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1969-02-04 第61回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月四日(火曜日)     午後零時四分開議  出席委員    委員長 内海  清君   理事 稻村左四郎君 理事 大竹 太郎君    理事 田中 榮一君 理事 山口シヅエ君    理事 板川 正吾君 理事 山田 耻目君    理事 河村  勝君       小峯 柳多君    濱野 清吾君       後藤 俊男君    古川 喜一君       松本 忠助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君  出席政府委員         総理府総務副長         官       鯨岡 兵輔君         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 鈴木 光一君     ————————————— 一月三十日  委員山村新治郎君辞任につき、その補欠として  斎藤寿夫君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 二月四日      稻村左四郎君    大竹 太郎君       斎藤 寿夫君    田中 榮一君       山口シヅエ君    板川 正吾君       山田 耻目君    河村  勝君  が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事互選  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 内海清

    内海委員長 これより会議を開きます。  これより理事互選を行ないます。
  3. 田中榮一

    田中(榮)委員 動議を提出いたします。  理事の員数は八名とし、委員長において指名されんことを望みます。
  4. 内海清

    内海委員長 おはかりいたします。  ただいまの田中榮一君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 内海清

    内海委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  それでは、委員長において      稻村左四郎君    大竹 太郎君       斎藤 寿夫君    田中 榮一君       山口シヅエ君    板川 正吾君       山田 耻目君    河村  勝君 以上八名の諸君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  6. 内海清

    内海委員長 交通安全対策に関する件について調査を進めます。  昭和四十四年度における交通安全対策関係予算等について説明を求めます。宮崎陸上交通安全調査室長
  7. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 それでは、昭和四十四年度陸上交通安全対策関係予算概要を御説明申し上げます。  それの前に、四十三年の交通事故でございますが、お手元にこういう一覧表をお配りしてございますので、概数だけ申し上げます。  昭和四十三年におきましては、政府国民一体となって努力いたしたにもかかわらず、残念ながら交通事故による死者負傷者ともに前年度を上回っております。死者につきましては第一表の一番右のほうでございますが、一万四千二百五十六名でございます。それから同じく負傷者が八十二万八千七十一名でございまして、この表にもございますように、いずれも史上最高という数字でございます。  それから自動車台数は、ここに十月末の台数といたしまして千三百八万一千台となっておりますが、その後十二月末のこれは推定でございますが、大体一千三百三十万台になっておるようでございます。  以上が昭和四十三年の交通事故概数自動車台数概要でございます。  予算説明を申し上げます。毎回御説明を申し上げておりますが、このお手元にお配りいたしました予算調書は、関係省庁予算のうち直接交通安全に関係ありと思われるものを拾い上げて取りまとめたものでございます。したがいまして、広い意味交通安全対策関係予算といたしましては、これ以外にも各省庁に含まれておりますことをあらかじめ御了承お願いいたしたいと思います。  それでは、項目順に御説明申し上げます。  