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1969-05-15 第61回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年五月十五日(木曜日)     午前十時二十二分開議  出席委員    委員長 内海  清君   理事 稻村左近四郎君 理事 大竹 太郎君    理事 斎藤 寿夫君 理事 田中 榮一君    理事 板川 正吾君 理事 山田 耻目君    理事 河村  勝君       加藤 六月君    丹羽 久章君       太田 一夫君    久保 三郎君       後藤 俊男君    古川 喜一君       松本 忠助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君  出席政府委員         総理府総務副長         官       鯨岡 兵輔君         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 久保 卓也君  委員外出席者         厚生省公衆衛生         局精神衛生課長 佐分利輝彦君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 内海清

    内海委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 きょうは、交通事故経験した運転者脳障害を起こしている、そういう者がかなりおるようであります。私の地元の救急病院である水戸志村病院院長のいままでの経験あるいは診断というのか知りませんが、これによりますれば、脳障害を起こした、たとえばむち打ち症を起こした者がその直後二、三カ月の間にかなり重大な事故を起こしている。これは運転中に失神というか、そういうことがあるんだというような話でありまして、そういうものを野放しにしておく状態は、言うなら気違いに刃物ということになるということで一つの警鐘を乱打しているわけでありますが、この判定あるいはこれをどういうふうに扱うか、なかなか問題のあるところだろうとは思うのであります。しかじ、目の前にわかっていることを、困難であるという理由だけで放置していくわけにはまいらぬと思うのですね。まさに交通戦争はそういう対策をいま要求されていると思うのです。通り一ぺんの対策で事が済むようなものではなくなっているということだと思います。そういうことで、この問題に関係して二、三伺うわけでありますが、もちろん道交法の八十八条によるところのいわゆる精神病者あるいは中毒患者あるいはてんかん持ちというか、そういう者については免許証を与えないということになっているのであります。この判定についてもあるいは手続についても、必ずしもこれは確立していないというのが現状だと思いますね。そういうものをどう確立していくかが今日の問題であろうと思うのであります。  そこで、まず第一に一番はっきりしているのは、過去において先ほど申し上げたように運転事故を起こしたというか、あるいは運転事故にあったというのかわかりませんが、脳障害をその際受けているというような疑いのある者についてのいわゆる適性検査というか、そういうものをいまの法規ではやれないんじゃなかろうかと思う。これは免許を与えるかどうかのほうの所管でありますから交通局長にお伺いします。いまの法規法体系の中ではそういうものを規制する措置があるかどうか。いかがでしょうか。
  4. 久保卓也

    久保政府委員 現在の法規のもとでは、道交法の百二条によりまして臨時適性検査ということが行なわれます。これによりますと、八十八条に書いてありまするような疑わしい事態がある場合に臨時適性検査を行なうということになっております。ただ、問題もいろいろありまして、事実行為といたしましては、この臨時適性検査の前に、やはり警察側で何かおかしいと思った場合にチェックリストによりましてチェックをする。その中である程度の点数が出ますと、それでもって医者のほうに回して診断をしてもらうということであります。ただ法的には、臨時適性検査が行なわれますけれども強制力が担保されていない。本人が出てこない場合には、これを無理に検査をするわけにはいかないというようなこと。それからもっと基本的な問題は、医者のほうで十二分に自信のある検査がなかなかむずかしい。そして人情的にも、検査をやる場合に、医者判定する場合に、自分検査判定でもって免許証取り消しなり不許可になるということはかわいそうというようなこともありまして、十二分にそれが活用されないといったような実際上の問題もございます。いずれにしましても、法的にはやはり不備であるというふうに私どもは考えております。
  5. 久保三郎

    久保委員 いまのお話だというと、結局臨時適性検査という制度があるものの強制力がない。もちろんこれは人権尊重というか、そういう立場の問題も付随してくると思うのでありまして、扱いには慎重を期さねばならぬと思うのであります。しかし、強制力がなくて本人が出てこない場合はやむを得ぬのだということでありますれば、これはどうにも手がつけられないことを見ているにすぎないと思う。これに対して前進の方向をどう考えていく、べきか、これが課題だと思うのですね。しかし、医者がはっきりこれは脳障害を過去において起こしているという者について、専門的な鑑定を求めるくらいのことはやってしかるべきじゃなかろうかと思うのであります。この点で正しい鑑定がなかなかむずかしい、こういうお話でありますが、それじゃ厚生省佐分利課長おいででありますから聞きますが、それは久保局長が言うように鑑定が非常に無理であるのか。もちろんどの医者鑑定ができるわけじゃないと思うのですね。脳神経外科というか精神医というか、そういう者だけができることだろうと思うのですが、それにしても技術科学も発達している今日でありますから、そういう検査の機器というようなものも今日ではある程度整備しているのじゃなかろうかと私は思うのです。そういう意味で、鑑定が無理だというお話がありましたが、鑑定がほんとうに無理なのであるかどうか。  それからもう一つは、先ほど申し上げたようなこういうケースの者が今日どのくらいあるのか。両方になりますが、いわゆる精神病あるいは麻薬患者というか中毒患者てんかん、それからいま申し上げた交通事故による脳障害者、そういう者はおよそどのくらいいまあるのか。その点おわかりであったならば、参考のためにお聞かせをいただきたい。
  6. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 まず、現在の精神障害者の数からお答え申し上げます。全国的な規模の実態調査は十年に一ぺん行なうことになっておりまして、一番新しいものが昭和三十八年の調査でございますが、その調査の結果によりますと百二十四万の精神障害者があったということになっております。これは精神病者、それから精神薄弱者の重い者、それからその他の精神障害者、この三者で百二十四万ということでございます。  なお、鑑定の問題でございますが、精神衛生法には一般人、警察官検察官から知事鑑定申請とか通報をする制度がございます。したがいまして、たとえば警察官検察官等がこれは精神障害があるんではなかろうかという場合には、その条文に基づきまして知事精神鑑定申請をしていただきますれば、各県に精神衛生鑑定医というものが厚生大臣によって指定されておりますので、その専門家を使いまして鑑定をいたすということになっております。ただこの精神鑑定は、先ほど先生からお話がございましたように、まず専門家でなければできないという問題。次に十分や十五分の診察ではとても診断ができないという場合が少なくない。さらに精密検査ということになりますと、脳波計とかあるいは脳の診断のためのエックス線装置とか、あるいは脊髄液科学的検査診断のための諸設備とか、そういうふうなかなり高度の施設設備を必要とするわけでございますので、どの医者でもどこの場所でもできるといものではございません。その点に鑑定のむずかししさと申しますか、そういうものがあるかと考えております。
  7. 久保三郎

    久保委員 両方お話を聞いていると、これは全然手放しで、不可能に近いということになりはしないかと思うのです。しかし現実にいま事故を起こして、あるいは事故のために脳障害があったとかむち打ち症にかかった人、あるいはこの辺を打った人とかいろいろあるでしょう。そういうものについてのみ、免許証をその人が持っているものであれば鑑定を受けなければ免許証を取り上げるというかやめさせる。あるいは新しくとるという場合にはこれはなかなかむずかしい。なぜならば、その人はどういう時点でどういう障害というか事故にあっているか、これはなかなかむずかしい。自分から述べる以外にない。おそらくそういう人は自分から述べないだろう。これはどこまでも教育というか、そういうものでいく以外にはないと思うのですね。しかし現実に起きたものについてのリストをつくるとか、そういうことによって多少なりとも前進をはかるということが一つだろうと思う。それにしてもいまの法体系では、先ほど交通局長が言うように強制力がないというのでは、これはどうにもならぬと思うのですが、これはどういうふうにお考えでありますか。現状は別としてどういうふうにしたらいいか、この点お聞きいたします。
  8. 久保卓也

    久保政府委員 いま精神鑑定が非常に困難であるということを申しましたが、現実には警察官が現認しましたりあるいは医師からの通報がありましたり、そのほかいろんな事件事故関連をして発見しておる状況ですが、非常に数字は少ないのですけれども、昨年じゅうで発見したものは四百三十件ばかりでございます。したがいまして、強制力はないのでありますけれども、何とかできる限りのことはやっております。ただし問題は、たとえばいまお話しむち打ち症などの場合に、これはおっしゃっておりますけれども事件医師お話では、むち打ち症の場合に後遺症として一瞬失神状態におちいる場合がある。したがって、事故を起こしたのはそういう場合じゃなかろうかという推定をされておるわけでありますが、当事者が全部死んでおりますのでよくわからないわけでございますが、ただ、こういった判断も可能かとは思いまするけれども、いずれにせよこの種の医学的なことにつきましては、私ども行政官が考えるよりも、やはり医学界あたりから厳密な調査結果をいただいてそれに従ってやったほうがよろしいのではないだろうかという考え方で、現在精神神経医学会のほうに諮問をいたしております。ことしはてんかんの問題についての報告があるそうでありますが、これらの結果を待ちたいと思うのですけれども、そういった一種の基準ができますれば、あるいは基準を待たなくても、いまの強制力のない法律ではちょっと不備なんでありまして、むち打ち症を含めるのが適当であるかどうか、さらにまた医者方等と御相談をしたいと思いますけれども、何らかの形で強制力はこの次の道交法改正のときには考えてみたい、かように考えております。
  9. 久保三郎

