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1969-03-18 第61回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月十八日(火曜日)    午後一時十二分開議  出席委員    委員長 内海  清君   理事 稻村左近四郎君 理事 大竹 太郎君    理事 田中 榮一君 理事 山口シヅエ君    理事 山田 耻目君 理事 河村  勝君       加藤 六月君    亀山 孝一君       川野 芳滿君    太田 一夫君       久保 三郎君    小川新一郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         建設政務次官  渡辺 栄一君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         厚生省医務局次         長       北川 力夫君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部保         安課長     森永 昌良君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部土         木課長     山本 正男君         運輸省自動車局         整備部長    堀山  健君         日本国有鉄道施         設局長     北沢 秀勝君     ――――――――――――― 三月十八日 委員松本忠助君辞任につき、その補欠として小  川新一郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月六日  交通安全施設等整備事業計画期間延長に関す  る請願(井出一太郎紹介)(第一〇四三号)  同(小川平二紹介)(第一〇四四号)  同(小沢貞孝紹介)(第一〇四五号)  同(吉川久衛紹介)(第一〇四六号)  同(倉石忠雄紹介)(第一〇四七号)  同(小坂善太郎紹介)(第一〇四八号)  同(下平正一紹介)(第一〇四九号)  同(中澤茂一紹介)(第一〇五〇号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第一〇五一号)  同(原茂紹介)(第一〇五二号)  同(平等文成紹介)(第一〇五三号) 同(林百郎君紹介)(第一二九一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月六日  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の  存続等に関する陳情書  (第七八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の  一部を改正する等の法律案内閣提出第五四号)      ――――◇―――――
  2. 内海清

    内海委員長 これより会議を開きます。  内閣提出交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する等の法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。太田一夫君。
  3. 太田一夫

    太田委員 最初に、総務長官お尋ねをいたします。  それは、交通安全基本法のことでございますが、本国会の会期というのも余すところわずかになったのでありますが、どういうかげんか、いまだに基本法提案されてまいりません。昨年の暮れでございましたか、わが党の久保委員から、促進に関する意見等がなされまして、調整をしておるけれども必ず出すからというような御回答であったと思うのです。一向に出ないのはどういうわけか、またどういう点に問題があっておくれておるのか、ひとつ御説明をいただきたいと思うのです。
  4. 床次徳二

    床次国務大臣 基本法制定に関しましては、委員各位から非常な御支援と激励をいただいて感謝にたえない次第でありますが、政府といたしましては、これをできるだけすみやかに提案するつもりで鋭意努力をしておる次第であります。ほとんど各方面の調整を了しておりますが、ただ一点とでも申しまするか、調整ができない点があるのでありまして、調整でき次第、直ちに法制局の審査を経まして御提案をするという段取りになっておる次第であります。
  5. 太田一夫

    太田委員 それはいつごろの見通しでございますか。
  6. 床次徳二

    床次国務大臣 現在調整中でありまして、できるだけ早く結論を得たいと思っております。大体私どもはこの妥結ができるのではないかと思っております。妥結次第正式提案手続急ぎたいと思っておる次第であります。
  7. 太田一夫

    太田委員 交通安全基本法というのが出てまいりませんと、交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する等の法律案というのも、実はその中の一環でありましょうから、基本法精神によってこれを審議しなければならぬと思うが、基本法がない。それで、ただ単に建設省中心とするところの施設整備法案の改正というのが三カ年計画をもって出されたということでありまして、これを審議するのにははなはだ心もとなさを感ずるのでありますが、必ず本国会において成立すべく、提出については努力をされるということは確信をしてよろしゅうございますか。
  8. 床次徳二

    床次国務大臣 いまの法案の御審議の都合もありますので、できるだけこれはすみやかに急ぎたい。必ず本国会中には提案するようにいたしたいと思います。できるつもりで今日準備をいたしておるわけであります。
  9. 太田一夫