第一が、道路交通環境整備でございまして、これには総額五百五十九億円計上いたしております。昭和四十三年度は五百二十六億円でございまして、三十二億円の増と相なっております。  逐次内訳を申し上げます。  第一が、交通安全施設等整備でございまして、これは御承知のように歩道の設定、横断歩道橋設置、ガードレール、信号機等設置に要する経費でございます。警察庁分建設省分とに分かれておりまして、警察庁分が五億五千六百万組まれております。これは前年度が十四億でございまして若干減っておりますが、この減りました理由といたしましては、従来はこの予算におきまして信号機以外の道路標識道路標示等予算も計上していたわけでございますが、今後は道路標識道路標示等は、後に出てまいります特別交付金でこれをまかなっていこうということでございます。それから信号機につきましても、地方単独事業でやる分が非常にふえてまいりまして、その結果補助金としての額が昨年より下回ったわけでございます。それから建設省分は百八十八億でございまして、これは昭和四十三年度の百九十六億に比べまして同じく七億減っております。  これらを合わせまして、補助として減っておりますのは、一つには御承知のように交通安全施設等整備事業三カ年計画が、昭和四十三年度末、今年の三月末で一応完成いたします。これによりまして既存道路におきます交通安全施設整備が相当推捗いたすわけでございますが、もちろんその後の交通事情の変化によりましてこれもまだ十分ではございませんので、今後おおむね三カ年間これをさらに延長いたしまして、整備を続ける予定でございます。しかしそうは申しますものの、すでに三カ年計画が一応完成いたしますので所要量がだんだん減ってくる、こういうことでございます。なお、この交通安全施設等整備事業三カ年計画の延長につきましては、いずれこの交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部改正をお願いいたすことになろうかと存じます。これは現在予算関係法案として鋭意立案作業中でございまして、近くこれが国会に提案されることになりますので、その法案につきましてまたいろいろと御審議を賜わりたいと思っております。  それから第二は、踏切道立体交差化等でございます。これに要する費用といたしましては、四十四年度二百三十一億を計上いたしております。四十三年度は二百四億でございますので二十七億の増でございます。  項目別に申し上げますと、第一が踏切保安設備整備でございまして、これは御承知のように、踏切保安設備遮断機でございますとか警報機整備をいたす場合の私鉄に対する補助金でございます。右に注釈がございますが、私鉄のうちでも大手の私鉄は自分で十分に整備する能力がございますが、問題は小さな地方鉄道事業者軌道経営者であり、赤字または準赤字経営でなかなか整備ができない、これに対する補助金でございます。四十四年度は六千四百万計上しております。四十三年度は一億三百万でございまして、三千九百万減少いたしておりますが、これはこの踏切保安整備につきましては、一昨年当委員会で制定されました通学路に係る交通安全施設等整備及び踏切道構造改良等に関する緊急措置法におきまして、昭和四十二年、昭和四十三年の両年度におきまして、これを緊急に整備いたすことにいたしたわけでございます。その結果、保安設備整備は非常に進捗いたしまして、大部分が四十三年度末で完了する見込みでございます。したがいまして、この残りました分が六千四百万という数字でございます。  なお、この緊急措置法におきましては、私鉄に対する補助率を従来の踏切道改良促進法による三分の一から二分の一にアップしておりますが、この四十四年度予算額六千四百万につきましても、この緊急措置法によります補助率を踏襲いたしまして国が二分の一、それから都道府県が三分の一、事業者が六分の一、こういう負担割合になっております。  それから次が、踏切道立体交差化等でございまして、これは建設省で行ないます直轄事業補助事業改良事業等に基づく立体交差でございます。総計二百三十億を計上いたしております。四十三年度は二百三億でありまして約二十七億の増額でございますが、これに基づきまして踏切道立体交差を今後とも鋭意実施する予定でございます。  それから三番目が、いわゆる交通反則金制度に基づきます特別交付金でございます。四十四年度におきましては百十七億を一応計上いたしております。昭和四十三年度は百二億でございました。この昭和四十三年度の百二億と申しますのは、御承知のようにこの制度昭和四十三年の七月一日から実施されましたために、これを平年度に直したのが百十七億であります。