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1969-07-09 第61回国会 衆議院 建設委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月九日(水曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 始関 伊平君    理事 天野 光晴君 理事 大野  明君    理事 金丸  信君 理事 草野一郎平君    理事 田村 良平君 理事 井上 普方君    理事 佐野 憲治君       伊藤宗一郎君   稻村左近四郎君       進藤 一馬君    丹羽喬四郎君       葉梨 信行君    廣瀬 正雄君       古屋  亨君    堀川 恭平君       阿部 昭吾君    岡本 隆一君       金丸 徳重君    福岡 義登君       渡辺 惣蔵君    山下 榮二君       小川新一郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 坪川 信三君  出席政府委員         建設政務次官  渡辺 栄一君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局公害部環境整         備課長     石丸 隆治君         建設省都市局都         市高速道路公団         監理官     角田 正経君         消防庁防災救急         課長      中沖  豊君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     小野  裕君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     斎藤 義治君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事)   飯田逸治郎君         専  門  員 曾田  忠君     ――――――――――――― 七月七日  委員金丸徳重辞任につき、その補欠として八  百板正君が議長指名委員に選任された。 同日  委員八百板正辞任につき、その補欠として金  丸徳重君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員山口敏夫辞任につき、その補欠として遠  藤三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員遠藤三郎辞任につき、その補欠として山  口敏夫君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員古屋亨君及び内海清辞任につき、その補  欠として宇都宮徳馬君及び山下榮二君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員宇都宮徳馬辞任につき、その補欠として  古屋亨君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月七日  建設業法改正反対に関する請願兒玉末男君紹  介)(第九九一五号)  建設業法の一部を改正する法律案反対等に関す  る請願外一件(井上普方紹介)(第九九一六  号)  同(内海清紹介)(第九九一七号)  同(折小野良一紹介)(第九九一八号)  同(唐橋東紹介)(第九九一九号)  同(兒玉末男紹介)(第九九二〇号)  同(佐野憲治紹介)(第九九二一号)  同(島上善五郎紹介)(第九九二二号)  同外一件(田原春次紹介)(第九九二三号)  同(野間千代三君紹介)(第九九二四号)  同(堀昌雄紹介)(第九九二五号)  同(八百板正紹介)(第九九二六号)  同(八木一男紹介)(第九九二七号)  同(山口鶴男紹介)(第九九二八号)  同(渡辺惣蔵紹介)(第九九二九号)  同外八件(内海清紹介)(第一〇〇〇八号)  同(石川次夫紹介)(第一〇〇〇九号)  同外一件(石野久男紹介)(第一〇〇一〇  号)  同(加藤清二紹介)(第一〇〇一一号)  同外二件(佐野憲治紹介)(第一〇〇一二号)  同(田邊誠紹介)(第一〇〇一三号)  同(武部文紹介)(第一〇〇一四号)  同外一件(千葉佳男紹介)(第一〇〇一五号)  同(楢崎弥之助紹介)(第一〇〇一六号)  同外八件(本島百合子紹介)(第一〇〇一七号)  同外三件(田原春次紹介)(第一〇〇九五号)  同(只松祐治紹介)(第一〇〇九六号)  同外五件(戸叶里子紹介)(第一〇〇九七号)  同外六件(堂森芳夫紹介)(第一〇〇九八号)  同(野口忠夫紹介)(第一〇〇九九号)  同(山口鶴男紹介)(第一〇一〇〇号)  同(山崎始男紹介)(第一〇一〇一号)  自転車道整備等に関する法律の制定に関する  請願外五件(中尾栄一紹介)(第一〇〇〇七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月八日  主要地方道宇和島須崎線国道昇格に関する陳  情書  (第五八四号)  建築基準法の一部を改正する法律案成立促進  に関する陳情書外二件  (第五八五号)  同外二件  (第六二四号)  官公需工事に対する中小建設業者受注分野確  保等に関する陳情書  (第六二三号)  第二次住宅建設五箇年計画に関する陳情書  (第六二五号)  公団住宅環境整備に関する陳情書  (第六二六号)  市町村道整備促進に関する陳情書  (第六二七号)  北九州地域道路建設促進に関する陳情書  (第六二八号)  国道三号線矢部川鉄橋側道橋架設に関する陳  情書(第六二九号)  阪神高速道路整備拡充に関する陳情書  (第六三〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  道路整備特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第一〇八号)      ――――◇―――――
  2. 始関伊平

    始関委員長 これより会議を開きます。  道路整備特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、おはかりいたします。  本案審査のため、本日、日本道路公団及び首都高速道路公団から参考人の御出席を願い、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 始関伊平

    始関委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選は委員長に御一任願いたいと存じます。  参考人からの御意見は、質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。     ―――――――――――――
  4. 始関伊平

    始関委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。福岡義登君。
  5. 福岡義登

    福岡委員 今度の改正要綱によりますと、「二以上の道路であって、交通上密接な関連を有すると認められる等一定の条件に該当する」と書いてあるのですが、具体的にはどういうような場合を考えられておるのか、お聞かせいただきたい。
  6. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いま有料道路を全国で相当やっておりますが、その中を見ますと、交通上非常に密接な関係があるという点から見ますと、これは例をとってみますと、阿蘇登山道路というものがございまして、これは道路公団でもやっております。これも県道でございます。また、県といたしましても別の阿蘇登山道路有料でやっております。こういうものを二つ阿蘇に登る場所は違うのでございますが、阿蘇観光という目的自体からいえば、同じような道路二つ、別の管理者有料道路をつくっておる。こうなりますと、やはり建設したときの時期とか用地費とか、それによりまして非常に工期、工費も変わってまいります。そういうことから料金も違いまして、償還期限も違ってくるというような状況になってまいります。こうなりますと、一方が早くつくったために安い料金で早く償還してしまうということになりますと、同じその阿蘇観光目的としたものが、利用者からいえば、一つのほうを通ればただになる、一つのほうを通れば金を取られるというようなことでは、利用者の費用の負担というものは公平を欠くのではないか。そういうような交通上非常に密接な関係のあるもの、こういうものについては、この際、両方管理者を一本にして合併採算ということで、お互いの、利用者負担も均衡をはかり、かつ、無料になるなら同時になるということのほうが、利用者のためにもなるのじゃないかというようなことでございます。  阿蘇登山道路以外にも、いろいろ道路公団でやっております国道につきましても、現在の箱根新道とか、最近開通いたしました小田原-厚木道路ということになりますと、小田原-厚木道路を通りまして箱根へ行くという交通が非常に多いわけでございます。これも一方がただになり、一方が料金を取られるというようなことになりますと、利用者も非常に不便を感ずる。やはりこういうものは一本にして、一本の料金体系通行料金をお支払い願うというほうが、利用者の便にもなるし、また公団といたしましても料金管理上非常に簡素化するわけでございまして、そういうようなところについて合併採算ができるようにいたしたいということでございます。ただ、これはもちろん地元利害関係が非常にからんでおりますので、そういういまの目的だけで合併採算をするのじゃなくて、やはり地元県議会その他の同意を得てやってまいりたいというように考えております。
  7. 福岡義登

    福岡委員 大体わかりましたが、統合する場合の料金ですね。これは、いまお話がありました、償還期限が異なっておる、たとえば、据え置き五年を含めて十五年償還というものが一般的な償還期限になっておるように思うのですが、片方のほうが十年すでに経過しておる、償還十年やっておる、片方は十五年まるまる残っておるというような場合、しかも料金がそれぞれ異なっておる場合、現行料金でいきますと、片方が三百五十円で片方が二百円というように、料金が異なっておる場合があると思うのです。残りの償還期限も異なっておるし、現行料金も異なっておる。そういう場合に、統合されて一つになるのでしょうが、どういうような計算のしかたを考えられておるのか。
  8. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 二つ以上の道路合併採算する場合に、いろいろのケースがあろうかと思います。ただ一つ例として考えられますのは、二つ有料道路がございまして、一つは、たとえば昭和四十五年に無料になる、もう一つ道路は五十五年に無料になるということで、この二つ交通上非常に密接な関係があって合併採算をするということになりますと、やはり、いまの四十五年にもう無料になるようなものを延ばし、五十五年に償還するものをさらに縮めて、両方で合理的な料金をきめて償還年限をきめたいというように考えております。いまみたいな例で二つを一緒にする場合は、早くつくったほうが償還期限が当初の一本ずつの計画よりはおそくなり、あとからつくったものが早くなるというのが大体現状かと思います。ただ、その場合に料金をどうするかという問題になりますと、これは合併採算にしても、償還する金額というのは変わりないのでございます。その中で料金を高くして早く無料にするという方法考えられるし、また、料金を安くして多少償還期限を延ばすという方法考えられると思います。その辺はやはりその有料道路を通ります利用者便益をこえた料金にするわけにはいかないと思います。どちらかといえば、これからの交通量の増加を見ますと、料金は多少安目にしておいて、償還期限は当初の計画を多少長くしても、いまの交通状況からいえば、相当計画より早く償還するというものが大部分だと思いますので、料金のきめ方については、現行取っております料金を上げるというようなことはあまりしたくない。やはりその範囲内でやっていきたい。二つのものを一本にいたしますと、やはりあとからつくりましたものについては多少料金が下げられるのではないかというような考えでございます。
  9. 福岡義登

    福岡委員 これは相当地元との関係利害関係が――いま阿蘇登山の例を引かれたのですけれども、具体的に償還期限がどうなっておるのかというのはまだ調べておりませんが、公団がやっておられる阿蘇登山県営でやっておる阿蘇観光二つあるわけですね。その中で、阿蘇観光のほうはもう償還期限満了直前である、公団のほうはまだ相当あるというような場合、実際にはまだ調べておりませんからわかりませんが、県営の側、特にこのルートの周辺にある観光業者、みやげものその他営業関係の人からいえば、これが無料になれば相当お客さんがこっちに来るだろうというようなことでいろいろ設備投資その他をやっておるとか、あるいは県としてもそういう対策を立てておる場合が考えられると思うのですね。それを一つに統合して償還が延ばされる、無料になるところがまだ当分有料が続くということになると、相当利害関係が出てくると思うのですね。その辺をどうするか。これは公団側管理者が協議をするということになっておりますが、相当問題が発生することが考えられる。そのようなことをどう処理していくかという問題があろうかと思うのですが、それをひとつ御見解を聞きたい。  それから、料金のほうで現行よりもあまり高くしたくないというお話なんですね。ところが、同じ県内二つ三つ有料道路がある場合、安いのでいくと五十円、高いのは三百五十円、こうあるわけですね。その場合に、現行よりも高くしたくないと言われましても、五十円のところと三百五十円のところでは、五十円のを落とすわけにはいかぬと思うのです。ですから、償還期限との関係もあるでしょうが、現行よりもあまり高くしたくないというお話ですけれども、現実には相当高くしなければならぬ場合があるのじゃないか、そういう場合をどういうように処理されるかです。
  10. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 最初のお話の、阿蘇登山道路の例でございますが、確かにいま先生のおっしゃいましたように二つありまして、一方がただになるということになると、その道路に面する観光業者というのは、これはただになったほうが利益があると思います。ただ、そういたしますと今度は別のほうの観光業者がこれはまた非常に不利益になるということもございまして、非常にこの点はむずかしいと思いますが、その辺を実は私たち一いまの交通上密接な関連のあるものは必ず合併採算をしろということではなくて、やはりその辺の地元の皆さんの意見を聞いて、そういうことをするほうがベターだというように結論された場合に、県議会同意を得てやるようにしていきたいというふうに考えております。これはやはり強制するべきものではなくて、地元の発意によってそういうことができるような制度にしたわけでございます。  もう一つは、やはり県内二つ三つ非常につながっておる有料道路がございます。その料金体系が非常に違う。一般に言えますことは、昔やった有料道路は非常に料金が安いけれども、あとからやった有料道路は、やはり建設費がかかっておりますので、高くなってくる場合があると思います。この場合は、前にやったほうの料金がきわめて不適当だという場合は、上げるということもそれは間々あるかもしれませんが、私たちのいまの指導の方針としては、前にやった料金は、それは安くても必ず償還ができるような――多少地元利害がありますが、その償還を延ばすことによってほかの有料道路採算をよくし、全体の無料開放を急ぐということにすべきではないかということで、あまり矛盾のあるような料金はこれは改正しなければいかぬと思います。そのときに、いままでそこを利用しておった人が非常に不公平を感ずるような料金改正はしたくない、やはりこれもその利用者の立場になって、どのくらいなら許容できるかということも慎重に検討して、もし料金を上げるということが必要になれば、そういう検討のもとにやっていきたいと思っておりますが、原則としては、料金を上げなければほかの採算がとれないというようなものまで有料道路にしてやられていることのほうがおかしいので、そういうものを合併採算にして、前の採算が十分とれるものの料金を上げて、その料金によって赤字路線をつくるというようなことは、この法律の趣旨ではないというように考えております。
  11. 福岡義登

    福岡委員 トラブルが起きないように十分その点は指導していただかなければならぬと思うのです。  それからもう一つ法律的なことをお伺いしておきたいのですが、さっき言いましたように、施行令でしたか、償還期限据え置き五年を含めて十五年というふうになっておる。特に必要やむを得ないと認める場合は幾らか延長することができる、こうなっておるのですが、この規定と今度やろうとするこの業務の変更との関係を聞いておきたいのですが、具体的にどの路線がどうなっておるかは調べておりませんが、たとえば、すでに十三年経過して、あと二年で償還できる路線と、いまから十年料金を徴収しなければならぬ路線一つにする場合、料金のきめ方ですけれども、料金徴収期間を最小限八年や九年にしなければならぬと思うのです。そうすると、二年で償還が終わり無料になる道路は、実際には、あと八年ということになると、二十三年くらい料金を徴収されることになる。片方は短縮されるのですから問題はないと思うのですが、そういう場合に法律上問題があるように思うのだけれども、その辺はどうなのか、お伺いしておきたいと思います。
  12. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 現在の有料道路を見ますと、有料道路制度ができまして十年以上たっております。十年前にわれわれが道路整備促進の一環といたしまして有料制度を入れたわけでございますが、その当時の道路投資といまの投資とはかなり変わってまいりました。現状有料道路を見ますと、いまなら当然無料でやられておるというようなものが見受けられるわけであります。やはり私、今後の有料道路といたしまして、料金を取るのには取るようなものでなければいけないと思います。それが十年前に特別措置法をつくりまして道路整備促進有料道路制度をつくりましたが、いまとなってこれは当然無料であるべきもの、こういうものについては、私の考えとしては、できるだけ早く無料にするのが当然ではないかと考えております。やはりこれからの有料道路といいますと、いまの道路投資、経済の情勢では、たとえば名神とか東名というのは、いまなかなか無料にできないということもございまして有料でやっておりますが、それを利用する者が普通の道路より相当な便益を受けるというものが有料であるべきじゃないか。また、そのほかに、いわゆる特定といいますか、観光開発ということになりますと、これは地元の人よりは外からのお客さんが多いわけでございます。こういうようなものを、いまの道路整備でなかなかできないものを有料にするということであって、一般産業道路のようなものの中で、たとえば個々の橋みたいなものを有料にしておりますが、こういうやはり当然道路整備公共事業でやるべきものをその当時の事情でできなかったようなものにつきましては、この際、そういう合併採算に入れず、早く無料に開放すべきじゃないか。この道路はもう十年くらい料金を取ってもいいか悪いか、いまの道路投資の規模、それから社会の情勢、こういうものを考えてきめてまいりたいと考えております。
  13. 福岡義登

    福岡委員 大体わかるのですけれども、実際にはそう処理されるのでしょうが、法律的にいえば、災害などにあって償還期間が延長されなければならぬ、やむを得ない場合、こう書いてあるのですね。さっき私が言いましたのは、AとBの道路を合併させる、片方償還期限あと二年である、片方は十年残っておるという場合に、Aのほうの二年は当然延長されることになりますね。それがこの施行令の第一条第二項に抵触しないか。いまから作業する中で、そういう場合がないとは限らぬわけでしょう。Aのほうは、もうあと二年で、十五年で済むところを、二十年も二十年以上も料金を取られる。片方は十五年を短縮されるのですから、それは問題ないです。ですから、この施行令の第一条の第二項も改正されれば問題はないわけですが、今度の改正案ではそれが出ておらぬように思うので、このままでは抵触をしはせぬかということを心配してお尋ねしておるわけです。
  14. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 施行令の第一条の問題は、これは災害その他によりまして非常に償還期限が延びざるを得ないという問題につきましては、昨年特別措置法改正をいたしまして、県が行ないます有料道路について国が無利子貸し付けができるということにしたわけでございます。無利子貸し付けの中で行なわれる道路につきましてそういうような災害その他があったということでございまして、これは貸し付け償還一つ方法としてそういう規定を設けたわけでございます。一般的には、災害を受けた場合は、その災害を別の方法で復旧すればこういうことはないと思います。現在のこの法律二つ以上の採算の問題とはこれはまた別の問題としてわれわれは考えております。
  15. 福岡義登

    福岡委員 ちょっと聞き落としたのか、私の質問が悪くて、期待しておるような答弁が得られないのか、わからぬのですが、私の言っておる意味は、いま局長が説明されたような意味ではないのです。もう一ぺん繰り返して言いますが、AとBの道路一つ道路として料金が統一的に徴収されることになる、その場合、Aの道路あと二年で償還期間が終わる、Bの道路あと十年ある、それを合併させて統一料金で徴収することになれば、あと少なくとも七、八年は料金徴収をすることになろう、そうしますとAのほうの道路は二十年以上も料金が徴収されることになる、それとこの施行令の第一条二項との関係は心配ないのかということを聞いているのです。
  16. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 この施行令の第一条というのは、これは県の有料道路を助成するために無利子貸し付けをした場合の問題でございますので、これといまの問題は直接関係はないというように考えております。
  17. 福岡義登

    福岡委員 わかりました。  それじゃ次に移りますが、直接的にはこの法改正とは関係ないかもしれませんが、有料道路料金一般的に高いということがいわれておるのです。私どももときどき利用してみて、相当高いわいという実感があるわけです。  そこで具体的にお尋ねしたいのですが、料金基準につきましては、「道路通行又は利用により通常受ける利益限度をこえないものでなければならない。」こう法で規定されておるわけですね。これを受けまして、施行令では、第一条の三において具体的にそれを規定しておるわけです。どういうように計算をされておるのかということを聞きたいんだが、たとえば、道路の新設、改築あるいは補修とか、一般的にかかる経費がありますね、それと償還期限関係料金が割り出される、その料金と、ここでいわれておる「受ける利益限度」というものが必ずしも一致しないと思うのですね。ですから、受ける利益のほうが高い場合は問題はありません。ところが、逆に受ける利益のほうが低い場合はどういうように処理されておるのかということを聞きたいのですが、実際にはどういうような計算をされておるのか。計算も非常にむずかしいと思うのです。タイヤとかチューブが消耗が助かるとか、燃料費が安いとか、人件費が安いとか、いろいろ書いてあるのですが、実際に計算してみると、私はいま申し上げました差か出てくると思うのです。その場合にはどういうように処理されておるのか、あるいは方式があるのか、現実にやっておられる料金はどういう関係になっておるのか、その辺をちょっとお伺いしておきたい。
  18. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 有料道路料金につきましては、これは一般高速道路とはまた考えがちょっと違いまして、いまおっしゃいました一般有料道路については、料金の額は、その通行または利用により通常受ける利益をこえない額という受益主義を採用しております。これは一般有料道路計算いたしますとき、車が何台通るというような想定がございます。また、その有料道路をつくります建設費及び維持管理費、これを償うものでなければならぬ。償うと同時に、かつ、いま言いました通常受ける利益をこえない額にしなければならない。通常受ける利益といいますと、一般有料でございますと、別の道路があるわけでございまして、別の道路を走る場合と、その有料道路を走る場合との、走行上のいろいろの便益、また時間的な便益――時間便益については、一分を乗用車の場合は七円か八円ぐらいを考えておるわけですが、これで採算がとれるということでなければ有料道路は成り立たないのでございまして、それをこえるような料金を取らなければならぬような場合は、いまの特別措置法有料道路としては成り立たないということでございます。ただ、もう一つ道路運送法によります民間のやります有料道路につきましては、これは一般道路公団特別措置法その他でやります有料道路よりは金額が高くなっておるわけでございます。これにはやはりそれ以外の利潤も考えておりますので、この場合は、通常受ける利益をこしておる場合もあるかと思います。特別措置法の場合は、いま言いましたような別の迂回路との便益計算をして、それ以下にするように要求しておる次第でございます。
  19. 福岡義登

    福岡委員 そうしますと、一般有料道路の場合は、受ける利益限度をこしての料金はない、現実にそういうようになっておる、それを時間でいえば、一分につき七円ないし八円を限度にしておる。この一分につき七円とか八円というのは、どういう根拠で出されているのか。参考までに……。
  20. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 一分幾らということになりますと、利用者によってずいぶん違うと思います。やはり全体の国民の所得というものから、たとえば、乗用車に乗る人と、それからトラックに乗る人と、そういうものの一つの想定をいたしまして、大体平均的な数字として一分幾らということを出しておるわけであります。乗用車と、また小型の自動車と、それからトラックその他、みんな変えておるわけでございます。こまかい計算については、御必要なら、また資料も提出してもよろしいと思います。
  21. 福岡義登

    福岡委員 ここで数字の論争をしたり、どうこうという気持ちじゃないのですが、参考までに聞いておきたかったのです。たとえば、平均賃金が五万円だと仮定いたしますと、一カ月の労働時間が平均二百八時間――二百時間といたしますと、一時間当たり二百円ですか。六十分で割ると、四、六、二十四、そのぐらいになりますか。――これはあとでやりますが、少し高いんじゃないかという議論が非常にあるので、続いてお伺いするのですが、この有料道路の場合、道路建設費とかあるいは維持管理費とか修繕費、そういうものがある程度含められるのはやむを得ぬと思うのですが、そのほかの一般管理費あるいは工事資金の借り入れ金に対する利息、そういうようなものも積算されておる。言うなれば、一般行政費で当然見られるべきものまでが料金の積算の要素になっておる、これはどうも不合理だと思うのだが、将来どういうように考えておられるか、お聞きしておきたいと思います。
  22. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 有料道路の場合は、建設費維持管理費建設費に伴います利子、そういうものを全部償還するというたてまえになっております。そのために、現在、管理費といたしましては、料金の徴収の事務費、それの人件費、こういうものを全部料金として償還の対象にしております。いま先生のおっしゃいましたのは、一般的な行政としてやるべきものを償還対象にしておるのはおかしいじゃないかということだと思いますが、やはりいろいろ修繕、そういうものもまたございますが、これはいろいろこれからの検討の事項かと思いますが、現在のところは大体そういうことで償還をいたしまして、無料になれば今度は当然普通の行政費用でそれをやっておるわけでございます。何といいましても、いまの料金の徴収の事務というのは、これがかなりかかっておるわけでございまして、やはりいまのところは有料道路として料金を取るということになりますと、それに伴った道路のサービスをする、やはりそのサービスに必要な経費というものは私たち料金の中に含めてもいいんじゃないかというような考え方でございます。
  23. 福岡義登

