきましては、事故警報という形で、もちろんその対策はメーカーに指示するわけでありますが、同時に車を使っている人たちに対するPRのしかたといたしまして、事故警報あるいは事故情報、こういう形で私どもの下部機関あるいはそれぞれの団体、要するにユーザーの団体あるいは整備工場のグループ、こういうところにその内容を指示していく。それからなお、これは若干時間的なズレもありますけれども、私どもの現場におります車両検査官あるいは指定工場におきます検査員あるいは民間の運送事業者あるいは自家用の、ある養成所のところで身につけております整備関係者、こういう人たちに対して研修しております。したがって、いままでございました実例、特に大事なことは全部その場合に公表して、どういう点について過去に実績があったか、あるいはどういう点に共通の——これは特定会社でなくてもよその会社にもこういうことが起こり得る可能性があるので、そういう点はどういう点に留意すべきであるか、こういう点については研修材料として使って教育している、かようなかっこうでございます。
  84. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 一応いいでしょう。  それで通産省の自動車課長に伺いたいわけですが、この朝日新聞の記事でございますが、この新聞記事によります以外にもっと具体的な事実が、この点については通産省のほうには報告があったかどうか、あったとするならばこれを伺いたいわけであります。
  85. 田中芳秋

    田中説明員 対米輸出の点でございますが、私どもに連絡がありましたところでは、トヨタ系統ではコロナのほかにランドクルーザー、いわゆるジープみたいなものでありますが、この二車種、それから日産につきましてブルーバード、それとスポーツカーのフェアレディ、これにつきまして安全上の欠陥がございますので、現在回収整備をいたしておる、こういう連絡になっております。
  86. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その程度の報告しかなかったわけですね。いまおっしゃった程度のことだけですか。
  87. 田中芳秋

    田中説明員 私どもの受けております報告では、その事故原因と申しますか、問題になります個所につきましてどのような点を中心に回収等を行なっているか、そういう報告も受けておるわけでございます。
  88. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私はこの機会に、やはり役所のほうにはこれだけの大きな事件でございますから、朝日が取り上げているだけ大きな事件でもありますので、役所が当然これに対して現地のほうで、アメリカのほうでどういう状態だったのかということについて、輸出の問題を担当されているところの通産省としては十分にこの内容について把握する必要があると思うのです。いまのお話の程度のことでしたならば別に新聞の記事とたいして変わらないような程度のものなんです。もう少し具体的な何かをこれに対して突っ込んで調べてみようという気持ちにはならなかったものですか。やはり日本の輸出の総量の中でも大きなウエートを占めている自動車産業の輸出の問題であります。これに対して通産省がもっともっと積極的にこの事件の本質というものを取り上げ、解明していってこそ役所の立場が貫かれるのではないかと思いますが、課長が何かこうメーカーに遠慮して発表しない、そうと違いますか。
  89. 田中芳秋

    田中説明員 おしかりを受けたのでありますが、別にメーカーに遠慮しているつもりは毛頭ございません。  アメリカヘの輸出でございますが、アメリカにおきましては国内交通及び自動車安全法という法律がございまして、先ほど運輸省のほうからお話がございましたように、この法律によりますれば、このような構造的な欠陥がございます際には政府及びこれを使用している者に通知の義務が課せられておるわけでございます。したがいまして、公表の義務はこの法律では課せられていない形でございますが、先ほど運輸省からお話しのございましたように、アメリカのビッグスリー、あるいはフォルクスワーゲン、こうしたものは公表をいたします習慣と申しますか、そういう形になっております。日本の自動車それからフィアットあるいはイギリスのBLMC、こうした車につきましては公表をせずに、むしろ販売店等を経由いたしまして現在のユーザーを追跡するという形で、使っております方に周知徹底をはかっている、こういう状況でございます。したがいまして、私どももわが国の問題もございますので、いかにして使っている人に確実に伝わるようにするか、その方法が至急検討さるべきものと思っているわけでございます。現在に出張をするなりして調べよと、こういうことでございますけれども、当該輸出国におきますいろいろな法規との関連等々もございます形でございますので、私どもできる限り詳細な状況の把握をいたしますと同時に、これは運輸省等とも御協力をいただきまして、それとメーカーに私どもといたしましてはこうした欠陥と申しますかがありますものにつきましては、その報告をできるだけすみやかにとる、それは現在法律的なあれはございませんが、そういう体制をぜひ整備をいたしたい。そしてこれは実はメーカーに対する取り締まりという意味で、通産省の考え方ばかりではございませんで、やはり部品業界等々の指導をしていかなければならない問題であろうと思います。そうした自動車関連業界ぐるみでこういう問題を解決していかなければならないというふうに考えております。そういう施策でこれを解決してまいりたい、かように考えております。
  90. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ちょっと伺いますけれども、この問題になった日産の四十三年型のブルーバードとトヨタ四十三年型のコロナはどれくらい輸出されていましたか。その台数と総輸出額と。
  91. 田中芳秋