    久保委員 法律改正の前に、もちろんこの志村病院院長の言うことだけが正しいというか、権威のあることだとも断定できないかもしれませんけれども、少なくともそういうケースがあるということは事実ですね。  それで、これは厚生省にお尋ねするのですが、いまお話しのようなことで、水戸救急病院院長の言うケースというか、そういうものはかなりいままでもあなたのほうでも知っておられるのですか。いわゆるむち打ち症ならむち打ち症にかかった者がやはり一時失神するというか、そういうケースがあるとかあるいはないとかわかりませんけれども、その点どうですか。
  10. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 私ども存じております。ある人が自動車事故にあいました場合に、それによって頭部損傷、頭のけがを受けますと、二つの病気が予想されるわけでございまして、その頭部損傷によりまして精神障害が起こるという場合が一つ。それからそういった損傷によっていわゆるむち打ち症候群が起こるという場合がもう一つでございます。精神障害の起こりました場合が最も問題になってくるわけでございますが、現在国立、県立の精神病院にもどんどんとそういった患者がふえてまいっております。またもう一つむち打ち症候群患者の問題でございますが、これもただいま交通局長からお話しのございましたように、ふだんはたいしたことはございませんが、ときどき目まいがしたり、失神状態が出る、それで事故を起こすということもあり得るわけでございます。  ただ、その数字がはたしてどれくらいという正確な数字は私どものほうではつかんでおりません。ただ各国で問題になっておりますのは、そういった精神障害とか神経障害のある者、こういったものについてすべて自動車免許証を与えないということができるかどうかということが問題になっておるわけでございまして、たとえ精神障害者神経障害者であろうとも、その当時の病気状態また適正に管理されておりまして、正しい治療が行なわれておるということであれば、これは運転免許証を交付してもいいのではないかというふうな意見がかなりあるわけでございます。この辺に、人権等もからみ、また医学上の見解もからみ、なかなかむずかしい問題がございます。
  11. 久保三郎

    久保委員 いまのお話で、事実そういうことがあるということでありますから、法的にどう扱うかはまたあとで考えるとしても、さしあたりそういう者は事故を起こしやすい条件にあるというふうなことを、これはキャンペーンというか教育というか、宣伝というかわかりませんが、これはやはり必要だろうと思うのです。これを大々的といっては語弊があるが少しやってみたらどうか。それから運転者に対しても、そういう経験のある者については、やはり自分から警戒をするようにやってみたらどうか。そうすれば必ずしも人権を侵害することでもないだろうと私は思うのですね。どうですか、その点は。
  12. 久保卓也

    久保政府委員 厚生省及び医学会の御意見も伺いながら、一般的な安全教育及びキャンペーンの中でひとつ取り上げるということと同時に、雇用者にも働きかけるということを考えてみたいと思います。その点はひとつ検討さしてほしいと思います。
  13. 久保三郎

    久保委員 総理府から鯨岡長官おいでですから、これは警察庁ばかりでなく全体にわたることだし、この間からの旬間も終わるのですか、いままでやっておるのですか、わかりませんが、もうちょっとこういうところのPRに金も人間も少し使ったらどうかというふうに考えるわけです。ついては、これは別に旬間でいいとか、週間だけで終わるものではありませんから、ひとつ政府部内でも大きく取り上げてみていったらどうか。交通局長は、いまお話しのとおり、前向きでやりたい、こういうことであります。
  14. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 だんだんお話を承っておりまして、当然予想せられることで、先生の言われたように、交通事故の結果、頭に障害を来たした、それで、その後運転中にくらくらして、それで思わぬ事故を起こすということが十分考えられるではないかということは、今日の時点においては、十分いまのお話しのように考えなければならぬことだと思いますので、今後その方面にも注意してやっていきたいと思います。ただ、非常に問題が大きゅうございますので、この交通事故原因等についてはかなり詳細に調べあげておるわけですが、今日までの段階のところでは、てんかん病気を持っているという人の場合が何件かあったように思いますが、かつて起った自分交通事故によって、頭部障害があって、それでくらくらっとしたので事故を起こしたというようなことが現在のところではまだ数字が出ておりません。数字が出ておりませんが、先生おっしゃるように、あり得ることであることは容易に想像できることであります。そういう原因等について、なおよくいわゆる前向きでひとつ検討をし、そういうような原因による事故を未然に防止する対策を立てたい、こういうふうに考える次第であります。
  15. 久保三郎

    久保委員 もう一つ先ほど申し上げた免許欠格事項になる、いわゆる精神病精神薄弱てんかんあるいは中毒患者、そういうものについてはどういうふうに現実に扱っていらっしゃるのですか。
  16. 久保卓也

    久保政府委員 これは先ほどから申し上げておりますることと全く同じであります。ただ、先ほどもちょっと触れましたように、てんかんについては、近く、医学会から、決定的ではないと思いますが、中間的な報告がございますので、残りの問題についても、時期的にまだはっきりしておりませんけれども、結論を出していただくようにお願いしております。
  17. 久保三郎

    久保委員 たとえば、精神病とかに診断書をということで、一時話題をまいて取りやめになりましたが、その後の措置はどうなっておるのですか。
  18. 久保卓也

    久保政府委員 この前の経緯は御承知のとおりでありますが、それにかわるものといたしまして、警察官が認知をしましたり、あるいはいろいろなところで情報を得た場合に、これは免許を与える場合も、それから免許を更新する場合もそうでありますけれどもチェックリストというものを準備しておりまして、それによってチェックをしております。これによってどうもおかしいと思われるものがあれば、鑑定医のほうに回すというような処置をやっております。その鑑定医のほうから、これはこれこれの症状がありますということであれば、それで免許証は与えない、あるいは取り消すという処置をとっております。
  19. 久保三郎

    久保委員 厚生省に伺いますが、道交法の八十八条の、いわゆる精神病精神薄弱てんかん、あるいはアルコール、アヘン、あるいは麻薬というか、覚醒剤中毒、そういうものの判定というものは、先ほど精神病はなかなかむずかしいようなお話でしたが、その場の鑑定というものはそんなに精密にしなければわからないものでありますか。簡単にわかるものでありますか。
  20. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 精神薄弱診断は、診断技術がよく確立されておりまして、わりあい簡単であるかと思います。ただ、単純な精神薄弱はあまり問題はございませんが、精神薄弱にいろいろな精神症状が伴ってまいることが少なくないわけでございますが、その精神症状判断というのはなかなかむずかしい問題があるかと思っております。  次に、てんかんでございますが、このてんかんも、毎日てんかんを起こすという人もおりますし、一年に一ぺん、十年に一ぺん、一生に一ぺん、そういう人もあるわけでございます。つまり、てんかん発作のインターバルの非常に長い人がわりあいに少なくないわけでございまして、そういうものをどういうふうに診断をするかというのはなかなかむずかしい問題でございます。いろいろな刺激を与えまして、てんかんを誘発させまして、それを臨床的に観察したり、あるいは脳波検査でとらえたりという方法が試みられておりますけれども、しかし、一年に一ぺん、二年に一ぺん発作を起こすというような人の診断はなかなかむずかしいようでございます。  それから最後に、アルコールとかあるいは麻薬中毒でございますが、これはわりあいに診断がやさしいようでございます。ただ、アルコール中毒の場合も、単なるテルコールの酒癖というだけにとどまらず、いわゆる異常性格のような精神病質が伴うとか、あるいはその他の精神症状が伴うとかというふうなことが多いのでございますが、その面の診断ということになってまいりますと、やはりなかなか簡単には診断がつかない場合が少なくないのではないかと考えております。
  21. 久保三郎

    久保委員 お話を伺いますと、精神薄弱だけは大体簡単にわかるようなことで、あとはもうわからぬというか、手間がかかる。しかし、こういうものは、さっきお話しのように、精神障害者だけで百二十四万。いまはもっとふえていましょうね。そのほかに交通事故にあったものも加えたら――これには中毒患者等は入っておりませんから、覚醒剤中毒なんてものはかなりふえているだろう。運転免許証の取得の件数もふえているという。そうなってまいりますと、車のふえることと同様に、こういう欠格事由のあるものがすでに運転免許証を持っている、これがふえていくという傾向である。これでは、残念ながら、なかなか交通事故を防げない。しかも、常識的に判断できないような交通事故の続発を防ぐことは不可能に近いと思うのです。これに対してどういうふうにしたらいいのかという問題でありますが、こういうものの鑑定が、もっと科学技術的に、もっと正確に、迅速にできないものかどうか、そういう研究はしておらないのかどうか。  まず第一に警察庁にお聞きしますが、あなたのほうでは、交通安全というか、何か警察科学研究所がございますね。そういうところでは、交通事故精神医学との関係、あるいは人間工学的な問題もありますが、この場合は精神医学ですね。そういうものとの関連においての研究というか、そういうものはなさっているのですか。
  22. 久保卓也

    久保政府委員 私が再々申し上げておりますチェックリストは、科学研究所で開発したものですけれども、いまやっておりますのは、このチェックリストに五十項目ばかりあがっておりますけれども、これについてのウェートを考える。中毒患者については、どういう点が一番症状が、つまり警察官が現認してみた場合の症状が、どれが一番中毒なら中毒にふさわしいものであるか、あるいはてんかんについては、どういう点があれば非常にてんかんと結びつきやすいものであるか、そういったものを警察官が扱う、簡単なチェックリストの中でウエートをつけて見るというようなことで研究をしております。しかしながら、それに基づいてやりますのは、やはり鑑定医のほうに回すべきである、警察側判断する材料を提供する、あるいはまた、それに基づいて運転者自身、もしくは運転者雇用者に、疑わしい者があるから注意をしなさい、あるいは医者に見せてやったほうがよろしい、あるいは運転者としては不適格者ではなかろうかというような勧告、そういったような使い方をする、そういったものの研究をしておるわけですが、より厳密に鑑定医のほうでどういうことがあれば、これは免許を与えるべきではないという判断をしていただくとか、そういった鑑定をしていただくのは、これは医学会のほうにお伺いしても、十二分に自信のあるものはまだできないということで、現在諮問をして御研究願っておるという段階であります。
  23. 久保三郎

    久保委員 厚生省は、いま私が申し上げたような研究は、どんなところで、どういうふうになさっているか。
  24. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 厚生省自身といたしましては、精神衛生研究所という付属機関を持っております。また国立病院国立療養所の中には、それぞれかなりの研究施設が付置されております。そのほか全国四十六の医科大学精神神経科教室との共同研究というふうなもの、あるいは先ほど話が出ました警察庁の科警研、こういったところと共同研究もいたしております。ただ、この精神現象あるいは心理現象というのは、医学生物学の中でも、最もむずかしい分野でございますして、そういう意味で、各大学研究機関でもいろいろと研究もいたしております。厚生省もこういう面について、かなり高額の研究費も投入いたしておりますけれども、なかなかこれといったきめ手がまだつかめないというのが現状かと考えております。
  25. 久保三郎

