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1969-05-08 第61回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年五月八日(木曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 内海  清君   理事 稻村左近四郎君 理事 大竹 太郎君    理事 斎藤 寿夫君 理事 田中 榮一君    理事 板川 正吾君 理事 山田 耻目君    理事 河村  勝君       加藤 六月君    川野 芳滿君       丹羽 久章君    太田 一夫君       久保 三郎君    後藤 俊男君       古川 喜一君    松本 忠助君  出席政府委員         総理府総務副長         官       鯨岡 兵輔君         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 久保 卓也君         海上保安庁次長 林  陽一君  委員外出席者         文部省体育局学         校保健課長   田  健一君         通商産業省重工         業局自動車課長 田中 芳秋君         運輸省海運局参         事官      須賀貞之助君         運輸省船舶局首         席船舶検査官  高田  健君         運輸省船員局労         政課長     石原  明君         運輸省自動車局         整備部長    堀山  健君         労働省労働基準         局監督課長   細野  正君         労働省労働基準         局補償課長   長岡  貢君         労働省労働基準         局安全衛生部長 山口 武雄君 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件     —————————————
  2. 内海清

    内海委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 私は連休中の交通事故激発状況とそれに対する対策、さらにカーフェリーの事故対策ゴンドラ墜落事故対策、この三つの点について若干の質疑をいたしたいと思います。  まず警察庁に伺いますが、連休中の陸上交通事故状況について簡単に説明をしていただきたいと思います。
  4. 久保卓也

    久保政府委員 私どものほうでは四月の二十六日、土曜日に当たりますが、二十六日から五月五日までの十日間をゴールデンウイーク期間中の特別取り締まり期間といたしました。したがいましてゴールデンウイークと申しますか、この十日間を統計対象にいたしておりますが、この十日間で申し上げますと、交通事故発生件数が二万六百五十五件、死者の数が四百七十七人、これは前年に比べまして九十一人、二三%の増であります。負傷者の数が二万七千四百六十人であります。これを本年の一月から四月までの件数死者数負傷者数に比べてみますと、一日平均では件数で二〇%の増、死者で一九%の増、負傷者で二三%の増となっております。特に地域別に見ました多発地域は、関東特に東京周辺の千葉、神奈川、埼玉というようなところあるいは愛知、兵庫といったところが非常に死者の数ではふえているところが特徴であります。  また、車で見ますと、二輪車とか原付自転車とかいったような二輪車による事故が多いことと、特に連休性格でもございましょうが、自家用自動車事故が非常にふえておるということ。それから類型別に見ますと、車対車の事故がふえているということ。さらにまた、連休における運転性格からいたしまして、わき見運転とか追い越し違反といったような原因に基づく事故が非常にふえておるというようなのが概況であります。
  5. 板川正吾

    板川委員 この分で自動車事故増加してまいりますと、ことしの死亡推定数はどのくらいにあたりますか。それから、負傷者推定はどのくらいになりますか。
  6. 久保卓也

    久保政府委員 昨年の交通事故の対前年比の伸びを見ますと、発生件数では二二%ぐらい、負傷者の数では二六%ぐらい、死者の数が四・七%の増でありましたが、本年に入りまして、この四月末までの伸びを見ますと、発生件数が一四%、死者が一四%、負傷者で一三%。本年に入りましてこの四月までの概況をそのまま伸ばしてみますと、昨年の負傷者数が八十二万人でありましたが、おそらく百万人近くになるのではないか。それから、死者が一万四千二百人でありましたが、一万六千、場合によってはこれをこえるおそれがあるというふうに観測いたしております。
  7. 板川正吾

    板川委員 負傷者は毎年対前年比二六、七%ふえております。ですから、四十三年の負傷者が八十二万八千人ということですと、ことしは百五万人をこえる、昨年と一昨年の状況、ことしの状況を見ましても百万人をこえるということはほぼ明らかであります。死者については一万六千人見当か、一万八千人見当かという説もありますが、とにかく史上最大死傷者の数になることは疑いのない事実だろうと思います。ことしの事故の一番の特徴は、先ほど説明がありましたように、自家用乗用車マイカー族事故が非常にふえたということが一つ特徴だろうと思います。したがってその事故は、行楽地高速道路であるとか主要道路、そういう場所において続発しておる。車対車の事故マイカー族の激増による交通事故、こういうふうになっているのがことしの事故状況と思います。  そこで通産省に伺いますが、この数年間の自動車生産量と今後の生産量見通しについて説明していただきたいと思います。それからもう一つは、保有台数推移というのも一緒に報告していただきたい。
  8. 田中芳秋

    田中説明員 まず生産推移でございますが、ここ五年間程度につきまして御説明申し上げます。  昭和三十九年におきます自動車の、四輪車でございますが、生産量台数にいたしまして百七十五万台、四十年度が百九十三万台、四十一年度が二百四十七万台、四十二年度が三百四十万台、四十三年度が約四百三十万台という数字でございます。年率にいたしますと、ほぼ二割をこえます上昇率伸びてきてまいっておるわけであります。  ところで四十四年度の見通しでございますが、私どもといたしましては、大体四百八十万台程度生産が見込まれておるわけであります。なお長期的な生産見込みでございますが、これにつきましては、現在経済企画庁を中心経済社会発展計画の練り直しを行なうという形で、私どもも参与いたしておるわけでございます。御承知のとおり、自動車需要国民所得等と非常に密接な関連がございますので、今後のわが国経済のそうした成長力等を前提にいたしまして、私ども長期的な見通しを立てたいと思っておるわけでございます。ただ自動車工業会のほうの計算でございますが、今後の長期的な見通しといたしましては、内需といたしましては、昭和五十年程度まで年率にしてならしますと一〇%程度伸びになるのではなかろうか。したがって、これ以上大きな伸びを期待するとすれば、内需としてはその程度でございますが、今後は輸出重点を置かなければならない、こういう考え方に立っておるわけでございます。  次に保有台数でございますが、これは運輸省調査でございまして、二輪車等を含んでいる形で発表されておりますので、若干いま申し上げました生産との狂いはございますけれども、三十九年三月が六百万台、続きまして四十年の三月が六百三十八万台、四十一年の三月が八百十二万台、四十二年の三月が九百六十四万台、四十三年の三月が千百六十九万台、こういう形でございます。四十三年の十二月が私ども入手しております数字でございますが、これによりますと約千三百六十万台、こういう形になっております。ちなみに四十三年十二月の千三百六十万台のうち、二輪車が約七十万台でございますから、千三百万台弱が四輪車というふうに見ていただきたいと思います。これも先ほどの長期的な生産との関連から申しますと、政府といたしましてもこれを検討はいたしておりますが、自動車工業会先ほど見通しでは、昭和五十年に大体二千五百万台程度の四輪車保有台数になるのではないか、こういう見通しを持っておる現状でございます口
  9. 板川正吾

    板川委員 今回のこのゴールデンウイークにおける交通事故多発状況から、政府はどのような交通事故防止という考え方をとらるるのか、この事故の教訓にかんがみてどういう交通事故対策考えるのか、総理府に伺いたいと思うのです。これは私が申し上げるまでもなく、交通事故というのは、国民責任において回避するという部分はごくわずかです。本人の注意ということもあるかもしれません。しかしわずかであって、大部分政府施策によって防止をせざるを得ないと思うのです。たとえば道路整備するということも政府施策でありましょう。交通安全施設整備もそうです。交通安全教育充実というのもそうです。交通規制もそうでありましょう。それから自動車政策、この交通事故の一番の元凶である自動車政策といいますか、調整といいますか、そういったことも、これまた政府施策によるものであって、政府が本気でこの交通安全というものについて取り組まない限りは、交通事故というものはもう防止することは不可能なんです。個人が歩道を横断するときに気をつけろということもありましょう。これはしかし交通施設環境がよければ、そういうこともごくわずかなのでありますから、私はこの交通事故多発状況というものに対しては、政府がもっと痛切な責任感じなくちゃいけないというふうに感じますが、各省を統轄する総理府としては、この見解をどうお考えでありますか。
  10. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 交通安全の施策については、政府人命尊重、特に歩行者保護の見地から、これを政府の最重点施策一つとして取り上げておるところでありまして、交通安全施策整備充実中心とする道路交通環境整備、さらに学校における交通安全教育推進、さらには地域社会における交通安全思想普及徹底運転者に対する再教育強化内容とする交通安全活動推進、いわゆる交通暴力の排除に重点を置いた交通秩序の確立並びに救急医療体制整備及び損害賠償確保を主たる内容とする被害者救済対策強化の四本の柱を立てて、これらを総合的に推進することをもってその基本的な考え方といたしておるわけであります。  なおこれら四本の柱を内容とする総合的な交通安全対策としては、政府昭和四十年一月、交通対策本部において交通事故防止徹底をはかるための緊急対策を決定し、当面の交通安全施策の基本といたしておるのでありますが、その後現在に至るまでの間にありましても数次にわたって右の緊急対策内容重点的にしぼり、かつこれをさらに具体化した総合的または個別的な対策を、同じく交通対策本部において決定し、関係省庁においてその強力な推進をはかっているところであります。  いま板川先生指摘のように、さらにゴールデンウイークの間における驚くべき交通事故発生、これらにつきましては鋭意資料を集め、各省庁にも集まってもらって、これをもととして、いまわれわれが何をなすべきか、何ができるか、そういうような問題は検討いたしておるところであります。今度のゴールデンウイークの実態にかんがみての具体的な問題についてはいましばらく御猶予をいただきたい、こう思う次第であります。
  11. 板川正吾

    板川委員 統計によって過去の事故推移を見ましても、政府はなるほどいろいろ対策本部を設け、閣僚会議を持ち、緊急対策をやってきた。しかし実際には交通事故というのは年々記録を更新して、毎年二割くらいの割合でふえてきているのでしょう。ことしは百万以上の人が負傷し、二万人近い人が死亡する、こういう実績になっている。幾ら対策を打っても毎年こういうふうにふえてきておるというのは、この対策が問題のポイントをつかんでない、こういうところに原因があるのじゃないでしょうか。あれもやったこれもやったといいながら、ちっとも交通事故が減らない。ふえておる。だからそこが私は口先だけの対策じゃこれはだめだという感じがするわけです。  そこでこれは私の思いつきでありますが、当面政府の方針を次のような点にひとつポイントを置いて交通事故防止というものに取り組んでみたらどうだろうかという議論をしてみたいと思うのです。これは主として念頭に置いて取り上げるのは陸上交通事故にいたしますが、この陸上交通事故が非常に多いということは、先ほど通産省から発表がありましたように、自動車生産が非常に急激な勢いで拡大をし——これは拡大することは悪いといっている意味じゃないのです。保有台数が急激にふえて自動車がふえてくる。これは所得がふえるから、あるいは国民のそういう欲望を満たすことですから、それ自体われわれは悪いという意味ではありませんが、しかし、この自動車がふえることによって交通事故激発をしておるという事実は否定するわけにはいかない。ですから自動車のふえるに見合う対策整備というのが十分じゃない。ところが自動車保有台数増加するに見合う整備といっても、これはたいへんなことですね。道路を五カ年計画でやっても、一〇%に満たない主要道路が改装される程度にすぎないのですから、自動車が二割も三割も年々ふえてくれば、これは道路のほうを二割も三割もふやすということは不可能です。物理的にも経済的にも不可能だと思うのです。ですからこの自動車増加を何らかの形でチェックするような施策がこの際必要ではないだろうか。自動車を持っては悪いということは言いません。しかしいろいろの施策を講じて、自動車を持つ場合には、社会的な責任を十分果たせるような条件を満たさなければ自動車を持つことができないような総合的な施策を講ずる必要があるんじゃないだろうか。いまのままで野放しに自動車がふえておったら、どんな対策を打ったって急激には事故は減りっこないです。この点どういうふうにお考えでしょう。
  12. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 非常にむずかしい問題で、まさにそのことがわれわれ当面計画を立てる者としては頭の痛い重点であります。したがいまして、いま板川先生思いつきだがというお話でございましたが、これはもう十分どなたからも思いつきでけっこうですから、いろいろ御意見を御開陳いただきまして、それを参考にして効果のある対策を立てたい、切にそう思っている次第でありますので、ありがたく拝聴をいたした次第であります。  そこでいま御指摘のように、自動車をつくってはいけない、あるいは自動車をふやさないというようなことは、実はいま政府としては考えてはおらないわけであります。それは当然産業経済に大きな支障を来たすというようなことも考えなければなりませんので、それをやれば必ず自動車事故が減ることはわかっておりますが、それはなかなかできることではない。現在は一応そういうふうに考えておるわけであります。したがって自動車を持つことを許さぬあるいはつくることを許さぬというようなことをしないで、そうして交通事故をなくする。それも道路をふやすとか教育徹底させるとかというような、いわば迂遠な方法でないそのものずばりやるという方法はないかというようなことを考えてみますれば、たとえば交通需要の抑制というような問題、これは都市交通の問題として、目下私どものほうが中心となって各関係省庁に集まってもらって検討をいたしておるところであります。  具体的に言えば、時間を限って都市自動車の入ることを制限する、そういうような問題であります。さらには車庫を持たないで自動車を持つことはいけない、これは御案内のとおりもう前からやっていることでありますが、私は必ずしも徹底しているとは思っておりません。これを十分に徹底させるということも必要なことでありましょう。車庫を持たないで自動車を持てば、道路上に駐車をするというようなことがしばしば行なわれるわけであります。そのことが道路を狭くして、さらでだに狭い道路が狭くなって、それが交通事故原因にもなる、そういうふうにも考えておるわけであります。  さらにはいまお話にございませんでしたが、今度のゴールデンウイークの間における事故、四百七十七人という大量の死者を出した痛ましい事故原因は、先ほどお聞き及びのとおりでありますが、それをこさいに検討いたしますと、遊びほうけてと言うては言い過ぎかもしれませんが、居眠り運転が非常に多かった。そこでそれらは運転者の自覚に待つほかはないのでありますが、次に多かったのが酒飲み運転であります。酒飲み運転などをすればあぶないことはわかっておるのに、なぜそれをなさる方があとを断たないのであろうか。そういうことから酒飲み運転をもう少し規制をして、好ましい方法ではありませんが、酒飲み運転をある種の罰則の形で規制する方法はないだろうか、そんなこともいま考えておるわけであります。  万般いろいろ御意見を賜わりながら早急に対策を立てなければ、冒頭先生言われたように、もうとんでもないことになるというふうには痛切に考えておりますので、鋭意その対策に力を尽くしたいと考えておる次第であります。
  13. 板川正吾