実は百二億を平年度に直しますと百四十億程度になるわけでございますが、昭和四十三年七月一日以降の実施状況を見ておりますと、当初の予想よりこれが下回るのじゃないかということになったわけであります。反則金が下回ることは財政面から見ると問題がございますが、それだけ違反が少ないということでございますので、これはある意味ではまことにけっこうなことでございまして、予算面でもやむを得ないかと存じております。十五億の増でございます。  それから四番目が児童公園等整備でございます。これは右側にも書いてございますように、子供が遊び場がないために、道路で遊んで起こる交通事故防止を主たる目的とするものでありまして、四十四年度は十六億四千万を計上いたしております。四十三年度が九億七千万でございますので六億六千万の増でございます。注にもございますように、これによりまして、四十四年度中には、児童公園九百三十五カ所、運動公園七十二カ所、それから河川敷緑地二十五カ所の整備をいたす予定でございます。  それから二番目の柱は、交通安全思想普及でございますが、これは経費としてはあまりたいしたものはございません。総額四千四百万でありまして、四十三年度と全く同じでございます。  第一が交通安全広報事業の委託でありまして、これは注にもございますように、警察庁におきまして全日本交通安全協会に委託いたしまして、交通安全に関するキャンペーンその他の広報活動を行なわせるための経費でありまして、千四百万で前年度どおりでございます。  第二が交通安全教育センター設置でありまして、これは文部省の所管でございます。昨年初めてこの予算がつきまして、御承知と思いますが、全国主要都市モデル学校等に小規模な交通公園設置いたしまして、そこで実地教育をいたす、こういうことでございます。これも今後年次計画をもって毎年四十六カ所程度ずつ設置してまいりたいということで、来年度も二千八百万、本年度と同じでございます。  三番目が交通安全指導研究推進、これは注にございますように、主として学校の先生その他の教育関係者に対する交通安全教育講習会に要する経費でありまして、二百万で前年度どおりでございます。  三番目の柱が安全運転確保でありまして、これが四十四年度におきましては六十億七千万円計上いたしております。四十三年度では五十三億でありまして、七億七千万円の増でございます。  第一は運転者管理センター経費でございます。これは警察庁関係でございますが、御承知のように、警察庁におきましては、昭和四十四年度以降三年計画警察庁電子計算機によります運転者運転免許台帳集中管理計画いたしております。これが大体本年度で完成いたしまして、昭和四十四年から実際の作業に入るわけでございます。いまのところでは大体本年の十月ごろからこの電子計算機が動き出す、こういうことになっておりまして、四十四年度経費としては五億八百万でございます。四十三年度は二億一千七百万でございますが、四十四年度から五億になりましたその主たる内容、つまりこの五億のうちの四億一千万円程度電子計算機借料でございます。つまり、電子計算機を現実に入れて動かすことになりますので、その借料がふえたわけでございます。  二番目が交通取り締まり用車両等整備であります。これも警察庁関係でありまして、ここにも書いてございますように、交通パトカー交通白バイ、それから事故処理車に要する経費でございます。四十四年度におきましては二億四百万でありまして、四十三年度の一億七千万より三千万円ふえております。なおこの注にございますが、交通取り締まり用四輪車、パトカーの八十一台、これは新増であります。白バイの二百四十八台は減耗補充でございます。それから事故処理車の九十三台も新増であります。  それから次のページに参りまして、交通取り締まり等強化でございますが、これが四十四年度におきましては七億五千九百万、四十三年度が七億二千七百万で三千二百万の増でございます。これはここにもございますように、主として交通取り締まりその他の器材整備でございます。なお、一部交通警察官待機宿舎に要する経費も含まれております。これらはすべて補助金でございまして、二分の一の補助でございます。パトカー白バイ等は、これは全額国庫負担でございます。  それから四番目が交通事件裁判処理体制整備でございまして、これは裁判所関係でございます。御承知のように交通事犯が非常に激増しておりますが、一方裁判所のいろいろの職員の数が不足しておりまして、これが原因となって裁判が思うように進まないということもございますので、四十四年度におきまして約八千四百万によりまして増員をいたそうということでございます。内訳を申しますと、この増員簡易裁判所判事が二十八名でございます。