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1969-03-20 第61回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月二十日(木曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 内海  清君   理事 稻村佐近四郎君 理事 大竹 太郎君    理事 斎藤 寿夫君 理事 田中 榮一君    理事 板川 正吾君 理事 山田 耻目君    理事 河村  勝君       加藤 六月君    鴨田 宗一君       小峯 柳多君    河野 洋平君       濱野 清吾君    太田 一夫君       久保 三郎君    古川 喜一君       北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 坪川 信三君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君  出席政府委員         総理府総務副長         官       鯨岡 兵輔君         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         建設政務次官  渡辺 栄一君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         厚生省医務局次         長       北川 力夫君         通商産業省重工         業局自動車課長 田中 芳秋君         運輸省自動車局         参事官     岡田 茂秀君         運輸省自動車局         業務部貨物課長 畔柳今朝登君         運輸省自動車局         整備部長    堀山  健君     ————————————— 三月二十日  委員小川新一郎君辞任につき、その補欠として  北側義一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の  一部を改正する等の法律案内閣提出第五四号)      ————◇—————
  2. 内海清

    内海委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の、交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する等の法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。太田一夫君。
  3. 太田一夫

    太田委員 総理府長官にお尋ねをいたします。     〔委員長退席田中(榮)委員長代理着席〕  先回、六十回の臨時会におきまして、当委員会交通遺児に対する附帯決議がありました。その際に私ども考え方としては、生徒児童、いわば小中学生にしてかつ生活資金をかせぐ親を失った場合の援護についての決議をいたしたはずであったが、そういうことについての御認識がなかった。あらためてひとつ御回答いただきたい。
  4. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 おそくなりましてまことに申しわけございません。  すでに先生承知のとおり、今度財団法人をつくりまして、理事長石井栄三さんをお願いし、会長には永野さんをお願いして始まっておるのでありますが、これについても先生方の特段の御心配をいただいております。と申しますのは、私どももよほどこれはうまくやらないと計画倒れになるのではないかという心配があるわけでございます。と申しますのは、予定された人間の数がおよそ三千人と見て、一年間に一人六万円ずつかかるわけです。そうするとこれが一億八千万円くらい。そのほかに事務費を約二千万円くらいと見ても、毎年笹年二億ずつかかるわけです。この二億ずつかかるということをどういうふうにしてこれから運営していったらいいのか。この間も先生方にお集まりを願っていろいろ御心配をいただいた点はそこにあるのでありますが、そんなことでございますから、一応高等学校生徒だけを対象にいたしたわけであります。  ただいまの御質問は、そこに至るまでの間、小中学校の問題についての配慮なんかしてないじゃないか、さすればそれは前の、先生方が御決議をいただいた線に必ずしも沿っているといえないじゃないかという御質問だと思うわけでありますが、その限りにおいてはそういうことがいえるかもしれませんけれども、申し上げましたように、高等学校だけのことについても、いまその運営について頭を痛めているような次第でございますので、小中学校につきましては、生活保護法その他これからいろいろ念を入れた考え方をしていかなければならないのじゃないか。そんなふうにただいまの段階では考えて、決してこれをなおざりにしているわけではございません。今後どうしたらいいのかということは、高等学校のほうの財団法人と別途に、鋭意ひとつ研究をしていこう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  5. 太田一夫

    太田委員 副長官、それはあなたのおっしゃる気持ちはわからぬわけじゃないですよ。金がないからやれないということでございますけれども、先回の国会決議というものは書いてあるじゃありませんか。   最近、自動車による交通事故死傷者は激増しており、交通事故により親等を失った児童・ 生徒救済措置、特に生活困窮家庭にあるこれらの者の援護及びその高等学校への進学に関する問題は、大きな社会問題となっている。しこうして、民間においては、自発的にこれらの者の救済目的とした財団法人を設立する機運が高まりつつある。   この際、政府は、すみやかに、交通事故により親等を失い、生活困窮家庭にある児童生徒援護及び高等学校等での修学資金を貸与する業務を行なう財団法人の設立及びその財団法人の健全な事業活動を促進するため、必要な助成措置等について配慮すべきである。   右決議する。 四十三年十二月二十日でしょう。これはあなたはそのときに副長官でなかったかどうか知りませんが、あれは知らないよということになるのですか。大臣や副長官がかわれば知らないといって済むのですか。
  6. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 先ほど申し上げましたように、それは決議ですから、決して、院の決議を知らないというような大それたことを考えるわけはありません。そうではなしに、申し上げましたように、一応高等学校のほうの生徒のみを対象として財団法人を設定をし、これで何とかやっていこうということでありますが、そのほうでも何とかといったって、なかなかそれが容易でないという時点にかんがみて、小学校中学校のほうは生活保護ということもあるのだし、いろいろこの御決議にあるような、交通事故によって何とかということでは必ずしもないかもしれませんけれども、そういうものも対象にできる既設の法律もありますから、そこで何かやっていけないだろうか。もしやれないとすればどういう点がやれないだろうか、鋭意われわれとしては研究しておるわけでありまして、御決議に対して知らないというようなことではない、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  7. 太田一夫

    太田委員 それじゃ、いま現在岡山東京等でございましたか、ちょっと調べたのが見つからないのですけれども、各府県等におきまして、交通遺児の中において働き手を失って非常に困っておるのがあるのだから、小学校中学校義務教育を終える間は月額二千円くらいの教育資金を出そうというような任意共済組合的な制度とか、あるいは条例等による特殊な措置とかが研究されておる。地方自治体はそこまで、目の前で見ておるから、せっぱ詰まってやっておるのに、国は院の決議がありながら、そういうものは知らないのだ。金がないから高校進学生徒に対する修学資金さえ出せないのだから、そんな小学校中学校は知らないのだということはいささか気の毒な——その状態においては小中学校のほうが気の毒じゃありませんか。そういうものに対して全然手がつけられておらぬということはあまりにも残念千万だ。それは手をつけておる。おるけれども、とりあえずは、前後緩急の区別があるでしょうから、まず高等学校をやるとおっしゃるなら、それも一つの方針でしょう。小中学校義務教育は受けなければならぬでしょう。高校任意でしょう、任意じゃありませんか。働きながら勉強するという手もあるじゃありませんか。小中学校任意じゃありませんね。働く親を失って、うちによっては、学校に行く教育費も払えない。生活扶助を受ける以外に——生活扶助を受けておる人は別として、これは扶助でありますが、何とか学校費用だけ出そうといって二千円ずつ出しておるところが各地に出てきておるというのに、わが国家においてはそれを知らないということは、いささか冷たい話だと思いますが、これはいかがなものでございますか。
  8. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 しばしば申し上げますように、冷たいという御批判をいただきますと困るのですが、決して知らないというのではございません。なるほどおっしゃられるとおり、緩急の順序を考えれば、小中学校のほうが義務教育で、先ではないかというお考えもあろうかと思いますけれども、おとうさんがいないから中学校だけでやめてしまおうというようなお気の毒な家庭を救う意味でも、また考えようがあろうかと思うわけでありまして、これは御趣旨はよく承りましたけれども、返す返すも御認識を賜わりたいのは、小中学校については知らないというような冷たい態度でないということだけは、御認識いただきたいと思うわけであります。  それから、地方公共団体で、そういうことについて配慮をしておる地方団体のあることも、われわれは承知をいたしておるわけであります。そこで、当面、申し上げましたような次第で、高校生のほうを対象にいたしたのですが、小中学校のほうにつきましても、十分にわれわれのほうでは検討をいたしておるわけでございます。その検討の経過、どんなような検討をしていたかという問題につきましては、事務当局のほうから申し上げます。
  9. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 ただいま副長官がるる御説明申し上げましたように、政府といたしましても、現在義務教育学校に在校中の児童生徒であって交通事故により親等を失った者に対する援護について、全然考えなかったというわけではございません。ただ一応たてまえを申し上げますと、義務教育学校に在校しております児童生徒につきましては、生活保護法適用を受ける以外の者であっても、生活保護法適用を受ける程度に近い程度に困窮しております家庭につきましては、義務教育学校におきます就学奨励に関する法律がございまして、一応必要最小限程度の学用品その他の費用を給付するたてまえができております。したがいまして、いままでのたてまえといたしましては、それで一応最小限度保護をしておるわけでございまして、それ以外の問題になりますと、一般母子家庭福祉の問題になろうかと考えるわけでございます。  そこで政府といたしましては、まずとりあえず現行のたてまえのもとで、母子家庭福祉の強化という方向検討すべきじゃないかということで、昨年の暮れ以来いろいろ検討をしていたわけでございます。その点につきましては、現在まだ御趣旨に沿うような結論は出ておりませんが、まずその第一段階といたしましては、今後そういう方向でさらに検討を続けてまいりたい、かように考えております。
  10. 太田一夫

    太田委員 副長官、とにかく働き手を失った家庭は、生活に追われて義務教育費の支払に困っておるという事態が多いのですし生活扶助を受けておるとか、母子家庭だとか、そういう特殊な更生資金をもらっておるとかということのほかに、小学校中学校児童生徒に対する何らかの気の毒な状態を救わなければならぬということは全国的な問題になっておる。岡山県が二千円、東京都が月に二千円、これは父兄が一年間父兄負担として出すべき教育費に大体見合う金だそうでございますが、父兄をみんな会員として、年五十円くらいの掛け金で、何か制度をつくろうというところも——これは岡山県ですか、やっているそうですね。なおそれでも、入学前の遺児はどうするかという問題が起きておるそうです。それぐらい現実には困っているのですから、それを中央政府のほうでは、高校へ行くのに金がないから困った困ったという一面だけにとらわれて、そういういたいけな子供たちの気の毒な立場というものに対して、遺児としての存在を認めないということは、私は残念だと思う。だから考えていらっしゃるならいらっしゃるでけっこうでありますから、すみやかにこれも組み入れて、国としての援護の系統立ったあたたかい対策を確立してもらいたい、これは要望しておきます。これは、いつまでもやっておると時間がなくなるから、要望しておきます。副長官、いいですね。
  11. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 はい。
  12. 太田一夫

    太田委員 それでは、次にもう一つついでに副長官にお尋ねしますが、あなたのほうは——長官がきょうおいでにならないのですが、長官はどうも今度の法律はおれのほうに関係ないよというような気持ちを持っていらっしゃるような気がしてしようがない。今度出に法律関係ないですね。これは関係ないでしょう。交通安全施設等整備事業に関する——建設省が先につくったからおもしろくない、何か捨て子になったような気がしてしようがないけれども、しかし通学路法ダンプ規制法踏切道整備法律というのは当委員会でつくったのですよ。だったら、この交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する法律案というのは、さらに三年延長するというなら、通学路法を三年延長したらどうだったのですか。どうして溶け込ませちゃって、あとは地方単独事業でやれなんと、これまた冷たいことをおっしゃるのですか。ここら辺はどうですか。
  13. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 先ほどの小中学校の問題については、御趣旨は全く同感でありまして、しばしば申し上げたように、決してわれわれは冷たく考えているわけではないことを御了承いただきたいと思いますと同時に、さらになお検討を続けまして、こういう気の毒な方々に何かお役に立つことに鋭意努力したいと思います。  それから、今度の法律は何か捨て子みたいなことで、長官が冷たいということでございましたが、これまた冷たくないわけでございます。私どものほうとしても十分研究をいたしておりますが、今回の交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法改正にあたっては、通学路にかかる交通安全施設等整備を促進するという通学路法趣旨を十分取り入れてあるわけであります。どういうわけで取り入れていると言えるかといえば、第一に交通安全施設等整備事業に関する計画作成にあたっては、地方計画を積み上げ、そのうちから国の計画作成することとしているのであります。この計画作成方式は、国と地方公共団体とが一体となって、総合的な計画のもとに交通安全施設等整備事業を実施するよう、通学路法における計画作成方式をすべて交通安全施設等整備事業に拡大適用したものであります。第二番目には、交通安全施設等整備事業に関する計画作成するための基準について、通学路法におけると同様に、通学路にかかる基準一般道路にかかる基準より低く定めることによって、通学路にかかる交通安全施設等整備事業が広く計画対象になり得るように予定し、計画立てているわけであります。第三番目には、通学路に該当する市町村道について実施する交通安全施設等整備事業に要する費用についての市町村に対する補助の率についても、通学路法におけると同様に三分の二の特例を定めておるわけであります。  御質問の御趣旨が、改正後の交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法において、通学路法における通学路にかかる交通安全施設等整備事業についてだけの計画作成することとしていないので、その事業の量が減少することとなるのではないかという御心配先生にあるようでございますが、この点につきましては、さきに述べた三つの理由によりまして、通学路法趣旨を十分に取り込んでおるわけでございまして、通学路にかかる交通安全施設等は、従来どおり十分に整備できるものと考えておるわけでございます。
  14. 太田一夫

    太田委員 それではそれを信じましょう。具体的な例でちょっと尋ねますが、防護さくというものを地方単独事業でやります場合においても、通学路として三分の二の補助があるものと見てよろしゅうございますか。
  15. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 防護さくにつきまして、これはいろいろ使われ方はございますが、歩道を設置する場合に、いまの車道の一部を歩道にするために、防護さく車道歩道を区切るという場合には、補助事業ということで、通学路については三分の二の補助ができるようにしております。またこの前とちょっと違いましたのは、いわゆる道路のすでにできております歩道に、ガードレールをつけるとか、そういうものは、このたびは二種事業として、地方単独でできるようになっております。
  16. 太田一夫

    太田委員 それは総理府長官御存じですか。
  17. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 おおむね承知いたしております。
  18. 太田一夫

    太田委員 どうしてそれを補助なしで、地方単独事業でやりなさいということを、あなたどういう根拠で同意されたのですか。
  19. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 事業費の大きなものについては補助をしよう、それから、わずかなものについては単独でひとつやってもらうというような考えのもとに、いま申し上げたようなことになったのであります。
  20. 太田一夫

    太田委員 地方単独事業で、わずか、わずかとおっしゃるが、国が今度新三カ年計画でおやりになるのは、大ざっぱにいって七百四十九億円がこちらのみなさんの計画、五百二十三億円が地方単独計画、その中で通学関係は、補助事業二百七十四億、地方単独七十五億円ということになっておる。三割近いのが地方単独事業ですか、通学路だけでも。それで、そんなのはわずかということですか。
  21. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは二種事業といいますと、防護さく、標識その他いろいろあるのでございますが、こういうものはかなりこれから、地方単独でやれることになるとは思いますが、一つ一つ事業をとってみますと、一種事業みたいな金額になっておらないということで、こういうものについては単独でやっていただきたい。やはり一カ所当たりの事業の大きい歩道の設置とか横断歩道橋とか、こういうようなものに補助を重点的に持っていきたいというような考えでございます。
  22. 太田一夫

    太田委員 この間もその話を聞きまして、押し問答しておってもしようがないですから、あなたのほうに誠意がないという意味にとらないで、常に日ごろ、誠意を持って国土建設にあるいは安全施設に挺身をしてくださった建設省、わが政府考え方というものを信じましょう。疑いなく信じますが、よろしいですね。目的だけは忘れないでいただきたいと思うのです。金がないからやむを得ず、大の虫を生かすために小の虫を殺すのだという考え方では、私はやはり間違いが起こると思うのです。  そこで次の問題に入ります。むち打ちなどの問題も、当委員会においても前々から問題があったが、どうもむち打ち症対策は完成の域に達しない。そこで、たとえば事故が起きますね。幾ら施設をつくったって、自動車が多いんだからすぐ追突、衝突事故が起きる。起きると、まずむち打ち症的なものを含む幾多の死傷事故が起きる。その際は自賠保険治療費をなかなか払われないわけなんです。みな立てかえなければならぬわけです。そこで立てかえることのできない人たちが困って、実は早々に退院したり、入院することをためらったりするために、むち打ち症が悪化する。すみやかに自賠保険治療費を払うべきだと思いますが、いまのように、手続がどうだの、書類がどうだの、そんなことをいわないで、さっと払う方法はありませんか。
  23. 岡田茂秀

    岡田説明員 お答えいたします。先生のおっしゃるように、必ずしも自賠保険支払い早期になされていないという点は、見方によっては、あるのではないかと思いますが、われわれとしても、鋭意その支払い迅速化に努力しておることでございまして、今後も一そうの努力を重ねるなり、関係のところの御協力を得て促進いたしたい、かように思っておりますが、御参考までに申し上げますと、先生も御承知のように、本請求では支払いが確定する、あるいは金銭上の問題でございますので、それを厳重に事務的にチェックするということを必要といたしますが、仮渡し制度というのがございまして、これを御利用いただければ、比較的短期間にお支払いができるようになっておるのでございます。ただわれわれが承知する限りでは、必ずしもこれが十分に現在御利用いただいていないような現状でございますので、なお一そうこれの御利用方を、われわれとしても力の許す範囲でPRしてまいりたい、かように思います。また場合によっては、健康保険とかその他の社会保険を御利用いただければ、結果的にはその立てかえ払いということがなくて済むのではないかと思いますので、御参考までにつけ加えておきます。
  24. 太田一夫

    太田委員 いまのお話からいきますと、そういうふうに入院したような場合におきましては、すみやかに仮渡し金制度を利用し、それから、その方が被保険者であるならば健康保険を利用してやっていただきたい、このことは確かに私もその道があると思うのですね。それが不徹底でありますし、健康保険も、使うことを好まない医療機関もあるやに聞いておりますから、近く厚生省と連絡して、そういう場合には第三者行為による傷害事故でございましょうが、健保等をすなおに使えるという道を広く知らしめるべきだと思うのですね、そういうことは努力していただけますね。
  25. 岡田茂秀

    岡田説明員 その点につきましても、私たち微力ではございますが、従来も努力してまいっております。昨年厚生省から、利用できる範囲では御利用いただくよう、通達を流すことにお願いをいたしております。さらに最近も、厚生省にその旨をお願いに上がっておる次第でございます。今後一そう努力して、厚生省の御協力を得たい、かように思う次第でございます。
  26. 太田一夫