    久保委員 これは単に警察庁厚生省だけの問題ではないと思うのです。いままさに交通事故大半というか半分くらい、あるいはそれに近いかどうかわかりませんが、大半、こういうものが原因でやっているものが多いのじゃないかと私は思うのです。たとえばきのうも申し上げましたが、みんながやっているのだ、おれ一人じゃないかというようなことは、まさに精神的な狂いが多少あるのじゃないかと思いますね。だから、そこまで広げれば、ほとんどかもしれない。そこまで広げぬでも、目に見えているものですから、これは精神病者あるいはてんかん、そういうようなことはわかるわけです。わからぬものは、もうしょうがない。そういうものを何か捕捉できないことに対して、われわれは深刻化していく交通戦争の中でのもどかしさを感じますよ。これは先ほど申し上げたように、警察とか厚生省とか、それだけの責任ではなくて、むしろ急がねばならぬのは、それを捕捉、せん滅することですね、戦争ですから。捕捉する、せん滅するには総力戦でなければできない。ところが厚生省厚生省国立病院国立病院精神医学のことは研究はしていましょう。しかし目的的に交通事故ということに焦点をしぼれば、どこかでやっているのかというと、警察のところであるいはやっているのかもしれませんが、ほかではやっていないじゃないですか。  そこで宮崎室長に資料を要求しておきます、あなたのところが取りまとめだから。いま私が質問したいわゆる精神的な障害交通事故に対しての研究をしているその研究機関があるかどうか。あれば、その研究機関はいかなるテーマでやっているか、これを調べて次回の委員会に出していただきたいと思う。  そこで申し上げたいのでありますが、科学技術庁は何をしているのだろうかということですが、結局問題は、こういう総力戦に対応する研究、そういう総力を結集する体制にいま政府はないということなのです。いま一番大事なものは何ですか。物価の問題と交通災害、そういうことになっているのですね、大事な国民生活の中で。物価の問題を除けば、交通災害だけですよ。あるいは公害、これもありますね。人間なんていうのは、昔はあまり幸福じゃなかったという。ところがいまは幸福どころじゃないですね。あしたの生存さえ保証されていない。一歩外に出れば死ぬかもしれない。殺されるかもしれない。これを防ぐことができないで、何で文明かというのです。まさに経済成長は世界の上位にあるという。ところが、この間の連休中でもかなりの人間が交通戦争で倒れていく。しかも目の前でこういう精神的な欠陥があるのに、これを押えようがない。  だから、私は再び申し上げますが、こういう焦点の合った目的的な研究を、総力をあげて政府の機関はやるべきだと思うのです。副長官、これはどうですか。
  26. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 御説承りましたが、分類別にてんかん患者あるいは精神病者、そういう者の事故がどうなっているかということは、一応の調べはついているわけでありますが、いま申されたとおり、いまやそれらは統合的に研究をしなければならぬ段階に立ち至っておりますので、現在行なわれている機関の名前、そのテーマ、それを資料として次の委員会に御提出を申し上げることのほかに、今後どうしたらいいのかというようなことにつきましても、なお検討いたしまして、御報告をしていきたい、こう考えております。
  27. 久保三郎

    久保委員 それから次には、同じようなことでありますが、事故原因調査についてもっと科学的でなければならないことになってきたと思うのです。これは警察の中心的な問題でもありますが、事故というのは、多角的な原因からなってきていることは事実であります。ところが言うなれば、それだけの調査が機能としてないのじゃなかろうかと私は思う。  そこで、われわれいま準備中でありますが、事故の全部を、精密に科学的にやるといっても、これはなかなか無理かもしれません。しかし、ある特定の者だけでも抽出して事故調査を厳密に科学的にやるべきだと思うのです。警察庁は、いままでこの事故調査についての科学的な検討はどういうことをやっておりますか。
  28. 久保卓也

    久保政府委員 従来の事故調査は、主としては事件捜査として扱って、その過程におきまして、どういう違反があったか、その違反が事故原因になっているのかという観点から調査されておったように思います。その結果がどういうものであるかは、統計資料をお持ちであろうと思いますが、そこにあらわれている程度のものであります。  そこで、これは部内でもすでに前から言われていることでありますけれども、それが不備であるということで、ことしの二月でありましたか、全国の枢要な場所百カ所を選んでみて統計をとって、事故分析をやってみました。これも結果は、私見ますと、どうもやはり外形的な、形の上での調査であったように私には思えるわけです。  そこで交通安全の対策にしましても、また取り締まりの面につきましても、その根拠となる、指針となるのは、やはり事故原因を精密に調査した上でなければいけないのではないか。そこで考えられますことは、単に道路の状況であるとか車のぶつかるぐあいであるとか、何の違反であったかといったような面だけではなくて、その事故の環境の問題、それから運転者の心理面の問題、そういったようなものを含めて、多角的な事故分析が必要であるというふうに、いま部内では申しておるわけでありますが、これもいま先生言われましたように、全部にわたってやっていくわけにはまいりませんので、死亡事故の全部とか、あるいはサンプル調査とか、いずれにせよ、おおむねの対策なり方針なりを打ち出せるのに具体的な根拠となるような事故調査をやってみたい、こういうように考えております。
  29. 久保三郎

    久保委員 そういう方向で前進されることはけっこうでありますが、われわれがいま考えていることをもう少し申し上げたいのであります。  そういうような調査をやる機関をひとつつくったらどうか。これは警察庁でけっこうでありますが、その中にそういう制度をつくったらどうか。それと同時に、事故原因と責任というものがこれから大きな問題になってくると思うのですね。人間の死亡した場合の損害賠償なども、これはだんだん上がってくる、これは当然だと思うのです。そうなった場合に、いま起きているように、支払い能力の問題から再び悲劇ができるというまことに残念なことが繰り返されている。そうなりますというと、そこから当然のごとく、事故原因と責任というものを科学的にやはり究明しなければならぬ、正しくつかまなければならぬ、そういうことも含めてやはり制度化していく必要が私はあると思う。どうかそういう意味でこれから検討されることをひとつ、事故調査については、お願いしたいと思うのですが、ただ、ことしの予算なんかあまりついてないんでしょう。どうですか。
  30. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 制度の問題でありましたので私からお答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、事故調査事故原因科学的に究明すること、これはたいへん必要なことでございまして、これはとりもなおさず、将来の事故防止の前提となるべきものと考えております。  現在、交通事故は第一次的には警察が所管しておりますので、警察が一番データを持っておりますし、研究もしておるわけでございますが、それ以外に、御指摘のように、いろいろな道路環境の問題もございます、自動車の車両の安全性の問題もございまして、関係各省庁もそれぞれ協力いたしております。  先ほど警察庁がお答えいたしました現場の事故調査につきましては、出先機関が相互に協力体制を十分にとるように私どもも指導いたしておりますし、それとあわせまして、中央の段階におきましても、従来、ともすれば、関係各省庁非常に熱心にやっておりましたが、そのデータを相互に連携を保ちながら活用するという仕組みがまだ十分でない点がございましたので、今後は総理府が中心になりまして、できるだけ既存のデータをまず相互に十分に活用し得るよう、研究体制の確立をいま寄り寄り協議中であります。
  31. 久保三郎

    久保委員 その場合は、当然、新しい科学機械の導入も私は必要だと思うのです。まあ、予算などはことしはそういう面ではあまりないんでしょう。幾らぐらいあるのです。参考のために聞かせてください。
  32. 久保卓也

    久保政府委員 本年度は、私の間違いかもしれませんが、あまり事故分析としての調査費がなかったように思うのですが、来年度といたしましては、名前は忘れましたが、先生の御指摘のような、分析のための器材を相当数購入して、各県に配付したい、かように考えております。
  33. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 これは、ことしの事実調査、主として既定経費でまかなっているのが大部分でございますので、もし御必要があれば、できるだけ抽出をいたしまして、額がどれくらいになりますかは調査いたします。  なお、来年度といたしましては、総理府といたしましても、格別予算の獲得に努力いたすつもりでございます。
  34. 久保三郎

    久保委員 いやみを言うようですが、そういうものは既定経費でいつもやっているのです。だから、従的な経費というぐらいの域を出ないのですね。だから、これを契機にひとつもう少し前向きの、しっかりした計画に基づいて予算の要求もしてもらいたいと思うのです。いずれにしても、取り組み方がどうも消極的のように私どもには見えるわけなんです。一生懸命におやりのことはよくわかりますが、何かどうもだめだとか、制度上むずかしいとか――むずかしいのを解決していただくためにお願いしているのだが、なかなかどうも思うようにいかぬのでもどかしさを感じます。  それから次には、そういうもの全体を含めて言うなら、いろいろなところに研究機関があるのですね、交通の機関。適性検査一つとっても――まあ、これは研究機関の問題からちょっとはずしましょう。適性検査の問題。適性検査は、いまは免許の場合はどういうことをやっているのでしょうか、局長。
  35. 久保卓也

    久保政府委員 免許を与える場合には、通常の形で、外形的な身体の障害の有無、たとえば目でありますとか耳でありますとか、そういうようなことをやっておりまして、内面的な分につきましては、さっき申し上げた何らか特別の症状があらわれたときにチェックリストチェックするという形でやっております。
  36. 久保三郎

    久保委員 そういう適性検査にあんまり疑問をお感じにはなりませんか、将来を展望して。いかがですか。
  37. 久保卓也

    久保政府委員 外形的な適性検査で問題になっておりますのは、むしろ、身体障害者で運転可能なのだからあの八十八条の制限をゆるめてもらいたいという面での御要望がありますが、これはまたなかなか私どもとして踏み切りにくいということで、いまのところ、外形的な面ではそれほど問題がないのではなかろうか。ただ、先ほどから御指摘の内面的な点で問題がある、これは私どもも重々承知いたしております。
  38. 久保三郎