    板川委員 いま副長官のお話の中にちょっとひっかかる点があるのですがね。それは自動車規制すると経済発展を阻害する、それはできないという趣旨をちょっと申されましたが、考え方としてはやはり人命優先というたてまえをとるべきであって、政府施策が年々百万人をこす死傷者を輩出しておきながら、経済成長に影響あるからという意味のことを言うことは、私は政治の原則からいってどうかと思うのです。必ずしもそういう意味で言おうとしたんじゃないと思うのですが、その点がちょっとひっかかるもんですから申し上げておきます。  私も自動車を制限しろとか使っちゃいけないとかいう直接的な規制をしようというんじゃないのです。しかしこれほど交通事故自動車事故がふえてくると、国がどんなに交通安全の施策を講じても急には自動車増加に追いつかない。だから自動車を持つ者は、社会的な責任を十分果たせるような条件を持った人が自動車を持つように間接的な制限をする。こういう必要があるんじゃないだろうか。そういう気持ちで申し上げておるのです。  で、いま言われましたように、たとえば路上駐車というものを徹底的に取り締まったらどうだろうか。これは道路という公共施設、この空間を占有するのですね。自動車一台駐車しておくことによって占有する。人通りの全くないというところであればしかたないということも従来あったでしょう。しかし大都市東京都内でもそうですが、ずっと駐車をしておるところがある。もしその駐車がなければ交通渋滞はもっとスムーズになって解消される面もあると思うのですね。どこでも駐車ができる、置ける。どこでもと言ってはあれですが、ある部分置けるということが車を持つことに容易な感じを持たせる。だから路上駐車というのはもっと規制区域を広げて徹底的に取り締まったらどうだろうか。車庫を持たないあるいは有料駐車場駐車しないものは取り締まり強化して罰則対象にする。こういうことが必要じゃないだろうか。一方において駐車取り締まりをしながらも、公営駐車場あるいは私営で駐車場をつくる場合には若干の補助をするなり便宜をはかるなり、そういうようなことで有料なり公営なりの駐車場をふやすような施策を講ずることも一つでしょう。  それからどうもゴールデンウィークの自動車の波を見て、運転免許基準というのを引き上げたらどうかなという感じがするのです。いまは自動車学校へいって簡単に運転免許が取れる。年のかっこうから見ると十五、六歳かと思われるような若い子がかっこよく自動車をふっ飛ばしているというようなことが大きな事故をもたらしておるようでありますが、この運転免許基準というものを引き上げて、教習課程で、ただ自動車運転できるというだけじゃなくて、交通安全に対する教育というものも含めて、運転免許基準をもっと引き上げたらどうだろうか。  それから、いま死者について三百万、負傷者について五十万という限界で自動車損害賠償責任保険がありますが、これは政府も引き上げるといっているのですね。五百万か六百万に引き上げるといっておるのですが、五百万や六百万にしてもまだ西欧諸国から見れば低いです。この自賠法の限度というものをもっと引き上げる、そのために保険料が上がるということになるでしょう、しかし保険料は上がっても、こういう自動車を持っている人には、万が一のときに、社会的な責任を果たしてもらうために、保険料が大幅に値上がりしてもしかたがないじゃないか。社会党は値上げ反対ですが、この場合は私は賛成ですね。保険料を引き上げて、そのかわり被害者を十分救済し得る責任保険に強制的に加入さしておく、そしてそれが負担だというなら自動車を持たないこと。そういう社会的責任を果たせないという人は自動車を持たないこと。こういう考え方でしかたないんじゃないだろうかと思います。それから、道路財源確保のために、いまのいろいろな税金というのも再検討してもこれまたいいんじゃないかというふうに私は思いますね。そういうようないろいろな政策を総合的に行なって、自動車を所有する人、使用する人が十分社会的な責任を果たし得るような条件を具備しなければ持てないという間接的な調整方法で、当面自動車保有台数の急激な増加というのをある程度押えていくほかに、交通事故を減らす法はないんじゃないだろうか。最近は自動車輸出も非常にふえておるそうですから、国内で押えられる分は輸出のほうに回すということによれば、別に自動車メーカーに対して急激な打撃も与えないと思います。こういうような政策を、政府全体で考えてやってみられたらいかがでしょうか。これは思いつきですが、その点どうですか。
  14. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 冒頭板川先生にお断わりしておきますが、先ほど私の答弁の中で、決して人命尊重経済とバランスにかけて考えているというようなことはございませんので、もしそういうふうに聞き取れる向きがあったとすれば、私のことばが足らなかったことと御了察を願いたいと思うわけでございます。  それからいまの先生お話は私、全体的に異論をさしはさむところはないわけであります。自動車を持つ者は社会的な責任を感ずるべきである。またそういうふうに持たせるように施策を講じても行き過ぎではないではないかというお話はまことにごもっともであります。そういう線に沿ってこれから考えていきたいと思っているわけであります。それは具体的には、御指摘のように路上駐車等にあらわれてくるわけであります。公共施設である路上自動車をとめる、それによって、先ほども申し上げましたが、さらでだに狭い道路がますます狭くなる。そして交通渋帯を起こす、その渋滞交通事故原因になる、こういう関連になりますので、これらはこの辺でそろそろかなりきびしい施策を講じてもいいのではないか、こう考えております。  それから、自動車免許基準を少し上げたらどうかということは、このごろ世上問題になっているところでもございます。同じく免許証を持っているといっても、その中にはかなりじょうずな人もいるかわりに、かなりへたな人もおるようであります。そういうようなことですから、基準を少し上げたらどうかということは、あの教習所なんかのやり方等にも関連して、いま問題になっておるところでありますので、これは関係省庁において鋭意検討中のところでありますので、御了察が願いたいと思うわけであります。  自賠法問題等につきましても、御指摘のように三百万円を少し上げようということをいわれておりますが、これはやはり三百万円というようなことでは追いつかなくなってきているということからそういうふうになっているので、これを上げるということによって負担が大きくなるから、その負担が大きくなることで自動車を持つ者が減るだろうということを目途として、現在は考えているのではないわけであります。そこで、いま先生言われたのは、当然上げなければならぬということもあるし、上げることによって自動車を持つ者の負担が大きくなる、それに耐えられない者は自動車を持たない、したがって自動車が減るだろうということの御観点のようでありますが、これは考えるに値する問題だと思うわけでありますので、検討させていただきたいと思います。
  15. 板川正吾

    板川委員 そこで、もう二、三関連して同種の問題で質問をいたしますが、これは建設省になるか交通局長になるか……。有料高速道路があります。これをどうでしょう、日曜、祭日、土曜日という日には料金を割り高にして、ウイークデーを料金を割り安にする、こういうことをやったら幾らか場所によっては日曜、土曜に交通ラッシュを調整することが可能じゃないでしょうか。この点どうお考えですか。これは交通局長でも建設省でも、どちらでもけっこうです。
  16. 久保卓也

    久保政府委員 建設省所管と考えますが、私の知る範囲で申し上げますと、外国では主要都市の周辺について、日曜なんかはトラックの通行どめをしているところがあるようであります。この問題は、主要都市の周辺における自家用乗用車のドライバーを優先させるか、あるいは経済生活を優先させるかという問題がありまして、警察が考えるというよりも、議会なり国民の皆さんからの御要望に沿った措置を講ずべきではなかろうかと考えます。  それから、料金は私はわかりませんが、お話しのような筋のほうが適当のように、私個人は考えます。
  17. 板川正吾

    板川委員 何かの機会に、これも一つの試案ですから、検討してみてください。  それと、いま言いました主要道路——有料高速道路としましょうか、主要道路でもいいのですが、諸外国、まあドイツなんかでは土曜、日曜はトラックはアウトバーンを通させないという例があります。ただし食糧輸送とか緊急の輸送で、警察署長の許可を受けたものはいい、こういうようなことになっておるようです。ですから、土曜、日曜のトラックの通行禁止ということも、ある時間帯ですね、ラッシュの時間帯にはこういう制限もあってもいいんじゃないか、私、さっき乗用自動車を押えるほうばかり言いましたが、そういう面の調整をして、国民がレジャーを楽しむという気持ちをそういう面で有効に生かしてやることもあっていいんじゃないか、こう思います。  それから、これは私の感じですが、有料の高速度道路の管理者が交通事故防止というものに対して取り組み方が弱いのじゃないか。交通事故防止は警察のことだ、あるいは救急関係は消防署だというようなことで、意外に高速有料道路交通安全施設というものに対して冷淡な感じがしますね。ですからいま、たとえば高速自動車道の中で人身事故があった。これは市町村でやっておる救急車がそれの救急に赴くということになっておるけれども、そういう救急業務などは道路管理者にやらせて責任を負わせてみたらどうかなという感じがする。そうすれば事故多発地域における、区間における事故防止のために、私は道路管理者自身がいまちょっとくふうされるのじゃないだろうか、こう思いますね。あるいは救急車が高速道路へ入っていく出入り口にしても、道路管理者が自分でつくるということになれば、もうちょっと出入りのいい場所をみずから設計しつくるのじゃないだろうか、こういう感じがいたします。  それからこの報告にもありますように、事故が非常に多いのは、たとえば歩行者の事故は別としましてわき見運転というのが一番多いのでしょう。それからスピードを出し過ぎて追い越し等で事故をするのがその次というふうに出ておりますが、たとえばそのわき見運転が、内容がどういうのだか私もわかりませんが、景色のいいところへ行ってそっちの景色のほうに気をとられてカーブなりそういう地域でぶつかるということもあるか前の車に追突するということがあるかと思うのですが、そういう追突、衝突する多発地域については事前にもっと、危険だからわき見運転するなとか、あるいはここでカーブがあるからスピードを出すと前の車が見えなくて追突するおそれがあるからというような注意を道路管理者自体が積極的にするのじゃないかと思いますね。どうもいまは事故が起こってもその処理は自分のところではないのだというようなことでよそごとに感じておる。あるいはドライブインの酒の販売、これはこの前も議論いたしまして、一応あまり売らないということになっておるようですが、たとえばドライブインの中で酒なんか売っている場合には、酔っぱらい運転事故を起こすとなれば禁止するということをみずからもくふうされるのじゃないだろうか。私が言いたいのは、道路の管理者が事故防止にわりあいに冷淡である、だから事故の処理について責任を課したほうが、事故防止に自分も気をつけるということに積極的に取り組むことになるのじゃないだろうかと思いますが、この点について交通局長のお考えはいかがですか。
  18. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 建設省がおりませんので、各関係省庁に関係いたしますので私からお答え申し上げます。  道路管理者が交通事故の処理についてあまり熱心ではないという御指摘でございます。確かに現象面としてそういうふうな面が見受けられないわけでもございませんが、現在の仕事、事務の分配のたてまえから申しますと、道路管理者のほうは道路の損壊その他に基づく事故処理、これは当然道路管理者の責任でございますので、これについては一応やっていることと思います。  それから道路の構造その他に基づかないで交通事故が起こりました処理は、これは道路交通法の規定によりまして、一般には警察に処理責任があるわけでございまして、問題は特に高速自動車国道のような場合におきましては、警察機関と道路管理者との連携がうまくいくかいかないかということが一つポイントになるのではなかろうかと思います。この点は後ほど交通局長からお答えがあると思いますが、現在名神にいたしましても東名にいたしましても、警察機関と道路管理者との連携は出発当初に比べますと、はるかに改善されておると私は理解しております。  それから救急業務の問題でございますが、これも御指摘の点は一つ考えだと思います。これも現在の体制のことを申し上げてまことに恐縮でございますが、先生御承知のように救急業務は消防法の規定によりまして市町村の責務となっております。  そこで問題は、高速自動車国道のようなところで、インターチェンジが限られておる、しかも高速自動車国道は主として都市部以外のところを通過しておりますので、はたして当該道路の通過しております市町村に十分な救急業務を行なう能力があるかどうかということがしばしば問題になっておるわけでございます。この点は現在消防庁のほうにおきましては、昭和四十二年でございましたか、消防法を改正いたしまして、十分な救急業務能力のないところは他の市町村に委託するとか、あるいはさらに都道府県がこれを行なうというような方法をいま考えておりますので、私たちといたしましては、いましばらくその成り行きを見ましてまた検討いたしたい。なお道路公団のほうにおきましても、私の記憶でございますが、たしか救急自動車を市町村に提供いたしまして、これによって救急業務の円滑をはかっているはずでございます。私ちょっといま手元に資料を持っておりませんので不確かでございますが、そういったわけで鋭意改善にはつとめておるわけでございますが、今後さらに検討いたしたいと思います。
  19. 久保卓也

    久保政府委員 道路公団のほうとの関係は、いまお話がありましたが、各高速道路につきまして警察側と公団側との連絡に当たる連絡室を設けております。そこで公団のほうでの無線とそれから警察のパトカーが走っております無線とは違っておりますが、そこの連絡室へ両方が入って、そこでおのおのが連絡し合うという体制になっております。この点はいまのところ円滑に動いておると思いますけれども、パトカーの数が必ずしも非常に多いというわけでもございませんので、完全な体制とはまだ申し上げかねるかもしれません。  それから御指摘の中で、たとえばわき見運転が多いので注意をするような合い図なり標識をつくったらどうかというお話であります。この点は従来の考え方道路標識令に基づいたもの以外はなるべく立てないようにという指導が行なわれておったわけでありますが、私最近そういう話を聞いてみますると、どうも内部でも若干異論が出てまいりまして、標識令ならば改正すればよろしいわけなんで、いま少しドライバーにあるいは歩行者に警戒を促すような警戒標識というものを新たにつくってやったほうがいいのじゃなかろうかという問題があります。この点は警察庁と建設省と近い将来にひとつ協議をやってみたいと思います。
  20. 板川正吾