    太田委員 厚生省いかがですか。     〔田中(榮)委員長代理退席委員長着席
  27. 北川力夫

    北川説明員 交通事故に対する健康保険適用の問題につきましては、かねがね医療機関におきまして、十分に理解をされていないような面があるようでございますけれども、これは従来からも繰り返し、健康保険等社会保険適用になるということをいっておりますし、最近も、ただいま運輸省のほうからお話がございましたように、この問題を所管いたします保険関係の局から関係者に対しまして、保険適用になるということについて、さらに徹底するように周知させるつもりでございます。
  28. 太田一夫

    太田委員 けっこうです、安心いたしました。ひとつ大いに頼みます。  そこで、運輸省岡田参事官にもう一回お尋ねしますが、自賠保険限度額保険金額引き上げ問題がどうも二の足を踏んでおるようでありますが、六百万円引き上げは、期待してよろしいのですか、早期に実現するものであるかどうか、いかがですか。
  29. 岡田茂秀

    岡田説明員 自賠保険限度額引き上げにつきましては、先年の通常国会においても、いろいろの委員会で取り上げられ、また決議等もなされておるところがございまして、われわれも鋭意その引き上げについて検討をいたしておるわけでございますが、最近の保険収支現状が非常に悪化してまいっておりまして、いわばそれの改定、限度額引き上げというふうなものを総合的に勘案しなければならないという状態になっておりますので、いまの段階で六百万というふうなことを申し上げるのは、ちょっと申し上げかねるということでございます。
  30. 太田一夫

    太田委員 すぐに六百万円にいかなかったならば、幾らぐらいまで腹づもりとして考え、それはいつごろ実現するものと、大ざっぱに一年間を春、夏、秋、冬と分けて、夏なら夏、秋なら秋、冬なら冬とおよそ——六百万円にいかなかったらそれは幾らであるという点について、何かある程度お話ができる点がありましたら、この際見通しをお答えいただけませんか。
  31. 岡田茂秀

    岡田説明員 まず限度額引き上げの限界でございますが、一応事務的な目安といたしましては、五百万を一応の目安に、いま試算いたしておる次第でございます。またこれがいつごろ実施の時期に至るかという点につきましては、いろいろ膨大な資料の上で積み重なって、それの審査の上で検討いたさなければならないので、鋭意その事務的資料の取りまとめ、審査にかかっておりますが、なるべく早くまとめて、実現をする方向で努力したいということを申し上げさせていただくことに、御了承願いたいと思います。
  32. 太田一夫

    太田委員 それでは、なるべく早くということですから、まさか来年の話じゃないでしょうから、ことしじゅうと期待しますから、早くやってください。  それからもう一つ厚生省に、ついでにお尋ねしておきたいと思いますが、休日の医療対策は、宿直制というのですか、非常に不十分であるように思います。したがって、休日の医療対策、これを強化する必要があると思いますが、何か御計画はありますか。
  33. 北川力夫

    北川説明員 ただいまお尋ねの休日の医療対策につきましては、やはり救急医療ということが重要であると考えておりますけれども、救急医療の体制の整備につきましては、先生も御承知のように、第一線の機関といたしましては、約四千の救急の告示施設である病院を現在持っているわけでございます。またその上には——上と申しますか、ブロックには、大体百十一カ所を目標に、相当高度の救急医療センターの設置ということを現在計画いたしておりまして、大体六十三ぐらいが現在整備中でございます。従来から私どもはそういった休日の医療につきまして、問題はやはり先ほど先生お話もございましたけれども交通事故に対しまして、最初の医療、ファーストエイドというものが一番重要でございますから、そういう問題について十分にひとつ遺憾のないようにするというような意味合いから、各地域の医師会等におきましても当番制を採用いたしまして、患者の便宜をはかっているところでございます。ただ、いま御指摘のとおり当番制と申しましても、なかなかこれが十分に行なわれてないというふうな点もございますので、今後はさらにこういった初期の適正な医療を確保いたしますために、関係の行政機関とも連絡の上、搬送部門とそれから医療機関との連絡体制を十分に強化するように、努力をいたしてまいりたいと考えております。特に四十四年度におきましては、そういう意味合いで、第一線の連絡体制というものを強化するということがきわめて重要でございますので、わずかな予算でございますけれども、保健所関係を利用いたしまして、そういう方面の連絡調整が密にまいりますように、また初期の医療体制をいかにして整備すべきかというふうな点、そういう点も含めまして、一斉に調査をする予定でございます。いわば救急医療の第一線における総点検を近く実施をするつもりでございます。
  34. 太田一夫

    太田委員 北川さん、お医者様というのは希少価値のある存在ですから、少々の無理は申されると思いますが、できるだけ言うことを聞いてあげて、国民が生命や身体の障害に悩んで、そしてなおるべきものが不治の病となったり死亡したりすることのないよう、ひとつ配慮していただきたいと思います。  そこで、警察庁にお尋ねしますが、休日というのは事故が多いですね。休日に事故が多いというのは——休日ドライバーというのはみんな避けて通るのですね。休日ドライバーだということになると、みんなベテランの運転手というものは遠ざけるのですよ、あれは日曜だけの運転手だろうということになると。それくらい休日ドライバーは敬遠されておるのでございますが、運転未熟な者は一般道路から排除せよという行管の勧告があったくらいですから、あなたのほうではどうですか、免許証の乱発の傾向が私はあるような気がしてしようがない。一ぺんほんとうにじょうずな者を——じょうずなというとおかしいが、巧みな運転ができる、安全な運転ができる者以外には免許証は交付しないというように、免許証の制度というものを、私はもう少し改善する必要があると思うのですが、何かお考えがありますか。
  35. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 いま休日に事故が多いということでございましたが、確かに多いことは多いのでございますが、一般的に申し上げますと、曜日別に見ますと、土曜日が一番多いのです。日曜日は事故件数といたしましては一番少ない。ただし一番少ない日曜日でございますけれども、大都市の周辺の観光につながるような県につきましては、日曜にたいへん多いという統計の結果が出ております。これは御参考まででございますが……。  そこで、運転未熟ということに関連しての事故が多いのではないかという御指摘でございますけれども、確かに運転未熟という形での事故は多いと思います。そこで当然免許制度の問題もあるわけでございまして、免許制度につきましては、いろいろ免許資格の強化の問題等を従来からやってまいっておることは御承知のとおりでございまして、従来の軽免許を普通免許に引き上げ、大型免許の制度を強化いたしまして、順次やってまいっておるわけでございますが、そこでしからば、運転未熟の問題につきまして最も問題になりますのは技能試験でございますが、現在運転免許試験場でやっております技能試験につきましては、実は試験として技能をテストする際に、これ以上のことは要求できない程度にまで非常にむずかしい技能を試験しているつもりでございます。それからもう一つ、御承知のように指定自動車教習所制度ができまして、免許取得者の約七割は指定自動車教習所の卒業生ということに、最近、四十三年におきましてはそういう統計が出ております。したがって、指定自動車教習所制度というものが非常に大きな役割りをなすわけでございまして、御承知のように、指定自動車教習所を卒業いたしますれば技能試験が免除されるということでございますので、指定自動車教習所の中で、技能試験を免除し得るような教育をやってもらわなければいかぬということで、従来から指導監督を強化しておるわけでございますが、最近、指定自動車教習所で、いろいろ技能についてあるいは安全運転の心得等につきましても教えるような仕組みをつくりまして、「安全運転の知識」という本を、まあ教科書類似のものをつくりまして、指定自動車教習所では必ずそれを教えてもらう、それから技能につきましては、従来必ずしも、千数百あります指定自動車教習所の中でいろいろまちまちな方法で、あるいはまちまちの項目について教えていることがありましたので、今回、近くこれはカリキュラムをつくりまして、このカリキュラムによって、全国統一的に教えてもらうということを現在考えております。したがって、非常に斉一を害しているようなことが今後はなくなると思います。しかもそのカリキュラムによってやれば、一応免許を与えるにふさわしいということで外に出したいと思います。それで外に出しても、やはり運転未熟という問題は、いろいろな解釈がございますけれども、やはり経験を積まないという意味において、運転未熟という問題は残ると思います。そういうことでございますので、運転未熟の間は無理な運転をしない、安全運転をするという指導をやることが必要だと思います。大体、運転免許を取得してから一年以内の間は、統計を見ますると、違反なり事故をあまりやらない、慎重にやる。一年ぐらいたつと、大体なれてきますると、ちょっと違反なり事故を起こすというような傾向が出ております。そういったようなことを含めまして、御趣旨の線に沿っての、いろいろな技能試験の問題あるいは安全教育の問題等につきまして、さらにきめのこまかい対策を講じてまいりたいと思っております。
  36. 太田一夫

    太田委員 警察庁は、少なくとも自動車教習所の条件というものは、あなたのほうで法定されておるわけでありますし、免許の要件というのはあなたのほうで法定されておる。ところが実際上見ると、土曜日に多いということは、土曜日は一般のトラック、営業車等がたくさん走っておるところへ、土、日の二日連休というようなことから出てくる未熟な運転手がはさまれて事故を起こすのでしょう。大体バックミラーも見れないような運転手をなぜ路上に走らせるのですか。うしろを振り向かなければうしろが見えないなんて、前ばかり見ておって、左だろうが右だろうがじゃんじゃん曲がっていくような運転は困ったものだと私は思います。日曜日が事故が少ないのは、日曜日にトラックが少ないからでしょう。へたな者同士だから、やってもたいしたことにならぬか知りませんけれども、とんでもない事故が多いですよ。ですから私は、あなたの方針が違うのじゃないかと思う。試験は、実地試験免除じゃなくて、学科試験免除にして、実地試験をやったらどうですか、免許証を与える前に。反対じゃありませんか。
  37. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 御指摘のように、学科試験を免除して技能試験をやったらいいじゃないかという考えが確かにあると思いますが、指定自動車教習所での教え方の問題だと思いますので、しっかり技能を教えて外に出していくということで、今後やってまいりたいと、現在の段階では思っております。御指摘のように、バックミラーも見れないような技能未熟な者については、今後は免許を与えないということでやりたいと思います。
  38. 太田一夫

    太田委員 そのバックミラーも見れないようなドライバーに免許を与えないというのは、どこで確認されますか。
  39. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 技能試験の際に、バックミラーの見方というものをちゃんとテストすることになっております。したがって、テストの段階では、バックミラーが見れるということで出しているわけですから、テストで、バックミラーの見方がわからないというようなケースにつきましては、それは不合格でございます。
  40. 太田一夫

    太田委員 だから、それを確認するのはいまは学校当局でしょう。あなたのほうが試験するのじゃないでしょう、一任してあるんだから。教習所に対して、あるいは自動車学校に対して、それは一任されている。だから実地試験免除でしょう。免除ということは、その教官が確認するのでしょう。教官は即学校の従業員ですね。それが確実であるかどうかというのは、あなたのほうが認定しなくて、一切一任、白紙委任だ。場合によっては抜き検査をしているそうだけれども、白紙委任には間違いない。そういうことになれば、いま一番いけないのは運転技術の問題であるというなら、運転技術に重点を置いて、運転技術の試験をやって、学科の試験なんか学校にまかしておけばいいじゃないですか。学科なんか簡単でしょう。左に曲がるときはどうしたらいいとか、赤信号が出たらどうしたらいいとか、これは書いてあるとおりに基準によって採点ができますよ。実地試験の一番めんどくさいものを学校当局にまかしておいて、あなたのほうは、責任は学校当局にあると、知らぬ顔して、バックミラーも見れない者が出てきて、全然うしろも見ないで、おかまいなしに右に行ったり左に行ったり、曲がって走ったりして、日曜ドライバーのうしろにつくと思いがけないところでくるっと曲がってしまう、たいへんな軽わざをやっているわけです。だから唯我独尊の運転なんかしないように、もう少しあなたのほうは技能試験をやったらどうですか。なぜ技能試験をやれないのですか。どうして直接に試験をやれないのですか。
  41. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 いま確かに、技能試験を役所みずからがやるという考え方もございますけれども、指定自動車教習所の制度をつくりまして、その中でみっちり技能を教えていくということが主眼で、あの制度ができたわけでございまして、御指摘のように、みっちり教えておらないという結果が出ているとすれば、それは改めるということで、われわれも従来から非常にこの指定自動車教習所の指導監督については腐心をいたしておるところでございまして、そのことについてはいろいろな角度から指導監督してまいりまして、最近においては昔言われたほどのことはありませんし、また、先ほど申し上げましたように、技能を教える際にカリキュラム制度をつくりまして、段階別に、一段階を過ぎたらそれを確認をして次の段階に進んで、最後には検定をする、検定の場合には立ち会い検定もやることがあるということで、極力御指摘のようなことのないようにやってまいりたいと思います。
  42. 太田一夫

    太田委員 教え方というような問題でなくして、たてまえの問題を私は言っているのですが、なぜ学科試験をあなたのほうが直接やるんですか。それこそ教習所に委任したらいいじゃないですか。学科試験をものものしくおやりになる必要はない。なぜ学科試験だけ直接おやりになりますか。教習所の成績が学科試験に合格をしたと教習所当局が判定した者ならば、それをそのまま認めて、卒業証書があれば免許証を与えていいじゃありませんか。
  43. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 御承知のように、いま年間に数百万人の者が免許を取得しようとしておるわけでございまして、その結果三百万人くらいの者が合格しておるということになっておるわけでございます。学科試験について免除の方法は確かにあるんですけれども、学科試験というものはやはりいろいろ問題がございまして、学科試験こそ問題を起こしやすい。これを民間教習所を卒業した者は学科試験免除ということになりますと、いろいろ問題が起こりやすいということが一つ考えられますので、学科試験の免除制度はとらないようになっております。技能試験につきましては、指定自動車教習所でみっちり教えてもらえば、そのおそれは比較的少ない、学科試験と比べると比較的少ないという考え方でいっておるわけでございます。いっそ指定自動車教習所なんというものはやめてしまって、全部国でやったらどうかということもありますけれども、これだけモータリゼーションが進展いたしまして、全部国で厳格な技能試験をやるということになりますと、たいへんな人員と予算を要するわけでございまして、いま直ちにというわけにはまいりません。そこで指定自動車教習所という制度をとって、何をそこに期待し、その結果免除するとすれば何を免除したらいいかということをとくと考えた上での現在の制度でありまして、現在の制度で、そういう技能試験の免除ということに関連して欠陥があるということでありますれば、それを改めていくということで進んでまいりたいと思っております。
  44. 太田一夫

    太田委員 私は警察庁もこのごろ商売人になったような気がしてしようがないのです。学科試験をやるというのは、試験を受けるための受験料を目当てにしていると世間から悪口言われているのを、あなたは御存じですか。学科試験くらいは教習所にまかしてけっこうですよ。問題は運転技術だ。そんな学科試験なんか問題ありやしませんよ。技術をやるのはめんどうくさいからやめておいて、簡単に十ぱ一からげでできる学科試験だけやる。一人当たり何千円とかの受験料をとる。その受験料がなくなるのがたいへんだなんというのは、どうもモータリゼーションの時代でなくて、黄金の時代じゃありませんか、あなたのほうの意見は。だめですよ、そういうことは。私はそれは納得できない。自動車学校を指定するなら、自動車学校に学科試験を免除する特典を与えなさい。そのかわり、その運転の実技教習も、並びに学科の教習も、整備教習も、ともにいま以上に時間をかけて、いま以上に念を入れるという制度に改めるべきだ。それがもし、その学校生徒がいろいろなことで事故を起こしたときには、あらためてそこへだれか監察官が乗り込んで抜き検査をすればよろしい、私はそう思う。時間がないからこれは私の意見でとどまりますが、あなたのほうに、いま学科試験やめなさいなんと言ったって、予算が計上されておるからそうはいかぬでしょう。  そこで、最後にちょっとお尋ねしますが、大都市乗り入れ制限の問題について、この間——国家公安委員長、きょうはおいでになりませんからしようがありません。当委員会は軽視されておるのですから、別にどうとも思いませんが、大都市乗り入れ制限というものは、これはもう必須の姿だと私は思う。そこで、大都市乗り入れ制限もさることながら、路上駐車の寛大な扱いというのは、これはまた警察庁がぐるになって、できるだけ都市交通を混雑させようとしていらっしゃる。それから排気ガス規制の問題については、これまた通産省並びに厚生省ともにお手あげの状態であって、たとえばガソリンの中に、これは私名前を忘れてしまったんだが、何やらという薬を若干混合することによって、若干の費用はかかるかもしれませんけれども、燃焼がよくなり、COの発生はほとんどゼロになるというようなことがいわれておるのでありますけれども、どうもそういうことはガソリン屋に遠慮をされてあまり指導されないとか、世間でいろいろなことをいっておるわけです。  そこで私は、乗り入れ規制というのはほんとうにやる気かやる気でないのか、どうするのか、大都市のこの混雑を……。このことについて、運輸省と警察庁、この両方からひとつ決意を承っておきたいと思う。
  45. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 御質問の点は、後ほど運輸省、警察庁からお答えがあると思いますが、その前に一言御説明申し上げます。  大都市交通が最近非常に渋滞が激しくなっておりまして、これを放置しておくと遠からず麻痺状態になるんじゃないか、こういう心配すらあるわけであります。そこで政府といたしましては、この大都市交通の円滑化、能率化をはかるために、何らかの具体的な方策を打ち立てなければならないというところから、昨年の秋以降、総理府の交通対策本部、これは先生十分御承知のように、関係省庁の次官等の集まりでございますが、ここでこの問題を取り上げまして、現在、長期的に検討すべき事項と、それから早急に実施可能なものにこれを振り分けまして、長期的に検討すべき事項につきましては、現在検討中でございます。それから、早急に実施可能な事項につきましては、各関係省庁の意見のまとまりましたものから逐次実施する、こういうたてまえをとっておりまして、まずその手始めといたしまして、現行制度、法令を変えない範囲でできますものにつきましては、昨年の暮れに、交通対策本部決定で若干の事項をきめております。その中には、ただいま先生の御指摘の一部でございますが、さしあたり現行の法令の範囲内で、たとえば交通規制の強化をはかること等によりまして、都心におきます交通の渋滞の緩和をはかろうというようなことを、現在関係省庁で実施中でございます。  なお根本的に、たとえばかつて運輸省の試案でございます、都心乗り入れにつきましては賦課金を課するとか、あるいはさらに徹底的な交通の禁止、制限を行なうというようなことにつきましては、現在いわば中期的な検討事項、つまり長期的でございませんで、中期的な検討事項といたしまして、検討いたしておる段階でございます。
  46. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 警察庁といたしましては、いま調査室長からもお話がありましたように、まず道交法に基づく交通規制を強化していくということと、もう一つは信号機——要するに渋滞感を覚えるというのは、信号のところの待ち時間の問題でございますので、信号機を系統化する等の高度化を進めまして、当面渋滞緩和対策を進めてまいりたい。  前段の交通規制の強化でございますが、この中身といたしましては、一方通行を強化する、それから右折禁止を強化する、それから駐車禁止を強化するということでございまして、それを現在東京におきましては順次計画的に進めてまいっておりますし、大阪でも近く大幅な規制をやる予定でございます。  さらに、道交法の立場で、現在七・五トン以上の車につきまして乗り入れの一部規制をやっておりますけれども、これをさらに進めていくということにつきましては、現在の道交法では疑念がございます。用途別に規制していくということになりますと、道交法でいう円滑と安全を期するという立場からの規制ということとは若干異なるということでございまして、先ほど、中期的な対策としてという宮崎室長からお話もございましたが、そういう規制ができるようなものの特別立法というようなものも考えなければいかぬのじゃないかということで、検討をいたしておる段階でございます。
  47. 太田一夫