    福岡委員 例外を除いて、道路建設は、有料にしてそこから建設費を出していくという考え方自体にわれわれは賛成できないわけです。特定の利益を得る場合などは別ですけれども、一般的に道路建設というようなものは、十分財源があってそしてどんどん国なり県が責任をもってやっていくというのがたてまえだと思うのです。そういうたてまえに立って考えますと、さっき言いました管理費など、あるいは借り入れ金の利息、そういうものまで料金に積算するというのは、もう早晩改めなければならぬように思うのです。おっしゃいましたサービスですね、これなんかも当然一般の行政の中でやらなければいかぬものであって、全体の料金体系とも関係があるのでしょうが、少なくとも管理費、そういう行政費に見合う程度のものは料金からはずしていく必要があると思うのですが、どうでしょうか。
  24. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実は有料道路を建設いたします場合には、これは道路公団でございますと、財政投融資の資金でまかなっているわけですが、いわゆる財政投融資の資金といいましても金利がかさみますので、できるだけその金利を安くするために無料の国費を入れているわけでございますが、これが大体一五、六%ぐらい入っておるわけでございます。いま先生のおっしゃいましたように、これは高速道路一般有料道路でもそうでございますが、用地の問題がございます。用地まで料金償還するのはおかしいじゃないかという問題もございます。ただ、いまの現状といたしまして、公共の道路に使います一般の財源、それもなかなか不自由でございまして、やはり現状を見ますと、有料道路以外の公共道路も相当しなければならないような状況でございまして、かつまた、そういう公共道路でやっておりますものは、大体有料道路にはなじまないようなものが非常に多いと思います。やはりそちらのほうに相当金を回すという必要もございまして、将来はまた別といたしまして、いまの時点ではやはりこういうものも利用者の御負担でやるというのも、財源その他から考えまして私たちやむを得ないのじゃないかというふうに考えております。将来はやはりそういうような先生のおっしゃった問題が必ず起こってくるものと思っております。
  25. 福岡義登

    福岡委員 最後に、この料金問題でもう少し聞いておきたいと思いますのは、現在の料金は車種によってきめられておるのですね。普通乗用者、小型乗用車、軽自動車、大型貨物自動車というように、車種によって料金がきめられておるのですね。これは非常に不合理だと思うのです。たとえば、極端に言えば、かさばった荷物で、商品の価値としては非常に低いもの、ところが、量は少ないけれども、品物としては非常に高いもの、たとえば、野菜を積む場合とカラーテレビを積む場合は、もう商品の価値、荷物の価値といったら全然問題になりませんね。それを自動車の車種によって一律料金にしておるということは非常に不合理があると思うのだが、その点はどういうように考えられますか。
  26. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実はこの辺私もいろいろ御批判があることを聞いております。鉄道でございますと、貨物の品目というのは何十種類に分けまして、みな料金が変わっているわけでございます。ただ道路につきましては、どういうようなものを積んでおるか、こういうもののチェックというものはなかなかできないわけでございます。そうなりますと、やはり五トン車なら五トン車としての一つ通行料金を取るということにならざるを得ないのでございまして、これも私たち、車、トラックあたりで荷物を積んでいるときは高く取って、からのときは安くしたらどうだという話もよく聞きますが、からといいましても、非常に貴重品をちょっと積んでおる場合と、いま言いましたかなり安いものをうんと積んでいる場合と、そういうような不公平もございまして、現在のところは、確認の方法が非常にむずかしいということで、一台の車がどんなものを積んでおろうとおるまいと、一回利用すれば料金幾らというようなことでやっておるわけでございます。また、トラックにつきましても、これは自重も相当ございまして、そのトラックがからであっても、トラックの自重と、それから乗用車の場合の道路のいたみ方から考えますと、いまの料金というのは、トラックのほうにはなはだ安く、乗用車のほうに多くなっているのではないかというように考えますが、トラックだけをべらぼうに高くするということもなかなかできませんので、いま言いました、通常受ける便益の方式で料金を算定しておりますが、これでしばらくやっていかなければならないのじゃないか。確かに先生のおっしゃいましたそういうようないろんな矛盾はございますが、こういうものもこれから検討事項にしたいというふうに考えておりますが、とりあえずはいまの算定方法で続けていきたいと考えております。
  27. 福岡義登

    福岡委員 いまの点は相当大きな矛盾だと思うから、具体的にどうやるかということはいろいろ検討されなければならないと思うのですが、早急に検討をしていただきたいということを強く要望しておきたいと思うのであります。  それから、高速自動車道の関係で、いま東名、名神と、こうあるわけですが、将来相当大幅な、七千六百キロですかに及ぶ高速自動車道が計画、建設中なんですけれども、将来の料金体系考えてみると、非常に大きなたくさんの課題があると思うのです。これも含めて料金体系というものを十分考えていただきたいと思う。  最後に、大臣にひとつお伺いしたいのです。いま局長にいろいろ伺ってきたことでも御理解いただけると思うのですが、道路財源が非常に少ないために料金に無理をさせておる、あるいはやらなければならぬ道路がおくれておる、こういうように思うのです。今年度の予算問題を審議するときにもその点は強く述べたところなんですが、今度全国の総合開発計画を見ましても、相当大規模な道路建設が計画されておるわけであります。四国架橋の問題もその一つですが、これは有料道路でやるのですからあれでしょうが、いずれにしても道路予算全体が非常に少ない。おそらく来年度予算は七兆円をこすのだと思うのですが、全部含めて一兆円に足りないのですね。本年度予算の中では、地方公共団体の分も含めて一兆円に足りないのですね。この倍ぐらいになってもいいのじゃないかと私は思うのですけれども、新たな道路財源をどうするかということも検討されておるようでありますが、今後の道路予算の対策として建設大臣はどういうように考えられておるか、抜本的な対策を立ててもらいたいのですが、御見解をお伺いしておきたいと思います。
  28. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 福岡委員が御指摘、また御質問になりましたこの問題は、非常に重要な問題でございます。道路五カ年計画を推進いたす場合においての最も重要な課題であることを考えますときに、その財源の確保をどういたすべきかということにつきましては、ただいま関係当局、事務当局等を通じましてあらゆる角度から検討を加えておるような次第でございます。私といたしましては、いま直ちに具体的な表明を申し上げることもでき得ませんけれども、この問題は道路計画推進の上において非常に重要な問題点でございますので、あらゆる角度から前向きの姿勢をもっていま検討いたしておるということで御理解をいただきたい。全く同感でございます。
  29. 福岡義登