    板川委員 救急業務にしても道路管理者側でそれを市町村に寄付するということであれば、道路管理者自体がその高速有料道路の中で起こった事故は自分で処理するという形をとったほうが何か積極的に事故防止に取り組む感じがするものですから、一つ考え方として申し上げました。  連休中の交通事故の問題は、時間の関係もありますからまた別の機会といたしまして、次にカーフェリーボートの事故について海上保安庁関係に伺います。  五月六日午前零時五十分ごろ、兵庫県三原郡西淡町阿那賀というところで、淡路フェリー阿那賀発着場で徳島県鳴門市亀浦行きのフェリーボートうずしお丸に乗り込もうとした車が、乗り込まないうちにフェリーボートが出航したために九メートルの海の中に落ちて、救出をしたがすでに四人とも死んだ、こういう事故がありましたね。この点で伺いますが、最近マイカー時代を迎えて陸上の交通渋滞するということもあって、海を越えて目的地に早く着こう、車ごと着こう、向こうへ行ったらまた車を乗り回そうという意味で、カーフェリー事業というものが最近非常に普及してきておるようであります。このカーフェリーボートの事業の最近における実態、推移というものを説明してください。
  21. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 それでは御説明いたします。  いま先生からお話がありましたように、カーフェリー事業というものがここ二、三年来急激な発達をしておるわけでございまして、たとえて申しますと、三十九年におきましては事業者数が五十五で航路数が七十一であったわけでございますが、その後年々ふえまして、四十三年八月現在におきましては事業者の数が百四、航路数が百三十四、こういうことになっておるわけでございます。船舶数にいたしましてもこの五年間におきまして六十八隻から二百四十五隻、総トン数におきまして一万五千六百トンから七万七千トン、こういうことになっておるわけでございます。なお自動車の輸送量、乗せた自動車の数にいたしましても、三十九年二百八十二万台でございますが、四十二年に六百六十四万台ということで三十九年に対して四十年は二割ちょっとでございますが、四十一年から四十二年にかけましては四割以上の増加を示しておるわけでございます。
  22. 板川正吾

    板川委員 いまの説明資料にもありますように非常な勢いでカーフェリー事業というのが普及しておりますね。ここでカーフェリーの安全運航を規定する法規というのはどういうものがありますか。
  23. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 船員法並びに船舶安全法等によりましてこれを規制しておるわけでございますが、なお海上運送法におきましてもいろいろな通達によりまして安全を確保するということで努力しておる次第でございます。
  24. 板川正吾

    板川委員 海上運送法で免許をとることになっておりますね。この免許を与えるときに海上運送法に基づいて業者は管理規定をつくって就航前に海運局長にそれを申請をして許可を受けるということになっておると思いますが、この会社の管理規定というのはどういうのですか。たとえばそのカーフェリーのうしろを開けたまま出航していいというようなそういう点についてどんな規定がございますか。
  25. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 免許の際に条件で管理規則を定めて、これを一応海運局長の承認をとらせるようにしているわけであります。なお免許をするかどうかという際におきましても、事業計画の中におきまして船員の数とかあるいは発着施設とか、そういった面の検討を加えるわけでございます。  なお先ほどお話がありましたような管理規則の中に、そういう発航の際にランプゲートを締めてから発航する、こういうところまではうたってございません。
  26. 板川正吾

    板川委員 新聞報道なのですが、淡路フェリーの専務の話としてランプゲートは開放したままで出航しても違反にはならないという意味のことを言っておりますね。これは五月六日の日経ですが、「違反にはならないが、やはり車の乗降船をよく確認したうえで開閉しなければならないのは当然だ。」これは当然であります。違反にはならないのだという言い方は、どうもそういう言い方をさせること自体が私はカーフェリーの安全規定というものが十分ではないような気がする。こういう点はぴしゃっと許可するときにたとえば自動車の場合には運輸規則がありますが、これはいろいろなことを想定してこういう場合にはこうしなくてはいけないということを規定しておる。踏切の中で自動車がとまった場合には後に下がってはいけないとか、いろいろちゃんと書いてあるのですがね。しかしこのカーフェリーの安全規則といいますか、そういう点でうしろをあけっぱなしのままで出航したとしてもそれは違法ではないというような言い方をさせること自体、やっぱり問題だと思うのですが、この点はどういうふうにお考えですか。
  27. 高田健

    ○高田説明員 実は自動車航送船につきましては船舶安全法で検査をいたしております。ただ従来ランプゲートにつきまして安全法のほうの設備基準には明確なる規定を設けておりません。と申しますのは、ランプゲートは実は渡り橋でございまして、この渡り橋を船自体に備えるケースもございますし、陸側に備えておるケースもございます。たとえばランプゲートがある船がこれを閉鎖しないで航行したら不安全かどうかという問題がございますが、普通の航海でございますと、うしろ側のランプゲートは開いたままでも車両の転落防止ということについては車両が固縛をされるということを前提にいたしますれば航行中特に不安全であるということはない、こう考えております。もしこの点相当の荒天でうしろから波が来るというような場合には、確かにうしろのランプゲートが開いたままでおりますと波が打ち込みまして海上の安全が不十分になる。ひいては復原性がそこなわれるということがあると存じますけれども、それほどの荒天でなければランプゲートを開いているのが不適当であるというふうには考えておらなかったのでございます。こういうことがございますれば、今後の問題として検討いたしたいと思います。
  28. 板川正吾

    板川委員 いずれにしても陸上から船に乗るときにゲートを開いて入れるのでしょう。ランプゲートを開いたままであっても、自動車はブレーキがかかっているし、心配ない。まあまあ普通の状態が普通に起こっていれば、事故というのはほとんど起こらないですね。万が一ということを考えて、やはり出航する際にはうしろをちゃんと締めて、それを確認した上で出航する、こういうようなことにしておいたほうが、私は事故を未然に防ぎ得る習慣になると思います。それはあれでしょう、踏切だって、自動車は一々とまらなくていいのですよ。汽車や電車が来ないときならば一々とまらなくたって、通過したって事故は起こりませんよ。しかしそういう習慣をつけると、万が一ということがあるから、汽車や電車が来ようが来まいが、踏切の場合はちゃんと一時停車せよ、こういう原則になっているのでしょう。だからそれはちゃんとうしろを締めて、それを確認した後出る。たとえば電車、列車の場合には、車掌が出発の合い図をしたとしても、ドアが完全に締まらなければ運転手は発車できない仕組みになっておる。だから自動車を完全に積み込んで、最後のうしろを締めて、そして締めてから初めて船長が合い図をしたら、運転者、航海長ですか何かが船が動けるようにする、こういうようなことまでやはりきびしく指導する、そういうことによって注意を促して事故を未然に防ぐということが必要じゃないだろうかと思いますね。今度の経験では、そのこと自体によって事故が起こったのじゃないのです。しかし、やはりそういう習慣がこの場合行なわれておったならば、この船長はうしろを見ずに発船オーライというわけにいかないですよ。そういう習慣がついておったならば、この場合には事故を防げた、私はこう思うのです。だから、踏切の一時停車じゃないけれども、来ないからとまらなくたっていいというのじゃなくて、やはり安全を確認する意味で、今後はぴしゃっと締めた後発航するような規定にして指導されたらいかがですか。
  29. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 カーフェリーを含めまして国内定期船の安全につきまして常に、特に最近レジャーブームでもありますので、私のほうで、運輸省といたしまして非常に意を用いているところでございます。特に年末年始とか盆、正月とかあるいはゴールデンウイークといったような場合には、運輸省といたしまして、全般的に、旅客定員の厳守あるいは船舶の運航管理の適正といったようなことにつきまして総点検を行ないまして、いろいろ注意しておるところでございます。今回につきましても、四月の二十一日の事務次官の交通事故防止についての通達に基づきまして、省内の各局長連名によりまして詳細な事故防止対策について通達をしておるわけであります。特にカーフェリーにつきましては、前々から、最近の大型化あるいは長距離化というような傾向もございますので、これの関係法令の規制あるいは指導をきびしく行なっておるところでございますが、この四月におきまして、海上保安庁が中心となりまして、カーフェリーを中心に航海一斉取り締まりを行なったところでございます。それで現在数字を集計中でございますし、また施策についてもいろいろ本省側と海上保安庁と打ち合わせをするようにしておったやさきであるわけでございます。ただ先ほどからお話が出ておりますが、その関係法令と申しますものが、海上運送法あるいは船員法あるいは船舶安全法、いろいろ多岐に分かれておるわけでございまして、若干その規制の明確さを欠くものもございますので、特に法律面あるいは通達の関係からこれを大いに検討していきたい、こういうように考えておるわけでございます。とりあえずこの夏の繁忙期を迎えるまでの間にこれらの諸法令あるいは通達といったようなものを各法律面からあるいは通達面から抜き出しましてまとまったマニュアルというものをつくり上げてこれを配付していきたい、こういうふうに考えておるわけであります。そういう状態でございます。
  30. 板川正吾

    板川委員 海上保安庁からことしの四月十一日付の行楽期の旅客船を総点検しろ、特にカーフェリーなどを重点的に点検をする、こういう通達の資料をもらいました。この資料を見ても、「海上保安庁はこの期間中旅客船会社をはじめとした関係機関に協力を求め、次のような事項について指導、取締りを行なうことになった。」といって、「一、旅客船の定員が守られているか。二、航行区域をオーバーして運航していないか。三、定められた資格をもつた職員が乗船しているか。四、出港前の安全確認が行なわれているか。五、救命具や消火設備は十分整備されているか。六、カーフェリーに積んだ危険物運搬車などに対する安全は十分か。」こういうことを注意しろといっているのですね。出港前の安全確認が行なわれているかどうかというこの抽象的な指導といいますか、抽象的な点検の要綱ですね。もっとこれを具体的なきめこまかい安全の確認の方法まで議論をしておかないと、抽象的に出港前の安全が確認されているか、船長は船員法によって、安全の確認をしないうちに出港を命じちゃいけないことになっているでしょう。だからこういう抽象的なことよりも、具体的にこういう方法を講じろということを指示してそれを習慣化するということによって事故防止というのができるのですよ。だからこういう点は、あまりにも抽象的ですから、今後はひとつもっと具体的に事故防止上のきめこまかい指導をひとつしてもらいたいと思うのです。たとえばこのほかに私が言いたいことは、カーフェリーに乗船するときに、大型自動車、バス、遊覧バス、こういうものはお客さんは別に一般のお客と一緒に入って、運転手だけが車をもって乗船しますね。この乗用車の場合には、一般的にいうと、今度の場合はお客を乗せっぱなしで運転する人が運転して船の中に乗り込もうとしたのですね。だからこの場合に、お客はやはり一般のお客と同じに乗船して、車を運転する人だけ、万が一ということがありますから、運転する人だけが運転すれば、この四人のうち少なくとも三人の生命は助かったわけですね。私はこの実態をよく知りませんから、お客を乗せたまま入って三十分かそのままいて、向こうへ着いたらそのまま出発するのかと思ったら、そうじゃなくて、やはりお客は乗用車に乗って入っても、船に乗ってしまえばやはり客室へ行って、そして出るときは一般客と一緒に出て、車は運転手が扱って出て、途中から乗車していく、こういう方式をとっておるようですね。それなら乗るときも運転手だけに運転をさせて、そしてそれはバスの場合には車掌が必要かもしれません。とにかく最小限度にして、乗っている者はやはり一般の乗船者と同じように口から乗る、こういうことのほうが、こういう万が一というときの事故が少ないのじゃないでしょうか。こういう点を何か聞くところによると、乗用車については平均定員一・五人乗るものとして、一・五人の料金を加算して乗用車の運搬料金とする、こういうことになっておるそうですが、それなら一・五人の料金は別に払わせて、車の分をそれだけ安くしてやるという料金制度の改正をしてもいいから、そういうような方式をとられたらいかがでしょうか。この点どうですか。
  31. 林陽一

    ○林政府委員 ただいま先生から御指摘がありました海上保安庁で本年四月十四日から二十六日までに行ないました一斉取り締まりでございますが、御承知のとおり海上保安庁は現行法令の海上における励行、取り締まりに当たっております官庁でございます。前々から当庁といたしましても、先生も御指摘になりましたような最近のカーフェリーの急激な発達を見まして、さらに他の旅客的などとも比較検討いたしまして、カーフェリーに関する事故が起こらなければよいがと思いまして、いろいろと対策を講じ、かつこれに対する指導、取り締まり強化しておりましたやさきにこのような事故が起きたわけでございます。  先ほど先生がお読みになりました通達の中の出港前の安全確認についてということでございますが、これにつきましては海上保安庁本庁からそれぞれ出先の保安部署に対しましてこまかい指示をいたしておりまして、具体的な各ケース、ケースにつきまして、船体、エンジン、無線などの設備の整備点検が十分かどうかを保安官をして点検さしております。さらに気象通報、水路通報等の航海に必要な情報の収集が的確に行なわれているかどうかというようなことを、やはり具体的に点検さしております。これによりましてまず指導の期間を設けまして、単に法令違反だけではございませんで、安全の点で法の精神に反するような事故がございますときには、あらかじめ船主なり船長、船員に対して指導を行なっておきます。しばらくこれに対して改善の余地を与えまして、さらにぴしぴしと違反につきまして摘発するというような取り締まりを行なっております。  さらに、これと離れてでございますが、PRにつきましても、各関係団体と協力いたしまして海難防止のいろいろなPR活動を行なっており、今月の二十一日から三十日までの間におきましても、特に春季海難防止の期間を設けて行なおうと思っておったところでございます。  先ほど先生のおっしゃいましたような点につきましては、遺憾ながらあまりにカーフェリーの発達が急激でございますので、まだ法令が十分に整備されておらないような点がございます。十分指導はさせておったつもりでございますが、たとえばゲートの開閉その他につきましてこまかい具体的な指示、指導を行なっておったかどうか、その点につきまして十分確信を持ってきょう先生に対してやっておりましたというふうには答弁できないようなことがございます。  先ほど申し上げましたように制度と申しますか、法令の整備、さらに政策的なことは運輸本省でいたしており、われわれは法令の実施励行を行なっておるところでございますが、このような取り締まり機関のいろいろなデータを海上保安庁で集めまして、運輸本省と密接に連絡をいたしまして、先ほど運輸本省のほうからも話がありましたように、法令の整備を行ない、もう少しきめこまかい指導、取り締まりを行ない、今度の不幸な教訓を十分生かして将来の対策とさせていただきたい、かように考えております。
  32. 板川正吾