    太田委員 それは自動車は便利ですよね。自動車は便利だから、便利な自動車というものは否定してはいかぬですよ。これは否定することはできないけれども、市民生活そのものから見たら、自動車はもう凶器であり、これほど人間の生存を脅かすものはないわけなんです。だから、必要なものに対して、われわれはその地位を認めると同時に、人間生活に対する脅威は、最大限度の努力をもって取り除かなければならない。あなたは右折の禁止をどうするの、一方通行を強化するの、あるいは駐車禁止を徹底化するといっても、やっていないじゃありませんか。いまでも、朝六時ごろに団地を出て、自分の車を持ってきて、いつもきまっておるところに車を置いて、それから朝めしを食べて、帰りにどこやらに寄って、一ぱい飲んでおるということになっておるでしょう。なぜ禁止しないのですか。車庫もなければ駐車場も持たないような車が、じゃんじゃん都内の道路の上々走り、駐車しておるじゃありませんか。一向にあなたのほうの強化するという実績が見られない。私は、やるならやる気になってやっていただきたい。同時に、いま大都市交通の場合に、そのような系統的な信号なんてそんなちゃちなやり方でできるものですか。通勤輸送なんていうものは、大量輸送機関としての大型バスであるとか鉄道とかというものに席を譲るべきだ。世界の大勢じゃありませんか。その世界の大勢に背を向けて、自動車の流れをよくする、信号機を改良するの、あまり人が渡らないような歩道橋をつくるの、つくっても人が渡らぬから、私は安全運転をいたしておりますなんて横幕をかけて、いい気になっているというようなことで、この近代の都市の悩みが解消できますか。宮崎さんでも総理府長官でもよろしい。いわゆる国鉄、運輸省ないしは建設省それから警察庁等、関係する大事な各省の対策を系統的に総合化し一元化していく。大都市通勤というものに対して、交通安全の立場から、系統立った——都市乗り入れ禁止なんて小さなことを言うとおかしくなりますけれども、もっと安全かつ迅速そして都市生活が快適になるような制度をおつくりになるべきだ。何も新幹線をたくさん引けなんて言っておるわけじゃない。地下鉄なんかをやれなんて言っておるわけじゃない。一キロ当たり六十億もするような鉄道をじゃんじゃんつくらぬでもよろしい。もっとあるじゃありませんか。系統的にもっと全部を総合して施策をお立てになる。それをやる気がありますか。
  48. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 大都市交通問題につきましては、全く先生の御指摘のとおりであると思います。したがいまして、私たちも現在大体そういう方向におきまして努力しているわけでございまして、多少話を大きくして恐縮でございますが、いま総理府で一番力を入れておりますのは、大都市交通の長期的な需要予測と、それに対する交通体系をどう位置づけるかということの研究に着手しております。これはなかなか大作業でございまして、相当の日数がかかりますが、何とかこれをまずやりまして、先生御指摘のような大都市交通におきます基本的なものの考え方をまずつくって、それから個々の対策を並行的に進めてまいりたい、かように考えております。なお、この点につきましては、関係各省庁すべて動員しておりまして、関係各省庁のいわば専門家からなる特別の専門部会を定期的に現在開催中であります。
  49. 太田一夫

    太田委員 ひとつ大いにそれは積極的にやってください。それこそ総理府が、陸上をとって、交通安全何とかというりっぱな名前に飛躍した価値があることだと私は思うのです。ひとつがんばってください。総理府長官、あなたもなかなか感受性といいますか、直感力の鋭い人のようにお見受けいたしますから、ひとつこの際、あなたのいらっしゃるときに一つの足跡を残していただくことを望みます。鈴木局長、あなたは有言不実行でありますから、今後有言実行に変わられるか、それとも性格だから直らないのか、この際感想を承っておきたい。
  50. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 まことに手痛い御指摘を受けましたが、先生いつも言われることは駐車の問題だと思います。駐車を取り締まるということにつきましては、私どももいろいろ腐心しておるわけでございまして、これは技術的にたいへんいろいろの問題点をかかえておるということと、それからもう一つは、警察官が多数要るということがあるわけでございまして、警察官をなるべく合理的に使ってそれをやろうということで、つい最近、警視庁では駐車の問題について相当力を入れてやるようになりました。有言不実行だという御指摘でございますけれども、一番お目にとまるのは警視庁管下だと思いますけれども、現在警視庁でそういう考え方で進めておりますので、もうしばらくその成果を見守ってもらいたいと思っております。
  51. 太田一夫

    太田委員 最後に通産省にお尋ねしますが、自動車工業会や自動車業界がスピード広告の自粛等を決議するということでありましたが、先回から、二百キロのスピード宣伝をしたり、あるいは瞬間加速の大きさを誇大に宣伝したり重点的に宣伝したりというようなことがありました。私どもとしては、不必要なスピードを出せるような自動車はつくらせるべきではないと考えますけれども、少なくとも宣伝自粛については徹底的にその実をあげていただきたいと思いますが、通産省の指導方針としてはいかがでありますか。これをひとつお答えいただきたい。
  52. 田中芳秋

    田中説明員 御指摘の点につきましては、私どもも、自動車につきましては、やはり国際商品たる性格がありますことにもかんがみまして、耐久性能あるいは走行性能、安全性能、経済性能、こうしたバランスのとれた車をつくるように指導しておるわけでございます。その中で、どうも最近の風潮といたしまして、スピード感をあおるような広告ないしはそれを特に誇大に表示するといいますか、印象づけるような宣伝が多いので、この点運輸省からも通達があって、自粛方を要望したところでございます。私どもといたしましても、そのようなことのないように、自動車工業会に指導をいたしておるところでございますし、工業会のほうも、こうした表示はやめるという申し合わせになっておりますので、御了解をお願いしたいと思います。
  53. 内海清

    内海委員長 河村勝君。
  54. 河村勝

    ○河村委員 現行の交通安全施設等整備事業が本年度で終わって、来年から新しく発足するわけでございますが、最初に、現行の三カ年計画の実績は一体どうなっておるか、それをお聞きしたいと思います。
  55. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 現行の三カ年計画につきましては、これは御承知のように、道路管理者の実施いたしますものといたしまして、総額七百二十二億の事業を実施したわけでございます。この中でおもな事業の種類をいいますと、歩道が四千三百三十五キロメートル、横断歩道橋三千百六十六カ所、地下の横断歩道が五十六カ所、中央分離帯が百四十四キロ、緩速車道が三十二キロ、交差点改良が七百五十八カ所、見通しの悪いところの視距の改良が百十七カ所、バスの停車帯が九百八十八カ所でございます。さらに二種事業といたしまして、道路照明が三万四千八百五十九基、防護さくが二千五百八十七キロメートルでございます。  この計画が大体三月までには全部完了する予定でございます。
  56. 河村勝

    ○河村委員 一〇〇%完成できる、そう考えていいのですか。
  57. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いまの見通しで、一〇〇%できるというように考えております。
  58. 河村勝

    ○河村委員 新しい三カ年計画をつくるにあたって、いままでは国が予算を確定してそれをおろしておったわけですね。それを今度は積み上げ方式で、下のほうから計画をつくらして、その中から選ぶというふうに変えた理由はどういうわけですか。
  59. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実はこれも御承知のように、交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法が四十一年にできまして、四十二年に通園通学路に関する交通安全施設等整備をいたします緊急措置法ができたわけでございます。その通園通学路については、当初四十一年にできたときは、国が主導権を持ってつくるということになっておりました。通園通学路はやはり市町村及び県、そういう段階から積み上げてくる方式をとっております。交通安全施設整備計画というのはやはり地元から積み上げるのが合理的ではないかということで、今度の法律改正も、市町村、県、こういう段階から積み上げてくるようにした次第でございます。
  60. 河村勝

    ○河村委員 積み上げ方式をやるのはけっこうなんですけれども、そういう場合には、心がけとして、従来の基準にとらわれずにもう少し幅広く考えて、よりよくしようということでなければならぬはずだと思うのですね。ところが現実に新しい三カ年計画の規模を見ますと、国の予算で国のやる事業に関する限りは逆に減っておるわけですね。それではせっかく積み上げ方式をとって、より実情に合って改善しようという趣旨と全然合っておらぬように思うけれども、それはどういうわけでありますか。
  61. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 道路管理者が行ないますものの総額については、現行の七百二十二億円からいま想定しておりますのは七百三億円といっておりますが、これは先ほども申し上げましたように、二種事業について地方の管理者がやっている事業を入れますと、全部受け入れることになると考えております。なぜこういう単独事業のことを大きく取り上げるかということでございますが、交通反則金その他のいろいろな財源措置地方にとられまして、それで相当自主的にできるということも考えまして、こういうような数字にした次第でございます。
  62. 河村勝

    ○河村委員 先ほどからの議論で、道路管理者がやる事業のうち、二種に属する事業地方単独事業に回してしまったわけですね。ところがこの中にはガードレールというようなものがある。ことしも死者が一万四千二百五十六人、もう史上最高ですね。ますますふえつつある。負傷者についても同様ですね。おまけにその死傷の中を分類すれば、大体車対歩行者、車対自転車が過半数ですね。というのは、結局人が歩くところと車が走るところが有効に分離されてないということが一番大きいわけでしょう。そうならば、ガードレールというものを地方単独事業にしないで、歩道の補いとして、積極的に国でやるという考えでなければおかしいんじゃないかと思うのですがいかがですか。
  63. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたように、交通事故の分析をいたしてみますと、まだまだ自動車と歩行者の事故が全体の約三分の一を占めておるかと思います。そういう意味で、今度の三カ年計画歩道を重点的に整備したいということでございまして、先ほども申し上げましたように、車道を分離いたしまして、車の通るところと歩行者の通るところを分離するようなガードレールにつきましては、簡易歩道の設置ということで、もちろん補助対象にするわけでございます。先ほど言いましたように、ただ山の中の転落を防止するようなもののためのガードレール、こういうものにつきましては、緊急に必要なところにつきましては、いまもうほぼできたのではないか。さらにこれから必要なところにつきましては、見通しをよくするとか、道路の幅を広げるとか、道路改良で一緒にやってまいりたい。これは、私たちの道路の改築事業の中で特殊改良事業というものをとっておりますが、特殊改良事業の一種というのは、幅を広げる小区間の改築でございます。特殊改良の二種というのは、視距、見通しの悪いところをよくするというものでございまして、こういうものとあわせて、そういうガードレールをしていきたいという趣旨でございます。
  64. 河村勝

    ○河村委員 参考のために伺っておきたいのですけれども、いま国道、県道で歩道が設置されているパーセンテージはどのくらいですか。なお国道でも山の中もあるでしょうから、街路に属する部分について、その内訳がもしわかれば教えてください。
  65. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 現在四十三年度末で全国の歩道の総延長は、たとえばいま言いましたガードレールで歩車道を区分している簡易歩道といったものを入れまして、私たちの想定では一万四千五百キロぐらいではないかと思います。そのうち一般国道で約五千百キロ程度、都道府県道で四千八百キロに達するものと思っております。これがいま先生のおっしゃいました市街地域の中ではどういうことになっているかということでございますが、市街地域といいましても、どこからどこまでが市街地域かなかなかむずかしいのでございますが、昭和四十年の全国の道路交通情勢の調査結果から推定いたしますと、現在一般国道については、市街地延長は約五千八百キロぐらいと予想をしております。このうちいまの歩道のできておりますところが延べ延長で五千百キロくらいでございます。これは両側にあるものの延べの延長でございますから、大ざっぱにいってこの半分ということでございますと、市街地延長の大体四五%ぐらいは歩道ができているというような結果かと思います。
  66. 河村勝

    ○河村委員 府県道はわかりますか。
  67. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 府県道につきましても、そういう国道と同じような計算をいたしますと、いまのところ一八%ぐらいではないかと思います。
  68. 河村勝

    ○河村委員 今度の計画で、地方単独事業を、法律地方市町村に実施を義務づけているわけですね。づけようとしているわけですね。そうしておいて、その財源措置については「必要な財政上の措置を講ずるように努めなければならない。」——片っ方で義務づけておいて、片っ方は努力しなければならぬということで逃げているわけですね。これでは、地方単独事業まで国の計画だということで、何か非常にスケールが大きいように見せかけるようなことだけになって、国として責任のがれじゃないかと思われますが、その点はいかがです。
  69. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 地方単独事業の財源につきましては、これは自治省その他といろいろ相談をしております。また必要な場合に、自治省と相談をいたしまして、いまの交付税の中に特別にワクを設けてもらうか、そのほか起債その他の手段を、これは誠意をもって、地方単独事業の財源が足りないということにならないように、自治省とも相談してやっていきたいと思います。
  70. 河村勝

    ○河村委員 あまり満足はしませんが、時間がありませんからそれ以上聞きません。今度新しい計画をつくるにあたって、こういうものをつくるときには、従来の計画を実施している間に、それの一種の追跡調査みたいなものをやって、それでいろいろな施設の効果を判定し、そこから新たな計画を進めるということが大事だろうと思うのですが、そういう種類の調査は、実際今日までやってきておられるかどうか。
  71. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは、過去三年で実施いたしました交通安全事業も非常に種々ございまして、全国に広まっておりますので、なかなかその全部の追跡調査をできないのでございますが、私たち一応建設省といたしましては、直轄の一級国道全体で、事故死傷率を減少させるのにどのくらいの費用がかかったか、そういうような計算もいろいろしております。また、それも特に地方建設局の直轄で実施したのでございますが、全国百八十七カ所につきまして実施いたしまして、どういう場合にどういうような安全施設が効果があるかというようなことも、調査をいたしましてまとめております。その結果に基づきまして、今後の安全施設整備資料にしております次第でございます。
  72. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 補足させていただきます。  御指摘のように、交通安全施設整備につきましては、その投資効果と申しますか、設置の効果測定をいたすことが、将来の整備目安をきめる上でたいへん必要であると思います。従来個別的な設置の効果につきましては、ただいま道路局長から説明がございましたように、建設省、警察庁等において相当詳細な効果測定をやっております。ただ、わが国全体につきましては、非常にマクロ的に、どれだけの施設をつくればどれだけの効果があるかというようなことにつきましては、率直に申しましてまだできておりません。総理府といたしましては、関係省庁と協力いたしまして、まず手始めに交通安全施設の効果測定の方法論を、現在学識経験者に委託調査中でございまして、その結論を待ちまして、関係省庁とよく協議いたしまして、的確な方法論による効果測定を将来行ないたい、かように考えております。
  73. 河村勝

    ○河村委員 たとえば東京都の今年度の調べによりますと、横断歩行中のものが対前年比二〇%増というような数字が出ているんですね。こういうのは、一体横断歩道橋等をやっているにもかかわらず、こういう数字が出ていることについて、どういうふうに分析しておりますか。
  74. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 横断歩行中の事故がふえておりますが、その中で一番ふえておりますのは、横断歩道外の事故、要するに横断歩道外の横断事故が非常にふえておるということでございまして、警察庁のほうでは横断歩道を必要なところにつくっていく、それから建設省のほうでは歩道橋をつくるということでやっておりますけれども、どうも横断歩道外の事故が多いということで、そのために横断歩道をむやみにつくるということになりましても、これはまた車両の通行の円滑化を害するということもございまして、その辺のかね合い、なかなかむずかしいのでございますけれども、中身といたしましては、横断歩道外の事故、これはどうしても歩行者の安全教育ということにやはり力を入れてやってまいりたいというふうに考えております。
  75. 河村勝

    ○河村委員 同じ東京都の調べで見ますと、横断歩道橋の利用率、これは東京都の調べじゃなかったですか。大体六〇%くらい。それで事故の増加率が横断歩道橋の近所の五十メートルから七十五メートルくらいのところが逆に非常にふえているわけですね。そうすると、横断歩道橋の利用率が低くて、それからすぐそばを渡る人はいないらしいけれども、五十メートルから七十五メートルが対前年比二三%もふえているわけですね。そうなりますと、歩道橋そのものの設置位置、それから歩道橋の扱いにくいいろんな構造上の問題とか、そういう点が非常にあるのではないかと思いますが、その点はどうお考えになっていますか。
  76. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実は私のほうで、東京都内の直轄で管理しております指定区間の国道について調べました結果を見ますと、横断歩道橋十九カ所で調査いたしましたが、やはり先生のおっしゃいました利用率最低が六〇%、最高はもちろん一〇〇%であります。平均して八五という数字が出ております。これをよく考えてみますと、やはり横断歩道橋の設置場所がどうなのか、これは大きな問題かと思います。またもう一つは、やはり構造がどうなっておるか、非常に渡りやすい構造であるかどうか、また道路の幅も相当関係するかと思います。いま言いました、横断歩道橋の前後で事故が多いというのは、どうもこれも私たちだけの即断ではいけませんが、車から見ると横断歩道橋がはっきり見える、そういうために、横断歩道橋のところならあまり歩行者はいないだろうというようなところで、横断歩道橋以外で道路を横断する人がかなり事故がふえておるのではないかということではないかと思います。そういうことに対しましては、やはり横断歩道橋の前後は強制的にガードレールを張って、歩行者が横断できないようにする、そういうようなことも考えますが、やはり歩行者の一つのモラルで、できるだけ横断歩道橋を渡ってもらうように、また歩行者も渡りやすいように簡単なものにするというような構造の点について、われわれ今後改良の余地を加えていかなければならないと思います。ただ横断歩道の問題につきましては、都内でございますと場所的にきわめて制約を受けまして、なかなか思うような構造がとれないようなところもございます。そういうこともございますが、これから新しくつくるようなバイパスにつける横断歩道橋というものは、できるだけ歩行者の渡りやすいような構造に変えてまいりたいと思っております。
  77. 河村勝