    田中説明員 トヨタのコロナでございますが、輸出台数は約十二万台でございます。それから同じくトヨタのランドクルーザーの輸出台数が約二百三十台でございます。続きまして日産でございますが、ブルーバードでございますが、輸出台数は四万三千台でございます。スポーツカーのフェアレディでございますが、輸出台数は約八千九百台でございます。
  92. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その輸出の総額はどれくらいになっていますか。金額。
  93. 田中芳秋

    田中説明員 金額につきましては、いま手元に資料がございませんので、後ほど御連絡さしていただきます。
  94. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 やはりこの点については、アメリカに通産省の出先の機関があるわけでしょう。その機関から報告はなかったのですか、あったのですか。新聞記事のほうが先なんですか、報告が先なんですか、どっちが先か。
  95. 田中芳秋

    田中説明員 通産省の出先機関というものはございません。  なお、二番目の御質問でございますが、新聞によりまして事情を知ったわけでございます。
  96. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大使館か何かに、通産省からのそういったものについての外国における販売の状況であるとか需要の状況であるとか、そういったものを把握するような人、それを担当する者は、通産省では派遣していないわけですか。外務省にお願いするなりして調べてもらっているというようなことはないわけですか。
  97. 田中芳秋

    田中説明員 大使館に通産省の者が、外務省に出向という形で出ておるのは、行っておるわけでございます。そしてまた、こうした通商経済問題を担当していることも事実でございますが、このような状況を把握できる体制になっていない形でございます。
  98. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 どうもこれだけの金額はあとで教えていただかなければわかりませんけれども、これはこの年式だけの、四十三年のブルーバードだけで四万二千台、トヨタの四十三年のコロナが十二万台ということで、この年式以外のものも相当ずっと引き続いて輸出されていたと思うわけです。そうしてみると相当の外貨を日本が獲得しているわけです。当然そういう面に対しての調査検討というものがなされていなければならないと思うわけです。単にメーカーの販売の系統だけで、商社だけがそれを掌握している、それをただうのみにしているということではなくて、やはりこういう点に対しては通産省がもっともっと積極的に私は体制を組み上げておくべきではなかろうかと思うわけです。  しかし、それはそれといたしまして、運輸省にもう一ぺん聞きたいわけです。  車両欠陥があるということがはっきりした場合、重大事故になるおそれがあるということが予見されるような場合は、この車両の販売を中止する、あるいは市販されたものは回収する、こういう方向に持っていくべきではないかと私は思うのです。たとえて申しますと、これは例が少し飛躍するかもしれませんが、カネミの米ぬかの油の問題があります。あるいは有名なカマボコの製造業者などがありまして、ここで問題が起きました。御承知のことと思うのですけれども、食中毒が起きた。こういう場合に、有名店はいま自分のお店の信用を一そう高める意味においても、はっきりこういう事故がございました、申しわけなかったということを公表し、しかも販売中止、製造中止、こういうことをみずから行なっているような状況になっています。もちろん口から入る、直接人体に被害を与えるもの、よくよくのことでございます。しかしながら、また自動車のほうも決してこれに劣らない。万が一の事故によって人体に影響を及ぼす、死亡に至る、こういうようなことになりますと、これはたいへんな問題であろうと思うわけです。その回収をするということをむしろ積極的にメーカーがやったほうが信用の向上になるのではなかろうか、こう思うのです。そうしてそうすることを義務づけることによってメーカーは一そう研究心を旺盛にして、自社の製品の名声を傷つけないために一生懸命に研究もするだろう。また一面、内部的にはこれはいろいろ問題はあると思いますが、販売する立場にある者と製造する立場にある者とでは、おのずから一つ会社の中でも意見の対立はあろうと思いますけれども、やはり公表をするほうが信用がつくような時代になっている、私はこう思います。ですから、むしろこういうものがあったということをはっきりといって、その車両の販売を中止すると同時に、市販されたものについては回収する方向に向かうべきではないか、こういうふうに私は思うわけです。そこで運輸省としてはこういう行政指導をする考えるがあるかないか、この点を伺っておきたい。
  99. 堀山健