    太田委員 本法案建設省所管法律でありますから、総務長官お尋ねするのはいかがかとは存じますけれども、今度の法案の中では交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法というものを中心としたものでありまして、前にありました通学路等法律これがこの中にとけ込んでおるということでございます。しかし、とけ込んでおりますけれども踏切道構造改良に関する事業というようなものはこれでなくなってしまった、そういうことでありますから、一体踏切道というのはそう特別に整備を急がなくちゃならないということはもうなくなったのかどうか、こういう認識はどうなんですか。
  10. 床次徳二

    床次国務大臣 従来ありました二つの法律を中へ融合して、とけ込まして立案しておるわけでありまして、なお事業対象自体も従来必要でありましたものは一通り済みましたので、その後に引き継いだものをプラスして実施するという考え方であります。  詳細につきましては政府委員からお答えいたします。
  11. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 ただいま御指摘の点は、通学路に係る交通安全施設等整備及び踏切道構造改良等に関する緊急措置法のうち、今回の交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する等の法律案では、踏切道緊急整備はなくなっているではないか、こういう御質問だと存ずるわけでございますが、いま申し上げました通学路いわゆる通学路法で取り上げました踏切道構造改良は、先生も十分御承知のように、拡幅舗装という、きわめて限定的な、いわば小規模でかつ緊急を要するものの構造改良でございまして、この点につきましては、法の趣旨を体しまして、政府といたしましては四十二年、四十三年の両年度間において危険と思われる踏切道舗装拡幅はほぼ完了したものと考えております。なお若干残っておりますが、これは四十四年度の予算で手当てをいたしているわけでございます。したがいまして、今後はもう少し、やや規模の大きい踏切道構造改良、これはまだほかにもございますので、この点につきましては、従来からあります踏切道改良促進法にのっとってこの整備をしてまいりたい。少なくとも舗装拡幅という簡単な緊急を要する整備事業は大体完了した、このように考えておりまして、いわゆる通学路法を廃止することにいたしたわけでございます。
  12. 太田一夫

    太田委員 舗装拡幅が完了したということでありますが、それじゃ運輸省いらっしゃいますね。運輸省のだれかわかる方から、実際拡幅舗装は完了したかどうか御回答をいただきたい。
  13. 山本正男

    山本説明員 お答え申し上げます。  実際の拡幅それから舗装の業務につきましては、まだ若干残っておる踏切もございますが、すでに計画を立てまして、四十三年度末を期しまして鋭意拡幅舗装工事をいたしております。こういう工事で、例の通学路踏切道整備緊急措置法基準に照らしまして整備をいたします場合には、法律制定趣旨からいって、おおむね整備はされたものと私どものほうでは考えております。
  14. 太田一夫

    太田委員 それでは、あと残った踏切が見つかりました場合には、それはやらなければならないときには、在来の緊急措置法と同じように二分の一ないし三分の二の補助をする、助成するという予算上の措置はできておりますか。
  15. 山本正男

    山本説明員 拡幅それから舗装工事につきましての費用の分担の件であろうかと存じますけれども、むしろこの辺は私ども運輸省のほうから申し上げますよりも、建設省のほうからお答えいただきましたほうが適当かと思いますので、そちらのほうからひとつお答えいただいたらと思います。
  16. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 踏切構造改良につきましては、これは一定の基準に基づきますものを四十二年、四十二年、通学路法律に基づきまして実施したわけでございます。実はその問にまだ用地の買収その他で勾配改良その他やらなければならぬものが多少残っておると思います。われわれの推定では約五百ないし六百ぐらい残っておると思います。これにかかる金が大体十五億ぐらいでございます。それを逐次、道路につきましては道路事業の中の特殊改良で二分の一の補助で実施をいたしたいというように考えております。
  17. 太田一夫