    ○河村委員 警察庁に伺いますが、最近警察庁で広域制御であるとか自動感応系統式信号機、いろいろ新しい信号設備をやっておりますね。ああいうものの実績は測定しておられますか。事故の減少率ということについての効果……。
  78. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 銀座で御指摘の広域制御をやっております。これについては実績調査をやっております。その場合にやる対象は、交通量がそのためにどれくらい増加しておるかということで、主として円滑化の観点からやっております。もう一つは、円滑を期するだけでなくて、やはり事故防止の観点にも寄与するわけでございまして、その方面の調査もやっております。いま手元に資料はございませんが、交通の円滑化も増大し、事故防止にも寄与しておるという結果が出ております。
  79. 河村勝

    ○河村委員 私はこれから隣の委員会質問に行かなければいけないのでこれでやめますが、お願いしておきたいことは、新しい計画をおつくりになるのもよろしいし、大いにやってもらいたいのですけれども、ただ予算を消化すればいいのだということでなしに、もっとこういった追跡調査をしっかりやって、さっき宮崎さんが体系的なものをおつくりになると言っておられましたが、ぜひともそういった問題を一日も早く整備をして、効果のあるものをやってほしい、それを最後に希望して、終わります。
  80. 内海清

  81. 北側義一

    北側委員 上程されておりまする一部改正案について、少し御質問をいたしたいと思います。  昭和四十四年度を初年度とする三カ年計画が実施されるわけでありますが、ここで私たちが心配しますことは、先ほどの方も言っておられたとおり、いわゆる都道府県や市町村個々の単独交通安全施設等整備事業、これで地方財政を非常に圧迫するのではないか、このような心配があるわけです。そういう点で、そういう地方財政を圧迫すると、当然その事業がおくれてくるということも予想されるわけです。そういう点についてはどうでしょうか。
  82. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 やはりこういう事業地方単独事業で、財源もなしに強制的にやられるというようなことでは、地方財源を非常に圧迫すると思います。私たちもこの点は自治省と相談いたしまして、この三カ年で各市町村について最低どのくらいの交通反則金が入るか、こういうことも考え、その中で何が一番必要かというようなことで、逐次積み上げていただきたいというように指導したいと思います。また、先ほど言いましたように、それ以外に、どうしても財源的には困難だけれども、ぜひやりたいというようなものも相当あるかと思います。こういう問題につきましては、やはり金の面では自治省その他の交付金等で何とかめんどうを見てもらうように、私たちも考えております。
  83. 北側義一

    北側委員 いま御答弁がありましたが、そういう点をどなたも心配するのは当然ではないかと思いますので、特によろしくお願いしたいと思うのです。  それから交通事故が昨年あたり例年になく、死亡者その他、事故件数は非常に上がっておるわけです。このような状況を見ましても、その交通安全対策の基本となるべき基本法、非常にこの対策がおくれているのではないか、このように思うわけなんです。それについてはどのような考えでいまやっておられるのでしょうか。
  84. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 御指摘のいわゆる交通安全対策基本法案につきましては、昨年末以来、総理府におきまして鋭意立案中でございます。現在までの経過を申し上げますと、法案の内容につきましては、ほぼ九割五分程度固まっております。ただ率直に申しまして、五分程度まだペンディングの問題がございまして、これを早急に解決いたしまして、できるだけ早い時期に提案をいたしたい、かように考えております。
  85. 北側義一

    北側委員 大体九割五分解決しておる、このようなことですが、残り五分というのは何ですか。
  86. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 この点につきましては、昨年末の臨時国会におきます当委員会におきまして、社会党のたしか板川議員から御質問がございまして、それに私がお答えしたかとも存じますが、当時はまだそれ以外にも二、三問題点がございました。それがだんだん煮詰まってまいりまして、現在残っておりますものは、非常に簡単に申しますと、今回総理府で立案いたしております交通安全対策基本法案は、単に陸上の交通安全対策だけでなくて、海上交通、航空交通の安全に関するものを含んでおります。これは昨年の通常国会におきます当委員会の御決議趣旨を体して、そういうふうな法案をつくっておるわけでございます。ところで、陸上交通の安全につきましては、大体政府部内におきまして考え方がほとんど一致しておりまして異論はございません。ただ、海上交通、航空交通の安全という問題が昨年以来新しく加わってまいりましたので、この点につきまして、関係省庁の意見の調整に手間どったわけでございまして、最後に残っている問題といたしましては、簡単に申しますと、海上交通と申しましても、海のない県もございますので、中央段階におきましては、いわば三位一体の計画をつくることで各省庁意見が一致しておりますが、地方段階において、海上交通、航空交通の計画をすべてつくることにするかどうかというたてまえ論におきまして、若干まだ意見の一致を見ていない点があるのが現状でございます。なお、この点につきましては、先ほど申し上げましたように、早急に結論を得まして、できるだけ早い時期に提案をいたしたいと考えております。
  87. 北側義一

    北側委員 何といいましても、総合的な交通安全対策、これをやはりつくらなければいけないと思うわけなんです。そういう点で、聞くところによりますと、やはり役所のなわ張り争いといいましょうか、そういうものが非常にあって、なかなかまとまらない、このように聞いておるわけなんです。これは何もこの問題だけじゃないのです。あらゆる行政において、やはりそういう点が多々見られるわけです。連絡の不備とかそういうものがあるわけです。これはもうどの関係の省庁にかかわらずあるわけなんです。そういう点、これは最も大事な人命にかかわる問題が、非常にそういうセクト主義でおくれるようなことがありますと、これはけしからぬと思うのです。そういう点で早くやっていただきたい。これを要望いたしておきます。  それから、また道路局長のほうに戻るのですが、わが国の道路というのは非常に狭いわけなんです。それでたとえば、これは前にも私お話し申し上げたのですが、やはり狭い道路を有効に使わなければいけないと思うのです。ところが、たまたま町へずっと出てまいりますと、その狭い道路に大型バスがずっと走っておる。そのバスがバス停でとまる。そうすると、たちまちふくそうしてくるわけなんです。そうして、そういうものがやはり精神的にも運転する人のイライラとなり、事故が発生する原因になってくるのではないか、私はこのように思うわけなんです。そういう点、たとえば今後の道路拡張とか、それからまたいまあき地のある特に交通がふくそうするような場所、そういう余裕のある場所に、バス停をとったらいいのじゃないかと思うのです。そのほうが交通の流れがスムーズにいきますし、事故件数もそういうところから減ってくるのではないか。バス停だけ道路とみなしたらいいのじゃないかと思うのです。そのような考え方はどうなんでしょうか。
  88. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 確かにいま先生のおっしゃいますように、込んだ道路でバスがとまりますと、あとのものが一緒にとまっていなければいかぬということで、非常に混雑するわけでございます。私たちは、やはり新しいバイパスその他をつくるときには、よくバス会社とも相談いたしまして、どの辺にバス停を設けるかということもやっております。たとえば名四国道といいまして、名古屋から桑名へ行くところでは、やはりそういうようなことで協議をいたしまして、バスの停留所をつくったこともございます。やはり今後は一つの地域の道路を都市計画としてきめる場合も、そういうようなバスのターミナルとか主要なバスの停留所というようなものは、当然その計画の中に織り込むべきではないか、かように考えております。この新しい三カ年の交通安全施設計画でも、できるところについてはそういうバス停を設けていきたいというふうに考えております。既成市街地で建物を移転するといいましてもなかなかできませんので、そういうまずできるところからやっていきたいというふうに考えております。
  89. 北側義一

    北側委員 そこで、たとえば府県道で一級河川、二級河川にかかっておる橋がある。ここらももちろん二車線ぎりぎりの橋というのがずいぶんあるのです。この橋の上におけるところの事故、これが非常に多いわけですね、最近私の知っておる範囲では。そういう点に対しては、やはり橋梁の拡幅をするなり歩道橋をつけるなり、このようにやらなければいけないと思うのですが、そういう事業については、大体現在どのくらい進んでおるのですか、それはわかりませんか。
  90. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実は歩道橋のない橋梁につきまして、車がすれ違うと人が立っておるところがなくなるというような橋がかなりございます。今度の計画歩道ということに——やはり歩道ということで処理したいと思いますが、歩道の単価も現行の三カ年計画よりはかなり高くなっております。この大きな理由といたしましては、いまの橋梁に積極的に歩道を添架してまいり、そういうものをこの新しい三カ年計画で実施していきたいというふうに考えております。これにつきましては、またこれから全国的にどういう順序で橋梁の歩道の添架をしていくかきめる段階でございますが、現状としては、まだまだそういう必要な橋梁はたくさんあると思いますので、この三カ年計画でできるだけ取り組んでまいりたいと思います。
  91. 北側義一

    北側委員 数のほうはわからぬわけですか。わかったらちょっと教えてもらえますか。
  92. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 あとで調べまして御説明いたします。
  93. 北側義一

    北側委員 次に、警察庁のほうにちょっとお聞きしたいのですが、ことしになってからの交通事故、これがまた二月までに二千二百三十三人、これは昨年より一五%増加しておるわけです。警察庁で三月の六日に非常事態宣言を出すようになったわけでありますが、昨年も先ほど申しましたとおり史上最高の死傷者を出したわけです。これについて、政府は早急に事故防止対策を行なう、このように指示したと聞いておるわけです。これについてはどのような効果が出ておるのか。何らかの効果が出ておりますか。——質問意味がわかりませんか。もう一ぺん言いましょう。非常事態宣言、これを出しておりませんか。
  94. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 新聞に、交通非常事態宣言を警察庁が発したというふうに報道されておりますが、特に私どものほうは交通非常事態を宣言したということではございませんで、容易ならぬ事態であるという意味で、いろいろ今後われわれがとるべき対策とあわせて発表したわけでございまして、それを交通非常事態ということで考えてもよかろうと思いますが、容易ならぬ事態であるということは間違いないと思います。そこで、私どものほうが、従来からも警察としての対策を講じておるわけでございますが、この機会に、さらにわれわれが従来進めてきた対策の中で強化してやるべきもの、それから若干足りなかった面等をこの機会によく検討いたしまして、府県警察に指示をして、今後警察の立場からいわゆる交通戦争に対処していくという意味で、記者に発表したわけでございます。
  95. 北側義一

    北側委員 いま言われたとおり、非常にたいへんな事態になっておるわけです。そこで、やはりそれならそれで、いま言われたとおり、足らないような点を対策を講じて都道府県へこれを指示する、このようなお話なんですが、いま大体どのような点が問題点になっておるのですか。
  96. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 いろいろございますけれども、大きく分けまして三点ございます。  一つは街頭に警察官の出方が少ないという問題がございます。これは従来からもわれわれは努力しておるわけですけれども、最近御承知のように交通事故が非常に激増しておりますので、事故処理に追われて、いわゆる監視という形での体制が十分とれておらないということがございますので、ひとつ警察官の合理的な運用をはかって、極力街頭に警察官を出そうじゃないか。その際に交通の専門の警察官の数が比較的少ないわけですけれども、外勤警察官、さらには機動隊も含めて、街頭に出て監視体制を強化しようということが一点でございます。その際に、いろいろ事故の分析に基づきまして、事故の多発するような地点を交通要点というふうに内部的にきめまして、そういうところになるべく出るということでございます。  それからもう一つは、先ほどもお話がありましたように、歩行者の事故が依然として多い。ずっとこの数年来、歩行者の事故を減らそうということで、われわれもそうでありますし、関係各省もそういう観点からいろいろ努力してきておったわけです。交通安全施設も、歩行者事故の防止の観点からの安全施設ということでやってきたわけですけれども、依然として減らない。そこで交通規制の面から考えるところがないかということで、従来からもやっておりましたけれども、歩車道の区別のない住宅街だとか商店街、比較的狭いそういうところには、一万通行だとか、それから大型車の通行禁止といったような規制をさらに強化するように指示しておるようなわけでございます。それからもう一つは、それに若干関連する、歩行者事故ではございませんけれども、最近の事故分析を見ますと、信号機のない交差点での出会いがしらの事故というものが非常に多うございます。この出会いがしらの事故を規制の面から対策を講じていくということで、一時停止の標識を立てるというようなことでさらに推進していかなければならぬのじゃないかということでやっております。これが第二点でございます。  第三点は、事故の分析調査ということを従来からもわれわれやっておりますけれども、もう少しきめのこまかい対策立てる際に有効な事故分析というものを考えてやろうじゃないかということで、第一線に指示しておるのでございます。  以上、大体三点について、この機会に第一線に指示したという形になっております。
  97. 北側義一

    北側委員 ただいまもお話しになっておられた中に、やはり歩行者の事故が非常に多い。大体八割近くの事故死、これが歩行者となっております。そういう点でまず一番大事なことは、やはり交通安全教育というのですか、交通安全意識といいましょうか、そういうもの、これはたとえば歩道橋をつくっても、その歩道橋を渡らなければ何にもならないのです。だからそういう点は教育ということが非常に大事だと思うのです。私もたびたびじっと——最近歩道橋がたくさんできておりますので、私のほうの町の歩道橋を通るときに、たまたま下を見ますと、やはり歩道橋を渡らないですっと走って渡る人がおる、そういう場所を見ますと、歩道橋のつけた場所が悪いところ、そういうところなんです。ちょっと道からはずれたところに歩道橋がある、そういう場合に、そういう人が多いのですね。だからつける場所が非常に大事である、またそれに対する交通安全意識、これを持たせなければいかぬ、それでなければ、せっかくつくった歩道橋も利用されなければ何にもならないわけでありますから、それらの点の教育について、いまどのようなやり方を大体やっておるのですか。
  98. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 交通事故の防止につきまして、御指摘のように交通安全教育が有効であることは言うまでもないわけでございます。私たちもそれを痛感しておりますが、その具体的な方法論になりますと、なかなかむずかしい点がございます。  現在政府として考えております交通安全教育の内容を簡単に申し上げますと、一つ学校における交通安全教育でございます。特に学校で小さな子供のうちに交通のルールを身につけておくことが非常に大切ではないかというところから、現在文部省におきましては、これは一昨年でございますが、従来まちまちでございました学校における交通安全教育をできるだけ体系化するために、「交通安全指導の手びき」というようなテキストをつくりまして、それからいろいろ通達を出しまして、現在一生懸命やっておるところであります。なお昭和四十六年度以降は、いわゆる小学校の教育課程におきましても、交通安全の位置づけを従前以上に明確にすることにいたしております。  それから第二は、いわゆる地域社会におきます一般的な交通安全教育であります。これは現在政府といたしましては、春秋二回全国で交通安全旬間等を設けまして、その期間に集約して、安全教育なり、安全思想の徹底普及をはかっておりますが、それ以外にも、都道府県、市町村等におきましては、毎月一回交通安全の日を設けて思想の高揚をはかるとか、あるいはPTA、婦人会、いろいろな団体等におきまして、そういう行事、講習会等を催しております。ただこの点につきましては、方法内容等につきまして、まだ改良すべき点がいろいろあると思われますので、今後この点を一そう検討してまいりたいと思っております。  それから第三番目は、運転者に対する再教育でありまして、これは警察の所管でございます。この点につきましては、先ほど太田委員の御質問に対していろいろ交通局長からお答えしたとおりであります。  いま大体そういった方向で鋭意実施中でありますが、なお今後とも改良すべき点は多々あると思いますので、十分に検討いたしたいと考えております。
  99. 北側義一

    北側委員 たとえば歩道橋がありますが、その場合、それを渡らずにさっと走るわけですね、その場合に、車は歩道橋があるのでだいじょうぶだと思って、ぱっとスピードを出しておるので、そういう事故が非常に多いと思います。そういう場合、標識が立っておるのですか。たとえば歩道橋を絶対渡れとかなんとかいうあれはないのですか。
  100. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 歩道橋を設置いたしまして、その付近の横断禁止の規制をするというのが普通の形でございます。そういう規制の面でやっておるところもありますし、それから安全教育的な面では、横断歩道橋を渡りましょうといったような立て看板を出しておるようなところもございます。そういうことで、そういう規制の面から安全教育の面をいろいろやっておりますが、なお先ほど私が申し上げました警察官の街頭の交通監視体制の中には、そういった指導面まで実地でやっていくということも考えております。
  101. 北側義一

    北側委員 それから、いま警察庁でやっております交通安全移動教室、これは非常に好評である、このように私聞いておるわけなんですが、これの本年度の予算は計上されておりますか。
  102. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 この交通安全移動教室につきましては、御承知かと思いますけれども、車の中に信号機とか標識とかを積んで、それを動かして、特定の場所で、学童等について教育していくということでございます。これにつきましては、国で特に予算を組んでおりませんで、現在全国で百台ぐらいございますが、その多くは、実は交通安全協会にシェルの石油会社とか、あるいは宝くじの利益金から寄贈をしてもらって、安全協会がやっておる。それにまあ警察が協力してやっておるという形になっておりまして、若干地方で、警察の移動教室ということで、単独事業として予算を組んでやっておるところもございますが、移動教室用の車を、国で特に予算を現在の段階では組んでおりません。
  103. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 若干補足させていただきます。ただいまの御質問は、いわゆる警察が主として行なっております移動教室でございますが、内容的にほぼこれに匹敵いたしますものとして、現在国が補助いたしまして、全国の主要都市のモデル小学校の校庭に、小規模な交通安全公園的な施設をつくりまして、これを交通安全教育センターと称して、毎年整備いたしております。これは昨年から始まりまして、昨年、ことしで四十六カ所ずつ整備いたす予定でございます。これはもちろん将来継続いたす予定でございますが、その費用として、これは三分の一補助でございますが、昭和四十三年度、四十四年度におきまして、それぞれ二千八百万円の補助金を支出いたしております。内容は、ただいま先生御指摘の移動教室とほぼ同様なもので、移動しない交通安全教室でございます。
  104. 北側義一