    ○堀山説明員 先ほど申し上げましたように、直ちに手当てをしなければすべて危険であるというものと、扱い方によって防げる、むしろこう改良をしたほうがよりベターである、いろいろなものがございます。したがいまして、私どもそれぞれをより分けて、先ほど申し上げましたように緊急手配しなければいかぬものは、日にちをきめて臨時検査の措置をとる。あるいは最近の例では、バックミラーが人をひっかけたことがありますが、したがってそういうものは強制交換をする、こういうふうにいろいろ扱い方をより分けておるわけでございます。したがって、起こってくる事情事情によりまして、緊急度合いに応じまして、それぞれ現行制度、あるいは現行制度で不足する分につきましては補足する、こういうことで前向きに措置していきたいと思います。
  100. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 運輸省の前向きな形がわかりましたので、私も一応けっこうだと思います。そうしてぜひそういうふうな行政指導をしていただきたいと思うわけです。  そこで、運輸省でこういうふうな欠陥車両を専門的に調査するといいますか、研究するといいますか、これについて具体的に研究するところの機関、たとえていうならば交通安全公害研究所、こういったものをつくって、そこで徹底的にこういう問題については調査、研究を進めていく、こういうふうにしたほうがいいと思うわけです。この前も私見せていただきましたけれども、船舶技術研究所というのがあります。あそこで車両の安全構造とか公害の研究をしているようでございますけれども、これは船舶技術研究所というようなものの中に置くのではなくて、むしろ独立させて、そうして一番その問題点になっているところの自動車の安全、そしてまた公害、こういう問題についての根本的な調査、研究をする技術研究所を設置する考え、これをぜひ進めてもらいたいと思うのですが、この点どうでしょう。
  101. 堀山健

    ○堀山説明員 先生指摘のとおりでございまして、過去数年にわたりましてその努力を事務的にはしてきたわけでございますが、御趣旨のようなものになっておらないことは非常に残念でございます。今後私どもせっかく努力をいたしたいと思います。
  102. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 予算の問題でいろいろ障害があるということになれば、これはまたあなたにばかりお願いするのではなくて、われわれもそういう面については積極的に大臣なりに意見を申し上げて、こういう面にこそ積極的に取り組んでもらいたい。これはまた機会を見まして直接大臣に申し上げることにいたしたいと思います。  それからなお、本省の自動車局の中へでも、車両の検査専門の担当官、こういうものを置いてはどうかと思いますが、この点はどうでしょう。
  103. 堀山健

    ○堀山説明員 現在新しく世の中に出ます車の審査をしておる部門がございますが、最近は非常にいろいろな種類の車がふえてまいりまして、なかなか処置しにくいという面がございます。  なお高度に判断いたします専門官、そういった種類のものが非常に不足でありますし、またそういう人間が実は必要なわけでございます。これも数年にわたって私ども努力してきたわけでございますが、本年度は公害関係につきましては専門官というものが設けられましたけれども、安全の面についてはいまだ認められていないということでございます。われわれ努力いたしたいと思いますが、また先生方の御尽力もお願いいたしたいと思います。
  104. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 わかりました。  それでは次に警察庁の久保交通局長に、また運輸省のほうと関連する問題でありますので、運輸省にも聞いていただきたい。  交通事故で死傷者などが発生をした場合、この事故をまず最初に取り扱うのはやはり警察官であろうと思うわけでありますが、たまたま事故になれていない地方の警察官などのような場合ですと、とかく運転者を罰することのみで済ませている例が多々ある。車両の整備不良とか車両の欠陥とかが不問に付されてしまって、運転者のみが罰せられているということがあります。この点非常に不公平だ、こう思うのです。そこで事故原因を徹底的に車両の面から検査する制度が必要じゃなかろうかと思います。もちろんこれは運輸省がなすべきことでございますけれども、運輸省とすればやはり出先にそれだけの人員を持っているわけではございません。手が回りません。手が回らないからそれでしようがないのだということになったのでは、事故の防止には何ら役立ちませんので、そこで警察庁のほうにお願いして、第一線の警察官の中で、特に一警察署に一名ぐらいの車両に明るい警察官を置いて、その応援を得て共同体制で調査の結果を運輸省に報告する。運輸省ではさらに専門的に調査して、特殊なものは公表して事故防止に役立ててはどうか。いままででもこういう面についてはいろいろとあったこととは思うのですけれども、何かこそこそやっていて表面に出てこない。もっともっとオープンにこれをはっきりと、こういう事故があったがこれはこういう車両欠陥によるものであるというようなことをはっきりしたほうが私はいいと思うのです。とかくいままで、先ほど申し上げたように運転している者、そちらに事故責任がかぶせられてしまう。こういう点を私は間々見受けております。この点について交通局長のお考え並びに運輸省の考え方を聞いておきたい。
  105. 久保卓也