    福岡委員 以上で終わります。
  30. 始関伊平

    始関委員長 阿部昭吾君。
  31. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大上段の問題の提起のしかたになると思うのですが、やはり金をとってその上を使用させるというのは、本来あるべき姿じゃないのじゃないか、こう思うのです。しかし、現状有料道路というのがずいぶんと広がりつつありますし、また建設省の相当長期の道路計画の中でも、有料道路の持つ意味は相当大きなものになっておると思うのです。その際に今回のこの法改正、これは一体どうい意味を持つのか。今回のこの改正だけで終わるものなのか。将来もまた有料道路の扱いに対していろいろな法規制や手直しが行なわれるというふうに考えなければならぬのかどうか。建設省が考えておる道路計画全体の中で有料道路がどういう位置づけをされていくかということは、計画の中にあるわけでありますから、そうすると、今回の改正外に、さらに、有料道路の取り扱いについては、ある段階にいったときはこういう扱い、ああいう扱いというふうな具体的な計画があるのだと思うのであります。今回の改正も、その意味では決して思いつきで出されたものではなくて、道路計画全体の具体的な計画の中の一環として今回のこういう法律が出てきた、こう理解するのですが、道路計画関係で、次の段階でどういうものを用意されておるかということをお聞きしたい。
  32. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 道路につきましては、私たちは、あるべき本来の姿といたしましては、無料公開が原則だと思います。現在の道路を見ますと、高速自動車国道から国道、府県道、市町村道までありまして、おのおのその分担する目的は違っておると思います。そういう中で、現在の交通状況を見ますと、車が非常にふえております。毎年二百万台、三百万台という自動車がふえまして、それに伴います交通需要が非常にふえております。また、産業の面でも陸送関係が非常にふえてまいります。無料公開の原則を私たちいまの状況で守っていますと、交通の需要に非常におくれるような道路の整備しかできないということもございまして、これはもちろんそれだけの国の投資無料道路の整備のために入ればそういうことはないのでございますが、やはり非常に道路の整備がおくれており、また交通の需要が非常に急速にふえておるという日本のいまの状況を見ますと、やむを得ない方法として私たちいまの有料道路制度をとらざるを得なかったわけでございまして、それによりましてできるだけ早く交通の需要に合うような道路の整備をいたしたいというように考えた次第でございます。  高速道路から市町村道までのいろんな道路を見ますと、この中にはもちろん有料としてなじまないものが大部分でございます。そういうものまで有料にするわけにいきませんので、そういうものには公共の金をつぎ込んでできるだけ早く整備する。また、現在の社会、経済の状況有料である程度なじむというものについては、やむを得ずいまの有料道路制度を入れまして道路の整備の促進に資したいという考えでございまして、二十年、三十年後の自動車の保有台数を考えますと、有料道路制度というのは、長い目で見れば、ある過渡的な一つ方法だと思います。  それで、現状を見ますと、ではどういうものを有料道路にするか、これが一番大きな問題かと思います。先ほど言いましたように、それを利用することによって便益の非常に大きな道路、こういうものは、いまの財政の状況では有料道路にせざるを得ないのではないかというように考えておりまして、特別措置法のできました当初の道路投資額といまとは相当変わっておりますので、先ほど言いましたように、できるだけ地元利害関係の多いようなところにつきまして公共で進めていきたいというのが、私どもの道路行政の根本の考えでございます。それ以上にとにかく有料でなじむ、またそれだけの便益があるというものを、とりあえず有料でやってまいりたいというふうに考えております。  また、特別措置法の問題でございますが、そういう前提を踏まえまして今後どういうような特別措置法改正が行なわれるかという問題は、現在いろいろ私どもの道路局、また道路公団その他で検討しておりますが、いま出ております非常に大きな問題は、民間で道路法の道路をやらせろという意見がございます。一例を申し上げてみますと、東京湾岸の道路というものがございまして、これのうち、さらに川崎から木更津を結ぶような締め切り堤をつくりまして、その上に道路を通しまして、東京湾を海を渡らずに千葉側から川崎のほうに来られるような計画があります。こういうものにつきましては、民間は、木更津その他の千葉の総合開発とあわせてやれば、民間のベースでも十分できるという採算計算もございまして、そういうような大規模な有料道路を民間にやらせるべきだという意見もございます。これにつきましては、いまの道路の本来の無料公開の原則、また、民間にやった場合のあと道路管理、こういうものがほんとうに適切にできるのかできないのか、単に一企業の営利のために国民の利益につながる道路を民間にやらしていいのかどうか、こういう問題がございまして、私たちいま慎重に検討しておるわけでございます。そういうような問題が今度の特別措置法の中には入っておると思います。民間ということ以外に、県がすでに出資をしております県の公社がございます。公社にそういう大規模な道路をやらしたらいいじゃないかという問題もございます。この問題はこの一年相当詰めたのでございますが、まだ結論が得られませんで、今回の特別措置法改正には見送った次第でございます。やはり将来の有料道路の問題といたしまして、それを規定いたします特別措置法改正の問題になりますと、いま言いました民間の問題、地方の公社の問題、そういうものでいかにいまの道路のおくれておるものを進めていくか、これは民間の資金の活用ということにもあわせまして今後の問題になろうかというふうに考えております。
  33. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 いま道路局長の御答弁で、採算に合うならば民間資金を導入して、無料公開の原則とは逆行するけれども、やはり考えなければならぬじゃないかというふうにとれるお話なのであります。これは私はきわめて重大な問題だと思うのです。採算にさえ合えば、道路をちょうど普通のバス事業あるいは軌道事業と同じような考え方で見るという考え方をとろうということは、いまの局長の御答弁だと、一年間討議をしてみましたが、まだそこまで煮詰まらなかった、こう言っておるのでありますが、だんだん何かそこに詰まっていくようにもとれるんです。これは非常に重要な問題だと思うのです。少なくともいま具体的な問題として出されました東京湾の両岸を道路でつなぐのは、向こうのほうも、半島の開発と関連をして考えますれば採算が合うのじゃないかということなんですけれども、これくらいの問題は当然国の責任でやるべきものじゃないかと思うのですが、大臣、そこはどうですか。採算さえ合えば、無料公開の原則を、そうじゃなく、軌道事業やバス事業と同じように考えていこうということになるのかどうか。
  34. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 東京湾横断道路、これは非常に大事業でございます。これらに対するところの具体的な問題点についていま御質問がございましたが、たまたま大きな問題点として建設省といたしましては湾岸道路すべてを含めまして検討いたしておりますので、具体的な考え方の問題点にまだ具体的な御要望の答弁はいたし得ない実情を率直に申し上げて、御理解いただきたい、こう思います。
  35. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 いま私が問いましたのは、考え方がまだそこまでいっておらぬわけですから、責任ある大臣は一体どうしようとするのか。採算にさえ乗るならば――さっき話に出ましたような道路は、やはり国家百年の計に乗る大事業だと私どもは思うのです。こういうものを採算に乗るならばひとつ民間資金を導入していくという考え方と私どもは基本的に相いれざるものを持つわけです。したがって私がいま問うておるのは、考え方がどうかということです。まだやっておらぬのですから……。
  36. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 私が申しましたのは、いわゆる考え方すべてを含めましての話でございますから、どうかその点御了解をいただきたいと思います。
  37. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 関連。実は私たちのほうでヒヤリングをやったときの問題なんですけれども、一つは、道路整備株式会社法なるものが建設省において構想ができて、それがいろいろな問題からつぶされた、こういう点がある新聞に出ておったわけです。道路整備株式会社、道路に対する民間資本の導入は、非常に重大な問題点を含んでおりますから、実は建設省の皆さんに、そういう考え方があるのかどうか、一応私たちの政策審議会のヒヤリングでただしたわけであります。ところが、こういう考え方は建設省には全然ないんだ、新聞社がかってに出して、かってにつぶれたというようなことを述べておるにすぎないんだ、こういう話だった。いまの局長お話によると、そういう考え方、構想を実は煮詰めてまいった、ところが、具体的にはいまの改正法案の中に織り込むことができなかったんだということを明らかにしておりますが、どうも食い違っておるわけです。先ほどの理事会でありましたように、道路の根幹に対する非常に大きな問題を含んでおるのではないか、ただこの法案に盛られておることだけがいま問題になっておるのではなくして、建設省においてそうした民間資本導入による道路整備株式会社をつくることができる道をこの法改正の中で準備しておるのではないか――公社の問題につきましても、公社の問題がずいぶん地方自治団体の財政の秩序を乱すという意味で大きな問題になっておる、そうそう意味において、道路そのものに対するところの根本的な性格を変える、しかも地方自治団体の財政秩序、行政に対する大きな変革を来たすような問題が建設省のほうから出てまいっておることに対しましても否定的であったわけです。ところが、本委員会において初めて局長は大胆に、いま公社化を、移管を実は考えておったんだ、もう一つは民間資本の導入による道路整備考えておったんだ、しかしまだ煮詰まらないんだ――大臣、この問題に対するもっとはっきりした建設省としての見解を述べていただきたい。もしそういう考え方のもとに煮詰めておったとするならば、その過程をやはり明らかにしていただかないと、この法案は、単なる法案の字句の解釈によって済まされる問題ではない、将来への大きな問題点を含んでおるのではないか、こういう点を大臣ひとつはっきりしておいていただきたいと思います。
  38. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま私の言いましたのはちょっと誤解があったかと思います。実は民間がやりたいというのは、いわゆる民間でそういうような希望があるということを申し上げただけでございまして、これを私のほうがいますぐ取り上げてどうこうするということはいまのところ考えておりません。ただ、民間にそういう希望があったものを今後どう処理するかというような点で私なりのいろいろ考えを持っておるわけでございます。現在、民間がやります道路の株式会社というようなものについては、私はいまの段階では全然考えていないわけでございます。  もう一つ、公社の問題につきましては、いわゆる県が出資しております公社というものに道路をどうやらせるかという問題がございまして、これにつきましては、公社が独自な立場でやるという方法と、県が公社を監督して公社にいろいろな道路の工事を委託してやらせる方法というようなものもございまして、いまのところは、やはり県が十分公社を監督し、その公社に道路の建設その他料金徴収をやらせるというようなものは現在の特別措置法改正しなくてもできるということで、現在これらが特別措置法改正には出なかったわけでございます。先ほど先生のおっしゃいましたように、公社の問題はいろいろ問題があったことは事実でございます。その問題の根幹は、やはり県が公社に対して監督をしておかないと将来困るんじゃないかということの問題がありまして、いまの段階としては、県が有料道路をやる場合には、まず県として発議をいたしましてその工事を県が企業局その他でやる方法もあるだろうし、また、公社の技術陣を使って公社にやらせる場合もあるだろうというようなことでございまして、いまの道路を民間会社にやらせるという問題は、これは非常に問題が重大でございます。早急に私のほうはいまそれに結論づけるというような問題ではございません。(「道路は一ぱいつくらなければならないんだ」と呼ぶ者あり)ただ、いま誤解がありましたかもしれませんが、そういう意見が一部民間会社にあるということでございまして、ただそれも、阿部先生のおっしゃいましたように、採算がとれれば何でも民間会社にやらせるということでは、道路の本来の目的に反するわけでございます。   〔委員長退席、金丸(信)委員代理着席〕 やはりこういうものは、当然、先ほど言いました無料公開がまず原則であります。無料の公共道路でできない場合にどういうような暫定の方法としてやるかという問題として、いまの有料道路制度をつくったわけでございます。これはやはり道路の財源がふえるということによって解決する問題だと思います。
  39. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 具体的な点につきましては、いま道路局長から申し上げましたとおりでございまして、いまの段階においては、民間側に一部そうした要望といいますか、構想といいますか、底流があるということを踏まえまして道路局長が申し上げましたようなことでございますので、これらに関連する総合的なそれぞれの問題点につきましては建設省といたしましては検討をいたしておるということで、それに対するはっきりとした方向というものはまだきめかねておるということで御理解願いたいと思います。
  40. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 私はやはりもっと問題が伏せられておったと思うのですね。ですから、こういう重大な問題ですから、これは委員長にも御注意しておきたいのですが、特別措置法の一部改正として三点出されておる問題点だけではなくて、実は重大な道路行政に対する根本的な変革をすでに検討されながら、一技術的な問題だけをここに出してまいったので、重大な問題が含まれておるんじゃないか。と申しますのも、実は私たちがヒヤリングをやっております過程におきまして、すでに全国総合開発計画の草案なるものが発表になっておったわけであります。この草案の中に、公共事業に対する民間資本の導入、このことが第一点として大きな柱になっておるわけです。と同時に、前後して自由民主党の都市政策構想なるものが発表になっておるわけですね。この構想の中にも、明らかに、治山治水なりあるいは特別な道路を除いて、これらの民間資金の導入による新しい道路体係をつくらなければならない、こういう点を発表になっておるわけですね。この二つのことがあるにもかかわらず、しかも建設省内部においてそういうことが検討されておるにもかかわらず、実は民間資本のほうから少し要求があったからその点を検討してみたいんだ、こういう問題では済まされない大きな問題を含んでおるんじゃないか。第二点の、いわゆる地方公共団体の公社に対し、地方行政の中から見て、公社組織というものが一体地方自治の体系の中になじむかどうか。こういう問題が大きな問題となって財政の乱脈を来たしておる。もちろん、いわゆる監督権の問題もあります。しかしながら、地方財政法によりましても、出資限度に対する監査権しかない、地方議会がコントロールすることはできない、こういうもうをどう整理するか、これは地方行政における大きな――地方制度審議会においても問題になっておる点だと思います。だから、事業団構想あるいは事業団法によって公社というものを整理していきたい、こういう一つ考え方も出てきておるわけですね。そういうのと、いわゆる全国総合開発計画草案に――すでに閣議決定かありましたから、草案じゃないでしょうけれども、その中に指摘されている問題点なり、あるいは建設省自体が自民党の都市政策懇談会の考え方を受けて内部で検討しておられる。これは重大な問題ではないか。それに対して、単なる一部からあったから云云という問題で済まされない問題点を含んでおるんじゃないかと私は考えますので、大臣、どうですか、大臣としてよく経緯を御存じだと思いますが、そんな簡単に扱っていい問題ですか。
  41. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 いろいろと佐野委員御指摘になりましたが、本法案の改正をお願いいたしておりますのは、有料道路の効率的整備をはかるという、全く局限された問題点のみの改正を願っておることでございまして、それぞれの御指摘になりました問題点等に対する一つの幼想あるいは潜在をもってこうした改正をお願いしているのでないということだけははっきり明言をいたしますので、御信頼をいただきたいと思っております。
  42. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 いまの問題はさらに深めなければならぬ問題だと思うのです。私は、今回提起されておる改正点、これ自体につきましては、ある意味では、軽い気持ち――と言うとおかしいのでありますが、そういう認識をしておったのであります。しかし問題は、今後道路政策が一体どういうふうに詰められていくであろうかということになりますと、実はいま局長が答弁いたしましたような、本来無料公開の原則で国の責任において措置すべきもの。ところが、現状道路政策を考えますと、財源的にある種の転換を遂げなければならない段階に来ておると思うのです。そうすると、勢い安易に、ことばでは、民間資金の導入ということになるんだと思うのでありますが、道路財源がある意味では転換を遂げざるを得ない段階に入ってきた、そこで民間資金を導入しよう――財源的にある種の問題が出ておることは否定できないわけでありますから、現状の政治体質あるいは経済体質等から考えた場合、いまはしなくも局長が言いましたこと――大臣はいま、今回は全く局限されたこのことだけで提起をしておるんですとおっしゃるのですけれども、有料道路政策の中に常にこれから背景としてクローズアップされてくる問題は、いま言われた採算にかなうならば、民間資金導入という名のもとに、ちょうど軌道事業やバス事業と同じような観点で道路考えていくという考え方に次第次第に流されていくという懸念が、吹っ消しても吹っ消しても吹っ消し切れないものになってくるわけであります。したがって、私が先ほどお伺いいたしましたように、今回は局限された改正だ、何点かの改正だ、こうおっしゃるのですけれども、どうも私どもそれだけでは割り切れないのですね。大臣、将来は観点を変えて、無料公開の原則を厳守して、もうかりさえすれば軌道事業やバス事業と同じような考え方で道路政策が流れていくということは絶対にない、こういうふうに言い切れますか。
  43. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 言い切る、言い切らぬの問題でなくして、私どもといたしましては、さきも申しましたように、いまの有料道路のあり方から考えてみまして、これをより効果的、効率的に整備をしていきたいという以外に何ものも考えずにこの法の改正をお願いいたしておるような次第でございますので、それ以後におけるところのそれぞれのお考え、それぞれの構想あるいはそれぞれの意見というものは、私は私なりにお聞きいたしたいと思いますし、また聞いてもおるわけでございますが、それに対するところの考え方については、私はいまこれに対する根拠を何ら持っていないことを御了解願いたいと思います。
  44. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣、道路というのは、いまで終わる問題ではなくて、ずっと流れていくわけです。ずっと進めていかなければならない。先ほども与党委員の席から、道路は一ぱいつくらなければならぬのだというやじがございました。私も同感なんです。だとすると、財源的にいまある種の再検討をしなければならぬ段階に来ておることは間違いないでしょう。そうすると、私どもは、将来の道路政策は、その根幹である無料公開の原則を著しくゆがめるような形での道路政策の発展というものには問題がある、こういう認識をしておるわけです。そこで、大臣はきわめて天真らんまんに、いろいろこれからのことはあろうが、そのこととは別に、いまのことはいまのこと、こうおっしゃるのですが、やはりそうはいかぬ問題じゃないかと思うのですね。一体どういうふうに進めていこうとするのか。特にその中で、私が指摘しておりますように、財源的に一つの問題が提起されておる。その問題は、今後私どもが主張するような無料公開の原則の道路、これを大量に国民大衆の利便にかなうように整備をする、この原則に立った場合に、道路の財源確保は一体どうするのか。一つの転換を遂げなければならぬ段階になることは間違いないでしょう。この点については、大臣、いかがお考えですか。
  45. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 無料公開の大願望といいますか、願いというものに対する気持ちは、私はよく理解できますし、そうあるべきだと思いますが、やはり私といたしましては、現実道路という問題を考えますときに、いま直ちにそれに対する到達された姿でこれに対する私の考え方をはっきり申し上げることはでき得ないということを申し上げているような次第でございますので、そうした願望に到達すべく努力をいたしておるということで御理解願いたいと思います。
  46. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣、やはり生きた政策をずっと積み重ねてわれわれの住んでおる日本の社会は生々発展していかなければならぬと思うのです。そこで、大臣はこの次の改造があってもまた大臣になってもらったほうがいいと私ども思うし、もっとずっと続いていいと思うのです。しかし、いまのことはいまのことで、先のことはさあそのときだということでは済まぬ問題だと思うのですね。いま私がお聞きをいたしました、道路財源というものがある種の転換を遂げざるを得ない段階に来ている、このことは一体どうしようとしておるのか。たとえば、いろいろ意見の違いはあっても、ガソリン税を何とかしようというふうに考えるのも一つ方法でしょう。あるいは、かわるべき道路財源というのはこういうふうにするのだとか、いろいろなければならぬと思うのですね。ですから、いまのことはいまのことと言われても、私どもは、ああそうですか、いまのことだけでけっこうですと言うわけにいかぬのです。財源問題はどうですか。
  47. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 さきにも福岡委員にお答えいたしましたごとく、いわゆる無料公開の原則に立っての道路行政という願望の前に立ちながら、進行形といいますか、進行の姿で絶えず即応しました道路行政を進めてまいるということは当然でございます。したがって、それらに対するところのいまの立場から、いまの時点からいいますと、財源問題ということは非常に重要な問題点でありますから、これらに対するところの検討は、前向きの姿勢をもっていま検討いたしておるということを福岡委員にお答えいたしましたとおりでございまして、決して財源の確保、財源の措置というような問題を放置いたしまして道路行政の推進はあり得ない現実の時点でございますので、これらに対しましては政府といたしましては真剣に取り組んでおるということで御理解願いたいと思います。
  48. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 局長にお伺いいたします。  いま大臣は、前向きにいろいろな検討を進めておる、まだそれは煮詰まっておらないから、道路財源はかくかくこのようにするということまで明確にお答えいただけない現状なんだと思うのです。現状の段階で道路政策の長期計画があるわけであります。あの当時から財源問題はどうなのかということがやはり一つの課題として残っておったと思うのです。したがって、建設省側の道路計画というものを正確に推進していこうということになる限り、そうである限り、財源問題については内部でいろいろな真剣な討議というものが進められておるものだと思うのです。その現状はどうで、どこに問題点があって、どういうふうな意見が出ておって、どこらあたりが一つの問題になっておるのかということをひとつこの機会にお聞かせいただきたい。
  49. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたように、道路現状を見ますと、交通事情に比べまして非常に道路の整備はおくれている。これを進めるためには、やはり先生のおっしゃいました財源を強化しなければいかぬということで、財源の問題は、いろいろ私のほうもどうやって強化するかを検討しておりました。  一番私たち聞きますのは、現在の道路の事業費の財源といたしましては、ガソリン税その他の特定財源が大部分でございまして、それに一般財源が数百億入っておる次第でございます。また一方、政府は建設公債と称して何千億の公債を出しております。その公債をもっと回すべきじゃないかというような考えもございます。これは建設公債を逐次減らすということじゃなくて、道路みたいなものに優先的に使うように、財源がなければ、建設公債をもっとふやすべきじゃないかというような意見がございます。ただ、これはいまの財政当局、大蔵その他でいえば、建設公債をふやすということは、国内の経済の問題、そういう問題にからみまして、景気の問題ともからみまして、非常にそれに懐疑的といいますか、そう簡単にふやせるものじゃないというような意見でございます。ではそのほかにどういうものがあるかといえば、先ほど先生のおっしゃいましたような、ガソリン税その他の税金をふやすという問題がございます。しかし、これについては、いまの税金のかけ方がはたしてまだかける余裕があるのか、いまでも高過ぎるのではないかという問題もございまして、簡単に税金をふやすという問題にも踏み切れないような状況でございます。ではそのほかにどういうような財源の強化の問題があるのかといいますと、先ほど言いました民間資金を使う方法がないかということもございます。しかし、道路というのはやはり公共福祉のための施設でございますので、一つの営利事業としてやることには非常にこれはまた抵抗があるわけでございまして、そういうものを踏まえまして、いまの道路の財源をどう強化していくか、これはいろいろまだ検討しておりますが、これなら十分いけるというような成算をまだ得ておらない次第でございます。
  50. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 いまの新五カ年計画もちょうど半ばに達しようとしている。したがって、また長期の道路政策に基づいて新しい年次的な計画策定というものをやらざるを得ない段階に入っておると思うのですね。その際に、財源問題については、いまのように非常に不安定な、不確定なこの状態のままでいいのかどうかという問題も一つございますし、それから私は、有料道路の問題を考えますると、道路全体のあれがある中で、何か、金さえ取って採算ベースに乗るならば、そこだけを片づけていくというかっこうに片寄りはしないかという懸念があるわけです。したがって、この財源問題も含めて、国の長期的な道路政策をどのように推進をする、しかも年次計画でいえば、新五カ年計画が半ばに達した、社会情勢もいろいろに変化しておる、したがって、さらにまた次のある区切った段階での年次計画というものを具体化せざるを得ない段階にそろそろ当面しているのだと思うのです。そういう具体的な計画展望、財源、こういうものが、どうもいまの局長の御答弁では、あまり正確に、私どもがなるほどというようなわけにいかぬように思うのです。もう少し正確にその点の御説明を願いたいと思うのです。
  51. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いま、これは先生も御承知のように、四十二年から第五次の道路五カ年計画をつくりまして、これには地方単独が一兆一千億入っておりますが、それを含めまして六兆六千億ということでございます。この中で一応国費というものを計算しております。この大部分がガソリン税でまかなわれておるのでございます。ガソリン税で不足するところを一般財源で補うというようにしております。現在のところその一般財源が必ずしも十分に入っていない。五カ年計画の中で今後期待をする一般財源というのは相当大きな額になっております。これをこのままではたして五カ年計画がうまく達成できるかどうかの問題は、一に財源の問題にかかってくるわけでございます。いまのところ一般財源が出せないということもなかなかいえない。では、一般財源が非常にむずかしければ、それにかわるようなどういう財源があるかということになりましても、なかなかこれもいい方法がないわけでありまして、実はその辺が――私たち道路の五カ年計画を完遂し、また、これからの長期の道路計画を完遂するための一番大きな問題はこの財源かと思います。ただ、この財源を補うための検討、これは現在でもやっておりますが、この有料道路の問題は、地方で採算がとれれば有料道路にするというのではなくて、やはり有料道路の問題というのは、有料としてやることもやむを得ない、料金を取っても早くつくったほうがいろいろな効果が多いというようなところをやむを得ず現在有料道路にしておる次第でございまして、無料公開の原則からいいますれば、将来財源が強化されれば、当然、現在の有料道路であっても、早く料金を安くするとか、また無料公開にするというような考えで進むべきだというふうに考えております。
  52. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 どうも局長の答弁は少し食い違っていませんか。どうもすらっとかみ合わないですね。いまの財源問題についても、そこをはっきりしなければ道路問題が進まぬじゃないか。  局長、それでは観点をかえて、道路整備長期計画が建設省で策定されて明らかにされましてから相当たっているわけです。第五次新五カ年計画もいま半ばに達した。五カ年間に達成しようとしておる目標、これは現状の段階では、有料道路も何も一切がっさい含めて、満足すべき状態まで進んでおりますか。
  53. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 五カ年計画は四十二年から四十六年でございますので、私たち、いまの交通状況からいいますと、六兆六千億の五カ年計画というのは、四十六年を待たずにもっと早くやることが望ましいというように考えております。いまの五カ年計画が完遂いたしましても、いまの交通状況道路状況考えますと、まだまだアンバランスになっている。道路の整備はおくれているということでございますが、そのためにいわゆる長期計画をつくりまして、少なくとも昭和六十年くらいまでには道路交通の需要を見合うような計画にしたいというのが長期計画でございます。これに基づきまして、各五カ年の事業を五カ年計画としてきめておるわけでございます。いま先生のおっしゃいましたように、五カ年計画の達成という面からいいますと、いま五カ年計画一般道路有料道路二つに分かれておりますが、一般道路は五〇%をちょっと上回る程度、有料道路では四〇%程度ということで、まだまだ五カ年計画の達成にはあとの二年よほどがんばらなければならないと思います。そういうこともございまして、いまの資金をどう集めるか、問題をいろいろ検討しております。これが、先ほどちょっと誤解を招きましたように、国が責任を持てないから、財源を持てないから、全部民間会社にやらせるということでは済まない、やはり道路の性質というのは、そういう民間の営利的な考えでやられるべきものではない面もございますので、そういう点は、私たち今後の交通需要とどう合わせて道路整備を進めていくかの問題が多いのでございます。ただいま先生のおっしゃいましたように、いまのままでは道路の整備が非常におくれるじゃないか、五カ年計画を達成しても、交通の需要から考えるとまだまだ不十分じゃないか、また、そのための財源をどうするんだということだと思いますが、私たちこの財源の問題についてはいろいろ苦慮しております。いろいろな試算もし、いろんな計画もつくっておりますが、これなら十分国民の皆さんの共鳴を得られるというような成案にまだ達していない次第であります。私たち今後の道路の整備を進めるためには、いまの財源の問題をあわせて利用者の皆さんの意見も聞きまして、この財源の問題に対処してまいりたいというふうに考えております。
  54. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣、具体的に道路政策推進の実際上の衝に当たっておられる道路局長の御答弁は、いまお聞きのとおりであります。第五次五カ年計画は、現段階第三年目ですね。そこで、いろんなものを総合して約五〇%、したがって、四十五年、四十六年の段階で残っておる計画の五〇%を達成し得るかどうか。しかも、これがかりに達成されたとしても、いま局長の御答弁のように、当初はこの第五次五カ年計画は、交通その他の社会情勢の急激な変化等から考えました場合には、五カ年間かかってやるべきものではなくて、もっと早い時期に達成すべきものだという強い願望を持っておった、そういうお話なんでありますが、とにかく残っておる二カ年間に現在第五次五カ年計画の五〇%程度のものがやれるかどうかということになっているわけでありますが、大臣はその辺の見通しはどうですか。
  55. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 ただいま御指摘になりました、また御質問になりました問題点につきましては、道路局長からただいまそれぞれの立場で御報告及び局長としての構想を申し上げたとおりでございます。私といたしましては、道路行政という重要なこの問題につきましては、第五次五カ年計画のとおりにこれを達成するということが、私どもに課せられた最も重要なきびしい課題でありますので、いよいよ八月から予算の折衝といいますか作業も始まりますので、これらの作業も進めながら、財源の問題あるいは道路行政の建設計画の問題点について、あらゆる角度から、さっき申しましたような前向きの姿勢で取り組む覚悟でございますので、私どもといたしましては、この五カ年計画計画どおりに達成するよう最善の努力をいたす決意でございます。
  56. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 特定財源は足らない。特定財源だけに依存しておったのではとうてい第五次五カ年計画計画どおり遂行することはできない。そうすると、一般財源を導入し得るかどうかということになってくる。いまその間にちらっと私どもは、民間資金をどう導入するか、民間資金の導入ということは無料公開の原則をそこなう結果にもなってくるということを懸念するわけですが、大臣、最大の努力をするということは、お話じゃなくて、具体的にはどうするということでしょうか。
  57. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 一般財源、特定財源を含めまして、五カ年計画の達成を残る二カ年で現実の上において行なうという目標で私はそれぞれの措置を講ずる決意であります。
  58. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そこで、道路局長有料道路とバイパス道路、非常に大まかな議論のしかたになって恐縮なんですが、東海道五十三次、いまの東名高速道路、ある意味でいえばこれは東海道のバイパスではないかという気がするのですね。そういう考え方はどうでしょう。
  59. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いまの東海道の一号線と東名高速道路を見ますと、やはり東名高速ができまして一号線の車がかなり乗っております。そういう意味では、やはり大きな意味で一号線のバイパス的な効用は東名高速は十分果たしておると思っております。
  60. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 無料公開の原則からいった場合に、バイパスを建設せざるを得ない客観情勢が生まれた、これを金を取ってやるというのはだれでもできることだと思うのですね。バイパスから金を取るという考え方は矛盾を感じませんか。
  61. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 バイパスといいましても、これは非常に種々雑多でございます。たとえばいまの一次改築、五メートルくらいの道路をつくって一応改良を終わったと称しておる部落の中、これは車が大型化してふえますと、部落をはずしてバイパスをつくる、こういうようなのは、やはり地域的に見て有料になじまない点が多いと思います。ただ、現在の国道が二万台、三万台通っている、さらにこれでも交通がさばけないというところで、今度は自動車の専用道路みたいなものをいわゆるバイパス的につくるということになりますと、現道を通るものと違いまして、自動車の専用道路としてほとんど平面交差のないような道路をつくれば――もちろん、これは無料でつくることが望ましいのでございますが、そういうような高速道路に匹敵するような自動車の専用道路をつくれば、現道を通るより非常に利便が多いわけでございまして、こういうのは資金的に非常に困難であれば妥当な料金を取ってそれを促進するということも、いまの道路投資状況ではやむを得ないのじゃないかというように考えております。
  62. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 理屈を言い合うつもりはさらにございませんが、いま名神、東名、これで向こうの出発点から東京まで届くまでの間料金幾らになるのでしょうか。
  63. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 大阪から東京まで、名神、東名を通りますと、大体普通の乗用車で三千二百円くらいだと思います。
  64. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 それならば、新幹線で大阪から東京までは料金何ぼだと思っていますか。
  65. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 新幹線のほうはちょっと数字を持っておりませんが、私たちいままでいろいろそういう計算をやりまして、新幹線と乗用車ということになりますと、乗用車のいろいろ燃料費、走行費を入れまして計算いたしますと、大体乗用車に二人半くらい乗ればほとんど新幹線と同じになる、三人乗れば新幹線よりは安くなる。これは自動車の償却費その他も入れまして計算をしたことがございます。
  66. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私はそう硬直した議論をしようと思いません、考え方にも立ちたくないのです。しかし、新幹線鉄道よりもなおかつ高い高速道路、これは抵抗を感じますね。局長は感じませんか。それでも走るやつがいるからいいじゃないかということになるのでしょう。大臣は抵抗を感じませんか。新幹線鉄道よりもはるかに高い高速道路、ぼくはもっと安いのだとこの間まで思っておったのです。自分で運転して、自分の油をたいて、自分の車を減らして走るのでありますから、もうちょっと安いだろうと思ったら、新幹線鉄道よりもはるかに高いということを発見して、実はたいへん抵抗を感じたのですが、大臣は抵抗を感じませんか。
  67. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 現在の立場においては万やむを得ないと考えております。
  68. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 局長はどうですか。
  69. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 東京から大阪まで自動車で行くか新幹線で行くか、これは私たちやはり一人で行くなら新幹線で行ったほうがいいと思います。これは個人の考えでございますが、ただやはり東京から大阪まで今度は自動車で観光もかねてリクリエーションに行こうという場合も、これはあろうかと思います。ただもう一つは、やはり東名高速道路を使われるいまの実態は、すべてが東京から大阪へ行くものじゃないと思います。東京から静岡くらいまで行くとなりますと、自分の家から出てすぐ高速道路に乗って静岡へ行くということになりますと、東京駅まで行って新幹線の「こだま」で行くというのよりはやはり便宜が多いのじゃないか、そういうような区間区間の使われ方は相当あると思いますので、それが一つ高速道路の、いまの東名の特徴かと思っております。
  70. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣、万やむを得ざるものと思うなんということでは、木で鼻をくくったごあいさつにならぬでしょうか。やはり抵抗は感じますね。しかし、現状いろいろありますが、できるだけ早期にこういう点をもっと軽くなるようにする、こういう答弁が、やはり建設省の責任者たる大臣の答弁なんで、万やむを得ずというのは、木で鼻をくくったようなあいさつだと思うのです。だからこそ私は、無料公開の原則に非常に不安、懸念を感ぜざるを得ない。採算に乗りさえするならば、民間資金導入、道路株式会社、そういう考え方が背後に出てくることにものすごい先入観も出てまいりまするし、また抵抗も強く持つわけですね。大臣、それはどうです。
  71. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 さきの私の発言でそうしたお気持ちを持たれたことは、まことに申しわけなく思います。決して私そうした全く無視した、あるいは軽い気持ちで申し上げたのではございません。いま局長も申しましたごとく、高速道路、いわゆる東名、阪神高速道路の持つ使命というものは、新幹線の目標、使命というものとまたそれぞれ別個の特殊的な使命も持っておるというような、また、それを使用していただく方々も違った角度からそれぞれ使用もしていただくというようなことのあることは御理解いただける、こう考えております。  いずれにいたしましても、やはり国民の皆さんに安くこの大事な道路を使用していただくということが、われわれの道路行政の最も重要な目標でございますので、これらの点につきましては、やはりその時点その時点に立ちまして料金の改定、あるいは料金のこれらに対する調整というものは誠意をもって配慮いたす方針で私は臨んでおることで御理解願いたいと思います。
  72. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そこで道路局長、ぼくはさっきバイパスと有料道路というものの考え方をお尋ねしたのでありますが、地方の中小都市に参りますると、いままだバイパスの整備のおくれておる地域が非常に多いのでありますが、これらのバイパスは、少々の延長がありさえすれば、それからさっき局長が言う有料になじむと思われれば、これは無料公開のバイパス道路整備だけではなくて、有料道路として整備をしようという考え方に傾きそうな気がするのですが、その辺はいかがでしょうか。   〔金丸(信)委員長代理退席、委員長着席〕
  73. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは先ほどから申し上げておりますように、私たち、バイパスであっても、こは無料公開の原則に立ちましてやはり無料でやられるということは、これは一番望ましいことだと思います。ただ無料でやられることがなかなかできないというような場合に、やむを得ない措置として有料道路ということになります。その有料道路になりました場合に、町をバイパスすることがございます。バイパスといいましても、いろいろ地域的に性格が異なりまして、そのバイパスが将来その町の市街地になるような場所を通るような場合、こういうのは当然いまの有料にすることによって市街化その他をおくらせることになりますので、こういうのは、私の考えでは、地域的にいっても有料になじまないものじゃないかというように考えております。  ただ、都市間のバイパス、これは一例をとってみますと、東海道その他の非常に交通が多いようなところ、そういうようなところで、周辺も都市化しないような山地、丘陵地帯、こういうようなところでいまの現道を通るより非常に便益の高い自動車の専用道路なんかにするような場合だったら、これは料金をどのくらい取るかが問題でございまして、もしかそういうことを地元も望むならば、そういうことによって一日も早くバイパスをつくり、交通の渋滞を解消したいというように考えております。
  74. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私は、本来有料道路というものは、基本的にいえば、これは無料公開の原則、道路の本来あるべき姿というものをくずした形のものだという認識をしているわけです。したがって、バイパスというのはどこまでがバイパスで、どこからそうじゃないものかという区分けは非常にむずかしいものだと思いますけれども、私どもは、一般的にバイパスなどのようなものを有料道路化するということについては賛成できない、そういう私どもの考え方と局長の見解は相当差がありますか。
  75. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 私の申し上げておりますように、無料でできること、これが一番いいと思います。ただ、どうしても無料ではいまの道路投資状況からいって相当おそくなるという場合は、よく私たちへの陳情でもございますが、多少の金を取っても早くつくってくれというような陳情もございます。ただ、それだけでもちろん有料道路をきめるわけではございませんが、やはり早くつくる、また、それが金を取られることによってそれだけの利便があるというような場合、そういうことを利用者の人が望むならば、バイパスを有料道路にするというのも、いまの道路投資からいえばやむを得ないのではないか。もちろん、これは望ましい姿でございませんが、やむを得ないのではないかというふうに考えております。
  76. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 この辺も考え方に私どもとは若干差がありますね。  そこで、建設省が本来国道などの整備をいたします場合の用地取得、これは一体どういう基準でやっておるのかという問題であります。たとえば、道路ですから、わずかの区間だけを用地買収をやってということでは道路がつながらぬ、次の年はさらに用地買収も延びなければいかぬ、その次の年も延びていかなければならぬということで、道路が整備をされますとおのずから土地の価格が値上がりをしてきますね。したがって、私ども見ておりますと、毎年毎年値上がりになって、建設省の現場の皆さんは用地の買収交渉に非常に難儀をなさっておるということをずいぶんと見ておるわけですが、ああいう場合は、値上がりをせぬ前に、一括して用地の手当てをまず先にすべきじゃないか、そういうことを考えてみたことがございますかどうか。
  77. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実は私そういう点を非常に苦慮しておる次第でございまして、用地の買収を、バイパスならバイパスの用地を一括して買うというのは、これが一番いいと思います。ただ、いまの現状でいいますと、そういうことで予算の個所づけをいたしますと、ほとんど必要なところのバイパス、それの全部の用地の買収がなかなかできないような財源でございまして、そうなりますと、私たち、じゃこのバイパスは早く用地を買おう、ここのバイパスはいま金がないから待ってくれということも、いまの交通状況から見ますと、なかなか言えないような立場が非常に多いのでございまして、そういう意味で私たちいまの用地の買収には非常に苦慮しております。これも非常に国が無責任のそしりを免れないと思いますが、地方の公共団体、そういうものに御援助を願いまして用地を先行して買ってもらうというようなこともやっております。これはもちろん国に金があれば当然国が買うべきだと思いますが、そういうことも地方公共団体にお願いいたしまして、ちびちび買うことによって用地が値上がりして、最初協力した者がばかをみるというようなことのないようにいろいろ配慮しておる次第でございます。
  78. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私は、地方公共団体が国道などの道路整備のための用地の先行取得という形で協力をすることを否定しようと思いません。けれども、そこで起こってくる問題は、どういうことが起こるかということになると、先行取得ですから、どこの自治体でも相当多額にのぼる金額を準備することになりますと、ほとんどみんな金融機関等々に金繰りをつけるわけです。この金利の問題になりますと、どうも一定の基準があって、先行取得で国に協力した自治体が、金利の差額の問題であとでたいへん困るという問題が起こっておるようです。建設省がたとえば県や市町村等の協力を得て用地の先行取得の協力をしてもらった、先行取得したがために、実際上は土地が値上がらぬ以前に取得することになりますから、最終的には、先行取得の協力を受けたことによって国自体が大いに財源的にも予算的にも、ことばで言えば、得をするかっこうになると思うのです。ところが、どういうことかわからぬが、基準があって、金利の問題になりますと、結局その自治体が負担をせざるを得ないということがあとでしわになって残るということがある。これはどうも私は不合理に思われてならぬのです。特に、バイパスなどの場合そういう例が非常に多い。都市近郊の地方といえども、土地の値上がりというのはものすごいテンポなんです。特に道路がつくられるということになりますと、一年経過すればものすごい値上がりになる。したがって、先行取得で協力を受ける、これは国にとっては大いにプラスになっているはずなんです。国にそういうようにプラスになる協力をしたはずの自治体が、最終的には金利や何かの問題でたいへんな負担をせざるを得ない。国のにめに一生懸命に協力をした自治体が、あとでそういうしわが寄るというかっこうは、どうも納得がいかぬのですが、どういう経過なんでしょう。
  79. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実はこの問題につきましては数年以来問題が提起されております。私たちも、地方の公共団体が金利の負担をするということは、これは不公平だ、そういうことで、どのくらいの金利まで見るのが妥当かということになりますと、地方公共団体がどういうところからその資金を調達するか、これに非常に関係してくると思います。現在のところは、大体七分五厘ぐらいまでの金利の負担は認めておるわけでございまして、地方公共団体が一割の金利で資金を調達するとかいうことになってくれば、そのままでいきますと相当地方公共団体は負担がかかるわけでございます。私たち、そういう点につきましては、地方公共団体がどのくらいの金利で金を借りられるか、そういう問題もございまして、あまり高い金利で借りないで、安い金利で借りられるようなこと、こういうこともいま検討しております。これは、自治省の公共用地の先行取得債というものも年々ふやしてもらいまして、その中で資金を調達できるなら、七分五厘の金利を見れば、そういう地方公共団体が金利を負担するということはまずないのではないかということもございまして、公共用地の先行取得債というものを拡大してもらうように自治省とよく話してまいっておる次第でございます。
  80. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 これは私どもは具体的な問題も持っておるのでありますが、建設省は先行取得の協力を受けることによって大いに得になりますね。地方自治体が協力をする場合に、まさか高利貸しから金を借りるはずはない。したがって、一般金融機関ですね。したがって、金利といえども、それは七分五厘のワク内でおさまるかどうかは別にして、そんなに一割五分も二割もなんという金利になるはずはない。したがって私は、先行取得を地方公共団体の協力を求める際には、地方自治体の独自の判断だけでやることではなくて、当然建設省の出先機関との間に十分の協議を尽くしてやることだと思う。したがって、その辺の権限は、地建なりあるいは各出先の工事事務所の所長等にもっと権限を持たして――まさかべらぼうな高い金利のものにはならぬと思う。だけれども、七分五厘のワク組みの中でとなると、そうもいかぬ場合が起こってくる。その場合には、実際上支払われた金利、これはやはり国が持つということが当然だと思う。持っても、値上がりしない間に土地の先行取得の協力を受けるのでありますから、長い目で見た場合には、国のほうが地方自治体の協力によってたいへんなプラスになるというかっこうになっておると思う。したがって、先行取得の協力をしようと思っても、金利の問題でいつでも最終的にどうなるかという問題になって話が進まぬ、こういう事例が多いようであります。私知っておる範囲でも、一年たってもまだその金利の問題で折り合いがつかなくて、ぐすぐすしている、その間に地価はどんどん値上がりしていく、こういう状態が起こっているわけです。したがって私は、用地取得はやはりスピーディーにやらなければならぬと思う。そういう意味で、私は、従来の建設省のやり方を改善すべきではないかと思うのです。大臣、どうですか。
  81. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 用地取得に関連いたしましての作業あるいは事務的な措置の推進といいますか、促進ということは、非常に大事なことでございます。私といたしましては、十分それらの促進の措置に対しましては行政指導をきびしくいたしたいと考えております。
  82. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣、それは大臣のことばは私はよくわかりますよ。わかりますが、先行取得の協力を受けた場合には最終的には国の得になる、値上がりしない間に土地手当てをやることになるわけでありますから。その場合の金利等々、地方自治体に迷惑はかけない、こういう観点で建設省は措置いたします、こういう御答弁をいただけませんか。高利貸しから借りるわけじゃないのですから……。
  83. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは、いま先生のおっしゃいましたように、地方自治体に迷惑をかけるということはいけないと思います。ただ、そこで金利の問題になってくるわけであります。その辺は、私言いましたように、地方自治体だって好んで高い金利で借りることはないと思います。やはり安く借りられるならば安く借りられるようなところから借りるべきだと思います。そういう意味で、現地の直轄でございますれば地方の工事事務所、そういうものと、市町村と、また県も入れましてよく話を願って、なるべく安い金が借りられるようなことにして、地方公共団体が金利の負担がないように努力したいと思っております。
  84. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 局長、そこまで御答弁ならば、とにかく出先の工事事務所長や何かが中に入って――決して地方自治体が独自の判断でばんばん進めるということはできる筋合いのものではない、十分の連携のもとにやるわけです、最終的に工事事務所長も七分五厘ならばまあまあいけるわけだが、かりに自治体の財政の状況等があって八分五厘、一分の問題が残る。バイパスなどやるようなところは相当地価が上がってまいりますので、金額にすると何億という先行取得の土地代金の問題が起こってくるわけです。わずか一分の問題でも、金額にすると何億になり、金利部分だけでも一千万をこえる、そういう問題が起こるわけです。そうするとなかなか話が煮詰まらぬ。ところが、先行取得の協力を受けることは、値が上がってから国が買うのと違って、長い目で見れば国はたいへんなプラスなんです。その場合に相当の判断は現地の事務所長にゆだねて、金利だけは地方自治体に迷惑をかけぬようにやります、こういうぐあいにすぱっとできませんか。大臣、どうですか。国はたいへん得をするのですよ。損することばかりやりたいというならば、それは別だ。
  85. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 地方自治団体に用地を先行取得していただくということは、私たちのいまの道路投資からいうと非常にプラスが多いと思います。ただ、どっちにいたしましても、この金利の問題もございますが、いつこれを返すかの問題がある。地方公共団体から買ってもらって、国のほうは金が余ったら返すでは、これは話になりません。やはり先行取得してもらうならば、うちのほうの道路計画として何年から何年の間に返すというようなことまで一緒に協議されるべきだと思うのです。そういうことになりますと、うちがばたばた買ってもらって、しばらくいまの五カ年計画でも返せないというようなことになりますと、これまた非常に問題があろうかと思います。そういう場合は、私は、一つ方法として、非常に土地が高くなるということがありますれば、市町村その他の一般の財産として買って、それをその時価の評価で買うというような方法考えられますので、そういうものをあわせまして、地方公共団体に迷惑のかからないような形でこの問題は処理してまいりたいと思っております。
  86. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 どうも局長、いまの局長あとのほうの答弁だと、何か値上がりしたらその時価でというけれども、地方自治体に一つの利潤を追求するようなかっこう、そういうかっこうが出てくるということになりませんか。そうじゃなくて、どこでも地方自治体が独自で何かそういうことをやっていませんか。みな地域の工事事務所なり地建なりが、どこそこの地域では先行取得をやっているのです、あなたのほうもいま地建なり工事事務所が考えておるスケジュール内に工事を完成してもらいたいというなら、先行取得に協力してもらえませんかという話が来る。それではやろうということになると、計算すると金利や何かの問題で話が――それもべらぼうに違うのではなくて、百分の一かそこらの金利のところで暗礁に乗り上げて進まぬという問題がある。その金利の問題より以上に、ちびちび買うのに比較すれば、三年間ぐらいのものをまとめて買うということによって、地価の値上がり率を換算した場合には、はるかに国が得で得でしょうがないくらいプラスになる。だから、そういうものを、どうも何か現地の所長段階は、ある意味では地方自治体に働きかけをしておきながら、金利の問題、わずかのところで折り合いがつかずに、一年半も二年もずるずる経過している、そのうち地価はどんどん上がっていく、こういう実例というものを私どもはよく見ておるわけです。そういう場合もっと合理的な方法はありませんか。
  87. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 合理的な方法ということでございますが、私ども、いま申し上げましたように、まず、先行取得といいましても、道路一つ計画に乗っていなければ困ると思います。いまの話は、もちろん乗っておるかと思いますが、私たちよく聞きますのは、金利の問題もございますが、どうやって償還するか、何年ごろ償還するかということになりますと、工事事務所では、いまの道路の予算から自分のほうにいつどのくらいの金が来るか、なかなか見当がつかないということで、事務所同士の話だとかなりそういうシビアな線が出やすいと思います。そういう点は、いまの用地先行によって地価がどれだけ値上がりするか、やはり地価が非常に値上がりするところからまずやっていかないとこれもその効果が薄れますので、そういうような一つの順位もございまして、地元で非常に用地先行がやりたいという熱意のあるところにつきましては、私たち、先生のおっしゃいました金利その他の問題については、これは地元として利子負担するというようなことのないような何かのいい方法考えまして、御協力してもらいたいというようにしたいと思います。これは具体的に言いますと、償還の問題、それから金利の問題、それから地方公共団体が借ります場合の条件、いろいろ千差万別でございまして、その辺はわれわれが統一するわけにもまいりませんので、そういう意味で、先生のおっしゃいました趣旨は踏まえまして、この問題は公共団体の負担にならないような形でやっていきたいと考えております。
  88. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 どうも局長、すとんと落ちていかないですね、話がどこかに引っかかって。地方自治体に協力させたいなんということは、私ども無理無理させようなんて思いません。ところが、実際上は、現地のあなたのほうの現場の出先の皆さんから自治体に対して、先行取得で協力してくれという話が行くんですよ。局長のほうまでそれが上がってきているかどうかわかりませんよ。私どもの見方でも、いろいろ聞いているわけですが、三年か四年の間にこの地域のバイパスは整備をされるような段階まで進んできておる、こういうような場合に、土地の場合、一年間ほったらかしておくと三割ぐらい値が上がるのです。三年たてば倍近くになっているんですよ。その場合に、先行取得という方法をとったならば、先行取得でもほんとうは一番いいのは、三年間の値上がりを見て先に全部国が用地買収をやれば、一番すっきり行くと思う。国にどういう基準があるのか知らぬが、それはできないということでありますから、そこであなたのほうの出先の皆さんが県や町村等に働きかけをして、協力をしてもらえぬかという話になってくる。その話がだんだん煮詰まっていくと、金利がほんのわずかのところでひっかかって、建設省にきたところが、どうも話がすかっといかないなどということで停滞をしておる場合が非常に多い。そういう場合に私は国のほうがうんと得をすることだと思うのです。わずかの金利の問題以上に、はるかにはるかに得をする、こういう場合に、自治体には迷惑かけずに――もちろん、それはいま道路局長が言うとおり、十年、二十年先でなければ着手し得ないような計画順位になっておるものを、いまから先行買収といってもこれは無理でしょう。二年、三年、四年、この間くらいに当然に整備することで途中まで始まっておるような場合の工事、この場合の先行買収などという場合、現場、出先の皆さんが先行買収で自治体に協力を求めておるが、最終的にわずかの金利の問題で話が煮詰まらぬ、こういうことがやはりないようにすべきじゃないだろうか。どうでしょう。
  89. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いま私どものほうできめております七分五厘というのは、これは用地の先行に伴いまして自治省その他といろいろ打ち合わせた数字でございます。いま先生のおっしゃる問題で、やはり金利の問題は今後上がる傾向にございます、そういうことがいまの用地の先行のガンになっておるということなら、私、いま自治省ともよく相談いたして、どのくらいにすべきか、こういうことも検討したいというふうに考えております。どちらにしても、先ほどから繰り返して言いましたような、やはり公共団体の負担にならないようなことを考えてまいりたいと思います。
  90. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣、国の立場で、全体として国にとってプラスなのか、マイナスなのかという判断をしなければいかぬのじゃないか。いま私が提起しておる事例に関する限り、国は決してマイナスにならない、プラスだけなんですね。その場合に、ほんの一%か何かの金利の折り合いがつかないために、地価の値上がりを黙って見ておかなければならぬ、こういうことは、やはり解消すべきじゃないでしょうか。どうでしょう。
  91. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 ごもっともなことでございます。いま局長も申しましたが、建設省といたしましては、問題点も非常にふくそういたしておりますが、なるべくやはり地方自治体に負担をかけないというような方向で取り組んでまいりたい、こう思っております。
  92. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 なるべくなんという――まあいいでしょう。  そこで最後に、私の知っているところに、ある交通会社がやっておる有料道路がある、その道路がつくられましてから十年間、もう償却どころの話じゃない、もうかってもうかって笑いがとまらないほどです。けれども、依然として同じ料金を取っておるのです。こういうものを規制することは一体どこでやるのです。償却も全部終わって、いまもうかってもうかって笑いがとまらぬほどの――あまり長い距離の道路じゃないのですが、こういう交通会社のやっておるような有料道路、これの規制はどこでやるのですか。
  93. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いまのお話は、特別措置法じゃなくて、道路運送法に基づく会社の行なう有料道路だと思います。これにつきましては、その認可は運輸省と建設省が共管になっておりますが、料金につきましては運輸省の所管になっております。もしそういうようなところがございますれば、私のほうで別に運輸省のほうにそういう実情を話して善処方をお願いしたいというふうに考えております。
  94. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そうしますと、さっきの東京湾の対岸との道路、これもいまの道路じゃないわけですから、そういうものをつくった場合に、道路運送法に基づく道路ということになりませんか。なり得ますね。
  95. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いまの法律からいえば、運送法で出されれば認可できるようになっております。ただそのときに、私どもの考えは、将来公共的な道路になるものは道路運送法でやられることは困るという立場をとっております。どっちかといいますと、いまの公共的な道路からはずれました、ほんとに一部の人の利用するようなもの、こういうものを運送法でやられることは私のほうも異存はないのでございますが、将来公共的な道路になるというもので、いまのままで運送法でやられるということに対しては、私どもいま非常に疑問を持っておりまして、できるだけそういうものは特別措置法とか公共の道路でやるべきものだ、かように考えております。
  96. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 道路運送法に基づく道路、これと、建設省の道路法の道路ですか、これとは基本的にどの辺で区分けをするのですか。
  97. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 道路運送法でやられます道路については、道路法の道路でございません。いわば私道でございまして、これにつきましては、いろいろ道路の構造の問題等ございますので、私のほうも共管にしておるわけでございます。ただ、この道路運送法でやられます道路につきましては、私道でございまして、やはり営利が入っております。こういうようなことでやられます道路につきましては、特別措置法と違う点は、まず料金が非常に高くなってくることと、それから、償還してもそれは無料にする必要はないというようなものでございます。こういうようなものは、私、このままでは、あまり公共の道路まで広げることは不適当ではないかということで、運輸省と、これからの問題について、どういうものを運送法でやるか、どういうものを特別措置法でやって将来無料にするか、この辺を協議しておる次第であります。
  98. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣、最後に、先ほど局長お話にございました道路株式会社のような形態、これは何も有料道路という従来の建設省所管の形態にしなくても、運輸省所管の道路運送法に基づく道路、こういう形態でやるならば、いまでもそれはできるということなんですね。そうすると、その道路は完全に、私が申し上げますように、バス、軌道その他と同じ性格のものになっていくと思うのですね。しかし、さらに今度の有料道路政策が、かりに道路株式会社、そういった形態になってまいりますと、だんだん一だんだんというよりも、完全に無料公開の原則という道路の基本的なものがくずれていくことになると思うのです。現在さえ、先ほど大臣は、許せば道路はすべて無料公開の原則でやられるようにするのが筋だ、こういうふうに大臣の気持ちを言っておられるのでありますが、いまの道路運送法に基づく道路、こういうものは将来どうするつもりです。
  99. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 御承知のとおりに、いわゆる道路運送法によるところの私道的な道路という問題は、やはり大きな目標は利潤追求ということが大きな目標であるということを考えますときに、われわれといたしましては、こうした私道によるところの、道路運送法によるところの道路の開発ということの問題につきましては、高度な国家的な道路行政の立場から考えますと、いろいろと問題が伏在しておりますので、これらの点につきましては、やはり運輸省と十分連絡をとりながら、今後のこれらに対するところの措置等については、十分検討と協議をすべき事項が数多くある、こう考えておる次第であります。
  100. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 相当の時間になりましたので、私どもいままでの大臣、局長の答弁でまだまだ問題が煮詰まっておらぬものがあると思いますが、その点につきましてはこれから先のわが党委員の御質問でさらに明白にしたい。同時に、その場合、私また関連質問等で若干申し上げることがあるかもしれませんが、以上をもって私の質問を一応打ち切りたいと思います。
  101. 始関伊平