    北側委員 非常に好評を博しておるようなものですから、できるだけ広くこれを用いたほうがいいんじゃないか、このように思うわけです。  それから、厚生省に対してちょっと質問したいんですが、救急病院の設置についてでありますが、この厚生省の予算に、救急医療施設、この整備に四億二千九百万、これが計上されておるわけです。この内容はどんなものでし二うか。
  105. 北川力夫

    北川説明員 厚生省関係で申しますと、救急医療施設の整備につきましては、先ほど太田委員からの御質問にもお答え申し上げましたように、年来全国で大体百十一カ所の救急医療センターという、やや専門的な病院を整備いたしておりますことが、第一点でございます。それから第二点といたしましては、現在約四千、正確に申しまして、昨年の十月で三千九百九十八でございますが、救急告示病院というのがございます。これを今後ともなお必要な個所について、特に公的な医療機関というものを中心に、できるだけふやしてまいりたい、こういうことを考えておるような次第でございまして、予算に計上されております面も、そういう意味合いで、救急医療関係の施設の整備費は、いま申し上げました救急医療センター、国立並びに公立の医療機関、そういったものの整備関係一つでございます。それからもう一つは、やはり救急医療機関で治療に当たります医師の研修という問題がございまして、これにつきましては、一般的には、救急医療施設の医師についてごく一般的な研修を行ないますという点が一つございます。それからもう一つは、きわめて専門的な脳外科関係の研修でございますとか、そういったものをやや期間をかけまして、掘り下げて研修をするという点がございます。それからさらに四十四年度から新しく救急医療にきわめて関係の深い麻酔科関係の医師の養成につきまして、研修に必要な経費を計上いたしております。こういったところが、大体いまの救急医療関係の施設の整備と、それから救急医療担当の医師の研修に必要な経費でございます。
  106. 北側義一

    北側委員 最近高速道路が次々に開設されておるわけです。そこで見ますと、名神あたり、開通時に比べますと、交通事故件数が非常にふえております。そこで、この交通事故の起こる場所、これを考えますと、都市周辺、また地方、非常に高速道路が長くなっておりますので、医療施設のないような場所に事故が起こる、そういう可能性も十分あるわけです。そういう点で、本年度の予算において、地方では一体とれくらいの——地方と言いましてもいろいろあるでしょうが、大体救急病院、そういうものはどうしても都市に片寄っておる。ところが地方においてそういう事故が起きた場合に、それに対するどのような対応策の整備が行なわれるのか。その点どうでしょうか。
  107. 北川力夫

    北川説明員 高速道路の周辺の救急医療施設の整備ということは、高速道路の急速な整備に伴いまして出てまいりました新しい、また重要な問題でございますことは、御指摘のとおりでございます。現在の実情といたしまして、東名それから中央あるいは名神、こういったところを回ってまいりますと、私がいま申しました専門的な救急病院としての救急医療センターの整備について、大体この三つの高速道路でもって、その周辺に約十五カ所程度のものを現在整備を終わり、ないしは整備中でございます。それから直接にその高速道路に結びついておるという点では必ずしもはっきりいたしておりませんが、東名高速関係で、東京、神奈川、静岡、愛知というところを調べまして、救急告示病院といたしまして約千三百の病院がございます。それから中央高速の関係では、東京と山梨で大体五百五十ぐらい、それから名神高速で、兵庫、大阪、京都、滋賀、岐阜、愛知、合わせまして大体七百七十ぐらいの救急告示施設があるわけでございます。これはもちろんいま先生御指摘のように、高速道路に直結をしておるという点から見ますと、すべてがすべてそういう状態ではございませんが、今後もこういう状態でございますので、しかも高速道路が急速に整備をされるというふうな現状にかんがみまして、こういった新しい事態に対応いたしますために、先ほど申し上げました救急医療センターにつきましては、政府補助が出るわけでございますし、また救急告示施設も、できるだけ公的な医療機関についてわれわれは勧奨をいたしておるわけでございますから、そういう意味合いで、できるだけ、そういった高速道路周辺のところに必要に応じて重点的な整備をやってまいりたい。具体的に申しますと、いまの段階では、どこにどういうものを幾らつくるかということは、まだきまっておりませんが、そういうつもりで今後配慮してまいる予定でございます。
  108. 北側義一

    北側委員 いま言われたとおり、いわゆる民間の病院も、これに対する応急医療施設の整備、これに助成を国のほうがやっておる。これはどれくらいどういう状況でやっておるのですか。
  109. 北川力夫

    北川説明員 ただいま申し上げましたのは、助成といたしましては公的な医療機関でございます。民間の私的な医療機関につきましては、直接の助成を行なっておりません。
  110. 北側義一

    北側委員 それで現在それだけの数で——結局これは実際は不十分でしょう、医師の点その他は。どうですか。
  111. 北川力夫

    北川説明員 ただいま申し上げましたとおり、大体四千でございまして、私どもの一応の目標といたしましては、約五千くらいのものを救急医療の告示施設として確保したいというつもりでございますので、現状で十分であるというふうに必ずしも申し上げられないと思います。
  112. 北側義一

    北側委員 特に指定病院——指定病院というのは、結局公共関係の病院になるわけですね。それに助成、こういうものを強くやって、特に高速道路、これらの沿線に対しては必要じゃないか、こう思いますので、その点、よろしくお願いします。  それから都市の交通渋滞を緩和する、それをはかるために大型の乗り入れを規制する、そういう問題が大都会、ここらで起こってきておるわけです。これについてはどのような考えで現在やっておられるでしょうか。
  113. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 非常に交通の渋滞しております東京と大阪につきましては、大型のトラックについて、路線を選びまして、この路線からこの路線については、都内あるいは市内に進入してはならないという規制をやっております。
  114. 北側義一

    北側委員 またそういうところで非常に問題になるのは、駐車なんですね。これは非常に事故の原因にもなっておりますし、交通渋滞の原因にもなっておるわけです。やはりそういう点の規制というものは、これをがっちりやらぬといけないと思うのです。そういう点が非常におろそかではないか、このように私は思うわけです。  また車庫規制法、これについてですが、これもやはり現在の状況では全くざる法だと思うのです。そういう点もやはり検討すべき段階にあるのじゃないか、このように私は思うわけなんです。その点、どうでしょうか。
  115. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 御指摘のとおりでございまして、最近東京都内では漸次路線を選びまして、特定の時間帯——特に特定の時間帯につきましては、荷物の積みおろしの停車も禁止する措置を講じて、現在五路線程度をやっておりますが、漸次、この夏ごろまでの間には、主要幹線道路について全部そういう方式でやってまいりたいというふうに考えております。  それから車庫規制法のことでございますけれども、これにつきましては、いろいろ取り締まり技術上の問題がありまして、御納得のいくような取り締まりができないのは残念でございますが、いま警視庁あたりでは、いろいろ実態を調査いたしまして、車庫がなくて車庫がわりに置いていると思われるもの、これはなかなか立証はむずかしいのですけれども、そう思われるものにつきまして指導をして、だんだんそういうものをなくしていくという、取り締まり面だけではなくて、指導の面からもそれをやっていこうということで、現在そういう方向で進めておりますので、一時よりはだいぶよくなったと思いますけれども、さらに推進してまいりたいと思います。
  116. 北側義一

    北側委員 では、以上で私の質問を終わらしていただきます。
  117. 内海清

    内海委員長 加藤六月君。
  118. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 私はこの三月十九日、すなわち昨日の朝、岡山県の国道三十号線においてバスの転落事故がございましたが、ちょうど当委員会におきまして、この交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する等の法律案の審議をやっておる最中にこういう問題が起きましたので、この法案に若干関連しますが、主として具体的な事故について質問さしていただきたい、こう思うわけでございます。  昨日も運輸委員会の席上、原田運輸大臣が中間報告をされまして、今回の事故の性質からいって、通勤通学者を運んでおるバスの事故であるというところに重点を置きまして、普通の観光バスが遊覧に行っておるときに起こった事故というのとは、若干事故的な立場から見ても性質が違うのではないか、こういう内容の発言をされております。したがいまして、事故には変わりはないし、人の命ということについては変わりないわけでございますが、いわゆる定期バスが、通勤通学を主たる任務としておる定期バスがこういう事故を起こしたということについて、非常に今回の事故の性質ということで、危惧の念を持っているわけでございます。  まず一番にお聞かせ願いたいのは、この交通安全施設等整備事業ということで今回いろいろ問題になり、また前の太田委員も御質問になっておったいわゆる防護さくあるいはガードレール等の問題が出てくるわけでございます。道路局長おいででございますが、国道三十号線は、ちょうど昨年非常なお骨折りを願いまして、玉野バイパスが完成した。それから岡山から、秀天橋というところがありますが、そこの間も大体整備改良が完成した。不幸にも今回事故を起こしました現場というところが、ちょうどまだ道路幅もあるいは見通しをよくするという問題も、そういった問題等やってなかったのではないか、こう思うのですが、あそこは、秀天橋から、今回事故が起こりましたところから玉野バイパスへ入る間というのは、本年度何か改修あるいはその他についての予算をつけておられたのだろうかどうだろうかということをまずお伺いしてみたい、こう思います。
  119. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 国道三十号線の改修について、ただいま先生のおっしゃいましたように、一応全線を早期に一次改修を終わったわけでございまして、その中で立体交差、平面交差が非常にあります。また狭い部分を玉野バイパスというものでバイパスをしたわけでございまして、不幸な事件がありましたこれについては、一応現在のところ一次改修を終わっておりまして、車道幅員が六メートル五十ございます。総幅員七メートル五十で、一応いまのところはこれをさらに再改修するというようなことはまだ考えていない次第でございます。
  120. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 あとから警察庁にもお聞かせ願いたいと思うのですが、あの地区におけるセンターラインの線の引き方は、十分に引いてあったという判断をされておるのでしょうか、どうでしょうか。
  121. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 私どものほうで事故の捜査をいま進めておりますが、あの部分につきましては、センターラインは明確に引いておったと思いますが、そのほかに、あの地点につきましては追い越し禁止の規制をかけておりまして、黄色い追い越し禁止の表示をしておったわけであります。  一般的に、道路全体についてのセンターラインにつきましては建設省のほうからお答え申し上げます。
  122. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ここは御承知の直轄の指定区間でございまして、いまちょっと資料がございませんが、二車線の道路であっても、ほとんど、車道が六メートル五十あれば全センターラインは引いてあったと思います。ただセンターラインそのものも、一回引けば何年でももつということでもございませんので、その辺のセンターラインがどの程度はっきりしておったか、全線についてはこれから調査したいと思います。事故のありましたところは、私どものほうのセンターラインではなくて、追い越し禁止の公安委員会の黄色いセンターラインが引いてあったというふうに報告を受けております。
  123. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 私はあそこはたびたび通るわけでございまして、四国と本土との主要な連絡道路になっております。現在宇野と高松間のヘリ並びに国鉄の連絡船、国鉄の連絡船はそう関係ないわけでございますが、ヘリは非常にたくさんのへリが通っております。現在、四国方面から来ますトラック、乗用車の何割というものがあの国道三十号線を通ってくる。そういうことで玉野バイパスその他もたいへん急いでやっていただいたわけです。ただ道路局長の先ほどの御答弁で、一次改修はもう一応済んでおったと言われることでございますが、私は、カーブ改良、いわゆる見通しをよくするという改良、もう少しあそこをよくしてもらいたいなと通るたびに実は思っておったわけでございます。それにしましても、今回の事故が、それがやってあったら防げたかどうかということは疑問だろうと思うわけです。  その次に御質問申し上げたいのですが、ガードレールにひっかかって、バスはそれを越えて下の下池という池に落ちたということでございます。今回の法律改正にも出ておりますように、ガードレール、先ほどおっしゃっておりますいわゆる歩車道を分離する意味のガードレール、そうでないガードレールとある、こう思うわけですが、今回事故を起こしました国道三十号線のガードレールは歩車道を区分する意味のガードレールではなかった。そこで一体ガードレールというのは、いま建設省が採用されておる種類というものはどの程度あるのでしょうか。
  124. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ガードレールにつきましては、これは終戦後わりに、まだ日が浅いわけでございまして、この地点のガードレール、これはロープを張っております。ガードロープといっておりますが、これは三十七年当時設置したものと聞いております。現在、全国的にこういうガードレールが設置されますので、私たち、それの基準といたしましては、昭和四十年に一応そういう基準をきめまして、それによってやるように指示しておるわけでございます。その中で種別を、A、B、C、D、Sと五つくらいに分けまして、いろいろ強度の点を変えておる次第でございます。この事故のありましたところのガードレールはこの基準のできる前のガードレールでございますが、この基準に照らしてみますと、大体A、B、C、DのCに入るのではないかと考えております。そのほかに、いまの高速道路の場合のガードレール、これをAとしております。一般国道については、大体AかBか、この二つの基準でガードレールをつくっておる次第でございます。
  125. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 三十七年度に設置されたといいますが、去年設置されたところもあるのです。ちょうどいま事故がありましたごく一部のところは三十七年、それからそうでない非常にたくさんやってもらいましたところは、四十三年度にガードレールをしていただいたわけです。ただ私の記憶で、今回バスがガードレールを飛び越えて落ちたところのいわゆるガードレールが三十七年に設置していただいたものであるか、あるいは四十三年に設置していただいたものであるかということについては、私自身まだ調査していないのでわからないわけです。わからないわけですが、そうすると、いまおっしゃいました一般国道については、強度はA、B、C、D、Sの大体A、Bでやられる。ところがあそこの現地で引いてあったのはガードロープであった。基準に合わすとCくらいになるだろう、こういうことなんですが、一体私たちが考えてこれまた非常に疑問とするのは、ガードレールがAであってもあるいはBであっても、今回の事故は防ぎ切れなかったのじゃないかという気持ちもあります。これはよく現地に行って詳しく見ないとわからないわけですが、しかしガードレールをつくられる場合には、基準というものは一体どの程度の、追突や衝突や当たりを防ぐあるいはショックをやわらげるというものになっているのだろうか、特に私は、今回の事故よりか前からいろいろ考えておったのですが、短区間の五メートルか十メートルの幅にちょっと置いてあるガードレールというのは案外弱いのじゃないか。それが百メートル、二百メートルの幅でちょいちょいやっても、やっておるものはショックを全体でカバーするようなことができるのじゃないかという感じも持っておったのですが、まずそういうショックに対してはどの程度のガードレールは事故を防ぐような方針であるのかということと、それからガードレールの設置してある長さにその問題は関係ないかということをちょっと承りたい、こう思います。
  126. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 先ほど一般国道につきましてはA、Bとちょっと申し上げたかもしれませんが、Aにつきましては、これは高速道路だけでございまして、一般国道はBとCを適用しておるわけでございます。現在事故がありましたところが大体Cに該当するわけでございますが、これの設計の条件といたしましては、大体車がガードレールに進入する角度を十五度くらいに想定いたしまして、車両の重量を七トン、車両の速度を五十キロパーアワー、こういうことで設計をしております。  さらにわずかな区間のガードレールと長い区間のガードレールとの問題でございますが、今度の事故を見ましても、やはりガードレールのささえております支柱がございますが、支柱の三本が倒れまして、十七本が傾斜しているということを考えますと、やはり短いものよりある程度の長さがあったほうが十分強度が保てるというように考えられます。
  127. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 あの地点に、私の記憶ではカーブミラーが二つあったわけでございますが、ことしさらにこのカーブミラーを設置されるような計画はなかったのでしょうか。
  128. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 カーブミラーについては特に基準もございませんが、カーブミラーを設置する場所は、大体交差点で見通しの悪いところに設置をしておるわけでございます。たとえば本線に入るときに、本線と支線との、向こうから車が来るか来ないか、これが見えるような形で設置されておりますので、これは本線そのものの走行のための前後の車が見えるというような性質には考えてないわけでございます。やはりカーブミラーはそういう見通しの悪い、急に曲がっておるところとかそういうところ、また交差点とかそういうところに設置するように考えております。
  129. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 建設省関係はこの程度にさしていただきまして、次に運輸省関係にお伺いしたい、こう思います。  今回事故を起こしましたのは中西運送店ということになり、事故を起こした人は中西君になっておりますが、道路運送法の第三条のどの種類の免許をこの会社あるいは中西君はとっておったかということを承りたい、こう思います。
  130. 畔柳今朝登

