○板川委員 ランプゲートを下げて視界を広くして接岸するときのショックを少なくするというのは、あるいは運航操作上必要かもしれませんわね。それならばいま言ったように、この前に遮断装置を設備するようにちゃんと規定なりをそろえて
指導したらいいんじゃないでしょうか。これは私は、実際に
あまり乗ったことがないからちょっとわからぬで、いま資料をもらったのですが、たとえば海には潮の満ち干がありますわね。
〔
委員長退席、田中(榮)
委員長代理着席〕
同じ岸壁に着くにしても、固定された向こうの陸上の端に着くにしても、あるときは、水が満ち潮なら船のほうが高くなるかもしれませんし、引き潮のときには先が高くなって、向こうのほうが高くなるのじゃないですか。ですから、おそらくこの少年もエプロンドアというのですか、ランプゲートといいますか、これを二十度程度開いて、そして接岸しつつあった。こっちから見れば、
運転する者としては、それは引き潮のときにはそういうこともあると思うのじゃないですか。だから、別にこれは到着したのだから、早くおりようという
気持ちで、そこが少年ですから、
免許証取りたてでしょうから、
運転経験もないから、あわてて飛びおりた、飛び込んでしまったということになるのだろうと思うのです。しかし、そういう少年の錯覚などがあったとしても、それを防止し得るような
措置を
——営業で客や車を運ぶのですから、十全な
措置をしておくように、事前に海運局としては、通達等で、規定がないというなら、乗船
指導でそういう点をなぜいままできちんとしておかなかったか、こう思うのですが、それは今後やるということのようですから、過去を多く問うてもしかたがないかもしれませんが、その点において、いわば海運局の
一つの怠慢があったと私は思うのです。
淡路フェリーの場合に議論になったのでありますが、当時の
新聞に、その同社の専務の某が、ランプゲートは開いて出航したって別に違法じゃないのだ、こういう
意味のことを
——これはどこまで真実か私もわかりませんが、一応
新聞でそういう報道をされておるのですね。開いても違法じゃないのだ、こういうものの
考え方、違法でなければそのために
事故を起こしても責任は向こうにもあるのだと言わんばかりのものの
考え方、こういうところに人命の安全というものに十全な気を配っていないという
心がまえがあるのじゃないでしょうか。そういう点を私どもは感じたのです。ところが、海上保安庁か、海運局か、係官の場合には、それと同じ
趣旨をこの間ここで言っておるのです。それは、出航しても別にだいじょうぶです、車どめはしてあるし、そうおっこちる心配はないのだ、うしろはあけっ開きだってだいじょうぶです、こういう言い方をする。そのときに私は言ったのですが、
事故なんというのはだれもだいじょうぶだと思っておるところに起こるのですよ。十字路の
交通事故だって、両方が完全に法規を守れば起こるはずはない。どっちかに心のゆるみ、あるいは錯覚、勘違い、そういうものがあるから
事故が起こるのであって、そういう勘違いやそういう間違いが、錯覚があったとしても起こることを防止するというのが
事故防止の
対策だろうと思うのです。そういう点で、従来、海運局や海上保安庁のそういう面の
指導が十分ではなかったと私は思います。
そこで、いま資料をいただきましたが、五月十二日に運輸
大臣が通達をして、フェリー
事故防止のための通達を出した、この要点はどういう点になっておりますか。