    始関委員長 この際、午後一時四十分まで暫時休憩いたします。    午後一時十一分休憩      ――――◇―――――    午後二時十八分開議
  102. 始関伊平

    始関委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山下榮二君。
  103. 山下榮二

    山下(榮)委員 冒頭にお願いを申し上げておきます。  御承知のとおり、過般来から、委員会は、順法闘争と申して、定員をそろえる、こういうことになっておりますが、まだ定員が完全に過半数を満たしていないという感じがいたすのであります。いたずらに時間を延ばすのが能でもございませんから、質問に入らしていただきますが、ぜひひとつ定員をそろえていただくように委員長にお願い申し上げておきます。  まず最初に大臣に伺いたいと思うのですが、日本の道路行政というものは、先ほどの阿部委員の質問応答の中を拝見しておりましても、なかなか確立していないかのごくき感を深くいたしたのであります。たとえば、いまここに提案されております道路整備特別措置法の一部改正法律案にいたしましても、あるいは道路整備の五カ年計画にいたしましても、あるいは交通安全対策の三カ年臨時措置法等を考えてみましても、各個ばらばらの姿であると思うのであります。最近ようやく御承知のごとく東名高速道路が完成をいたしまして、一応の親骨はできたような感じはいたしておるのであります。しかし、政府のいわゆる国土計画を中心とする道路計画というものが完ぺきを期したものがないのじゃないかという感じをいたしておるのであります。申し上げるまでもなく、先ほどから言われるように、公道とは無料公開が原則でなければならぬことは当然のことでございます。しかるに、時代の進歩とともに道路の運用も非常に変わってまいってきております。いわゆる有料道路ができたり、あるいは天下の公道であるべき市町村管理あるいは府県管理のものが有料道路になったり、いろいろさまざまな姿をなしてきておると思うのであります。これが単なるレジャーだけの道路であるならばいざ知らず、産業上、国家上きわめて重要な公道が有料道路になっておるところも数少なくないのであります。こういうことに対しまして一体大臣はどういうお考えを持っておられるのでありますか。国の根本的な道路政策としてどうあらねばならぬとお考えになっておるのであるか、これが一つ。  もう一つは、冒頭に申し上げましたように、日本の道路政策の基本方針とでも申しますか、こういうものに対してどういうお考えを持っていらっしゃいますか、この点を伺いたいのであります。  申し上げるまでもなく、道路とは、大きく申し上げますと国土計画の一環でもあり、また国民生活のきわめて重要な部分、生活環境並びに文化向上の上にも重大な関係を持つ、こう思うのでありますが、こういう大局的な立場の上に立って、大臣として、あるいは政府として、日本の将来の道路計画というものをいかようにお考えになっていらっしゃるであろうか、これを伺いたいと思うのであります。
  104. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 山下委員が高度な立場からわが国の道路建設の将来に対する未来像を持っての御指摘の点、私も深く傾聴いたしております。私が建設大臣に就任いたしまして以来つくづく考えましたことは、過密過疎現象の不均衡のある国土の現状を思うとき、また、社会資本の立ちおくれから来るところの公共事業の伸びの非常に鈍化いたしております点等を考えまして、ここに道路行政の確立をあらためてひとつきびしく推進せなければならぬという覚悟を深くいたしましてこれに取り組んでいるようなわけでございます。その基本は、やはり均衡のとれた国土建設と開発ということが前提に立つものとして、また、過密過疎対策の問題点の解明の上においても、最も重要な問題であるとともに、産業、経済、国民生活、文化の水準向上等、あらゆるものを含めまして、道路の開発ということは、絶対的な重大なる国策としての仕事であると私は痛感いたしております。決してうぬぼれた気持ちで申し上げるのではございませんけれども、そうした立場で自民党内閣・政府は道路計画を推進いたしており、いま制定いたしております道路五カ年計画の第三年度を迎えましての私の道路行政の推進も、この状況を踏まえまして取り組んでおるようなわけでございます。私は、高速道路を含めましての日本の五道の開発、さらに三十二路線、七千八百キロに及ぶところの道路の改修、拡幅、舗装という大きな問題に取り組みますとともに、やはりわれわれといたしまして十分心得なければならぬ問題は、過疎に対するところの問題点から、四万キロ以上に及ぶところの地方道の整備、拡幅を並行いたしながら重点的にやってまいりたいというのが、私の道路政策の基本であり、自民党内閣・政府としての方針であることを御了解いただきたいと思うのでございます。  過般豪州の建設大臣が見えまして、両国の道路行政等についてお互いに意見を交換いたした機会がございました。あるいは、御承知のとおりに、インドのガンジー総理あるいはアフガニスタンの皇帝などがお見えになられましたが、こうした方方ともお会いをいたしましたときに、日本の道路の発展というものに対しては、ある程度大きな評価をいただいておるということ、これは、いま申しましたように、うぬぼれた気持ちで申し上げているわけではございませんが、そうした点は、われわれといたしましては民族の大きな御協力をいただいた一つの誇り得る仕事であることを考えるときに、私はそうした意欲と責任感を持ちながら道路行政にさらに強い意欲を燃やして推し進めてまいりたい、こういう気持ちであることを御理解いただきたいと思います。
  105. 山下榮二