    ○久保政府委員 警察における整備不良車両の取り締まりは、昨年三万四千件ぐらいありましたけれども交通事故約六十万件ぐらいの中で、整備不良であるという事故原因であったものは三千件ぐらいであります。したがいまして、数字から申しますと非常に少ない数字でありますが、ただ車がこわれたというようなこともありまして、その点の解明が不十分であった面もあろうかと思います。  そこで警察の場合に、車のほうの原因の追及が不十分であったかどうかについては私証明できませんけれども、ただ警察の場合にはどうしても人の違反ということに関心が向きがちであるという点で、先生の言われるような懸念を私は持ちます。  そこで私が交通局長になりましてやりたいと思いました大きな柱のうちの一つは、従来の事故原因の調査というものは法令の違反、つまりドライバーが悪いのであるか歩行者が悪いのであるかといった警察的観点からやるという調査が主でありました。最近ここ数年は、道路環境についてもあわせて調査をするというようなことも入ってまいりましたけれども、おっしゃるような総体的な事故調査というものはございません。伺うところによりますと、イギリスのバーミンガム市では警察がまず事故調査をやりますが、あわせてバーミンガム大学の教授その他が幾つかのチームを持っておりまして、これが全般的な事故調査をやるという二つの方法でやっておられるそうです。これは全部じゃありません。バーミンガム市がおそらく委託しているのだろうと思います。わが国の場合には、遺憾ながら事故調査をやるのは現在のところでは警察だけでありますので、そこで全部の事故についてやることは不可能であるかもしれませんけれども、抽出した調査をなるべく具体的に、これは単に警察的観点だけでなくて車の問題、それから社会学といいますか心理的な問題あるいは道路環境の問題、そういうものを総合した調査をやってみたい。  そこでいまおっしゃいましたように、人の問題がからんでくるわけですけれども、単に車に明るいだけでなくて、もう少し広い知識を持った者を養成したい。幸い、最近大学を出た警察官がだいぶ出ておりますし、その中には機械工学とかあるいは心理学なんかを勉強した人もおるようでありますので、これをひとつ選んできて交通のほうに相当組織的に向けていくという方法を考えてみたい。まず最初には県本部なりあるいは主要な警察署なりということになろうと思いますけれども、こういった長期的な計画で進んでまいりたい。その面から自動車関係はもちろんのこと、各方面の御要望にこたえることができるのではないかというふうに思っております。  しかし、これは若干時間を要する問題でありますが、さしあたっての問題としてもう一つは、車の保安基準にまだ検討を要する点があるような感じをわれわれは受けるわけなんです。しかし単なる思いつきで申し上げてもいけませんから、ある程度のデータをそろえて、これはまた運輸省とも御協議を申し上げたいというふうに考えております。
  106. 堀山健