    太田委員 いまの蓑輪局長のお話で明らかになりましたが、二分の一は三分の二より小さいことは事実だけれども、いままでは市町村に対しては三分の二の補助が出せたのです。少ないけれども、あなたが五百、六百という数を想定され、それに対して二分の一補助をやるとおっしゃるならば、それは何とかお茶は濁るでしょう。それはわかります。  そこで総務長官、これは舗装拡幅のことですが、もう一つ保安設備というのがありました。保安設備そのものも完成したと御理解でございますか。
  18. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいまの残るかもしれないという御意見でありますが、残りますものにつきましては四十四年度の予算において処理できるようにいたしたいと考えております。
  19. 太田一夫

    太田委員 どの項に幾ら計上されておりますか。
  20. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 踏切道保安設備、すなわち遮断機でございますとか警報器に関する補助でございますが、これは御承知のように、従前からも赤字ないし準赤字の私鉄がこの整備事業をいたします場合に国庫補助をしたわけでございます。この点につきましては、例の通学路法ができましたときに従来の補助率を改めまして、国が二分の一、都道府県が三分の一それから事業者が六分の一というふうに補助率のアップをしたわけでございまして、この点につきましては、いま総務長官も申し上げましたように、四十四年度におきまして同じ補助率予算を計上いたしております。その額は一応六千四百万円でございます。
  21. 太田一夫

    太田委員 これはあればけっこうですが、踏切道構造改良に関する緊急措置法のそのとけ込み方というのは、いささか鉄道交通というものに対する安全性というものが軽視されておるような気がしてしかたがないと同時に、地方財政が豊かであろうからなるべく地方で負担してくれというような気持ちがある。少なくともこれは整備がおくれるということを結果すると思いますので若干問題が残ると思いますが、ぜひこれは建設省においても舗装拡幅助成、それから警報機等保安設備補助につきましても十分ひとつやっていただきたいと思います。  長官急ぎのようですからもう一つだけ尋ねておきますが、交通遺児救済の問題、これもこの問たしか附帯決議があったと思うのですが、財団法人設立というのはどうなったのでありますか、この際聞いておきたい。
  22. 床次徳二

    床次国務大臣 交通遺児育英問題に対しましては、委員はじめ関係者各位の非常に御熱心な御努力によりまして、大体その設立準備が固まってまいりました。会長には、交通安全会会長永野重雄氏を会長にいたしまして、理事長会長の了承を得まして石井栄三氏にきまったそうであります。なお理事長がきまりました以上は、すみやかに事務局整備いたしまして、そうして基金募集に着手いたしたいと思うのでありまして、ある程度までの基金募集のめどがつきました以上は、すみやかに法人設立準備手続をいたしたいと思っておる次第であります。
  23. 太田一夫

    太田委員 交通遺児救済の問題は、単に育英資金ということにとどまらず、広く小学校生徒児童等に至りましても、これを対象として何らかの救済をしなければならないという精神でございますね。単に高等学校へ行くとか大学へ行く育革資金じゃなかったと思うのですが、その点はどうですか。配慮されておりますか。
  24. 床次徳二

    床次国務大臣 この問題に対しましては、一般遺児に対しまして小学校義務教育に対しましては、生活保護の運用によりましてある程度までまかなえるわけでありますので、主として高等学校育英ということを考えておるわけでありますが、なお高等学校育英以外にどの程度までの仕事をするかということに対しましては、今後慎重に検討してまいりたいと思います。
  25. 太田一夫

    太田委員 そのことは、高等学校育英資金の貸し出しを行なうのが今回の財団法人目的であって、小中学生については、あるいはまたそれ以下の保育園幼稚園等については生活扶助の範囲にまかせる、こちらでやらないということですか。
  26. 床次徳二

    床次国務大臣 現行法社会福祉関係の諸法を十分運用いたしまするならば、大体その目的を達するのではないかというふうに考えておりますので、なお足らない問題がありますならば、その点に対しましては新しい法人におきましても検討してまいりたいと思うのでありますが、これは財政上の都合もありまするので、とりあえず目標を高等学校育英ということを中心として発足いたそうというわけであります。
  27. 太田一夫