    板川委員 カーフェリーという事業は新しい事業で急激に発展しておるのだし、それだけに安全面の対策というのがある意味じゃ立ちおくれておると思いますから、こういう機会にもっと実態に合うような安全対策というものをひとつ講じてもらいたい。特に夏季の行楽期に同種の事故が再び起こらないように、十分ひとつこの経験を生かして今後の事故防止のために指導してもらいたいということを要請をいたしまして終わります。  次はゴンドラ墜落事故について伺いたいと思います。関係庁は警察庁、建設省、通産省総理府、労働省、こういう五つの関係になると思います。  四月二十四日、白昼、東京渋谷の西武デパートの外装作業中のゴンドラが落下して、作業中のアルバイト学生と下を通行中の小学生二人が即死をした事故がある。この事故に世人はあまりの痛ましさに衝動を受けたと同時に、東京のビルの下を通っておる一般サラリーマンには非常な不安を与えておるということは事実であります。ところで、その事故が起こった数日後、さらに四月二十九日、日本橋兜町のビルで、ビル清掃中の作業員がこれまたゴンドラが傾いてほうり出されて、十二メートル下のアスファルト道路に転落して死亡した事故がありました。幸いこのほうは四月二十九日は休日だったために、通行人がいなかったので通行人の危害はなかったけれども、しかし作業員二人が死亡した。こういう相次いだビル外装作業のゴンドラ墜落事件というのがございます。  最近高層建築ビルが林立をしてきて、外装作業というのが非常に多くなってきて事故が多発しておるようでありますが、最近におけるゴンドラの墜落事故というものをひとつ一括して報告してもらいたいと思います。これはどこですか。
  33. 久保卓也

    久保政府委員 いまお話しのように本年四月に二件続けて起こったわけでありますが、昨年じゅうは大阪で九月六日にやはり東海ビルの作業場におきましてゴンドラが落ちまして、乗りていた作業員二人が重傷、それから通行人一人がやはり三カ月の重傷というのがございました。全国的にゴンドラによる作業は昨年じゅうの数字をとってみますと、ちょっと集計ができておりませんけれども、大体二百五十件足らずというくらいじゃなかろうかと思いますが、昨年は大阪の一件、本年の数字はまだ存じておりませんけれども、二件というふうになっております。
  34. 板川正吾

    板川委員 新聞報道があるいは間違いかもしれませんが、昨年は、四十三年四月、東京八重州口鉄鋼ビルの屋上から工事中の作業員が三人墜落して死亡した。四十二年九月には、東京千代田区神田の山際電気ビルで窓ふき作業中の清掃会社員が落ち、即死した。四十年八月には東京日本橋の八十二銀行東京支店で外装タイル工事の作業員が十二メートル落下し死亡した。これはいまの報告のほかにこういった新聞報道がありますが、これは間違っておりますか。
  35. 久保卓也

    久保政府委員 私の手元にありますのが昨年の大阪の一件として報告されておりますので、あるいは私のほうが不十分であったかと思います。
  36. 板川正吾

    板川委員 ゴンドラを外装工事というのですか、外装清掃用に設備をしてあるビルは全国にどのくらいありますか。
  37. 久保卓也

    久保政府委員 ただいまの御質問の数字がわからないわけでありますが、ただゴンドラを設置いたしましても警察で所管いたしておりますのは道路上に出ておるものだけということになっておりますので、若干統計が違っておるかもわかりません。
  38. 板川正吾

    板川委員 これは労働省の資料によると、最近ゴンドラの施設がビルに装置されるのを見ますると、昭和三十八年ごろから急激にふえておるのですね。ちなみに拾ってみましたら、三精コンベア株式会社、今度の落下と同じ製造会社ですが、これが三十八年に二台、三十九年に二十三台、四十年二十一台、四十一年四十台、四十二年三十七台、四十三年四十台、合計この六年間で百六十三台、主として東京、大阪あるいは大きな都市のビルに装置をされております。日本ゴンドラがやはり同じような期間だろうと思うのですが、期限がわかりませんが、これまた百五十七台、越原鉄工所というのが三十九台、安藤鉄工所というのが三台、最近できたようですが、こういったものを見ますると、全国で三百五十台近いゴンドラがビルに装置されている、こういう実態があると思います。このゴンドラの施設設置や運用というようなものの実態というのはこれはどこで見ており、どこでひとつ——この実態がどうなっているのかということがわれわれわからないのですが、これわかるところがあったら説明してください。
  39. 山口武雄

    ○山口説明員 ゴンドラの設置数は先生指摘のように大体三百五十台くらいございます。これらの設置につきましては、私のほうの出先の労働基準局ないしは監督署において監督指導をいたしております。
  40. 板川正吾

    板川委員 この資料を見ると、総理府の建物の上にもゴンドラの装置があるようですが、これはたとえば建物の屋上にゴンドラの基地というのですか、ぶら下げてもだいじょうぶなような基地をその建物自体に備えつけて、そしてそれを作業する場合には、作業する外装工事なら工事、清掃なら清掃者に使わせる、こういうようなことが実態なんですか。ちょっと私もわからないものですから……。
  41. 山口武雄

    ○山口説明員 この間の西武百貨店の場合には屋上に機械一式が動くようになっておりまして、そしてワイヤロープでゴンドラをつるして上げたり下げたりしてやっております。それから角丸ビルのほうは屋上の突梁にワイヤを引っかけまして、そして自身が上がったり下がったりするようになっておりまして、いろいろの形態がございます。
  42. 板川正吾

    板川委員 そうするとゴンドラの基地といいますか、これは固定的なものじゃなくて可動的な施設なんですか。
  43. 山口武雄

    ○山口説明員 西武の場合には上でそれが横に動くようになりまして、そうして上げ下げ上下に動く、横に動きまして、そうして窓を清掃するということになるわけです。
  44. 板川正吾

    板川委員 施設全体は固定的なものですか。
  45. 山口武雄

    ○山口説明員 いや、動きます、上の施設そのものが。
  46. 板川正吾

    板川委員 上のある部分は動くにしても、建物を向こう側とこっち側をやる場合には動くにしても、施設全体は固定しておるのですか。
  47. 山口武雄

    ○山口説明員 上は固定してありまして、上げ下げはやるわけです。
  48. 板川正吾

    板川委員 これはそうするとビルをつくるときに設置者がすでにそういうものを設計してつくっておいて、そうしてビル工事にも使うし、その後の外装を清掃したり何かしたりする場合にも使う施設であると思うのです。  ところで、西武デパートの場合は、これは設置者あるいは管理者、使用者というような関係はどういうふうになっておりますか。これを伺っておきたいのは、今度の事故の場合に一体責任はどこが負担するのか、こういう気持ちで伺うわけなんですが……。
  49. 山口武雄

    ○山口説明員 西武百貨店の場合には、ビルの所有者は国際株式会社と松竹映画劇場の共有になっております。それからゴンドラも同じ所有になっております。それで西武百貨店がゴンドラの管理者になっておりまして、上の二社から借り受けております。  それから西武百貨店の清掃全部を引き受けておりますのは、西武百貨店の子会社でございます綜合サービス会社でございまして、そのさらに下請の石川ビル美装株式会社というのが下請をやっておりまして、そこの労働者の人が今度の事故を起こしたというような関係になっております。
  50. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、このゴンドラの施設の安全というものを確保する責任というのは、これはどこにあるのでしょう。
  51. 山口武雄

    ○山口説明員 この点が非常にむずかしい問題でございますけれども、現実にはやはり所有者が施設整備して貸すのがほんとうじゃないかと思います。ただ直接の責任といたしましては、この石川美装が労働者を使って、その装置を使って仕事をするものでありますから、労働者と使用者の関係から申しますと、石川美装が借りたその設備をよく点検して事故のないように使うのが当然だということになってくるかと思います。
  52. 板川正吾

    板川委員 石川ビル美装ですか、これは作業員を使って仕事をさせるのですから、落っこっちゃあぶない、死んじゃうのですから、それは気をつけさせるのが当然だし、だれでもやるだろうと思うのですが、その安全を確保する責任というのはやはり所有者なり管理者に主としてある。常時それは安全を確認しておくことはあるのじゃないですか。それは石川ビルにないという意味で言うのじゃないのです。これは当然ですよ。石川ビルも自分が使っておる従業員が生命の危機にさらされるのですからね。その装置を借りると、ゴンドラの装置を、おまえは使って作業してくれ、こういうことでしょう。だからその装置を使って作業するんだから、安全というのは管理者なり、あるいは管理者と所有者の関係に主として安全確保責任があるんじゃないかという感じがしますが、それはいずれ裁判の問題になればもっと明白になると思います。しかしビルが非常にふえてゴンドラという施設が方々にできてきますと、これの安全を確保する責任、再びこういうような事故が起こらないようにするための指導なりというのは、労働省が主としてやるのですか。それとも建設省ですか、通産省ですか。これはどこでやるのでしょうか。
  53. 山口武雄

    ○山口説明員 労働省でやることになっております。
  54. 板川正吾

    板川委員 労働省でやるとすれば、主として労働省に伺いたいと思うのですが、観光用にあります空中ケーブルというような場合には、メインの綱のほかに予備綱がありますね。万が一ということを考えて予備綱で救出できなくても、宙ぶらりんでも、とにかく墜落して即死ということを避けるために予備綱がありますね。今度のゴンドラの装置を考えた場合——装置の説明を受けたのですが、予備的な、万が一この機械の装置が狂った場合に、それでも墜落だけは避けるように、せめて宙ぶらりんになったとしても、墜落だけは避けられるような時間を得て救出できるような装置に、いわゆる安全装置を二重にする必要があるんじゃないでしょうか。今度の場合には、安全装置が一本ですから、はずれてしまってばたっと落っこちたということですね。労働省としては労災防止のために、どういうふうにこれを防止するお考えですか。
  55. 山口武雄

    ○山口説明員 ゴンドラの安全につきましては、ワイヤロープの強さの規制とか、それからそのほかの積載荷重とかいろいろな規制をやっております。今度のゴンドラの場合には、自動的に制御するような装置をしなければいけないということに、一応なっておるわけであります。ところが西武のゴンドラの墜落事故は、ゴンドラの中にボタンがございまして、そこで上げ下げの制御をやる。自動専用の装置は電磁式の制動器がモーター側についております。モーターからシャフトの先にかさ歯車がございまして、それからドラムにいっておりまして、そこにロープが巻きつけてありまして、それを動かして上げ下げするようになっておったわけであります。ところが、かさ歯車のかみ合いが非常に甘くてはずれてしまったようなかっこうでございまして、制動がきかずにドラムがから回りして、それで落ちてしまったというような状況でございます。先生の御指摘の、さらにもう一本綱をつけるとかなんとかいうことも当然考えられますけれども、私のほうでは、このドラムがから回りしないような方法もあわせ考える必要があるのではないかというようなことで、いませっかくその規則の改正その他につきましても検討いたしております。  それから先ほど先生が御指摘になりました、いろいろ管理の問題につきましても、二十六日に全国一斉にゴンドラの設置状態の指導監督を行ない、この十日までに全部残らず指導監督いたしまして、その結果、詳細にわれわれのほうに上がってくることになっております。その結果をよく検討いたしまして、さらに対策検討したい、そういうふうに考えております。
  56. 板川正吾

    板川委員 このゴンドラの巻き上げ機械の装置を見ますと、かさ歯車ですか、ベベルギアのかみ合わせが、すきがあいてかみ合わなくなって事故原因になったといわれるのですが、そういう場合もあり得るからこそ、私はそういう場合があったとしても、最小限墜落を避けるような装置、要するに安全を二重にすべきだ。自動車だって足で踏むブレーキのほかにサイドブレーキ、ハンドブレーキがありますし、電車だってバキュームブレーキがきかなければ手回しのギアを回してブレーキを使うという方式があるように、あるいは行楽地におけるケーブルカーなどでも同じですね。とにかく起こるべきでない事故が起こるのですから、その場合に最小限人命だけでも墜落を避けるような装置というものがなければ使用してはいかぬ、こういうふうな取り締まり強化すべきではないでしょうか、いかがですか。
  57. 山口武雄

    ○山口説明員 その点につきましては、すでに先ほど申しましたように、十日までに一斉監督をやりまして、その装置の不備なものについては使用停止をやれというような通達もすでに出しておりまして、その線に沿って十日までに一斉に指導監督をやっております。したがって、そういうようなことでみんな出てまいりますので、その時点で新たに対策を立てていきたいというふうに考えております。
  58. 板川正吾

    板川委員 もちろん調査をして対策を立てることを私、否定しているわけではないのだけれども、三精コンベア株式会社というのがさっき言いましたように、百七十台近いゴンドラを販売しておる、あるいは日本ゴンドラ株式会社というのも、これは百五十七台ですから百六十台近い。これは去年のものですから、百六十台以上のゴンドラを販売していると思うのですよ。だから、その機械構造等を見て、二重の安全装置というものがなければ使用してはいけないという原則くらいは確認して、作業員の安全を守ってもらいたいと思うのです。これは死んだ作業員はアルバイト学生ですね。この学生がどこの大学で、あるいは何派に属しているか私は知りません。あるいは政府側からいえば、これは三派ならいいんだと思うかもしれませんが、とにかく二十四歳の学生、そしてアルバイト中。この際、ひとつ親の負担を少なくしょうと思って出たのでしょう。そうして、ただこれをぐるぐる回してやって掃除すればいいというから、簡単なつもりで乗ったのじゃないでしょうか。それが機械の装置の故障で一瞬にして生命を失う。また下を通行中の小学生六人がけがをする。自分の息子がアルバイト学生であった場合、これは考えてみたら、こんな安全を確保できないような作業を公然と政府が許しておくというのはまことにけしからぬという気持ちになりますね。自分の子供がアルバイトで命を失ったとしたら、これはどなたも憤慨しますよ、こういう装置をそのまま平然として、三百五十台もいま方々で使わしておる、こういうことになったら、そういうことを考えたら、私はもう徹底的にこの安全——これは水の上なら下で何とか生きるという方法もあるけれども、とにかくもう落ちれば命がないのですから、最低命が助かるような装置、あるいは綱でからだを縛りつけておくという指導も必要じゃないでしょうか。そうすれば、ぶら下がっているという場合もあるでしょう。二重の装置ということもある。とにかくこういう事故が起きないように、設置してあるところは三百五十台全部わかっているのですから、十分に調査をして、危険なものは使用停止を即刻してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  59. 山口武雄