同じく書記官二十八名、事務官五十六名、計百十二名の増員であります。繰り返しますと、簡裁判事二十八名、書記官二十八名、事務官五十六名でございます。  それから五番目が交通事犯処理体制整備、これは主として検察庁関係でございます。理由裁判所で申し上げたのと同じ理由でございまして、四十四年度においては五億四千四百万、四十三年度が二億七千三百万でございますので、約二億七千百万の増でございます。内訳を申し上げますと、検事五名、副検事十名、事務官五名、計二十名の増員をいたす予定でございます。  それから六番目が自動車事故防止対策等でございまして、これは運輸省の所官でございますが、ここにもありますように、主としてダンプカー規制取り締まり等に要する経費でございます。その他ダンプカーに限らず、自動車運送事業者鉄道事業者等監査指導等経費も含まれております。四十四年度は九千万でございますが、四十三年度が一億一千三百万でございまして、二千三百万の減でございます。これは四十三年度におきましては要員定員増をいたしましたので、その分が多かったわけでございます。  七番目が自動車検査登録業務処理体制整備でございます。これは自動車車検、ここにもございますように車検に要する経費でございます。四十四年度は三十八億でございまして、一億増加しております。これは主として車検に要する経費でございます。検査要員増員定員六十五名の増、賃金職員三十五名の増によるものでございます。  八番目が自動車運転者労務管理改善対策労働省関係でございまして、これは額はわずかでございます。四十四年度は一千百万、百万の増でございまして、内訳はここにございますように、自動車運転者を使用する事業場に対する監督指導強化等をはかるための経費でございます。
  8. 内海清

    内海委員長 床次総務長官及び荒木国家公安委員長が出席されましたので、この際、交通安全対策についてそれぞれ説明を聴取いたします。床次総理府総務長官
  9. 床次徳二

    床次国務大臣 私は総理府総務長官床次でございます。  このたび、今国会における交通安全対策特別委員会審議が開始されるにあたり、交通安全対策に関する政府方針を申し述べたいと存じます。  御承知のとおり、わが国経済の成長に伴う輸送需要増加は、ここ数年来、自動車保有台数の急激な増加をもたらし、これが交通事故発生一つの大きな要因となって、交通事故による死傷者は、逐年増加する傾向を示しております。昨年におきましても、政府国民一体となって交通事故防止に努力いたしたにもかかわらず、交通事故による死傷者は、死者数一万四千二百五十六人、負傷者数約八十二万八千人を数え、死者数及び負傷者数のいずれもが、史上最高を記録するというきわめて憂慮すべき状況にあるのであります。  このような趨勢に対処いたしまして、政府は、ここ数年来、人命尊重、特に歩行者保護の見地から交通安全対策政府の最重点施策一つに取り上げ、一 道路及び交通環境整備拡充二 交通安全活動推進三 交通秩序確立四 被害者救済対策強化の四本の柱を中心とする総合的な交通安全対策を強力に推進してまいりました。今後も、これらの施策をさらに強力に推進し、交通事故防止徹底をはかる所存であります。また、これらの施策推進に必要な経費につきましては、政府は、昭和四十四年度予算編成にあたり、交通安全施策推進に必要な予算確保に特に配慮をいたし、交通安全対策関係予算として、前年度予算額に比し約四十一億円増の総額約六百三十三億円を計上いたしているのであります。  以下、当面の交通安全対策重点事項について申し述べます。  まず第一に、交通安全施設につきましては、交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法及び通学路に係る交通安全施設等整備及び踏切道構造改良等に関する緊急措置法に基づく交通安全施設等整備事業三カ年計画が本年三月完了いたし、これにより既存道路における交通安全施設は、相当程度整備されることになるわけでありますが、最近の交通事故発生状況にかんがみ、昭和四十四年度以降におきましてもこれを三カ年程度延長して、引き続き横断歩道橋、防護さく、信号機等交通安全施設整備をはかる方針であります。以上のほか、道路交通環境整備といたしましては、踏切道立体交差化児童公園等整備等につきましても、その一そうの推進につとめる所存であります。  第二に、交通安全思想普及徹底につきましては、昭和四十四年度におきましても、引き続き全国主要都市交通安全教育センター整備する等学校における交通安全教育の一そうの充実強化をはかるほか、春秋二回の全国交通安全運動実施交通安全国民会議の開催、都道府県及び市町村における交通安全に関する地域総ぐるみ運動推進等あらゆる手段及び機会を通じて、広く国民一人一人に交通安全思想普及徹底するよう努力いたす所存であります。  