    太田委員 それじゃ附帯決議と違うじゃありませんか。
  28. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいまの点は、私はその当時の事情をよく了解しておりませんのですが、多分進学援助等という形になっておったのじゃないかと思いますが、よく調べましてお答え申し上げたいと思います。
  29. 太田一夫

    太田委員 あなたの場合はそのときの質疑に加わっていらっしやらなかったからわかるのですが、しかし、あなたのまわりには長くやっていらっしゃる専門家がいらっしゃるわけですから、十分附帯決議精神を生かして、一般高等学校育英資金だけは財団法人何々でやるけれども、その他は市町村にまかせるという——市町村としては条例を設けてそういう両親のない遺児等に対しては——生活扶助じゃないですよ、全然別の扶助料というものを出しておるのです。助成金見舞い金を出して、毎月幾らとかやっているのですよ。国が同じことをやらなければバランスがとれないということを申し上げておる。ですから附帯決議だけは忘れないでくださいよ。日本語で書いてあるのですから、ひとつ読んでください。  それから、あなたがお急ぎのようですから、もう一つ大臣お尋ねしたいことは、この前のときもそうであったと思うのですが、この二号基準によって区間指定するという制度があるんですね。ところがこの二号基準はどうも、この前のときもそうでありましたが、指定区間の中に入らなかった、軽視されておる。これは学童に対する生命を守ろう、安全を守ろうという精神が今度の中にはあまりない。この前も少なかったが、今度も非常にない。建設省通学路という学童生命を守るということといささか遠いかもしれませんね、いままでの方向が。このごろだんだん近寄ってきたのですけれども、わからぬわけじゃありませんけれども、二号基準をどうして軽視するか、この辺のところに何か御感想がございますか。それだけ聞いておきたい。
  30. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 交通安全をいたします法律にございます道路指定基準の問題でございます。これも先生承知のように、交通量交通事故死亡率から出すものと、もう一つは、先生もおっしゃいました二号基準付近保育所幼稚園小学校等、そういう児童の安全を守らなければならないところ、これにつきまして私たちこれから新しい三カ年計画でどうするかということでございます。現在この指定で大体五万七千キロぐらい指定しておりますが、さらに今度の三カ年計画では七万ぐらいにふやしたい、そのうちやはりこの二号基準が相当多くなるというように考えておりますので、先生のおっしゃいました幼稚園その他の、交通量だけによらない弱い通園通学児を守るこの路線の基準は大いにふやしてまいりたいというふうに考えております。
  31. 太田一夫

    太田委員 大臣、あなたもこの二号基準だとか一号基準だとかいうことは建設省におまかせくださってけっこうですけれども、この法律案を出して当委員会が特別交通安全の主たる施策として審議するにあたりましては、小学校周辺とか幼稚園保育園周辺というものの交通安全というものは、とかく国道だとか主要地方道のしわ寄せを受けていままで軽視されてきたのです。今度も軽視されては困るので——どうも軽視されるような傾向がある。いま蓑輪さんは十分重視するとおっしゃいましたけれども交通量考えるとか、事故考えるということではいけないのであって、そんなものは子供があればいつ事故が起きるかわからぬのですから、そういう付近は二号基準を重視するという精神人命尊重上必要だと思うのです。小学校生徒が何人死んだからここにこういうさくをやりましょう、歩道橋をつくりましょうではいけない。事故が起きて人が死んでからやったってあとの祭りだと思うのです。そういう点でわれわれは人命尊重というのを今度の法案の中に相当重く織り込んであるという確認をしたい。あなたのほうも、それがもしも軽視されるようならば、基準があるのだから、極力そういうものをさせるつもりだということでないと、交通安全基本法考えていらっしゃる総理府としては、私はいささか問題だと思ったわけです。考えていただけますね。
  32. 床次徳二

    床次国務大臣 非常に形式的に基準考えるということは本旨ではないので、御趣旨のように児童生徒人命を十分尊重する立場において運営をいたしたいと思います。
  33. 太田一夫