    山下(榮)委員 大臣のいまの答弁でその気持ちがわからぬわけではないのですが、先ほども申しましたように、行政の姿がばらばらではないかと思うのであります。これをもう少し統括する方法がなければならぬのじゃないか、これをもう一つ私は伺っておったのであります。たとえば安全施設にいたしましても、交通安全施設整備三カ年の特別措置がございますが、やはり道路をつくるときに安全施設というものがなければならぬ。また、道路というものは、人間のからだにたとえて申し上げますると、名神あるいは東名、さらにこれが北に進んで青森まで延びるのでございましょうが、東北、これは一つの動脈でなければならぬ、背骨でなければならぬ、これのあばらの骨は府県道でなければならぬ、それぞれの指先、足の先まで小骨があったり血管があったりするのが市町村道でなければならない、こう私は理解いたしております。その末端の直接住民に深い関係を持つ市町村道あるいは府県道というものに対する補助の点についても、あるいはまた行政指導の点についても、まだなかなか行き届いていないのじゃないか。私はこに数字を持っております。後ほど申し上げたいと思うのですが、距離数だけはいま大臣が申されました。そういう点に対する総合的な対策というものがなければならぬのじゃないか、こう思っておるのであります。東京、大阪という大都市だけは、高速道路ができて、なかなか見ばえがいいようなかっこうになってまいっておる。しかし、いま申し上げましたいわゆる末端にまいりますと、なかなか道路は整備されていないようであります。こういう点に対して、一体総合的に政府あるいは建設省としてどういうお考えを持っておられるか、その点を伺いたいのであります。
  106. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 山下委員の御指摘になりました問題点、私も決して理解せぬわけではございません。建設省といたしましては、道路の建設並びにこれに関連する維持管理につきましては、いま御指摘のような立場で、総合的に一貫いたしました行政、統一した行政を極力推し進めてまいりたい。ただ、やむを得ないといいますか、いま御指摘になりましたような道路関連する安全交通等に対するところの問題点につきましては、それぞれの立場から各省にまたがっていることは、私がいまさら申し上げるまでもございません。たとえば消防庁との関係、あるいは警察当局との関係、あるいは総理府との関係、いろいろな関連性を持っておることを考えますときに、私が閣議におきまして、交通安全の面からの行政の総合的配慮をどうすべきか発言をいたしまして、内閣の中にこれらに対する閣僚協議会を持っております気持ちもここにあるような次第でありますとともに、緊急体制等に対する措置等につきましても、佐藤総理の指示もございましたごとく、やはり一元化すべきであるということから来る問題点を、いま内閣といたしましては、これらに対する統一的な見解のもとにおいて諸般の作業をいたしておるということで、御指摘のとおりに、維持管理の問題はもちろん、こうした交通上の緊急体制あるいは今後の施設、それらに対する問題点――ただ高速道路あるいはそれぞれのバイパス道路あるいは府県道との関連性も十分ございますので、それらの点を十分関連性を持たせながら一元化にさらに努力をいたしてまいりたいという考えでございます。
  107. 山下榮二

    山下(榮)委員 それでは、ちょっと具体的に質問をしてみたいと思うのですが、いま日本の道路は、先ほども申し上げましたように、日本道路公団管理する高速道路国道、都道府県道、市町村道のすべてについて私が調査をいたしてみますと、改良あるいは舗装の進んでおる――昭和四十二年度末の統計を私は見ましたが、それによりますと、国道で改良工事が七四%進んでおる。舗装が七三・八%行なわれておる。さらに、都道府県道、市町村道の改良あるいは舗装は著しくおくれておる。どういうパーセンテージであるかと申しますと、改良率は一三・二%、舗装率は実に六・四%にすぎない。こういうことから考えてみますと、従来の日本の道路行政がいかに国道中心、いわゆる中央だけの幹線道路だけに中心が置かれてあって、末端の住民と直接深い関係にある道路には手が届いていないということがこの数字で言えるのではないかと私は思っております。いま大臣は、総理とも相談をし、いわゆる末端にまで道路行政の完ぺきを期することのできるような体制を打ち立てるように努力をしておる、こうおっしゃったのでありますけれども、この数字から見ますと、末端の道路行政は完ぺきを期しているとは言えないと私は思うのであります。さらに、最近はいろいろの安全施設を行なわなければならぬことは、御案内のとおりでございます。こういう安全施設に対しましては、御承知のごとく、交通安全対策基本法等ができて今国会に政府は提案されておるようでありますから、これらに基づいていろいろの施設が完ぺきを期せられるであろうと思うのでありますが、これらとの関連性、これらの行政上の血の通った運営がなかなか行なわれていないのではないか、こういう感じを持っておるのであります。私は、これらの問題はひとり建設省だけとは申し上げません。あるいは自治省も関係があるでございましょう、あるいは運輸省も関係があるでございましょう。それらの関係と緊密な連絡のもとにこの完ぺきを期していくように努力をされることを希望申し上げておきます。  次に質問を申し上げたいことは、先ほどもお話しになりました舗装等の問題であります。そこで伺いたいと思いますのは、建設省は四十一年から六十年を目標といたしまして道路整備の長期構想というのを発表されております。この発表によりますと、いま大臣が申されました整備構想は、七千六百キロを高速道路に、それを補完するために今度は九千キロに及ぶ高規格の道路を建設する、こう言っておられるのでありますが、この計画の内容、計画の進捗――この計画道路の距離から申しますと、年間少なくとも四百キロ以上の建設が行なわれなければならぬと思うのですが、それができるかできないか、その点について見通しをひとつ伺いたいと思うのであります。
  108. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま先生の御指摘になりました、四十一年度から六十年度までの道路の長期構想という問題でございますが、これは、私たちその当時の自動車のふえ方、これを一応想定いたしまして、全国の交通の需要がどのくらいあるかということを前提に置きまして、そのときに日本を張りめぐらす道路網の中でどういう姿にあるべきかということを想定した次第であります。それは、ただいま先生のおっしゃいましたように、法律できまっております幹線自動車道七千六百キロを完成させると同時に、国道、府県道、及び市町村道の一部を入れまして、全体として約四十万キロの幹線道路が必要であろう。幹線道路は主として交通の需要に見合うものでございますが、そのほかに、市町村道として、個人の住宅のまわりの環境の整備、そういうものが必要になってくるだろうということでそういう構想を立てたのでございます。これは、御承知のように、四十年の価格で五十三兆という膨大な金額でございます。いまの価格にすればあるいは多少それより上回っておると思います。これを前提といたしまして各五カ年計画を組んでまいりたいということで、四十二年から、地方単独費を入れまして総額六兆六千億ということで五カ年計画を組んだわけでございまして、さらにこの問題は、将来日本の経済力も進むと同時に道路に対する投資額もふやしてまいって、六十年には四十年価格でいって五十三兆を投資したいという計算をしているわけでございます。  その中で毎年どのくらいできるかということになりますと、毎年毎年の問題は、いまの道路整備五カ年計画の範囲でこれを実行しておるわけでございます。先生のおっしゃいました市町村道の現況は、明らかにいままだまだ不十分だと思います。ただ国道についても、これはいま一般国道で一本になっておりますが、これは昔は一級国道、二級国道と分かれておりまして、やはり国の幹線としてもとの一級国道をまず全国津々浦々まで整備するということで、一級国道をまず整備した次第でございます。二級国道のほうは、前の一級国道よりはさらに整備がおくれているわけでございまして、この辺は毎年相当な改良と相当な舗装をやっておるわけでございます。やはり現状といたしましては、いまの交通に追いつかないような現状でございますが、逐次国民経済の増とともに道路投資をふやしていきまして、六十年にはそういうような道路網を整備いたしますれば、いま交通が混雑しているところがほとんど解消できるという見込みでやっておる次第でございます。
  109. 山下榮二

    山下(榮)委員 日本の道路建設は諸外国に比べて非常に高くつく、こういうことを聞いておるのですが、それはほんとうでしょうか。また、高い理由を私が想像してみますと、大体土地が高い、あるいは地盤が諸外国と違う、山岳地である、こういうこと等も考えられないことはないと思うのですが、諸外国に比べて日本が道路建設が割高であるという理由は、一体当局としてはいかようにお考えになっているのでしょうか。
  110. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 一般高速道路をとりましても、外国の例より日本の高速道路は金がかかっております。その一番大きな原因は、用地が高いという問題もございますが、やはり地形が、諸外国に比べまして、非常に山あり川あり、ことに山岳地帯が多いということがあろうかと思います。また、もう一つは、やはり日本は相当雨が多いわけでございまして、雨のための施設というのが、これは外国の高速道路などと比べますとかなり多くなってまいります。また、日本は米をつくっております水田が多いために、そういうような水田の用水関係、また、非常に狭い土地にいろいろ市町村道その他がございまして、これと立体交差をするために、キロ当たりの高速道路をつくります場合の構造物の数、こういうものが諸外国より非常に多くなっておると思います。こういうのを全部合わせまして、外国より数倍の建設費がかかっておるというのが実情でございます。
  111. 山下榮二

    山下(榮)委員 きょうは土地の価格問題については私は議論をすることを避けますが、ただ、午前中も非常に問題になっておったと思うのですが、こういう公共施設の場合、何といっても土地が一つのネックになってしまっている。こういうのがひとり道路だけじゃないと思うのですが、特に道路建設についてはそれがはなはだしい、こう考えておるのであります。それを午前中の議論を伺っておりましても、もう一つ政府のほうで確たる方針もなければ、どうもきめ手もお考えになっていないような感じがするのであります。こういう土地の狭い、地価の高いところで道路を新設し、道路の幅を広げていくという大勢のときに、一体政府としてはどういう手段を講じたら一番いいとお考えになっているか。私はその根本的な方針について大臣の意見を伺ってみたいと思います。
  112. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 御承知のとおりのわが国土のバランス、均衡状況は、私から御説明申し上げるまでもない客観的な条件は御理解いただけると思います。そうした条件の中にあって、わが国土の重要なる道路の建設あるいは住宅の建設、都市開発等を進める場合におけるところの土地の重要性というものにつきましては、われわれ政府といたしましても深い配意をいたしておるような次第でございます。したがいまして、土地対策ということが、住宅、道路その他公共事業を含めまして、優先する大事な仕事であるというような観点から、土地対策に対しましては、政府といたしましては、やはり現時点におきましてはいろいろの総合的な計画的な施策を進めながら、税の上においても、その他法的な措置においても、行政指導の上においても配慮をいたしておりますことはひとつ御理解をいただきたい。また、足らない点につきましては、今後政府といたしましても十分土地政策に対する施策に万全を期するよう最善の努力をいたす覚悟でございます。
  113. 山下榮二

    山下(榮)委員 それでは問題をかえますが、ちょっと伺いたいと思いますのは、道路建設の費用が高くついたり、進捗がおくれたりする理由に、道路建設の中堅技術者というものが非常に不足しておる、こういうことを聞くのですが、中堅技術者の不足しておる原因、一体それはどこにあるのか。中堅技術者というものが不足しておるなら、それではどういうことで今後養成し、補おうとお考えになっているのか、これについて伺いたいと思うのであります。
  114. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 道路をつくります場合に、やはり設計、測量その他の技術者が必要になってくるのでございます。私、学校を出ましてその当時いろいろ道路の建設に携わっておりまして、それといまとを考えますと、明らかに人手が昔のほうが、――語弊がございますが、ゆっくりできたという感じを持っております。それだけ、いまの道路というものは建設も相当ふえましたが、昔と違いまして一番ふえたのは、やはり道路管理に要する仕事だと思います。道路管理といいますと、もちろんいろいろな事務的な仕事がございますが、やはり交通が多くなるにつれて、道路を維持し補修するという仕事は相当ふえてまいったと思います。これにつきまして、どういうように技術者を今後増強していくかということになりますと、技術者の問題はもちろん学校の教育から始めなければならぬ問題でございますが、私たち、いま府県及び建設省自体の技術者の数その他からいいますと、やはり現在の道路についてのいろいろな技術的な仕事、これは、民間に設計を実施いたしますコンサルタントも相当ございます。また、昔と違いまして、工事を直接施工いたします建設業の関係、これは非常に昔より施工能力がふえております。こういう民間の業界の施工能力を使い、また民間の設計その他のコンサルタントの力を使って今後やっていきたいというふうに考えております。ただ、先生のおっしゃいました、将来の技術者をどうやってふやすかということになりますれば、どうも建設省だけの問題ではなくて文教の問題にも関係いたしますし、私たちいまの建設省の中でも相当技術的な養成を行なっておりまして、そういうことによって直轄及び府県の当面の技術者不足を補ってまいりたいというように考えております。
  115. 山下榮二

    山下(榮)委員 技術者というのは、ものをつくるようにそう簡単にできるものじゃないのでございますから、やはり政府としても深くお考えをいただかなければならぬ問題であろう、こう思っておるのであります。  次に伺いたいと思いますのは、高速自動車道の料金の問題について伺いたいのであります。  政府は、あるいはこれは建設省ですか、御承知のとおり、高速自動車道の利用状況について道路審議会に四十二年に料金部会を設置されたと聞いておるのですが、その部会の御決定になった経過等についてちょっと伺いたいと思います。
  116. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実は、高速道路料金及びその他の都市の高速道路及び一般有料道路料金がどうあるべきかということで道路審議会に諮問いたしまして、現在でもまだ道路審議会の中に料金部会というものをつくっていただきまして鋭意審議をしておるわけでございます。たまたま、高速自動車国道につきましては、昨年から東名の一部開通がございました。ことし全線開通したわけでございますが、この料金体系をどうすべきかということで中間的な答申を得まして、それに基づきまして、遠距離の逓減性とか、また車種間の区別の簡素化、そういうものを実施したわけでございます。ただ、今後問題になりますのは、高速自動車国道において全国的に始めます場合に必ずしも採算のとれるものばかりでもございませんので、そういう場合における全線の料金のプール制の問題、また、特別な地区を将来地域の開発を含めてどういうような特殊な料金を設定するべきか、こういう問題を検討していただいているわけであります。このほかに、さらに東京、大阪の都市高速についての料金体系はどうあるべきか、これが現在料金部会で一番早急な問題として検討していただいておるわけでございます。これも御承知のように、東京の首都高速がだんだん延伸をしてまいりますと、あのままの料金でどういう形で採算をとるべきか、また、首都高速みたいな問題については、遠距離を利用する者と近距離を利用する者で料金負担が、均一料金だと、かなり違ってくるわけであります。こういう点の矛盾をどうするかという問題をいま討議をしていただいている次第であります。
  117. 山下榮二

    山下(榮)委員 いま御答弁をいただいたのですが、高速道路の車の種類別の料金の比率あるいはいまおっしゃった長距離の逓減制、こういうことから出てくる高速道路利用状況がどういうことになっているか、その数字がわかっておりましたらちょっと伺いたいと思うのですが……。
  118. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 現在、名神について言いますと、当初の開通のときは乗用車が非常に多くてトラックは乗らないという御指摘がございました。その後経過を見ますと、トラックの占める。パーセントが年々ふえてまいりまして、名神につきましては、大体五〇%くらいが小型、大型トラック、そのうちの二〇数%が大型トラックというような形になっております。東名につきましては、いま全線開通後の資料をまだちょっと持ち合わせてございませんが、いま全線大体一万台以上の平均の交通量が出ております。と申しますのは、トラックというのは、ある程度そういうものを使うように営業の形態を変えていかないと、必ずしも高速道路を通った利便が出てこないということもございまして、逐次そういうような名神、東名を使う形に運輸業者が営業の形態を変えてまいることも考えられますので、今後トラック通行台数は相当ふえるものと思っております。詳細の数字はまだちょっといま手持ちがございませんが、後ほどお手元に差し上げたいと思います。
  119. 山下榮二

    山下(榮)委員 数字がわかりましたら、後刻でいいですから、お知らせいただきたいと思うのです。  それからもう一つこの問題で伺いたいと思うのは、私が聞いている範囲によりますと、特に名神高速等は、全線を通るという車は少なくて、短距離のものが多い、こう実は聞いておるのであります。というのは、先ほどもお話しになっておりましたように、たとえば東名、名神を通ると三千何百円取られる、こういう料金関係もあろうか、こう思っておるのですが、比較的短距離のものが多いというその理由は一体どこにあるとお考えになっておりますか。あるいは、高速道路料金が高いがために、一つのレジャーブームに乗ったレジャー道路にすぎない姿になってしまったのではないか、肝心な産業、日本の国益のためになる道路ではちょっとないようなかっこうになったのじゃないか、こういう感じがいたすのですが、この原因とその対策をどうお考えになっておりましょうか。
  120. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いまの名神、東名の交通の実態――まだ東名については十分調査が行き届いてはおりませんが、名神の例を見ますと、やはり短距離の交通が多いわけでございます。ということは、東名、名神がつきましても、東京から大阪まで直通で走るというトラック便というのは、これは相当あると思いますが、全体の交通の台数からすれば少ないものだと思います。いま非常に名神、東名が使われておりますのは、やはり長い距離じゃなくて、三つか四つくらいのインターチェンジを通っていく交通が多いと思います。これについて、その原因でございますが、物を輸送するという面から考えますと、鉄道の料金と、高速道路を通ります陸送の料金と比較いたしますと、物によって相当違うと思いますが、やはり物を大量に長距離運ぶというにはいまのところ鉄道のほうが有利だと思います。ただ、その中で、至急運ばなければならぬ、そういうものは、多少いまの輸送費が高くても高速道路に乗るというようなことになろうかと思います。その点では、大量に、時間がある程度かかってもいいようなものの輸送は、相当鉄道輸送に依存しておるのではないか、また、そういうものは、将来日本の周辺の海運、船による輸送のほうに転換していくのではないかと考えております。ただ高速道路については、生鮮食料品とか、荷物を積みかえることによって非常にいたむようなもの、こういうものが、多少運賃が高くなっても高速道路を通ったほうが利益があるということで高速道路に転換されるのではないかと考えております。現在、高速道路に限らず、いろいろ陸送と鉄道輸送とのシェアをとってみますと、近距離については圧倒的にトラックの陸送が多いわけでございます。遠距離になってくれば鉄道のほうが多く、両方のシェアが大体フィフティー・フィフティーになるようなところは、いまのところ大体百五十キロくらいではないかと思います。ただ、その百五十キロという、いまの両方のシェアが同じになるというような延長が、毎年毎年の統計で見ますと、だんだん少しずつ伸びておるという傾向にあると思います。
  121. 山下榮二

    山下(榮)委員 それじゃ、ついででございますが、時間帯別の利用というものは一体どういうことになっておりましょうか。
  122. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これもちょっと普通の日と日曜と違うと思いますが、実はこの辺いまいろいろ調査しておる次第で、まだ資料としてまとまっておりませんが、まとまりましたら御報告申し上げたいと思います。
  123. 山下榮二

    山下(榮)委員 私は統計をまだ見てないからわかりませんが、先ほど申し上げましたように、レジャー用の道路ということになりますると、夜間にはなかなかそう走らない、昼間が多い、こういうことになっておりまするならば、そこで私は大臣に伺いたいと思うのですが、わざわざ料金問題について審議会に諮問されて部会もつくられた、こういうことでございますから、生鮮食料品その他生活必需品の長期輸送については、夜間は料金をうんと値下げをする、そうして生活の便にも、あるいは輸送コストの低下にも努力をする、こういうことをやられたら、非常に効率的な利用価値が出てまいるのじゃなかろうか、こう思っておるのですが、そういうことは、大臣、お考えになってないか、どうですか。
  124. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 山下委員の非常に前向きな、また問題点としての発想、お考え、私は私なりに同感も持っておりますけれども、ただ、夜間というこの時間的なリミットあるいは制限、いわゆる高速道路等は御承知のとおり長距離にまたがっておりますので、そうした時間的な作用からくる料金基準判断というものはなかなか容易なことではないというようなことも考えられますので、直ちに私としてこれに対する全面的な賛否を申し上げるところまでには至っておりません。したがいまして、一つの問題点として今後の料金あるいは輸送上のこうした点につきましては考慮をいたしてまいりたい、こういう気持ちであることを率直に申し上げて御理解いただきたいと思います。
  125. 山下榮二

    山下(榮)委員 次に、公害の問題についてちょっと伺っておきたいと思うのであります。  御承知のとおり、年々増加する交通事故や排気ガスの公害で、道路交通に対する批判がなかなかやかましくなってまいっておるのであります。沿道の住民の方々からも相当やかましい批判も出ていることは、御承知のとおりでございます。これらに対する安全施設等を含めた問題に対して一体今後どう対処されるか、これは車の改造ということになりますと通産省に関係するのでございましょうが、走る車、現在の車、こういうものが公害に対して一体どういう処置を施そうとお考えになっておるか、まあなすがままに、やむを得ないからしょうがない、こういうことで放任されているものであるかどうか、一体何とかせなければならぬという反省の上に立って施策を立てようとされておるのかどうか、これを伺いたいと思います。
  126. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 道路の整備、発展に伴いましての公害等の発生の問題に対する措置、また、それぞれの使用者側の各位のマナーの問題、これは非常な大きな問題でございます。たとえば、走っていただいておる使用者の方々が、自動車の中から平気でものを投げられて、そして自動車の走行に大きな支障と渋滞を来たしておるというようなこと、あるいは道路の下におけるところまでものを平気で投げられ、そうした危険と、あるいはこれらに対する人的な損傷を与えたり、そうして地域住民に大きな混乱を与えるというような、こうした点は、それぞれの高速道路状況の報告をみますと、私は非常にこれらに対しては憂慮にたえない問題点が多くございます。また、各いわゆるサービスエリアなどにおいての鏡などまでもはずして持っていかれるとか、あるいはトイレットペーパーなどもすぐ持っていかれるとか、こういうような、交通者の各位に対するマナーというものも十分私は宣伝もいたし、そして御協力もいただきたいというようなことから、施設協会を通じましてこれらのPR、訓練をお願いするというような措置を講じておるのでございますが、ますます道路網が整備され、高速道路が整備されてまいりますと、これらに対する管理ということはやはり国が一元的に大きくひとつやっていかなければならぬ。それならば、それをだれにやってもらうかということについては、いまの施設協会のあり方等もございます。また、われわれといたしまして、政府といたしまして一元的にこれをやるという問題点、いろいろございますので、これは目下検討をいたしておるというようなことでございます。  公害の問題につきましても、排気ガスその他について、山下委員も公害委員長をされました立場からそうした見識も十分お持ちになっておられることを私は拝承いたしておりますが、これらに対しましても、やはりそれぞれの立場から、十分の措置と、これらの不幸がなきよう、除去いたすような方策を講じたい、私はこう考えております。
  127. 山下榮二