    ○山口説明員 先ほどドラムについてもそういうような安全装置をつけるということを申しましたが、それは二重に制動装置をするという意味で申し上げたのですから、御了承いただきたいと思います。  それから先生指摘のように、こういうような作業をやる方は非常にしろうとの方が多いというようなことでございますので、安全教育の問題あるいは施設整備責任の明確化、あるいは安全のために作業の主任者の選定という一連のことをやりたいと思って、いま検討中でございますので、御了承いただきたいと思うのであります。
  60. 板川正吾

    板川委員 非常に上空で作業をするような場合には、特殊な体験、特殊な体質といいますか、とび職みたいなぐあいに特殊な訓練や体質なりが必要とされるのじゃないかと思うのです。そういう非常に高い空間で作業をするような者は、特殊な訓練等も行なった者でなければ作業に従事しちゃいけない、こういう指導も一つあるだろうと思いますが、この点もひとつ考えてもらいたいと思います。  そこで、今度は警察庁にこの問題で伺いますが、ビルの下はたいてい通路になっておりますが、道路の上空でこういった作業をする場合には、道交法七十七条によって所轄の警察署長の許可を受ける、こういうことになっておりますが、この場合にはそういう法律さえあることを知らなかった。無許可でやったことのようです。まことにけしからぬと思うのですが、これは一般論としてそういう届け出、許可申請があって許可する場合はどういうような注意なり条件なりをつけてやっておられるのですか。これも私は、注意なり条件がやや抽象的で、新しいビル外装作業というものが非常にふえて、ゴンドラの墜落事故というのがふえておる現状から見て、さっきのフェリーボートの問題じゃないけれども、許可の際の注意、条件、こういうものをもっと厳重にしておかなければいけないように考えますが、いかがですか。
  61. 久保卓也

    久保政府委員 御指摘の道交法の七十七条によりまして、交通安全上必要がある場合には条件をつけることができるようになっております。そこで、その条件につきましては場所なり各県の情勢で若干違うかもしれませんけれども、警視庁で大体基本的なものとしてつけておりますものは以下のようなものであります。一つは、落下物の防護措置を講じること、シート、網などを設けるということであります。それから道路上に落下物が予想される危険な範囲に保安さくとか板囲いを行なうということ、それから作業する下方の道路上に交通整理などのための防護措置を設けるということ、それから資機材の倒壊を防止すること、それから頭上注意の標示板を設置すること、それからラッシュ時、通勤時を避けることといったようなことであります。これで十分でありますかどうですか、ゴンドラ並びに建物の構造上のことにつきましては警察側は必ずしもくろうととは申せませんので、あるいは二、三の今回の例からしましても不十分な点があるかもしれませんので、これは労働省の出先機関と関係府県がよく協議をいたしまして、この条件について検討を要するものと考えます。
  62. 板川正吾

    板川委員 ゴンドラの安全というのは、何かいまのまま野放しにしておったのじゃいけないような感じがしますね。たとえば一定の安全性を持ったもの、それを政府のどこかがこれなら安全だからよろしいといったもの、そういうものでなければ使っちゃいけない、認定を受けたものでなければ使っちゃいけないというような制度ができ、そうして警察で許可をする場合にはその装置が認定された機械であるかいなか、こういうようなことまでやはり実態を調査の上で許可する、こういうようなことがあっていいのじゃないかと思うのですが、労働省と警察庁、どう思いますか。
  63. 山口武雄

    ○山口説明員 このゴンドラのメーカーの規制を行なうつもりで、いま検討いたしております。
  64. 久保卓也

    久保政府委員 警察側といたしましては、労働省のほうで保安基準を明確にしていただければ、その保安基準にかなっているかどうかということを確認して、具体的な条件をつけて認可すべきものと考えます。
  65. 板川正吾

    板川委員 ぜひそういう方向でひとつ強化してもらいたいと思います。  時間がありませんからはしょりますが、労働省に伺います。この事故で死んだ学生アルバイト、これは労災保険の適用を受けられると思いますが、労災保険の適用を受けられるとすればどの程度の補償が行なわれるようですか、念のためにちょっと伺っておきます。
  66. 長岡貢

    ○長岡説明員 この石川ビル美装株式会社に雇用されておりますので、労災保険の適用があるわけでございます。西銘宣勝さんという二十四歳の方でありますが、現在おかあさんが沖繩のほうにおられるようでございます。家族関係については現在調査いたしておりますので、幾らに計算がなるかということについても仮定の問題として申し上げるほかないわけでございますが、給付の基礎額が千五百五十六円でございます。したがいまして、おかあさん一人だというふうに会社のほうでは言っておりますけれども先ほど申し上げましたように現在調査中でございます。もしこのおかあさんが五十五歳以上でございますと遺族年金が支給されるわけでありますが、また一時金を請求した場合におきましては、遺族補償一時金といたしまして、六十二万二千四百円という一時金が支払われる。もし年金にしてほしいということでありますると、おかあさん一人の場合には、基礎日額の三〇%が年金として支給されるというような仕組みに相なっておるわけでございます。
  67. 板川正吾

    板川委員 沖繩の人ですか。せっかく東京へ来て、本土へ来て勉強して、にしきを飾って故郷へ帰ろう、こういう気持ちで来たんだろうと思いますね。それがこうした不慮の災害にあったという。まことに気の毒ですね。労災保険が、人が死んで六十万円くらいというのは、どうもあまり安過ぎる感じがしますな。  それはそれとして、労災保険の金額の問題は、わが党でもそれの引き上げについていまいろいろ対案も出しておるかと思いますから、それはきょうは論議はいたしません。  もちろんこれはわかっておることですが、遺族は、この死に至らしめた責任者に損害賠償の請求が当然できる。これは民事的な損害請求になるだろうと思いまするが、もちろんできると思いますが、念のために、ひとつ答弁してみてください。
  68. 長岡貢

    ○長岡説明員 労働災害に対しまする補償につきましては、先生御案内のとおり、無過失賠償責任を担保する、つまり重大な過失があってもあるいは過失がなくても給付をするというたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、稼得能力なりあるいは死亡によって失なった損害に対する慰謝料というような面については入っておらないわけでございます。したがいまして、先生指摘のように、民事訴訟を起こし得る余地が残っておるということを申し上げます。
  69. 板川正吾

    板川委員 この場合には本人に過失があったと認定することができませんからね。機械装備、機械の管理のほうに間違いがあった、こういうことでありますから、当然遺族としてはそういう請求を起こして、やはり責任を追及しくいくほかない、こう私は思います。それと、これはどこになりますか。アルバイト学生の次に通行の小学生二人が下敷きになって死んだわけでありますが、この小学生二人についての賠償問題というのは、いま解決がついているわけじゃないと思いますが、どういう状況のようでありますか。その中間的な報告をしてもらいたいと思います。実はこれは、その次に質問したい学校安全会法ですか、その適用問題とも関連しているものですから、ちょっと伺っておきます。
  70. 田健一

    ○田説明員 安全帯の問題は後ほどといたしまして、現在の会社側との話し合いの状況を私どもが承知している限りで申し上げますと、五月一日に第一回の話し合いが行なわれております。これは西武、石川ビル美装を相手にして、区の教育委員会が行なっております。その席にもちろん校長以下PTAの会長、なくなった児童の父兄が出席しております。それから第二回の話し合いが五月六日に行なわれました。まだ具体的な話し合いにはなっていないようであります。この次の話し合いが五月の十二日に行なわれる予定というように承知しております。
  71. 板川正吾

    板川委員 このときの小学生の行事というのは、これは日本学校安全会法ですか、この適用を受け得る当然の行動であったといっていいでしょうか。学校安全会法の適用を受けるというのは、金額は少ないですから必ずしもいいことではありませんけれども、要するに学校教育活動の一環としての当日の行動であった、こういうふうに見ていいのですか。
  72. 田健一

    ○田説明員 その日は、区教育委員会主催の音楽鑑賞会に行く途中でございまして、正規の教育課程に基づきますところの行事と考えられますので、当然安全会の給付の対象になると考えられますが、ただ第三者加害の場合には、その第三者に対しまして子供たちが損害賠償の請求権を持ちました場合には、安全会も、その第三者に対しまして支払いました限度において、請求権を獲得するということになっております。
  73. 板川正吾

    板川委員 そうしますとこういうような扱いができ得るのですか。区の教育委員会が、被害者の親を代表して交渉している。しかしなかなからちがあかない。そういう場合に、日本学校安全会法によって児童の家に補償がなされ、そして日本学校安全会法の機関が会社にその求償権を持つというような暫定措置、この問題が解決しない、長引いた場合、そういう措置もできますか。
  74. 田健一

    ○田説明員 通常の場合には、話がなかなかまとまりません例が多うございます。そういう場合には、死亡の場合は三十万でございます。その死亡見舞い金をとりあえず支払うということにいたしました。
  75. 板川正吾

    板川委員 話がまとまらない場合には、学校会法によって三十万円の見舞い金をその家に支払っておいて、そしてここが相手方に求償権を持つ、こういうことになるということなんですかね。
  76. 田健一

    ○田説明員 そのとおりでございます。
  77. 板川正吾

    板川委員 以上、三点について質問時間がきましたから終わりますが、ぜひひとつゴンドラの安全対策というのは、労働省を中心にもっと強化をしてもらいたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
  78. 内海清

    内海委員長 松本忠助君。
  79. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 警察庁交通局長にまず伺いたいわけでありますが、この連休中の交通事故がいわゆる記録破りであった。四月の二十六日から五月の五日までの十日間で死者が四百七十七人、いま報告を聞いたわけでございますが、いまの御報告にもありましたように車対車の事故、それから二輪車事故が非常に多かった。そしてまた自動車運転者、同乗者が死傷するというふうに、ことしの一つ特徴があらわれているわけでありますが、どうしてこの車対車の事故が激増したか、二輪車事故がふえたか、この点について交通局長からお答えをいただきたいと思います。
  80. 久保卓也

    久保政府委員 車対車の事故が特にふえた理由はよくわかりませんけれども、たとえば二輪車につきましては、これは職業運転手的な人がいるわけではありませんで、レジャーに使う人が多い。しかも若い人が乗る。そして遠方に出かけて、必ずしもなれてない道路を運行するというようなこと。どうしてもスピードとスリルに関心を持つといったようなことで、このレジャー期間中は二輪車について特に事故が多かったのではなかろうかと考えます。  それから貨物車につきましては非常に事故率は高いわけでありますけれども、これはやはり単に運転技術ということだけではありませんで、雇用関係といいますか、労務管理といいますか、そういう点にも問題があるのではなかろうかというふうに考えます。
  81. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 車対車の事故原因についてはなるべく早い時期によく解明をしていただいて、御報告をいただきたいと思います。  そこで、今回のこのゴールデンウイーク中は、言うならば、いまもお話があったように、行楽地へ非常に急ぐあまりに無理な追い越しをした、こういうために反対側から来た車と正面衝突をしたというような例もございます。これについてはいわゆる中央道の中央分離帯のないところ、ここでまた大きな事故が起きているわけです。この中央分離帯のない問題については、この前も再々当委員会において私も質問をいたしまして、注意を喚起しておきましたけれども、将来は交通量に見合ったところの幅のものをつくる、また中央分離帯もそのときはつくる、こういうような御答弁があったように記憶しております。しかし将来の交通量に見合ったところの車線をふやすことは当然としましても、中央分離帯はやはりつくっておくべきではなかったか、こう思いますけれども、この点はどうでしょうか。
  82. 久保卓也

    久保政府委員 実はその点につきまして部内でも問題が生じたわけであります。二車線である間でも分離帯をつくったらどうか、分離帯も簡易な、たとえばガードレール式のフェンスをつくるとか、あるいはそうでなければキャッツアイと申しますか、ネコの目石のようなものを付設していくというような問題、それからもう少し、何と申しましたか名前を忘れましたが、鉄でつくったやや大き目のものを置いていくというような考え方もあります。ところがどうも私どもの専門家の意見によりますと、全線を追い越し禁止にするならばよろしいけれども、追い越し禁止をしない場所においてそういった簡易な分離帯式のようなものを置きますと、追い越すときに、あの中央道路は六十キロないし七十キロというスピードになっておりますので、かえって危険である。それを置いたために事故を起こすということにならないだろうかということで、ちょっと踏ん切りがつかないような状況でありますが、ただその追い越しを禁止しておる場所、たとえばカーブなどですね、そういったもともと追い越しをしてはいけないところについては、明白になるようなものを設置したほうがいいのではなかろうかということで、いま部内で研究をしてもらっております。
  83. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 この点については全く同感であります。ぜひどうかその施設については追い越しのできない部分については早くしたほうがいいと私も思います。  それから、このゴールデンウイーク中にいわゆるレジャーのために出た人たちがかなり無理なスケジュールを組んでいる。そういう点から非常に疲労もして居眠り運転、そして事故を起こした。あるいはまた、やはりレジャーにつきもののお酒をいけないとは知りつつも飲んで、そのために酒酔い運転事故が四十四件も出ているというような報告もございます。言うならば自己過失から死傷事故があった。この点については運転技術の未熟、こういうものが多いのではなかろうか、こう思うわけでございますが、この運転技術の未熟な面について、特に高速道路自動車を乗り入れる場合に、何かひとつチェックすべきではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、この点について交通局長はどう思われますか。
  84. 久保卓也