    太田委員 次にお尋ねをいたしますが、これはもともと建設省法律ですからひとつ建設省お尋ねをいたします。  まず、今後新計画事業対象になるその場所、その対象個所というのはどういう基準に基づきますか。いままでと同じでございますか。
  34. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 今度の単独事業を入れます全部の交通安全整備事業につきましては、基準につきましていままでと同じ考えを持っていきたいと思います。  ただ、先ほど先生が御指摘になりました通園通学路、こういう問題については、いままでの基準は、学校のある場所から五百メートルということでしておりましたが、さらに通園通学児が多いような場合には五百メートルにとらわれないような形で延ばしてまいりたいというように考えております。
  35. 太田一夫

    太田委員 学校通学路という認定を五百メートルとしたというのは、実は先国会において私たちはミスをしたと思っておるのです。五百メートルにしたばかりにずいぶんたくさんの子供たちを、殺さぬでもいい子供たちを殺したのです。これは、特別ことしは五百メートルにこだわらないで、実情に即してどんどん延ばしていただきたい、道のある限り延ばす、こういうことでひとつお願いしたいと思うのです。  そこで、この前の予算と今度の予算とを比べてみますと、物価が上がっておるでしょう。それからいろいろな交通量というのは猛烈にふえておるでしょう。そうすると、予算総額の実質は一体伸びたのですか、縮んだのですか。
  36. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 道路管理者の行ないます交通安全整備事業につきましては、これは四十三年と四十四年を比べますと多少減っております。この問題につきまして、やはり私たち交通安全という問題は単に——こういう整備事業をするということももちろん必要なことでございますが、やはり道路拡幅なり、そういう問題もあわせてやるべきだというように考えておりまして、すべての道路事業というものが相当交通安全につながるものではないというような考えでございます。また四十四年度からは、いままで現行の三カ年計画では補助をしておりました国以外の行ないます二種事業、こういうものにつきましては地方単独に移すというようなものもあわせて考えておりますので、全体の単独事業を入れたものにつきましては、交通安全事業の自主的な整備事業が伸びておるというように考えております。
  37. 太田一夫

    太田委員 たとえば防護さくというのは私はなかなか役に立つことも多いと思うのですが、当初計画されたときは、第一次の当初計画案で百十五億であったのが、その後補正されて百五億に変っておる、減っておると思うのです。ところが今度は防護さくなんというものは十三億計上されておるのですが、これは何か理由があるのですか。
  38. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 それからの新らしい三カ年計画に計上されておりますのは、これは直轄指定区間で国みずからやるものだけを計上しておる次第でございます。県または市町村が実施いたしますものについては、大体応急的なものはほぼ防護さくができたということもございます。また、これからやらなければならないような山の中の転落防止防護さくのようなものは道路特殊改良、たとえば見通しの悪い突角を切るとか、また幅を広げるとか、こういう事業とあわせてやってまいりたいというように考えております。また、車道を一部区分いたしましてガードレールを建てまして歩道車道を区別する、こういうものにつきましては歩道というところで実施してまいりたいというように考えております。
  39. 太田一夫

    太田委員 なかなか芸がこまかいですからいいですが、蓑輪さん、そこでちょっと聞きますが、道路照明灯ですね。道路照明灯というのはいままで地方単独で二分の一の補助があったと思うのですが、今度補助がなくなってしまったわけですが、これはどういう思想ですか。
  40. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 照明につきましては、これはいま単価的に考えますと一基当たり——国会周辺にありますような照明灯、あれで大体十六万円ぐらいかかると思います。また、電柱に添架をするような場合はもう少し安くできるかと思います。こういうものにつきまして、やはりいままでの効果考えますと、交差点その他につきましては交通事故を防止する効果は非常にあったと思います。こういうような場所につきましてはほぼできたかと思います。また、将来道路というのは、夜になれば暗いよりは明るいほうが、これは確かに交通事故は少なくなるということがございまして、国道その他の主要な道路については、いずれ将来は全線照明ということも考えられるかと思いますが、現在の段階ではまだそういうところまで照明はなかなかいかないということもございまして、まずとりあえずやるのは、そういう交差点とか見通しの悪いようなところの照明ではないか、そうなりますと、一基当たり費用も非常に少ないものでございまして、地方単独でも十分できるのではないかということで、非常に金のかかる歩道とか横断歩道橋とか、こういうものを重点的に補助をして整備していきたいというような考えでございます。
  41. 太田一夫

