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広沢(賢)
委員 私は、
建築基準法一部改正の法案に関連しまして、その母体となる、今度参議院で通りまして衆議院で強行突破された
都市再
開発法の
問題点が残っておりますから、それについて御質問いたしたいと思います。
まず、私がこの問題を非常に重要な問題であると思う理由は、実例をあげますと、ここに
一つアメリカの「ニューズウイーク」誌の五月五日号に有名な記事が載っております。その記事は、
東京についていっているのですが、ちょっと突拍子もないから、驚かないでいただきたいのですが、芸者は普通豪華なアパートをあてがわれているので、
東京の高級アパート地帯はほとんど外人の家族と芸者で独占されている、これはちょっと話がオーバーですが、外国人はそう見ているのです。それからもう
一つ、
東京問題調査会の第一次提案というもの、学者がずっとそろっていますが、その学者の人たちが言っている、全部集約した文面の中に、
東京の
住宅事情について、都心部の二十三区内の全世帯の四分の一が現に居住している民間アパートの
住宅条件は、第一に狭く、一人当たり畳数か三畳未満が全体の二分の一
——三畳未満ですよ。さっきの海あり、山あり、空気がいいなんという話じゃないのです。それで設備が悪い。便所、炊事場の
両方または一方が共同であるものが全体の四割。四割ですよ、共同便所が。それから環境条件が悪くて、日照権、ばい煙、排気ガス、騒音、振動、悪臭。条件のすべてが良好であるものは全体の四分の一。だから四分の三はひどい条件にある。地震、火災などの災害に対して全く無防備である上に
——これは
建築基準法の問題に非常に
関係しますが、家賃が高い。月収三万円以下の階層では、家賃が全所得の二〇%つまり一万円の家賃なんというのはまだまだあれで、六千円であっても所得の二〇%を占める世帯が二分の一ある。ほんとにたいへんな
状況です。こういう
住宅事情が、したがって、
建設委員会のワクを越えて、若い人がゲバ棒をふるったり何かするそういう
政治不信の問題に非常に響くのですね。
一つ重要な
政治課題になっている。それほど重大な問題なんです。国の
政治を非常に大きく動かす重大な問題なんです。
そこでお聞きしますけれども、今度の
都市再
開発法というのが通って、参議院で附帯決議がつきました。その附帯決議については
建設大臣よく御存じだと思うのです。大蔵省の主計局次長もよく聞いていただきたいと思います。そこで、第一番目の附帯条件の中で、「
市街地再
開発事業により
建設される
住宅については、国民
生活の実態に応じて
利用ができるようなものとするよう指導すること。」と書いてあります。指導の内容ですが、三井不動産社長の江戸さんは
都市再
開発には非常に熱心ですが、その江戸さんですら、結局マンションばかりふやすなという点については、国の費用でやる公社、公団は、低所得層のために思い切った
住宅供給をやり、それ以外は民間にまかせるべきだと思っているということを言っております。それからもう
一つ江戸さんは矛盾したことを言っておるのですが、もう一方では、自由主義
経済で危険をおかしているのだから、いろいろマンションを建てたり
都市再
開発でうんとビルや何か建てて、あとで成功した場合は当然利潤をあげることになるだろうと言っておる。ここが問題なんです。いろいろな条件も聞く前にまず第一番目にこういうことなんですが、
都市再
開発法が通って、今度どんどん組合ができて、それが金持ちの地主さんのいる
ところで、できる
ところからどんどん建てる。金がない
ところはあせる。そうすると、いわゆる民間デベロッパーというのが食指を伸ばしてきて、一口乗せれば建ててあげますということになる、建てると、江戸さんの言ったとおり、やはり利潤を目的にしておりますから、マンションになってしまう。だから、都心部で高級マンションがばりばりばりばりできて、それでいままで住んでいた間借り人なんというのはどこかに行かなきゃならないようになってしまう。不燃焼
住宅ですから、ビルですから、建築費が高いとか、いろいろなことがあるということになって、庶民が追い出されてしまう。しかし、大きな組合のある人は別です。公務員の方は安い
住宅に入っている。
ところが、そうじゃなくて、下町でくつ屋さん、印刷屋さん、その他都心部にいなきゃならぬという人たちは、組織もないし、所得も低いしということで、追い出されてしまうことになったり、たいへんなことになって、さっき私が読み上げた外国人が言ったことは、うそでなくなるのです。ますますそうなる。そうすると、都心部は非常に形がいいように見えて、冷たい。近代的なビルが一ぱい建っているように見えて、きわめて非
人間的な内容になって、ますます若い人は言うことを聞かなくなるということになってしまったらたいへんです。そこで、これから三、四年間、五、六年間が一番重要なんです。どんどん建ってしまって、建ってからあと、今度国が待ったといって、それでもって、公営
住宅を建てればよかったといっても、空中圏がそういう形で全部マンションになったら終わりです。ということで、まず
建設大臣にお聞きしたいのですが、建ってしまったらだめだから、四、五年が一番大事だ。それに対しては、何かいままでの措置ではとうてい
考えられない、もっと抜本的な
対策を立てないと、これは後悔先に立たずですね。たいへんなほぞをかむ。後藤新平さんが泣いてしまうということになると思うのです。そこで、この四、五年の間は非常に重大な時期だ。この法案を通したからには、それについての決意を承っておきたいと思います。