○
田村(良)
委員 御
答弁でございますが、押し返して申し上げたいのは、建設省の方、
専門家でございますが、私の
調査では、この霞が関から羽田に行っておる高速道路、それと合わせまして
東京都内で四十二路線、これが、オリンピックスタジアムないし選手村、いわゆるオリンピック施設に連を関する、
東京都内で国がオリンピックに準備した路線でありますが、これに七百数十億を投下しております。内訳を調べますと、用地買収、立ちのき補償費が約七割、つまり五百億近い国民の血税が、道を買ったり用地買収を行なったり、いろんなことでその約七割近いものが使われております。でありますから、申し上げたように、同じ財産であって、
東京ならば、あなたの御記憶として六十万、一方では坪千円、こういうことなんですね。そこで生活権に対する重大な用地買収の問題が起こっておりますから、その買い上げが非常にむずかしい。したがって、
年度予算で一ぱいでやりませんと、ある村だけが用地買収が済んで、来
年度に繰り越して今度他の村の用地買収を行なおうとすると、同じところでも、昨年とことしで物価も違った、経済環境も違ったということで、同じ用地買収に非常なトラブルが起きる。農山村では百円、二百円を争うわけです。そうするとまた買収が長引く。長引くうちに全路線の工事はだんだん延滞してくる。話のついたところだけ買って、そこだけ太目に拡張される。そうするとこっちはヘビの腹みたいになる。そういうことで、せっかくの道路網の整備というようなことも一そういう用地買収の適正なる補償金というものの
考え方は、
お互い、買われるほうと買うほうとずいぶん
考えが違う。一銭でも安く買おうというのが国のねらいでありましょうし、売るほうは手放すならこの際一銭でも高く売りたい、こういうようなことで、用地について、つまり財産について、私の基本的な
考え方は、先ほど申し上げたように、個人の特定の財産を、不特定多数が自由に使うために人の財産をじゅうりんするのですから、十二分の補償をすべきであるということが私の思想なんです。こういうことをいつの日か解決していただきませんと、これから
地域におきます重大な再開発問題が起こったときに、いつもこの問題にひっかかってくる。こういうことが絶えず論争の焦点になっておる限り、なかなか用地買収というものは進まないのではなかろうか。それはひいては、あなた方のねらわれる、あるいは国がねらっております妥当適正な
地価の
公示ないし
土地のこれからのいろいろな
意味の管理運営にも非常に大きな影響を与える、このように私は
考えます。
もう一例引くと、たとえば、二年前でしょうか、第三京浜国道ができました。たしか延長十六・七キロ。これのキロ当たりの工費を見ますと、平均で十七億ないし十八億かかっておる。これは何でかかったかといったら、用地買収です。でありますから、そういうことを
考えてみると、四国には循環鉄道がない。また、明石、鳴門海峡にも橋もかかっておらぬ。一方では、キロ当たり二十億近い金でどんどん自動車の道路ができておる。一方では、坪千円で人のたんぼが買収される。一方では、ころんでつかんだ一坪のコンクリートが二百万とか三百万。銀座の四丁目は四百万ですね。
東京都庁の税務管内でそういうふうにばかげた
地価があるわけです。でありますから、私は、どうしてもこの機会に、適正ないわゆる補償金というものは、申し上げましたように、個人の財産を全体の他の第三者の利益に提供するのですから、利用されるほうこそ非常に受益者ですから、この受益者のほうからは思い切って補償すべきではなかろうかという私の思想でございます。
そこで、時間がきましたからこれ以上申し上げませんが、締めくくりとして、ただいまのこういった
質疑応答を通じて、建設大臣とされては、この
地価の問題ないし、用地買収に関しまする適正な補償というようなものについて、建設省ないし政府としてはどういう姿勢で今後
——弱い個人ですから、権力も何もない個人に
法律が臨むのですから、そういう場合には手厚い保護を加えつつ、やはり納得のいく、それこそ適正な、財産権にも悪影響を及ぼさないような用地買収、適正補償というもののきめ方
——昭和三十七年の閣議
決定以来今日までの経過と、これから行なおうとする新たな
都市計画ないし、
都市再開発にあっては、やはり個人の財産を尊重してあげる、そしてできるだけ用地買収も楽にする。いつもトラブルが起こる、そういうことを事前に防ぐためにも、ここで用地買収に対する適正補償金に対する国家それ
自体の
考え方、個人に対して非常に親切味を持たす、そういう
考え方で、これらの立法にあたっては、そういう一つの政府それ
自体、建設省それ
自体の姿勢がなければならぬじゃなかろうか。とにかく何でもかでも
法律で安く買えばいいのだというようにはまいらぬと思います。この点、ひとつ大臣から、いまの
質疑応答合わせて一本で、基本的な大臣の所見なり
考え方を承って、私の
質問を終わりたいと思います。