    太田委員 照明灯なんというのは蛇足でございまして、安全施設としては蛇足的なものだと考えていらっしゃるわけですね。
  42. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 私は照明蛇足ということではないと思います。いままでの効果直轄でやりました昨年四十一年からやりましたものの効果を、いろいろ特定の個所でやってみますと、照明効果はかなりあったと思います。そういうところにつきましては、ほぼできておるということと、やはり全線道路照明をするのには、これはなかなかまだ容易なことではない。その前にまず歩道とか何かの整備が先ではないか。まず必要なのは交差点とか、そういうところの照明ではないかということで、そういうところになりますと、いま言いましたような費用の点で単独事業でもできるのではないかというように考えたわけであります。
  43. 太田一夫

    太田委員 なるほど一つの卓見ですね。重点的予算使用ですからね。しかし、ドライバーからいえば、夜、とにかく道路照明のあるところに横断歩道があればよくわかるのです。なくてごらんなさい、わからないのですから。やみに溶け込んだ黒い人影なんて見えないですよ。だからうっかり人が通らないと思っていたのに通ってしまうということになって惨死事故が起きるわけですね。ですから横断歩道のあるところ、あるいは交差点というようなところには必ず道路照明をつけるということを義務づけてもいいのじゃないか。だからいま第一次的にはそこまでいかないけれども、第二次、その次には道路照明等をなるべく全部の道につけたい、こうおっしゃったように思いますが、いまから三年間道路照明がまま子扱いされるのはどうも人命尊重上、ちょっといかがかと思うのですが、何かいい方法ないですか、これは。
  44. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実は私、道路照明につきましては、東京都内を例にとってみますと、やはり東京都内から主要な国道が出ております。東海道その他ありますが、ここの照明でさえようやく数年前全線ができたような状況でございます。私、やはり照明効果は相当あるものだと考えておりますが、いま先生のおっしゃいました交差点なり横断個所、こういうところに照明をつけていくということをまずやりたいと思いまして、全線照明はやはり相当これはまだ本格的にかかるには——かかったほうがいいのですが、またその前にやることがあるじゃないというような考えで、こういうようなことにしたわけでございます。
  45. 太田一夫

    太田委員 これはまた総理府長官がいらっしゃったら私はたのむつもりでいたのですが、今後交通安全基本法にどういうことになりますか、指定された交通事故多発区間というところだけでなくして、一般的な地方道の主要道路にはそういうところが非常に多い。これはひとつほんとうに再考していただきたいと思う。  それから次の問題ですが、高速道路から物を投げるという癖が日本人にあるらしい。百キロで走っていて牛乳びんを投げたらどういうことになるのか知りませんが、かなりひどい破壊力を持つそうですね。それで高速道路をハイヤーで走りますと、何ですか防護さくが高くがんじょうにできておりますから、視界を妨げて向こうがよく見えないわけですね。だからその下は山と山との間ならば、山であろうか谷であろうか川であろうかと思って物を投げる。するとそこに人家が密集しておる。あぶなくてしようがないですね。これは高いさくをつくる必要があると思うのですが、そういうことは何か御計画はあるのですか。
  46. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 首都高速の場合、当初の計画では、やはり私たちも鉄道国鉄の上を渡る場合は、一応車から物を投げた場合にそれは危険だということでさくもしているわけでございます。その後そういうところ以外でも物を投げる。これは私たち車に乗る人のモラルを疑いたくなるわけでございますが、非常な危険なことでございまして、単にそういうモラルだけの問題で片づかない問題でもございますので、現在首都高速については、そういう場所について物が外に落ちないようなさくをすることをいま指示さしております。
  47. 太田一夫