    ○畔柳説明員 お答えいたします。  名前は中西運送になっておりますけれども運輸省のいわゆる自家用のナンバーを受けておりまして、道路運送法の免許は現在受けておりません。
  131. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 ところがその中西賢三運転手は道路運送法に触れるような行為をしておったのじゃないかと私は思うのです。これは警察のほうですでに中西君を逮捕せられておるようでございますが、一体この中西賢三運転手というのはどこの品物をどこへ運び、どのようにしておったか。料金は取っておったか、取っておらなかったか、こういう点についてはお調べがついておるかどうか、おわかりの範囲内でお教え願いたいと思うのです。
  132. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 現在御指摘の問題につきまして捜査中でございますが、現在までにわかっている範囲内で申し上げますと、先ほど運輸省からお話のありましたように、この中西は父親の中西朔と一緒に自家用の自動車を持って、どうも運送事業を営んでおった疑いがあるということで、道路運送法違反で現在取り調べ中でございます。  この疑いと申し上げますのは、大型の車両を二台持っておりまして、そのほかに三輪貨物一台、普通乗用車一台を持っておるようですが、大体高知県の南国市にあります山佐材木店と材木の運送契約をどうもしておるらしい。約二年前から専属でその輸送をやっておるらしいという容疑で現在捜査中でございます。そうしますと、これは道路運送車両法第四条違反ということになります。
  133. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 これは実は私前々から当委員会理事会にお願いしまして、土砂等を運搬する大型自動車の取り締まりに関する法律を少し改正したい、こういう気持ちを持っておったわけです。われわれは一昨年あの問題を、非常にあわててダンプカー規制を中心にやったわけです。いまから考えると非常にざる法であったという反省も出てくるわけです。あのときやったのは、いわゆる一匹オオカミという白ダンプをいかにして退治するか、いかにして交通事故を起こさせぬようにするか、それによって災害をこうむっておる多くの国民に安心させるようにしようという立場で、あのいわゆる世にいうダンプ規制法をやったわけですが、あとから考えてみますと、それ以外のものがたくさんある。そしてあのときにダンプカー数台以上持っておる者に対してはなるべく営業免許を出さして運輸省のほうからの取り締まりもやろう、それでそれ以外の白ナンバーのダンプについては警察に徹底的にやってもらおうという一つ——ここにおられる山田委員等とも相談し、皆さん方ともとにかくずいぶん意見を戦わし、これは各党一致でたしかつくったわけなんでございますが、最近事故を起こしておる状況を見ますと、いま交通局長がおっしゃいましたようなダンプカーもあるし、白ナンバーのこういう道路運送法の四条に違反しておるようなのが非常に営業行為を行なっておるのじゃないか、しかもこれが非常にむちゃをしておるのじゃないか、こういう気持ち等を私も持つわけですが、これはまだ調べがついておるかどうかわかりませんが、今回事故を起こした中西運転手の免許取得の年月日と免許証の種類はどうなっておるのでしょうか。
  134. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 現在までの調べでは、中西運転手は大型の免許を三十九年に取得しております。したがって四年七カ月の運転経験を持っておるということになっております。
  135. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 中西君はいま何歳ですか。
  136. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 二十二歳であります。
  137. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 そうすると、ことしが昭和四十四年で、三十九年に大型を取得したわけですか。
  138. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 御承知のように、大型免許は、昨年道交法の改正を行ないまして、二十歳以上、経験二年なくちゃいかぬというふうにいたしましたが、その前は十八歳でとれたということになっておりますので、おそらくその当時とったものだと思います。
  139. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 ぎりぎりのときにとって、警察庁の去年の改正の前にとっておったということになると、こういうものに対してそういうことをさせてはいけないという立場で年齢を切り上げたわけでございますが、悲しいかな——もちろん現在でも資格があれば二十二歳だからとれるはずですが、この中西君というのはいままで交通事故その他をやった経歴というのはありますか、ありませんか。
  140. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 手元にある資料によりますと、道交法違反が六回ばかりございます。それから行政処分も数回受けているようであります。そういう意味ではあまりいい運転手ではないということになると思います。
  141. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 行政処分はどの処分を受けておりましたか。
  142. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 四十二年の八月に、これは違反法令はわかりませんけれども、法令違反で三十日の免許停止、四十三年の一月に違反で五十日、四十三年十一月に事故を起こして九十日、その前の四十三年の九月に違反で七十日というふうになっております。(「そんなのに何で免許取し消しをしないのか」と呼ぶ者あり)
  143. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 委員席からも非常に怒りのことばが出ておるわけでございますが、こういった非常に激しい人が、凶器ではないにしても、ある面で走る凶器を持っておると同じような立場でやりました。今回の死亡者の中には、大学の受験の初日を済ませて二日目をやろうという人、朝五時半に高松をたってヘリに乗られて宇野へ来られてやられておる人、あるいは玉野から大学受験に行こうというので乗っておられる人々——もちろんなくなられた皆さん方に御同情申し上げ、御冥福を祈るものでございますけれども、そういった、これから人生に対していろいろな夢と希望を持っておられる方々——こういういま局長から御説明がありましたようないわゆる事故経歴を持っておる人がこういう事故を起こしたことについては、われわれまことに申しわけない気持ちをいたすわけでございまして、この問題について事故が起こったらいつも騒ぐという後手後手になるわけでございますが、行政処分をこれほど食うておる人間、しかも先ほど承りますと、どうも免許を持ってたくて二年間の契約で営業行為をやっておるのではないかという、これはまだ疑いだ、こうおっしゃっておるわけですが、大型車両を二台持っておる、三輪車を一台持っておる、それでおとうさんと今回事故を起こした賢三君と二人しかいない、あるいはほかにだれか同じく運転手を採用しておるかどうかわからぬわけですが、こういう不法行為を行なっておる場合は、事前にこれを運輸省あるいは警察としていまの段階で、いまの法律において停止させる方法はないのでしょうか。
  144. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 それぞれ停止処分をしているわけでございまして、今回の事故があればあるいはまた調べて行政処分をやらなければいかぬと思いますが、取り消しまでいくかどうかという問題でございますが、こういうたびたび事故なり違反を起こす者につきましては、先般点数制度という行政処分の基準をつくりましたので、この点数制度によってこういう累犯のある者はきつく処分をするということで、従来のやり方よりは累犯者に対してきつくなると思います。そういうことで今後こういう累犯、ある意味では悪質な運転者についてはきつく行政処分をやるという考え方でいくつもりでおります。
  145. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 運輸省のほうにもう一度お伺いしますが、この中西親子は限定免許かなんかでいままで陸運局あるいは陸運事務所まででも書類を出したことがあるのですか、ないのですか。
  146. 畔柳今朝登

    ○畔柳説明員 お答えいたします。  ただいま調査中でございまして、ちょっとその一点はまだはっきりわかっておりません。その点いま調査しております。
  147. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 広島の陸運局の整備部長が現地へ飛んでお行きになった。しかしこれは広島の陸運局よりか四国のほうの陸運局あるいは高知の陸運事務所がこの中西君の管轄じゃないですか。それで広島陸運局ばかりが動いて、高知の陸運事務所や四国の陸運局というのはこの問題についてまだ調査してないのですか、どうなんですか。
  148. 畔柳今朝登

    ○畔柳説明員 事故その他の捜査につきましては、現地に最も近い陸運局または事務所がやっておりまして、一つの場所がやっておりますとあとは全部連絡その他ありますから一番近い広島がやっております。  それからいまお尋ねがありました免許の申請その他につきましては電話で問い合わせ中でございまして、いずれはっきりすると思います。
  149. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 この問題は実は平ボデー自動車いわゆる一般貨物自動車のいろいろな自重計とか新しい規制等についてもう一度当委員会でじっくり勉強さしていただいてやらなければならない。また先般来警察当局にも自重計その他の問題について追跡調査をお願いしておった直後なのでございますが、こういう問題をやる場合にいつも問題になりますのは、いわゆる本人が限定なりあるいは特定あるいは一般免許を申請しても、それを問題にされずに却下される、それでますます地下にもぐった行為をやるというケースも非常に多いと思うのです。今回たまたまこの中西親子の運行しておるトラックというものが、こういう問題を起こして非常に多くの犠牲者を出したわけですが、この際もう一度あらためて聞きますが、運輸省はたとえば山佐材木に対してこの中西というのが二年契約したということになりますと、必ずその前におたくへ対して問い合わせの書類を出しているのじゃないかと思うのです。それをおたくのほうで許可をしてないからもぐりになったということになると、これは運輸省当局の責任も相当出てくるのではないか、私はこう思うので、いまの御答弁でははっきり——目下調査中である、こういうお話でございましたが、これは委員長、いままでにこの問題について限定が山佐材木店と二年間契約をしてあったような節があるということでございますから、はっきりした証拠ではないと思いますが、少なくとも限定か特定かについての免許の申請があったかなかったかということはぜひ当委員会に提出してもらいたい。これをひとつ確認しておきたいと思うのですが、どうでしょう。
  150. 畔柳今朝登

    ○畔柳説明員 後刻調べまして提出したいと思います。
  151. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 そうすると、もちろん一般の会社でないわけですから運行の管理規程も何もない。ある新聞の見出しによりますと、居眠り運転かということがあったわけですが、何運転であるかということは警察当局のこれからの調査によってはっきりしてくると思いますので、いまこの席でこれ以上追及するのはおかしいと思うのですが、次に運輸省にお伺いします。  バスの場合は非常ドアというのをたいていつけるようになっておると思うが、これはいまどの程度強制されておるわけでしょうか。
  152. 堀山健

    ○堀山説明員 バス型自動車については、全部させております。
  153. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 マイクロバスはどうですか。
  154. 堀山健

    ○堀山説明員 正確に申しますと、定員三十人以上のバス、それから小さくても幼児専用車には全部つけさせる、こういう規定になっております。
  155. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 今回の事故でこの非常ドアがちぎれておった、あるいはばらばらになっておったということ等を聞くのですが、脱出された方々が非常ドアを通じて出られたか、あるいは窓を破って出られたか、これははっきりしておるのでしょうかどうでしょうか。警察のほう、あるいは運輸省のほうでおわかりなら教えていただきたいと思うのです。
  156. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 脱出の方法その他については、これはまだ把握しておりません。
  157. 堀山健

    ○堀山説明員 私のほうはまだよく把握しておりません。
  158. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 私の聞きましたのは非常ドアから出たという人はほとんどいないというように聞いておるわけですね。窓から出たのではないかということですが、いまおっしゃったようにはっきりしてないのですが、いまの規則で非常ドアだけを設置さすことによってこういう転落事故の場合に乗客が脱出できるか。あるバスでたまたま見たのですが、木づちのようなのをバスの中に設置している。窓ガラスをその木づちで破って逃げるような方法等が講じてあるなということで非常に心の安らぎをそれに乗ったときに見たわけですが、こういう窓と非常ドア以外に、破って脱出する方法というようなものについては何か指導されておることがありますか。
  159. 堀山健

    ○堀山説明員 非常の場合の脱出は、先ほど先生おっしゃいましたように非常ドア、通常の出口、この二つが左右についております。で、前後に、前のほうとうしろのほうに大きな窓がついておるわけでございます。バスあるいは乗用車用のガラスは、全部安全ガラスを使っております。これは衝突とかいろいろな問題があったときに乗客にけががあっては困るということで、全部安全ガラスを使っております。それで、これは簡単にこわれても困りますし、逆にいいますと、こわれたときにけがしてはいかぬという逆の作用がありますので、実は金づちの備えつけということは法律的には規制しておりませんが、非常にむずかしい問題ではないかと思います。
  160. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 いまおっしゃるとおりで、だから起こった場合はその安全ガラスをしておかねばいけませんしね。しかし逆にやられたような、今回のような転覆事故とかあるいは自分の運転ミスによってバス自体が海の中か川の中かあるいは土手下かいろいろなところへ飛び込んだという場合に、普通の出口と非常ドアだけではいけない。もちろんそんなこといったらたいへんですから安全ガラスを持たなくちゃいけませんが、いまのようにそれ以外のところから脱出するための、何か破壊してやるものを考える必要があるのじゃないかという気持ちを私は持つのですが、それに対してそういう指導を今後しようとかまあいまのままでいいとか、それをちょっともう一度はっきり御答弁願いたい、こう思います。
  161. 堀山健

    ○堀山説明員 先ほど申し上げましたように相反する条件がありますので非常にむずかしいが、検討はいたしたいと思います。ただ、鉄道車両あたりでの経験では、やはり割るということよりも窓全部がはずれる、そういう車両もございます。したがって割るということがいいのか、窓がある操作によってはずれるのがいいのか、ここらいろいろ検討すべき問題があると思いますので、技術的な面も含めまして検討したいと思います。
  162. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 それではその次は、今回のこの事故に対する補償の関係について若干承りたい、こう思います。  まず警察のほうに承りますが、今回の事故の責任は、中西賢三君の運転しておった自動車、並びに中西君の責任であるかあるいはまた両備バス側の責任であるかということについてははっきりいたしましたでしょうか。
  163. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 現在その点について鋭意捜査中でございますけれども、現在の段階ではやはりトラックのほうに違反容疑が非常に濃いということで、そのほかにまたバス側にあるかどうかということにつきましても、あわせてバスの運転手側にあるかとうかということにつきましても——バスの運転手はただいま病院に入院中でございますので、傷の手当て等勘案いたしましてあわせて取り調べていくということで捜査中でございます。
  164. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 捜査中ではっきりしないことでございますので、仮定の問題につきまして私がいまこの席でとやかく言うのもどうかと思いますが、はっきりしたことだけを承っておきたい、こう思います。  もしトラック側といいますか、中西のほうの違反の事実がはっきりした場合は、このバス会社に対してあるいは死者に対してあるいは負傷者に対して、中西側に損害賠償の責任が発生するわけでございますが、まず自賠償によるところの強制の場合は、最高死者に対して三百万、負傷者に対して五十万ということでございますが、これは責任者が、責任問題がはっきりしないと出さないのですか、出すのですか。これは運輸省のほうに承りたい、こう思います。
  165. 岡田茂秀

    岡田説明員 本則といたしましては、先生のおっしゃるように責任関係が明らかになる、ないし明らかであろうと認定されたときに支払うということがたてまえだと思いますが、自賠制度には仮渡し金という制度等もございまして、必ずしもその辺が明確でない段階においてもある程度の限界をもってお支払いすることは可能かと思います。
  166. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 こういう方々に対してはできるだけ早く処置していただきたいと思います。それで仮払いという方法等でもよろしいからぜひやっていただきたいと思うのです。  次に私が知りたいのは、これは警察のお調べの中にあるのか、また運輸省のほうの関係になるのか知りませんが、中西の車の保険任意保険に入っておったかどうかということはわかりませんでしょうか。
  167. 岡田茂秀

    岡田説明員 確定的なことは申し上げかねますが、いままでの段階でわれわれが知る限りにおいては、任意保険に加入してないように承知いたしております。
  168. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 もう話を承ると承るだけこの中西賢三という者に対して憤りを覚えてくるので、どうも腹立たしいわけですが、あわせて引き続きちょっと聞いておきたいと思います。  両備バスは任意保険に入っておったのでしょうか、いなかったのでしょうか。
  169. 岡田茂秀

    岡田説明員 これも同じく条件つきでございますが、現段階では入ってないと承知いたしております。
  170. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 運輸省はバス会社に対して、任意保険に入る入らぬの問題は、もちろん強制することはできないのかどうか知りませんが、指導はどのようにされておりますか。
  171. 岡田茂秀

    岡田説明員 実は私の所管でございませんので、多少見当違いなことを申し上げることをお許し願いたいと思いますが、極力入ることに勧奨はいたしておる、かように思う次第でございます。
  172. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 運輸委員会でもずいぶん問題になっておるのですが、今回の国鉄料金にからんで私鉄やバスやタクシーの値上げ、これは公共料金だ、公共性があるということでいろいろ問題が起こっております。公共という問題について論争があるわけですが、何さま貴重な人の命を運んでおるこのバスに対して、私は、任意保険に入ってないバス会社があるということになるとはだ寒い思いをするわけなんで、もちろんほかの方法で任意保険に入っておる以上のことをバス会社がされておる方法等も存じております。存じておりますから、あるいはそういう方法でおやりになっておるだろうという希望的観測は持っておりますが、ただ、今回中西君が死者並びにこの負傷者に対して自賠償による強制保険金額以上の支払い能力があるかないかということが今後の非常に大きな問題になってきます。これが一点と、警察の調査の結果、バス側にも若干の責任があるかないかということ等、これまた仮定でございますからはっきりいえませんが、そういう保険等が両方になかった場合は、なくなられたことはなくなられ損、けがをした人はけがのし損ということになるのではないか、これまた非常にはだ寒い思いをするわけでございます。  話はあちこちしますが、中西側の資産内容等はまだわかっておりませんでしょうか。
  173. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 私どものほうではまだわかっておりません。
  174. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 まだはっきりもちろんわからないと思いますが、少なくとも現在われわれがわかるのは、しからば大型トラック二台、三輪一台、自家用一台、これを持っておりますね。これに対して差し押え処分か何かということは、もちろん責任がはっきりしないと遺族側等もできないと思いますが、いわゆる道路運送法違反ということで停止処分ということはできますか。
  175. 畔柳今朝登

    ○畔柳説明員 お答えいたします。  道路運送法百二条をもちまして、自家用自動車を使用いたしまして、免許を受けない自家用自動車で経営したときには、車両の使用停止処分をできるようになっております。
  176. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 それは当然やってもらわなければいけないのですが、今回は——何かこれも仮定の議論のようになってきますが、停止させて、これを適当に売り払って、夜逃げではないでしょうけれども何かさせないような方法を、現在の財産その他でできないものだろうかどうだろうかということで、これはだから運輸省にお尋ねするか、警察にお尋ねするかわからぬわけですが、これは遺族が訴えればできる。もちろん裁判所で仮処分の申請でもすればできるかもわかりませんが、それ以外の官憲においてこれをいま行なうことができないか、こういうことなんですが、これは法務省ですな。
  177. 岡田茂秀

