○飯田
参考人 ただいまの御質問にお答えいたしますが、その前に大体の経過をかいつまんで
お話ししておきたいと思います。
高速三号延伸線が都市
計画決定されましたのが四十一年の七月、それから事業決定がされましたのが四十二年のやはり七月だと記憶いたしております。それで、現在渋谷のところまで来ておりますのを、今度
国道二百四十六号線の上を通ってずっと瀬田のほうに向かって
高速道路をつくり、瀬田の少し手前のところから今度は右折れして用賀地区に入る、そして環状八号線のところで東名
高速道路に連結するというのが三号延伸線でございます。
ただいまの用地買収の問題は、そのうちの用賀地区の用地買収についてだと思います。先ほども申し上げましたように、四十二年の七月に事業決定がされましたので、私のほうではさっそく用地買収事務に取りかかり、八月にはあの地区の標準地約六カ所を選びましてそれの評価を進めました。それから土地の方々のところへ参りまして、そして土地の買収説明をし、そして四十二年の暮れごろから逐次折衝に入るという段階に相なったのでありますが、御案内のように、四十二年の暮れまでは土地収用法は旧法を適用いたしておったわけです。それが四十三年の一月一日から
改正土地収用法が適用されることになった。それで、その際に、
改正をされたその時点において土地収用法の発動をいたしまして土地の価格を決定するというやり方が
一つあったわけでありますが、しかしながら、われわれといたしましては全面的に用地の折衝に入るまでの準備がまだ十分整っていなかったわけであります。また四十二年度の予算も必ずしもたくさんついていない。そういうようなことから、四十三年の一月一日新土地収用法が適用になりましたそのときに、一応その地区を保留地ということにしたのでございます。そして
一般の任意買収の方式によりまして買収を進めてまいりました。しかしながら、この地区は、一部に
高速道路そのものに対する反対がございまして、なかなか立ち入り測量等も許してもらえないという時期がございました。そんなことからなかなか思うように進んでいかない。四十三年の八月までに全面積のうちのようやく二八%より進まなかったわけでございます。一方、東名
高速道路は一部開通いたしまして、全面開通も目前に迫っている、あの辺の
高速道路を早くつくらなくちゃならぬという声が非常に強くなってまいりました。そういうことで、われわれとしても早く工事に着手する必要がございます。したがいまして、いままでと同じような任意買収の方式でいくことは必ずしも好ましくないというので、四十三年の十月になりまして保留地の解除をいたしまして、土地収用法の手続の開始をいたしたのでございます。そうすると、御案内のように、保留地の解除をいたしますと、そこであらためて土地の価格を再評定しなければならぬ
法律のたてまえになっております。そこで、三名の公認鑑定士の鑑定を依頼いたしまして評価をさせたところ、意外に高くなっておる。前年度に比して二五、六%の増額というようなことが出ました。われわれとしても非常に驚きまして、さっそくもう二人新たに公認鑑定士を追加いたしまして、五人の鑑定士の結果を見たわけでございます。それを見ますと、やはり依然として二五%から三〇%近くの値上がりということになったのであります。これは、私から申し上げるまでもなく、東名
高速道路が一部開通し、全面開通も近くある、それから環状八号線も逐次整備されるということで、あの辺に対する人気といいますか、そういうものが非常に強くなってきた。そんなことから、前年の八月に評価いたしましたのと比較いたしますと、約一年二カ月になりますが、その間に二五%の値上がりになってしまった。公認鑑定の結果そういうものが出たとすれば、今後の用地買収はそれを
基準としてやらざるを得ないということになったわけであります。したがって、その額で最終的に決定をいたしまして、そこで価格を固定して買収に入ったわけであります。おかげさまでその後非常に用地の買収は順調に進みまして、現在では、あの区画約百区画ばかりありますけれども、そのうちのわずかに一区画がまだ話がきまらぬというだけで、
あとはもうきまったようなわけでございます。そういうことから、前に買った方と今度再評価して価格固定をいたしましたのとの間に二五%の差ができた。その中で一部の方が、これはどうも少し話が違うじゃないか、
公団が買うときには、いや、今後といえども土地の値上がりはいたしませんということで、私はそれに応じた、しかるに、十月になってみると、二割五分まで上げたじゃないかということを言われまして、その後その差額をくれという強い要望がございました。私のほうといたしましては、もちろん、一応私どもの係の職員が出向きまして、買収の際に今後値上げはしないというようなことをおそらく言っておるとは思います。というのは、従来も、任意買収でずっと進みます間は途中で値上げをするようなことはしない方針で進んできております。というのは、途中で値上げを若干でもするということになりますと、結局用地買収がおくれてしまいます。値上げをするであろうことを見越して
あとへ引いていく、こういうことでおくれてしまいますので、われわれは、任意買収の際におきましても、最初にきめました価格でずっと押し通していくというのがいままでのたてまえでございましたので、おそらくそういうような趣旨のことを係の者が言ったであろうことは当然わかるわけであります。しかしながら、私のほうといたしましては、やはり合法的に契約ができておりますので、その差額をあらためて出すということはなかなか困難だというのでいままで話を進めてまいりましたが、最近になりまして、その方が工事の立ち入り禁止の仮処分を申請いたしました。これはその後私のほうから一札入れることによって引っ込めましたけれども、またここ数日前に、あれはどうもだまされた――と言っては語弊がありますかしらぬが、そういうことであの契約は無効だから、取り消しだ。そして、移転登記が済んでしまっておりますものですから、その移転登記の撤回請求という本訴を提訴してこられたわけであります。こちらといたしましては、そういうような提訴がありますれば、もちろん受けて立たざるを得ないわけであります。それの結末はやはり裁判のほうで解決せざるを得ないと思いますので、そのつもりでおります。
ただ、それが長引いて工事がおくれるようでは困りますので、その点については裁判所のほうにお願いをいたしまして、合法的に工事ができるような
方法をいまのところ検討をいたしておるような次第でございます。御了承願いたいと思います。