    ○堀山説明員 従来から特に車両のほうで、よくチェックしてもらいたいというものにつきましては直接現場から通報がございます。  なお、重大事故と私ども考えております事故につきましては、特にバス、大型トラック、こういうものが大きな事故をやりますと、私ども、先ほど事故報告に待つということを申し上げましたけれども、そういう大型車両とかあるいはバス、特にバスがそうなんでありますが、これが大きな事故を起こしますと必ず私どもでも現地に行きまして、警察のほうでも捜査をされますが、そのじゃまにならぬ範囲内で、車にどういう欠陥があったかなかったかということもあわせてチェックする方式をとっております。できるだけ警察のほうに便宜をはかっていただいておるつもりでございますが、今後ともその辺はよく連携をとりまして、できるだけ早くいろいろな事実関係を発見したいと思います。
  107. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いままでも十分の協力体制はあったことだと思いますけれども、今後ともどうかひとつ運輸省と警察のほうと十分緊密な連絡をとって、一そう事故防止に役立てていただきたいと思います。  次の問題でありますけれども、運輸省にお伺いするわけでありますが、最近消費ブームと申しますか、古くなったものを修理して使うというようなことをあまりしなくなりまして、新しいものを買いかえる、こういう風潮が多くなってきた。一例をあげますと、テレビにいたしましても電気洗たく機にしましても、三年もたちますと新品と買いかえて古いものを下取りさせるとか、こういう傾向が非常に強い。車両もこういう傾向を取り入れて、三年もすると全体的にいたんできて、修理するよりは買いかえたほうが得だ、こういうふうなことを言う人がだいぶ多くなってきております。上手な人は、一年ぐらいでも買いかえてしまって常に新しい車に乗っている、このほうが得だ、こういうことも言っております。そこでメーカーのほうもそのお客さんの風潮に便乗したと申しますか、商魂たくましく新車を売ろうという方針からか、三年もたちますと全体的にいたんでくる車両をつくっている傾向がある。この点どうでしょう。どうもそういうふうにしか受け取れない。三年もたつと一度にどこもここも悪くなってしまう。  そこで私思うのですが、そういう傾向が見え始めていることを非常に危険に思いますので、運輸省では事故防止の見地から車両の発売後三年ぐらいを経過した時点で、毎年年度別に車種別に車体の強度試験とかあるいは車体のねじれの試験とか、こういったものをして、車が三年たつとこういうふうになるということを公表したらいいのじゃないか、こういうふうに思うわけです。そうすれば、かなりこれが事故防止に役立つと思いますけれども、この点運輸省の考えはどうでしょう。
  108. 堀山健

    ○堀山説明員 車は非常に多くの部品からでき上がっております。したがいまして、何と申しますか、わりあい長持ちする部分と消耗する部分と二つのグループがございます。そこで、私どもそういうものに対して車全体としてどのように安全を保つかと申しますと、そういう二つのグループがありますから、ある年がたつと当然消耗する、あるいは性能が劣下するという部分もございますので、その面については、車については定期点検をしてください。それからあるいはそれとは別に、また国が直接検査をする。この二つで、いわゆる非常に耐久性のあるものについてはそのままでありますが、当然ある時期に部品を交換しなければならぬものについては、そのときに点検し、あるいは検査をする、こういうことでカバーしておるわけであります。ただそういいましても、これは未来永劫に性能が保持できるわけではございませんので、たとえば車の検査の面でいいますと、自家用の乗用車なんかの例をとりますと、普通二年に一回でありますが、十年以上たてばこれは毎年、一年に一回。そういう意味で格差をつけておる、こういうことでございます。
  109. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 運輸省としても、こういう問題に対しては、なかなかデリケートな問題ですからすぐお答えもできないと思いますが、最近の傾向でございますと、税法上の、いわゆる自動車の耐用年数いっぱい乗る人は非常に少なくなってきていることは事実だと思うのです。自家用車と営業車では御承知のように耐用年数が違うわけでございますけれども、自家用車であるからといって、これもかなり走っているものもあります。営業車並み以上に走っているものもあると思うのです。  そこで耐用年数という考え方を改めて、その走行したキロ数、これを基礎に耐用キロといいますか、こういうものを考えてはどうか。たとえば飛行機でございますと、何万キロ飛べばどこの手入れをしなければならないというふうに、はっきりきめられております。ところが一方自動車のほうは、いま部長のお話にあったように二年たてばどこをやるのだというような期間の問題になっている。これはやはり二年たっても全然使わなかった車——全然使わないこともないでしょうけれども、使い方の激しい車とあまり使っていない車とあるわけです。ですから、期間でむしろいくよりも、キロ数で、何キロ走ったならばどういう整備をするのだということを義務づける。たとえば三万キロ走ったらどこを点検するとか、四万になったればどこを修理するとかいうことを具体的に指示する必要がある。そうしてはっきり規定しておいたほうがいいのじゃなかろうかと思うわけです。こういう点について法的にこれを取りきめて、強制的にこれをやらせるというふうにしたならば、事故防止の一助となるのではなかろうかと思いますが、この点はどうでしょう。
  110. 堀山健

