○
竹内政府委員 第一点の、借家権をどう取り扱うか、これが改造法ですと非常に不明確だ
——というのは、改造法は収用方式でございます。
建物について直接補償する。公共
事業は、
建物はすべて移転ということを原則に考えております。したがいまして、その
建物について借家権を持っている人に対するものは、大体大家さんとたな子さんの話し合いによって解決するというのが、考え方の基本になっております。そこで公共団体もなかなか乗り出せないということでございましたが、今回の再
開発法におきましては、権利変換計画で、
底地権者と借地権の関係はもちろんのこと、借家権の価額自体もこれは明記するようなっておりまして、借家権というものを、いわば民事的な取り扱いにまかせないで、施行者がきちっときめる、こういう形にしたわけであります。この点は改造法よりも私どもは取り扱いとしては前進しているのではないか、こういうふうに考えるわけです。
それからその次は、再
開発負担金をどうして出すのかという問題でございます。負担金というのは、個々の
組合員なりあるいは借家人の方々なりがどういうような金で出すのかということだろうと思いますが、これは床でもらいます場合は、借家の場合を除きまして、現物で与えられるわけでございます。たとえば増し床をするというような場合にその金をどうするかということでございまして、実際問題といたしましては、施行者に対する長期融資というものが行なわれれば、施行者はその資金をもって個々の権利者に対しまして清算金の徴収猶予的な
措置を講ずることができるのではないか、また、金利等につきましてもある
程度施行者が考慮していくというようなことで、
市街地改造の場合には実際問題としてやっているわけでございます。今後再
開発を行ないます場合におきましても、公共団体がやる場合はもちろん、
組合に対しましても長期の資金を導入してまいりたいと思いますので、
組合がそこの
組合員なり権利者に対してそういう
措置がとれるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
それから一番むずかしいのは、最後の、新しいビルに入って商売するのに似合わないというような業態のものでございますが、これも実際はいろいろ苦心してやっております。
一つは、いままでたとえばパチンコ屋さんをやっていたというような方、パチンコ屋さんが新しい
建物に入ると、近隣に対するいろいろな迷惑というようなこともありまして
——必ず悪いというわけではございませんが、その方が営業の転換をされて、神戸ではボーリング場を経営しているというようなことで、ある場合には、似たような商売であまり迷惑のかからないものに転換をしているやり方もあると思います。もう
一つは、
従前の営業をやります際に、たとえば新橋あたりでもそうでございますが、小さな小料理屋さんという方々が集まって地下のある階に入れば、そこがそういう営業業態の方々ばかりというような形で営業をすることによって、ほかの人たちに対する迷惑を回避するという形で処理していくというようなこともございまして、これは実際問題としてはいろいろなやり方があろうかと思いますけれども、そういうようなやり方をして収容している場合もございます。どうしても入れないという方につきましては、やはり他に
土地を求めて営業せざるを得ないということになろうと思います。その場合に、金銭補償になるわけでございまして、その金銭補償につきましては、今回の
法律でも租税特別
措置法を
改正いたしまして、譲渡所得税におきましてはこれは所得があったと見なさない、そういうような形において解決をしているわけでございます。