また、安全な運転確保につきましては、自動車運行管理安全運転管理及び運転者に対する労務管理改善対策推進車両検査充実車両構造装置安全性向上等につきまして、さらに一段と努力いたす所存であります。  第三に、交通秩序確立につきましては、酒酔い運転、無免許運転等のいわゆる交通暴力を排除するため、従来に引き続き強力な指導取り締まりを行なうとともに、警察官による交通監視強化する所存であります。  第四に、被害者救済対策強化につきましては、救急業務体制強化及び救急医療センター整備中心とする救急医療体制整備をさらに推進するほか、自動車損害賠償責任保険保険金支払い限度額を引き上げ、損害賠償確保をはかる所存であります。  また、損害賠償問題、更生問題等交通事故被害者にかかわる諸般の問題に関する相談活動につきましても、各都道府県交通事故相談所充実強化する等その一そうの積極化をはかる考えであります。  なお、以上申し述べました交通安全施策につきましては、これを総合的かつ計画的に推進することが何よりも必要と考えられるのであります。このため、総理府におきましては、今国会に提出いたすことを目途として、いわゆる交通安全対策基本法立案中であります。現在のところ、いまだ関係省庁間において意見が調整されていない点が二、三残っておりますが、これらの点につきましては、早急に結論を得るよう努力いたす所存であります。  最後に、昨年十二月、本委員会において御決議のありました交通事故により親等を失った児童・生徒の進学援護に関する事業を行なう財団法人につきましては、その後民間有志の方々による設立の準備が次第に進捗し、近く発起人総会が開かれる予定であります。政府といたしましては、今後、当該財団法人設立及び設立後における事業の円滑な遂行につきまして、できる限りの援助をいたす考えであります。  以上、政府交通安全対策方針について申し述べまして、ごあいさつにかえる次第であります。(拍手
  10. 内海清

  11. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 私は、国家公安委員会委員長として、警察行政における交通施策につきまして、所懐の一端を申し述べ、各位の御理解と御協力を賜わりたいと存ずるものであります。  御承知のように、近年、わが国におきましては、自動車保有台数運転免許取得者数の著しい増加等に伴いまして、交通事情が逐年、複雑かつ悪化の傾向を示し、昭和四十三年における交通事故による被害者は、死傷者数八十四万二千三百二十七人、このうち死者一万四千二百五十六人、負傷者八十二万八千七十一人を数え、いずれもわが国史上最高を記録するに至り、また、大都市における交通渋滞は激化の傾向にあり、昭和四十四年における交通情勢は、さらにきびしくなるものと予想されるところであります。  このような憂慮すべき状況に対処するため、警察といたしましては、交通事故処理を直接担当しているものとして、交通事故防止施策推進するため、常に関係省庁に問題の提起を行ないながら、前年に引き続き、交通事故による死傷者数増加を抑制するための交通事故防止対策を重点的に推進するとともに、都市における交通渋滞緩和をはかる対策を効果的、積極的に推進してまいる所存であります。  第一に、交通事故防止対策の重点的な推進につきましては、まず、最近における交通事故発生状況等にかんがみまして、昭和四十四年度を初年度とする第二次の交通安全施設整備三カ年計画を策定し約四十六億円の補助事業のほか、交通安全対策特別交付金等を財源とする府県単独事業により交通信号機横断歩道等施設整備いたしたい所存であります。  また、指導取り締まりの面においては酒酔い運転、無免許運転等の悪質な違反をきびしく取り締まるとともに、他方、軽微な違反者に対しては、適切な指導取り締まりを行ない、運転者の自発的な交通法令の順守を促すことにより、交通秩序の保持につとめてまいりたいと考えております。  さらに、私どもといたしましては、都道府県市町村あるいは交通安全に携わる各種団体等協力し、地域ぐるみ職域ぐるみの自発的な交通安全活動が積極的に展開されるよう、あらゆる機会と組織を通じて安全教育強化徹底等につとめる所存であります。  第二に、交通渋滞緩和対策の積極的な推進につきましては、大都市都心部またはその周辺等における交通円滑化をはかるため交通規制強化交通信号機高度化及び交通情報体制整備等を積極的に推進する考えでありますが、都市交通渋滞緩和をはかるための根本的な方策としては、都市計画行政道路行政あるいは運輸行政等総合的施策推進にまたなければならないところでありますので、今後、関係省庁と十分密接な連絡を保ち、都市交通問題の総合的解決促進につとめてまいりたいと存じております。  以上当面の施策概要につきまして申し上げたのでありますが、委員各位の格段の御協力によりまして、その実をあげることができますよう、一そうの御鞭撻と御指導をお願い申し上げる次第であります。(拍手