    山下(榮)委員 最後にもう一つだけ伺って終わりたいと思うのですが、御承知のとおり、東名あるいは名神両高速自動車道路ができたということは、わが国の歴史の上に新しい一ページを加えたものと、これは高く評価していいであろう、こう思っておるのであります。ところが、この建設の裏には非常な多くの人命の犠牲が伴っていることをお互いが忘れてはならぬのであります。私が調べたところによりますると、東名国道建設のために七十九人の労務者が死亡されておる、あるいは名神はそれ以上の犠牲者であった、こう伺っておるのであります。これはきわめてお気の毒なことであり、今後われわれはよほど心すべき問題ではなかろうか、こう思うのであります。この七十九人の労務者がなくなられたその建設上の原因あるいはその不備というのですか等についてどういう調査をされ、どういう今後の対策を立てておられるか、それを伺いたいのであります。それが一つ。  それからもう一つは、これが常時建設に従事しているいわゆる常用工の人たちであるのか、それとも季節的な出かせぎの臨時的な人たちなのか、その点もあわせてひとつお知らせいただきたい、こう思うのであります。
  128. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 名神、東名、中央道、こういう現在供用開始しております高速道路についての建設の途中の死亡の事故でございますが、これにつきましては、うちの調べによりますと、名神で五十八名、東名で七十九名、中央で二十八名のとうとい犠牲者が出ておるわけでございます。この三つの事業を五千四百五十二億の金額で割ってみますと、やはり三十三億の事業に一人というような統計になっておるわけでございます。これは一般の建設事業その他の統計を見ますと、一般の建設事業よりはやや金額が高くなっておる。ということは、一般よりは金額の点では事故が少ないというようなことも言えますが、これはやはり東名、中央とかいう大きな工事とその他の一般の工事と合わせて比較するのも適当じゃないと思います。この原因を見ますと、やはり機械の操作による過失及び工事現場の中の交通事故による死亡、また、高いところからの転落、また、上からものが落ちてきたための犠牲者、こういうようなものが大部分を占めておる状況でございます。これにつきましては、私たちやはり今後の対策といたしましては、いかに工事の現場を安全にするか、安全管理ということを充実してまいらなければならないのじゃないかと思います。これらの大作業の現場になりますと、かなり機械力を使ってまいります。機械力を使いますと、機械の操作になれておるかなれていないか、そういうことが非常に事故を起こしやすいか起こさないかの境になると思いますので、建設業者のこういう機械の操作の技能員の訓練及び現場の安全管理、こういうものに今後力を入れて、この事故を防いでまいりたいというように考えております。
  129. 山下榮二

    山下(榮)委員 それで、先ほども申し上げましたように、中堅建設業者というのか、従業員というのですか、こういうものの養成というものがきわめて必要になってくる、こう私は考えているのであります。そこで、こういう事故等に対しまして、いわゆる監督官庁は建設省でしょうが、建設省はいままでどういう指導をしてこられたのでありますか。また、これらの犠牲者に対して、会社は犠牲者の遺家族の慰謝料をどういうように行なっておられるのか。あるいは、大きな建設業者だけではない、おそらく、下請業者におってなくなられた方々が多いのであろう、私はこう思うのですが、それらの処置がうまく行なわれておるのかどうか、その辺をひとつ最後に伺いたい。
  130. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 先ほども申しましたごとく、わが国の建設行政の一番問題点は、御承知のとおりに、天然的なこの地形の現象あるいは気象的な現象、まことに過酷なほどの悪条件を持っておる、この自然的、地理的な、気象的な条件を克服されながら、これらの建設、国土開発に従事していただいておるということを深く考えますときに、その苦労たるやまことに大きいもののあることを私は深く敬意も表し、また、それらの立場から理解もしてあげなければならぬ、こういうことが私の基本的な考え方であります。そうした立場から、いま局長が申しましたような不幸な事件が重なっておることを思うときに、これらに対するところの措置というものは、やはり政府が十分配慮せなければならない。労災保険の実施、あるいはこれらに対する――過般、これらの率に対する引き上げが必要ではないかというようなことを私のほうから労働省のほうへ連絡し、また労働省のほうも、これに対する検討を加えるという旨もいただいておるというようなことからしまして、いわゆる犠牲者に対する万全の弔慰と、また、これらの御遺族に対する措置を講ずべきじゃないかということが、私は国の立場からも非常に重要な問題として考え、また会社に対しましても、これらに対する見舞い、弔慰その他遺族に対する問題点などを行政指導をしてまいりたい、こう考えております。こうした点を考えるときに、技術者の養成ということがいかに必要であるか。さっきも申しましたように、労働情報等の交換をいたしまして、そして労務者の配置転換その他労務者の入手等にも全力を注ぎますとともに、また私どもとして考えなければならぬのは、こうした大事な、言いかえますならば、国の建設の戦士でございます、これらに対する養成ということについては、建設省みずからが、建設大学校等において、年間かなりの数、全国の各地建から選ばれた各位がそれぞれ養成をされるというような点、その他を通じて、私はこうした技術者の養成と拡充をはかってまいりたいということを御答弁申し上げて、御理解いただきたいと思います。
  131. 山下榮二

    山下(榮)委員 これで終わります。
  132. 始関伊平

  133. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私は先に道路公団の方に直接に東名道路の問題についてお尋ねいたします。政策的なことはいろいろあとでお尋ねいたしますが、浜名湖のサービスエリアについてお尋ねいたします。  この浜名湖のサービスエリアについて問題点があることを御存じですか。
  134. 小野裕

    小野参考人 最初に一言お断わり、おわび申し上げますが、私、理事をいたしておりますが、担当が違いますので、知っていることを申し上げますけれども、間違っておりましたら御容赦願い、また訂正をさせていただきたいと思います。  浜名湖のサービスエリアにおきましては、特に祝日、日曜日等に非常にお客さんがふえまして大混乱を起こしているということを聞いたことはございます。そのほか、サービスエリアの食堂、売店等のサービスが必ずしも万全ではないといううわさも聞いたことがございます。
  135. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この浜名湖サービスエリアのトイレは、何人分の収容力があるのですか。
  136. 小野裕

    小野参考人 恐縮でございますが、定数を存じません。
  137. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 五月二十三日に漁業組合から公団に対して抗議があったことは御存じですか。
  138. 小野裕

    小野参考人 最初に申し上げましたように、直接の担当でございませんので、承知しておりません。
  139. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 御存じないようですけれども、これは大きな問題なんですね。この浜名湖は、御存じのとおり、カキ、アサリ、ノリ、それから淡水魚、シジミ等が養殖されております。ところが、東名でおつくりくだすったこのサービスエリアのトイレは、千七百人処理能力のトイレです。詳しく申し上げますと、大便器が五十四個、小便器三十五個を設置されておりまして、浄化槽は千七百人槽である。ところが、多い日には二万人からの人がここに殺到してきます。そこで、この浄化槽というのは、御存じのとおり、便器、腐敗槽、酸化槽、沈でん槽を経て、約十五日間で浜名湖に入る。千七百人分の処理能力しかないサービスエリアの浄化槽に、二万人の人たちが入ってくる。そのために浜名湖がいま黄害が生じて、大腸菌がうようよしているということがこの間も問題になりました。御存じのとおり、あなたも私も浜名湖産のなまガキを食べている。こういうなまガキを食べて、伝染病の発生期を迎えていま大問題になっている。こういう大事な問題を公団の責任者のあなたが知らないということは、私はまず遺憾に思うのです。  そこで、水質の検査は公団としておやりになられたかどうか、これも御存じないのかどうか。
  140. 小野裕

    小野参考人 私も、うわさと申しますか、話としてはいろいろ聞いております。ただ、責任のある数字とか事情とか、これについては存じませんので、申し上げかねておったのでございますが、当然、これは役員会におきましても、また担当者の間におきましても、その対策についてただいまいろいろ検討をし、苦心をしておる状況は、はたで見ております。
  141. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 非常に大事な問題でございます。すべての点から重要な問題でございますので、私はいま担当の責任者を呼びましたから、この問題に対してはっきりとした公団側の説明もその時点でさせますから、もうしばらく御猶予を願いたいと思います。
  142. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 では違った角度から大臣にお尋ねしますが、浜名湖には水質基準がありますか。
  143. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 これこそまことに失礼でございますが、私、全く不明でございまして、お許し願いたいと思います。
  144. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 厚生省の役人も来ておりますが、浜名湖には水質基準がない。一体この浜名湖の養殖のなまガキやシジミ等が大腸菌がどれぐらい、または何PPMの水が最高であるかということが――建設省としては基準がない、こういったことで、これは大臣にお尋ねいたしますが、この浜名湖一帯は風光明媚であります。大臣もおそらく行かれたと思うのです。なぜ風光明媚かと申しますれば――ここは天皇陛下御一家が毎年水泳するところなんです。これは大臣も御存じだと思う。昨年も皇太子御一家がおいでになっております。そういうところへこういった黄害が発生するということは、大臣としてはいかがお考えになりますか。
  145. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 まことに大事な問題でございますから、私がいま責任者を呼んだ気持ちもそこにあるような次第でございます。
  146. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それはきょうここの席へいらっしゃるのですか。――では、違う問題をやります。  高速道路公団の方にお尋ねいたします。  高速道路という定義は一体何なのですか。
  147. 飯田逸治郎

    ○飯田参考人 首都高速道路公団理事の飯田でございます。  いま高速道路の定義をお尋ねでございますが、一般的に申しまして、やはり自動車の専用道路であって、しかもそこにはゴーストップというようなものがない、そして相当の速力を出し得る道路というのが、高速道路一般的な定義だろうと思います。しかしながら、その高速道路の構造そのものによりまして、百二十キロなり百キロ出せるような道路もございましょうし、六十キロ、五十キロというようなものもあり得ると思うのでございます。
  148. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 では具体的にお尋ねいたしますが、国会の前の霞が関の入り口から、環状線、一号線、これに乗って入谷まで何分で行かれるのが高速道路になっておりますか。
  149. 飯田逸治郎

    ○飯田参考人 たいへん技術的な問題でございますので、十分のお答えになるかどうか存じませんが、あの環状線を一回りいたしますのに、普通大体十三分そこそこ、それから江戸橋から今回延長たいしました入谷まで、これが五分そこそこ、合わせますとやはり十七、八分ないし二十分近くで行くのが普通だろうと考えております。
  150. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 高速道路公団では料金を取っております。これは有料道路でございますから、あたりまえです。取ることはけっこうでございますが、この料金は、われわれ利用者が一ときも早く、要するに緊急な用、または、いまの道路交通問題で非常に困っておりますので、こういう高速道路――大体百五十円です。私いつも通っておりますが、百五十円払って入谷まで行くわけです。公団のあなたは、ここ四、五日お乗りになったと思うのですけれども、入谷まで何分おかかりになって行っておるか、お調べになりましたか。
  151. 飯田逸治郎

    ○飯田参考人 私、実は開通後数回乗りましたが、ここ四、五日の間は乗っておりません。
  152. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 最近公正取引委員会で問題になっておりますことは、牛のかん詰めといって、羊を入れたり馬肉を入れたりする。要するにレッテルと内容が違う。私は何もその例を引き合いに出したくないのでありますが、私はもうここ二カ月近くあなたのおつくりになった道路のお世話になっておりますが、最近の道路情勢というものはもう深刻なものなんです。入谷まで最高一時間二十五分かかる。うそだと思ったら、これから五時から六時の間、この雨の降っているときにお乗りになってみるとよくわかる。一番込みますのが、あのガードをおりまして、上野にかかる大体五百メートルくらい手前から道路が入ってきますね、そこで込むのです。それから、この間も災害対策で飛行場へ、これも高速道路を使って参いりました。ところが、えんえん長蛇の列です。車は渋滞に次ぐ渋滞です。これはきょうばかりかと聞いたら、連日そうである。高速道路を使った私の車と、下の普通の道路を使ったほうとどっちが先へ羽田に着いたかと申しますと、普通道路を使ったほうが早く着いた。私は、こういうふうに道路が渋滞するということは、日本の道路情勢、また、すべての点でもうとめどもない時代の時流であるということは、これはわかります。しかし、いやしくも高速道路と銘打って高速道路公団がつくったこの道路が、わずか何年、ほんのわずかですね――その長期展望にも立たない。現在、ここは観光道路でございません、首都の中の経済道路、特に国会周辺は重要な人たち通行している、しかも料金をいただいているわけです。先ほどあなたのおっしゃいましたように、高速道路利用するには、その高速道路としての利用価値を含めた中の価値に対する見返りである、こうおっしゃった。わずか五分か七分で普通行けるところに、ただいま道路渋滞が続いているが、一体これが解決できるのかどうかという点が一つ。百五十円、貨物で三百円、こういったものは、あなたもおっしゃる高速道路の定義からはずれている。そのためにお金を取っているということは、悪くいえば詐欺行為と私は思うのです。これは言い方が少し酷かもしれません。何もそんなことの目的のためにおつくりになったのではないが、そういう長期展望に対する見通しの甘さ、それから料金を取っているもののモラルの点、さらに、道路本来の性格であるところの公開無料性という点からいってこれは違反している。こういう点について当面の責任者である飲田理事の御答弁をお聞きしたいと思う。
  153. 飯田逸治郎

    ○飯田参考人 私は実は所管が用地買収関係でございまして、したがいまして、ただいまの御説明に十分お答えができるかどうかははなはだ疑問でございますけれども、一応役員として聞いており、また考えておりますことについて、一言お話を申し上げておきたいと思いますが、なるほど、最近になりまして交通渋滞が非常に出てまいりまして、一般利用者の方々にも非常に御迷惑をおかけしておりますことは、まことに申しわけないと思っております。その交通渋滞の原因というものをいろいろ検討いたしておりまするが、何といっても、最近、ある時間帯におきましては絶対的に自動車の数が圧倒的に多くなってきた。これはむしろ、われわれもこれほどまでに急速に自動車が多くなるということは実は予想していなかったことは事実であります。そういう点であるいは長期展望は間違いじゃなかったかと、こうおしかりを受けると、まことにそうかと思います。しかし、その一方、ああいう渋滞をいたします一つの原因といたしまして、車があの中で事故を起こす、その事故の排除に時間がかかる、そういうようなことから、あれはたまたま二車線よりございませんので、渋滞の非常に大きな原因になっておりますが、その渋滞の原因の約七〇%は、自動車自身が、ガソリン切れとかパンクとか、その他の事故を起こしまして、途中でえんこしてしまっている、こういうのが圧倒的に多いのです。したがいまして、先ほども高速道路に乗るドライバーのマナーの問題をお話しになりましたが、やはりあくまでも一マナーを十分つけていかなければならない。途中でガソリンが切れたりバンクするようなことで高速道路に乗ること自身が、これは非常に不見識だと思います。そういう点について十分今後ドライバーの方々にもお気をつけをいただくようにいたしていかなければならぬと思います。  さらにそのほかに、追突その他接触等によって事故が起こる、これが三〇%近くございますが、これは無理な追い越しとか、そういうようなことによって起きるのが大部分でございます。したがって、その点でも十分ドライバーの方に御注意を願わなければなりませんが、さればといって、そういうものを幾ら言ったところで、なかなかなくなるものでもございませんでしょう。したがって、一刻も早く事故が起きたことを知って早く排除するということが応急の問題だと思うのでございますが、そういう点につきましては、非常電話の増設、待避所をつくるというようなことをもちましていま応急対策を急ぎつつあるわけであります。  恒久対策といたしましては、別のそれに並行した、あるいはそれにかわるような路線を早くつくっていくことじゃないかと思いますが、恒久対策として相当の日時も要することでございますので、早急の問題にはなりかねるかと思いますが、先ほど申し上げましたような事故の内容を分析いたしますと、ドライバーの方々の不注意とか、そういうものが圧倒的に多いので、こういうものに対する排除をなるべく早くできるようにということを考えておる次第でございます。
  154. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 飯田さんに何か言いくるめられたようになってしまったのですけれども、私が言っているのは、そういう事故ももちろんあるでしょう。あるけれども、いまの四時、五時の時間はそういう事故じゃないのですよ。これは明らかな自動車の集中です。これを言っているのです。そんなに毎日毎日四時から五時、パンク、ガソリン切れ、追突、そういうものが重なっているとは限らない。うそだと思ったら、お帰りになるときお乗りになれば、一番はっきりしている。何もここで私はあなたを責めているわけではない。だから、私が言ういまの東京の道路情勢というものは昭和六十年には一体どのくらいになるか、昭和五十年には東京都には大体どのくらいの車が集中してくるか、当然そういった長期展望に立ってあなたのほうも御設計になっただろうと思うし、われわれ国会としてもそれは承知しておりますが、現在のような、問題をドライバーのモラルの点にだけ押しつけることはいかぬと思う。最近欠陥車ばやりで、車も欠陥、道路も欠陥、乗っている人間も欠陥、運営している道路公団も欠陥、欠陥ばやりでこれはうまくない。そこで、この問題をどう解決するかという点が一つですね。  それからもう一つは、料金が――そういった高速道路として、東京は、私が言っている線はだんだんだんだんひどくなってくる。これが激しくなってまいりました場合には、依然そういう機能を発揮しないような道路においても、きまった償還をするまでは、一ぺんきめたのだから最後まで道路料金を取っていくのだ、こういう考え方なんでしょうか。
  155. 飯田逸治郎

    ○飯田参考人 先ほども申し上げましたように、私直接担当でございませんものですから、責任ある御答弁を申し上げることができませんけれども、しかしながら、現在のいわゆるモータリゼーションの傾向からいいますと、これはますます今後とも自動車がふえてくることは当然でございます。したがいまして、公団におきましても、東京都あるいは建設省の御指導をいただきまして、東京都内、近郊における道路網の計画を着々と検討いたしております。  大体この程度でひとつごかんべんを願いたいと思います。
  156. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 非常に大事な問題でございますから、責任者の私が積極的に御答弁申し上げるのは当然だと思いますので、発言を求めたのでございますが、いま御指摘になりましたごとく、わが国の自動車の台数は年々ますますふえてまいりまして、昭和六十年度には三千五百万台に及ぶという想定をいたしております。私ども建設省といたしまして、高速自動車道あるいは東京都の首都高速道路等の建設に際しましては、こうした事態を考えまして計画的な道路建設をいたすことが当然の措置であると考えまして、それぞれの立場からそうした未来像につながる道路行政を打ち立ててまいりたい、これが私の基本方針でございます。いま高速道路理事が申しましたそれぞれの立場、これも御理解はいただけると思いますけれども、何と申しましても、今後の高速自動車道路の建設に際しましては、いまの自動車ということ、未来の自動車の伸び数あるいは産業、すべてを踏まえまして総合的な計画を立てなければならぬ。車線の問題あるいは線形の問題あるいは取りつけ、インターチェンジの問題等、あらゆる点を総合的、一貫的にやらなければならないとともに、緊急体制あるいは避難体制あるいは側道の建設等も考えなければなりませんが、いま御指摘になりましたあの路線考えますときに、いまちょうど工事を進めておる問題の高速道路等いろいろございますので、これらの一貫した――最終的とは申しませんけれども、各線の網ができ上がることを強く期待いたし、その網の完成をいたすことが私どもの大きな仕事である。過般某新聞にも出ましたごとく、私自身、いわゆる高速道路において渋滞を来たしまして、いつも閣議の日には四十分ほどかかることを想定して出勤するのでございますが、十分もおくれてしまって、ある新聞には、高速道路ではなくして低速道路だといわれましたようなことで、私はまことに恐縮しているような次第でありまして、いわゆる使用者の側に立ってこれらの建設を、あらゆる立場から技術上にも入れ込んで私は進めてまいりたい。また、高速道路首都高速道路、それらの関連機関に対しましても、私が申しました精神をもって指導いたすことだけを表明申し上げておきたいと思います。
  157. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私の質問に対して、料金の点についてお答えいただけなかったのですが、その点、サービスをしてあげるとか、高速道路としての機能をはたしていないのだから、百五十円取るところだったら五十円にするとか、ただにするとか、そういうことは考えられないかという質問に対して、大臣、いかがですか。
  158. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いまの首都高速の問題でございますが、上に上がったが高速で走れない、非常に時間がかかった、こういう場合に、料金を払い戻せという御意見もございます。これは実はよくそういう御議論の中で国鉄を例にあげまして、国鉄の急行が二時間以上おくれたら料金は戻してくれるということがございます。ところが、どうも国鉄と高速道路と違いまして、いつ乗ってどういう場合に料金を払い戻すかということは、技術的に非常にむずかしい問題でございます。私のほうは、現在、そういう込む時間は、乗る前に早くわからせるということにまず力を注ぎたいと思います。と申しますのは、オン・ランプいたします前に、現在の時点ではここが非常に渋滞しておるというようなことを電光掲示板その他ではっきり示すことがまず必要ではないか。それだけの料金を取っておるのですから、料金を取れば利用者考えておられるようにスムーズに行けるということがまず前提になろうかと思いますので、首都高速道路公団にも命じまして、まず入り口で道路の混雑状況をはっきりつかまえるようないろいろな電光掲示板を親切に出して、さらに、その上へ乗るか、一般道路を通るかの選択を利用者の方にお願いしたいというふうに考えています。また、そういうことをやりましても、不幸にして高速道路に乗ってから事故が起こりまして停滞するという場合も考えられます。これを解決するには、やはり高速道路を一部広げまして、事故車をなるべくそこに追いやるということ、それからまた、高速道路の降りるランプをもっとつくれるところにはつくる、それで、もうここは混んできたら下に降りて一般道路へ行くというような施設を今後つくってまいりたい。故障車の排除を早急にやるためのいろいろな体制を整えることはもちろんでございますが、そういうことで利用者の利便をはかってまいりたいというように考えておりまして、いますぐ払い戻しというようなことになりましても、これも非常に――いまの首都高速も四方八方から入ってまいりまして、その入るところによりまして、スムーズに入ってこれたのもあるし、非常に困難して入ってきたのもあるし、その辺を首都高速の環状線の上で区別をするということもなかなか困難なことでございますので、私のいまの考えは、できるだけ乗る前に利用者に利便を与えるような電光標示板、これをオン・ランプにはみんなつけて、現状をわかるようにしてまいりたい、こういうことに力を入れたいというふうに考えております。
  159. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それでは、その電光標示板とやらをつけてはっきりしていただきたいし、また、放送もしてもらいたいと思う。いま交通情報も提供しておりますけれども、高速道路だけじゃないですね。こういう点非常に残念に思うし、来年のいまごろはおそらく東京都内のどの高速道路も渋滞をしていますよ。それはもう私が予言しなくても、皆さんのほうで何らかの手を打たなければならない状態になる。これははっきり申し上げておきます。その点はそれだけにしておきます。  次は、これは新聞に出ておりまして御存じだと思うのですが、「ゴネ得はひどい」という題で出ておりますね。これは建設委員会として土地収用法の法案審議のときに、土地収用法を改正するにあたって、ごね得をしてはいけない、こういうものを排除するために、われわれは涙をのんでこういう規制の強い法律に対して審議したわけです。ところが、首都高速道路公団が世田谷の高速道路三号線建設予定地の用地買収について、あなたのほうでめったにかけたことのない土地収用法をおかけになった。この土地収用法はあまりほかの公共事業にもかけていないわけです。かけないほうがいいわけですよ。これは最後の宝刀ですから、あまり抜かないほうがけっこうなんですが、そうかといって、一部の者だけがそういうごね得をするというようなことがあってはならない、これは確かに法の原理です。そこで、この高速三号線の買収にあたっては、先に用地を買収した人たちよりも、収用法にかかって補償したほうが高かったという事態が大体新聞には報ぜられております。平均二割五分も高い。そのために約四千万円も値段に格差ができたということで地主さんがおこっているという記事が載っておりましたが、これについてはいかがですか。
  160. 飯田逸治郎