    久保委員 最近、交通、運輸のほうの企業が人を採用する場合は、簡単であるのか複雑であるのか知りませんけれども適性検査を重点にしておるようであります。そういうものは陸上の自動車の場合にはあんまり必要ないのでしょうか、それほどのことは必要ないということらしい。ところが、たとえば鉄道の例をとれば、あれは信号機とレールによって走っているのです。CTCとかなんとかといういわゆる自動制御装置があれば、ひとりでとまることができて、なおかつそれに適性検査をやっている。ところが、いまの自動車の運転免許に対しては、お話のような外形的な適性検査をしている。外形的というのは、見た目で、あなたは指一本足りないからとかいうことでしょうね。手がぶるぶるしているからアル中じゃないですかということでしょうね。それは適性じゃなくて欠格事由ですわな。適性というのは、性格が運転に合っているかどうかであって、欠格は、その先のもう一歩前の話だろうと私は思うのです。だから、私が言うのは、適性は、いわゆる運転に合っているかどうか。右と言ったら必ず右に反射的にハンドルが曲るというのが、右と言われても十ぺんに一回は左に曲がる人もあります。そういうのをどうするかという問題もひとつ考えてみる必要がありはしないか。どうですか。私は、ドライバーがこんなにふえて、自動車がこんなにふえてくるんですから、免許はやはり限定すべきだと思うのです。むやみやたらに人間の足だと思って人権だと、こう言っているようですが、足で歩くのと車とは――車は、いまやもうまさに凶器でありますから、それを扱うにはある程度の制限が必要だと私は思うのですね。自由になるのは文明の恩恵でありますから、だれもがその恩恵に浴することはけっこうでありますが、だからといって、人間を殺す場合もあり得るという前提で免許証を出すわけにはいかぬじゃないか、この際。だからその適性検査について考えておられるか。
  39. 久保卓也

    久保政府委員 運転免許というものの性格をどう考えるかということによって若干いろいろ考え方が異なってくるのではなかろうかと考えます。たとえばある国によりましては、従来、運転免許というものをおろしてなかった、ところが、事故が非常にふえてきたものですから免許証を与える、こういうことになるわけで一本来、人間はすべて可能であれば自動車運転をやってもよろしいという思想も一つあろうかと思うのです。しかし、それでは大勢の人に迷惑をかけるということで免許制度というものはできておると思うのですけれども、そういったやや人権を尊重すると申しますか、そういった立場に警察側の考え方が従来あったものですから、適性ということよりも、むしろ、欠格でない者に免許証を与えましょうということに重点があったのではなかろうかと私は考えます。  そこで、それでは今日の情勢でそういう程度でよろしいかという問題が次に出てくるわけで、この点については、きわめて技術的な問題で私もよくわかりませんけれども、一度科学警察研究所あたりとも相談をいたしまして、適性というものをどう見るかということについて検討してみたいと存じます。
  40. 久保三郎

    久保委員 これは厚生省にもお尋ねしたい。適性のほうは、これはあなた専門でしょう。それじゃ、どうぞお答えください。どういうお考えですか。
  41. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 簡単に結論を申し上げますと、わりあいに短時間で正確に診断するという方法がまだないということではないかと思っております。たとえば最も高度、精度を要求されておりますものは宇宙パイロットの適性検査であります。その次は、ジェット機のパイロットの適性検査。国鉄の新幹線の運転士ということになれば、かなり精密な適性検査が行なわれておると思うわけでございますが、そのような連中に、いま行なわれておりますようにあらゆる精密検査をかなりの時間をかけてやれば、あのような相当正確な適性検査ができるわけでございます。多くの人を処理しようということになりますと、どうしても比較的短時間ではっきりした欠格の出るものというものが要請されるわけでございまして、その方法が現在、研究開発中であるわけでございます。心理テストのいろんな質問手法によりますチェックリスト、こういったものにつきましても、科警研をはじめといたしまして厚生省精神衛生研究所でも、よりいいチェックリスト研究開発を進めておるわけでございますし、また心理テストとしては、そういった質問手法だけでなくて、いろんな機械を使った適性検査の方法というのも現在研究開発中でございますが、先ほど申し上げましたような理由でまだきめ手がないという段階でございます。
  42. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、私が例に引いた国鉄の話は新幹線の運転士ばかりじゃないのですよ。その辺で構内をかけ回っている職員ですよ。だから、将来それは新幹線の運転士になるかもしれませんけれども、新幹線の運転士だからといって特別な適性検査はしない。同じような適性検査らしい。おやりになっておることは警察庁は御存じかな。何かひもを引っかけるようなものやらなにやらをやっているらいですよ。そういうのは正確じゃないとおっしゃるなら、これは人権じゅうりんになると思うのだな、そんなもので、おまえ適性があるとかないとか判断されたんじゃ。いまの厚生省お話だと、何か的確じゃないようなお話なんだけれども、これはどうなのかな。あなた交通専門だから、そちらから聞きますか。
  43. 久保卓也

    久保政府委員 かつて警察の内部でも、業界がやっておりますようなペーパーテストを試みてみたことがあるのです。その場合に悪いものも引っかかったけれども、いいものも引っかかったということで、やはりそこに精密性がない。おそらく業界の中ですと、その人を会社から排除するということではなくて、その会社の中で運転に向く人はとにかくそこからとっていくということで、配置の適正を会社の中で考えるということですから、わりあいに問題は少ないんじゃなかろうかと思うのですけれども、私ども免許の場合には、一般の人にやるかやらないかということをそこで検査してしまうということですから、しかもいま厚生省のほうからもお話がありましたように、短時間でそれをやらねばならぬ。そういったような問題もあって、いまのところまだ厳密なペーパーテストを効率的にやれるものがなかったということじゃないかと考えますけれども、そういうものを当然われわれ努力としましては発見しまして実施をすべきであるということは、そのとおりであると考えます。
  44. 久保三郎

    久保委員 発見して実行すべきはそのとおりだと思う。そのとおりだと思うなら、どういうふうにしてやろうかという、そういう何というか、いま仕事の中で取り上げておられるのかどうか。話があったらそのとおりなんでそれはやりたいと思うから、これからやりますということですか。適性検査に対して的確な方法をいま探求中であるのかどうか、いかがですか。
  45. 久保卓也

    久保政府委員 科学警察研究所の内部で検討いたしております。
  46. 久保三郎

    久保委員 そこでこの交通科学研究ですね。こういうものは政府は一つでありますから、何というか、方針としてはばらばらではないというふうにおっしゃるかもしれませんが、片方は警察庁、片方は厚生省、片方は運輸省、片方は建設省というか、いろんなところにいろんな関係の研究機関があって、必ずしもこれは統一して――統一と言ってはおかしいが、一つの方向を向いていないのではないかと私は思うのです。研究費のあれは、研究のロスもあるのではなかろうかと思うのです、設備にしても。だからこの際やはり交通戦争に立ち向かうというならば、交通科学研究をする一つのセンター、そういうものを確立すべきじゃないかというふうにわれわれは考えておる。いままでは政府部内でありますから、それぞれ連絡をとりながらやっているということでありまするが、必ずしもうまく連絡がとれているとは私には思えない。なるほど警察の分野だから、適性検査にしても警察科学研究所というのですか、交通科学研究所、そういうところでいま検討していますといえばそれでけっこうだが、その警察研究すると同時に、厚生省でもあるいは運輸省でも同じようなテーマで寄せ集めて、みんなで共同研究をやっていったらば施設もうまくいくだろうし、人間のほうもうまくいくだろうとわれわれは思うのであります。どうかそういうほうにまとめてみたらどうかと思うのだが、これはどういうふうに考えますか。
  47. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 ただいまの御指摘の内容につきましては、まことにごもともだと思いますので、私たちもここ数年来、関係省庁の試験研究機関で行なっております研究が、なるべくダブらないように、しかもその結果が効率的に使えるように努力はいたしております。ただ現在の制度を全部御破算にして、何か総合的な一本の研究機関をつくれということになりますと、これは行政機構の問題でなかなかむずかしい問題がありますので、この点は将来の問題として検討していきたいと思います。
  48. 久保三郎

    久保委員 直ちにこわせとは言いませんが、少なくとも一つの方向をきちんと交通戦争なら交通戦争に向けて、すべてのセクションが一致してこれを研究していくということでなければ、とてもじゃないが、やはり一つ一つのセクションで、思いつきじゃないにしても、やってみてもこれは限界があると思うのですね。それは警察ではわからぬからそれじゃ運輸省、道路の関係ならそれは建設省の研究所に頼もうかとかいうことにならざるを得ないのじゃないかと思うのですね。それじゃなかなかよそから来たものは、大体役人ならあと回しですよ、自分の好きなほうをやっているのですから。これは一つの方向をつけるくふうをぜひしたらどうかと私は思うのです。これはいままでやっておらないようだけれども、少なくともこれを統括する新しい何かの機関が必要だと私は思うのです。人間をふやすばかりが能じゃありませんけれども、少なくとも統括する機関は必要だろう、こういうように思うのです。  私は以上で終わりますが、きのうの質問は別として、きょうの質問全体を見て、どうもやっぱりあせりを感じますね。交通戦争だということをいわれながら、何か参謀本部自体に作戦要務令がないようでありまして、しかも指揮官は敗軍の将、兵を語らずということで、きのうは警察庁の長官はいるようでありましたが、こういうことでは残念ながら真正に向かっていくようには思えないのです。悪口を申し上げるようですが、国民大衆はもどかしさを感じているのですよ。先ほど申し上げたように、幸福でなくてもいいから、あした死ぬか殺されているかわからぬという世の中は一日も早く解消してくれというのが国民大衆の願いでありますから、ぜひ関係の皆さんの御努力をお願いする次第です。  以上で終わります。
  49. 内海清