    岡田説明員 法務省の所管ではないかと思いますが、少なくとも運輸省が所管しておる法律といたしましては、先ほど貨物課長がお答えいたしましたように、当該車両について一定限度の使用を禁止するということだけでございまして、それを永久に所有権を剥奪するとかいうふうなことは、運輸省関係の法規では可能ではございません。
  178. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 岡田参事官の言われたことはよくわかっておるのですが、どうも私のほうも、これは損害賠償の資金といいますか、遺族や負傷者に対してできるだけ十分なことをして差し上げたいと思う。ところが、さっき当局のお調べになっておるような激しい行政処分をたびたび食らっておるような人ですから、車両の購入や、あるいはその資産等、どういうことをやっておるかわからない。そうすると遺族や負傷者は死に損、けがをさせられ損ということになる。個人の中西君だけを追及するということではもちろんいけないわけでございますが、私はそういう意味で御質問したわけですが、その前にわれわれ国会議員としてはそれにからんで反省しなくてはならぬ点がたくさんあると思うのです。先ほど申し上げましたダンプだけを規制してやっておる、これもざる法であった。それからまたそれに関連して、いわゆる免許を出して運輸省の監督指導下に完全に置かすような方法等も講じなかったという問題、あるいは先ほど当委員会で問題になっておりました自賠償における金額を三百万を五百万、六百万、もちろんこれは死者を出す場合を想定してやるのではなくて、ある面ではそういう方々に対する一つの精神的戒めの問題等も出てくるわけであります。われわれ国会議員としても非常に反省しなくてはならない点等たくさんあるわけでございますけれども、今回の事故全般を通じてみまして、私が一番強く感じましたのは、白ダンプの一匹オオカミの野放しということを一昨年やりながら、実はそういう運送法違反をやっておると思われる、こういうのが非常にまだ町にはんらんしておる、これに対して何らかの規制なり方法というものを考えなくてはならないということでございまして、今回の事故に対しましては、警察当局、あるいは建設省運輸省、皆さん方非常に努力していただいておる点につきましては、感謝申し上げる次第でございます。  宮崎室長にひとつ伺っておきますが、あなたはこういういろいろな交通安全関係の中心でいままでいろいろ努力されてきておりましたが、私が先ほど申し上げましたいわゆるダンプ以外の平ボデー問題について、何かこういうものについての規制とか研究とかいうような、あるいは法律的な何らかの処置ということについて検討されましたか、されなかったですか。
  179. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 総理府といたしましては、御指摘のいわゆるダンプ規制法ができましてから、その趣旨を体しまして、現在ダンプ規制法におきましてはその積載物によってこれは政令で規定しておりまして、それにのみダンプ規制法——そういうような積載物を搭載して運ぶ大型トラックのみを対象にしておりますが、積載物の中に、現在法律、政令で規定されていないものについても同様な状態になるものがあるのではないか、こういう見地から政令の内容につきまして検討したことはございます。しかしながら、ただいま御指摘のように、あらゆるトラックにつきまして、それがいわゆる白トラと申しますか、白ナンバーで事実上もぐりで営業行為を行なっているものに対して現在の道路運送法による規制、これは具体的に申しますと、罰則の適用ということでありますが、それ以外に特殊の立法措置検討したことはございません。
  180. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 もう一つ、それでは宮崎さん、今回の事故に際して、いま私が建設、運輸、警察の皆さんと応答した中で、あなたは道路運送法の第四条の問題とおっしゃっておられますが、それ以外に何か必要であるということを感じられましたか、感じられなかったですか。
  181. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 いわゆるダンプ規制法が成立いたしました時点におきましては、実態といたしましてそのようなもぐりの白トラが非常に多いのはダンプカーである、こういう認識に一応立っていたわけでございます。本日のいろいろなお話を伺っておりますと、あるいはそのダンプカー以外にももぐりのいわゆる白トラが多数おりまして、それが交通事故の多発の相当大きな原因となっておるということがかりにあるといたしますと、その点につきまして何らかの規制を加えなければいけないのではないか、かように考えております。
  182. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 田中先生からこの問題について関連質問がございますので、私はこれで終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
  183. 内海清

    内海委員長 関連して、田中榮一君。
  184. 田中榮一

    田中(榮)委員 警察庁の局長にちょっとお伺いしたいのです。  いまの中西賢三運転手ですね。さっき局長がいままでの前科といいますかそれを言いましたが、もう一回ちょっと言ってくれませんか。
  185. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 現在調べておる段階では、四十一年の七月以降道交法違反で六回罰金または反則金を納めております。その内容は、積載制限違反が三件、速度違反が三件であります。
  186. 田中榮一

    田中(榮)委員 行政処分で免許の停止とか何かそういうのを受けた前科はございませんか。
  187. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 行政処分につきましては、この違反と関連いたしまして四回の行政処分を行なっておりますが、四十二年八月に三十日の停止処分、それから四十三年一月に五十日の停止処分、それから四十三年九月に七十日の停止処分、同じく十一月に九十日の停止処分でございます。
  188. 田中榮一

    田中(榮)委員 いまお伺いしただけでも、総計しますと、これはおそらく二百日くらいになるのではないかと思うのです。しかも四十二年の八月から四十三年の十一月ですから、一年と三カ月ですか、その間に二百四十日の行政処分を受けておるのですね。私はこういう運転手が公然と道路の上で運転しておるということが、いわゆる公共の安寧にはたして合致するかどうかということなんです。先ほど局長から、こういう運転手については今後どの程度の停止になるか、あるいは取り消しになるかわからぬけれどもというようなお話があったのですが、これは国民感情からしまして、それから常識からしまして、こういうのは即日免許を取り消すのが至当じゃないのですか。おそらくここで聞いていらっしゃる方はみんな、いま局長の何日、何日ということを聞いて驚きの声を発していたですよ。これは司法処分におきましては、刑事事件としておそらく体刑になると思うのです。一年ぐらいの体刑になる。だからわれわれとしましては、道交法の百三条に「免許の取消し、停止等」という規定がありますね。その第二項第三号にこういうことがあります。「前二号に掲げるもののほか、免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき。」は、公安委員会は政令で定める基準に従って免許を取り消すか、あるいは六カ月をこえない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる、こういう二つの規定がありますね。私は、いま「政令で定める基準に従い、」というその基準を持っておりませんから、どういう基準であるかわかりませんが、もし政令で定める基準に今回の中西賢三君の行為が該当するならば、当然これは取り消しに該当するものじゃないかと思う。  昨晩の九時にテレビのニュースで出たのをごらんになりましたか。遺族の方が棺おけにみんな取りすがって、大きな声を出しておいおい泣いておるのがテレビを通じて聞こえる。そして一方今度はテレビの画面がかわると、現場検証みたいのがあった。その際に多数の警察官その他の前にいまの中西賢三君という運転手が腕組みをして、こうやって話をしておる。九人のとうとい人命を失い、しかも多数の負傷者を出したその関係者の一人ですから、少なくともそういうときにはもっと敬虔な姿であってほしいと私は思う。その運転手がしかも腕組みをして、取り締まり官に対してごう然として答えをしておるのですよ。ああいう姿を見ますと、中西という運転手は精神的に一つの欠陥があるのじゃないか。欠陥があればこそ、過去一カ年の間に四回もこのような何十日間という行政処分を受けて、なおかつてんとして恥じず、しかも良心には何にも感じずにこのような大きな事件を起こしておる。こういう者には将来絶対にハンドルを握らすべきではないということを私は申し上げたいわけであります。岡山県下にこういう者がのさばっておったら県民の大きな迷惑であります。ひとつ岡山県民ばかりではない。これは日本国民の迷惑ですよ。したがって、こういう者に対しては極刑をもって処すべきである。その極刑というのは法律に従った極刑だ。法律に従って、いわゆる免許の取り消しをすべきじゃないか。将来こうした者が再びハンドルを握ったならば、必ずやどこかでまた人命をそこなうような大きな事故を起こすのでありますから、ひとつ取り締まり当局もそういう点を十分処分の上において考えていただきたいと思うのであります。今回五回目だから、この前九十日やったのだから今度は百十日間ぐらいやろうか、そういうそろばん勘定ではなくして、とうとい人命というものを考えてぜひひとつやっていただきたい、これだけを申し上げておきます。
  189. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 田中先生御指摘の点はまことに同感でございます。従来の行政処分四回ございましたが、これは法律で委任した政令の基準に従いましてやっておるわけでございます。今後はこういう累積したものについては点数制度で厳重にやられると思います。  それから今度の事件につきましては現在捜査中でございますが、かりにこの中西運転手の一方的な責任であるということになれば、現在の政令の基準でもおそらく取り消しになると思います。
  190. 田中榮一

    田中(榮)委員 もう一言申し上げます。  先ほど同僚加藤委員からもお聞き願ったのでありますが、原田運輸大臣の説明の中にも、今回のバスは観光バスじゃないのですね。毎日そこを通過する通勤バスというか普通のバスなんです。だから運転手もそのときの状況、環境、地理というものは相当頭にあるのじゃないかと思うのです。観光バスの運転手がたまたまそこを通ったというのでなくして、相当土地勘があるのじゃないかと思うのですよ。だから常識的に申し上げますと、私は先ほど局長の言われたように、過失はバスのほうでなくして、トラックのほうにあるのではないかという推定ができるわけなんです。そういう点からいってこの運転手の処分については、ひとつそういう点も十分考えて、いわゆる社会に対して将来不安を来たさぬような応分の処分をしていただきたい。これを重ねて申し上げたいと思います。  終わります。
  191. 内海清

    内海委員長 本会議終了後再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時三十八分休憩      ————◇—————     午後五時三分開議
  192. 内海清

    内海委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する等の法律案を議題とし、質疑を続行いたします。久保三郎君。
  193. 久保三郎

    ○久保委員 一言、法案についてお尋ねいたします。  これは単純なことでありますが、この整備事業計画は、内容が三カ年計画という緊急整備措置法という、そういうところから三カ年というようになっているのだろうと思いますが、何か特別に意味がないとするならば、現在における安全施設の実態から見てもう少し別な法律的な制度考えてみたらどうかと思うし、それから別な席でお尋ねいたしておいたのでありますが、道路の改良あるいは構築というか、そういうものに対する態度、方針というものを安全サイドからもう一ぺん組み直してみたらどうか。そういう考えからするというと、三カ年間の計画というようなものはどうも食い足りないというか、そういう面で十分でないのではなかろうかというふうに思うわけです。もちろん今度の法案では中身がそれぞれ地方における単独事業、これに対しても助成の道を開くというのでありますから、これは前進であることには違いないと思うのであります。この問題は、交通安全施設法律はこれだけではなくて、もう一つ踏切道改良促進法というのもございます。これは直接的な安全の問題でありますが、こういうものもひっくるめてひとつ総合的に施設は施設として明確にやったほうがいいのではないかというような意見を持っているのでありますが、これは建設省のほうかもしれませんけれども、これはどういうふうにお考えであるか。  それからもう一つ、この法案では、言うならば地方単独整備事業に対して助成をする。それからそのほかに必要な財政上の措置を講ずるようにつとめるというか、そういうようになっていますが、財政上の措置というのはどういう程度のものであるのか。これはいままで御説明があるいはあったのかもしれませんけれども、ちょっとよくわかりかねるので、この点をお伺いしたい。  大体この二つについてお答えをいただきたい。
  194. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 ただいまの御指摘の第一点は、およそ交通安全に関しまする施設の整備面につきましては、広く、総合的な計画立てるべきではないかということを拝聴したわけでございますが、この点につきましては、現在率直に言いまして総合的な計画と名のつくものは、個別的にはただいま御審議願っております三年計画のほかにはございません。そこで、この点につきましては、ただいま総理府において立案中でございますが、いわゆる交通安全対策基本法というのがかりに制定されますと、その中で交通安全施策全般につきまして基本計画を策定すべきことになっておりますので、いずれそういう時期が参りましたら、その基本計画の態様といたしまして先生御指摘のような総合的な施設計画立てたいと思っております。
  195. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 まずこの三カ年計画にしたという点でございますが、現行の三カ年計画は四十一年から四十三年まで行なってまいりました。また現在の道路五カ年計画は、これは四十六年になっております。その中でもまだ三年残っておるということでもございます。まず、いまの現行計画から私たち実施いたしまして感ずることは、やはりまだまだ車と人との事故が相当絶えない。実際私たちも現地を歩きますと、歩道というのは非常におくれているのじゃないかというような感じを受けるのでございます。そういう意味で、まず今度は現行の三カ年計画は各種のものをとりまして、それを早急にやらなければならないものを各種いろいろやったわけでございます。今度の三カ年計画はいろいろなものをやりますが、その中で特にいまの歩道に重点を置いてやってまいりたいというふうに考えております。  さらにこれが四十六年までで終わる、それからどうなるかという問題でございますが、道路五カ年計画をそのときにどういう形にするか、そういうこともございまして、またそのときに、いわゆる全体の交通安全の施設というものを現在の交通安全施設と同じ形でいいのかどうか、その辺も相当そのときになって考えていきたいと思います。  道路の改築に伴います安全施設も今後相当やるつもりでございますが、たとえば一例をとってみますと、昨年の飛騨川の事故もありまして、山の中の道路で土砂崩落が相当多い、土砂崩落の対策といたしましてことしも相当考えておりますが、これなんかが、道路改築でやる場合、維持でやる場合、修繕でやる場合、いろいろ分かれておるわけでございます。こういうようなものを将来どうするかという問題が、確かに今後の検討事項とされております。  また、踏切道の改良の問題につきましては、これは通学路法によりまして、とりあえず必要な平面の踏切道の拡幅、舗装等をやったのでございますが、どっちにいたしましても、やはり踏切道というのは立体交差にするか何かしないと最終的な目的を達せられないということもございまして、いま道路改築の中では単独の立体、鉄道の連続高架による立体化、こういうものも相当進んでおるような状況でございます。道路事業の中で交通安全に寄与するものとしては、大部分が交通安全に寄与すると考えておるのでございますが、いま言いましたような踏切道の改良促進法その他のいろいろな道路整備の中で、全体の道路の改築の中で安全施設を強化してまいりたいというふうに考えております。また、単独の問題でございますが、これは、現在道路の改修、国が負担または補助する事業のほかに相当な道路単独事業が行なわれております。その中で、やはり当然、こういうような国が補助または負担いたします一種事業につきまして、それと一緒にやったほうが効果の多いようなものを単独事業としてやっていただくというような主張をしてまいりたいと思います。これの財源といたしましては反則金その他があると思いますが、そのほかに、必要な場合には特別交付税を配分していただきたいというふうに自治省のほうには申し入れております。また、起債その他のめんどうも見てもらいたいという話も申し込んでおる次第でございます。
  196. 久保三郎

    ○久保委員 道路全体としては、いま局長おっしゃるように、道路整備五カ年計画というものがあるわけであります。だから五カ年計画は、六兆六千億というか、そういう中には当然交通安全というかそういう施設を含んで編成し直すことが一番いいのではないかというふうに思うわけでございます。緊急五カ年計画は五カ年計画で改良計画をやっていく、片方のほうは緊急整備で、安全施設のほうは三カ年計画。ものの考え方は、道路局なら道路局をとれば同じだろうと思うのでありますが、必ずしも同じじゃないのじゃないかと私は思っています。たとえば補助の問題一つとっても、五カ年計画でやる場合と整備事業の中でやる場合とはおのずから違ってくると思うのです。しかし道路整備全体から見れば、同じように並行してやらなければならぬというような問題がありはしないか。だから私が言いたいのは、どうもばらばらの制度のようだから、一本にまとめて、安全サイドからひとつ組み直していったほうがより効率的ではなかろうかということを申し上げているわけです。  一つの例で、これも別の席で申し上げたかと思うのでありますが、私の選挙区ではないのでありますが、私の県に現実にあったので、いまは改良されたんじゃなかろうかと思うのでありますが、道路改良で道路が拡幅になりました。そこはT字路でありましたが、今度は十字路になりました。これは広い十字路になりました。道路のほうはできたんですね。ところが信号機も警察もそこにはつかぬという、しかもあれはたしか国道五十号というのですか、水戸から宇都宮のほうに行くのでありますから。そういういなかにすればメーンの道路——町のまん中ですよ、警察署は十字路の角にあるのです。それで、まん中で、警察が見ている前で、自動車が互い違いに、十文字でにっちもさっちも動かぬ形で長時間やっているわけです、昼の日中。これなどはだれが責任を持っているんだろうか、あまりにもお役所仕事といえば典型的なお役所仕事であるように思うのです。だから今度の緊急整備事業のこの改正にしても、この中にはそういうのは含んでおらぬようでありますけれども、やはりそういう全体を含めての施策が必要じゃないか。私はこれを見て腹立たしくなったのです。法律制度はどうなっているのか知らぬけれども、目の前に道路が開通していて、それで自動車がくし刺しになっているわけだな。こういうことで通行人は通れませんよ。あぶなくて横断できない。どっちから来るんだかわからぬ。これは一つの例でありますが、どうも安全サイドというか、道路をつくるほうは道路をつくればいいんだ、信号機をつけるほうは信号機をつければいい——道路というのは、いつかも言ったように人間あるいは車を円滑に往来させる一つの用具というか、施設なんですね。ところが道路は拡幅してりっぱになったけれども、実際には通れぬというのです。ばかばかしい話ですよ。そういうものを反省してみる必要がありはしないかということであります。これはよそにもあるのじゃなかろうかと私は思うのであります。幸い総理府で一元的に政策のほうは調整することにはなっているのでしょうが、実際の仕事になるというとこれは各省庁ばらばらであるといっても過言じゃないと思うのですね。安全の問題でありますから、別のことと違うから、少しは考えてもらいたいということであります。この次にまたもう一ぺんどこかにあったらよくまたお話ししますが、ないことを希望します。  それからもう一つ、いま宮崎室長おっしゃるように、交通安全基本法というのは、われわれは前の総選挙の直後、公約に基づいて実は国会に提案してまいりました。去年の通常国会に出して、ことしのこの通常国会にはまだ提案をしておりません。いつでも提案できますが、ただ問題は、政府のほうが、隗より始めよといいながら、いまだに提案してきていないのでありますから、これはどうなるのだろうかという見きわめをつけてからわれわれのほうの基本法も一応出し直そうという考えでいるわけなのであります。当初言ったようにわれわれは自分の案を固執するわけではない、決して。ところがいまだに、政府部内でまとまりがつかないのかどうかわかりませんが、出てこぬというのはいかなる政治的な問題があるのか、あるいは事務的な問題があるのか知らぬけれども、公約違反もはなはだしいと私は思うんですよ。それでほかの党が提案というなら阻止するかまえです。言うならば、われわれの善意を踏みにじって、しかも新聞や何かにちらちら出ているのを見ると、われわれの考えている基本法とはちょっと違うようです。交通安全対策基本法というので半ば会議を中心にして何かやっているようなものでありまして、必ずしもわれわれの考えとは十分一致していない。私はよくわかりませんけれども、従来この委員会の中での話もちらほら聞いている。十分各党の意見を参酌しているというが、いまだかつて正式に政府のほうから、あるいは与党のほうから、野党である社会党にそういう話は聞いておりません、はっきり言って。だからこれから提案する前に正式にそれじゃお話があるのかないのか、提案は間に合うのかどうか、提案する準備は整ったのかどうか、もしそうでないとするならば趣旨はどこにあるのか。これは決して党利党略の立場から申し上げるのではなくて、いまも一つの例を申し上げたとおりでありますから、われわれは交通安全の基本方針というか、そういうものを明確に打ち出して、その政策の行くところをちゃんと示していこうじゃないかということで、二年越し提案して提唱しておる。だからその辺はどうなのかひとつお答えをいただきたい。
  197. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 交通安全対策基本法がだいぶおくれているではないか、かねて先生方にも御心配をいただいてそれぞれの党から出たようないきさつもあった経過にかんがみて、今度はいち早く出るだろうと期待しているのになかなか出てこない理由は何かというお話でございますが、交通安全対策基本法の立案作成については、ただいま私どものほう、総理府において、関係各省庁とほとんど最終的な調整を行なっている段階であります。方々の省に関係をいたしまするから、先生御推察のようにいろいろ問題があったのでありますが、それらはほとんど妥結をいたしまして、いま一、二の点について若干の調整をすることが残っている段階であります。したがいまして、至急に調整を行ないまして、法案の提出の手続を完了いたしたい、その暁には何とぞ慎重な御審議を賜わりたい、もう間もなくそういう段階に立ち至る、こういうつもりでおります。
  198. 久保三郎