  12. 内海清

    内海委員長 以上で荒木国家公安委員会委員長説明は終わりました。  なお、都合によりまして、原田運輸大臣の説明は次回に譲ることといたします。
  13. 内海清

    内海委員長 引き続き、昭和四十四年度における交通安全関係予算等について説明を聴取いたします。宮崎陸上交通安全調査室長
  14. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 先ほどに引き続きまして、御説明を続けさしていただきたいと思います。  三枚目の一番下でございますが、第四の柱であります被害者救済対策について御説明申し上げます。  総額としては、四十四年度におきましては九億一千万でございまして、四十三年度は約八億でございますので、約一億一千万の増でございます。  第一は、救急医療施設整備等でございます。これは厚生省関係でございまして、御承知のように、現在厚生省におきましては、年次計画で、全国に約百十カ所の救急医療センターを、主として国公立の病院に整備する計画でこれを実施中でございます。四十四年度におきましては約四億三千万を投入いたしまして、国立病院七カ所、それから公的な医療機関十五カ所にこのような救急医療センター整備する予定でございます。  なお、現在までにこの救急医療センター全国で約六十カ所程度整備されております。  それから二番目が、むち打ち症対策でございます。いわゆるむち打ち症対策がここ一両年たいへん問題になっておりまして、これは労働省におきまして、ここにもございますように、主として労災病院に委託いたしましてむち打ち症対策の研究をいたすとともに、労災病院におきます医療機器の整備をやっております。昭和四十四年度予算額は四千万でございます。四十三年度は四千百万で、百万減っております。  それから三番目が救急業務施設整備。これは消防庁関係でございまして、現在、御承知のように、救急業務は消防の所管になっております。四十四年度は千五百万でございますが、その内訳は、ここにもございますように、救急指令装置を漸次都市整備するために要する費用でございます。  なお、一昨年までは救急自動車につきましても補助をいたしておりましたが、四十四年度からは、救急自動車につきましては、原則として先ほど申し上げました交通安全対策特別交付金でこれをまかなう予定にしております。  それから四番目が交通事故相談活動強化で、これは現在総理府におきまして補助をいたしております各都道府県交通事故相談所に要する経費でございます。四十四年度は四千二百万で、四十三年度の七千万に比べまして二千八百万減っております。実は四十四年度以降はこの都道府県相談所に要します経費に対する補助は、一般会計及び自動車損害賠償責任再保険特別会計の両方から補助いたそうということになりまして、四十四年度におきましては一般会計の四千二百万のほかに、自賠責特会から三千五百万を出しまして、合計七千七百万で補助をいたそうということでございます。したがいまして、総額といたしましては七百万の増でございます。  五番目が法律扶助事業補助でございまして、これは法務省所管でございます。四十四年度六千五百万で本年度どおりでございます。これはここにもございますように、法律扶助協会が行なっております法律補助事業に対する補助でございます。  それから六番目が自動車損害賠償責任再保険特別会計による補助でございますが、これは御承知のように、現在、自賠責特会のうち保障勘定に累積黒字がございまして、その保障勘定の累積黒字の利子収入の範囲内で一定の交通安全関係の事業等に補助をしているわけでございます。この額が四十四年度では三億一千九百万でございます。四十三年度は二億四千三百万でございますので、七千六百万の増でございます。先ほど申し上げました都道府県交通事故相談所に対する補助は、四十四年度から一応この自賠責特会の保障勘定の利子収入からも補助いたすことになっているわけでございます。  それから五番目が交通事故防止に関する科学的研究の推進でございまして、これは四十四年度一億五千六百万、四十三年度が三億一千八百万でございますので、六千二百万減少いたしております。  