    ○飯田参考人 ただいまの御質問にお答えいたしますが、その前に大体の経過をかいつまんでお話ししておきたいと思います。  高速三号延伸線が都市計画決定されましたのが四十一年の七月、それから事業決定がされましたのが四十二年のやはり七月だと記憶いたしております。それで、現在渋谷のところまで来ておりますのを、今度国道二百四十六号線の上を通ってずっと瀬田のほうに向かって高速道路をつくり、瀬田の少し手前のところから今度は右折れして用賀地区に入る、そして環状八号線のところで東名高速道路に連結するというのが三号延伸線でございます。  ただいまの用地買収の問題は、そのうちの用賀地区の用地買収についてだと思います。先ほども申し上げましたように、四十二年の七月に事業決定がされましたので、私のほうではさっそく用地買収事務に取りかかり、八月にはあの地区の標準地約六カ所を選びましてそれの評価を進めました。それから土地の方々のところへ参りまして、そして土地の買収説明をし、そして四十二年の暮れごろから逐次折衝に入るという段階に相なったのでありますが、御案内のように、四十二年の暮れまでは土地収用法は旧法を適用いたしておったわけです。それが四十三年の一月一日から改正土地収用法が適用されることになった。それで、その際に、改正をされたその時点において土地収用法の発動をいたしまして土地の価格を決定するというやり方が一つあったわけでありますが、しかしながら、われわれといたしましては全面的に用地の折衝に入るまでの準備がまだ十分整っていなかったわけであります。また四十二年度の予算も必ずしもたくさんついていない。そういうようなことから、四十三年の一月一日新土地収用法が適用になりましたそのときに、一応その地区を保留地ということにしたのでございます。そして一般の任意買収の方式によりまして買収を進めてまいりました。しかしながら、この地区は、一部に高速道路そのものに対する反対がございまして、なかなか立ち入り測量等も許してもらえないという時期がございました。そんなことからなかなか思うように進んでいかない。四十三年の八月までに全面積のうちのようやく二八%より進まなかったわけでございます。一方、東名高速道路は一部開通いたしまして、全面開通も目前に迫っている、あの辺の高速道路を早くつくらなくちゃならぬという声が非常に強くなってまいりました。そういうことで、われわれとしても早く工事に着手する必要がございます。したがいまして、いままでと同じような任意買収の方式でいくことは必ずしも好ましくないというので、四十三年の十月になりまして保留地の解除をいたしまして、土地収用法の手続の開始をいたしたのでございます。そうすると、御案内のように、保留地の解除をいたしますと、そこであらためて土地の価格を再評定しなければならぬ法律のたてまえになっております。そこで、三名の公認鑑定士の鑑定を依頼いたしまして評価をさせたところ、意外に高くなっておる。前年度に比して二五、六%の増額というようなことが出ました。われわれとしても非常に驚きまして、さっそくもう二人新たに公認鑑定士を追加いたしまして、五人の鑑定士の結果を見たわけでございます。それを見ますと、やはり依然として二五%から三〇%近くの値上がりということになったのであります。これは、私から申し上げるまでもなく、東名高速道路が一部開通し、全面開通も近くある、それから環状八号線も逐次整備されるということで、あの辺に対する人気といいますか、そういうものが非常に強くなってきた。そんなことから、前年の八月に評価いたしましたのと比較いたしますと、約一年二カ月になりますが、その間に二五%の値上がりになってしまった。公認鑑定の結果そういうものが出たとすれば、今後の用地買収はそれを基準としてやらざるを得ないということになったわけであります。したがって、その額で最終的に決定をいたしまして、そこで価格を固定して買収に入ったわけであります。おかげさまでその後非常に用地の買収は順調に進みまして、現在では、あの区画約百区画ばかりありますけれども、そのうちのわずかに一区画がまだ話がきまらぬというだけで、あとはもうきまったようなわけでございます。そういうことから、前に買った方と今度再評価して価格固定をいたしましたのとの間に二五%の差ができた。その中で一部の方が、これはどうも少し話が違うじゃないか、公団が買うときには、いや、今後といえども土地の値上がりはいたしませんということで、私はそれに応じた、しかるに、十月になってみると、二割五分まで上げたじゃないかということを言われまして、その後その差額をくれという強い要望がございました。私のほうといたしましては、もちろん、一応私どもの係の職員が出向きまして、買収の際に今後値上げはしないというようなことをおそらく言っておるとは思います。というのは、従来も、任意買収でずっと進みます間は途中で値上げをするようなことはしない方針で進んできております。というのは、途中で値上げを若干でもするということになりますと、結局用地買収がおくれてしまいます。値上げをするであろうことを見越してあとへ引いていく、こういうことでおくれてしまいますので、われわれは、任意買収の際におきましても、最初にきめました価格でずっと押し通していくというのがいままでのたてまえでございましたので、おそらくそういうような趣旨のことを係の者が言ったであろうことは当然わかるわけであります。しかしながら、私のほうといたしましては、やはり合法的に契約ができておりますので、その差額をあらためて出すということはなかなか困難だというのでいままで話を進めてまいりましたが、最近になりまして、その方が工事の立ち入り禁止の仮処分を申請いたしました。これはその後私のほうから一札入れることによって引っ込めましたけれども、またここ数日前に、あれはどうもだまされた――と言っては語弊がありますかしらぬが、そういうことであの契約は無効だから、取り消しだ。そして、移転登記が済んでしまっておりますものですから、その移転登記の撤回請求という本訴を提訴してこられたわけであります。こちらといたしましては、そういうような提訴がありますれば、もちろん受けて立たざるを得ないわけであります。それの結末はやはり裁判のほうで解決せざるを得ないと思いますので、そのつもりでおります。ただ、それが長引いて工事がおくれるようでは困りますので、その点については裁判所のほうにお願いをいたしまして、合法的に工事ができるような方法をいまのところ検討をいたしておるような次第でございます。御了承願いたいと思います。
  161. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私が聞きたいことは、新土地収用法でやりますと、裁定時でなくて、事業決定時にさかのぼるのですよ。そうしますと、その最初に売ったときには一体幾らの時点で売ったのですか。まず事業を計画された時点なのか、それとも事業が決定した時点なのか。だから私がちょっとふしぎに思うことは、今度は土地収用法がきびしくなったのだから、逆に言えば、上がった上がったと言うが、前の時点へぐるっと戻るのですよ。戻った時点で補償するのですから、土地収用法をかけられた人に、先に払った人よりもそんなに高く払うなどということは考えられない。それを何か、飯田さんの御説明でいきますと、土地が高くなった高くなったということで、裁定時のような感覚に私聞こえてしまうのですけれども、そうじゃない。土地収用法というのはあくまでも法定どおりやるならば、要するに事業計画決定時の値段にさかのぼる――どうなんですか。
  162. 飯田逸治郎

    ○飯田参考人 お答えいたします。  ただいまも御説明申し上げましたように、これはちょうど新法と旧法との変わり目でございまして、私のほうで最初に価格を決定いたしまして折衝を開始した当時は旧法でございます。したがって、その事業決定の時点とかいうものはないわけでございます。
  163. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは、大臣、大事な問題ですね。収用のときにこういう問題が起きてくるのです。そうすると、大臣、こういう問題のときにはどっちの法律をかけるのですか。これは収用法の審議のときに問題になったのですよ。私どもこういう問題が起きるということを予言していた。
  164. 角田正経

    ○角田説明員 小川先生、いま理事から御説明いたしましたので多少説明不足の点がございますので、私から補足説明させていただきます。  御承知のように、収用法が施行されましたのは四十三年一月一日でございます。いま申し上げましたのは、都市計画の事業決定をいたしましたのが四十二年の七月でございます。土地収用法の事業認定と都市計画法の事業決定は同じ効力を持っております。ですから、そういう意味で、都市計画の事業決定をいたしました段階で収用法の事業認定と同じ効果を持ちますが、土地収用法の施行法で、その段階においてすでに事業決定または事業認定をいたしましたものにつきましては、新法の事業認定と同じ手続になりますが、先ほど申し上げましたように、事業認定の段階ですぐに価格固定になりませんので、暫時、手続が済みますまでその間価格固定の手続が延びる形になっております。そういたしますので、先ほど御説明いたしましたように、保留の手続解除をいたしました段階で事業認定と同じ効果を持ちまして、その時点での時価で固定するということでございます。したがいまして、先生御指摘のように事業認定時点にさかのぼるわけではございませんで、保留手続の解除をいたしました段階で、その時点で固定する。先ほど申し上げましたように、その時点で固定いたしますために、再評価いたしました結果、二五%の格差があった、こういうことになるわけであります。
  165. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 だから私はおかしいと思う。保留手続が長ければ長いほど、ごねている時間が長ければ長いほど、そこが問題が解決した時点になってしまうのです。だから私が言っていることは、事業決定されたその時点の評価でなければならぬと思う。それで、わあわあやっていて解決した時点までいったら、そこでずっと延びていくでしょう。そこからやるのですか、新法は。われわれはそういうふうに理解してなかったのですがね。どうですか。
  166. 角田正経

    ○角田説明員 ただいま御説明いたしましたように、事業認定をいたしました段階で固定するわけでございますので、私どもの都市計画でやっておりますが、計画決定の段階ではだめでございまして、事業決定をいたしました段階で固定されるということでございます。先生御指摘のように、実際にその事業決定の前に用地買収いたしまして、事業決定等がおくれまして固定がおくれますと、付近地が住宅地等で上がりますような地域では同じような事例が起こる可能性がございます。今度の事例、実は当初から非常に心配しておったわけでございますが、今後こういう問題――これはちょうど新法と旧法の過渡的な時期にはまりました関係で多少大きな問題が残ったわけであります。今後は、事業決定をいたします段階でできるだけ早く価格固定できますように措置いたしまして、それから全体に一般買収に入るというふうな措置をとっていきたいというふうに考えております。
  167. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 だから、公団としてはそこのところは手抜かりでしたよね。その一点はどうなんですか。
  168. 飯田逸治郎

    ○飯田参考人 今回の問題は、先ほど来お話し申し上げておりますように、旧法と新法の間にあったために、初めのうちは旧法でやってきて、途中で新法に変わったわけであります。それで、新法になったときには、事業決定の問題ではなくして、今度は保留地の解除のときにおいて再評価して価格決定をするという新法の定めになっておりますので、その保留地を、私のほうでいえば、十月の十九日に解除して、その時点における価格を立てて、それ以後その価格で買収を進めていく、こういうことになっております。こういう特例が今回できたわけでありますけれども、今後われわれはどういうふうにしていくかという問題でございます。これからはもうそういう過渡期の問題がなくなりまして、事業決定がされれば、原則としてそこで価格固定されるというのが法のたてまえであります。特別の事情がある場合には一応そこで保留地という手続をとって、適当な時期になって保留地解除をするという規定があるわけであります。しからば、今後、事業決定がされれば、すぐそこで保留地の手続をとらずにどんどん手続を進めていく、価格をそこで決定して進めていくということがはたしてできるかどうかというと、これは私らの実情からいいますと非常に困難である。やはり、事業決定がありましても、地元説明をし、一筆測量調査をいたしまして、いよいよ折衝に入れるまでには、少なくとも大体半年、よほど順調にいって半年、普通九カ月くらいはかかるわけであります。したがいまして、私のほうは、今後は、事業決定されたときに一応保留地にいたします。そして、価格はそのときにきめないで、準備を進めていって、半年ないし九カ月、大体半年くらいでやっていきたいと思っております。そこでいわゆる用地買収の折衝に入れる準備体制ができたところで保留地を解除する、そこで価格を固定してずっといく、そして途中で再びいわゆる評価し直しをするというようなことをしないようにしよう、こういうのが最近の私のほうのあれでございます。しかしながら、やはりいまも監理官からお話がありましたように、事業決定がされれば、それからできるだけ早く保留地の解除をして、そこで価格固定をして、それ以後は動かさないというふうに努力をいたしていきたい、かように考えております。
  169. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣、ただいまのお話をお聞きになっていてもうおわかりになったと思いますが、こういった問題が出てきたわけですね。新法と旧法の谷間にあるところの用地買収における問題、これはわれわれが土地収用法を審議するにあたっては、こういう問題が当然起きるであろうと予測された上で審議をいたしましたね。こういうふうに、現実に正直者がばかを見るというような印象を与えてしまうことについては、大臣、いかがお考えになっておりますか。
  170. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 七日の新聞に出てまいりましたこの問題点につきましては、私は私なりに拝見いたして、この実情に対しまして、一体どうあるべきか、どうであったかということについては非常に注視いたしておったのであります。いま参考人、また説明員からそれぞれの立場で御説明申しました事情で幾らか解明をいただきましたこととは思います。いずれにいたしましても、国民大衆にこうした誤解、こうした問題点を提起いたすというようなこと自体が、私たちとしては十分考えなければならぬことでございますので、これらの行政配慮につきましては今後も十分考えてまいりたい。しかし、その実態についていま参考人、説明員が申したことにつきましては、正確に、また御理解も賜わりたい、こう考えておる次第であります。
  171. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 飯田さんに最後に一点お尋ねします。  いま訴訟問題に発展しておるとおっしゃいました。そうすると、これがこじれた場合に、道路問題にはどういうふうな影響が出るかという点が一つ。  それから、買収に応じた価格よりは絶対上げないという念書があるというふうなことが新聞には出ておりますが、そういう念書をたてにとって、告訴したほうの地主側に有利になるのかならないのか。これは裁判所できめる問題でございますが、そういった問題で行政訴訟を起こされている。これについて、今後道路問題がこじれた場合、見通しは一体どうなのか。この点について……。
  172. 飯田逸治郎

    ○飯田参考人 ただいま本訴が提起されていることは、申し上げたとおりでありますが、その結果については、われわれそれを受けとめていかざるを得ないわけでございますけれども、しかしながら、それが相当長期間にわたるようでありますと、御指摘のように工事のほうに支障を来たすことになります。それで、われわれといたしましては、あまりに長期にわたるようでございましたならば、それとは別に、工事が立ち入りしてできるような権限を裁判所のほうから付与していただいて工事に着手するようにしてきたい、こういうことを目下検討中でございます。  それで、いま、念書が入れてあるというのでございますが、これは仮処分が出たときの念書でございます。それは、裁判もしくは話し合い以外に公団が一方的に立ち入りして工事をやることは差し控える、こういう念書でございます。したがって、われわれも、そういうような権限が付与されずに、一方的に工事を強行しようという考え方はございません。やはりそれに入りますには、それぞれの裁判所のほうから権限を付与されて入るようにいたしたい、かように考えております。
  173. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その点は、あなたのほうの明快な態度が出ないと、これは大きな社会問題になると思います。その点これ以上私は追及いたしませんが、これだけ大きく新聞を騒がして社会の問題になっておりますので、どうかひとつ納得のいくように十分御配慮いただきたい。この点だけお願いしておきます。  それでは、先ほどの浜名湖の件で、おいでになったようですから、質問を続けさしていただきます。  東名高速道路の浜名湖サービスエリアにおけるし尿問題についてであります。この浜名湖サービスエリアのトイレは千七百人分とわれわれは確認しておりますが、日曜日や祭日等の休日には約一万七、八千から二万人の人たちが押し寄せています。これは先ほども私述べたのでございますが、こまかいことは先ほど申しましたので、あなた御存じだと思いますが、こういった千七百人分しか処理能力のない浄化槽が結局フル運転できるのかどうか、二万人分も入って、このなまの黄色い、われわれのした結果が――黄害が、あの風光明媚な浜名湖へ流れて、そこで浜名湖名産でありますなまガキ、シジミ、アサリ、ノリ、こういった養殖ものに相当被害が出ているといって、五月の二十三日にこの浜名湖漁業組合がおたくのほうの道路公団に抗議を申し込んだ。ところが、取り合ってくれない。そこで、一体この問題は、そういう事実があるのかないのかという点からまず伺いたい。
  174. 斎藤義治

    ○斎藤参考人 私、道路公団の斎藤でございます。  ただいまの御質問の件でございますが、浜名湖のサービスエリアの当初の設計をいたしましたときに、浄化槽の需用の人数と申しますか、あそこの需用の程度を想定いたしましたのは、サービスエリアとして約八千人くらいの需用ということで設計をいたしましたが、開通してみますと、いま先生が申されましたように、平日におきまして大体一万人弱くらい、それから日曜日のときには二万人をこすような日も実際あるわけでございます。そういう点で、浄化槽の容量として当初設計をいたしましたものとしては、日曜祭日等の時期におきましては容量が若干不足をいたし、当初の量の三倍近くの利用でございますから、若干機能的に不足をしているというようなことは、私どもとして開通後承知いたしております。
  175. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 正確には八千人分なんですか、この処理能力は。
  176. 斎藤義治

    ○斎藤参考人 浜名湖のサービスエリアの利用として八千人というふうに浄化槽としては推定いたしております。これは設計の段階でございます。
  177. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 だから、設計じゃなくて、現実は幾らですか。
  178. 斎藤義治

    ○斎藤参考人 現実は、これは正確にこまかく毎日はかるわけにはまいりませんが、平日で大体一万人弱くらい。
  179. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私が聞いているのは、この能力が設計の段階においては八千人分処理する能力のものを設計したとおっしゃるけれども、現実に稼働しているのは、私どもの調査では千七百人分くらいしかできないということを聞いているから、この点開きがあるから、確認しておるのです。
  180. 斎藤義治

    ○斎藤参考人 千七百人という点は、私は八千人というふうに設計の資料として確認いたしております。
  181. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 設計設計と申しますけれども、これは間違いなく動いているのでしょう。いまその機械は動いているのでしょう。
  182. 斎藤義治

    ○斎藤参考人 動いております。
  183. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 動いていれば、設計というよりも、八千人分は間違いないですね。
  184. 斎藤義治

    ○斎藤参考人 間違いございません。   〔「公明党、調査不備だな」と呼び者あり〕
  185. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 だから本職に聞いているのですよ。  八千人分であっても、二万人の人たらが押しかけてくればこれはどうしようもないということは事実ですね。
  186. 斎藤義治

    ○斎藤参考人 事実でございます。
  187. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ところが、そういった抗議が申し込まれたということは事実ですか。
  188. 斎藤義治

    ○斎藤参考人 抗議が申し込まれたというこまかい事情につきましては、私、直接抗議の方にお会いしておりませんので、つまびらかじゃございませんが、現地でそういう祭日、日曜等におきまして若干浄化が十分いかない事情からの問題があるということは聞いております。なお、これの対策につきまして、われわれも開通いたしましてそういう事情がすぐわかりましたので、とりあえず現在までには、できるだけ水を入れまして希釈をするとか、それからろ過池にろ化槽を増設するというようなものにつきましては、実施に一部もうかがっております。なお、八千人の設計、これは概数ですが、二万人、あるいは二万人をこえるような利用の日もございましたので、これにつきまして二万五千人程度の規模に間に合うようにただいま増設の設計をいたしておりまして、設計がまとまりましたならば、本年度中にこの工事をさっそく実施して対策を立てるようにただいま準備中でございます。
  189. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは厚生省にお聞きしたいと思うのですけれども、この浜名湖の水質基準限度はどれくらいなんですか。
  190. 石丸隆治

    ○石丸説明員 水質の基準をきめますのは、水質汚濁防止法によりまして経済企画庁のほうがやっておるわけでございまして、私のほうの所管ではないわけでございまして、責任をもってお答えするわけにはまいらないわけでございますが、私の聞いている範囲では、浜名湖につきましてはその基準が定めてございません。
  191. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 確かに水質基準がないのです。そうしてこの交渉のときに――これは公団の斎藤さん、漁業組合と三ケ日の保健所と静岡県の衛生部へ、サイダーびん三本持って、その出ているところの黄色い水を水質検査に持っていったのです。そうしたら、何とこれは百十七・二五PPMと出ているのです。その百十七・二五PPMというのは、これは排水口で三十PPMが基準の大体あれであるということで皆さんのほうでおつくりになったと聞いているのですが、その辺のところの単位、私、専門家でないからよく知りませんが、一体その点はどうなんですか。
  192. 石丸隆治

    ○石丸説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘になりました百十二・二PPMというものは、これは放流水の中のアンモニア性窒素の値を言っておられるようでございまして、われわれが県のほうの検査結果を調べました結果は、アンモニア性窒素が百十二・二PPMという数字が出ておるわけでございます。  なお、三十PPMというこの基準でございますが、これはBODというものの基準でございまして、BODと申し上げますと、水質の汚濁の度合いをはかる基準単位でございますが、生物酸素要求量とわれわれ日本語で訳しておりますが、その検査結果を申し上げますと、五月二十九日、これは木曜日でございますが、木曜日に測定いたしました結果では、三十四・六PPMでございます。それから六月一日、これは日曜日でございますが、日曜日に測定いたしました結果では、九十二・一PPM、こういう値が出てまいっております。  なお、この浄化槽は、先ほど小川先生御指摘のように千七百槽人でございまして、この千七百人槽というのが、これは二つの浄化槽に分かれております。実は千七百人槽が標準型といわれるもので、これが一基ございます。それから曝気型という、これは比較的新しい型のものでございますが、これが五百人槽が一基、この二基ございます。さらに、この放流水には曝気型の雑排水の浄化槽、これはあそこにございます食堂の排水を処理いたします。この雑排水の浄化槽が一基ございまして、この三つが合流いたしまして佐久米という場所に放流しておるようでございまして、この三つの浄化槽の合流いたしましたものの検査結果でございます。
  193. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それじゃいまの公団の答えたのと違うじゃないですか。計算したって、千七百――一体どういうわけですか。
  194. 石丸隆治

    ○石丸説明員 ただいま私申し上げましたのは、これは公団の方がお話しになったのとちょっと単位が違うような感じがいたすわけでございます。この千七百人槽と先生のおっしゃいました――私も申し上げたわけでございますが、これは、一人の人間が二十四時間使用いたしました場合の人間の単位でございます。したがって、こういうサービスエリアにおきますものにつきましては、そこに余裕があるわけでございます。
  195. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 冗談じゃないよ、君、二十四時間もトイレにいるわけじゃないんだ。千七百人分ということは、われわれのした一定の量が出たその浄化能力なんでしょう。その二十四倍をかけてどうというのじゃないですよ、それは。
  196. 石丸隆治

    ○石丸説明員 どうも私の説明が足らなかったようで――二十四時間といいますと、し尿にいたしまして一人一日一・二リットルを出す、こういう計算でございます。
  197. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、大腸菌の数は調べましたか。
  198. 石丸隆治

    ○石丸説明員 本日実は県のほうに聞き合わせたわけでございますが、大腸菌数は測定いたしておりません。
  199. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それじゃそれはすぐ調べるとして、それもちょっと怠慢的なのだが、先ほどのBODは私よくわからぬけれども、基準は三十PPMですね、それを目標に公団ではおつくりになったという。ところが、九十二・二PPMの算定が出たというのは、これは有害なのかどうか、われわれ専門家じゃないからわからぬから、その辺ちょっと質問いたします。
  200. 石丸隆治