    太田委員 首都高速以外の高速道路の人家の密集している区間はどうですか。
  48. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 首都高速以外の幹線自動車道路につきましても、そういう場所につきましては、危険を防止する立場からさくをつけてまいりたいと思います。
  49. 太田一夫

    太田委員 けっこうですね。ぜひそうしてください。  そこでついでに、先ほど踏切のことをお尋ねしたから、国鉄の関係の方にお尋ねをしますが、昨年からことしにかけて意外に大型車と列車とが衝突をいたしまして転覆したり脱線したなんという大事故が起きているのですが、これは地方のローカル線で起きているのですが、どういうところに原因しているのでしょうか。
  50. 北沢秀勝

    ○北沢説明員 先生指摘のように、昨年からことしにかけまして踏切における交通事故がややふえた感じがございますが、全体の件数としては昨年と同じくらいの件数でいまきております。御指摘のように最近起きますのはやはり乗用車と列車が衝突するという事故が非常にふえている。これはやはりモラルの問題もございます。それから自動車交通が非常にふえている、あるいは汽車の同数がふえている、いろいろな問題がございます。私どもといたしましては、できるだけこれの絶滅をはかるために、たとえば三種というのはチンチンだけの踏切でございますが、これに門扉をつけていくというような方法、あるいは警報機がないところは警報機をつけていくということを極力進めていきたいというように考えております。
  51. 太田一夫

    太田委員 その際に踏切の幅が狭くて事故を起こしたということや、踏切に差しかかる道がカーブしていたりあるいは急な坂であったりして事故を起こしたというような問題はございませんか。
  52. 北沢秀勝

    ○北沢説明員 数といたしまして全体的の率から申し上げますと、警報機が鳴っているのに飛び込んでくる、鳴っているのに列車の横腹にぶつかる、遮断機がおりておりますのに、S字横断と申しますか、まだ列車が来ていないので飛び込んでくるというようなものの率が多い。踏切の幅が狭くてとか、勾配があってエンストしたというのは率としては少ないのでございます。
  53. 太田一夫

    太田委員 とりあえず警報機をつけるべきであるとあなたのほうで勧告されている個所は、国鉄で何カ所私鉄で何カ所かわかりますか。
  54. 北沢秀勝

    ○北沢説明員 私は国鉄の施設局長でございますので、私鉄のほうはわかりませんが、国鉄におきましては、緊急促進法に指定されました個所については今年度末までにほとんど全部完了する計画になっております。
  55. 太田一夫

    太田委員 それは何カ所ですか。
  56. 北沢秀勝

    ○北沢説明員 警報機でございますと、指定個所数が八百十一ございまして、このうち四十二年度に竣工したものが二百五十二、今年度十二月までに二百十九、十二月から三月までに三百四十を全部完了する予定になっております。遮断機をつけるほうは七百一カ所で、四十二年に五十九件を完了しております。今年度十二月までに百二十五件、残りの五百十七件につきましても年度末までに完了する予定でございます。
  57. 太田一夫

    太田委員 年末に非常にスピードをあげていただきまして感謝にたえません。ひとつ国鉄内におきましてもそれは大いに整備してください。施設局長さんいらっしゃいますから、ついでにお尋ねしておきますが、ATSの問題がやかましかった時代には相当その問題を議論されておる。最近ATSの問題というのはあまり議論になっておりませんが、これは予定数ついたのでございましょうか。それともまだこれからつくのでございましょうか。
  58. 森永昌良

    ○森永説明員 国鉄の関係についてお答え申し上げます。  国鉄は四十一年の四月までに全国のすべての線につきまして設置を終わっております。ただ装備いたしましたのが若干古うございましたために、その性能が私鉄で最近採用しておりますものに比べますと若干不十分な点がございまして、その改良につきましては目下研究所のほうで研究いたしております。さらに昨年五月、六月と実は駅構内の待避線に入るポイントのところをかなりハイスピードで通過いたしまして、そのために何十両という貨車が脱線するという事故が相次いで起きましたために、小さな駅の待避線に入るポイントのところを速度をある程度超過して通過しますときにはATSが自動的に働くという、ATSのアタッチメントみたいなものを現在つけることにいたしまして、四十三年度、四十四年度の二カ年二十三億円をかけまして現在工事中でございます。
  59. 山本正男