    久保政府委員 お話しのように高速道路におきましては、少なくとも高速道路運転になれてないということ、それから観光に出かけた、レジャーに出かけたためにわき見をするといったようなことがどうしても出てまいります。その例といたしましては、この前も申し上げましたけれども高速道路における車対車の事故とそれから車単独の事故とを比べてみますと五対五くらい、むしろ数字から申しますと車単独の事故のほうが多いくらいであります。ところが一般道路でありますとそれが九対一になって、車単独の事故はわずかに十分の一ということになっております。そういう点からもわかるわけでありますが、現在やろうと考えておりますることは、一つには高速道路に入るゲートのときにチラシを与えてその中に肝心なことを数項目くらい書いたものを渡すとか、それから先ほども御意見が出ておりましたけれども、警戒標識的なものを道路管理者にもう少し設置してもらうというような方法考えられます。  それから将来の問題といたしましては、現在の免許行政の中で高速道路運転について何らかの配慮をする必要があるかないか。これは場所の選定など非常にむずかしい問題もありますので容易ではないと思いますけれども、この点は検討を要するのではなかろうかというふうに考えております。
  85. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 先ほど鯨岡副長官からも交通事故の解決についての四本の柱についてお話がございました。もちろん交通施設あるいは環境整備交通取り締まりの問題、あるいは交通安全教育、また事故の起きた後の救急体制あるいは事故の補償等の問題、いずれもこの四本の柱は重要なことでありますけれども、特に私は四本の柱の中でも交通安全教育、いわゆる運転教育が大事なことではなかろうか。そしてまたここに欠陥がある、こういうふうに私は思っております。そこでこの点について副長官はどのようにお考えであるか、特に交通の安全教育、この面についてのお考えをただしておきたいと思います。
  86. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 御質問の趣旨をよく体しておりませんけれども、言うまでもなく、四本の柱の中に安全に対する教育普及徹底、そういうことをうたい込んであるわけであります。  いま御指摘ゴールデンウイーク中における四百七十七人という痛ましい犠牲者の分類はまだできておりませんけれども、大ざっぱなところによりますと、御指摘のように居眠り運転あるいは酒飲み運転、要するに自分の理由によって起こったものであるということはいま松本委員の御指摘のとおりであります。そういうことは言うまでもなく交通道徳の教育、技術の教育教育全般を通じて相当規制できるものではないか、こう考えまして、この面については特に力を入れているわけであります。具体的には先ほど板川委員の御質問にお答えいたしましたが、教習所等におけるもっと徹底した、簡単にいえばむずかしくするということですね。  それから免許証をとった人に対するしばしばにわたる酒飲み運転とか、スピード違反とか、あるいは追い越しとかあるいはわき見運転とか、居眠り運転とか、そういうことに対する注意、そういうものをやっていく。具体的には今度は、先ほどお話がありましたが、ゲート等においてチラシを配ってその瞬間注意を与えるというような全般教育、そんなことをいろいろやっていこうと思いますが、まだいろいろあると思います。何かお気づきの点がありましたらひとつ御指摘いただきたいと思います。
  87. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 先ほども副長官から何か気づいた点があったら、ただいままた重ねてお話がございましたので、私の思いついたままでございますけれども交通安全教育についての三つの問題を私はここで提起しておきたいわけです。  第一の問題点は、子供の交通安全教育が文部省、運転者教育警察庁、それから運送事業者の教育運輸省というぐあいに、各担当機関が個個ばらばらに行なっている、これに何ら連携がないのじゃなかろうか、こういう点についての問題をひと提議しておきたいわけです。  第二の点については、教育内容でございますが、いまもいろいろと具体的な点についてお話がございましたが、たとえば運転者教育について言いますと、すでに事故を起こしたり違反をやった者に対する教育中心であって、言うなれば、悪くいえば犯罪者の矯正という、いわゆる警察の古いからが捨て切れずに、やることは道路交通法のかた苦しい条文の解釈であるとか、またきわめて観念的な精神教育、こういう面が多いのではなかろうかと思われます。そこで、その効果について私は疑問を持っているわけです。  それから第三の問題点としては、幼稚園から始められているところの交通安全教育、この交通安全教育は、いわゆる危険な自動車から身を守るというきわめて清極的な教育で、加害者にならないための教育がなされていない。しかもその消極的な身を守る教育も、小学校の課程を終わって中学、高校においてはほとんどなされていない、こういう点に問題があると思うわけです。これらの点については、次回にもっともっと掘り下げて交通安全教育についての意見を戦わしてみたいと思いますけれども、まず、いま申し上げました三点について、これはまことに私の思いつきでまとまりのないことではありますけれども、宮崎室長はどのようにお考えであるか、お伺いしたい。
  88. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 先生指摘の点は、いずれもまことにごもっともなお考えだと思っております。  最初に御指摘になりましたように、確かに交通安全教育の所管庁が分かれております。しかしながら、たとえば学校におきます教育、それから運転者に対します再教育地域社会におきます教育、それぞれ多少教育内容が異なっておりますので、この点は基本的に総理府におきまして基本方針をお互いに相談してきめておりますが、その実施のほうは各省庁それぞれ一生懸命やっておりますので、その点、御指摘になりましたような心配の点はさほどないと考えております。  具体的に申し上げますと、まず学校におきます安全教育でございますが、御指摘のとおり、現在におきましては、いわば消極的に交通事故から身を守る教育中心になっております。しかし、この点も、文部省といろいろと寄り寄り協議をいたしておりますが、将来の考え方といたしましては、やはりよきドライバーを養成する教育もあわせて行なうべきではないかということで、基本的な線としては意見が一致しております。  具体的な方法はいろいろ問題がございますが、現在すでにやっておりますのは、まず小学校の高学年から中学校にかけまして、正しい自転車の乗り方の教育を行なう、これによって、自転車はたいへん低速でございますが、やはり乗りものでございますので、正しい乗りものの乗り方を教えていく。さらに将来余裕ができました場合には、高等学校等におきまして、いわゆる原動機付自転車の教育も積極的に行なう、こういうことで、基本的な考え方につきましては一致いたしております。  ただ、施設の面あるいは教員をどういうぐあいに確保するかということが、なかなか技術的にむずかしい面がございますので、今後さらに検討して、できるだけ早い機会に具体的な策を立てたいと思っております。  それから運転者教育は、確かに現在の時点におきましては、警察の事務処理能力その他の関係もございまして、特に危険な運転者あるいは違反をした運転者に対する再教育にややともすれば重点が置かれがちでございますが、この問題は、一つはきょう御指摘がございましたように、現在の教習所制度の内容をさらに充実すべきじゃないかという問題に関連するわけでございます。御承知のように、現在の自動車教習所は政令で基準がきまっております。これはその政令の基準どおりに行なっていれば問題はないわけでございますが、この監督について従来若干問題があったわけでございまして、この点は警察のほうにおきましても鋭意改善に努力しているわけでございます。その経過を待ちまして、また将来の問題を検討すべきじゃないかと思っております。  それから最後に、一番むずかしゅうございますのは、地域社会交通安全教育でございまして、これはなかなか効果測定がむずかしいわけでございますが、しかし、そうは申すものの、これは積極的にやるべきであろうというところから、本年も来たる十一日から十日間、恒例の春の全国交通安全運動を展開することにいたしておりますので、その機会にいままで以上に創意くふうをこらしまして、少しでも実効性のあがるような教育をいたしたい、このように考えております。
  89. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 御答弁簡略でけっこうでございますが、久保交通局長並びに文部省あるいは運輸省の方々から、この件に関して簡単に意見を述べておいていただきたい。
  90. 久保卓也

    久保政府委員 第一番目の問題は、これは私どもといたしましては、総理府中心にお互いに情報交換、意見交換をしながら、まとまった統一的な方策を立てたいというふうに考えております。  第二点は、確かに問題がある点でありまして、いま違反者の教育ということをおっしゃいましたが、現在では、免許更新の際には講習を受けるようにさしております。これは法的な根拠はありませんけれども、指導でやっておりますが、九三、四%くらいは受けております。全員を受けさせるようにという希望も第一線からだいぶありますので、これは法改正のときに義務づけるように考えてみたいと思っております。  そのほか、私どものほうでは、各県に安全運転学校を置き、さらにその中にはシミュレーターを設置しまして、単に法規でありますとか訓話でありますとか、そういったものだけではなくて、技術的な面を具体的な機械を通じて指導する、教育するというふうに考えております。  それから学校教育の関係では、私どもとしましては、小学生については当然歩行者の注意と同時に、これはおっしゃるような被害者としての注意でありますが、それと同時に、自転車に乗ることを通じて交通のルールを覚えてもらうということ。それから中学、高校生にかけては、二輪車運転するということをいろいろな機会に教育する、その教育の場は自動車教習所を利用してもらうということを、これは文部省と協議いたしまして、すでに文部省からも各県の教育委員会に通達が出ておると思いますが、そういうこと。それから、でき得べくんば、高校生もしくはそれ以上については、四輪車の教育もできるようなふうに考えてみたいというふうに思うわけでございますが、さらに全般的な国民全体を対象にした安全教育ということを何らかの機会に提唱してみたいというふうな、これは私の個人的な考え方でありますけれども考えております。
  91. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 文部省の担当の方いらっしゃいますか。——いなければけっこうです。  次に移ります。ただいまも宮崎さんからお話がございましたように、四十四年の春の全国交通安全運動が十一日から二十日までまた恒例によって行なわれるわけであります。これは毎年のことであって、何ら新味のない、いわゆるおざなりのと言っては失礼かもしれませんけれども、年中行事となっているわけであります。この点についてはまことに効果が薄いのではなかろうかと思います。そこで、本年は特に期間中に何か目新しいことで、ほんとうに地域社会の人たちが飛びついてくるような交通安全運動の展開についての具体策というものがないかどうか。根本的にこの辺で考え改めて、啓蒙をはかっていくべきじゃなかろうかと思いますので、この点についての総理府考え方を聞いておきたい。
  92. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 交通安全運動が形式化、マンネリ化したのではないかという御批判は、私たちも十分承知しているわけでありまして、本年春の交通安全運動要綱を策定いたします際にも関係省庁が集まりまして、いろいろこの点を検討したわけでございます。なかなかいい知恵はなかったわけでございますが、とりあえず春に一つの新機軸として出しました点を申し上げますと、従来は交通安全運動の実施要綱の中で、重点項目を総花式に定めまして、これを十日間、悪くいえばばく然とやっていたわけでございますが、やはりそれでは効果が薄かろうということで、本年春は一つの試みといたしまして、日をきめまして、ある日にはある事柄を徹底的にPRをする、また国民の御協力を得る、こういう方式を一応とってみたわけでございます。たとえて申しますと、項目がだいぶございますが、五月の初日と最終日には全部の項目についてPRをやる。二日目の五月十二日には車両の完全整備の励行、あるいは自動車損害賠償責任保険の加入の励行というようなことを特に取り上げてキャンペーンをする。また三日目の火曜日には学校管理、安全運転管理のキャンペーンを徹底的にやる。それから五月十六日の金曜日には、飲酒運転の追放ということを徹底的にやる。こういうふうに日をきめまして、その日に一つの事柄を集中して運動を展開しよう、こういうことを一応考えております。この成果によりまして、また今後いろいろと検討してまいりたいと思っております。
  93. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いろいろとお考えをいただいているようでありますが、どうか効果のある運動を展開していただいて、マンネリ化した、いわゆる交通安全運動、交通安全の旬間に終わらないように、ひとつ配慮していただきたいと思います。  そこで久保交通局長に一言申し上げておきたい点がございますが、地方の警察の話でありますけれども、地元の交通安全協会などとタイアップいたしまして、終了後に、慰労に名をかりたところの慰安旅行が必ずある。これが非常に恒例化している。しかもこれを警察官も楽しみにしている、こういう話を聞くわけであります。地元の交通安全協会の役員というのが、大体タクシー会社の社長さんクラスが占めている。こういうのが通例のために、タクシー会社はとかく汚職の問題あるいは悪質な政治献金等で、例の大タク協会、大阪タクシー協会以来、タクシー屋さんの悪名もかなり響きわたっています。そういう関係から、警察官とそこに悪い関係を生じないように、厳正なるべきところの警察の威信を傷つけないように、特段のこの点についての御注意があってしかるべきではないかと思っているわけであります。地方におきましてはそういう例を非常に聞いておりますので、この点について交通局長から何らかの方法を示すべきではなかろうか。つまり具体的にこうだということもまずいかもしれませんけれども、何らかの形で注意を喚起しておかないと、思わぬところに警察と業者とのなれ合いができてくる点を警戒いたしまして、この点を御注意申し上げておくわけですが、この点どうですか。
  94. 久保卓也

    久保政府委員 私は福島県の警察本部長をやったことがありますが、その際にはこういうことがなかったと思います。ただこの安全運動は、もちろんその県全体を通じて行なわれるわけでありますから、全体がどうなっているかわかりませんが、御指摘の点は、安全協会を中心にして業者と警察官と一緒に、恒例的な慰安旅行をやっているんじゃなかろうかということであります。そこで安全協会の支部のようなものが警察署単位にあるわけでありますので、中にはそういうものがあるかもしれません。したがいまして、その点ひとつ具体的な調査をすると同時に、そういう点がありますれば指摘し、注意したいと存じます。
  95. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 次に問題は別でございますが、車両の臨時運行については、道路運送車両法の第三十四条にその許可を要することとなっております。普通車、小型車のいわゆる完成車の生産工場からの販売店に対するところの輸送につきましては、最近は、鉄道によるもの、あるいは船舶によるもの、あるいは特殊の自動車によって輸送するもの等がございます。これらの機関によりまして輸送されるものについては問題はないのでございますけれども、ここでひとつ問題がありますのは、大型バスや大型トラックで、いわゆるシャシーのみを裸でメーカーからボデー屋さんまで運搬する。ここに問題があるわけでございます。これにつきましては、やはり臨時運行の許可が要るわけですね。この点はどうですか。
  96. 堀山健

    ○堀山説明員 当然臨時運行の許可を得なければなりません。
  97. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで現今のふくそうしたところの交通事情、この中をいわゆる未完成車が陸送されておるわけであります。メーカーにしてみれば、直属の陸送屋さんを何軒か持っていて、きわめて簡単にたやすく運搬ができる。まことに好都合でありましょうけれども、第三者にとりますと、裸で輸送されてくる車については、まことに困るしろものであります。実に危険である。私どもこのように思うわけであります。これがいうならば、社会問題化しつつあるのが陸送屋の現状でございますが、陸送屋と呼ばれるところの、いわゆるモータリゼーションの発展に伴って生まれてきましたところの職種である陸送屋の指導監督というのは、一体どこのお役所が担当しておるのか、所管はどこなのか、この点をまず第一番目にお伺いしたいわけであります。
  98. 堀山健