    ○石丸説明員 直ちに有害無害ということはこの数字のみでは論じられないわけでございますが、水質汚濁という点から考えますと、やはり水質を汚濁しているという判定にはなろうかと思います。
  201. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 汚濁というけれども、その基準が私どもは知りたいのです。この浜名湖の基準というのは大事なんです。なまガキ、さっき言ったとおり、カキをなまで食べる、また公害が発生してしまう。特に私が聞きたいのは、浜名湖には大事な問題が一つあるのです。これは建設大臣にお尋ねいたします。これは大きな問題です。毎年この浜名湖へ天皇陛下御一家がおいでになる。皇太子、浩宮さま、礼宮さま、泳いでいるのですよ。昨年も泳いでいる写真を私、見ました。この九十二・一PPM、これを発表して、宮内庁で天皇陛下、皇太子においでくださいなんて言えますか。これはたいへんな問題です。なぜこういうことを聞くかというと、建設大臣は非常に勤王のさむらいと聞いているから私は聞くのだけれども、九十二・一PPMあるということは、ここに浩宮さまが泳ぎにきて、一体これは害があるのかないのか、この大問題が一つ。それから第二が、大腸菌の調査もできていないということが一つ。第三点は、漁業組合が現在百人も押しかけている。こういった地元の生活という問題に対しては何ら公団はやらないで、あの水は飲めるものなら飲んでみろと言っているそうじゃないか。飲んでごらんなさい、ここへ持ってきて。飲めるものなら飲んでみろ――あの水を国会へ持ってきてあなた方飲んでみなさい。こういうことは言うべきでない。いま言ったように、大腸菌の数も発表していない。知っているのだ。知っているけれどもこれは言わない。大臣、こういうことが行なわれているのです。私は尊敬している大臣だからあえて言うのですけれども、ここへことし浩宮さまが来たらどうします。大臣、責任問題ですよ。第一、この浜名湖の水質基準さえまだ――これは経済企画庁でしょう。経企庁へも大臣から閣僚会議の席上正式に申し込んでもらいたい。御存じのとおり、いま湘南の海なんか全然泳げないです、大腸菌の数で。だからこそ、そういうところをわれわれとしては――あそこは国定公園に指定されていますね。そういう意味において、大事に保存しておかなければならぬ。大臣の御見解をまずお聞きしたい。
  202. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 先ほどから浜名湖のサービスエリアの便所をめぐってのいろいろの問題点を指摘されながら御質問され、これに対する道路公団の実態あるいは厚生省としての考え方などの御質疑を、私は私なりに拝聴いたしておったのでございますが、いずれにいたしましても、浜名湖のあの風光明媚な景勝の地、しかも、カキその他の養殖の点などを考えますときに、また、天皇御一家のいわゆる御避暑されるような重要な環境、いろいろの点を総合的に判断いたしますときに、私は、環境衛生の上からも、あるいは観光行政の推進の上からも、あらゆる立場から、これらの点につきましては、地域住民あるいは観光者、それなどを含めまして、こうした点の不快な問題、あるいはこれに関連しましてそれぞれの公害的な影響を受けたりあるいは罹病等を受けたりするというようなすべてを考えるときに、道路交団といたしましても、これらに対するところの措置はまじめに真剣に取り上げ、また政府といたしましても、これらの実態というものを科学的にも検討いたしまして、国民への不快あるいは弊害が除去されますよう、最善の措置を私といたしましては行政指導の上からも講じてまいりたい、こう考えておる次第であります。
  203. 井上普方

    井上(普)委員 ただいまの小川さんの質問に関連いたしまして少しお伺いしたいのでありますが、厚生省の石丸さんですか、あなたは、浜名湖の中毒事件というものが昭和十一年ごろにあったということを御存じでありますか。それに、あなたも予防医学をやられたら、これはどれぐらいの被害があったか、あの当時大事件であったことを御存じであると思いますが、今度の場合、HODが九十PPMになり、アンモニアの濃度が非常に上がっておるというので、ここにある生物、すなわち、アサリ、シジミあるいはなまガキというものに対してどういう影響があるとお考えになりますか。これは私は医学的な立場からひとつ御解明願  いたい。
  204. 石丸隆治

    ○石丸説明員 これが人体にどういう影響があるかということになりますと、直接の因果関係を結びつけるようなことは非常にむずかしいわけでございます。かつてこの浜松というのは、ただいま先生御指摘のように、日本の食中毒の歴史的な土地になっておるわけでございまして、浜松の大福もち中毒事件がかつてあったわけでございます。これは細菌とすればサルモネラという菌で起きている中毒事件でございます。さらに、浜松の浜名湖におきますアサリ、カキによります、これはアルカロイドという毒物による中毒、これはかつて戦前大きな事故を起こした例があるわけでございまして、こういった浜名湖におきます漁業、そういったものを通じましての人体への影響、こういったものは、当然われわれとしても重要な問題ではなかろうかと考えておるわけであります。ただいまのところ、大腸菌数につきまして、われわれのほうが放流水について試験をやっていないということで御指摘を受けたわけでございますが、この放流水の基準では実は大腸菌数を定めていないわけでございまして、これは正常な浄化槽の維持管理、これをやれば大腸菌が出ないような維持管理基準が定めてある。すなわち、塩素消毒をやることになっておるわけでございます。BODの基準より高い、基準に定めた数値の三倍ぐらいのBODの値を示しておる、これが一体いかなる影響を出すかということでございます。これは御承知のように、最近都市河川が非常によごれまして、このBODが高くなる。BODが高くなるということは、水の中の酸素が非常に少なくなるということでございまして、生物に対する影響というものがあるわけで、住めなくなるというような影響がここに出てまいるわけでございます。それが直ちに何らかの中毒あるいは伝染病、そういった事件に結びつくという証拠は、いままでのところわれわれとしては握っていないわけでございまして、いずれにいたしましても、われわれ衛生を担当いたします者といたしましては、できるだけ自然に近い状態で、人為的に汚染が起きないように、自然の状態で国民の健康を守っていく、そういうような意味で、むしろこういった基準というものは非常に自然の状態に近いところに持っていっておるわけでございまして、人為的な汚染ができるだけ起きないように、国民の健康を守るという点におきましては外堀で守っておる、こういうような状態でございます。
  205. 井上普方

    井上(普)委員 ただいまのあなたのお話を承る限りでは、私は生物学的にも非常に心配が出てきておる。たとえばBODにいたしましても許容量の三倍になっておる。さらにまた、アンモニアにいたしましてもかなりな量が出てきておるということになりますと、当然そこには、戦前に起こった浜松の中毒事件、特にアサリ、シジミというあそこの魚介類によって何百名という人がともかく瀕死の状態におちいっている。あのときにはたしか百人くらい死んだはずです。そういうような事件があそこでは起こっておるのです。有名な事件なんです。そこで、いまお話を承っておると、放流した水の中に、それは浄化槽から流れるのですから、大腸菌がおらないのは当然です。しかし、それをオーバーしてあふれておるのでしょう。その中には当然大腸菌はうじゃうじゃとおるはずです。大腸菌だけではなくして、たとえば赤痢菌とかチフス菌が入っていたらどうなりますか。それによって浜名湖におけるところの海産物あるいは水産物が汚染するということになったらどうなるかということを私ども考えるわけです。特に、大腸菌の数までもお調べになっておらぬということは、衛生学上どう考えても、学問的に考えてもおかしいじゃないですか。ことにあの地はサルモネラ菌によるところの大汚染がある。こういうことを考え、しかもこれからつゆから夏に向かうのです。そういうようなところで中毒事件が起こってくるのはつゆから夏にかけてなんです。こういうことが起こるとすると――起こる可能性は十分あると思うのです。そういうときに、厚生省当局はこれらに対して厳重な注意をすべきじゃないですか。そしてまた、建設大臣、おそろしいのは夏ですよ。いまからなんですよ。あなたは、一生懸命やりますとおっしゃいますけれども、この夏なんです。さっきも言いましたように、昭和十一、二年ごろに中毒事件で百人からの死んだ人が出ておった。こういうことがあるからわれわれとしては関連質問で申し上げる。緊急にこれは事態の改善をやらなければ、浜名湖のものは全部おそろしくて食えなくなる。あれはあぶないですよ。だからあえて私はこういうことを申し上げるのですが、大臣、早急にと言わずに、あすからでも手を打たなければならぬと思うのですが、どうですか。
  206. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 井上委員関連質問として適切な御意見、私も非常に大事な問題としまして、これらに対するところの現在のいわゆるし尿処理に対するところの機能というものがどうなっておるか、これに対する制限をどう加えるか、また、これに対する拡大をどういたすべきかという、施設の上においての問題点を私は至急措置を講ずるよういま担当理事にも指示をいたし、また科学的、医学的な立場から、細菌学的な立場から専門の井上先生が御指摘になりましたこの点は、ほんとうに重大な問題でございます。歴史的な一つのものを持っておることを考えれば考えるほどなお重大なことを考え、夏場を控えまして、海水浴あるいはその他悪疫の流行時期を控えまして、専門的、医学的、科学的な立場から直ちにこれに対するところの検査及びそれらに対する対応策を実施するよう、いま理事にも指示いたしましたようなわけでございまして、政府といたしましても真剣にその対応策を講じてまいりたい覚悟であることを御了解いただきたいと思います。
  207. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いまお話を承りまして、私も聞こうと思っていたことを言われたわけですけれども、それはそれでいいでしょう。  ただ私は公団の人にお聞きしたいんですがね。大体五百人以上の槽を運転する場合には、法律によって技術者もしくはそこに担当する係官がいなければならない。置いてあったですか。
  208. 斎藤義治

    ○斎藤参考人 その点に関しましては、当初から道路公団で十分でなかった点もございます。今後、いま大臣がおっしゃいましたように、いろいろの点につきまして十分御指導を仰いで実施いたしたいと思っております。
  209. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私が調べに行ったときはおりませんでしたよ。それで、これは五百人槽以上の浄化槽をつけた場合には、維持管理者を置くことが法律で定められておる。これは石丸さんも御存じですな。一万円以下の罰金に処せられるのです。ところが、その三ケ日の保健所から勧告があって、漁協からみなが押しかけていってもなおかつ置いてないのは、これはどういうわけなんです。
  210. 石丸隆治

    ○石丸説明員 ただいま小川先生から御指摘がありました、この六月一日現在におきまして実は維持管理者が置いてなかったわけでございまして、さっそく県の衛生部のほうが公団のほうに指示をいたしておるわけでございます。管理技術者の設置につきまして指示をいたしておりまして、現在、きょうの段階におきまして、県のほうからの連絡では、すでに人選をきめたそうでございます。
  211. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 五月で、いまは七月でしょう。いまから人選をきめてやる、そんなことを、あなた――保健所は、ほかの小さなレストランや食堂がちょっと違反すればすぐわあわあとおこる。こういう大きなものになって、二万人にもなる。これからもっと人がふえますよ。三万人になるかもしれません。色がついても――大体し尿処理浄化槽から出るものが黄色くなるものなんですか。そういう間違った処理の方法をしながら、いま井上さんからもお話があったように、いま梅雨期だ。結局これから赤痢発生期に向かう。こういう事態で、私にとってはまことに理解できないです。それじゃ、これはもう法律違反じゃないですか。石丸さん、どういう措置をするのか。
  212. 石丸隆治

    ○石丸説明員 これは県知事の権限に属することでございますが、われわれのほうといたしましても、維持管理者の設置義務というものは清掃法で定めておるわけでございますので、その線に沿いましてできるだけすみやかに設置いただくようなお働きかける考えでございます。
  213. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 道路施設協会というのは、理事さん、どういう筋のものなんですか。
  214. 斎藤義治

    ○斎藤参考人 私、若干いまの御質問にお答えが十分でない点もあるかもしれませんが、高速道路ができまして、高速道路のいろいろな施設に関しましてのサービスと申しますか、たとえばサービスエリアの中に食堂等がございますが、そういう食堂の建設であるとか、その食堂自身の運営等についての問題とか、あるいは清掃の、ごみの片づけであるというようなサービスについてのことを実施しているような協会でございます。
  215. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ここに近鉄レストランが浜松エリアで開店していることは御存じですね。一日の売り上げが三百万から五百万、多いときは五月だけでもって一億をこえたといわれる。その売り上げの何%が施設協会に入るのですか。
  216. 斎藤義治

    ○斎藤参考人 正確な数字はあるいは若干違うかもしれませんが、近鉄の場合、たしか二二%か二二・五か二三か、その数字だったと記憶しております。
  217. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると二割三分ですね。売り上げの二三%、これが道路施設協会に入る。道路施設協会に入ったその二三%のお金は何のために使われるのですか。
  218. 斎藤義治

    ○斎藤参考人 先ほど申し上げましたように、公益的な使用ということでできている協会でございますから、公益的な使用に還元される金でございます。
  219. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、私が言いたいことは、この二三%――一億の二三%だと二千三百万、この金が一カ月に入るのですから――し尿処理は公共的ですな。そのほうに――三千万か四千万と、私が聞いたときは言われたと思う。そのお金に回せないかということです。これはどうなんです。
  220. 斎藤義治

    ○斎藤参考人 サービスエリアの浄化槽等につきましては、これはもちろんそこの施設協会が直接やるというたてまえにはいたしておりませんで、これは高速道路そのものとして道路公団みずからが実施するという原則で従来から便所その他は実施いたしております。
  221. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは大臣にお尋ねしたいのですが、道路施設協会という、こういう筋のものですね、これが高速道路のところに近鉄レストハウスとかいろいろな各業者が入ってくるわけです。実に高いのです。サンドイッチなんか、東京で食べれば五十円くらいのものを二百円も取っている。ライスカレーは二百円から三百円。だから二三%も三〇%もピンはねができる。それでなくても、有料道路で高い道路へ入ってきて、なおかつそこで搾取されておる。一体こういう筋のものは、大臣、どうお考えなんですか。
  222. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 施設協会のあり方、言いかえますならば、施設協会の運営あるいはそれぞれの立場でのサービスあるいは宣伝、それぞれの持っておる、建設されまして以来、事業開始いたしまして以来のある程度の功績は、私はやはり評価してやりたいと思います。しかし、非常にこうした高速道路が延びてまいってきておりますことを考えますときに、施設協会の運営、あり方等につきましては、やはり私も再検討を必要とする段階に入りつつある、こういうような考えも持っておりますので、これらに対する運営、あるいは今後のこれらに対するところの方針、あるいは事業内容、あるいは社会への還元、すべてに対する問題点を十分ひとつ検討してまいりたい、こういうような考えでおることを御了解いただきたいと思います。
  223. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これはまたあとで時間をいただいてお尋ねしたいこともあるのですが、きょうはおそくなりましたからこの問題はやめますけれども、理事さん、こういう近鉄とか何とかレストランとかいうのが入ってくる、これは入札みたいなそういうシステムで入るのかどうか、それが一つと、ここでビールを売っていますか。
  224. 小野裕

    小野参考人 最初のお尋ねの、売店等どこが経営するかという問題になりますが、施設協会におきましては、道路公団の指示あるいは建設省の監督のもとに一つ基準を定めまして、ある資格を持っているもので希望者が申し出てまいりました場合に、適当なものを五者なり十者なり選びましてそれに入札をさせる、それはただいまお話のあった……(「近鉄が浜松へどうして来た」と呼ぶ者あり)そういう形で、先ほどお尋ねのありました営業料二〇何%、これはそのときそのときの状況によってその入札のときにきまる一種の予定価格でございますが、それが大体二〇%から近いところに一応いままでなっております。これはちょっと話がそれますけれども、このうちには、建物を建てて貸しますから、その建物の費用は、施設協会がいわば自分で融資……   〔発言する者あり〕
  225. 始関伊平

    始関委員長 お静かに願います。
  226. 小野裕

    小野参考人 そういうことで、五者なり十者なり指名しましたもののうちから落札したものが経営することになる、こういうことでございます。  それからもう一つのお尋ねのビールは、最近、ビールといっても、ビールという名前の、アルコールのないビールが出ているそうでございますが、これを売らしてくれという話があった、しかし、それも困る、それに便乗して本物のビールを売られても困りますので、ビールはよしてくれという指導をしておる、そういう監督と申しますか、指導をいたしております。  それからちょっとそれますが、近鉄がなぜ入ったかというお話でございますが、これはあちこちのサービスエリアを開くにあたって、全国といいますか、全部で多数の希望者が出てまいりましたので、それぞれしかるべきところに割り振って指名競争に参加させた、そういうことのようでございます。
  227. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 近鉄は関西ですから、関西の名神へでも入れてあげればいい、これは東名ですから、浜松の業者を入れてあげればいいと私は思う。また、大資本になりますと連鎖チェーンみたいになって、たとえば、いろいろなところへ分店みたいな形で出す場合もある。これなんかまたあとで機会があったらお尋ねいたしますが、私は、有料道路の中でなおかつこういう売店で二三%も道路施設協会に収めることを含めたものの売り方、サンドイッチだって五十円のものを二百円にも売らなければ業者はもうからない、二割三分も取られてしまうのですから――そういうように、高い高速道路の中に入った上でなおかつ別の面で取られてしまう。だからお客さん頭に来てモラルも低下して、欠陥人間も多い。便所のドアはひっぱがす、鏡ははずす、カンはぶん投げる。この間なんか、ヘビやガマガエルまで袋に入れてほうり出していった者がある。あきれ返ってわれわれも口がきけなかった。そういう人たちもいます。何がそういう原因になったかという問題は、社会の問題にもなりますが、中にはそういうところで高いものを食わされて腹いせにやったのもいるのです。そういうところにこそ、利用者にサービスしてあげるような監視というものをしていかなければならない。これはひとつお願いしておきたい。  それから今度は監視人ですね。ここは、パトロールして事故を起こしたときにやる方々が、ものすごく危険だというのです。待避所もない。びゅうびゅう走っておる車のところで事故のときなどやる。危険手当をつけてくれないかという声がございますが、この間も一人なくなった。四十七万円の労災保険だけでポイされた。四十七万円で命とおさらばだという声を聞きましたが、こういう危険なところで作業をなさる監視人の方、また、事故があったときのあと始末をなさる方、公団がお雇いになっております方々に特別危険手当をつけてあげるお考えはないですか。
  228. 小野裕

    小野参考人 サービスエリアの営業、サービス、そういったものについての監督指導という点につきましては、それぞれの筋を通じまして厳重に十分にやられるように私からも連絡をいたします。  それから、いまの施設の監視人の問題でございます。あるいは道路全体の維持管理の職員の手当の問題でございますが、お話のようにほんとうに危険な作業でございます。これに対する手当の制度はいまどうなっておりますか、まことに恐縮でございますが、はっきり記憶しておりませんが、何らかの形で特別な手当はあるものと思います。十分かどうかわかりませんけれども、私はそういうような記憶でございます。
  229. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 せっかくきょうは消防庁の方も来ておられますので、一点お尋ねいたします。長いことお待たせして申しわけございませんでした。  実は東名高速道路が開通してからいろいろな事故がある、そのために地元市町村から救急体制の消防署の方が救急自動車でかけつけてまいります。そのために、東名道路にそういった事故処理班というものをつくらなければ間に合わない、そのために地元の救急体制がおろそかになっている、何とかしてくれないかという声が地元市町村からあがっておりますが、これに対して救急体制側としては、一体どのくらいのそういったものを公団側とまずはっきり連携をとっていくのか。  次に、事故が起きたときに、公団、消防署、警察、全部これは連携がとれない。早い話が、無線の波数が合わないとか、電話をかけても、消防署と警察と公団との連携がうまくとれないとか、こういう声がいまあがってきております。こういう点についてのお考えをひとつ……。
  230. 中沖豊

    ○中沖説明員 高速道路におきます救急体制につきましては、私ども県等と一緒に鋭意努力しておるわけでございます。  お尋ねの、救急事故が起こりました場合の公団その他の関係機関との連絡の問題でございますが、私ども、地元の市町村で、地域的な、また総合的な救急に関する計画を作成させております。その計画に基づいて現実に適切に迅速に処理できるような訓練も実施させるように指導いたしております。今後ともそういう面で一そう努力いたしてまいりたいと思っております。  それから無線の点でございますが、御指摘のように、波数が違うわけでございます。そういう点にかんがみまして、私ども公団から公団の無線が入ります無線装置の設備を無償で貸与できるようにいろいろ話を建設省等とも進めております。近くそういうふうになる見込みでございます。
  231. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、サイクルが違った場合には、これは公団側のほうで主体となって救急車に無線を備えつけてくれるのか、市町村側として救急車に備えつけて、同じサイクルの無線を、インターチェンジとか料金徴収所とか、こういう公団側の事務関係のところに置いておくのか、どっちなんですか。
  232. 中沖豊

    ○中沖説明員 現地の地勢によっていろいろ違うと思いますが、考え方といたしましては、公団の四百メガサイクル帯の無線機を市町村の消防本部に設置するようにしたいと思っております。それによりまして、消防本部と消防署、消防の救急車につきましては消防自体の無線装置がございますから、その消防自体の無線で連絡できるようにしょう、こういう考えでございます。
  233. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 だいぶ時間もおそくなりましたので、私これでやめさせていただきます。皆さんの御迷惑も考えまして、いつまでも自分だけでやっていることはよろしくないので、また機会をいただきまして残りの質問をさせていただきますが、ひとつ、大臣、こういう東名高速道路にしても、先ほどの首都高速道路公団の問題にしても、日本の道路行政そのものについて非常に大きく考えなければならないことは、道路政策でいくのか、道路交通政策でいくのかということです。また、交通経済政策の原則としては、その国の交通分野の均衡的発達を目的とすべきものでありまして、道路、鉄道及び内陸水運、さらには航空路を含めて、総合的に考え道路政策をこれからやっていかなければならぬ。また運河なんかも当然入れていきます。道路政策、道路交通政策、これは非常に大きな開きが出てきまして、大臣が常日ごろおっしゃっておられます、昭和六十年には太平洋沿岸ベルトに八千万から九千万の人が住むであろう、こういう過密メガロポリスができてきますし、東海道、また山陽、九州、北海道新幹線鉄道も高速道路と並行してできてくるであろう。また、内陸、海、こういった総合的な立場に立ったところの道路交通政策というものが当面要求されてくる。これについて、担当大臣としてこれからの道路公通政策というものは、ただ道路政策でない大きな観点に立たなければならぬと思いますが、御見解を承りまして、本日の質問を終わらしていただきます。
  234. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 大所高所に立っての国土建設の未来像につながる道路交通対策の基本的な重大な問題点に対する御質問でございます。全く小川委員同様の気持ちをもって道路交通対策に万全を期しまして、均衡のとれた、また国民のしあわせに通ずる産業経済の大動脈としての道路政策を打ち立ててまいりたいということを表明申し上げて、御理解願いたいと思います。
  235. 始関伊平

    始関委員長 次回は、来たる十一日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十六分散会