    内海委員長 板川正吾君。
  50. 板川正吾

    ○板川委員 私は、四十四年春の全国交通安全運動、この問題について若干質問をいたしたいと思うわけです。  春の全国安全運動が始まって、全国一斉に集中的な指導と取り締まりが行なわれております。年中行事としてこれが春と秋二回行なわれておりますが、どうもそういう運動にかかわらず、一向に交通事故というのは減少しないばかりじゃない、逆に予想を越えた増加率を示しておる。ことしもそうでありますが、年々この安全運動が繰り返されても、一体死傷事故がこういうふうに激増していくということは、私はこの安全運動のあり方自体に問題があるんじゃないだろうか。要するに効果のない――効果のないというんじゃないけれども、実効のあがらないところに実は力を入れておるんじゃないだろうかという感じがいたします。交通安全対策は交通違反の取り締まりとか、安全教育とか、あるいは安全施設の整備改善というような原則を中心にして行なわれておりますが、事実このとおり行なわれるなら、あるいは事故はもっと防止され得るはずなんであります。どこかに一つの狂っておる問題が、何かにこの問題があるように思うのです。交通安全運動を例年やってまいっておって、事故が減らない原因はどこにあるのかということについてひとつ見解を承りたいと思います。
  51. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 御指摘のようにただいま交通安全運動が行なわれておりますが、これは十一日から二十日まで行なうことであります。きょうは十五日でありますが、いまわれわれの手元に入っておりますのは十三日までの実績しか入っておりません。それを見ますると、事故件数等においてちょっと減ってはおりますが、必ずしもそう特段のことはないわけであります。いまわかりました数字を申し上げますと――交通事故が減少しているかどうかということについて考えてみると、今回の全国交通安全運動は十日間実施することにしているので、その期間を経過しなければ効果を正確に測定することはできないことはいま申し上げたとおりであります。五月十一日初日以来五月十三日までの三日間の交通事故の状況を見ますると、発生件数で五千二百五十二件、死者数が百五人、負傷者数が七千百四人。これを、今回の全国交通安全運動の開始前三カ月間における交通事故が平均して三日間で発生件数五千三百五十四件でございます。それが交通安全運動して三日間は五千二百五十二件ですから、わずかに減っているわけです。それから死者数が百二十三・六人となっておりますが、これが百五人ですから、これもわずかに減っている。負傷者数が六千七百三人でございますのに対して七千百四人ですから、これはわずかにふえている、こういうような状況であります。  さらに二十日までやってみないと全体のことはわかりませんが、もうすでに御承知のとおり、この運動は人命尊重の見地から交通事故の防止の徹底、特に歩行者の交通事故の絶滅を目的としてすべての歩行者、運転者運転者の雇い主、その他道路交通に関係ある者に交通安全思想の周知徹底をはかって正しい交通ルールの実践を習慣づけることを目的といたしておりますので、この運動期間中における事故件数ということのみに終始して考えては間違いかと思うのですが、先生もそのことは十分御承知のとおり。  ただ、いま伺ったところでは、何かこの運動がマンネリ化しているのじゃないかというようにもお聞きいたしたのでありますが、そのことは私どものほうとしてもその傾向が感ぜられますので、この前の委員会において宮崎室長から、今度の運動におきましては幾つかの重点をつくり、その重点を日割り等にして――このことがいいことか悪いことかわかりませんが、そうしてたとえば酒飲み運転について特にその防止並びにその教育に専念する、たとえば横断歩道を渡るということに重点を置いてきょうはやるというようなことにしたいというふうに申し上げましたが、そのようにいま実行しておるわけですが、このやり方をこのままいつまでも踏襲していいものかどうか、これは御指摘のとおりであります。私どものほうといたしましても、全部が終わりましたならばその成果等を詳細に調べ、事故がありましたならば、特にこの期間中における事故原因等については特に詳細に調べ、それを資料として先生方のお手元にも差し上げて、今後どういう方向で交通安全に努力したらいいのか検討の資料にしてみたい、こう考えておるわけであります。
  52. 板川正吾

    ○板川委員 私の質問も、交通安全運動の期間中十日間の前年度の比較云々というので申し上げたのじゃないのであります。この運動の目的とするところは、取り締まりをして、それから教育をして、さらに施設の改善等もやり、とにかく交通法規を守れるような習慣をつけて交通事故を防止していこう、こういう長期的な目標なんですね。そのためにこういう運動を強調する意味で十日間やるのであって、十日間の事故が多い、少ないということでこれを批判すべきじゃない。十日間少なくとも、年間を通じてこの事故が激増しておるというならば、この運動自体にもやはり問題があるのじゃないだろうか。問題というのは、否定する意味じゃないですよ。要するに、取り組み方の不十分さがあるのじゃないだろうかという意味で私は申し上げたのであります。  この運動の主催は総理府警察庁、法務省、文部省、厚生省、運輸省、労働省、建設省、自治省、都道府県、市町村、特別区、全日本交通安全協会、政府が全組織をあげてこの運動の主催者になっておるのですね。そして、これに賛同しておる団体はといえば九十五団体ある。国有鉄道、私鉄、自動車、トラック、乗用車、さらに労働組合関係あるいは学校校長会、さらに放送、新聞、テレビ、こういう関係であらゆる機関、九十五団体が賛同して、しかも全国的な運動を展開しておるという、計画と参加者とその規模はまことに雄大なんだけれども、どうも実効があまりあがらぬ、こういう感じがするわけなんです。  そこでこの内容について若干伺っておきますが、今度の指導取り締まりの目標が飲酒運転の防止、さらに追突事故防止のための安全運転、道路の正しい使用、適正な運行管理、自賠法に加入しておるかどうかという点を取り上げて、日にちごとに行動の重点を置こう、こういうことであろう。  問題は、こういうことは従来もやってきたんだけれども、ことしは少しやり方を変えてみよう、こういうことだろうと思うのです。やり方を変えただけにすぎないんだ。この運動全般のどこかに、問題にどんぴしゃりと取り組んでいないという点についての実は変更じゃなくて、やり方の変更にすぎないんじゃないだろうかという感じがするのであります。たとえば、この正しい道路の使用という抽象的な表現でありますが、具体的にはどういう指導目標でやっておられますか、この点。
  53. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 この正しい道路の使用というのは、本来あるべきことではありませんが、現実の問題といたしましては、たとえば店舗で商品を歩道の前に並べて不正使用するとか、あるいは違法な駐車を非常にやるとか、こういうことが現実の問題としてございますので、これは常時指導取り締まりをすべきものでございますが、この期間に特に重点を置きまして、むしろ指導教育の面から、そういうことはやらないようにということを広く呼びかけ、住民の協力を得るということで、そういう意味の趣旨で書いたものでございます。
  54. 板川正吾

    ○板川委員 実際、全国的にこういう取り締まりをやっておりますか、どうですか。どんな規模でどんなふうにやっておりますか。
  55. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 取り締まりの問題になりますと、これは大部分が警察それから一部道路管理者の問題になろかと存じます。私どもは当然第一線でその指導取り締まりの十分行なわれておることを期待しておるわけでございますが、現在のところの結果につきましてはまだ報告を受けておりません。
  56. 板川正吾

    ○板川委員 実際は、一体正しい道路の使用というのは、駐車や道路をかってに使用しているのを本来からいうならば常時注意をして絶対させないようにすればいいんだが、なかなかそうはいっていない。十日間だけやっても、あとはすぐ、乗車拒否じゃないけれども、取り締まっている時間中は来るけれども、終わればすぐ従来のとおりということになっちゃっておるのですね。だから、まあ十日間のしんぼうというふうにどうも見ておって、その点が、その後の徹底もしないということじゃないだろうか。  それから、追突事故防止のための安全運転というのが重点項目の一つにある。実際追突事故防止のため――追突事故が非常に事故のうちで大きい増加率を示しておるのです。このために安全運転ということになると、都市の道路交通というのは麻痺状態になる。正規な運行の時速をとって、車間距離を正規にとったならば、都市交通というのはほとんど麻痺状態になるであろうというふうに感じますね。ですから、追突事故防止のための安全運転で、徹底的に取り締まるといったらば、本来からいえば都市の機能、交通が非常に渋滞してしまうというような状態にならなければならないとわれわれは思うのです。実際は、この交通安全運動期間中特別に交通の渋滞が激しいという事態も見られない。いわばこれは一つの精神的な訓示的な、こうあるべきだということを指導の重点として取り上げたにすぎないので、これを計画された人自体、これがこのとおりに、法規どおりに守られるだろうということを期待してこの計画を立てておるんじゃないんですか。いかがでしょう。
  57. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 追突事故の防止には、御承知のようにここ数年来いわゆるむち打ち症が非常に大きな問題になっておりますので、私どもとしても交通安全の一つの柱として考えておるわけでございます。したがって、決してかけ声だけをかけておるつもりではないわけでございます。これもまた実際の取り締まりの面になりますと、なかなか技術的にむずかしい問題もございますので、先生御指摘のように、全部が全部完全に取り締まられておるかどうかということになりますと、率直にいってそうでない部分があると思います。しかしながら、それはそれといたしまして、先ほど先生が御指摘になりましたように、広く運転者にこれを呼びかけて、少しでも追突事故を防止するということはやるべきことだと思っておりますので、今回重点項目としてこれを取り上げたわけであります。
  58. 板川正吾