第一は、交通制御の調査研究、これは警察庁の科学警察研究所で行なっておりますが、二百万でございます。四十三年度と同額でございまして、これはここにもございますように、大都市におきます交通円滑化をはかるための交通制御の実施に必要な調査用機器の整備でございます。  それから次のページにまいりまして、自動車安全研究の強化、これは通産省の工業技術院におきます研究でございます。四十四年度は一億九千百万、四十三年度二億三千四百万でございますから、四千万ほど減っております。  それから三番目が自動車安全整備研究等の強化でございまして、これは運輸省の船舶技術研究所における研究でございます。これは四十四年度は五千万でございまして、四十三年度は三千三百万でございますから、千七百万増加いたしております。  なお、通産省と運輸省で同じように自動車安全性の研究をいたしておりますが、これがどこが違うか、ダブってないかという点につきましては、ちょっとここにも注をしておりますが、簡単に申しますと、通産省におきましては将来の自動車に関するいろいろな研究をする、それから運輸省におきましては現在の自動車安全性の研究をする、大ざっぱに申しましてそういう割り振りないたしまして、両者の研究がダブらず、かつ有機的に効果的に行なわれるようにいたしているわけでございます。  四番目がむち打ち症の研究の推進でございまして、これは厚生省でございますが、四十三年度におきまして一千万を計上いたしておりました。四十四年度におきましてもこれを計上いたす予定でございますが、まだその内訳がはっきりいたしておりません。いずれ特別研究費の六千万のうちからその一部をこのいわゆるむち打ち症の研究に充当いたす予定でございます。  それから五番目が脳神経外科の充実でございます。申すまでもなく、脳神経外科の専門医の数が不足しておりますので、これを急速に養成しようということでございます。そのために、ここ数年来毎年各大学に脳神経外科の講座の増設と大学付属病院等におきます研究施設の増設をいたしております。これはその初年度経費だけをここに計算してございますので、四十三年度の三千三百万に対しまして四十四年度は千三百万と二千万減っておりますが、これは四十四年度におきまして整備すべき大学が一つであるためでございます。いまのところ、四十四年度におきましては神戸大学に脳神経外科の講座を新設し、それから岡山大学に研究施設整備する予定でございます。  それから六番目が交通関係科学研究の推進でございまして、警察庁が四十三年度において行なっておりますこの注にございますような研究が一応終わりましたので、これは四十四年度はゼロになっております。  それからその他といたしまして、六番でございますが、これは総理府におきまして交通事故の実態調査その他交通事故防止のためのいろいろな研究調査をいたしております。これに要する経費でございまして、四十四年度は千四百万、前年度に比べて百万ふえております。  以上合計いたしますと、総額が四十四年度におきましては六百三十二億七千二百万でございまして、四十三年度の五百九十一億六千五百万に比べまして四十一億七百万増、パーセントにいたしまして七%増でございます。  なお、これ以外にも最後のページでございますが、間接的に交通安全に関係あるものあるいは直接的ではございますが、国の予算そのものではないものといたしまして、自賠責の再保険特別会計が約二千億程度ございます。それから国鉄の事故防止対策事業といたしまして二百三十一億程度ございます。国鉄が減りましたのは、一つはATS装置がほぼ予定計画が完了いたしたためにその分が減っているようでございますが、詳細はまだ十分に調査いたしておりませんので、次の機会にまた御説明申し上げたいと思います。それから私鉄に対する日本開発銀行の融資、これは四十三年度におきましては九十八億いたしておりますが、四十四年度はまだ計画中で、その数は確定いたしておりません。  なお、御参考までに申し上げますと、以上六百三十二億七千二百万の内訳でございますが、このうち一般会計において計上いたしておりますものが約百六十八億でございます。残りの四百六十四億が特別会計でございまして、特別会計の内訳といたしましては道路整備特別会計、自動車検査登録特別会計、国立病院特別会計、労働者災害補償保険特別会計、自動車損害賠償責任再保険特別会計、国立学校特別会計、このように分かれているわけであります。  以上、昭和四十四年度の陸上交通安全に関します予算概要を御報告申し上げます。
  15. 内海清

    内海委員長 以上で説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十五分散会