○佐野(憲)
委員 私は政令をいただきましてからもっと具体的にお聞きしたいと思いますので、きょうはやめますけれども、ただ、この法案の審議のときには保利
大臣だったので、
坪川さんはそのあとをお受けになったわけですから……。
そこで、
一つ財政の問題につきましても、地方団体は、政令がおくれたために非常に混迷をしておるのと、その地域住民もまた、協力をする方法手段が失なわれておるわけですね。財政面
一つ見てまいりましても、自治省からことし「公共施設の現況」という詳しい白書が出ておるわけですね。たとえば都市施設の問題に対して詳しく触れておりますけれども、街路一本とってみましても、昭和四十二年度の予算では、市町村に対しましては五百七十八億円だった。県に対しましては七百二十五億円使っておる。四十一年度と四十二年度を比較すると、県の場合におきましては進捗率が二・八%だ。市町村の場合におきましては、
延長におきましてわずか一・五%だ、面積では一・一%だ、これだけしか進まないんだ。四十一年度の認証、これをこの率でいきますと約九十年間かかる。いわゆる建設省が事業認定をして、事業実施の中に計画されているのは四兆六千億円、この調子では九十年。四十二年度に認証されたものは五兆八千億円、これに要する年月というものは約百年だ。現に計画されておるものを実施していくために、この四十二年度の水準をもってするならば百年もかかるんだ。新しい都市施設なり新しい住みよい環境づくりをやっていくためにもっと積極的に公共投資をやるんだといわれますけれども、現在におけるところの府県なり市町村の置かれておる実情というものは、非常に重い、苦い顔をしているのは私は当然だと思います。現に認定されているものでも、四十一年度で九十年、四十二年度、予算もふえてまいっておりますから、これをやりますと百年かかる。五兆八千億円も金を要する。街路だけでもそういう
数字が出てきておるわけです。これはもう少し政令において具体的に財源問題なんかを明確にしていくことが必要じゃないか、私はかように
考えるわけです。
最後に、
建築基準法の問題につきまして、これは重大な問題でありますから、私のほうから
質問事項だけを述べますので、次の
委員会においてひとつ回答願いたいと思います。これは、きょうの
質疑は時間の
関係がありますから、回答は次の
委員会で明らかにしていただけばいいと思うのです。
昭和四十二年十二月十三日の、建設
大臣からの諮問に対する建築審議会の答申ですが、この答申の中で、現実には市街地の無秩序な拡大を抑止できず、また、環境保持のための防波堤たり得ず、法違反の建築物が累積し、法的規制力は実効をあげていない現状である、こういう点を明らかにしておるわけです。と同時に、その具体的な問題点として建築執行体制の整備の重要性を強調しながらも、改善を検討する必要事項として、是正命令、
工事中止命令等の遵守を確保するため必要な措置をあげて、たとえば執行罰の採用を含む罰則強化を行なうことを提案しておるわけです。この提案に基づいて現在の
建築基準法の改正案が出されてまいったわけですけれども、改正案を見てまいりますとどうも納得できない点がたくさん出てくるわけであります。少なくとも建築物の敷地、
構造、設備及び用途については最低の
基準を定める、現在の最低の
基準をいかに守っていくか、答申もその点に対して非常に配慮をいたしておるわけであります。最低の
基準ですから、この最低の
基準を守ることによって住居
関係あるいは国民の生命、健康を守るんだ、こうなっておるこの
基準法の最低
基準をまた下げようとしておるのではないか。いかにして
基準法が守られる方向に措置をとるか、こういう点が非常に不明確でありますので、一応これらの点に対して具体的に
質問をいたしますので、この点に対する回答を願いたいと思うのです。
ただすべき第一点としては、建設省は不作為義務の強制執行は法理論的に不可能であると
考えているのかどうか、あるいは可能であると
考えているのかどうか、この点です。
少し詳しく述べますと、行政法上の義務の不履行があった場合、それについて、建設省としては、それを将来に向かい実力をもって履行せしめ、またはその履行があったのと同一の状態を実現する必要がある場合があるが、建設省は、このような行政法上の義務の強制執行は、不作為義務については、法理論上およそ不可能であると
考えているのかいなかということであります。あるいはまた、憲法上不可能であるという見解もあり得ると思われるが、そうであるのかどうか、明確にしていただきたいのが第一点です。
第二点として、現行法においては、
建築基準法違反の建築物については、実体的違法が生じた後に、その除却、移転、改築等、作為を内容とする義務を命じた場合についてのみ、行政代執行法第二条による強制執行が可能であるにとどまり、
工事の施工の停止等不作為を内容とする義務を課した場合には、その不履行に対して、これを将来に向かって強制的に履行せしめる制度がないのであるが、建設省としては、かかる
法律状態について格別問題なしと
考えているのか、あるいはこれを改める必要ありと
考えられているのかどうか、これが第二点です。そして、もし制度改正の必要なしと
考えられているのであれば、その理由は何であるかを明確にしていただきたいと思います。
第三点としては、制度改正が必要ありと
考えられているのであれば、いかなる制度を適当と
考えられているのかについて明らかにしていただきたいのであります。実定制度を設けるにあたっての多くの他の場合におけると同様に、当面の場合においても、問題は、どれがただ
一つ正しい制度であるかという絶対的な評価にかかわるものではなく、問題は、
考え得る複数の諸制度のうちで長所短所比較考量すると、どれが最も合理的であり、あるいはより実現可能であるのかという相対的評価にかかわる問題であるかと思います。
工事施工停止命令によって課せられた不作為義務の強制執行の制度として
考え得る幾つかの制度のそれぞれについて、建設省としては、その長所短所の問題点をどのように
考え、そのいずれかを具体化するにあたっての解決を要する問題点は何であると
考えられておるのか、これを示していただきたいわけです。そのためには、具体的に現在問題提起をしておられる東京大学高柳信一教授の、執行罰制度によってこれを担保したいという制度改正、それから東京大学名誉教授である有泉亨さんは、裁判所命令による制度によって解決ができるのではないかという具体的な提案をされておるわけです。おそらく、建設省におきましてはそれらの提案をすでに検討はいたしておられるだろうと思いますので、それらの点を含めて次の
委員会において一応見解を明確に示していただきたいと思います。というのは、立法者であり、立案者であり、かつまた執行
責任を有する建設当局のこれらの問題に対する態度、
考え方を明確にしなければ、
質疑に入るわけになかなかいかぬと思います。ですから、私たちとしては、いま申し上げましたこれらの
考え方などに対する建設当局としての明確な方針、解釈、
考え方を示していただきたい、このことを要求いたしまして、一応
質問を終わります。
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