    ○板川委員 この安全運動が政府の総力をあげてのかけ声、それからこの運動に協賛している九十五の団体、これらは、この運動自体、政府の提唱している運動の方針、方法に、だれも反対する理由はないですね。ですから、賛成はしておる。反対はしない。消極的。一体これでいいかと思いながらもとにかくやっておる。政府のほうも、まあこの辺で、あんまり金をかけずに、とにかくかけ声だけかけていれば、一応の責任はのがれる。交通事故というのは本来もう避けることができないのだ。これはもういわば社会の現象で、経済社会が発展すれば必要悪として交通事故というのはしようがないのだ、もうあきらめ切っておって、しかしいいことじゃないから、まあまあひとつこうあるべきことをやっておる。それが守られないけれども、守ってくれる人が一人でもいればそれだけでいいじゃないかというような意味で、この起案者もあるいは運動に携わる人も、まあおつき合い程度の交通安全運動というものと取り組んでおるのではないだろうか。これは、やらないよりはましなんですよ。やっちゃ悪いという意味でもないのです。しかしこの運動が、こういう膨大な組織と膨大な協力者を得ながらなおかつ国民の間に浸透していかないのは一体どこにあるのだろう。国民全体から協力を得て、これは運転する人も通行者のほうも、全体から協力を得て、事故を防止するような態勢に進まないのは、どこにあるだろうかという感じがするわけなんです。こういう、反対しないから、ないよりましだからという運動を従来どおり続けておるところに、いわばマンネリ化したという批判が生まれているのではないだろうか、こう思うのですが、いかがでしょう。
  59. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 日本国有鉄道から始まりまして日本建設業団体連合会に至る九十五団体が協賛をしてこの運動は行なわれているわけであります。したがいまして、先生御指摘のように、この九十五団体の中には、まあおつき合い程度というような方もおるでしょうし、こんなことをいつまでやってもだめだというような考えを持っていますけれども、しかしながら、まあ政府のやることだから反対しないで応援しておこうというような人もいるかもしれません。それは私ども否定するものではありませんが、それにもかかわらずわれわれは、ただ何となくやっているというようなことではございません。ただ、御指摘のように実効があがったかあがらないかということは、これからこの期間におけるいろいろな資料に基づいて不断にやるべきことの成果にかかわるものでありますから、この期間中における事故の件数のみをもってこれを判断すべきでないことは、先ほども御認識いただいたとおりであります。ただ、宮崎室長もこの前申し上げましたように、何となくマンネリ化しているようなきらいは私どもにもあります。したがって、今度はちょっと目先を変えてみたいと思うのですというようなお話がありまして、お聞き取りいただいたと思うのですが、そういうような方法だけでなしに、もっと何か方法はあるのではないだろうかという御指摘でありますれば、私どものほうとしては確かにそのとおりに思います。これからも十分考えて、せっかくこれだけの方を動員して全国的な規模で運動するのですから、これが、直接にはもちろん、間接的にも多大の効果があるようにこの運動を展開したい、こういう気持ちは切なるものがあります。その線に沿って努力はしているつもりですが、御指摘のように、それじゃ効果があがっているかというと、これはわかりません。そこで、こういう運動をやることはいいんだよというお話でございますので、今後どんなふうに考えてやっていったらいいか、私どものほうとしても十分に考えていきたいと思いますが、お気づきの点がありますれば、御指摘もいただきたい、こう思うわけです。
  60. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 若干補足さしていただきます。  実は個人的なことで恐縮でございますが、私もこの運動を四年間やっておりまして、率直に申しまして、副長官申し上げましたように、ややマンネリ化しているのではないかという疑問は常に持っております。しかしながら、一般に交通安全運動は、私たちのたてまえといたしましては、簡単に申しますと、この期間に交通安全のキャンペーンを集約的にやるということをたてまえといたしておりますので、そういうたてまえを変えない限り、そのあとは方法論になるわけでございます。そこで、いろいろあれこれくふうしてみたわけでございますが、決してこれで十分だと思っているわけではございません。今回の運動につきましても、先ほど副長官がお答えいたしましたとおり、場合によりましては、この運動の実践の中心になった地方公共団体の機関、その他協賛していただいた団体等の方々からあるいはアンケートでもとって、この運動が現実にどう受け取られているか、あるいは将来どうあるべきかというようなことも検討いたしたいと考えております。いずれにいたしましても、今後この運動がより実効があがるように十分検討を加えたいと思っております。
  61. 板川正吾

    ○板川委員 これは、結論はあとで申し上げますが、政府に結局、事故防止のために真剣にやるという意思がないというところに問題があるだろうと私は思うのです。これは経済成長をやらせるために、ある程度事故がふえることもやむを得ないんだという――口では人間尊重、人命尊重と言うけれども、実際は資本優位の態勢を維持していこうということで、実際にやらぬ、こういうところがこの運動が国民の中に広がっていかない最大の原因じゃないかと私は思います。たとえば、全国に安全都市宣言をした市町村というのはどのくらいあるか御存じですか。
  62. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 ちょっと古い数字で恐縮でございますが、昭和四十二年九月末現在で二十四県、三百七十七市、十二区、三郡、千百十三町、三百六十一村、こういうふうになっております。
  63. 板川正吾

    ○板川委員 全国市町村の中で半分に近いものが、四割ぐらいになるかもしれませんが、安全都市宣言をしておりますね。そして、その主要道路を通過しようとすると、横断幕があって、安全都市宣言とあって、この都市は安全都市宣言をしましたよ、こういうことを表示しております。この安全都市宣言をした市町村では、実際安全都市宣言をしたときとその後でどういう違いがあるか御存じでしょうか。宣言を議会でしたのだから、内外にそれを声明したのだから、その宣言に基づいて市町村行政というのが交通安全に対してどういう措置をその後とられたかということについて、把握をしたことはございませんか。
  64. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 これは、交通安全の具体的な効果と申しますのは、交通事故の件数によって出てくるわけでございますが、先ほど申し上げました県、市、町村が、安全都市宣言をした以後において事故がどうなったかということについては統計がございません。また、私が承知しております限りにおきましても、率直に申しますと、宣言をされた地方公共団体の中で、宣言どおりにたいへん御熱心におやりになっているところと、宣言だけしたというところがあるようでございます。たいへん御熱心にやっておられるところは、たとえば交通安全に関する組織を中につくって、そこが中心になって地方公共団体としての総合的な対策をいろいろやっている、こういうところもかなりございます。しかしながら、反面、宣言をしただけというところも若干ありますようで、それらが的確にどういうことになっているかということは、申しわけございませんが、資料はございません。
  65. 板川正吾

    ○板川委員 安全都市宣言をして、そして交通事故防止のための組織をつくり、そしてその市町村なり県なりが、交通事故防止のために、あるいは交通事故問題に関して被害者救済等もありましょう。そういうようなあらゆる点についてしっかりと予算措置に取り組んだという市町村はどのくらいあるか、内容の詳しいことは別ですが、調査をしてみる気はありませんか。
  66. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 私の記憶が不確かな点はお許し願いたいと思いますが、この安全都市を宣言した市町村が協議体をつくりまして、年に一回でございますが、会議をやっております。その会議の席上、いろいろな議題も出まして、政府側も説明を求められてその会議に出席したこともございますが、そういう状況から判断いたしますと、大部分の安全宣言をされた地方公共団体におかれては、かなり積極的に交通安全について取り組んでいることと思われます。  なお、どこがどうなっているかということの調査をせよということでございますが、何ぶん市町村の数も相当多うございますので、若干の時日の御猶予をいただければ、御指摘の点につきましては、できるだけの調査はいたしたいと存じます。
  67. 板川正吾

    ○板川委員 これはひとつ調査してください。おそらく大部分は横断幕の費用ぐらいじゃないですか。安全都市の宣言をして、そして神さまに祈るような気持ちで――大臣、実は交通安全都市宣言というのが各市町村で全国的に行なわれておって、実際は、安全都市宣言をしたらばどういう交通安全のための活動をしているかということについて調査をしてくれという要求をいたしました。交通安全都市が寄り寄り集まって年に一回くらい協議会の総会を開いて、ここで総務長官や自治大臣が出席して質疑に応じたり政府の方針を伝えたりしておるようでありますが、実際問題としては交通安全都市宣言しても、たいして実効があがってないし、その市町村自体が特別それに取り組んでいない。要するに形式的なんです。そういう金がかからない、精神訓示的なもので宣言をして、神さまに事故のないように祈るという程度のことに交通安全都市の活動があるのじゃないだろうか。私がそれを言いたいのは、結局政府の交通事故防止運動、交通安全運動というものも、この市町村の交通安全都市宣言、その後の活動というものといわば表裏一体的であって、金がかからない、事故がないように祈るという意味のことしか実は――その程度の差はありますよ、国と市町村ですから程度の差があるけれども、その運動の背後に流れる思想というのはその程度じゃないだろうか、そういうところにこの運動が例年年中行事として繰り返されておりながら、交通安全運動が実は実効があまりあがらないのじゃないか、こういう国民の批判があるわけです。そういう交通安全都市宣言をした都市の交通安全対策と、政府の恒例的に行なわれる交通安全運動というのは、いわば共通な問題がある。そこに今度の運動の批判があるのじゃないだろうか、私はこう思うのですが、いかがですか。
  68. 床次徳二

    ○床次国務大臣 御指摘のように安全運動なるものが口先だけのものになってはいけないと思うし、また安全都市宣言というものが決議をしただけでもって防御策を立てたというだけではいけないと思うのです。ややそういう形式に堕したものがあるかと思いまするが、しかしほんとうの安全運動といたしましては、やはり運動を展開いたしました機会において、過去におきましたところの施設設備等に対しまして十分な再検討を加えるとともに、なお精神的な面におきましても十分な反省を加えましてこれを徹底させたい、さようなふうに考えておりますので、私は安全運動自体におきましても、やはりそのつどつど認識が深まってまいると思うのであります。  また、安全都市宣言をいたしましたところにおきましては、こういう機会にさらに自分の過去の実績というものを顧みまして徹底できるのじゃないか、今回の運動におきましてはそういう都市につきましてはさらに一そう努力してもらいますとともに、まだ宣言をしておらないところにおきましても、少しでもそういう宣言をして実行に当たるところの都市がふえるように奨励をいたしておる次第であります。  なお、具体的な裏づけというものに対しましては、すでに政府といたしましては提案いたしましたが、安全対策基本法というものをつくってありまして、これは単に安全対策の方針を明らかにしたばかりでなしに、国並びに都道府県等が具体的な安全施策をやはり検討いたしまして、そして計画を立ててこれを実行するように実は裏づけを考えておるわけであります。したがって私は、基本法の制定によりまして、いままで行なってまいりましたところの安全運動というものがさらに一そう徹底できるのではないかと考えております。
  69. 板川正吾