    ○堀山説明員 車の性能劣下はおおむね走行キロに比例するというのはお説のとおりでございます。かつては昭和十年代から三十年代の中ごろ、車があまりよくなかった当時には、いわゆる三万キロということを当初において指導したこともございます。ただいろいろやってまいりますが、確かに車の使い方は人によって全部違います。違いますが、いろいろな指導をする面におきまして、やはり半年に一回とか、一年に一回とかいうほうがどうも一般的にいいますと通用するといいますか、と申しますのは、非常に関心のある方は自分の走行キロを全部チェックしておって、これはいつしなければならぬということで積極的におやりになるわけですが、一般的にはこれはやはり半年たったら、一年たったらといったほうが実用的といっては変ですが、多くの方々にわかりやすいということで、そういう期間で押えたということでございまして、確かに走行キロでものごとを判断するというのが実態に合うことはおっしゃるとおりだと思います。
  111. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 やはり現在の時点においては、私は走行キロというものに関心を持たせるようにして、そういうふうな行政指導をしていって、走った走行キロに応じたところの手入れをしていくというような指導をされるべきであって、やはり期間というものに限られたやり方では不合理だと思います。この点をひとつ検討してみてもらいたいと思います。  それから次に問題がかわりますので、運輸省のほうはけっこうでございます。建設省の方に伺っておきたいと思うのです。  三十一日から供用開始されました首都高速一号線、上野線でございます。このことについて伺いたいわけでございますけれども、下り線の出口が台東区の北上野の日光街道の交差点の手前に設けられております。私も一日に見てまいりましたが、非常に渋滞をしておりまして信号待ちのために車が詰まっておりまして、高速道路のその役を足していないのが実情でございます。その後、私見てまいりましたあとに、また新聞に出ましたので事実だなと思っておりました。そこでその新聞を見ましたところが、六月三日付の朝日の記事でございますが、昭和三十四年に事業決定をして首都高速道路公団が四十年に着工した。そしてこのたび竣工した。そこで首都高速道路公団の企画課のお話が載っておりましたが、それを引用いたしますと「交差点の手前でおろさずに立体交差にすべきだったという意見もあると思いますが、当初の設計者がいないので、よくわかりません。ただ、計画、事業決定がされたのは十年も前のことなので、現在のこの車はんらんは予想できなかったかも知れません。」こういうふうなことが新聞記事に載っております。この事業決定が十年前の三十四年になっているけれども、四十年に着工したわけです。この状況は、四年前ですから、私は予測できなかったはずはないと思うのです。先にもう少し延ばして立体交差にすればいいことがわかっておる。これが常識的だと思う。それが三十四年に事業決定されたからそのままで着工されてしまう、四十年度に着工されてしまう、そういう考え方がどうも私は納得できないのでございます。これと同じ条件下にあるのが、まだ完成されませんが、近々完成されて供用される川越街道。これも池袋の五つ又から川越街道に入ってまいります。そうして環状六号線の手前でおりるようになっています。これはやはり上野線と同じような結果になってきて下りが詰まってしまうのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。この点については、私は一昨年になりますか、あすこを着工したと同時に運輸委員会でこの点について指摘したことがございますけれども、やはり常識的には環状六号を越えたところで川越街道におりるというのが当然だと思うのですけれども、これもやはり私どもが言っただけではそのままで、とうとう着工されて、近々供用開始に川越街道のほうもなります。要するにその事業決定と着工までの間に時期があるわけです。上野線でございますと、三十四年と四十年というと六年間の差があるわけです。そして四十年になりますと相当に、交通の状態が三十四年と違って大きな変化を来たしているわけです。こういう事態になったときに、なぜ事業決定を変更しないのか、もう少し先まで延ばすとか方法は考えられないのか、こういう点を私、非常に疑問に思いますので、この点について答弁を願いたいと思います。
  112. 角田正経