    ○堀山説明員 ただいまのお話は、いわゆる工場から工場に車を運ぶ際の臨時運行でございますが、臨時運行というのは二つ種類がございまして、一つは御承知のように斜線の入った臨時運行、もう一つは赤ワクのついたものがございます。通常商品車として定期的に運ぶのは赤ワクのナンバーを使っておりますが、この種のものを許可いたしますのは運輸省、それから斜線で一台ごと運びますのは、陸運局または市、特別区、または政令できめられました市町村でございます。
  99. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 自動車メーカーの直属の陸送屋というのが最近誕生をしておりますが、これの所管はどこで担当して、それの指導とか、あるいは監督というような問題については、どこでやっておるのか伺いたい。
  100. 堀山健

    ○堀山説明員 御指摘のような種類のものは運輸省でやっております。
  101. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで先ほどから申し上げますところの、いわゆる未完成車、メーカーからボデー屋さんに対して輸送されている車は一体どれくらいの台数があるのか、輸送される実績と申しますか、その車種、あるいはその数量、それから輸送の方法、こういったものについて調査をされたことが運輸省ではあるかないか、あるとすれば、その実績を伺っておきたい。
  102. 堀山健

    ○堀山説明員 私どもで調べておりますのは、どういう人にそういう臨時運行の許可をしておるかということでございまして、たとえばいまお話しがありましたように、メーカー自身がそういう許可をやる、あるいはメーカーの別会社といいますか、子会社というか、そういうところでやっておる、あるいは販売業者がやっておる、どういう種類のものが何業種あって、何枚の臨時運行を発行しておるかということにつきましては調べておりますが、具体的な輸送例については、ちょっと調べておりません。
  103. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 通産省のほうでは、こういう数字について、生産台数の中からいわゆる完成車としてメーカーの門から出ていくものでなく、未完成のままボデー屋さんに送られるというようなものについての数量はつかんでいますか。
  104. 田中芳秋

    田中説明員 完成車、未完成車と厳密に区別した数字は、実はつかんでおりません。ただいま御指摘になりましたシャシー、裸のままで出てくる車ということでございますが、私ども推定でございますけれども、月にいたしまして三千台から五千台程度ではなかろうか、このように考えております。
  105. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 推定で月に三千から五千、ころいう数字がいま輸送されているということでございます。特にこれらのいわゆるむき出しの車が輸送されておりますが、これに対して警察庁では危険と思いますかそれとも危険とは思いませんか、この点を率直にお答えをいただきたい。
  106. 久保卓也

    久保政府委員 観念的に申し上げますると運転者席については、言うならばおおいがございませんし、それからシャシーのほうにつきましては最近設けられておりまする車輪と車輪の間のさくのようなものが設けられておりませんので、危険な形をしていると思います。ただ具体的な数字として、さればそういったものから事故が多発しているかというところまでは承知いたしておりません。
  107. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 こういうものに対してどれくらいの事故ができているかという点については、まだ調査も未完全のようでありますが、私どもはこの陸送についてはかなり危険である、このように思っているわけです。これに対して今後事故が起きないようにするためにいろいろ方策が考えられなければならないと思うわけでございますが、今後この陸送の車、いま三千台から五千台という話ですが、こういうものがふえる可能性があるかないか、これらの点について田中自動車課長に伺っておきたいわけです。今後の見通しはどうなのか。
  108. 田中芳秋

    田中説明員 大型車両につきましては御承知のとおり最近高速道路等の整備あるいは省力投資というような観点からふえる傾向にあるわけであります。ただしかしながら、たとえばバス等のものにつきましては最近御承知のとおりフレームレス、シャシーのない形のバスができてきておるようでございます。これは技術進歩という形、したがいましてバスもメーカーから車体屋さんに持っていきます場合には、最近は部品をばらばらにいたしましてそして車体屋でノックダウンをするという形、こういうケースが非常に出てきているわけであります。したがいまして、今後裸のままで車が走るといいますのは特別なと申しますか、大型トラックのたぐいではないか、このように考えております。こういう点から見ますれば今後若干微増をする、こう考えられるわけでございます。
  109. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで交通局長に伺いたいわけでございますが、道路運送車両の保安基準の第五十六条にいわゆる緩和規定がございますけれども、これらの車両は特にいまも田中課長からお話しのあったような大型トラックの陸送、こういうものについてむき出しの車両は保安基準に適合している車両と断定できるのかどうか、この点交通局長から伺いたい。
  110. 久保卓也

    久保政府委員 保安基準運輸省が定めておりますので、現在のところは適合しているということで警察庁のほうとしては問題にいたしておりません。問題は、保安基準が適当であるかどうかということだろうと思いますけれども事故の面からまだ私どものほうとして運輸省に御注文いたすような段階には、現状では至っておりません。
  111. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 最近自動車運転台の上に、いわゆる屋根のところに速度の表示灯がつけられております。緑色の三つのランプがつけられておりますが、こういうものが製造の過程あるいは改造の過程にある自動車についてはつけなくてもよろしい、現在トラックのシャシーが運ばれる場合には、こういうものがつけられていないわけです。こういうものに対してはどういうふうになるのです。この点はどうでしょう。
  112. 久保卓也

    久保政府委員 保安基準にかなうかどうかは運輸省の問題でありまして、私ども基準に合っておればよろしいということでありますので、運輸省のほうにお願いいたします。
  113. 堀山健

    ○堀山説明員 ただいまの規定では適用除外になっております。と申しますのは、これはシャシーをつくっておるメーカーとボデー屋さんとの間の一つの作業といいますか。したがいまして運転台はボデー屋がつくる、こういうことになっておりますので、結局ボデーをつくらなければあれが取りつけられないというのが結果として出てくるわけであります。したがいまして、いまの分ではっけなくてもよろしいということにいたしております。
  114. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それではいまの段階においては速度表示灯はああいう形で運ばれる場合にはつけなくてもよろしい、こういうことですね。  そこでもう一点お尋ねいたしたい点は、むき出しの車両を運転しておる、いわゆる運転手さんの腰かけるシートです。そういうものを見ておりますと、おおむね部品箱等を緊縛いたしまして、それをあき俵であるとかあるいは古い毛布であるとか、こういうようなものを置きまして、そうして腰かけて運転する。言うならば、背中のほうには何もないわけであります。まるきりむき出しである、こういう場合に急ブレーキをかけた場合に——足だけでブレーキは当然操作するわでありますけれども、やはり腰にそしてまた背中にいわゆる足と腰と背中と、こういういわゆる三位一体のブレーキがかかる、こういうふうに私どもは思っておるわけです。やはり急ブレーキをかけたような場合に、単に足だけでやっても背中に何の押えもないわですから、完全にこのブレーキがかかるかどうかというと、これは非常に危険があるのではなかろうか。腰かけておるいわゆる部品箱等が後方に移動したというようなことが考えられた場合にはブレーキはかからない、そのために事故になるというおそれはないか、危険はないかと思うわけでございます。この点はどうでしょう。
  115. 堀山健

    ○堀山説明員 確かにそういうことがあろうかと思います。ただ先ほども申しましたように、運転台をつくるというのがボデーメーカーの分野である、こういうことからつけ方が非常にむずかしいということだと思います。
  116. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いままでも何件かこういうものの事故も見聞きしております。このままの状態で放置しておいていいかどうかというと、これは問題があろうと思います。やはりこれらの点については、運転台のいわゆる腰かけについてはもう少し何らかの方法をとるべきではなかろうか。また陸送屋さん自身のからだが何も保護されていないという問題があります。いわゆるまる裸であります。五月七日の読売新聞の記事によりますと「いまや走る棺オケ」というような見出しでついております。いままではよく「走る凶器」というふうにいわれておりましたけれども、読売新聞で「走る棺オケ」という新しいことばができてまいりました。いま陸送屋さんという問題を考えましたときに、「走る棺オケ」どころか棺オケすらついてない状態です。むき出しで走っておる。これは非常に危険ではないかと思う。これは確かにボデー屋がつくるのであって、それまではできないのだからしようがないのだといってしまえばそれまでですけれども、こういうために事故が続出することをおそれるわけです。月に三千台ないし五千台の輸送が行なわれるという点から考えて、これを野放しでいいというふうにはわれわれは考えないわけでございます。今後どのように指導していくかあるいはどのように取り締まっていくか、運輸省の面とあるいはまた取り締まり面に当たるところの交通局長のお考えを伺っておきたい。
  117. 堀山健

    ○堀山説明員 先ほどからの御指摘の陸送につきましては、運送臨時運行の許可をいたしますときに回送業者としては運行管理者を置けというふうに指導しております。したがいまして、各業者の中にはそれぞれ運行管理者を置いておりますので、その面を通じて運転者にいわゆる安全運転を常時指導するということをいたしたい。  それから構造装置面につきましては、先ほど申し上げましたように、ボデーはシャシーメーカーから受け取ってからやるというのが原則でありますけれども、今後いろいろな面を検討いたしまして、最小限度保護すべき面はどこがあるかという点について検討を加えたいと思います。
  118. 久保卓也

    久保政府委員 警察といたしましては運輸省のほうで保安基準を定めていただけば、それに違反したものは、私どもとして整備不良車の取り締まりを再々やっておりますので、その際に取り締まることができると思います。
  119. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこでもう一点運輸省に伺っておきたいわけでございますが、これらの陸送屋の営業の実態について調査をしたことがあるかどうか、こういう点であります。私の知っておる限りにおきましては、陸送屋さんというのはいわゆるメーカーに直属している陸送屋が多い。そういうものの実態を見ますと、社長が一人と女の事務員が一人で、看板には、名前を出すわけにまいりませんので、仮定して、〇〇オート株式会社、こういう看板がかかっているわけであります。かけてございますけれども、その陸送屋さんには専属の運転手さんはいないのが実情です。じゃ、どうしてやるのかといえば、親会社のほうから、メーカーのほうから、何日に何台どこへ運んでほしい、こういう指示がきてから運転者を集めるわけです。その運転者はどこから連れてくるかというと、タクシー会社の運転手さんが、会社のほうには一日なり二日なりの有給休暇届けを出しておいて、そうして欠勤して陸送屋へ来る。そうして陸送屋に早変わりしている。そうしてまたトンボ返りして帰ってくると、タクシーの会社につとめる、こういう実情があります。これで事故が起きないのは私はふしぎだと思うのです。こういうふうな点から考えて、運輸省は、陸送屋の実態を把握する必要がないのか。いままでに全然把握したことがないのか。今後やる気持ちがあるか、こういう点について運輸省考えを聞いておきたい。
  120. 堀山健

    ○堀山説明員 四十一年にこの種の陸送業につきまして実態調査をしたことがございます。  一般的に申し上げますと、非常に零細資本が多いということは事実でございます。それで、陸送の中には、たとえばメーカーあるいはボデーメーカー、この間の自走するようなもの、あるいは販売業者が輸送基地から引き取って、それからお客さんに引き渡す、こういう意味の扱い方をしているもの、いろいろございます。先ほど指摘のありましたような、いわゆる学生を使うとかアルバイトを使うというのは、これはいろいろあろうと思いますが、現在ではよく乗用車あたりを輸送基地から引き取る、こういうようなのにかなり使っておるというふうに見ております。いままで調べた範囲内では、商工業者が非常に多いということが事実でございまして、それにつきましては、前から私ども、監督上、直接行政のほかに、陸送業者の団体をつくらせまして、その団体を通じてさらに指導を強化するということで、四十年の六月に社団法人日本陸送協会というものをつくらせまして、これをもって、いろんな種類の陸送の体系がございますが、私どもの直接の行政のほかに、その団体を通じていろんな安全面についてあるいは給与体系、労働関係、そういった面の指導をしております。
  121. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それで陸送屋さん、車そのものを陸送するわけだが、その運送事業者としての免許制を与える考えがあるかないか、この点はどうでしょうか。
  122. 堀山健

    ○堀山説明員 陸送にはいろんな種類がございますが、たとえば、大量に運ぶ場合には、船で運ぶ、鉄道で運ぶ、それから自動車——これは小さい自動車に限ります。よく見られるように、二段に載せて走っている。小さい型の車は大体それで、その三つのいずれかが主体になっておると思います。ただ、そういうものに乗せにくいもの、あるいは港とか鉄道の基地の関係でどうしても直接運ばなければならない、こういうものは直接自走といいますか、一台一台積んで運ぶ、こういうことをやっておると思います。
  123. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、時間もありませんから、労働省の方に伺っておきたいわけでありますけれども、いま私が申し上げましたような、一例でございますが、陸送屋の運転手さんはかなりひどい労働条件のもとに働かされているというのが実態だろうと思います。  そこで、労働基準法で労働者の就業時間については定められておるわけではございますけれども、これらの陸送屋に対しまして労務管理の面から何か手を打つべきではなかろうか。相当の距離を、しかも混雑する中を、新しい車で、これに傷をつけてはならないし、そうしてまた、時間的な制約を受けて無事故で送り届けなければならない。相当気骨も折れますし、重労働であります。しかも、現在のような大型のトラックについては、雨をよける、風をよける何ものもないわけです。そういったような非常に過酷な状態のもとにおいて労働をし、しかもまた、トンボ返りしていく、こういうふうな点から考えまして、労働省としてはこの実態の調査をしたことがあるか。また、今後どのように指導監督を陸送屋の運転手さんに対してやっていくという考えがあるかないか、この点を労働省から聞いておきたい。
  124. 細野正

    ○細野説明員 お答え申し上げます。  先生の御指摘ございましたように、陸送関係は非常に零細でございまして、したがいまして、把握が十分でないという状況が現在ございます。  現在までに把握したものについて見ましても、たとえば就業規則とかその辺の関係が整備されていないとか、かなりおくれている点が如実にあらわれているわけでございます。そういう把握した面についてはそのつどの指導をいたしております。しかし、先ほど指摘のような状態でございますから、基準法の観点からいっても、そもそも違反という記録とかそういうものがつかまえることが非常に困難でございまして、そういう意味での実効を直ちにあげるということは非常にむずかしい状態にあるということでございます。
  125. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうして今後、これに対して、実態の把握であるとか指導についてむずかしいという面で放置していいものかどうか。やはり数が少ない、零細な業者であるといいながらも、貴重な人命に関する問題でございますので、労働省としてはやはり手を打つべきではなかろうかと私は思いますが、どうですか。
  126. 細野正