    ○板川委員 総務長官、実は来る前に私が議論したのは、例の春と秋に全国的な規模で交通安全運動が行なわれておる。政府は総理府以下あらゆる機関を通じて主催者としてこの運動を指導しておる。全国の報道関係ばかりじゃなくて、産業関係の九十五団体がこれに賛同して参加しておる。その規模の雄大さ、その運動の広範さという面から見ると、全国民的な運動に盛り上がっていいはずです。それによって交通安全の正しい知識をキャンペーンすることによって、交通安全の知識が国民の中に普及して交通事故が防止できるという、そのねらいを持った運動だと思うのです。しかしその運動を続けておりながら、実は交通事故が年々死者については新記録を出し、負傷者については対前年比二〇%以上ふえておるのですね。こういう運動をやりながら実は交通事故がちっとも減らない。逆にふえておる。運動をやりながら効果がないというのは、一体どこに原因があるのだろうか。これはおそらくはほんとうにきき目のあるところに運動しないからです。ききめのあるところに対策を立てないからです。精神的な訓示、精神的な規定というだけではこれからの交通事故というものは防止できないし、具体的に取り組んでいかなければならない。それには交通規制問題もあるだろうし、いわゆる自動車の激増をある程度押える間接的な政策もあるだろうし、さらに交通事故を起こした場合にはそれを完全に救済し得る責任を持つ制度、たとえば自賠法の保険限度をもっと引き上げるなり、あらゆる面で交通事故防止に対する具体的な対策のほうに、政府はあまり積極的じゃなくて、安全都市宣言じゃないけれども、横断幕を掲げるだけ、精神的な運動だけ、こういうところにこの成果があがらないのじゃないだろうか。だから、この運動自体を私は否定するのじゃない、これはこれとしていいとしても、実はもっと国民全体からこの運動に参加するというものがなくちゃなりません。しかしそうじゃない。そこに問題が一つあるでしょう。しかしこういう運動をすること自体われわれは悪いという意味じゃない。ただ政府の交通安全に対する取り組み方が、実はきき目のあるところに取り組んでいない、こういうところに私どもは批判をせざるを得ない、こういうわけであります。  では一体社会党なり野党議員としてどういう具体的な対策を持つかという点については、交通安全基本法を出しておりますし、それに対する関連法十幾つの用意も着々しておりますから、そういう中で私どもの具体的な考え方を打ち出してまいりたいと思うのですが、どうもこういう運動の精神的なかけ声、こういう点だけ政府は重視して、具体的な交通事故防止上の対策をなおざりにしているというところに事故の激増というのを防止できない体制があるのじゃないだろうか、こう思うわけでありますが、いかがでありますか。
  70. 床次徳二

    ○床次国務大臣 いろいろと御意見を伺ったわけでありまするが、交通安全対策の基本的なものは、やはり現状に対しまして、非常に車がふえてくるということが一つの大きな現象だと思う。車がふえるとそれに対して事故がふえてくるというわけであります。しかし同時に、やはり道路その他の環境の整備ということもしなければならない。今日の道路交通に対しましては、従来に引き続きまして三年計画をもちまして整備計画をいたしまして、歩道橋とかあるいは横断信号機とかあるいはガードレール等の施設をこしらえております。なおもう一つは、事故防止という立場に立ちますと、たとえば子供の問題なんかにつきましても、児童遊園地とか、あるいは広場というようなものをつくらなければならぬ。非常に広範なものがあると思うのであります。ただわが国におきましては、道路その他の設備の問題につきましてはだいぶ進んでまいりましたけれども、なおわが国の事故として特色のありますのは、子供と老人の事故が多いということ、これに対しましては施設の問題もありまするが、同時にやはり安全教育の問題も私は大事だと思っております。  なおもう一つ事故を起こした者の立場から申しますると、いわゆる法秩序を無視いたしましたところの運転というものであります。酒を飲んで飲酒運転をするとか、あるいはスピード違反の問題、あるいは無免許、当然法規以前の問題がなお各国に比べまして相当多いということにつきましては反省される余地があるのでありまして、この分につきましては物質的な裏づけというものよりも、秩序を守るという基本的なものがやはり国民全体にもう少し徹底するという必要があるのではないか。私はこの分だけが強調されたのではよろしくないと思いますが、しかし他国の例と比べましてこの点がかなり歩合が高いということは考えなければならないと思うのであります。  なお本質的には将来の車の増加というものに対しまして、都市に対する乗り入れの規制とか、あるいはその他の交通機関との関係もいろいろ検討いたさなければなりません。したがって、今回交通安全の基本法というものによりまして、従来より進んだところの将来のビジョンと申しますか、国の政策というものを各省庁が連絡、統合いたしまして、そうして一つのまとまった交通安全という強い目標に向かって、合理的に仕事ができるのではないか。かような意味におきまして基本法というものに対して私は大いに期待するし、制定の意義があると思っております。もとより予算その他の措置につきましては従来も努力してまいりましたが、さらに一そうの努力をしたいと思っております。
  71. 板川正吾

    ○板川委員 具体的な議論はまた次の機会に譲りまして、きょうは時間となりましたので私の質問は終わります。
  72. 内海清

    内海委員長 関連質問といたしまして、田中榮一君。
  73. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 ただいま板川委員から交通安全週間のことにつきまして質問がございましたが、私もこれに関連しまして、若干質問さしていただきたいと思います。  先ほど板川委員から交通安全運動については毎年のことであり、相当マンネリズムになっているのじゃないかというようなお話がございまして、これを実施する側――私は現在港区三田一丁目の町会長をやっております。現在安全週間の実施要綱を町会側として受け取って、町会の中の交通部会というのがございまして、それが中心になってやっておるのでございますが、実施要綱が来ております。この実施要綱は大体昨年と同じようなものであります。したがってマンネリズムになっているのじゃないかと思っております。そこに何か新しい新規なアイデアがないだろうかと思っていろいろやってみたのでありまするが、なかなかございません。そこで現在東京都内――おそらくこれは全国の市町村みなそうだろうと思うのでありますが、村であれば部落に至るまで、それから東京都内に例をとりますれば、私どものような一町会にまでこれがおりているわけであります。そして東京都内の幾千という町内会がこれを受け取ってやっておるわけでございます。やはり町内会の交通部会というものが受け取っておりまするが、これの実施につきましては非常に頭を痛めておるわけであります。それはどこで頭を痛めておるかと言いますと、経費がないということであります。これをやるために区からも、警察からも、交通安全協会からも、その地区の交通安全協会からも一文の助成金もございません。これは町内会の費用を捻出してその上で実施要綱をやっておるわけであります。  たとえばこういうことを申し上げてはなはだ恐縮でございますが、私のうちのすぐ前が横断歩道で、横断のために幕を張る。この幕の費用にしたところで一つの幕に千円かかる。これを五つやれば五千円かかる。この間風が強くてその幕が切れてしまった。そうしますと切れた幕をぶら下げておくわけにいきませんから、やむを得ず新しくかえるとまた千円かかる。こういった費用は一体どうしたらいいか。私どもの町会なんというものはまことに貧弱で、みんな金を集めてやっているのですが、こういう交通安全週間を実施するために、一体国でどの程度の予算をとってやっていらっしゃるのか、まず予算のワクを宮崎君でよろしいから聞きたい、どうでしょうか。
  74. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 交通安全運動旬間を含めまして一般の交通安全の推進に関しましては、従来から総理府におきましてたびたび予算の要求はいたしておりますが、現在におきましてはそのものを直接目的とした予算は計上はいたされていないわけでございます。ただ関係省庁はそれぞれ業務の実施のために予算を持っておりますので、全国交通安全運動旬間におきましても、その必要な場合には既定経費のワク内でまかなうということになっております。
  75. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 いまお話しのとおりだと思います。そこでやむを得ませんので東京都の交通安全協会は東京都から若干の補助をもらい、またその地区の警察ごとの交通安全協会は協会員の大方の寄付、会費等によってその事業費を捻出いたしております。しかし警察署の交通安全協会といえどもおのずから経費の負担には限度がございまして、多額の経費をこの週間のみに負担するということは非常に困難でございます。そこで先ほど板川委員の仰せのごとくにどうしてもマンネリズムになる。それは経費が足りないために去年やったことをそのままやっていこうじゃないかということになってしまって、どうしてもマンネリズムになるのであります。  そういう点から申しますと、この交通安全週間をもし今後効果的にやるといたしましたならば――この要綱を毎年のように第一号、第二号、第三号、第四号とずっと並べてきております。私はそういうことでなくして、ある一つか二つか三つの点だけを重点的に掲げて、今度の安全週間にはこれをやるのだ、ことに山村においてはこれをやるのだ、漁村においてはこれをやるのだ、都市においてはこれをやるのだというように重点事項を指定して実施させませんと、現在実施要綱が配られておりますのは、あれは農山漁村、大都市、中都市、小都市全部同じような実施要綱が配られております。だからそれを全部やらなければいくまいということで、いろいろなことをやるわけであります。しかし大東京のまん中でやることを農山漁村の部落でもってやったところで何もならぬわけです。また農山漁村の交通安全運動を大都市で実施することも、これまたおかしなことでございますので、私は今後の安全週間実施につきましては、できれば一つ重点的に、まんべんなくやるのでなくして何か一つの目標を掲げてそれをやる。その次の秋の安全週間のときにはこれをやるというように、何か重点的にやらせるようにしたらどうかと思うのでございますが、大臣のお考えはいかがでございましょうか。
  76. 床次徳二