    ○角田説明員 一号線の渋滞につきましては、先生指摘のとおりでございます。ただいまいろいろ対策をとっておりますが、根本的には、先生からお話がございましたように、都市計画決定の段階で予想いたしましたよりは、確かに交通が激しくなっております。当初の計画は、先生のお話しのように、三十四年からこの一号線は着工しておりましたが、たまたま本町から上野間が四十年以降、予算との関係もございまして、おくれたわけでございます。それならば、そのときに計画変更その他をして、もう少し実態に合うようにしたらいいじゃないかというお話でございますが、私どもも、それは検討いたしておりまして、あの一号線を、あそこでいま完全にとめてしまうということではございませんで、あれから延ばしまして、荒川沿いのほうまで延ばしていくということで、四十四年度の要求でもいろいろ出して検討はしたわけでございますが、何せ先のほうで、川に渡ります段階で、非常にむずかしい個所が数個所ございまして、その辺で都市計画としまして、なかなか思うように進まないという問題がございます。いずれにいたしましても、これは将来あれを延伸いたしますと、あそこのランプが中間ランプになりますので、現在のような混乱はもちろんなくなるだろうと思っております。それから五号線のほうも、確かに御指摘のように、同じような問題をかかえているわけでございます。こちらのほうは、もうすでに事業に着手しておりまして、できますれば、奥のほうでございませんで、環状六号の側から工事に着手いたしまして、少なくとも環状七号に近いところまでは早く供用にしてもっていきたいというふうにいま鋭意努力いたしておるわけでございます。
  113. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 上野線にしましても、五号線にしましても、いずれも同じことだと思いますが、鋭意努力と言われるそのおことばで片づけられて困るのは、一般の方々だと思うのです。これを使用する方々だと思うのです。確かに上り線のほうは、川越街道ができましても、また現在の上野線にしましても非常に使われております。しかしこれでは、片一方だけの話で、上りのほうは、上野の駅前が楽になってきましたことは、これは事実でありますが、しかし一方、下りが非常に込んでいる。また新聞記事などによりますと、そうつかえて困るならば、従来の本町のほうのランプでおりてもらえばいいじゃないかという言い方をしております。これはまことにどうも愚弄した話だと思うのです。やはり国民の血税を使ってこういうものをつくるからには、つくったものが、そのまま生きるような形にしてもらわなければ何にもならない。将来これから日光街道をそのまま先に延ばしていく、御指摘のように、あれから先には川が二本ございます。すると、やはり荒川の千住の大橋の先まで持っていかなければ、これは解決しない問題であることはわれわれもわかっております。やはりこれを早くやらなければ、いまの交通渋滞を解決する方法には何にもならないと思う。むしろ無用の長物であって、膨大な国費を使いながら、これを半分しか使えないというようなことであっては、まことにこれは遺憾しごくだと思うわけです。またそういうことが、ひいてはいわゆる民衆の方々からお役所仕事として非難されることになると思うのです。これは、少なくともいまの上野線におきましては、交差点の先へ持ってくるというようなことがなぜなされなかったのか。先へ延ばすのだから、中間のランプでやるのだからというような言い分でなくて、やはりこの時点において、あの交差点をまたいで来ておろすということは、少しも不可能ではなかったと思う。上野北警察署の前あたりまでは、非常に道幅も広いのだし、三ノ輪の交差点の手前までは十分幅があるのですから、当然できないことはなかった、そういうふうに私どもは思うわけでありますけれども、この点、重ねて建設省のほうの考え方をただしておきたいと思います。
  114. 角田正経

    ○角田説明員 先生におことばを返すようでございますが、せっかく私どもつくりましたが、当初予想いたしましたより実は車が伸びました関係で渋滞になったわけでございますが、決して無用の長物を私どもつくっているわけではございません。特に予測が変わりましたのは、当初あそこの交差点で右折が非常に少ないだろう、直進が非常に多いだろうということで、交通信号その他も警視庁といろいろ御相談してきめておったわけでございますが、予測に反しまして六割以上があそこで右折するということで、右折車が二台並びますと、直進がほとんどできなくなりまして、それで渋滞が生ずるということになったわけでございます。そこで当面言いわけみたいなわけでございますが、警視庁と御相談いたしまして、一般街路の右折をお断わりいたしまして、高速道路の右折と直進というふうな形にさせていただく、それで中央にございます分離帯を多少削りまして、右折が二車並びましても、直進が一車行けるような形に持っていきますと、ほぼ当面の問題は片づくだろうというふうに考えております。  なお先生のお話しのように、あそこの交差点を渡りましておろすということになりますと、右折は手前、直進は向こうというふうな形になろうかと思いますが、いま申し上げましたようなことで、当初三十四年当時、あるいはこれを供用するまでいろいろ交通パターンを取ってやりましたが、予想に反しました交通の流れがございました。現実問題として対策が後手になってしまったことは、まことに申しわけない次第でございます。ただ、いま申し上げたようなことで右折が多いために出ている問題でございますので、交差点を越えて向こうにおろすということになりますと、直進は助かりますけれども、全体としての問題は、いま先生お話がございましたように、やはり将来ずっと延ばしてしまう。それからもう一つは、右折が多いのは、浅草方面に参りますので——これが現在鋭意やっております六号線が来年度には完成いたします。そうしますと、今度は六号線のほうから浅草に回っていただきますと、非常に近くなりますし、交通の流れもよくなるだろう、そういう点でも実は期待しているわけでございます。
  115. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、その件については、都心部にこれ以上交通渋滞を起こさないようにするために、ひとつ最善の方法をとってもらいたいと思います。  最後に、東名の問題でございますが、東名が開通いたしましてから十日になろうとしておりますが、残念ながら死者が二名出た、負傷者も三十三名を数えたというようなことを聞いております。また最近、事故防止のための総点検を始めるということを言われておりますけれども、これもやらぬよりはいいだろうと思いますが、そこで問題は、トンネルの中の事故が非常に多いという点について、トンネルの中の事故対策、特にトンネルの中のすべりどめに問題があった。きょうの新聞等によりますと、急速に通行を停止しまして、そうしてやり直しをしている。何か新聞記事によりますと、フランスから輸入したところの塗料を塗ってよくなるつもりだったところが、かえってあべこべにスリップするようになってしまった、こういうことが書いてございますが、こういう新しい塗料を輸入して使用するまでには十分の検査といいますか、実験がなされなければならないと思うわけです。実際に供用を開始されてみて、トンネルの中で相次いで事故が起きて、東名高速道路の名に恥ずかしいような事件が相次いだわけです。この間のトンネル内の事故、特に舗装の問題、こういうような問題に対して、この間の事情について詳しくひとつ御説明願いたいと思います。
  116. 松崎彬麿