    ○細野説明員 調査いたしまして、その結果に基づいて検討したいと思います。
  127. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、調査の完了をまってまたあらためてお伺いすることにしましょう。  それでは、次に伺いたいことは、三月の十六日と十八日の毎日新聞に載っておりました記事でございますが、この記事によりますと、いわゆる「覆面新型車の殺人」という記事でございます。この点は、運輸省の方あるいは交通局長は御存じでございましょうか。今年三月十六日と十八日の毎日新聞に載っておりました記事の点でございます。御承知かどうか。
  128. 久保卓也

    久保政府委員 承知いたしております。
  129. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 運輸省は。
  130. 堀山健

    ○堀山説明員 承知しております。
  131. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは伺うわけでございますが、事故発生した場所は品川埠頭でございますが、この埠頭は一般道路と同じ扱いを受けるのか受けないのか、この点を確認しておきたいと思います。
  132. 久保卓也

    久保政府委員 通常車両の運行の用に供せられている場所は、道交法上道路とされております。したがいまして、いまの御指摘の場合はたしか道路となっておったと思います。
  133. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 道路であるということになりますれば、当然、自賠責をかけなければならないわけでございますが、この自動車には、その自賠責がかかっていなかったというふうに私は承知しておりますが、この点を確めておきたい。
  134. 堀山健

    ○堀山説明員 この車はかかっております。と申しますのは、登録自動車につきましては必ずかけなければ運行できないことになっておりますから、臨時運行の場合におきましても、臨時運行を許可する場合に、その許可期間内の件はあらかじめかけなければ許可をしないということにしておりますので、そういう制度になっておりますし、この件につきましてもかかっておると思います。
  135. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 間違いなくかかっていたということですね。相違ありませんか。
  136. 堀山健

    ○堀山説明員 本件につきましては、自賠責につきましては、東京海上火災にかかっております。
  137. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、私のほうもなおさらにあらためてみます。この点については、関係者から聴取したところでは、自賠責はかかっていなかったというお話を聞いて私はびっくりしたわけでございますけれども……。  その場合に、その自賠責がかかっておるということになれば、当然、この最高限度額の三百万円の請求は支払われるものと考えてよろしいかどうか。
  138. 堀山健

    ○堀山説明員 これは御承知かと思いますが、最高限度は三百万円でございますが、いわゆる査定をいたしますので、その結果どういう数字になりますか、その結果によらなければわかりません。
  139. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 査定によらなければ実質的にはその金額がわからないと言われる点はわかります。もちろん本人がホフマン方式によって当然将来取得できると思う額も加算されると思いますけれども、これらの点についても私どもがやはり心配している点は、こういう陸送が生んだところの、そして特にこの場合はいわゆる企業の秘密としておるいわゆるめくらの運転であったという問題があるのです。いわゆる新車を販売店まで送るまでに、その外観あるいは型式等を他のメーカーに察知されないために、いろいろカバーをかけるとかハトロン紙で包むとか、こういうことがあるわけでございますが、今回この品川の埠頭におきます事故におきますと、いわゆる前面ガラスの右端の二十センチを除いて、あとはすっぽりかぶせてあったということについて目撃者の渡辺哲さんという方が言っているわけです。こういう状態で埠頭の作業員の荒川さんをはねてひき殺した、こういう点になりますと、めくら運転事故、これが企業の秘密保持のためとはいいながらも、貴重な人命がそこなわれるという点については黙視できないわけでございます。したがいまして、企業の秘密を保持するためにメーカーが指示したものか、この点についてどのように運輸省では聞かれておるか、また交通局長のほうではどのような話を聞いているか、この二点をお伺いしておきたいと思います。
  140. 堀山健

    ○堀山説明員 これはちょうど新しい型の車を出す段階でございましたので、企業側からすれば、できることならばあまり見られたくないことだろうと思います。しかし運転に支障があるということになりますと、これは問題でございまして、私どもとしてはこういうことがないようにという立場をとっております。
  141. 久保卓也

    久保政府委員 私どものほうといたしましては捜査中であろうと思いますが、だれがどういうふうにして命じたかということは私は存じておりません。
  142. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それで、まるきりめくらで運転されたという状態に対して、今後こういうことが再び起こるようではまことに困るわけで、企業の秘密の保持ということについてはわからないわけではありませんけれども、この点についてまたあらためて機会を見てお伺いしたいと思いますけれども、メーカーの指示でやったものかどうか、この点は確認しておりませんか。
  143. 堀山健

    ○堀山説明員 確認しておりません。
  144. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、これはまたあとで調べていただいた結果について私ども伺いたいと思います。しかしながら、何と申しましても貴重な人命がこのような無謀な運転によってそこなわれたということに対して、自賠責において査定の結果において幾らになるかわからぬというお話がございましたけれども、やはりこれは最高の三百万円が払われてしかるべきではなかろうかと私ども思うわけです。埠頭の労務者のほうには何の落ち度もないように私どもは聞いておりますけれども、この自動車運転について、運転をやった人が実際上には免許証の保持者ではなかった、こういう点もございます。この点についてもっともっと的確な調べをして、そしてなるべく早い機会に当委員会におきましても結果の報告を願いたいと思います。  それから次に、先ほど板川委員からもいろいろとお話がございましたフェリーボートの事故の点につきまして昨日も運輸委員会におきまして話がございました。その際に海上保安庁の河毛長官から詳細について報告をするというような答弁がございました。きょうここに出てまいりました五月八日付の海上保安庁の報告でございますが、この点はもう昨日の報告と全く変わりのない報告で、何らその報告が進展を見ていないわけであります。すでに五月の六日からきょうまで相当の時間をかけて——しかも初めてのケースの事故であります。さっき板川委員も強調されておりましたように、今後カーフェリーの問題が一そういろいろの面から取り上げられてきます。このときに、現地の三原の警察署に捜査をまかせてある、あるいは第五管区の海上保安本部、これらが協力してやっている、小松島の海上保安部が協力している、こういうようなお話は聞いておりますけれども、きのうも、河毛長官から詳細について至急取り調べて報告するというお話があったわけです。まだ現時点においてわからないわけですか。
  145. 林陽一

    ○林政府委員 昨日来、新しく捜査の結果について私どもとしてはまだ伺っておりません。
  146. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それではやむを得ませんけれども、なるべく早くこういう新しいケースの問題については、現地に東京から係官を派遣するなりしてやはり調べるべきではなかろうかと思います。  なお先ほどもまた板川委員からお話がございましたような、このカーフェリーの会社の専務なる者が、可動橋を開放したまま出港しても違反にならないが、やはり車の乗降船をよく確認した上で出港しなければならないのは当然だ、こういうことを言っているわけでありますが、この記事を見たところの遺族の方々がどういうふうに思うか、言論の自由ですから、何言ってもかまわないといえばそれまでですけれども、この問題、この発言については少し軽率ではなかろうかと私は思うわけであります。この専務がどういう意図のもとにこのような発言をしているかわかりませんけれども、こういうことが許されていたのでは、被害者になられた方々も浮かばれないと思うのです。どうかこういう点についても、ある意味において海運局なりあるいは海上保安庁のほうから注意をされてしかるべきではないかと思うわけです。遺族の身になって考えてみたときに、専務の考え方をこのまま許しておいていいものかどうか、こういう点についても私はどうも解せないわけであります。残された家族にとってみれば、こういう言い分はなかろうと思います。この点について海運局を代表して参事官からお答えをいただきたいと思います。
  147. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 ただいまお話がありましたようにに、五月六日から現在まであまりこの事故内容について詳細な報告を受けておりませんが、これは前にも申し上げましたように、関係者すべて三原警察署においていろいろ調査中であります。中央から人を派遣すべきであるというようなお話もありましたのですが、私どものほうでも派遣したわけでございます。いろいろな事情によりまして、まだ現状が把握できないという状況であるわけでございます。  なお、ただいま先生から御指摘がありましたゲートの問題でありますが、これはやはりゲートをはっきりと締めてから出港するのがほんとうじゃないか、こういうふうに考えるわけでありまして、遺族の身になって、今後そういう面につきましても、いろいろ他の法令等の解釈あるいは立法等も考えながら、あるいは通達等も考えながら、善処していきたいというように考えております。  なお遺族の補償につきましては、会社側とわれわれのほうでいろいろ情報を交換しておるわけでございます。誠意をもってこれに当たるという回答を会社側から得ておる次第でございます。
  148. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこでフェリーボートの船の側で、要するに桟橋のほうから船に乗り移る、その場合に桟橋側に踏切のようなものを、要すれに門のようなものがあって、それがある限りにおいて入れない、一台ずつ通す、こういうような装置があってもいいのではなかろうか、また私もカーフェリーの実情について詳しくございませんのでわかりませんけれども、やはり桟橋側に何らかのさくを設けるべきではなかろうか、そして一台ずつ安全を確認した上で、しかもフェリーボート側の立ち合いのもとに車を乗せていくということは当然の処置ではなかろうかと思うのですが、こういう点について海上保安庁ではどのように指導されていますか。
  149. 林陽一

    ○林政府委員 この問題につきましては運輸省のほうからお答えさしていただきます。
  150. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 遮断機がこの場合あったわけでございますが、たまたまそのときに深夜でございましたし、あるいはまた豪雨のときであったそうでございますし、また自動車がほとんどもういなかったということで、たまたまあいておったということのようでございます。
  151. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 特に私は、深夜であり、豪雨であるからこそやらなければいけないのじゃなかろうかと思うのです。ふだんの状態でない。明るい状態でないのですから。ましてや午前零時五十分というときですから、こういう状態のときに、しかも天候が雨であるという点から考えるならば、もっともっと積極的に事故防止に取り組まなければならなかったのではなかろうか。こういう点から考えてみたときに、フェリーボートの船長以下乗り組み員が、相当つらい仕事のためにグロッキーになっていた、いわゆるピストン輸送でもうくたくたになっていた、そのために注意力が散漫になっていたのだ、どういうふうなこともわれわれ考えるわけでありますけれども、この点についての調べは何もできていませんか。
  152. 石原明

    ○石原説明員 これらの船舶につきましては、労働時間が船員法七十三条に基づく小型船等に乗り組む海員の労働時間及び休日に関する省令で規定せられております。この法令の順守につきましては、船員労務官をして従来監査いたさせておりますが、最近におきましては船舶につきましては昨年の暮れからことしの一月、それから事業場につきましては二月に監査いたしておりますけれども、その段階におきましては、この法令に関する違反はございませんでした。今回のうずしお丸につきましては、これまでの調査によれば十名で、航海関係が船長以下六名、機関関係が機関長以下四名、計十名で動かしておりまして、これには三十六名の船員が割り当てられておりまして、従来は四十八時間、週休二十四時間という体制のもとに勤務割りができておりまして、平素から二十四時間運航するような勤務割りができております。連休期間中はそういう勤務割りの中で、そういう繁忙期でございますので労働密度はあるいは高くなったかと思いますけれども、労働時間に関する限りは従来の勤務割りの中でやっております。  なお現在まで調べましたところによりますと、事故の当時乗り組ましておりました船員は六日の零時まで休息いたしておりまして、六日の零時から就労に入って、その四、五十分あとに事故が起きたということでございます。なお船長及び一等航海士につきましては、四日から五日の朝にかけまして週休をとっておりまして、五日の朝八時から勤務につきまして六日零時までに八時間の労働と八時間の休息をとっているのでございます。そういうような点からいたしまして、労働時間なりあるいは休日の与え方につきましては、船員法に対する違反はないようでございます。さらにまたこの勤務のしかただけから見ますと、過労の状態になっているというふうにも私ども考えておりません。
  153. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまの御報告を聞きますと全く理解に苦しむわけです。就業してわずか五十分後、しかも八時間も休息の時間は十分とっている。こういう状態のもとにおいて行なわれていた。そうすると雨のためにここに立ち会いをしていなかったのと違うのですか。雨が降っておったということから岸壁から自動車が乗り移る場合にやはり立ち会い人がなければならないと当然私たちは考えるわけですけれども、そういう立ち会いをしておったかどうか、この点はどうですか。
  154. 石原明

    ○石原説明員 この点につきましては目下警察等におきまして捜査を行なっている段階でございますので、詳しいことはその結果を見なければわかりませんけれども、私たちが従来まで聞いている段階では、陸上の作業員が車の進入をとめる鎖等を扱っており、それから乗り移る場所には一等航海士がおり、さらに船長も勤務についているということでございまして、そういう勤務体制でございますので、立ち会い人が出ておったような状態ではなかったのではないかと思いますけれども、この点につきましてはなお詳しい捜査等もいたさなければならないと思います。
  155. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 ただいま石原労政課長からお答え申し上げましたが、詳細につきましては現在警察において取り調べ中でございますが、私どものほうといたしましては、神戸の海運局並びに事業者から聞いているわけでございます。これは事業者からの一方的な話かもしれませんが、その話によりますと、そのとき陸上には三名おったということでございました。六日の朝主力が鳴門のほうへ行っておったことは事実でございます。それでもこちらのほうに三名おったらということでございます。これもよくわかりませんが、乗せるときには切符をもらう係もおるわけでございます。会社などの言い分としては再三再四制止した、切符を持っていないのですから。そういうことを言っております。詳細まだはっきりいたしませんが、一方的な話かもしれませんが、申し上げておきます。
  156. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 これは新聞報道でありますからこのまま私どもは信ずるわけですが、田那部さんが乗船切符を買いに行って、かわりに木原さんという人が運転したというふうに新聞には報道されているわけです。そして田那部さんが切符を買って戻ってきたときには落ちていた。その間に三人も四人も周辺にいたのになぜ転落するのがわからなかったか、われわれ常識で考えられないような事故だと思う。いずれにしてもそういうときだからこそ、そういう状態であって事故が起きたのでしょうけれども、今後こういう事故を再び起こさないようにするために、このカーフェリーの問題についてはこれから新しい事業として発展する傾向にもありますし、また大型の八千トン級の長距離輸送するというふうに時代は変わってきておる。こういう点から考えましてもこの問題について真剣に取っ組んでいただきたいと思います。  最後に、政府を代表して副長官からこの問題に対して政府側が今後どのようにやっていくかについての御所見を伺っておきたい。
  157. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 フェリーボートの問題はわれわれも関心をもって見ておりますが、本質的には運輸省の専管事項でございまして、そのほうで十分検討された上でわれわれのほうも考えていきたい、こう考えております。
  158. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 終わります。
  159. 内海清

    内海委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時四十八分散会