    ○久保委員 出てきてから審議はいたしますけれども、そういう手続の前に、それがいままでの申し合わせというか、話のようにいくならば、提案前に一応のお話があってしかるべきだと私は思っているわけです。しかしそれは別に固執はしません。われわれはわれわれで出したいと実際は思っている。そういう基本的なものの考え方や何かはやはり明確にしていったほうが、今後のためにもいいだろうという考えを持っている。しかし、いずれにしても政府が出さぬことには、これは一人相撲であります。一人相撲ではどうにもなりません。しかも二年間も一人相撲をさせられているのですから、もういいかげんにわれわれもしびれを切らしている。われわれの案が完全だというわけじゃありませんけれども、いま副長官がおっしゃるにはもう間もなくだというから、もう少し待ってみましょう。しかし国会もなかなかデリケートな段階でありますから、ほんとうはこういうものはてっペんに出してくれるのがほんとうだと私は思うのですよ。しかし、いずれにしても出てくればそれは審議さしていただくことにしまして、一応質問を終わります。ありがとうございました。
  199. 内海清

    内海委員長 関連として、山田耻目君。
  200. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法について、さきの委員会、きょうと、いろいろ質疑を続けてきたのですが、道路局長にしても、あるいは担当各省にしても、とにかく整備事業は四十三年度末までには大体みんな終わると、こういう話を聞いていて、喜んでおるわけですが、私たちが国会でこの委員会を持っているのは、そういう法律をいじっている仕事ではないし、問題は交通事故が減ったかふえたかということに深い関心を持たなければいかぬのです。依然として交通事故はふえていく一方です。そうして、やる法律というものはあとからの手当ての法律ばかりです。これでは私は本委員会の任務は済まぬと思っているのです。だから、この法律を間もなく通してもいいと思うのですが、この法律によらないで、あるいはこの法律をもっと充足をさせて、起こりつつある交通事故をどうしたら減らすことができるか、抜本的な施策をやはり聞いておきませんと、紙切れに書いた法律を通しただけでは、私は意味がないと思いますから、それを総理府並びに建設省関係から聞きたいと思います。
  201. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 先生の御指摘の問題は全く同感であります。四十一年、四十二年、四十三年度にわたる三年計画を御審議賜わりまして、それでやってまいったのでありますが、そこで予定されたものは、あとで詳細御報告をいたしますが、ほとんど網羅されてでき上がっていたので、全然でき上がっていなかったとか、だいぶ取り残したというのではない。ところが、それでありながら御指摘のように交通事故一つも減らない。ますます激しくなってくる傾向にありますので、ただいま御審議いただいて、四十四年、四十五年、四十六年の計画立てようと考えているわけであります。いままではあと追い投資でしたが、いささか先行投資的な傾向もこれで見られるのではないかと思うのですが、それではそれで安心かというとそれでも安心ではないというので、いまおしかりを受けたのですが、交通安全基本法を鋭意調整してつくって御審議を賜わり、そしてなお一段高いところからあらゆるものを総合してひとつ検討していかなければならぬじゃないか、こういうふうに考えておるのでありますが、いかがでございましょう。
  202. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 私にもこれが交通事故を撲滅するのにきめ手になるというものはないのですよ。ただ問題は、交通事故概計を見ますと、人対車の事故が三一・四%もありますね。これは世界でもあまり例のない事故です。これは私は原因ははっきりしていると思うのですね。歩道が少ないということなんですよ。道路というのは車が通る道であって、人間が通る道ではなくなっているのです。ここにやはり人対車の事故があるのですから、一体歩道をつくり上げていくということをこれからどのような計画で何年で完了する、こういうようなことぐらいは為政者としてなければ、私はほんとうに意味がないと思うのですよ。そこで現在日本の国道で歩道は何%ついているか、それはきょうキロの説明がございましたけれども、パーセントで見て、いわゆる国道に対して歩道は何%ついているか、これをひとつ聞いておきたいと思います。
  203. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 現在国道総延長で二万七千キロございまして、その中で四十四年の三月までに歩道の延べ延長でいいますと五千百キロ、これは左右両方を計算に入れておりますから、両側にあるということになりますとこの五千百キロの半分、二千五百キロぐらいしかないということで、まだまだ国道の中で歩道のできておるパーセントはわずかだと思います。これから私たち新しいバイパスその他をつくるときには、これも必ずいわゆる車道と区別いたしまして、自転車、歩行者通行帯というようなものも今度の構造令の改正に入れまして、そういうような歩行者、自転車を車道から区別していくような形で構築していきたいと思います。現状はまだまだ歩道が足りないということを私たち痛切に感じております。今後の三カ年計画でも、歩道を一番重点にしてやってまいりたいと考えております。
  204. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 国道は二万五千キロとおっしゃいましたが、歩道のほうは両側で言ってもらわぬでいいのです。二万五千キロに対して五千キロなんていわれると、五分の一できているようですが、それの半分ですと十分の一ですから、一割ということです。それははっきり答えてくださいよ。私は委員会でそういう質問をやりとりをするのはおかしいと思うのです。それははっきりしてもらわなくちゃいけません。一割ですから、人間の通る道路はきわめて少ないのですね。ですから、この三カ年計画計画どおりに完了したら、どれぐらい歩道が完成していくか、いかがでございますか。
  205. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いまの新しい私たちの計画している三カ年計画、これは今後積み上げていって多少数字は変わるかと思いますが、大体いまの予想では四千五百キロぐらいの歩道が完成されると考えております。
  206. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 それは片側ですな。やはり両側ですか。
  207. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 たとえば橋梁みたいなものについては、とりあえず片側だけでも早くつくりたいということで、まず私たち、当然両側の必要なところは両側つくりますが、とりあえず片側つくる場合も考えています。
  208. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 これもたいへん重大な問題で、そのことが事故をなくしていくのに少なくとも人対車の事故の中の大きな要素を占めておりますから、これはすみやかに歩道をつくってとうとい人命を救済していく、こういう立場に立って、積極的に進めていかれるように要望しておきます。  それからこれはどこになりますか、警察庁ですかわかりませんが、現在やはり車が非常にふえてきておる。その車のふえ量と道路の伸び率とがうまくバランスがとれていない。道路の伸び率は何%くらいか、私わかりませんけれども、車の伸び率は一八%程度伸びておりますね。事故率も一八%程度伸びております。こういうふうに考えてまいりますと、好きとかきらいとか言ってみたってしかたがないので、結局自動車が多いということになるのですよ。道路に比べてみて自動車が多い。自動車は、自動車産業が売らんかな売らんかなで、つくらすことを一生懸命慫慂しておる。そして道路は狭い。ますます渋滞してくる。そこに車対車、人対車の事故が続発しておる。車の伸び率は事故の伸び率と同じ伸びでいっておる。こういうふうな状態というものは、はっきりわかっておるのですよ。こういう場合には、道路が伸びていく伸び率に合わして車の許認可をさしていく、こういうふうな具体的な施策をとりませんと、こういう事故は減っていかない。で、たまに七人とか八人とか死ぬと大きく新聞に出ますけれども、毎日一人ずつ死んでいくような事故は新聞に出ていませんが、少なくともここ五年間に死んだ人たちは八万人をこえていると私は思うのです。交通事故を受けた人たちは少なくとも三百万をこえておる。これはたいへんな戦争ですよ。これがよく原因がわかっていながら、なぜ道路の伸び率に合わして自動車台数制限ができぬのだろうか。これは少なくとも通産省にやれということは無理でしょうから、やはり道路管理の立場に立つ建設省であるとか、あるいは警察庁であるとか、総理府であるとかという立場から、そういう世論を受けて前に向かって行政措置を進めていくという態度をとらないと、この委員会幾らさか立ちをして法律の議論をしてみたって、原因をきわめていくために措置する施策は生まれぬと思うのです。そこらあたりはどんなお考えでございましょうか。
  209. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 山田先生お話、非常に重要な示唆を含んでいるものと承ったわけであります。  そこでお話は、道路の伸び率に合わせて自動車を売らせろ、それ以上に自動車がちまたにはんらんするから事故が起こるのではないかというお話ですが、全くそのとおりでありますけれども、ただ一がいに自動車を売らせないといってもなかなか容易なことでない。経済成長がこれだけ伸びてきたのもやはり交通機関の発達が経済成長に寄与した、経済成長が伸びたから自動車がふえたのかもしれない。この点は非常にむずかしい問題ですから、確かに考えなければならない重要な問題であって、これの一体元綱を握っているのはだれかといえば何か総理府のような感じがいたしましたので、あまりわからないのに立ち上がったわけであります。今後もそういう点についてはぜひひとつ先生方のお知恵も拝借して十分に考えていかたければならぬ。いまのお話は世間でも真剣になってそういうふうに言う人がいるのです。そこでただ簡単に考えられるかどうかということになりますと問題ですけれども、それは先生がいま通産省に答えろといっても無理だなと言われているところに含まれているわけです。しかし重要な問題ですから、今後とも私のほうで各省連絡、さらには各党とも御連絡を申し上げてそういう点について詰めていきたい、こう考えておりますので、御協力お願いいたします。
  210. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 非常にむずかしいことに対する答弁だから、答弁自身もむずかしいのだと思いますが、いま私が歩道関係、それから車の制限をしたらどうかという関係、これは考えられ得る一般的な状況判断なのですね。そこで多少ことばのやりとりも現実を踏まえておりますから、お互いにきびしさをわきまえておって言いませんけれども、そういう状況判断の中におきましてこれはできると思う。これだけはぜひこの三カ年計画で完全に消化をしてほしいと思いますのは、最近地方国道に行きますと片道一車線がまだ非常に多いのですね。ところが大体一日一万八千台以上の交通量というのがほとんどです。しかもそれが日中から大体十時間ぐらいのうちに一万八千台の八割近くが通っております。そういうふうになってまいりますと、いわゆるバスの停留所ですが、片道一車線になりますと、最近のバスは御存じのように大型になってきました、トラックも大型になってきました、そのために一車線完全に占領してしまいます。一分なり一分三十秒停車をしていると、少なくとも二秒間に一台程度車が走っておりますから、おそらく二、三十台ずっと並びます。それを追い越そうとしてあせって事故を起こすということもふえてまいっております。だからやはりそういう一車線のところに、追い越しの線路がないところにバスの停留所を設けるということはやめさせたい。この安全法の中にもございますし、建設省の行政指導、警察の指導の中には、最近はバスの待避線といいますか、乗降場を道路を広げてつくっておりますね。これは指導要綱の中でおやりになっているようですが、この三カ年計画の中では完全に実施をしてしまう。  それから運輸省とか陸運局の関係ですけれども、バスの停留所はそういうことを用意しなければ認可をしない、許可をしない、これは私は簡単だと思うのです。それでもやはりいろいろ文句は出ますよ。その停留所をつくる道路の拡幅について費用はみな国が持つのか、そういう予算はない、業者に三分の一ぐらい持たしたらどうか、鉄道の線路を敷くのはみな鉄道持ちだ、こういうような意見もあるのですよ。しかしいずれにしてもこのことだけはやってしまいませんと、このことをやったら事故が何割減るか見当はつきませんけれども、やることによって事故が減ることは間違いありません。いま指導要綱でおやりになっているようですから、これを完全にこの三カ年間に実施をするということぐらいは約束してもらえるでしょうね。
  211. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいまのバス停車帯の問題でございますが、ことに先生のおっしゃられたように二車線道路については、非常に交通量が多いところにはバスの停車帯がないと非常な停滞を来たしてくるわけでございます。現在の三カ年計画では大体九百七十七カ所をやったのでございますが、今度の計画ではさらにこういうものにも力を入れまして、これからどの程度の数字が出てくるかまだ推測の域を脱しませんが、大体二千二百カ所ぐらいはやりたいと考えております。ただそういうような二車線の道路で交通量が一万何千台ということになりますと、これはやはれ道路そのものを広げなければいけないのではないかと思います。と申しますのは、パスが停車帯に入りまして、それからまたバス自身がなかなか本線に出られないようなことにもなりまして、そうなりますとバスの運転手も端に寄らないということにもなりかねませんので、こういうバスの停車帯を今後つくりますと同時に、そういうところの道路のバイパスなり改良、こういうものをあわせてやってまいりたいと思います。
  212. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 そういうところは道路が狭いのですよ。しかしこれを広げるとおっしゃいますけれども、広げるためには今日どれだけ用地の買収とかその他で苦労をなさっているか承知をしていますよ。そのために気持ちはあってもなかなか作業は進捗をしない。こういう事態が多いのですから、少なくとも一番実現可能なのは停車帯の設定なんですよ。停車帯の設定で——車がとんとん毎日続いておるわけじゃないですから、そこらあたりは、停車帯に入っておるバスが出るのまで御心配なさらぬでもいいと私は思います。いま私が聞いておるのは、バスの停車帯をつくったらそのバスが本線へ出るのに苦労するかどうかということを聞いているのじゃない。停車帯をつくることが事故防止になりますよ。いまおやりになっているけれども、遅々として進まない。緊急の度合いに応じてやるということでいままでの三カ年で九百七十カ所ぐらい、それではまだ非常に速度がおそいから、この三カ年の計画で、少なくとも大型バスを使っているバスの路線については停車帯をつくりなさい。これは道路を拡幅するよりか目安いことですよ。しかも、あしたからできればその部分についての事故は減ってきますから。これはぜひともひとつこの三カ年で実行できるように——きょうここでお約束願ったからといって、すぐ実行されるとは私も思いませんけれども、少なくともこの委員会事故をなくする前向きの姿勢としては、この三カ年でやり切ってしまうぞ、これだけの決意は表明してもらいませんと、なかなかこんなのを通すわけにはいきませんよ。通したら何もかもよくなったというのじゃない、通したって意味はないのです。だから、そういうふうに具体的な措置をしていくように、ここでひとつ決意の表明をしてほしい。
  213. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 先生の御趣旨私もそのとおりだと思います。やはり三カ年計画でできるだけバスの停車帯を実施してまいる、それと同時に、道路の改良でも局部改良その他これに匹敵するようなものもやってまいりたいというつもりでございますので、そういう覚悟で今後進みたいと思います。
  214. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 どうもたいへん歯切れが悪いのですけれども、しかし三つばかり申したことは——何も私はここでいまじらを言ってやめろという意味じゃないのですが、いま申し上げた問題は非常に重要な問題ですから、これからまたこの委員会の審議の過程の中でもっと具体的に、もっと建設的に、まとまるものについてはこの委員会でやっていきたいと思いますから、きょうはひとつ序論のつもりでお聞きいただいて、ただいまの決意は歯切れが悪うございましたが、この次には歯切れがいい答弁をしていただくことにして、きょうはこれで終わります。
  215. 内海清

    内海委員長 ほかに質疑はありませんか。——なければ本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  216. 内海清

    内海委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  217. 内海清

    内海委員長 では速記を始めて。  次に本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  内閣提出交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する等の法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  218. 内海清

    内海委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  219. 内海清

    内海委員長 この際、稻村左近四郎君、山田耻目君、河村勝君、北側義一君から、四派共同提出をもちまして、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  本動議を議題とし、その趣旨の説明を求めます。稻村佐近四郎君。
  220. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表いたしまして、本案に対する附帯決議案の趣旨の説明を申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたつては、次の点について必要な措置を講ずべきである。  一 本法による交通安全施設等整備事業の促進をはかるとともに、道路整備事業の実施にあたつては、交通安全施設等整備について、十分遺憾なきを期すること。  二 地方単独交通安全施設等整備事業に要する費用については、地方公共団体の財政事業を考慮し、いやしくも、地方公共団体の財政を圧迫せざるよう交通安全対策特別交付金等の必要な財政措置について、配慮すること。   右決議する。 以上であります。  本趣旨は、委員諸君の質疑等で十分明らかになったことと存じますので、説明を省略いたしますが、何とぞ委員各位の御賛成をお願いいたします。
  221. 内海清

    内海委員長 本動議について採決いたします。  本動議のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  222. 内海清

    内海委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は稻村左近四郎君外三名提出にかかる動議のごとく、附帯決議を付することに決しました。  この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。荒木国家公安委員長。
  223. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 ただいま超党派で、満場一致で御決議いただきました本法案についての附帯決議、一々ごもっともであると拝承いたします。政府としましては、御趣旨を体しまして万遺憾なきを期する努力を具体的に進めていきたいと存じます。(拍手)
  224. 内海清

  225. 渡辺栄一

    ○渡辺政府委員 ただいま各党一致せられまして御決議をいただきました附帯決議につきましては、きわめて緊要な措置であると信じておりますので、万全の措置を講じまして、遺憾なきを期したいと思っております。(拍手)
  226. 内海清

  227. 鯨岡兵輔

    鯨岡政府委員 附帯決議の御趣旨はまことにごもっともだと思いましたので、御趣旨を体してできるだけの努力をいたすことにいたします。(拍手)     —————————————
  228. 内海清

    内海委員長 おはかりいたします。  ただいま議決されました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  229. 内海清

    内海委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  230. 内海清

    内海委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十九分散会