    山本説明員 私鉄の関係につきまして申し上げます。  私鉄のほうの計画といたしましては、四十四年度末に当方で指示をいたしました三十六線区全線これを整備する予定になっておりまして、その工事の進捗状況もおおむね計画どおり進んでおる状況でございます。
  60. 太田一夫

    太田委員 そう聞いてみますと、鉄道のほうには現在のところ大きな交通不安の種はない、こういうことです。それから建設省計画の中にもそんな大きな不安の種はない。やはりできるだけやろうということになればそうなる。そうすると、陸上交通の場合はあと激増する自動車交通に対処する策だけがない、こういうことになるような気がしますが、時間がなくなりましたので、この際警察庁の交通局長から、規制問題が、あなたのほうが近く都心乗り入れ規制の立法をするということを新聞発表されておりますが、何かアイデアがあるとするなら、あるいは新しい立法でもなさって今国会提出される用意があるとするならば、この際ひとつ明言をしておいていただきたいと思うのです。
  61. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 新聞報道といたしまして国家公安委員長がいま御指摘のような発言をしたように出ておりますけれども、事実は、警察といたしまして、御承知のとおり、いろいろ渋滞緩和対策といたしまして一方通行とか右折禁止とか駐停車禁止とか、交通規制を非常に強化してまいっております。それとあわせて信号機の高度化をはかっていくということを現在やっておりますけれども、これでもう防ぎ切れないという場合には、将来そういう特別立法を検討しなければならぬであろうという趣旨の御発言でございまして、いま直ちに特別立法をいたしまして提案する用意があるという段階の御発言ではなかったと思います。
  62. 太田一夫

    太田委員 それでは関係各省に若干お尋ねしておきますが、昨年の八月に行政管理庁から「交通事故対策の推進に関する行政監察」第二次の勧告が出されておりますが、これは今度の本年度の予算、本年度の各省施設等におきましてこれは大体消化されておると考えていいでしょうか、どうでしょう。お答えできるところがありましたら答えていただきたい。
  63. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 この勧告の中にあります警察庁分につきましては、この勧告の趣旨の線に沿いまして改善の努力をいたしております。
  64. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 勧告の趣旨でございます人命尊重する、こういう点につきましては十分考えて、さらに施設の面でもこれは国及び地方が行ないますものをできるだけふやしまして勧告の線に沿うようにしてまいりたいと思います。
  65. 北川力夫

    ○北川説明員 厚生省が受けております勧告は、救急の告示医療機関につきましてできるだけその適格性を有する国立とかあるいは公立の病院は、なおより多く告示を受けるように指導してくれ、徹底しろ、さらにまた告示を受けました医療機関は告示の基準を守るように指導を徹底するように、さらにまた救急業務の実施機関とそれから救急医療機関との連携を十分に密にするように、こういうことでございますが、いずれもこの点につきましては私ども行政指導を通じましてより徹底するように努力いたしております。
  66. 堀山健

    ○堀山説明員 運輸省の自動車局におきましては検査登録の充実、それから車両の構造、装置の改善、これにつきまして受けておるわけでございますが、検査登録につきましては今年度三十一億円、来年度三十八億円の予算を計上しております。  それから研究部門につきましては、それぞれ昨年は車のむち打ちにつきまして研究いたしましたが、将来サルを使って人体に最も近い条件で試験をするとか、あるいはだんだん高速化してまいりましたので、それに対応する試験設備というものも備える、こういう予算を出しております。それぞれ内示としていただいておりますので、おおむねその方向で対処しておるつもりでございます。
  67. 太田一夫

    太田委員 きょうはこれで終わっておきます。
  68. 内海清

    内海委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十八分散会