    松崎説明員 大井松田—御殿場間の東名高速道路の開通後に、かなりの事故がこの間に起こっているということは事実でございます。なお、その事故のかなりのものがまたその間の、都夫良野トンネル、それから吾妻トンネルという二つのトンネルがございますが、その中で発生しておるということも事実でございます。トンネルの舗装は、普通のところと違いまして、照明効果をあげる意味もございまして、アスファルト舗装に比べて、できるだけ白っぽい色の舗装をやるという考えをいたしておりまして、その目的のためにサルビアシム工法というものを採用いたしております。この工法は今回都夫良野あるいは吾妻トンネルに初めて使ったものではございませんで、東名高速道路のうちの厚木の東京側にございます大和トンネルあるいは日本版トンネルあるいは清見寺、興津、こういったトンネルにも実は採用いたしております。都夫良野、吾妻、このトンネル以外でも過去において、いま申しましたように使ってきておりまして、工法としてはわれわれ決して初めてのものではないわけであります。また、その後の供用開始後の状況を見ておりますと、その他のトンネルにおいてはほかと比べてきわ立って事故が多いというような現象もございません。  しからばこの都夫良野、吾妻でどうしてこう大きな数多くの事故が起こるかということにつきましては、公団として供用開始後いろいろ調査をいたしたわけでございますが、一つ理由としては、都夫良野トンネルの先がかなり線型的にもよくございません。そういう関係で、その間においてどちらかというと追い越し等あまりせずに来た車が、トンネル内に入ってから線型がよくなるものですから追い越しをかける、あるいは走行速度そのものも八十キロで規定はいたしておりますが、かなりの速度を出しておるのじゃないか、そういったいろいろの理由考えられますが、やはり一つの問題としては、多少ほかのところよりもすべりやすいんじゃないかという問題がございます。この点について、なぜほかに比べてすべりやすいかという原因については現在いろいろ調査をいたしておりますが、しかし、まずは事故の防止につとめるということが一番重要なことでございまするので、昨晩から、一応夜中の最も交通量の少ない六時間ほど片側車線を閉鎖いたしまして、路面を弗化水素酸という溶液を使いまして洗いまして、その上にワイヤブラシをかけるというような方法によりまして摩擦係数は確保するという作業を開始いたしております。今晩あるいは明晩くらいで作業は完了する予定でございます。
  117. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 特にこの二つのトンネルの中においての事故が多かったことについてはいろいろの理由もあろうと思いますが、大体トンネルの中の追い越しということはできないことになっているのと違いますか。
  118. 松崎彬麿

    松崎説明員 高速道路につきましては禁止いたしておりません。
  119. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 できるんですか、トンネルの中でも。そうですか。  いずれにいたしましても今回の塗料が大きな問題点になっていたということでありますので、至急にこれを直してやられるということはけっこうでございますが、何によらずいろいろ実験をし、そうしてまた十分の危険防止を考えた上でやらなければならないことだと思いますし、また今後高速道路を使用する側のドライバーのほうにも一そう注意を喚起するように、ひとつ十分の指導をしていただきたい、このように思います。  では以上で質問を終わります。
  120. 内海清

    内海委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十五分散会