    ○床次国務大臣 今回の安全運動にあたりましても重点をきめまして、そうして毎日毎日その重点に従って行なうように運動は展開しておるわけでありますが、お説のように、大都市と山村とだいぶ事情も違います。やはり地方地方におきまして、重点の中におきましてもある程度まで選択をいたしまして、最も効果のあがるようにやることはまことにけっこうだと思っております。  なお、先ほど意見のありましたところ国からの補助の問題、すると思いますが、今日まで国の補助というものは出しておりません。また予算も獲得いたしておりませんが、しかし国民運動という立場において、国民全体をあげての一つの――交通戦争であるといわれておる際でありますので、この点におきましては、国といたしましても十分検討すべきものではないかと思いまして、その趣旨におきまして今後とも努力さしていただきたいと思います。
  77. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 それから交通安全運動実施のあり方でありまするが、ただいま各警察署で実施しておりまする実情は、大体において街頭取り締まりに重点を置かれておるようであります。スピードの違反であるとかあるいはまた混雑時におけるところの車両の整理であるとか、そういう街頭取り締まりに重点を置かれておるようでありまするが、私は、むしろこういうときにこそ、いままで手の入れてなかったところに重点的に取り締まりをすることが必要ではないかと思うのであります。と申しますのは、最近におきまして、これはほかの都市も全部そうだろうと思うのでございますが、この前もどなたか同僚議員からもいろいろ御発言があったのでございまするが、青空駐車でございます。これはもうどの町内会、商店会におきましても、青空駐車のために交通がほとんど麻痺をいたしまして、絶対に通れない。ことに一朝火災があったような場合はどうするかというような心配があるのでございまするが、私は、こういうときにこそ青空駐車の取り締まりを敢行していただきたいのであります。  それにつきまして私はこういう考えを持っているのでございますが、私自身としては、これを一町内会として実施をしたらどうかと思っておるのですが、現在町内会に駐車いたしておりまする青空駐車の車は、これは町内会の会員の所有車ではございません。これは全部ほかから来た車が青空駐車しているのでございます。われわれが言って、町内の自治取り締まり員というものを設置しまして、その取り締まりの者が行ってドアをあけようと思ってもドアがあきません。また電話をかけようと思いましても、その電話番号すら車体には書いてない。やむを得ませんので、プレートナンバーで警察に照会する。警察は、では調べましょうといって調べます結果、これがすぐ判明することはありません。どうしても一日か二日かかる。そのうちに車はどこかに行ってしまうということであります。大体朝の八時ごろから置かれて夜の八時、九時まで置かれておる。その車はどういう車であるかといいますと、ある会社につとめに来た人が、もよりの町内のところに車を放置して、そして会社につとめるのが一つ。それからもう一つは、整備工場の工場主が整備を引き受けた。その車を自分のところでは収容できませんので、それぞれもよりの町内会の道路にそれを全部散らばかして駐車するというのが一つ。それからたとえば慶応の学生が通学用に車を使いまするが、通学用の車が置かれてある。それから病院に来た人の車が置かれてあるというように、その町内会の会員の車ではほとんどございません。全部他人の車が放置されております。それに耐え切れません。たとえばその商店が荷物をローディングしょうと思いましても、他人の車がそこにでんとすわっておるために、自分の車を置くこともできない。また自分の車庫に車を入れようと思いましても、車庫の前に他人の車がでんとすわっておるために、車庫に入れることができないというような状況でございまするので、それならばわれわれは自己防衛のために、町内会の何のたろべえというものの所有車でございますというその車のいわゆる証明書、まるい認識か何かをその車の上にぽんと張ってもらうあるいは置いてもらう。そしてこの認識証というものは、絶対に駐車を認めた認識証ではございません。この車はおたくの車であるという一つの認識証にすぎないのであるから、この認識証を張ったからといって、そこに駐車することはできないのですという注意書きを設けた。そういうものを設けて、他所の車と町内の車とを分けたいと思うのでございますが、これも青空駐車防止の一つの方法でございます。その点交通局長にお伺いしたいのでありまするが、そういうことをやることがいいか悪いか、ひとつお尋ねしたいと思うのであります。
  78. 久保卓也

    久保政府委員 青空駐車の取り締まりあるいは違法駐車の取り締まりにつきましては、いろいろな観点でむずかしい点があるわけでございますが、前年で約六万件の取り締まりをやっておりますので、まずまずではありますけれども、一般の御不満がそこに集中しているというのが実態であります。  そこで、それの解決策としては幾つかございますけれども、いま御提案の点につきましては、たとえば免許証を車のウインドーの前に提示をするというようなやり方でありますとか、それからいま御提案のような所有者の名前を前に出すというようなやり方もあります。  ところで、違法駐車の取り締まりで困難なのは、車の所有者と運転者が分かれている場合が非常に多い。そこに抜け道があるということで、これのつかまえ方が非常に困難であるわけです。そこで立法論といたしましては、違反駐車をいたしました運転者も、それから所有者もどちらかわかった場合には、いずれかを罰するというような方法がどうだろうかというような提案がありまして、外国によりましては、国によりましてはそういう方法をとっているところもあります。そこでこれも一つの方法かと考えますが、いま先生のおっしゃったやり方は類似のいろいろな考え方もありますので、ほかの取り締まり方法で非常に困難であれば、その点もひとつわれわれの検討項目の中に入れさしていただきたいと思います。
  79. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 ただ本件を実施する場合におきまして問題になりますのは、この車の所有者の証明書といいますか、たとえば田中商店の前に田中商店のライトバンを置くわけですね。そのライトバンに、この車は田中商店の所有の車であるということを証明する標識を張るわけですね。したがって標識は田中商店の前にそのライトバンを置いてよろしいという、いわゆる駐車許可の標識ではないということなんですね。したがって、それは駐車違反の規定の違反ではないと思うのですね。ただほかの車がそこにたくさん並んでいますから、町内会の車と他所の車とを区分するという利益があるわけですね。それによってほかの車を、ひとつ町内の自治的な取り締まりの方々にお願いしてこれを排除してもらいたい。たとえば交通警察官に一々町内に出張していただいてこれをやってもらうことは非常に困難です。これは東京都内全部そうです。交通警察官が町内に出張して、そうしてダブル駐車であるとか違法駐車を一々やるということは、これは一日、二日は続くでしょうが、とても毎日は困難です。そこでやむを得ずわれわれは自治的にひとつそれを取り締まる人々をお互いに出し合って、そしてひとつ違法状態をなくそうじゃないか、こういうような計画をいましているわけでございますが、その辺ひとつ御検討願いたいと思います。それが一つ。  それからもう一つお伺いいたしたいのは、現在交通安全協会というものは、こうした交通安全週間のみならず、常に交通安全のために非常に協力をしておるのです。ところが、これはごく最近の例で二、三申し上げますが、所轄の警察署のほうで、平素非常に警察に協力をしているにかかわらず、横断歩道を無断で撤去する。そのために付近の中小企業の人々は非常に困る。その例は、これは解決いたしましたから、もうよろしいのですけれども、その一つの例は東京駅の八重洲口におきまして五本の横断歩道がありました。そして中央区並びに日本橋方面の通勤人の人は、この五本の横断歩道によって東京駅から行っておった。ところが昨年の十二月二十五日、クリスマスの日に告示を出して、突如としてこの五本の横断歩道が撤去になりました。そして全部地下道をくぐって地下街の商店街を通ってまた上に上がってこい、こういうことになったわけです。これは車道、車の上からはたいへんけっこうです。東京の駅前を百キロで突っ走れるのですから、これは非常にけっこうです。ところが毎日五十数万にのぼる通勤人、サラリーマンというものは、一ぺんこの地下に入れて地下街、商店街を通って、そうしてからもう一ぺん上に上げなくてはならぬという不便がある。これを地元の人は、商店街のために一般の通行人を地下にもぐらさせるのだ、こういうようなうわさがあったのでありますが、私どもはこれを復活して、そして地元の商店街の人々と町内会の人々と一緒になってこれの復活に猛運動いたしました結果、おかげで三本の歩道が復活いたしました。これは非常に私どもは喜んでおるのでありますが、しかしこの際に地元の人々のいわく、われわれはもう過去二十年近く、終戦直後から交通安全運動、ことに交通安全週間等には非常に努力をし協力をしてきました。しかるに、われわれの商店街が死活の問題である。地下に人が入ってしまったら、あの東京八重洲口の中小企業というものは全部売り上げが減ってしまったわけです。そういうふうなことで、少なくともわれわれ交通安全協会にみんな協力しているものでありますから、こういう点はひとつわれわれの意見も聞いてほしいという声が非常に強かった。本件はすでに解決しましたからこれでよろしいのでありますが、やはりこの交通安全運動なんかにも交通安全協会の民間人は金も出し自分のからだを張って、そして制服を着て毎日街頭に立って旗を振ってやっているわけです。しかし、これらの人々には一文の報酬もございません。これは全部自分でやっているわけです。  したがいまして、将来横断歩道なんかを撤去するとかそういうようなときには、私は警察がしょっちゅうこうやって協力を尽くしてもらっておるのだから、そういう団体の幹部とかそういうものにはやはり事前に御協議を願うほうがいいのじゃないか。これがいわゆる民主的な行政のあり方ではないかと思うのでございますが、久保さん、これはいかがでしょうか。
  80. 久保卓也

    久保政府委員 私どもの耳に入ってまいりますものはやはり全国の中の大きな規制の問題でありますが、そういったものは県や市町村は当然地元つまり店舗をかまえておる人たちの意見も聞いて、その反響がどうであるからということで意見が出されております。したがいまして、小さな具体的な問題については私承知いたしておりませんけれども、結局その交通の問題は地元の人たち及びよそから入ってくる人、車の問題でありますので、当然地元の利益ということもその中に含められて考えられねばならないわけでありますので、私は大体やっておったのではなかろうかと考えますけれども、いまのような御趣旨の点がありますればあらためて全国にそういった趣旨を通知いたしたいと思います。
  81. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 私の関連質問はこれで終わりたいと思いますが、要はやはり交通安全週間等におきましては交通安全協会等は真剣にいま政府に対して協力しております。したがって、そうしたものの意向というものは常に尊重していただきたいということを申し上げたにすぎないのであります。御了承を願いたいと思います。  終わります。
  82. 内海清

    内海委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十六分散会